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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】ガス化装置
(51)【国際特許分類】
   C10J 3/00 20060101AFI20230719BHJP
   C10J 3/20 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
C10J3/00 M
C10J3/20
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020045589
(22)【出願日】2020-03-16
(65)【公開番号】P2021147422
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2022-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石堂 健二
【審査官】岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-180062(JP,A)
【文献】特表2013-521345(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0159269(US,A1)
【文献】特開2014-058600(JP,A)
【文献】特開2019-052234(JP,A)
【文献】特開2013-167617(JP,A)
【文献】国際公開第2011/106895(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10J 3/00
C10J 3/20
F23G 5/027
B09B 3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炉壁、及び前記炉壁に囲まれた内部へ原料を受け入れる開口部を含む反応炉と、
前記反応炉における原料の熱処理によって発生した灰分を排出する排出部と、
を備え、
前記炉壁は、
平面視において環状に設けられ鉛直軸回りに回動可能な複数の回動軸部材と、それぞれの前記回動軸部材と共に回動する複数の可変炉壁板と、を含
1つの前記可変炉壁板は、隣接する前記可変炉壁板に接触し、
前記反応炉の下端部側に設けられ、前記回動軸部材を回動可能に支持する下枠と、
前記反応炉の上端部側に設けられ、前記回動軸部材を回動可能に支持する上枠と、
前記反応炉の外側において前記下枠と前記上枠とを連結する側枠と、
を含む保持フレームをさらに備える、
ガス化装置。
【請求項2】
前記可変炉壁板の幅方向の寸法は、隣接する前記回動軸部材の軸間距離よりも大きい、
請求項1に記載のガス化装置。
【請求項3】
1つの前記可変炉壁板は、隣接する前記可変炉壁板と面接触する、
請求項1又は2に記載のガス化装置。
【請求項4】
前記可変炉壁板は、隣接する前記可変炉壁板と面接触する部分に、切り欠き部を有する、
請求項に記載のガス化装置。
【請求項5】
前記切り欠き部は、傾斜面を含む、
請求項に記載のガス化装置。
【請求項6】
前記回動軸部材は、前記可変炉壁板の幅方向の一端側に設けられる、
請求項1からのいずれか1項に記載のガス化装置。
【請求項7】
前記可変炉壁板は、平面視において前記回動軸部材の軸を通りかつ長手方向に平行な線に対して対称的に設けられる、
請求項1からのいずれか1項に記載のガス化装置。
【請求項8】
前記回動軸部材と共に回動可能なウォームホイールと、
前記ウォームホイールに噛み合う円筒ウォームと、
隣接する前記円筒ウォームを共に回動可能であるように連結するリンク軸部材と、
を備える、
請求項1からのいずれか1項に記載のガス化装置。
【請求項9】
前記回動軸部材と前記ウォームホイールとの間に空転させる方向を切り替え可能な双方向ラチェットを備える、
請求項に記載のガス化装置。
【請求項10】
前記開口部は、空気を受け入れ、
前記排出部は、ガスを排出する、
請求項1からのいずれか1項に記載のガス化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガス化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
木質バイオマスを燃料として可燃性ガス化を発生させ、当該可燃性ガスを用いて発電するバイオマス発電装置がある。可燃性ガスを生成するガス化炉においては、燃焼状態が燃料に大きく依存するので、規定外の燃料が投入されると炉内の壁面にタール等が付着して燃焼効率が低下する。特許文献1には、付着物がアーチ状となって架橋現象が発生することを抑制するために、炉内の形状を下方に従って広くなるガス化炉が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-074799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、炉内の壁面の状態を確認して清掃するためには、炉内の温度が下がるのを待って炉内の燃料及び灰を全て取り除いてから行う必要がある。したがって、炉内の壁面の確認及び清掃作業は、稼働率低下に繋がるため、頻繁に行うことが難しかった。
【0005】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、炉内の壁面の状態を容易に確認することができるガス化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本開示の一態様のガス化装置は、炉壁、及び前記炉壁に囲まれた内部へ原料を受け入れる開口部を含む反応炉と、前記反応炉における原料の熱処理によって発生した灰分を排出する排出部と、を備え、前記炉壁は、平面視において環状に設けられ鉛直軸回りに回動可能な複数の回動軸部材と、それぞれの前記回動軸部材と共に回動する複数の可変炉壁板と、を含む。
【0007】
ガス化装置の望ましい態様として、1つの前記可変炉壁板は、隣接する前記可変炉壁板に接触する。
【0008】
ガス化装置の望ましい態様として、前記可変炉壁板の幅方向の寸法は、隣接する前記回動軸部材の軸間距離よりも大きい。
【0009】
ガス化装置の望ましい態様として、1つの前記可変炉壁板は、隣接する前記可変炉壁板と面接触する。
【0010】
ガス化装置の望ましい態様として、前記可変炉壁板は、隣接する前記可変炉壁板と面接触する部分に、切り欠き部を有する。
【0011】
ガス化装置の望ましい態様として、前記切り欠き部は、傾斜面を含む。
【0012】
ガス化装置の望ましい態様として、前記回動軸部材は、前記可変炉壁板の幅方向の一端側に設けられる。
【0013】
ガス化装置の望ましい態様として、前記可変炉壁板は、平面視において前記回動軸部材の軸を通りかつ長手方向に平行な線に対して対称的に設けられる。
【0014】
ガス化装置の望ましい態様として、前記反応炉の下端部側に設けられ、前記回動軸部材を回動可能に支持する下枠と、前記反応炉の上端部側に設けられ、前記回動軸部材を回動可能に支持する上枠と、前記反応炉の外側において前記下枠と前記上枠とを連結する側枠と、を含む保持フレームを備える。
【0015】
ガス化装置の望ましい態様として、前記回動軸部材と共に回動可能なウォームホイールと、前記ウォームホイールに噛み合う円筒ウォームと隣接する円筒ウォームを共に回動可能であるように連結するリンク軸部材と、を備える。
【0016】
ガス化装置の望ましい態様として、前記回動軸部材と前記ウォームホイールとの間に空転させる方向を切り替え可能な双方向ラチェットを備える。
【0017】
ガス化装置の望ましい態様として、前記開口部は、空気を受け入れ、前記排出部は、ガスを排出する。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、炉内の壁面の状態を容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、第1実施形態に係るガス化装置を模式的に示す断面図である。
図2図2は、図1のガス化装置を模式的に示す側面図である。
図3図3は、第1実施形態に係る炉壁を模式的に示す平面図である。
図4図4は、図3の一部拡大図である。
図5図5は、図3に示す炉壁の変形状態を模式的に示す平面図である。
図6図6は、図3に示す可変炉壁板を模式的に示す斜視図である。
図7図7は、図3に示す炉壁の変形機構を模式的に示す平面図である。
図8図8は、第2実施形態に係るガス化装置の炉壁の一部を模式的に示す平面図である。
図9図9は、第3実施形態に係るガス化装置の炉壁の一部を模式的に示す平面図である。
図10図10は、第4実施形態に係るガス化装置の炉壁の一部を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本開示に係るガス化装置について実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本開示は、以下の実施形態の記載に限定されるものではない。また、以下の実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、且つ、容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した実施形態における構成要素は、本開示の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。以下の実施形態では、本開示に係るガス化装置の実施形態を例示する上で、必要となる構成要素を説明し、その他の構成要素を省略する。
【0021】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態のガス化装置1の全体構成について説明する。図1は、第1実施形態に係るガス化装置1を模式的に示す断面図である。図2は、図1のガス化装置1を模式的に示す側面図である。
【0022】
ガス化装置1は、原料を熱処理することによってガスを発生させる。ガス化装置1は、第1実施形態において、木質バイオマスを不完全燃焼させることによって、発電等に利用する可燃性ガスGを生成する、固定床ダウンドラフト方式のガス化炉である。木質バイオマスは、森林から得られる枝、葉、梢、根株等の林地残材、製材工場から出るオガ粉、バーク(樹皮)、端材、背板等の残廃材、建築廃材、建築解体材等の産業廃棄物等を含む。木質バイオマスは、第1実施形態において、3cm以上8cm以下程度のサイズが所定の割合で混在する木質チップ100である。図1に示すように、ガス化装置1は、反応炉70と、排出部80と、保持フレーム90と、を備える。
【0023】
反応炉70は、平面視における外周を炉壁10によって囲まれる筒形状である。反応炉70の断面形状は、第1実施形態において、略正円形状であるが(図3等参照)、略楕円形状、矩形状等の多角形状でもよい。図2に示すように、反応炉70の炉壁10は、互いに同形状かつ同寸法である複数の可変炉壁板12を含む。複数の可変炉壁板12は、第1実施形態において、周方向に等間隔に配置される。周方向は、平面視で反応炉70が描く円周に沿う方向である。周方向は、平面視で反応炉70が描く円の接線方向であるともいえる。炉壁10の構成について、後述にて詳細に説明する。
【0024】
反応炉70は、筒形状の上端部である開口部72から、炉壁10に囲まれた内部に空気Air及び原料である木質チップ100を受け入れる。すなわち、開口部72は、木質チップ100の供給口及び空気Airの吸気口としての役割を有する。空気Airは、第1実施形態において、外気である。反応炉70は、筒形状の下端部が火格子74を介して排出部80に連通する。火格子74は、反応炉70と排出部80とを隔てるように設けられる。火格子74は、上面の木質チップ100を破砕して下方の排出部80に灰分Dとして落下させる。
【0025】
排出部80は、第1実施形態において、水平面内の断面積が下方に向かって小さくなるテーパ筒形状である。排出部80は、上端部が火格子74を介して反応炉70に連通する。排出部80は、反応炉70の下端部で燃焼により小さくなった又は火格子74に破砕された木質チップ100を灰分Dとして反応炉70から受け入れる。反応炉70における原料の熱処理によって発生した可燃性ガスG及び灰分Dを排出する。
【0026】
排出部80は、灰分排出口82と、ガス排気口84と、を有する。灰分排出口82は、第1実施形態において、排出部80の下端部に設けられる。排出部80は、反応炉70から受け入れた灰分Dを、灰分排出口82から排出する。ガス排気口84は、第1実施形態において、排出部80の傾斜側面に設けられる。排出部80は、反応炉70で生成された可燃性ガスGを、ガス排気口84から排出する。ガス排気口84は、例えば、発電装置等の燃料ガスの貯留部に接続する。
【0027】
ガス排気口84の下流には、排出部80を介して反応炉70の内部の空気Airを吸引するポンプ等が設けられる。これにより、反応炉70の内部では、上方から下方へ向かう空気Airの流れが形成される。なお、空気Airの流れを作るための吸引口を、可燃性ガスGを排出するガス排気口84と別に設けてもよいし、吸引路の途中で可燃性ガスGの排気路を分岐させるように設けてもよい。また、ガス排気口84は、後述の可変炉壁板12が設けられていない部分の反応炉70に設けられてもよい。
【0028】
また、ガス排気口84の下流には、可燃性ガスGに含まれている微小な飛灰等を捕らえるフィルタが設けられていてもよい。また、ガス排気口84の下流には、可燃性ガスGを発電装置等に送給せず排出するための切換弁が設けられてもよい。切換弁は、例えば、ガス排気口84の下流に設けられた可燃性ガスGの成分を検査する検査装置による検査結果に基づいて、操作又は制御されてもよい。切換弁は、例えば、燃焼開始からの燃焼時間に基づいて、操作又は制御されてもよい。切換弁は、例えば、ガス排気口84の下流に設けられた可燃性ガスGの温度を測定する測定装置による測定結果に基づいて、操作又は制御されてもよい。
【0029】
保持フレーム90は、反応炉70の炉壁10を保持する。保持フレーム90は、下枠92と、上枠94と、側枠96と、を含む。下枠92は、第1実施形態において、炉壁10の筒形状と同心の円環形状である。下枠92は、第1実施形態において、排出部80の上端部側に設けられる。下枠92は、第1実施形態において、排出部80と一体成型される。なお、下枠92は、排出部80に対して固定されてもよい。上枠94は、第1実施形態において、炉壁10の筒形状と同心の円環形状である。上枠94は、炉壁10の上端側に設けられる。側枠96は、反応炉70に対して炉壁10より外側において、下枠92と、上枠94とを連結する。
【0030】
下枠92は、回動軸部材60(図3等参照)が鉛直方向に挿入される複数の穴を上面に有する。上枠94は、回動軸部材60が鉛直方向に挿入される複数の貫通穴を有する。下枠92の穴と上枠94の貫通穴とは、平面視で同一の位置に設けられる。下枠92及び上枠94は、例えば軸受等を介して回動軸部材60を鉛直軸回りに回動可能に支持する。
【0031】
次に、可燃性ガスGの生成方法について説明する。反応炉70では、木質チップ100を不完全燃焼させることによって、可燃性ガスGを生成する。反応炉70の内部は、所定箇所の温度によって燃焼状態を管理される。反応炉70内の燃焼状態は、通気させる空気Air量で調整可能である。反応炉70内に供給された木質チップ100は、反応炉70の内部で上から順に、乾燥層101、熱分解層102、酸化層103、還元層104、灰層105に分かれている。反応炉70の内部は、上方から下方へ向かう空気Airの流れが形成されているため、燃焼及び熱が伝播する方向は、上方から下方へ向かう方向である。
【0032】
乾燥層101では、開口部72から投入された木質チップ100が堆積される。乾燥層101では、例えば60℃以上200℃以下程度の温度下で、木質チップ100が空気Airの通気によって乾燥する。
【0033】
熱分解層102では、例えば200℃以上600℃以下程度の熱で木質チップ100が分解される。具体的には、熱分解層102では、木質チップ100が、CH(メタン)、CO(一酸化炭素)、CO(二酸化炭素)、H(水素)、HO(水)、C(炭素化した残渣)、タール、灰分等に熱分解される。
【0034】
酸化層103では、例えば600℃以上1300℃以下程度の温度下で、熱分解された木質チップ100が不完全燃焼される。具体的には、可燃物であるC、タール、H、CO等が、CO、CO、HO等に部分酸化される。
【0035】
還元層104では、例えば600℃以上800℃以下程度の温度下で、CがCO又はHOと反応したり、CHがHOと反応したりすることで、CO及びH等の可燃性ガスGが生成される。可燃性ガスGは、反応炉70の上方から下方へ形成される空気Airの流れによって、灰層105及び火格子74を通過して、排出部80のガス排気口84からガス化装置1外に排出される。
【0036】
灰層105では、燃焼が進んで小さくなった木質チップ100及び灰分Dを、火格子74を介して排出部80に排出する。火格子74は、例えば所定の周期で揺動して、火格子74上面に堆積した木質チップ100を破砕する。火格子74から排出部80に落下させた灰分Dは、灰分排出口82からガス化装置1外に排出される。
【0037】
反応炉70の内部では、木質チップ100が燃焼につれて体積が減少していく。このため、反応炉70は、新たな木質チップ100を上方の開口部72から供給して、下方へと自重を利用して移動させる仕組みになっている。
【0038】
可燃性ガスGの生成を開始する際には、まず、作業者が、反応炉70の下部に木質チップ100を積み上げた後、木質チップ100に着火する。木質チップ100への着火は、例えば、火種を開口部72から投入してもよいし、周知の着火装置を使用してもよい。次に、作業者は、反応炉70の内部の空気Airを排出部80側から吸引するポンプ等を駆動させる。これにより、反応炉70の上方から下方へ向かう空気Airの流れが形成される。
【0039】
次に、作業者は、反応炉70の開口部72から木質チップ100を投入し、所定の高さまで木質チップ100を堆積させる。着火された木質チップ100が供給された空気Airによって酸化し、熱分解層102、酸化層103及び還元層104が構築されると、可燃性ガスGの生成が開始される。なお、上記では、作業者の作業として説明したが、制御装置によって制御される搬送装置、着火装置等を用いて自動で作業を行うようにしてもよい。
【0040】
次に、第1実施形態に係るガス化装置1の炉壁10の構成について、詳細に説明する。図3は、第1実施形態に係る炉壁10を模式的に示す平面図である。図4は、図3の一部拡大図である。図5は、図3に示す炉壁10の変形状態を模式的に示す平面図である。図3図4及び図5に示すように、炉壁10は、外周に沿って等間隔かつ互いに平行であるように配置される複数の回動軸部材60と、それぞれの回動軸部材60と共に鉛直軸回りに回動可能である可変炉壁板12と、を含む。
【0041】
回動軸部材60は、鉛直方向に延びる円柱形の軸部材である。回動軸部材60は、下端部が下枠92(図1等参照)の上面に形成される穴に挿入される。回動軸部材60は、上端部が上枠94(図1等参照)に形成された貫通穴に挿入される。回動軸部材60は、保持フレーム90によって鉛直軸回りに回動可能に支持される。回動軸部材60は、炉壁10の外周に沿って等間隔かつ互いに平行に複数設けられる。回動軸部材60は、第1実施形態において、周方向に等間隔に16個設けられる。回動軸部材60は、第1実施形態において、隣接する回動軸部材60との軸間距離が5cm以上6cm以下程度である。
【0042】
可変炉壁板12は、水平断面が長方形状かつ鉛直方向に延びる板形状である。可変炉壁板12は、平面視において回動軸部材60の軸を通りかつ長手方向に平行な線に対して対称的に設けられる。厚み方向は、可変炉壁板12の水平断面の短手方向を示す。可変炉壁板12は、第1実施形態において、周方向に等間隔に複数設けられる。可変炉壁板12は、回動軸部材60に対して固定される。なお、可変炉壁板12は、回動軸部材60と一体成型されていてもよい。可変炉壁板12は、下枠92と上枠94との間に鉛直方向に1つ設けられる。回動軸部材60と同数の可変炉壁板12が、周方向に並ぶ。可変炉壁板12は、回動軸部材60を介して保持フレーム90によって鉛直軸回りに回動可能に支持される。
【0043】
可変炉壁板12は、水平断面の長手方向が周方向に沿っている場合(例えば、図3参照)、厚み方向の端面である側面部14によって反応炉70の側方を閉塞する。可変炉壁板12は、水平断面の長手方向が周方向に対して交差する場合(例えば、図5参照)、反応炉70の側方を開放する。可変炉壁板12は、回動軸部材60を介して回動することにより、側面部14の内面側と外面側とを入れ替えることができる。すなわち、可変炉壁板12は、側面部14が両側とも反応炉70の内壁として機能する。
【0044】
回動軸部材60は、第1実施形態において、可変炉壁板12の幅方向の一方の端面側である基端部16近傍に設けられる。幅方向は、可変炉壁板12の水平断面の長手方向を示す。可変炉壁板12は、反応炉70を閉塞している状態において、幅方向の基端部16とは反対側の端面側である先端部18が、隣接する可変炉壁板12の基端部16と対向する。可変炉壁板12は、先端部18が反応炉70の外側方向に向かう方向に回動軸部材60が回転することで反応炉70の側方を開放し、さらに回転すると、反対側に隣接する可変炉壁板12の基端部16と対向して反応炉70の側方を閉塞する。
【0045】
可変炉壁板12は、第1実施形態において、反応炉70を閉塞している状態(例えば、図3参照)である場合、内面側の側面部14の端縁が、隣接する可変炉壁板12の内面側の側面部14の端縁と接する。すなわち、第1実施形態では、平面視で内面側の側面部14が正十六角形をなす。
【0046】
可変炉壁板12の回動範囲は、先端部18が反応炉70の内部に侵入しないように、ストッパ等によって制限されることが好ましい。反応炉70の内部とは、可変炉壁板12が反応炉70を閉塞している状態の可変炉壁板12より内側の領域を示す。ストッパは、例えば、下枠92から上方へ突出する突起、及び上枠94から下方へ突出する突起等である。突起は、可変炉壁板12が反応炉70を閉塞している状態で、内面側の側面部14に接する。
【0047】
次に、可変炉壁板12を回動させて炉壁10を変形させる変形機構の一例について説明する。図6は、図3に示す可変炉壁板12を模式的に示す斜視図である。図7は、図3に示す炉壁10の変形機構を模式的に示す平面図である。図6及び図7に示すように、第1実施形態の炉壁10の変形機構は、ウォームホイール62と、円筒ウォーム64と、リンク軸部材66と、自在継手68と、を含む。
【0048】
ウォームホイール62は、回動軸部材60の上端部にそれぞれ設けられる。ウォームホイール62は、回動軸部材60の回動軸と同軸の回動軸を有する。ウォームホイール62は、回動軸部材60と共に鉛直軸回りに回動可能である。ウォームホイール62は、円筒ウォーム64と噛み合う。ウォームホイール62は、円筒ウォーム64から回転が伝達される。
【0049】
円筒ウォーム64の回動軸は、水平である。円筒ウォーム64は、筐体等を介して保持フレーム90に固定される。円筒ウォーム64には、リンク軸部材66が挿入される。円筒ウォーム64は、リンク軸部材66と共に回動可能である。円筒ウォーム64は、リンク軸部材66の回転をウォームホイール62に伝達する。円筒ウォーム64及びウォームホイール62は、リンク軸部材66から回動軸部材60に伝達する回転の速度を減速し、かつトルクを増幅させる。
【0050】
自在継手68は、隣接するリンク軸部材66を連結する。すなわち、リンク軸部材66は、自在継手68を介して、回動軸部材60に対応する円筒ウォーム64と隣接する回動軸部材60に対応する円筒ウォーム64とを共に回動可能であるように連結する。隣接するリンク軸部材66は、反応炉70の周方向軸回りに同一の回転速度で回動する。これにより、炉壁10は、1つのリンク軸部材66が回動すると全ての回動軸部材60及び可変炉壁板12が回動して、反応炉70を開放する、又はいずれかの側面部14が反応炉70の内側を向いて閉塞するように変形する。
【0051】
回動軸部材60とウォームホイール62との間には、双方向ラチェットが設けられてもよい。双方向ラチェットは、空転させる方向を切り替え可能である。具体的には、双方向ラチェットは、可変炉壁板12の回動範囲より範囲外に回転する方向へのウォームホイール62の回転トルクを回動軸部材60に伝達しない。例えば、可変炉壁板12の先端部18が反応炉70の内部に侵入しないように、可変炉壁板12の回動範囲を制限するストッパ等が設けられている場合、可変炉壁板12の回動が制限されている状態では、ウォームホイール62の回転トルクを回動軸部材60に伝達しない。例えば、ストッパが可変炉壁板12の側面部14に接する突起部である場合、側面部14が突起部に接していない状態では、ウォームホイール62の回転トルクを回動軸部材60に伝達する。また、側面部14が突起部に接している状態では、ウォームホイール62の回転トルクを回動軸部材60に伝達しない。
【0052】
以上説明したように、第1実施形態のガス化装置1は、反応炉70と、反応炉70における原料(木質チップ100)の熱処理によって発生した灰分Dを排出する排出部80と、を備える。反応炉70は、炉壁10と、炉壁10に囲まれた内部に原料を受け入れる開口部72と、を含む。炉壁10は、平面視において環状に設けられ鉛直軸回りに回動可能な複数の回動軸部材60と、それぞれの回動軸部材60と共に回動する複数の可変炉壁板12と、を含む。
【0053】
このように、ガス化装置1は、炉壁10が鉛直軸回りに回動可能な複数の可変炉壁板12で囲われ、可変炉壁板12の側面部14の内面側と外面側とを入れ替えることが可能な構成である。すなわち、反応炉70で原料を熱処理する際に反応炉70の内側に面していた側面部14の内面側を外面側とし、綺麗な外面側を内面側として入れ替えることができる。このため、可変炉壁板12を回動させることによって、内面側の側面部14を容易に反応炉70の外側に露出させることができるので、容易に炉壁10の状態を確認して清掃することができる。これにより、反応炉70に異変を感じた際に、速やかに内部を確認することができる。
【0054】
また、反応炉70内に原料が入った状態でも炉壁10の状態の確認及び清掃が可能であるため、反応炉70内の確認による稼働率の悪化を抑制できる。さらに、側面部14は、内面側及び外面側のいずれも反応炉70の内壁として機能するので、反応炉70内の熱処理を継続したまま、側面部14の内面側と外面側とを入れ替えることができる。すなわち、綺麗な外面側の側面部14を反応炉70の内側に向け、内面側だった側面部14の付着物等を清掃している間も、反応炉70内の熱処理を継続することができる。
【0055】
ガス化装置1において、1つの可変炉壁板12は、隣接する可変炉壁板12に接する。これにより、可変炉壁板12が反応炉70を閉塞している状態において、反応炉70の炉壁10の気密性を向上させることができるので、意図せず外気が流入することを抑制することができる。
【0056】
ガス化装置1において、回動軸部材60は、可変炉壁板12の幅方向の一端(基端部16)側に設けられる。これにより、可変炉壁板12が回動する際に、基端部16側で反応炉70の内部側に侵入する部分を低減することができる。
【0057】
ガス化装置1において、可変炉壁板12は、平面視において回動軸部材60の軸を通りかつ長手方向に平行な線に対して対称的に設けられる。これにより、可変炉壁板12の側面部14の内面側と外面側とが入れ替わった場合でも、入れ替える前と同条件で、反応炉70における熱処理を行うことができる。
【0058】
ガス化装置1は、下枠92と、上枠94と、側枠96と、を含む保持フレーム90を備える。下枠92は、反応炉70の下端部側に設けられ、回動軸部材60を回動可能に支持する。上枠94は、反応炉70の上端部側に設けられ、回動軸部材60を回動可能に支持する。側枠96は、反応炉70の外側において下枠92と上枠94とを連結する。これにより、回動軸部材60の姿勢及び回動が安定するので、可変炉壁板12を安定的にかつ迅速に回動させて、側面部14の内面側と外面側とを入れ替えることができる。
【0059】
ガス化装置1は、ウォームホイール62と、円筒ウォーム64と、リンク軸部材66と、を備える。ウォームホイール62は、回動軸部材60と共に回動可能である。円筒ウォーム64は、ウォームホイール62に噛み合う。リンク軸部材66は、隣接する円筒ウォーム64を共に回動可能であるように連結する。これにより、複数の可変炉壁板12を同時に回動させることができるので、迅速に側面部14の内面側と外面側とを入れ替えることができる。
【0060】
ガス化装置1は、回動軸部材60とウォームホイール62との間に空転させる方向を切り替え可能な双方向ラチェットを備える。これにより、可変炉壁板12のそれぞれの回転方向において、可変炉壁板12の内面側の側面部14が反応炉70内の原料に接した場合、それ以上回転しないように可変炉壁板12の回動範囲を制限することができる。さらに、可変炉壁板12が反応炉70の内部に侵入しないように可変炉壁板12の回動範囲を制限するストッパを備える場合、可変炉壁板12がストッパに回動範囲を制限されている状態である所定の回転位置で維持することが可能である。これにより、1つの可変炉壁板12が反応炉70を閉塞する位置にある際に、別の可変炉壁板12が反応炉70を閉塞していない場合でも、1つの可変炉壁板12へ回転トルクを伝達せず、別の可変炉壁板12へ回転トルクを伝達することができる。なお、上記場合は、例えば、炉壁10の平面視が楕円形状である等の場合である。すなわち、平面視において反応炉70の中心から可変炉壁板12までの距離が、全ての可変炉壁板12で同一とは限らない場合である。より具体的には、側面部14の一方の面で反応炉70を閉塞した位置から他方の面で閉塞する位置までの回動角度が、可変炉壁板12ごとに異なる場合等である。
【0061】
ガス化装置1は、開口部72が空気Airを受け入れ、排出部80がガス(可燃性ガスG)を排出する。すなわち、第1実施形態のガス化装置1は、いわゆる固定床ダウンドラフト方式のガス化炉である。
【0062】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係るガス化装置2の炉壁20の構成について、詳細に説明する。図8は、第2実施形態に係るガス化装置2の炉壁20の一部を模式的に示す平面図である。第2実施形態のガス化装置2は、第1実施形態のガス化装置1と比較して、複数の可変炉壁板12を含む炉壁10の代わりに複数の可変炉壁板22を含む炉壁20を備える点で相違する。すなわち、炉壁20は、外周に沿って等間隔かつ互いに平行であるように配置される複数の回動軸部材60と、それぞれの回動軸部材60と共に鉛直軸回りに回動可能である可変炉壁板22と、を含む。なお、第1実施形態のガス化装置1と同一の構成については同一の参照符号を付して適宜説明を省略し、異なる構成について説明する。
【0063】
第2実施形態の可変炉壁板22は、第1実施形態の可変炉壁板12と同様に、水平断面が長方形状かつ鉛直方向に延びる板形状である。可変炉壁板22は、平面視において回動軸部材60の軸を通りかつ長手方向に平行な線に対して対称的に設けられる。可変炉壁板22は、第2実施形態において、周方向に等間隔に複数設けられる。可変炉壁板22は、回動軸部材60に対して固定される。なお、可変炉壁板22は、回動軸部材60と一体成型されていてもよい。可変炉壁板22は、回動軸部材60を介して保持フレーム90(図1等参照)によって鉛直軸回りに回動可能に支持される。
【0064】
可変炉壁板22は、図8に示すように、幅方向の寸法が、回動軸部材60と隣接する回動軸部材60との軸間距離よりも大きい。すなわち、可変炉壁板22が反応炉70(図1等参照)を閉塞している状態において、内面側の側面部24の一部が、隣接する可変炉壁板22の外面側の側面部24の一部と接触する。より詳しくは、可変炉壁板22は、内面側の側面部24の先端部28近傍の一部が、隣接する可変炉壁板22の外面側の側面部24の基端部26側の端縁と接触する。
【0065】
回動軸部材60は、第2実施形態において、可変炉壁板22の基端部26近傍に設けられる。可変炉壁板22は、いずれの回動位置にあっても、基端部26が反応炉70の内側に位置する。可変炉壁板22は、いずれの回動位置にあっても、先端部28が反応炉70の外側に位置する。
【0066】
可変炉壁板22は、内面側の側面部24の一部が、隣接する可変炉壁板22の外面側の側面部24の一部と接触する位置にある場合、内面側の側面部24によって反応炉70の側方を閉塞する。可変炉壁板22は、隣接する可変炉壁板22といずれも接触していない場合、反応炉70の側方を開放する。可変炉壁板22は、回動軸部材60を介して回動することにより、側面部24の内面側と外面側とを入れ替えることができる。すなわち、可変炉壁板22は、側面部24が両側とも反応炉70の内壁として機能する。
【0067】
可変炉壁板22は、外面側の側面部24の一部が、隣接する可変炉壁板22の内面側の側面部24の一部に接触されることによりストッパとして機能する。より詳しくは、可変炉壁板22の外面側の側面部24の基端部26側の一部が、隣接する可変炉壁板22の内面側の側面部24の先端部28側の一部に接触されることによりストッパとして機能する。すなわち、可変炉壁板22は、隣接する可変炉壁板22の回動範囲を制限する。
【0068】
以上説明したように、第2実施形態のガス化装置2において、可変炉壁板22の幅方向の寸法は、隣接する回動軸部材60の軸間距離よりも大きい。これにより、可変炉壁板22が反応炉70を閉塞している状態において、内面側の側面部24の一部が、隣接する可変炉壁板22の外面側の側面部24の一部と接触する。
【0069】
ガス化装置2によると、可変炉壁板22の外面側の側面部24の一部が、隣接する可変炉壁板22の内面側の側面部24の一部に接触されることによりストッパとして機能する。第2実施形態においては、可変炉壁板22の外面側の側面部24の基端部26側の一部が、隣接する可変炉壁板22の内面側の側面部24の先端部28側の一部に接触されることによりストッパとして機能する。これにより、可変炉壁板22が回動する際に、先端部28が反応炉70の内部側に侵入することを抑制することができる。
【0070】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係るガス化装置3の炉壁30の構成について、詳細に説明する。図9は、第3実施形態に係るガス化装置3の炉壁30の一部を模式的に示す平面図である。第3実施形態のガス化装置3は、第1実施形態のガス化装置1と比較して、複数の可変炉壁板12を含む炉壁10の代わりに複数の可変炉壁板32を含む炉壁30を備える点で相違する。すなわち、炉壁30は、外周に沿って等間隔かつ互いに平行であるように配置される複数の回動軸部材60と、それぞれの回動軸部材60と共に鉛直軸回りに回動可能である可変炉壁板32と、を含む。なお、第1実施形態のガス化装置1と同一の構成については同一の参照符号を付して適宜説明を省略し、異なる構成について説明する。
【0071】
第3実施形態の可変炉壁板32は、第1実施形態の可変炉壁板12と同様に、鉛直方向に延びる板形状である。可変炉壁板32は、平面視において回動軸部材60の軸を通りかつ長手方向に平行な線に対して対称的に設けられる。可変炉壁板32は、第3実施形態において、周方向に等間隔に複数設けられる。可変炉壁板32は、回動軸部材60に対して固定される。なお、可変炉壁板32は、回動軸部材60と一体成型されていてもよい。可変炉壁板32は、回動軸部材60を介して保持フレーム90(図1等参照)によって鉛直軸回りに回動可能に支持される。
【0072】
可変炉壁板32は、図9に示すように、両側の側面部34の基端部36側に第1切り欠き部50が形成される。第1切り欠き部50は、第3実施形態において、平面視で基端部36側に向かって細くなるように形成される傾斜面である。
【0073】
可変炉壁板32は、幅方向の寸法が、回動軸部材60と隣接する回動軸部材60との軸間距離よりも大きい。すなわち、可変炉壁板32が反応炉70(図1等参照)を閉塞している状態において、内面側の側面部34の一部が、隣接する可変炉壁板32の外面側の側面部34の一部と接触する。より詳しくは、可変炉壁板32は、内面側の側面部34の先端部38近傍の一部が、隣接する可変炉壁板32の外面側の側面部34の第1切り欠き部50と面接触する。
【0074】
回動軸部材60は、第3実施形態において、可変炉壁板32の基端部36近傍に設けられる。可変炉壁板32は、いずれの回動位置にあっても、基端部36が反応炉70の内側に位置する。可変炉壁板32は、いずれの回動位置にあっても、先端部38が反応炉70の外側に位置する。
【0075】
可変炉壁板32は、内面側の側面部34の一部が、隣接する可変炉壁板32の外面側の側面部34の第1切り欠き部50と面接触する位置にある場合、内面側の側面部34によって反応炉70の側方を閉塞する。可変炉壁板32は、隣接する可変炉壁板32といずれも接触していない場合、反応炉70の側方を開放する。可変炉壁板32は、回動軸部材60を介して回動することにより、側面部34の内面側と外面側とを入れ替えることができる。すなわち、可変炉壁板32は、側面部34が両側とも反応炉70の内壁として機能する。
【0076】
可変炉壁板32は、外面側の側面部34の一部が、隣接する可変炉壁板32の内面側の側面部34の一部に接触されることによりストッパとして機能する。より詳しくは、可変炉壁板32の外面側の側面部34の第1切り欠き部50が、隣接する可変炉壁板32の内面側の側面部34の先端部38側の一部に接触されることによりストッパとして機能する。すなわち、可変炉壁板32は、隣接する可変炉壁板32の回動範囲を制限する。
【0077】
以上説明したように、第3実施形態のガス化装置3において、1つの可変炉壁板32は、隣接する可変炉壁板32と面接触する。
【0078】
第3実施形態においては、可変炉壁板32の外面側の側面部34の基端部36側の第1切り欠き部50が、隣接する可変炉壁板32の内面側の側面部34の先端部38側の一部に接触されることによりストッパとして機能する。これにより、可変炉壁板32が回動する際に、先端部38が反応炉70の内部側に侵入することを抑制することができる。また、可変炉壁板32の外面側の側面部34の一部と、隣接する可変炉壁板32の内面側の側面部34の一部とが面接触している状態において、反応炉70の炉壁30の気密性を向上させることができるので、意図せず外気が流入することを抑制することができる。
【0079】
ガス化装置3において、可変炉壁板32は、隣接する可変炉壁板32の面接触する部分に、第1切り欠き部50を有する。これにより、反応炉70を閉塞している状態において、反応炉70の炉壁30の気密性を向上させることができるので、意図せず外気が流入することをより抑制することができる。
【0080】
ガス化装置3において、第1切り欠き部50は、傾斜面を含む。これにより、反応炉70を閉塞している状態において、反応炉70の炉壁30の気密性を向上させることができる。また、第1切り欠き部50を有する側面部34が内面側に位置する場合、可変炉壁板32の内面側の側面部34と、隣接する可変炉壁板32の内面側の側面部34とを、平滑化することができる。
【0081】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態に係るガス化装置4の炉壁40の構成について、詳細に説明する。図10は、第4実施形態に係るガス化装置4の炉壁40の一部を模式的に示す平面図である。第4実施形態のガス化装置4は、第1実施形態のガス化装置1と比較して、複数の可変炉壁板12を含む炉壁10の代わりに複数の可変炉壁板42を含む炉壁40を備える点で相違する。すなわち、炉壁40は、外周に沿って等間隔かつ互いに平行であるように配置される複数の回動軸部材60と、それぞれの回動軸部材60と共に鉛直軸回りに回動可能である可変炉壁板42と、を含む。なお、第1実施形態のガス化装置1と同一の構成については同一の参照符号を付して適宜説明を省略し、異なる構成について説明する。
【0082】
第4実施形態の可変炉壁板42は、第1実施形態の可変炉壁板12と同様に、鉛直方向に延びる板形状である。可変炉壁板42は、平面視において回動軸部材60の軸を通りかつ長手方向に平行な線に対して対称的に設けられる。可変炉壁板42は、第4実施形態において、周方向に等間隔に複数設けられる。可変炉壁板42は、回動軸部材60に対して固定される。なお、可変炉壁板42は、回動軸部材60と一体成型されていてもよい。可変炉壁板42は、回動軸部材60を介して保持フレーム90(図1等参照)によって鉛直軸回りに回動可能に支持される。
【0083】
可変炉壁板42は、図10に示すように、両側の側面部44の基端部46側に第2切り欠き部52が形成される。第2切り欠き部52は、第4実施形態において、平面視で基端部46側に向かって細くなるように形成される傾斜面54を含む。また、可変炉壁板42は、両側の側面部44の先端部48側に第3切り欠き部56が形成される。第3切り欠き部56は、第4実施形態において、水平断面が長方形状である。
【0084】
可変炉壁板42は、幅方向の寸法が、回動軸部材60と隣接する回動軸部材60との軸間距離よりも大きい。すなわち、可変炉壁板42が反応炉70(図1等参照)を閉塞している状態において、内面側の側面部44の一部が、隣接する可変炉壁板42の外面側の側面部44の一部と接触する。より詳しくは、可変炉壁板42は、内面側の側面部34の第3切り欠き部56が、隣接する可変炉壁板42の外面側の側面部34の第2切り欠き部52の傾斜面54と面接触する。
【0085】
回動軸部材60は、第4実施形態において、可変炉壁板42の基端部46近傍に設けられる。可変炉壁板42は、いずれの回動位置にあっても、基端部46が反応炉70の内側に位置する。可変炉壁板42は、いずれの回動位置にあっても、先端部48が反応炉70の外側に位置する。
【0086】
可変炉壁板42は、内面側の側面部44の第3切り欠き部56が、隣接する可変炉壁板42の外面側の側面部44の第2切り欠き部52の傾斜面54と面接触する位置にある場合、内面側の側面部44によって反応炉70の側方を閉塞する。可変炉壁板42は、隣接する可変炉壁板42といずれも接触していない場合、反応炉70の側方を開放する。可変炉壁板42は、回動軸部材60を介して回動することにより、側面部44の内面側と外面側とを入れ替えることができる。すなわち、可変炉壁板42は、側面部44が両側とも反応炉70の内壁として機能する。
【0087】
可変炉壁板42は、外面側の側面部44の一部が、隣接する可変炉壁板42の内面側の側面部44の一部に接触されることによりストッパとして機能する。より詳しくは、可変炉壁板42の外面側の側面部44の第2切り欠き部52が、隣接する可変炉壁板42の内面側の側面部44の第3切り欠き部56に接触されることによりストッパとして機能する。すなわち、可変炉壁板42は、隣接する可変炉壁板42の回動範囲を制限する。
【0088】
以上説明したように、第4実施形態においては、可変炉壁板42の外面側の側面部44の基端部46側の第2切り欠き部52の傾斜面54が、隣接する可変炉壁板42の内面側の側面部44の先端部48側の第3切り欠き部56に接触されることによりストッパとして機能する。これにより、可変炉壁板42が回動する際に、先端部48が反応炉70の内部側に侵入することを抑制することができる。また、可変炉壁板42の外面側の側面部44の一部と、隣接する可変炉壁板42の内面側の側面部44の一部とが面接触している状態において、反応炉70の炉壁40の気密性を向上させることができるので、意図せず外気が流入することを抑制することができる。さらに、先端部48側にも第3切り欠き部56を設けているので、可変炉壁板42の外面側の側面部44と、隣接する可変炉壁板42の外面側の側面部44とを、平滑化することができる。
【0089】
なお、各実施形態において説明した各構成は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施形態内の他の構成と組み合わせてもよい。また、これらの各構成は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施形態とは異なる他の実施形態内の構成と組み合わせてもよい。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の改変を行ってもよい。
【0090】
例えば、第3実施形態の第1切り欠き部50、第4実施形態の第2切り欠き部52及び第3切り欠き部56は、各実施形態の形状に限定されず、反応炉70を閉塞している状態において、隣接する可変炉壁板32、42同士が面接触するものであればよい。また、可変炉壁板12、22、32、42は、高さ方向に関し、各実施形態では炉壁10、20、30、40の全域に亘って設けたが、少なくとも酸化層103を含む領域に設ければよい。
【0091】
また、可変炉壁板12、22、32、42において、回動軸部材60は、可変炉壁板12、22、32、42の中央部に設けてもよい。また、複数の可変炉壁板12、22、32、42は、周方向に等間隔に配置されるが、回動軸部材60が可変炉壁板12、22、32、42の中央部に設けられている場合、周方向に異なる間隔で配置されてもよい。また、ガス化装置1、2、3、4は、実施形態では固定床ダウンドラフト方式を用いるものとして説明しているが、原料を供給する開口部72と反対側に空気の吸気口を有し、開口部72側にガス排気口を有するアップドラフト方式を用いてもよい。
【符号の説明】
【0092】
1、2、3、4 ガス化装置
10、20、30、40 炉壁
12、22、32、42 可変炉壁板
14、24、34、44 側面部
16、26、36、46 基端部
18、28、38、48 先端部
50 第1切り欠き部
52 第2切り欠き部
54 傾斜面
56 第3切り欠き部
60 回動軸部材
62 ウォームホイール
64 円筒ウォーム
66 リンク軸部材
68 自在継手
70 反応炉
72 開口部
74 火格子
80 排出部
82 灰分排出口
84 ガス排気口
90 保持フレーム
92 下枠
94 上枠
96 側枠
100 木質チップ
101 乾燥層
102 熱分解層
103 酸化層
104 還元層
105 灰層
Air 空気
G 可燃性ガス
D 灰分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10