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特許7315543細胞を計数および/または特性化するための測定キュベット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】細胞を計数および/または特性化するための測定キュベット
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/05 20060101AFI20230719BHJP
   G01N 15/14 20060101ALI20230719BHJP
   G01N 15/12 20060101ALI20230719BHJP
   G01N 33/49 20060101ALI20230719BHJP
   G01N 27/02 20060101ALI20230719BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
G01N21/05
G01N15/14 C
G01N15/12 A
G01N33/49 H
G01N27/02 D
C12M1/34 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020522792
(86)(22)【出願日】2018-06-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-09-03
(86)【国際出願番号】 FR2018051605
(87)【国際公開番号】W WO2019002787
(87)【国際公開日】2019-01-03
【審査請求日】2021-02-17
(31)【優先権主張番号】1755974
(32)【優先日】2017-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】520005152
【氏名又は名称】ディアグドゥヴ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ベノワ・メルシェ
【審査官】横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/077765(WO,A1)
【文献】特開昭61-013139(JP,A)
【文献】特表2003-515337(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0129688(US,A1)
【文献】特開2006-171010(JP,A)
【文献】特開平11-281564(JP,A)
【文献】特開2014-215041(JP,A)
【文献】特開2005-221327(JP,A)
【文献】米国特許第04673289(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/83
G01N 15/00 - G01N 15/14
G01N 27/02
C12M 1/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞を列挙および/または特性化するための測定キュベット(1)であって、ベース(11)と、前記ベース(11)と共に光学測定チャンバ(13)を形成するように前記ベース(11)から延在する透明側方エンクロージャ(12)とを備え、前記透明側方エンクロージャ(12)は球状外方表面(122)及び角柱状内方表面(121)を有し、前記ベース(11)は、細胞が通過するための直径30μm~100μmの貫通オリフィス(111)を有する、測定キュベット(1)において、
前記ベース(11)および前記透明側方エンクロージャ(12)は、インピーダンス測定および光学測定の両方に適した一個片キュベット(1)を形成し、
前記ベース(11)は、錐台の側方表面(1121)と小径表面(1122)との組合せである上方表面(112)を有し、前記貫通オリフィス(111)は、前記上方表面(112)の前記小径表面(1122)に対応する部分にて前記ベース(11)を横断することを特徴とする、測定キュベット(1)。
【請求項2】
前記ベース(11)は、錐台の側方表面(1131)と小径表面(1132)との組合せである下方表面(113)を有し、前記貫通オリフィス(111)は、前記下方表面(113)の前記小径表面(1132)に対応する部分にて前記ベース(11)を横断する、請求項1に記載の測定キュベット(1)。
【請求項3】
前記ベース(11)は、前記小径表面(1122、1132)に対応する部分に40μm~100μmの間の厚さを有する、請求項1または2に記載の測定キュベット(1)。
【請求項4】
前記光学測定チャンバ(13)内に開口する取入れオリフィスを有する流体取入れ部(16)をさらに備え、前記取入れオリフィスは、前記貫通オリフィス(111)よりも低い、請求項1から3のいずれか一項に記載の測定キュベット(1)。
【請求項5】
記球状外方表面(122)の中心が、前記貫通オリフィス(111)の出口におよび前記貫通オリフィス(111)の近傍に位置する、請求項1から4のいずれか一項に記載の測定キュベット(1)。
【請求項6】
前記球状外方表面(122)の前記中心は、前記貫通オリフィス(111)の前記出口から200μm~600μmの間に位置する、請求項5に記載の測定キュベット(1)。
【請求項7】
前記透明側方エンクロージャ(12)の上方表面(124)上にシールハウジング(15)をさらに備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の測定キュベット(1)。
【請求項8】
前記ベース(11)の下方にサブベース(14)をさらに備え、前記サブベース(14)は、前記ベース(11)および前記透明側方エンクロージャ(12)と共に前記一個片キュベット(1)を形成し、前記サブベース(14)は、V字形状センタリング要素(141)を備える側方表面を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の測定キュベット(1)。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の測定キュベット(1)と、キュベット支持部(2)とを備える、細胞を特性化するためのシステム(10)。
【請求項10】
前記測定キュベット(1)は、請求項8に記載のものであり、前記キュベット支持部(2)は、交差部にて交差する2つの溝(21、22)を有し、横断プロファイルが、V字形であり、前記交差部は、前記測定キュベット(1)のための座部を形成する、請求項9に記載の細胞を特性化するためのシステム(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フローサイトメトリの技術分野に、詳細には測定キュベットおよびかかる測定キュベット用の支持部などのフローサイトメトリ付属品に関する。
【背景技術】
【0002】
現行では、フローサイトメトリは、例えばサイズ、細胞内含有量、そのDNA含量等の、細胞の特徴および特性を判定することが可能である。また、フローサイトメトリは、ある細胞集団内におけるこれらの特徴の偏差および分布を調査して、最終的には例えば血液を構成する様々な細胞の分別など、細胞間における小集団の識別を結果としてもたらすことが可能である。
【0003】
さらに、フローサイトメトリは、迅速な方法である。典型的には、1分あたり数千個の細胞が特性化される。したがって、フローサイトメトリは、極めて少ない細胞小集団の列挙および特性化を可能にする。これらの小集団の極少性により、とりわけこれらの小集団に関してなされる統計的に許容され得る測定回数を実現することが不可能であるため、顕微鏡検査によるそれらの小集団の観察および特性化は一般的に可能ではない。
【0004】
さらに、近年における光学センサの改良および特に次第に低強度化される信号を検出するそれらの光学センサの能力により、細胞の体積を測定することと、一方ではインピーダンス測定によりおよび他方では光学測定により細胞含有量に関する情報を取得することとの両方が可能となる。
【0005】
フローサイトメトリは、本質的には細胞のサイズに対して大きな断面の液体流中に細胞を個別に通過させることからなる。この液体流は、ノズルで終端し、このノズルは、2つまたは複数の細胞が同時にまたは経時的に過度に近接して通過するのを防止するようにサイズ設定されたオリフィスを有する。流量が液体流とオリフィスとの間において一定である場合に、液体流直径が縮小するにつれて細胞速度は上昇し、細胞は、ノズルの直径を有する液体ジェット中に1秒当たり数千個程度の速度をノズルの出口にて達成する。
【0006】
細胞の体積測定は、ノズルオリフィスの各側におけるインピーダンスを測定することにより実施される。実際に、細胞の体積は、導電媒質中における細胞の通過により誘発されるインピーダンス変動と相関性があり(コールターシステム)、細胞は、電気的に絶縁性を有するものとして見なされる。体積は、細胞の形状に関係なく無条件に判定される。
【0007】
さらに、ノズルオリフィス中の細胞の通過により、細胞のある特定の流体力学的センタリングおよびさらに配向がもたらされる。したがって、ノズルから流出し細胞を含むジェットを励起源により発せられた光線中に正確に位置決めすることが可能となる。細胞がこの光線を横断する時に、細胞は、細胞の特性を判定するためにサイトメータによる利用に適したある特定数の光信号を散乱する。これらの光信号には、
- 入射光線の一部分の反射により表わされる、液体と細胞との間のさらに細胞の異なる構成要素間の屈折率における相違に起因する、細胞上の光反射と、
- 細胞に進入する光線の偏向により表される細胞上の光屈折と、
- 本質的に数度~360°の立体角までに及ぶ立体角の下における細胞上の光偏向と
を含む。
【0008】
全てのこれらの信号は、集光システムにより集められ、次いで光学フィルタシステムによりそれらの波長(20nm~50nmまたは30nm~40nmの間の中~高波)に応じて分離され、最終的に様々な光学センサに到達する。これらの様々なセンサは、
- 細胞の前方散乱を測定することと、
- 細胞の側方散乱を測定することと、
- 細胞の吸光度を測定することと、
- 細胞の蛍光性を測定することと
に適し得る。
【0009】
前方散乱は、細胞膜の表面上に到達した入射光の一部分の、細胞膜の表面による散乱に起因する。この散乱光の部分は、入射光と同一の波長を有する。この散乱光の部分は、入射光の軸に沿って感知される。この散乱光の部分は、細胞のサイズおよび平均屈折率に関する情報を提供する。
【0010】
側方散乱は、細胞膜を通過した入射光の部分の全ての空間方向への細胞内小器官による散乱に起因する。側方散乱は、光電子増倍管またはアバランシェフォトダイオードにより感知され得る。屈折特性および反射特性を利用して、側方散乱は、細胞含量の微小な不均質性に関する情報を提供する。
【0011】
吸光度は、安定した励起源を必要とする。吸光度は、細胞の直径に対して、および細胞内小器官の吸収率に対して比例する。
【0012】
細胞が1つまたは複数の蛍光色素で標識化される場合には、これらの蛍光色素は、励起中に、励起源よりも大きな1つまたは複数の波長にて全ての空間方向において蛍光を発する。干渉フィルタが、様々な蛍光波長の分離(一般的には20~50nmまたは30~40nmの中~高波スペクトルへと)を可能にし、これらの蛍光波長のそれぞれが、光電子増倍管へと送られる。測定される蛍光の強度は、細胞に結合された蛍光色素分子の個数に依存する。例えば、細胞の細胞膜を受動的に横断しDNAと特定的に結合する蛍光色素であるDRACQ5マーカを使用する場合には、有核細胞に関する情報を抽出することが可能である。DRACQ5マーカは、622nm~676nmの2つの吸収ピークと、240nm~314nmの紫外領域内の2つの他の吸収ピークとを有する。DRACQ5は、665nm~800nmの間の波長を有する赤色領域で蛍光を発する。一般的に使用されるフィルタは、90°の入射ビームにて650nm未満の全てのスペクトル成分を反射し、650nm超のスペクトル成分を伝播するダイクロイックタイプフィルタである。光源の所与の定義を前提とした場合に、第1のフィルタは、50nm程度の帯域幅を有する光源の波長にて自然にセンタリングされる。したがって、この設定では、各粒子ごとに3つの物理量を、すなわち粒子の体積を表す電気的測定値、細胞の屈折度に関係する消光測定値、および最終的に分析される細胞の核酸含有量に関係する蛍光測定値を測定することが可能となる。
【0013】
フローサイトメトリは、血液学的調査に対して有利に利用されて、様々なウイルス、病原菌、および寄生生物の診断および治療モニタリング、ならびに健康な細胞の機能調査を可能にする。フローサイトメトリにより、種々のタイプの血液細胞を計数および特性化することが可能となる。
【0014】
例えば、白血球に対して適用されるフローサイトメトリは、白血球の合計数を確認し、形態構造に応じて白血球を分別し、細胞体積のインピーダンス測定および吸光測定により3つの異なるタイプへと白血球を分類することを可能にする。
【0015】
第1のタイプは、大きな細胞(直径20nm~40μm)である単核細胞のタイプである。単核細胞の核の形状は、円形、楕円形、腎臓形、または全くの不規則形状である場合があり、最も多いケースは、腎臓形状である。単核細胞の核のクロマチンは、低濃度であり、凹凸が無く、規則的な構造を有する。血液中の単核細胞の滞留時間は、組織通過までの2日間であり、骨髄通過時間は、1~2日間である。単核細胞は、活性化されるとマクロファージになる。それらは、細菌、全細胞、および例えば埃などの様々ないわゆる汚染物質粒子に対して食作用を働かせ得る。
【0016】
第2のタイプは、免疫システムにおいて主要な役割を果たすリンパ球のタイプである。リンパ球は、異なるサイズの2つの群に、すなわち
- 核の単一側において一般的に延在する非外延的なややまたは若干において好塩基性である細胞質を有する、円形形状または楕円形形状の、時としては腎臓形の核を有する小サイズリンパ球(直径7μm~9μm)、ならびに
- 小サイズリンパ球の細胞質よりも外延的であり核を完全に囲む細胞質を有する、中心位置にまたは若干偏心位置に核を有する大サイズリンパ球(直径9μm~15μm)
に分けられ得る。
【0017】
多核細胞としても知られる顆粒球のタイプであり、主要な機能が病原菌からの保護である第3のタイプは、3つの下位カテゴリーに分別され得る。
【0018】
最初に、好中球が、最も多い顆粒球である(約96%)。好中球は、円形形状を有し、12μm~14μmの直径を有する。好中球は、それらの核の多葉形状により特性化される(3~5個の小葉)。好中球は、組織通過までに2日間の血中滞留時間と、10~14日間の顆粒前駆体の骨髄通過時間とを有する。好中球の骨髄貯蔵分画が存在する。好中球は、細菌を死滅させることにおいて非常に有効であり、急性タイプの炎症中に優勢となる。好中球の本質的な役割は、細菌および酵母などの外来微生物から身体を防衛することである。好中球の排泄機能は、局所的炎症組織の反応を促進し、その組織の防御に寄与する。
【0019】
次に、好塩基球が、非常に少なく、白血球のわずかに約0.5%を構成する。好塩基球は、10μm~14μmの直径を有する。好塩基球の二葉核は、比較的非常に多数であり細胞中にわたり分散された特定の顆粒によってマスクされる。好塩基球の血中滞留時間は、12~14時間であり、組織通過は知られていない。骨髄通過時間は、好中球の骨髄通過時間と同等となる。好塩基球の重要な機能は、好酸球を引き寄せることである。
【0020】
最後に、好酸球が、循環する白血球の約2%~5%を構成する(約350個/mm)。好酸球は、二葉核により、およびとりわけ球状の顆粒(直径0.5~1.5μm)の出現により特徴づけられる、直径12μm~14μmの細胞である。好酸球は、アズール顆粒を含む。好酸球の多核細胞は、アレルギー性炎症および抗寄生虫防御において重要な細胞である。好酸球の分布は、とりわけ有機組織的であり、循環部分は、好酸球の合計数のわずかに1%を構成するにすぎない。好酸球の血中通過時間は、骨髄から退出後のおよび組織(特に小腸、肺、皮膚、および子宮)中での沈着までの3~8時間であり、その組織中において数十日の寿命を有することになる。
【0021】
さらなる例では、赤血球および血小板の合計数を判定することと、形態構造に応じてそれらを分別することと、細胞体積のインピーダンス測定および吸光測定によりそれらを分類することとが可能となる。
【0022】
フローサイトメトリの他の適用は、網状赤血球、赤芽球、未熟細胞および白血球前駆細胞、活性化リンパ球、または依然として架橋状態にある血小板などの種々のタイプの血液細胞の特性化および/または列挙により明白な診断上の重要点を示す。
【0023】
細胞の体積のインピーダンス測定は、ベースにオリフィスを有するキュベットを備えるデバイスを使用し、このオリフィスの約50μmの直径により、液体流中の細胞の個別の通過が可能となる。オリフィスの上流において、液体流は、特性化されることとなる細胞を含む試料ジェットと、この試料ジェットを囲むことにより試料ジェットのハイドロフォーカシングを可能にするシースジェット(一般的には生理食塩水)とから形成される。電圧計の端子は、電極に電気接続され、これらの電極の1つは、オリフィスおよび他方の下流電極の上流側に配設され、Oリングが、これらのレベルにおける耐密性を確保するために必要とされる。細胞の通過時に観察される電圧変動は、細胞の体積を表す。
【0024】
キュベットのベースは、非常に高コストである合成ルビーなどの宝石から作製された直径数ミリメートルおよび厚さ数ミクロンのディスクから一般的に製造される。貫通オリフィスは、このディスク中に機械加工され、次いでディスクは、ノズルの端部に手動的に圧着される。この圧着作業は、微小クラックが発生する場合がありしたがって正電極と負電極との間における抵抗の変更を生じさせしたがってインピーダンス測定を不正確なものにするため、リスクを伴わないものではない。
【0025】
光学測定に関して、この光学測定は、液体流中の細胞の個別の通過を可能にする80μmの直径を有するオリフィスを中心に有する平坦ベースから、およびこのベースに対して押し付けられた透明エンクロージャから形成されたキュベットを備えるさらなるデバイスを使用する。エンクロージャとベースの間はシールによりこれらの2つ部分の間の耐密性を確保する。ベースのすぐ近傍のエンクロージャの下方部分における二次シース入力により、400μm長さにわたり試料流に同伴するように試料流をシースするためのシースジェットの、試料流が励起源により発せられた光線と交差する位置への到着が可能となる。第2のシールが、キュベットの上方部分における耐密性を確保するために必要とされる。
【0026】
体積測定および光学測定を同時に実施するために、光学測定デバイス用のベースとして体積測定デバイスのベースを使用して、これらの2つのデバイスを単一のデバイスに組み合わせることが可能である。しかし、構成が、4つのシールの使用を必要とする。さらに、様々な要素間に漏れが無いことを保証することができない。§§
【先行技術文献】
【特許文献】
【0027】
【文献】国際公開第2017/029210号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
本発明の1つの目的は、先行技術の欠点の中の少なくとも1つを改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0029】
これを目的として、本発明は、細胞、特に血液細胞を列挙および/または特性化するための測定キュベットであって、ベースと、ベースと共に光学測定チャンバを形成するようにベースから延在する透明側方エンクロージャとを備え、ベースが、細胞が通過するための直径30~100μmの貫通オリフィスを有する、測定キュベットにおいて、ベースおよび透明側方エンクロージャが、インピーダンス測定および光学測定の両方に適した一個片キュベットを形成することを特徴とする、測定キュベットを提供する。
【0030】
この一個片測定キュベットにより、細胞体積測定および光学測定の両方のために以前は必要とされた4つのシールの中の3つが無い状態で済ますことが可能となる。実際に、この一個片の性質により、測定キュベットは、貫通オリフィスと光学測定チャンバとの間に、および正電極と様々な液体(シース液、Lysis等)を排出する役割を果たすパーツとの間にシールをもはや必要としない。さらに、この測定キュベットは、数マイクロ秒の間隔での同一の細胞に対するインピーダンス体積測定および光学測定を可能にする。
【0031】
以下、さらなる任意のおよび非限定的な特徴を説明する。
【0032】
ベースは、錐台の側方表面と小径表面との組合せである上方表面を有してもよく、貫通オリフィスは、上方表面の小径表面に対応する部分にてベースを横断する。
【0033】
ベースは、錐台の側方表面と小径表面との組合せである下方表面を有してもよく、貫通オリフィスは、下方表面の小径表面に対応する部分にてベースを横断する。
【0034】
ベースは、小径表面に対応する部分に40~100μmの間の厚さを有し得る。
【0035】
キュベットは、測定チャンバ内に開口する取入れオリフィスを有する流体取入れ部をさらに備えてもよく、取入れオリフィスは、貫通オリフィスよりも低い。
【0036】
エンクロージャは、球状外方表面を有してもよく、球状外方表面の中心が、貫通オリフィスの出口におよび貫通オリフィスの近傍に位置する。球状外方表面の中心は、貫通オリフィスの出口から200~600μmの間に位置してもよい。
【0037】
キュベットは、エンクロージャの上方表面上にシールハウジングをさらに備えてもよい。
【0038】
キュベットは、ベースの下方にサブベースをさらに備え、サブベースは、ベースおよびエンクロージャと共に一個片キュベットを形成し、サブベースは、V字形状センタリング要素を備える側方表面を有する。
【0039】
また、本発明は、上述のような測定キュベットとキュベット支持部とを備える、細胞、特に血液細胞を特性化するためのシステムを提供する。キュベット支持部は、交差部にて交差する2つの溝を有してもよく、横断プロファイルが、V字形であり、交差部は、測定キュベットのための座部を形成する。
【0040】
さらなる目的、特徴、および利点が、添付の図面を参照として、例示としておよび非限定的なものとして与えられる以下の説明を読むことにより明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本発明による測定キュベットの斜視図である。
図2図1の測定キュベットの面Pに沿った断面図である。
図3図2に示す貫通オリフィスの拡大図である。
図4図2における測定キュベットに至るプレフォームの面Pに沿った断面図である。
図5】キュベット支持部上の図1の測定キュベットの斜視図である。
図6図5の測定キュベットおよびキュベット支持部と、光学測定に必要な様々な光学素子とを備える測定システムの斜視図である。
図7図6に示す面Pに沿った、測定システムの光学中心を通過する断面図である。
図8図1の測定キュベットを作製するための方法のステップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本開示全体を通じて、空間的用語は、測定キュベットの通常の動作位置に関して決定される。
【0043】
測定キュベット。
以下、図1図4を参照として、本発明による細胞を列挙および/または特性化するための測定キュベット1を説明する。
【0044】
測定キュベット1は、ベース11と、ベース11と共に光学測定チャンバ13を形成するようにベース11から延在する透明側方エンクロージャ12とを備える。ベースは、細胞を通過させるための直径30~100μmの貫通オリフィス111を有する。ベース11およびエンクロージャ12は、インピーダンス測定および光学測定の両方に適した一個片キュベットを形成する。
【0045】
有利には、貫通オリフィス111は、40~80μmの、または50~60μmの平均直径を有する。有利には、貫通オリフィス111は、円形ベースを有する円筒状である。この円形ベースの形状は、測定を妨害しないという利点を有する。実際に、市販のレーザを使用した微細機械加工により得られるオリフィスは、レーザにより発せられるビームのガウスエネルギープロファイルにより自然な円錐性を有する。しかし、テーパ状オリフィスは、細胞がテーパ状オリフィスを通過するときに細胞により形成されるパルスの形状を、特にパルス幅を変更することによって、時として著しく変更する。
【0046】
ベース11は、上方表面112をさらに有してもよく、この上方表面112は、好ましくは直円錐としても知られる回転錐台である錐台の側方表面1121と小径表面1122との組合せである。対応する円錐頂角は、優先的には20°~60°の間である。小径部は、0.5~1.5mmの間、好ましくは約1mmであってもよい。次いで、貫通オリフィス111が、上方表面112の小径表面1122に対応するその部分にてベース11を貫通して延在する。したがって、ベース11の上方表面112は、光学測定チャンバ13を貫通する。ベース11の上方表面112を光学測定チャンバ13内へと貫通することにより、測定は、貫通オリフィスの断面に対応する限定空間内で測定が実施されるキュベットとは異なり、開放空間内で実施されることが可能となる。開放空間内での測定の実施は、洗滌による測定ゾーンの洗浄を容易化する利点を有する。錐台のスロープにより、貫通オリフィス111の出口を励起源により発せられる光線の焦点に可能な限り近くに配置しつつ、光学開口に対して適合化することが可能となる(以下を参照)。
【0047】
追加的にはまたは代替的には、ベース11は、下方表面113をさらに有してもよく、この下方表面113は、好ましくは回転錐台である錐台の側方表面1131と小径表面1132との組合せである。対応する円錐頂角は、優先的には20°~60°の間である。次いでこの場合に、貫通オリフィス111は、下方表面113の小径表面1132に対応する部分にてベース11を貫通して延在する。したがって、ベース11の下方表面113は、錐台の大径ベースに相当する入力から貫通オリフィス111に至るまで集束チャンバ114を画定する。かかる構成は、列挙および/または特性化されることとなる、ならびに小径表面1132に向かって側方に噴射されたシース流により貫通オリフィス111に向かって中心に送られることとなる細胞を含む試料流にシースすることを可能にし、したがって試料ジェットの正確な水力学的センタリングを確保する。この構成は、「ハイドロフォーカシング」として知られる。
【0048】
ベース11が、上述のように上方表面112および下方表面113の両方を有する場合に、これらの表面は、下方表面113上の貫通オリフィス111の入口および上方表面112上の貫通オリフィス111の出口が共通の長手方向軸上に位置するように、互いに対して芯合わせされる。
【0049】
好ましくは、ベース11は、貫通オリフィス111の近傍に、特に上方表面112および下方表面113の小径表面1122、1132に対応する部分にて、40~100μmの間の厚さを有する。有利には、この厚さは、50~80μm、55~70μm、または約60μmである。
【0050】
エンクロージャ12は、内方表面121を有し、この内方表面121の形状は、方形ベースの直円柱の側方表面の形状である。この側方表面のベースを形成する方形の側部は、好ましくは3~7mm、4~6mm、または4.5~5.5mmの間で選択され、優先的には約5mmである。円形、三角形等のベースに関する他の形状が選択されてもよい。好ましくは、ベースの形状は、規則的幾何学形状であってもよく、すなわち少なくとも1つの対称要素を、好ましくは対称中心または対称軸を有する。
【0051】
追加的にはまたは代替的には、エンクロージャ12は、球状外方表面122を有し、対応する球体の中心は、貫通オリフィス111の出口におよび貫通オリフィス111の近傍に位置する。
【0052】
球状外方表面122および方形ベース直円柱内方表面121の組合せは、3つまたは4つの集束レンズ123を形成し、これらの集束レンズ123はそれぞれ、内方表面121の面に対応し、レンズの焦点は、球状外方表面122に対応する球体の中心である。したがって、測定キュベット1は、その構造にこれらのレンズを組み込み、このことは、測定キュベットと一方では励起源との間におよび他方ではセンサとの間に集束レンズを使用できるように有さなければならないこと、ならびに対応する調節を実施しなければならないことからユーザを解放することによって、測定システムの総コストを引き下げる助けとなる。さらに、かかる構造は、測定システムの球面収差を著しく軽減して、測定点における最大出力を保証する。さらに、0.5程度の開口数が、市販のデバイスとは異なりレンズを使用することなく実現され得る。
【0053】
さらに、貫通オリフィス111の出口におよび貫通オリフィス111の近傍にレンズ123の焦点を配置することにより、細胞が貫通オリフィス111から外にまさに出て試料流のセンタリングが最適であるときに、細胞に関する光学測定が可能となる。実際に、細胞が貫通オリフィスの出口からより離れるように移動するほどに、細胞の位置はより不確定になり、細胞が試料ジェットに対して芯ずれ状態になるリスクがより高くなる。
【0054】
したがって、球状外方表面122の中心は、具体的にはベース11の上方表面112および下方表面113が回転錐台の側方表面および小径表面の組合せに相当する場合にベース11の上方表面112および下方表面113の長手方向軸と平行である試料流の方向において、貫通オリフィス111の出口から、好ましくは200~600μm、300~500μm、または350~450μmの間に、好ましくは約400μmに位置する。
【0055】
さらに、エンクロージャ12は、その上方表面124上に、優先的にはOリングであるシールを受けるためのシールハウジング15を備え得る。
【0056】
測定キュベット1は、測定チャンバ13内に開口する取入れオリフィスを有する流体取入れ部16をさらに備えてもよい。この取入れオリフィスは、貫通オリフィス111よりも下方に配設される。この流体取入れ部は、貫通オリフィス111の出口における試料流の第2のシースを可能にする。さらに、流体取入れ部により、エリア中にわたるスイーピングによって再循環体積形成が防止されて、シースの有効性がより低くなる貫通オリフィス111の出口の下流およびその出口から距離をおいた位置において試料ジェットから流出する細胞が、ループ中に再循環し、したがって後の細胞に対してなされる光学測定を妨害するのを防止することが可能となる。さらに、錐台の側方表面1121および小径表面1122の組合せに対応する流体取入れ部16とベース11の上方表面112との間の組合せは、貫通オリフィス111の出口に向かって第2のシース流体を案内する利点を有する。
【0057】
測定キュベット1は、ベース11の下方にサブベース14をさらに備えてもよい。サブベース14は、ベース11およびエンクロージャ12と共に一個片キュベットを形成する。サブベース14は、集束チャンバ114に対して開口した穴143を有する。この穴の外方側部1431上に、ショルダ142がOリングを受けるために設けられてもよい。
【0058】
外方側部1431上の穴143の直径は、ベース11の下方表面113の錐台のベースを形成する円の直径よりも大きくてもよく、例えば400~700μm、450~650μm、500~600μmの間、好ましくは550μmであってもよい。この場合に、穴143の直径は、ベース11の下方表面113の錐台のベースを形成する円の直径と同等になるまで漸減する。
【0059】
さらに、サブベース14は、V字形状センタリング要素141を備える側方表面を有する。これらのV字形状センタリング要素141は、以降で説明されるキュベット支持部の溝に係合する。好ましくは、サブベースの側方表面は、2つのV字形状センタリング要素141を備え、それらの平均平面は、互いに好ましくは垂直に交差する。有利には、サブベースの側方表面は2対のV字形状センタリング要素141を備える。同一対の2つのV字形状センタリング要素の平均平面は、平行である一方で、他の対の2つのV字形状センタリング要素の平均平面は、互いに好ましくは垂直に交差する。有利には、1対のV字形状センタリング要素141の平均平面は、方形ベース直円柱内方表面121の2つの対向面と平行である。
【0060】
これらのV字形状センタリング要素141は、そのV字部の先端部が下方をすなわちエンクロージャからサブベースに向かって配向された方向を向いている突出要素である。好ましくは、V字部の先端部は削り取られる。V字部の先端部を削り取ることにより、測定キュベット1の製造中に先端部に時として存在し得るバリに起因する測定キュベット1の位置決め不良を防止することが可能となる。
【0061】
有利には、一個片キュベットは、好ましくは1.4~1.6の間の屈折率を有する。さらに、好ましくは低複屈折のおよび低加熱ひずみの、90%超の動作波長の伝達率を有するように、プラスチックが優先的に選択される。
【0062】
さらに、一個片キュベットの材料は、有利には、低い吸水抵抗(例えば0.01%未満)を有するように選択される。さらに、この材料は、好ましくは貫通オリフィスの両側の電極間に十分な電気絶縁を確保するために、3MHz未満または1MHz未満の周波数にて低誘電率(例えば最大3F/m)を有する。
【0063】
一個片キュベットの材料は、有利にはプラスチックである。したがって、一個片キュベットは、成形により得られるため、先行技術の測定キュベットに比べて測定キュベットのコストを劇的に削減することが可能となる。一個片キュベットの材料は、本質的にはポリシクロオレフィン樹脂を含んでもよく、具体的には95重量%超のまたは99.5重量%超のこの樹脂を含んでもよい。かかる樹脂の一例は、Zeon(登録商標)によるZeonex E48R(2015)である。かかる樹脂は、溶融形態において非常に流動性が高く、非常に低い空引きで非常に高圧にて射出されるのに適し、一個片キュベットの寸法および光学品質の表面粗度を正確に制御するのに適する。
【0064】
測定システム。以下、図5図7を参照として、本発明による細胞を列挙および/または特性化するための測定システムを説明する。
【0065】
測定システム10は、上述のような測定タンク1を備える。
【0066】
さらに、測定システム10は、測定中に測定キュベット1を受け固定するためのキュベット支持部2を備える。キュベット支持部2は、有利には、測定キュベット1がV字形状センタリング要素141を有する場合に、交差部にて互いに好ましくは垂直に交差する2つの溝21、22を有してもよく、その横断プロファイルは、測定キュベット1のV字形状センタリング要素141の形状に対応するV字形である。交差部は、測定キュベット1のための座部を形成する。2つの溝21、22間の交差角度は、V字形状センタリング要素141の平均平面の交差角度に対応する。
【0067】
さらに、キュベット支持部2は、シースジェットおよび試料ジェットを受けるためのオリフィス23を交差部に有する。このオリフィス23は、測定キュベット1がキュベット支持部2上に配置される場合に、集束チャンバ114と流体連通状態になるのに適する。さらに、測定システム10は、測定キュベット1とキュベット支持部2との間に配設されることとなるOリング3を備え得る。
【0068】
測定システム10は、インピーダンス測定のための正電極および負電極を備えるインピーダンス測定アセンブリをさらに備え得る。
【0069】
測定システム10は、測定キュベット1に向かって光を放出するための励起源4を備える光学測定アセンブリをさらに備え得る。光学軸Aが、励起源4により放出される光線41の平均方向として励起源4から定義される。励起源4の配置は、測定キュベット1が定位置にある時に、光学軸Aがエンクロージャ12の球状外方表面122の中心Oを通過するように選択される。
【0070】
励起源4は、好ましくはインコヒーレント源である。したがって、光線41の形状設定は、レーザを必要とする先行システムと比較して容易化され少なくともコストである。実際に、試料流は、数マイクロメートルの幅を有する。試料流の幅未満の直径のセルは、この幅に沿った任意の位置に位置し得る。低コヒーレンス励起源4の使用により、試料流の幅を含む、エンクロージャ12の球状外方表面122の中心Oである測定点における均質的に照明されたゾーンの形成が可能となる。したがって、センサに到達する光信号は、試料流中の細胞の位置に関わらず同一となる。
【0071】
励起源4は、発光ダイオードおよび白熱電球から選択され得る。励起源は、620nm~680nm、635nm~665nmの間の、有利には約650nmの波長に中心を合わせられた発光スペクトルを有する。
【0072】
光学測定アセンブリは、光学軸A上に入力成形光学素子5をさらに備え得る。これらの入力成形光学素子5は、励起源4と測定キュベット1との間に配設されることとなる。成形光学素子5により、励起源4に対して径方向に放出され第1の成形光学素子5に到達する光線41を、光学軸Aに対して平行な光線へと変換することが可能になる。このために、入力成形光学素子5は、集束レンズとして作用する第1の光学群51を備える。エンクロージャ12の球状外方表面122の中心Oにおける光線の焦点を改善するために、集束レンズとして作用する第2の光学群52が、エンクロージャ12の球状外方表面122の中心Oに向かう光線の第1の集束を実施するためにさらに設けられ得る。第2の光学群52およびキュベット1の集束レンズ123の組合せにより、エンクロージャ12の球状外方表面122の中心Oにおける最小限の球面収差と、この点Oにおける最大限の出力と、最大限の開口数とのいずれをも確保することが可能となる。測定キュベット1にレンズ123を組み込むことにより、コスト削減の助けとなり、このレンズ123が無い場合には、成形光学素子にレンズ123を組み込むことが必要である。第1の光学群51、および該当する場合にはさらに第2の光学群52は、好ましくは、キュベット支持部2の溝21上への高さ位置決めおよび角度位置決めを容易化するための円形ベースを有するほぼ円筒形状のケーシング53内に収容される。
【0073】
また、入力成形光学素子5は、測定キュベット1が定位置にある場合に、貫通オリフィス111の出口の近傍にレチクルの像を形成するのに適する。該当する場合には、レチクルの像は、エンクロージャ12の球状外方表面122の中心Oを備える平面上に形成される。これを目的として、光学測定アセンブリは、励起源4と入力成形光学素子5との間に矩形レチクルをさらに備える。好ましくは、アスペクト係数(縦横比)が、3以下である。入力成形光学素子は、例えば長さ約100μmおよび幅約30μmの矩形レチクルを形成するのに適する。
【0074】
好ましくは、入力成形光学素子5は、集束光線41が例えば30°~50°の間などの大きな立体角を形成するように適合化される。具体的には測定キュベット1のベースの上方表面112の錐台形状により可能となるこの大きな開口により、出力にて最大光を収集することが可能となる。
【0075】
光学測定アセンブリは、細胞の吸光度を測定するのに適したセンサと、測定キュベット1を通過し第1の受領光学素子6に到達する光線をセンサに向かって集束するための第1の出力受領光学素子6とを備える、吸光度測定モジュールを備えてもよい。好ましくは、このセンサおよび第1の受領光学素子6は、測定キュベット1に対して励起源4の対向側において光学軸A上に配設され、第1の受領光学素子6は、測定キュベット1とセンサとの間に配設されることとなる。いくつかの場合では、センサおよび第1の受領光学素子6は、光学軸Aの外部に配設されてもよく、その場合には、バッフルが、光学軸A上におよび測定キュベット1と第1の受領光学素子6との間の光線41の経路上に配設される。センサは、優先的にはフォトダイオードである。
【0076】
必須ではないが、好ましくは、第1の受領光学素子6は、システムの対称化によりコストを最小限に抑えるために入力成形光学素子5と同一の開口を有する。
【0077】
光学測定アセンブリは、細胞の側方散乱を測定するのに適したセンサと、キュベットにより散乱され第2の受領光学素子7に到達する光線41をセンサに向かって集束させるための第2の出力受領光学素子7とを備える、散乱測定モジュールを備えてもよい。好ましくは、センサおよび第2の受領光学素子7は、光学軸Aに対して垂直であり、キュベット支持部に対して平行であり、測定キュベット1が定位置にある場合にエンクロージャ12の球状外方表面122の中心Oを通過する軸上に配設される。いくつかの場合では、センサおよび第2の受領光学素子7は、光学軸に対して垂直な軸の外部に配設されてもよく、その場合には、バッフルが、光学軸Aに対して垂直な軸上に、および測定キュベット1と第2の受領光学素子7との間の光線41の経路上に配設される。センサは、優先的にはアバランシェフォトダイオードである。
【0078】
光学測定アセンブリは、細胞の蛍光の測定に適したセンサと、キュベットにより散乱され第3の受領光学素子に到達する光線をセンサに向かって集束させるための第3の出力受領光学素子(図示せず)とを備える、蛍光測定モジュールを備えてもよい。好ましくは、センサおよび第3の受領光学素子は、光学軸に対して垂直であり、キュベット支持部に対して平行であり、測定キュベットが定位置にある場合にエンクロージャの球状外方表面の中心を通過する軸上に配設される。いくつかの場合では、センサおよび第3の受領光学素子は、光学軸に対して垂直な軸の外部に配設され、その場合には、バッフルが、光学軸に対して垂直な軸上に、およびキュベット支持部と第3の受領光学素子との間の光線の経路上に配設される。センサは、優先的にはアバランシェフォトダイオードである。
【0079】
光学測定アセンブリが側方散乱測定モジュールおよび蛍光測定モジュールの両方を備える場合には、その一方は、光学軸に対して垂直な軸上に位置し、他方はこの軸外に位置してもよい。この場合に、対応するバッフルは、ダイクロイックミラーである。
【0080】
代替的には、これらの2つのモジュールは、光学軸に対して垂直な軸の外部に位置してもよい。この場合には、キュベット支持部に最も近いバッフルが、ダイクロイックミラーである。最も遠いバッフルは、半反射性ミラーまたは真正ミラーのいずれかであってもよい。
【0081】
さらに代替的には、ダイクロイックミラーが、測定システム10の同一の構成要素を使用しつつ1つまたは複数の蛍光の測定を可能にするために、側方散乱測定モジュールに追加されてもよい。ダイクロイックミラーは、キュベット支持部と第2の受領光学素子との間に配設される。さらに、ダイクロイック光学フィルタが、一般的には20nm~50nmまたは30nm~40nmの中~高帯域スペクトルにおいて種々の波長の光学蛍光信号を分離するために設けられてもよい。この場合には、ダイクロイック光学フィルタは、ダイクロイックミラーと蛍光センサとの間に配設される。
【0082】
本開示全体を通じて、「成形光学素子」および「受領光学素子」という用語は、光線の方向を変更するためのレンズまたはレンズのセットを示すものとして理解されるべきである。好ましくは、全ての成形光学素子および受領光学素子が、同一である。すなわち、これらの成形光学素子および受領光学素子はいずれも、第1の光学群および第2の光学群を備え、第2の光学群は、第1の光学群よりも測定キュベット1のより近くに配設されることとなる。
【0083】
好ましくは、受領光学素子6、7はそれぞれ、キュベット支持部2上への高さ位置決めおよび角度位置決めのために、成形光学素子5のように円形ベースを有する円筒形状のケーシングを有する。V字形状センタリング要素が、キュベット支持部2の対応する溝21、22に係合することが予期されてもよく、このV字形状センタリング要素は、測定キュベット1の位置決めのために使用されるものと同一のものであってもよい。
【0084】
有利には、測定キュベット1および/またはキュベット支持部2は、エンクロージャの方形ベース直円柱内方表面の面が光学軸に対して鉛直になるように適合化される。この場合に、成形光学素子は、光学軸上、または光学軸に対して垂直であり、測定キュベットが定位置にある場合にエンクロージャの球状外方表面の中心を通過する軸上のいずれかに配設される。
【0085】
測定キュベットを製造するための方法。以下、図2図4、および図8を参照として、測定キュベットを製造するための方法を説明する。
【0086】
この方法は、プレフォームを成形することを含み、その形状は、ベースを例外としてほぼ測定キュベットの形状である(図4を参照)。特に、貫通オリフィスは、まだ形成されておらず、第1の貫通オリフィスの付近のベースのゾーンの厚さは、所望の厚さにまだ達していない。付近の厚さは、400μm~600μm、または450μm~550μm、または475μm~525μmの間であり、好ましくは約500μmである。
【0087】
また、この方法は、40μm~100μm、50μm~80μm、55μm~70μmの間の、または約60μmの厚さを残すために十分な深さにわたり将来的な貫通オリフィスの付近のベースのゾーンをアブレーションすることを含み、アブレーションは、極短パルスを利用して実施される。有利には、将来的な貫通オリフィスの付近のベースのゾーンのアブレーションは、レーザを使用して実施され、そのビームは、好ましくはベースの下方表面に送られる。好ましくは、アブレーションは、結果として0.6mm~1.4mmの間の直径のアブレーション円をもたらす。このエリアの厚さ(貫通オリフィスの付近の厚さである)の制御は、定性的な抵抗測定を確保するために寸法的観点から重要となる。実際に、貫通オリフィスの厚さは、細胞が貫通オリフィスを通過する場合に前記細胞により生成されるパルスの幅と直接的にリンクする。厚さが過剰であり制御されない場合には、複数の細胞が同時に貫通オリフィスを通過するリスクが存在し、したがって直線性に関する測定アーチファクトが発生するリスクがある。
【0088】
次いで、この方法は、例えば特許文献1に記載される方法によるレーザマイクロマシニングで貫通オリフィスを形成することを含み、これによりインピーダンス測定のための完全な円筒状オリフィスを得ることが可能となる。
【0089】
この方法は、成形ステップとアブレーションステップとの間において位置決めツール上にプレフォームを位置決めすることを任意に含んでもよく、したがってこれにより貫通オリフィスアブレーションのアブレーションおよび形成の最中にプレフォームを固定することが可能となる。位置決めツールは、具体的にはキュベットの形状と相補的である凹部を上方表面に有する位置決め支持部を備えてもよい。
【符号の説明】
【0090】
1 測定キュベット、測定タンク
2 キュベット支持部
3 Oリング
4 励起源、低コヒーレンス励起源
5 入力成形光学素子、第1の成形光学素子
6 第1の出力受領光学素子、第1の受領光学素子、受領光学素子
7 第2の受領光学素子
10 測定システム
11 ベース
12 透明側方エンクロージャ
13 光学測定チャンバ
14 サブベース
15 シールハウジング
16 流体取入れ部
21 溝
22 溝
23 オリフィス
41 光線、集束光線
51 第1の光学群
52 第2の光学群
53 ケーシング
111 貫通オリフィス
112 上方表面
113 下方表面
114 集束チャンバ
121 内方表面、方形ベース直円柱内方表面
122 球状外方表面
123 集束レンズ
124 上方表面
141 V字形状センタリング要素
142 ショルダ
143 穴
1121 側方表面
1122 小径表面
1131 側方表面
1132 小径表面
1431 外方側部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8