(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】改善された周波数特性を有する垂直プローブ試験ヘッド
(51)【国際特許分類】
G01R 1/073 20060101AFI20230719BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
G01R1/073 E
H01L21/66 B
(21)【出願番号】P 2019546001
(86)(22)【出願日】2018-02-22
(86)【国際出願番号】 EP2018054351
(87)【国際公開番号】W WO2018153963
(87)【国際公開日】2018-08-30
【審査請求日】2021-02-16
(31)【優先権主張番号】102017000021400
(32)【優先日】2017-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519046085
【氏名又は名称】テクノプローベ ソシエタ ペル アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリッパ、ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】ヴァロリ、ラファエーレ
【審査官】島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-248745(JP,A)
【文献】特開2012-159422(JP,A)
【文献】国際公開第99/041812(WO,A1)
【文献】国際公開第2005/006003(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0197860(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0062519(US,A1)
【文献】特開2008-261744(JP,A)
【文献】特開2009-036532(JP,A)
【文献】特開2009-085948(JP,A)
【文献】国際公開第2000/079293(WO,A1)
【文献】特開平11-160356(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 1/073
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウェーハ上に集積された被試験デバイスの動作を検証するのに適切な試験ヘッド(20)であって、前記試験ヘッド(20)は、複数のガイド穴(40h、41h、42h)を備えた上方ガイド、中間ガイド、及び下方ガイドと、前記複数のガイド穴(40h)内に収容された複数の接触要素(21)とを備え、前記中間ガイド及び前記下方ガイドのうち少なくとも1つのガイド(40)は複数の導電層(30a-30n)を備え、前記複数の導電層(30a-30n)各々は、前記複数のガイド穴(40h)の個別の群(40a-40n)の穴を含み、前記複数のガイド穴(40h)の前記群(40a-40n)内に収容された前記複数の接触要素(21)の対応する群を
前記複数のガイド穴(40h)の内面を介して電気的に接続し、個別の群各々の接触要素は同じタイプの信号を搬送するように構成されており、前記少なくとも1つのガイド(40)が複数の非導電層(La-Lm)を備える多層であり、前記複数の導電層(30a-30n)が、前記複数の非導電層(La-Lm)のそれぞれの層のそれぞれの面(Fa-Fm)に配置された、試験ヘッド(20)。
【請求項2】
前記少なくとも1つのガイド(40)が、セラミック材料でできている前記複数の非導電層(La-Lm)を備えるセラミック多層である、請求項1に記載の試験ヘッド(20)。
【請求項3】
前記少なくとも1つのガイド(40)が硬質の支持体に結合させられた有機多層を備え、前記有機多層は有機材料でできている複数の層を含み、前記有機材料の前記複数の層は、前記複数の導電層(30a-30n)のうちの少なくとも1つの導電層が配置された非導電層を形成する、請求項1に記載の試験ヘッド(20)。
【請求項4】
前記複数の導電層(30a-30n)各々は前記少なくとも1つのガイド(40)の個別の前記非導電層(La-Lm)の面(Fa-Fm)に配置され、前記導電層(30a-30n)は、前記複数のガイド穴(40h)の少なくとも1つの前記個別の群(40a-40n)の穴を含み、その中に収容された接触要素を電気的に接続し、前記群は前記複数の導電層(30a-30n)において形成され、前記複数の導電層(30a-30n)各々は、前記面(Fa-Fm)の面積よりも小さい面積を有する、請求項1に記載の試験ヘッド(20)。
【請求項5】
前記複数の導電層(30a-30n)各々は、前記少なくとも1つのガイド(40)の個別の非導電層(La-Lm)の面(Fa-Fm)を覆い、前記導電層(30a-30n)は、前記複数のガイド穴(40h)の少なくとも1つの前記個別の群(40a-40n)の穴を含み、少なくとも1つの前記群(40a-40n)に属していないガイド穴内に収容された接触要素以外の、その中に収容された接触要素を電気的に接続する、請求項1に記載の試験ヘッド(20)。
【請求項6】
前記複数の導電層(30a-30n)が、前記少なくとも1つのガイド(40)の少なくとも1つの露出面(FA、FB)に製作された表面層をさらに備える、請求項1に記載の試験ヘッド(20)。
【請求項7】
前記複数の導電層(30a-30n)が、前記少なくとも1つのガイド(40)内に埋め込まれた、請求項1に記載の試験ヘッド(20)。
【請求項8】
前記試験ヘッド(20)が少なくとも1つの第1の導電層(30a)および少なくとも1つの第2の導電層(30b)を備え、前記第1の導電層(30a)が、前記複数のガイド穴(40h)の第1の群(40a)の穴を含み、前記複数のガイド穴(40h)の前記第1の群(40a)内に収容された前記複数の接触要素(21)の第1の群を電気的に接続し、前記複数の接触要素(21)の前記第1の群はグラウンド信号を搬送するように構成され、前記第2の導電層(30b)は、前記複数のガイド穴(40h)の第2の群(40b)の穴を含み、前記複数のガイド穴(40h)の前記第2の群(40b)内に収容された前記複数の接触要素(21)の第2の群を電気的に接続し、接触要素の前記第2の群は電源信号を搬送するように構成される、請求項1に記載の試験ヘッド(20)。
【請求項9】
前記試験ヘッド(20)は複数の第1の導電層(30a)を備え、前記複数の第1の導電層(30a)の数は、搬送する対象のグラウンド信号の数に対応する請求項8に記載の試験ヘッド(20)。
【請求項10】
前記試験ヘッド(20)は、複数の第2の導電層(30b)を備え、前記複数の第2の導電層(30b)の数は、搬送する対象の電源信号の数に対応する、請求項8に記載の試験ヘッド(20)。
【請求項11】
前記試験ヘッド(20)は、前記複数のガイド穴(40h)の第3の群(40c)の穴を含み、前記複数のガイド穴(40h)の前記第3の群(40c)内に収容された前記複数の接触要素(21)の第3の群を電気的に接続する少なくとも1つの第3の導電層(30c)を備え、接触要素の前記第3の群は、前記被試験デバイスの動作信号を搬送するように構成された、請求項8に記載の試験ヘッド(20)。
【請求項12】
前記試験ヘッド(20)は複数の第3の導電層(30c)を備え、前記複数の第3の導電層(30c)の数は、前記被試験デバイスの、短絡させるべき接触パッドの群の数に対応する、請求項10に記載の試験ヘッド(20)。
【請求項13】
前記複数の導電層(30a-30n)の少なくとも1つは、他の導電層と分けられた、請求項1に記載の試験ヘッド(20)。
【請求項14】
前記複数の導電層(30a-30n)の少なくとも1つは、少なくとも1つの非導電ゾーン(32)によって局所的に中断された、請求項1に記載の試験ヘッド(20)。
【請求項15】
前記少なくとも1つのガイド(40)は、前記少なくとも1つの非導電ゾーン(32)を覆う少なくとも1つの被覆誘電体部を備える、請求項14に記載の試験ヘッド(20)。
【請求項16】
前記試験ヘッド(20)は、少なくとも1つの下方ガイド(40)、少なくとも1つの中間ガイド(41)、および少なくとも1つの上方ガイド(42)を備え、前記下方ガイド(40)および前記中間ガイド(41)は第1のギャップ(34)により、互いに分けられ、前記中間ガイド(41)および前記上方ガイド(42)は第2のギャップ(35)により、互いに分けられ、前記ガイド(40、41、42)各々は、前記接触要素(21)の収容のためのそれぞれのガイド穴(40h、41h、42h)を備える、請求項1に記載の試験ヘッド(20)。
【請求項17】
前記下方ガイド(40)、前記中間ガイド(41)および前記上方ガイド(42)のうちの1つまたは複数は前記複数の導電層(30a-30n)を備える、請求項16に記載の試験ヘッド(20)。
【請求項18】
前記下方ガイド(40)が、前記複数の導電層(30a-30n)を備える、請求項16に記載の試験ヘッド(20)。
【請求項19】
複数の導電層(30a-30s)の各層は、前記ガイド穴(40h)の前記群(40a-40n)のガイド穴各々の内面の少なくとも1つの部分(40aW-40nW)を覆う、請求項1に記載の試験ヘッド(20)。
【請求項20】
前記少なくとも1つのガイド(40)の前記ガイド穴(40h)の全ての壁の少なくとも1つの部分はメタライズ部を備えている、請求項1に記載の試験ヘッド(20)。
【請求項21】
前記少なくとも1つのガイド(40)は、前記複数の導電層(30a-30n)のうちの導電層に、前記導電層によって互いに電気的に接続された前記複数の接触要素(21)によって搬送される前記信号を抽出するために接続された少なくとも1つの導電トラック(36)を備える、請求項1に記載の試験ヘッド(20)。
【請求項22】
前記少なくとも1つのガイド(40)は、少なくとも1つのガイド穴(40h’)に対応する窪み部(40A)を備える、請求項1に記載の試験ヘッド(20)。
【請求項23】
前記試験ヘッド(20)は、前記少なくとも1つのガイド(40)の前記複数の導電層(30a-30n)のうちの少なくとも1つの層に電気的に接続された少なくとも1つの回路部品(50)、をさらに備える、請求項1に記載の試験ヘッド(20)。
【請求項24】
前記少なくとも1つのガイド(40)は、単一の接触要素を収容するのに適切な前記複数のガイド穴(40h)のうちの1つを含む少なくとも1つの導電部を備え、前記少なくとも1つのガイド(40)は、前記少なくとも1つの導電部から前記信号を抽出する導電トラックを備える、請求項1に記載の試験ヘッド(20)。
【請求項25】
前記少なくとも1つのガイド(40)は、単一の接触要素を収容するのに適切な前記複数のガイド穴(40h)のうちの1つを含む少なくとも1つの導電部を備え、前記少なくとも1つのガイド(40)は、前記少なくとも1つの導電部をさらなる導電部に、または前記複数の導電層(30a-30n)のうちの1つの層に接続する導電トラックを備える、請求項1に記載の試験ヘッド(20)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板上に集積された電子デバイスを試験するための試験ヘッドに関する。さらに特に、本発明は、複数の接触要素を収容するように構成された複数のガイド穴を備えた少なくとも1つのガイドを備える試験ヘッドに関し、以下の開示はその説明を簡素化する目的のみで本出願の技術分野を参照して行う。
【背景技術】
【0002】
よく知られているように、試験ヘッドまたはプローブヘッドは、半導体ウェーハ上に集積されたデバイスなどの微細構造の複数の接触パッドを、その動作試験、特に電気的試験、または一般的な試験を行う試験装置の対応するチャンネルと電気的に接続するように構成された電子装置である。
【0003】
集積デバイスに対して行われる試験は、製造工程において早ければ欠陥デバイスを検出し、分離するのに特に有用である。通常、試験ヘッドはしたがって、ウェーハ上に集積された複数のデバイスを、それらを切断し、格納パッケージ内に組み立てる前の電気的試験のために使用される。
【0004】
一般に、試験ヘッドは、略板形状であり、互いに平行の、少なくとも1つのガイドによって、または少なくとも一対のガイド(または支持体)によって保持された複数の接触要素またはコンタクトプローブを備える。ガイドは好適なガイド穴を備えており、ガイド穴内に摺動可能に収容されたコンタクトプローブの移動および考えられる変形のために自由空間またはエアギャップを残すため、互いに一定の距離をおいて配置されている。特に、一対のガイドは上方ガイドおよび下方ガイドを備え、下方ガイドは被試験デバイスに最も近いものであり、両方のガイドは、通常、良好な電気的および機械的特性を有する特殊な合金のワイヤでできているコンタクトプローブが、その中で軸方向に摺動するガイド穴を備えている。
【0005】
コンタクトプローブと、被試験デバイスの接触パッドとの間の良好な接続は、デバイス自体に対する試験ヘッドの圧力によって確実にされ、コンタクトプローブは押圧接触中に、ガイド間のエアギャップ内で曲げを受け、それぞれのガイド穴内で摺動する。このタイプの試験ヘッドは通常、「垂直プローブを有する試験ヘッド」と呼ばれ、英語の語「垂直プローブヘッド(vertical probe head)」で示される。
【0006】
実質的には、垂直プローブヘッドは、その中でコンタクトプローブの曲げが発生するエアギャップを有し、曲げは、
図1に概略的に示すように、プローブ自体の、またはそれらのガイドの好適な構成によって容易にされ得る。
【0007】
特に、
図1は、その中で複数のコンタクトプローブ6が摺動するそれぞれのガイド穴4および5を有する、エアギャップ13によって分けられている、通常「上方ダイ」として示す少なくとも1つの上方ガイド2および通常「下方ダイ」として示す下方ガイド3を備える試験ヘッド1を概略的に示し、簡潔性のために、複数のコンタクトプローブのうちの1つのプローブのみを
図1に示す。
【0008】
各コンタクトプローブ6は、試験ヘッドがその終端要素を形成する試験装置(図示せず)および被試験デバイス間の機械的および電気的接触を実現するようにウェーハ9上に集積された被試験デバイスの接触パッド8に当接することが意図された接触先端7で、1つの端において終端する。
【0009】
ここで、および以下では、「接触先端」との語は、被試験デバイスの接触パッドに接触することが意図されたコンタクトプローブの端ゾーンまたは領域を示し、端ゾーンまたは領域は必ずしも鋭利にされていない。
【0010】
一部の場合には、コンタクトプローブは、板形状の上方支持体において試験ヘッドにしっかりと固定される:そうした試験ヘッドは、「ブロック化試験ヘッド」として呼ばれている。
【0011】
しかし、より頻繁には、試験ヘッドは、しっかりと固定されていないブロック化プローブを有する一方、場合によっては、複数の接触パッドを備えたマイクロ接触ボードを介していわゆるボードに連結して保持される:そうした試験ヘッドは、「非ブロック化試験ヘッド」として呼ばれている。マイクロ接触ボードは通常、「スペーストランスフォーマ」と呼ばれる。というのは、プローブを接触させる他に、その上に実現された接触パッドを被試験デバイス上の接触パッドに対して空間的に再配分する、特に、パッド自体の中心間の距離上の制約を緩和することも可能にするからである。
【0012】
この場合、
図1に示すように、各コンタクトプローブ6は、スペーストランスフォーマ12の複数の接触パッドのうちの接触パッド11の方を向いているいわゆる接触ヘッド11で終端するさらなる端エリアまたは領域を有する。コンタクトプローブ6とスペーストランスフォーマ12との間の良好な電気接続は、ウェーハ9上に集積された被試験デバイスの接触パッド8と、接触先端7との間の接触と同様の、スペーストランスフォーマ12の接触パッド11への、コンタクトプローブ6の接触ヘッド10の押圧当接によって確実にされる。
【0013】
一般に、試験ヘッド内では、接触要素は、被試験デバイスに向けて電源およびグラウンド信号を搬送することが意図された接触要素と、試験装置と被試験デバイスとの間で動作信号、特に入出力信号を搬送することが意図された接触要素とに分けられる。
【0014】
上述したタイプの試験ヘッドでは、グラウンド信号を搬送することが意図された数多くの接触要素の存在、および電源信号を搬送することが意図された接触要素の存在は、干渉を発生し、よって、被試験デバイスを試験するために使用される動作信号、すなわち入出力信号内にノイズをもたらすことがよく知られており、このことは、試験ヘッドの周波数特性を制限する。グラウンド信号を搬送することが意図された接触要素の場合、不利なグラウンドループも生じ得る。
【0015】
被試験デバイスの2つ以上の接触パッドを短絡させる必要性も知られている。当該技術分野においてルックバック(look-back)と呼ばれている公知の解決策では、試験ヘッドの2つのコンタクトプローブにより、被試験デバイスの2つの接触パッドを短絡させることが可能であり、第1のプローブは被試験デバイスの第1のパッドからの信号を試験装置に向けて搬送し、そこから、上記信号が、第2のパッドに接触する第2のコンタクトプローブにより、被試験デバイスの第2のパッドに対して閉じられる。しかし、この場合、被試験デバイスと試験装置との間を信号が往復する距離は、全体としての試験ヘッドの周波数特性における低減をもたらす。
【0016】
異なるコンタクトプローブを電気的に接続するように構成された導電構造は、たとえば、米国特許出願公開第2012/0242360号明細書、韓国特許第101421051号公報、米国特許出願公開第2012/0197860号明細書、および国際公開第2012/106220号に開示されている。
試験ヘッドの周波数特性を改善する必要性が、当該技術分野において強く感じられている。
【0017】
したがって、本発明の技術的課題は、先行技術によって製作された試験ヘッドに現在もなお影響を及ぼしている制約および欠点を解消し、特に、いくつかの異なる電源の場合にも、グラウンドおよび電源接触要素の存在による干渉および、よって、ノイズを単純なやり方で、なくさなくても低減することができ、および、試験ヘッド自体の周波数特性を低減することなく、被試験デバイスの接触パッド間の電気接続を可能にすることができることを可能にするような構造的および機能的特徴を有する、電子デバイスを試験するための試験ヘッドを作ることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の根底にある解決策の考えは、試験ヘッドであって、少なくとも1つのガイドに、ガイド穴と、その中に収容された接触要素であって、試験装置と被試験デバイスとの間で動作信号、すなわち入出力信号を搬送することが意図された接触要素が入出力接触要素として示され、および、グラウンドおよび電源信号を搬送することが意図された接触要素がグラウンドおよび電源接触要素として示された接触要素と、ガイド穴の対応する群内に収容されたグラウンド接触要素の、および/または電源接触要素の、および/または、入出力接触要素の、少なくとも1つの群を電気的に接続する、ガイド内に形成された複数の導電層であって、複数の導電層の各層が、接触要素の対応する群に対する共通の導電面を形成する複数の導電層と、を備えた試験ヘッドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
この解決策の考えに基づけば、上記技術的課題は主に、半導体ウェーハ上に集積された被試験デバイスの動作を検証するのに適切な試験ヘッドであって、上記試験ヘッドは、複数のガイド穴を備えた少なくとも1つのガイドと、上記複数のガイド穴内に収容された複数の接触要素とを備え、上記少なくとも1つのガイドは複数の導電層を備え、上記複数の導電層各々は、上記複数のガイド穴の個別の群の複数の上記穴を含み、上記複数のガイド穴の上記群内に収容された上記複数の接触要素の対応する群を電気的に接続し、個別の群各々の複数の接触要素は同じタイプの信号を搬送するように構成された、試験ヘッドによって解決される。
【0020】
さらに特に、本発明は、必要に応じて、単独で、または組み合わせで採用される以下のさらなる、および任意的な特徴を備える。
【0021】
本発明の一態様によれば、上記少なくとも1つのガイドが複数の非導電層を備える多層である場合があり、上記複数の導電層のうちの少なくとも1つの導電層が、上記ガイドの上記複数の非導電層のうちの少なくとも1つに配置される。
【0022】
特に、上記少なくとも1つのガイドが、好ましくはセラミック材料でできている上記複数の非導電層を備えるセラミック多層であり得る。
【0023】
あるいは、上記少なくとも1つのガイドが硬質の支持体に結合させられた有機多層を備えている場合があり、上記有機多層は有機材料でできている複数の層を含み、上記有機材料の上記複数の層は、上記複数の導電層のうちの少なくとも1つの導電層のそれぞれが配置された非導電層を形成する。
【0024】
上記複数の導電層各々は上記少なくとも1つのガイドの個別の上記非導電層の面に配置されてよく、上記導電層は、上記複数のガイド穴の上記個別の群の穴を含み、その中に収容された接触要素を電気的に接続し、上記複数の導電層各々は、上記面の面積よりも小さい面積を有する。
【0025】
あるいは、上記複数の導電層各々は、上記少なくとも1つのガイドの個別の上記非導電層の面を覆うことが可能であり、上記導電層は、上記複数のガイド穴の上記個別の群の穴を含み、上記群に属していないガイド穴内に収容された接触要素以外の、その中に収容された接触要素を電気的に接続する。
【0026】
本発明の一態様によれば、上記複数の導電層が、上記少なくとも1つのガイドの少なくとも1つの露出面に製作された表面層をさらに備え得る。
【0027】
あるいは、上記複数の導電層が、上記少なくとも1つのガイド内に埋め込まれ得る。
【0028】
本発明の一態様によれば、上記試験ヘッドが、少なくとも1つの第1の導電層および少なくとも1つの第2の導電層を備えることが可能であり、上記第1の導電層が、上記複数のガイド穴の第1の群の穴を含み、上記複数のガイド穴のこの第1の群内に収容された上記複数の接触要素の第1の群を電気的に接続し、上記複数の接触要素の上記第1の群はグラウンド信号を搬送するように構成され、上記第2の導電層は、上記複数のガイド穴の第2の群の穴を含み、上記複数のガイド穴の上記第2の群内に収容された上記複数の接触要素の第2の群を電気的に接続し、接触要素の上記第2の群は電源信号を搬送するように構成される。
【0029】
特に、上記試験ヘッドは複数の第1の導電層を備えてよく、上記複数の第1の導電層の数は、搬送する対象の電源信号の数に対応し、および/または、上記試験ヘッドは、複数の上記第2の導電層を備えてよく、上記複数の第2の導電層の数は、搬送する対象のグラウンド信号の数に対応する。
【0030】
さらに、上記試験ヘッドは、上記複数のガイド穴の第3の群の上記複数の穴を含み、上記複数のガイド穴のこの第3の群内に収容された上記複数の接触要素の第3の群を電気的に接続する少なくとも1つの第3の導電層を備えている場合があり、複数の接触要素の上記第3の群は、上記被試験デバイスの動作信号を搬送するように構成される。
【0031】
特に、上記試験ヘッドは複数の第3の導電層を備えていてよく、上記複数の第3の導電層の数は、上記被試験デバイスの、短絡させるべき接触パッドの群の数に対応する。
【0032】
本発明の一態様によれば、上記複数の導電層の少なくとも1つは、異なる信号を搬送するように構成された接触要素、および/または、短絡させてはならない接触要素間の電気接触を可能にしないように、他の導電層と分けられ得る、および/または、少なくとも1つの非導電ゾーンによって局所的に中断され得る。
【0033】
これに関して、上記少なくとも1つのガイドは、上記少なくとも1つの非導電ゾーンを覆う少なくとも1つの被覆誘電体部を備え得る。
【0034】
さらに、上記試験ヘッドは、少なくとも1つの下方ガイド、少なくとも1つの中間ガイド、および少なくとも1つの上方ガイドを備えてよく、上記下方ガイドおよび上記中間ガイドは第1のエアギャップにより、互いに分けられ、上記中間ガイドおよび上記上方ガイドは第2のエアギャップにより、互いに分けられ、上記ガイド各々は、上記接触要素の収容のためのそれぞれの穴を備える。
【0035】
さらに、上記下方ガイドおよび/または上記中間ガイドおよび/または上記上方ガイドは上記複数の導電層、好ましくは上記下方ガイドを備え得る。
【0036】
本発明の一態様によれば、複数の導電層の各層は、上記ガイド穴の上記群のガイド穴各々の内面の少なくとも1つの部分を覆い得る。
【0037】
あるいは、上記少なくとも1つのガイドの上記ガイド穴全ての壁の少なくとも1つの部分はメタライズ部を備えていてよい。
【0038】
本発明の一態様によれば、上記少なくとも1つのガイドは、上記複数の導電層のうちの導電層に、上記導電層によって互いに電気的に接続された上記複数の接触要素によって搬送される上記信号を抽出するために接続された少なくとも1つの導電トラックを備えてよい。
【0039】
本発明の別の態様によれば、上記少なくとも1つのガイドは、少なくとも1つのガイド穴に対応して窪んでいる部分を備える。
【0040】
本発明の別の態様によれば、上記試験ヘッドは、上記少なくとも1つのガイドの上記複数の導電層のうちの少なくとも1つの層に電気的に接続された少なくとも1つの回路部品、好ましくはコンデンサをさらに備えている場合がある。
【0041】
最後に、上記少なくとも1つのガイドは、単一の接触要素を収容することが意図された上記複数のガイド穴のうちの1つを含む少なくとも1つの導電部を備えてよく、上記少なくとも1つのガイドは、上記少なくとも1つの導電部から上記信号を抽出し、および/または、上記少なくとも1つの導電部をさらなる導電部に、または上記複数の導電層のうちの1つの層に接続する導電トラックを備える。
【0042】
本発明による試験ヘッドの特徴および利点は、添付図面を参照して、示された、および限定的でない例によって表す、その実施形態の、以下に記載された本明細書から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】先行技術によって製作された試験ヘッドを概略的に示す。
【
図2】本発明によって製作された試験ヘッドを概略的に示す。
【
図3A】
図2の試験ヘッドのガイドの層の上方からの図を概略的に示す。
【
図3B】
図2の試験ヘッドのガイドの層の上方からの図を概略的に示す。
【
図3C】本発明の代替的な実施形態によるガイドの層の上方からの図を概略的に示す。
【
図4】本発明の代替的な実施形態による試験ヘッドの一部分を概略的に示す。
【
図5A】
図4の試験ヘッドのガイドの層の上方からの図を概略的に示す。
【
図5B】
図4の試験ヘッドのガイドの層の上方からの図を概略的に示す。
【
図6】本発明のさらに代替的な実施形態による試験ヘッドの一部分を概略的に示す。
【
図7】なお本発明の別の代替的な実施形態による試験ヘッドを概略的に示す。
【
図8】本発明のさらなる実施形態による試験ヘッドを概略的に示す。
【
図9】本発明のさらなる実施形態による試験ヘッドのガイドを概略的に示す。
【
図10】本発明の代替的な実施形態によるガイドの層の上方からの図を概略的に示す。
【
図11】本発明のさらなる代替的な実施形態によるガイドの層の上方からの面を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図を、特に
図2を参照すれば、符号20は、本発明によって製作された、半導体ウェーハ上に集積された電子デバイスを試験するための試験ヘッドを全体的に、および概略的に示す。
【0045】
図は、概略図を表し、縮尺通りに描いていない一方、その代わりに、本発明の重要な特徴を強調するように描いていることが注意されるべきである。
【0046】
さらに、図では、異なる構成要素は概略的に示し、それらの形状は所望の応用分野に応じて変わり得る。さらに、図中、同一の符号は形状または機能において同一の構成要素を表すことも注意されるべきである。最後に、図に示す実施形態に関して説明した特定の特徴はさらに、他の図において示した他の実施形態にも使用することが可能である。
【0047】
図2に示すように、試験ヘッド20は、複数の接触要素21を収容するように構成された複数のガイド穴40hを備えた少なくとも1つのガイド40、図の例では下方ガイドを備える。
【0048】
一般に、試験ヘッド20は、電源およびグラウンド信号を受け取ることが意図された少なくとも1つの第1の領域と、試験ヘッド20に接続された試験装置(図示せず)からの/に向けた動作信号すなわち入出力信号を受け取り/送出することが意図された第2の領域とを備える被試験デバイスの動作を検証するために使用される。第1の領域内では、通常約1A以上の高電流値を有する電源信号、およびグラウンド信号が処理される一方、第2の領域内では、動作信号、すなわち、通常約0.5A以下の、より低い電流値を有する入出力信号が処理される。この理由で、試験ヘッド20では、電源およびグラウンド信号を搬送することが意図された接触要素と、被試験デバイスに向けた/からの入出力信号を搬送することが意図された接触要素とは互いに異なり、さらに、異なる物理的および機械的特徴を、特に、それらを製作するために使用される材料、および電流の導通に利用可能な部分について有する。
【0049】
図2の例では、6つの接触要素を示しているが、明らかに、接触要素の数は必要性および/または状況によって変わってよく、図は本発明の限定的でない例としてのみ、示している。
【0050】
さらに、なお本発明の限定的でない例によれば、
図2は、接触要素が、予変形を有し、被試験デバイスの接触パッドを押圧接触させる際にさらに変形するように構成された本体21’を有する、好ましくは金属ワイヤでできているコンタクトプローブとして成形された試験ヘッド20を示し、コンタクトプローブは単一のガイド40内に形成されたガイド穴40h内に収容されるが、本発明はこれに限定されない。というのは、試験ヘッド20は、以下に詳細に示すように、下方ガイド、中間ガイドおよび上方ガイドと、異なるタイプの接触要素とを備え得るからである。
【0051】
よって、試験ヘッド20の各接触要素21は、第1の端部すなわち接触先端24と第2の端部すなわち接触ヘッド25との間の長手方向軸H-Hに沿って延在する本体21’を備える。
【0052】
さらに特に、接触先端24は、半導体ウェーハ27上に集積された被試験デバイスの対応するパッドすなわち接触パッド26に当接するように構成される。
【0053】
さらに、示された例では、試験ヘッド20は、非ブロック化プローブを有するタイプのものであり、接触要素は、インターポーザすなわちスペーストランスフォーマ29の対応するパッドすなわち接触パッド28に当接するように構成された接触ヘッド25で終端する。
【0054】
特に、スペーストランスフォーマ29は、その対向する面に形成された接触パッドの中心間距離すなわちピッチの空間的変換を実現するように構成され、スペーストランスフォーマ29は一般に、試験装置(図示せず)と連結するプリント回路基板すなわちPCB(図示せず)に接続される。
【0055】
好適には、ガイド40は好ましくは、特にセラミック材料でできている複数の非導電層La-Lmを備えるセラミック多層(MLC、「Multi-Layer Ceramic」との英語の略語)である。よって、ガイド40は、異なる層が重ねて配置されたセラミックに基づいた技術によって製作され、上記多層は、概ね100μm以上3mm以下に含まれる厚さを有し、必要性および/または状況に応じて2から20までの間で変動する数の層を備える。
【0056】
よって、ガイド40のガイド穴40hは、各非導電層La-Lm内に形成される開口によって製作され、開口は同心円状に重なり合い、および同じ直径を有する。本開示では、直径との語は、横方向の最大寸法を意味することが指摘される。
【0057】
非導電層La-Lmはさらに、以下に示すように、ガラス状材料で、または任意の他の好適な誘電材料でできていてもよい。
【0058】
有利には、本発明によれば、ガイド40の非導電層La-Lmの、いくつか、または各々に、少なくとも1つの導電層が配置され、よって、本明細書では符号30a-30nで示す複数の導電層を備える。特に、導電層30a-30nの各々は、ガイド穴40hの個別の群40a-40nを含み、その中に収容された接触要素21の対応する群を電気的に接続する。個別の群各々の接触要素は、同じタイプの信号、たとえば、グラウンド信号または電源信号を、または被試験デバイスと試験装置との間で動作信号すなわち入出力信号を搬送するように構成される。
【0059】
よって、各導電層は、ガイド40の非導電層La-Lmによって構成された非導電層により、隣接の導電層と分けられていることが明らかである。
【0060】
本発明によれば、第1の導電層30aは第1の群40aのガイド穴を含み、第2の導電層30bは第2の群40bのガイド穴を含み、一般に、第nの導電層30nは第nの群40nのガイド穴を含み、導電層の数は、必要性および/または状況に応じて変わってよく、1のみでもあり得る。
【0061】
このようにして、各導電層は、個別の群40a-40nのガイド穴内に収容された接触要素21に対して共通の導電面、たとえば、これらに限定されないが、グラウンドまたは電源面を形成し、よって、上記接触要素は、上記共通の導電面により、互いに電気的に接続される。
【0062】
本明細書では、符号21は、以下に詳述するように、グラウンド信号を搬送することが意図され、または電源信号を搬送することが意図され、または被試験デバイスと試験装置との間で動作信号すなわち入出力信号を搬送することが意図され得る、試験ヘッド20の接触要素全てを識別することが指摘される。
【0063】
例として、
図2では、導電層30aが、グラウンド信号を搬送することに特化された接触要素を電気的に接続することが可能である一方、導電層30nは、明らかに上記接触要素が任意の他のタイプの信号を搬送することに特化され得る場合にも電源信号を搬送することが意図された接触要素を電気的に接続することが可能である。
【0064】
前述したように、
図2の実施形態では、試験ヘッド20の接触要素21は、予変形が与えられ、被試験デバイス27の、およびスペーストランスフォーマ29の接触パッド26および28それぞれを接触させている間にさらに変形させるように構成された本体21’を有するコンタクトプローブである。この場合、好ましくは、各導電層30a-30nは、導電層によって短絡させた個別の群40a-40nの各ガイド穴の内面の少なくとも1つの部分40aW-40nWをさらに被覆する。なおさらに好ましくは、各導電層30a-30nは、個別の群40a-40nのガイド穴の内面を完全に被覆し、この場合、部分40aW-40nWは、上記穴の内面全体と一致する。よって、コンタクトプローブ21と、個別の導電層との間の電気接続は、その中にプローブが収容されたガイド穴内の導電部40aW-40nWと、プローブの本体21’との間の摺動接触によって形成される。
【0065】
いずれにせよ、導電層がガイド穴の内面を被覆していない場合にも、摺動接触は、短絡させる対象のガイド穴の内壁において現れ、ガイド穴内で摺動するコンタクトプローブを接触させるように構成された導電層自体の厚さによって、いかなるやり方によっても確実にされることが指摘される。
【0066】
図3Aおよび3Bに示すように、導電層30a-30nの各々は、ガイド40の個別の非導電層La-Lmの面Fa-Fmに配置され、面Fa-Fmの面積よりも小さい面積を有する。
【0067】
特に、
図3Aが、ガイド40の導電層30aが形成された非導電層Laの上方からの図を示す一方、
図3Bは、ガイド40の導電層30nが形成された非導電の第mの層Lmの上方からの図を示す。よって、導電層30a-30nが、ガイド40の個別の非導電層La-Lmの表面部分、特に、所望の、穴の群(
図3A中の群40aおよび
図3B中の群40n)内に含まれる所望の、接触要素の群を短絡させるように配置された部分のみを覆うので、ガイド40の非導電層La-Lmが重なり合っている場合、望ましくない電気接続が発生しないことは明らかである。すなわち、非導電層La-Lmの各々は、短絡させるべきでない接触要素を収容するガイド穴が存在している非導電ゾーン32を備える。
【0068】
図示していない、本発明の別の実施形態では、導電層30a-30nの各々は、ガイドの特定の非導電層における導電層によって短絡されるべきである接触要素21を収容する穴の群に属さない、たとえば、異なるタイプの信号を搬送する接触要素を収容することが意図されたガイド穴がその中に形成されたエリア以外の、ガイド40の個別の非導電層La-Lmの面Fa-Fmを覆い、よって、導電層なしの上記エリアは、前の段落において説明したものと同様にガイドの非導電ゾーン32を画定する。
【0069】
いずれの場合にも、非導電ゾーン32の存在のおかげで、ガイド40のガイド穴40hの壁をメタライズすることも可能であり、非導電ゾーン32は、メタライズされた壁と接触していても短絡させなくてよい接触要素との電気接続を回避するようになっている。
【0070】
これに関して、ガイド40内の、たとえば、ガイド穴の壁との、接触要素の摺動接触によってもたらされる金属片が堆積され得る、メタライズされるべきでないガイド穴における、またはガイドの同じ層の異なる導電層間の溝の存在を回避するように、非導電ゾーン32が、ガイド40の層La-Lm上に配置された少なくとも1つのさらなる誘電材料部または被覆誘電体部によって覆われることを提供することも可能である。すなわち、好ましくは、導電層のうちの1つと略同一である厚さを有する被覆誘電体部は、異なるタイプの信号を搬送することが意図された接触要素間の望ましくない電気接続および漏れを回避するように、非導電ゾーン32を覆い、よって、金属片が堆積することを阻止する。
【0071】
さらに、
図2および3A-3Bが、2つの導電層30aおよび30nのみを示しているが、所望の応用分野に応じて、たとえば、搬送する対象の電源信号の数に応じて、任意の数の導電層を設けることが可能であり、各電源ドメインが個別の導電層に接続されることを強調する。
【0072】
本発明はこれに限定されないが、導電層30a-30nを、ガイド40内に埋め込み、よって、ガイド40内に導電多層を形成することも可能であり、後述するように、表面導電層を製作する可能性も存在している。
【0073】
これに関して、ガイド40の非導電層La-Lm各々が個別の導電層を含むことが可能であり、または、ガイド40の最外の非導電層La-Lmの少なくとも1つが導電層を含まない、複数の埋め込まれた導電層の場合にまさに該当するように、ガイド40の非導電層La-Lmの全てが個別の導電層によって被覆される訳でない構成を提供することも可能である。
【0074】
ガイド40の層Liが導電層30jおよび別の導電層30kを備える、
図3Cに示すような、ガイド40の同じ非導電層に2つ以上の導電層が形成される構成を提供することも可能である。層30jおよび30kの両方が同じタイプの信号を搬送することが意図された接触要素を電気的に接続する場合、導電層30jおよび30kは場合によっては、導電トラック(
図3Cに図示せず)により、互いに電気的に接続され得る。
【0075】
その結果、ガイド40の非導電層La-Lmの数mは常に、導電層30a-30nの数nに対応している訳でない。
【0076】
さらに、短絡させる対象である一方、異なる信号を搬送することが意図された接触要素が、試験ヘッド20内で互いに非常に近い場合、たとえば、
図4に示すように、交互に交代している場合、本発明は、共通の導電層の製作を大いに簡素化することを可能にする。
【0077】
この場合、各導電層は、それぞれの導電層を設けた、
図4に示すガイドの2つの非導電層の上方からの図を概略的に示す
図5Aおよび5B中でも明らかに分かるような、異なる信号を搬送することが意図された接触要素を電気的に接続しないように、非導電ゾーン32によって局所的に中断される。したがって、
図3Aおよび3Bに関して指摘したのと同様に、非導電ゾーン32は、異なる信号を搬送することが意図された隣接の接触要素間の電気接続を局所的に阻止する。
【0078】
前述したように、試験ヘッド20が複数の異なる電源信号を搬送する場合、ガイド40は対応する数の導電層を備え、各導電層は、以下にも示すように、グラウンド信号を搬送することが意図された接触要素を電気的に接続するように構成された1つまたは複数の導電層とともに、単一の特定の電源信号を搬送することが意図されたそれぞれの接触要素を電気的に接続するように構成される。
【0079】
被試験デバイスの異なる接触パッドを電気的に接続することが必要な場合、ガイド40は、被試験デバイスと試験装置との間で動作信号すなわち入出力信号を搬送することが意図された接触要素を電気的に接続するように構成された導電層も備える。
【0080】
前述し、および次に
図6に示すように、複数の導電層30a-30nは、ガイド40の少なくとも1つの露出面に形成された表面層も備える。「露出面」との語は、ここでは、および、以下では、ガイド40の任意の他の非導電層と接触しない、ガイド40の非導電層の面を示す。このようにして、ガイド40は、その中に埋め込まれた複数の導電層、および表面導電層の両方を備える。
【0081】
特に、複数の導電層のうちの第1の導電層はガイド40の露出面FBに形成された表面層であり、該面は図の局所参照による下方面であり、最後の導電層も、ガイド40の反対面FAに形成された表面層であり、該面は図の局所参照による上方面である。
【0082】
さらに、
図6をなお参照すれば、試験ヘッド20が異なる2つの電源信号Vcc1およびVcc2を搬送する例を示す。この場合、(ガイド40の露出面FAに形成された)層30nが電源ドメインVcc1の導電面を形成する一方、(ガイド40に埋め込まれた)層30n-1は電源ドメインVcc2の導電面を形成し、各層は、単一の特定の電源信号Vcc1、Vcc2それぞれを搬送することが意図されたそれぞれの接触要素を電気的に接続するように構成される。さらに、ガイド40の他方の露出面、上記例では面FBは、別のタイプの信号を搬送することが意図された接触要素、上記例ではグラウンド信号を搬送することが意図された接触要素を電気的に接続する導電層30aによって覆われている。この場合もまた、各導電層は、さもなければそれらのガイド穴が導電層内に含まれていたであろう、互いに短絡させるべきでない複数の接触要素を電気的に接続しないように、好適な非導電ゾーン32によって局所的に中断され得る。特に、特定の導電層の非導電ゾーン32が、特定の導電層によって短絡させるべきでない接触要素を収容するガイド穴において形成される一方、上記特定の層は、上記層によって短絡させるべき接触要素を収容するガイド穴の壁を少なくとも部分的に覆う。
【0083】
その最も一般的な形態では、試験ヘッド20が、任意の組み合わせでガイド内に収容された、グラウンドおよび電源信号を搬送することが意図された接触要素、および、動作信号すなわち入出力信号を搬送することが意図された接触要素を備えており、導電層が、隣接していないガイド穴も短絡させるように好適に成形されているということはもう一度、指摘することに値する。
図4および6に示していないが、よって、明らかに、被試験デバイスと試験装置との間で動作信号すなわち入出力信号を搬送することが意図された接触要素を電気的に接続するように構成された導電層の存在を提供することが可能である。
【0084】
これに関して、
図7を参照すれば、次に、試験ヘッド20のガイド40は、少なくとも1つの第1の導電層30aと、1つの第2の導電層30bと、1つの第3の導電層30cとを備える例を示す。特に、第1の導電層30aが、グラウンド信号を搬送するように構成された接触要素を収容するガイド穴40hの第1の群40aを含む一方、第2の導電層30bは、電源信号を搬送するように構成された接触要素を収容するガイド穴40hの第2の群40bを含む。さらに、第3の導電層30cは、被試験デバイスと試験装置との間で、動作信号すなわち入出力信号を搬送するように構成された接触要素を収容するガイド穴40hの第3の群40cを含む。
【0085】
このようにして、第1の導電層30aは、ガイド穴40hの第1の群40a内に収容されたグラウンド信号を搬送するように構成された接触要素を電気的に接続し、第2の導電層30bはガイド穴40hの第2の群40b内に収容された電源信号を搬送するように構成された接触要素を電気的に接続し、第3の導電層30cはガイド穴40hの第3の群40c内に収容された動作信号を搬送するように構成された接触要素を電気的に接続する。
【0086】
同様の信号、たとえばグラウンド信号を搬送する接触要素全てが第1の導電層30aによって電気的に接続される場合、またはそれらの一部のみが第1の導電層30aによって接続される場合を検討することが可能である。同様に、電源信号を搬送する接触要素全てが第2の導電層30bによって電気的に接続される場合、またはそれらの一部のみが第2の導電層によって接続される場合を検討することが可能である。
【0087】
一般に、本発明による試験ヘッド20は、その数が搬送する対象のグラウンド信号の数に対応する複数の導電層と、その数が搬送する対象の電源信号の数に対応する複数の導電層とを備えることが可能である。同様に、試験ヘッド20は、その数が、短絡させる対象の被試験デバイスの接触パッドの群の数に対応する複数の導電層を備えることが可能である。明らかに、前述したように、異なるタイプの信号を搬送することが意図された接触要素が互いに非常に近い場合、導電層は非導電ゾーンによって、特に、短絡させる対象でない接触要素を収容するガイド穴において局所的に中断され、すなわち、導電層は、短絡させる対象でない接触要素を収容するガイド穴において現れるものでない。
【0088】
さらに、
図8に示す代替的な実施形態によれば、試験ヘッド20は、なお40で示す少なくとも1つの下方ガイド、少なくとも1つの中間ガイド41、および少なくとも1つの上方ガイド42を備える。下方ガイド40および中間ガイド41が好適な第1のエアギャップ34により、互いに分けられている一方、第1の中間ガイド41および上方ガイド42は、好適な第2のエアギャップ35により、互いに分けられている。そうした実施形態では、下方ガイド40、中間ガイド41、および上方ガイド42はいずれも、複数の導電層30a-30nを備える場合があり、またはそれらのうちの1つのみが複数の導電層30a-30nを備える。ガイド40、41、42の各々は、接触要素21を収容するためのそれぞれのガイド穴40h、41h、42hを備える。
【0089】
試験ヘッド20の下方ガイド40内に複数の導電層30a-30nを製作することが好ましいことが指摘される。というのは、このようにして、複数の導電層30a-30nが、被試験デバイスにより近く、よって、周波数フィルタリング効果を改善し、ループバック状態における信号経路の長さを低減するからである。すなわち、試験ヘッド20の周波数特性を改善するために下方ガイド内に導電層を製作することが好ましい。
【0090】
導電層は、たとえば、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、およびそれらの合金から選択される金属材料でできている。
【0091】
図9に示すように、本発明の好ましい実施形態によれば、ガイド40は、少なくとも1つのガイド穴40hに対応する窪み部40Aを備える。窪み部40Aは、それが形成されたガイド穴の厚さを低減するように構成され、よって、特に、ファインピッチデバイスの試験の場合に、ガイド穴内の接触要素の摩擦の問題を低減するように構成されることが指摘される。その結果、特に、
図9の実施形態は、ファインピッチデバイスを試験するのに特に有利である。というのは、摩擦が、および、よって、ガイド穴内の接触要素の食い込みの問題が低減されるからである。
【0092】
明らかに、同じガイド内で、窪み部40Aを備えたガイド穴40h’を、および窪み部40Aを備えていないガイド穴40hを提供することが可能である。
【0093】
窪み部40Aは、ガイド40の1つまたは複数の層をへこませることにより、または異なる直径を有する開口を有する層を重ねることによって製作することが可能であることが指摘される。さらに、窪み部40Aの存在は、接触要素と、メタライズされた穴の壁との間の摺動接触が生じることを阻止しないことも指摘される。さらに、セラミック多層MLCの代わりに、ガイド40は、たとえば、それに接着された硬質の支持体に結合させられた有機多層(MLO、英語「MultiLayer Organic」の略称)を備えることが可能であり、MLOは、複数の非導電層を形成する複数の有機材料層を含み、該層には、前述したものと同様に、1つまたは複数の導電層が配置される。硬質の支持体は好ましくは、セラミック支持体である。
【0094】
MLOの使用は、硬直な支持体内に形成された対応する開口と異なる直径を有する開口をMLOが備えている場合に、窪み部40Aを形成することを可能にするので、開口は、同心円状に重なり合っている場合、前述した窪み部40Aを備えた、ガイド40のガイド穴40h’を形成する。
【0095】
MLOの、または一般に、硬質の支持体に結合させられた、より柔らかく、および可撓性がより高い多層の使用は、ガイド40を製作する工程を容易にする。
【0096】
さらに、
図10に表された、本発明のさらなる実施形態によれば、複数の導電層30a-30nを備えるガイド40は、非導電層La-Lmの少なくとも1つ(
図10の層Lm)内に形成され、個別の導電層(
図10の層30n)に接続された少なくとも1つの導電トラック36を備え、導電トラック36は、それがその上に形成された層の面上に延在する。このようにして、導電トラック36は、導電層の対応する信号を抽出し、ガイド外に、たとえばガイド40の露出面のうちの1つの上に形成された共通パッド上に、それを搬送する。よって、導電トラック36は、グラウンド信号、電源信号、または入出力信号を、たとえば、PCBに向けて、それを検出するために、または任意の他の応用分野のために搬送することが可能である。
【0097】
これに関して、ガイド40の非導電層La-Lm上で、好ましくは入出力信号を搬送する接触要素を収容することが意図された単一のガイド穴40hを含み、メタライズする少なくとも1つの導電部を提供することも可能である。このようにして、たとえば、PCBボードに向けて、またはさらなる外部パッドに向けて、さらなる導電トラックにより、入出力信号を搬送することが可能である。導電トラックにより、および/または状況によって必要であれば、回路部品により、互いに接続され得る個別の単一のガイド穴40hのメタライズを各々が行う、互いに分けられた複数の導電部の存在を提供することも可能である。
【0098】
最後に、
図11に示す実施形態によれば、少なくとも1つの導電層を備える、ガイド40の少なくとも1つの層は、共通の導電面を形成する、導電層に接続された少なくとも1つの回路部品50も備える。
図11の例に示すように、ガイド40の層(図の層Lm)は少なくとも2つの導電層を備え、回路部品50はそれらに電気的に接続される。例として、回路部品50は、それぞれの導電層に接続されたレオフォール(rheophore)50rを有する、なお参照番号50で示すフィルタリングコンデンサである。コンデンサ50は、グラウンド信号、電源信号、または入出力信号を搬送することが意図された接触要素を短絡させることが意図された導電層を互いに接続することが可能である。好適には、そうした実施形態はコンデンサ50のフィルタリング効果を最大にし、よって、グラウンドおよび電源信号を搬送する接触要素によってもたらされる干渉を最小にし、および、ループバック手法を最適化することを可能にする。というのは、フィルタリングコンデンサ50はよって、接触要素の接触先端にできる限り近くに(すなわち、下方ガイド40に)、すなわち、ウェーハ27の近くに位置付けられるからである。上記コンデンサは、ガイド40の層La-Lm内に形成された好適な収容座内に収容することが可能である。
【0099】
明らかに、コンデンサ50が、複数のガイド穴を含む導電層に接続された第1のレオフォールと、単一のガイド穴を含み、メタライズする導電部に接続された他のレオフォールとを有する構成を設けることを妨げるものはない。
【0100】
たとえば、上述したように、好ましくはフィルタリングコンデンサである回路部品50は、インダクタまたは抵抗器、またはリレーなどの、特定の必要性に好適な任意の他の回路部品である場合もあることが指摘される。
【0101】
まとめれば、本発明は、少なくともひとつのガイドが、それぞれがガイド穴を含み、および、同じタイプの信号を搬送しガイド穴内に収容される接触要素を電気的に接続する、複数の導電層を備える試験ヘッドの製作を提供する。
【0102】
有利には、本発明によれば、グラウンド信号を搬送する接触要素は、異なるグラウンドによって生成される信号内のノイズを完全になくさない場合であっても大いに低減することを可能にする1つまたは複数の導電層により、試験ヘッドにおいて電気的に接続される。というのは、導電層はグラウンド接触要素全てに共通のグラウンド面を形成するからである。
【0103】
同様に、電源信号を搬送する接触要素間の電気接続はさらに、試験ヘッド内の干渉、および、ノイズを低減することに寄与する。このようにして、本発明により、コモンモードのノイズも低減することが可能である。
【0104】
その結果、本発明は、全体としての試験ヘッドの周波数特性を改善することを可能にする。
【0105】
さらに、ループバック状態下のように、被試験デバイスの2つ以上の接触パッドを電気的に接続する必要性がある場合に、好ましくは下方ガイドにおける、動作信号すなわち入出力信号を搬送する接触要素間の電気接続は、試験ヘッドの周波数特性を向上させることも可能にする。
【0106】
好適には、実際に、試験装置に対して個別の信号を必ずしも搬送せずに互いにプローブの、(および、よって、デバイスの対応するパッドの)群を短絡させることが可能であり、上記短絡は、有利には、下方、および/または中間ガイドにおいて、すなわち、被試験デバイスの近くに形成された導電層によって実現され、よって、そうして得られた短絡の電気的特性を改善する。
【0107】
さらに、グラウンドおよび電源接触要素を短絡させる可能性は、本発明の試験ヘッドの電流特性を改善し、接触要素のいかなる焼け焦がしもさらに回避することを可能にすることも付け加える。
【0108】
本発明によれば、複数の導電層を製作することは、さらに、複数の異なる電源信号を搬送することが意図された試験ヘッドを製作することを可能にする。というのは、複数の導電層のうちの対応する層により、電源ドメイン毎に1つ、複数の導電面を製作することが可能であるからである。明らかに、この態様はさらに、たとえば、被試験デバイスの接触パッドの2つ以上の群を短絡させることが必要である場合に、グラウンド接触要素、および動作信号すなわち入出力信号に一般化することも可能である。
【0109】
好適には、各導電層は、短絡させなくてよい接触要素間の電気接続を回避する非導電ゾーンを有するように成形される。
【0110】
最後に、有利には、本発明によれば、導電層に電気的に接続された好適なコンデンサの存在のおかげで、信号フィルタリングの点で改善された特性を有する試験ヘッドを得ることが可能であることが指摘される。
【0111】
明らかに、当業者は、不定のおよび特定の要件を充足するために、以下の特許請求の範囲によって画定されるような、本発明の範囲内に全て含まれる、上述されたプローブカードに対して、数多くの修正および変形を行い得る。