(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】セグメント搬送装置
(51)【国際特許分類】
E21D 11/40 20060101AFI20230719BHJP
【FI】
E21D11/40 C
(21)【出願番号】P 2019214435
(22)【出願日】2019-11-27
【審査請求日】2022-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】303057365
【氏名又は名称】株式会社安藤・間
(73)【特許権者】
【識別番号】592093833
【氏名又は名称】青山機工株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】511033069
【氏名又は名称】キザイ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】本山 康貴
(72)【発明者】
【氏名】米津 愛
(72)【発明者】
【氏名】松本 英俊
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 栄一
(72)【発明者】
【氏名】北島 秀紀
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-333800(JP,A)
【文献】特開平05-179898(JP,A)
【文献】特開2012-225127(JP,A)
【文献】特開2014-173348(JP,A)
【文献】特開2007-002439(JP,A)
【文献】特開平10-317899(JP,A)
【文献】特開平04-289400(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 11/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前部のカッター装置により地山を掘削し、後部のエレクターにより、既に掘削された地山の内壁に沿って複数のセグメントを順次組み立てるシールドマシンの後方からシールドマシンの後部にセグメントを搬送するセグメント搬送装置であって、
シールドマシンの後方で既に掘削された地山の底壁に沿って設置されたセグメントの凹側の面に当接可能な複数の走行ローラー、及び前記走行ローラーの全部又は一部を回転駆動する走行ローラー駆動装置を有する自走式の台車と、
前記台車上に配置され、搬送する複数のセグメントの凸側の面を支持して各セグメントを前記台車の進行方向に送り出し可能な複数の送りローラー、及び前記送りローラーの全部又は一部を回転駆動する送りローラー駆動装置と、
前記台車の前部で幅方向両側にそれぞれ垂直方向に回動可能に取り付けられる一対の支持脚と、前記各支持脚の先端に軸支される一対の支持ローラーと、前記台車の前部と前記各支持脚との間に介設されて、シールドマシンの後方で既に掘削された地山の底壁に沿って設置されたセグメント上で前記各支持ローラーが走行可能に略水平方向に向けられる前記各支持脚に対して並列に配置され、シールドマシンの後部でシールドマシンとシールドマシンの後方で既に掘削された地山の底壁に沿って設置されたセグメントとの間の前記地山の底壁上で前記各支持ローラーが走行可能に略垂直方向に向けて回動される前記各支持脚に対して追従、回動し、略垂直に向けられた前記各支持脚を回動を規制して保持する一対のストッパーとを有し、シールドマシンの後部の前記地山の底壁上で前記台車を略水平に支持走行する一対の台車支持ローラーと、
を備え、
シールドマシンの後方で前記台車上に前記各送りローラーを介して、搬送する複数のセグメントを搭載し、シールドマシンの後方で既に掘削された地山の底壁に沿って設置されたセグメント上を前記台車が前記各走行ローラーの駆動により走行し、シールドマシンの後部で前記各送りローラー上の各セグメントを前記各送りローラーの駆動によりシールドマシンの後部へ順次送り出す、
ことを特徴とするセグメント搬送装置。
【請求項2】
自走式の台車は、本体が前記台車の進行方向に延びる中央のベースと、前記中央のベースの両側に僅かに略逆ハの字形に固定される複数の支持部、及び前記両側の各支持部に異なる高さにして配設される走行ローラー用及び送りローラー用の複数の軸受とからなり、前記中央のベースの両側の前記走行ローラー用の各軸受に複数の走行ローラーが前記本体の下部から突出して前記本体を支持可能に軸支され、前記中央のベースの両側の前記送りローラー用の各軸受に複数の送りローラーが前記本体の上部に突出してセグメントを支持可能に軸支される請求項1に記載のセグメント搬送装置。
【請求項3】
走行ローラー駆動装置は、本体の後部に設置される駆動モーターと、中央のベースの両側の各軸受の一方側に配置され、前記駆動モーターの動力を前記各走行ローラーに伝達する動力伝達部材と、を有する請求項2に記載のセグメント搬送装置。
【請求項4】
送りローラー駆動装置は、本体の後部に設置される駆動モーターと、中央のベースの両側の各軸受の他方側に配置され、前記駆動モーターの動力を前記各送りローラーに伝達する動力伝達部材と、を有する請求項2又は3に記載のセグメント搬送装置。
【請求項5】
各走行ローラーはウレタンにより略樽形に形成される請求項1乃至4のいずれかに記載のセグメント搬送装置。
【請求項6】
各送りローラーはウレタンにより略円筒形に形成される請求項1乃至5のいずれかに記載のセグメント搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル工事に使用するシールドマシンの後方に設置され、トンネル工事の施工状況に応じて、セグメントをシールドマシンの後部に搬送するセグメント搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シールドマシンを用いたトンネル工事では、シールドマシンの前部に設けられたカッター装置により地山を掘削し、シールドマシンのテール部後部に設けられたエレクターにより掘削されたトンネルの内壁に沿って複数のセグメントを順次リング状に組み立てて、トンネルを構築していく。
【0003】
この種の工事においては、セグメントを立坑側から切羽側へ運搬する作業が併せて必要となる。従来は、トンネル坑内にレールがシールドマシンに向けて敷設されてこのレール上に複数台の運搬台車と牽引車が連結して配置され、セグメントは各運搬台車に積載され各運搬台車がレール上を走行して運搬される(特許文献1参照)。セグメントは、運搬台車によってトンネル切羽近くまで搬送された後、テルハクレーンにより、ホイストなどの吊り上げ装置に吊り下げられてシールドマシンのテール部の直後まで搬送され(特許文献2参照)、シールドマシンのエレクターに受け渡しされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-336492号公報
【文献】特開2006-9403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、シールドマシンを用いた従来のトンネル工事では、セグメントの搬送作業にテルハクレーンを使用するため、とりわけ狭所でセグメントを搬送する場合に、次のような問題がある。
(1)セグメントが荷振れし、トンネルの内壁に組み立て済みのセグメントなど既設の構造物やシールドマシンのスクリューコンベアやエレクター、さらに坑内コンベア(ベルトコンベア)などの掘進設備に接触し、セグメント、構造物、設備が破損するおそれがある。とりわけ、セグメント、構造物の破損は品質の低下に繋がりかねない。また、セグメントの荷振れにより、セグメントが作業員に接触することも懸念される。
(2)トンネルの急勾配部で、テルハクレーンを用いてセグメントを搬送する場合、テルハクレーンに吊り下げられたホイストなどの吊り上げ装置が逸走し、セグメントが荷振れしたり落下したりするおそれがある。セグメントが荷振れしたり落下したりすると、セグメントが既述の既設の構造物やシールドマシンの掘進設備に接触し、セグメント、構造物、設備が破損する。とりわけ、セグメント、構造物の破損は品質の低下に繋がりかねない。また、セグメントの荷振れにより、セグメントが作業員に接触することも懸念される。
(3)セグメントの荷振れを防ぐために、セグメントの搬送作業に複数(2、3名程度)の作業員を付けなければならない。
【0006】
本発明は、このような従来の問題を解決するものであり、この種のセグメントの運搬作業において、セグメントの荷振れを無くして、セグメントと既設の構造物やシールドマシンの掘進設備との接触、セグメントと作業員との接触を無くすことができ、併せてセグメントの搬送作業に要する人員を削減することができ、しかも、トンネル坑内でシールドマシンの掘削進行に合わせて、セグメントをシールドマシンの後部に効率よく搬送することのできるセグメント搬送装置を提供すること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、
前部のカッター装置により地山を掘削し、後部のエレクターにより、既に掘削された地山の内壁に沿って複数のセグメントを順次組み立てるシールドマシンの後方からシールドマシンの後部にセグメントを搬送するセグメント搬送装置であって、
シールドマシンの後方で既に掘削された地山の底壁に沿って設置されたセグメントの凹側の面に当接可能な複数の走行ローラー、及び前記走行ローラーの全部又は一部を回転駆動する走行ローラー駆動装置を有する自走式の台車と、
前記台車上に配置され、搬送する複数のセグメントの凸側の面を支持して各セグメントを前記台車の進行方向に送り出し可能な複数の送りローラー、及び前記送りローラーの全部又は一部を回転駆動する送りローラー駆動装置と、
前記台車の前部で幅方向両側にそれぞれ垂直方向に回動可能に取り付けられる一対の支持脚と、前記各支持脚の先端に軸支される一対の支持ローラーと、前記台車の前部と前記各支持脚との間に介設されて、シールドマシンの後方で既に掘削された地山の底壁に沿って設置されたセグメント上で前記各支持ローラーが走行可能に略水平方向に向けられる前記各支持脚に対して並列に配置され、シールドマシンの後部でシールドマシンとシールドマシンの後方で既に掘削された地山の底壁に沿って設置されたセグメントとの間の前記地山の底壁上で前記各支持ローラーが走行可能に略垂直方向に向けて回動される前記各支持脚に対して追従、回動し、略垂直に向けられた前記各支持脚を回動を規制して保持する一対のストッパーとを有し、シールドマシンの後部の前記地山の底壁上で前記台車を略水平に支持走行する一対の台車支持ローラーと、
を備え、
シールドマシンの後方で前記台車上に前記各送りローラーを介して、搬送する複数のセグメントを搭載し、シールドマシンの後方で既に掘削された地山の底壁に沿って設置されたセグメント上を前記台車が前記各走行ローラーの駆動により走行し、シールドマシンの後部で前記各送りローラー上の各セグメントを前記各送りローラーの駆動によりシールドマシンの後部へ順次送り出す、
ことを要旨とする。
【0008】
また、このセグメント搬送装置は各部に次のような構成を備えることが好ましい。
(1)自走式の台車は、本体が前記台車の進行方向に延びる中央のベースと、前記中央のベースの両側に僅かに略逆ハの字形に固定される複数の支持部、及び前記両側の各支持部に異なる高さにして配設される走行ローラー用及び送りローラー用の複数の軸受とからなり、前記中央のベースの両側の前記走行ローラー用の各軸受に複数の走行ローラーが前記本体の下部から突出して前記本体を支持可能に軸支され、前記中央のベースの両側の前記送りローラー用の各軸受に複数の送りローラーが前記本体の上部に突出してセグメントを支持可能に軸支される。
(2)走行ローラー駆動装置は、本体の後部に設置される駆動モーターと、中央のベースの両側の各軸受の一方側に配置され、前記駆動モーターの動力を前記各走行ローラーに伝達する動力伝達部材と、を有する。
(3)送りローラー駆動装置は、本体の後部に設置される駆動モーターと、中央のベースの両側の各軸受の他方側に配置され、前記駆動モーターの動力を前記各送りローラーに伝達する動力伝達部材と、を有する。
(4)各走行ローラーはウレタンにより略樽形に形成される。
(5)各送りローラーはウレタンにより略円筒形に形成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明のセグメント搬送装置によれば、上記の構成により、セグメントの荷振れを無くして、セグメントと既設の構造物、作業員との接触を無くすことができ、併せてセグメントの搬送作業に要する人員を削減することができ、しかも、トンネル坑内でシールドマシンの掘削進行に合わせて、セグメントをシールドマシンの後部に効率よく搬送、送り出しすることができる、という本発明独自の格別な効果を奏する。
特に、このセグメント搬送装置では、台車の前部に一対の台車支持ローラーを備え、シールドマシンの後部の地山の底壁上で台車を略水平に支持走行するようにしたので、本装置をセグメント組み立て位置まで確実に走行させることができる、という本発明独自の顕著な効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施の形態に係るセグメント搬送装置の全体構成を示す斜視図
【
図7】シールドマシンによるトンネル工事において同装置を用いたセグメントの搬送作業の具体例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、この発明を実施するための形態について図を用いて説明する。
図1、
図2にセグメント搬送装置の一具体例としての全体構成を示している。
図3乃至
図6に各部の構成を示している。
【0012】
図1に示すように、セグメント搬送装置A(以下、単に本装置Aという。)は、前部のカッター装置により地山を掘削し、後部のエレクターにより、既に掘削された地山の内壁に沿って複数のセグメントを順次組み立てるシールドマシンの後方からシールドマシンの後部にセグメントを搬送するものである。本装置Aは、シールドマシンの後方で既に掘削された地山の底壁に沿って設置されたセグメント(以下、底壁上のセグメントという。)の凹側の面に当接可能な複数の走行ローラー20、及び走行ローラー20の全部又は一部を回転駆動する走行ローラー駆動装置2を有する自走式の台車1と、台車1上に配置され、搬送する複数のセグメントの凸側の面を支持して各セグメントを台車1の進行方向に送り出し可能な複数の送りローラー30、及び送りローラー30の全部又は一部を回転駆動する送りローラー駆動装置3とを備えて構成される。
【0013】
図3に示すように、自走式の台車1は、本体10が台車1の進行方向に延びる中央のベース11と、中央のベース11の両側に僅かに略逆ハの字形に固定される複数の支持部12、及び両側の各支持部12に異なる高さにして配設される走行ローラー用及び送りローラー用の複数の軸受131、132とからなる。中央のベース11の両側の低位置に複数の走行ローラー用の軸受131が設けられ、これらの軸受131に複数の走行ローラー20が本体10の下部から突出して本体10を支持可能に軸支される。中央のベース11の両側の高位置に送りローラー用の軸受132が設けられ、これらの軸受132に複数の送りローラー30が本体10の上部に突出してセグメントを支持可能に軸支される。
【0014】
この場合、中央のベース11は2本一対のH形鋼が相互に接して並列に並べられ、相互に対向する上下のフランジの縁部間を溶接などにより接合されて形成される。なお、この中央のベース11は長さ方向の一端が前部で、長さ方向の他端が後部になっている。複数の支持部12はそれぞれ、中央のベース11をなすH形鋼の上下のフランジ間に配置可能な略矩形状の鋼板からなり、上縁部の中央に下縁部方向に向けてU字形の溝121が設けられる。各支持部12をなす各鋼板は、上縁部を上向きにして、両面を前後方向に向けて、中央のベース11をなす2本のH形鋼の各ウェブの外向きの面に、所定の間隔で、この外向きの面に対して直角にかつ少し斜め上方に向けて溶接などにより固着して取り付けられる。
【0015】
また、この場合、中央のベース11の両側の走行ローラー用の各軸受131及び送りローラー用の各軸受132は、中央のベース11の両側に共通の一対の軸受プレート13により構成される。各軸受プレート13は、鋼板により、高さが中央のベース11の高さと略同じか僅かに高く、長さが中央のベース11の長さよりも少し長い細長いプレートとして形成される。各軸受プレート13の先端側の一定の範囲は後述する一対の台車支持ローラー6の取付部135(
図1、
図2参照)になっている。この取付部135後方の各軸受プレート13の側面部に、所定のピッチで所定の低位置に、各軸受プレート13の側面部の外向き、内向きの各側面間を貫通して、複数の走行ローラー用の軸受131が装着され、各走行ローラー用の軸受131の前後両側で所定の高位置に、各軸受プレート13の側面部の外向き、内向きの側面間を貫通して、複数の走行ローラー用の軸受131よりも多くの送りローラー用の軸受132が装着され、各軸受プレート13間を複数の連結ピン138で連結して構成される。各走行ローラー20はウレタンにより略樽形に形成される(
図4、
図5参照)。各送りローラー30はウレタンにより略円筒形に形成される(
図4、
図5参照)。各一対の軸受プレート13の低位置の走行ローラー用の各軸受131間に各走行ローラー20が軸21を介して取り付けられて一対の軸受プレート13の下部から各走行ローラー20の一部が突出され、一対の軸受プレート13の高位置の送りローラー用の各軸受132間に各送りローラー30が軸31を介して取り付けられて一対の軸受プレート13の上部から各送りローラー30の一部が突出され、各軸受プレート13間に複数の走行ローラー20、送りローラー30が一列に配列される。これらの軸受プレート13はそれぞれ、先端側の一定の範囲、つまり後述する一対の台車支持ローラー6の取付部135が中央のベース11の前部よりも前方に突出され、内側の軸受プレート13の側面が中央のベース11両側の各支持部12の先端に当接されて、これら内側の軸受プレート13と中央のベース11の各支持部12がボルトなどにより固定され、中央のベース11の両側に取り付けられる。
【0016】
なお、中央のベース11の両側の一対の軸受プレート13の両側に、後述するとおり、複数の支持プレート134を介して回動シャフト231が配置されるが、各一対の軸受プレート13の両側上部にそれぞれ中央のベース11の上部フランジと並列にカバープレート4が被せ付けられる。この場合、各一対の軸受プレート13の内側(中央のベース11側)の上部にフラット状のカバープレート4が取り付けられ、各一対の軸受プレート13の外側(内側とは反対側)の上部にアングル状のカバープレート4が取り付けられ、各一対の軸受プレート13の両側の各支持プレート134及び各回動シャフト231が各軸受プレート13の上縁部を含めて隠蔽され、外部から見えることがない。
【0017】
図3に示すように、走行ローラー駆動装置2は、本体10の後部に設置される駆動モーター22と、中央のベース11の両側の各軸受131、132の一方側に配置され、駆動モーター22の動力を各走行ローラー20に伝達する動力伝達部材23とを有してなる。送りローラー駆動装置3は、本体10の後部に設置される駆動モーター32と、中央のベース11の両側の各軸受131、132の他方側に配置され、駆動モーター32の動力を各送りローラー30に伝達する動力伝達部材33とを有してなる。
【0018】
この場合、走行ローラー駆動装置2、送りローラー駆動装置3の各駆動モーター22、32に電動モーターが採用される。本体10の中央のベース11の後部の両側にボックス5が取り付けられて、各ボックス5内に走行ローラー用、送りローラー用の各駆動モーター22、32として2つの電動モーターが設置される。各ボックス5内において、走行ローラー用の駆動モーター22はボックス5内の外側の位置に設置され、送りローラー用の駆動モーター32はボックス5内の内側の位置に設置される。なお、各駆動モーター22、32はケーブル51を介して操作盤52に接続され、操作盤52に図示されないリモートコントローラーが有線又は無線で接続されて、リモートコントローラーのボタン操作により、各駆動モーター22、32を正転方向又は逆転方向に回転駆動するようになっている。なお、台車1に各種のセンサーが設置されることで、台車1の自動走行やセグメントの自動送り出しも可能である。
【0019】
また、この場合、走行ローラー駆動装置2、送りローラー駆動装置3の各動力伝達部材23、33は、
図4、
図5に示すように、各駆動モーター22、32に作動連結される回動シャフト231、331と、回動シャフト231、331に取り付けられる複数のかさ歯車232、332と、各走行ローラー20の軸21、各送りローラー30の軸31に取り付けられる複数のかさ歯車233、333とにより構成される。本体10の中央のベース11の両側の一対の軸受プレート13の相互に対向されない外向きの各側面に所定のピッチで平鋼などの平板にシャフト挿通孔133を形成してなる複数の支持プレート134が各シャフト挿通孔133を前後方向に向けて相互に連通可能に外側の各側面の側方に向けて突設される。各一対の軸受プレート13の各外側の軸受プレート13の走行ローラー用の各軸受131に支持される各軸21にかさ歯車233が軸21と一体回転可能に取り付けられる。走行ローラー駆動装置2の回動シャフト231は中央のベース11よりも少し長い丸棒(丸鋼)からなる。2本の回動シャフト231が本体10後部の各走行ローラー用の駆動モーター22に作動連結されて、各一対の軸受プレート13の外側一方の軸受プレート13の各支持プレート134(のシャフト挿通孔133)に各回動シャフト231にかさ歯車232を通しながら挿通されて、中央のベース11の両側の走行ローラー用、送りローラー用の各軸受131、132の外側の一方側に回動可能に配置される。そして、これら回動シャフト231の周面に通された各かさ歯車232が各一対の軸受プレート13の各外側の軸受プレート13の走行ローラー用の各軸受131に支持される各軸21のかさ歯車233に係合可能に取り付けられる。同様に、各一対の軸受プレート13の各内側の軸受プレート13の送りローラー用の各軸受132に支持される各軸31にかさ歯車333が軸31と一体回転可能に取り付けられる。送りローラー駆動装置3の回動シャフト331は中央のベース11よりも少し長い丸棒(丸鋼)からなる。2本の回動シャフト331が本体10後部の各送りローラー用の駆動モーター32に作動連結されて、各一対の軸受プレート13の内側一方の軸受プレート13の各支持プレート134(のシャフト挿通孔133)及び中央のベース11両側の各支持部12の溝121に各回動シャフト331にかさ歯車332を通しながら挿通されて、中央のベース11の両側の走行ローラー用、送りローラー用の各軸受131、132の内側の他方側に回動可能に配置される。そして、これら回動シャフト331の周面に通された各かさ歯車332が各一対の軸受プレート13の各内側の軸受プレート13の送りローラー用の各軸受132に支持される各軸31のかさ歯車333に係合可能に取り付けられる。
【0020】
このようにして本装置Aは複数の走行ローラー20の全部が駆動モーター(電動モーター)22の駆動により動力伝達部材23を介して正逆回転可能で、台車1が前後方向に自走可能であり、この台車1上に複数の送りローラー30が駆動モーター(電動モーター)32の駆動により動力伝達部材33を介して正逆回転可能で、この台車1上に複数のセグメントSが各送りローラー30を介して搭載され、各セグメントSを前後方向に送り出し可能になっている。
【0021】
本装置Aはまた、
図1、
図2に示すように、台車1の前部に一対の台車支持ローラー6を備える。一対の台車支持ローラー6は、
図6に示すように、一対の支持脚61と、一対の支持ローラー60と、一対のストッパー62とからなる。一対の支持脚61は台車1の前部で幅方向両側にそれぞれ垂直方向に回動可能に取り付けられる。一対の支持ローラー60は各支持脚61の先端に軸支される。一対のストッパー62は、台車1の前部と各支持脚61との間に介設されて、シールドマシンの後方の底壁上のセグメント上で各支持ローラー60が走行可能に略水平方向に向けられる各支持脚61に対して並列に配置され、シールドマシンの後部、すなわち、シールドマシンと底壁上のセグメントとの間の地山の底壁上で各支持ローラー60が走行可能に略垂直方向に向けて回動される各支持脚61に対して追従、回動し、略垂直に向けられた各支持脚61を回動を規制して保持する機能を有している。このようにしてシールドマシンの後部の地山の底壁上で台車1を略水平に支持走行するようになっている。
【0022】
この場合、一対の支持脚61はそれぞれ、一対の支持プレート611からなる。各一対の脚プレート611は、鋼板により、全体が縦長の略コ字形に形成され、両端部611a、611cが角丸長方形を呈し、両端部611a、611c間の中間部611bが細長い長方形になっている。各支持プレート611の一端に、言い換えれば、一端部611aの先端に回動軸挿通部612を有し、他端、言い換えれば、他端部611cの先端に軸受613を有し、中間部611bの一端部611a側にガイドピン挿通部614を有する。また、各支持プレート611は一端の回動軸挿通部612を支点として垂下された場合に、各支持プレート611(の中間部611b)が垂直方向に向けられるようにしてもよいが、ここでは、支点の直下に各支持プレート611の中間部611bと他端部611cとの間の部分がくるように、つまり、他端部611cの軸受613が一端部611aの回動軸挿通部612の直下を通過して他端部611cが一端部611aに対して若干先方に突き出されるように、各支持プレート611の中間部611bと他端部611cとの間の部分に厚みや重みを付けるなどして、中間部611bと他端部611cとの間に重心をおく構造とする。
【0023】
一対の支持ローラー60は、既述の走行ローラー20と同様に、ウレタンにより略樽形に形成される。各支持ローラー60は各一対の支持プレート611の他端部611cの軸受613間に軸601を介して取り付けられる。
【0024】
一対のストッパー62はそれぞれ、鋼板により、全体が所定の長さの細長い角丸長方形に形成され、一端に他端に向けて略長円形の長孔621が形成され、この長孔621に隣接して、他端側に両端方向に向けて一端の長孔621よりも長いに長孔622が形成される。各ストッパー62は、各一対の支持プレート611の各ガイドピン挿通部614間に各ストッパー62一端の長孔621を配置され、各ガイドピン挿通部614と一端の長孔621との間に挿通されるガイドピン623を介して取り付けられる。
【0025】
このようにして一対の台車支持ローラー6が中央のベース11両側の各一対の軸受プレート13先端の各取付部135間に回動可能に取り付けられる。この場合、各一対の軸受プレート13先端の各取付部135の前後方向中間部で下部側に各取付部135の外向き、内向きの各側面間を貫通して軸挿通部136が形成され、各取付部135の先端で下部側に各取付部135の外向き、内向きの各側面間を貫通してピン挿通部137が形成される。各一対の支持プレート611は、各一端部611aが各一対の軸受プレート13の各取付部135の外向きの側面に所定の間隔を介して配置され、各一対の支持プレート611の各一端部611aの回転軸挿通部612と各取付部135の軸挿通部136との間に軸63が挿通されて、各取付部135に回動可能に支持される。各ストッパー62は各取付部135の外向きの側面に近接して配置され、各ストッパー62の一端の長孔621と各支持プレート611のガイドピン挿通部614との間にガイドピン623が挿通され、各ストッパー62の他端側の長孔622と各取付部135のピン挿通部137との間にピン64が挿通されて、各支持プレート611と各取付部135との間に配置され、各支持プレート611のガイドピン623と各取付部135のピン64との間に架け渡しされる。このように組み込まれた一対のストッパー62は、シールドマシンの後方の底壁上のセグメント上で各支持ローラー60が走行可能に略水平方向に向けられる各支持脚61に対して並列に配置され、シールドマシンの後部、すなわち、シールドマシンとシールドマシンの後方の底壁上のセグメントとの間の地山の底壁上で、各支持ローラー62が走行可能に略垂直方向に向けて回動される各支持脚61に対して追従、回動して、略垂直に向けられた(この場合は、各支持脚61の他端部611cの軸受613が一端部611aの回動軸挿通部612の直下を通過して他端部611cが一端部611aに対して若干先方に突き出された少し斜めの)各支持脚61を回動を規制して保持する機能を有する。
【0026】
このように本装置Aは台車1の本体10に電動モーター駆動の特殊な走行ローラー20、送りローラー30を複数組み合わせて構成され、シールドマシンの後方で台車1上に各送りローラー30を介して、搬送する複数のセグメントを搭載し、シールドマシンの後方の底壁上のセグメント上を台車1が各走行ローラー20の駆動により走行し、シールドマシンの後部で各送りローラー30上の各セグメントを各送りローラー30の駆動によりシールドマシンの後部へ順次送り出すようになっている。すなわち、本装置Aは、従来のようにセグメントを吊り上げて搬送する形式ではなく、セグメントを特殊なローラーにより搬送し、送り出す形式になっている。
【0027】
図7にシールドマシンMによるトンネル工事において本装置Aを用いたセグメントSの搬送作業の具体例を示している。
【0028】
図7に示すように、シールドマシンMを用いたトンネル工事では、シールドマシンMの前部に設けられたカッター装置Cにより地山を掘削する。この掘削されたズリは、カッター装置Cの後方に配置されたスクリューコンベアHによりシールドマシンM内に取り込まれてトンネル坑内の上方に向けて搬送され、トンネル坑内の上部に設置されたベルトコンベアBに受け渡しされる。このズリはベルトコンベアBでトンネル坑内を後方へ搬送されて、ベルトコンベアBの終端から排出される。トンネル坑内には、シールドマシンMの後方に所定の高さに一対のレールRが敷設されて、このレールR上をズリ鋼車T1、セグメント運搬車T2がバッテリーロコ(蓄電池式機関車)Tにより牽引されて往復走行される。ベルトコンベアBの終端から排出されたズリはその下方に停止中のズリ鋼車T1に収容される。ズリはこのズリ鋼車T1により立坑へ運搬されて、トンネル坑外へ排出される。
【0029】
一方、シールドマシンMの後部では、シールドマシンM後部に設けられたエレクターEにより、既に掘削されたトンネルの内壁に沿って複数のセグメントSが順次リング状に組み立てられて、トンネルが構築されていく。そこで、この種のトンネル工事では、セグメントSが立坑側からシールドマシンMの後方のストック場所P1まで運搬されてここにストックされ、このストック場所P1からシールドマシンMの後部、すなわち、セグメント組み立て位置P2へ搬送される。
【0030】
本装置Aを用いたセグメントSの搬送では、まず、バッテリーロコTに牽引されてセグメント運搬車T2がレールR上を立坑側に走行され、そこで、複数のセグメントSがセグメント運搬車T2に載せられる。次いで、バッテリーロコTに牽引されてセグメント運搬車T2がレールR上を立坑側からセグメントSのストック場所P1側へ走行され、そこで、セグメント運搬車T2から各セグメントSがテルハクレーンLによりホイストなどの吊り上げ装置に吊り上げられ、ストック場所P1に吊り下ろされて、ストックされる。ここまで、複数のセグメントSがセグメント運搬車T2により運搬され、ストック場所P1付近に比較的広い空間を確保でき、セグメントSがテルハクレーンLによりセグメント運搬車T2からストック場所P1に移し替えられるだけなので、このセグメントSの運搬作業を安全に行うことができる。そして、ストック場所P1の各セグメントSはシールドマシンMの後方の底壁上のセグメントS上で本装置Aの台車1上に各送りローラー30を介して搭載される。この底壁上のセグメントS上を台車1が各走行ローラー20の駆動によりシールドマシンMの後部(直後)まで走行し、シールドマシンMの後部で各送りローラー30上の各セグメントSが各送りローラー30の駆動によりシールドマシンM後部のセグメント組み立て位置P2へ順次送り出される。
【0031】
すなわち、まず、本装置Aが底壁上のセグメントS上でストック場所P1に近接する位置に待機され、そこで、ストック場所P1から複数のセグメントSがテルハクレーンLによりホイストなどの吊り上げ装置に吊り上げられ、台車1上に吊り下ろされて台車1上に各送りローラー30を介して搭載される。この場合、各送りローラー30はウレタンにより略円筒形に形成されているので、各送りローラー30を搬送するセグメントSの凸側の曲面に沿って密着させることができ、本装置A上に搬送するセグメントSを安定して搭載することができる。ここまでは、ストック場所P1付近が比較的広い空間で、各セグメントSがテルハクレーンLによりストック場所P1から台車1へ移し替えられるだけなので、このセグメントSの搬送準備作業を安全に行うことができる。
【0032】
次に、本装置Aの台車1が底壁上のセグメントS上をストック場所P1に近接する位置からシールドマシンMの後部、すなわち、セグメント組み立て位置P2まで走行される。この場合、本装置Aの台車1はまず底壁上のセグメントS上をストック場所P1に近接する位置からセグメント組み立て位置P2の直前まで、前部の一対の台車支持ローラー6が略水平方向前方に向けて延び、各支持ローラー6が底壁上のセグメントS上に乗って、各走行ローラー20の駆動により走行される。また、この場合、各走行ローラー20がウレタンにより略樽形に形成されていることで、各走行ローラー20を底壁上のセグメントSの凹側の曲面上に沿って密着させることができ、本装置Aを底壁上のセグメントS上で安定して走行させることができる。台車1がセグメント組み立て位置P2の直前に到達し、本装置Aは引き続きセグメント組み立て位置P2へ進められる。このセグメント組み立て位置P2はシールドマシンMにより掘削された地山の底壁であり、底壁上のセグメントSよりも低くなっている。台車1が底壁上のセグメントS上からセグメント組み立て位置(底壁)P2に進入すると、台車1前部の一対の台車支持ローラー6は一対の支持脚61が一対のストッパー62とともにセグメント組み立て位置P2に向けて下方へ回動し、各支持脚61が垂直方向に向けて回動されると、各ストッパー62がガイドピン623を回動中心にして一端が下方に向けて回動しつつガイドピン623の周囲を台車1の前部側へ下がり、各支持脚61が台車1の前部に向けて下方斜めに向けてスライドされる。台車1前部の各台車支持ローラー6は各支持脚61が垂直方向に向けられると、各支持ローラー60がセグメント組み立て位置P2に着床し、さらに各支持脚61は垂直方向を通過し垂直方向に対して少し台車1側に寄せた位置まで回動される。各支持脚61が垂直方向に対して少し台車1側に寄せた位置まで回動されると、各ストッパー62の他端側の長孔622の他端とピン64が係合して、各支持脚61の回動が規制停止されて、各台車支持ローラー6のセグメント組み立て位置P2での着床状態が安定的に固定される。これら台車支持ローラー6により、底壁上のセグメントS上の台車は水平状態が保持され、台車1は底壁上のセグメントS上を各走行ローラー20の回転駆動により走行し、各セグメントSが荷振れすることなく、本装置Aはセグメント組み立て位置Pまで走行される。つまり、本装置AはシールドマシンMの直後に付けられる。
【0033】
そこで、台車1上の複数のセグメントSのうち、シールドマシンMに最も近い一番目(一番前)のセグメントSがエレクターEに受け渡しされる。この場合、各送りローラー30はウレタンにより略円筒形に形成されているので、各送りローラー30がセグメントSの凸側の曲面に沿って密着し、本装置A上でセグメントSは安定して支持されている。これにより、狭所でのセグメントSの荷振れは無く、セグメントSは安定してエレクターEに受け渡しされる。このエレクターEによりセグメントSがトンネルの内壁に沿って組み立てられる。そして今度はシールドマシンMに近い二番目のセグメントSが台車1上を各送りローラー30の回転駆動によりセグメント組み立て位置P2へ送り出され、エレクターEに受け渡しされる。台車1上の後続のセグメントSもまた同様にして、セグメント組み立て位置P2へ送り出され、エレクターEに受け渡しされる。この場合、各送りローラー30はウレタンにより略円筒形に形成されているので、各送りローラー30を各セグメントSの凸側の曲面に沿って密着させることができ、本装置A上で各セグメントSを安定して支持し、送り出すことができる。以降、トンネル坑内でのシールドマシンMの掘削進行に合わせて、本装置AによるセグメントSのセグメント組み立て位置P2への搬送、送り出しが繰り返される。ここまでも、ストック場所P1付近が比較的広い空間で、各セグメントSがテルハクレーンLによりストック場所P1から本装置Aへ移し替えられ、その後は、エレクターEや各種の掘進設備などが配置される狭所でも、各セグメントSが本装置Aによりセグメント組み立て位置P2へ荷振れすることなく搬送されるので、このセグメントSの搬送作業を安全に行うことができる。
【0034】
図7では、トンネルが水平に掘削進行されているが、トンネルが上り傾斜又は下り傾斜に掘削進行されて、急勾配部があっても、電動モーター駆動の特殊な走行ローラー20、送りローラー30により、各ローラー20、30はスリップ(滑動)することがなく、複数のセグメントSの搬送、送り出しを、同様にして、安定して行うことができる。
【0035】
以上説明したように、本装置Aは、シールドマシンM後方の底壁上のセグメントSの凹側の面に当接可能な複数の走行ローラー20、及び走行ローラー20の全部を回転駆動する走行ローラー駆動装置2を有する自走式の台車1と、台車1上に配置され、搬送する複数のセグメントSの凸側の面を支持して各セグメントSを台車1の進行方向に送り出し可能な複数の送りローラー30、及び送りローラー30の全部を回転駆動する送りローラー駆動装置3とを備えて構成される。このようにしてシールドマシンMの後方で台車1上に各送りローラー30を介して、搬送する複数のセグメントSを搭載し、シールドマシンM後方の底壁上のセグメントS上を台車1が各走行ローラー20の駆動により走行し、シールドマシンMの後部で各送りローラー30上の各セグメントSを各送りローラー30の駆動によりシールドマシンMの後部へ順次送り出すようにしたので、セグメントSの荷振れが無く、セグメントSと既設の構造物、作業員との接触を無くすことができる。セグメントSの荷振れが無いことで、セグメントSの搬送作業に要する人員も複数(2、3名)から1名に削減することができる。しかも、トンネル坑内でシールドマシンMの掘削進行に合わせて、セグメントSをシールドマシンMの後部に効率よく搬送することができる。
【0036】
本装置Aはまた特に次のような利点を有する。
(1)自走式の台車1は、本体10が台車1の進行方向に延びる中央のベース11と、中央のベース11の両側に僅かに略逆ハの字形に固定される複数の支持部12、及び両側の各支持部12に異なる高さにして配設される走行ローラー用及び送りローラー用の複数の軸受131、132とからなり、中央のベース11の両側の走行ローラー用の各軸受131に複数の走行ローラー20が本体10の下部から突出して本体10を支持可能に軸支され、中央のベース11の両側の送りローラー用の各軸受132に複数の送りローラー30が本体10の上部に突出してセグメントSを支持可能に軸支されるので、本装置Aを、簡単な構造で、底壁上のセグメントS上で安定して走行させることができ、台車1上でセグメントSを安定して支持し送り出すことができる。また、この簡単な構造により、壊れにくく、保守、修繕も容易に行うことができる。
(2)走行ローラー駆動装置2は、本体10の後部に設置される駆動モーター22と、中央のベース11の両側の各軸受131、132の一方側に配置され、駆動モーター22の動力を各走行ローラー20に伝達する動力伝達部材23とからなるので、本装置Aをトンネル坑内の狭所でも走行ローラー駆動装置2が邪魔になることなく走行させることができる。
(3)送りローラー駆動装置3は、本体10の後部に設置される駆動モーター32と、中央のベース11の両側の各軸受131、132の他方側に配置され、駆動モーター32の動力を各送りローラー30に伝達する動力伝達部材33とからなるので、本装置Aをトンネル坑内の狭い空間でも送りローラー駆動装置3が邪魔になることなく走行させることができる。
(4)各走行ローラー20はウレタンにより略樽形に形成されるので、各走行ローラー20を底壁上のセグメントSの凹側の曲面上に沿って密着させることができ、本装置Aを底壁上のセグメントS上でより安定して走行させることができる。この特殊なローラーにより、トンネルの急勾配部でも、スリップ(滑動)することなく、台車1の安定した走行性能が得られる。
(5)各送りローラー30はウレタンにより略円筒形に形成されるので、各送りローラー30を搬送するセグメントSの凸側の曲面に沿って密着させることができ、本装置A上でセグメントSをより安定して支持し、送り出すことができる。この特殊なローラーにより、トンネルの急勾配部でも、スリップ(滑動)することなく、台車1上でセグメントSの安定した支持、送り出しを実現することができる。
(6)台車1の前部に一対の台車支持ローラー6を備え、この一対の台車支持ローラー6は、台車1の前部で幅方向両側にそれぞれ垂直方向に回動可能に取り付けられる一対の支持脚61と、各支持脚61の先端に軸支される一対の支持ローラー60と、台車1の前部と各支持脚61との間に介設されて、シールドマシンMの後方の底壁上のセグメントS上で各支持ローラー60が走行可能に略水平方向に向けられる各支持脚61に対して並列に配置され、シールドマシンMの後部でシールドマシンMとシールドマシンMの後方の底壁上のセグメントSとの間の地山の底壁上で各支持ローラー60が走行可能に略垂直方向に向けて回動される各支持脚61に対して追従、回動し、略垂直に向けられた各支持脚61を回動を規制して保持する一対のストッパー62とからなる。このようにしてシールドマシンMの後部の地山の底壁上で台車1を略水平に支持走行するようにしたので、本装置Aをセグメント組み立て位置P2まで確実に走行させることができる。
【0037】
なお、この実施の形態では、自走式の台車1は、本体10が台車1の進行方向に延びる中央のベース11と、中央のベース11の両側に僅かに略逆ハの字形に固定される複数の支持部12、及び両側の各支持部12に異なる高さにして配設される走行ローラー用及び送りローラー用の複数の軸受131、132とからなるものとしたが、台車全体をフラットな構造にしてもよく、この場合、各送りローラーを、セグメントの凸側の面に合わせて安定的に当接可能に、台車上に斜めに軸支してもよい。このようにしても上記実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0038】
また、この実施の形態では、走行ローラー駆動装置2は走行ローラー20の全部を回転駆動するものとしたが、本装置Aの台車1がこの実施の形態と同様の走行ができる限り、走行ローラー20の一部を回転駆動するものとしてもよい。同様に、送りローラー駆動装置3は送りローラー30の全部を回転駆動するものとしたが、本装置Aの送りローラー30がこの実施の形態と同様にセグメントSの送り出しができる限り、送りローラー30の一部を回転駆動するものとしてもよい。このようにしても上記実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0039】
さらに、この実施の形態では、走行ローラー駆動装置2、送りローラー駆動装置3に電動モーターを用いたが、油圧モーターなど他の形式のモーターに変更可能である。このようにしても上記実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0040】
またさらに、この実施の形態では、走行ローラー駆動装置2、送りローラー駆動装置3に動力伝達部材23、33を用いたが、走行ローラー20、送りローラー30の全部又は一部に駆動モーターが直結されてもよい。このようにしても上記実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0041】
M シールドマシン
C カッター装置
E エレクター
H スクリューコンベア
B ベルトコンベア
R レール
T バッテリーロコ(蓄電池式機関車)
Т1 ズリ鋼車
Т2 セグメント運搬車
L テルハクレーン
S セグメント
P1 ストック場所
P2 セグメント組み立て位置
A セグメント搬送装置(本装置)
1 台車
10 本体
11 中央のベース
12 支持部
121 溝
13 軸受プレート
131 走行ローラー用の軸受
132 送りローラー用の軸受
133 シャフト挿通孔
134 支持プレート
135 取付部
136 軸挿通部
137 ピン挿通部
138 連結ピン
2 走行ローラー駆動装置
20 走行ローラー
21 軸
22 駆動モーター
23 動力伝達部材
231 回動シャフト
232 かさ歯車
233 かさ歯車
3 送りローラー駆動装置
30 送りローラー
31 軸
32 駆動モーター
33 動力伝達部材
331 回動シャフト
332 かさ歯車
333 かさ歯車
4 カバープレート
5 ボックス
51 ケーブル
52 操作盤
6 台車支持ローラー
60 支持ローラー
601 軸
61 支持脚
611 支持プレート
611a 一端部
611b 中間部
611c 他端部
612 回動軸挿通部
613 軸受
614 ガイドピン挿通部
62 ストッパー
621 長孔
622 長孔
623 ガイドピン
63 軸
64 ピン