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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】使い捨ておむつ
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/51 20060101AFI20230719BHJP
   A61F 13/49 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
A61F13/51
A61F13/49 410
A61F13/49 311Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018246685
(22)【出願日】2018-12-28
(65)【公開番号】P2020103696
(43)【公開日】2020-07-09
【審査請求日】2021-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮村 猛史
(72)【発明者】
【氏名】山下 好美
(72)【発明者】
【氏名】滝田 浩美
【審査官】▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-228594(JP,A)
【文献】特開2005-237768(JP,A)
【文献】特開平09-084824(JP,A)
【文献】特開2016-073578(JP,A)
【文献】特開2017-012403(JP,A)
【文献】特開2001-314441(JP,A)
【文献】特開2017-217061(JP,A)
【文献】登録実用新案第3211689(JP,U)
【文献】特開2013-256133(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
A61L15/16-15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性本体と、該吸収性本体の非肌対向面側に配される外装体とを有する使い捨ておむつであって、
前記外装体は、該外装体の非肌対向面を形成する外層不織布及び該外装体の肌対向面を形成する内層不織布を備え、
下記式(1)で求められる、前記外層不織布と前記内層不織布とのΔE*が8以上であり、
腹側領域及び背側領域それぞれにおいて、前記外層不織布がウエスト開口端から延出した延出部が肌対向面側に折り返されてなる折り返し部が形成されており、
前記腹側領域及び前記背側領域のうち一方の領域では、前記内層不織布の端部が前記ウエスト開口端にまで達しておらず、且つ他方の領域では、前記内層不織布の端部が、前記ウエスト開口端に位置するか、又は前記ウエスト開口端を越えて延出しており前記外層不織布とともに折り返されており、
前記一方の領域は端部不織布を備えており、
前記端部不織布の一端は前記吸収性本体の長手方向端部を覆い、他端は前記外層不織布とともに前記折り返し部を形成しており、
前記端部不織布は、前記外層不織布及び前記内層不織布と地色が異なっており、
下記式(1)で求められる、前記端部不織布と前記外層不織布とのΔE*が8以上であり、
下記式(1)で求められる、前記端部不織布と前記内層不織布とのΔE*が8以上である、使い捨ておむつ。
ΔE*=[(L* -L* ) +(a* -a* ) +(b* -b* ) 1/2 ・・・(1)
(比較対象となる第1の構成部材のL*、a*及びb*を、それぞれL* 、a* 及びb* とし、第2の構成部材のL*、a*及びb*をそれぞれ、L* 、a* 及びb* とする。)
【請求項2】
吸収性本体と、該吸収性本体の非肌対向面側に配される外装体とを有する使い捨ておむつであって、
前記外装体は、該外装体の非肌対向面を形成する外層不織布及び該外装体の肌対向面を形成する内層不織布を備え、
下記式(1)で求められる、前記外層不織布と前記内層不織布とのΔE*が8以上であり、
腹側領域及び背側領域のうち一方の領域において、前記外層不織布がウエスト開口端から延出した延出部が肌対向面側に折り返されてなる折り返し部が形成されており、
前記腹側領域及び前記背側領域のうち前記折り返し部が形成されている側の領域では、前記内層不織布の端部が前記ウエスト開口端にまで達しておらず、且つ他方の領域では、前記内層不織布の端部が前記ウエスト開口端に位置し、
前記折り返し部が形成されている側の領域は端部不織布を備えており、
前記端部不織布の一端は前記吸収性本体の長手方向端部を覆い、他端は前記外層不織布とともに前記折り返し部を形成しており、
前記端部不織布は、前記外層不織布及び前記内層不織布と地色が異なっており、
下記式(1)で求められる、前記端部不織布と前記外層不織布とのΔE*が8以上であり、
下記式(1)で求められる、前記端部不織布と前記内層不織布とのΔE*が8以上である、使い捨ておむつ。
ΔE*=[(L* -L* ) +(a* -a* ) +(b* -b* ) 1/2 ・・・(1)
(比較対象となる第1の構成部材のL*、a*及びb*を、それぞれL* 、a* 及びb* とし、第2の構成部材のL*、a*及びb*をそれぞれ、L* 、a* 及びb* とする。)
【請求項3】
前記外層不織布及び前記内層不織布のうち少なくとも一つの不織布において、その構成繊維の樹脂に着色剤が練り込まれている、請求項1又は2に記載の使い捨ておむつ。
【請求項4】
前記外装体は、前記外層不織布と前記内層不織布との間に、幅方向に延びるように伸長状態で挟持固定された複数本の弾性部材を備え、
前記腹側領域及び前記背側領域のうち少なくとも一方の領域に位置する前記弾性部材の地色が、該弾性部材と厚み方向に重なる前記各不織布のうち少なくとも一つの不織布の地色と異なっている、請求項1ないしのいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、使い捨ておむつの外観を良好にするために、外部から視認可能な色又は図柄を付したおむつが提供されている。色や図柄は、おむつの前後を容易に識別可能にする目的でも用いられている。このような識別方法のほかに、視覚以外の知覚による前後の識別方法を用いたおむつも提案されている。例えば特許文献1及び2には、おむつの前後を認識可能な前後識別部を配することで、触覚によっておむつの前後を識別するおむつが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-137582号公報
【文献】特開2010-82132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1及び2に記載のおむつは、おむつの構成材料とは別体の前後識別部がおむつの外面に配されているので、おむつの外観を低下させる一因となっていた。また、おむつの前後識別性と外観とを両立させることを目的として、腹側部と背側部とで異なる色又は図柄を付したおむつを製造する場合、その製造過程において、色又は図柄を付したシート材料の厚みの違いに起因した原反の巻き崩れや、原反搬送時の蛇行幅の増大等が発生しやすく、その結果、おむつの製造効率が低下することがあった。
【0005】
したがって、本発明の課題は、上述した従来技術の欠点を解決し得る使い捨ておむつを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、吸収性本体と、該吸収性本体の非肌対向面側に配される外装体とを有する使い捨ておむつであって、
前記外装体は、該外装体の非肌対向面を形成する外層不織布及び該外装体の肌対向面を形成する内層不織布を備え、
前記外層不織布と前記内層不織布とは互いに地色が異なっており、
腹側領域及び背側領域それぞれにおいて、前記外層不織布がウエスト開口端から延出した延出部が肌対向面側に折り返されてなる折り返し部が形成されており、
前記腹側領域及び前記背側領域のうち一方の領域では、前記内層不織布の端部が前記ウエスト開口端にまで達しておらず、且つ他方の領域では、前記内層不織布の端部が、前記ウエスト開口端に位置するか、又は前記ウエスト開口端を越えて延出しており前記外層不織布とともに折り返されている、使い捨ておむつを提供するものである。
【0007】
また本発明は、吸収性本体と、該吸収性本体の非肌対向面側に配される外装体とを有する使い捨ておむつであって、
前記外装体は、該外装体の非肌対向面を形成する外層不織布及び該外装体の肌対向面を形成する内層不織布を備え、
前記外層不織布と前記内層不織布とは互いに地色が異なっており、
腹側領域及び背側領域のうち一方の領域において、前記外層不織布がウエスト開口端から延出した延出部が肌対向面側に折り返されてなる折り返し部が形成されており、
前記腹側領域及び前記背側領域のうち前記折り返し部が形成されている側の領域では、前記内層不織布の端部が前記ウエスト開口端にまで達しておらず、且つ他方の領域では、前記内層不織布の端部が前記ウエスト開口端に位置する、使い捨ておむつを提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、外部からの視認によって前後を容易に識別可能な使い捨ておむつが提供される。また本発明によれば、容易に製造可能な使い捨ておむつが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、使い捨ておむつの自然状態における一実施形態を模式的に示す斜視図である。
図2図2は、図1に示すおむつの展開且つ伸長状態における肌対向面側(内面側)を模式的に示す展開平面図である。
図3図3(a)は、図1に示すおむつにおける腹側の折り返し部を示す断面模式図であり、図3(b)は、図1に示すおむつにおける背側の折り返し部を示す断面模式図である。
図4図4(a)は、使い捨ておむつの別の実施形態における腹側の折り返し部を示す断面模式図であり、図4(b)は、図1に示すおむつにおける背側の折り返し部を示す断面模式図である。
図5図5(a)は、使い捨ておむつの更に別の実施形態における腹側の折り返し部を示す断面模式図であり、図5(b)は、使い捨ておむつの別の実施形態における背側の折り返し部を示す断面模式図である。
図6図6は、使い捨ておむつの製造に用いられる製造装置の一実施形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の使い捨ておむつを、その好ましい実施形態に基づき説明する。図1ないし図3には、本発明の使い捨ておむつの好ましい実施形態であるパンツ型の使い捨ておむつが示されている。図1ないし図3に示すように、おむつ1は、着用時に着用者の腹側に配される腹側領域F及び背側に配される背側領域Rと、それらの領域の間に位置する股下領域Mと有する。これらの領域は、着用者の前後方向に連続して配されている。おむつ1は、着用者の腹側から股間部を介して背側に延びる縦方向Xと、これに直交する横方向Yとを有している。
【0011】
図1に示すように、おむつ1は、排泄物の吸収保持が可能な吸収体を含む吸収性本体2と、該吸収性本体2の非肌対向面側に配される外装体3とを備えている。おむつ1は、外装体3における腹側の両側部と背側の両側部とが、接着剤、ヒートシール、超音波シール等の接合手段によって互いに接合されて、一対のサイドシール部S,S、並びに着用者の胴が通されるウエスト開口部WH、及び着用者の下肢が通される一対のレッグ開口部LHが形成されている。
【0012】
本明細書において、「肌対向面」は、おむつ又はその構成部材(例えば吸収性本体)に着目したときに、おむつの着用時に着用者の肌に向けられる面であり、「非肌対向面」は、おむつの着用時に着用者の肌とは反対側に向けられる面である。つまり、肌対向面は、着用者の肌に相対的に近い側の面であり、非肌対向面は、着用者の肌から相対的に遠い側の面である。「着用時」は、おむつの適正な着用位置が維持された状態を指す。
【0013】
図2に示すように、おむつ1は、ウエスト開口部WHとレッグ開口部LHとの間に、着用時に着用者の胴周りに配される胴周り部Wを有する。胴周り部Wは、おむつ1におけるサイドシール部Sと縦方向Xにおいて同位置にある領域であり、本実施形態においては、腹側の胴周り部Wが腹側領域Fを形成し、背側の胴周り部Wが背側領域Rを形成する。
【0014】
図2に示すように、吸収性本体2は、おむつ1の展開且つ伸長状態において略長方形形状であり、腹側領域Fから背側領域Rまでに亘って配されている。吸収性本体2は、その縦方向をおむつ1の縦方向Xに一致させて、外装体3の横方向Yの中央部に配置されている。吸収性本体2は、接着剤等の接合手段によって外装体3に接合されている。おむつ1の「展開且つ伸長状態」とは、おむつ1をサイドシール部Sで切り離して展開状態とし、その展開状態のおむつ1を各部の弾性部材を伸長させて設計寸法(弾性部材の影響を一切排除した状態で平面状に広げたときの寸法と同じ)となるまで拡げた状態をいう。以下の説明では、縦方向Xと長手方向とは互いに一致し、横方向Yと幅方向とは互いに一致する。
【0015】
吸収性本体2は、図2並びに図3(a)及び(b)に示すように、肌対向面を形成する液透過性の表面シート21と、非肌対向面を形成する液難透過性(撥水性も含む)の裏面シート22と、これら両シート21,22間に介在配置された液保持性の吸収体23とを備えている。吸収体23は、吸収性能を有する吸収性コア231が液透過性のコアラップシート232に被覆されて形成されている。
【0016】
図2に示すように、吸収性本体2の肌対向面における縦方向Xに沿う両側部には、撥水性のシートから構成された一対の防漏カフ24,24が設けられている。各防漏カフ24の自由端部の近傍には糸状の防漏カフ形成用弾性部材25が縦方向Xに伸長状態で一本以上配されている。防漏カフ24は、伸長状態で配された弾性部材25が収縮することによって少なくとも股下領域Mで起立し、それによって尿等の排泄物の横方向Yへの流出を阻止する。防漏カフ24を構成するシートは、通気性を有するシートであることが好ましい。
【0017】
表面シート21、裏面シート22及び吸収体23としてはそれぞれ、使い捨ておむつに従来用いられているものを特に制限なく用いることができる。例えば、表面シート21としては各種の不織布や開孔フィルム等を用いることができる。裏面シート22としては樹脂フィルムや、樹脂フィルムと不織布等とのラミネート等を用いることができる。吸収体23は、吸収性コア231として、木材パルプ、親水化処理された合成繊維等の親水性繊維の集合体や、該集合体に吸水性ポリマーを保持させたものを用いることができ、またコアラップシート232として、表面シート21と同様のものを用いることができる。また、防漏カフ形成用のシートとしては、撥水性の不織布を用いることができる。
【0018】
外装体3は、吸収性本体2の非肌対向面側に配されており、おむつ1の外形を画成する部材である。図2に示すように、外装体3の周縁は、おむつ1の腹側領域F、股下領域M及び背側領域Rの輪郭線をそれぞれ形成している。腹側領域F及び背側領域Rに位置する外装体は、縦方向Xよりも横方向Yの長さが長い長方形形状となっており、股下領域Mに位置する外装体3は、その横方向Yの縁部を形成する一対のレッグ縁部LS,LSが横方向Yの中央に向かって凸状に湾曲した形状となっている。
【0019】
図3(a)及び(b)に示すように、外装体3は、おむつ1の非肌対向面を形成する外層不織布31と、外層不織布31の肌対向面に配置された内層不織布32との積層体を含んで構成されている。外層不織布31及び内層不織布32はともに、腹側領域Fから背側領域Rまでに亘って継ぎ目なく配されている。外層不織布31及び内層不織布32は、互いに地色が異なっている。尤も、外層不織布31及び内層不織布32に図柄等が付されていることは妨げられない。外層不織布31と内層不織布32とは、接着剤等の接合手段を介して互いに接合されている。外層不織布31及び内層不織布32としては、スパンボンド-メルトブローン-スパンボンド不織布、スパンボンド不織布、エアスルー不織布等の各種の不織布を用いることができる。外層不織布31及び内層不織布32は、同一の不織布であってもよく、異なる不織布であってもよい。
【0020】
本明細書における「地色」とは、JIS Z 8781-4「CIE 1976 L*a*b*色空間」によって規定される色であり、「地色が異なる」とは、比較対象となる構成部材のΔE*が8以上であることを指す。ここで、ΔE*は、下記式(1)で求められる値である。ΔE*は、大きければ大きいほど色の違いを認識できることを意味する。図3(a)及び(b)においては、比較対象となる構成部材として、例えば外層不織布31及び内層不織布32とすることができる。
ΔE*=[(L*-L*)+(a*-a*)+(b*-b*)1/2・・・(1)
(比較対象となる第1の構成部材のL*、a*及びb*を、それぞれL*、a*及びb*とし、第2の構成部材のL*、a*及びb*をそれぞれ、L*、a*及びb*とする。)
【0021】
L*、a*、及びb*の測定は、例えば日本電色工業株式会社製のハンディ型簡易分光色差計NF333を用い、光源としてC/2を用いることができる。色差計のセンサーは、測定対象の構成部材に応じて適宜選択することができ、例えばペンタイプ又はステープラータイプにてφ8mmのND120センサーを用いることができる。JIS Z 8781-4では、L*は明るさを、a*及びb*は色の方向を示しており、a*は略赤方向、-a*は略緑方向、b*は略黄色方向、-b*は略青方向を示す数値である。測定方法は、測定対象の構成部材の測定部位に前記色差計のセンサー部を直接あてて測定する。測定値は、3回測定し、その平均値をとって求める。構成部材の地色が不均一である場合には、上述のL*、a*及びb*は、ΔE*が最も小さくなるような部位で測定されたものとする。
【0022】
図1に示すとおり、外装体3は、腹側領域F及び背側領域Rにおいて、外層不織布31と内層不織布32との間に、横方向Yに延びるように伸長した状態で挟持固定された、複数本の胴周り部弾性部材34を備えている。弾性部材34は、ウエスト開口部WHの周縁部に縦方向Xに間欠的に配されており、横方向Yに伸縮性を発現可能となっている。また、一対のレッグ開口部LH,LHには、糸状又は帯状の1本又は複数本のレッグ弾性部材38が伸長状態で配されており、これによって一対のレッグ開口部LH,LHそれぞれの開口縁には、その全周にわたって実質的に連続した環状のレッグギャザーが形成される。これらの弾性部材は、いずれも外層不織布31と内層不織布32との間に、接着剤等の接合手段によって挟持固定されている。本実施形態においては、これらの弾性部材よりも非肌対向面側に位置するシートが外層不織布31であり、肌対向面側に位置するシートが内層不織布32である。
【0023】
図2並びに図3(a)及び(b)に示すように、外装体3における外層不織布31は、腹側領域F及び背側領域Rそれぞれにおいて、縦方向Xの端縁、すなわちウエスト開口端W1から延出した延出部を有している。各延出部は、肌対向面側に折り返されてなる折り返し部35を形成している。各折り返し部35は、吸収性本体2の縦方向Xの両端部をそれぞれ覆ってもよい。背側領域Rの端縁部には、後述する視認部1Vが横方向Yに沿って形成されている。
【0024】
外装体3における内層不織布32について着目すると、腹側領域F及び背側領域Rのうち一方の領域では、内層不織布32の一方の端部がウエスト開口端W1にまで達していない。また腹側領域F及び背側領域Rのうち他方の領域では、内層不織布32の他方の端部がウエスト開口端W1に位置するか、又はウエスト開口端W1を越えて延出しており、内層不織布32の延出した部位は、外層不織布31とともに折り返されて、折り返し部35を形成している。図3(a)及び(b)に示す実施形態では、腹側領域F及び背側領域Rのうち背側領域Rでは、内層不織布32の端部32rがウエスト開口端W1にまで達しておらず、また腹側領域Fでは、内層不織布32の端部32fがウエスト開口端W1を越えて延出し、内層不織布32が外層不織布31とともに折り返されて、折り返し部35を形成している。
【0025】
外装体3を構成する外層不織布31及び内層不織布32は、互いに地色が異なっており、また、これらの不織布の存在位置の違いによって、おむつ1には、他の部位とおむつ外面から視認される色(以下、おむつ外面から視認される色のことを「外観色」ともいう。)の異なる視認部1Vが形成されている。図1に示す実施形態では、視認部1Vは背側領域Rの端縁部に横方向Yに沿って延びるように形成されている。このような構成を有していることによって、おむつ1の外面を視認したときに、内層不織布32と重なっている外層不織布31の部分と、内層不織布32と重なっていない外層不織布31の部分とで、外観色の違いが視覚的に判別可能になっている。各不織布の地色を互いに異なるようにする方法としては、例えば、一方の不織布に印刷を施して他方の不織布と異なる色に着色したり、各不織布を異なる色に着色したりすることができる。また不織布を製造する際に、一方の不織布の原料樹脂にのみ着色剤を添加して着色したり、各不織布の原料樹脂それぞれに色の異なる着色剤を添加して着色したり、同色の着色剤の添加量を各不織布の原料樹脂で異なるように添加して着色したりすることができる。外観色が異なるとは、JIS Z 8781-4に基づいて、視認部1Vの色と、視認部1V以外の部位の色とをそれぞれおむつ1の外面から測定したときに、視認部1Vの色と、視認部1V以外の部位の色とのΔE*が8以上であることを指す。
【0026】
図2並びに図3(a)及び(b)に示す形態に代えて、上述した折り返し部35は、腹側領域F及び背側領域Rのうち、いずれか一方の領域において形成されていてもよい。このとき、腹側領域F及び背側領域Rのうち、折り返し部35が形成されている側の領域では、内層不織布32の一方の端部がウエスト開口端W1にまで達しておらず、また腹側領域F及び背側領域Rのうち他方の領域では、内層不織布32の他方の端部がウエスト開口端W1に位置している。つまり、腹側領域F及び背側領域Rのうち折り返し部35が形成されている側の領域には、他の部位と外観色の異なる視認部1Vが形成されている。腹側領域F及び背側領域Rのうち折り返し部35が形成されていない側の領域には、外層不織布31及び内層不織布32の各端部がともにウエスト開口端W1に位置している。「不織布の端部がウエスト開口端に位置している」とは、不織布の端部とウエスト開口端との距離が3mm以下であることをいう。
【0027】
以上の構成を有する本発明のおむつによれば、外装体3を構成する外層不織布31と内層不織布32とは互いに地色が異なっており、且つ腹側領域F及び背側領域Rのうち一方では、内層不織布32の該一方側の端部がウエスト開口端W1にまで達していないので、おむつ1に視認部1Vを形成することができる。その結果、各不織布の地色及び存在位置の違いによって形成された視認部1Vをおむつ外部から視認可能であり、おむつの前後方向を容易に識別することができる。具体的には、外層不織布31の地色を白色とし、内層不織布32の地色を青色として、図1に示すように視認部1Vを背側領域Rに形成したおむつ1を例にとると、視認部1V以外の領域では、内層不織布32の地色が外層不織布31を通じておむつの外面から視認できるので、腹側領域F、股下領域M及び視認部1V以外の背側領域Rでは、白色と青色との混合色が外観色として観察される。一方、視認部1Vには内層不織布32が存在していないので、おむつの外面からは、内層不織布32の地色である青色が視認できず、その結果、視認部1Vは外層不織布31の地色である白色が外観色として観察される。このような構成によって、外観色として、おむつが青色を含む混合色と、白色とに塗り分けられているように視認することができ、且つ白色の部位が、おむつ1の視認部1Vとして機能する。その結果、おむつの前後方向をおむつの外部から視覚によって識別することができる。
【0028】
また、このような構成によれば、後述するおむつの製造過程において、各不織布の地色を異なるように製造するとともに、構成材料として供給する内層不織布32の縦方向又は横方向の寸法を変更することによって達成できるので、各不織布の厚みの変化に起因した原反の巻き崩れや搬送時の蛇行が起こりにくい。その結果、本発明のおむつは、通常の製造工程で首尾よく製造することができる。
【0029】
腹側領域F及び背側領域Rのうち、内層不織布32がウエスト開口端W1に達していない領域は、端部不織布を備えていることが好ましい。詳細には、図4(a)に示す実施形態では、腹側領域Fは、内層不織布32の一方の端部32fがウエスト開口端W1に達しており、且つ内層不織布32が外層不織布31とともに折り返されて折り返し部35を形成し、折り返し部35が吸収性本体2の長手方向端部を覆っている。本実施形態における腹側領域Fは、端部不織布33を備えていない。これに対して、図4(b)に示す背側領域Rは、内層不織布32の他方の端部32rがウエスト開口端W1まで達しておらず、端部不織布33を備えている。端部不織布33の一端33aは、ウエスト開口端W1を超えて延出しており、外層不織布31とともに折り返されて折り返し部35を形成している。図4(b)に示す実施形態では、腹側領域F及び背側領域Rのうち、内層不織布32がウエスト開口端W1に達していない領域に形成された折り返し部35は吸収性本体2の長手方向Xの端部を覆っている。つまり、端部不織布33は、おむつ1の外面に配されていないものである。
【0030】
図4(a)及び(b)と異なる別の実施形態として、図5(a)及び(b)に示す実施形態が挙げられる。本実施形態では、図5(a)に示す腹側領域Fは、内層不織布32がウエスト開口端W1に達しており、且つ内層不織布32が外層不織布31とともに折り返されて折り返し部35を形成している。内層不織布32の端部32fは、折り返し部35における肌対向面側に位置している。腹側領域Fに位置する吸収性本体2の長手方向端部は、折り返し部35によって覆われておらず、端部不織布33によって覆われている。これに対して、図5(b)に示す背側領域Rは、内層不織布32における端部32rがウエスト開口端W1に達しておらず、端部不織布33の一端33aが吸収性本体2の長手方向端部を覆いつつ、端部不織布33の他端33bが外層不織布31ともに折り返されて折り返し部35を形成している。図5(b)に示す実施形態では、腹側領域F及び背側領域Rのうち、内層不織布32がウエスト開口端W1に達していない領域に形成された折り返し部35は、吸収性本体2の長手方向Xの端部を覆っていない。
【0031】
図4(b)及び図5(b)に示す実施形態では、端部不織布33の端部は、ウエスト開口端W1を超えて延出しており、外層不織布31とともに折り返されて折り返し部35を形成しているが、これに代えて、端部不織布33の一方の端部をウエスト開口端W1に位置させて、外層不織布31のみを折り返して折り返し部35を形成してもよい。
【0032】
上述したいずれの形態であっても、視覚によるおむつの前後識別性を高めることができる。これに加えて、端部不織布33が配されていることによって、折り返し部の製造効率を向上させることができる。更に、端部不織布33が吸収性本体2の長手方向端部を覆うように配されている形態とすることによって、吸収性本体2の端部からの構成材料の脱落を防ぐことができるという利点もある。端部不織布33としては、外層不織布31及び内層不織布32と同様に、各種の不織布を用いることができる。
【0033】
おむつ1が端部不織布33を備えている場合、端部不織布33と、外装体3を構成する内層不織布32とは、互いに地色が異なっていることが好ましい。すなわち、JIS Z 8781-4に基づいて、端部不織布33の地色と、内層不織布32の地色とをそれぞれ表したときに、ΔE*が8以上であることが好ましい。この場合、外層不織布31と端部不織布33とは、これらの不織布の地色が互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。このような構成を有していることによって、おむつ1の外面を視認したときに、内層不織布32と重なっている端部不織布33の部分と、内層不織布32と重なっていない端部不織布33の部分とで、外観色の違いが視覚的に判別可能になっている。例えば、内層不織布32の地色を青色とし、端部不織布33の地色を白色としたおむつ1を、その外面から観察した場合、内層不織布32と重なっている端部不織布33の部分は、端部不織布33の地色である白色と、内層不織布32の地色である青色との混合色が外観色として観察され、内層不織布32と重なっていない端部不織布33の部分は、端部不織布33の地色である白色が外観色として観察される。このような構成によって、外観色として、おむつが青色を含む混合色と、白色とに塗り分けられているように視認することができる。その結果、外観色の違いをおむつの外部から視覚的に判別し、おむつの前後識別性を向上させることができる。各不織布の地色を異なるようにする方法としては、上述と同様の方法を採用することができる。
【0034】
視覚によるおむつの前後識別性を一層向上させる観点から、上述した不織布の地色の違いに加えて、外層不織布31と端部不織布33との地色が互いに異なっていることが好ましい。つまり、端部不織布33と、外層不織布31と、内層不織布32とは、各地色が互いに異なっていることが好ましい。すなわち、JIS Z 8781-4に基づいて、各不織布の地色をそれぞれ表したときに、ΔE*がそれぞれ8以上であることが好ましい。このような構成となっていることによって、おむつ1の外面を視認したときに、内層不織布32及び端部不織布33と重なっている外層不織布31の部分と、内層不織布32のみが重なっている外層不織布31の部分と、端部不織布33のみが重なっている外層不織布31の部分と、内層不織布32及び端部不織布33のいずれもが重なっていない外層不織布31の部分とで、外観色の違いがそれぞれ視覚的に判別可能となっている。
【0035】
詳細には、外層不織布31の地色を白色とし、内層不織布32の地色を青色とし、端部不織布33の地色を赤色としたおむつ1をその外面から観察した場合、内層不織布32及び端部不織布33と重なっている外層不織布31の部分は、内層不織布32及び端部不織布33の各地色の混合色が外観色として観察される。また、内層不織布32のみが重なっている外層不織布31の部分は、外層不織布31の地色である白色と内層不織布32の地色である青色との混合色が外観色として観察され、端部不織布33のみが重なっている外層不織布31の部分は、外層不織布31の地色である白色と端部不織布33の地色である赤色との混合色が外観色として観察される。内層不織布32及び端部不織布33のいずれもが重なっていない外層不織布31の部分は、外層不織布31の地色である白色が外観色として観察される。このような構成によって、おむつが複数の色で塗り分けられているように視認することができる。その結果、外観色の違いを視覚的に一層判別しやすくして、おむつ外部からの視認によっておむつの前後識別性を一層向上させることができる。
【0036】
外層不織布31,内層不織布32,端部不織布33の地色をそれぞれ異なるようにする方法としては、例えば、外層不織布31、内層不織布32及び端部不織布33のうち一つ以上の不織布に着色したり、各不織布にそれぞれ異なる色の印刷を施して着色したりすることができる。また不織布を製造する際に、外層不織布31、内層不織布32及び端部不織布33のうち一つ以上の不織布の原料樹脂に着色剤を添加して着色したり、各不織布の原料樹脂それぞれに色の異なる着色剤を添加して着色したり、同色の着色剤の添加量を各不織布の原料樹脂で異なるように添加して着色したりすることができる。
【0037】
特に、外層不織布31及び内層不織布32のうち少なくとも一つの不織布において、その構成繊維の樹脂に着色剤が練り込まれていることが好ましい。着色剤を原料樹脂に練り込んで不織布を製造することによって、不織布の製造過程で所望の地色に簡便に着色することができる。また、不織布への印刷による着色と比較して、不織布の厚さの増加や偏りが生じないので、視覚による前後識別を可能にしたおむつの製造効率を高めることができる。端部不織布33を備える場合、その構成繊維の樹脂に着色剤が練り込まれていてもよい。
【0038】
本発明に用いられる着色剤としては、不織布を製造するための原料樹脂に分散可能であり且つ可視光領域で視認可能な色を有するものであれば特に制限はない。このような着色剤としては、例えばピグメントブルー、ピグメントレッド、ピグメントイエロー、ピグメントホワイト、酸化チタン等が挙げられる。また、不織布を製造するための原料樹脂としては、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル(PETやPBT)、ポリアミド等の熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの着色剤及び原料樹脂は、それぞれ単独で又は組み合わせて用いることができる。
【0039】
上述のとおり、外装体3は、腹側領域F及び背側領域Rにおいて、複数本の胴周り部弾性部材34を備えている。これらの弾性部材34のうち、腹側領域F及び背側領域Rのうちの少なくとも一方に位置する胴周り部弾性部材34の地色が、該弾性部材34と厚み方向に重なる外層不織布31及び内層不織布32のうち少なくとも一つの不織布の地色と異なっていることが好ましい。また端部不織布33が該弾性部材34と厚み方向に重なる場合、胴周り部弾性部材34の色が、端部不織布33の地色と異なっていることも好ましい。つまり、JIS Z 8781-4に基づいて、比較する不織布の地色と、胴周り部弾性部材の地色とをそれぞれ表したときに、ΔE*が8以上であることが好ましい。このような構成を有していることによって、弾性部材34が存在していない不織布の部分と、弾性部材34が存在する不織布の部分とで、外観色の違いが視覚的に判別可能となっている。例えば、外層不織布31の地色を白色とし、内層不織布32の地色を青色とし、弾性部材34の地色を赤色としたおむつ1とすることができる。その結果、外観色の違いに起因するおむつの前後識別性を一層高めることができる。
【0040】
上述したいずれの形態であっても、視認部1Vの長手方向Xに沿う幅D1(図2参照)は、おむつの前後視認性の向上の観点から、5mm以上であることが好ましく、10mm以上であることが更に好ましい。図2に示すように、視認部1Vの幅D1は、ウエスト開口端W1と、ウエスト開口端W1まで達していない内層不織布32の端部32rとの間隔である。
【0041】
以上は本発明のおむつに関する説明であったところ、以下に図1図2及び図4に示すおむつ1を例にとり、その製造方法の一実施形態を説明する。本実施形態では、図6に示す製造装置100を用いて、長尺帯状の外層不織布31と、該不織布31よりも幅が小さい長尺帯状の内層不織布32とを重ね合わせて外装体連続体3Sを形成し、外装体連続体3Sにおける内層不織布32側に、搬送方向MDに間隔を置いて吸収性本体2を配するとともに、長尺帯状の端部不織布33を外装体連続体3Sの幅方向CDの側部域に配する。次いで、外装体連続体3Sの幅方向CDの両側部域を吸収性本体2側に折り返し、吸収性本体2を含む外装体連続体3Sを、幅方向中央域において二つ折りする。そして、二つ折りによって対向した該外装体連続体3Sどうしを、搬送方向MDに隣り合う吸収性本体2の間で接合して接合部37を形成して、おむつ連続体1Aとする。続いて、接合部37の搬送方向MD中央部において、接合部37をおむつ連続体1Aの幅方向に沿って切断して、おむつ1を製造する。以下の説明では、搬送方向MDに直交する方向を幅方向CDとする。
【0042】
まず、長尺帯状の外層不織布31と、長尺帯状の内層不織布32とを重ね合わせて、外装体連続体3Sを形成する。このとき、内層不織布32は、その幅が外層不織布31の幅よりも小さいものを用いる。また、外層不織布31と内層不織布32とは、互いに地色が異なるものを用いる。
【0043】
両不織布31,32の重ね合わせにおいては、両不織布31,32を一対のニップロール61,61間に導入する。このとき、両不織布31,32をこれらの幅方向の一方の側縁を互いに一致させて、重ね合わせ部3Mを生じるように重ね合わせる。これによって、重ね合わせ部3Mにおける幅方向の一方の側縁3Aは、両不織布31,32によって形成され、また重ね合わせ部3Mにおける他方の側縁3Bから外層不織布31が幅方向CDの外方に延出した状態の外装体連続体3Sが形成される。重ね合わせ部3Mにおける他方の側縁3Bは、内層不織布32における他方の側縁32Eと一致している。外装体連続体3Sは、両不織布31,32の重ね合わせ部3Mにおいて、両不織布31,32どうしが接着剤等によって接合されている。
【0044】
図示していないが、両不織布31,32を重ね合わせる際には、例えば、胴周り部弾性部材34,レッグ弾性部材38の連続体を伸長した状態で両不織布31,32の間に導入する。各弾性部材連続体は、接着剤等の接合手段によって、両不織布31,32に接合される。これによって、両不織布31,32間に各弾性部材34,38が伸長状態で配された外装体連続体3Sを形成することができる。なお、各弾性部材34,38を配置する方法は、各弾性部材が伸長状態で配置可能であれば公知の方法を採用可能である。
【0045】
その後、必要に応じて、弾性部材プレカット手段(図示せず)を用いて、吸収性本体2を配する位置に対応させて、胴周り部弾性部材34の収縮機能が発現されないように、胴周り部弾性部材34の連続体を複数個に分断する。弾性部材プレカット手段としては、例えば、特開2002-253605号公報に記載の手法と同様の手法を用いることができる。
【0046】
次いで、外装体連続体3Sにおける内層不織布32側に、外装体連続体3Sの搬送方向MDと直交する方向に長手方向を有する吸収性本体2を搬送方向MDに間隔を置いて配するとともに、長尺帯状の端部不織布33を外装体連続体3Sの幅方向CDの側部域に配する。
【0047】
詳細には、別工程で製造された吸収性本体2における内層不織布32と対向する面側に接着剤を塗工する。次いで、外装体連続体3Sにおける内層不織布32上に、接着剤が塗工された吸収性本体2を搬送方向MDに間隔を置いて配し、固定する。吸収性本体2は、その長手方向が、搬送方向MDと直交する方向に有するように固定される。図6に示すように、吸収性本体2は、その長手方向と、外装体連続体3Sの搬送方向MDと直交する方向である幅方向CDとが一致した状態で配される。これとともに、重ね合わせ部3Mの側縁3Bから外層不織布31が幅方向CDの外方に延出した側部域に、搬送方向MDに搬送された長尺帯状の端部不織布33を重ね合わせて、重ね合わせ部3Mの側縁3Bを覆う。長尺帯状の端部不織布33は、その一方の側縁が、重ね合わせ部3Mの側縁3Bから延出した外層不織布31の側縁と一致するように配され、また端部不織布33の他方の側縁は、外装体連続体3Sの幅方向CDの中央域側且つ吸収性本体2の長手方向端部よりも外方に位置するように配して、重ね合わせ部3Mの側縁3Bを形成している内層不織布32の一方の幅方向CDの側縁32Eを覆うように固定される。そして、吸収性本体2が配置された外装体連続体3Sにおける、隣り合う吸収性本体2の間に位置する領域を所定の形状に切断してレッグホールLOを形成する。長尺帯状の端部不織布33の幅は、上述した配置形態となるように適宜調整しておくことが好ましい。
【0048】
続いて、外装体連続体3Sの幅方向CDの両側部域を吸収性本体2側に折り返す。詳細には、吸収性本体2が配置された外装体連続体3Sが搬送方向MDに搬送されると、外装体連続体3Sにおける一方の側部域が折り返された第1折り返し部35Aが吸収性本体2の一方の長手方向端部域2Aを覆う。この際、第1折り返し部35Aのうち該長手方向端部域2Aを覆う部分が、外層不織布31及び端部不織布33から構成され、且つ内層不織布32の幅方向CDの側縁32Eが第1折り返し部35Aまで達しないように、折り返し部の幅を調整して折り返しを行って固定される。また、外装体連続体3Sにおける他方の側部域が折り返された第2折り返し部35Bが、吸収性本体2の他方の長手方向端部域2Bを覆う。この際、第2折り返し部35Bのうち該長手方向端部域2Bを覆う部分が、外層不織布31及び内層不織布32から構成されるように、折り返し部の幅を調整して折り返しを行って固定される。
【0049】
この工程を経て、図4に示すように、吸収性本体2の長手方向各端部域が覆われた部分が形成される。本工程における第1折り返し部35Aは、図4(b)に示す背側領域Rの折り返し部35を形成し、内層不織布32の幅方向CDの側縁32Eが内層不織布32の背側領域Rにおける端部32rとなる。また、本工程における第2折り返し部35Bは、図4(a)に示す腹側領域Fの折り返し部35を形成する。
【0050】
続いて、長手方向端部域が折り返し部によって覆われた吸収性本体2を含む外装体連続体3Sを、その幅方向CDの中央域において二つ折りし、二つ折りによって対向した外装体連続体3Sどうしを、搬送方向MDに隣り合う吸収性本体2の間で接合して接合部37を形成する。このようにして、おむつ連続体1Aを形成する。接合部37は、例えばヒートシールや超音波シール等によって形成することができる。
【0051】
次に、接合部37の搬送方向MDの中央部において、おむつ連続体1Aの幅方向に沿っておむつ連続体1Aを切断する。これによって、接合部37の部分がサイドシール部Sとなり、一対のサイドシール部Sを有する外装体3を具備するおむつ1を連続的に製造することができる。
【0052】
外装体連続体3Sどうしの接合及び切断は、一度の工程で行ってもよい。例えば、外装体連続体3Sの切断予定部位にレーザー光を照射して、外装体を熱によって融着させながら切断する。これによって、一対のサイドシール部4,4を形成しつつ、一対の該サイドシール部4を有する外装体3を具備するおむつ1を連続的に製造することもできる。
【0053】
端部不織布33の一方の端部がおむつ1のウエスト開口端W1に位置するように形成する場合には、端部不織布33の一方の端部が折り返し部まで達しないように、該不織布33の寸法及び配置位置を調整することによって行うことができる。また、図3に示すように、端部不織布33を有しない実施形態とする場合には、長尺帯状の端部不織布33を外装体連続体3Sの幅方向CDの側部域に配さない状態で、少なくとも内層不織布32の側縁32Eが存在する側における外装体連続体3Sの側部域を、該側縁32Eが折り返し部まで達しないように吸収性本体2側に折り返して、折り返し部を形成すればよい。また、折り返し部が吸収性本体2の各長手方向端部域2A,2Bを覆わないようにする形態とする場合には、各折り返し部の幅を適宜調整して折り返しを行えばよい。
【0054】
以上の工程を経て製造されたおむつ1は、外装体3が腹側領域F、股下領域M及び背側領域Rに亘って連続した形状となっており、背側領域Rに視認部1Vが形成されているものである。本製造方法は、各不織布の地色を異なるように原反を製造し、原反から供給される内層不織布32の幅方向CDの寸法を変更することによって行うことができるので、おむつ製造時において、各不織布の厚みの変化に起因した原反の巻き崩れや搬送時の蛇行が起こりにくい。その結果、おむつ外部からの視認による前後識別を可能にしたおむつを通常の製造工程で容易に且つ首尾よく製造することができる。
【0055】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されない。例えば上述した実施形態は、パンツ型の使い捨ておむつを例にとり説明したが、これに限られず、上述の実施形態に代えて、おむつ1は、いわゆる展開型の使い捨ておむつとなっていてもよい。すなわち、おむつ1の背側領域Rの長手方向Xに沿う両側縁部には、一対のサイドシール部S,Sに代えて、一対のファスニングテープが形成されていてもよい。ファスニングテープは、止着部が取り付けられており、おむつ1の腹側領域Fの非肌対向面には、ファスニングテープの止着部を着脱自在に止着可能に被止着領域が形成されている。被止着領域は、腹側領域Fの非肌対向面を形成する非肌面シートの非肌対向面に形成されている。この場合でも、本発明の効果は十分に奏される。
【0056】
また上述の実施形態は、外装体3が腹側領域Fから股下領域Mを経て背側領域Rまでに亘って配されたパンツ型の使い捨ておむつであったが、これに代えて、外装体3が、着用者の腹側に配される腹側外装体と着用者の背側に配される背側外装体とに分割されており、腹側外装体及び背側外装体に架け渡されて固定された吸収性本体2とを備えた、いわゆる分割タイプの態様であってもよい。
【0057】
また、図3(a)及び図4(a)に示す実施形態では、腹側領域F及び背側領域Rのうち、内層不織布32がウエスト開口端W1に達している領域に折り返し部35が形成され、且つ折り返し部35が、折り返し部35を構成する外層不織布31及び内層不織布32の各端部を一致させた状態で吸収性本体2の長手方向Xの端部を覆っていたが、本発明はこの形態に限られない。詳細には、腹側領域F及び背側領域Rのうち、内層不織布32がウエスト開口端W1に達している領域は、図3(a)及び図4(a)に示す実施形態に代えて、(i)外層不織布31及び内層不織布32の各端部がともにウエスト開口端W1に位置し、折り返し部35が形成されていない形態、(ii)外層不織布31及び内層不織布32がともに折り返されて折り返し部35を形成し、且つ折り返し部35が吸収性本体2の長手方向Xの端部を覆っていない形態、又は(iii)外層不織布31及び内層不織布32がともに折り返されて折り返し部35を形成し、且つ折り返し部35を構成する外層不織布31及び内層不織布32のうちいずれか一方の不織布の端部を他方の不織布の端部よりも長手方向内方に延出させて、吸収性本体2の長手方向Xの端部を覆う形態とすることができる。前記(ii)の形態の場合、折り返し部35を構成する外層不織布31及び内層不織布32の各端部は互いに一致していてもよく、一致していなくてもよい。また、前記(ii)の形態の場合、図5(a)に示すように、端部不織布33を更に配して、端部不織布33のみが吸収性本体2の長手方向端部を覆う形態としてもよい。いずれの場合であっても、本発明の効果は十分に奏される。
【0058】
図3(b)及び図4(b)に示す実施形態では、腹側領域F及び背側領域Rのうち、内層不織布32がウエスト開口端W1に達していない領域に折り返し部35が形成され、且つ折り返し部35が吸収性本体2の長手方向Xの端部を覆っていたが、これに代えて、折り返し部35は吸収性本体2の長手方向Xの端部を覆っていない形態としてもよい。この場合であっても視認部1Vは形成されるので、本発明の効果は十分に奏される。
【0059】
また、図4(b)に示す実施形態では、腹側領域F及び背側領域Rのうち、内層不織布32がウエスト開口端W1に達していない領域に形成された折り返し部35は、端部不織布33の端部33aと外層不織布31の端部とが一致していたが、本発明はこの形態に限られない。詳細には、端部不織布33における端部33aを折り返し部35に位置する外層不織布31の端部よりも長手方向内方に延出させて肌当接面を形成していてもよい。この場合、折り返し部35は、端部不織布33の端部33aのみが吸収性本体2の長手方向Xの端部を覆っていてもよい。この場合であっても視認部1Vは形成されるので、本発明の効果は十分に奏される。
【0060】
また、図4(a)及び図5(a)に示す実施形態では、内層不織布32は、ウエスト開口端W1を超えて延出しており、外層不織布31とともに折り返されて折り返し部35を形成しているが、これに代えて、内層不織布32の端部をウエスト開口端W1に位置させて、外層不織布31のみを折り返して折り返し部35を形成してもよい。
【0061】
上述した各実施形態のおむつを製造する場合には、例えば製造装置100に供給される外層不織布31、内層不織布32及び端部不織布33の寸法を適宜調整して、折り返し部35が形成されないようにするか、又は折り返しの位置を調整して、所望の寸法の折り返し部35が形成されるようにすればよい。
【符号の説明】
【0062】
1 使い捨ておむつ
1V 視認部
2 吸収性本体
21 表面シート
22 裏面シート
23 吸収体
3 外装体
31 外層不織布
32 内層不織布
32f,32r 内層不織布の端部
33 端部不織布
34 胴周り部弾性部材
35 折り返し部
F 腹側領域
M 股下領域
R 背側領域
S サイドシール部
W 胴周り部
X 縦方向
Y 横方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6