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特許7315403水噴射及び空気吸引を利用したトラフ内の砂除去方法及び当該方法に用いる砂除去装置
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  • 特許-水噴射及び空気吸引を利用したトラフ内の砂除去方法及び当該方法に用いる砂除去装置 図1
  • 特許-水噴射及び空気吸引を利用したトラフ内の砂除去方法及び当該方法に用いる砂除去装置 図2
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  • 特許-水噴射及び空気吸引を利用したトラフ内の砂除去方法及び当該方法に用いる砂除去装置 図14
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】水噴射及び空気吸引を利用したトラフ内の砂除去方法及び当該方法に用いる砂除去装置
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/06 20060101AFI20230719BHJP
   H02G 9/06 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
H02G1/06
H02G9/06
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019139156
(22)【出願日】2019-07-29
(65)【公開番号】P2021023056
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000141060
【氏名又は名称】株式会社関電工
(73)【特許権者】
【識別番号】505280705
【氏名又は名称】三由工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075410
【弁理士】
【氏名又は名称】藤沢 則昭
(74)【代理人】
【識別番号】100135541
【弁理士】
【氏名又は名称】藤沢 昭太郎
(72)【発明者】
【氏名】戸矢 貴幸
(72)【発明者】
【氏名】吉本 正浩
(72)【発明者】
【氏名】足立 倫海
(72)【発明者】
【氏名】井口 昌之
(72)【発明者】
【氏名】廣田 純生
(72)【発明者】
【氏名】石崎 勉
【審査官】岩井 一央
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-274839(JP,A)
【文献】特開平10-292779(JP,A)
【文献】特開2015-171190(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/06
H02G 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力ケーブルが1本又は複数本収納されたトラフの、前記電力ケーブルの上部のトラフの断面より小さい断面を有する先端治具を設け、
当該先端治具の前面には管体から成る複数の空気吸引口及び当該空気吸引口の上方に複数の水噴射ノズルを並べて夫々設け、前記複数の空気吸引口の管体の後方でこれらを一体に纏めた大径管体を設け、
当該大径管体の後端にバキュームホースを内蔵した可とう性のガイド管の先端を接続し、また、前記水噴射ノズルの後端に給水管の先端を接続し、
当該先端治具、これに続く前記ガイド管及び給水管を砂の充填されたトラフ内に押し込む延線機を設け、前記ガイド管内のバキュームホースの他端は吸引装置に接続し、また、前記給水管の他端は高圧水供給装置に接続し、
前記トラフの一端開口部から、電力ケーブルの上の砂に向けて、前記先端治具、前記ガイド管及び給水管をトラフ内に前記延線機で押し込み、これにより前記先端冶具、バキュームホース及び給水管をトラフ内に挿入し、前記先端治具の水噴射ノズルにより水を前方の砂に噴射させて、当該先端治具の前方の砂を緩くし、砂が液状化しない状態で前記空気吸引口から砂を吸引させることを特徴とする、トラフ内の砂を除去する方法。
【請求項2】
電力ケーブルが1本又は複数本収納されたトラフの、前記電力ケーブルの上部のトラフの断面より小さい断面を有する枠体から成る先端治具を設け、
当該先端治具の前面開口部を空気吸引口とし、当該前面開口部内の両側に複数の水噴射ノズルを縦に並べて設け、前記空気吸引口の後方に設けた管体の後端にバキュームホースを内蔵した可とう性のガイド管の先端を接続し、
また、前記ノズルの後端の接続管を前記先端治具の枠体から外に導出し、当該接続管の後端に給水管の先端を接続し、
当該先端治具、これに続く前記ガイド管及び給水管を砂の充填されたトラフ内に押し込む延線機を設け、前記ガイド管内のバキュームホースの他端は吸引装置に接続し、また、前記給水管の他端は高圧水供給装置に接続し、
前記トラフの一端開口部から、電力ケーブルの上の砂に向けて、前記先端治具、前記ガイド管及び給水管をトラフ内に前記延線機で押し込み、これにより前記先端治具、バキュームホース及び給水管をトラフ内に挿入し、前記先端治具の水噴射ノズルにより水を前方の砂に噴射させて、当該先端治具の前方の砂を緩くし、砂が液状化しない状態で前記空気吸引口から砂を吸引させることを特徴とする、トラフ内の砂を除去する方法。
【請求項3】
電力ケーブルが1本又は複数本収納されたトラフの、前記電力ケーブルの上部のトラフの断面より小さい断面を有する枠体から成る先端治具を設け、
当該先端治具の前面開口部を空気吸引口とし、当該前面開口部内の中央に回転式の水噴射ノズルを設け、当該水噴射ノズルの前部は前記先端治具の前方に突出させ、当該突出した水噴射ノズルの前部に、斜め前方に噴射するノズル孔を設け、当該水噴射ノズルの両脇の前面開口部内に2つのガイド突出片を設け、
前記空気吸引口の後方に設けた管体の後端にバキュームホースを内蔵した可とう性のガイド管の先端を接続し、
また、前記水噴射ノズルの後端の接続管を前記先端治具の枠体から外に導出し、当該接続管の後端に給水管の先端を接続し、
当該先端治具、これに続く前記ガイド管及び給水管を砂の充填されたトラフ内に押し込む延線機を設け、前記ガイド管内のバキュームホースの他端は吸引装置に接続し、また、前記給水管の他端は高圧水供給装置に接続し、
前記トラフの一端開口部から、電力ケーブルの上の砂に向けて、前記先端治具、前記ガイド管及び給水管をトラフ内に前記延線機で押し込み、これにより前記先端治具、バキュームホース及び給水管をトラフ内に挿入し、前記先端治具の水噴射ノズルにより水を前方の砂に噴射させて、当該先端治具の前方の砂を緩くし、砂が液状化しない状態で前記空気吸引口から砂を吸引させることを特徴とする、トラフ内の砂を除去する方法。
【請求項4】
前記ガイド管内のバキュームホースの他端は一旦横向きのドラムに前記ガイド管を巻き付け前記吸引装置に接続することを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載のトラフ内の砂を除去する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地中に埋設されたトラフ内に布設されている不要な電力ケーブルを撤去するに際し、トラフ内の前記電力ケーブルの周囲に充填されている砂を除去する除去方法及び当該方法に用いる除去装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、地中に埋設されたトラフ内に布設されている電力ケーブルの周囲には砂が充填されている。この状態で不要となった電力ケーブルを一方から引っ張って電力ケーブルを撤去するには多大な労力を有し、極めて困難である。
【0003】
そこで、地中に埋設されたトラフに沿って、地表面を開削し、掘削溝内でトラフを露出させ、トラフ本体と同時に電力ケーブルを撤去していた。そして、撤去した後の掘削溝に土砂を埋め戻していた。
【0004】
この工法ではトラフ上面の地上部をトラフに沿って開口、掘削しなければならず、掘削範囲が大きく、掘削土砂も多量となり、手間がかかると同時に、工期が長く、工事費が高くなっていた。
【0005】
一方、特許文献1に示す様に、洞道内に布設されたトラフでは、トラフの上面の蓋を開け、当該トラフ内の砂をまず除去し、その後、電力ケーブルを当該トラフから撤去する工法も開発されている。
【0006】
また、土中に埋設されたトラフの上の地上に建物や工作物がある場合には開削は不可能である。そのため、トラフの一定長の一端から他端までの電力ケーブルを切断し、当該電力ケーブルが埋設されているトラフ内の砂をまず抜き取り、その後当該トラフに入っている電力ケーブルを引き抜く工法が、特許文献2及び3に示す様に開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2007-291692号公報
【文献】特開2007-274839号公報
【文献】特開平10-286540号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1は吸引によりトラフ内の砂を除去する装置であるが、洞道内のトラフに使用するものであり、トラフの蓋を開けて、トラフ内の砂を吸い出すものである。しかしながら、トラフの蓋を開けるのには手間がかかる。まして、土中に直接埋設されたトラフでは、この方式は、上述の様に、地表面から開削しなければならず、極めて手間のかかる等の欠点がある。
【0009】
また、特許文献2のものは、トラフ内でまず水を砂内に噴出して、砂を流動化させ、当該流動化した砂をトラフ内で吸引して砂をトラフから除去する方法及び装置であるが、この方法及び装置ではトラフ内の砂に水を吹き付けて締まった状態の砂を流動化させ、その流動化した砂を吸引するもので、流動化に手間がかかるものである。また、多量の水を要する。
【0010】
また、特許文献3のものは、地中管路の開口端から挿入されて管路内に洗浄用の流体を供給する供給ホースと、供給ホースの先端に設けられるとともに流体を管路内に噴出する噴射ノズルとを備え、さらに前記供給ホースを管路内に押し込むための押込みロッドを備えたもので、流動化した砂を管路の開口部側に流し、これを開口部で吸引して地上に排出する工法であるが、この場合も多量の水を要する。
【0011】
さらに、上記の方法とは別に、一定長の埋設されたトラフの両端に地面から開口部を設け、当該一端の開口部から空気吸引ノズルを用いてトラフ内の砂を吸引除去する装置や方法(特願2018-142556)、また、ウォータジェットの噴霧でトラフ内の砂を崩して除去する装置や方法が開発されている(特願2018-144256)。しかしながら、空気吸引だけの砂除去方法では、砂を崩壊しながら吸い込むことにより、施工時間が長くかかる。
【0012】
また、トラフの端部からバキュームホースで砂を吸い込む場合、トラフの中心部の砂が吸引されて、トラフの両側の砂が吸引されずに残り、吸引口に対向した砂の先端部が相互に締め固まってその先端部の形状がアーチ状になる、いわゆるアーチ効果が働き、砂が吸引できなくなる恐れがある。また、トラフ内の砂の付着力が高い場合、電力ケーブルと砂、トラフ内面と砂、それぞれの粘着力が高くなり、バキュームの吸い込み力では吸いきれない可能性がある。
【0013】
また、ウォータジェットだけでの砂除去方法は、流動化した砂の処理に手間がかかる。また、ウォータジェットを前後に噴射して砂を崩しながらノズル装置を前進させる場合、ノズルの先端が暴れてしまい、進みにくい。また、ノズルがトラフ内で暴れたり、複数のケーブルの間やケーブルとトラフ内面に挟まり、ノズル装置がトラフ内で動けなくなる可能性がある。さらに、この方法においても施工時間が非常に長いことが問題である。
【0014】
そこで、この発明は上述の課題を解決するため、トラフの蓋を開けずにトラフの端部から水噴射と砂吸引を同時に可能とした先端冶具により、効率的にトラフ内の砂を除去する方法及び当該方法に使用する装置を提供することを目的としたものである。また、この発明では、ケーブル挿入時に使用する延線機でガイド管をトラフ内に押し込み、水噴射で緩めた砂を吸引する構成とした。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1の発明は、電力ケーブルが1本又は複数本収納されたトラフの、前記電力ケーブルの上部のトラフの断面より小さい断面を有する先端治具を設け、
当該先端治具の前面には管体から成る複数の空気吸引口及び当該空気吸引口の上方に複数の水噴射ノズルを並べて夫々設け、前記複数の空気吸引口の管体の後方でこれらを一体に纏めた大径管体を設け、当該大径管体の後端にバキュームホースを内蔵した可とう性のガイド管の先端を接続し、また、前記水噴射ノズルの後端に給水管の先端を接続し、当該先端治具、これに続く前記ガイド管及び給水管を砂の充填されたトラフ内に押し込む延線機を設け、前記ガイド管内のバキュームホースの他端は吸引装置に接続し、また、前記給水管の他端は高圧水供給装置に接続し、前記トラフの一端開口部から、電力ケーブルの上の砂に向けて、前記先端治具、前記ガイド管及び給水管をトラフ内に前記延線機で押し込み、これにより前記先端冶具、バキュームホース及び給水管をトラフ内に挿入し、前記先端治具の水噴射ノズルにより水を前方の砂に噴射させて、当該先端治具の前方の砂を緩くし、砂が液状化しない状態で前記空気吸引口から砂を吸引させる、トラフ内の砂を除去する方法とした。
【0016】
また、請求項2の発明は、電力ケーブルが1本又は複数本収納されたトラフの、前記電力ケーブルの上部のトラフの断面より小さい断面を有する枠体から成る先端治具を設け、当該先端治具の前面開口部を空気吸引口とし、当該前面開口部内の両側に複数の水噴射ノズルを縦に並べて設け、前記空気吸引口の後方に設けた管体の後端にバキュームホースを内蔵した可とう性のガイド管の先端を接続し、また、前記ノズルの後端の接続管を前記先端治具の枠体から外に導出し、当該接続管の後端に給水管の先端を接続し、当該先端治具、これに続く前記ガイド管及び給水管を砂の充填されたトラフ内に押し込む延線機を設け、前記ガイド管内のバキュームホースの他端は吸引装置に接続し、また、前記給水管の他端は高圧水供給装置に接続し、前記トラフの一端開口部から、電力ケーブルの上の砂に向けて、前記先端治具、前記ガイド管及び給水管をトラフ内に前記延線機で押し込み、これにより前記先端治具、バキュームホース及び給水管をトラフ内に挿入し、前記先端治具の水噴射ノズルにより水を前方の砂に噴射させて、当該先端治具の前方の砂を緩くし、砂が液状化しない状態で前記空気吸引口から砂を吸引させる、トラフ内の砂を除去する方法とした。
【0017】
また、請求項3の発明は、電力ケーブルが1本又は複数本収納されたトラフの、前記電力ケーブルの上部のトラフの断面より小さい断面を有する枠体から成る先端治具を設け、当該先端治具の前面開口部を空気吸引口とし、当該前面開口部内の中央に回転式の水噴射ノズルを設け、当該水噴射ノズルの前部は前記先端治具の前方に突出させ、当該突出した水噴射ノズルの前部に、斜め前方に噴射するノズル孔を設け、当該水噴射ノズルの両脇の前面開口部内に2つのガイド突出片を設け、前記空気吸引口の後方に設けた管体の後端にバキュームホースを内蔵した可とう性のガイド管の先端を接続し、また、前記水噴射ノズルの後端の接続管を前記先端治具の枠体から外に導出し、当該接続管の後端に給水管の先端を接続し、当該先端治具、これに続く前記ガイド管及び給水管を砂の充填されたトラフ内に押し込む延線機を設け、前記ガイド管内のバキュームホースの他端は吸引装置に接続し、また、前記給水管の他端は高圧水供給装置に接続し、前記トラフの一端開口部から、電力ケーブルの上の砂に向けて、前記先端治具、前記ガイド管及び給水管をトラフ内に前記延線機で押し込み、これにより前記先端治具、バキュームホース及び給水管をトラフ内に挿入し、前記先端治具の水噴射ノズルにより水を前方の砂に噴射させて、当該先端治具の前方の砂を緩くし、砂が液状化しない状態で前記空気吸引口から砂を吸引させる、トラフ内の砂を除去する方法とした。
【0018】
また、請求項4の発明は、前記ガイド管内のバキュームホースの他端は一旦横向きのドラムに前記ガイド管を巻き付け前記吸引装置に接続する、請求項1~3のいずれかに記載のトラフ内の砂を除去する方法とした。
【発明の効果】
【0020】
請求項1~3の発明によれば、先端治具の断面が、電力ケーブルが1本又は複数本収納されたトラフの、前記電力ケーブルの上部のトラフの断面より小さい断面を有し、かつ先端治具の水噴射ノズルにより前方の砂を緩くしながら同時に砂を吸引するため、短時間で砂を容易に吸い取り、除去できる。しかも水噴射により砂を液状化するものでないため水の大量消費が不要となる。
【0021】
また、延線機により前記ガイド管の両側面を挟持して、当該ガイド管をトラフ内に押し込むため、砂の吸引に応じて速度調整が容易であり、それ故、先端治具、ガイド管及び給水管をスムーズにトラフ内を推進させることができる。
【0022】
また、先端治具の断面が、電力ケーブルが1本又は複数本収納されたトラフの、前記電力ケーブルの上部のトラフの断面より小さい断面を有し、かつ、先端治具の前面に空気吸引口及び水噴射ノズルを有するため、トラフ内で、水噴射ノズルにより前方の砂に水を噴霧して、硬くなった砂を緩くしながら同時に砂を吸引するため、砂を効率的に短時間で除去できる。また、請求項4の発明によれば、バキュームホースを内蔵したガイド管は横向きのドラムに巻き付けているため、ガイド管内のバキュームホースの高さを常に低く保ち、吸引抵抗を小さくしているため、バキュームホースの先端の先端治具の空気吸引口での吸引力を充分に大きくできるようにし、トラフ内の砂を吸引し易いようにしている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】この発明の実施の形態例1の水噴射及び空気吸引を利用したトラフ内の砂除去装置の概略構成図である。
図2】この発明の実施の形態例1の水噴射及び空気吸引を利用したトラフ内の砂除去装置の先端治具、バキュームホース、及びガイド管の一部断面図である。
図3】この発明の実施の形態例1の水噴射及び空気吸引を利用したトラフ内の砂除去装置の延線機の平面図である。
図4】この発明の実施の形態例1の水噴射及び空気吸引を利用したトラフ内の砂除去装置の先端治具の正面図である。
図5】この発明の実施の形態例1の水噴射及び空気吸引を利用したトラフ内の砂除去装置の先端治具の平面図である。
図6】この発明の実施の形態例1の水噴射及び空気吸引を利用したトラフ内の砂除去装置の先端治具の斜視図である。
図7】この発明の実施の形態例1の水噴射及び空気吸引を利用したトラフ内の砂除去装置の先端治具を砂に押し込んだ状態のトラフの縦断面図である。
図8】この発明の実施の形態例1の水噴射及び空気吸引を利用したトラフ内の砂除去装置をトラフ内に挿入した状態の拡大断面図である。
図9】この発明の実施の形態例2の水噴射及び空気吸引ノズルを用いたトラフ内の砂除去装置の先端治具の正面図である。
図10】この発明の実施の形態例2の水噴射及び空気吸引ノズルを用いたトラフ内の砂除去装置の先端治具の平面図である。
図11】この発明の実施の形態例2の水噴射及び空気吸引ノズルを用いたトラフ内の砂除去装置の先端治具の側面断面図である。
図12】この発明の実施の形態例3の水噴射及び空気吸引ノズルを用いたトラフ内の砂除去装置の先端治具の正面図である。
図13】この発明の実施の形態例3の水噴射及び空気吸引ノズルを用いたトラフ内の砂除去装置の先端治具の平面図である。
図14】この発明の実施の形態例3の水噴射及び空気吸引ノズルを用いたトラフ内の砂除去装置の先端治具の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(実施の形態例1)
この発明の実施の形態例1の水噴射及び空気吸引を利用したトラフ内の砂除去装置Aを図1図8に基づいて説明する。
【0025】
まず、前記砂除去装置Aを使用するトラフ1について説明する。図1に示すように、土中に埋設された一定長のトラフ1の両端に立坑2を設けている。このトラフ1内には1条又は複数条の電力ケーブル3が挿通され、さらに砂4が充填されている。そして、前記各立坑2内で電力ケーブル3が切断されている。前記一定長のトラフ1の両端にマンホールがある場合は各マンホールを利用し、立坑2を設ける必要はない。
【0026】
砂除去装置Aは、図1及び図2に示すように、前記トラフ1の一端が露出した立坑2からトラフ1内に挿入する先端治具5が設けられている。この先端治具5には、空気吸引口6及び水噴射ノズル7が設けられている。また、当該先端治具5の後部には、図2に示すように、前記空気吸引口6とつながったバキュームホース8を内蔵したガイド管9の先端が接続され、また、前記水噴射ノズル7とその一端が接続された給水管10が設けられている(図6参照)。
【0027】
また、前記立坑2内には前記先端治具5及びガイド管9を前記トラフ1内に押し込む延線機11が設けられている。当該延線機11は、図3に示すように、ガイド管9の両側を無限軌道11a、11aで挟持しながら、ガイド管9を長手方向に移動させる構成となっている。また、前記ガイド管9及び給水管10の他端は地上に伸び、ガイド管9の他端は地上に設けた横置きドラム12に巻き付けられ、繰り出し、巻き付け自在となっている。そして、当該横置きドラム12は地上の吸引車13とつながっている。上述のように、前記ガイド管9の他端が横向きドラム12に巻き付けられているため、ガイド管9及びバキュームホース8は高い位置に配置されず、低い位置を保持している。
【0028】
それ故、吸引車13の作動により、前記空気吸引口6から吸引車13まで空気が吸引される。また、前記給水管10の他端は地上に設けた高圧洗浄車14に接続されているため、高圧洗浄車14から給水管10を通って水噴射ノズル7から高圧水が噴射される構成となっている。
【0029】
前記先端治具5は、図4図6に示すように、基板15の上に3個の管体6aから成る空気吸引口6が横並びに設けられている。これらの3個の管体6aの後端は、基板15に立設された支持体16に接続され、当該支持体16の後部に接続された大径管体17に繋がっている。また、3個の管体6aから成る空気吸引口6の上には5個の前記水噴出ノズル7が設けられている。
【0030】
この5個の水噴出ノズル7は、横向き円筒体7aの側面の長手方向に沿って並べられている。そして、当該円筒体7aの一側に接続管18の一端が接続され、当該接続管18の他端は前記支持体16を貫通して、大径管体17に沿って後方に伸び、前記給水管10に接続されている。
【0031】
次に、この発明の実施の形態例1の砂除去装置Aを用いた砂除去方法について図7に基づいて説明する。
【0032】
まず、前記砂除去装置Aの先端治具5を、図7及び図8に示すように、前記トラフ1の一端内に入れる。このトラフ1の下部には2本の電力ケーブル3、3が配設されているため、これらの電力ケーブル3の上の砂4内に前記先端治具5の空気吸引口6からトラフ1内に図8に示す様に、押し込む。
【0033】
その際、前記先端治具5に接続されたカイド管9を、延線機11を用いて押し込む。なお、トラフ1内に電力ケーブル3が1本収納されている場合があるが、その場合も電力ケーブル3の上の砂4に先端治具5を押し込む。
【0034】
これと同時に水噴射ノズル7により、砂4に水を噴霧する。これによりトラフ1内の砂4は緩くなって空気吸引口6の前に崩れ、この砂4は空気吸引口6からバキュームホース8内に吸引され、当該バキュームホース8を通り、地上の吸引車13に排出される(図示省略)。
【0035】
そして、砂4の吸引と同時に前記延線機11によりバキュームホース8が内蔵されたガイド管9をトラフ1内に押し込んでいき、トラフ1内の砂4を除去していく。この様にして、先端治具5をトラフ1の他端の立坑2まで移動させることにより、トラフ1内の砂4を取り除く。これにより、電力ケーブル3を一方の立坑2から容易に引き剥くことが出来る。
【0036】
(実施の形態例2)
次に、この発明の実施の形態例2の水噴射及び空気吸引ノズルを用いたトラフ内の砂除去装置Bを図9図11に基づいて説明する。なお、砂除去装置Bは前記実施の形態例1の砂除去装置Aとは先端治具5のみが異なり、他の構成は同じである。従って、先端治具20のみにつて説明する。
【0037】
前記電力ケーブルの上部のトラフの断面よりやや小さい断面を有する枠体20aから成る先端治具20を設けている。当該先端治具20は枠体20aは前面が開口し後端がややすぼまった箱型のもので、前面開口部を空気吸引口21としている。また、当該空気吸引口21内の両側に、2本の細径管22を縦に設け、各細径管22に夫々3個の水噴射ノズル23を縦に並べて設けている。また、前記枠体20aのすぼまった後端に大径管体24が設けられ、当該大径管体24は前記空気吸引口21と通じている。
【0038】
また、当該大径管体24の後端に前記バキュームホース8を内蔵した、ステンレス製のじゃばら管から成る可とう性のガイド管9の先端が接続される構成となっている。また、前記水噴射ノズル23の各細径管22の上端には水平な接続管25がそれぞれ接続され、当該接続管25は前記先端治具20の枠体20aの上面に配置されて1本に合体し、そこで当該接続管25の後端に前記給水管10の先端が接続される構成となっている。
【0039】
この先端治具20についても前記吸引車13から横置きドラム12、バキュームホース8、大径管体24を介して空気吸引口21から砂が吸引される構成となっている。また、前記高圧洗浄車14から給水管10、接続管25、細径管22を介して各水噴射ノズル23から高圧水が噴射される
【0040】
この実施の形態例2の砂除去装置Bの使用方法は、前記実施の形態例1の砂除去装置Aと同様であるので、説明を省略する。
【0041】
(実施の形態例3)
次に、この発明の実施の形態例3の水噴射及び空気吸引ノズルを用いたトラフ内の砂除去装置Cを図12図14に基づいて説明する。なお、砂除去装置Cは前記実施の形態例1の砂除去装置Aとは先端治具5のみが異なり、他の構成は同じである。従って、先端治具26のみについて説明する。
【0042】
前記電力ケーブルの上部のトラフの断面よりやや小さい断面を有する枠体26aから成る先端治具26が設けられている。当該先端治具26の枠体26aは前面が開口し後端がややすぼまった箱型のもので、前面開口部を空気吸引口27としている。当該空気吸引口27内の中央に回転式の水噴射ノズル28が設けられている。当該水噴射ノズル28の前部は前記先端治具26の前方に突出しており、当該前部の外周の複数箇所に、斜め前方に噴射するノズル孔28aを設けている。
【0043】
また、当該水噴射ノズル28の両脇の空気吸引口27内に2つのガイド突出片29、29が前記水噴射ノズル28と平行して設けられている。また、これらの各ガイド突出片29の後端は枠体26aの背面より手前に位置し、空気吸引口27の両側脇から後述の大径管体30までの空気吸引経路を塞ぐものではない。前記枠体26aのすぼまった後端に大径管体30が設けられ、当該大径管体30の後端に前記バキュームホース8を内蔵した、ステンレス製のじゃばら管から成る可とう性のガイド管9の先端が接続される構成となっている。
【0044】
また、前記回転式の水噴射ノズルの後端の接続管31を前記先端治具26の枠体26aから外に導出し、当該接続管31の後端に前記給水管10の先端を接続する構成となっている。
【0045】
この先端治具26についても前記吸引車13から横置きドラム12、バキュームホース8、大径管体30を介して空気吸引口27から砂が吸引される構成となっている。また、前記高圧洗浄車14から給水管10、接続管31を介して各水噴射ノズル28から高圧水が噴射される。
【0046】
この実施の形態例3の砂除去装置Cの使用方法は、前記実施の形態例1の砂除去装置Aと同様であるので、説明を省略する。
【0047】
以上の実施の形態例1、2及び3の砂除去装置A、B、Cを用いてトラフ1の砂4を取り除く方法によれば、噴出圧力5MPa~11MPa、水の吐出量44リットル/分程度で砂が流動化状態とならず、処理し易くなった。しかも水噴射により砂を液状化するものでないため水の大量消費が不要となる。
【0048】
また、約20mのトラフでの実証試験で砂の吸引力に対する効率の良い水噴射圧力(≒水供給量)を導き出したことから、従来0.1~0.2m/分の砂除去速度が0.35~0.4m/分と約2倍に向上するとともに、従来170リットル/分の水供給量を28リットル/分と1/6に大幅に低減させた。
【0049】
表1は、この発明の水噴射と同時に空気吸引する方法に関して砂除去時間と水注入量を前記従来技術で示した、空気吸引ノズルを用いてトラフ内の砂を吸引除去する装置や方法(特願2018-142556)及びウォータジェットの噴霧でトラフ内の砂を崩して除去する装置や方法(特願2018-144256)と比較した結果である。
【0050】
【表1】
【0051】
なお、表1で「吸引方式」とは前記空気吸引ノズルを用いてトラフ内の砂を除去する方法を示し、「洗浄方式」は前記ウォータジェットの噴霧でトラフ内の砂を崩して除去する方法を示し、「洗浄+吸引方式」はこの発明による方法を示す。
【0052】
また、上記実施の形態例では先端治具5、20、26に接続したバキュームホース8を内蔵したガイド管9を延線機11によりトラフ1内に押し込んでいるが、延線機11に限るものではない。他の方法、例えば、先端治具5、20、26に押込み棒の先端を取付け、これを適宜接続して、トラフ1の一端の立坑2等から当該押込み棒を挿入して行って先端治具5、20、26をトラフ1内で推進させてもよい。
【0053】
また、前記実施の形態例では、空気吸引口の吸引は、バキュームホースを介して地上に設置した吸引車13によっているが、これに限らず、他の吸引装置を用いることもできる。また、上記実施の形態例では水噴射ノズルの高圧水は、給水管10を介して地上に設置した高圧洗浄車14から供給しているが、これに限らず、他の高圧水供給装置を用いることも出来る。
【符号の説明】
【0054】
A 砂除去装置 B 砂除去装置
C 砂除去装置
1 トラフ 2 立坑
3 電力ケーブル 4 砂
先端治具 6 空気吸引口
6a 管体 7 水噴射ノズル
7a 円筒体 8 バキュームホース
9 ガイド管 10 給水管
11 延線機 11a 無限軌道
12 横置きドラム 13 吸引車
15 基板 16 支持体
17 大径管体 18 接続管
20 先端治具 20a 枠体
21 空気吸引口 22 細径管
23 水噴射ノズル 24 大径管体
25 接続管 26 先端治具
26a 枠体 27 空気吸引口
28 水噴射ノズル 28a ノズル孔
29 ガイド突出片 30 大径管体
31 接続管
図1
図2
図3
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