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特許7315374薄膜面状ヒータ及び薄膜面状ヒータの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】薄膜面状ヒータ及び薄膜面状ヒータの制御方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/00 20060101AFI20230719BHJP
   H05B 3/10 20060101ALI20230719BHJP
   H05B 3/03 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
H05B3/00 330Z
H05B3/00 370
H05B3/10 A
H05B3/03
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019095091
(22)【出願日】2019-05-21
(65)【公開番号】P2020191200
(43)【公開日】2020-11-26
【審査請求日】2022-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000153018
【氏名又は名称】株式会社日本マイクロニクス
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 宣行
(72)【発明者】
【氏名】成田 聡
(72)【発明者】
【氏名】井上 龍雄
【審査官】高橋 武大
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-160421(JP,A)
【文献】国際公開第2019/077974(WO,A1)
【文献】特開2014-137912(JP,A)
【文献】米国特許第5973298(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/00-3/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面に発熱領域が設定され、前記発熱領域の外側で前記主面の外縁に沿って相互に絶縁分離され、前記発熱領域から外縁に向かってそれぞれ放射状に延伸する複数の抵抗体領域が配置された薄膜抵抗体を有する基体と、
前記抵抗体領域のそれぞれに配置された電極と、
前記抵抗体領域の対に配置された前記電極の間に電圧を印加し、前記抵抗体領域の対の間に、前記発熱領域と前記抵抗体領域との境界の電気的連結部及び前記発熱領域を通過する電気力線を発生させる制御装置と
を備え、前記基体が複数組の前記抵抗体領域の対を有することを特徴とする薄膜面状ヒータ。
【請求項2】
前記制御装置が、
前記発熱領域を挟んで対向する前記抵抗体領域の対に配置された前記電極の間に、前記抵抗体領域の対ごとに異なるタイミングで電圧を印加し、
前記発熱領域で前記電気力線が重なるように、前記抵抗体領域の対ごとに前記電気力線を順次発生させる
ことを特徴とする請求項1に記載の薄膜面状ヒータ。
【請求項3】
前記発熱領域が、前記主面の中央からずれた位置に設定されていることを特徴とする請求項2に記載の薄膜面状ヒータ。
【請求項4】
前記制御装置が、前記主面の外縁に沿って隣接する前記抵抗体領域の対に配置された前記電極の間に電圧を印加し、隣接する前記抵抗体領域の間に電流を流すことを特徴とする請求項1に記載の薄膜面状ヒータ。
【請求項5】
前記主面の中央領域に薄膜抵抗体が配置されていないことを特徴とする請求項4に記載の薄膜面状ヒータ。
【請求項6】
前記抵抗体領域の前記電極が配置された部分よりも、前記抵抗体領域の前記電気的連結部の電気抵抗が高いことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の薄膜面状ヒータ。
【請求項7】
前記抵抗体領域が、前記発熱領域の外側から前記主面の外縁に延伸する複数のスリットによって相互に絶縁分離されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の薄膜面状ヒータ。
【請求項8】
前記電気的連結部は前記基体に円環状に設けられ、前記スリットの終端部分は前記電気的連結部に位置することを特徴とする請求項7に記載の薄膜面状ヒータ。
【請求項9】
主面に発熱領域が設定され、前記発熱領域の外側で前記主面の外縁に沿って相互に絶縁分離され、前記発熱領域から外縁に向かってそれぞれ放射状に延伸する複数の抵抗体領域が配置された薄膜抵抗体を有する基体、及び、前記抵抗体領域のそれぞれに配置された電極を備える薄膜面状ヒータの制御方法であって、
前記抵抗体領域の対に配置された前記電極の間に電圧を印加し、前記抵抗体領域の対の間に、前記発熱領域と前記抵抗体領域との境界の電気的連結部及び前記発熱領域を通過する電気力線を発生させ、
前記発熱領域をジュール熱により発熱させる
ことを特徴とする薄膜面状ヒータの制御方法。
【請求項10】
前記発熱領域を挟んで対向する前記抵抗体領域の対に配置された前記電極の間に、前記抵抗体領域の対ごとに異なるタイミングで電圧を印加し、
前記発熱領域で前記電気力線が重なるように、前記抵抗体領域の対ごとに前記電気力線を順次発生させる
ことを特徴とする請求項9に記載の薄膜面状ヒータの制御方法。
【請求項11】
前記主面の外縁に沿って隣接する前記抵抗体領域の対に配置された前記電極の間に電圧を印加し、隣接する前記抵抗体領域の間に電流を流すことを特徴とする請求項に記載の薄膜面状ヒータの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜抵抗体を用いた薄膜面状ヒータに関する。
【背景技術】
【0002】
信号機などのカバーに付着した雪を溶かすためにヒータが使用されている(特許文献1参照。)。このような用途に、薄膜抵抗体を有する薄膜面状ヒータを用いることができる。薄膜面状ヒータにおいて薄膜抵抗体の任意の一部を発熱領域とし、且つ発熱領域を所定の発熱量に設定するために、薄膜抵抗体の膜厚を調整する方法を使用できる。即ち、薄膜抵抗体の所定の領域について膜厚を薄くすることにより電気抵抗を増大させて発熱領域にする。更に、膜厚を調整して発熱領域の電気抵抗を制御し、発熱領域の発熱量を設定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-170627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
薄膜抵抗体の形成に、スパッタリング法、蒸着法、無電解めっき法などが用いられている。しかし、形成用マスクをパターニングして薄膜抵抗体の膜厚を制御することは難しい。このため、薄膜面状ヒータについて発熱領域の位置や発熱量を任意に設定することが困難であるという問題があった。
【0005】
上記問題点に鑑み、本発明は、発熱領域の位置及び発熱量を任意に設定できる薄膜面状ヒータ及び薄膜面状ヒータの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、主面に発熱領域が設定され、発熱領域の外側で主面の外縁に沿って相互に絶縁分離され、発熱領域から外縁に向かってそれぞれ放射状に延伸する複数の抵抗体領域が配置された薄膜抵抗体を有する基体と、抵抗体領域のそれぞれに配置された電極を備える薄膜面状ヒータが提供される。薄膜面状ヒータの制御装置は、抵抗体領域の対に配置された電極の間に電圧を印加し、発熱領域と抵抗体領域との境界の電気的連結部及び発熱領域を通過する電気力線を発生させる。
【0007】
本発明の他の態様によれば、発熱領域から外縁に向かってそれぞれ放射状に延伸する抵抗体領域の対に配置された電極の間に電圧を印加し、発熱領域と抵抗体領域との境界の電気的連結部及び発熱領域を通過する電気力線を発生させる薄膜面状ヒータの制御方法が提供される。
【0008】
本発明によれば、発熱領域の位置及び発熱量を任意に設定できる薄膜面状ヒータ及び薄膜面状ヒータの制御方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態に係る薄膜面状ヒータの構成を示す模式図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る薄膜面状ヒータに発生する電気力線を示す模式図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る薄膜面状ヒータの変形例の構成を示す模式図である。
図4図3の薄膜面状ヒータに発生する電気力線を示す模式図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係る薄膜面状ヒータの他の変形例の構成を示す模式図である。
図6図5の薄膜面状ヒータに発生する電気力線を示す模式図である。
図7】本発明の第1の実施形態に係る薄膜面状ヒータに使用される基体の例を示す模式図である。
図8】本発明の第2の実施形態に係る薄膜面状ヒータの構成を示す模式図である。
図9】本発明の第2の実施形態に係る薄膜面状ヒータの動作を示す模式図である。
図10】本発明の第2の実施形態に係る薄膜面状ヒータの発熱領域を示す模式図である。
図11】ヘッドライトカバーの模式図である。
図12】ヘッドライトカバーに薄膜面状ヒータを適用した模式図である。
図13図12に示した薄膜面状ヒータの発熱領域を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各部の厚みの比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。以下に示す実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置などを下記のものに特定するものでない。
【0011】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る薄膜面状ヒータは、図1に示すように、主面に発熱領域11が設定され、発熱領域11の外側で主面の外縁に沿って相互に絶縁分離された抵抗体領域121~128が配置された薄膜抵抗体を有する基体10を備える。抵抗体領域121~128には電極21~28がそれぞれ配置されている。以下において、基体10に配置された抵抗体領域を総称して「抵抗体領域12」という。また、抵抗体領域12にそれぞれ配置された電極を「電極20」と総称する。
【0012】
抵抗体領域12は、発熱領域11の外側から主面の外縁に延伸するスリット14によって、相互に絶縁分離されている。発熱領域11が主面の中央に設定されている図1の基体10では、主面の中央領域から外縁に向かって放射状に複数のスリット14が形成されている。なお、スリット14を形成する以外の方法により薄膜抵抗体をパターニングして、複数の抵抗体領域12を相互に絶縁分離してもよい。例えば、抵抗体領域12の相互の間に絶縁体を配置してもよい。
【0013】
図1に示した薄膜面状ヒータでは、制御装置30によって電極20の動作が制御される。具体的には、抵抗体領域12の対にそれぞれ配置された電極20の間に電圧が印加され、抵抗体領域12の対の間に、発熱領域11と抵抗体領域12との境界の電気的連結部13、及び発熱領域11を通過する電気力線が発生する。図1に示した薄膜面状ヒータでは、発熱領域11を挟んで対称に位置する抵抗体領域12が対になっている。つまり、発熱領域11を挟んで対向する抵抗体領域12の対にそれぞれ配置された電極20の間に電圧が印加される。
【0014】
抵抗体領域121~128が配置された図1に示す薄膜面状ヒータは、4組の抵抗体領域12の対を有する。即ち、抵抗体領域121と抵抗体領域125、抵抗体領域122と抵抗体領域126、抵抗体領域123と抵抗体領域127、抵抗体領域124と抵抗体領域128が、それぞれ抵抗体領域12の対である。
【0015】
制御装置30は、抵抗体領域12の対ごとに異なるタイミングで電気力線を順次発生させる。例えば図2に示すように、制御装置30により、抵抗体領域121に配置された電極21と抵抗体領域125に配置された電極25の間に所定の電圧Vが印加される。これにより、抵抗体領域121と抵抗体領域125の間に電気力線Eが発生する。この電気力線Eは、抵抗体領域121と発熱領域11との境界の電気的連結部13、抵抗体領域125と発熱領域11との境界の電気的連結部13、及び発熱領域11を通過する。
【0016】
制御装置30は、抵抗体領域121と抵抗体領域125の間に電気力線を発生させた後、抵抗体領域122と抵抗体領域126の間に電気力線を発生させる。その後、制御装置30は、抵抗体領域123と抵抗体領域127の間、抵抗体領域124と抵抗体領域128の間に電気力線を順次発生させる。以後、上記の順に電気力線の発生する領域を変化させる制御が繰り返される。
【0017】
このように、電圧を印加する電極20を、電極21と電極25、電極22と電極26、電極23と電極27、電極24と電極28の組み合わせで繰り返すことにより、発熱領域11で電気力線が重なる。電気力線の密度の高い領域(抵抗の高い領域)でジュール熱が発生するため、発熱領域11が発熱する。
【0018】
上記では、4組の抵抗体領域12の対を有する薄膜面状ヒータを例示的に説明したが、抵抗体領域12の対は4組に限られない。例えば、抵抗体領域12の対が3組であったり、5組であったりしてもよい。
【0019】
なお、抵抗体領域12の電極20が配置された部分よりも、抵抗体領域12の電気的連結部13の電気抵抗を高くすることが好ましい。これにより、電極20が配置された領域での発熱が抑制される。このため、電極20に耐高温材料を使用する必要がない。
【0020】
上記のように、発熱領域11は電気力線が重なる領域である。電気力線の重なる領域は、抵抗体領域12の形状によって規定される。このため、抵抗体領域12の形状を変更することにより、発熱領域11の位置を任意に設定可能である。例えば図3に示すように、発熱領域11の位置を、基体10の主面の中央からずらした位置に設定してもよい。
【0021】
図3に示した基体10においても、図4に示すように電気力線Eが発熱領域11で重なる。このように、抵抗体領域12ごとにスリット14の長さや延伸方向を調整することにより、任意の位置に発熱領域11を設定することができる。したがって、基体10の中央からはずれた位置に発熱領域11を配置したい場合などにも、第1の実施形態に係る薄膜面状ヒータは好適に使用される。
【0022】
また、スリット14の長さを変えて抵抗体領域12の範囲を調整することにより、発熱領域11の面積を調整できる。例えば、図5に、図3に示した薄膜面状ヒータよりもスリット14を長くした例を示す。図5に示した基体10では、図6に示すように電気力線Eが重なる発熱領域11の面積が、図4に示した発熱領域11よりも小さい。これにより、発熱領域11における電流密度が高くなり、発熱領域11で発生するジュール熱が増大する。このように、抵抗体領域12の範囲を調整することにより、発熱領域11の電流密度を制御し、発熱領域11に発生するジュール熱を調整することができる。
【0023】
以上に説明したように、図1に示した薄膜面状ヒータでは、薄膜抵抗体の電気力線の集中する位置や範囲を制御することができる。電気力線の集中する位置を制御することにより、発熱領域11の位置を任意に設定できる。また、電気力線の集中する範囲を制御することにより、発熱領域11における発熱量を任意に設定できる。したがって、第1の実施形態に係る薄膜面状ヒータによれば、発熱領域11の位置及び発熱量を任意に設定することができる。
【0024】
第1の実施形態に係る薄膜面状ヒータは、例えば、スパッタリング法、蒸着法、無電解めっき法などにより薄膜抵抗体が形成された図7に示す基体10について、薄膜抵抗体にスリット14を形成するなどして抵抗体領域12をパターニングして得られる。なお、薄膜抵抗体の主面の形状は多角形状に限られず、例えば円形状であってもよい。また、ガラス板などの透明基板の表面に酸化インジウムスズ(ITO)膜などの透明な薄膜抵抗体を成膜するなどして、透光性を有する基体10を実現することができる。
【0025】
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る薄膜面状ヒータでは、基体10の主面の外縁に沿って隣接する抵抗体領域12の対にそれぞれ配置された電極20の間に電圧を印加する。つまり、第2の実施形態に係る薄膜面状ヒータは、対をなす抵抗体領域12が隣接する点が、抵抗体領域12の対が発熱領域11を挟んで対向する図1に示した薄膜面状ヒータと異なる。
【0026】
図8に、第2の実施形態に係る薄膜面状ヒータの電気的な接続の例を示す。図8に示した薄膜面状ヒータでは、抵抗体領域121と抵抗体領域122、抵抗体領域123と抵抗体領域124、抵抗体領域125と抵抗体領域126、抵抗体領域127と抵抗体領域128が、それぞれ抵抗体領域12の対をなす。
【0027】
図8に示すように、制御装置30は、電極21と電極22の間、電極23と電極24の間、電極25と電極26の間、電極27と電極28の間に、それぞれ電圧Vを印加する。これにより、隣接する抵抗体領域12の間に電流が流れる。図9に、正の電圧が印加された抵抗体領域121から負の電圧が印加された抵抗体領域122に電流Iが流れる例を示した。隣接する抵抗体領域12の間の電気抵抗が小さいことから、図9に示すように電流Iはスリット14の端部で折り返す。
【0028】
抵抗体領域12の電極20が配置された部分よりも電気的連結部13の電気抵抗が高いことにより、電流Iが折り返す領域の電気抵抗が最も大きい。このため、図8に示した薄膜面状ヒータの発熱領域11は電流Iが折り返す領域である。例えば図10に示すように、発熱領域11がリング形状である。或いは、折り返す個々の領域が独立した複数の発熱領域11になる。
【0029】
なお、上記のように、基体10の主面の抵抗体領域12に囲まれた領域には電流が流れない。したがって、基体10の主面の中央領域に薄膜抵抗体を配置しなくてもよい。このため、例えば透明基板を基体10に使用した場合などに、薄膜抵抗体の成膜による基体10の透過率の劣化を抑制できる。
【0030】
(その他の実施形態)
上記のように本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0031】
例えば、実施形態に係る薄膜面状ヒータを、信号機のヒータに適用することができる。即ち、光源から出力される信号光が透過する信号機のカバーを加熱するヒータとして、実施形態に係る薄膜面状ヒータを使用できる。例えば降雪地帯に設置される信号機では、カバーに付着した雪により信号の視認性が低下する。薄膜面状ヒータによりカバーを加熱することにより、カバーに付着した雪が溶かされ、信号の視認性の低下が抑制される。実施形態に係る薄膜面状ヒータでは、発熱領域11の位置や発熱領域11における発熱量を任意に設定できる。このため、薄膜面状ヒータに透光性の材料を使用してカバーの主面に重ねるように薄膜面状ヒータを配置することにより、雪が付着するカバーの位置や雪の付着量に応じて、使用電力量の無駄なくカバーを加熱することができる。
【0032】
また、信号機に限らず、例えば自動車のヘッドライトなどの発光装置に使用されるヒータなどにも、実施形態に係る薄膜面状ヒータは適用可能である。例えば、図11に示す半球状のお椀形のヘッドライトカバー100に、図12に示すように第2の実施形態に係る薄膜面状ヒータを適用する。ここで、基体10の中央領域には薄膜抵抗体が配置されていない薄膜面状ヒータを使用する。図13は、図12に示した構成において、第2の実施形態で説明したように薄膜面状ヒータの発熱領域11を電流Iの折り返す領域に設定した例である。上記の構成によれば、ヘッドライトカバー100の中央領域に薄膜抵抗体が配置されていないため、ヘッドライトカバー100の中央領域を透過する光の減衰が抑制される。
【0033】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態などを含むことはもちろんである。
【符号の説明】
【0034】
10…基体
11…発熱領域
12…抵抗体領域
13…電気的連結部
14…スリット
20…電極
30…制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13