(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】光起電力デバイスのカプセル化
(51)【国際特許分類】
H10K 30/50 20230101AFI20230719BHJP
H10K 30/15 20230101ALI20230719BHJP
H10K 30/40 20230101ALI20230719BHJP
H10K 30/88 20230101ALI20230719BHJP
【FI】
H10K30/50
H10K30/15
H10K30/40
H10K30/88
(21)【出願番号】P 2019555794
(86)(22)【出願日】2018-04-11
(86)【国際出願番号】 US2018027073
(87)【国際公開番号】W WO2018191358
(87)【国際公開日】2018-10-18
【審査請求日】2021-04-09
(32)【優先日】2017-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517357295
【氏名又は名称】ハント ペロヴスカイト テクノロジーズ,エル.エル.シー.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】アーウィン,マイケル,ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ミールクザレク,カミル
【審査官】佐竹 政彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-034489(JP,A)
【文献】特開2012-064645(JP,A)
【文献】特開2004-139991(JP,A)
【文献】特表2017-504188(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10L 31/00-31/20
H10K 30/00-30/89
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光起電力デバイスであって、
第1の基板及び第2の基板と、
第1の電極と、
第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間の少なくとも一部に配置された活性層であって、光活性材料を含む、活性層と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間の少なくとも一部に配置された界面層と、
前記第1の基板と前記第1の電極の間、または前記第2の基板と前記第2の電極との間の少なくとも一部に配置された封止材層と、
前記第1の電極又は第2の電極と前記封止材層との間の少なくとも一部に配置された非化学量論的酸化物層であって、前記第1又は第2の電極、及び前記封止材層と接触する、非化学量論的酸化物層と、
を有し、
前記第1又は第2の電極は、前記非化学量論的酸化物層と前記界面層との間に配置され
、
前記非化学量論的酸化物層は、Fe
3
O
4
、CuFeO
2
、Mn
3
O
4
からなる群から選択される1つ以上の化合物を含む、光起電力デバイス。
【請求項2】
前記封止材層が、エポキシ、シリコーン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリイソブチレン、ポリカーボネート、PMMA、EVA、ガラス、又はそれらの組み合わせからなる群からそれぞれ選択される1つ以上の化合物を含む、請求項1に記載の光起電力デバイス。
【請求項3】
前記光活性材料がペロブスカイト材料を含む、請求項1に記載の光起電力デバイス。
【請求項4】
前記1つ以上の界面層が、Al、Bi、In、Mo、Ni、Si、Ti、V、Nb、Sn Zn、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の金属の酸化物、硫化物、又は窒化物を含む、請求項1に記載の光起電力デバイス。
【請求項5】
前記非化学量論的酸化物層は、1ナノメートル以上且つ50ナノメートル以下の厚さを有する、請求項1に記載の光起電力デバイス。
【請求項6】
前記封止材層は、10ミクロン以上且つ10ミリメートル以下の厚さを有する、請求項1に記載の光起電力デバイス。
【請求項7】
前記封止材層がPMMAを含む、請求項1に記載の光起電力デバイス。
【請求項8】
前記封止材層はPMMAを含み、且つ前記第1及び第2の電
極はITOを含む、請求項1に記載の光起電力デバイス。
【請求項9】
光起電力デバイスであって、
第1の基板及び第2の基板と、
第1の電極と、
第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間の少なくとも一部に配置された活性層であって、前記活性層は光活性材料を含む、活性層と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間の少なくとも一部に配置された界面層と、
前記第1の基板と前記第1の電極との間の少なくとも一部に配置された第1の封止材層と、
前記第2の基板と前記第2の電極との間の少なくとも一部に配置された第2の封止材層と、
前記第1の電極と前記第1の封止材層との間の少なくとも一部に接触して配置された第1の非化学量論的酸化物層と、
前記第2の電極と前記第2の封止材層との間の少なくとも一部に接触して配置された第2の非化学量論的酸化物層と、
を有し、
前記第1の電極は、前記第1の非化学量論的酸化物層と前記界面層との間に配置され、前記第2の電極は、前記第2の非化学量論的酸化物層と前記界面層との間に配置され
、
前記第1の非化学量論的酸化物層は、Fe
3
O
4
、CuFeO
2
、Mn
3
O
4
からなる群から選択される1つ以上の化合物を含む、光起電力デバイス。
【請求項10】
前
記第2の非化学量論的酸化物層が、SiO、CrO
2、MnO、VO、FeO、CeO、LaO、HfO、ZrO、TiO、AlO、GeO、又はその組み合わせからなる群からそれぞれ選択される1つ以上の化合物を含む、請求項
9に記載のデバイス。
【請求項11】
前
記第2の非化学量論的酸化物層は、式MxOyを有する化合物を含み、ここで、Mは1つ以上の金属を含み、xは1から10までの実数を表し、且つ、yは1から10までの実数を表す、請求項
9に記載のデバイス。
【請求項12】
前
記第2の非化学量論的酸化物層がSiOを含む、請求項
9に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
太陽エネルギー又は放射線から電力を生成するために光起電力(PV)を使用することは、多くの利点、例えば、電源、低もしくはゼロエミッション、電力網から独立した電力生産、耐久性のある物理的構造(可動部品なし)、安定した信頼性のあるシステム、モジュール構成、比較的迅速な設置、安全な製造と使用、及び良好な世論と使用の受け入れなどが含まれる、多くの利点を提供することができる。
【背景技術】
【0002】
PVの一部は、環境に存在する物質による酸化又は腐食を受けやすい場合がある。環境による酸化又は腐食から保護されている場合、PVの機能が向上する可能性がある。
【0003】
本開示の特徴及び利点は、当業者には容易に明らかになるであろう。当業者であれば数多くの変更が可能であるが、そのような変更は本発明の精神の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】本開示のいくつかの実施形態によるDSSCの様々な層を表すDSSC設計の説明図である。
【
図2】本開示のいくつかの実施形態によるDSSCの様々な層を表すDSSC設計の別の説明図である。
【
図3】本開示のいくつかの実施形態によるBHJデバイス設計の例示的な説明図である。
【
図4】本開示のいくつかの実施形態による活性層を含む典型的な光起電力セルの概略図である。
【
図5】本開示のいくつかの実施形態による典型的な固体状態の(solid state,ソリッドステート)DSSCデバイスの概略図である。
【
図6】本開示のいくつかの実施形態による例示的なハイブリッドPVバッテリの構成要素の描写である。
【
図7】本開示のいくつかの実施形態による例示的なPVデバイスの構成要素を表す様式化された図である。
【
図8A】本開示のいくつかの実施形態によるハイブリッドPVバッテリを示す様式化された図である。
【
図8B】本開示のいくつかの実施形態によるハイブリッドPVバッテリに関する電気的等価図である。
【
図9】本開示のいくつかの実施形態による例示的なPV装置の構成要素を示す様式化された図である。
【
図9A】本開示のいくつかの実施形態による例示的なデバイスの構成要素を示す様式化された図である。
【
図10】本開示のいくつかの実施形態による例示的なPVデバイスの構成要素を示す様式化された図である。
【
図11】本開示のいくつかの実施形態による例示的なPVデバイスの構成要素を示す様式化された図である。
【
図12】本開示のいくつかの実施形態による例示的なPVデバイスの構成要素を示す様式化された図である。
【
図13】本開示のいくつかの実施形態による例示的なPVデバイスの構成要素を示す様式化された図である。
【
図14】本開示のいくつかの実施形態による例示的なPVデバイスの構成要素を示す様式化された図である。
【
図15】本開示のいくつかの実施形態による例示的なPVデバイスの構成要素を示す様式化された図である。
【
図16】本開示のいくつかの実施形態による例示的なPVデバイスの構成要素を示す様式化された図である。
【
図17】本開示のいくつかの実施形態による例示的なPVデバイスの構成要素を示す様式化された図である。
【
図18】本開示のいくつかの実施形態による例示的なPVデバイスの構成要素を示す様式化された図である。
【
図19】本開示のいくつかの実施形態による例示的なPVデバイスの構成要素を示す様式化された図である。
【
図20】本開示のいくつかの実施形態による例示的なPVデバイスの構成要素を示す様式化された図である。
【
図21】本開示のいくつかの実施形態による例示的なPVデバイスの構成要素を示す様式化された図である。
【
図22】本開示のいくつかの実施形態による例示的なPVデバイスの構成要素を示す様式化された図である。
【
図23】本開示のいくつかの実施形態による例示的なPVデバイスの構成要素を示す様式化された図である。
【
図24】本開示のいくつかの実施形態による例示的なPVデバイスの構成要素を示す様式化された図である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
好ましい実施形態の詳細な説明
有機PV、非有機PV、及び/又はハイブリッドPVと互換性のある(compatible)PV技術の様々な態様の改善は、有機PV及び他のPVの両方のコストをさらに下げることを約束する。例えば、固体状態の(solid-state)色素増感太陽電池(dye-sensitized solar cells)のようないくつかの太陽電池は、固体状態の電荷輸送材料(又は、口語表現に言い換えれば「固体状態電解質」)のような新規な費用対効果の高い高安定性代替構成要素を利用することができる。さらに、様々な種類の太陽電池(solar cells)は、有利には、他の利点の中で現在存在する従来の選択肢よりもコスト効率が高く、且つ、耐久性のある界面(interfacial)材料及び他の材料を含むことができる。
【0006】
本開示は、概して、物質の組成物(compositions of matter)、装置及び太陽放射からの電気エネルギーを生成する際の、光電池における材料の使用方法に関する。より具体的には、本開示は、光活性及び他の物質組成物(compositions of matter)、ならびに装置、使用方法、及びそのような物質組成物の形成に関する。
【0007】
これらの物質組成物の例は、例えば、正孔輸送(hole-transport)材料、及び/又は界面層(interfacial layers)、色素、及び/又はPVデバイスの他の要素としての使用に好適であり得る材料を含み得る。このような化合物は、様々なPVデバイス、例えばヘテロ接合セル(例えば二重層(bilayer)及びバルク)、ハイブリッドセル(例えば、CH3NH3HPbI3を有する有機物、ZnOナノロッド又はPbS量子ドット)及びDSSC(色素増感太陽電池、dye-sensitized solar cells)に配備することができる。後者のDSSCは、3つの形態、すなわち溶媒系電解質、イオン性液体(ionic liquid)電解質、及び固体状態の正孔輸送体(hole transporters)(又は固体状態の(solid state)DSSC、すなわちSS-DSSC)において存在する。いくつかの実施形態によるSS-DSSC構造は、電解質を実質的に含まなくてもよい。スピロ-OMeTAD、CsSnI3、及び他の活物質(active materials)のようなむしろホール輸送材料を含む。
【0008】
本開示のいくつかの実施形態による材料の一部又は全部は、任意の有機もしくは他の電子デバイスにおいて有利に使用されてもよく、いくつかの例は、電池(batteries)、電界効果トランジスタ(field-effect transistors,FET)、発光ダイオード(LED)、非線形光学デバイス、メモリスタ(memristor)、キャパシタ、整流器、及び/又は整流アンテナ(rectifying antennas,レクテナ)を含むことができる(但しこれらに限定されない)。
【課題を解決するための手段】
【0009】
いくつかの実施形態では、本開示は、PV及び他の同様のデバイス(例えば、バッテリ、ハイブリッドPVバッテリ、マルチジャンクションPV、FET、LEDなど)を提供することができる。そのようなデバイスは、いくつかの実施形態では、改善された活物質(active material)、界面層、及び/又は1つ以上のペロブスカイト(perovskite)材料を含み得る。ペロブスカイト材料は、PV又は他のデバイスの1以上の様々な態様に組み込むことができる。いくつかの実施形態によるペロブスカイト材料は、一般式CMX3のものであってもよい。式中、
Cは1以上のカチオン(例えば、アミン、アンモニウム、1族金属、2族金属、及び/又は他のカチオン又はカチオン様(cation-like)化合物)を含み;
Mは、1以上の金属(Fe、Co、Ni、Cu、Sn、Pb、Bi、Ge、Ti及びZnを含む例)を含み;且つ、
Xは1以上のアニオンを含む。種々の実施形態によるペロブスカイト材料は、以下により詳細に論じられる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
光電池及び他の電子デバイス
いくつかのPV実施形態は、
図1、3、4及び5に示すような太陽電池の様々な例示的描写を参照して説明することができる。例えば、いくつかの実施形態による例示的なPVアーキテクチャは、実質的に基板(substrate)-アノード-IFL-活性層(active layer)-IFL-カソードの形態であってもよい。いくつかの実施形態の活性層は光活性であってもよく、及び/又は光活性材料(photoactive material)を含んでいてもよい。他の層及び材料は、当該技術分野において知られているように、セル内で利用されてもよい。さらに、用語「活性層」の使用は、決して他の層の特性を明示的又は暗示的に限定することを意味するものではないことに留意すべきである。例えば、いくつかの実施形態では、片方のもしくは両方のIFLは、それらが半導電性(semiconducting)である限り、活性でもよい。特に
図4を参照すると、様式化された一般的なPVセル2610が描かれ、PV内のいくつかの層の高度に界面的性質を示している。PV2610は、いくつかのPVデバイス、例えばペロブスカイト材料PV実施形態などに適用可能な一般的なアーキテクチャを表す。PVセル2610は、太陽放射2614がその層を透過することを可能にするガラス(又は、太陽放射に同様に透明な材料)の透明層2612を含む。いくつかの実施形態の透明層は、基板とも呼ばれ(例えば、
図1の基板層1507と同様に)、且つ、多様な硬質又は可撓性材料、例えばガラス、ポリエチレン、PET、Kapton、石英、アルミニウムホイル、金箔、又はスチールなどの、のいずれか1以上を含んでよい。光活性層2616は、電子ドナー又はp型材料2618、及び/又は電子アクセプタ又はn型材料2620、及び/又はp及びn型材料特性の両方を示す両極性半導体からなる。活性層又は、
図4に示されるように、光活性層2616は、2つの導電性電極層2622及び2624の間に挟まれている。
図4では、電極層2622はスズがドープされた酸化インジウム(ITO材料)である。前述のように、いくつかの実施形態の活性層は、必ずしも光活性である必要はないが、
図4に示すデバイスでは、それである。電極層2624はアルミニウム材料である。当技術分野で知られているように、他の材料を使用することができる。セル2610はまた、ZnO材料として
図4の例に示される界面層(interfacial layer,IFL)2626を含む。IFLは、電荷分離をアシストすることができる。いくつかの実施形態では、IFL2626は、自己組織化単分子膜(self-assembled monolayer,SAM)として、又は薄膜として、本開示による有機化合物を含むことができる。他の実施形態では、IFL2626は多層IFLを含むことができ、これについては後に詳述する。電極2624に隣接してIFL2627が存在してもよい。いくつかの実施形態では、電極2624に隣接してIFL2627はまた、自己組織化単分子膜(SAM)として、又は薄膜として本開示による有機化合物を含んでよいし、又はその代わりに(instead)有機化合物を含むことができる。他の実施形態では、電極2624に隣接してIFL2627は、多層IFLを含んでよいし、又はその代わりに(instead)多層IFLを含むことができる(やはり以下に詳述する)。いくつかの実施形態によるIFLは、特性において半導電性であってもよく、p型又はn型のいずれかであってもよいか、又は特性が誘電体であってもよい。いくつかの実施形態では、デバイスのカソード側のIFL(例えば、
図4に示すIFL2627)は、p型であり、且つ、デバイスのアノード側のIFL(例えば、
図4に示すIFL2626)は、n型であってもよい。しかしながら、他の実施形態では、カソード側IFLをn型とし、且つ、アノード側IFLをp型とすることができる。セル2610は、リード2630及び放電ユニット2632、例えば電池(battery)など、に取り付けられている。
【0011】
さらに別の実施形態は、
図3を参照して説明することができる。
図3は、様式化された(stylized)BHJデバイス設計を示し、且つ、ガラス基板2401と;ITO(錫ドープド酸化インジウム)電極2402と;界面層(IFL)2403と;光活性層2404と;LiF/Alカソード2405とを含む。参照されるBHJ構造の材料は単なる例であり、当該技術分野において知られている他のいずれのBHJ構造を、本開示と一致して使用することができる。いくつかの実施形態では、光活性層2404は、
図4のデバイスの活性層又は光活性層2616が含むことができる1以上の材料を含むことができる。
【0012】
図1は、いくつかの実施形態によるDSSC PVの簡略化された図であり、このようなPVの組み立て(assembly)を例示する目的で、ここで参照される。
図1に示すDSSCの例は、以下のように構成することができる。電極層1506(フッ素ドープ酸化スズ、FTOとして示される)は、基板層1507(ガラスとして示される)の上に堆積される。(いくつかの実施形態ではTiO
2とすることができる)メソポーラス層ML 1505を電極層1506上に堆積させ、次いで光電極(これまで基板層1507、電極層1506、及びメソポーラス層1505を含む)を溶媒及び染料内に浸漬する(図示せず)。これにより、染料1504がMLの表面に結合したままになる。基板層1501(ガラスとしても示される)及び電極層1502(Pt/FTOとして示される)を含む別個の対向電極が作製される。光電極と対向電極は、
図1に示すように、2つの基板層1501と1507との間に様々な層1502~1506を挟んで組み合わされ、且つ、電極層1502,1506をそれぞれカソード及びアノードとして利用できるようにする。電解質の層1503は、色素層(dye layer)1504の後に、又は典型的には対向電極基板1501にサンドブラストによって予め穴(hole)が開けられたデバイスの開口部(opening)を介して、完成した光電極上に直接堆積される。セルはまた、リード及び放電ユニット、例えば電池(battery)など、に取り付けられてもよい(図示せず)。基板層1507及び電極層1506、及び/又は基板層1501及び電極層1502は、太陽放射が光活性色素(photoactive dye)1504に通過するの(pass through to)を可能にするのに十分な透明性を有するべきである。いくつかの実施形態において、対向電極及び/又は光電極は、剛性である一方で、他のいずれか又は両方において、フレキシブルであり得る。様々な実施形態の基板層は、ガラス、ポリエチレン、ポリプロピレン、PEN、PET、PMMA、ポリカーボネート、Kapton、石英、サファイア、銀箔、金箔、木材、コンクリート、及び鋼のうちのいずれか1つ以上を含むことができる。特定の実施形態では、DSSCは、
図2に示すように、入射光を散乱させて、デバイスの光活性層を通る(through)光の経路長を増加させるため(それにより、光が光活性層に吸収される可能性を高める)、集光性(light harvesting)層1601をさらに含むことができる。
【0013】
他の実施形態では、本開示は、固体状態のDSSCを提供する。いくつかの実施形態による固体状態のDSSCは、液状電解質を含むDSSCに影響を及ぼす漏れ及び/又は腐食の問題の欠如などの利点を提供し得る。さらに、固体状態の電荷キャリアは、より速いデバイス物理(例えば、より速い電荷輸送)を提供し得る。加えて、固体状態の電解質は、いくつかの実施形態では、光活性であり得、及びしたがって、固体状態のDSSCデバイスに由来する電力に寄与し得る。
【0014】
固体状態のDSSCのいくつかの例は、典型的な固体状態のDSSCの模式図である
図5を参照して説明することができる。例えば、
図4に示されている例示的な太陽電池(solar cell)と同様に、第1及び第2の活性(例えば、導電性及び/又は半導電性)材料(それぞれ2810及び2815)からなる活性層は、電極2805及び2820(
図5ではそれぞれPt/FTO及びFTOとして示される)の間に挟まれる。
図5に示す実施形態において、第1の活物質(active material)2810は、p型活物質であり、且つ、固体電解質を含む。特定の実施形態では、第1の活物質2810は、スピロ-OMeTAD及び/又はポリ(3-ヘキシルチオフェン)などの有機材料、無機2元(binary)、3元(ternary)、4元(quaternary)又はそれ以上の錯体(complex)、いずれの固体半導電性材料、又はそれらのいずれの組み合わせを含んでよい。いくつかの実施形態において、第1の活物質は、酸化物及び/又は硫化物、及び/又はセレン化物、及び/又はヨウ化物(例えば、CsSnI
3)を追加又は代わりに含むことができる。したがって、例えば、いくつかの実施形態の第1の活性材料は、銅インジウム硫化物を含むことができる固体状態のp型材料を含むことができ、且つ、いくつかの実施形態では、セレン化銅インジウムガリウムを含むことができる。
図5に示す第2の活物質2815は、n型活物質であり、且つ、染料で被覆されたTiO
2を含む。いくつかの実施形態では、第2の活性材料は同様に、スピロ-OMeTADなどの有機材料、無機2元、3元、4元又はそれ以上の錯体、又はそれらいずれの組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態では、第2の活性材料は、アルミナなどの酸化物を含むことができ、及び/又は硫化物を含むことができ、及び/又はセレン化物を含むことができる。したがって、いくつかの実施形態では、第2の活性材料は硫化銅インジウムを含むことができ、且つ、いくつかの実施形態では、銅インジウムガリウムセレン化金属を含むことができる。いくつかの実施形態の第2の活性材料2815は、メソポーラス層を構成することができる。さらに、活性であることに加えて、第1及び第2の活性材料2810及び2815のいずれか又は両方が光活性であってもよい。他の実施形態(
図5には示されていない)では、第2の活性材料は固体電解質を含むことができる。加えて、第1及び第2の活物質2810及び2815のいずれかが固体電解質を含む実施形態では、PVデバイスは、有効量の液体電解質を欠いていてもよい。p型として
図5に示され、且つ、参照されるにもかかわらず、固体状態の層(例えば、固体電解質を含む第1の活物質)は、いくつかの実施形態では、代わりに、n型の半導体であってもよい。そのような実施形態では、色素で被覆された第2の活物質(例えば、
図5に示すようなTiO
2(又は他のメソポーラス材料))は、p型半導電性であってもよい(
図5について示され、及び議論されたn型半導電性とは対照的に)。
【0015】
基板層2801及び2825(いずれも
図5ではガラスとして示されている)は、
図5の例示的なセルのそれぞれの外部上部及び下部層を形成する。これらの層は、第1及び第2の活性及び/又は光活性材料2810及び2815を含む活性/光活性層に太陽放射線を通過させるのに十分な透明性を有する任意の材料、例えばガラス、ポリマー、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、PEN,PET、PMMA、ポリカーボネート、Kapton、石英、サファイア、アルミニウム、アルミニウム箔、銀箔、金箔、金属箔、木材、コンクリート、及び鋼など、を含むことができる。さらに、
図5に示す実施形態では、電極2805(Pt/FTOとして示す)はカソードであり、且つ、電極2820はアノードである。
図4に描かれる例示的な太陽電池と同様に、太陽放射線は基板層2825及び電極2820を貫通して(passes through)活性層に入り、その際太陽放射線の少なくとも一部が吸収されて、それにより発電を可能にする1つ以上の励起子(excitons、エキシトン)を生成する。
【0016】
いくつかの実施形態による固体状態のDSSCは、
図1に示すDSSCに関して上述したものと実質的に同様の方法で構成することができる。
図5に示す実施形態では、p型活物質2810は、
図1における電解質1503に対応し;n型活性材料2815は、
図1の色素(dye)1504及びMLの両方に対応し;電極2805及び2820はそれぞれ
図1の電極層1502及び1520に対応し;且つ、基板層2801及び2825はそれぞれ基板層1501及び1507に対応する。
【0017】
本開示の様々な実施形態は、太陽電池及び他のデバイスの様々な態様における、とりわけ、活物質(正孔輸送(hole-transport)及び/又は電子輸送層を含む)、界面層、及び全体的なデバイス設計などを含む、改善された材料及び/又は設計を提供する。
【0018】
界面層
本開示は、いくつかの実施形態において、薄膜コート(thin-coat)IFLを含む、PV内の1以上の界面層の有利な材料及び設計を提供する。薄膜コートIFLは、本明細書で論じる様々な実施形態によるPVの1以上のIFLにおいて利用することができる。
【0019】
種々の実施形態によれば、デバイスは、いずれの2つの他の層及び/又は材料の間に界面層を任意に包含することができるが、デバイスはいずれの界面層を含有する必要はない。例えば、ペロブスカイト材料デバイスは、0、1、2、3、4、5、又はそれ以上の界面層を含有することができる(例えば、5つの界面層3903、3905、3907、3909及び3911を含有する、
図9の例示的デバイスなど)。界面層は、2つの層又は材料間の電荷輸送及び/又は収集を強化するためのいずれの好適な材料を包含してもよい;また、界面層に隣接する材料の1つから電荷が輸送されると、電荷の再結合の可能性を防止又は低減するのに役立つ場合がある。界面層は、基板の粗さ、誘電率、接着、欠陥の生成又は消滅を変化させるため、さらにその基板を物理的及び電気的に均質化してよい(例えば、電荷トラップ、表面状態など)。好適な界面材料は、
Ag;Al;Au;B;Bi;Ca;Cd;Ce;Co;Cu;Fe;Ga;Ge;H;In;Mg;Mn;Mo;Nb;Ni;Pt;Sb;Sc;Si;Sn;Ta;Ti;V;W;Y;Zn;Zr;前述の金属のいずれかの炭化物(例えば、SiC、Fe
3C、WC);前述の金属のいずれかのシリサイド(例えば、Mg
2Si、SrSi
2、Sn
2Si);前述の金属のいずれかの酸化物(例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、SnO
2、ZnO);前述の金属のいずれかの硫化物(例えば、CdS、MoS
2、SnS
2);前述の金属のいずれかの窒化物(例えば、Mg
3N
2、TiN、BN、Si
3N
4);前述の金属のいずれかのセレン化物(例えば、CdSe、FeS
2、ZnSe);前述の金属のいずれかのテルル化物(例えば、CdTe、TiTe
2、ZnTe);前述の金属のいずれかのリン化物(例えば、InP、GaP);前述の金属のいずれかのヒ化物(例えば、CoAs
3、GaAs、InGaAs、NiAs);前述の金属のいずれかのアンチモン化物(例えば、AlSb、GaSb、InSb);前述の金属のいずれかのハロゲン化物(例えば、CuCl、CuI、BiI
3);前述の金属のいずれかの擬似ハロゲン化物(例えば、CuSCN、AuCN);前述の金属のいずれかの炭酸塩(例えば、CaCO
3、Ce
2(CO
3)
3);官能化又は非官能化アルキルシリル基;グラファイト;グラフェン;フラーレン;カーボンナノチューブ;本明細書の他の場所で説明されているメソポーラス材料及び/又は界面材料;及びそれらの組み合わせ(いくつかの実施形態において、複合材料の二層、三層、又は多層を包含する);
のうち1つ以上を包含してよい。いくつかの実施形態において、界面層はペロブスカイト材料を包含し得る。さらに、界面層は、本明細書で言及されるいずれの界面材料のドープされた実施形態を含んでもよい(例えば、YドープドZnO、Nドープド単層カーボンナノチューブ)。界面層はまた、上記材料のうちの3つを有する化合物(例えば、CuTiO
3、Zn
2SnO
4)又は上記材料のうちの4つを有する化合物(例えば、CoNiZnO)を含んでもよい。
【0020】
先ず第1に、先に述べたように、1以上のIFL(例えば、
図4に示すIFL 2626及び2627のいずれか又は両方)は、自己組織化単分子膜(self-assembled monolayer,SAM)として、又は薄膜として、本開示の光活性有機化合物を含むことができる。本開示の光活性有機化合物がSAMとして適用される場合、前記光活性有機化合物(it)は、結合基(binding group)を含み得る。前記光活性有機化合物(it)は、前記結合基(which)を介して、アノード及びカソードのいずれか又は両方の表面に共有結合又は他の方法で結合され得る。いくつかの実施形態の結合基は、COOH、SiX
3(ここで、Xは、3級(tertiary)ケイ素化合物、例えばSi(OR)
3及びSiCl
3など、を形成するのに好適ないずれの部分であり得る)、SO
3、PO
4H、OH、CH
2X(ここで、Xは第17族ハロゲン化物を含み得る)、及びOのいずれか1以上を含んでよい。結合基は、電子求引性部分、電子供与体(donor)部分及び/又はコア部分に共有結合又は他の方法で結合され得る。結合基は、厚さが単一の分子(a single molecule)(又は、いくつかの実施形態では複数の(multiple)分子)の指向性の(directional)組織化層を形成するようなやり方で、電極表面に付着してもよい(例えば、複数の光活性有機化合物がアノード及び/又はカソードに結合する場合)。言及したように、SAMは共有結合相互作用を介して付着し得るが、いくつかの実施形態では、イオン性、水素結合、及び/又は分散力(すなわち、ファンデルワールス)相互作用を介して付着し得る。さらに、特定の実施形態では、露光時に、SAMが双性イオン励起状態に進入してよく、それにより、活性層から電極(例えば、アノード又はカソードのいずれか)に電荷キャリアを向けることができる高度に分極したIFLを生成することができる。この増強された電荷キャリア注入は、いくつかの実施形態では、活性層の横断面を電子的にポーリングする(poling)ことにより、及び従って、それらそれぞれの電極に向かって電荷キャリアドリフト速度を増加させることにより、達成することができる(例えば、アノードに対する(to)正孔;カソードに対する電子)。いくつかの実施形態のアノード用途(applications)のための分子は、コア部分に結合した一次電子供与体部分を含む、調整可能な(tunable)化合物を含むことができる。前記コア部分(which)は次に(in turn)電子吸引部分に結合し、前記電子吸引部分(which)は次に結合基に結合している。いくつかの実施形態によるカソード用途において、IFL分子は、コア部分に結合した電子不十分(electron poor)部分を含むことができる。前記コア部分(which)は次に(in turn)電子供与体部分に結合し、前記電子供与体部分(which)は次に結合基に結合している。光活性有機化合物が、このような実施形態によるIFLとして利用される場合、光活性特性を保持することができるが、いくつかの実施形態では光活性である必要はない。
【0021】
光活性有機化合物SAM IFLに加えて、又はその代わりに、いくつかの実施形態によるPVは、このような実施形態の第1のもしくは第2の活物質いずれかの少なくとも一部にコーティングされた薄い界面層(「薄膜コート(thin-coat)界面層(interfacial layer)」又は「薄膜コートIFL」)を含むことができる(例えば、
図5に示すような第1の又は第2の活物質2810又は2815)。そして、次に(in turn)、薄膜コートIFLの少なくとも一部を染料でコーティングすることができる。薄膜コートIFLは、n型又はp型のいずれかであってもよく;いくつかの実施形態では、薄膜コートIFL(it)は、下層の(underlying)材料として同一タイプからなってよい(例えば、TiO
2又は他のメソポーラス材料、例えば第2の活物質2815のTiO
2など)。第2の活物質は、アルミナ(例えば、Al
2O
3)(
図5には示されていない)を含む薄膜コートIFLで被覆されたTiO
2を含むことができ、これは次に(in turn)色素(dye)で被覆される。本明細書におけるTiO
2及び/又はチタニアの言及は、本明細書に記載されているこのようなチタン酸化物化合物中のチタンと酸化物との比率を限定するものではない。すなわち、チタニア化合物は、その様々な酸化状態のうちのいずれか1以上において治安を含むことができ(例えば、チタンI、チタンII、チタンIII、チタンIV)、及びしたがって、様々な実施形態は、チタン及び酸化物の化学量論的及び/又は非化学量論的量(non-stoichiometric amounts)を含むことができる。したがって、様々な実施形態は、(TiO
2の代わりに又はTiO
2に加えて)Ti
xO
yを含むことができ、ここでxは1~100の整数又は非整数であり得る。いくつかの実施形態では、xは約0.5と3との間であり得る。同様に、yは約1.5と4との間であってもよい(及びまた、整数である必要はない)。したがって、いくつかの実施形態は、例えば、TiO
2及び/又はTi
2O
3を含み得る。加えて、チタンと酸化物との間のあらゆる(whatever)比率又は組み合わせにおけるチタニアは、いくつかの実施形態では、アナターゼ、ルチル及びアモルファスのいずれか1以上を含む、いずれの1以上の結晶構造からなっていてよい。
【0022】
いくつかの実施形態の薄膜コートIFLで使用するための他の例示的な金属酸化物は、半導電性金属酸化物、例えばNiO、WO3、V2O5又はMoO3など、を含むことができる。第2の(例えばn型)活物質が、Al2O3を含む薄膜コートIFLで被覆されたTiO2を含む、実施形態は、例えば前駆物質、例えばAl(NO3)3・xH2Oなど、又はTiO2の上にAl2O3を堆積し、続いて(followed by)熱アニーリング及び色素コーティングするのに好適ないずれの他の材料で(with)形成され得る。代わりにMoO3コーティングが使用される例示的な実施形態では、当該コーティングは、Na2MoO4・2H2Oのような前駆物質で形成されてもよいのに対し;いくつかの実施形態によるV2O5コーティングは、NaVO3などの前駆物質で形成されてもよく、;且つ、いくつかの実施形態によるWO3コーティングは、NaWO4・H2Oなどの前駆物質で形成することができる。前駆物質(例えば、Al(NO3)3・xH2O)の濃度は、TiO2又は他の活物質上に堆積した(ここではAl2O3からなる)最終膜の厚さに影響を及ぼす可能性がある。したがって、前駆物質の濃度を変更することは、最終的な膜厚を制御することができる方法であり得る。例えば、より大きい膜厚は、より大きな前駆物質濃度に起因し得る。より大きい膜厚は、金属酸化物コーティングを含むPVデバイスにおいて必ずしもより大きなPCE(パワー変換効率)をもたらすとは限らない。したがって、いくつかの実施形態の1方法は、約0.5~10.0mMの範囲の濃度を有する前駆物質を用いてTiO2(又は他のメソポーラス)層をコーティングすることを含むことができ、;他の実施形態は、約2.0~6.0mMの範囲の濃度を有する前駆物質で当該層をコーティングすることを含むことができ、;又は、又は他の実施形態では、約2.5~5.5mMである。
【0023】
さらに、本明細書ではA12O3及び/又はアルミナと称するが、アルミニウムと酸素との様々な比率がアルミナの形成において使用され得ることに留意すべきである。したがって、本明細書で論じられるいくつかの実施形態はA12O3を参照して説明されるが、そのような説明は、酸素中のアルミニウムの要求される比率を規定することを意図するものではない。むしろ、実施形態は、各々がAlxOy(ここで、xは、約1と100との間のいずれの値、整数又は非整数、であり得る)に従った酸化アルミニウム比を有する、いずれの1つ以上のアルミニウム-酸化物化合物を含み得る。いくつかの実施形態において、xは約1と3との間であり得る(及びまた、整数である必要はない)。同様に、yは、0.1と100と間のいずれの値、整数又は非整数、であり得る。いくつかの実施形態において、yは2と4との間であり得る(及びまた、整数である必要はない)。加えて、様々な実施形態において、AlxOyの様々な結晶形態、例えばアルミナのアルファ、ガンマ、及び/又はアモルファス形態、が存在してもよい。
【0024】
同様に、本明細書ではMoO3、WO3及びV2O5と称するが、代わりに、又は加えて、そのような化合物はMoxOy、WxOy及びVxOyとしてそれぞれ表すことができる。MoxOy及びWxOyのそれぞれについて、xは、約0.5と100との間のいずれの値、整数又は非整数、であり得る;いくつかの実施形態では、x(it)は約0.5と1.5との間であり得る。同様に、yは、約1と100との間のいずれの値、整数又は非整数、であり得る。いくつかの実施形態では、yは約1と4との間であり得る。VxOyについて、xは、約0.5と100との間のいずれの値、整数又は非整数、であり得る;いくつかの実施形態では、x(it)は約0.5と1.5との間であり得る。同様に、yは、約1と100との間のいずれの値、整数又は非整数、であり得る。;特定の実施形態では、y(it)は約1と10との間のいずれの値、整数又は非整数、であり得る。
【0025】
同様に、本明細書のいくつかの例示的な実施形態におけるCsSnI3への言及は、様々な実施形態によるセシウム-スズ-ヨウ素化合物の構成元素(component elements)の比率を限定することを意図するものではない。いくつかの実施形態は、スズ及びヨウ化物の化学量論的及び/又は非化学量論的な量を含むことができ、及びしたがって、そのような実施形態は、代わりに又は加えて、セシウム、スズ、及びヨウ素について様々な非率、例えば各々がCsxSnyIzの比率を有する、いずれか1以上のセシウム-スズ-ヨウ素化合物など、を含むことができる。このような実施形態では、xは、0.1と100との間のいずれの値、整数又は非整数、であり得る。いくつかの実施形態では、xは約0.5と1.5との間であり得る(及びまた、整数である必要はない)。同様に、yは、0.1と100との間のいずれの値、整数又は非整数、であり得る。いくつかの実施形態では、yは約0.5と1.5との間であり得る(及びまた、整数である必要はない)。同様に、zは、0.1と100との間のいずれの値、整数又は非整数、であり得る。いくつかの実施形態では、zは約2.5と3.5との間であり得る。加えて、CsSnI3は、SnF2のような他の材料をドープされ又は配合されてもよい。CsSnI3:SnF2の比率は、0.1:1~100:1の範囲であり、その間のすべての値(整数及び非整数)を含む。
【0026】
加えて、薄膜コートIFLは、二重層を含むことができる。したがって、薄膜コートIFLが金属酸化物(アルミナなど)を含む例に戻ると、薄膜コートIFLは、TiO2プラス金属酸化物を含むことができる。このような薄膜コートIFLは、メソポーラスTiO2又は他の活物質単独と比較して、電荷再結合に抵抗する能力がより高いことがある。さらに、TiO2層の形成において、本開示のいくつかの実施形態によれば、TiO2粒子の十分な物理的相互接続を提供するために、2次TiO2コーティングがしばしば必要である。二重層薄膜コートIFLをメソポーラスTiO2(又は他のメソポーラス活物質)の上にコーティングすることは、金属酸化物とTiCl4との両方を含む化合物を用いたコーティングの組み合わせを含みことができ、金属酸化物と2次TiO2コーティングとの組み合わせを含む二重層薄膜コートIFLをもたらし、これは、それ自身の上にいずれかの材料を使用するよりも性能の向上をもたらす可能性がある。
【0027】
いくつかの実施形態において、IFLはチタン酸塩(titanate)を含んでもよい。いくつかの実施形態によるチタン酸塩は、一般式M’TiO3であり得、ここで、: M’はいずれの2+カチオンを含む。いくつかの実施形態において、M’は、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ni、Zn、Cd、Hg、Cu、Pd、Pt、Sn、又はPbのカチオン形態を含み得る。いくつかの実施形態において、IFLは単一種のチタン酸塩を含むことができ、他の実施形態において、IFLは2種以上の異なるチタン酸塩種を含むことができる。一実施形態において、チタン酸塩は式SrTiO3を有する。別の実施形態において、チタン酸塩は式BaTiO3を有し得る。さらに別の実施形態において、チタン酸塩は式CaTiO3を有し得る。
【0028】
説明のために、及びいずれの制限を意味することなく、チタン酸塩はペロブスカイト結晶構造を有し、ペロブスカイト材料(例えば、MAPbI3、FAPbI3)成長変換プロセスに強くシードする。チタン酸塩は一般に、他のIFL要件、例えば、強誘電性挙動、十分な電荷キャリア移動度、光学的透明性、整合エネルギーレベル、及び高誘電率など、も満たしている。
【0029】
他の実施形態において、IFLはジルコン酸塩(zirconate)を含んでもよい。いくつかの実施形態によるジルコン酸塩は、一般式M’ZrO3であり得、ここで、M’はいずれの2+カチオンを含む。いくつかの実施形態において、M’は、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ni、Zn、Cd、Hg、Cu、Pd、Pt、Sn、又はPbのカチオン形態を含み得る。いくつかの実施形態において、IFLは単一種のジルコン酸塩を含むことができ、他の実施形態において、IFLは2つ以上の異なる種のジルコン酸塩を含むことができる。一実施形態において、ジルコン酸塩は式SrZrO3を有する。別の実施形態において、ジルコン酸塩は式BaZrO3を有してもよい。さらに別の実施形態において、ジルコン酸塩は式CaZrO3を有し得る。
【0030】
説明のために、及び制限を意味することなく、ジルコン酸塩はペロブスカイト結晶構造を有し、且つ、ペロブスカイト材料(例えば、MAPbI3、FAPbI3)成長変換プロセスに強くシードする。ジルコン酸は一般に、他のIFL要件、例えば、強誘電性挙動、十分な電荷キャリア移動度、光学的透明性、整合エネルギーレベル、及び高誘電率など、も満たしている。
【0031】
さらに、他の実施形態において、IFLは、一般式M’[ZrxTi1-x]O3のジルコン酸塩とチタン酸塩の組み合わせを含んでもよい。ここで、Xは0より大きく1未満であり、M‘はいずれの2+カチオンを含む。いくつかの実施形態において、M’は、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ni、Zn、Cd、Hg、Cu、Pd、Pt、Sn、又はPbのカチオン形態を含み得る。いくつかの実施形態において、IFLは単一種のジルコン酸塩を含むことができ、他の実施形態においてでは、IFLは2つ以上の異なる種のジルコン酸塩を含むことができる。一実施形態において、ジルコン酸塩/チタン酸塩の組み合わせは、式Pb[ZrxTi1-x]O3を有する。別の実施形態において、ジルコン酸塩/チタン酸塩の組み合わせは、式Pb[Zr0.52Ti0.48]O3を有する。
【0032】
説明のために、及び制限を意味することなく、ジルコン酸塩/チタン酸塩の組み合わせは、ペロブスカイト結晶構造を有し、ペロブスカイト材料(例えば、MAPbI3、FAPbI3)成長変換プロセスに強くシードする。ジルコン酸塩/チタン酸塩の組み合わせは一般に、他のIFL要件、例えば、強誘電性挙動、十分な電荷キャリア移動度、光学的透明性、整合エネルギーレベル、及び高誘電率など、も満たしている。
【0033】
他の実施形態において、IFLはニオブ酸塩(niobate)を含んでもよい。いくつかの実施形態によるニオブ酸塩は、一般式M’NiO3であり得、ここで、M’はいずれの1+カチオンを含む。いくつかの実施形態において、M‘は、Li、Na、K、Rb、Cs、Cu、Ag、Au、Tl、アンモニウム、又はHのカチオン形態を含み得る。いくつかの実施形態において、IFLは、ニオブ酸塩の単一種を含み得る。他の実施形態において、IFLはニオブ酸塩の2つ以上の異なる種を含んでもよい。一実施形態において、ニオブ酸塩は式LiNbO3を有する。別の実施形態において、ニオブ酸塩は式NaNbO3を有し得る。さらに別の実施形態では、ニオブ酸塩は式AgNbO3を有してもよい。
【0034】
説明のために、及び制限を意味することなく、ニオブ酸塩は一般に、IFLの要件、例えば圧電挙動、非線形光学分極率、光弾性、強誘電挙動、ポッケルス効果、十分な電荷キャリア移動度、光透過性、整合エネルギーレベル、高誘電率など、を満たす。
【0035】
一実施形態においてでは、ペロブスカイト材料デバイスは、PbI2をSrTiO3でコーティングされたITO基板上にキャストすることにより調合されてもよい。PbI2は、浸漬プロセスによってMAPbI3に変換できる。このプロセスについては、以下で詳しく説明する。この結果得られるPbI2からMAPbI3への変換は、SrTiO3を含まない基板の調製と比較して、より完全である(光学分光法で観察)。
【0036】
本明細書で議論されるいずれの界面材料は、ドープされた組成物をさらに含み得る。界面材料の特性(例えば、電気的、光学的、機械的)を変更するには、化学量論的又は非化学量論的材料にわずか1ppbから50mol%の範囲の量の1つ以上の元素をドープしてよい。界面材料のいくつかの例は、NiO、TiO2、SrTiO3、Al2O3、ZrO2、WO3、V2O5、MO3、ZnO、グラフェン、及びカーボンブラックを包含する。これらの界面材料に可能なドーパントの例は、Li、Na、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、Nb、Ti、Fe、Co、Ni、Cu、Ga、Sn、In、B、N、P、C、S、As、ハロゲン化物、擬ハロゲン化物(例えば、シアン化物、シアネート、イソシアネート、フルミン酸塩、チオシアン酸塩、イソチオシアン酸塩、アジド、テトラカルボニルコバルテート、カルバモイルジシアノメタニド、ジシアノニトロソメタニド、ジシアナミド、及びトリシアノメタニド)、及びその酸化状態のいずれかにおけAl、を包含する。本明細書におけるドープされた界面材料への言及は、界面材料化合物中の成分元素の比率を制限することを意図していない。
【0037】
薄膜コートIFL及びこれらを前述のTiO
2の上にコーティングする方法は、いくつかの実施形態では、液体電解質を含むDSSCにおいて利用することができる。したがって、薄膜コートIFLの例に戻り、且つ、例えば
図1に戻って参照すると、
図1のDSSCは、メソポーラス層1505の上にコーティングされた、上記の薄膜コートIFLをさらに含むことができる(すなわち、薄膜コートIFLがメソポーラス層1505と色素1504との間に挿入されることになる)。
【0038】
いくつかの実施形態では、DSSCの文脈で先に議論された薄膜コートIFLは、PV(例えば、ハイブリッドPV又は他のPV)、電界効果トランジスタ、発光ダイオード、非線形光学デバイス、メモリスタ(memristor)、キャパシタ、整流器、整流アンテナ(rectifying antennas,レクテナ)などの半導体デバイスのいずれの界面層において使用することができる。さらに、いくつかの実施形態の薄膜コートIFLは、本開示で論じられる他の化合物と組み合わせて様々なデバイスのいずれかにおいて利用することができる。本開示の様々な実施形態の以下のもの:
固体正孔輸送物質及び添加剤(例えば、いくつかの実施形態では、ケノデオキシコール酸又は1,8-ジヨードオクタンなど)、
のいずれか1以上を含む(但し、これらに限定されない)。
【0039】
いくつかの実施形態では、異なる材料から作られた複数のIFLを互いに隣接して配置して、複合IFLを形成することができる。この構成には、2つの異なるIFL、3つの異なるIFL、又はさらに多くの異なるIFLが含まれる場合がある。結果として得られる多層IFL又は複合IFLは、単一材料IFLの代わりに使用できる。例えば、複合IFLは、
図4の例に示されるセル2610におけるIFL2626及び/又はIFL2627として使用されてもよい。複合IFLは単一材料IFLとは異なるが、多層IFLを有するペロブスカイト材料PVセルのアセンブリは、単一材料IFLのみを有するペロブスカイト材料PVセルのアセンブリと実質的に異ならない。
【0040】
一般に、複合IFLは、IFLに好適であると本明細書で説明されている材料のいずれかを使用して作成され得る。一実施形態において、IFLは、Al2O3の層及びZnO又はM:ZnOの層(ドープされたZnO、例えば、Be:ZnO、Mg:ZnO、Ca:ZnO、Sr:ZnO、Ba:ZnO、Sc:ZnO、Y:ZnO、Nb:ZnO)を含む。一実施形態において、IFLは、ZrO2の層及びZnO又はM:ZnOの層を含む。特定の実施形態において、IFLは複数の層を含む。いくつかの実施形態において、多層IFLは一般に、導体層、誘電体層、及び半導体層を有する。特定の実施形態において、層は、例えば、導体層、誘電体層、半導体層、誘電体層、及び半導体層を繰り返してもよい。多層IFLの例は、ITO層、Al2O3層、ZnO層、及び第2のAl2O3層を有するIFL;ITO層、Al2O3層、ZnO層、第2のAl2O3層、及び第2のZnO層を有するIFL;ITO層、Al2O3層、ZnO層、第2のAl2O3層、第2のZnO層、及び第3のAl2O3層を有するIFL;及び、必要な性能特性を達成するために必要な数のレイヤーを有するIFL;を包含する。前述のように、特定の化学量論比への言及は、さまざまな実施形態によるIFL層の構成要素の比を制限することを意図していない。
【0041】
2つ以上の隣接するIFLを複合IFLとして配置すると、ペロブスカイト材料PVセルにおける単一のIFLよりも優れている場合がある。各IFL材料の属性は、単一のIFLで活用できる。例えば、ITO層、Al2O3層、及びZnO層を有するアーキテクチャにおいて、ITOは導電電極であり、Al2O3は誘電体であり、ZnOはn型半導体であり、ZnOは、良好な電子輸送特性(例えば移動度)を備えた電子受容体として機能する。さらに、Al2O3は、ITOによく付着し、表面欠陥(例えば、電荷トラップ)をキャッピングすることで表面を均質化し、暗電流の抑制によりデバイスダイオードの特性を改善する、物理的に堅牢な材料である。
【0042】
ペロブスカイト材料
ペロブスカイト材料は、PV又は他のデバイスの1以上の態様に組み込むことができる。いくつかの実施形態によるペロブスカイト材料は、一般式CwMyXzのものであってもよく、式中、:
Cは1以上のカチオン(例えば、アミン、アンモニウム、1族金属、2族金属、及び/又は他のカチオン又はカチオン様化合物)を含み;
Mは、1以上の金属(Fe、Co、Ni、Cu、Ag、Au、Tl、In、Sb、Sn、Pb、Bi、Ga、Ge、Ti及びZnを含む)を含み;
Xは1以上のアニオンを含み;且つ、
w、y、及びzは、1~20の実数を表す。いくつかの実施形態において、Cは、1以上の有機カチオンを含み得る。いくつかの実施形態において、各有機カチオンCは各金属Mより大きくてもよく、各アニオンXはカチオンCと金属Mの両方と結合することができてもよい。特定の実施形態において、ペロブスカイト材料は式CMX3であってもよい。
【0043】
特定の実施形態において、Cは、アンモニウム、一般式[NR4]+(式中、R基は同一又は異なる基であり得る)の有機カチオンを含み得る。好適なR基は、:
メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル基又はそれらの異性体;
いずれのアルカン、アルケン又はアルキンCxHy(式中、x=1~20、y=1~42、環式、分枝状又は直鎖);
アルキルハライド、CxHyXz(式中、x=1~20、y=0~42、z=1~42、X=F、Cl、Br又はI);
いずれの芳香族基(例えば、フェニル、アルキルフェニル、アルコキシフェニル、ピリジン、ナフタレン);
少なくとも1つの窒素が環内に含まれる、環状錯体(例えば、ピリジン、ピロール、ピロリジン、ピペリジン、テトラヒドロキノリン);
いずれの硫黄含有基(例えば、スルホキシド、チオール、アルキルスルフィド);
いずれの窒素含有基(ニトロキシド、アミン);
いずれの亜リン酸(phosphorous)含有基(ホスフェート(phosphate,リン酸エステル));
いずれのホウ素含有基(例えば、ボロン酸);
いずれの有機酸(例えば、酢酸、プロパン酸)、及びそのエステル又はアミド誘導体;
アルファ、ベータ、ガンマ、及びより大きな誘導体を含むいずれのアミノ酸(例えば、グリシン、システイン、プロリン、グルタミン酸、アルギニン、セリン、ヒスチジン、5-アンモニウム吉草酸);
いずれのケイ素含有基(例えば、シロキサン);及び
いずれのアルコキシ又は-OCxHy基、(式中、x=0~20、y=1~42);
を含む(ただし、これらに限定されない)。
【0044】
特定の実施形態では、Cはホルムアミジニウムであって、一般式[R2NCRNR2]+の有機カチオンを含むことができる。式中、R基は同一又は異なる基であってもよい。好適なR基は、:
水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル基又はそれらの異性体;
いずれのアルカン、アルケン、又はアルキンCxHy(式中、x=1~20、y=1~42、環式、分枝状又は直鎖);
アルキルハライド、CxHyXz(式中、x=1~20、y=0~42、z=1~42、X=F、Cl、Br又はI);
いずれの芳香族基(例えば、フェニル、アルキルフェニル、アルコキシフェニル、ピリジン、ナフタレン);
少なくとも1つの窒素が環内に含まれる、環状錯体(例えば、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ジヒドロピリミジン、(アゾリジニリデンメチル)ピロリジン、トリアゾール);
いずれの硫黄含有基(例えば、スルホキシド、チオール、アルキルスルフィド);
いずれの窒素含有基(ニトロキシド、アミン);
いずれの亜リン酸(phosphorous)含有基(ホスフェート(phosphate,リン酸エステル));
いずれのホウ素含有基(例えば、ボロン酸);
いずれの有機酸(例えば、酢酸、プロパン酸)、及びそのエステル又はアミド誘導体;
アルファ、ベータ、ガンマ、及びより大きな誘導体を含むいずれのアミノ酸(例えば、グリシン、システイン、プロリン、グルタミン酸、アルギニン、セリン、ヒスチジン、5-アンモニウム吉草酸);
いずれのケイ素含有基(例えば、シロキサン);及び
いずれのアルコキシ又は-OCxHy基、(式中、x=0~20、y=1~42);
を含む(ただし、これらに限定されない)。
【0045】
【0046】
式1は、上記のような一般式[R2NCRNR2]+を有するホルムアミジニウムカチオンの構造を示す。
【0047】
式2(Formula 2)は、ペロブスカイト材料中のカチオン「C」として働き得るいくつかのホルムアミジニウムカチオンの例示的構造を示す。
【0048】
【0049】
特定の実施形態において、Cは、グアニジニウムであって、一般式[(R2N)2C=NR2]+の有機カチオン、を含むことができ、式中、R基は同一又は異なる基であってもよい。好適なR基は、:
水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル基又はそれらの異性体;
いずれのアルカン、アルケン、又はアルキンCxHy(式中、x=1~20、y=1~42、環式、分枝状又は直鎖);
アルキルハライド、CxHyXz(式中、x=1~20、y=0~42、z=1~42、X=F、Cl、Br又はI);
いずれの芳香族基(例えば、フェニル、アルキルフェニル、アルコキシフェニル、ピリジン、ナフタレン);
少なくとも1つの窒素が環内に含まれる、環状錯体(例えば、オクタヒドロピリミド[1,2-a]ピリミジン、ピリミド[1,2-a]ピリミジン、ヘキサヒドロイミダゾ[1,2-a]イミダゾール、ヘキサヒドロピリミジン-2-イミン);
いずれの硫黄含有基(例えば、スルホキシド、チオール、アルキルスルフィド);
いずれの窒素含有基(ニトロキシド、アミン);
いずれの亜リン酸(phosphorous)含有基(ホスフェート(phosphate,リン酸エステル));
いずれのホウ素含有基(例えば、ボロン酸);
いずれの有機酸(例えば、酢酸、プロパン酸)、及びそのエステル又はアミド誘導体;
アルファ、ベータ、ガンマ、及びより大きな誘導体を含むいずれのアミノ酸(例えば、グリシン、システイン、プロリン、グルタミン酸、アルギニン、セリン、ヒスチジン、5-アンモニウム吉草酸);
いずれのケイ素含有基(例えば、シロキサン);及び
いずれのアルコキシ又は-OCxHy基、(式中、x=0~20、y=1~42);
を含む(ただし、これらに限定されない)。
【0050】
【0051】
式3は、上記のような一般式[(R2N)2C=NR2]+を有するグアニジニウムカチオンの構造を示す。式4(Formula 4)は、ペロブスカイト材料中のカチオン「C」として働くことができるいくつかのグアニジニウムカチオンの構造の例を示す。
【0052】
【0053】
特定の実施形態において、Cは、エテンテトラミンカチオンであって、一般式[(R2N)2C=C(NR2)2]+の有機カチオン、を含むことができ、式中、R基は同一又は異なる基であってもよい。好適なR基は、:
水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル基又はそれらの異性体;
いずれのアルカン、アルケン、又はアルキンCxHy(式中、x=1~20、y=1~42、環式、分枝状又は直鎖);
アルキルハライド、CxHyXz(式中、x=1~20、y=0~42、z=1~42、X=F、Cl、Br又はI);
いずれの芳香族基(例えば、フェニル、アルキルフェニル、アルコキシフェニル、ピリジン、ナフタレン);
少なくとも1つの窒素が環内に含まれる、環状錯体(例えば、2-ヘキサヒドロピリミジン-2-イリデンヘキサヒドロピリミジン、オクタヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン、ピラジノ[2,3-b]ピラジン、キノキサリノ[2,3-b]キノキサリン);
いずれの硫黄含有基(例えば、スルホキシド、チオール、アルキルスルフィド);
いずれの窒素含有基(ニトロキシド、アミン);
いずれの亜リン酸(phosphorous)含有基(ホスフェート(phosphate,リン酸エステル));
いずれのホウ素含有基(例えば、ボロン酸);
いずれの有機酸(例えば、酢酸、プロパン酸)、及びそのエステル又はアミド誘導体;
アルファ、ベータ、ガンマ、及びより大きな誘導体を含むいずれのアミノ酸(例えば、グリシン、システイン、プロリン、グルタミン酸、アルギニン、セリン、ヒスチジン、5-アンモニウム吉草酸);
いずれのケイ素含有基(例えば、シロキサン);及び
いずれのアルコキシ又は-OCxHy基、(式中、x=0~20、y=1~42);
を含む(ただし、これらに限定されない)。
【0054】
【0055】
式5は、上記のような一般式[(R2N)2C=C(NR2)2]+を有するエテンテトラミンカチオンの構造を示す。式6(Formula 6)は、ペロブスカイト材料中のカチオン「C」として働くことができるいくつかのグアニジニウムカチオンの構造の例を示す。
【0056】
【0057】
特定の実施形態において、Cは、イミダゾリウムカチオンであって、一般式[CRNRCRNRCR]+の芳香族環状有機カチオン、を含むことができ、式中、R基は同一又は異なる基であってもよい。好適なR基は、:
水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル基又はそれらの異性体;
いずれのアルカン、アルケン、又はアルキンCxHy(式中、x=1~20、y=1~42、環式、分枝状又は直鎖);
アルキルハライド、CxHyXz(式中、x=1~20、y=0~42、z=1~42、X=F、Cl、Br又はI);
いずれの芳香族基(例えば、フェニル、アルキルフェニル、アルコキシフェニル、ピリジン、ナフタレン);
少なくとも1つの窒素が環内に含まれる、環状錯体(例えば、2-ヘキサヒドロピリミジン-2-イリデンヘキサヒドロピリミジン、オクタヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン、ピラジノ[2,3-b]ピラジン、キノキサリノ[2,3-b]キノキサリン);
いずれの硫黄含有基(例えば、スルホキシド、チオール、アルキルスルフィド);
いずれの窒素含有基(ニトロキシド、アミン);
いずれの亜リン酸(phosphorous)含有基(ホスフェート(phosphate,リン酸エステル));
いずれのホウ素含有基(例えば、ボロン酸);
いずれの有機酸(例えば、酢酸、プロパン酸)、及びそのエステル又はアミド誘導体;
アルファ、ベータ、ガンマ、及びより大きな誘導体を含むいずれのアミノ酸(例えば、グリシン、システイン、プロリン、グルタミン酸、アルギニン、セリン、ヒスチジン、5-アンモニウム吉草酸);
いずれのケイ素含有基(例えば、シロキサン);及び
いずれのアルコキシ又は-OCxHy基、(式中、x=0~20、y=1~42);
を含む(ただし、これらに限定されない)。
【0058】
【0059】
いくつかの実施形態において、Xは、1以上のハロゲン化物を含み得る。特定の実施形態において、Xは、代わりに、又は加えて、第16族のアニオンを含み得る。特定の実施形態では、第16族のアニオンは、酸化物、スルフィド、セレン化物又はテルル化物であってもよい。特定の実施形態において、Xは、代わりに、又は加えて、1以上の擬ハロゲン化物(pseudohalides)(例えば、シアン化物、シアネート、イソシアネート、フルミネート、チオシアネート、イソチオシアネート、アジド、テトラカルボニルコバルト酸塩、カルバモイルジシアノメタニド、ジシアノニトロソメタニド、ジシアンアミド及びトリシアノメタニド)を含んでいてもよい。
【0060】
一実施形態において、ペロブスカイト材料は、実験式CMX3を含むことができる。ここで、Cは、前述のカチオンのうち1つ以上、1族金属、2族金属、及び/又は他のカチオン又はカチオン様化合物を含む;Mは1つ以上の金属(Fe、Co、Ni、Cu、Ag、Au、Sb、Sn、Pb、Bi、Ga、Ge、Ti、Tl、及びZnを包含する例)を含む;Xは前述のアニオンのうち1つ以上を含む。
【0061】
一実施形態において、ペロブスカイト材料は、実験式C3M2X9を含むことができる。ここで、Cは、前述のカチオンのうち1つ以上、1族金属、2族金属、及び/又は他のカチオン又はカチオン様化合物を含む;Mは1つ以上の金属(Fe、Co、Ni、Cu、Ag、Au、Sb、Sn、Pb、Bi、Ga、Ge、Ti、Tl、及びZnを包含する例)を含む;Xは前述のアニオンのうち1つ以上を含む。
【0062】
一実施形態において、ペロブスカイト材料は、実験式CM2X7を含むことができる。ここで、Cは、前述のカチオンのうち1つ以上、1族金属、2族金属、及び/又は他のカチオン又はカチオン様化合物を含む;Mは1つ以上の金属(Fe、Co、Ni、Cu、Ag、Au、Sb、Sn、Pb、Bi、Ga、Ge、Ti、Tl、及びZnを包含する例)を含む;Xは前述のアニオンのうち1つ以上を含む。
【0063】
一実施形態において、ペロブスカイト材料は、実験式C2MX4を含むことができる。ここで、Cは、前述のカチオンのうち1つ以上、1族金属、2族金属、及び/又は他のカチオン又はカチオン様化合物を含む;Mは1つ以上の金属(Fe、Co、Ni、Cu、Ag、Au、Sb、Sn、Pb、Bi、Ga、Ge、Ti、Tl、及びZnを包含する例)を含む;Xは前述のアニオンのうち1つ以上を含む。
【0064】
ペロブスカイト材料はまた、混合イオン配合物(formulations)も含み得る。ここで、C、M、又はXは2つ以上の化学種、例えば、Cs0.1FA0.9PbI3;FAPb0.5Sn0.5I3;FA0.83Cs0.17Pb(I0.6Br0.4)3;FA0.83Cs0.12Rb0.05Pb(I0.6Br0.4)3 及び FA0.85MA0.15Pb(I0.85Br0.15)3;を含む。
【0065】
様々な実施形態によるペロブスカイト材料の例は、CsSnI3(本明細書において先に論じた)及びCsxSnyIz(x、y、及びzは前述の議論に従って変化する)を包含する。他の例は、一般式CsSnX3の化合物を含み、式中、Xは、
I3、I2.95F0.05;I2Cl;ICl2;及びCl3;
のいずれか1以上であり得る。他の実施形態では、Xは、Cs及びSnと比較したXの合計比がCsSnX3の一般化学量論をもたらすような量で、I、Cl、F及びBrのいずれか1以上を含むことができる。いくつかの実施形態では、Xを構成する元素(elements)の組み合わせた化学量論は、CsxSnyIzに関して先に論じたI2と同じ規則に従うことができる。さらに他の例は、一般式RNH3PbX3を含み、式中、RはCnH2n+1であり得、nは0~10の範囲であり、且つ、Xは、カチオンRNH3及び金属Pbと比較したXの合計比がRNH3PbX3の一般化学量論をもたらすような量で、F、Cl、Br及びIのいずれか1以上を含むことができる。さらに、Rのいくつかの具体例は、H、アルキル鎖(例えば、CH3、CH3CH2、CH3CH2CH2など)及び、アルファ、ベータ、ガンマ、及びより大きな誘導体を含むアミノ酸(例えば、グリシン、システイン、プロリン、グルタミン酸、アルギニン、セリン、ヒスチジン、5-アンモニウム吉草酸)を含む。
【0066】
他の例示的な電子デバイス
いくつかの実施形態による別の例示的なデバイスは、モノリシック薄膜PV及び電池デバイス、又はハイブリッドPVバッテリである。
【0067】
本開示のいくつかの実施形態によるハイブリッドPVバッテリは、一般に、PVバッテリと、共通電極を共有し、直列又は並列に電気的に結合されたバッテリ部分とを包含し得る。例えば、いくつかの実施形態のハイブリッドPVバッテリは、
図6を参照することにより説明され得る。
図6は、例示的なハイブリッドPVバッテリの構成要素の様式化された図であり、且つ、
図6は、
封止材(encapsulant)3601;
少なくとも3つの電極3602、3604、及び3606であって、そのうちの少なくとも1つは、デバイスのPV部分及びデバイスのバッテリ部分によって共有される共通電極(ここでは3604)である、電極;
PV活性層3603;
バッテリー活性層3605;及び
基板3607;
を包含する。そのような例示的な実施形態において、デバイスのPVセルは、1つの電極3602(いくつかの実施形態においてPV電極と呼ばれ得る)及びPV活性層3603を含み得るが、デバイスのバッテリは他の非共有電極3606(いくつかの実施形態においてバッテリ電極と呼ばれることがある)及びバッテリ活性層3605を含み得る。そのような実施形態のPVセル及びバッテリ部分は共通電極3604を共有する。いくつかの実施形態において、ハイブリッドPVバッテリは、モノリシック、すなわち単一の基板に刻印されていてもよい。そのような実施形態において、PVセルとバッテリ部分の両方が薄膜型デバイスでなければならない。いくつかの実施形態において、PVセル及びバッテリの両方が、高スループット技術、例えばインクジェット、ダイスロット、グラビア印刷、及びインプリントロールツーロール印刷など、によって印刷することができる場合がある。
【0068】
いくつかの実施形態のPVセルは、DSSC、BHJ、ハイブリッドPV、又は当技術分野で知られている他のPV、例えばテルル化カドミウム(CdTe)PV、又はCIGS(銅-インジウム-ガリウム-セレン化物)PVなど、を包含することができる。例えば、ハイブリッドPVバッテリのPVセルがDSSCを含む実施形態において、PVセルは、
図1の例示的な液体電解質DSSCと
図6の例示的なハイブリッドPVバッテリのPVセルとの間の比較によって説明することができる。具体的には、PV電極3602は電極層1502に対応し得る;PV活性層3603は、電解質1503、色素1504、及びML1505に対応し得る;そして、共通電極3604は、電極層1506に対応して得る。本開示の利益を享受する当業者には明らかなように、他のいずれのPVは、ハイブリッドPVバッテリのいくつかの実施形態のPVセル構成要素に同様に対応し得る。さらに、本明細書で説明したPVデバイスと同様に、デバイスのPVセル内のPV活性層は、いくつかの実施形態において、界面層、及び第1及び/又は第2の活物質、のうちのいずれか1つ以上を含んでもよい(これらはそれぞれn型又はp型半導体であり得、且つ、それらのいずれか又は両方は、本明細書で議論される様々な実施形態による金属酸化物界面層を包含し得る)。
【0069】
このようなデバイスのバッテリ部分は、当技術分野で知られているバッテリ、例えばリチウムイオン又は亜鉛空気など、に従って構成されてもよい。いくつかの実施形態において、バッテリは薄膜バッテリであってもよい。
【0070】
したがって、例えば、いくつかの実施形態によるハイブリッドPVバッテリは、亜鉛空気バッテリと一体化されたDSSCを包含し得る。両方のデバイスは薄膜タイプであり、且つ、本開示のいくつかの実施形態によれば、インクジェットロールツーロール印刷などの高スループット技術によって印刷することができる。この例において、亜鉛空気バッテリは、最初に対電極が完成した基板(基板3607に対応)に印刷される。その後、光活性層(PV活性層3603に対応)が電極3604上に印刷されるため、バッテリの対向電極が共通電極(共通電極3604に対応)になる。デバイスは、最終電極(PV電極に対応)で完成し、且つ、封止材(封止材3601に対応)によってカプセル化される。封止材は、エポキシ、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチル-酢酸ビニル(EVA)、パリレンC、又は環境からデバイスを保護するのに適した他の材料を含んでもよい。
【0071】
いくつかの実施形態において、ハイブリッドPVバッテリは、既知のバッテリ又はPVデバイスを超えるいくつかの利点を提供し得る。ハイブリッドPVバッテリがモノリシックである実施形態において、接続ワイヤの欠如により、耐久性が向上する場合がある。2つの他の別個のデバイスを1つ(PV及びバッテリ)に組み合わせることにより、別個のバッテリを充電するために別個のPVを使用する場合と比較して、全体のサイズ及び重量をさらに有利に低減できる。ハイブリッドPVバッテリが薄膜型PVセルとバッテリー部分を含む実施形態において、薄型PVセルは、有利には、ポリイミド(例えば、Kapton(商標)又はポリエチレンテレフタレート(PET))などの電池産業に知られている基板上の電池とインラインで印刷することができる。さらに、このようなハイブリッドPVバッテリの最終フォームファクターは、いくつかの実施形態において、標準バッテリのフォームファクターに適合させることができる(例えば、家電製品で使用するため、コイン、AAA、AA、C、Dなどの;又は、例えば携帯電話で使用するため)。いくつかの実施形態において、バッテリは、デバイスから取り外し、その後日光に置くことにより充電することができる。他の実施形態において、バッテリは、バッテリのPVセルがデバイスから外部に面するように設計されてもよく(例えば、バッテリはデバイスに封入されない)、それにより、デバイスは太陽光への曝露により充電されてもよい。例えば、携帯電話は、バッテリのPVセルが電話の外側に面するハイブリッドPVバッテリを含んでもよい(バッテリーを電話の覆われた部分内に完全に配置するのとは対照的に)。
【0072】
加えて、本開示のいくつかの実施形態は、多重光活性層PVセルを提供し得る。そのようなセルは、少なくとも2つの光活性層を包含することができ、各光活性層は、共有の両面導電性(すなわち、導体/絶縁体/導体)基板によって互いに分離されている。いくつかの実施形態の光活性層及び共有基板(複数可)は、導電層(例えば、導電基板、又は基板に結合(bound)又は結合された(coupled)導体)の間に挟まれてもよい。いくつかの実施形態において、導体及び/又は基板のうちいずれか1つ又は複数は、UV、可視、又はIRスペクトル内の少なくともいくつかの電磁放射に対して透明であってもよい。
【0073】
各光活性層は、本明細書の他の場所で論じられている様々なPVデバイス(例えば、DSSC、BHJ、ハイブリッド)のいずれかの活性層及び/又は光活性層に応じた構成を有することができる。いくつかの実施形態において、各光活性層は、電磁放射の異なる波長を吸収することができてもよい。このような構成は、本開示の利益を享受する当業者には明らかないずれの好適な手段によって達成することができる。
【0074】
いくつかの実施形態による例示的な多光活性層PVセルは、
図7の様式化された図を参照することにより説明され得る。
図7は、そのようないくつかのPVセルの基本構造を示している。
図7は、共有の両面導電性基板3710によって分離された第1及び第2の光活性層(それぞれ3701及び3705)を示す(例えば、
図7は、一般的な性質の導体/絶縁体/導体のアーキテクチャを示す)。2つの光活性層3701及び3705、及び共有基板3710は、第1及び第2の導電性基板3715及び3720の間に挟まれる。この例示的なセットアップでは、各光活性層3701及び3705は、DSSC様構成による色素を含む。さらに、第1の光活性層3701の色素は、可視EMスペクトルの第1の部分(例えば、入射青色光及び緑色光3750及び3751)における電磁放射を吸収することができる一方、第2の光活性層3705の色素は、可視EMスペクトルの第2の異なる部分(たとえば、赤と黄色の光3755及び3756)における電磁放射を吸収することができる。
図7に示されるデバイスの場合ではないが、いくつかの実施形態によるデバイスは、異なるがそれでも重なり合う波長範囲の放射線を吸収することができる色素(又は他の光活性層材料)を包含してもよいことに留意されたい。各光活性層での励起時に(例えば、入射太陽放射による)、正孔は、第1の光活性層3701から第1の導電性基板3715へ、且つ、同様に第2の光活性層3705から第2の導電性基板3720へ流れることができる。したがって、付随する電子輸送は、各光活性層3701及び3705から共有導電性基板3710へと起こり得る。1つ又は複数の導電体(たとえば、
図7のリード線3735)は、第1及び第2の導電性基板3715及び3720のそれぞれから回路の負方向3730に向かって(例えば、カソード、バッテリーのマイナス端子などに向けて)正孔をさらに輸送することができる一方、1つ又は複数の導体(たとえば、
図7におけるようなリード線3745及び3746)は、共有基板3710から電子を回路の正方向3735に向かって運ぶことができる。
【0075】
いくつかの実施形態において、2つ以上の多光活性層PVセルを接続するか、さもなければ電気的に結合することができる(例えば、直列に)。例えば、
図7の例示的な実施形態に戻って参照する。第1及び第2の導電性基板3715及び3720のそれぞれから電子を伝導するワイヤ3735は、第2のマルチ光活性層PVセルの両面共有導電性基板に接続されてもよい(例えば、
図7の例示的なPVセルの共有導電性基板3710に対応する共有導電性基板)。いずれの数のPVセルを直列に接続してよい。いくつかの実施形態における最終効果は、電気的に直列に結合された本質的に複数の並列PVセル対である(ここで、2つの光活性層と共有の両面導電性基板を持つ各マルチ光活性層PVセルは、1対の並列PVセルと考えることができる)。同様に、3つの光活性層と、各光活性層の間に挟まれた2つの共有両面導電性基板を備えたマルチ光活性層PVセルは、4つ、5つ、又はそれ以上の光活性層を含むマルチ光活性層PVセルの場合、同様に3つの(trio of)並列PVセルと見なすことができる。
【0076】
さらに、特定の実施形態によれば、電気的に結合されたマルチ光活性層PVセルは、1つ又は複数のバッテリにさらに電気的に結合されてハイブリッドPVバッテリを形成することができる。
【0077】
特定の実施形態において、直列の2つ以上のマルチ光活性層PVセルの電気的結合(例えば、並列PVセル対の2つ以上のユニットの直列接続)は、
図8Aに示されるものと同様の形態で実行され得る。
図8Aは、キャッピングアノード3870とキャッピングカソード3880との間の4つのマルチ重光活性層PVセル3810、3820、3830、及び3840の直列電気結合を示す。PVセル3810、3820、3830、及び3840は共通の第1の外側基板3850を有し、且つ、PVセル3820及び3830は、共通の第2の外側基板3851を有する。さらに、共通の共有基板3855は、直列接続の長さにわたって延び、且つ、各PVセルについて、
図8Aで様式化された実施形態の共有基板3710に対応する。
図8Aの実施形態に示されるマルチ光活性層PVセル3810、3820、3830、及び3840のそれぞれは、2つの光活性層(例えば、PVセル3810の光活性層3811及び3812)及び2つの光電極(例えば、PVセル3810の光電極3815及び3816)を包含する。この実施形態及び他の対応する実施形態による光活性層は、上記のいずれの光活性及び/又は活物質(例えば、第1の活物質、第2の活物質、及び/又は1つ以上の界面層)を包含することができ、且つ、光電極は、いずれの基板及び/又は本明細書で議論されるような電極として好適な導電性材料を包含することができる。いくつかの実施形態において、光活性層及び光電極の配置は、セルごとに交互になってもよい(例えば、直列の電気的結合を確立するため)。例えば、
図8Aに示すように、セル3810は、光電極-光活性層-共有基板-光活性層-光電極に従って共有外側基板間に配置される一方、セル3820は、隣接するセル3810に対して光電極と光活性層が入れ替わる配置を示し、且つ、セル3830は、同様に、光電極と光活性層が隣接するセル3820に対して入れ替わる(及びしたがって、セル3810と同様に配置される)配置を示す。PVセル3810、3820、3830、及び3840の電気的結合を可能にするように、
図8Aは、さらに、共通基板3850、3851、及び3855のそれぞれの部分に結合された複数の透明導体(3801、3802、3803、3804、3805、3806、3807、及び3808)を示す。加えて、
図8Aは、いくつかの実施形態による一連のPVセルの電池(ここでは、リチウムイオン電池3860)の電気的結合を示している。そのような結合により、PVセルは、前述のいくつかの実施形態のハイブリッドPVバッテリの充電と同様の方法でLiイオン電池を充電することが可能になり得る。
図8Bは、
図8Aのデバイスに結果として生じる電流の流れを示す電気的等価図である。
【0078】
複合ペロブスカイト材料デバイス設計
いくつかの実施形態では、本開示は、1以上のペロブスカイト材料を含むPV及び他の同様のデバイス(例えば、バッテリ、ハイブリッドPVバッテリ、FET、LED、非線形光学(NLO)、導波路、など)の複合設計を提供することができる。例えば、1以上のペロブスカイト材料は、いくつかの実施形態の第1の活物質及び第2の活物質(例えば、
図5の活物質2810及び2815)のいずれか又は両方として役立ち得る。より一般的に言えば、本開示のいくつかの実施形態は、1以上のペロブスカイト材料を含む活性層を有するPV又は他のデバイスを提供する。そのような実施形態では、ペロブスカイト材料(すなわち、いずれの1以上のペロブスカイト材料(複数可)を含む材料)を様々な構造の活性層に利用することができる。さらに、ペロブスカイト材料は、活性層(例えば、電荷輸送材料、メソポーラス材料、光活性材料、及び/又は界面材料であって、これらの各々は以下により詳しく論ずる)のいずれか1以上の構成成分の機能(複数可)を果たすことができる。いくつかの実施形態では、同一のペロブスカイト材料が複数の(multiple)このような機能を果たすことができるが、他の実施形態では、複数の(a plurality of)ペロブスカイト材料がデバイスに含まれてもよく、各ペロブスカイト材料が1以上のこのような機能を果たす。特定の実施形態では、ペロブスカイト材料がどのような役割を果たすことができるかにかかわらず、ペロブスカイト材料(it)は、様々な状態のデバイス内で調製され、及び/又は存在することができる。例えば、いくつかの実施形態では、それは実質的に固体(solid、ソリッド)であってもよい。他の実施形態では、それは、溶液であってもよい(例えば、ペロブスカイト材料を液体に溶解し、且つ、その前記液体中に個々のイオン亜種(ionic subspecies)で存在させることができる)。又はそれは懸濁液であってもよい(例えば、ペロブスカイト材料粒子)。溶液又は懸濁液は、デバイス内でにコーティング又は他の方法で堆積されてもよい(例えば、当該デバイスの別の構成要素(component)、例えばメソポーラス、界面、電荷輸送、光活性、又は他の層など、の上に、及び/又は電極の上に)。いくつかの実施形態におけるペロブスカイト材料は、デバイスの別の構成要素の表面上にin situで形成されてもよい(例えば、薄膜固体として蒸着することによって)。ペロブスカイト材料を含む固体又は液体層を形成するいずれの他の好適な手段を利用することができる。
【0079】
一般に、ペロブスカイト材料デバイスは、第1の電極と、第2の電極と、ペロブスカイト材料を含む活性層とを含み、前記活性層は、第1の電極と第2の電極との間に少なくとも部分的に配置される。いくつかの実施形態では、第1の電極は、アノード及びカソードのうちの一方であり得、且つ、第2の電極は、アノード及びカソードの他方であり得る。特定の実施形態による活性層は、:
電荷輸送材料;液体電解質;メソポーラス材料;光活性材料(例えば、色素(dye)、ケイ素、テルル化カドミウム、硫化カドミウム、セレン化カドミウム、セレン化銅インジウムガリウム、ヒ化ガリウム、リン化ゲルマニウムインジウム、半導電性ポリマー、他の光活物質);及び界面材料;
のいずれか1以上を含む、いずれの1つ以上の活性層成分を含むことができる。これらの活性層成分のいずれか1以上は、1以上のペロブスカイト材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、活性層成分の一部又は全部は、全体又は部分的にサブ層内に配置されてもよい。例えば、活性層は、:
界面材料を含む界面層;メソポーラス材料を含むメソポーラス層;及び電荷輸送材料を含む電荷輸送層;
のいずれか1以上を含むことができる。いくつかの実施形態では、色素などの光活物質は、これらの層のいずれか1以上の上にコーティングされてもよく、又は他の方法で配置されてもよい。特定の実施形態では、いずれの1つ以上の層を液体電解質で被覆することができる。さらに、界面層は、
いくつかの実施形態によれば、活性層のいずれか2つ以上の他の層の間に、及び/又は
1つの層と1つのコーティングとの間に(例えば、色素とメソポーラス層との間に)、及び/又は
2つコーティングの間に(例えば、液体電解質と染料との間に)、及び/又は
活性層成分と電極との間に、
含めることができる。本書における複数層(layers)への言及は、どちらか一方の(either)最終的な配置(arrangement)(例えば、装置内に別個に規定可能な各材料の実質的に別個の部分)を含むことができ、及び/又は単数層(a layer)への言及は、各層における材料(複数可)のその後の混合(intermixing)の可能性にもかかわらず、デバイスの構築中の配置(arrangement)を意味することができる。いくつかの実施形態では、複数層は別個で(discrete)あり得、且つ、実質的に連続した(contiguous)材料を含むことができる(例えば、複数層は、
図1に様式的に示されているようにすることができる)。他の実施形態では、複数層は、実質的に混合されてもよい(例えば、BHJ、ハイブリッド及びいくつかのDSSCセルの場合のように)。その一例は、
図4における光活性層2616内の第1の活物質及び第2の活物質、2618及び2620、によって示される。いくつかの実施形態では、デバイスは、
図4のデバイスによっても示されるように、これらの2種類の層の混合物を含むことができる。
図4のデバイス(which)は、第1の活物質及び第2の活物質、2618及び2620、の混合層(intermixed layers)を含む光活性層2616に加えて、別個の連続層(discrete contiguous layers)2627,2626、及び2622を含む。いずれにせよ、特定の実施形態では、いずれの種類のいずれか2つ以上の層が、高い接触表面積を達成するような方法で互いに隣接して(及び/又は互いに混合して)配置されてもよい。特定の実施形態では、ペロブスカイト材料を含む層は、高い接触表面積を達成するように、1つ以上の他の層に隣接して配置されてもよい(例えば、ペロブスカイト材料が低い電荷移動度を示す場合)。他の実施形態では、高い接触表面積は必要でなくてもよい(例えば、ペロブスカイト材料が高い電荷移動度を示す場合)。
【0080】
いくつかの実施形態によるペロブスカイト材料デバイスは、場合によって、1以上の基板を含むことができる。いくつかの実施形態では、第1の電極及び第2の電極のいずれか又は両方は、電極が実質的に基板と活性層との間に配置されるように、基板の上にコーティング又は他の方法で配置されてもよい。デバイスの構成(composition)の材料(例えば、基板、電極、活性層及び/又は活性層構成要素)は、様々な実施形態において、全体的又は部分的に剛性又は可撓性のいずれかであってもよい。いくつかの実施形態では、電極が基板として機能してもよく、それによって別個の(separate)基板の必要性が否定される。
【0081】
さらに、特定の実施形態によるペロブスカイト材料デバイスは、集光性(light-harvesting)材料(例えば、
図2に示される例示的PVにおいて描かれるような集光性層1601のような集光性層において)を場合によって含むことができる。加えて、ペロブスカイト材料デバイスは、本開示のいくつかの実施形態に関して上で論じた添加剤のいずれか1以上のような、いずれか1以上の添加剤を含むことができる。
【0082】
ペロブスカイト材料デバイス装置に含めることができる様々な材料のいくつかの説明は、
図9を参照して部分的に行う。
図9は、いくつかの実施形態によるペロブスカイト材料デバイス3900の様式化された図である。デバイス3900の様々な構成要素(components)は、連続的な材料を含む別個の層(discrete layers)として示されているが、
図9は様式化された図であることを理解すべきである。したがって、それに従った実施形態は、このような別個の層、及び/又は実質的に混合された(intermixed)、非連続層を含むことができ、本明細書で先に論じた「層(layers)」の使用法と矛盾しない。デバイス3900は第1の基板及び第2の基板3901及び3913を含む。第1の電極3902は、第1の基板3901の内側表面上に配置され、且つ、第2の電極3912は、第2の基板3913の内側表面上に配置される。活性層3950は、2つの電極3902及び3912の間に挟まれている。活性層3950は、メソポーラス層3904;第1の光活性材料及び第2の光活性材料、3906及び3908;電荷輸送層3910、及びいくつかの界面層;を含む。
図9はさらに、実施形態による例示的なデバイス3900を示す。当該デバイスにおいて(wherein)、活性層3950のサブ層が界面層によって分離され、且つさらに当該デバイスにおいて(wherein)、界面層が各電極3902及び3912の上に配置される。特に、第2の界面層3905、第3の界面層3907及び第4の界面層3909はそれぞれ、メソポーラス層3904、第1の光活性材料3906、第2の光活性材料3908及び第3の電荷輸送層3910の各々の間に配置される。第1の界面層3903及び第5の界面層3911はそれぞれ、
(i)第1の電極3902とメソポーラス層3904との間に;及び、
(ii)電荷輸送層3910と第2の電極3912との間に;
配置される。従って、
図9に描かれた例示的デバイスの構造は、:
基板-電極-活性層-電極-基板
として特徴付けることができる。活性層3950の構造は、:
界面層-メソポーラス層-界面層-光活性材料-界面層-光活性材料-界面層-電荷輸送層-界面層
として特徴付けることができる。前述のように、いくつかの実施形態では、界面層が存在する必要はない。又は、1以上の界面層は、活性層の及び/又はデバイスの、特定の、但しすべてではない構成成分の間にのみ含まれていてもよい。
【0083】
基板、例えば第1の基板3901及び第2の基板3913のいずれか又は両方は、可撓性又は剛性であってもよい。2つの基板が含まれる場合、少なくとも一方は、電磁(EM)放射線(例えば、UV放射線、可視放射線、又はIR放射線など)に対して透明(transparent)又は半透明(translucent)でなければならない。1つの基板が含まれる場合、それは同様に透明又は半透明であってもよい。但し、デバイスの一部分は、EM放射線が活性層3950と接触することを可能にする限り、必ずしもそうである必要はない。好適な基板材料には、:
ガラス;サファイア;酸化マグネシウム(MgO);雲母;ポリマー(例えば、PEN、PET、PEG、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、PMMA、ポリアミド;Kapton(商標)など);セラミックス;炭素;コンポジット(例えば、ファイバーガラス、Kevlar(商標);カーボンファイバー);布地(fabrics)(例えば、綿、ナイロン、絹、羊毛);木材;ドライウォール(drywall);金属;鋼;銀;金;アルミニウム;マグネシウム;コンクリート;及びそれらの組み合わせ;
のいずれか1以上を含む。
【0084】
前述したように、電極(例えば、
図7の電極3902及び3912の一方)は、アノード又はカソードのいずれかであってもよい。いくつかの実施形態では、一方の電極はカソードとして機能することができ、且つ、他方はアノードとして機能することができる。電極3902及び3912のいずれか又は両方は、デバイス3900への及び/又はデバイス3900からの電荷輸送を可能にするリード線、ケーブル、ワイヤ、又は他の手段に結合され得る。電極は、いずれの導電性材料を構成し得、且つ、少なくとも1つの電極は、EM放射線に対して透明又は半透明でなければならず、及び/又はEM放射を活性層3950の少なくとも一部と接触させることができるように配置しなければならない。好適な電極材料は、:
インジウムスズ酸化物又はスズドープド酸化インジウム(ITO);フッ素ドープド酸化スズ(FTO);酸化カドミウム(CdO);亜鉛インジウムスズ酸化物(ZITO);アルミニウム亜鉛酸化物(AZO);アルミニウム(Al);金(Au);銀(Ag);カルシウム(Ca);クロム(Cr);マグネシウム(Mg);チタン(Ti);鋼;炭素(及びその同素体);ドープされた炭素(例えば、窒素ドープド);コアシェル構成のナノ粒子(例えば、シリコンカーボンコアシェル構造);及びそれらの組み合わせ;
のいずれか1以上を含むことができる。
【0085】
メソポーラス材料(例えば、
図7のメソポーラス層3904に含まれる材料)は、いずれの細孔(pore)含有材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、細孔(pores)は、約1~約100nmの範囲の直径を有することができ、他の実施形態では、細孔直径は約2~約50nmの範囲であり得る。好適なメソポーラス材料は、
本明細書の他の箇所で論じられているいずれの界面材料及び/又はメソポーラス材料;アルミニウム(Al);ビスマス(Bi);セリウム(Ce);ハフニウム(Hf);インジウム(In);モリブデン(Mo);ニオブ(Nb);ニッケル(Ni);ケイ素(Si);チタン(Ti);バナジウム(V);亜鉛(Zn);ジルコニウム(Zr);上記金属のいずれか1以上の酸化物;上記金属のいずれか1以上の硫化物(例えば、アルミナ、セリア(ceria)、チタニア、酸化亜鉛、ジルコナ(zircona)など);上記金属のいずれか1以上の窒化物;及びそれらの組み合わせ;
のいずれか1以上を含む。いくつかの実施形態において、
図9により示されるデバイスは、メソポーラス材料層を包含しなくてもよい。
【0086】
光活性材料(例えば、
図9の第1の光活性材料3906又は第2の光活性材料3908)は、いずれの光活性化合物、例えば、ケイ素(場合によっては(in some instances)単結晶シリコン)、テルル化カドミウム、テルル化カドミウム、硫化カドミウム、セレン化カドミウム、セレン化銅インジウムガリウム、セレン化銅インジウム、硫化銅亜鉛スズ、ヒ化ガリウム、ゲルマニウム、リン化ゲルマニウムインジウム、リン化インジウム、1つ以上の半導体ポリマー(例えば、ポリチオフェン(例えば、ポリ(3-ヘキシルチオフェン)及びその誘導体、又はP3HT);カルバゾールベースのコポリマー、例えばポリヘプタデカニルカルバゾールジチエニルベンゾチアジアゾール及びその誘導体(例えば、PCDTBT)など;他のコポリマー、例えばポリシクロペンタジチオフェン-ベンゾチアジアゾール及びその誘導体(例、PCPDTBT)、ポリベンゾジチオフェニル-チエノチオフェンジイル及びその誘導体(例えば、PTB6、PTB7、PTB7―th、PCE-10);ポリ(トリアリールアミン)化合物及びその誘導体(例えば、PTAA);ポリフェニレンビニレン及びその誘導体(例えば、MDMO-PPV、MEH-PPV)、及びそれらの組み合わせ、のいずれか1以上を含むことができる。特定の実施形態では、光活性材料は、代わりに、又は加えて色素(例えば、N719、N3、他のルテニウムベースの色素)を含むことができる。いくつかの実施形態では、(いずれの組成の)色素を別の層(例えば、メソポーラス層及び/又は界面層)の上にコーティングすることができる。いくつかの実施形態では、光活性材料は、1つ以上のペロブスカイト材料を含むことができる。ペロブスカイト材料含有光活性材料は、固体形態(solid form)ものであってもよく、又はいくつかの実施形態では、ペロブスカイト材料を含む懸濁液又は溶液を含む色素の形態をとってもよい。そのような溶液又は懸濁液は、他の染料と同様の様式で他のデバイス構成要素の上にコーティングすることができる。いくつかの実施形態では、固体ペロブスカイト含有材料は、いずれの好適な手段によって堆積されてもよい(例えば、蒸着、溶液堆積、固体材料の直接配置など)。様々な実施形態によるデバイスは、1,2,3又はそれ以上の光活性化合物(例えば、1,2,3又はそれ以上のペロブスカイト材料、色素、又はそれらの組み合わせ)を含み得る。複数の(multiple)色素又は他の光活性材料を含む特定の実施形態では、2以上の色素又は他の光活性材料の各々は、1以上の界面層によって分離されてもよい。いくつかの実施形態では、複数の(multiple)色素及び/又は光活性化合物が少なくとも部分的に混合されて(intermixed)いてもよい。
【0087】
電荷輸送材料(例えば、
図9の電荷輸送層3910の電荷輸送材料)は、固体電荷輸送材料(すなわち、口語的に(colloquially)標識された固体状態の電解質)を含むことができ、又は液体電解質及び/又はイオン性液体を含むことができる。液体電解質、イオン性液体及び固体状態の電荷輸送材料のいずれかは、電荷輸送材料と称することができる。本明細書で使用されるように、「電荷輸送材料」は、電荷キャリアを収集し、及び/又は電荷キャリアを輸送することができる、いずれの材料、固体、液体、又は他のものを指す。例えば、いくつかの実施形態によるPVデバイスでは、電荷輸送材料は電荷キャリアを電極に輸送することができる。電荷キャリアは、正孔(holes)(前記正孔(which)の輸送は、「正孔輸送材料」と適切に標識された通りに、電荷輸送材料を作ることができた)及び電子を含み得る。PV又は他のデバイスにおけるカソード又はアノードのいずれかに関連する、電荷輸送材料の配置に依存して、正孔(Holes)はアノードに向かって、且つ、電子はカソードに向かって輸送されてよい。いくつかの実施形態による電荷輸送材料の好適な例は、:
ペロブスカイト材料;I
-/I
3
-;Co錯体;ポリチオフェン(例えば、ポリ(3-ヘキシルチオフェン)及びその誘導体、又はP3HT);カルバゾール系コポリマー、例えばポリヘプタデカニルカルバゾール ジチエニルベンゾチアジアゾール、及びその誘導体(例えば、PCDTBT);他のコポリマー、例えばポリシクロペンタジチオフェン-ベンゾチアジアゾール及びその誘導体(例えば、PCPDTBT);ポリベンゾジチオフェニル-チエノチオフェンジイル及びその誘導体(例えば、PTB6、PTB7、PTB7-th、PCE-10);ポリ(トリアリールアミン)化合物及びその誘導体(例えば、PTAA);Spiro-OMeTAD;ポリフェニレンビニレン及びその誘導体(例えば、MDMO-PPV、MEH-PPV);フラーレン及び/又はフラーレン誘導体(例えば、C60、PCBM);カーボンナノチューブ;グラファイト;グラフェン;カーボンブラック;アモルファスカーボン;グラッシーカーボン;カーボンファイバー;及びそれらの組み合わせ;
のいずれか1以上を含むことができる。特定の実施形態において、電荷輸送材料は、(電子又は正孔)を収集することができる、及び/又は電荷キャリアを輸送することができるいずれの材料、固体もしくは液体、を含むことができる。従って、いくつかの実施形態の電荷輸送材料は、n型もしくはp型活物質及び/又は半導電性材料であってもよい。電荷輸送材料は、デバイスの電極の一方に近接して配置されてもよい。いくつかの実施形態では、電極(an electrode)に隣接して配置することができるが、他の実施形態では、電荷輸送材料と電極との間に界面層を配置することができる(例えば
図7において示すように、第5の界面層3911)。特定の実施形態では、電荷輸送材料のタイプは、それが近接している電極に基づいて選択することができる。例えば、電荷輸送材料が正孔を収集及び/又は輸送する場合、正孔をアノードに輸送するために、電荷輸送材料(it)は、アノードに近接していてもよい。しかし、それよりも、電荷輸送材料をカソードに近接して配置し、且つ、電子をカソードに輸送するように選択又は構成することができる。
【0088】
前述したように、様々な実施形態によるデバイスは、いずれの2つの他の層及び/又は材料の間に界面層を場合によって含むことができるが、いくつかの実施形態によるデバイスはいずれの界面層を含む必要はない。したがって、例えば、ペロブスカイト材料デバイスは、ゼロ、1,2,3,4,5又はそれ以上の界面層を含むことができる(例えば、5つの界面層3903,3905,3987,3909及び3911を含む、
図9の例示的デバイス)。界面層は、本明細書で以前に考察された実施形態による薄膜コート界面層を含むことができる(例えば、本明細書の他の箇所で論じたように、薄膜コート界面層に従って、アルミナ及び/又は他の金属酸化物粒子、及び/又はチタニア/金属酸化物二重層、及び/又は他の化合物を含む)。いくつかの実施形態による界面層は、2つの層もしくは材料間の電荷輸送及び/又は収集を促進するのに適したいずれの好適な材料を含むことができ;また、電荷が界面層に隣接する材料の1つから離れて移送されると、電荷再結合(recombination)の可能性(likelihood)を防止又は低減するのに役立つこともある。好適な界面材料は、:
本明細書の他の箇所で議論されるいずれのメソポーラス材料及び/又は界面材料;
Ag;Al;Au;B;Bi;Ca;Cd;Ce;Co;Cu;Fe;Ga;Ge;H;In;Mg;Mn;Mo;Nb;Ni;Pt;Sb;Sc;Si;Sn;Ta;Ti;V;W;Y;Zn;Zr;前記金属のいずれかの炭化物(例えば、SiC、Fe
3C;WC);前記金属のいずれかのシリサイド(例えば、Mg
2Si、SrSi
2、Sn
2Si);前記金属のいずれかの酸化物(例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、SnO
2、ZnO);前述の金属のいずれかの硫化物(例えば、CdS、MoS
2、SnS
2);前述の金属のいずれかの窒化物(例えば、Mg
3N
2、TiN、BN、Si
3N
4);前述の金属のいずれかのセレン化物(例えば、CdSe、FeS
2、ZnSe);前述の金属のいずれかのテルル化物(例えば、CdTe、TiTe
2、ZnTe);前述の金属のいずれかのリン化物(例えば、InP、GaP);前述の金属のいずれかのヒ化物(例えば、CoAs
3、GaAs、InGaAs、NiAs);前述の金属のいずれかのアンチモン化物(例えば、AlSb、GaSb、InSb);前述の金属のいずれかのハロゲン化物(例えば、CuCl、CuI、BiI
3);前述の金属のいずれかの擬似ハロゲン化物(例えば、CuSCN、AuCN
2);前述の金属のいずれかの炭酸塩(例えば、CaCO
3、Ce
2(CO
3)
3);官能化又は非官能化アルキルシリル基;グラファイト;グラフェン;フラーレン;カーボンナノチューブ;本明細書の他の場所で説明されているメソポーラス材料及び/又は界面材料;及びそれらの組み合わせ(いくつかの実施形態において、複合材料の二層、三層、又は多層を包含する)。いくつかの実施形態において、界面層はペロブスカイト材料を包含し得る。さらに、界面層は、本明細書で言及されるいずれの界面材料のドープされた実施形態を含んでもよい(例えば、YドープドZnO、Nドープド単層カーボンナノチューブ)。界面層はまた、上記材料のうちの3つを有する化合物(例えば、CuTiO
3、Zn
2SnO
4)又は上記材料のうちの4つを有する化合物(例えば、CoNiZnO)を含んでもよい。
【0089】
図9の様式化された表現によるデバイスは、いくつかの実施形態では、DSSC、BHJ、又はハイブリッド太陽電池のようなPVであってもよい。いくつかの実施形態では、
図9によるデバイスは、並列又は直列のマルチセルPV、バッテリ、ハイブリッドPVバッテリ、FET、LED、及び/又は本明細書で論じた他のいずれのデバイスを構成してもよい。例えば、いくつかの実施形態のBHJは、電極3902及び3912に対応する2つの電極と、ヘテロ接合界面において少なくとも2つの材料(例えば、活性層3950の材料及び/又は層のうちのいずれの2つ)を含む活性層と、を含むことができる。特定の実施形態では、他のデバイス(例えばハイブリッドPVバッテリ、並列又は直列マルチセルPVタンデムデバイスなど)は、
図9の活性層3950に対応するペロブスカイト材料を含む活性層を含むことができる。要するに、
図9の例示的なデバイスの描写の様式化された性質は、
図9は、決して
図9による様々な実施形態のデバイスの許容可能な構造又はアーキテクチャを限定するものではない。
【0090】
一例として、
図9Aは、
図9に示されるペロブスカイト材料デバイス3900と同様の構造を有するペロブスカイト材料デバイス3900aの一実施形態を示す。
図9Aは、いくつかの実施形態によるペロブスカイト材料デバイス3900aの様式化された図である。デバイス3900aの様々な構成要素は、連続した材料を含む個別の層として示されているが、
図9Aは様式化された図であることを理解されたい。;したがって、それによる実施形態は、本明細書で前述した「層」の使用と一致する、そのような別個の層、及び/又は実質的に混合された非連続層を包含し得る。
図9Aは、活性層3906a及び3908aを包含する。活性層3906a及び3908aの一方又は両方は、いくつかの実施形態において、
図9に関して上述したいずれのペロブスカイト光活性材料を包含することができる。他の実施形態において、活性層3906a及び3908aの一方又は両方は、本明細書で説明するいずれの光活性材料、例えば、薄膜半導体(例えば、CdTe、CZTS、CIGS)、光活性ポリマー、色素増感光活性材料、フラーレン、小分子光活性材料、及び結晶性及び多結晶性半導体材料(例えば、ケイ素、GaAs、InP、Ge)、を包含することができる。さらに他の実施形態において、活性層3906a及び3908aの一方又は両方は、発光ダイオード(LED)、電界効果トランジスタ(FET)、薄膜電池層、又はそれらの組み合わせを包含することができる。実施形態において、活性層3906a及び3908aの一方は、光活性材料を包含することができ、且つ、他方は、発光ダイオード(LED)、電界効果トランジスタ(FET)、薄膜電池層、又はそれらの組み合わせを包含することができる。例えば、活性層3908aは、ペロブスカイト材料の光活性層を含むことができ、且つ、活性層3906bは、電界効果トランジスタ層を含むことができる。
図9Aに示されている他の層、例えば層3901a、3902a、3903a、3904a、3905a、3907a、3909a、3910a、3911a、3912a、及び3913aは、
図9に関して本明細書で説明されているような対応する層に類似していてもよい。
【0091】
ペロブスカイトデバイスのさらなる、より具体的、例示的な実施形態は、例示的なデバイスのさらに様式化された描写に関して論じられるであろう。これらの描写、
図10~21、の様式化された性質は同様に、いくつかの実施形態において、
図10~21のいずれか1以上に従って構成され得るデバイスのタイプを限定することを意図するものではない。すなわち、
図10~21に示すアーキテクチャは、BHJ、バッテリ、FET、ハイブリッドPVバッテリ、直列(serial)マルチセルPV、並列マルチセルPV、及び本開示の他の実施形態の他の同様のデバイスを、いずれの好適な手段に従って(本明細書の他の箇所で明示的に論じられたものと、本開示の恩恵を受ける当業者には明らかであろう他の好適な手段の両方を含む)、提供するように、適合され得る。
【0092】
図10は、様々な実施形態による例示的なデバイス4100を描写する。デバイス4100は、第1のガラス基板4101及び第2のガラス基板4109を含む実施形態を示す。各ガラス基板は、その内側表面上に配置されたFTO電極を有し(それぞれ第1の電極4102及び第2の電極4108)、且つ、各電極は、その内側表面上に堆積された界面層を有する。すなわち、TiO
2第1の界面層4103は、第1の電極4102の上に堆積され、且つ、Pt第2の界面層4107は、第2の電極4108の上に堆積される。2つの界面層の間には、:
メソポーラス層4104(TiO
2を含む);光活性材料4105(ペロブスカイト材料MAPbI
3を含む);及び電荷輸送層4106(ここではCsSnI
3を含む);
が挟まれている。
【0093】
図11は、メソポーラス層を省略した例示的なデバイス4300を描写する。デバイス4300は、第1の界面層4303と第2の界面層4305と(それぞれチタニア及びアルミナを含む)の間に挟まれたペロブスカイト材料の光活性化合物4304(MAPbI
3を含む)を含む。チタニア界面層4303は、FTO第1の電極4302の上にコーティングされ、前記第1の電極4302(which)は次に(in turn)ガラス基板4301の内側表面の上に配置される。Spiro-OMeTAD電荷輸送層4306は、アルミナ界面層4305の上にコーティングされ、そして、金の第2の電極4307の内側表面の上に配置される。
【0094】
本開示の恩恵を受ける当業者には明らかなように、様々な他の実施形態が可能である。例えば、複数の光活性層を有するデバイス(
図9の例示的デバイスの光活性層3906及び3908により例示されるように)。いくつかの実施形態では、上に論じたように、各光活性層は、界面層によって分離されてもよい(
図9の第3の界面層3907によって示されるように)。さらに、メソポーラス層を電極の上に配置してもよい。例えば、
図9に示されるように、メソポーラス層3904は第1の電極3902の上に配置される。
図9は、2つの間に介在する介在界面層3903を描写するが、いくつかの実施形態では、メソポーラス層は電極の上に直接配置されることができる。
【0095】
図12~21は、いくつかの実施形態によるペロブスカイト材料デバイスの様式化された図である。デバイスのさまざまなコンポーネントは、連続した材料を含む個別の層として示されているが、
図12~21は様式化された図であることを理解されたい。;したがって、それらによる実施形態は、本明細書で前述した「層」の使用と一致する、そのような個別の層、及び/又は実質的に混合された非連続層を包含し得る。例示的なデバイスは、本開示全体にわたって説明される層及び材料を包含する。デバイスは、基板層(例えば、ガラス)、電極層(例えば、ITO、Ag)、界面層、これらは複合IFL(例えば、ZnO、Al
2O
3、Y:ZnO、Nb:ZnO)、光活性材料(例えば、MAPbI
3、FAPbI
3、5-AVA・HCl:MAPbI
3、及び/又はCHP:MAPbI
3)であってもよい、及び電荷輸送層(例えば、Spiro-OMeTAD、PCDTBT、TFB、TPD、PTB7、F8BT、PPV、MDMO-PPV、MEH-PPV、及び/又はP3HT)を包含してよい。
【0096】
図12は、いくつかの実施形態によるペロブスカイト材料デバイス4400の様式化された図である。デバイス4400の様々な構成要素は、連続した材料を含む別個の層として示されているが、
図12は様式化された図であることが理解されるべきである。;したがって、それによる実施形態は、本明細書で前述した「層」の使用と一致する、そのような別個の層、及び/又は実質的に混合された非連続層を包含し得る。デバイス4400は、第1及び第2の基板4401及び4407を包含する。第1の電極(ITO)4402は、第1の基板4401の内面に配置され、且つ、第2の電極(Ag)4406は、第2の基板4407の内面に配置される。活性層4450は、2つの電極4402及び4406の間に挟まれている。活性層4450は、第1のIFL(例えば、SrTiO
3)4403、光活性材料(例えば、MAPbI
3)4404、及び電荷輸送層(例えば、Spiro-OMeTAD)4405を包含する。
【0097】
図13は、いくつかの実施形態によるペロブスカイト材料デバイス4500の様式化された図である。デバイス4500の様々な構成要素は、連続した材料を含む別個の層として示されているが、
図13は様式化された図であることが理解されるべきである。;したがって、それによる実施形態は、本明細書で前述した「層」の使用と一致する、そのような別個の層、及び/又は実質的に混合された非連続層を包含し得る。デバイス4500は、第1及び第2の基板4501及び4508を包含する。第1の電極(例えば、ITO)4502は、第1の基板4501の内面に配置され、且つ、第2の電極(例えば、Ag)4507は、第2の基板4508の内面に配置される。活性層4550は、2つの電極4502及び4507の間に挟まれる。活性層4550は、第1のIFL(例えば、Al
2O
3)4503及び第2のIFL(例えば、ZnO)4504、光活性剤を含む複合IFL、光活性材料(例えば、MAPbI
3)4505、及び電荷輸送層(例えば、Spiro-OMeTAD)4506を包含する。
【0098】
図14は、いくつかの実施形態によるペロブスカイト材料デバイス6100の様式化された図である。デバイス6100の様々な構成要素は、連続した材料を含む別個の層として示されているが、
図14は様式化された図であることが理解されるべきである。;したがって、それによる実施形態は、本明細書で前述した「層」の使用と一致する、そのような別個の層、及び/又は実質的に混合された非連続層を包含し得る。デバイス6100は、基板(例えば、ガラス)6101を包含する。第1の電極(例えば、ITO)6102は、基板6101の内面に配置され、且つ、第2の電極(例えば、Ag)6107は、2つの電極6102及び6107の間に挟まれた活性層6150の最上部に配置される。活性層6150は、第1のIFL(例えば、Al
2O
3)6103及び第2のIFL(例えば、ZnO)6104を含む複合IFL、光活性材料(例えば、MAPbI
3)6105、及び電荷輸送層(例えば、Spiro-OMeTAD)6106を包含する。
【0099】
図15は、いくつかの実施形態によるペロブスカイト材料デバイス6200の様式化された図である。デバイス6200の様々な構成要素は、連続した材料を含む個別の層として示されているが、
図15は様式化された図であることが理解されるべきである。;したがって、それによる実施形態は、本明細書で前述した「層」の使用と一致する、そのような別個の層、及び/又は実質的に混合された非連続層を包含し得る。デバイス6200は、基板(例えば、ガラス)6201を包含する。第1の電極(例えば、ITO)6202は、基板6201の内面に配置され、且つ、第2の電極(例えば、Ag)6206は、2つの電極6202及び6206の間に挟まれた活性層6250の最上部に配置される。活性層6250は、IFL(例えば、Y:ZnO)6203、光活性材料(例えば、MAPbI
3)6204、及び電荷輸送層(例えば、P3HT)6205を包含する。
【0100】
図16は、いくつかの実施形態によるペロブスカイト材料デバイス6300の様式化された図である。デバイス6300の様々な構成要素は、連続した材料を含む別個の層として示されているが、
図16は様式化された図であることが理解されるべきである。;したがって、それによる実施形態は、本明細書で前述した「層」の使用と一致する、そのような個別の層、及び/又は実質的に混合された非連続層を包含し得る。デバイス6300は、基板(例えば、ガラス)6301を包含する。第1の電極(例えば、ITO)6302は、基板6301の内面に配置され、且つ、第2の電極(例えば、Ag)6309は、2つの電極6302及び6309の間に挟まれた活性層6350の最上部に配置される。活性層6350は、第1のIFL(例えば、Al
2O
3)6303、第2のIFL(例えば、ZnO)6304、第3のIFL(例えば、Al
2O
3)6305、及び第4のIFL(例えば、ZnO)6306、を含む複合IFL、光活性材料(例えば、MAPbI
3)6307、及び電荷輸送層(例えば、PCDTBT)6308を包含する。
【0101】
図17は、いくつかの実施形態によるペロブスカイト材料デバイス6400の様式化された図である。デバイス6400の様々な構成要素は、連続した材料を含む別個の層として示されているが、
図17は様式化された図であることが理解されるべきである。;したがって、それによる実施形態は、本明細書で前述した「層」の使用と一致する、そのような個別の層、及び/又は実質的に混合された非連続層を包含し得る。デバイス6400は、基板(例えば、ガラス)6401を包含する。第1の電極(例えば、ITO)6402は、基板6401の内面に配置され、且つ、第2の電極(例えば、Ag)6409は、2つの電極6402及び6409の間に挟まれた活性層6450の最上部に配置される。活性層6450は、第1のIFL(例えば、Al
2O
3)6403、第2のIFL(例えば、ZnO)6404、第3のIFL(例えば、Al
2O
3)6405、及び第4のIFL(例えば、ZnO)6406を含む複合IFL、光活性材料(例えば、5-AVA・HCl:MAPbI
3)6407、及び電荷輸送層(例えば、PCDTBT)6408を包含する。
【0102】
図18は、いくつかの実施形態によるペロブスカイト材料デバイス6500の様式化された図である。デバイス6500の様々な構成要素は、連続した材料を含む別個の層として示されているが、
図18は様式化された図であることが理解されるべきである。;したがって、本発明による実施形態は、本明細書で前述した「層」の使用と一致する、そのような個別の層、及び/又は実質的に混合された非連続層を包含し得る。デバイス6500は、基板(例えば、ガラス)6501を包含する。第1の電極(例えば、ITO)6502は、基板6501の内面に配置され、且つ、第2の電極(例えば、Ag)6506は、2つの電極6502及び6506の間に挟まれた活性層6550の最上部に配置される。活性層6550は、IFL(例えば、Nb:ZnO)6503、光活性材料(例えば、FAPbI
3)6504、及び電荷輸送層(例えば、P3HT)6505を包含する。
【0103】
図19は、いくつかの実施形態によるペロブスカイト材料デバイス6600の様式化された図である。デバイス6600の様々な構成要素は、連続した材料を含む別個の層として示されているが、
図19は様式化された図であることが理解されるべきである。;したがって、それによる実施形態は、本明細書で前述した「層」の使用と一致する、そのような個別の層、及び/又は実質的に混合された非連続層を包含し得る。デバイス6600は、基板(例えば、ガラス)6601を包含する。第1の電極(例えば、ITO)6602は、基板6601の内面に配置され、且つ、第2の電極(例えば、Ag)6606は、2つの電極6602及び6606の間に挟まれた活性層6550の最上部に配置される。活性層6650は、IFL(例えば、Y:ZnO)6603、光活性材料(例えば、CHP;MAPbI
3)6604、及び電荷輸送層(例えば、P3HT)6605を包含する。
【0104】
図20は、いくつかの実施形態によるペロブスカイト材料デバイス6700の様式化された図である。デバイス6700の様々な構成要素は、連続した材料を含む別個の層として示されているが、
図7は定型化された図であることが理解されるべきである。;したがって、それによる実施形態は、本明細書で前述した「層」の使用と一致する、そのような個別の層、及び/又は実質的に混合された非連続層を包含し得る。デバイス6700は、基板(例えば、ガラス)6701を包含する。第1の電極(例えば、ITO)6702は、基板6701の内面に配置され、且つ、第2の電極(例えば、Al)6707は、2つの電極6702及び6707の間に挟まれた活性層6750の最上部に配置される。活性層6750は、IFL(例えば、SrTiO
3)6703、光活性材料(例えば、FAPbI
3)6704、第1の電荷輸送層(例えば、P3HT)6705、及び第2の電荷輸送層(例えば、MoOx)6706を包含する。
【0105】
図21は、いくつかの実施形態によるペロブスカイト材料デバイス6800の様式化された図である。デバイス6800の様々な構成要素は、連続した材料を含む別個の層として示されているが、
図8は様式化された図であることが理解されるべきである。;したがって、それによる実施形態は、本明細書で前述した「層」の使用と一致する、そのような別個の層、及び/又は実質的に混合された非連続層を包含し得る。デバイス6800は、基板(例えば、ガラス)6801を包含する。第1の電極(例えば、ITO)6802は、基板6801の内面に配置され、且つ、第2の電極(例えば、Al)6811は、2つの電極6802及び6811の間に挟まれた活性層6850の最上部に配置される。活性層6850は、第1のIFL(例えば、Al
2O
3)6803、第2のIFL(例えば、ZnO)6804、第3のIFL(例えば、Al
2O
3)6805、第4のIFL(例えば、ZnO)6806、及び第5のIFL(例えば、Al
2O
3)6807、を含む複合IFL、光活性材料(例えば、FAPbI
3)6808、第1の電荷輸送層(例えば、P3HT)6809、及び第2の電荷輸送層(例えば、MoOx)6810を包含する。
【0106】
薄膜光起電力デバイス用の封止材(encapsulant)層
いくつかの実施形態において、PVデバイスは、1つ以上のカプセル化(encapsulating)層を包含し得る。カプセル化層は、PVデバイスの電極層に近接して配置されてもよい。
図22は、カプセル化層を包含する光起電力デバイス7100の実施形態を示している。デバイス7100の様々な構成要素は、連続した材料を含む別個の層として示されているが、
図22は様式化された図であることが理解されるべきである。;したがって、それによる実施形態は、本明細書で前述した「層」の使用と一致する、そのような別個の層、及び/又は実質的に混合された非連続層を包含し得る。
図Zによって示される光起電力デバイスは、第1の基板7101、第1の電極7102、第1の界面層7103、活性層7104、第2の界面層7105、第2の電極7106、非化学量論的化合物層Z107、封止(sealing)層7108(封止材層とも呼ばれる)、及び第2の基板7109を包含するいくつかの層を包含する。
【0107】
第1の基板7101及び第2の基板7109は、可撓性又は剛性であってもよい。基板7101及び7109は、本出願全体にわたって説明されるいずれの好適な基板材料であり得、且つ、特定の実施形態において、
図1~21に関して説明されるいずれの好適な基板材料であり得る。いくつかの実施形態において、1つの基板層のみがPVデバイスに包含されてもよい。2つの基板が包含される場合、少なくとも1つは電磁(EM)放射(例えば、UV、可視、IR放射など)に対して透明又は半透明でなければならない。1つの基板が包含される場合、デバイスの一部がEM放射が活性層7104に接触できる限り、それは必要ではないが同様に透明又は半透明であってもよい。好適な基板材料は、: サファイア;酸化マグネシウム(MgO);マイカ;ポリマー(PEN、PET、PEG、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、PMMA、ポリアミド、Kaptonなど);セラミックス;炭素;複合材(例えば、グラスファイバー、Kevlar;炭素繊維)布地(例えば、ナイロン、綿、絹、ウール);木材;乾式工法の壁(drywall);金属;鋼;銀;金;アルミニウム;マグネシウム;コンクリート;又は、本明細書で
図6~21及びそれらの組み合わせに関して説明したいずれの他の基板;
のうちいずれか1つ以上を包含する。図示された実施形態において、第1の基板7101は、気体もしくは液体に対して不透過性であるか、又は気体もしくは液体に対して効果的に不透過性であるように十分に厚く、それにより腐食性又は酸化性物質が層7102から7108に到達するのを防ぐことができる。
【0108】
電極7102及び電極7106は、本願全体にわたって説明されるいずれの好適な電極材料であり得、且つ、特定の実施形態において、
図1~21に関して説明されるいずれの好適な電極材料であり得る。例えば、電極7102及び7106好適な材料は、ITO、FTO、CdO、ZITO、AZO、Al、Au、Cu、Pt、Ca、Mg、Ti、鋼、炭素、炭素同素体(例えば、カーボンブラック、フラーレン、グラフェン、単層カーボンナノチューブ、二重壁カーボンナノチューブ)、又はその他の導電性材料を包含する。同様に、界面層7103及び7105は、本出願全体にわたって記載されるいずれの好適な界面層材料であり得、且つ、特定の実施形態において、
図1~20に関して記載されるいずれの好適な界面層材料であり得る。そのような材料の例は、Al、Bi、In、Mo、Ni、Si、Ti、V、Nb、Sn、Zn、及びそれらの組み合わせ(例えば、NiO、Zn
2SnO
4)の酸化物、硫化物、又は窒化物;官能化又は非官能化アルキルシリル;グループ;炭素、及び炭素同素体(例えば、カーボンブラック、フラーレン、グラフェン、単層カーボンナノチューブ、二重壁カーボンナノチューブ);を包含する。いくつかの実施形態において、デバイス7100は、1つの界面層のみ、例えば界面層7103又は7105のうちの1つのみなど、を有してもよい。他の実施形態において、デバイス7100は界面層を有しなくてもよい。
【0109】
電極層7102及び7106ならびに界面層7103及び7105と同様に、活性層7104は、本出願全体にわたって記載されたいずれの活性層材料又は光活性材料であり得、且つ、特定の実施形態では、
図1~21に関して記載されたいずれの好適な材料であり得る。いくつかの実施形態において、活性層7104は光活性層であってもよい。他の実施形態において、活性層7104は、発光ダイオード(LED)、電界効果トランジスタ(FET)、薄膜電池層、又はそれらの組み合わせであり得る。活性層7104材料の例は、ペロブスカイト材料、薄膜半導体(例えば、CdTe、CZTS、CIGS)、光活性ポリマー、色素増感光活性材料、フラーレン、低分子光活性材料(例えば、バソクプロイン、ペリレンモノアミド、ペリレンジイミド、spiro-OMeTAD、トリアリールアミン、アントラセン、テルトラセン、ペンタセン、ルブレン、アントラジチオフェン、クアテルチオフェン、ベンゾチオフェン、TCNQ、ZnPc、CuPc、subPc、TPD、Alq3、Znq2、Zn(BOX)2、BTBT-C5、クロロフィル-a、TIPS-Si)、及び結晶性及び多結晶性半導体材料(例えば、ケイ素、GaAs、InP、Ge)、を包含する。
【0110】
シーリング層7108及び非化学量論的化合物層7107は、光起電力デバイス7100が存在する環境から層7102から7106までの保護を提供する。シーリング層7108は、エポキシ(例えば、1部エポキシ、2部エポキシ、エポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂、グリシジルアミンエポキシ樹脂、アミンベースの硬化エポキシ樹脂、無水物ベースの硬化エポキシ樹脂、チオールベースの硬化エポキシ樹脂、及びフェノールベースの硬化エポキシ樹脂)、ポリマー、例えばシリコーン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリイソブチレン、ポリカーボネート、PMMA、及びEVA、ガラスフリット、又はそれらの組み合わせ、を包含してよい。いくつかの実施形態において、シーリング層7108は、ガス、例えば空気、酸素、水蒸気、二酸化炭素、窒素、アンモニア、及びハロゲンなど、に対して不透過性であり得る。他の実施形態において、シーリング層7108は、ガス、例えば空気、酸素、水蒸気、二酸化炭素、窒素、アンモニア、及びハロゲンなど、に対して低い透過性を有し得る。例えば、特定の実施形態において、シーリング層7108は、摂氏85度で1日あたり200g/m2以下の透過性を有し得る。いくつかの実施形態において、シーリング層7108は、0から100ミクロンの間の厚さを有し得る。他の実施形態において、シーリング層7108は、10ミクロンから10ミリメートルの間の厚さを有し得る。
【0111】
非化学量論的化合物層7107は、酸素が化学化学量論に関して不足又は過剰である酸素含有化合物を包含してもよい。特定の実施形態において、非化学量論的化合物層7107を含む酸化物化合物は、MxOyの式を有してもよく、ここで、Mは金属であり、Oは酸素であり、且つ、x及びyは1から10の間の実数である。いくつかの実施形態において、非化学量論的化合物層7107は、SiO、CrO2、MnO、VO、FeO、CeO、LaO、HfO、ZrO、TiO、AlO、GeO、又はそれらの組み合わせを包含し得る。他の実施形態において、非化学量論的酸化物層7107は、二元、三元、三元以上の化合物、例えばNawFexTiyOzなど、を含むことができ、ここでw、x、y、及びzは実数を表す。たとえば、二元の非化学量論的化合物は、一般にM1xM2yOzとして表すことができる式を持ち、ここで、M1は第1の金属であり、M2は第2の金属であり、且つ、x、y及びzは実数を表す。さらなる例として、三元非化学量論的化合物は、一般にM1wM2xM3yOzとして表される式を有してもよく、三元化合物は、一般的にM1vM2wM3xM4yOzなどとして表され得る式を有してもよい。一般に、非化学量論的酸化物とは、特定の金属又は金属の混合物に対して形成できる最も安定な金属酸化物ではない金属酸化物を指す。表1は、いくつかの金属の異なる酸化状態に対応する金属酸化物を示す。「化学量論的」金属酸化物は表1においてアスタリスクで識別され、且つ、他のすべての金属酸化物は非化学量論的であると考えることができる。
【0112】
【0113】
加えて、非化学量論的化合物層7107は、化学化学量論に関して硫黄が不足又は過剰である硫黄含有化合物を包含することができる。特定の実施形態において、非化学量論的化合物層7107を含む硫化物化合物は、MxSyの式を有してもよく、ここで、Mは金属であり、Sは硫黄であり、且つ、x及びyは1から10の間の実数である。化学量論的化合物層7107は、SiS、CrS2、MnS、VS、FeS、CeS、LaS、HfS、ZrS、TiS、AlS、GeS、又はそれらの組み合わせを包含し得る。他の実施形態において、非化学量論的化合物層7107は、二元、三元、三元以上の化合物、例えばNawFexTiySzなど、を包含することができ、ここで、w、x、y、及びzは実数を表す。例えば、二元の非化学量論的硫化物化合物は、一般にM1xM2ySzとして表すことができる式を持ち、ここで、M1は第1の金属であり、M2は第2の金属であり、且つ、x、y及びzは実数を表す。さらなる例として、三元非化学量論的硫化物化合物は、一般にM1wM2xM3ySzとして表すことができる式を有してもよく、三元化合物は、一般的にM1vM2wM3xM4ySzなどとして表すことができる式を有してもよい。一般に、非化学量論的な硫化物とは、特定の金属又は金属の混合物に対して形成できる最も安定な金属硫化物ではない金属硫化物を指す。表2は、いくつかの金属の異なる酸化状態に対応する金属硫化物を示している。「化学量論的」金属硫化物は表2においてアスタリスクで識別され、且つ、他のすべての金属酸化物は非化学量論的であると考えることができる。
【0114】
【0115】
さらに、非化学量論的化合物層7107は、化学的化学量論に関して窒素が不足又は過剰である窒素含有化合物を包含することができる。特定の実施形態において、非化学量論的化合物層7107を含む窒化化合物は、MXNyの式を有することができ、ここでMは金属であり、Nは窒素であり、且つ、x及びyは、1から10の間の実数である。いくつかの実施形態において、非化学量論的化合物層7107は、SiN、Cr3N2、MnN、V3N2、Fe3N2、Ce3N2、La3N2、Hf3N2、Zr3N2、Ti3N2、Al3N2、GeN、又はそれらの組み合わせ、を包含することができる。他の実施形態において、非化学量論的化合物層7107は、二元、三元、三元以上の化合物、例えばNawFexTiyNzなど、を含むことができ、ここで、w、x、y、及びzは実数を表す。例えば、二元の非化学量論的硫化物化合物は、一般にM1xM2yNzで表すことができる式を持ち、ここで、M1は第1の金属であり、M2は第2の金属であり、且つ、x、y及びzは実数を表す。さらなる例として、三元非化学量論的硫化物化合物は、一般にM1wM2xM3yNzとして表すことができる式を有してもよく、三元化合物は、一般的にM1vM2wM3xM4yNzなどとして表され得る式を有してもよい。一般に、非化学量論的な硫化物とは、特定の金属又は金属の混合物に対して形成できる最も安定な金属硫化物ではない金属硫化物を指す。表3は、いくつかの金属の異なる酸化状態に対応する金属窒化物を示している。「化学量論的」金属窒化物は、表3においてアスタリスクで識別され、且つ、他のすべての金属酸化物は非化学量論的であると考えることができる。
【0116】
【0117】
非化学量論的酸化物はまた、荷電種、例えばNbO3
-、TiO3
2-、及びSBO2
-、として存在することができる。同様に、非化学量論的な硫化物及び窒化物は、荷電種、例えばVS3
2-、TiS3
2-、Si2N6
10-など、として存在する可能性がある。いくつかの実施形態において、非化学量論的な酸化物、硫化物、及び窒化物はまた、混合原子価化学種、例えばFe3O4、Mn3O4など、混合金属種、例えばCuFeO2、Co2S3、Fe2S3、FeNなど、及びその組み合わせ、を包含することができる。さらに、いくつかの非化学量論的酸化物は、水酸化物種を含有する可能性のある水和形態、例えばSn(OH)2など、として存在できる。いくつかの実施形態において、非化学量論的化合物層7107は、0から10ミクロンの間の厚さを有し得る。他の実施形態において、非化学量論的化合物層7107は、1から50ナノメートルの間の厚さを有し得る。いくつかの実施形態において、非化学量論的化合物層7107は、1から10ナノメートルの間の厚さを有し得る。
【0118】
非化学量論的化合物層7107は、物理吸着、吸着、又は化学反応により、ガス、例えば酸素、水蒸気、二酸化炭素、アンモニア、及びハロゲンなど、を吸収又は閉じ込めることができる。例えば、SiOからなる非化学量論的化合物層7107は、シーリング層7108を介して拡散することができる酸素と反応してSiO2を形成し、酸素が層7102から7106に到達するのを効果的に防ぎ、光起電力デバイス7100の電極層、界面層、及び活性層への酸化損傷を防ぐ。非化学量論的化合物層7107は、シーリング層7108を移動できる物質を吸収、反応、又は他の方法で閉じ込めることにより、それらの物質が光起電力デバイスを損傷するのを防ぐ。いくつかの実施形態において、非化学量論的化合物層7107間の反応は、非化学量論的化合物層7107の一部を不動態化し得る。例えば、SiO非化学量論的酸化物層7107は酸素と反応してSiO2を形成するため、非化学量論的酸化物層7107に拡散する酸素の速度は、酸素と反応してSiO2を形成した非化学量論的酸化物層Z107の部分によって減速され得る。非化学量論的酸化物層7107と酸素との間の反応の例を以下に示す。
1) 2SiO + O2---> 2SiO2
2) 4CoO + O2---> 2Co2O3
3) Sb2O3+ O2---> Sb2O5
4) 2Ce2O3+ O2---> 4CeO2
【0119】
図22に関して上述したものなどの非化学量論的酸化物層及びシーリング層は、
図1~21に示されるいずれの電極に近接して配置されてもよい。例えば、
図1のPt/FTO層1502とガラス層1501との間、及び/又はFTO層1506とガラス層1507との間に、非化学量論的酸化物層及びシーリング層を堆積させることができる。さらなる一例として、酸化物層及び封止材層は、複数の界面及び活性層を有するデバイス、例えば
図9に示されるデバイス3900、において使用されてもよい。そのようなデバイスの実施形態において、非化学量論的酸化物層及び封止材層は、電極2 3912と基板2 2913との間に、及び/又は電極1 3902と基板1 3901との間に堆積されてもよい。非化学量論的化合物層7107は、スピンコーティング、スロットダイ印刷、化学蒸着を包含するがこれらに限定されない様々な方法によって堆積されてもよい。非化学量論的な酸化物の堆積は、制御された雰囲気下でさらに発生する可能性がある。例えば、非化学量論的な酸化物の堆積は、乾燥窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、又は酸化炭素雰囲気下で発生する可能性がある。いくつかの実施形態において、堆積雰囲気は、制御された量の水蒸気範囲、真空(例えば、760Torr未満)、又は高真空(例えば、10
-6Torr未満)を包含し得る。
【0120】
他の実施形態において、光起電力デバイスは、光起電力デバイスの両側にシーリング層及び非化学量論的化合物層を包含し得る。
図23は、追加のカプセル化層が含まれる、
図22に示される光起電力デバイス7100に類似した光起電力デバイス7200の一実施形態を示す。光起電力デバイス7200は、基板2 7209と電極2 7206との間に配置されたシーリング層7208bと非化学量論的化合物層7207bに加えて、基板1 7201と電極1 7202との間に配置されたシーリング層7208aと非化学量論的化合物層7207aを包含する。シーリング層7208a及び7208bは、
図22に示されるシーリング層7108に関して本明細書で説明されるいずれの材料を含むことができる。同様に、非化学量論的化合物層7207a及び7207bは、
図22に示される非化学量論的化合物層7108に関して本明細書で説明されるいずれの材料を含み得る。
【0121】
さらに、いくつかの実施形態において、光起電力デバイスは、デバイスの層間に1つ又は複数の非化学量論的化合物層を包含してもよい。例えば、光起電力デバイスは、界面層と活性層(例えば、本明細書に記載の光活性層、電池層、又は半導体層)との間、界面層と電極との間、又は活性層と電極との間に非化学量論的化合物層を包含し得る。
図24は、活性層7304と界面層7303との間に配置された非化学量論的化合物層7307cを包含する、
図23に示された光起電力デバイス7200及び
図22に示された光起電力デバイス7100と同様の光起電力デバイス7300の一実施形態を示している。このような実施形態において、非化学量論的化合物層7307cは、活性層7304と界面層7303との間の電荷輸送を可能にするのに十分に薄くてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、非化学量論的化合物層7307cは0.5から20ナノメートルの間の厚さであり得る。さらなる実施形態において、非化学量論的化合物層7307cは、0.5から5ナノメートルの厚さであり得る。なおさらなる実施形態において、非化学量論的化合物層7307cは、0.5から1ナノメートルの厚さであり得る。
【0122】
したがって、本発明は、上述した目的及び利点ならびにその中に内在する利点を達成するためによく適合する。上述した特定の実施形態は、本発明の教示の利益を有する当業者には明らかであるが、異なるが同等の方法で修正され実施されるので、例示に過ぎない。さらに、以下の特許請求の範囲に記載されている以外の、本明細書に示された構成又は設計の詳細については、制限が意図されていない。したがって、上に開示した特定の例示的な実施形態は、変更又は修正されてもよく、そのような変更形態はすべて、本発明の範囲及び趣旨内にあると考えられることは明らかである。特に、本明細書に開示されている値のあらゆる範囲(「約(about)a~約(about)b」又は同等に「約(approximately)a~約(approximately)b」又は同等に「約(approximately)a~b」)は、それぞれの範囲の値のべき集合(power set)(すべての部分集合(subset)の集合(set))を意味し、且つ、より広い範囲の値に含まれるすべての範囲を示すものと理解すべきである。また、特許請求の範囲における用語は、特許権者によって明白かつ明確に定義されていない限り、明白で通常の意味を有する。