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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】キャリアプレート及び対象物移動装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 11/48 20060101AFI20230719BHJP
   B60J 1/17 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
E05F11/48 B
B60J1/17 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020180357
(22)【出願日】2020-10-28
(65)【公開番号】P2022071409
(43)【公開日】2022-05-16
【審査請求日】2022-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】390000996
【氏名又は名称】株式会社ハイレックスコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 一彰
(72)【発明者】
【氏名】婦木 勝彦
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-307529(JP,A)
【文献】国際公開第2012/147949(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 11/48
B60J 1/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動対象物が取り付けられ、前記移動対象物を移動させる駆動力を伝達する駆動力伝達部材の端部を保持する保持部を有するキャリアプレートであって、
前記キャリアプレートが摺動するガイドレールと対向する第1面と、
前記第1面とは反対側にある第2面と、
前記第1面と前記第2面の間にあって、前記駆動力伝達部材が挿入される開口部を有する側面と、
を備えるキャリアプレート。
【請求項2】
前記保持部は、前記第2面からみて前記開口部における前記駆動力伝達部材の挿入口よりも、前記第1面に向かって深い位置に設けられており、
前記開口部に挿入された前記駆動力伝達部材の端部を前記第1面に向かって前記第2面側から斜め方向に案内する傾斜部をさらに備える、請求項1に記載のキャリアプレート。
【請求項3】
前記傾斜部は、前記開口部に挿入された前記端部が通過する空間領域を形成し、前記駆動力伝達部材が挿入される空間領域の両側にある壁面に掛け渡すように前記第2面に形成されるリブ部をさらに備える請求項2に記載のキャリアプレート。
【請求項4】
請求項1から3の何れか一項に記載のキャリアプレートを備え、前記キャリアプレートを前記駆動力伝達部材の引張りにより移動させて前記移動対象物を移動させる対象物移動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリアプレート及び対象物移動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的なキャリアプレートは、キャリアプレートのガイドレール側の面に、ケーブルエンドを収納する収納部が形成される場合がある。ところが、この種のキャリアプレートをガイドレールに取り付ける場合、まずキャリアプレートのガイドレール側の面にケーブルエンドを設置し、その後に、キャリアプレートからケーブルエンドが外れないようにしながら、キャリアプレートをガイドレールに取り付けるという手順が必要になる。従って、ウインドレギュレータを組み立てる上での作業性が悪いという課題があった。
【0003】
この対策として特許文献1に開示されるキャリアプレートでは、キャリアプレートのガイドレール側の第1面とは反対側の第2面に、ケーブルエンドを収納する収納部が形成されている。この構成により、ウインドレギュレータを組み立てる際、キャリアプレートをガイドレールに取り付けて、その後にケーブルエンドをキャリアプレートに取り付けることができる。特許文献1に開示されるキャリアプレートによれば、キャリアプレートの第1面に収納部が形成されている場合に比べて、ケーブルエンドの取付作業が容易になり、ウインドレギュレータの組み立て作業の効率が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-167637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されているキャリアプレートでは、収納部を形成する空間領域が第2面に設けられていることによって、キャリアプレートにおける窓ガラスの保持剛性が低下し得る。この対策のために、キャリアプレートの第2面に補強部材を施したり、キャリアプレートの厚みを大きくしたりすることが考えられるが、キャリアプレートが大型化するため、それを抑制したいという要望がある。
【0006】
本発明の目的は、大型化を抑制しながら組み立て作業の効率を向上させることができるキャリアプレート及び対象物移動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のキャリアプレートは、移動対象物が取り付けられ、前記移動対象物を移動させる駆動力を伝達する駆動力伝達部材の端部を保持する保持部を有するキャリアプレートであって、前記キャリアプレートが摺動するガイドレールと対向する第1面と、前記第1面とは反対側にある第2面と、前記第1面と前記第2面の間にあって、前記駆動力伝達部材が挿入される開口部を有する側面と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、大型化を抑制しながら組み立て作業の効率を向上させることができるキャリアプレート及び対象物移動装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態に係る対象物移動装置100の構成例を示す図
図2図1に示すキャリアプレート20の一部を拡大した図
図3】キャリアプレート20の正面図
図4】キャリアプレート20の斜視図
図5】キャリアプレート20の開口部23bにケーブル10bを挿入する工程を説明するための図
図6】キャリアプレート20の開口部23bにケーブル10bを挿入する工程を説明するための図
図7】キャリアプレート20の開口部23bにケーブル10bを挿入する工程を説明するための図
図8】キャリアプレート20の開口部23bにケーブル10bを挿入する工程を説明するための図
図9】キャリアプレート20の開口部23bにケーブル10bを挿入する工程を説明するための図
図10】キャリアプレート20の開口部23bにケーブル10bを挿入する工程を説明するための図
図11】キャリアプレート20の開口部23bにケーブル10bを挿入する工程を説明するための図
図12】本発明の実施の形態に係る対象物移動装置100の比較例である対象物移動装置100Aの構成例を示す図
図13】本発明の実施の形態に係る対象物移動装置100の比較例である対象物移動装置100Aの構成例を示す図
図14】キャリアプレート20Aの構成例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る対象物移動装置100の構成例を示す図である。図1には、ケーブルの端部が挿入されている状態のキャリアプレート20が示されている。図2は、図1に示すキャリアプレートの一部を拡大した図、図3は、キャリアプレート20の正面図、図4は、キャリアプレート20の斜視図である。
【0011】
例えば、図1に示す対象物移動装置100は、車両のドアのインナーパネルに取り付けられており、キャリアプレート20を移動させることにより、キャリアプレート20に取り付けられる窓ガラスを移動させるウインドレギュレータ等に適用される。本実施の形態では、移動対象物は、キャリアプレート20に取り付けられる窓ガラスとしている。適用例がウインドレギュレータの場合、キャリアプレート20の移動方向は、移動対象物である窓ガラスの昇降方向を基準として規定される上下方向である。
【0012】
対象物移動装置100は、移動対象物を移動させる駆動力を伝達する駆動力伝達部材であるケーブル10と、キャリアプレート20と、キャリアプレート20が摺動するガイドレール30とを備えている。
【0013】
(ケーブル10の構成)
ケーブル10は、不図示の駆動部により生み出された駆動力をキャリアプレート20に伝達することで、キャリアプレート20を牽引する牽引部材であり、例えば、金属素線、樹脂繊維素線などを撚り合わせた可撓性を有するケーブルである。ケーブル10は、2本のケーブル10a、10bにより構成される。
【0014】
ケーブル10aの一端は、キャリアプレート20に接続されている。ケーブル10aは、例えば、キャリアプレート20から、例えばガイドレール30の上端部に取り付けられている不図示のプーリー部などに向かって伸び、さらに当該プーリー部を経由して駆動部にまで伸びている。そして、ケーブル10aの他端は当該駆動部に接続されている。
【0015】
ケーブル10bの一端もまたキャリアプレート20に接続されている。ケーブル10bは、キャリアプレート20から、例えばガイドレール30の下端部に取り付けられている不図示のプーリー部などに向かって伸び、さらに当該プーリー部を経由して駆動部にまで伸びている。そして、ケーブル10bの他端は当該駆動部に接続されている。
【0016】
なお、駆動部は、ケーブル10の巻き取りと繰り出しを行うことによって、キャリアプレート20を移動させる装置である。駆動部は、例えば、ケーブル10が巻かれるドラムと、モータと、モータの回転をドラムに伝達するウォームギヤ等の動力伝達部とを備えている。駆動部は、例えば、ガイドレール30の端部に設けられ、ケーブル10を引き込むドラムを収納している引込部の一例である。
【0017】
モータが順方向に回転すると、モータの回転運動が動力伝達部を介してドラムに伝達されることにより、ドラムが順方向に回転する。この場合、ケーブル10aがドラムに巻き取られて、ケーブル10bがドラムから繰り出される。これによりキャリアプレート20が上昇する。
【0018】
一方、モータが逆方向に回転すると、ドラムが逆方向に回転するため、ケーブル10bがドラムに巻き取られて、ケーブル10aがドラムから繰り出される。これにより、キャリアプレート20が下降する。
【0019】
(ガイドレール30の構成)
ガイドレール30は、窓ガラスの移動方向に延伸し、キャリアプレート20の昇降を案内する部材である。ガイドレール30には、キャリアプレート20を移動可能に支持する案内部31が形成される。
【0020】
(キャリアプレート20の構成)
キャリアプレート20は、窓ガラスを保持しながら、ガイドレール30上で窓ガラスを昇降移動させる部材である。
【0021】
キャリアプレート20は、ガイドレール30と対向する第1面221と、第1面221とは反対側にある第2面222と、第1面221と第2面222の間に設けられる側面223とを備える。またキャリアプレート20は、ガイドレール30上で昇降移動する被案内部201と、窓ガラスを取り付ける取付部202と、ケーブル10を収納する収納部203とを備える。
【0022】
(被案内部201の構成)
被案内部201は、ガイドレール30に形成された案内部31に係り止めされることにより、ガイドレール30に移動可能に取り付けられる。被案内部201は、取付部202及び収納部203と一体に形成されている。
【0023】
(収納部203の構成)
図2に示すように、収納部203は、開口部23a、開口部23b、突起部24、保持部25、傾斜部26及びリブ部27を備える。以下では、開口部23a及び開口部23bを区別しない場合、「開口部23」と称する。なお、傾斜部26は、図2に点線で示される2つの四角の領域の間に設けられている。
【0024】
(開口部23の構成)
開口部23aは、ケーブル10aの端部を挿入できるように、キャリアプレート20の上側の側面223に開口している。開口部23bは、ケーブル10bの端部を挿入できるように、キャリアプレート20の下側の側面223に開口している。
【0025】
開口部23には、突起部24、保持部25、傾斜部26、及びリブ部27が設けられている。
【0026】
(突起部24の構成)
突起部24は、開口部23内の第1領域において、開口部23に挿入されたケーブル10の端部を、開口部23の奥側に配置される傾斜部26に向かって案内するとともに、開口部23内の第2領域に配置されたケーブル10の端部がキャリアプレート20の外部に抜け出ることを制限する。なお、第1領域及び第2領域の詳細については後述する。
【0027】
突起部24は、開口部23を形成している壁面231に設けられている。本発明の実施の形態では、一定距離隔てて互いに離れて配置される2つの突起部24が開口部23に形成されている。
【0028】
(保持部25の構成)
保持部25は、ケーブル10の端部を収納部203における開口部23内の第2領域に保持するための部材である。保持部25は、開口部23を形成している壁面231に設けられている。
【0029】
保持部25は、ケーブル10の端部に設けられているスプリング12が接する当接面251と、当接面251にスプリング12が接した状態でケーブル10をキャリアプレート20の外部に引き出すための引出口252とを有する。
【0030】
スプリング12は、ケーブル10が経年変化によって伸びた場合に、ケーブル10が伸びた分を補償するため、ケーブル10を牽引する部材である。
【0031】
(傾斜部26の構成)
傾斜部26は、開口部23に形成される第1領域に挿入されたケーブル10の端部を、第1領域から第2領域に向かって案内するための部材である。なお、傾斜部26の詳細については後述する。
【0032】
次に図5から図11を参照して、ケーブル10の端部をキャリアプレート20に挿入する工程について説明する。
【0033】
図5から図11は、キャリアプレート20の開口部23bにケーブル10bを挿入する工程を説明するための図である。
【0034】
図5には、ケーブル10bの端部が、キャリアプレート20の開口部23bに形成されている第1領域挿入された状態が示されている。
【0035】
図6には、第1領域に挿入されたケーブル10bの端部がさらに押し込まれた状態が示されている。このようにケーブル10の端部が押し込まれると、ケーブルエンド11が図7などに示される傾斜部26に接する。
【0036】
図7図11には、傾斜部26と、ケーブル10bの一端に固定される金属製の部材であるケーブルエンド11と、スプリング12とを含む平面で切断した、キャリアプレート20の断面が示されている。図7から図9には、ケーブルエンド11が傾斜部26に接している状態が示されている。
【0037】
図7などに示される第1領域23b1は、開口部23bに挿入されたケーブル10bの端部が通過する空間領域である。第1領域23b1は、開口部23bの領域の内、突起部24よりもキャリアプレート20の第2面222側に形成されている空間領域である。
【0038】
傾斜部26は、図8に示すように、例えば、ガイドレール30の延伸方向と垂直な方向に伸びる仮想線40に対して所定角度(例えば30°~60°)で傾斜している。このため、ケーブルエンド11が傾斜部26に接した状態で、さらにケーブル10bが押し込まれると、図9に示すように、ケーブルエンド11が傾斜部26の表面を滑りながら、開口部23bの第2領域23b2に誘導される。
【0039】
第2領域23b2は、ケーブル10bの端部を開口部23bに保持するための空間領域である。第2領域23b2は、開口部23bの一部の領域であって、開口部23bの領域の内、突起部24よりもキャリアプレート20の第1面221側に形成されている空間領域である。
【0040】
このように、ケーブルエンド11が傾斜部26の表面を滑っている場合、スプリング12の後端部(スプリング12の左側の端部)は、突起部24に接した状態になっているため、第1領域23b1に存在している。
【0041】
さらにケーブル10bが押し込まれると、ケーブルエンド11は、図10に示すように、傾斜部26の下側に形成される空間に入り込む形となるため、スプリング12の後端も第2領域23b2に誘導される。
【0042】
そして、図11に示すように、矢印の方向Dに対して、ケーブル10bを引くことによって、スプリング12の端部(スプリング12の後端部)が、保持部25の当接面251に接触する。これにより、保持部25の当接面251によって、ケーブル10bの延伸方向への移動が制限される。
【0043】
また、スプリング12の端部が保持部25の当接面251に接触している状態では、突起部24によって、ケーブル10bの端部の第1領域23b1側への移動が制限される。このため、ケーブル10bの端部が開口部23bから抜け出ることを防止できる。
【0044】
図12及び図13は、本発明の実施の形態に係る対象物移動装置100の比較例である対象物移動装置100Aの構成例を示す図である。
【0045】
図12及び図13に示すように、比較例に係る対象物移動装置100Aは、図1に示すキャリアプレート20の代わりに、キャリアプレート20Aを備える。
【0046】
図12には、キャリアプレート20Aが取り付けられているガイドレール30の正面が示され、図13には、キャリアプレート20Aが取り付けられているガイドレール30の背面が示されている。ガイドレール30の背面は、車両のインナーパネルと対向する面である。
【0047】
図14は、キャリアプレート20Aの構成例を示す図である。図14に示すように、キャリアプレート20Aは、図1に示す収納部203の代わりに、収納部203Aを備える。
【0048】
収納部203Aには、図1に示す開口部23の代わりに、ケーブル10の端部を保持するための凹部23Aが形成されている。凹部23Aは、キャリアプレート20Aの第1面221、すなわちガイドレール30の正面と向き合う面に形成されている。
【0049】
このように構成される対象物移動装置100Aを組み立てる場合、まず、ガイドレール30に取り付けられる前のキャリアプレート20Aの凹部23Aに、ケーブルエンド11とスプリング12を設置する。
【0050】
その後、キャリアプレート20Aからケーブルエンド11が外れないようにしながら、キャリアプレート20Aをガイドレール30に取り付ける。
【0051】
これにより、図12に示すように、ガイドレール30とキャリアプレート20Aとの間に、ケーブルエンド11とスプリング12が設置された状態となるため、ガイドレール30とキャリアプレート20Aとの間の隙間から、ケーブル10の端部が抜け出ることを防止できる。
【0052】
しかしながら、比較例に係るキャリアプレート20Aを用いた場合、前述したように、キャリアプレート20Aからケーブルエンド11が外れないようにしながら、キャリアプレート20Aをガイドレール30に取り付ける必要がある。そのため、対象物移動装置100Aを組み立てる上での作業性が悪いという課題がある。
【0053】
この対策として、例えば、キャリアプレート20Aの第2面222に、凹部23Aを設けた場合、ガイドレール30にキャリアプレート20Aが取り付けられている状態で、キャリアプレート20Aにケーブル10の端部を固定することが可能になる。
【0054】
ただし、このように構成した場合、凹部23Aからケーブル10の端部が外れないようにするための対策として、例えば、凹部23Aを閉塞する部材などが必要になる。
【0055】
また、キャリアプレート20Aでは、凹部23Aを形成する空間領域が第1面221に設けられていることによって、キャリアプレート20Aにおける窓ガラスの保持剛性が低下し得る。
【0056】
この対策のために、キャリアプレート20Aの第2面222に補強部材を施した場合、キャリアプレート20Aの厚みが大きくなり、キャリアプレート20Aが大型化する可能性がある。
【0057】
これに対して、本発明の実施の形態に係るキャリアプレート20では、キャリアプレート20の第1面221と第2面222の間にあって、ケーブル10が挿入される開口部23を備えている。これにより、ガイドレール30にキャリアプレート20が取り付けられている状態で、開口部23にケーブル10の端部を挿入するだけで、ケーブル10をキャリアプレート20に固定することができる。
【0058】
また、ケーブル10の周りの開口部23の壁面が補強の役割を果たすので、キャリアプレート20の第2面222に大規模な補強を行う必要はなく、キャリアプレート20の大型化を抑制することができる。ケーブル10の周りの開口部23の壁面が補強の役割を果たすことによって、窓ガラスの保持剛性が低下することを防止できる。また、キャリアプレート20が、例えば湾曲する窓ガラスの形状に合わせて曲げられたガイドレール30に設置されている場合、キャリアプレート20にケーブル10の引張り応力が作用しても、キャリアプレート20の十分な強度を確保できる。
【0059】
また、図7に示すように、傾斜部26は、開口部23に挿入されたケーブル10の端部が通過する空間領域(第1領域23b1)を形成し、ケーブル10の両側にある壁面231に掛け渡すように、キャリアプレート20の第2面222に形成されるリブ部27をさらに備えている。
【0060】
これにより、ケーブル10の開口部23への挿入が阻害されず、また、キャリアプレート20を大型化させずに、開口部23を補強することができるため、上記の効果に加えて、キャリアプレート20の信頼性を高めることができるという効果を得ることができる。
【0061】
なお、例えば、以下のような態様も本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0062】
(1)キャリアプレートは、移動対象物が取り付けられ、前記移動対象物を移動させる駆動力を伝達する駆動力伝達部材の端部を保持する保持部を有するキャリアプレートであって、前記キャリアプレートが摺動するガイドレールと対向する第1面と、前記第1面とは反対側にある第2面と、前記第1面と前記第2面の間にあって、前記駆動力伝達部材が挿入される開口部を有する側面と、を備える。
【0063】
(2)前記保持部は、前記第2面からみて前記開口部における前記駆動力伝達部材の挿入口よりも、前記第1面に向かって深い位置に設けられており、前記第1面に向かって挿入された前記駆動力伝達部材の端部を前記保持部に前記第2面側から斜め方向に案内する傾斜部をさらに備える。
【0064】
(3)前記傾斜部は、前記開口部に挿入された前記端部が通過する空間領域を形成し、前記駆動力伝達部材が挿入される空間領域の両側にある壁面に掛け渡すように前記第2面に形成されるリブ部をさらに備える。
【0065】
(4)対象物移動装置は、上記のキャリアプレートを備え、前記キャリアプレートを前記駆動力伝達部材の引張りにより移動させて前記移動対象物を移動させる。
【0066】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等などの意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0067】
以上、本発明の実施の形態について説明した。なお、以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されない。つまり、上記装置の構成や各部分の形状についての説明は一例であり、本発明の範囲においてこれらの例に対する様々な変更や追加が可能であることは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明に係るキャリアプレート及び対象物移動装置は、大型化を抑制しながら組み立て作業の効率を向上させることができる装置として有用である。
【符号の説明】
【0069】
10 ケーブル
10a ケーブル
10b ケーブル
11 ケーブルエンド
12 スプリング
20 キャリアプレート
20A キャリアプレート
23a 開口部
23A 凹部
23b 開口部
23b1 第1領域
23b2 第2領域
24 突起部
25 保持部
26 傾斜部
27 リブ部
30 ガイドレール
31 案内部
40 仮想線
100 対象物移動装置
100A 対象物移動装置
201 被案内部
202 取付部
203 収納部
203A 収納部
221 第1面
222 第2面
223 側面
231 壁面
251 当接面
252 引出口
D 矢印の方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14