(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】予混合装置
(51)【国際特許分類】
F23D 14/60 20060101AFI20230719BHJP
【FI】
F23D14/60 Z
(21)【出願番号】P 2020017677
(22)【出願日】2020-02-05
【審査請求日】2022-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】弁理士法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】則竹 克哉
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-026229(JP,A)
【文献】特開昭53-148029(JP,A)
【文献】実開昭55-003035(JP,U)
【文献】特開2017-180870(JP,A)
【文献】実開平03-064336(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23D 14/60
F23K 5/00
F16K 3/32
F23N
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気に燃料ガスを混合して、混合気をバーナに供給する予混合装置であって、ファンの上流側又は下流側に配置された空気が流れる筒状のケーシングと、燃料ガスを供給するガス供給路の下流端に接続される、ケーシング内に配置されたガス筒と、ケーシング内に空気を流入させる空気流入口の開度を可変する、ケーシングの長手方向たるX軸方向に進退自在な空気調節弁と、ガス筒からケーシング内に燃料ガスを流出させるガス流出口の開度を可変するX軸方向に進退自在なガス調節弁と、空気調節弁とガス調節弁とをX軸方向に進退させる共通の電磁アクチュエータとを備え、空気調節弁とガス調節弁とを、空気流入口の開度を小さくすると共にガス流出口の開度を小さくする小能力位置と、小能力位置からX軸方向一方に変位した、空気流入口の開度を大きくすると共にガス流出口の開度を大きくする大能力位置とに切換え自在とするものにおいて、
空気流入口として、ケーシングのX軸方向一方端寄りに位置する常開流入口と、常開流入口からX軸方向他方に離れたケーシングの周壁部の部分にX軸方向に所定間隔で複数の開閉流入口とが開設され、空気調節弁は、ケーシングの周壁部内周面に摺接する筒部を有し、この筒部に、各開閉流入口に対応する弁開口がX軸方向に前記所定間隔と同じ間隔で複数開設され、各開閉流入口及び各弁開口のX軸方向幅は前記所定間隔と等しく、空気調節弁が小能力位置に存するときは、複数の開閉流入口に空気調節弁の筒部の弁開口が開設されていない部分が重なることで、これら開閉流入口が閉塞されて、常開流入口のみが開放され、空気調節弁が小能力位置からX軸方向一方に前記所定間隔分だけ変位した大能力位置に存するときは、複数の開閉流入口に複数の弁開口が重なることで、これら開閉流入口が常開流入口と共に開放されることを特徴とする予混合装置。
【請求項2】
前記ガス筒に、前記ガス流出口として、ガス筒のX軸方向一方端に位置する開閉流出口と、ガス筒のX軸方向一方端以外の部分に位置する常開流出口とが開設され、前記ガス調節弁は、ガス筒のX軸方向一方端に対向し、ガス調節弁が小能力位置に存するときは、ガス筒のX軸方向一方端にガス調節弁が着座することで、開閉流出口が閉塞されて、常開流出口のみが開放され、ガス調節弁が大能力位置に存するときは、ガス筒のX軸方向一方端からガス調節弁が離れることで、開閉流出口が常開流出口と共に開放されることを特徴とする請求項1記載の予混合装置。
【請求項3】
前記ガス筒の周壁部のX軸方向一方端寄りの部分の周方向所定箇所に、前記ガス流出口がX軸方向に長手の長孔状に開設され、前記ガス調節弁は、ガス筒の周壁部外周面に摺接する筒部を有し、この筒部に、ガス流出口に重なる周方向箇所に位置させて、筒部のX軸方向他方端からX軸方向一方にのびる切欠きが形成され、小能力位置では、切欠きのX軸方向一方の端部がガス流出口のX軸方向他方の端部に近付いてガス流出口の開度が小さくなり、大能力位置では、切欠きのX軸方向一方の端部がガス流出口のX軸方向他方の端部から離れてガス流出口の開度が大きくなることを特徴とする請求項1記載の予混合装置。
【請求項4】
前記ガス筒の周壁部のX軸方向一方端寄りの部分の周方向複数箇所に、X軸方向に長手の長孔状で周方向幅の異なる複数の前記ガス流出口が開設され、前記ガス調節弁の位相を、使用するガス種に対応する周方向幅を持つガス流出口に前記切欠きが重なるように切換え自在とすることを特徴とする請求項3記載の予混合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気に燃料ガスを混合して、混合気をバーナに供給する予混合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の予混合装置として、ファンの上流側又は下流側に配置された空気が流れる筒状のケーシングと、燃料ガスを供給するガス供給路の下流端に接続される、ケーシング内に配置されたガス筒と、ケーシング内に空気を流入させる空気流入口の開度を可変する、ケーシングの長手方向たるX軸方向に進退自在な空気調節弁と、ガス筒からケーシング内に燃料ガスを流出させるガス流出口の開度を可変するX軸方向に進退自在なガス調節弁と、空気調節弁とガス調節弁とをX軸方向に進退させる共通の電磁アクチュエータとを備え、空気調節弁とガス調節弁とを、空気流入口の開度を小さくすると共にガス流出口の開度を小さくする小能力位置と、小能力位置からX軸方向一方に変位した、空気流入口の開度を大きくすると共にガス流出口の開度を大きくする大能力位置とに切換え自在とするものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、ガス供給路には、一般的に、流量調節弁として比例弁が介設されている。そして、要求燃焼量に応じた量の燃料ガスが供給されるように比例弁が制御され、更に、バーナに供給される混合気の空燃比が一定になるように、要求燃焼量に応じてファン回転数が制御される。但し、要求燃焼量が所定値以下になって、ファン回転数が送風量の比例特性を維持できる下限回転数以下になったり、比例弁電流(比例弁への通電電流)がガス供給量の比例特性を維持できる下限電流以下になった場合には、要求燃焼量に応じた量の空気や燃料ガスを供給できなくなる。
【0004】
また、ガス供給路に、流量調節弁として、二次ガス圧を大気圧に維持するゼロガバナを介設することもある。この場合、燃料ガスの供給量は、二次ガス圧である大気圧とケーシング内の負圧との差圧に応じて変化する。そして、ケーシング内の負圧がファン回転数に応じて変化するため、燃料ガスの供給量はファン回転数即ち空気の供給量に応じて変化する。従って、要求燃焼量に応じてファン回転数を制御することにより、要求燃焼量に応じた量の空気及び燃料ガスがバーナに供給されることになる。
【0005】
このものでも、ファン回転数が送風量の比例特性を維持できる下限回転数以下になると、要求燃焼量に応じた量の空気や燃料ガスを供給できなくなる。そのため、要求燃焼量が所定値以下になったときに、空気流入口の開度を小さくし、ファン回転数を上記下限回転数以下にせずに、所定値以下の要求燃焼量に応じた量の空気を供給できるようにする必要がある。また、空気流入口の開度を小さくするだけでは、ケーシング内の負圧の増加で燃料ガスの供給量が要求燃焼量に応じた量を超えてしまうため、空気流入口の開度を小さくするのに合わせて、ガス流出口の開度も小さくする必要がある。
【0006】
そこで、上記従来例では、要求燃焼量が所定値以下になったときに、空気調節弁とガス調節弁とを小能力位置に切換えて、空気流入口の開度を小さくすると共にガス流出口の開度を小さくし、所定値以下の要求燃焼量に応じた量の空気や燃料ガスを供給できるようにしている。
【0007】
ところで、上記従来例のものでは、ケーシングのX軸方向一方端に空気流入口が設けられ、空気調節弁は、ケーシングのX軸方向一方端に対向している。そして、空気調節弁が小能力位置に存するときは、ケーシングのX軸方向一方端に空気調節弁が接近して、空気流入口の開度が小さくなり、空気調節弁が大能力位置に存するときは、ケーシングのX軸方向一方端から空気調節弁が離れて、空気流入口の開度が大きくなるようにしている。
【0008】
ここで、大能力位置では、空気流入口の開度を小能力位置での開度からかなり増加させることが必要で、空気調節弁の小能力位置と大能力位置との間のX軸方向ストロークをかなり大きくすることが必要になる。そのため、空気調節弁を駆動する電磁アクチュエータを大型化せざるを得ず、コスト的及びスペース的に不利になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、以上の点に鑑み、空気調節弁の小能力位置と大能力位置との間のX軸方向ストロークを左程大きくしなくても、空気流入口の開度を大能力位置で十分に大きくできるようにした予混合装置を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、空気に燃料ガスを混合して、混合気をバーナに供給する予混合装置であって、ファンの上流側又は下流側に配置された空気が流れる筒状のケーシングと、燃料ガスを供給するガス供給路の下流端に接続される、ケーシング内に配置されたガス筒と、ケーシング内に空気を流入させる空気流入口の開度を可変する、ケーシングの長手方向たるX軸方向に進退自在な空気調節弁と、ガス筒からケーシング内に燃料ガスを流出させるガス流出口の開度を可変するX軸方向に進退自在なガス調節弁と、空気調節弁とガス調節弁とをX軸方向に進退させる共通の電磁アクチュエータとを備え、空気調節弁とガス調節弁とを、空気流入口の開度を小さくすると共にガス流出口の開度を小さくする小能力位置と、小能力位置からX軸方向一方に変位した、空気流入口の開度を大きくすると共にガス流出口の開度を大きくする大能力位置とに切換え自在とするものにおいて、空気流入口として、ケーシングのX軸方向一方端寄りに位置する常開流入口と、常開流入口からX軸方向他方に離れたケーシングの周壁部の部分にX軸方向に所定間隔で複数の開閉流入口とが開設され、空気調節弁は、ケーシングの周壁部内周面に摺接する筒部を有し、この筒部に、各開閉流入口に対応する弁開口がX軸方向に前記所定間隔と同じ間隔で複数開設され、各開閉流入口及び各弁開口のX軸方向幅は前記所定間隔と等しく、空気調節弁が小能力位置に存するときは、複数の開閉流入口に空気調節弁の筒部の弁開口が開設されていない部分が重なることで、これら開閉流入口が閉塞されて、常開流入口のみが開放され、空気調節弁が小能力位置からX軸方向一方に前記所定間隔分だけ変位した大能力位置に存するときは、複数の開閉流入口に複数の弁開口が重なることで、これら開閉流入口が常開流入口と共に開放されることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、空気調節弁の大能力位置では、X軸方向に所定間隔で並設した複数の開閉流入口が全て開放されるため、空気調節弁の小能力位置と大能力位置との間のX軸方向ストロークが上記所定間隔に等しい比較的小さなストロークであっても、空気流入口の開度を大能力位置で十分に大きくすることができる。従って、空気調節弁及びガス調節弁を駆動する電磁アクチュエータを大型化せずに済み、コスト的及びスペース的に有利になる。
【0013】
尚、本発明においては、ガス調節弁の構造として、以下の2つを採用することができる。その一つは、ガス筒に、ガス流出口として、ガス筒のX軸方向一方端に位置する開閉流出口と、ガス筒のX軸方向一方端以外の部分に位置する常開流出口とを開設し、ガス調節弁を、ガス筒のX軸方向一方端に対向するものとし、ガス調節弁が小能力位置に存するときは、ガス筒のX軸方向一方端にガス調節弁が着座することで、開閉流出口が閉塞されて、常開流出口のみが開放され、ガス調節弁が大能力位置に存するときは、ガス筒のX軸方向一方端からガス調節弁が離れることで、開閉流出口が常開流出口と共に開放されるようにすることである。
【0014】
また、他の一つは、ガス筒の周壁部のX軸方向一方端寄りの部分の周方向所定箇所に、ガス流出口をX軸方向に長手の長孔状に開設し、ガス調節弁を、ガス筒の周壁部外周面に摺接する筒部を有するものとし、この筒部に、ガス流出口に重なる周方向箇所に位置させて、筒部のX軸方向他方端からX軸方向一方にのびる切欠きを形成し、小能力位置では、切欠きのX軸方向一方の端部がガス流出口のX軸方向他方の端部に近付いてガス流出口の開度が小さくなり、大能力位置では、切欠きのX軸方向一方の端部がガス流出口のX軸方向他方の端部から離れてガス流出口の開度が大きくなるようにすることである。
【0015】
この場合、ガス筒の周壁部のX軸方向一方端寄りの部分の周方向複数箇所に、X軸方向に長手の長孔状で周方向幅の異なる複数のガス流出口を開設し、ガス調節弁の位相を、使用するガス種に対応する周方向幅を持つガス流出口に切欠きが重なるように切換え自在とすることが望ましい。これによれば、ガス調節弁の位相を変えるだけで、ウォッベ指数の異なる複数のガス種に対応でき、ガス種変更に対する対処が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1実施形態の予混合装置の空気調節弁及びガス調節弁が小能力位置に存する状態の切断側面図。
【
図2】第1実施形態の予混合装置の空気調節弁及びガス調節弁が大能力位置に存する状態の切断側面図。
【
図4】第1実施形態の予混合装置に設けられる空気調節弁の斜視図。
【
図5】本発明の第2実施形態の予混合装置の切断側面図。
【
図6】(a)第2実施形態の予混合装置に設けられる空気調節弁及びガス調節弁の斜視図、(b)第2実施形態の予混合装置に設けられるケーシングの一部を切除した状態の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1を参照して、Bは、混合気が噴出して燃焼する燃焼面Baを有する全一次燃焼式バーナ等から成るバーナである。バーナBにはファンFが接続されている。そして、本発明の実施形態の予混合装置Aにより、空気に燃料ガスを混合して、混合気をファンFを介してバーナBに供給するようにしている。
【0018】
予混合装置Aは、ファンFの上流側に配置された空気が流れる筒状のケーシング1と、燃料ガスを供給するガス供給路2の下流端に接続される、ケーシング1内に配置されたガス筒3とを備えている。ガス供給路2には、流量調節弁としてのゼロガバナ21が介設されている。
【0019】
ケーシング1の長手方向をX軸方向として、ケーシング1は、
図3に明示する如く、X軸方向他方端(
図1乃至
図3で下端)のフランジ部11からX軸方向一方に向けてのびる周壁部12を有している。フランジ部11には、ファンFに接続される混合気出口13が開設されている。また、周壁部12は、フランジ部11に周方向に間隔を存して立設した4本の支柱12aと、これら各支柱12a間に延在する、断面円弧状の湾曲壁12bとで構成されている。周壁部12のX軸方向他方の端部には、ガス筒3をガス供給路2の下流端に接続する接続口31が開設されている。
【0020】
予混合装置Aは、更に、ケーシング1内に空気を流入させる空気流入口4の開度を可変する、X軸方向に進退自在な空気調節弁5と、ガス筒3からケーシング1内に燃料ガスを流出させるガス流出口6の開度を可変するX軸方向に進退自在なガス調節弁7と、空気調節弁5とガス調節弁7とをX軸方向に進退させる共通の電磁アクチュエータ8とを備えている。そして、空気調節弁5とガス調節弁7とを、空気流入口4の開度を小さくすると共にガス流出口6の開度を小さくする小能力位置と、小能力位置からX軸方向一方に変位した、空気流入口4の開度を大きくすると共にガス流出口6の開度を大きくする大能力位置とに切換え自在とし、要求燃焼量が所定値以下になったときに、空気調節弁5とガス調節弁7とを大能力位置から小能力位置に切換えるようにしている。
【0021】
電磁アクチュエータ8は、ケーシング1のX軸方向一方端にベース板部81aを介して固定したフレーム81と、フレーム81内のボビン82に巻回したコイル83と、ボビン82の内周のガイドスリーブ84にX軸方向他方から摺動自在に内挿した可動鉄心85と、ガイドスリーブ84内のX軸方向一方端側に挿入固定した固定鉄心86とを有するソレノイドで構成されている。
【0022】
ガス筒3には、ガス流出口6として、ガス筒3のX軸方向一方端に位置する開閉流出口62と、ガス筒3のX軸方向一方端以外の部分、本実施形態では、X軸方向他方端に位置する常開流出口61とが開設されている。ガス調節弁7は、ガス筒3のX軸方向一方端に対向し、電磁アクチュエータ8の可動鉄心85のX軸方向他方端に連結されている。また、ガス調節弁7は、バネ71でX軸方向他方に付勢されている。電磁アクチュエータ8のコイル83への非通電時は、可動鉄心85が固定鉄心86から離れて、バネ71の付勢力でガス調節弁7がガス筒3のX軸方向一方端に着座する小能力位置(
図1に示す位置)に変位し、開閉流出口62が閉塞されて、常開流出口61のみが開放され、ガス流出口6の開度が小さくなる。一方、コイル83への通電時は、可動鉄心85が固定鉄心86に吸着され、ガス調節弁7がガス筒3のX軸方向一方端から離れた大能力位置(
図2に示す位置)に変位し、開閉流出口62が常開流出口61と共に開放されて、ガス流出口6の開度が大きくなる。
【0023】
ケーシング1には、空気流入口4として、ケーシング1のX軸方向一方端寄りに位置する常開流入口41と、常開流入口41からX軸方向他方に離れたケーシング1の周壁部12の部分にX軸方向に所定間隔で2つの開閉流入口42,42とが開設されている。具体的には、ケーシング1の周壁部12のX軸方向一方端寄りの部分に、各支柱12a間の湾曲壁12bを切除して常開流入口41を開設している。また、周壁部12の各支柱12a間の湾曲壁12bにX軸方向に所定間隔で2つの開閉流入口42,42を開設している。尚、常開流入口41及び各開閉流入口42は、各支柱12aで周方向に分断されている。
【0024】
図4も参照して、空気調節弁5は、ケーシング1の周壁部12内周面に摺接する筒部51を有している。この筒部51には、各開閉流入口42に対応する弁開口52がX軸方向に上記所定間隔(開閉流入口42,42間の間隔)と同じ間隔で2つ開設されている。各開閉流入口42及び各弁開口52のX軸方向幅は上記所定間隔と等しい。尚、筒部51の各支柱12aに合致する周方向部分は、径方向内方に窪んだ凹部51aになっている。そして、各弁開口52は、各凹部51aで周方向に分断されている。また、各支柱12aに各凹部51aが摺動自在に係合することで、ケーシング1に対し空気調節弁5が回り止めされる。
【0025】
空気調節弁5は、更に、筒部51のX軸方向他方端から縮径しながらX軸方向他方に延出されるベンチュリー部53と、ベンチュリー部53からX軸方向一方に向けて立設した複数の柱部54と、これら柱部54の先端に跨るようにして設けられた環状の当板部55とを有している。そして、空気調節弁5をバネ56でX軸方向一方に付勢して、当板部55をガス調節弁7のX軸方向他方を向く面の外周部に当接させ、空気調節弁5がガス調節弁7と一緒に小能力位置(
図1に示す位置)と、小能力位置からX軸方向一方に上記所定間隔(開閉流入口42,42間の間隔)分だけ変位した大能力位置(
図2に示す位置)とに変位するようにしている。
【0026】
ここで、空気調節弁5が小能力位置に存するときは、2つの開閉流入口42,42に空気調節弁5の筒部51の弁開口52が開設されていない部分が重なって、これら開閉流入口42,42が閉塞され、常開流入口41のみが開放されて、空気流入口4の開度が小さくなる。一方、空気調節弁5が大能力位置に存するときは、2つの開閉流入口42,42に2つの弁開口52,52が重なって、これら開閉流入口42,42が常開流入口41と共に開放され、空気流入口4の開度が大きくなる。
【0027】
以上の構成によれば、空気調節弁5の大能力位置では、X軸方向に所定間隔で並設した2つの開閉流入口42,42が全て開放されるため、空気調節弁5の小能力位置と大能力位置との間のX軸方向ストロークが上記所定間隔(開閉流入口42,42間の間隔)に等しい比較的小さなストロークであっても、空気流入口4の開度を大能力位置で十分に大きくすることができる。従って、空気調節弁5及びガス調節弁7を駆動する電磁アクチュエータ8を大型化せずに済み、コスト的及びスペース的に有利になる。
【0028】
次に、
図5、
図6に示す第2実施形態の予混合装置Aについて説明する。第2実施形態の予混合装置Aの基本的な構造は、上記第1実施形態のものと特に異ならず、第1実施形態のものと同様の部材、部位に上記と同一の符号を付している。第2実施形態の予混合装置Aの第1実施形態のものとの相違点は、ガス筒3に設けたガス流出口とガス調節弁7の構造である。以下、この相違点について説明する。
【0029】
第2実施形態では、ガス筒3の周壁部のX軸方向一方端寄りの部分の周方向2箇所に、
図6(b)に明示する如く、X軸方向に長手の長孔状で周方向幅の異なる第1と第2の2つのガス流出口6
1,6
2を開設している。尚、第1ガス流出口6
1は、ウォッベ指数が比較的小さなガス種、例えば、13A等の天然ガスを主成分とするガスに対応するもので、周方向幅が比較的広く、第2ガス流出口6
2は、ウォッベ指数が比較的大きなガス種、例えば、プロパンガスに対応するのもので、周方向幅が比較的狭い。
【0030】
ガス調節弁7は、空気調節弁5の複数の柱部54の先端に跨るようにして、第1実施形態の当板部55に代えて設けられた円板部72と、円板部72からX軸方向他方に向けて垂設した、ガス筒3の周壁部外周面に摺接する筒部73とを有している。円板部72には、X軸方向一方に向けて連結筒部72aが立設されており、この連結筒部72aを可動鉄心85のX軸方向他方の端部に外嵌させている。そして、円板部72を、バネ71でX軸方向他方に付勢すると共に、バネ56でX軸方向一方に付勢し、ガス調節弁7が空気調節弁5と共に可動鉄心85に追従してX軸方向に進退するようにしている。
【0031】
筒部73には、
図6(a)に明示する如く、周方向1箇所に位置させて、筒部72のX軸方向他方の端部からX軸方向一方にのびる、周方向幅が幅広の第1ガス流出口6
1以上の切欠き74が形成されている。そして、ガス調節弁7の位相を、第1と第2のガス流出口6
1,6
2のうち使用するガス種に対応する周方向幅を持つガス流出口に切欠き74が重なるように切換え自在としている。
図5は、使用するガス種がウォッベ指数の小さなガスで、ガス調節弁7を、周方向幅の広い第1ガス流出口6
1に切欠き74が重なる位相にした状態を示している。
【0032】
電磁アクチュエータ8のコイル83への非通電時は、可動鉄心85が固定鉄心86から離れて、空気調節弁5が2つの開閉流入口42,42を閉塞する小能力位置に変位すると共に、ガス調節弁7が、ガス筒3のX軸方向一方端に円板部72が当接する小能力位置に変位し、切欠き74のX軸方向一方の端部が第1ガス流出口6
1のX軸方向他方の端部に近付いて第1ガス流出口6
1の開度が小さくなる。一方、コイル83への通電時は、可動鉄心85が固定鉄心86に吸着され、空気調節弁5が2つの開閉流入口42,42を開放する大能力位置に変位すると共に、ガス調節弁7が、ガス筒3のX軸方向一方端から円板部72が離れた大能力位置(
図5に示す位置)に変位し、切欠き74のX軸方向一方の端部が第1ガス流出口6
1のX軸方向他方の端部から離れて第1ガス流出口6
1の開度が大きくなる。
【0033】
使用ガス種をウォッベ指数の大きなガスに変更する場合は、電磁アクチュエータ8をケーシング1のX軸方向一方端から一旦取外して、ガス調節弁7を、周方向幅の狭い第2ガス流出口62に切欠き74が重なる位相に切換えることで対処できる。従って、第2実施形態のものでは、ガス種変更に対する対処が容易になる。
【0034】
尚、予混合装置をガス種毎に専用のものとする場合は、ガス筒3の周壁部のX軸方向一方端寄りの部分の周方向1箇所に、X軸方向に長手の長孔状で使用ガス種に対応する所定の周方向幅を持つガス流出口を開設し、ガス調節弁7の筒部73に、ガス流出口に重なる周方向箇所に位置させて、上記と同様の切欠き74を形成すればよい。
【0035】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態では、ケーシング1の周壁部12にX軸方向の間隔を存して開設する開閉流入口42の個数を2つにしているが、この個数を3つ以上にすることも可能である。また、上記第2実施形態において、ガス筒3のX軸方向一方端寄りの部分に、3つ以上のガス種に対応できるように、周方向幅の異なる3つ以上の長孔状のガス流出口を開設することも可能である。
【0036】
更に、ガス供給路2に流量調節弁として上記実施形態のゼロガバナ21に代えて比例弁を介設してもよい。また、ケーシング1をファンFの下流側に配置することも可能である。
【符号の説明】
【0037】
A…予混合装置、B…バーナ、F…ファン、1…ケーシング、12…周壁部、2…ガス供給路、3…ガス筒、4…空気流入口、41…常開流入口、42…開閉流入口、5…空気調節弁、51…筒部、52…弁開口、6…ガス流出口、61…常開流出口、62…開閉流出口、61,62…長孔状のガス流出口、7…ガス調節弁、73…筒部、74…切欠き、8…電磁アクチュエータ。