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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】光センサ装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/786 20060101AFI20230719BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20230719BHJP
   H01L 27/088 20060101ALI20230719BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20230719BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20230719BHJP
   H04N 25/70 20230101ALI20230719BHJP
【FI】
H01L29/78 613Z
H01L27/088 E
H01L27/088 J
H01L27/146 C
H01L29/78 618B
H01L29/78 619B
H04N25/70
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019230550
(22)【出願日】2019-12-20
(65)【公開番号】P2021100036
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-12-12
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】津吹 将志
【審査官】田付 徳雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-174963(JP,A)
【文献】特開2018-026812(JP,A)
【文献】特開2003-110197(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0039882(US,A1)
【文献】国際公開第2019/187729(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/786
H01L 21/8234
H01L 27/146
H01L 21/336
H04N 25/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
基板上に設けられた画素領域に第1トランジスタ、第2トランジスタ、及び第1遮光層と、
前記基板上に設けられた容量素子と、を含み、
前記第1トランジスタは、
前記基板上に設けられた第1ポリシリコン層と、
前記第1ポリシリコン層上に設けられた第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜上に設けられ前記第1ポリシリコン層と重なる領域を有する第1ゲート電極と、
前記第1ゲート電極上に設けられた第2絶縁膜及び第3絶縁膜と、
前記第2絶縁膜及び前記第3絶縁膜に設けられた開口部を介して、前記第1ポリシリコン層と電気的に接続する第1ソース電極及び第1ドレイン電極と、を含み、
前記第2トランジスタは、
前記第2絶縁膜上に設けられた酸化物半導体層と、
前記酸化物半導体層上に設けられた前記第3絶縁膜と、
前記第3絶縁膜上に設けられた第2ゲート電極と、
前記第2ゲート電極上に設けられた第4絶縁膜と、
前記第4絶縁膜に設けられた開口部を介して、前記酸化物半導体層と電気的に接続する第2ソース電極及び第2ドレイン電極と、を含み、
前記第1遮光層は、前記第1絶縁膜と前記第2絶縁膜との間に設けられ、前記酸化物半導体層と重畳する領域を有し、
前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタがオフ状態の場合に、前記基板側から前記第1ポリシリコン層に入射される光の光量に応じて、前記容量素子に蓄積する電荷の量を制御するように構成される、光センサ装置。
【請求項2】
前記第1ソース電極及び前記第1ドレイン電極の一方は、前記第2ソース電極及び前記第2ドレイン電極の一方と電気的に接続される、請求項1に記載の光センサ装置。
【請求項3】
記容量素子は、前記第3絶縁膜上に設けられた第1電極と、前記第4絶縁膜と、前記第4絶縁膜上に設けられた第2電極と、で構成される、請求項1に記載の光センサ装置。
【請求項4】
前記第2ソース電極及び前記第2ドレイン電極の他方は、前記第2電極と、電気的に接続される、請求項3に記載の光センサ装置。
【請求項5】
前記第1ゲート電極は、前記第1遮光層と同じ導電材料で構成される、請求項1に記載の光センサ装置。
【請求項6】
前記第1ソース電極及び前記第1ドレイン電極は、前記第2ゲート電極と、同じ導電材料で構成される、請求項1に記載の光センサ装置。
【請求項7】
前記第1トランジスタがオフ状態の場合に、前記第2トランジスタをオフ状態からオン状態に変化させることで、前記容量素子に蓄積された電荷を読み出すように構成される、請求項に記載の光センサ装置。
【請求項8】
前記基板上に設けられ、前記画素領域の周辺に設けられた駆動回路に、第3トランジスタをさらに有し、
前記第3トランジスタは、
前記基板上に設けられた第2遮光層と、
前記第2遮光層上に設けられた第5絶縁膜と、
前記第5絶縁膜上に設けられ前記第2遮光層と重なる領域を有する第2ポリシリコン層と、
前記第2ポリシリコン層上に設けられた前記第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜上に設けられ前記第2ポリシリコン層と重なる領域を有する第3ゲート電極と、
前記第3ゲート電極上に設けられた前記第2絶縁膜及び前記第3絶縁膜と、
前記第2絶縁膜及び前記第3絶縁膜に設けられた開口部を介して、前記第2ポリシリコン層と電気的に接続する第3ソース電極及び第3ドレイン電極と、を含む、請求項4に記載の光センサ装置。
【請求項9】
前記第2遮光層は、前記第1遮光層よりも下層に設けられる、請求項に記載の光センサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、低温ポリシリコン及び酸化物半導体を有する光センサに関する。
【背景技術】
【0002】
光センサは、大面積化が可能なアモルファスシリコンを用いたタイプ、又は高精細化が可能な単結晶シリコンを用いたタイプが主流となっている。これに対し、低温ポリシリコンを用いたタイプは、双方の特徴を有し、大面積かつ高精細な光センサにすることができることが期待されている。
【0003】
しかしながら、低温ポリシリコンは単結晶シリコンと比較すると、特性のばらつきが大きく、フォトダイオードによって検出された光電流による信号を増幅する際のノイズが大きくなるという問題が生じる。この問題の解決のためには、フォトダイオードの光電流を大きくする必要があり、例えば、低温ポリシリコンの厚膜化を図ることが考えられる。しかしながら、低温ポリシリコンでは、アモルファスシリコンと比較すると、厚膜化や、膜厚方向に均一なp-i-n積層構造を形成することが困難であるという課題を抱えている。
【0004】
特許文献1には、受光素子には、アモルファスシリコン又は微結晶シリコンを用いて、周辺回路や画素トランジスタには、酸化物半導体を用いた光センサが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5174988号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1で開示された光センサは、液晶ディスプレイに組み込むことを前提としている。そのため、光センサとしての能力は十分に考慮されておらず、性能的には不十分である。特に、アモルファスシリコンの光電流自体は十分に得ることが可能であるが、周辺回路を酸化物半導体で形成するため、駆動能力が低いnMOS回路となる。そのため、光センサに高い機能を持たせることができないという問題がある。
【0007】
上記問題に鑑み、本発明の一実施形態では、光センサ装置の大面積化かつ高精細化を図ることを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係る光センサ装置は、基板と、基板上に設けられた画素領域に第1トランジスタ、第2トランジスタ、及び第1遮光層を含み、第1トランジスタは、基板上に設けられた第1ポリシリコン層と、第1ポリシリコン層上に設けられた第1絶縁膜と、第1絶縁膜上に設けられ第1ポリシリコン層と重なる領域を有する第1ゲート電極と、第1ゲート電極上に設けられた第2絶縁膜及び第3絶縁膜と、第2絶縁膜及び第3絶縁膜に設けられた開口部を介して、第1ポリシリコン層と電気的に接続する第1ソース電極及び第1ドレイン電極と、を含み、第2トランジスタは、第2絶縁膜上に設けられた酸化物半導体層と、酸化物半導体層上に設けられた第3絶縁膜と、第3絶縁膜上に設けられた第2ゲート電極と、第2ゲート電極上に設けられた第4絶縁膜と、第4絶縁膜に設けられた開口部を介して、酸化物半導体層と電気的に接続する第2ソース電極及び第2ドレイン電極と、を含み、第1遮光層は、第1絶縁膜と第2絶縁膜との間に設けられ、第1酸化物半導体層と重畳する領域を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る光センサ装置のレイアウト図である。
図2】本発明の一実施形態に係るセンサ画素の回路図である。
図3】本発明の一実施形態に係るセンサ画素のタイミングチャートである。
図4】本発明の一実施形態に係るセンサ画素の平面レイアウトである。
図5】本発明の一実施形態に係るセンサ画素の平面レイアウトである。
図6】本発明の一実施形態に係るセンサ画素の平面レイアウトである。
図7】センサ画素及び駆動回路が有するトランジスタの断面図である。
図8】本発明の一実施形態に係る光センサ装置の作製方法を説明する断面図である。
図9】本発明の一実施形態に係る光センサ装置の作製方法を説明する断面図である。
図10】本発明の一実施形態に係る光センサ装置の作製方法を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を、図面等を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0011】
(第1実施形態)
本実施形態では、本発明の一実施形態に係る光センサ装置100について、図1乃至図10を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る光センサ装置100のレイアウト図である。基板211上のセンサ領域102には、複数のセンサ画素110がアレイ状に配置されている。また、センサ領域102を囲むように、周辺領域103が設けられている。周辺領域103には、駆動回路104_R、104_L、保護回路105_R、105_L、端子領域106等が設けられている。
【0013】
駆動回路104_R、104_Lは、センサ領域102の左右に配置される。また、保護回路105_Rは、センサ領域102と駆動回路104_Rとの間に設けられる。保護回路105_Lは、センサ領域102と駆動回路104_Lとの間に設けられる。
【0014】
端子領域106は、センサ領域102に信号を入力するための複数の端子である。端子GND_L、Gate_L、VR1_L、RST_L、SVS_L、DCH_L、SVG_L、Sig、GND_R、Gate_R、VR1_R、RST_R、SVS_R、DCH_R、SVG_Rのそれぞれには、各種信号が入力される。端子Gate_Lから入力された信号は、駆動回路104_Lに入力されて保護回路105_Lを介して、センサ領域102に入力される。また、端子VR1_L、RST_L、SVS_L、DCH_L、SVG_L、Sigから入力される信号も、センサ領域102に入力される。また、端子VR1_R、RST_R、SVS_R、DCH_R、SVG_Rから入力される信号も、センサ領域102に入力される。端子領域106に入力される各種信号については、図2に示す画素回路及び図3に示すタイミングチャートを用いて詳細に説明する。
【0015】
[画素回路]
図2は、センサ領域102に配置された複数のセンサ画素110の各々が有する画素回路である。複数のセンサ画素110の各々は、少なくともトランジスタ201~204、及び容量素子205を有する。図2に示すセンサ画素110におけるGate、SVS、DCH、RST、Sig、VR1、SVGはそれぞれ、図1に示す端子領域106に入力される信号が入力される配線に対応する。
【0016】
トランジスタ201は、受光素子として機能する。トランジスタ201は、ポリシリコンを用いて形成される。トランジスタ201のゲートは、第1配線SVGと電気的に接続され、ソース又はドレインの一方は、トランジスタ202のソース又はドレインの一方、トランジスタ203のソース又はドレインの一方、及び容量素子205の電極の一方と電気的に接続され、ソース又はドレインの他方は、第2配線SVSと電気的に接続される。
【0017】
トランジスタ202、203は、トランジスタ201で検出された光電流の書き込み/読み出しを行うトランジスタである。トランジスタ202、203は、酸化物半導体を用いて形成される。トランジスタ203のゲートは、第3配線Gateと電気的に接続され、ソース又はドレインの他方は、第4配線Sigと電気的に接続される。また、トランジスタ202のゲートは、第5配線DCHと電気的に接続され、ソース又はドレインの他方は、容量素子の電極の他方と、トランジスタ204のソース又はドレインの一方と、第6配線VR1と電気的に接続される。
【0018】
トランジスタ204は、リセット用のトランジスタである。トランジスタ204は、酸化物半導体を用いて形成される。トランジスタ204のゲートは、第7配線RSTと電気的に接続され、ソース又はドレインの他方は、第4配線Sigと電気的に接続される。
【0019】
低温ポリシリコンを用いて、フォトダイオードとトランジスタとを同じ層で形成する場合、フォトダイオードを形成するためのp-i-n層を厚い膜で形成することができない。そのため、フォトダイオードは、平面方向に電流が流れる構造が必要となる。この場合、低温ポリシリコンのサイズを、平面方向に電流が流れやすいW/L=3mm/3μmというサイズにしたとしても、1nA程度の光電流を得ることしかできない。また、低温ポリシリコンを用いたトランジスタのオフ電流は、p-i-n層の条件にもよるが、1~10pA程度流れてしまう。そのため、大面積の光センサ装置を作製しようとすると、同じ信号線に並列に接続されるトランジスタのオフ電流により、選択した画素の光電流を検出することができなくなるという問題がある。
【0020】
そこで、本発明の一実施形態に係る光センサ装置100のように、受光素子として機能するトランジスタ201をポリシリコンで構成し、書き込み/読み出し用のトランジスタ202~204を酸化物半導体で構成する。また、酸化物半導体を用いたトランジスタ202~204のオフ電流は、1fAであり、非常に微小にすることができる。そのため、トランジスタ201で検出された光電流がトランジスタ202~204を介してリークすることを抑制することができる。これにより、ポリシリコンを用いたトランジスタから検出された微小な光電流であっても、感度よく、光電流を検出することが可能となる。また、同じ信号線に並列に接続されるトランジスタのオフ電流の影響を小さくすることができるため、光センサ装置を大面積化することができる。また、光センサ装置100の基板211側(基板211の裏面側)から、光を長時間照射することができるため、受光量を増加させることができる。これにより、複数のセンサ画素110におけるトランジスタ201の特性のばらつきを抑制することができる。また、光センサ装置100に、光を長時間照射することで、受光量を増加させることができるため、ポリシリコンのサイズを、例えば、W/L=120/3.5μmとすることができる。また、酸化物半導体のサイズも、例えば、W/L=240/3.5μmとすることができる。つまり、トランジスタ一つ一つのサイズを小さくすることができるため、光センサ装置100の高精細化を図ることができる。
【0021】
[画素回路のタイミングチャート]
図3は、センサ画素110のタイミングチャートである。図3に示すタイミングチャートにおけるGate、SVS、DCH、RST、Sig、VR1、SVGはそれぞれ、図1に示す端子領域106に入力される信号、及び図2に示す第1配線~第7配線に入力される信号に対応する。また、Gate1は、1行目の第3配線Gate1に相当し、Gate84は、84行目の第3配線Gate84に相当する。
【0022】
まず、期間t1において、センサ画素110のリセットを行う前に、第1配線SVG及び第7配線RSTにハイレベル電位を供給することで、トランジスタ201及びトランジスタ204をオン状態とする。また、第5配線DCH及び第3配線Gateにローレベル電位を供給することで、トランジスタ202及びトランジスタ203をオフ状態とする。また、第2配線SVSにローレベル電位を供給する。
【0023】
次に、期間t2、t3において、センサ画素110のリセットを行う。期間t2において、トランジスタ201、204がオン状態、トランジスタ203がオフ状態である。第3配線Gateをローレベル電位からハイレベル電位に変化させることで、トランジスタ202をオフ状態からオン状態に変化させる。これにより、第6配線VR1からトランジスタ204、トランジスタ202を介して、トランジスタ201にリセット電流が流れることで、光応答をキャンセルさせて、初期状態にすることができる。その後、期間t3において、第3配線Gateをハイレベル電位からローレベル電位に変化させることで、トランジスタ202をオン状態からオフ状態に変化させることで、センサ画素110のリセットを終了させる。
【0024】
次に、期間t4において、容量素子205のリセットを行う前に、第1配線SVGをハイレベル電位からローレベル電位に変化させることで、トランジスタ101をオン状態からオフ状態にする。
【0025】
次に、期間t5において、容量素子205のリセットを行う。期間t5において、第5配線DCHをローレベル電位からハイレベル電位に変化させることで、トランジスタ203を、オフ状態からオン状態に変化させる。また、第2配線SVSに供給されていたローレベル電位を、ハイレベル電位に変化させる。これにより、容量素子205に蓄えられていた電荷は、トランジスタ203により、一定の電位に変化させることができる。その後、第5配線DCHをハイレベル電位からローレベル電位に変化させることで、トランジスタ203をオン状態からオフ状態に変化させて、容量素子205のリセットを終了する。
【0026】
次に、期間t6において、センサ画素に光が照射される(露光期間)。オフ状態のトランジスタ201に光が照射されることで、照射された光の光量に応じて、容量素子205に電荷が蓄積される。期間t6は、例えば、1秒程度である。
【0027】
次に、期間t7において、容量素子205に蓄積された電荷を読み出す前に、第7配線RSTを、ハイレベル電位からローレベル電位に変化させることで、トランジスタ204をオン状態からオフ状態にさせる。
【0028】
次に、期間t8において、容量素子205に蓄積された電荷を読み出す。期間t8において、第3配線Gateを、ローレベル電位からハイレベル電位に変化させることで、トランジスタ202を、オフ状態からオン状態にさせる。これにより、容量素子205に蓄えられていた光の光量に応じて蓄積された電荷を、トランジスタ204を介して、第4配線Sigから読み出すことができる。
【0029】
最後に、期間t9において、第3配線Gateを、ハイレベル電位からローレベル電位に変化させることで、トランジスタ202を、オン状態からオフ状態にさせることで、電荷の読み出しを終了させる。
【0030】
[光センサ装置の平面レイアウト図]
次に、光センサ装置100の構造について、図4乃至図7を参照して詳細に説明する。図4は、光センサ装置100の平面レイアウト図である。図5は、光センサ装置100のポリシリコンを用いたトランジスタの平面レイアウトである。図6は、光センサ装置100の酸化物半導体を用いたトランジスタの平面レイアウトである。なお、図4図6において、半導体層及び導電層のみを図示し、絶縁膜については図示を省略している。
【0031】
図4に、トランジスタ201~トランジスタ204、及び容量素子205を示す。図4において、直列に接続された4つのトランジスタが、2列に並列に接続されているものを、1つのトランジスタ201とみなしている。同様に、直列に接続された4つのトランジスタが、2列に並列されたものを、1つのトランジスタ203とみなしている。
【0032】
図5に示すように、ポリシリコンを用いたトランジスタ201が配置されている。トランジスタ201が有するポリシリコンからなる半導体層213_1が配置されている。半導体層213_1は、8個配置されている。半導体層213_1上には、導電層215_1~215_4が配置されている。導電層215_1は、トランジスタ201のゲート電極として機能し、導電層215_2は、トランジスタ202の遮光層として機能する。導電層215_3は、トランジスタ203の遮光層として機能し、導電層215_4は、トランジスタ204の遮光層として機能する。導電層215_1~215_4上には、導電層218_1~218_7が配置されている。導電層218_1は、トランジスタ201のソース電極又はドレイン電極の他方として機能し、導電層218_2、218_5は、トランジスタ201のソース電極又はドレイン電極の一方として機能する。導電層218_3は、トランジスタ203のゲート電極として機能し、導電層218_4は、容量素子の電極の一方として機能する。導電層218_6は、トランジスタ202のゲート電極として機能し、導電層218_7は、トランジスタ204のゲート電極として機能する。
【0033】
図6に示すように、酸化物半導体を用いたトランジスタ202~204及び容量素子205が配置されている。また、トランジスタ202~204の下層には、先に説明した遮光層として機能する導電層215_2~215_4が配置されている。導電層215_1~215_4上には、トランジスタ202~204が有する酸化物半導体からなる半導体層231_1~231_3が配置されている。また、半導体層231_1は、8個配置されている。半導体層231_1~231_4上には、導電層218_1~218_7が配置されている。導電層218_1~218_7上には、導電層221_1~221_5が配置されている。導電層221_1、221_5は、トランジスタ203のソース電極又はドレイン電極の一方として機能する。また、導電層221_2は、トランジスタ203のソース電極又はドレイン電極の他方、トランジスタ202のソース電極又はドレイン電極の一方、及びトランジスタ204のソース電極又はドレイン電極の一方、容量素子205の電極の他方として機能する。導電層221_3は、トランジスタ202のソース電極又はドレイン電極の他方として機能し、導電層221_4は、トランジスタ204のソース電極又はドレイン電極の他方として機能する。
【0034】
[光センサ装置の断面図]
図7は、図4に示すセンサ画素110をA1-A2線で切断した断面と、B1-B2線で切断した断面と、を合わせて図示したものである。また、図7には、図4で図示されていない駆動回路104_Rの断面も示している。図7では、センサ画素110として、トランジスタ201、トランジスタ203、及び容量素子205の断面図を示し、周辺領域103として、駆動回路104_Rにおけるトランジスタ210の断面図を示す。なお、駆動回路104_L、及び保護回路105_R、105_Lを構成するトランジスタの構成も、トランジスタ210と同様である。センサ画素110には、基板211の裏面側から光が照射される。
【0035】
受光素子として機能するトランジスタ201は、基板211上に下地絶縁膜212を介して設けられる。トランジスタ201は、少なくとも半導体層213_1、絶縁膜214、及び導電層215_1で構成される。トランジスタ201に用いられる半導体層213_1は、ポリシリコンである。また、半導体層213_1には、n型を付与する不純物を添加することで、低濃度不純物領域及び高濃度不純物領域が形成されている。ここで、絶縁膜214は、トランジスタ201のゲート絶縁膜として機能する。また、導電層215_1上には、絶縁膜216、217が設けられている。絶縁膜217上に、導電層218_1、218_2が設けられている。導電層218_1、218_2は、絶縁膜216、217に設けられた開口部を介して、半導体層213_1と電気的に接続されている。絶縁膜216、217は、層間絶縁膜として機能する。
【0036】
導電層218_1、218_2上には、絶縁膜219が設けられている。絶縁膜219上には、導電層221_1が設けられている。導電層221_1は、絶縁膜219に設けられた開口部を介して、導電層218_2と接続される。
【0037】
トランジスタ203は、絶縁膜214上に設けられる。また、トランジスタ203は、トップゲート型のトランジスタである。また、絶縁膜214と絶縁膜216との間に導電層215_3が設けられる。トランジスタ203は、少なくとも半導体層231_1、絶縁膜217、及び導電層218_3で構成される。トランジスタ203に用いられる半導体層231_1は、酸化物半導体である。また、絶縁膜217は、トランジスタ203のゲート絶縁膜として機能する。また、導電層218_3上には、絶縁膜219が設けられている。絶縁膜219上に、導電層221_1、221_2が設けられている。導電層221_1、221_2は、絶縁膜217、219に設けられた開口部を介して、半導体層231_1と電気的に接続されている。また、導電層221_は、絶縁膜217に設けられた導電層218_2と接続される。絶縁膜219は、層間絶縁膜として機能する。導電層221_1、221_2上には、絶縁膜222が設けられている。絶縁膜222上には、絶縁膜224が設けられている。なお、トランジスタ202、204も、半導体層に酸化物半導体を用いたトランジスタでああり、トランジスタ203と同様の構造を有している。また、トランジスタ202、204についても、遮光層として機能する導電層が設けられている。
【0038】
容量素子205は、絶縁膜217上に、導電層218_4と、導電層221_2と、導電層218_4と導電層221_2との間に設けられた絶縁膜219とにより構成される。また、容量素子205は、絶縁膜214と絶縁膜216との間にさらに、導電層をさらに有していてもよい。
【0039】
トランジスタ210は、基板211上に設けられる。トランジスタ210は、トップゲート型のトランジスタである。また、基板211と下地絶縁膜212との間に、遮光層として機能する導電層232が設けられる。トランジスタ210の遮光層として機能する導電層232は、トランジスタ203の遮光層として機能する導電層215_3よりも下層に設けられる。トランジスタ210に用いられる半導体層213_2は、ポリシリコンである。また、半導体層213_2には、n型を付与する不純物を添加することで、低濃度不純物領域及び高濃度不純物領域が形成されている。ここで、絶縁膜214は、トランジスタ210のゲート絶縁膜として機能する。また、絶縁膜214上には、導電層215_5が設けられる。導電層215_5は、トランジスタ210のゲート電極として機能する。導電層215_5上には、絶縁膜214、216が設けられている。絶縁膜216上に、導電層218_8、218_9が設けられている。導電層218_8、218_9は、絶縁膜214、216に設けられた開口部を介して、半導体層213_2と電気的に接続されている。つまり、絶縁膜214、216は、層間絶縁膜として機能する。また、トランジスタ210として、nch型トランジスタの構成を図示しているが、本発明の一実施形態はこれに限定されない。例えば、駆動回路104_R、104_Lにおいて、nch型トランジスタと、pch型トランジスタとを組み合わせてCMOSデバイスとすることができる。また、導電層218_8、218_9上に、絶縁膜219が設けられており、絶縁膜219には開口部が設けられている。導電層221_5は開口部を介して導電層218_8と接続されており、導電層221_6は開口部を介して導電層218_9と接続されている。
【0040】
導電層221_1~221_6上には、絶縁膜222が設けられている。絶縁膜222上には、導電層223_1、223_2が設けられている。導電層223_1は、絶縁膜222に設けられた開口部を介して、導電層221_1と接続されており、導電層223_2は、絶縁膜222に設けられた開口部を介して、導電層221_5と接続されている。導電層223_1、223_2上には、絶縁膜224が設けられている。絶縁膜224上には、導電層225_1、225_2が設けられている。導電層225_1は、絶縁膜224に設けられた開口部を介して、導電層223_1と接続されている。また、導電層225_2は、絶縁膜224に設けられた開口部を介して導電層221_5と接続されている。導電層223_1、223_2、225_1、225_2は、引き回し配線として機能する。
【0041】
半導体層231_1~231_4に用いられる酸化物半導体として、インジウムやガリウムなどの第13族元素を含む。異なる複数の第13族元素を含有してもよく、インジウムとガリウムの化合物(IGO)でもよい。半導体層231_1~231_4は、さらに、第12族元素を含んでいてもよい。半導体層231は、その他の元素を含むことができ、第14族元素であるスズ、第4族元素であるチタンやジルコニウムなどを含んでいてもよい。酸化物半導体として、具体的には、例えば、酸化インジウムガリウム亜鉛(IGZO)、酸化インジウムガリウム(IGO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、亜鉛スズ酸化物(ZnSnO)、亜鉛酸化物(ZnO)、及び透明アモルファス酸化物半導体(TAOS)などが挙げられる。
【0042】
導電層215_1~215_5、導電層218_1~218_9、導電層221_1~221_6、導電層223_1、223_2、及び導電層225_1、225_2は、例えば、モリブデン、クロム、タングステン、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、タンタル、銀あるいはこれらの合金によって形成される。上述した導電層は、上記に列挙した金属に限定されず、その他の金属や合金を用いてもよい。また、導電層は、上記に列挙した導電性の材料を、単層又は積層して形成される。
【0043】
下地絶縁膜212、絶縁膜214、216、217、219、222、224は、酸化シリコン膜、又は窒化シリコン膜などの無機絶縁膜で形成される。また、無機絶縁膜に限定されず、有機樹脂を用いた有機絶縁膜を用いてもよい。
【0044】
本発明の一実施形態では、センサ画素110において、受光素子として機能するトランジスタ201の半導体層213_1に、ポリシリコンを用いている。また、トランジスタ202~204の半導体層231_1~231_3に、酸化物半導体を用いている。酸化物半導体を用いたトランジスタ202は、ポリシリコンを用いたトランジスタ201と比較して、オフ電流を非常に小さくすることができる。そのため、トランジスタ201において検出される光電流が小さく、また特性のばらつきがあったとしても、センシング時間を長くして、読み出し電荷を蓄えることができるので、トランジスタの特性のばらつきの影響を小さくすることができる。
【0045】
また、本発明の一実施形態に係る光センサ装置100において、受光素子として機能するトランジスタ201以外のトランジスタは、基板211と半導体層との間に、遮光層として機能する導電層が設けられている。そのため、基板211側から光が長時間照射されたとしても、受光素子以外のトランジスタの半導体層に光が照射されることを抑制することができる。これにより、トランジスタ202~202、210が有する半導体層に光が照射されることで、トランジスタの特性が変動することを抑制することができる。
【0046】
また、駆動回路104_R、104_LをCMOSデバイスで構成することで、電流の制御が容易となり、貫通電流を低減することができる。これにより、アモルファスシリコンを用いた光センサと比較して、ノイズが低減された駆動が可能となる。
【0047】
[光センサ装置の製造方法]
本発明の一実施形態に係る光センサ装置100の製造方法について、図8乃至図10を参照して説明する。図8乃至図10に示す断面図は、図7に示す断面図に対応する。
【0048】
図8(A)は、基板211上に、導電層232、下地絶縁膜212、及び半導体層213_1、213_2を形成する工程について説明する図である。基板211として、例えば、ガラス基板、ポリイミド等のフレキシブル基板を用いる。まず、基板211上に、スパッタリング法により導電膜を形成し、フォトリソグラフィ工程により、導電膜を加工することで、導電層232を形成する。導電層232は、遮光性を有する金属材料で形成される。なお、導電層232は、駆動回路104_R、104_L及び保護回路105_R、105_Lを構成するトランジスタ210が設けられる領域に設けられる。導電層232は、駆動回路104_R、104_L及び保護回路105_R、105_Lを構成する各トランジスタに設けられ、トランジスタが有する半導体層の直下に設けられることが好ましい。
【0049】
次に、基板211及び導電層232上に、下地絶縁膜212を形成する。下地絶縁膜212は、CVD法又はスパッタリング法により、例えば、酸化シリコン又は窒化シリコンを用いて形成される。下地絶縁膜212として、酸化シリコン及び窒化シリコンを、それぞれ単層で用いてもよいし、積層して用いてもよい。次に、下地絶縁膜212上にポリシリコンからなる半導体膜を形成し、フォトリソグラフィ工程により、半導体膜を加工して、半導体層213_1、213_2を形成する。ここで、半導体層213_1は、導電層232と重ならない領域に設けられ、半導体層213_2は、導電層232と重なる領域に設けられる。
【0050】
図8(B)は、絶縁膜214及び導電層215_1~215_5を形成する工程を説明する図である。まず、半導体層213_1、213_2上に、絶縁膜214を形成する。絶縁膜214は、CVD法又はスパッタリング法により、例えば、酸化シリコン又は窒化シリコンを用いて形成される。絶縁膜214として、例えば、半導体層213_1、213_2に接して窒化シリコン膜を形成する。窒化シリコン膜は、比較的高濃度の水素を含み、水素を放出しやすい膜である。半導体層213_1、213_2と絶縁膜214とが接した状態で加熱処理を行うことにより、ポリシリコンからなる半導体層213_1、213_2に含まれるダングリングボンドを水素によって終端化させて、不活性にすることができる。次に、絶縁膜214上に、スパッタリング法により導電膜を形成し、フォトリソグラフィ工程により、導電膜を加工することで、導電層215_1~215_5を形成する。なお、図8(B)には、導電層215_2、215_4が図示されていないが、導電層215_2、215_4は、図5に示す位置に配置される。導電層215_1は、半導体層213_1と重畳する領域に形成され、導電層215_2~215_4は、後に酸化物半導体からなる半導体層と重畳する領域に形成され、導電層215_5は、半導体層213_3と重畳する領域に形成される。
【0051】
図示しないが、導電層215_1、215_5をマスクとして、半導体層213_1、213_2にドーピング処理を行う。これにより、半導体層213_1、213_2に不純物領域を形成する。nch型トランジスタを形成する場合には、n型を付与する不純物を添加することで、半導体層に低濃度不純物領域と高濃度不純物領域を形成する。pch型トランジスタを形成する場合には、p型を付与する不純物を添加することで、不純物領域を形成する。本実施形態では、駆動回路104_R、104_L及びセンサ画素110において、nch型トランジスタを図示しているが、これに限定されない。駆動回路104_R、104_Lを構成するトランジスタとして、nch型トランジスタ及びpch型トランジスタの双方を形成してもよい。
【0052】
図9(A)は、絶縁膜216及び半導体層231_1~231_4を形成する工程について説明する図である。まず、絶縁膜214及び導電層215_1~215_5上に、絶縁膜216を形成する。絶縁膜216は、CVD法又はスパッタリング法により、例えば、酸化シリコン又は窒化シリコンを用いて形成される。
【0053】
トランジスタの半導体層として酸化物半導体を用いる場合、隣接する膜から水素や水分が酸化物半導体に侵入すると、トランジスタの特性が劣化する恐れがある。具体的には、トランジスタの移動度の低下、閾値のばらつき等が生じる。そのため、半導体層231_1~231_2と接する絶縁膜は、水素の濃度が低減された膜を使用することが好ましい。そのため、絶縁膜216は、例えば、CVD法により、酸化シリコン膜を形成する。また、絶縁膜216は、導電層215_1~215_3側から、窒化シリコン膜と、酸化シリコン膜との積層構造にしてもよい。
【0054】
次に、絶縁膜216上に、スパッタリング法により、酸化物半導体を用いた半導体膜を形成し、フォトリソグラフィ工程により、半導体膜を加工することで、半導体層231_1~231_4を形成する。半導体層231_1は、遮光層として機能する導電層215_3上に形成される。なお、図9(A)には、半導体層231_2~231_4が図示されていないが、半導体層231_2~231_4は、図6に示す位置に配置される。
【0055】
酸化物半導体を用いた半導体膜を半導体層231_1~231_4に加工する際に、半導体層231_1~231_4の表面にダメージが生じる場合がある。半導体層231_1~231_4のダメージが生じた領域には、酸素欠損が多く含まれている。酸素欠損により、トランジスタのオフリーク電流が大きくなるという問題が生じる。オフリーク電流を小さくするためには、加熱処理によって酸化物半導体に酸素を十分に導入する必要がある。そこで、半導体層231_1~231_4に、酸化シリコン膜が接した状態で、加熱処理を行うことが好ましい。加熱処理は、例えば、窒素、乾燥空気、又は大気雰囲気下で行うことが好ましい。これにより、酸化シリコンから酸素が放出され、半導体層231_1~231_4のダメージが生じた領域に酸素を供給することができる。したがって、半導体層231に含まれる酸素欠損を低減することができる。
【0056】
図9(B)は、絶縁膜217及び導電層218_1~218_9を形成する工程を説明する図である。まず、絶縁膜216及び半導体層231上に、CVD法又はスパッタリング法により、例えば、酸化シリコン又は窒化シリコンを用いて、絶縁膜217を形成する。絶縁膜217は、例えば、半導体層231側から、CVD法により、酸化シリコン膜を形成し、窒化シリコン膜上に、スパッタリング法により、窒化シリコン膜を形成することが好ましい。この後、再度、加熱処理を行ってもよい。加熱処理の条件は、半導体層231の形成後に行う加熱処理の条件と同様である。この加熱処理により、半導体層231に接する酸化シリコン膜から酸素が放出され、半導体層231のダメージが生じた領域に酸素を供給することができる。したがって、半導体層231に含まれる酸素欠損を低減することができる。なお、加熱処理は、半導体層231の形成後、又は絶縁膜217の形成後のいずれかの段階で行えばよい。
【0057】
次に、絶縁膜216及び絶縁膜217に、半導体層213_1、213_2に達するコンタクトホールを形成する。次に、絶縁膜217上に、スパッタリング法により導電膜を形成し、フォトリソグラフィ工程により加工して、導電層218_1~218_9を形成する。なお、図9(B)には、導電層218_5~218_7が図示されていないが、導電層218_5~218_7は、図5及び図6に示す位置に配置される。導電層218_1、218_2は、半導体層213_1と接続され、導電層218_3は、半導体層231と重畳する領域に設けられる。また、導電層218_5、218_6は、半導体層213_2と接続される。
【0058】
図示しないが、導電層218_3をマスクとして、半導体層231に水素又はアルゴンをイオン注入により添加する。これにより、半導体層121において、ゲート電極123と重畳する領域にチャネルと、チャネルを挟むように低抵抗化領域を形成することができる。
【0059】
図10は、絶縁膜219及び導電層221_1~221_6を形成する工程を説明する図である。まず、絶縁膜217及び導電層218_1~218_9上に、CVD法又はスパッタリング法により、例えば、酸化シリコン又は窒化シリコンを用いて、絶縁膜219を形成する。次に、絶縁膜219に、導電層218_2、218_8、218_9及び半導体層231に達するコンタクトホールを形成する。次に、絶縁膜219上に、スパッタリング法により導電膜を形成し、フォトリソグラフィ工程により加工して、導電層221_1~221_6を形成する。導電層221_1は導電層218_2と接続され、導電層221_2は導電層218_2と、半導体層231_1と接続される。導電層221_2は、半導体層231_1と接続される。導電層221_2は、導電層218_4と重畳する領域に設けられる。導電層221_5は導電層218_8と接続され、導電層221_6は導電層218_9と接続される。
【0060】
次に、導電層221_1~221_5上に、絶縁膜222を形成する。次に、絶縁膜222に、導電層221_1、221_5に達する開口部を形成し、絶縁膜222上にスパッタリング法により導電膜を形成する。次に、フォトリソグラフィ工程により加工して、導電層223_1_1、223_2を形成する。次に、導電層223_1、223_2上に絶縁膜224を形成する。次に、絶縁膜224に、導電層223_1、223_2に達する開口部を形成し、絶縁膜224上にスパッタリング法により導電膜を形成する。最後に、フォトリソグラフィ工程により加工して、導電層225_1_1、225_2を形成する。
【0061】
以上の工程により、本発明の一実施形態に係る光センサ装置100を製造することができる。
【0062】
同一基板上に、ポリシリコンを用いたトランジスタと、酸化物半導体を用いたトランジスタを形成する場合、酸化物半導体を用いたトランジスタが水素によって劣化してしまうことが問題となる。ポリシリコンを用いたトランジスタの特性を向上させるために、ポリシリコン層とゲート絶縁膜との界面における欠陥準位を終端する加熱処理が行われる。この加熱処理によって、酸化物半導体に水素が混入することで、酸化物半導体が縮退し、導体となってしまう。
【0063】
本発明の一実施形態に係る光センサ装置100の製造方法では、酸化物半導体を用いたトランジスタ202~204の遮光層として機能する導電層215_2を、ポリシリコンを用いたトランジスタ201のゲート電極として機能する導電層215_1と同じ導電膜によって形成する。また、導電層215_1~215_3上に、絶縁膜216として酸化シリコン膜を形成し、絶縁膜217として酸化シリコン膜を形成する。このように、周辺領域103に配置された駆動回路104_R、104_Lよりも近くに、水素を吸収する導電層215_2を配置する。これにより、トランジスタ202~204が有する半導体層231_1~231_4に、水素が混入することを抑制することができる。このように、本発明の一実施形態に係る光センサ装置100では、トランジスタ202~204への光の影響を低減するだけでなく、水素の影響をも抑制することができる。また、この導電層215_2は、ポリシリコンからなる半導体層213_1よりも上層に配置される。これにより、導電層215_2によって、光を反射させることができ、反射された光を半導体層213_1に入射させることができるため、集光率を向上させることができる。
【0064】
また、本発明の一実施形態に係る光センサ装置100は、透明なガラス基板だけでなく、フレキシブル基板上に形成されることができる。そのため、様々なデザイン、様々な形状に対応することが可能である。
【0065】
本発明の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に相当し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。例えば、前述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0066】
100:光センサ装置、101:トランジスタ、102:センサ領域、103:周辺領域、104:駆動回路、105:保護回路、106:端子領域、110:センサ画素、121:半導体層、123:ゲート電極、201~204:トランジスタ、205:容量素子、210:トランジスタ、211:基板、212:下地絶縁膜、213:半導体層、214:絶縁膜、215:導電層、216:絶縁膜、217:絶縁膜、218:導電層、219:絶縁膜、221:導電層、222:絶縁膜、223:導電層、224:絶縁膜、225:導電層、231:半導体層、232:導電層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10