(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】D級増幅器のための負荷電流検出回路
(51)【国際特許分類】
H03F 3/217 20060101AFI20230719BHJP
H04R 3/00 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
H03F3/217 130
H04R3/00 310
H04R3/00 101Z
(21)【出願番号】P 2020525984
(86)(22)【出願日】2018-11-16
(86)【国際出願番号】 US2018061663
(87)【国際公開番号】W WO2019099930
(87)【国際公開日】2019-05-23
【審査請求日】2021-11-02
(32)【優先日】2017-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502161508
【氏名又は名称】シナプティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100205350
【氏名又は名称】狩野 芳正
(74)【代理人】
【識別番号】100117617
【氏名又は名称】中尾 圭策
(72)【発明者】
【氏名】シェン、ダン
(72)【発明者】
【氏名】クレスピ、ロレンツォ
(72)【発明者】
【氏名】カルタセーニャ、ダヴィデ
【審査官】石田 昌敏
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0044020(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0012677(US,A1)
【文献】特開2008-160776(JP,A)
【文献】特開2003-060449(JP,A)
【文献】特表平10-508159(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F 1/00- 3/72
H04R 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソース端子で負荷と接続された第1トランジスタスイッチであり、前記第1トランジスタスイッチのゲート端子に接続された第1パルス幅変調制御信号に応答して前記負荷に電流を流すように作動可能な第1トランジスタスイッチと、
ドレイン端子で前記負荷と接続された第2トランジスタスイッチであり、前記第2トランジスタスイッチのゲート端子に接続された第2パルス幅変調制御信号に応答して前記負荷に前記電流を流すように作動可能であると共に、前記第2トランジスタスイッチの前記ドレイン端子が前記第1トランジスタスイッチの前記ソース端子に接続されている第2トランジスタスイッチと、
前記負荷と、電流検出回路と、の間に接続されたサンプルホールド回路であり、
連続する標本化期間の
それぞれの間、
複数の第2パルス幅変調制御信号の期間のそれぞれの中点において前記第2トランジスタスイッチの
ドレイン
電圧を標本化
して複数の連続する標本化された電圧を供給し、
前記複数の連続する標本化された電圧の2以上を平均化して平均標本化電圧を生成し、
前記平均標本化
電圧を前記電流検出回路に供給するように作動可能なサンプルホールド回路と、
を備えるシステム。
【請求項2】
前記サンプルホールド回路が、前記複数の連続する第2パルス幅変調制御信号の期間それぞれの前記中点における前記ドレイン電圧の標本化を、前記サンプルホールド回路に開始させるように作動可能なトリガリング回路をさらに備える、
請求項
1のシステム。
【請求項3】
前記電流検出回路がカレントミラー回路であり、
前記サンプルホールド回路が、
前記平均標本化電圧を、前記カレントミラー回路に供給するように更に作動可能であり、
前記カレントミラー回路が、前記平均標本化電圧に応答して、前記負荷を流れる電流を検出するように作動可能である、
請求項
2のシステム。
【請求項4】
前記電流検出回路がスピーカー保護回路に接続され、前記スピーカー保護回路が、検出された前記電流に対応するデジタル信号を、前記スピーカー保護回路に供給するように作動可能であり、
前記スピーカー保護回路が、前記負荷を通る前記電流が上限電流閾値を超える場合に、前記第1パルス幅変調制御信号及び前記第2パルス幅変調制御信号の周波数を調整して、前記負荷を流れる前記電流を低減するように作動可能である、
請求項
3のシステム。
【請求項5】
前記負荷がスピーカーを備える、
請求項1のシステム。
【請求項6】
前記第1トランジスタスイッチ及び前記第2トランジスタスイッチが、D級増幅器のHブリッジ出力段を備える、
請求項1のシステム。
【請求項7】
前記第1トランジスタスイッチ及び前記第2トランジスタスイッチが、nチャンネルの横拡散金属酸化物半導体電界効果トランジスタを備える、
請求項1のシステム。
【請求項8】
ソース端子で前記負荷に接続された第3トランジスタスイッチであり、前記第3トランジスタスイッチのゲート端子に接続された第3パルス幅変調制御信号に応答して、前記負荷に前記電流を流すように作動可能な第3トランジスタスイッチと、
ドレイン端子で前記負荷に接続された第4トランジスタスイッチであり、前記第4トランジスタスイッチのゲート端子に接続された第4パルス幅変調制御信号に応答して、前記負荷に前記電流を流すように作動可能であると共に、前記第4トランジスタスイッチの前記ドレイン端子が前記第3トランジスタスイッチのソース端子に接続されている第4トランジスタスイッチと、
前記負荷と、第2電流検出回路と、の間に接続された第2サンプルホールド回路であり、
前記連続する標本化期間の
それぞれの間、
前記第4パルス幅変調制御信号の期間の中点において前記第4トランジスタスイッチの
第2
ドレイン電圧を標本化するように作動可能である
第2サンプルホールド回路と、
を更に備える
請求項1のシステム。
【請求項9】
第1トランジスタスイッチのゲート端子に接続された第1パルス幅変調制御信号に応答して、電流を負荷に流し、
第2トランジスタスイッチのゲート端子に接続された第2パルス幅変調制御信号に応答して、前記電流を前記負荷に流し、
連続する標本化期間
のそれぞれの間、
複数の第2パルス幅変調制御信号の期間のそれぞれの中点において前記第2トランジスタスイッチのドレイン
電圧を標本化して
複数の連続する標本化された電圧を供給し、
前記複数の連続する標本化された電圧の2以上を平均化して平均標本化電圧を生成し、
前記平均標本化
電圧を電流検出回路に提供する、
ことを含む方法。
【請求項10】
トリガリング回路に応答して、複数の連続する第2パルス幅変調制御信号の時間期間それぞれの前記中点において前記ドレイン電圧を標本化することを更に含む、
請求項
9の方法。
【請求項11】
前記電流検出回路はカレントミラー回路であり、
前記平均標本化電圧を、前記カレントミラー回路の入力で受信し、
前記平均標本化電圧に応答して、前記負荷を通る前記電流を検出する、
ことを更に含む、
請求項
9の方法。
【請求項12】
前記電流検出回路がスピーカー保護回路に接続され、
検出された前記電流に対応するデジタル信号を前記スピーカー保護回路で受信し、
前記負荷を通る前記電流が上限電流閾値を超える場合に、前記第1パルス幅変調制御信号及び前記第2パルス幅変調制御信号の周波数を調整して、前記負荷を流れる前記電流を低減する、
ことを更に含む、
請求項
11の方法。
【請求項13】
前記負荷がスピーカーを備える、
請求項
9の方法。
【請求項14】
前記第1トランジスタスイッチ及び前記第2トランジスタスイッチが、D級増幅器のHブリッジ出力段を備える、
請求項
9の方法。
【請求項15】
前記第1トランジスタスイッチ及び前記第2トランジスタスイッチが、nチャンネルの横拡散金属酸化物半導体電界効果トランジスタを備える、
請求項
9の方法。
【請求項16】
第3トランジスタスイッチのゲート端子に接続された第3パルス幅変調制御信号に応答して、前記負荷に前記電流を流し、
第4トランジスタスイッチのゲート端子に接続された第4パルス幅変調制御信号に応答して、前記負荷に前記電流を流し、
前記連続する標本化期間
のそれぞれの間、前記
第4パルス幅変調制御信号の期間の中点において前記第4トランジスタスイッチの
第2ドレイン
電圧を標本化
する、
ことを更に含む、
請求項
9の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本継続特許出願は、2017年11月17日に出願され、米国特許番号10,085,089として2018年9月25日に登録された、“D級増幅器のための負荷電流検出回路”と題する米国特許出願番号15/817,091の優先権及び利益を主張する。該出願は、参照することにより、その全体が本出願に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般には信号処理に関し、より詳細には、スイッチング増幅器の出力段において電流を検知することに関する。
【背景技術】
【0003】
ラップトップコンピューター、コンピュータータブレット、MP3プレイヤー及びスマートフォンのような多くのモダンデバイスは、小型のスピーカーを用いている。多くの用途では、これらのデバイスは、音声信号の増幅を効率的に行うためにスイッチング増幅器を用いている。一例では、スイッチング増幅器は、音声信号を増幅してスピーカーを駆動するために、20ワットの電力を供給することがある。このようなデバイスで用いられる小型のスピーカーの制約により、スピーカーへの物理的ダメージ及び他の不所望な作用を避ける手助けをするために、スピーカーへの電流が測定されることがある。このように、スピーカーをダメージから保護するために、スイッチング増幅器によってスピーカーに供給される電流の測定を向上することには、継続的なニーズが存在する。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、スイッチング増幅器によって負荷に供給される電流の検出を改善する技術への需要に対応する、システム及び方法を提供する。本開示の範囲は、特許請求の範囲によって規定され、それは、参照によって本項目に組み込まれる。本開示の実施形態についてのより完全な理解は、その追加的な利点の実現と共に、下記の1以上の実施形態の詳細な記載を考慮することによって当業者に与えられるであろう。初めに簡単に説明する添付図面のシートを参照する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係る、例示的な音声コーデックを示す。
【0006】
【
図2】
図2は、本開示の実施形態に係る、例示的な音声増幅出力ドライバを示す。
【0007】
【
図3】
図3は、本開示の実施形態に係る、増幅器の出力段の電圧、及び、音声増幅器出力ドライバの出力電流の例示的なプロットを示している。
【0008】
【
図4】
図4は、本開示の実施形態に係る、例示的なサンプルホールド出力回路の概要図である。
【0009】
【
図5】
図5は、本開示の1以上の実施形態に係る、音声増幅出力ドライバスピーカー保護システムのための例示的な処理フローを示す。
【0010】
添付された図面は、例示を目的とするものであり、音声システムの電流を検出可能なシステムおよび方法の例を提供するためにのみ供される。これらの図面は、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく当業者が行い得る、開示されたものへの形態および詳細上の変更を限定することは決して無い。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、D級スイッチング増幅器のような、多くのモダンな音声増幅器での用途に利用されるスイッチング増幅器によって供給される電流の正確な検出の必要性に対応するシステム及び方法を説明している。一実施形態では、本開示の音声システムは、スイッチング増幅器のHブリッジ出力段と、1以上の出力電流検出回路とを備えている。各出力電流検出回路は、カレントミラー回路と、増幅器のスイッチングにおける全フェーズの間に負荷に流れる平均電流を検出するように構成されたサンプルホールド回路と、を備える。
【0012】
本開示の実施形態は、D級スイッチング増幅器の出力における電流の検出についての既存の解決方法と対照されることがある。例えば、従来の音声システムは、カレントミラー回路を用いて負荷電流を検出する場合がある。しかし、カレントミラー回路の性能は、コモンモードの制約に影響され得る。例えば、スイッチング増幅器での用途で用いられる従来のカレントミラー回路は、カレントミラー回路の入力に接続された出力トランジスタスイッチにおける大きな電圧スイングに影響される。入力における大きな電圧スイングは、カレントミラーに、相対的に高いコモンモード除去比を要求する。さらに、補助回路部無しで用いられるカレントミラー回路は、スイッチングトランジスタが“オン”状態と“オフ”状態との間で遷移しているときには、正確な電流検出を提供しない。本開示の様々な実施形態は、これらの問題及び他の問題に対応して、例えばスピーカーのような負荷をダメージから保護するために、スイッチング増幅器によって負荷に提供される電流を正確かつ効率的に測定する。
【0013】
図1は、本開示の1以上の実施形態に係る、例示的な音声コーデック回路100のブロック図を示している。音声コーデック回路100は、音声入力の信号処理に、アナログ及びデジタルの回路部を提供する。音声コーデック回路100は、デジタル信号を処理し、増幅されたアナログ出力信号をスピーカー(例えばスピーカー121)に提供する回路部を備えている。いくつかの実施形態では、音声コーデック回路100が、入力ポート105A-Bにおいてデジタル信号を受信する。デジタル信号は、例えば、ラップトップコンピューター、コンピュータータブレット、スマートフォンのような電子デバイス、又は、マイクロフォンのようなセンサーに関連する場合がある。
【0014】
デジタルアナログコンバータ(Digital-to-analog converter)(DAC)107は、デジタル信号を受け取り、更なる処理のために該デジタル信号をアナログ信号に変換するように構成されてもよい。制御回路109は、DAC107からアナログ音声信号を受信し、該アナログ音声信号を処理する。いくつかの実施形態では、制御回路109は、パルス幅変調信号(pulse width modulated signal)を音声増幅器108に供給する。いくつかの実施形態では、音声増幅器108が、D級スイッチング増幅器として実装される。パルス幅変調信号は、音声増幅器108のスイッチングデューティサイクルを制御する。音声増幅器108は、受信したアナログ音声信号を増幅し、増幅した音声信号131A-Bを供給して出力ジャック119A-Bにおいて出力デバイス121を駆動する。出力デバイス121は、ラウドスピーカー、ヘッドフォン、又は、増幅した音声信号131A-Bを受け取る他の電子デバイスであってもよい。
【0015】
音声増幅器108は、電流検出回路110に電気的に結合されている。電流検出回路110は、音声増幅器108から出力デバイス121へ流れる電流信号を検知するように構成されている。いくつかの実施形態では、電流検出回路110は、出力デバイス121を流れる電流信号に対応する、概ね等価な検出電流を測定し、該検出電流をアナログ電圧信号120に変換する。
【0016】
電流検出回路110は、アナログ電圧信号120をアナログデジタルコンバータ(ADC)113に供給する場合がある。ADC113は、該アナログ電圧信号をデジタル電圧信号122に変換し、デジタル電圧信号122をスピーカー保護回路111に供給する。いくつかの実施形態では、スピーカー保護回路111は、デジタル電圧信号122を処理して、パルス幅変調信号の調整が必要かを決定する。いくつかの実施形態では、スピーカー保護回路111はDAC107に信号114を供給し、出力デバイス121を通る電流信号に対応する検出電流に基づいて、DAC107の信号処理を調整する。
【0017】
図2は、本開示の実施形態に係る、音声増幅出力ドライバ200の概略図を示している。いくつかの実施形態では、音声増幅出力ドライバ200は、
図1の音声コーデック回路100内に実装されている音声増幅器108の一部分を構成している。音声増幅出力ドライバ200は、携帯電話、ラップトップコンピューター、タブレット、音声/映像システム、又は、音声増幅出力ドライバ200を必要とする他の類似の携帯デバイスで用いられるスピーカー負荷235を、音声出力によって駆動する。様々な実施形態において、音声増幅出力ドライバ200は、D級増幅器のHブリッジ出力段201として実装される。音声増幅出力ドライバ200は、1以上の電流検出回路210を更に備える。
【0018】
図2に示す実施形態では、Hブリッジ出力段201は、4つのnチャンネル横拡散型金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)M1、M2、M3、及び、M4を備える。第1の2つのハイサイドトランジスタM3、M4の各ドレインは、電源電圧Pvddに接続されている。いくつかの実施形態では、電源電圧Pvddは、トランジスタM3、M4に12ボルトのDC電力を供給する。しかしながら、他の実施形態では、他の電源電圧が供給されてもよい。各ソースは、ソースが接地221に接続された2つのローサイドトランジスタM1、M2のドレインに接続されている。スピーカー負荷235は、トランジスタスイッチ対M3、M1と、M4、M2と、の間に接続されている。
図1の制御回路109は、パルス幅変調(pulse width modulated)(PWM)制御信号202をトランジスタM1、M2、M3、及び、M4のゲートに供給する。いくつかの実施形態では、第1パルス幅変調(PWM)制御信号202がトランジスタM3のゲート端子に接続され、第2PWM制御信号202がトランジスタM1のゲート端子に接続され、第3PWM制御信号202がトランジスタM4のゲート端子に接続され、第4PWM制御信号202がトランジスタM2のゲート端子に接続される。
【0019】
いくつかの実施形態では、第1電流検出回路210は、カレントミラー増幅器211(例えば、電流検知デバイス)と、nチャンネルMOSトランジスタS1及びS2と、サンプルホールド回路224と、を備える。スピーカー負荷235を流れる電流Ispkは、等価電流Isensepによってミラーされる。
【0020】
カレントミラー増幅器211は、2つの入力端子、即ち、非反転入力端子212と反転入力端子214とを備える。非反転入力端子212は、サンプルホールド回路224の出力225に接続されている。カレントミラー増幅器211の反転入力端子214は、トランジスタS1のソース端子とトランジスタS2のドレイン端子とに接続されている。カレントミラー増幅器211の出力信号216は、トランジスタS1のゲート端子に接続され、トランジスタS1を駆動する。トランジスタS2のソース端子は、接地信号221に接続されている。トランジスタS1のドレイン端子は、Isensep電流信号に接続されている。
【0021】
サンプルホールド回路224は、トランジスタM1のドレインソース電圧(例えば、小信号ドレイン電圧)を受信し、予め定められた標本化期間の間、小信号電圧をカレントミラー増幅器211に供給する、ように構成されている。いくつかの実施形態では、トランジスタM1のドレイン電圧は、該標本化期間の間、約50から100ミリボルトである。他の実施形態では、他の小信号電圧の値であっても良い。いくつかの実施形態では、サンプルホールド回路224は、キャパシタ及び電界効果トランジスタスイッチとして実装される。キャパシタは、トランジスタM1の小信号ドレイン電圧と略同一の電圧レベルまで充電される。充電電圧は、サンプルホールド回路224の出力225に切り替えられ、予め定められた標本化期間の間、カレントミラー増幅器211の非反転入力端子212に供給される。これに関して、サンプルホールド回路224は、ここで議論するように、カレントミラー増幅器211の入力において小信号電圧を実効的に保持し、予め定められた標本化期間の間、電流Isensep(例えば、又は、相補回路のIsensen)の測定を可能にする。
【0022】
サンプルホールド回路224は、トランジスタM3のソース端子及びトランジスタM1のドレイン端子と接続された入力ポート218を備える。サンプルホールド回路224は、サンプルホールド回路224の標本化動作及び保持動作を制御するM1のゲート電圧信号を受信するトリガーポート220を備える。これに関して、標本化動作は、M1におけるゲートパルスのエッジ遷移によって開始される。また、標本化動作はゲートパルスの中点において停止(例えば、タイムアウト)される。保持動作は、標本化動作の完了時に開始される。また、保持動作は、次の標本化動作の開始の直前に停止(例えば、タイムアウト)される。いくつかの実施形態では、約50から100ミリボルトの小信号のDC電圧は、ローサイドトランジスタM1がオンになっている期間の間、入力ポート218において供給される。いくつかの実施形態では、予め定められた標本化及び保持の期間は、約3マイクロ秒であり得る。しかし、他の実施形態では、他の標本化及び保持の期間が可能である。いくつかの実施形態では、サンプルホールド回路224は、予め定められた標本化期間への調整を実行する制御ロジックを備えている場合がある。
【0023】
カレントミラー増幅器211の出力信号216は、S1のゲート電圧を制御して、S2のドレインソース電圧を調整する。これに関して、トランジスタM1の両端における電圧は、これはサンプルホールド回路224の出力225における電圧と等価であるが、負荷電流Ispkと実質的に等しいスイッチS1及びS2を流れるIsensep電流信号を供給するために、トランジスタS2の両端においてミラーされる。いくつかの実施形態では、カレントミラー増幅器211は(例えば、カレントミラー増幅器211Bもまた同様に)、横拡散型金属酸化物半導体デバイスとして実装される。
【0024】
いくつかの実施形態では、相補的な第2電流検出回路210Bは、カレントミラー増幅器211Bと、nチャンネルMOSトランジスタS3及びS4と、サンプルホールド回路224Bと、を備える。Hブリッジの相補のトランジスタ対(例えば、M4及びM2)においてスピーカー負荷235に流れる電流Ispkは、等価の測定電流Isensenとして表される。
【0025】
カレントミラー増幅器211Bは、2つの入力端子、すなわち非反転入力端子215及び反転入力端子217を備える。非反転入力端子215は、サンプルホールド回路224Bの出力225Bと接続される。カレントミラー増幅器211Bの反転入力端子217は、トランジスタS3のソース端子及びトランジスタS4のドレイン端子に接続される。カレントミラー増幅器211Bの出力信号219は、トランジスタS3のゲート端子に接続され、トランジスタS3を駆動する。トランジスタS4のソース端子は、接地信号221と接続される。トランジスタS1のドレイン端子はIsensen電流信号と接続される。
【0026】
サンプルホールド回路224Bは、トランジスタM4のソース端子及びトランジスタM2のドレイン端子と接続された入力ポート218Bを備える。サンプルホールドトリガーポート220Bは、ローサイドトランジスタM2のゲート端子と接続される。これに関して、第4PWM制御信号202がトランジスタM2をオンにすると、ここで議論するように、サンプルホールド回路224B内のトリガリング回路224Cは、第4PWM制御信号202の期間の中点におけるサンプルホールド回路224BによるM2ドレイン電圧の標本化をトリガーするように構成されている。いくつかの実施形態では、約50から100ミリボルトの小信号のDC電圧が、ローサイドトランジスタM2がオンにされている期間の間、入力ポート218Bにおいて供給される。カレントミラー増幅器211Bの出力信号219はS3のゲート電圧を制御して、S4のドレインソース電圧を調整する。これに関して、トランジスタM2の両端の電圧は、これはサンプルホールド回路224Bの出力225Bにおける電圧と等価であるが、負荷電流Ispkと概ね同じスイッチS3及びS4を流れるIsensen電流信号を供給するために、トランジスタS4の両端においてミラーされる。
【0027】
図2に示すように、トランジスタS2及びS4は、スピーカー負荷235を流れる電流を再生する。スピーカー負荷235は、第1端部においてM3のソースとM1のドレインとの間に接続され、第2端部においてM4のソースとM2のドレインとの間に接続される。トランジスタS2は、M1が通電しているときのPWMサイクルの間、トランジスタM1(例えば、第2トランジスタスイッチ)を流れる電流を再生する。M1が通電しているときには、電流IspkはM1のドレインからソースに流れる。カレントミラー増幅器211の出力信号216は、トランジスタS1のゲートを駆動して、トランジスタS1をオンにする。これにより、電流IsensepがトランジスタS1を流れることが出来る。電源Avddは、トランジスタS2及びS4のゲートに接続され、音声増幅出力ドライバ200に電力が供給されたときに、トランジスタS2及びS4をオンにする。
【0028】
同様に、トランジスタS4は、M2が通電しているときのPWMサイクルの間、トランジスタM2を流れる電流を再生する。M2が通電しているときには、電流IspkはM2のドレインからソースに流れる。カレントミラー増幅器211Bの出力信号219は、トランジスタS3のゲートを駆動して、トランジスタS3をオンにする。これにより、電流IsensenがS3を流れることが出来る。これに関して、IspkがトランジスタM1及びM2の組合せを流れるときに、スピーカー負荷235が、電流Ispkの全範囲について検出される。
【0029】
図3は、本開示の実施形態に係る、増幅出力段の電圧pwmp及びpwmnと、音声増幅出力ドライバの出力電流Ispkと、の例示的なプロットを示している。プロット305は、第2パルス幅変調制御信号がトランジスタM1をオン及びオフにする周期的な期間の間の
図2のノードpwmpにおける電圧を示す。プロット310は、第4パルス幅変調制御信号がトランジスタM2をオン及びオフにする周期的な期間の間の
図2のノードpwmnにおける電圧を示す。
【0030】
図3に示すように、パルス幅変調制御信号のデューティサイクルは、プロット315に示される負荷電流Ispkを調整するために変化させられる場合がある。プロット320は、M1がオンにされオフにされる期間の間にトランジスタM1を流れる電流を示す。図示されるように、M1を流れる電流は、プロット310で示されるトランジスタM2のデューティサイクルと、トランジスタM3及びM4のデューティサイクル(図示せず)と、に基づいて変動する場合がある。サンプルホールド回路224は、トランジスタM1及びM2が“オン”にされる第2パルス幅変調制御信号の期間の中点(例えば、pwmpの中点として示されるように)において電流Ispkを検出するように構成される。サンプルホールド回路224は、プロット305でpwmpの“オン”レベルの中点において破線で示されるように、予め定められた標本化期間の間、第2パルス幅変調制御信号の中点に応答してM1のドレイン電圧を標本化するように構成されている。
【0031】
プロット325で示されるように、サンプルホールド回路の出力は、M1がオンのときにIspkを流れる電流を示す一定の電圧である。サンプルホールド回路224は、標本化期間の間、ノードpwmpにおける電圧(例えば、トランジスタM1のドレイン電圧)をカレントミラー増幅器211の非反転入力端子212に供給する。サンプルホールド回路224は、プロット315の標本333に示すような連続パルスにおいて、(例えば、トランジスタM1のドレイン端子における)ドレイン電圧を標本化するように構成されている。プロット330は、標本化期間の間、反転入力端子214における対応する電圧vmを示す。
【0032】
図4は、本開示の実施形態に係る、サンプルホールド出力回路の概略図を示している。いくつかの実施形態では、キャパシタC1及びC2は、対応する標本化期間の間、トランジスタM1のドレイン電圧のレベルに充電される。第1キャパシタC1は、第1標本化期間に対応するスイッチphy1が閉じている時間の間、充電される。第2キャパシタC2は、第2標本化期間に対応するスイッチphy2が閉じている時間の間、充電される。これに関して、平均化した標本化電圧を生成すると共に、該平均化した標本化電圧をカレントミラー増幅器211の非反転入力端子212に供給するために、連続する標本化期間が平均化される場合がある。いくつかの実施形態では、サンプルホールド回路は、次の式の伝達関数を実行する制御ロジック(図示せず)を備える場合がある。この式は、平均化を行うサンプルホールド回路の出力伝達関数を示す。
【数1】
【0033】
図5は、本開示の実施形態に係る、音声増幅出力ドライバスピーカーを保護する処理フローを示している。ブロック510において、フロー図は増幅された音声信号を音声増幅出力ドライバ200の出力で受信することから開始される。音声増幅出力ドライバ200は、2つのハイサイド/ローサイド出力トランジスタスイッチ対を含み、各対がスピーカー負荷235の各端に接続されてスピーカー負荷235に電流を流すHブリッジ出力段201を備えている。いくつかの実施形態では、スピーカー負荷235を駆動するために、各ハイサイドトランジスタスイッチが12ボルトのDC電源に接続され、各ローサイドトランジスタスイッチが接地信号221に接続される。
【0034】
ブロック520では、フロー図は、増幅された音声信号をスピーカー負荷235に供給して続行する。例えば、第1パルス幅変調制御信号が、第1トランジスタスイッチ(例えば、ハイサイドスイッチM3)のゲート端子に接続され、第1トランジスタスイッチの“オン”状態と“オフ”状態とを制御する。第2パルス幅変調制御信号が、第2トランジスタスイッチ(例えば、ローサイドスイッチM1)のゲート端子に接続され、第2トランジスタスイッチの“オン”状態と“オフ”状態とを制御する。Hブリッジ出力段201は、スピーカー負荷235の第2端部に接続された相補のハイサイド/ローサイドトランジスタスイッチ対(例えば、M4/M2)を備えており、相補のパルス幅変調制御信号202によって制御される。
【0035】
ブロック530では、フロー図は、第2パルス幅変調制御信号の中点に応答して、サンプルホールド回路224が第2トランジスタスイッチにおいて小信号ドレイン電圧を受信して続行する。いくつかの実施形態では、サンプルホールド回路224は、2以上の連続する標本化された電圧を平均化して、平均化された標本電圧を生成する場合がある。サンプルホールド回路224は、予め定められた標本化期間の間、平均化された標本電圧をカレントミラー増幅器211に供給する場合がある。
【0036】
ブロック540では、フロー図は、電流検出回路210がスピーカー負荷235を流れる電流を検出して続行する。カレントミラー増幅器211は、スピーカー負荷235を流れる電流とほぼ等しい、代表的な電流信号Isensepの正確な電流測定値を提供する。電流検出回路210は、正確で、かつ、サンプルホールド回路224の標本化期間の間一定である、測定された電流値を提供する。Hブリッジ出力段201は、相補のハイサイド/ローサイドスイッチ対において等価的なスピーカー電流Isensenを検出するように構成された相補の第2電流検出回路210Bを備えている。これに関し、スピーカー負荷235の電流は、Isensep及びIsensenを含むスピーカー電流の全範囲について検知される。
【0037】
ブロック550において、電流検出回路210は、スピーカー保護回路111に伝達されるデジタル検出信号(例えば、デジタル化された信号)に変換するために、測定された電流Isensep及びIsensenのアナログ電圧信号をADC113に供給する場合がある。スピーカー保護回路111は、該デジタル検出信号を処理してDAC107のゲイン調整を行い、音声増幅出力ドライバ200の出力におけるスピーカー負荷235の電流を調整してもよい。いくつかの実施形態では、DAC107は第1及び第2パルス幅変調制御信号の周波数を調整して、スピーカー負荷の電流Ispkが上限電流閾値を超えたときに、スピーカー負荷235に流れる電流を低減する場合がある。
【0038】
当てはまる場合には、本開示によって提供されている様々な実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、又は、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせを用いて実装され得る。また、当てはまる場合には、本願に提示した様々なハードウェア部品及び/又はソフトウェア部品は、本開示の主旨から離れずに、ソフトウェア、ハードウェア及び/又はその両方を備える複合部品に組み合わされることがある。当てはまる場合、本願に提示されている様々なハードウェア部品及び/又はソフトウェア部品は、本開示の範囲から離れずに、ソフトウェア、ハードウェア及び/又はその両方を備えるサブ部品に分離されることがある。加えて、当てはまる場合には、ソフトウェア部品は、ハードウェア部品として実装され得るし、また逆も同様であると考えられる。
【0039】
本開示によれば、プログラムコード及び/又はデータのようなソフトウェアは、1以上のコンピュータ読み取り可能媒体に格納され得る。本願で特定されたソフトウェアは、ネットワーク化された、及び/又は、そうではない、1以上の汎用又は特定用途のコンピュータ及び/又はコンピュータシステムを用いて実行され得ると考えられる。当てはまる場合には、本願に記載されている特徴を提供するように、本願に記載された様々なステップの順序は変更され、複合ステップに組み合わされ、及び/又はサブステップに分離されることがある。
【0040】
前述の実施形態は、本願発明を開示するが、限定するものではない。本願発明の原則に従って、幾多の修正や変形が可能であることが理解されなければならない。したがって、本願発明の範囲は、下記のクレームによってのみ定義される。