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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】燃焼装置、および燃焼装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F24H 9/02 20060101AFI20230719BHJP
   F23L 17/02 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
F24H9/02 301B
F23L17/02 602F
F23L17/02 603B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019225265
(22)【出願日】2019-12-13
(65)【公開番号】P2021096006
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】阿部 進
(72)【発明者】
【氏名】田村 竹年
(72)【発明者】
【氏名】内山 高志
(72)【発明者】
【氏名】及川 諒弥
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-073000(JP,A)
【文献】実開昭59-152343(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 9/02
F23L 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に収容され被加熱流体を加熱する燃焼器と、前記燃焼器で発生した燃焼ガスを外部に排出させる排気口と、を備えた燃焼装置において、
前記排気口に向かう前記燃焼ガスの流れ方向を規制するルーバ体を設け、
前記ルーバ体は、
前記ルーバ体の外郭をなす外枠部と、
前記外枠部の内方であって、互いに間隔を介して並べられた複数の長板状の羽根部と、
前記ルーバ体を、前記ルーバ体の厚み方向に貫いて形成され、複数の長板状の羽根部の相互間に位置し、前記燃焼ガスが通過する開口部と、
前記外枠部の内方に突出し、前記外枠部と前記羽根部との間を連結する連結部と、を有し、
前記外枠部と前記羽根部と前記連結部とは一体に形成され、
前記連結部は、前記連結部と前記外枠部との境界部分である外枠境界部SLと、前記連結部と前記羽根部との境界部分である羽根境界部HLとの間において折り曲げ部を有し、
前記羽根部は、長辺をなす両端縁が対向するよう同一面に向かって折り返されて形成される一対の折り返し部を有し、
前記排気口側の前記折り返し部は、前記排気口と反対側の前記折り返し部よりも長辺方向に長く形成され、
前記羽根部は、前記排気口に向かって上り傾斜をなし、且つ前記折り返し部のある面が前記排気口側を向いていることを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
燃焼装置の製造方法であって、
前記燃焼装置に備えられ、燃焼ガスを外部に排出させる排気口に向かう燃焼ガスの流れ方向を規制するルーバ体の製造工程において、
前記ルーバ体の外郭をなす外枠部と、前記外枠部の内方に設けられた複数の長板状の羽根部と、前記ルーバ体の厚み方向に貫いて形成され複数の長板状の羽根部の相互間に位置する開口部と、前記外枠部の内方に突出しかつ折り曲げ部を有して前記外枠部と前記羽根部との間を連結する連結部と、を平板状の板部材を打ち抜いて一体に形成する打ち抜き工程と、
前記羽根部の長辺をなす前記連結部に近い側の一端縁と、前記羽根部の長辺をなし、前記一端縁よりも長辺方向に長い前記連結部から遠い側の他端縁が対向するよう同一面に向かって折り返して一対の折り返し部を形成する折り返し工程と、
前記連結部と前記外枠部との境界部分である外枠境界部SLと、前記連結部と前記羽根部との境界部分である羽根境界部HLとの間に設けられた前記折り曲げ部を支点にして折り曲げ、前記羽根部が、前記排気口に向かって上り傾斜をなすようにし、且つ前記折り返し部のある面が前記排気口側を向くように折り曲げる曲げ工程と、
を備えていることを特徴とする燃焼装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼装置、および燃焼装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種のものでは、燃焼ガスを外部に排出させる排気口を備えたものにおいて、排気口に向かう燃焼ガスの流れ方向を規制するルーバ体を設けたものがあった。(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-196472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この従来のものでは、前記ルーバ体を構成する複数の長板状の羽根部および羽根部を支持する外枠部が別部材となっており、部品点数および組み付け工数が多く、製造コストの増大を招くと共に、各部材の寸法誤差により組み付けた際にガタツキが生じるおそれがあった。また、燃焼ガスが前記ルーバ体を通過する際、燃焼ガスは羽根部の長辺をなす角張った端縁に接触しながら通過するため、大きな風切り音が発生してしまうものであった。
【0005】
そこで、本発明は、ルーバ体を別部材の組み合わせで構成することがなく、さらに、燃焼ガスが通過する際の風切り音が発生しにくい燃焼装置、および燃焼装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するために、請求項1では、筐体内に収容され被加熱流体を加熱する燃焼器と、前記燃焼器で発生した燃焼ガスを外部に排出させる排気口と、を備えた燃焼装置において、前記排気口に向かう前記燃焼ガスの流れ方向を規制するルーバ体を設け、前記ルーバ体は、前記ルーバ体の外郭をなす外枠部と、前記外枠部の内方であって、互いに間隔を介して並べられた複数の長板状の羽根部と、前記ルーバ体を、前記ルーバ体の厚み方向に貫いて形成され、複数の長板状の羽根部の相互間に位置し、前記燃焼ガスが通過する開口部と、前記外枠部の内方に突出し、前記外枠部と前記羽根部との間を連結する連結部と、を有し、前記外枠部と前記羽根部と前記連結部とは一体に形成され、前記連結部は、前記連結部と前記外枠部との境界部分である外枠境界部SLと、前記連結部と前記羽根部との境界部分である羽根境界部HLとの間において折り曲げ部を有し、前記羽根部は、長辺をなす両端縁が対向するよう同一面に向かって折り返されて形成される一対の折り返し部を有し、前記排気口側の前記折り返し部は、前記排気口と反対側の前記折り返し部よりも長辺方向に長く形成され、前記羽根部は、前記排気口に向かって上り傾斜をなし、且つ前記折り返し部のある面が前記排気口側を向いているものとした。
【0007】
また、請求項2では、燃焼装置の製造方法であって、前記燃焼装置に備えられ、燃焼ガスを外部に排出させる排気口に向かう燃焼ガスの流れ方向を規制するルーバ体の製造工程において、前記ルーバ体の外郭をなす外枠部と、前記外枠部の内方に設けられた複数の長板状の羽根部と、前記ルーバ体の厚み方向に貫いて形成され複数の長板状の羽根部の相互間に位置する開口部と、前記外枠部の内方に突出しかつ折り曲げ部を有して前記外枠部と前記羽根部との間を連結する連結部と、を平板状の板部材を打ち抜いて一体に形成する打ち抜き工程と、前記羽根部の長辺をなす前記連結部に近い側の一端縁と、前記羽根部の長辺をなし、前記一端縁よりも長辺方向に長い前記連結部から遠い側の他端縁が対向するよう同一面に向かって折り返して一対の折り返し部を形成する折り返し工程と、前記連結部と前記外枠部との境界部分である外枠境界部SLと、前記連結部と前記羽根部との境界部分である羽根境界部HLとの間に設けられた前記折り曲げ部を支点にして折り曲げ、前記羽根部が、前記排気口に向かって上り傾斜をなすようにし、且つ前記折り返し部のある面が前記排気口側を向くように折り曲げる曲げ工程と、を備えているものとした。
【発明の効果】
【0008】
この発明の請求項1によれば、ルーバ体を構成する外枠部と羽根部と連結部とは、溶接による接合や締結部材による結合がなされることなく、同一の材料によって一体に形成されている。つまり、ルーバ体は別部材を組み合わせて構成する必要がなく、一体で形成されるため、部品点数および組み付け工数の増加を抑制することができ、製造コストの増大を抑制できると共に、部材同士の組み付けがなくガタツキが生じるおそれがないものである。
【0009】
また、羽根部は、羽根部の長辺をなす両端縁が対向するよう同一面に向かって折り返されて一対の折り返し部が形成され、長辺をなす両端縁が折り返された状態の羽根部は、排気口に向かって上り傾斜をなし、折り返し部のある面が排気口側を向いている。そうすると、燃焼ガスの流れ方向(前後方向)において、燃焼ガスの流れ方向最上流側の羽根部の端部となる位置、および燃焼ガスの流れ方向最下流側の羽根部の端部となる位置が、折り返し部の折り返し部分であり、その部分が曲面となっており、燃焼ガスが羽根部を通過する際、燃焼ガスが羽根部の端部に当たっても風切り音を発生させるようなことがなく、羽根部での風切り音がほとんど生じず、燃焼ガスの吹き出しに伴う騒音を極めて少なくすることができるものである。さらに、羽根部において、折り返し部のある面が排気口側を向くようになっており、折り返し部のある面には燃焼ガスは当たりにくくなっているため、折り返し部の先端の角張った端縁に燃焼ガスが当たりにくく、風切り音の発生を抑制することができ、燃焼ガスの吹き出しに伴う騒音を極めて少なくすることができるものである。
【0010】
また、請求項2によれば、同一の材料によって一体に形成することができると共に、風切り音の発生を抑制することができ、燃焼ガスの吹き出しに伴う騒音を極めて少なくしたルーバ体を備えた燃焼装置を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態の燃焼装置を示す斜視図。
図2】同一実施形態の燃焼装置を示す概略構成図。
図3】要部斜視図。
図4】要部分解斜視図。
図5】ルーバ体を示す斜視図。
図6】ルーバ体を示す正面図。
図7】ルーバ体のA-A断面図。
図8】各部を折り曲げる前の平板状のルーバ体を示す図。
図9】平板状のルーバ体における折り返し箇所または折り曲げ箇所を示す図。
図10】ルーバ体の製造工程である折り返し工程を説明する図。
図11】ルーバ体の製造工程である曲げ工程を説明する図。
図12】ルーバ体を構成する羽根部に対する燃焼ガスの流れを説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の一実施形態の燃焼装置について図面に基づいて説明する。
【0013】
1は本実施形態の燃焼装置としての給湯装置、2は給湯装置1の筐体、3は筐体2内に収容され被加熱流体(水)を加熱する燃焼器としてのバーナである。ここでは、バーナ3は石油やガス等を燃料とし下向きに火炎を発生する逆燃式のものとする。
【0014】
4はバーナ3に燃焼用の空気を供給する送風機、5はバーナ3の下方に形成される燃焼室、6は燃焼室5内に設けられバーナ3の燃焼に伴い発生する燃焼ガスの熱を回収するフィンチューブ式の熱交換器である。
【0015】
7は燃焼室5と連通しており、燃焼室5よりも燃焼ガスの流れ方向下流側に位置し、熱交換器6の下方に配置される排気集合室である。排気集合室7は左右方向に延在し、一方側で熱交換器6と接続され、他方側で燃焼ガス流通部材としての消音室8と接続される。
【0016】
前記消音室8は、内部に吸音材を備え、バーナ3の燃焼に伴い発生する燃焼ガスの騒音を低減させるものであり、排気集合室7と連通し、排気集合室7よりも燃焼ガスの流れ方向下流側に位置し、排気集合室7の上方に配置される。消音室8は上下方向に延在し、その上部に燃焼ガスを排出する燃焼ガス通過口9を備えている。なお、本実施形態では、燃焼ガス流通部材として消音室8を配置させたが、消音室8の代わりに、燃焼ガス流通部材として燃焼ガスから潜熱を回収する潜熱熱交換器を配置させてもよいものである。
【0017】
10はバーナ3で発生した燃焼ガスを外部に排出させる排気口11を備えた排気トップで、排気トップ10は、ルーバ体12とカバー体13とで構成される。ルーバ体12は、消音室8の前壁に取り付けられ、燃焼ガス通過口9を覆うように燃焼ガス通過口9の前面側に位置し、排気口11に向かう燃焼ガスの流れ方向を規制するものである。カバー体13は燃焼ガスを給湯装置1の外部に排出させる排気口11を有している。また、カバー体13は消音室8の前壁に取り付けられ、ルーバ体12を覆うようにルーバ体12の前面側に位置する。なお、ルーバ体12およびカバー体13は、消音室8の前壁に対して、ネジ止めや溶接等の適宜の方法で取り付けられている。
【0018】
14は給水管、15は給湯装置1の機具外の給湯栓(図示せず)まで温水を供給する給湯管である。
【0019】
前記給水管14からの給水は、熱交換器6に導入され、熱交換器6にてバーナ3の燃焼に伴い発生した高温の燃焼ガスと熱交換加熱され、給湯管15を介して給湯栓からユーザの設定した給湯温度にて出湯される。
【0020】
前記バーナ3の燃焼に伴い発生した燃焼ガスは、送風機4の送風力により、燃焼室5を下向きに流れ、熱交換器6を通過する。そして、熱交換器6を下向きに通過した燃焼ガスは、排気集合室7にて下向きから上向きにUターンされ、消音室8に上向きに流入し、消音室8を通過して排気トップ10を介して排気口11から機具外に排出される。
【0021】
次に、ルーバ体12の詳細について、図5図7を参照して説明する。
ルーバ体12は、ルーバ体12の外郭をなす外枠部16を有している。当該外枠部16は、上枠16aと下枠16bと左枠16cと右枠16dとで構成されている。
【0022】
前記ルーバ体12は、外枠部16の内方であって、鉛直方向(上下方向)に互いに間隔を介して並べられた複数の長板状の羽根部17を有している。当該羽根部17は、前方側に位置するカバー体13の排気口11に向かって上り傾斜をなしており、燃焼ガスを外方に対して斜め上方に向けて吹き出させて排出させるようにしている。さらに、羽根部17は、長辺をなす両端縁が対向するように同一面に向かって折り返されて形成される一対の折り返し部18を有し、折り返し部18のある面が排気口11側を向いており、図6に示されているように、ルーバ体12を正面視したときに、羽根部17における一対の折り返し部18が見えるものである。
【0023】
前記ルーバ体12は、ルーバ体12を、ルーバ体12の厚み方向(前後方向)に貫いて形成され、複数の羽根部17の相互間に位置し、燃焼ガスが通過する開口部19を有している。開口部19は、羽根部17の配列方向(上下方向)と同方向に複数形成される。
【0024】
前記ルーバ体12は、外枠部16と羽根部17との間を連結する連結部20を有している。連結部20は、一端側が外枠部16(左枠16cまたは右枠16d)に連結され、他端側が羽根部17に連結されており、連結部20はそれぞれの羽根部17に対し、羽根部17の両側に対をなすように設けられている。また、本実施形態では、連結部20と外枠部16(左枠16cまたは右枠16d)との境界部分を外枠境界部SL(図10参照。)と称し、連結部20と羽根部17との境界部分を羽根境界部HL(図10参照。)と称するものとし、連結部20は、外枠境界部SLと羽根境界部HLとの間において折り曲げ部21を有しているものである。
【0025】
上記した外枠部16と、羽根部17と、連結部20とは、溶接による接合や締結部材による結合がなされることなく、同一の材料(ここでは、同一の金属板)によって一体に形成されている。
【0026】
次に、給湯装置1の製造方法であって、ルーバ体12の製造工程について、図8図11も参照して説明する。なお、図8では、部材が存在する部分と部材が存在しない部分とを明確にするため、部材が存在している部分に二点鎖線の斜線によるハッチングを施している。すなわち、図8において、外枠部16と羽根部17と連結部20とには上記ハッチングが施されている。
【0027】
前記ルーバ体12の製造工程としては、打ち抜き工程と、折り返し工程と、曲げ工程とを含んでおり、打ち抜き工程は、図8に示すように、ルーバ体12の母材となる平板状の板部材としての金属板を打ち抜くことで、外枠部16と、羽根部17と、開口部19と、連結部20とを一体に形成する工程である。打ち抜き工程の実行後、折り返し工程が実行される。
【0028】
図9では、各箇所の折り返しまたは折り曲げが行われる前の平板状のルーバ体12が示され、折り返しとなる部分または折り曲げる部分を破線で表しており、図の見やすさを考慮して、折り返し部分OLまたは折り曲げ部分ML以外の他の符号は省略している。
【0029】
前記折り返し工程は、各々の羽根部17の長辺をなす両端縁を180°折り返す工程と、最上方に形成された開口部19と隣り合う上枠16aの下端縁を180°折り返す工程と、最下方に形成された開口部19と隣り合う下枠16bの上端縁を180°折り返す工程を含む。
【0030】
羽根部17の折り返し工程において、全ての羽根部17は、羽根部17の長辺をなす両端縁が折り返されるものであるが、説明や図を簡単化するため、羽根部17の折り返し工程を、ある1つの羽根部17近傍を拡大した図10に基づいて説明する。
【0031】
前記打ち抜き工程実行後の平板状のルーバ体12において、羽根部17の折り返し工程では、羽根部17の長辺をなす上端縁および下端縁は、折り返し部分OLで、両端縁が対向するように同一面(排気口11が存在する燃焼ガスの流れ方向下流側の面)側に向かうように180°折り返されるものである。また、図面に基づく説明は省略するが、前記上枠16aの下端縁および前記下枠16bの上端縁も折り返し工程が実行され、前記上枠16aの下端縁および前記下枠16bの上端縁はそれぞれ、排気口11が存在する燃焼ガスの流れ方向下流側に向かうように180°折り返されるものである。折り返し工程の実行後は、曲げ工程が実行される。
【0032】
前記曲げ工程は、連結部20に設けられた折り曲げ部21を支点にして折り曲げて、長辺をなす両端縁が折り返された状態の羽根部17が、排気口11に向かって上り傾斜をなすようにする曲げ工程と、外枠部16(上枠16a、下枠16b、左枠16c、右枠16d)を折り曲げる曲げ工程とを含む。
【0033】
連結部20の折り曲げ部21での曲げ工程において、全ての羽根部17は、排気口11に向かって上り傾斜をなすようになるが、説明や図を簡単化するため、連結部20の折り曲げ部21での曲げ工程を、ある1つの羽根部17近傍を拡大した図11に基づいて説明する。
【0034】
前記折り返し工程実行後のルーバ体12において、連結部20の折り曲げ部21での曲げ工程では、連結部20と外枠部16(左枠16cまたは右枠16d)との境界部分である外枠境界部SLと、連結部20と羽根部17との境界部分である羽根境界部HLとの間に設けられた折り曲げ部21を支点にして、連結部20を燃焼ガスの流れ方向上流側(排気口11が存在する方向と逆側)に向けて折り曲げ、羽根部17全体が、排気口11に向かって上り傾斜をなすようにし、且つ折り返し部18のある面が排気口11側を向くようにするものである。
【0035】
ここで、図12を用いて、羽根部17に対する燃焼ガスの流れについて説明する。
図12(a)は本実施形態の羽根部17の拡大断面図(図11のB-B断面図)を示すものであり、図12(b)は比較例の羽根部170の拡大断面図を示すものである。
【0036】
図12(a)に示す本実施形態では、燃焼ガスの流れ方向(前後方向)において、燃焼ガスの流れ方向最上流側の羽根部17の端部Rとなる位置が、折り返し部18のちょうど折り返し部分であり、その部分が曲面となっていると共に、燃焼ガスの流れ方向最下流側の羽根部17の端部Rとなる位置も、折り返し部18のちょうど折り返し部分であり、その部分が曲面となっているのに対して、図12(b)に示す比較例の平板状の羽根部170では、燃焼ガスの流れ方向最上流側の羽根部170の端部となる位置が、角張った角面となっていると共に、燃焼ガスの流れ方向最下流側の羽根部170の端部となる位置も、角張った角面となっている。
【0037】
そうすると、比較例においては、燃焼ガスが羽根部170を通過する際、図中の破線の丸で囲まれた羽根部170の端部で大きな風切り音が発生してしまうが、本実施形態では、羽根部17の端部Rが曲面となっているため、燃焼ガスが羽根部17を通過する際、燃焼ガスが羽根部17の端部Rに当たっても風切り音を発生させるようなことがなく、羽根部17での風切り音がほとんど生じず、燃焼ガスの吹き出しに伴う騒音が極めて少なくなる。さらに、本実施形態では、羽根部17において、折り返し部18のある面が排気口11側を向くようになっている。燃焼ガスの流れる方向を考えた場合、羽根部17において、折り返し部18のある面と逆側の面には燃焼ガスは当たるが、折り返し部18のある面には燃焼ガスは当たりにくくなっているため、折り返し部18の角張った端縁に燃焼ガスが当たりにくく、風切り音の発生を抑制することができ、燃焼ガスの吹き出しに伴う騒音が極めて少なくなるものである。
【0038】
なお、外枠部16(上枠16a、下枠16b、左枠16c、右枠16d)を折り曲げる曲げ工程については、図面による説明は省略するが、上枠16aの曲げ工程は、図9に示した上枠16aと左枠16cとの境界部分の折り曲げ部分ML、および上枠16aと右枠16dとの境界部分の折り曲げ部分MLを、山折りで直角に折り曲げ、図9に示した上枠16aの中間位置の折り曲げ部分MLを谷折りで直角に折り曲げるものである。また、下枠16bの曲げ工程は、図9に示した下枠16bと左枠16cとの境界部分の折り曲げ部分ML、および下枠16bと右枠16dとの境界部分の折り曲げ部分MLを、山折りで直角に折り曲げ、図9に示した下枠16bの中間位置の折り曲げ部分MLを谷折りで直角に折り曲げるものである。左枠16cの曲げ工程は、図9に示した左枠16cと連結部20の境界部分、すなわち外枠境界部SLを折り曲げ部分MLとして、折り曲げ部分MLを、山折りで直角までいかない程度で鋭角に折り曲げるものである。右枠16dの曲げ工程は、図9に示した右枠16dと連結部20の境界部分、すなわち外枠境界部SLを折り曲げ部分MLとして、折り曲げ部分MLを、山折りで直角までいかない程度で鋭角に折り曲げるものである。先に説明してきた打ち抜き工程、折返し工程、曲げ工程を経ることで、ルーバ体12の母材となる平板状の板部材から、図5図6に示したルーバ体12が完成する。
【0039】
以上説明した実施形態によれば、筐体2内に収容され被加熱流体を加熱するバーナ3と、バーナ3で発生した燃焼ガスを外部に排出させる排気口11と、を備えた給湯装置1において、排気口11に向かう燃焼ガスの流れ方向を規制するルーバ体12を設けている。なお、ルーバ体12は、ルーバ体12の外郭をなす外枠部16と、外枠部16の内方であって鉛直方向に互いに間隔を介して並べられた複数の長板状の羽根部17と、ルーバ体12を、ルーバ体12の厚み方向に貫いて形成され、複数の長板状の羽根部17の相互間に位置し、燃焼ガスが通過する開口部19と、外枠部16と羽根部17との間を連結する連結部20と、を有している。外枠部16と羽根部17と連結部20とは一体に形成され、羽根部17は、長辺をなす両端縁が対向するよう同一面に向かって折り返されて形成される一対の折り返し部18を有し、羽根部17は、排気口11に向かって上り傾斜をなし、折り返し部18のある面が排気口11側を向いているものである。
【0040】
また、給湯装置1の製造方法であって、給湯装置1に備えられ、燃焼ガスを外部に排出させる排気口11に向かう燃焼ガスの流れ方向を規制するルーバ体12の製造工程において、ルーバ体12の外郭をなす外枠部16と、外枠部16の内方に設けられた複数の長板状の羽根部17と、ルーバ体12の厚み方向に貫いて形成され複数の長板状の羽根部17の相互間に位置する開口部19と、外枠部16と羽根部17との間を連結する連結部20と、を平板状の板部材を打ち抜いて一体に形成する打ち抜き工程と、羽根部17の長辺をなす両端縁が対向するよう同一面に向かって折り返して一対の折り返し部18を形成する折り返し工程と、連結部20と外枠部16との境界部分である外枠境界部SLと、連結部20と羽根部17との境界部分である羽根境界部HLとの間に設けられた折り曲げ部21を支点にして、羽根部17全体が、排気口11に向かって上り傾斜をなすようにし、且つ一対の折り返し部18のある面が排気口11側を向くように連結部20を折り曲げる曲げ工程と、を備えているものである。
【0041】
これらによれば、ルーバ体12を構成する外枠部16と羽根部17と連結部20とは、溶接による接合や締結部材による結合がなされることなく、同一の材料(ここでは、金属板)によって一体に形成されている。つまり、ルーバ体12は別部材を組み合わせて構成する必要がなく、一体で形成されるため、部品点数および組み付け工数の増加を抑制することができ、製造コストの増大を抑制できると共に、部材同士の組み付けがなくガタツキが生じるおそれがないものである。
【0042】
また、羽根部17は、羽根部17の長辺をなす両端縁が対向するよう同一面に向かって折り返されて一対の折り返し部18が形成され、長辺をなす両端縁が折り返された状態の羽根部17は、排気口11に向かって上り傾斜をなし、折り返し部18のある面が排気口11側を向いている。そうすると、燃焼ガスの流れ方向(前後方向)において、燃焼ガスの流れ方向最上流側の羽根部17の端部Rとなる位置、および燃焼ガスの流れ方向最下流側の羽根部17の端部Rとなる位置が、折り返し部18の折り返された部分であり、その部分が曲面となっており、燃焼ガスが羽根部17を通過する際、燃焼ガスが羽根部17の端部Rに当たっても風切り音を発生させるようなことがなく、羽根部17での風切り音がほとんど生じず、燃焼ガスの吹き出しに伴う騒音を極めて少なくすることができるものである。さらに、羽根部17において、折り返し部18のある面が排気口11側を向くようになっており、燃焼ガスの流れる方向を考えたときに、折り返し部18のある面には燃焼ガスは当たりにくくなっているため、折り返し部18の先端の角張った端縁に燃焼ガスが当たりにくく、風切り音の発生を抑制することができ、燃焼ガスの吹き出しに伴う騒音を極めて少なくすることができるものである。
【0043】
なお、本発明は一実施形態に限定されるものではなく、本実施形態では、バーナ3で発生した燃焼ガスを外部に排出させる排気口11を備えた燃焼装置としての給湯装置1に本発明を適用したが、バーナ3で発生した燃焼ガスを外部に排出させる排気口11を備えた燃焼装置としての暖房装置に本発明を適用してもよいものであり、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0044】
1 給湯装置
2 筐体
3 バーナ
11 排気口
12 ルーバ体
16 外枠部
17 羽根部
18 一対の折り返し部
19 開口部
20 連結部
21 折り曲げ部
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