(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】ファンモータ、電子機器及びモータの制御方法
(51)【国際特許分類】
H02P 6/15 20160101AFI20230719BHJP
【FI】
H02P6/15
(21)【出願番号】P 2019028013
(22)【出願日】2019-02-20
【審査請求日】2022-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100110788
【氏名又は名称】椿 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100124589
【氏名又は名称】石川 竜郎
(74)【代理人】
【識別番号】100166811
【氏名又は名称】白鹿 剛
(72)【発明者】
【氏名】片山 圭一
【審査官】谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-154385(JP,A)
【文献】特開2012-210058(JP,A)
【文献】特開2012-235571(JP,A)
【文献】国際公開第2014/103205(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 6/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
羽根車を回転させるモータと、
前記モータの回転速度が目標回転速度になるように制御するモータ駆動制御装置と、を備え、
前記モータ駆動制御装置は、前記モータに印加する電圧の位相を調整する位相調整部を有し、
前記位相調整部は、
前記目標回転速度が切替回転速度より大きい場合に前記電圧の位相を調整する第1の位相調整手段と、
前記目標回転速度が前記切替回転速度より小さい場合に前記電圧の位相を調整する第2の位相調整手段とを有し、
前記第1の位相調整手段は、
前記モータの回転速度が高くなるほど前記電圧の位相を進めることで、前記モータのコイルの誘起電圧と電流の位相が一致するように進角制御を行なうことにより、前記モータの駆動効率が大きくなるように前記調整を行ない、
前記第2の位相調整手段は、
前記モータの回転速度を前記目標回転速度に維持することができる範囲内で、前記モータのコイルの誘起電圧と電流の位相が一致するように行われる進角制御で調整される前記電圧の位相よりも、前記電圧の位相が遅れるように前記調整を行う、ファンモータ。
【請求項2】
前記第1の位相調整手段は、前記モータの回転速度に対応する所定の調整値に基づいて前記調整を行う、請求項1に記載のファンモータ。
【請求項3】
前記位相調整部は、前記第1の位相調整手段により前記電圧の位相を調整するための第1進角制御信号と前記第2の位相調整手段により前記電圧の位相を調整するための第2進角制御信号とのいずれを出力するかを切り替える切替要素を有し、
前記モータ駆動制御装置は、前記第1進角制御信号と前記第2進角制御信号とのうち、前記位相調整部から出力されたいずれかの信号に基づいて前記モータの制御を行う、請求項1または2に記載のファンモータ。
【請求項4】
前記第1の位相調整手段は、前記モータの回転速度が高くなるほど前記電圧の位相が進むように前記調整を行い、
前記第2の位相調整手段は、前記電圧の位相が所定量だけ進むように前記調整を行う、請求項1から3のいずれかに記載のファンモータ。
【請求項5】
前記第1の位相調整手段は、前記モータの回転速度が高くなるほど前記電圧の位相が進むように前記調整を行い、
前記第2の位相調整手段は、前記第1の位相調整手段で調整が行われる場合よりも所定量だけ前記電圧の位相が遅れるように前記調整を行う、請求項1から3のいずれかに記載のファンモータ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のファンモータと、
前記ファンモータに前記目標回転速度を示す信号を出力する上位装置とを備える、電子機器。
【請求項7】
羽根車を回転させるモータを、前記モータの回転速度が目標回転速度になるようにして制御するモータの制御方法であって、
前記目標回転速度が切替回転速度より大きい場合に前記モータに印加する電圧の位相を調整する第1の位相調整ステップと、
前記目標回転速度が前記切替回転速度より小さい場合に前記電圧の位相を調整する第2の位相調整ステップとを備え、
前記第1の位相調整ステップは、
前記モータの回転速度が高くなるほど前記電圧の位相を進めることで、前記モータのコイルの誘起電圧と電流の位相が一致するように進角制御を行なうことにより、前記モータの駆動効率が大きくなるように前記調整を行ない、
前記第2の位相調整ステップは、
前記モータの回転速度を前記目標回転速度に維持することができる範囲内で、前記モータのコイルの誘起電圧と電流の位相が一致するように行われる進角制御で調整される前記電圧の位相よりも、前記電圧の位相が遅れるように前記調整を行う、モータの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ファンモータ、電子機器及びモータの制御方法に関し、特に、進角制御機能を有するファンモータ、電子機器及びモータの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、モータを効率良く駆動するための進角制御機能を有するモータ駆動制御装置が用いられている。このようなモータ駆動制御装置は、例えば、空気清浄機、加湿機、除湿機、エアコンなどの送風機能を有する電子機器などに用いられるファンモータのモータを駆動する用途のほか、広く用いられている。モータ駆動制御装置は、目標回転速度にモータの回転速度(回転数)が一致するようにしてモータを駆動させる。このとき、モータの回転速度に応じた量だけ位相を進めてモータのコイルに駆動電圧を印加する進角制御を行うことで、モータを効率良く駆動する。
【0003】
なお、下記特許文献1には、誘起電圧に基づいてブラシレスモータの位置検出運転を行う駆動装置において、誘起電圧が小さくなる低速時にモータを安定して回転させるために、低速時には同期運転に切り替えることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、消費電力が小さい回転体を駆動させる駆動装置、電子機器及びモータの制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためこの発明のある局面に従うと、ファンモータは、羽根車を回転させるモータと、モータの回転速度が目標回転速度になるように制御するモータ駆動制御装置と、を備え、モータ駆動制御装置は、モータに印加する電圧の位相を調整する位相調整部を有し、位相調整部は、目標回転速度が切替回転速度より大きい場合に電圧の位相を調整する第1の位相調整手段と、目標回転速度が切替回転速度より小さい場合に電圧の位相を調整する第2の位相調整手段とを有し、第2の位相調整手段は、第1の位相調整手段よりも、電圧の位相が遅れるように調整を行う。
【0007】
好ましくは、第1の位相調整手段は、モータの駆動効率が大きくなるように調整を行う。
【0008】
好ましくは、第1の位相調整手段は、モータの回転速度に対応する所定の調整値に基づいて調整を行う。
【0009】
好ましくは、位相調整部は、第1の位相調整手段により電圧の位相を調整するための第1進角制御信号と第2の位相調整手段により電圧の位相を調整するための第2進角制御信号とのいずれを出力するかを切り替える切替要素を有し、モータ駆動制御装置は、第1進角制御信号と第2進角制御信号とのうち、位相調整部から出力されたいずれかの信号に基づいてモータの制御を行う。
【0010】
好ましくは、第1の位相調整手段は、モータの回転速度が高くなるほど電圧の位相が進むように調整を行い、第2の位相調整手段は、電圧の位相が所定量だけ進むように調整を行う。
【0011】
好ましくは、第1の位相調整手段は、モータの回転速度が高くなるほど電圧の位相が進むように調整を行い、第2の位相調整手段は、第1の位相調整手段で調整が行われる場合よりも所定量だけ電圧の位相が遅れるように調整を行う。
【0012】
この発明の他の局面に従うと、電子機器は、請求項1から6のいずれか1項に記載のファンモータと、ファンモータに目標回転速度を示す信号を出力する上位装置とを備える。
【0013】
この発明のさらに他の局面に従うと、モータの制御方法は、羽根車を回転させるモータを、モータの回転速度が目標回転速度になるようにして制御するモータの制御方法であって、目標回転速度が切替回転速度より大きい場合にモータに印加する電圧の位相を調整する第1の位相調整ステップと、目標回転速度が切替回転速度より小さい場合に電圧の位相を調整する第2の位相調整ステップとを備え、第2の位相調整ステップは、第1の位相調整ステップよりも、電圧の位相が遅れるように調整を行う。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態の1つに係る電子機器を示す斜視図である。
【
図2】本実施の形態に係るモータ駆動制御装置の回路構成を示すブロック図である。
【
図3】本実施の形態に係るモータ駆動制御装置の回路構成を示す図である。
【
図5】本実施の形態に係るモータ駆動制御装置の進角制御に関する動作の一例を示すフローチャートである。
【
図6】本実施の形態における回転速度と進角値との関係を説明する図である。
【
図7】本実施の形態の変形例の一つに係る回転速度と進角値との関係を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態の1つにおけるモータ駆動制御装置を用いた電子機器について説明する。なお、回転速度は回転数(rpm)を含む概念である。
【0016】
[実施の形態]
【0017】
図1は、本発明の実施の形態の1つに係る電子機器を示す斜視図である。
【0018】
図1に示されるように、電子機器10は、例えば、空気清浄機である。電子機器10には、室内の空気を吸引するための吸引口11と、吸引口11から吸引した空気を排気するための排気口12とが設けられている。すなわち、電子機器10は、空気を吸引口11から吸引し、排気口12から排気する。吸引口11は電子機器10の接地面近くに配置されており、排気口12は電子機器10の上部に配置されている。
【0019】
電子機器10の内部には、例えば、フィルタ13と、羽根車14と、回転体を回転させる駆動装置としてのファンモータ20Aとが設けられている。
【0020】
ファンモータ20Aは、モータ20とモータ駆動制御装置1とを有する駆動装置を備えている。モータ20は、モータ駆動制御装置1により駆動電力が供給されて駆動される。モータ20のロータは、回転体としての羽根車14と共に回転する。なお、電子機器10において、モータ20とモータ駆動制御装置1とはファンモータ20Aのハウジングに取り付けられているものであるが、これに限られず、モータ20とモータ駆動制御装置1とが別体となっていてもよい。
【0021】
羽根車14は、モータ20のロータの回転に伴い回転することで、電子機器10の外部の空気を吸引口11から吸引し、吸引した空気を排気口12から排気する。
【0022】
フィルタ13は、例えば、浄化フィルタ、加湿フィルタ、脱臭フィルタなどである。フィルタ13は、吸引口11から吸引された空気が羽根車14に到達するまでにフィルタ13を通過するように、空気の導風経路内に配置されている。吸引口11から吸引された空気は、電子機器10の内部でフィルタ13を通過することで清浄化された上で、排気口12から排出される。
【0023】
電子機器10は、上位装置50(
図3に示す)と、操作パネル51(
図3に示す)とを備えている。ユーザが操作パネル51を操作すると、それに応じて、上位装置50がモータ駆動制御装置1を制御する。これにより、電子機器10がユーザの操作に応じて動作する。ユーザは、操作パネル51を操作することで、清浄化する空気の風量を段階的に設定することができる(低速、中速、高速など)。また、空気の汚れ等の状況に応じて、風量を自動的に変化させるように設定することができる。
【0024】
本実施の形態においては、操作パネル51で風量の段階(低速(低回転数)、中速(中回転数)、高速(高回転数)など)を選択する操作が行われると、選択された段階に対応して目標回転速度(目標回転数)が設定される。すなわち、上位装置50は、設定された風量に応じた目標回転速度信号Scをファンモータ20Aのモータ駆動制御装置1に出力する。モータ駆動制御装置1は、後述のように、入力された目標回転速度信号Scに応じた回転速度でモータ20を駆動させる。すなわち、モータ駆動制御装置1は、モータ20の回転速度が目標回転速度になるように制御する。上位装置50は、目標回転速度信号Scをモータ駆動制御装置1に出力することで、モータ駆動制御装置1を制御する。なお、風量は、無段階(又は、非常に多くの段階)に変化可能に構成されていてもよい。
【0025】
図2は、本実施の形態に係るモータ駆動制御装置1の回路構成を示すブロック図である。
【0026】
図2に示すように、本実施の形態において、モータ20は、例えば3相のブラシレスモータである。モータ駆動制御装置1は、モータ20を例えば正弦波駆動方式により駆動させるように構成されている。モータ駆動制御装置1は、モータ20に正弦波の駆動信号を出力してモータ20のコイルLu,Lv,Lwに周期的に正弦波状(正弦波と正弦波とは異なる波形が合成された波)の駆動電流を流すことで、モータ20を回転させる。なお、モータ20の駆動方式は、これに限られるものではない。
【0027】
モータ駆動制御装置1は、インバータ回路2a及びプリドライブ回路2bを有するモータ駆動部2と、制御回路部(制御部の一例)3と、FG信号生成部4とを有している。なお、
図2に示されている構成要素は、モータ駆動制御装置1の全体の一部であり、モータ駆動制御装置1は、
図2に示されたものに加えて、他の構成要素を有していてもよい。
【0028】
本実施の形態において、モータ駆動制御装置1は、FG信号生成部4を除き、その全部がパッケージ化された集積回路装置(IC)である。すなわち、モータ駆動制御装置1において、モータ駆動部2が制御回路部3とともに集積化されている。なお、モータ駆動制御装置1の一部が1つの集積回路装置としてパッケージ化されていてもよいし、他の装置と一緒にモータ駆動制御装置1の全部又は一部がパッケージ化されて1つの集積回路装置が構成されていてもよい。
【0029】
インバータ回路2aは、プリドライブ回路2bとともに、モータ駆動部2を構成する。インバータ回路2aは、プリドライブ回路2bから出力された出力信号Vuu,Vul,Vvu,Vvl,Vwu,Vwlに基づいてモータ20が備えるコイルLu,Lv,Lwに通電する。インバータ回路2aは、例えば、電源Vccの両端に設けられた2つのスイッチ素子の直列回路の対が、コイルLu,Lv,Lwの各相(U相、V相、W相)に対してそれぞれ配置されて構成されている。2つのスイッチ素子の各対において、スイッチ素子同士の接続点に、モータ20の各相の端子が接続されている。
【0030】
プリドライブ回路2bは、制御回路部3による制御に基づいて、インバータ回路2aを駆動するための、インバータ回路2aの各スイッチ素子に対応する6種類の出力信号を生成し、インバータ回路2aに出力する。プリドライブ回路2bは、制御回路部3から出力される駆動制御信号Sdに基づいて、出力信号Vuu,Vul,Vvu,Vvl,Vwu,Vwlを生成する。インバータ回路2aでは、それぞれの出力信号Vuu,Vul,Vvu,Vvl,Vwu,Vwlに対応するスイッチ素子がオン、オフ動作を行う。これにより、モータ20のコイルLu,Lv,Lwに駆動電圧が印加される。
【0031】
図3は、本実施の形態に係るモータ駆動制御装置1の回路構成を示す図である。
【0032】
図3に示されるように、FG信号生成部4は、実回転速度信号Srを生成し、制御回路部3に出力する。実回転速度信号Srは、モータ20の実際の回転速度(ロータの回転数;以下、実回転速度ということがある。)に対応する信号である。本実施の形態において、実回転速度信号Srは、FG信号である。すなわち、FG信号生成部4は、例えば、モータ20のロータの近くに配置された基板上に形成されたコイルパターンであるFGパターン4aを有している。FG信号生成部4は、FGパターン4aの誘起電圧に従って、実回転速度信号Srを生成して出力する。なお、実回転速度信号Srは、このようにして生成される信号に限られない。例えば、実回転速度信号Srは、ホール素子やホールICの出力に基づいて生成されるFG信号であってもよいし、エンコーダ等を利用して生成されるモータ20の回転速度に対応する周波数等の特性を有する信号であってもよい。
【0033】
本実施の形態において、制御回路部3は、モータ20を駆動させるための駆動制御信号Sdをモータ駆動部2に出力してモータ駆動部2を制御することで、モータ20の動作を制御する。
【0034】
制御回路部3には、実回転速度信号Srと、目標回転速度信号Scとが入力される。
【0035】
目標回転速度信号Scは、例えば、上位装置50のクロック端子から出力されたクロック信号である。目標回転速度信号Scは、モータ20の目標回転速度に対応する周波数の信号である。換言すると、目標回転速度信号Scは、モータ20を何Hz(rpm)で回転させるかを指示するための、モータ20の回転速度の目標値(目標回転速度)を示す情報である。
【0036】
制御回路部3は、実回転速度信号Srと、目標回転速度信号Scとに基づいて、駆動制御信号Sdを生成し、モータ駆動部2のプリドライブ回路2bに出力する。制御回路部3は、目標回転速度信号Scにより示される目標回転速度と、実回転速度信号Srにより示されるモータ20の回転速度とに応じて、モータ20が目標回転速度で回転するように駆動制御信号Sdをモータ駆動部2に出力することで、モータ20の回転制御を行う。モータ駆動部2は、駆動制御信号Sdに基づいて、モータ20に正弦波駆動信号を出力し、モータ20を駆動させる。
【0037】
制御回路部3は、モータ20の実回転速度が目標回転速度信号Scに対応する目標回転速度に追従するように駆動制御信号Sdを出力する。すなわち、目標回転速度が一定である場合、電子機器10の周囲の環境の変動等に応じてモータ20の負荷が変動しても、実回転速度が目標回転速度となるように駆動制御信号Sdを出力し、モータ20に印加する駆動電圧の大きさを調整する。目標回転速度が変更された場合(例えば操作パネル51で「低速」から「中速」等に変更する操作が行われた場合)や、モータ20が一時的にロック状態に陥った後にロック状態から復帰した場合などにおいては、目標回転速度と実回転速度とが比較的大きく乖離することになるため、実回転速度が目標回転速度に到達するように駆動制御信号Sdを出力してモータ20に印加する駆動電圧の大きさを調整することで、モータ20を加速させたり減速させたりする。
【0038】
本実施の形態において、制御回路部3は、速度制御回路31と、正弦波駆動回路32とを含んでいる。
【0039】
速度制御回路31には、目標回転速度信号Scと実回転速度信号Srとが入力される。速度制御回路31は、目標回転速度信号Scと実回転速度信号Srとの比較結果に応じて、モータ20を目標回転速度に追従するようにトルク指令信号S1を生成する。トルク指令信号S1は、モータ20のトルクの大きさに対応する信号である。目標回転速度と実回転速度とにずれがある場合にはトルク指令信号S1の調整が行われる。すなわち、モータ20の回転速度は、フィードバック制御により調整される。
【0040】
正弦波駆動回路32には、トルク指令信号S1が入力される。正弦波駆動回路32は、トルク指令信号S1に基づいて駆動制御信号Sdを生成してモータ駆動部2に出力する。これにより、モータ20がトルク指令信号S1に対応するトルクで回転するように、モータ20の回転に応じたタイミングでモータ駆動部2からモータ20の各相のコイルLu,Lv,Lwに駆動電圧が印加される。
【0041】
図4は、制御回路部3の構成を示すブロック図である。
【0042】
以下、制御回路部3の構成及び動作についてより具体的に説明する。
【0043】
本実施の形態において、制御回路部3は、モータ20に印加する駆動電圧の位相を調整する。すなわち、制御回路部3は、モータ20に印加する駆動電圧の進角制御を行う。進角制御は、制御回路部3の速度制御回路31の一部と正弦波駆動回路32の一部とで構成される位相調整部33により行われる。
【0044】
速度制御回路31は、進角決定回路34と、切替回転速度検出回路35とを有している。進角決定回路34と、切替回転速度検出回路35とは、位相調整部33に含まれる。
【0045】
正弦波駆動回路32は、正弦波生成回路32bと、第1進角制御部(第1の位相調整手段の一例)36と、第2進角制御部(第2の位相調整手段の一例)37と、セレクタ(切替要素の一例)38とを有している。第1進角制御部36と、第2進角制御部37と、セレクタ38とは、位相調整部33に含まれる。
【0046】
正弦波生成回路32bは、トルク指令信号S1に基づいて、モータ20の各相に対応する駆動制御信号Sdを生成して出力する。正弦波生成回路32bは、位相調整部33の処理結果に応じた位相でモータ20のコイルLu,Lv,Lwに駆動電圧が印加されるように、駆動制御信号Sdを生成する。すなわち、モータ駆動制御装置1は、位相調整部33から出力された信号に基づいて、モータ20の制御を行う。
【0047】
上述のように、位相調整部33は、速度制御回路31の進角決定回路34及び切替回転速度検出回路35と、正弦波駆動回路32の第1進角制御部36、第2進角制御部37、及びセレクタ38とを含んでいる。
【0048】
本実施の形態において、位相調整部33は、目標回転速度に応じて、モータ20の駆動電圧の位相の調整方法を切り替える。すなわち、位相調整部33は、目標回転速度が所定の切替回転速度よりも大きい場合(モータ20を、切替回転速度よりも速い速度域である高速域で回転させる場合)には、モータ20の駆動効率を大きくすることを重視する第1の調整方法でモータ20の駆動電圧の位相を調整し、目標回転速度が切替回転速度よりも小さい場合(モータ20を、切替回転速度よりも低い速度域である低速域で回転させる場合)には、モータ20の回転速度を目標回転速度のまま維持できる範囲で駆動電圧の位相を遅らせる(進角を小さくする)第2の調整方法でモータ20の駆動電圧の位相を調整する。
【0049】
切替回転速度は、例えば、予め設定された回転速度の閾値である。
【0050】
位相調整部33は、第1の調整方法による調整を行う場合、モータ20のコイルLu,Lv,Lwの誘起電圧と巻線電流(コイル電流)の位相が一致するように進角制御を行う。すなわち、位相調整部33は、モータ20を低い消費電力で効率良く駆動できるように、効率重視の進角制御を行う。他方、位相調整部33は、第2の調整方法による調整を行う場合、駆動電圧の位相を遅らせる制御を行う。すなわち、位相調整部33は、モータ20のコイルLu,Lv,Lwの誘起電圧が比較的大きくなることによりコイルLu,Lv,Lwに流れる電流が比較的小さくなる状態で駆動する、低進角の進角制御を行う。制御回路部3は、目標回転速度の変更後に、当該変更された目標回転速度に応じた信号を出力し、位相調整部33は、変更された目標回転速度に応じて駆動電圧の位相を遅らせる。
【0051】
このような第1の調整方法による調整は、第1進角制御部36を用いて行われる。また、第2の調整方法による調整は、第2進角制御部37を用いて行われる。すなわち、第1進角制御部36は、目標回転速度が切替回転速度より大きい場合に電圧の位相を調整する。また、第2進角制御部37は、目標回転速度が切替回転速度より小さい場合に電圧の位相を調整する。第2進角制御部37は、第1進角制御部36よりも、電圧の位相が遅れるように調整を行う。
【0052】
位相調整部33において、進角決定回路34には、実回転速度信号Srが入力される。進角決定回路34は、モータ20の回転速度に応じて、予め設定された進角値(駆動電圧を印加する位相をFG信号の位相から進める調整値)を決定する。進角決定回路34は、例えば、予め設定された、回転速度とそれに対応する進角値との組み合わせから、実回転速度に対応する進角値を選択することで、進角値を決定することができる。すなわち、進角設定回路34は、モータ20の回転速度に対応する所定の進角値を決定する。なお、進角決定回路34は、予め設定された算出ルールに従って、実回転速度に対応する進角値を算出するようにしてもよい。進角決定回路34は、決定した進角値に関する情報を、進角値信号S2として出力する。
【0053】
切替回転速度検出回路35には、目標回転速度信号Scが入力される。切替回転速度検出回路35は、目標回転速度信号Scに基づいて、目標回転速度と切替回転速度との比較結果に対応した選択信号S3を出力する。例えば、本実施の形態においては、切替回転速度検出回路35は、目標回転速度が切替回転速度より低いことを検知して、検知結果に応じて選択信号S3を出力する。選択信号S3は、目標回転速度が切替回転速度より低いことを検知された場合に、所定の電圧となる信号であるが、これに限られるものではない。また、切替回転速度検出回路35は、目標回転速度が切替回転速度より高いことや目標回転速度が切替回転速度以上又は以下となったことを検知したときに、それに応じた選択信号S3を出力するようにしてもよい。
【0054】
第1進角制御部36には、進角値信号S2が入力される。第1進角制御部36は、進角値信号S2に基づいて、進角決定回路34で決定された進角値だけ位相を進めるように正弦波生成回路32bを制御するための第1進角制御信号S4を出力する。すなわち、第1進角制御部36は、効率重視の進角制御を行うための第1進角制御信号S4を出力し、モータ20のコイルの誘起電圧が小さくなるように進角制御を行う。換言すると、第1進角制御部36は、第1進角制御信号S4を出力し、モータ20の駆動効率が大きくなるようにモータ20の駆動電圧の位相を調整する。
【0055】
第2進角制御部37は、第1進角制御部36により進角制御が行われる場合よりも、電圧の位相が遅れるように調整を行う。第2進角制御部37は、効率重視の進角制御が行われるよりも位相が遅れるように正弦波生成回路32bを制御するための第2進角制御信号S5を出力する。すなわち、第2進角制御部37は、低進角の進角制御を行うための第2進角制御信号S5を出力する。
【0056】
本実施の形態において、第2進角制御部37は、予めメモリ37bに記憶された情報に基づいて第2進角制御信号S5を出力する。例えば、第2進角制御部37は、予めメモリ37bに記憶されている進角値を適用して進角制御が行われるように、第2進角制御信号S5を出力する。すなわち、第2進角制御部37は、メモリ37bに記憶されている所定の設定値に基づいて駆動電圧の位相を設定する。駆動電圧の位相を遅らせる場合には、第2進角制御部37は、駆動電圧の位相を所定の設定値にして、駆動電圧の位相を遅らせる。換言すると、第2進角制御部37は、電圧の位相が所定量だけ進むように調整を行う。
【0057】
ここで、メモリ37bに記憶する所定の設定値は、切替回転速度でモータ20が回転している場合に進角決定回路34で決定される進角値よりも小さい進角値であって、その進角値を適用した場合でもモータ20の回転速度を目標回転速度に維持できる進角値にすればよい。
【0058】
セレクタ38には、第1進角制御信号S4と、第2進角制御信号S5と、選択信号S3とが入力される。セレクタ38は、選択信号S3に応じて、第1進角制御信号S4と、第2進角制御信号S5とのいずれか一方を正弦波生成回路32bに出力する。換言すると、セレクタ38は、第1進角制御部36により電圧の位相を調整するための第1進角制御信号S4と第2進角制御部37により電圧の位相を調整するための第2進角制御信号S5とのいずれを出力するかを切り替える。セレクタ38により、モータ20の駆動電圧の位相の調整に第1進角制御部36を用いるか第2進角制御部37を用いるかが選択される。すなわち、目標回転速度に応じて、位相調整部33が第1の調整方法を採用するか第2の調整方法を採用するかが切り替えられる。
【0059】
本実施の形態において、セレクタ38は、目標回転速度が切替回転速度より小さい場合には第2進角制御部37による進角制御が行われるようにし、そうでない場合すなわち目標回転速度が切替回転速度より大きい場合には第1進角制御部36による進角制御が行われるようにする。換言すると、セレクタ38は、目標回転速度に基づいて、高速域において第1進角制御部36による進角制御が行われるようにし、低速域において第2進角制御部37による進角制御が行われるようにする。このようなセレクタ38の動作は、切替回転速度検出回路35から出力される選択信号S3に応じて行われる。
【0060】
図5は、本実施の形態に係るモータ駆動制御装置1の進角制御に関する動作の一例を示すフローチャートである。
【0061】
以上のように構成されているので、モータ駆動制御装置1は、
図5に示されるように進角制御に関する動作を行う。
【0062】
すなわち、ステップS11において、速度制御回路31は、目標回転速度信号Scが検知されたか否かを判断する。換言すると、モータ20の駆動が停止している場合において、速度制御回路31は、モータ20を起動させる起動命令を検知したか否かを判断する。目標回転速度信号Scが検知されていなければ、検知されるまで待機する。目標回転速度信号Scが検知された場合には、ステップS12に進む。
【0063】
ステップS12において、切替回転速度検出回路35は、目標回転速度信号Scに基づいて、目標回転速度と所定の切替回転速度とを比較し、目標回転速度が切替回転速度よりも低いか否かを判断する。切替回転速度検出回路35は、判断結果に応じて選択信号S3を出力する。すなわち、目標回転速度が切替回転速度よりも低い場合には、ステップS14に進み、そうでない場合には、ステップS13に進む。
【0064】
ステップS13において、位相調整部33は、効率重視の進角制御での駆動が行われる用に制御する。すなわち、切替回転速度検出回路35から出力される選択信号S3に応じて、セレクタ38は、第1進角制御部36から出力される第1進角制御信号S4を正弦波生成回路32bに出力する。これにより、効率重視の進角制御が行われ、モータ20が目標回転速度で回転するように駆動される。
【0065】
他方、ステップS14において、位相調整部33は、巻線電流低減の進角制御での駆動が行われるように制御する。すなわち、切替回転速度検出回路35から出力される選択信号S3に応じて、セレクタ38は、第2進角制御部37から出力される第2進角制御信号S5を正弦波生成回路32bに出力する。これにより、低進角の進角制御が行われ、モータ20が目標回転速度で回転するように駆動される。
【0066】
ステップS13又はステップS14の処理が終了すると、ステップS15において、速度制御回路31は、目標回転速度信号Scの入力が停止されたことを検知したか否かを判断する。目標回転速度信号Scの入力が停止されたことが検知されると、ステップS16に進む。そうでない場合には、ステップS12に戻る。
【0067】
ステップS16において、正弦波駆動回路32は、フリーラン停止動作を開始させる。すなわち、モータ20の各相に供給する電力をオフとして、モータ20を停止させる。ステップS16の動作が終了すると、一連の動作が終了する。
【0068】
図6は、本実施の形態における回転速度と進角値との関係を説明する図である。
【0069】
図6においては、上段に駆動電圧の位相の調整方法(制御モード)が示され、下段に、モータ20の回転速度と設定される進角値との関係が模式的に示されている。
【0070】
図6に示されるように、本実施の形態において、モータ20の回転速度が切替回転速度よりも低い低速域においては、低進角の進角制御すなわち第2進角制御部37による駆動電圧の位相の調整が行われる。他方、モータ20の回転速度が切替速度よりも高い高速域においては、効率重視の進角制御すなわち第1進角制御部36による駆動電圧の位相の調整が行われる。
【0071】
本実施の形態において、第1進角制御部36は、モータ20の回転速度が高くなるほど電圧の位相が進むように(進角値が大きくなるように)調整を行う。他方、第2進角制御部37は、電圧の位相が所定量だけ進むように(進角値が所定の値になるように)調整を行う。すなわち、低速域においては、モータ20の回転速度にかかわらず、一定の進角値b1に設定される。ここで、進角値b1は、低速域においても第1進角制御部36による駆動電圧の位相の調整が行われるとした場合の進角値(
図6において一点鎖線で示す)の最小値よりも小さい値又はゼロに設定される。
【0072】
本実施の形態においては、このように、高速域においては、効率重視の進角制御すなわち第1進角制御部36による駆動電圧の位相の調整が行われるので、モータ20が高い効率で駆動される。他方、低速域においては、第2進角制御部37により、低進角の進角制御すなわち第1進角制御部36よりも電圧の位相が遅れるような調整が行われる。低速域においては、効率重視の進角制御を行う場合よりもモータ20のコイルLu,Lv,Lwの誘起電圧が比較的大きくなることにより、コイルLu,Lv,Lwに流れる電流が比較的小さくなる状態で駆動が行われる。このとき、モータ20のトルクは比較的小さくなるが、回転速度が低く低負荷であるため、モータ20を目標回転速度で回転させることができる。したがって、モータ20を目標回転速度で回転させながら、モータ20の消費電力を低減させることができる。ベクトル制御等の複雑な制御方法を用いることなく簡素で製造コストが低いハードウェア構成を用いて、省エネルギー性能の高い電子機器10を製造することができる。
【0073】
図6を参照して具体例について説明する。例えばモータ20の回転速度が毎分600回転である状況下において、進角は、効率重視の進角制御を利用する場合にはb2(例えば、10度)とされ、低進角の進角制御を利用する場合にはb1(例えば、5度)とされる場合を想定する。このような場合において、進角がb2であるときにモータ電流は約100ミリアンペアとなり、進角がb1であるときにモータ電流は約95ミリアンペアとなるときには、低進角の進角制御を行うことにより、5%の省エネルギー化を実現することができる。換言すると、このような場合には、モータ20の回転速度が毎分600回転である場合は低進角の進角制御が行われるように、切替回転速度を設定すればよい。また、このとき、低進角の進角制御を行うと、モータ電流が小さくなるため、加振力が小さくなる。したがって、電子機器10で発生する振動が小さくなる。
【0074】
なお、切替回転速度や、第2進角制御部37で設定される所定の設定値は、ファンモータ20Aの用途や電子機器10の特性などに応じて、すなわちファンモータ20Aが使用される回転速度やファンモータ20Aにかかることが考えられる負荷などに応じて、モータ20の回転速度を目標回転速度に維持できるように適宜設定すればよい。第2進角制御部37で設定される所定の設定値は、低速域においてモータ20の回転速度を目標回転速度に維持することができる範囲内でできるだけ小さい値にすることにより、モータ20の消費電力をできるだけ低くすることができる。
【0075】
なお、第1進角制御部36による電圧の位相の調整態様や、第2進角制御部37による電圧の位相の調整態様は、上述の実施の形態のものに限られない。
【0076】
図7は、本実施の形態の変形例の一つに係る回転速度と進角値との関係を説明する図である。
【0077】
図7においては、
図6の下段の図と同様に、モータ20の回転速度と設定される進角値との関係が模式的に示されている。
【0078】
図7に示されるように、本変形例において、第1進角制御部36の調整態様は上述の実施の形態と同じである。他方、第2進角制御部37は、第1進角制御部36による調整が行われる場合よりも所定量だけ電圧の位相が遅れるように調整を行う。すなわち、低速域においては、第1進角制御部36による調整が行われる場合(
図7において一点鎖線で示す)よりも所定量dだけ小さい進角値に設定される。すなわち、本変形例において、第2進角制御部37は、モータ20の回転速度が低いほど電圧の位相が遅れるように調整を行う。ここで、所定量dは、低速域の全域において進角値がモータ20の回転速度を目標回転速度に維持することができる範囲になるように、設定される。
【0079】
本変形例においても、上述と実施の形態と同様の利点がある。すなわち、低速域においてモータ20のコイルLu,Lv,Lwに流れる電流を小さく抑え、ファンモータ20Aの消費電力を削減することができる。
【0080】
[その他]
【0081】
モータ駆動制御装置やそれを用いた電子機器は、上述の実施の形態やその変形例に示されるような回路構成に限定されない。本発明の目的に適合するように構成された、様々な回路構成が適用できる。上記の実施の形態や変形例の特徴点が部分的に組み合わされてモータが構成されていてもよい。上記の実施の形態や変形例において、いくつかの構成要素が設けられていなかったり、いくつかの構成要素が他の態様で構成されていてもよい。
【0082】
電子機器は、空気清浄機に限られない。電子機器は、羽根車をモータで回転させるような構成を有する種々のものであってもよい。例えば、電子機器は、扇風機やエアコンなどであってもよいし、冷却用途や換気用途のためのファンを備える機器等であってもよい。
【0083】
モータの駆動方式は、通常の正弦波駆動に限定されず、矩形波による駆動方式や、台形波による駆動方式や、正弦波に特殊な変調をかけた駆動方式などであってもよい。
【0084】
切替回転速度は、所定の固定値である回転速度ではなくてもよい。例えば、周囲の環境(例えば、温度、湿度等)に応じて、所定のルールに従って特定される値であってもよい。
【0085】
目標回転速度信号として、設定された風量に応じたデューティ比のパルス幅変調信号が上位装置から出力され、モータ駆動制御装置がそれに応じてモータを駆動させるようにしてもよい。また、モータ駆動制御装置は、外部の上位装置等から目標回転速度信号が入力されない、予め設定された目標回転速度でモータを駆動するように構成されたものであってもよい。
【0086】
ロータの位置を検出するために、ホール素子を用いたり、ホールICをモータのロータの位置検出器として用いるようにしてもよい。
【0087】
上述のフローチャートなどは、動作を説明するための一例を示すものであって、これに限定されない。フローチャートの各図に示したステップは具体例であって、このフローに限定されるものではなく、例えば、各ステップ間に他の処理が挿入されてもよいし、処理を並列化してもよい。
【0088】
本実施の形態のモータ駆動制御装置により駆動されるモータは、3相のブラシレスモータに限定されず、他の相数のブラシレスモータであってもよい。また、モータの種類も特に限定されない。
【0089】
上述の実施の形態における処理の一部又は全部が、ソフトウェアによって行われるようにしても、ハードウェア回路を用いて行われるようにしてもよい。モータ駆動制御装置の各構成要素は、少なくともその一部がハードウェアによる処理ではなく、ソフトウェアによる処理であってもよい。
【0090】
モータ駆動制御装置が、モータの構成要素としてモータ内に設けられていてもよい。この場合には、モータはモータ制御装置を備えることになる。
【0091】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0092】
1 モータ駆動制御装置
2 モータ駆動部
3 制御回路部
10 電子機器
14 羽根車
20 モータ
20A ファンモータ
31 速度制御回路
32 正弦波駆動回路
33 位相調整部
36 第1進角制御部(第1の位相調整手段の一例)
37 第2進角制御部(第2の位相調整手段の一例)
37b メモリ
38 セレクタ(切替要素の一例)
50 上位装置
Lu,Lv,Lw コイル
Sc 目標回転速度信号
Sd 駆動制御信号
Sr 実回転速度信号
S4 第1進角制御信号
S5 第2進角制御信号