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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】荷物受取装置
(51)【国際特許分類】
   A47G 29/22 20060101AFI20230719BHJP
   A47G 29/12 20060101ALI20230719BHJP
   A47G 29/28 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
A47G29/22
A47G29/12 Z
A47G29/28
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019160090
(22)【出願日】2019-09-03
(65)【公開番号】P2021037075
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100161230
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雅博
(72)【発明者】
【氏名】船橋 拓郎
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-034579(JP,U)
【文献】実開昭63-118875(JP,U)
【文献】特開2017-144160(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 29/12 - 29/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外周部に設けられるものであり、屋外から荷物を受け取り可能な受取箱を備える荷物受取装置であって、
前記受取箱は、その内部に形成された内部空間と、前記内部空間に屋外から荷物を投入するための投入口と、前記内部空間に投入された荷物が載置される載置部と、を有し、
前記内部空間には、上下に延びる回転軸を中心として回転可能な回転体が設けられ、
前記回転体は、前記回転軸から延びるように設けられるとともに前記回転軸の軸周りに所定の間隔で複数配置された仕切板を有しており、
それら複数の仕切板により前記内部空間が前記回転軸の軸周り方向にて複数の領域に区画されており、
前記複数の領域はそれぞれ、前記回転体の回転に伴い、前記投入口と連通し当該投入口より荷物の投入が可能となる第1位置と、前記投入口と連通しない第2位置とに変位するようになっており、
前記回転体は、前記第1位置に位置する前記領域に荷物が投入されると、当該領域が前記第2位置に変位し、かつ前記第2位置に位置する他の前記領域が前記第1位置に変位するよう、回転制御される構成となっており、
前記回転体の回転に伴い、前記領域内の荷物は前記載置部上において前記仕切板に押されながら移動されるようになっており、
前記第2位置に位置する前記領域の下方には、前記載置部が設けられていないことで屋内へ通じる開口部が形成され、
前記回転体の回転に伴い、内部に荷物を有する前記領域が前記開口部と連通する前記第2位置まで変位すると、当該荷物が前記開口部より下方へ落ち屋内側の移送先へ移送されるようになっており、
前記開口部から下方へ落ちる荷物を受けその荷物を前記移送先へ移送するための傾斜部と、
前記受取箱の下方に設けられ、前記傾斜部を内部に収容する箱状の傾斜収容部と、
を備え、
前記傾斜収容部には、前記傾斜部に沿って移送される荷物を屋内側の前記移送先へ導く荷物出口が形成されており、
前記第2位置には、前記領域が前記開口部と連通する位置であって当該開口部を通じて荷物を前記移送先へ移送可能な移送位置と、前記領域が前記開口部と連通しない位置であって当該領域内に荷物を収容可能な収容位置とが含まれており、
前記回転体は、前記各領域がそれぞれ前記第1位置、前記収容位置、前記移送位置の順に変位するよう回転されるようになっており、
前記受取箱は、前記収容位置にある前記領域内の荷物を屋内から取り出すための取出口を有しており、
前記取出口は、前記荷物出口と同じ向きに屋内に向けて開口していることを特徴とする荷物受取装置。
【請求項2】
前記荷物出口は、その下縁部が前記傾斜収容部の下面と略同じ高さに位置していることを特徴とする請求項に記載の荷物受取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物受取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建物には、宅配業者により宅配される荷物を受け取り可能な荷物受取装置が設けられている場合がある。特許文献1には、かかる受取装置として、複数の荷物の受け取りを可能としたものが開示されている。特許文献1の荷物受取装置は、本体箱と、本体箱の内部に回転可能に設けられた回転箱とを備えている。回転箱は、上下に延びる回転軸と、回転軸の上下両端部に固定された円板状の上回転板及び下回転板と、それら各回転板の間において回転軸から突出させて設けられた複数(例えば4つ)の仕切板とを有している。各仕切板は回転軸周りに90°間隔で配置され、それら各仕切板により回転箱の内部(詳しくは上回転板と下回転板との間の空間)が複数の収容区画に区画されている。そして、それら各収容区画にそれぞれ荷物を収容することが可能となっている。
【0003】
特許文献1の受取装置では、各収容区画が順に収容箱に設けられた投入口と連通するように回転箱が回転するようになっている。投入口と連通する収容区画には投入口を通じて荷物を投入することが可能となっている。この場合、その収容区画に荷物が投入されると、回転箱が4分の1回転するようになっており、それにより、新たな収容区画が投入口と連通しその収容区画に別の荷物を投入することが可能となる。このように、特許文献1の受取装置では、各収容区画にそれぞれ荷物を投入することが可能となっており、それにより、複数の荷物の受け取りが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開平6-34579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した特許文献1の受取装置では、各収容区画にそれぞれ荷物が投入されると、それ以上荷物を受け取ることができなくなってしまう。そのため、特許文献1の受取装置は、より多くの荷物を受け取る上で改善の余地がある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、より多くの荷物を受け取ることが可能な荷物受取装置を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく、第1の発明の荷物受取装置は、建物の外周部に設けられるものであり、屋外から荷物を受け取り可能な受取箱を備える荷物受取装置であって、前記受取箱は、その内部に形成された内部空間と、前記内部空間に屋外から荷物を投入するための投入口と、前記内部空間に投入された荷物が載置される載置部と、を有し、前記内部空間には、上下に延びる回転軸を中心として回転可能な回転体が設けられ、前記回転体は、前記回転軸から延びるように設けられるとともに前記回転軸の軸周りに所定の間隔で複数配置された仕切板を有しており、それら複数の仕切板により前記内部空間が前記回転軸の軸周り方向にて複数の領域に区画されており、前記複数の領域はそれぞれ、前記回転体の回転に伴い、前記投入口と連通し当該投入口より荷物の投入が可能となる第1位置と、前記投入口と連通しない第2位置とに変位するようになっており、前記回転体は、前記第1位置に位置する前記領域に荷物が投入されると、当該領域が前記第2位置に変位し、かつ前記第2位置に位置する他の前記領域が前記第1位置に変位するよう、回転制御される構成となっており、前記回転体の回転に伴い、前記領域内の荷物は前記載置部上において前記仕切板に押されながら移動されるようになっており、前記第2位置に位置する前記領域の下方には、前記載置部が設けられていないことで屋内へ通じる開口部が形成され、前記回転体の回転に伴い、内部に荷物を有する前記領域が前記開口部と連通する前記第2位置まで変位すると、当該荷物が前記開口部より下方へ落ち屋内側の移送先へ移送されるようになっていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、受取箱の内部空間に、複数の仕切板を有する回転体が設けられている。これらの仕切板は回転体の回転軸周りに所定の間隔で配置され、それら仕切板により内部空間が回転軸の軸周り方向において複数の領域に区画されている。これら各領域は、回転体の回転に伴い、荷物の投入口と連通する第1位置と、投入口と非連通となる第2位置とに変位するようになっている。第1位置に位置する領域に投入口より荷物が投入されると回転体が回転され、それにより当該領域が第2位置に変位し、かつ他の領域が第1位置に変位するようになっている。また、回転体の回転に際し、領域内の荷物は仕切板に押されながら移動される。
【0009】
第2位置に位置する領域の下方には、屋内側へ通じる開口部が形成されている。回転体の回転に伴い、内部に荷物を有する領域が開口部と連通する第2位置まで変位すると、その荷物が開口部より下方へ落ちて屋内側の移送先へと移送される。この場合、受取箱で受け取った荷物を屋内に移送することができるため、それにより、新たな荷物の受け取りが可能となる。そのため、より多くの荷物を受けることが可能となる。
【0010】
第2の発明の荷物受取装置は、第1の発明において、前記開口部から下方へ落ちる荷物を受けその荷物を前記移送先へ移送するための傾斜部を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、開口部から下方へ落ちる荷物が傾斜部によって受けられ、その後、荷物が傾斜部上に沿って屋内側の移送先へ移送される。これにより、荷物を開口部から屋内に移送させるに際し、荷物が損傷するのを好適に防止することができる。
【0012】
第3の発明の荷物受取装置は、第2の発明において、前記受取箱の下方に設けられ、前記傾斜部を内部に収容する箱状の傾斜収容部を備え、前記傾斜収容部には、前記傾斜部に沿って移送される荷物を屋内側の前記移送先へ導く荷物出口が形成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、受取箱の下方に傾斜部を収容する傾斜収容部が設けられているため、傾斜部により外観が損なわれるのを防止できる。また、この場合、傾斜収容部を屋内の床面上に置くことができるため、傾斜部を有する構成にあって荷物受取装置の設置を容易とすることができる。なお、傾斜収容部には荷物出口が形成され、傾斜部に沿って移送される荷物は荷物出口を通じて屋内の移送先へと導かれる。
【0014】
第4の発明の荷物受取装置は、第3の発明において、前記荷物出口は、その下縁部が前記傾斜収容部の下面と略同じ高さに位置していることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、荷物出口の下縁部が傾斜収容部の下面と略同じ高さに位置しているため、傾斜収容部が屋内の床面上に置かれた際、荷物出口の下縁部が屋内の床面と略同じ高さに位置する。これにより、傾斜部に沿って移送される荷物が荷物出口を通じて屋内に導かれる際、荷物が床面上に落下することなく、荷物の損傷を確実に防止することができる。
【0016】
第5の発明の荷物受取装置は、第3又は第4の発明において、前記第2位置には、前記領域が前記開口部と連通する位置であって当該開口部を通じて荷物を前記移送先へ移送可能な移送位置と、前記領域が前記開口部と連通しない位置であって当該領域内に荷物を収容可能な収容位置とが含まれており、前記回転体は、前記各領域がそれぞれ前記第1位置、前記収容位置、前記移送位置の順に変位するよう回転されるようになっており、前記受取箱は、前記収容位置にある前記領域内の荷物を屋内から取り出すための取出口を有しており、前記取出口は、前記荷物出口と同じ向きに屋内に向けて開口していることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、回転体が回転することで、各領域が第1位置→収容位置→移送位置の順に変位するようになっている。この場合、第1位置に位置する領域(以下、所定領域という)に荷物が投入されると、回転体が回転して所定領域が収容位置に移行する。これにより、所定領域内に荷物が収容された状態となる。また、第1位置に位置する領域に新たな荷物が投入されると、回転体が再び回転して所定領域が移送位置に移行する。これにより、所定領域内の荷物が開口部を通じて屋内の移送先へ移送される。
【0018】
このような構成にあって、受取箱には、収容位置にある領域内から荷物を取り出すための取出口が設けられている。この取出口は荷物出口と同じ向きに屋内に向けて開口している。これにより、取出口から荷物を取り出す(受け取る)際も、荷物出口を通じて移送される荷物を受け取る際も、同じ向きで受け取ることが可能となる。このため、荷物出口に加え取出口を有する構成にあって、荷物の受け取りをし易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】玄関の外壁に荷物受取装置が設けられた構成を示す横断面図。
図2】荷物受取装置の構成を示す斜視図。
図3】荷物受取装置の構成を示す分解斜視図。
図4】荷物受取部の内部構成を示す横断面図。
図5】回転制御処理の流れを示すフローチャート。
図6】荷物の流れを説明するための概略図。
図7】荷物移送部の構成を示す平面図。
図8】他の実施形態における荷物受取部の内部構成を示す横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、玄関の外壁に荷物受取装置が設けられた構成を示す横断面図である。
【0021】
図1に示すように、住宅10には玄関11が設けられ、その玄関11は外壁12により屋外と仕切られている。外壁12には玄関口14が設けられ、その玄関口14には玄関ドア15が設けられている。
【0022】
外壁12には、宅配業者から宅配される荷物を受け取る荷物受取装置20が設けられている。荷物受取装置20はいわゆる宅配ボックスであり、外壁12に形成された開口部17を通じて設けられている。荷物受取装置20は、その一側面を外壁12の外壁面と略面一にして配置され、そのため、その大部分が外壁12から玄関11側に突出している。また、荷物受取装置20は、玄関11においては床面上に載置されている。
【0023】
続いて、荷物受取装置20の構成について図1に加え図2及び図3に基づき説明する。図2は、荷物受取装置20の構成を示す斜視図である。図3は、荷物受取装置20の構成を示す分解斜視図である。
【0024】
図1図3に示すように、荷物受取装置20は、屋外から荷物を受け取るための荷物受取部21と、荷物受取部21で受け取った荷物を玄関11に移送するための荷物移送部22とを備える。荷物受取部21と荷物移送部22とは上下に重ねて設けられ、荷物受取部21が上側、荷物移送部22が下側に配置されている。
【0025】
荷物受取部21は、荷物を受け取るための受取箱23を備える。受取箱23は、四角箱状とされ、詳しくは平面視の形状が正方形状とされている。受取箱23は、上下に対向して設けられた上板部24及び下板部25(図4参照)と、それら各板部24,25に跨がって設けられた4つの側板部26とを有している。なお、下板部25が載置部に相当する。また、図3では便宜上、上板部24の図示を省略し、受取箱23の内部が見える状態で示している。
【0026】
受取箱23は、その内部に形成された内部空間29と、内部空間29に屋外から荷物を投入するための投入口31と、内部空間29に投入された荷物を玄関11から取り出すための取出口32とを有している。内部空間29は、各板部24~26により囲まれた内側の空間である。また、投入口31と取出口32とはいずれも側板部26に形成され、投入口31が屋外に向けて開口し、取出口32が玄関11に向けて開口している。
【0027】
受取箱23には、投入口31を開閉する扉部34と、取出口32を開閉する扉部35とが設けられている。これら各扉部34,35は、回動式の横開き扉となっている。投入口31の扉部34には施錠装置36が設けられている。施錠装置36は電子錠からなり、この施錠装置36により扉部34の施錠及び解錠が行われる。なお、取出口32の扉部35に施錠装置を設けるようにしてもよい。この場合、施錠装置は電子式であっても手動式であってもよい。
【0028】
続いて、荷物受取部21の内部構成について図3に加え図4に基づき説明する。図4は、荷物受取部21の内部構成を示す横断面図である。
【0029】
図3及び図4に示すように、受取箱23の内部(つまり内部空間29)には、回転可能な回転体41が設けられている。回転体41は、上下方向に延びる回転軸42と、その回転軸42から放射状に延びる複数の仕切板43とを有している。回転軸42は、平面視において内部空間29の略中央部に位置し、両端部が上板部24及び下板部25に回転可能に支持されている。
【0030】
回転体41は、回転軸42を中心として所定方向(一方向)に回転可能とされている。本実施形態では、回転体41が平面視にて反時計回りに回転されるようになっている。また、回転体41は、モータ等からなる回転駆動部45の駆動により回転されるようになっている。
【0031】
仕切板43は、内部空間29において上下に延びる向きで配置され、幅方向の一端部が回転軸42に固定されている。この場合、仕切板43は、回転軸42から離間する側に延びるように配置されている。仕切板43は、回転軸42の軸周り(軸周り方向)に所定の間隔で複数設けられ、本実施形態では3つ設けられている。詳しくは、各仕切板43は回転軸42の軸周りに等間隔で配置され、つまりは120°間隔で配置されている。
【0032】
受取箱23の内部空間29は、各仕切板43により複数(具体的には3つ)の区画領域Lに区画されている。各区画領域Lは、回転軸42の軸周り方向(換言すると回転体41の回転方向)に区画され、それぞれが荷物を収容可能な大きさを有している。なお、これら各区画領域Lがそれぞれ「領域」に相当する。
【0033】
各区画領域Lは、回転体41の回転に伴い、荷物を受け取り可能な受取位置と、その荷物を収容可能な収容位置と、その荷物を玄関11へ移送可能な移送位置とに変位するようになっている。具体的には、回転体41は、各区画領域Lがそれぞれ受取位置→収容位置→移送位置の順に変位するよう回転するようになっている。この場合、回転体41は、120°ごとに回転する。
【0034】
区画領域Lが受取位置にある場合には、区画領域Lが投入口31と連通される。この場合、投入口31を通じて区画領域Lに荷物を投入することが可能となる。そのため、受取位置では、区画領域Lにおいて荷物を受け取ることが可能となる。なお、受取位置が第1位置に相当する。また、区画領域Lで受け取られた荷物は、その後、当該区画領域Lが、回転体41の回転により収容位置→移送位置へと変位するのに伴い移送される。
【0035】
区画領域Lが収容位置にある場合には、区画領域Lが投入口31と非連通とされる。この収容位置では、区画領域Lに荷物が収容(保管)される。また、区画領域Lが収容位置にある場合には、区画領域Lが取出口32と連通される。そのため、この場合、取出口32を通じて区画領域Lから荷物を取り出すことが可能となる。なお、収容位置が第2位置に相当する。
【0036】
区画領域Lが移送位置にある場合には、区画領域Lが投入口31と非連通とされる。また、区画領域Lが移送位置にある場合には、区画領域Lがその下方に形成された開口部48と連通される。開口部48は、下板部25に形成され、平面視にて移送位置にある区画領域Lと同じ大きさでかつ同じ形状を有している。この場合、この開口部48により当該区画領域Lが下方に開口される。また、開口部48は、荷物移送部22の内部を介して玄関11に通じている。なお、図4では便宜上、開口部48にドットハッチを付して示している。また、移送位置が第2位置に相当する。
【0037】
受取箱23の内部空間29には、その隅部にスペーサ49が配設されている。スペーサ49は、受取箱23の(平面視における)4つの隅部のうち、開口部48上に位置する隅部を除いた3つの隅部にそれぞれ配置されている。スペーサ49は、回転体41の回転軸42を円弧中心とする円弧状の円弧面49aを有している。回転体41が回転する際には、各仕切板43の先端部(回動先端部)が円弧面49aに沿って変位するようになっている。この場合、円弧面49aと仕切板43の先端部との間の隙間は小さく設定されている。
【0038】
続いて、荷物受取装置20の電気的構成について図4を参照しながら説明する。
【0039】
図4に示すように、荷物受取装置20には、当該装置20の制御を行うコントローラ60が設けられている。コントローラ60は、CPU等を有する周知のマイクロコンピュータを主体に構成されている。
【0040】
コントローラ60の入力側には、荷物センサ61が接続されている。荷物センサ61は、受取位置にある区画領域Lを検知範囲として荷物が存在するか否かを検知するものである。荷物センサ61は、例えば赤外線からなり、下板部25に埋め込まれた状態で設けられている。コントローラ60には、荷物センサ61より逐次検知結果が入力される。
【0041】
コントローラ60の入力側には、開閉センサ62が接続されている。開閉センサ62は、扉部34の開閉状態を検知するセンサである。コントローラ60には、開閉センサ62から逐次検知結果が入力される。
【0042】
コントローラ60の出力側には、施錠装置36と回転駆動部45とが接続されている。コントローラ60は、上記各センサ61,62からの検知結果に基づいて、施錠装置36の施解錠を制御し、回転駆動部45の駆動を制御する。
【0043】
次に、コントローラ60により実行される回転制御処理の内容について図5に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、本処理は、所定の周期で繰り返し実行される。
【0044】
図5に示すように、本処理では、まずステップS11において、荷物センサ61からの検知結果に基づいて、受取位置にある区画領域Lに荷物が存在しているか否かを判定する。つまり、ここでは、当該区画領域Lに荷物が投入されているか否かを判定する。荷物が投入されていない場合には本処理を終了し、荷物が投入されている場合にはステップS12に進む。
【0045】
ステップS12では、開閉センサ62からの検知結果に基づいて、投入口31の扉部34が閉状態とされているか否かを判定する。扉部34が閉状態とされていない場合には本処理を終了する。一方、扉部34が閉状態とされている場合にはステップS13に進む。この場合、宅配業者により荷物が投入口31を通じて区画領域L(受取位置)に投入され、その後、扉部34が閉められたと判定することができる。
【0046】
ステップS13では、扉部34の施錠装置36を施錠状態とする。続く、ステップS14では、回転体41を回転させる回転処理を行う。回転処理では、回転駆動部45を駆動させることで回転体41を120°回転させる。これにより、受取位置にある区画領域Lは収容位置に変位し、収容位置にある区画領域Lは移送位置に変位し、移送位置にある区画領域Lは受取位置に変位する。
【0047】
続くステップS15では、扉部34の施錠装置36を解錠状態とする。これにより、投入口31より受取位置の区画領域Lに新たな荷物を投入することが可能となる。その後、本処理を終了する。
【0048】
続いて、受取箱23(詳しくは受取位置にある区画領域L)において受け取った荷物の流れについて図6に基づき説明する。図6は、荷物の流れを説明するための概略図である。
【0049】
まず、図6(a)に示すように、宅配業者により荷物N1が投入口31を通じて受取位置に位置する区画領域Lに投入される。この場合、投入された荷物N1は下板部25の上に載置される。荷物N1の投入後、宅配業者により扉部34が閉められ、その後、扉部34が施錠装置36により施錠される。
【0050】
なお、以下の説明では、このとき受取位置に位置する区画領域L、つまり荷物N1が投入された区画領域Lを区画領域Laという。また、収容位置に位置する区画領域Lを区画領域Lbといい、移送位置に位置する区画領域Lを区画領域Lcという。
【0051】
扉部34の施錠後、図6(b)に示すように、回転駆動部45の駆動により回転体41が回転される。これにより、区画領域Laが受取位置から収容位置に移行し、区画領域Lbが収容位置から移送位置に移行し、区画領域Lcが移送位置から受取位置に移行する。この移行に際し、区画領域La内の荷物N1は下板部25上に載置された状態で仕切板43に押されながら移動される。これにより、収容位置に位置する区画領域Laに荷物N1が収容された状態となる。
【0052】
続いて、図6(c)に示すように、受取位置に位置する区画領域Lcに新たに荷物N2が投入され、扉部34が閉められると、扉部34が施錠装置36により施錠される。その後、図6(d)に示すように、回転駆動部45の駆動により回転体41が回転される。これにより、区画領域Laが収容位置から移送位置に移行し、区画領域Lbが移送位置から受取位置に移行し、区画領域Lcが受取位置から収容位置に移行する。この移行に際し、区画領域Lc内の荷物N2は仕切板43に押されながら移動される。これにより、収容位置に位置する区画領域Lcに荷物N2が収容された状態となる。また、この移行に際し、区画領域La内の荷物N1は仕切板43に押されながら移動される。これにより、その荷物N1は、移送位置に移行した区画領域Laより開口部48を通じて下方へ落ち、その後荷物移送部22の内部を通じて玄関11へ移送される。
【0053】
続いて、荷物移送部22の構成について図2及び図3に加え図7に基づいて説明する。図7は、荷物移送部22の構成を示す平面図である。
【0054】
図2図3及び図7に示すように、荷物移送部22は、受取箱23の開口部48より下方へ落ちる荷物を受け玄関11へ移送するための傾斜部51と、傾斜部51を収容する傾斜収容部52とを備える。傾斜部51は、開口部48の真下(詳しくは直下)に配置され、その真下位置から玄関11に向けて下方傾斜して延びている。これにより、荷物が開口部48より下方へ落ちると、その荷物が傾斜部51上を滑りながら玄関11へ移送される。
【0055】
傾斜部51は、金属製又は樹脂製の傾斜板により形成されている。傾斜部51は、平面視においてU字状に曲がった曲がり部51aと、直線状に延びる直線部51bとを有している。曲がり部51aは傾斜部51の上側部分を構成し、直線部51bは傾斜部51の下側部分を構成している。また、傾斜部51(直線部51b)の下端部は玄関11の床面と略同じ高さ位置に設定されている。
【0056】
傾斜収容部52は、四角箱状に形成され、その平面視の大きさ及び形状が受取箱23と同じとされている。傾斜収容部52は、上下に対向して設けられた上板部53及び下板部54と、それら各板部53,54に跨がって設けられた複数の側板部55とを有する。
【0057】
傾斜収容部52は、受取箱23の下方に配置されている。この場合、傾斜収容部52(上板部53)の上に受取箱23が載置された状態で設けられている。また、傾斜収容部52は、玄関11の床上に載置されている。
【0058】
傾斜収容部52の上板部53には、受取箱23の開口部48を下方に開口させる開口部58が形成されている。この開口部58により、受取箱23の開口部48全体が下方に開口している。本実施形態では、開口部58が開口部48と同じ大きさでかつ同じ形状で形成されている。
【0059】
傾斜収容部52の内部には、上述したように傾斜部51が収容されている。傾斜部51は、その上端部が上板部53に固定され、詳しくは上板部53における開口部58の周縁部に固定されている。また、傾斜部51の下端部は下板部54の上面に載置されている。
【0060】
傾斜収容部52の側板部55には、傾斜部51(直線部51b)の下端側の延長上に荷物出口59が設けられている。傾斜部51に沿って移送される荷物はこの荷物出口59を通じて玄関11に導かれる(出される)。荷物出口59は、その下縁部が下板部54の下面と略同じ高さに位置している。下板部54の下面は玄関11の床面上に載置される載置面であるため、この場合、荷物出口59の下縁部は、玄関11の床面と略同じ高さ位置に設定されている。また、詳しくは、荷物出口59の下縁部は下板部54の下面よりも0~2cm程度高い位置に位置している。
【0061】
荷物出口59は、受取箱23に設けられた取出口32の下方に配置されている。この場合、荷物出口59は、取出口32と同じ向きに玄関11に向けて開口している。
【0062】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0063】
受取箱23の内部空間29に回転体41を設け、その回転体41に設けた複数の仕切板43により内部空間29を回転軸42の軸周り方向において複数の区画領域Lに区画した。そして、これら各区画領域Lを、回転体41の回転に伴い、受取位置→収容位置→移送位置の順に変位させるようにした。この場合、受取位置にある区画領域Lに投入口31を通じて荷物が投入されると、回転体41が回転され、その回転により区画領域L内の荷物が仕切板43に押されながら移動される。
【0064】
また、移送位置に位置する区画領域Lの下方には、玄関11側へ通じる開口部48を形成した。回転体41の回転に伴い、内部に荷物を有する区画領域Lが移送位置まで変位すると、その荷物が開口部48より下方へ落ちて玄関11へと移送される。この場合、受取箱23で受け取った荷物を玄関11に移送することができるため、それにより、新たな荷物の受け取りが可能となる。そのため、より多くの荷物を受けることが可能となる。
【0065】
開口部48から下方へ落ちる荷物を傾斜部51によって受け、その荷物を傾斜部51上に沿って玄関11へ移送するようにした。これにより、荷物を開口部48から玄関11に移送させるに際し、荷物が損傷するのを好適に防止することができる。
【0066】
受取箱23の下方に傾斜部51を収容する傾斜収容部52を設けたため、傾斜部51により外観が損なわれるのを防止できる。また、傾斜収容部52を屋内の床面上に置くことができるため、傾斜部51を有する構成にあって荷物受取装置20の設置を容易とすることができる。
【0067】
荷物出口59の下縁部を傾斜収容部52の下面(具体的には下板部54の下面)と略同じ高さに位置させた。この場合、傾斜収容部52が玄関11の床面上に置かれた際、荷物出口59の下縁部を玄関11の床面と略同じ高さに位置させることができる。これにより、傾斜部51に沿って移送される荷物が荷物出口59を通じて玄関11に導かれる際、荷物が床面上に落下することなく、荷物の損傷を確実に防止することができる。
【0068】
受取箱23に、収容位置にある区画領域Lから荷物を取り出すための取出口32を設け、その取出口32を荷物出口59と同じ向きに玄関11に向けて開口させた。これにより、取出口32から荷物を取り出す(受け取る)際も、荷物出口59を通じて移送される荷物を受け取る際も、同じ向きで受け取ることが可能となる。このため、荷物出口59に加え取出口32を有する構成にあって、荷物の受け取りをし易くすることができる。
【0069】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0070】
(1)上記実施形態では、3つの仕切板43により受取箱23の内部空間29を3つの区画領域Lに区画したが、仕切板43を4つ以上設けて、それら仕切板43により内部空間29を4つ以上の区画領域Lに区画してもよい。図8に示す例では、回転体70が4つの仕切板71を備え、それら4つの仕切板71により内部空間72が4つの区画領域Lに区画されている。この場合、各仕切板71が90°間隔で配置されている。また、図8の例では、各区画領域Lが、受取位置→収容位置→収容位置→移送位置の順に変位するようになっている。この場合、収容位置が2つあるため、荷物をそれら各収容位置の区画領域Lにそれぞれ収容することが可能となる。ただ、その一方で、区画領域Lの数が増えたことで開口部73の大きさが小さくなるため、開口部73を通じた荷物の移送を円滑に行えなくなるおそれがある。そのため、かかる点を鑑みると、上記実施形態のように、仕切板43の数は3つとするのが望ましい。
【0071】
なお、図8の例では、荷物の取出口が設けられていないため、収容位置にある区画領域Lに収容された荷物を取り出す際には回転体70を回転させて当該区画領域Lを移送位置まで移行させる必要がある。つまり、この場合、当該区画領域L内の荷物を開口部73を通じて玄関11へ移送させる必要がある。
【0072】
(2)上記実施形態では、傾斜部51を収容する傾斜収容部52を設けたが、傾斜収容部52を設けないようにしてもよい。
【0073】
(3)上記実施形態では、傾斜部51を傾斜板により形成したが、傾斜部をローラを含んで形成してもよい。この場合、荷物を円滑に移送することが可能となる。
【0074】
(4)上記実施形態では、傾斜部51に曲がり部51aを設けたが、傾斜部51に曲がり部51aを設けず傾斜部51全体を直線状に形成してもよい。
【0075】
(5)上記実施形態では、傾斜部51に沿って荷物を玄関11へ移送したが、傾斜部51は必ずしも設ける必要はない。この場合、受取箱23の開口部48から荷物を直接下方に落とすことで荷物を玄関11へ移送することが考えられる。ただ、荷物の損傷を防止する上では、傾斜部51に沿って荷物を移送するのが望ましい。
【0076】
(6)上記実施形態では、荷物受取装置20による荷物の移送先を玄関11としたが、荷物の移送先は必ずしも玄関11とする必要はない。例えば、キッチンやパントリーを移送先とすることが考えられる。食品の宅配サービスを利用する場合には、宅配された食品がキッチンやパントリーに移送されるため好都合となる。
【符号の説明】
【0077】
10…建物、11…玄関、12…外壁、20…荷物受取装置、23…受取箱、27…載置部としての下板部、29…内部空間、31…投入口、32…取出口、41…回転体、42…回転軸、43…仕切板、48…開口部、51…傾斜部、52…傾斜収容部、59…荷物出口、L…領域としての区画領域。
図1
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