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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20230719BHJP
【FI】
A63F7/02 312Z
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019126394
(22)【出願日】2019-07-05
(65)【公開番号】P2021010577
(43)【公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-05-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000154679
【氏名又は名称】株式会社平和
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】松山 拳二郎
(72)【発明者】
【氏名】高橋 義康
【審査官】本村 眞也
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-190453(JP,A)
【文献】特開2018-061774(JP,A)
【文献】特開2016-054952(JP,A)
【文献】特開2003-159383(JP,A)
【文献】特開2008-000307(JP,A)
【文献】特開2016-054951(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球を流下可能とする遊技領域を形成する遊技盤と、
前記遊技領域を流下する遊技球と接触可能に突起する突起部と、
を備え、
前記遊技領域は、前記遊技盤と該遊技盤の前方に設けられた透過板との間に形成され、
前記突起部は、遊技球の半径よりも大きい曲率半径を有する曲面状に形成され前記遊技
盤の前面から前記突起部の先端に向かって隆起する基端部を有し、
前記突起部が設けられた前記遊技盤の前方には前記透過板のみが配置されていること
を特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾球遊技機(パチンコ機)に代表される遊技機に関する。
【0002】
従来、遊技球の流下態様に多様性をもたせることや、遊技の公平性向上等を考慮して、遊技領域内において種々の遊技球流路を形成し、遊技の興趣の向上を図る遊技機が開示されている(例えば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-61774号公報
【文献】特開2008-86517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の遊技機は、遊技球が球通路を流下する際の円滑さが十分でなく、遊技者の遊技に対する興趣を向上できていないという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、遊技者の遊技に対する興趣の向上を図ることができる遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様による遊技機は、遊技球を流下可能とする
遊技領域を形成する遊技盤と、前記遊技領域を流下する遊技球と接触可能に突起する突起
部と、を備え、前記遊技領域は、前記遊技盤と該遊技盤の前方に設けられた透過板との間に形成され、前記突起部は、遊技球の半径よりも大きい曲率半径を有する曲面状に形成
され前記遊技盤の前面から前記突起部の先端に向かって隆起する基端部を有し、
前記突起部が設けられた前記遊技盤の前方には前記透過板のみが配置されていることを特徴とする。
【0007】
また、上記本発明の一態様による遊技機は、前記遊技領域において前記突起部を挟んで設けられ、前記突起部とともに遊技球が通過可能な球通路を形成する一対の側壁をさらに備え、前記一対の側壁のそれぞれは、遊技球の半径よりも大きい曲率半径を有する曲面状に形成され前記遊技盤の前面から隆起する側壁基端部を有していてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、遊技者の遊技に対する興趣の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】扉が開放された状態を示す遊技機の斜視図である。
図2】遊技機の正面図である。
図3】遊技機に設けられた遊技盤の正面図である。
図4】裏カバーを取り除いた状態の遊技機の裏面図である。
図5】裏カバーを取り付けた状態の遊技機の裏面図である。
図6】遊技機のブロック図である。
図7】メインRAMのメモリ領域の用途例を示す図である。
図8図3に示すルート振分ユニットを拡大した正面図である。
図9】ルート振分ユニットの斜視図である。
図10図8に示すA-A線で切断したルート振分ユニットの断面図である。
図11図8に示すB-B線で切断したルート振分ユニットの断面図である。
図12】ルート振分ユニットの上流領域における遊技球の流下経路の一例を示す図である。
図13】(a)は第1振分装置が閉状態の下流領域を流下する遊技球の流下経路の一例を示す図であり、(b)は第1振分装置が開状態の下流領域を流下する遊技球の流下経路の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。また、以下、本実施形態による遊技機の説明において、遊技機に相対するようにして着席した遊技者から見て左側を左とし、遊技者から見て右側を右とし、遊技者から見て上側を上とし、遊技者から見て下側を下とし、遊技者から見て手前側を前とし、遊技者から見て奥側を後とする。
【0011】
本発明の実施形態の理解を容易にするため、まず、遊技機の機械的構成および電気的構成を簡単に説明し、その後、各基板における具体的な処理を説明する。
【0012】
図1は、本実施形態の遊技機100の斜視図であり、扉が開放された状態を示している。図示のように、遊技機100は、略矩形状に組まれた四辺によって囲繞空間が形成される外枠102と、外枠102にヒンジ機構によって開閉自在に取り付けられた内枠104と、内枠104に、ヒンジ機構によって開閉自在に取り付けられた前枠106と、を備えている。
【0013】
内枠104は、外枠102と同様に、略矩形状に組まれた四辺によって囲繞空間が形成されており、囲繞空間に遊技盤108が保持されている。また、前枠106には、ガラス製または樹脂製の透過板110が保持されている。そして、これら内枠104および前枠106を外枠102に対して閉じると、遊技盤108と透過板110とが所定の間隔を維持して略平行に対面するとともに、遊技機100の正面側から、透過板110を介して遊技盤108が視認可能となる。
【0014】
(遊技機の詳細な構成)
次に、遊技機100の詳細な構成について図2および図3を用いて説明する。図2は、遊技機100の正面図である。図3は、遊技機100に設けられた遊技盤108の正面図である。図3では、閉状態の第2始動口122、第1大入賞口126、第2大入賞口128及び特別領域180が図示されている。なお、図3は、後述する各入球口の配置や構成を明らかにするため、各入球口の前面を覆う部材を透過した状態で遊技盤108を図示している。
【0015】
図2に示すように、前枠106の下部には、遊技機100の正面側に突出する操作ハンドル112が設けられている。操作ハンドル112は、遊技者が回転操作可能に設けられており、遊技者が操作ハンドル112を回転させて発射操作を行うと、当該操作ハンドル112の回転角度に応じた強度で、不図示の発射機構によって遊技球が発射される。このようにして発射された遊技球は、遊技盤108(図3参照)に設けられたレール114a,114b間を上昇して遊技領域116(図2では不図示)に導かれることとなる。
【0016】
図3に示すように、遊技領域116は、遊技盤108と透過板110(図2参照)との間隔に形成される空間であって、遊技球が流下または転動可能な領域である。
【0017】
図2および図3に示すように、遊技領域116は、発射機構の発射強度に応じて遊技球の進入度合いを互いに異にする第1遊技領域116aおよび第2遊技領域116bを備えている。第1遊技領域116aは、遊技機100に正対した遊技者から見て遊技領域116の左側に位置し、第2遊技領域116bは、遊技機100に正対した遊技者から見て遊技領域116の右側に位置している。レール114a,114bが遊技領域116の左側にあることから、発射機構によって所定の強度未満の発射強度で発射された遊技球は第1遊技領域116aに進入し、所定の強度以上の発射強度で発射された遊技球は第2遊技領域116bに進入することとなる。
【0018】
また、遊技領域116には、遊技球が入球可能な一般入賞口118、第1始動口120、第2始動口122(図2では不図示)が設けられており、一般入賞口118、第1始動口120、第2始動口122に遊技球が入球すると、それぞれ所定の賞球が遊技者に払い出される。遊技球の入球に基づいて払い出される賞球数は、入賞口ごとに異なっていてもよい。
【0019】
なお、詳しくは後述するが、第1始動口120内には第1始動領域が設けられ、また、第2始動口122内には第2始動領域が設けられている。そして、第1始動口120または第2始動口122に遊技球が入球して第1始動領域または第2始動領域に遊技球が進入すると、予め設けられた複数の特別図柄の中からいずれか1の特別図柄を決定するための抽選が行われる。各特別図柄には、遊技者にとって有利な大役遊技や小当たり遊技の実行可否や、以後の遊技状態をどのような遊技状態にするかといった種々の遊技利益が対応付けられている。したがって、遊技者は、第1始動口120または第2始動口122に遊技球が入球すると、所定の賞球を獲得するのと同時に、種々の遊技利益を受ける権利獲得の機会を獲得することとなる。
【0020】
第1始動口120は、遊技領域116の下部であって、第1遊技領域116aを流下する遊技球のみが入球可能であるか、または、第1遊技領域116aに進入した遊技球の方が、第2遊技領域116bに進入した遊技球よりも進入しやすい位置に配置されている。
【0021】
また、図3に示すように、第2始動口122は、第1始動口120の右隣であって第2遊技領域116bに位置している。第2始動口122は、第2遊技領域116bを流下する遊技球のみが入球可能であるか、または、第2遊技領域116bに進入した遊技球の方が、第1遊技領域116aに進入した遊技球よりも進入しやすい位置に配置されている。第2始動口122は、可動片122aを有する始動可変入賞装置によって構成されており、第2始動口122への遊技球の進入容易性が可変するようになっている。具体的には、第2始動口122は、可動片122aが開閉可能に設けられており、可動片122aが閉状態にあるときには、第2始動口122への遊技球の進入が不可能または困難となっている。これに対して、第2遊技領域116bに設けられたゲート124を遊技球が通過すると、後述する普通図柄の抽選が行われ、この抽選によって当たりに当選すると、可動片122aが所定時間、開状態に制御される。このように、可動片122aが開状態になると、可動片122aが遊技球を第2始動口122に導く受け皿として機能し、第2始動口122への遊技球の入球が容易となる。
【0022】
さらに、第2遊技領域116bには、第2遊技領域116bを流下する遊技球のみが入球可能であるか、または、第2遊技領域116bに進入した遊技球の方が、第1遊技領域116aに進入した遊技球よりも進入しやすい位置に第1大入賞口126および第2大入賞口128が設けられている。なお、以下、第1大入賞口126および第2大入賞口128をまとめて単に大入賞口ともよぶ。第1大入賞口126には、開閉扉126aが開閉可能に設けられている。通常、開閉扉126aが第1大入賞口126を閉鎖して、第1大入賞口126への遊技球の入球が不可能となっている(図3参照)。これにより、第1大入賞口126に遊技球が入球不可能な状態では、開閉扉126a上には、第2遊技領域116bを流下する遊技球が通過可能な特定通路5が生じる。特定通路5の詳細は後述する。これに対して、前述の小当たり遊技が実行されると、開閉扉126aが開放される。このため、第2遊技領域116bを流下する遊技球は第1大入賞口126への入球が可能となる。そして、第1大入賞口126に遊技球が入球すると、所定の賞球が遊技者に払い出される。以下、小当たり遊技の実行に基づいて開放される第1大入賞口126を、小当たり入賞口と称する場合がある。
【0023】
また、第1大入賞口126内の下方には、特別領域180が設けられている。特別領域180には、開閉部材180aが開閉可能に設けられている。通常、開閉部材180aが特別領域180を閉鎖して、特別領域180への遊技球の入球が不可能となっている(図3参照)。これに対して、前述の小当たり遊技が実行されて第1大入賞口126の開閉扉126aが開放されると、これに伴って開閉部材180aも開放される。このため、小当たり遊技中において第1大入賞口126に入球した遊技球は、特別領域180に入球可能となる。そして、遊技機100は、小当たり遊技中に特別領域180へ遊技球が進入すると、大役遊技の実行が決定され、大役遊技が開始されるように構成されている。
【0024】
また、第1大入賞口126内には、特別領域180の左側に隣接して大入賞口内排出口131が設けられている。大入賞口内排出口131により、第1大入賞口126には入賞したものの、特別領域180に入球しなかった遊技球が、第1大入賞口126内から遊技盤108の背面側に排出される。本実施形態による遊技機100では、第1大入賞口126に入球した遊技球は極めて高確率で特別領域180に進入可能である。したがって、第1大入賞口126に入球した遊技球が大入賞口内排出口131から排出される確率は極めて低くなっている。
【0025】
本実施形態による遊技機100において、第1大入賞口126は第1大入賞口ユニット26の構成要素として第2遊技領域116bに設けられている。第1大入賞口126は、第1大入賞口126、特定通路5、特別領域180および大入賞口内排出口131を組み合わせたユニット構造を有している。また図3に示すように、第1大入賞口ユニット26の下方には、LED基板26aと、LED基板26a上に設けられた複数のLEDランプ26bとを有する大入賞口照明装置622が設けられている。第1大入賞口ユニット26および第1大入賞口ユニット26を構成する各部材の詳細は後述する。
【0026】
また、第2大入賞口128は、開閉扉128aが開閉可能に設けられており、通常、開閉扉128bが第2大入賞口128を閉鎖して、第2大入賞口128への遊技球の入球が不可能となっている(図3参照)。これに対して、前述の大役遊技が実行されると、開閉扉128aが開放されて、開閉扉128aが受け皿として機能し、第2大入賞口128への遊技球の入球が可能となる。そして、第2大入賞口128に遊技球が入球すると、所定の賞球が遊技者に払い出される。大入賞口への遊技球の入球に基づいて払い出される賞球数は、大入賞口ごとに異なっていてもよい。
【0027】
第1遊技領域116aには、第1始動口120の左側に4つの一般入賞口118が設けられている。また、第2遊技領域116bには、ゲート124と第2始動口122との間に1つの一般入賞口118が設けられている。
【0028】
図3に示すように、遊技領域116の最下部の中央領域には、遊技球を遊技領域116から遊技盤108の背面側に排出する排出口130が設けられている。排出口130により、一般入賞口118、第1始動口120、第2始動口122、第1大入賞口126、第2大入賞口128のいずれにも入球しなかった遊技球が、遊技領域116から遊技盤108の背面側に排出される。
【0029】
遊技機100において、遊技領域116に導かれた遊技球は、遊技盤108に設けられた構造物によって無作為に流下経路を振り分けられて各入球口(一般入賞口118、第1始動口120、第2始動口122、第1大入賞口126、第2大入賞口128)又は排出口130または大入賞口内排出口131に至る。ここで、第1遊技領域116aにおける遊技球の流下経路の振分について説明する。
【0030】
図3に示すように、例えば遊技盤108の第1遊技領域116aには、第1遊技領域116aに導かれた遊技球の流下経路(ルート)を振り分けるルート振分ユニット7が設けられている。
【0031】
ルート振分ユニット7には、遊技領域116(本例では、第1遊技領域116a)を流下する遊技球と接触可能に突起する複数(本例では3つ)のボス70が設けられている。ルート振分ユニット7は、ボス70に接触した遊技球をボス70の左右に振り分けることができる。ルート振分ユニット7を流下する遊技球は、ボス70との接触によって上流側から下流側に至るまでに流下速度が減速される。また、ルート振分ユニット7において3つのボス70の下流側には振分台710が設けられている。振分台710は、ルート振分ユニット7内を流下した遊技球を左右に振り分け可能な部材である。
【0032】
振分台710の右下領域には、所定間隔で開閉可能な可動片である第1振分装置194が設けられている。第1振分装置194は、第1遊技領域116aの右側縁部に設けられた球案内通路195への遊技球の進入容易性を切り替えることで、遊技球の流下経路を球案内通路195方向、または一般入賞口118および排出口130方向へ振り分ける装置である。球案内通路195は、上面視において螺旋形状を有する球通路であって、左斜め上方に開口部195aを有している
【0033】
第1振分装置194は、閉状態(図3参照)において球案内通路195の開口部195aへの流下経路を閉鎖している。このため、第1振分装置194が閉状態の場合、球案内通路195への遊技球の進入が不可能または困難となっている。これに対し、第1振分装置194は開状態(不図示)において球案内通路195の開口部195aへの流下経路を開放し、第1振分装置194が受け皿として機能する。このため、球案内通路195への遊技球の入球が可能(容易)となる。
【0034】
開状態の第1振分装置194を介して球案内通路195内に流入した遊技球は、球案内通路195の内部を通過して転動ステージ197上に放出される。転動ステージ197の上面は滑らかな湾曲面を有している。転動ステージ197上では、遊技球が左右方向に転動自在である。転動ステージ197上で転動した遊技球は、やがて下方の第1遊技領域116a内に流下する。転動ステージ197の背面側の中央位置には球放出通路198が形成されている。球放出通路198の下部に設けられた放出口198aから放出された遊技球は、放出口198aの直下に配置された第1始動口120に流入し易くなる。
【0035】
ここで、球放出通路198内には、放出口198aに至る経路を開閉可能な第2振分装置199が設けられている。第2振分装置199は前後にスライド可能なスライド板199aを有している。第2振分装置199は、閉状態(図3参照)において、スライド板199aによって球放出通路198の下部を塞いでいる。このため、第2振分装置199が閉状態の場合、放出口198aへの遊技球の流下が不可能となり、遊技球は第1始動口120への入球が困難となる。これに対し、第2振分装置199は開状態(後述の図13(b)参照)において球放出通路198の下部を開放し、放出口198aへの遊技球の流下が可能となる。このため、遊技球は第1始動口120への入球が容易になる。
【0036】
また、球案内通路195が閉状態の第1振分装置194に閉鎖されている場合、遊技球は球案内通路195に進入せずにさらに第1遊技領域116aを流下する。そして、流下した遊技球は第1遊技領域116aの右下領域に設けられた4つの一般入賞口118のいずれかに入球するか、または排出口130から排出される。
【0037】
図3では図示を省略するが、第1遊技領域116aには釘や風車が設けられており、遊技球はこれらに衝突して、不規則な方向に流下、転動するようになっている。ただし、遊技機100の第1遊技領域116aにおいて、少なくともルート振分ユニット7内には釘および風車は設けられていない。
ルート振分ユニット7の構成および作用についての詳細は、後述する。
【0038】
また、第2遊技領域116bにも多数の釘(不図示)が設けられており、第2遊技領域116b内において、遊技球が不規則な方向に流下、転動するようになっている。
【0039】
そして、遊技機100には、遊技の進行中等に演出を行う演出装置として、液晶表示装置からなる演出表示装置200、可動装置からなる演出役物装置202、さまざまな点灯態様や発光色に制御されるランプからなる演出照明装置(例えば大入賞口照明装置622等)、スピーカからなる音声出力装置206、遊技者の操作を受け付ける演出操作装置208が設けられている。
【0040】
演出表示装置200は、画像を表示する画像表示部からなる演出表示部200aを備えており、この演出表示部200aを、遊技盤108の略中央部分において、遊技機100の正面側から視認可能に配置している。演出表示部200aには、図3に示すように演出図柄210a,210b,210cが変動表示され、これら各演出図柄210a,210b,210cの停止表示態様によって大役抽選結果が遊技者に報知される変動演出が実行されることとなる。
【0041】
演出役物装置202は、演出表示部200aよりも前面に配置され、通常、遊技盤108の背面側に退避しているが、上記の演出図柄210a,210b,210cの変動表示中などに、演出表示部200aの前面まで可動して、遊技者に大当たりの期待感を付与するものである。
【0042】
図2および図3では大入賞口照明装置622以外の図示を省略するが、演出照明装置は、演出役物装置202や遊技盤108等に設けられており、演出表示部200aに表示される画像等に合わせて、さまざまに点灯制御される。演出照明装置は例えばフルカラーLED等を有している。
【0043】
音声出力装置206は、前枠106の上部位置や外枠102の最下部位置に設けられ、演出表示部200aに表示される画像等に合わせて、遊技機100の正面側に向けてさまざまな音声を出力する。
【0044】
演出操作装置208は、遊技者の押下操作を受け付ける押下ボタン208aと、遊技者による入力操作(例えば、手前側に引く操作)を受け付ける演出レバー208bと、演出レバー208bの入力操作に伴って回転する回転部208cとの複数の操作手段を有している。押下ボタン208aおよび演出レバー208bは、遊技者が操作可能な操作装置に相当する。演出操作装置208は、遊技機100の幅方向略中央位置であって、かつ、透過板110(図1参照)よりも下方位置に設けられている。演出操作装置208は、演出表示部200aに表示される画像等に合わせて有効化され、操作有効期間内に遊技者の操作を受け付けると、当該操作に応じて、さまざまな演出が実行される。
【0045】
演出操作装置208の後ろ側(遊技盤108側)には、遊技機100から払い出される賞球や、遊技球貸出装置から貸し出される遊技球が導かれる上皿132が設けられている。上皿132が遊技球で一杯になると、遊技球は下皿134に導かれることとなる。また、この下皿134の底面には、当該下皿134から遊技球を排出するための球抜き孔(不図示)が形成されている。この球抜き孔は、通常、開閉板(不図示)によって閉じられているが、球抜きつまみ134aを図中左右方向にスライドさせることにより、当該球抜きつまみ134aと一体となって開閉板がスライドし、球抜き孔から下皿134の下方に遊技球を排出することが可能となっている。
【0046】
また、図3に示すように、遊技盤108には、遊技領域116の外方であって、かつ、透過板110を介して遊技者が視認可能な位置に、図柄表示部10が設けられている。図柄表示部10には、第1特別図柄表示器160、第2特別図柄表示器162、第1特別図柄保留表示器164、第2特別図柄保留表示器166、普通図柄表示器168、普通図柄保留表示器170、右打ち報知表示器172(いずれも図3では不図示、図6参照)が設けられている。これら各表示器160~172は、遊技に係る種々の状況を表示するための装置であるが、その詳細については後述する。
【0047】
(遊技機裏面の構成)
図4は、裏カバー302を取り除いた状態の遊技機100の裏面図である。図4では、理解を容易にするため、主制御基板300に実装され且つ主制御基板ケース311で覆われた複数の構成要素のうちの性能表示器300dが図示されている。図5は、裏カバー302を取り付けた状態の遊技機100の裏面図である。
【0048】
図4に示すように、遊技機100の裏面側には、主制御基板ケース311、遊技情報出力端子板312、賞球貯留タンク315、賞球払出流路317、副制御基板ケース319、払出球計数スイッチ316s、裏カバー302(図4では不図示、図5参照)、払出制御基板ケース313および内枠開放スイッチ145s等が設置されている。この他に遊技機100の裏側には、遊技機100の電源系統や制御系統を構成する各種の電子機器類(図示しない制御コンピュータを含む)、電源プラグを備えた電源コード及び接続配線等(いずれも不図示)が設置されている。
【0049】
遊技機100の裏面側中央には、遊技機100における遊技の基本動作を制御する主制御基板300が一部分を露出した状態で主制御基板ケース(ケース部材の一例)311に収容されて配置されている。主制御基板300の構成の詳細は後述する。主制御基板ケース311から露出した主制御基板300の一部分には、有利度合いが段階的に設定された設定値に関する操作に用いられる設定値操作部301が設けられている。設定値に段階的に設定された有利度合いは、例えば大役抽選の当選確率である。つまり、遊技機100では、設定中の設定値に応じて大役抽選が行われる。本実施形態において大役抽選は、設定値に応じて大当たりの当選確率が異なっており、設定値が高い場合の方が低い場合に比べて大当たりに当選しやすくなっている。設定値操作部301は、RAMクリアボタン305と、RAMクリアボタン305と隣り合わせて配置された設定キー差込口306とを有している。RAMクリアボタン305は、設定値に関する操作以外に、主制御基板300に設けられたメインRAM300c(図4では不図示)の初期化などにも用いられる。一方、設定キー差込口306は、設定値の変更および参照という設定値に関する操作のみに用いられる。設定値操作部301の詳細は後述する。また、主制御基板ケース311から露出した主制御基板300の一部分には、設定値操作部301以外に、主制御基板300に実装されたメインCPU300a(図4では不図示)などの電子部品に入力される所定信号や電力が供給される電子コネクタが設けられている。
【0050】
主制御基板ケース311の上方には、副制御基板ケース319が配置されている。副制御基板ケース319は、主に遊技中や待機中等の各演出を制御する副制御基板330が一部分を露出した状態で副制御基板ケース319に収容されて配置されている。副制御基板ケース319から露出した副制御基板330の一部分には、副制御基板330に実装されたサブCPU330aなどの電子部品に入力される所定信号や電力が供給される電子コネクタなどが設けられている。
【0051】
遊技情報出力端子板312は、遊技機100の外部の電子機器(例えばデータ表示装置、ホールコンピュータ等)に接続されている。遊技機100の遊技進行状態やメンテナンス状態等を表す各種の外部情報信号(例えば賞球情報、エラー情報、大当たり情報、始動口情報等)は、遊技情報出力端子板312から外部の電子機器に向けて出力される。
【0052】
賞球貯留タンク315は、図示しない補給経路から補給された遊技球を蓄えることができる。賞球の払出しが行われる際には、賞球貯留タンク315に蓄えられた遊技球は、賞球払出流路317を通って遊技機100の前面側の上皿132(図2参照)に導かれる。払出球計数スイッチ316sは、賞球払出流路317を通って払い出される遊技球数を検出する。
【0053】
払出制御基板ケース313は、遊技球を発射させるための制御、および、賞球を払い出すための制御を行う払出制御基板310が収められたケース部材である。副制御基板330及び払出制御基板310の詳細は後述する。
【0054】
払出制御基板ケース313の左下領域には、内枠開放スイッチ145sが設けられている。内枠開放スイッチ145sについては後述する。また、電源コード(不図示)は、例えば遊技店の島設備に設置された電源装置(例えばAC24V)に接続される。これにより、遊技機100の動作に必要な電源(電力)が確保される。
【0055】
図5に示すように、遊技機100は、主制御基板300(いずれも図5では不図示、図4参照)を主制御基板ケース311ごと覆って設けられた裏カバー(カバー部材の一例)302を備えている。さらに、裏カバー302は、副制御基板330(いずれも図5では不図示、図4参照)を副制御基板ケース319ごと覆って設けられている。裏カバー302は、主制御基板300および副制御基板330に容易に触れることができないように主制御基板ケース311および副制御基板ケース319を覆うカバー部材である。裏カバー302は、遊技機100の背面側に着脱可能に取り付けられている。
【0056】
遊技機100は、設定値操作部301(図5では不図示、図4参照)が操作される場合に少なくとも、設定値操作部301を露出可能に覆う可動カバー(可動カバー部の一例)309を備えている。裏カバー302には、設定値操作部301を囲んで配置された開口部321が形成されている。可動カバー309は、開口部321が形成された場所に取り付けられている。これにより、可動カバー309は、設定値操作部301と対応する位置で裏カバー302に設けられる。可動カバー309は、左上角部に設けられた軸部392Lおよび右上角部に設けられた軸部392Rを回転軸として、回転可能に裏カバー302に取り付けられている。可動カバー309は、裏カバー302に形成された開口部321を覆うことができる大きさを有している。このため、可動カバー309は、閉じられた状態(閉状態)にあると、図5に示すように、設定値操作部301の後側に配置される。これにより、設定値操作部301に触れることができなくなる。一方、可動カバー309は、可動カバー309の軸部392L,392Rを回転軸として回転させられて開かれた状態(開状態)にあると、設定値操作部301の後側から退避される(図示は省略)。これにより、設定値操作部301は、裏カバー302の開口部321において露出されるので、設定値操作部301は、開口部321を介して操作可能になる。このため、作業者は、設定値操作部301に触れることができるので、設定値に関する操作を行うことができる。詳細は後述するが、設定値に関する操作には、設定値を変更するための操作と、設定値を確認するための操作がある。
【0057】
(主制御基板の構成)
主制御基板300上の左上領域には、性能表示器300dが設けられている。本実施形態における性能表示器300dは、4つのデシマルポイント付きの7セグメントLED表示器で構成されている。具体的には、性能表示器300dは、4つの表示領域361,362,363,364を有している。表示領域361~364の7セグメントLED表示器を構成する各セグメントには番号(カウンタ値)が対応付けられている。表示領域361~364は、カウンタ値に対応する各セグメントを点灯制御することで数字およびアルファベットを表示できる。
したがって、性能表示器300dは、最大4つの英数字を表示することができる。4つの表示領域361,362,363,364を有する性能表示器300dは、後述する設定値や賞球数に基づく算出処理結果の値(例えば、ベース値等)を表示する。
【0058】
性能表示器300dは、例えばベース値を確認する者(警察官等)が表示内容を誤認なく確認できれば、図4に示す位置に限られず、主制御基板300上における主制御基板300の他の構成と重なり合うことのない確認容易な位置に設けられていてもよい。主制御基板ケース103は、内部に収容した主制御基板300が外部から視認できるように透明の材料(例えばポリカーボネート)で形成されている。
【0059】
性能表示器300dの下側には、メインIC300xが配置されている。メインIC300xは、例えばV5チップであって、メインCPU300a、メインROM300b及びメインRAM300c(図4では不図示、図6参照)を内蔵している。メインCPU300aは、各検出スイッチやタイマからの入力信号に基づいて、メインROM300bに格納されたプログラムを読み出して演算処理を行うとともに、各装置や表示器を直接制御したり、あるいは演算処理の結果に応じて他の基板にコマンドを送信したりする。また、メインRAM300cは、メインCPU300aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。
【0060】
主制御基板300上の左下端部には、RAMクリアボタン305が設けられている。主制御基板ケース103を封止した状態でRAMクリアボタン305が操作できるように、RAMクリアボタン305は主制御基板ケース103から外部に露出した状態で配置されている。RAMクリアボタン305が押圧操作されると、RAMクリア検出スイッチ305s(図6参照)がRAMクリアボタン305の押圧操作を検出し、RAMクリア信号が出力される。RAMクリア信号は、例えば電源投入時において、メインCPU300aがメインRAM300cの初期化を行うか否かの判定等に用いられる。
【0061】
(設定キー操作)
主制御基板300には、RAMクリアボタン305の他に設定キー差込口306が設けられている。設定キー差込口306は、後述する設定値の変更や設定値の参照に用いられる専用鍵(設定キー)を差し込むための差込口(鍵穴)である。本実施形態による遊技機100は、設定キーの操作とともにRAMクリアボタン305を押下することによって、設定値を1~6の6段階に設定可能に構成されている。詳しくは後述するが、遊技機100は、設定中の設定値に応じて遊技が進行するものであり、設定値ごとに有利度合いが異なっている。
【0062】
設定キー差込口306は、シリンダを有するシリンダ錠で構成されている。また、設定キー差込口306のシリンダは、主制御基板ケース103を貫通した状態(シリンダの周囲が主制御基板ケース103によって囲まれた状態)で設けられている。したがって、主制御基板300が主制御基板ケース103に封止された状態のままで設定キー差込口306に設定キーを差し込んで回転操作をすることが可能である。
【0063】
(制御手段の内部構成)
図6は、遊技の進行を制御する制御手段の内部構成を示すブロック図である。
【0064】
主制御基板300は遊技の基本動作を制御する。主制御基板300は、メインCPU300a、メインROM300b、メインRAM300cを備えている。メインCPU300aは、各検出スイッチやタイマからの入力信号に基づいて、メインROM300bに格納されたプログラムを読み出して演算処理を行うとともに、各装置や表示器を直接制御したり、あるいは演算処理の結果に応じて他の基板にコマンドを送信したりする。また、メインCPU300aは、演算処理時において、メインRAM300cやメインCPU300aの内部レジスタ(不図示)をデータのワークエリアとして用いる。
【0065】
ここで、メインCPU300aがワークエリアとして用いるメモリ領域のうち、メインRAM300cに割り当てられたメモリ領域(F000H~F3FFH)の用途例について図7を参照して説明する。
図7に示すように、本実施形態による遊技機100において、アドレスF000H~F1FFHの領域は、格納するデータの種類に応じて第一領域から第四領域の4つの領域に分けられる。第一領域は、設定値に関連する情報(設定値関連情報)および遊技状態に関する情報(遊技状態関連情報)を格納する領域である。第二領域は、メインCPU300aの初期化処理において電源復帰に係る誤り検出に用いられるチェックサム関連情報およびバックアップ関連情報を格納する領域である。第三領域は、エラー関連情報および第一通常遊技状態情報を格納する領域である。第4領域は、第二通常遊技情報を格納する領域およびスタックエリアとして用いられる領域である。
第一領域から第4領域を含むアドレスF000H~F1FFHの領域を、使用領域という。使用領域は、遊技機の進行に必須の情報(データ)を格納するメモリ領域であって、遊技規則によって使用容量が制限されている。
【0066】
メインRAM300cにおいて、アドレスF300H~F3FFHの領域は、遊技の進行に必須でない情報の格納に用いる領域であって、使用外領域という。本例では、使用外領域には、性能表示器300dの表示制御等に係る情報(性能表示関連情報)が格納される。また、使用外領域には、試験信号の出力制御に係る情報が格納されてもよい。試験信号は、遊技機100の現在の内部状態(例えば、特別遊技管理フェーズ、普通遊技管理フェーズ、発射位置指定の状態、大役遊技の実行状況、遊技状態(高確率、低確率、時短、非時短)等)を即時的(リアルタイム)に主制御基板300の外部に通知するために出力される信号である。
【0067】
また、図7に示すように、使用領域と使用外領域との間の領域(アドレスF200H~F2FFの領域)は、データの格納に用いられない未使用領域である。
このように、遊技機100において、メインRAM300cは、使用領域、使用外領域および未使用領域で構成されている。本例において、メインRAM300cには1バイトごとの領域にアドレス値が割り振られている。したがって、未使用領域として256バイトに相当する領域が割り当てられている。なお、未使用領域としては、少なくとも16バイト以上の領域が割り当てられていればよい。
【0068】
図6に戻って、本実施形態の遊技機100が実行する遊技は主に、第1始動口120または第2始動口122への遊技球の入球によって開始される特別遊技と、ゲート124を遊技球が通過することによって開始される普通遊技とに大別される。そして、主制御基板300のメインROM300bには、特別遊技および普通遊技を進行するための種々のプログラムや、各種の遊技に必要なデータ、テーブルが記憶されている。
【0069】
上記主制御基板300には、一般入賞口118に遊技球が入球したことを検出する一般入賞口検出スイッチ118s、第1始動口120に遊技球が入球したことを検出する第1始動口検出スイッチ120s、第2始動口122に遊技球が入球したことを検出する第2始動口検出スイッチ122s、ゲート124を遊技球が通過したことを検出するゲート検出スイッチ124s、第1大入賞口126に遊技球が入球したことを検出する第1大入賞口検出スイッチ126s、第2大入賞口128に遊技球が入球したことを検出する第2大入賞口検出スイッチ128sが接続されており、これら各検出スイッチから主制御基板300に検出信号が入力されるようになっている。
また、主制御基板300には、上述の他にも、第1大入賞口126内の特別領域180に遊技球が進入したことを検出する特別領域検出スイッチ181s、第1大入賞口126内の大入賞口内排出口131から遊技球が排出されたことを検出する排出口スイッチ131s、第1振分装置194が開状態の場合に球案内通路195に進入する遊技球を検出する第1振分検出スイッチ194sが接続されており、各検出スイッチから主制御基板300に検出信号が入力されるようになっている。
【0070】
また、主制御基板300には、第2始動口122の可動片122bを作動する普通電動役物ソレノイド122cと、第1大入賞口126を開閉する開閉扉126aを作動する第1大入賞口ソレノイド126cと、第2大入賞口128を開閉する開閉扉128bを作動する第2大入賞口ソレノイド128cと、可動片である第1振分装置194を作動する第1振分装置ソレノイド194cと、第2振分装置199のスライド板199aを作動する第2振分装置ソレノイド199cと、特別領域180を開閉する開閉部材180aを作動する特別領域ソレノイド180cと、が接続されており、主制御基板300によって、第2始動口122、第1大入賞口126および第2大入賞口128の開閉制御がなされるようになっている。
【0071】
さらに、主制御基板300には、第1特別図柄表示器160、第2特別図柄表示器162、第1特別図柄保留表示器164、第2特別図柄保留表示器166、普通図柄表示器168、普通図柄保留表示器170、右打ち報知表示器172が接続されており、主制御基板300によって、これら各表示器の表示制御がなされるようになっている。
【0072】
また、遊技機100には、前枠開放スイッチ141s、アウト検出スイッチ143sおよび内枠開放スイッチ145sが接続されている。以下、内枠開放スイッチ145sと前枠開放スイッチ141sとを総称して開閉枠部材開放スイッチと称する場合がある。開閉枠部材開放スイッチは、内枠104や前枠106といった開閉枠部材が開放されていることを遊技機100に発生していることを検出するスイッチである。
【0073】
前枠開放スイッチ141sは、前枠106が開放されていることを検出すると、主制御基板300に開放検出信号(オン信号)を出力する。また、内枠開放スイッチ145sは、内枠104が外枠102に対して開放されていることを検出すると、主制御基板300に開放検出信号(オン信号)を出力する。
【0074】
また、図6には図示しないが、遊技機100には、開閉枠部材開放スイッチの他にも、遊技機100の各構成の異常または各構成に対する不正の可能性があることを検出する種々の異常検出スイッチが設けられていてもよい。例えば、遊技機100には、異常検出スイッチとして、電波を検出する電波検出スイッチ、磁気を検出する磁気検出スイッチ等が設けられていてもよい。
【0075】
アウト検出スイッチ143sは、遊技領域116へ発射された遊技球が遊技機100の外部に排出されるときに通過する遊技球排出経路(不図示)を通過したことを検出すると、主制御基板300にアウト球検出信号(オン信号)を出力する。
一般入賞口118、第1始動口120、第2始動口122、第1大入賞口126および第2大入賞口128の何れかに入球した遊技球、並びに何れの入賞口にも入球せずに排出口130へ入球した遊技球が、上述の遊技機球排出経路を通過する。つまり、遊技領域116へ発射された後に集約されて外部へ排出される全ての遊技球が、遊技球排出経路においてアウト検出スイッチ143sによって検出される。
【0076】
さらに、遊技盤108の背面には、設定キースイッチ180sおよびRAMクリア検出スイッチ305sが設けられている。設定キースイッチ180sは、上述の設定キーによってアクセスが可能に構成されている。設定キースイッチ180sは、設定キー差込口306に差し込まれた設定キーの回転操作を検出すると、回転操作の状態(回転状態)を示す設定キー回転検出信号(オン信号)を主制御基板300に出力する。
また、RAMクリア検出スイッチ305sは、RAMクリアボタン305の押圧操作によってアクセス可能に構成されている。RAMクリア検出スイッチ305sは、RAMクリアボタン305の押下(押圧操作)を検出すると、押圧検出信号(オン信号)を主制御基板300に出力する。
【0077】
本実施形態による遊技機100は、設定キースイッチ180sにアクセス可能な設定キーおよびRAMクリアボタン305を用いることで、設定値の変更が可能となっている。
ここで、設定値の変更手順について説明する。
【0078】
(設定値変更手順)
設定値に関する操作のうちの設定値を変更するための操作の手順について説明する。
まず、遊技機100の電源が未投入(電源断)の状態において、設定変更を行う作業者は、専用の鍵を用いて外枠102に対して内枠104を開放する。これにより、遊技機100の裏面に配置された主制御基板300等の構成要素が視認可能となる。
遊技機100の裏面には、上述のように設定キーを挿入するための設定キー差込口306と、RAMクリアボタン305とが設けられている(図4参照)。作業者は設定キー差込口306に設定キーを挿入し、設定キーを一の方向(例えば、時計回り方向)に回転操作(変更操作)する。さらに、作業者は、RAMクリアボタン305を押下する。
【0079】
次いで、作業者は、設定キーを回転操作し、かつRAMクリアボタン305を押下した状態で遊技機100に電源を投入する。
電源が投入されると、内枠104が外枠102に対して開放されていることが内枠開放スイッチ145sによって検出され、開放検出信号(オン信号)が主制御基板300に入力される。また、電源投入によって設定キーが時計回りに回転される変更操作が行われたことが設定キースイッチ180sによって検出され、設定キー回転検出信号(オン信号)が主制御基板300に入力される。さらに、電源投入によってRAMクリアボタンが押下されたことがRAMクリア検出スイッチ305sによって検出され、押圧検出信号(オン信号)が主制御基板300に入力される。内枠開放スイッチ145s、設定キースイッチ180sおよびRAMクリア検出スイッチ305sによって、主制御基板300にオン信号が入力されたことに基づいて、遊技機100は設定値の変更(切替え)が可能な状態(設定変更状態)となる。
【0080】
作業者は、設定変更状態においてRAMクリアボタン305を任意の回数だけ押下し、RAMクリア検出スイッチ305sにアクセスすることにより、複数段階(例えば6段階)のうちいずれかの段階に設定値を変更することができる。このとき、設定値は、例えば、性能表示器300dの表示領域361~364に表示される。
【0081】
作業者は、設定値を任意の値に変更すると、変更操作時に時計回りに回転させた設定キーを、反時計回りに回転させて元の位置に戻す(復帰操作)。復帰操作により、設定キーが元の位置に復帰したことが設定キースイッチ180sによって検出され、当該検出を示す信号(オフ信号)が設定キースイッチ180sから主制御基板300に入力される。主制御基板300は、当該オフ信号の入力に基づいて設定値の変更を確定する。なお、設定キースイッチ180sは、回転操作の検出に基づいて、定期的に設定キー回転検出信号(オン信号)を主制御基板300に出力し、復帰操作が検出されるまではオン信号の出力を継続し、復帰操作を検出すると主制御基板300への設定キー回転検出信号(オン信号)の出力を停止してもよい。この場合、主制御基板300は、当該オン信号の入力が停止したことに基づいて、設定値の変更を確定すればよい。
【0082】
設定値の変更が確定し、作業者が設定キーを設定キー差込口306から抜き取ると、性能表示器300dに表示されていた設定値が消去され、設定値の表示が終了する(設定値が非表示となる)。最後に、作業者は、遊技機100の内枠104を閉じて専用の鍵によって施錠する。これにより、設定の変更作業が完了する。設定の変更作業が完了すると、通常の遊技が開始される。
【0083】
詳細は後述するが、設定値が変更された場合、主制御基板300のメインCPU300aは、変更後の設定値をメインRAM300cの所定の領域(例えば、バックアップの対象となる使用領域のうち第一領域)に記憶する。これにより、遊技中において設定中の設定値を参照することができる。
【0084】
このように、遊技機100は、電源投入時に設定キースイッチ180sにおいて設定キーの変更操作を検出(設定キーON)し、内枠開放スイッチ145sにおいて内枠104が解放されたこと(内枠開放状態)を検出し、かつRAMクリア検出スイッチ305sにおいてRAMクリアボタン305が押圧操作されたことを検出(RAMクリア押下状態)した場合に、設定変更状態(設定変更モード)となる。
設定変更状態では、特別遊技および普通遊技等の情報を表示する各表示器160~172の表示は行われず、遊技球の発射や遊技球の賞球等の通常の遊技ができない状態となる。なお、設定変更状態において、各表示器160~172は、消灯状態を維持してもよいし、または設定変更状態中において専用の(特定の)点灯パターンを維持して通常の表示とは異なる表示態様にしてもよい。
【0085】
(設定確認状態)
以上、設定値の変更について説明したが、遊技機100では設定値に関する操作として、設定値を変更せずに現在設定中の設定値を確認する操作を行うことができる。
具体的には、上述の設定変更手順において設定キーを変更操作(時計回り方向に回転操作)した状態で、RAMクリアボタン305を押下せずに、遊技機100に電源を投入すると、現在設定中の設定値の確認が可能な状態(設定確認状態)となる。
【0086】
つまり、遊技機100は、電源投入時に設定キースイッチ180sにおいて設定キーの変更操作を検出(設定キーON)し、内枠開放スイッチ145sにおいて内枠104画解放されたこと(内枠開放状態)を検出し、かつRAMクリア検出スイッチ305sにおいてRAMクリアボタン305が押圧操作されたことを検出していない(RAMクリア未押下状態)場合に、設定確認状態(設定確認モード)となる。
設定変更状態と同様に、設定確認状態では、各表示器160~172の表示は行われず、遊技球の発射や遊技球の賞球等の通常の遊技ができない状態となる。なお、設定確認状態において、各表示器160~172は、消灯状態を維持してもよいし、または設定確認中において専用の(特定の)点灯パターンを維持して通常の表示とは異なる表示態様にしてもよい。また、設定確認状態において、各表示器160~172は、専用の(特定の)点灯パターンを維持して設定変更状態とは異なる表示態様にしてもよい。
【0087】
図6に示すように、主制御基板300には、払出制御基板310および副制御基板330が接続されている。
【0088】
払出制御基板310は、遊技球を発射させるための制御、および、賞球を払い出すための制御を行う。払出制御基板310も、CPU、ROM、RAMを備えており、主制御基板300に対して双方向に通信可能に接続されている。払出制御基板310には遊技情報出力端子板312が接続されており、主制御基板300から出力される遊技進行上の種々の情報が、払出制御基板310および遊技情報出力端子板312を介して、遊技店のホールコンピュータ等に出力されることとなる。
【0089】
また、払出制御基板310には、貯留部に貯留された遊技球を賞球として遊技者に払い出すための払出モータ314が接続されている。払出制御基板310は、主制御基板300から送信された払出個数指定コマンドに基づいて払出モータ314を制御して所定の賞球を遊技者に払い出すように制御する。このとき、遊技球の払い出しが払出検知スイッチ315sによって検出され、払い出された遊技球数が払出球計数スイッチ316sによって検出され、払い出すべき賞球が遊技者に払い出されたかが把握されるようになっている。払出モータ314の駆動により実際に賞球が払い出されると、その都度、払出検知スイッチ315sからの検知信号および払出球計数スイッチ316sからの計数信号が払出制御基板310に入力される。
【0090】
また、払出制御基板310には、下皿134の満タン状態を検出する皿満タン検出スイッチ318sが接続されている。皿満タン検出スイッチ318sは、賞球として払い出される遊技球を下皿134に導く通路に設けられており、当該通路を遊技球が通過するたびに、遊技球検出信号が払出制御基板310に入力されるようになっている。
【0091】
そして、下皿134に所定量以上の遊技球が貯留されて満タン状態になると、下皿134に向かう通路内に遊技球が滞留し、皿満タン検出スイッチ318sから払出制御基板310に向けて、遊技球検出信号が連続的に入力される。払出制御基板310は、遊技球検出信号が所定時間連続して入力された場合に、下皿134が満タン状態であると判断し、皿満タンコマンドを主制御基板300に送信する。一方、皿満タンコマンドを送信した後、遊技球検出信号の連続入力が途絶えた場合には、満タン状態が解除されたと判断し、皿満タン解除コマンドを主制御基板300に送信する。
【0092】
また、払出制御基板310には、発射制御基板320が双方向に通信可能に接続されている。発射制御基板320は、払出制御基板310から発射制御データを受信すると発射の許可を行う。発射制御基板320は、操作ハンドル112に設けられ、操作ハンドル112に遊技者が触れたことを検出するタッチセンサ112sと、操作ハンドル112の操作角度を検出する操作ボリューム112aと、が接続されている。そして、タッチセンサ112sおよび操作ボリューム112aから信号が入力されると、発射制御基板320において、遊技球発射装置に設けられた発射用ソレノイド112cを通電して遊技球を発射させる制御がなされる。
【0093】
副制御基板330は、主に遊技中や待機中等の各演出を制御する。副制御基板330は、サブCPU330a、サブROM330b、サブRAM330c、画像制御部340、音声制御部350、照明制御部360および可動体制御部370を備えている。サブCPU330a、画像制御部340、音声制御部350、照明制御部360および可動体制御部370は、それぞれ個別の回路で構成されていてもよい。また、サブCPU330a、画像制御部340、音声制御部350、照明制御部360および可動体制御部370は、少なくとも2つ以上が1つの回路で構成(例えば1パッケージ化または1チップ化)され、この回路の機能ブロックとして構成されていてもよい。
【0094】
副制御基板330は、主制御基板300に対して、主制御基板300から副制御基板330への一方向に通信可能に接続されている。サブCPU330aは、主制御基板300から送信されたコマンドやタイマからの入力信号等に基づいて、サブROM330bに格納されたプログラムを読み出して演算処理を行うとともに、演出を実行するためのコマンドを、画像制御部340、音声制御部350、照明制御部360および可動体制御部370の少なくとも1つに送信する。このとき、サブRAM330cは、サブCPU330aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。
【0095】
画像制御部340は、演出表示装置200の演出表示部200aに画像を表示させる画像表示制御を行うものであり、CPU、ROM、RAM、VRAMを備えている。画像制御部340のROMには、演出表示部200aに表示される図柄や背景等の画像データが多数格納されており、副制御基板330から送信されたコマンドに基づいて、CPUが、画像データをROMからVRAMに読み出して、演出表示部200aの画像表示を制御する。
【0096】
音声制御部350は、副制御基板330から送信されたコマンドに基づいて、音声出力装置206から音声を出力させる音声出力制御を行う。また、照明制御部360は、副制御基板330から送信されるコマンドに基づいて、大入賞口照明装置622を含む演出照明装置を点灯させる点灯制御を行う。例えば、照明制御部360は、副制御基板330を介して、第1大入賞口126に遊技球が入球したことを示す主制御コマンドである後述する大入賞口入球コマンドが送信されると、LED基板26aを有する大入賞口照明装置622に所定の信号(点灯信号)を送信してLEDランプ26bを点灯させる点灯制御を行う。これにより、遊技機100は、第1大入賞口126への遊技球の入球を遊技者の視覚に訴える演出を行うことができる。可動体制御部370は、副制御基板330から送信されたコマンドに基づいて、演出役物装置202を可動したり、演出操作装置208の押下ボタン208aを遊技者側に飛び出させて可動したりする動作制御を行う。また、可動体制御部370は、押下ボタン208aが押下操作されたことを検出するボタン操作検出スイッチ208s1または演出操作装置208の演出レバー208bが入力操作されたことを検知するレバー操作検出スイッチ208s2から操作検出信号が入力された際に、所定のコマンドあるいは制御信号を副制御基板330に送信する。
【0097】
なお、各基板には、不図示の電源基板が接続されており、電源基板を介して商用電源から各基板に電力供給がなされている。また、電源基板にはコンデンサからなるバックアップ電源が設けられている。
【0098】
次に、本実施形態の遊技機100における遊技について、メインROM300bに記憶されている各種テーブルと併せて説明する。
【0099】
前述したように、本実施形態の遊技機100は、特別遊技と普通遊技の2種類の遊技が並行して進行するものであり、これら両遊技を進行する際の遊技状態として、低確率遊技状態または高確率遊技状態のいずれかの遊技状態と、非時短遊技状態または時短遊技状態のいずれかの遊技状態と、が組み合わされたいずれかの遊技状態にて遊技が進行する。
【0100】
各遊技状態の詳細については後述するが、低確率遊技状態というのは、第1大入賞口126および第2大入賞口128が開放される大役遊技を実行する権利獲得の確率が低く設定された遊技状態であり、高確率遊技状態というのは、大役遊技を実行する権利獲得の確率が高く設定された遊技状態である。
【0101】
また、非時短遊技状態というのは、可動片122bが開状態になりにくく、第2始動口122に遊技球が入球しにくい遊技状態であり、時短遊技状態というのは、非時短遊技状態よりも可動片122bが開状態になりやすく、第2始動口122に遊技球が入球しやすい遊技状態である。なお、遊技機100の初期状態は、低確率遊技状態および非時短遊技状態に設定され、この遊技状態を本実施形態では通常遊技状態と称する。
【0102】
遊技者が操作ハンドル112を操作して遊技領域116に遊技球を発射させるとともに、遊技領域116を流下する遊技球が第1始動口120または第2始動口122に入球すると、遊技者に遊技利益を付与するか否かの抽選(以下、「大役抽選」という)が行われる。この大役抽選において、大当たりに当選すると、第1大入賞口126(または第2大入賞口128)が開放されるとともに第1大入賞口126(または第2大入賞口128)への遊技球の入球が可能となる大役遊技が実行され、また、当該大役遊技の終了後の遊技状態が、上記のいずれかの遊技状態に設定される。また、本実施形態では、大役抽選において小当たりに当選した場合、第1大入賞口126が開放される小当たり遊技が実行され、さらに第1大入賞口126内の特別領域180に遊技球が進入すると、小当たり遊技の終了後に第2大入賞口128が開放される大役遊技が実行される。しかしながら、小当たり遊技の実行後における、特別領域180への遊技球の進入に基づく大役遊技、すなわち大当たりの当選に伴わない大役遊技の終了後には、遊技状態の設定は実行されない。このように、本実施形態による遊技機100における複数の当たり(大当たりおよび小当たり)は、遊技利益が異なるように設定されている。以下では、大役抽選方法について説明する。
【0103】
詳しい説明は省略するが、第1始動口120または第2始動口122に遊技球が入球すると、この入球を契機に大役抽選に用いられる種々の乱数(大当たり決定乱数、当たり図柄乱数、リーチグループ決定乱数、リーチモード決定乱数、変動パターン乱数)の乱数値が取得されるとともに、これら各乱数値がメインRAM300cの特図保留記憶領域に記憶される。以下では、第1始動口120に遊技球が入球して特図保留記憶領域に記憶された種々の乱数を総称して特1保留とよび、第2始動口122に遊技球が入球して特図保留記憶領域に記憶された種々の乱数を総称して特2保留とよぶ。
【0104】
メインRAM300cの特図保留記憶領域は、第1特図保留記憶領域と第2特図保留記憶領域とを備えている。第1特図保留記憶領域および第2特図保留記憶領域は、それぞれ4つの記憶部(第1~第4記憶部)を有している。そして、第1始動口120に遊技球が入球すると、特1保留を第1特図保留記憶領域の第1記憶部から順に記憶し、第2始動口122に遊技球が入球すると、特2保留を第2特図保留記憶領域の第1記憶部から順に記憶する。
【0105】
例えば、第1始動口120に遊技球が入球したとき、第1特図保留記憶領域の第1~第4記憶部のいずれにも保留が記憶されていない場合には、第1記憶部に特1保留を記憶する。また、例えば、第1記憶部~第3記憶部に特1保留が記憶されている状態で、第1始動口120に遊技球が入球した場合には、特1保留を第4記憶部に記憶する。また、第2始動口122に遊技球が入球した場合にも、上記と同様に、第2特図保留記憶領域の第1記憶部~第4記憶部の中で、特2保留が記憶されていない、最も番号(序数)の小さい記憶部に特2保留が記憶される。
【0106】
ただし、第1特図保留記憶領域および第2特図保留記憶領域に記憶可能な特1保留数(X1)および特2保留数(X2)は、それぞれ4つに設定されている。したがって、例えば、第1始動口120に遊技球が入球したときに、第1特図保留記憶領域に既に4つの特1保留が記憶されている場合には、当該第1始動口120への遊技球の入球によって新たに特1保留が記憶されることはない。同様に、第2始動口122に遊技球が入球したときに、第2特図保留記憶領域に既に4つの特2保留が記憶されている場合には、当該第2始動口122への遊技球の入球によって新たに特2保留が記憶されることはない。
【0107】
上述のとおり、遊技機100では、第1始動口120または第2始動口122(図3参照)への遊技球の入球を契機とする特別遊技と、ゲート124(図3参照)への遊技球の通過を契機とする普通遊技とが、同時並行して進行する。特別遊技に係る処理は、段階的に、かつ、繰り返し実行される。同様に、遊技機100では、ゲート124への遊技球の通過を契機とする普通遊技に係る処理が、段階的に、かつ、繰り返し実行される。
【0108】
遊技機100では、主制御基板300に設けられたメインCPU300aは、特別遊技に係る各処理および普通遊技に係る各処理を、CPU初期化処理(詳細な説明は省略する)に所定の周期(本実施形態では4ミリ秒、以下「ミリ秒」を「ms」と表記する)で割り込むタイマ割込み処理において実行する。メインCPU300aは、このタイマ割込み処理における特別遊技に係る処理や普通遊技に係る処理の結果の情報を含むコマンドを副制御基板330に送信する。メインCPU300aは、例えば大役抽選の抽選結果の情報を含むコマンドや当該抽選結果を報知するために特別図柄を変動表示するための変動時間(変動パターン)の情報を含むコマンドなどを副制御基板330に送信する。
【0109】
遊技機100では、副制御基板330に設けられたサブCPU330aは、サブCPU初期化処理(詳細な説明は省略する)に所定の周期(本実施形態では例えば2ms)でタイマ割込み処理プログラムを読み込んで当該サブタイマ割込み処理を実行する。サブCPU330aは、サブタイマ割込み処理において、主制御基板300から送信されるコマンドに基づいて、演出表示部200aに表示する演出図柄210a,210b,210cの変動演出の表示パターン、演出役物装置202、音声出力装置206および演出照明装置204のそれぞれの動作パターンなどを決定する。さらに、サブCPU330aは、サブタイマ割込み処理において、決定した動作パターンなどの情報を含む種々のコマンドを作成し、画像制御部340、音声制御部350、照明制御部360および可動体制御部370のうちの対応する制御部にこれらのコマンドを送信する。
【0110】
(ルート振分ユニットの構成)
次に、第1遊技領域116aにおける遊技球の流下経路(ルート)の振分けに係る構成であるルート振分ユニット7について、図3を参照しつつ図8から図13を用いて説明する。
【0111】
図8は、図3に示すルート振分ユニット7を拡大した正面図であり、図9は、ルート振分ユニット7の斜視図である。また、図10図8に示すA-A線で切断したルート振分ユニット7の断面図である。理解を容易にするため、図10には遊技球B1,B2を合わせて図示している。図11図8に示すB-B線で切断したルート振分ユニット7の断面図である。また、図12はルート振分ユニット7の上流領域7aにおける遊技球の流下経路の一例を示す図である。また、図13はルート振分ユニット7の下流領域7bを流下する遊技球の流下経路の一例を示す図である。具体的には、図13(a)は第1振分装置194が閉状態の下流領域7bを流下する遊技球の流下経路の一例を示す図であり、図13(b)は第1振分装置194が開状態の下流領域7bを流下する遊技球の流下経路の一例を示す図である。
【0112】
図3に示すように、本実施形態による遊技機100においてルート振分ユニット7は、遊技盤108の第1遊技領域116aの上部(第1遊技領域116aへの遊技球の進入口の近傍)から中央部にかけて配置されている。ルート振分ユニット7は、複数(本例では、3つ)のボス70、振分台710、第1振分装置194および第1振分検出スイッチ194sを含んで構成され、遊技盤108の前面に取り付けられたユニット部材である。ルート振分ユニット7は、流下する遊技球が衝突可能に突出した複数のボス70および振分台710や第1振分装置194の開閉によって、遊技球の流下態様に多様性を与え、第1遊技領域116aに導かれた遊技球の流下経路(ルート)を振り分け可能に構成されている。
【0113】
(ルート振分ユニットの構成要素)
まず図8および図9を用いてルート振分ユニット7の全体構成について説明する。
図8に示すように、ルート振分ユニット7は、遊技球の流下方向(本例では、上下方向)に延伸する薄板状のベース部材17を有している。本実施形態による遊技機100において、ベース部材17は樹脂(例えば合成樹脂)を素材として形成されている。ルート振分ユニット7に進入した遊技球は、ベース部材17の前面17a側を流下空間としてルート振分ユニット7内を流下する。ルート振分ユニット7における各構成は、いずれもベース部材17と一体に形成されているか、またはベース部材17に取り付けられている。
【0114】
上述のようにルート振分ユニット7は複数の構成要素で構成されたユニット部材であって、遊技盤108に取り付けられている。具体的には、ルート振分ユニット7は、ベース部材17の背面(不図示)が遊技盤108の前面に接するようにして遊技盤108に固定(本例では、ねじ止め)されている。つまり、ルート振分ユニット7は、遊技盤108の前面側を形成する部材である。したがって、ルート振分ユニット7の各構成は、遊技領域116(本例では第1遊技領域116a)において、遊技盤108の前面側に設けられた部材に相当する。このため、遊技盤108の前面側においてルート振分ユニット7が設けられた領域では、ベース部材17の前面17aが遊技盤の前面に相当する。
【0115】
(上流領域および下流領域)
図8に示すように、ルート振分ユニット7は、上流領域7aと下流領域7bとを有している。上流領域7aは、ルート振分ユニット7の上部から中央部に亘る領域であって、第1振分装置194よりも上流側の領域である。また下流領域7bは、ルート振分ユニット7の下部領域であって、上流領域7aよりも下流側に位置する第1振分装置194を含む領域である。
【0116】
(上流領域の構成)
ルート振分ユニット7の上流領域7aには、遊技領域116(本例では第1遊技領域116a)を流下する遊技球と接触可能に突起する複数の突起構造を有する突起群107が設けられている。突起群107は、ルート振分ユニット7においてベース部材17の前面17a(遊技盤108の前面に相当)を前方に隆起させて形成された複数の突起構造(3つのボス70および振分台710)で構成されている。図9に示すように、突起群107を構成する3つのボス70a~70cのそれぞれ(突起部の一例)および振分台710(突起部の一例)は、ルート振分ユニット7内における遊技球の流下方向に沿って所定の間隙を設けて配置されており、ベース部材17から前方に突出している。本実施形態による遊技機100において、突起群107に含まれる各突起構造はいずれも樹脂(例えば合成樹脂)を素材として形成されている。突起群107を構成する各突起構造の詳細は後述する。
【0117】
図8に戻って、ルート振分ユニット7の上流領域7aには、第1遊技領域116aにおいて遊技盤108の前面(ここでは、ベース部材17の前面17a)から前方に隆起する一対の波形側壁8(左波形側壁81および右波形側壁82)が設けられている。一対の波形側壁8は、ベース部材17の前面17aから前方に隆起するように形成された薄板状の部材である。一対の波形側壁8は、遊技者が遊技機100に相対した遊技者から見た正面視において、複数の円弧が連なる形状を有している。つまり、一対の波形側壁8は、突起群107を構成する突起構造間に設けられた所定の間隙において距離が近づき、突起群107の配置領域において距離が遠退くような波形状に形成されている。一対の波形側壁8は、上流領域7aの左縁部においてベース部材17から前方に隆起する左波形側壁81と、上流領域7aの右縁部においてベース部材17から前方に隆起し、左波形側壁81と対向する右波形側壁82とで構成されている。本実施形態による遊技機100において、一対の波形側壁8は樹脂(例えば合成樹脂)を素材として形成されており、ベース部材17と一体形成されている。
【0118】
一対の波形側壁8(左波形側壁81、右波形側壁82)は、第1遊技領域116aのルート振分ユニット7において、突起群107を挟んで設けられており、突起群107とともに遊技球が通過可能な球通路を形成している。上流領域7aは、突起群107を中心として一対の波形側壁8に左右を区画されている。一対の波形側壁8の構成の詳細は後述する。
【0119】
上述のように、本実施形態による遊技機100において、ルート振分ユニット7内には釘(いわゆる遊技釘)が設けられていない。しかしながら、ルート振分ユニット7の上流領域7aにおいて、遊技球は突起群107のそれぞれの突起構造(ボス70a~70c、振分台710)および一対の波形側壁8に衝突することで種々の方向に弾かれ、多様な流下経路を辿って下流領域7bに流下可能である。例えば、ルート振分ユニット7は、上流領域7aにおいて少なくとも2個の遊技球が異なる流下経路を流下可能に形成されている。つまり、ルート振分ユニット7は、ルート振分ユニット7内を流下する遊技球を、少なくとも2つの異なる流下経路に振り分け可能に構成されている。上流領域7aにおける遊技球の流下経路の詳細については後述する。
【0120】
また図8に示すように、ルート振分ユニット7の上流領域7aの最上部右側には、薄板状部材である球受け台79aが設けられている。球受け台79aは、右波形側壁82に連接され、右向きに屈曲された平坦面である。球受け台79aは、第1遊技領域116aに放出されてルート振分ユニット7に進入する遊技球を受け入れる部材であって、発射直後の遊技球の落下速度を減速させるとともに、落下による衝撃を緩和させる構成である。また、上流領域7aは複数(本例では3つ)のボス70側に傾斜した形状を有しており、ボス70a~70cの方向に遊技球を導き易く構成されている。
【0121】
次に、図8を参照しつつ、図9および図10を用いて突起群107の各構成について説明する。
(ボスの構成)
まず、突起群107を構成する3つのボス70(ボス70a~70c)の詳細な構成を説明する。図8に示すように、ボス70a,70b,70cは、この順に、上流領域7aにおいて一対の波形側壁8に区画された球通路の中央に縦方向に並んで設けられている。3つのボス70のうち、上から2番目のボス70bは、上から1番目のボス70aよりも左より(左波形側壁81より)に設けられている。また、上から3番目のボス70cは、ボス70bよりもさらに左よりに設けられている。つまり、上流領域7aにおいてボス70a,70b,70cは、遊技球の流下方向に沿って徐々に左方向に向かうように配置されている。
【0122】
詳しくは後述するが、3つのボス70a,70b,70cは、球通路として形成されたルート振分ユニット7の上流領域7a中央において、遊技球が通過可能な所定の間隙を設けて配置されている。具体的には、3つのボス70a,70b,70cのそれぞれは、一の遊技球の直径(11ミリメートル)よりも離間して設けられている。このため、本実施形態による遊技機100において、遊技球は遊技球1個分より広い空間を有するボス70a,70b間、およびボス70b,70c間を通過可能であり、上流領域7a内において左波形側壁81側の流下経路(左ルート)と右波形側壁82側の流下経路(右ルート)とを行き来することができる。
【0123】
本実施形態による遊技機100において、ボス70a,70b,70cはいずれも同じ形状を有している。ここで、上から3番目のボス70cを例にとって、ボス70の詳しい形状について説明する。図9に示すようにボス70cは、円筒形状を有しベース部材17の前方へ突出する先端部72と、ベース部材17の前面17aが隆起したボス70cの基端から先端部72に繋がる基端部73とを有している。図10に示すように、ボス70cは、ベース部材17の前面17aおよび背面17bを前方に隆起させて形成された突起構造である。
【0124】
ボス70cにおいて、先端部72の前面71は平坦面であって、正面視において円環形状を有しており、中央に円形状の開口端71aが形成されている(図8参照)。また、図10に示すように、円筒形状を有する先端部72の内部には、ボス70cの外周の厚みよりも若干薄く形成された板状部材である補強部74が形成されている。補強部74は、ボス70cの前方への突出長さの中間領域に設けられている。補強部74は、上流領域7aを流下(または落下)する遊技球の衝突による衝撃に対する先端部72の破損(例えば、折れ)のおそれを低減して耐久性を向上することができる。つまり、補強部74は、ボス70cの強度を向上するための部材である。
【0125】
また、先端部72の内部には、補強部74の前面74aを底面として前方に向かって開口するボス穴72aが設けられている。ボス70cにおける前面71の開口端71aがボス穴72aの開口端に相当する。
【0126】
図10に示すようにボス70cにおいて、前面71を始端とし、補強部74の背面74bを上下に延伸させた仮想平面とボス70cの外周面との交線を終端とする領域が先端部72に相当する。またボス70cの基端部73は、ベース部材17の前面17aが隆起したボス70cの基端を含む領域であって、当該仮想平面とボス70cの外周面との交線を始端とし、ボス70cの基端を終端とする領域に相当する。より具体的には、ボス70cにおける基端部73は、ボス70cと、遊技領域116において遊技球の流下面にあたる遊技盤108の前面(ここではベース部材17の前面17a)とが交わる部分に形成されている。つまり基端部73は、ボス70cにおいて遊技盤108寄りの根元(基端)領域に相当する。このため、遊技店の島設備において遊技機100を寝かせ配置(遊技盤108を後傾させた配置)とした場合に、上述の流下面に沿ってルート振分ユニット7を流下する遊技球は、ボス70cの基端部73に向かって流下し易くなっている。
【0127】
本例のボス70cにおいて、先端部72と基端部73とはベース部材17を隆起させて一体形成されている。ボス70cの基端部73の太さ(外周幅)は、先端部72の近傍領域(補強部74の背面74bの近傍領域)においては先端部72の太さとほぼ同じであるが、基端側に向かって徐々に太くなっている。したがって、正面視において円形状を有する基端部73の外周は、先端部72の前面71の外周よりも大きくなっている(図8参照)。
【0128】
より詳細には、図10に示すように、基端部73の表面には曲面73aが形成されている。曲面73aは、基端部73の外周面において、先端部72と連接する基端部73の始端から基端部73の基端側に向かって末広がりの形状を有している。また、曲面73aはボス70cの内部方向に屈曲する仰け反り曲面である。つまり、ボス70cにおいて曲面73aを有する基端部73の外周面(基端部73の径)は、前方に突出する先端部72の外周面(先端部72の径)よりも大きく遊技盤108側に向かって広がっている。したがって基端部73は、末広がりの仰け反り曲面を有する隆起構造であり、遊技盤108の前面(ここではベース部材17の前面17a)からボス70cの先端に向かって隆起している。このため、ボス70cの基端部73は、先端部72の終端から基端部73の基端側に向かって太くなるように形成されている。基端部73の太さが基端側に向かって増すことにより、ボス70cは上流領域7aを流下(または落下)する遊技球の衝突による衝撃に対する耐久性が向上される。このため、本実施形態による遊技機100は、ボス70cが破損する(例えば、折れる)おそれを低減することができる。
【0129】
また、本実施形態による遊技機100において、ボス70cの基端部73は、遊技球の半径(5.5ミリメートル)よりも大きい曲率半径(本例では、6ミリメートル)を有する曲面状に形成されている。具体的には、基端部73に形成された曲面73aは、遊技球の半径よりも大きい曲率半径を有している。これにより、ボス70cの基端部73は、遊技領域116(本例では第1遊技領域116a)を流下する遊技球と一点で接触可能となっている。このため、ルート振分ユニット7の上流領域7aを流下する遊技球は、ボス70cを含む複数のボス70(本例ではボス70a~70c)との衝突によって流下速度を減速しながらも、滞留することなく円滑に流下することができる。
【0130】
曲面73aの曲率半径が遊技球の半径よりも大きい場合、ルート振分ユニット7の上流領域7aを流下してボス70cの基端部73に衝突した遊技球は、曲面73aにおいて基端部73と一点で接触する。例えば、ボス70cの基端部が遊技球の半径と同等の曲率半径を有する曲面状に形成されている場合、基端部は、遊技球の球面外周のほぼ4分の1に相当する広域接触面において遊技球と接触(面接触)する。これに対し本実施形態では、ボス70cの基端部73の曲面73aは、遊技球の半径よりも大きい曲率半径を有している。このため基端部73は、前述の広域接触面よりも小さい一の接触面で遊技球と接触(点接触)する。したがって、ボス70cに衝突した遊技球は、基端部73の曲面73a上において不安定な状態となる。
【0131】
図10には、一例として遊技球B1と曲面73aとが一の接触点P1で接触している状態が図示されている。また、ボス70cにおいて、基端部73と連設する円筒形状の先端部72も、遊技球と一点で接触する構成である。つまり本実施形態において、遊技球とボス70cとは2点以上の接触点で接触することはなく、上述の広域接触面による面接触もしない。
【0132】
また、ボス70cにおいて、曲面73aの曲率半径が遊技球の半径よりも大きいことにより、曲面73aは、曲面73aに沿って遊技球を前方(ボス70cの先端部72の前面71方向)に押し出す作用、つまり一点接触した遊技球を前方方向に遊技球を逃がす作用(以下、「逃がし作用」と称する場合がある)を奏する。これにより、ボス70cは、接触した遊技球の流下速度を減速しつつも、接触後の遊技球を円滑に流下させることができる。
【0133】
また、上述の逃がし作用により、ボス70cは、第1遊技領域116aに次々と遊技球が発射され、複数の遊技球がルート振分ユニット7内を連続して流下するような状況においても、ボス70cと遊技球との球噛みの発生を防止することができる。したがって遊技機100は、ルート振分ユニット7の上流領域7a内において遊技球をより円滑に流下させることができる。具体的には、図10に示すように、ボス70cにおける基端部73の曲面73aと一の接触点(本例では接触点P1)で接触した遊技球B1の上方から、遊技球B1と連続して後続の遊技球B2が流下し、遊技球B1と接触点P2において接触したとする。この場合、例えば遊技球B1には、接触点P2において上方(遊技球B2)から曲面73aに押しつけられる方向の力が加わり、遊技球Bがボス70cに寄り掛かる状態になる。しかしながら、ボス70cの基端部73において、遊技球B1と曲面73aとの接触点は1つ(接触点P1のみ)である。このため、先行の遊技球B1は、B1の下部側でボス70cの基端部73と接触し、B1の上部側で後続の遊技球B2と接触した際に、基端部73および遊技球B2との間で3点以上の接触点が生じない。したがって、曲面73aにおける上述の逃がし作用によって、遊技球B1は曲面73aに沿って前方に押し出され、ボス70cの前面71方向に逃がされる。このため、ボス70cは、遊技球B1が遊技球B2とボス70cの基端部73との間に挟まれて球噛みが発生することを防止することができる。
【0134】
ここで仮に、ボス70cの基端部が遊技球と一点で接触可能な構成を有していない、つまり基端部が遊技球と2点以上で接触する構成、または面接触(上述の広域接触面で接触)する構成であるとする。この場合、遊技球はボス70cの基端部上において安定した状態になる。したがって、遊技球は、ボス70cの基端部において後続の遊技球(後続球)と接触した際に、基端部および後続球との間に挟まれて球噛みが生じる場合がある。また、基端部が遊技球と2点以上で接触する構成を有する場合、基端部との接触後の遊技球は不規則な方向に転動して過度に減速される場合がある。つまり、ボス70cの基端部が遊技球と一点で接触可能な構成を有していない場合、ルート振分ユニット7内において遊技球の意図しない滞留が発生して、遊技球の円滑な流下が阻害されるおそれがある。
【0135】
これに対し、本実施形態による遊技機100においてボス70cは、上述のように基端部73が遊技球の半径よりも大きい曲率半径を有する曲面形状に形成され、基端部73と遊技球とが一点で接触可能な構成を有する。これにより、遊技機100は、ルート振分ユニット7内において球噛みの発生を抑制し、遊技球が球通路(本例では、ルート振分ユニット7内)を流下する際の円滑さを向上させて、遊技者の遊技に対する興趣の向上を図ることができる。
【0136】
また、ボス70cの根元領域に相当する基端部73の曲面73aの曲率半径が遊技球の半径よりも大きく形成されていることで、上流領域7aを流下している遊技球は、ボス70cに衝突する際にまず基端部73側に導かれる。そして、基端部73に接触して流下速度が減速された遊技球は、減速状態で先端部72に接触するか、又は先端部72に接触せずに流下を継続する。このようにボス70cは、遊技球が直接に先端部72に衝突する頻度を低減させることで、先端部72に対する衝撃を緩和してボス70cの耐久性を向上せることができる。
【0137】
以上、3つのボス70a~70cのうち、ボス70cを例にとって形状及び作用効果を説明したが、ボス70a,70bもボス70cと同一の形状及び構造を有しており、ボス70cと同様の作用効果を奏する。したがって、本実施形態による遊技機100において、3つのボス70(ボス70a~70c)はいずれも、基端部73が遊技球の半径よりも大きい曲率半径を有する曲面形状を有し、基端部73が遊技球と一点で接触可能な構成を有している。これにより、3つのボス70は、遊技球が球通路(本例では、ルート振分ユニット7内)を流下する際の円滑さを向上させて、遊技者の遊技に対する興趣の向上を図ることができる。また具体的には、基端部73には遊技球の半径よりも大きい曲率半径を有する曲面73aが形成されている。3つのボス70はいずれも、基端部73に曲面73aを有することで、先端部72に対する衝撃を緩和してボス70cの耐久性を向上させることができる。つまり、3つのボス70はいずれも、球噛みを防止して球通路を流下する際の円滑さの向上しつつ、3つのボス70それぞれの耐久性を向上させることができる。
【0138】
(振分台の構成)
次に、図8を参照しつつ、図9および図10を用いて突起群107のうちの振分台710の構成について説明する。
【0139】
図8に示すように、本実施形態において振分台710は、ルート振分ユニット7の上流領域7aに設けられた3つのボス70のうち上から3番目のボス70cの下に所定の間隙を設けて配置されている。具体的には、振分台710は、ボス70cと遊技球2個分、すなわち遊技球の直径の2倍(22ミリメートル=2×11ミリメートル)以上離間して配置されている。詳しくは後述するが、上流領域7aの左ルートおよび右ルートを流下した遊技球は、振分台710の直上の空間、つまりボス70cと振分台710との間隙において合流する。したがって、振分台710の直上の空間を、他の箇所(例えば3つのボス70間の遊技球1個分より広い空間)よりも広く形成することで、ルート振分ユニット7は、遊技球の滞留が発生を防止して遊技球の流下の円滑さを向上させることができる。
【0140】
図8および図9に示すように、振分台710は、正面視において台形上を有する柱体であってベース部材17の前方へ突出する先端部715と、ベース部材17の前面17aが隆起した振分台710の基端から先端部715に繋がる基端部714とを有している。図10に示すように、振分台710は、ボス70(例えばボス70c)と同様に、ベース部材17の前面17aおよび背面17bを前方に隆起させて形成された突起構造である。本例において、振分台710の前方への突出長さはボス70cの突出長さよりも短く形成されている。
【0141】
振分台710において、先端部715の前面711は平坦面であって正面視において台形状を有している。振分台710の前面711の中央には台形状の開口端711aが形成されている(図8参照)。また、図8に示すように先端部715の上面712は平坦面であって正面視において右下がりに傾斜している。また、先端部715には、上面712の左端部に連設した平坦面であって正面視において左下がりに傾斜した傾斜面713が設けられている。傾斜面713の勾配率は、上面712の勾配率が高く構成されている。振分台710は、上面712および傾斜面713を有することで、上流領域7aを流下した遊技球の流下経路のばらつきを収束させる機能を有する。具体的には、振分台710は、直上の空間の広さを考慮して上面712および傾斜面713の配置角度を設定することで、振分台710上を転動する遊技球を左右のいずれかのルートに振り分ける割合を調整することができる。
【0142】
また図10に示すように、振分台710は、3つのボス70(本例では、ぼす70c)と同様の内部構造を有している。具体的には、台形上の柱体である先端部715の内部には、ボス70cと同様に、振分台710の前方への突出長さの中間領域に板状の補強部716が設けられている。補強部716を有することにより、振分台710は上流領域7aを流下(または落下)する遊技球の衝突による先端部715の破損(例えば、折れ)のおそれが低減されて、耐久性を向上することができる。つまり、補強部716は、ボス70cの強度を向上するための部材である。
【0143】
また、振分台710の先端部715の内部には、ボス70cのボス穴72aと同様のボス穴715aが設けられている。ボス穴715aは、補強部716の前面716aを底面として前方に向かって開口しており、前面711の開口端711aがボス穴715aの開口端に相当する。
【0144】
また、図10に示すように、振分台710において、前面711を始端とし、補強部716の背面716bを上下に延伸させた仮想平面と振分台710の外周面との交線を終端とする領域が先端部715に相当する。また振分台710の基端部714は、ベース部材17の前面17aが隆起した領域であって、当該仮想平面と振分台710の外周面との交線を始端とし振分台710の基端を終端とする領域が基端部714に相当する。より具体的には、振分台710における基端部714は、振分台710と、遊技領域116において遊技球の流下面にあたる遊技盤108の前面(ここではベース部材17の前面17a)とが交わる部分に形成されている。つまり基端部714は、振分台710において遊技盤108寄りの根元(基端)領域に相当する。このため、遊技店の島設備において遊技機100を寝かせ配置(遊技盤108を後傾させた配置)とした場合に、上述の流下面に沿ってルート振分ユニット7を流下する遊技球は、振分台710の基端部714に向かって流下し易くなっている。
【0145】
本例の振分台710において、先端部715と基端部714とはベース部材17を隆起させて一体形成されている。振分台710の基端部714の太さ(外周幅)は、先端部715の近傍領域(補強部716の背面716bの近傍領域)においては先端部715の太さとほぼ同じであるが、基端側に向かって徐々に太くなっている。したがって、正面視において面取りした台形状を有する基端部714の外周は、先端部715の前面711の外周よりも大きくなっている(図8参照)。
【0146】
また、図10に示すように、振分台710の基端部714の表面には、ボス70cと同様に、仰け反り曲面である曲面714aが形成されている。これにより、ボス70cと同様に、振分台710の基端部714は、基端側に向かって徐々に太さが増大する末広がりの隆起構造に形成され、先端部715に向かって隆起している。これにより、振分台710は上流領域7aを流下(または落下)する遊技球の衝突による衝撃に対する耐久性が向上される。このため、本実施形態による遊技機100は、振分台710が破損する(例えば、折れる)おそれを低減することができる。なお、振分台710の先端部715は箱型形状を有しているため、基端部714が末広がり形状を有していない場合も、ボス70の先端部72よりも高い耐久性を有している。
【0147】
本実施形態による遊技機100において、振分台710の基端部714は、ボス70cの基端部73の曲面73aと同様に、遊技球の半径(5.5ミリメートル)よりも大きい曲率半径(本例では、6ミリメートル)を有する曲面状に形成されている。具体的には、基端部714に形成された曲面714aは、遊技球の半径よりも大きい曲率半径を有している。これにより、振分台710の基端部714は、ボス70cの基端部73と同様に、遊技領域116(本例では第1遊技領域116a)を流下する遊技球と一点で接触可能となっている。このため、ルート振分ユニット7の上流領域7aを流下する遊技球は、3つのボス70のうち少なくともいずれかに衝突した後、さらに振分台710に衝突した場合にも、流下速度を減速しながらも滞留することなく円滑に流下することができる。
【0148】
また、ボス70の基端部73と同様に、振分台710の基端部714は曲面714a上において遊技球と一点で接触可能に形成されている。つまり、基端部714は、前述の広域接触面よりも小さい一の接触面で遊技球と接触(点接触)する。このため、振分台710の基端部714に接触した遊技球は、基端部714の曲面714a上において不安定な状態となる。図10では図示を省略するが、ボス70cの曲面73a上と同様に、振分台710の曲面714a上においても、曲面714aと遊技球(例えば遊技球B1)とが一の接触点で接触する。また、振分台710において、基端部714と連設された先端部715の上面712および傾斜面713も、平坦面であって遊技球と一点で接触する構成である。つまり本実施形態において、遊技球と振分台710とは2点以上の接触点で接触することはなく、また上述の広域接触面による面接触もしない。
【0149】
また、振分台710において曲面714aの曲率半径が遊技球の半径よりも大きいことにより、曲面714aはボス70cの曲面73aと同様に上述の逃がし作用を奏する。これにより、振分台710は、接触した遊技球の流下速度を減速しつつも、接触後の遊技球を円滑に流下させることができる。また、振分台710は上述の逃がし作用により、ボス70cと同様に、遊技球との球噛みの発生を防止することができる。具体的には、振分台710の基端部714は、曲面714aにおいて遊技球と一点で接触可能であり、さらに曲面714aが上述の逃がし作用を奏する。これにより、先行の遊技球に後続の遊技球が接触した場合に曲面714aに沿って先行の遊技球が前方に押し出され、振分台710の前面711方向に逃がされる。このため、振分台710は、先行の遊技球が後続の遊技球と振分台710の基端部714との間に挟まれて球噛みが発生することを防止することができる。
【0150】
このように、本実施形態による遊技機100において振分台710の基端部714は、3つのボス70の基端部73と同様に、遊技球の半径よりも大きい曲率半径を有する曲面状に形成され、遊技球と一点で接触可能な構成を有する。これにより、遊技機100は、ルート振分ユニット7内において球噛みの発生を抑制し、遊技球が球通路(本例では、ルート振分ユニット7内)を流下する際の円滑さを向上させて、遊技者の遊技に対する興趣の向上を図ることができる。
【0151】
また、振分台710において根元領域に相当する基端部714には遊技球の半径よりも大きい曲率半径を有する曲面714aが形成されていることで、上流領域7aを流下している遊技球は、振分台710に衝突する際にまず基端部714側に導かれる。そして、基端部714に接触して流下速度が減速された遊技球は、減速状態で先端部715の上面712または傾斜面713上を転動する。このように振分台710は、3つのボス70(例えば70c)と同様に、遊技球が直接に先端部715に衝突する頻度を低減させることで、先端部715に対する衝撃を緩和して振分台710の耐久性を向上させることができる。つまり、本実施形態による遊技機100は、振分台710を上述の構成とすることにより、球噛みを防止して球通路(本例では、ルート振分ユニット7内)を流下する際の円滑さの向上しつつ、振分台710の耐久性を向上させることができ、ひいては遊技者の遊技に対する興趣の向上を図ることができる。
【0152】
以上、ルート振分ユニット7に設けられた突起群107(ボス70a~70cおよび振分台710)の構成について説明した。上述のように、本実施形態による遊技機100において、突起群107は、基端部(基端部73,714)が遊技球の半径よりも大きい曲率半径を有する曲面状に形成され、遊技領域を流下する遊技球と一点で接触可能に構成されている。これにより、遊技機100は、球噛みを防止して遊技球が球通路(本例では、ルート振分ユニット7内)を流下する際の円滑さを向上させ、遊技者の遊技に対する興趣の向上を図ることができる。
【0153】
またより具体的には、突起群107において基端部(基端部73,714)には、遊技球の半径よりも大きい曲率半径を有する曲面(曲面73a,714a)が形成されている。これにより、遊技機100は、球通路を流下する際の円滑さの向上しつつ、突起群107の耐久性を向上させることができる。
【0154】
(波形側壁の構成)
次に、図8を参照しつつ、図9および図11を用いて一対の波形側壁8(左波形側壁81および右波形側壁82)の構成について説明する。
図8に示すように、左波形側壁81は、ルート振分ユニット7の左側部を構成する壁部であって、球通路を形成する上流領域7a内の中央に配置された突起群107の左側に位置している。左波形側壁81は、上流領域7a内における遊技球の流下経路(ルート)のうち、突起群107の左側を流下する左ルートを区画している。詳しくは後述するが、左波形側壁81は、突起群107(ボス70a~70cおよび振分台710)との間に少なくとも一の遊技球の直径(11ミリメートル)以上の間隙が設けられている。このため、本実施形態による遊技機100において遊技球は、遊技球1個分より広い空間を有する左ルートを円滑に流下することができる。
【0155】
また、左波形側壁81は、突起群107(ボス70a~70cおよび振分台710)のそれぞれ(突起部の一例)の間に設けられた間隙において右波形側壁82と距離が近づき、突起群107の配置領域において右波形側壁82と距離が遠退くような波形状に形成されている。これにより、左波形側壁81は、上流領域7aの左ルートを流下する遊技球を突起群107のそれぞれ(ボス70a~70cおよび振分台710のそれぞれ)に接触させ易くなっており、遊技球を適度に減速させつつ、流下経路に多様性を持たせることができる。
【0156】
具体的には図9に示すように、左波形側壁81は、ベース部材17を前方に隆起させて形成された板状の左壁部810と、平坦面である前面812と、ベース部材17の前面17aが隆起した左波形側壁81の基端から左壁部810に繋がる基端部83とを有している。左波形側壁81の左壁部810は、突起群107とは逆方向に向かって弓なりに湾曲する曲面を有する複数(本例では4つ)の湾曲壁を連ねた波形状に形成されている。詳細には、左壁部810は4つの湾曲壁810a,810b,810c,810dを有しており、湾曲壁810a~810dは、それぞれ矩形状の板部材を湾曲させた形状を有している。また、湾曲壁810a~810dのそれぞれは、短手側端部の連結部811において隣接する湾曲壁と連結され、波形状の長尺部材である左壁部810として一体形成されている。
【0157】
湾曲壁810a~810dの連結部811(連結部811a~811c)は、対向する右波形側壁82に向かって突出する曲面形状を有している。つまり、連結部811は、湾曲壁810a~810dとは逆方向に湾曲している。また、連結部811の曲面形状の曲率半径は、湾曲壁810a~810dの内面の曲率半径よりも小さく形成されている。さらに、左波形側壁81において複数の連結部811は、突起群107を構成する突起構造間の間隙に配置されて右波形側壁82に向かって突出している。これにより、左波形側壁81の左壁部810は、上面視において円弧を連ねた波形状に形成される(図8参照)。
【0158】
具体的には、左波形側壁81の左壁部810において、湾曲壁810a,810bの連結部811aは、ボス70a,70b間の間隙において右波形側壁82に向かって突出している。また、左壁部810において湾曲壁810b,810cの連結部811bは、ボス70b,70c間の間隙において右波形側壁82に向かって突出し、湾曲壁810c,810dの連結部811cは、ボス70cおよび振分台710間の間隙において右波形側壁82に向かって突出している。
【0159】
このように左波形側壁81は、左壁部810において突起群107間の間隙に突出して配置される連結部811を有し、連結部811において右波形側壁82と距離が近づくように形成されている。これにより、左波形側壁81は、湾曲壁810a~810dの内面に沿って左ルートを流下した遊技球を、上流領域7aの中央方向、つまり突起群107が配置されている方向に導くことができる。したがって、遊技球は上流領域7aの左ルートの流下中に突起群107のそれぞれ(ボス70a~70cおよび振分台710のそれぞれ)に接触し易くなる。さらに、遊技球は突起群107のそれぞれに接触することで、上流領域7a内の左ルートから右ルートに進入する場合がある。つまり、左波形側壁81はルート振分ユニット7内において遊技球の流下経路の振り分けに係る構成の一つであり、ルート振分ユニット7は左波形側壁81によって遊技球の流下経路が左ルートに偏ることを防止して流下経路に多様性を持たせつつ、遊技球の流下速度を減速させることができる。
【0160】
また図9に示すように、本例では左壁部810の4つの湾曲壁810a~810dのうち、振分台710と対向する位置に設けられた湾曲壁810dは、湾曲壁81a~810cと比べて長手方向に延伸して形成されている。また、湾曲壁810dは下流方向に向かって他の湾曲壁810a~810cよりも曲率半径が小さくなり、やや鋭角的に右向きに屈曲している。さらに、湾曲壁81dにおいて連結部811cの反対側の短手側端部は、3つの連結部811のそれぞれと比べて右波形側壁82側に近付くように形成されている。これにより、左波形側壁81は、湾曲壁810a~810dで形成される左壁部810に沿って流下する遊技球を右波形側壁82側、すなわち下流領域7b(図8参照)の右縁部に配置された第1振分装置194方向に導くことができる。遊技球の流下経路の詳細については後述する。
【0161】
次に、左波形側壁81の基端部83の構造について、図11を用いて説明する。図11は、図8に示すB-B線でルート振分ユニット7を切断した断面図であり、一対の波形側壁8の断面を上面視した図である。図11には、ボス70bおよびボス70cも合わせて図示されている。図11に示すように、本例においてボス70と一対の波形側壁8とは前方への突出長さが同一に形成されている。なお、遊技機100において、突起群107および一対の波形側壁8の突出長さは、遊技盤108と透過板110との幅よりも短ければよい。具体的には、突起群107および一対の波形側壁8の前面と透過板110との間に球噛みが生じない程度の隙間が設けられていればよい。
【0162】
図11に示すように、左波形側壁81の基端部83は、左波形側壁81の内側(遊技球が流下する球通路側)においてベース部材17の前面17aが隆起した左波形側壁81の基端を含む領域である。つまり基端部83は、左波形側壁81において遊技盤108寄りの根元(基端)領域に相当する。基端部83は、断面視において曲面状に形成された領域である。本例の左波形側壁81において、左壁部810(本例では湾曲壁810b)と基端部83とはベース部材17を隆起させて一体形成されている。左波形側壁81における基端部83の厚みは、左壁部810の近傍領域においては連接している左壁部810の厚みとほぼ同じであるが、基端側に向かって徐々に厚くなっている。
【0163】
より詳細には、図11に示すように、左波形側壁81の基端部83の表面には突起群107の基端部(基端部73,714)と同様に、仰け反り曲面である曲面83aが形成されている。曲面83aは左波形側壁81の内部方向に屈曲するように形成されている。これにより、左波形側壁81の基端部83は、基端側に向かって、すなわち曲面83aにそって徐々に厚みが増す末広がりの隆起構造に形成されている。つまり、基端部83は遊技盤108の前面(ここでは、ベース部材17の前面17a)から隆起している。基端部83の太さ(厚み)が基端側に向かって増すことにより、左波形側壁81は上流領域7aを流下(または落下)する遊技球の衝突による衝撃に対する耐久性が向上される。このため、本実施形態による遊技機100は、左波形側壁81が破損する(例えば、割れが生じる)おそれを低減することができる。
【0164】
また、本実施形態による遊技機100において、突起群107の基端部(基端部73,714)と同様に、左波形側壁81の基端部83は、遊技球の半径(5.5ミリメートル)よりも大きい曲率半径(本例では、6ミリメートル)を有する曲面形状に形成されている。具体的には、基端部83に形成された曲面83aは、遊技球の半径よりも大きい曲率半径を有している。これにより基端部83は、遊技領域116(本例では第1遊技領域116a)を流下する遊技球と一点で接触可能となっている。このため、ルート振分ユニット7の上流領域7aを流下する遊技球は、左波形側壁81との衝突によって流下速度を減速しながらも、滞留することなく円滑に流下することができる。
【0165】
左波形側壁81の基端部83は、遊技球と一点で接触可能に形成されている。つまり、基端部83は、突起群107の基端部(基端部73,714)と同様に、前述の広域接触面よりも小さい一の接触面で遊技球と接触(点接触)する。したがって、左波形側壁81の基端部83に接触した遊技球は、基端部83の曲面83a上において不安定な状態となる。図11では図示を省略するが、ボス70cの曲面73a上と同様に、左波形側壁81の曲面83a上においても、曲面83aと遊技球(例えば図10に示す遊技球B1)とが一の接触点で接触する。つまり本実施形態において、遊技球と左波形側壁81の基端部83とは2点以上の接触点で接触することはなく、また上述の広域接触面による面接触もしない。
【0166】
また、左波形側壁81において曲面83aの曲率半径が遊技球の半径よりも大きいことにより、曲面83aはボス70cの曲面73aと同様に上述の逃がし作用を奏する。これにより、左波形側壁81は、接触した遊技球の流下速度を減速しつつも、接触後の遊技球を円滑に流下させることができる。
【0167】
また、左波形側壁81の基端部83はボス70cと同様に、上述の逃がし作用により遊技球との球噛みの発生を防止することができる。具体的には、左波形側壁81の基端部83の曲面83aは遊技球と一点で接触可能であり、先行の遊技球が左波形側壁81の基端部83において後続の遊技球と接触した際にも、基端部83および後続の遊技球との間で3点以上の接触点が生じない。したがって、曲面83aにおける上述の逃がし作用によって、先行の遊技球は曲面83aに沿って前方に押し出され、左波形側壁81の前面812方向に逃がされる。このため、左波形側壁81は、先行の遊技球が後続の遊技球と左波形側壁81の基端部83との間に挟まれて球噛みが発生することを防止することができる。
【0168】
このように、本実施形態による遊技機100において左波形側壁81の基端部83は、3つのボス70の基端部73および振分台710(突起群107)と同様に、遊技球の半径よりも大きい曲率半径を有する曲面状に形成され、遊技球と一点で接触可能な構成を有する。これにより、遊技機100は、ルート振分ユニット7内において球噛みの発生を抑制し、遊技球が球通路(本例では、ルート振分ユニット7内)を流下する際の円滑さを向上させて、遊技者の遊技に対する興趣の向上を図ることができる。
【0169】
また、左波形側壁81において、基端部83と連設された左壁部810の内面側も、湾曲壁810a~810dの湾曲形状に沿って、遊技球の半径より大きい曲率半径の曲面を有している。つまり、湾曲壁810a~810dの内面も遊技球と一点で接触可能な構成である。したがって、左波形側壁81は、右波形側壁82と対向する対向面である内面全体が遊技球と一点で接触可能であり、突起群107(ボス70、振分台710)に向かって遊技球が流下するように沿わし得るガイド面として構成されている。これにより、遊技機100は、ルート振分ユニット7内において球噛みの発生をより確実に抑制し、遊技球が球通路(本例では、ルート振分ユニット7内)を流下する際の円滑さをさらに向上させることができる。
【0170】
また、左波形側壁81において根元領域に相当する基端部83の曲面83aの曲率半径が遊技球の半径よりも大きく形成されていることで、上流領域7aを流下している遊技球は、左波形側壁81の左壁部810に衝突する際にまず基端部83側に導かれる。そして、基端部83に接触して流下速度が減速された遊技球は、減速状態で左壁部810上を転動する。このように左波形側壁81は、3つのボス70の基端部73および振分台710(突起群107)と同様に、遊技球が直接に左壁部810に衝突する頻度を低減させることで、左壁部810に対する衝撃を緩和して左波形側壁81の耐久性を向上させることができる。つまり、本実施形態による遊技機100は、左波形側壁81を突起群107の基端部(基端部73,714)と同様の構成とすることにより、球噛みを防止して球通路(本例では、ルート振分ユニット7内)を流下する際の円滑さの向上しつつ、左波形側壁81の耐久性を向上させることができ、ひいては遊技者の遊技に対する興趣の向上を図ることができる。
【0171】
次に、ルート振分ユニット7の上流領域7aにおける一対の波形側壁8のうち、右波形側壁82の構成について説明する。
図8に示すように、右波形側壁82は、ルート振分ユニット7の右側部を構成する壁部であって、球通路を形成する上流領域7a内の中央に配置された突起群107の右側に位置している。右波形側壁82は、上流領域7a内における遊技球の流下経路(ルート)のうち、突起群107の右側を流下する右ルートを区画している。詳しくは後述するが、右波形側壁82は、突起群107(ボス70a~70cおよび振分台710)との間に少なくとも一の遊技球の直径(11ミリメートル)よりも広い間隙が設けられている。このため、本実施形態による遊技機100において遊技球は、遊技球1個分より広い空間を有する右ルートを円滑に流下することができる。上流領域7a内において、上述の左波形側壁81と右波形側壁82とで突起群107の左右を区画することで、遊技球が流下可能な球通路が形成される。
【0172】
また、右波形側壁82は、突起群107(ボス70a~70cおよび振分台710)のそれぞれの間に設けられた間隙において左波形側壁81と距離が近づき、突起群107の配置領域において左波形側壁81と距離が遠退くような波形状に形成されている。これにより、右波形側壁82は、上流領域7aの右ルートを流下する遊技球を突起群107のそれぞれ(ボス70a~70cおよび振分台710のそれぞれ)に接触させ易くなっており、遊技球を適度に減速させつつ、流下経路に多様性を持たせることができる。
【0173】
具体的には、図9に示すように右波形側壁82は、左波形側壁81とほぼ同様の波形状を有しており、ベース部材17を前方に隆起させて形成された板状の右壁部820と、平坦面である前面822と、ベース部材17の前面17aが隆起した右波形側壁82の基端から右壁部820に繋がる基端部84とを有している。
【0174】
右波形側壁82の右壁部820は、左波形側壁81の左壁部810と同様に、突起群107とは逆方向に湾曲する曲面を有する複数(本例では4つ)の湾曲壁を連ねた波形状に形成されている。具体的には、右壁部820は4つの湾曲壁820a,820b,820c,820dを有しており、湾曲壁820a~820dは、それぞれ矩形状の板部材を湾曲させた形状を有している。ここで、右波形側壁82には、湾曲壁820dの下流側にさらに下壁部86が連結されている。右波形側壁82の下壁部86は、屈曲部86aにおいて矩形状の板部材を下向きに屈曲したL字型部材である。湾曲壁820a~820dのそれぞれおよび下壁部86は、短手側端部の連結部821において隣接する湾曲壁と連結され、波形状の長尺部材である右壁部820として一体形成されている。
【0175】
湾曲壁820a~820dおよび下壁部86の連結部821(連結部821a~821d)は、対向する右波形側壁82に向かって突出する曲面形状を有している。つまり、連結部811は、湾曲壁820a~820dとは逆方向に湾曲している。また、連結部821の曲面形状の曲率半径は、湾曲壁820a~820dの内面の曲率半径よりも小さく形成されている。さらに、右波形側壁82において複数の連結部811は、突起群107を構成する突起構造間の間隙に配置されて左波形側壁81に向かって突出している。これにより、右波形側壁82の右壁部820は、上面視において円弧を連ねた波形状に形成される(図8参照)。
【0176】
具体的には、右波形側壁82の右壁部820において、湾曲壁820a,820bの連結部821aは、ボス70aの上側において左波形側壁81に向かって突出している。また、湾曲壁820b,820cの連結部821bはボス70a,70b間の間隙において左波形側壁81に向かって突出している。また、右壁部820において湾曲壁820c,820dの連結部821cは、ボス70b,70c間の間隙において左波形側壁81に向かって突出し、湾曲壁820dおよび下壁部86の連結部821dは、ボス70cおよび振分台710間の間隙において右波形側壁82に向かって突出している。
【0177】
このように右波形側壁82は、右壁部820において突起群107間の間隙に突出して配置される連結部821を有し、連結部821において左波形側壁81と距離が近づくように形成されている。これにより、右波形側壁82は、湾曲壁820a~820dの内面に沿って右ルートを流下した遊技球を、上流領域7aの中央部方向、つまり突起群107が配置されている方向に導くことができる。したがって、遊技球は上流領域7aの右ルートの流下中に突起群107のそれぞれ(ボス70a~70cおよび振分台710のそれぞれ)に接触し易くなる。さらに、遊技球は突起群107のそれぞれに接触することで、上流領域7a内の右ルートから左ルートに進入する場合がある。つまり、右波形側壁82はルート振分ユニット7内において遊技球の流下経路の振り分けに係る構成の一つであり、ルート振分ユニット7は右波形側壁82によって遊技球の流下経路が右ルートに偏ることを防止して流下経路に多様性を持たせつつ、遊技球の流下速度を減速させることができる。
【0178】
また図9に示すように、本例では連結部821dの曲面形状の曲率半径は、他の連結部821a~821cのいずれよりも大きくなっている。このため、右壁部820は、湾曲壁820a~820dの内面に沿って流下した遊技球を、上流領域7aの中央下方向へ導くことができる。これにより、遊技球は連結部821dを経てそのまま下方、つまり振分台710の上面712を転動して振分台710の右側へ流下するだけでなく、振分台710の傾斜面713上を転動して振分台710の左側、つまり左波形側壁81の湾曲壁810d上を流下する場合がある。このように、連結部821dを有する右波形側壁82は、遊技球の流下経路により多様性を持たせることができる。
【0179】
以上説明したように、右波形側壁82において右壁部820は、左波形側壁81の左壁部810とほぼ同様の構成を有している。一方で右波形側壁82は、右壁部820の上部に右方向に屈曲した球受け台79aが設けられている点、および湾曲壁820dと連接した下壁部86が設けられている点で左波形側壁81と異なっており、遊技球の流下経路の多様性をより向上させることができる。
【0180】
次に、右波形側壁82の基端部84の構造について、図11を用いて説明する。図11に示すように、右波形側壁82の基端部84は、右波形側壁82の内側(遊技球が流下する球通路側)においてベース部材17の前面17aが隆起した右波形側壁82の基端を含む領域である。つまり基端部84は、右波形側壁82において遊技盤108寄りの根元(基端)領域に相当する。基端部84は、断面視において曲面状に形成された領域である。図11に示すように、基端部84の構成は、左波形側壁81の基端部83と同一である。したがって、右波形側壁82の基端部84の構造についての詳しい説明は省略する。
【0181】
右波形側壁82の基端部84は、左波形側壁81の基端部83と同一の構成を有し、表面には仰け反り曲面である曲面84aが形成されていることから、太さ(厚み)が基端側に向かって増す末広がりの隆起構造を有している。つまり、基端部84は遊技盤108の前面(ここでは、ベース部材17の前面17a)から隆起している。したがって、右波形側壁82は、左波形側壁81の基端部83と同様に上流領域7aを流下(または落下)する遊技球の衝突による衝撃に対する耐久性が向上される。このため、本実施形態による遊技機100は、右波形側壁82が破損する(例えば、割れが生じる)おそれを低減することができる。
【0182】
また、本実施形態による遊技機100において、左波形側壁81の基端部83と同様に、右波形側壁82の基端部84は、遊技球の半径(5.5ミリメートル)よりも大きい曲率半径(本例では、6ミリメートル)を有する曲面形状に形成されている。具体的には、基端部84に形成された曲面84aは、遊技球の半径よりも大きい曲率半径を有している。これにより基端部84は、遊技領域116(本例では第1遊技領域116a)を流下する遊技球と一点で接触可能となっている。このため、ルート振分ユニット7の上流領域7aを流下する遊技球は、右波形側壁82との衝突によって流下速度を減速しながらも、滞留することなく円滑に流下することができる。
【0183】
つまり、左波形側壁81の基端部83と同様に、右波形側壁82の曲面84a上においても、曲面84aと遊技球とが一の接触点で接触する。これにより、右波形側壁82の基端部84は、遊技球と一点で接触可能に形成されている。また、遊技球の半径よりも大きい曲率半径に形成された曲面84aは、左波形側壁81の曲面83aと同様に、上述の逃がし作用を奏する。これにより、右波形側壁82は、接触した遊技球の流下速度を減速しつつも、接触後の遊技球を円滑に流下させることができる。
【0184】
また、右波形側壁82の基端部84が遊技球と一点で接触可能であるため、先行の遊技球と後続の遊技球とが基端部84において接触した際にも、基端部84および後続の遊技球との間で3点以上の接触点が生じない。さらに、基端部84の曲面84a上において上述の逃がし作用が生じることで、先行の遊技球は曲面84aに沿って前方に押し出され、右波形側壁82の前面822方向に逃がされる。このため、右波形側壁82は、先行の遊技球が後続の遊技球と左波形側壁81の基端部83との間に挟まれることによる球噛みの発生を防止することができる。
【0185】
このように、本実施形態による遊技機100において右波形側壁82の基端部84は、左波形側壁81の基端部83と同様に、曲率半径が遊技球の半径よりも大きい曲面形状を有し遊技球と一点で接触可能な構成を有する。これにより、遊技機100は、ルート振分ユニット7内において球噛みの発生を抑制し、遊技球が球通路(本例では、ルート振分ユニット7内)を流下する際の円滑さを向上させて、遊技者の遊技に対する興趣の向上を図ることができる。
【0186】
また、右波形側壁82において、基端部84と連設された右壁部820の内面側も、左波形側壁81と同様に、遊技球の半径より大きい曲率半径の曲面を有している。つまり、湾曲壁820a~820dの内面も遊技球と一点で接触可能な構成である。したがって、右波形側壁82は、左波形側壁81と対向する対向面である内面全体が遊技球と一点で接触可能であり、突起群107(ボス70、振分台710)に向かって遊技球が流下するように沿わし得るガイド面として構成されている。これにより、遊技機100は、ルート振分ユニット7内において球噛みの発生をより確実に抑制し、遊技球が球通路(本例では、ルート振分ユニット7内)を流下する際の円滑さをさらに向上させることができる。
【0187】
また、右波形側壁82において基端部84の曲面84aの曲率半径が遊技球の半径よりも大きく形成されていることで、上流領域7aを流下している遊技球は、右波形側壁82の右壁部820に衝突する際にまず基端部84側に導かれる。これにより、右波形側壁82は右壁部820に対する衝撃を緩和して、右波形側壁82の耐久性を向上させることができる。つまり、本実施形態による遊技機100は、右波形側壁82の基端部84を、左波形側壁81の基端部83と同様の構成とすることにより、球噛みを防止して球通路(本例では、ルート振分ユニット7内)を流下する際の円滑さの向上しつつ、右波形側壁82の耐久性を向上させることができ、ひいては遊技者の遊技に対する興趣の向上を図ることができる。
【0188】
以上、ルート振分ユニット7に設けられた一対の波形側壁8の構成について説明した。上述のように、本実施形態による遊技機100において、一対の波形側壁8の基端部(基端部83,84)は、遊技球の半径よりも大きい曲率半径を有する曲面状に形成され、遊技領域を流下する遊技球と一点で接触可能に構成されている。これにより、遊技機100は、球噛みを防止して遊技球が球通路(本例では、ルート振分ユニット7内)を流下する際の円滑さを向上させ、遊技者の遊技に対する興趣の向上を図ることができる。
【0189】
より具体的には、一対の波形側壁8において基端部(基端部83,84)には、遊技球の半径よりも大きい曲率半径を有する曲面(曲面83a,84a)が形成されている。これにより、遊技機100は、球通路を流下する際の円滑さの向上しつつ、一対の波形側壁8の耐久性を向上させることができる。
【0190】
また、本発明において、突起群107を挟んでルート振分ユニット7内に球通路を形成する一対の側壁は、波形状に形成された波形側壁8(左波形側壁81、右波形側壁82)に限られない。ルート振分ユニット7においてベース部材17(遊技盤108側)から前方に突出し、左右から突起群107(ボス70、振分台710)を挟んで対向する一対の側壁のそれぞれは、遊技球と一点で接触可能な内面(対向面)を有していればよい。また、当該対向面は、接触した遊技球を当該対向面に沿うように流下させ、突起群107に向かって遊技球を導くガイド面として構成されていればよい。
【0191】
このように、本実施形態による遊技機100において、ルート振分ユニット7内の上流領域7aを流下する遊技球が接触可能であって、遊技球の流下経路の振分に係る構成に相当する突起群107および一対の波形側壁8は、いずれも遊技領域を流下する遊技球と一点で接触可能な基端部(基端部73,714,83,84)を有する。これにより遊技機100は、球通路(本例では、ルート振分ユニット7)内においてより確実に球噛みを防止し、遊技球が流下する際の円滑さを向上させ、遊技者の遊技に対する興趣の向上を図ることができる。
また、本実施形態による遊技機100においてルート振分ユニット7内の上流領域7aには釘や風車(不図示)が設けられていないものの、突起群107および一対の波形側壁8との接触により遊技球を不規則に転動させ、流下経路に多様性を持たせることができる。
【0192】
(ルート振分ユニット内における遊技球の流下経路の一例)
ここで、図12を用いてルート振分ユニット7の上流領域7a内における遊技球の流下経路の一例を説明する。
遊技者による操作ハンドル112(図2参照)の回転操作によって第1遊技領域116aに放出された遊技球(ここでは、遊技球B3)は、例えば遊技盤108においてルート振分ユニット7よりも上部に設けられた釘(不図示)に接触した後、左下向きに傾斜した球受け第79a上を転動し、上流領域7a内に進入する。上流領域7a内に進入した遊技球B3は、例えば右波形側壁82の基端部84に接触した後、湾曲壁820a沿って転動し、ボス70aの上部方向に突出した連結部821aに接触する。連結部821aに接触した遊技球B3は、左波形側壁81の方向に跳ねてボス70aの基端部73に衝突する。これにより遊技球B3は左波形側壁81方向へ転動し、左波形側壁81の基端部83に接触した後、湾曲壁810aに沿って、左波形側壁81とボス70cとの間のルート、つまり上流領域7a内の左ルートを流下する。
【0193】
上述のようにボス70(ボスa,70b,70c)の基端部73は、遊技盤108の前面(ここではベース部材17の前面17a)から隆起した末広がりの仰け反り曲面(本例では曲面73a)を有する隆起構造である。このため、波形側壁8(左波形側壁81、右波形側壁82)の何れかに接触してボス70の基端部73に衝突する遊技球(跳ね球)は、基端部73の始端領域(先端部72寄り)、中央領域、終端領域(遊技盤108の前面寄り)のいずれの領域においても、基端部73と一点のみでの衝突となる。
【0194】
本実施形態では、上流領域7a内の左ルートの幅(左波形側壁81の内面と突起群107(ボス70a~70cおよび振分台710のそれぞれ)の外周面との間隙)は、少なくとも遊技球の直径(11ミリメートル)よりも広く形成されている。本例では、左ルートの幅は13ミリメートル以上である。このため、遊技球(本例では遊技球B3)は、上流領域7a内の左ルートを円滑に流下可能である。
【0195】
さらに、本例において左ルートに進入した遊技球B3は、湾曲壁810aに沿って左ルートを流下してボス70a,70b間の間隙に向かって突出する連結部811aに接触する。連結部811aに接触した遊技球B3は、右波形側壁82の方向に跳ねてボス70bの基端部73に衝突する。ボス70bに衝突した遊技球B3は、例えばボス70aとボス70bとの間隙を通過して左ルートから右ルート(右波形側壁82と突起群107との間の流下経路)に進入する。本実施形態では、複数(本例では3つ)のボス70それぞれは、少なくとも遊技球の直径よりも離間して配置されている。したがって、遊技球は、2つのボス70の間隙(本例では、ボス70a,70bの間隙)を円滑に通過可能である。なお、左ルート側からボス70bに接触した遊技球は、反動によって左ルートに跳ね返り右ルート側に転動しない場合もある。
【0196】
本例において、左ルートから右ルートに進入した遊技球B3は、右波形側壁82の湾曲壁820cに沿って右ルートを流下してボス70b,70c間の間隙に向かって突出する連結部821cに接触する。連結部821cに接触した遊技球B3は、左波形側壁81の方向に跳ねてボス70cの基端部73に衝突しながらボス70bとボス70bcの間隙を通過して右ルートから再度左ルートに進入する。なお、右ルート側からボス70cに接触した遊技球は、反動によって右ルートに跳ね返り左ルート側に転動しない場合もある。
【0197】
左ルートに戻った遊技球B3は、左波形側壁81の基端部83に接触した後、湾曲壁810cに沿って左ルートを流下し、ボス70cと振分台710との間隙に向かって突出した連結部811cにおいて右波形側壁82の方向に導かれる。ここで、ボス70cと振分台710との間隙は、上述のように少なくとも遊技球2個分(遊技球の直径の2倍)の広さに形成されている。したがって、本例において左ルートと右ルートとを行き来する中での流下速度が減速された遊技球B3は右ルートまでは到達せずに下流側へ落下して振分台710の基端部714に接触した後、傾斜面713上を転動して再度左ルートに導かれる。なお、連結部811cとの接触後に下流方向に落下した遊技球は、振分台710の上面712上に到達して右ルートに進入する場合もある。また、連結部811cに到達した際の遊技球の流下速度によっては、遊技球は連結部811cとの接触によって右波形側壁82方向に跳ねて直接右ルートに到達する場合もある。
【0198】
本例において、振分台710の傾斜面713を転動して再び左ルートに戻った遊技球B3は、左波形側壁81の基端部83に接触した後、湾曲壁810a~810cよりも下流方向に大きく延伸し右方向に屈曲する湾曲壁810dに沿って左ルートを加速しながら流下する。これにより、遊技球B3は、振分台710の下方を右方向に向かって流下して下流領域7b(図8参照)の第1振分装置194方向に導かれる。なお、振分台710から下流領域7bにかけての流下経路の詳細については後述する。
【0199】
図12に一例を示したように、ルート振分ユニット7の上流領域7aを流下する遊技球は、一対の波形側壁8と突起群107(ボス70a~70cおよび振分台710)に接触し、左ルートと右ルートとを行き来しながら流下する。これにより、遊技機100は、ルート振分ユニット7における遊技球の流下経路に多様性を持たせることができる。つまり、一対の波形側壁8と突起群107は、遊技球の流下経路の振分けに係る構成(振分手段)に相当する。より詳細には、ルート振分ユニット7は、複数のボス70(ボス70a,70b,70c)を左右から挟む一対の波形側壁8(左波形側壁81および右波形側壁82)を波形状とし、一対の波形側壁8のいずれかに接触した遊技球が各ボス70方向に流下させて基端部73に絡み易く構成されている。これにより遊技球は、例えばボス70a,70b,70cの基端部73に順次衝突して蛇行しながら上流領域7aを流下する。これにより、ルート振分ユニット7を備える遊技機100は、遊技球の流下態様が単調になることを防止し、遊技者が遊技に飽きてしまうことを抑制することができる。
【0200】
また、上流領域7aにおいて遊技球は、一対の波形側壁8と突起群107に衝突することで、流下速度の加速が低減され、適度に減速された状態で上流領域7a内を流下する。これにより、遊技機100は遊技球が突起群107や一対の波形側壁8に衝突する際の衝撃を低減して、ルート振分ユニット7における樹脂性構造物の破損(例えば、割れや折れ)の恐れを低減することができる。また、上流領域7a内において遊技球が適度に減速されることで、多様な流下経路をたどる遊技球の視認性が向上し、遊技者を遊技球の動きに注目させることができる。また上流領域7a内において、遊技球が多様な流下経路に振り分けられることで、流下経路の選択による遊技の展開(例えば、第1始動口120への進入し易さ)が変化するかのような期待感を遊技者に与え、遊技者の遊技に対する興趣の向上を図ることができる。
【0201】
また上述したように、上流領域7aにおいて突起群107(ボス70a~70cおよび振分台710)および一対の波形側壁8(左波形側壁81、右波形側壁82)は、遊技球と一点で接触可能な基端部(基端部73,714,83,84)を有している。このため、複数の遊技球が上流領域7aにおいて左ルートと右ルートとを行き来する場合にも球噛みや遊技球の過度の減速が生じることなく、遊技球が円滑に上流領域7a内を流下することができるとともにさらに突起群107の各突起構造や一対の波形側壁8の耐久性を向上することができる。したがって、本実施形態による遊技機100は、遊技者の遊技に対する興趣の向上を図ることができる。
【0202】
なお、図12に示す遊技球B3の流下経路は一例であって、上流領域7a内での遊技球の流下経路はこれに限られない。上流領域7a内を流下する遊技球が最初に進入するルートは左ルートでなく右ルートである場合もある。また上述のように、上流領域7a内を流下する遊技球は、一対の波形側壁8の連結部811(811a~811c),821(821a~821c)の作用によって、対向する波形側壁の方向に導かれる。これにより、遊技球はボス70a~70cに衝突して左ルートと右ルートとを行き来可能に構成されている。ただし、遊技球はボス70a~70cに衝突しても上流領域7a内に進入した際の一のルート(左ルートまたは右ルート)をそのまま流下する場合もある。つまり、一対の波形側壁8および突起群107(特にボス70a~70c)は、遊技球の流下態様に不規則性を付与して、流下経路に多様性を持たせることができる。
【0203】
次に、図8を参照しつつ図13を用いて下流領域7bにおける遊技球の流下経路について説明する。
図13(a)に示すように、下流領域7bはルート振分ユニット7の下部領域であって第1振分装置194を含んで構成される。なお図13では理解を容易にするため、上流領域7aの構成である振分台710も合わせて図示している。
【0204】
図13(a)に示すように、下流領域7bはベース部材17の前面17aから前方に向かって隆起する複数(本例では4つ)の側壁9によって区画された球通路として形成されている。具体的には、下流領域7bには側壁9として左側壁9a、第一中央側壁9b、第二中央側壁9cおよび右側壁9dが設けられている。左側壁9aは、上流領域7aの左波形側壁81と一体的に連結されて、ルート振分ユニット7の左壁を形成している。また、右側壁9dは、上流領域7aの右波形側壁82と一体的に連結されて、ルート振分ユニット7の右壁を形成している。また、第一中央側壁9bと第二中央側壁9cとの間には第1振分装置194が配置されている。
【0205】
また下流領域7bには遊技球の流下経路として複数(本例では2つ)の下流側経路90が形成されている。本例では、下流側経路として左下流側経路90aおよび右下流側経路90bが形成されている。左下流側経路90aは、左側壁9aおよび第一中央側壁9bによって区画された流下経路であって、遊技球を第1遊技領域116aの右下領域に設けられた4つの一般入賞口118(図3参照)または排出口130に導く流下経路である。左下流側経路90aは、第1振分装置194の開閉に関わらず進入可能な流下経路になっている。また左下流側経路90aには球受け台79b,79cが設けられている。球受け台79bは、第一中央側壁9bから左下流側経路90aに向かって突出して設けられており、上面が左下向きに傾斜した平坦面に形成されている。また、球受け台79cは、球受け台79bよりも下流側において左側壁9aから左下流側経路90aに向かって突出して設けられており、上面が右下向きに傾斜した平坦面に形成されている。球受け台79b,79cは、左下流側経路90aを流下する遊技球と接触可能に配置されており、球受け台79b,79cに接触した遊技球の流下速度を適度に減速させることができる。
【0206】
一方、右下流側経路90bは、第二中央側壁9cおよび右側壁9dによって区画された流下経路であって、遊技球を球案内通路195に導いて第1始動口120への入球を可能とする流下経路である。本実施形態において、右下流側経路90bは、第1振分装置194が開状態(図13(b)参照)の場合のみ進入可能な流下経路になっている。つまり、本実施形態において下流領域7bに進入した遊技球は、第1振分装置194の開閉によって下流側経路90のうち左下流側経路90aまたは右下流側経路90bのいずれかに振り分けられる。
【0207】
まず、下流領域7bにおける遊技球の流下経路として第1振分装置194が閉状態の場合における流下経路の一例を説明する。
図13(a)に示すように、第1振分装置194が閉状態の場合に、上流領域7aに設けられた振分台710の上面712または傾斜面713上を経て遊技球B4が下流領域7bに進入したとする。本例では、閉状態の第1振分装置194によって左下流側経路90aが閉鎖されていることで、遊技球B4は右下流側経路90bへの進入は不可能となっている。具体的には、本例において羽部材として形成されている第1振分装置194は、閉状態において先端を上方に向けて起立した状態であり、第1振分装置194と右側壁9dとの間には遊技球が通過可能な間隙が設けられていない。つまり、閉状態の第1振分装置194と右側壁9dとの間隙は遊技球の直径(11ミリメートル)未満である。したがって、遊技球B4は左波形側壁81の湾曲壁810dの作用によって第1振分装置194側に導かれても、実質的には右下流側経路90bに進入できず、左下流側経路90aを流下して一般入賞口118(図3参照)に入球するか、または排出口130から排出される。つまり、本実施形態において、第1振分装置194が閉状態の場合、下流領域7bにおける遊技球の流下経路は一通り(左下流側経路90aのみ)となる。
【0208】
次に、下流領域7bにおける遊技球の流下経路として第1振分装置194が開状態の場合における流下経路の一例を説明する。
図13(b)に示すように、第1振分装置194が開状態の場合に、上流領域7aに設けられた振分台710の上面712または傾斜面713上を経て遊技球B5が下流領域7bに進入したとする。このとき、第1振分装置194が左下流側経路90aを開放していることで遊技球B5の右下流側経路90bへの進入が可能となっている。具体的には、本例において羽部材として形成されている第1振分装置194は、開状態において先端を左側壁9aに近付けるように回転し、遊技球B5を右下流側経路90bに導く受け皿として機能し、遊技球B5の右下流側経路90bへの進入が容易となる。なお、図13(b)では完全に開状態の第1振分装置194を図示している。第1振分装置194上を転動して右下流側経路90bへ進入した遊技球B5は、第1振分検出スイッチ194sによって検出された後、球案内通路195(図3参照)に進入する。球案内通路195に進入した遊技球Bは、上述のように第2振分装置199によって振り分けられ、所定確率で第1始動口120に入球する。
【0209】
また図13(b)に示すように、第1振分装置194が開状態の場合、遊技球B5は右下流側経路90bに進入する場合もある。具体的には、開状態の第1振分装置194の先端と左側壁9aとの間には遊技球の直径(11ミリメートル)と同等程度の間隙が設けられる。したがって、遊技球B5は当該間隙を通過して右下流側経路90bにも進入可能である。つまり、第1振分装置194が開状態の場合、下流領域7bにおける遊技球の流下経路は複数(本例では左下流側経路90aまたは右下流側経路90bの2種類)存在する。
【0210】
このように、本実施形態においてルート振分ユニット7の下流領域7bは、第1振分装置194の開閉によって遊技球の流下経路が振り分けられる構成となっている。また、本実施形態による遊技機100において、第1振分装置194は予め定められた所定間隔で開閉するように主制御基板300のメインCPU300aによって制御されている。また、第2振分装置199も第1振分装置194と同様に開閉間隔が主制御基板300のメインCPU300aによって制御されている。したがって、遊技機100は、例えば第1振分装置194を不正に操作し、第1始動口120へ入球可能な右下流側経路90bへの遊技球の進入容易性を低減させることはできない。また、第2振分装置199も第1振分装置194と同様に開閉間隔を不正に操作して予め定められた第1始動口120への入球容易性を低減させることはできない。
【0211】
このように、ルート振分ユニット7の下流領域7bが、主制御基板300に制御された第1振分装置194の開閉によって遊技球の流下経路が振り分けられる構成を有することで、遊技機100は遊技の公平性を向上させて遊技者の利益が損なわれることを防止し、ひいては遊技者の遊技に対する興趣の向上を図ることができる。さらに第1始動口120への進入可否も主制御基板300に制御された第2振分装置199によって振り分けられることで、遊技機100はより遊技の公平性をより向上させることができる。
【0212】
さらに、遊技機100は、例えば第1振分検出スイッチ194sによって検出された遊技球数、つまり右下流側経路90bへ進入した遊技球数が規定の個数を超過している場合、または既定の個数未満である場合に、第1振分装置194の開閉に異常が生じているとしてエラー処理を実行してもよい。具体的には、主制御基板300のメインCPU300aは、第1振分検出スイッチ194sから入力された検出信号を一定期間計測し、当該一定期間において計測数が規定数を超過した場合には、副制御基板330にエラー信号を出力して演出装置(演出表示装置200、音声出力装置206、演出照明装置(不図示)等)を用いてエラー報知を行ってもよい。または、メインCPU300aは、エラーを示す外部情報信号をホールコンピュータに出力することでエラー報知を行ってもよい。
【0213】
また、第1振分装置194が開状態の場合に遊技球が右下流側経路90bへ進入するか否かは、振分台710による遊技球の振分けにも関連している。
例えば、振分台710の傾斜面713によって左ルートに導かれた遊技球は、左波形側壁81の湾曲壁810dの作用によって右下方向、つまり第1振分装置194方向に適度に加速された状態で流下する。このため、左ルートに導かれた当該遊技球は、第1振分装置194が閉状態から開状態への遷移中であっても、第1振分装置194の先端と右側壁9dとの間隙から右下流側経路90bへ進入することが可能となる。一方、振分台710の上面712によって右ルートに導かれた遊技球は右波形側壁82の下壁部86と接触した場合にやや左方向に転動する。このため、右ルートに導かれた当該遊技球は、左ルートに導かれた遊技球と比べて、第1振分装置194が閉状態から開状態への遷移中には右下流側経路90bへ進入しにくい場合がある。ここで、本実施形態において振分台710は、上述のように流下経路のばらつきを収束させ、振分台710上を転動する遊技球を左右のいずれかのルートに振り分ける割合を調整することができる。したがって遊技機100は、上流領域7aにおける遊技球の流下経路によって右下流側経路90bへの進入確率が偏ることを防止し、遊技の公平性を向上することができる。
【0214】
また、下流領域7bには釘や風車(不図示)は設けられていない。つまり、本実施形態による遊技機100においてルート振分ユニット7は、釘や風車を用いずに突起群107および第1振分装置194によって遊技球の流下速度を適度に減速させ、かつ遊技球の流下経路に多様性を持たせることができる。
また、本実施形態による遊技機100は、遊技球を流下可能とする遊技領域116(本例では第1遊技領域116a)を形成する遊技盤108と、遊技領域116において遊技盤108の前方に突起する突起群107(ボス70a~70cおよび振分台710)のそれぞれ(突起部の一例)と、を備え、突起群107のそれぞれは、遊技領域116を流下する遊技球と一点で接触可能な基端部(基端部73,714)を有する。これにより遊技機100は、意図しない球通路内での遊技球の滞留(例えば球噛み)を防止して、遊技球が球通路(本例ではルート振分ユニット7)を流下する際の円滑さを向上させ、ひいては遊技者の遊技に対する興趣の向上を図ることができる。
【0215】
(変形例)
【0216】
上記実施形態において、ボス70(ボス70a,70b,70c)は、円筒形状を有するとしたが、本発明はこれに限られない。ボス70は、多角形状の屋根(前面71に相当)を有する柱体(角柱)形状であってもよい。この場合も、基端部73は、末広がりの仰け反り曲面を有する隆起構造として形成されていればよい。例えば基端部73は、角柱形状のボス70において根元側に形成され、角柱の根元側の側面に遊技球の半径よりも大きい曲率半径を有する曲面形状が形成されていればよい。またこの場合、基端部73において、角柱の側面同士の交線(側稜)も遊技球の半径よりも大きい曲率半径を有する曲線形状であればよい。これにより、ボス70が角柱形状であっても基端部73は、遊技球と一点接触可能に構成される。また、ボス70が角柱形状である場合、側稜部分に曲面状の面取り加工(R面取り加工)を施してもよい。
【0217】
また、上記実施形態において、ボス70の先端部72は所定の長さ(図10に示す前面711から補強部74の背面74bまでの長さ)を有しているとしたが、本発明はこれに限られない。例えば、先端部72は上記実施形態に示すよりも短く形成されていてもよい。例えば、先端部72は、ボス穴72a(図10参照)の半分程度までの長さであってもよく、その分、ボス70において基端部73に相当する領域が大きくなっていてもよい。またボス70は、前面711の端部から曲面73aが連接されていてもよい。つまり、ボス70は先端部72を有さず、前面711と曲面73aを有する基端部73とで構成されていてもよい。
【0218】
また、上記実施形態においてルート振分ユニット7の上流領域7aに設けられたボス70の個数は3つとしたが、本発明はこれに限られない。複数のボス70はルート振分ユニット7の上流領域7aにおいて少なくとも遊技球1個分より広い間隙を設けて配置されていればよく、上流領域7aの広さによっては4つ以上であってもよいし、3つ未満であってもよい。また、上記実施形態において振分台710の個数は1つとしたが、発明はこれに限られない。振分台710は上流領域7aにおいて遊技球2個分以上の間隙を設けて配置されていればよく、上流領域7aの広さによっては2つ以上であってもよい。また、一対の波形側壁8の湾曲壁(湾曲壁810a~810d,820a~820d)は複数のボス70および振分台710の個数に応じて配置され、各ボス70および振分台710間において連結部(連結部811,821)が設けられていればよい。
【0219】
また、上記実施形態において、複数のボス70は同一の形状を有するとしたが、本発明はこれに限られない。複数のボス70は基端部73が遊技球と一点接触可能な構成であればよく、複数のボス70に形状の異なるボスが含まれていてもよい。
【0220】
また、上記実施形態において、突起群107および一対の波形側壁8はルート振分ユニット7のベース部材17を隆起して設けられ、ベース部材17と一体形成されているとしたが、本発明はこれに限られない。例えば、突起群107および一対の波形側壁8はベース部材17と独立した構成であってもよい。この場合、ルート振分ユニット7において各部材ごとに老朽化等に伴う交換が可能となり、ルート振分ユニット7の全体を交換する場合に比べてコストを低減することができる。この場合、突起群107および一対の波形側壁8は、例えばベース部材17とねじ止めによって固定されてもよいし、別の固定部材によって取り付けられていてもよい。
【0221】
また、上記実施形態においては、遊技の進行を制御する主制御基板300と、主制御基板300から送信されるコマンドに基づいて演出を実行制御する副制御基板330とにおいて、上記のとおりに協働することで変動演出が実行されることとした。しかしながら、主制御基板300および副制御基板330において、上記の各機能をどのように分担するかは適宜設計することが可能である。
【0222】
また、上記実施形態では、大当たりの当選確率を異にする2つの遊技状態と、第2始動口122への遊技球の入球容易性を異にする2つの遊技状態とを組み合わせた4つの遊技状態が設けられているが、遊技状態の内容や種類はこれに限定されるものではない。
【0223】
また、上記実施形態では、第1始動口120および第2始動口122の2つの始動口を設ける場合について説明したが、始動口は1つでもよいし、3つ以上でもよい。なお、第2始動口122が閉状態にあるときには、当該第2始動口122に遊技球が入球不可能となるように構成したが、第2始動口122が閉状態にあるときにも、一定の頻度で遊技球が入球することとしてもよい。
【0224】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0225】
100 遊技機
300 主制御基板
300a メインCPU
300b メインROM
300c メインRAM
330 副制御基板
330a サブCPU
330b サブROM
330c サブRAM
7 ルート振分ユニット
7a 上流領域
7b 下流領域
8 波形側壁
17 ベース部材
70、70a、70b、70b、70c ボス
73、83、84、714 基端部
81 左波形側壁
82 右波形側壁
710 振分台
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13