(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】光共振器、表示パネル
(51)【国際特許分類】
G02B 5/20 20060101AFI20230719BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20230719BHJP
G02F 1/15 20190101ALI20230719BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
G02B5/20
G02F1/13 505
G02F1/15 506
G09F9/30 349Z
(21)【出願番号】P 2020536573
(86)(22)【出願日】2019-02-22
(86)【国際出願番号】 CN2019075922
(87)【国際公開番号】W WO2019196563
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2022-02-18
(31)【優先権主張番号】201810306414.5
(32)【優先日】2018-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヂュ ミン
(72)【発明者】
【氏名】ドン シュェ
(72)【発明者】
【氏名】チェン シァォチュァン
(72)【発明者】
【氏名】ヂャン シーユー
(72)【発明者】
【氏名】ワン メイリー
(72)【発明者】
【氏名】リィァン シュェン
(72)【発明者】
【氏名】ワン インタオ
【審査官】岩井 好子
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第206757181(CN,U)
【文献】特開2017-037121(JP,A)
【文献】国際公開第2011/145358(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0082892(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第107579147(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20
G02F 1/13
G02F 1/15
G09F 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光変換層を含む光共振器であって、特定の波長域の光を出射するように構成され、前記光共振器における前記特定の波長域の光の中心波長の少なくとも1つの波節に前記光変換層が設けられて
おり、
前記光共振器は、第1の機能層と、前記第1の機能層に対向して設けられた第2の機能層と、前記第1の機能層と前記第2の機能層との間に位置する光学媒体層と、をさらに含み、
前記光変換層は、前記光学媒体層内に位置し、前記特定の波長域の光は、前記第1の機能層から出射され、
前記光共振器は、銀膜と、第1のシリカ膜と、光変換材料膜と、第2のシリカ膜と、二酸化チタン膜とがこの順で積層して設けられ、前記二酸化チタン膜が前記第1の機能層とし、前記銀膜は前記第2の機能層とし、前記第1のシリカ膜と前記第2のシリカ膜は前記光学媒体層とし、前記光変換材料膜は前記光変換層とする、光共振器。
【請求項2】
前記光共振器は透過型光共振器であり、前記第1の機能層と前記第2の機能層は共に半透過反射膜であるか、又は、
前記光共振器は反射型光共振器であり、前記第1の機能層は半透過反射膜であり、前記第2の機能層は全反射膜である、請求項
1に記載の光共振器。
【請求項3】
前記光学媒体層の光学的厚さと前記光変換層の光学的厚さとの和は、前記特定の波長域の光の中心波長の半波長の正の整数倍である、請求項
1または
2に記載の光共振器。
【請求項4】
前記光変換層の屈折率は、前記光学媒体層の屈折率よりも大きい、請求項
1~
3のいずれか一項に記載の光共振器。
【請求項5】
前記光変換層の厚さ中心面と前記特定の波長域の光の中心波長の波節との距離は、前記中心波長の1/30以下である、請求項
1~
4のいずれか一項に記載の光共振器。
【請求項6】
前記光変換層の厚さは、前記特定の波長域の光の中心波長の1/30以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載の光共振器。
【請求項7】
前記特定の波長域の光は単色光である、請求項1~
6のいずれか一項に記載の光共振器。
【請求項8】
前記単色光は、赤色光、緑色光、青色光のいずれかである、請求項
7に記載の光共振器。
【請求項9】
前記光変換層の材料は、前記単色光を得るための上変換発光材料および/または下変換発光材料を含む、請求項
7に記載の光共振器。
【請求項10】
前記上変換発光材料は希土類イオンがドープされた無機化合物を含み、
前記下変換発光材料は蛍光材料または量子ドット材料を含む、請求項
9に記載の光共振器。
【請求項11】
前記光共振器は、複数の前記光変換層を含み、複数の前記光変換層は、互いに間隔を隔てて、前記特定の波長域の光の中心波長の異なる波節に設けられている、請求項1に記載の光共振器。
【請求項12】
反射防止膜をさらに含み、
前記光共振器が透過型光共振器である場合に、前記反射防止膜は、前記第2の機能層の前記第1の機能層に離れる側に設けられ、
前記光共振器が反射型光共振器である場合に、前記反射防止膜は、前記第1の機能層の前記第2の機能層に離れる側に設けられている、請求項
2に記載の光共振器。
【請求項13】
第1の機能層の一方側に、または前記第1の機能層内に設けられた金属吸収層をさらに含む、請求項1~
12のいずれか一項に記載の光共振器。
【請求項14】
請求項1~
13のいずれか一項に記載の光共振器を含む、表示パネル。
【請求項15】
前記光共振器と積層して設けられ、通過する光の強度を制御可能に構成された光強度制御構造をさらに含む、請求項
14に記載の表示パネル。
【請求項16】
前記表示パネルは反射型表示パネルであり、前記表示パネルの表示側から非表示側に向かって、光強度制御構造と前記光共振器とを順次設置し、前記光共振器は光反射を実現するための反射型光共振器であり、又は、
前記表示パネルは透過型表示パネルであり、前記光共振器は透過型光共振器である、請求項
15に記載の表示パネル。
【請求項17】
前記光強度制御構造は、エレクトロクロミック光強度制御構造または液晶光強度制御構造であり、
前記エレクトロクロミック光強度制御構造は、第1の電極と、第2の電極と、エレクトロクロミック層とを含み、前記第1の電極と第2の電極は、電気信号の印加時に前記エレクトロクロミック層を制御可能に構成され、
前記液晶光強度制御構造は、第3の電極と、第4の電極と、第1の偏光層と、第2の偏光層と、液晶層とを含み、前記第1の偏光層の第1の偏光方向と前記第2の偏光層の第2の偏光方向とは互いに垂直となり、前記液晶層は前記第1の偏光層と前記第2の偏光層との間に介在し、前記第3の電極と前記第4の電極は、電気信号の印加時に前記液晶層を制御可能に構成されている、請求項
15に記載の表示パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施例は、光共振器、表示パネルに関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
光共振器は、入射する光線を選択することができ、キャビティ内の光路を調整することで特定波長の光を出射することができる。この特定波長の光は、光共振器のキャビティにおいて強め合う干渉になり、より大きな輝度で出射することが可能となり、光共振器に入射した他の波長の光線は、キャビティ内で繰り返し振動し、弱め合う干渉になるか、または他の構造によって吸収される。そのため、従来の光共振器は光の利用率に限界があり、出光量が低かった。
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示の少なくとも1つの実施例は、光変換層を含む光共振器を提供し、前記光共振器は、特定の波長域の光を出射するように構成され、前記光共振器における前記特定の波長域の光の中心波長の少なくとも1つの波節に前記光変換層が設けられている。
【0004】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例によって提供される光共振器は、第1の機能層と、前記第1の機能層に対向して設けられた第2の機能層と、前記第1の機能層と前記第2の機能層との間に位置する光学媒体層と、をさらに含み、前記光変換層は、前記光学媒体層内に位置し、前記特定の波長域の光は、前記第1の機能層から出射される。
【0005】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例によって提供される光共振器において、前記光共振器は、透過型光共振器であり、前記第1の機能層と前記第2の機能層は共に半透過反射膜であるか、又は前記光共振器は反射型光共振器であり、前記第1の機能層は半透過反射膜であり、前記第2の機能層は全反射膜である。
【0006】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例によって提供される光共振器において、前記光学媒体層の光学的厚さと前記光変換層の光学的厚さとの和は、前記特定の波長域の光の中心波長の半波長の正の整数倍である。
【0007】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例によって提供される光共振器において、前記光変換層の屈折率は、前記光学媒体層の屈折率よりも大きい。
【0008】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例によって提供される光共振器において、前記光変換層の厚さ中心面と前記特定の波長域の光の中心波長の波節との距離は、前記中心波長の1/30以下である。
【0009】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例によって提供される光共振器において、前記光変換層の厚さは、前記特定の波長域の光の中心波長の1/30以下である。
【0010】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例によって提供される光共振器において、前記特定の波長域の光は単色光である。
【0011】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例によって提供される光共振器において、前記単色光は、赤色光、緑色光、青色光のいずれかである。
【0012】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例によって提供される光共振器において、前記光変換層の材料は、前記単色光を得るための上変換発光材料および/または下変換発光材料を含む。
【0013】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例によって提供される光共振器において、前記上変換発光材料は希土類イオンがドープされた無機化合物を含み、前記下変換発光材料は蛍光材料または量子ドット材料を含む。
【0014】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例によって提供される光共振器において、前記光共振器は、銀膜と、第1のシリカ膜と、光変換材料膜と、第2のシリカ膜と、二酸化チタン膜とがこの順に積層して設けられ、前記二酸化チタン膜が前記第1の機能層とし、前記銀膜は前記第2の機能層とし、前記第1のシリカ膜と前記第2のシリカ膜は前記光学媒体層とし、前記光変換材料膜は前記光変換層とする。
【0015】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例によって提供される光共振器において、前記光共振器は、複数の前記光変換層を含み、複数の前記光変換層は、互いに間隔を隔てて、前記特定の波長域の光の中心波長の異なる波節に設けられている。
【0016】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例によって提供される光共振器は、反射防止膜をさらに備え、前記光共振器が透過型光共振器である場合に、前記反射防止膜は、前記第2の機能層の前記第1の機能層に離れる側に設けられ、前記光共振器が反射型光共振器である場合に、前記反射防止膜は、前記第1の機能層の前記第2の機能層に離れる側に設けられている。
【0017】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例によって提供される光共振器は、前記第1の機能層の一方側に、または前記第1の機能層内に設けられた金属吸収層をさらに含む。
【0018】
本開示の少なくとも1つの実施例は、前記のいずれかの実施例における光共振器を含む表示パネルを提供する。
【0019】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例によって提供される表示パネルは、前記光共振器と積層して設けられ、通過する光の強度を制御可能に構成された光強度制御構造をさらに含む。
【0020】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例によって提供される表示パネルにおいて、前記表示パネルは反射型表示パネルであり、前記表示パネルの表示側から非表示側に向かって、光強度制御構造と前記光共振器とを順次設置し、前記光共振器は反射型光共振器であって光反射を実現し、又は、前記表示パネルは透過型表示パネルであり、前記光共振器は透過型光共振器である。
【0021】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例によって提供される表示パネルにおいて、前記光強度制御構造は、エレクトロクロミック光強度制御構造または液晶光強度制御構造であり、前記エレクトロクロミック光強度制御構造は、第1の電極と、第2の電極と、エレクトロクロミック層とを含み、前記第1の電極と第2の電極は、電気信号の印加時に前記エレクトロクロミック層を制御可能に構成され、前記液晶光強度制御構造は、第3の電極と、第4の電極と、第1の偏光層と、第2の偏光層と、液晶層とを含み、前記第1の偏光層の第1の偏光方向と前記第2の偏光層の第2の偏光方向とは互いに垂直となり、前記液晶層は前記第1の偏光層と前記第2の偏光層との間に介在し、前記第3の電極と前記第4の電極は、電気信号の印加時に前記液晶層を制御可能に構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1A】
図1Aは、本開示のいくつかの実施例によって提供される光共振器の構造の模式図である。
【
図1C】
図1Cは、本開示のいくつかの実施例によって提供される別の光共振器の構造の模式図である。
【
図1D】
図1Dは、本開示のいくつかの実施例によって提供される別の光共振器の構造の模式図である。
【
図1E】
図1Eは、本開示のいくつかの実施例によって提供される別の光共振器の構造の模式図である。
【
図2A】
図2Aは本開示のいくつかの実施例によって提供される表示パネルの部分構造の模式図である。
【
図2B】
図2Bは本開示のいくつかの実施例によって提供される別の表示パネルの部分構造の模式図である。
【
図3】
図3は本開示のいくつかの実施例によって提供される別の表示パネルの部分構造の模式図である。
【
図4A】
図4Aは本開示のいくつかの実施例によって提供される別の表示パネルの部分構造の模式図である。
【
図4B】
図4Bは本開示のいくつかの実施例によって提供される別の表示パネルの部分構造の模式図である。
【
図5】
図5は、本開示のいくつかの実施例によって提供される光共振器の反射スペクトル図である。
【
図6】
図6は、本開示のいくつかの実施例によって提供される変換発光材料の発光スペクトル図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施例の目的、技術案および利点をより明確にするために、本発明の実施例の技術案を、本発明の実施例の図面を参照して以下に明確かつ完全に説明する。記載された実施例は、本開示の一部の実施形態であって、全ての実施形態ではないことは明らかである。記載された本開示の実施例に基づいて、当業者が創造的な労力を必要とせずに得られる他の全ての実施例は、全て本開示の範囲内である。
【0024】
他に定義されない限り、本開示で使用される技術用語または科学用語は、本開示が属する技術分野において一般的な技能を有する者によって理解される一般的な意味であるべきである。本開示において使用される「第1」、「第2」、および類似の用語は、順序、数、または重要性を意味するものではなく、単に異なる構成要素を区別するために使用される。「含む」又は「備える」等の類似の用語は、他の要素又は物品を除外することなく、当該用語の前に存在する要素又は物品が、用語の後に列挙された要素又は物品及びそれらの同等物を包含することを意味する。「接続」又は「連結」などの類似の用語は、物理的または機械的接続に限定されず、直接的または間接的ないずれかの電気的接続を含むことができる。「上」、「下」、「左」、「右」等は、相対的な位置関係を示すためにのみ用いられ、記述されたオブジェクトの絶対的な位置が変化すると、それに応じて相対的な位置関係も変化し得る。
【0025】
本開示の少なくとも1つの実施例は、光変換層を含む光共振器を提供し、光共振器は、特定の波長域の光を出射するように構成され、光共振器において、光変換層は、特定の波長域の光の中心波長の波節に位置している。光共振器は、特定の波長域の光を出射するように構成されているので、当該光共振器には、当該特定の波長域の光の波が存在することになり、当該存在する特定の波長域の光の波に応じて、光共振器内の光変換層の位置を決定する。光変換層は、他の波長の光を上記特定の波長域の光に変換することができ、光共振器の出光量を向上させることができ、また、光共振器において光変換層が特定の波長域の光の中心波長の波節に位置することにより、上記特定の波長域の光に対する吸収を低減することができ、また、この場合に、光変換層が他の波長の光の非波節に位置することになり、光変換層による他の部分の光に対する吸収を増加することができ、光共振器の出光量をさらに増加させることができる。光共振器は、光反射性(例えば、全反射又は半透過半反射)を有する対向する平行な2つの側面を含む共振器本体(又は共振空間とも呼ばれる)を含み、光線は共振器本体のこの2つの側面の間を往復(往復反射)して共振を実現し、この共振によって特定の波長域の光がある側面から出射される。この2つの側面は共振側面と呼んでもよく、共振側面間の垂直距離は共振器本体の長さを定義し、それに応じて、光共振器内に存在する特定の波長域の光の中心波長の波節は、共振側面と重なる。本開示の実施例は、共振器本体の共振を達成するために使用されない側面に限定されない。
【0026】
なお、本開示の少なくとも1つの実施例において、光共振器において、光変換層が特定の波長域の光の中心波長の波節に位置するとは、光共振器において、光変換層が波節と重なるか、波節の近傍に位置することを意味する。例えば、光変換層とこの中心波長の波節との距離は、光変換層とこの中心波長の波腹との距離よりも小さい。
【0027】
本開示の少なくとも1つの実施例において、上記特定の波長域の光の中心波長は、光共振器の設計波長であってもよい。以下、本発明の以下の少なくとも1つの実施例の技術案において、上記特定の波長域の光の中心波長を光共振器の設計波長で表し、特定の波長域を設計波長域で表す。例示的には、光共振器の設計波長は630ナノメートルであり、すなわち、光共振器は、630ナノメートルの中心波長を有する赤色光を出射することができ、630ナノメートルの波長の光の少なくとも1つの波節は420ナノメートルの青色光の波腹と同じ位置にあり、この位置に光変換層を設けると、この光変換層は420ナノメートルの赤色光を吸収せず、しかし420ナノメートルの青色光に対する吸収度が最も高い。このように、入射光のうち設計波長域に適合する光(上記特定の波長域の光)の吸収を最小限に抑えるだけでなく、また、非設計波長域の光と設計波長域の光との間の変換量を最大化することができ、光共振器の出光量をさらに向上させることができる。
【0028】
以下、本発明の少なくとも1つの実施例に係る光共振器、表示パネルについて図面を参照して説明する。
【0029】
図1Aは、本開示の1つの実施例によって提供される光共振器の構造の模式図であり、
図1Bは、
図1Aに示す光共振器の光路図である。
【0030】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例において、
図1Aと
図1Bに示すように、光共振器100は、特定の波長域の光を出射するように構成された光変換層110を含み、光共振器100の共振器本体内におけるこの特定の波長範囲の光の中心波長の1つの波節はPであり、光変換層110は波節Pに設けてもよい。光変換層110は、設計波長域の光を吸収することなく、非設計波長域の光を吸収して設計波長域の光に変換し、設計波長域の光の出光量を向上させることができる。
【0031】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例において、光共振器は、第1の機能層と、第2の機能層と、光学媒体層とをさらに含み、第1の機能層と第2の機能層とが対向して設けられ、光学媒体層は第1の機能層と第2の機能層との間に位置し、光変換層は光学媒体層内に位置し、特定の波長域の光は第1の機能層から出射される。例示的には、
図1Aと
図1Bに示すように、光共振器100は、第1の機能層121と、光学媒体層130と、第2の機能層122とがこの順に積層して設けられ、光変換層110は光学媒体層130内に位置する。第1の機能層121と第2の機能層122は、光共振器100に入射した光が第1の機能層121と第2の機能層122との間で往復反射させるように、光学媒体層130に対して高反射膜層であり、光共振器100の設計波長要件を満たす光線は、反射中に強め合う干渉になり、それにより、より大きな輝度で光共振器100から放射される。この設計波長は、光共振器100の共振器本体101の長さL及び共振器本体101の光学特性(例えば屈折率)に依存する。例えば、共振器本体101に光学媒体層130及び光変換層110が含まれている場合には、光学媒体層130の光学的厚さ(実際の厚さと屈折率との積)と光変換層110の光学的厚さとの和は、設計波長の半波長の正の整数倍であり、このときの共振器本体101の長さLは、光学媒体層130の実際の厚さと光変換層110の実際の厚さとの和となる。そこで、上記実施例では、対向して設けられた第1の機能層と第2の機能層とが光反射性を有し、第1の機能層121の第2の機能層122に面する表面1211および第2の機能層122の第1の機能層121に面する表面1221は、共振器本体101の共振側面とし、すなわち、この2つの表面(1211と1221)は、光共振器100の共振器本体101を画定する。
【0032】
本開示の少なくとも1つの実施例において、光共振器の種類は限定されず、それに応じて、第1の機能層と第2の機能層は、光共振器の種類に応じて設定されてもよい。
【0033】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例によって提供される光共振器において、光共振器が透過型光共振器であり、第1の機能層と第2の機能層が共に半透過反射膜である。例えば、設計波長の光に対する第2の機能層の反射率は、設計波長の光に対する第1の機能層の反射率よりも大きく、設計波長の光を第1の機能層から放射させることができる。例えば、透過型光共振器に入射する光線は、第2の機能層から光共振器に入射する光線を含んでもよいし、第1の機能層から光共振器に入射する光線を含んでもよい。
【0034】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例によって提供される光共振器において、光共振器は反射型光共振器であり、第1の機能層は半透過半反射膜であり、第2の機能層は全反射膜である。
【0035】
本開示の少なくとも1つの実施例において、第1の機能層の反射率は、特に制限されず、必要に応じて選択することができる。第1の機能層の反射率が大きいほど、第1の機能層の透過帯域の波長半値幅が小さくなり、その分、出射光の波長域が狭くなり、すなわち出射光の単色性が良くなる。
【0036】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例によって提供される光共振器において、光共振器は反射防止膜をさらに含んでもよい。反射防止膜は光共振器の入光側に位置し、入射光が光共振器に入る割合を増加させ、光共振器の設計波長域の光の出光量を向上させることができる。例示的に、
図1Cに示すように、光共振器が透過型光共振器である場合には、第2機能層122の第1機能層121に離れる側に反射防止膜140を設けてもよく、
図1Dに示すように、光共振器が反射型光共振器である場合には、第1機能層121の第2機能層122に離れる側に反射防止膜140を設けてもよい。
【0037】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例によって提供される光共振器において、光学媒体層の光学的厚さと光変換層の光学的厚さとの和は、特定の波長域の光の中心波長の半波長の正の整数倍である。このように、上記中心波長の光は、第1の機能層121と第2の機能層122との間で干渉が強め合うことができる。光学的厚さは、構造層の実際の厚さと屈折率との積とすることができる。例示的には、
図1Aと
図1Bに示すように、第1の機能層121が位置する面と第2の機能層122が位置する面とは平行となり、第1の機能層121が位置する面に対して垂直となる方向に、光学媒体層130の厚さとその屈折率との積と、光変換層110の厚さとその屈折率との積との和は、設計波長の半波長の正の整数倍である。
【0038】
本開示の少なくとも1つの実施例において、光学媒体層の材料は特に限定されない。例えば、光学媒体層の材料としては、空気、無機材料、または有機材料等が挙げられ、無機材料としては、例えば、シリカ、フッ化マグネシウム等の低屈折率材料であってもよい。
【0039】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例において、光共振器には、1つの光変換層が設けられていてもよいし、複数の光変換層が互いに離間して設けられていてもよい。例えば、光共振器の設計波長の波節にこの複数の光変換層を設けることで、非設計波長光の吸収をさらに増加させることができ、その分、設計波長光線の出光量をさらに向上させることができる。光変換層の配置数は、第1の機能層121と第2の機能層122との間の光学的厚さに応じて設計することができる。
【0040】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例によって提供される光共振器において、光変換層の屈折率は、光学媒体層の屈折率よりも大きい。このように、全反射の原理により、光変換層を反射層として、隣接する光変換層の間や、光変換層と機能層(第1の機能層または第2の機能層)との間で光を反射させることができる。例えば、光変換層を反射層とする場合には、第1の機能層または第2の機能層の間に複数の共振器を形成することができ、非設計波長の光に対するキャンセルの度合いをより高めることができ、さらに設計波長の光に対する出光量と輝度を向上させる。例えば、光変換層は、非設計波長の光の吸収を増加させるために、より大きな消衰係数を有するように設けてもよい。
【0041】
本発明の少なくとも1つの実施例において、光共振器内における光変換層の具体的な位置は、光変換層が設計波長の波節に位置していれば特に限定されず、光変換層と波節とが重なっていてもよく、あるいは、光変換層と波節との離間距離が許容範囲内である。例えば、本開示の少なくとも1つの実施例によって提供される光共振器において、光変換層の厚さ中心面と特定の波長域の光の中心波長の波節との距離は、中心波長の1/30以下である。上記範囲内においては、光変換層による設計波長域の光吸収が非常に少なく、設計波長域の光の出光量を増加させることができる。例示的には、
図1Bに示すように、第1の機能層121が位置する面と、第2の機能層122が位置する面と、光変換層の厚さ中心面Qとは平行となり、厚さ中心面Qと波節Pとの距離は、第1の機能層121が位置する面に垂直となる方向(例えば、
図1Bに示す破線W)において、設計波長の1/30以下である。
【0042】
本発明の少なくとも1つの実施例において、光共振器内における光変換層の具体的な位置は、光変換層による設計波長域の光の吸収が許容範囲内であれば特に限定されない。例えば、本開示の少なくとも1つの実施例によって提供される光共振器において、光変換層の厚さは、特定の波長域の光の中心波長の1/30以下である。上記範囲内においては、光変換層の主表面が設計波長の光の波腹から遠く、光変換層による設計波長域の光吸収が非常に少なく、設計波長域の光の出光量を増加させることができる。
【0043】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例において、光共振器は金属吸収層をさらに含んでもよい。例えば、
図1Eに示すように、金属吸収層150は、第1の機能層121の一方側に位置してもよいし、第1の機能層121内に設けてもよい。金属吸収層は、非設計波長域の光を吸収し、出射光の単色性を向上させることができる。
【0044】
例示的には、本開示の少なくとも1つの実施例において、下記の表1に示すように、中心波長620ナノメートルの赤色光を出射することができる光共振器の膜系構成が提供される。
【0045】
【0046】
表1に示す光共振器において、第1層のクロム膜と第2層の銀膜を高反射膜層(第2の機能層)としてもよく、この場合、第2の機能層は全反射層である。クロム膜は、銀膜よりも基底ガラスとの密着性が強く、この場合、第1層のクロム膜は、主に光共振器を基底に固定するために用いられるが、本発明の少なくとも1つの実施例においては、第1層のクロム膜を設けなくてもよい。例えば、第2層の銀膜は、アルミニウム膜、金膜、銅膜等の反射率の高い膜層に代えてもよく、本発明の実施例は特に限定されない。例えば、第6層の二酸化チタン膜層、第7層のクロム膜、及び第8層の二酸化チタン膜層を高反射膜層(第1の機能層)、第7層のクロム膜を金属吸収層としてもよい。第3層及び第5層のシリカ膜層は光学媒体層であり、第4層の光変換材料膜層は光学媒体層内に位置する光変換層である。表1に示す膜系では、光変換層は620ナノメートルの波長の光の波節に位置している。
【0047】
図5は表1に示す光共振器の光変換材料層の光変換作用が生じていない場合の反射スペクトル図であり、この反射スペクトル図における横軸は光の波長(wavelength)を示し、縦軸は光反射率(reflectance)を示し、
図6は変換発光材料の発光スペクトル図であり、この発光スペクトル図における横軸は光の波長(wavelength)を示し、縦軸は変換発光材料のフォトルミネセンス強度(photoluminescence intensity)を示す。例えば、表1に示す光共振器の光変換材料層に光変換作用が生じた場合、光共振器の光に対する反射効果は、
図5の反射スペクトルと
図6の変換発光材料の発光スペクトルとの相乗効果である。
【0048】
図5に示すように、この光共振器は、約620ナノメートルの波長の光に対する反射率が、他の波長の光に対する反射率よりもはるかに高く、
図6に示すように、変換発光材料を通る光の波長も620ナノメートル付近に集中している。表1に示す光共振器の光変換材料層に光変換作用が生じると、約620ナノメートルの波長の光に対する光共振器の出光率を向上させることができる。
【0049】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例によって提供される光共振器において、特定の波長域の光は単色光である。例えば、この単色光は一般的に可視光域内にあり、すなわち、光共振器を単色光放射器として表示や照明に応用することができるように、光共振器から出射される光の波長域は単色の波長帯域のみをカバーする。例えば、光共振器をセンサに適用することができるように、この単色光を赤外帯域に位置することもできる。例えば、本開示の少なくとも1つの実施例において、光共振器から出射される光の波長域は、複数の色の波長帯域をカバーすることができる。
【0050】
以下、光共振器から出射される光が単色光である場合を例に挙げて、本開示の以下の少なくとも1つの実施例における技術案について説明する。
【0051】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例によって提供される光共振器において、単色光は、赤色光、緑色光、青色光のいずれかであってもよい。このように、光共振器は3原色の光を発射することができ、異なる色の光を発射する共振器を組み合わせることにより、画像を表示することができ、このように、光共振器は表示分野に応用することができる。
【0052】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例によって提供される光共振器において、光変換層の材料は、単色光を得るための上変換発光材料および/または下変換発光材料を含む。上変換発光材料は、この単色光の波長よりも大きい波長の光をこの単色光に変換することができ、下変換発光材料は、この単色光の波長よりも小さい波長の光をこの単色光に変換することができる。光変換層には、複数種類の光変換発光材料が設けられていてもよく、これらの光変換発光材料は、それぞれ複数の膜層として設けられていてもよいし、同一の膜層にドープされていてもよい。
【0053】
本開示の少なくとも1つの実施例において、上変換発光材料と下変換発光材料の種類は特に限定されない。例えば、下変換発光材料は、無機発光材料および/または有機発光材料、さらには例えば蛍光材料または量子ドット材料などを含んでもよい。上変換発光材料は、希土類イオンがドープされた無機化合物を含んでもよい。例えば、光共振器から出射される青色光の具体的な波長帯域に応じて、対応する上変換発光材料は、フッ素化合物、酸化物、硫黄化合物、酸フッ化物、ハロゲン化物等の無機化合物に希土類イオンをそれぞれの濃度と比率でドープして得ることができる。例えば、上変換発光材料は、フッ化イットリウムナトリウム(NaYF4)をホスト材料として、イッテルビウム(Yb):ツリウム(Tm):エルビウム(Er)=(18~60):(0~0.2):(0~2)をドープしてもよい。
【0054】
例示的には、光共振器から出射される光は赤色光である光変換層は、青色光と緑色光を赤色光に変換するための下変換発光材料を含んでもよい。例えば、下変換発光材料は、赤色量子ドット、赤色蛍光材料などの赤色発光材料を含んでもよい。なお、下変換発光材料は、青色光よりも波長の小さい紫外線、X線、ガンマ線等を赤色光に変換することもできる。例えば、光変換層は、赤色光よりも波長の大きい赤外線等を赤色光に変換するための上変換発光材料を含んでもよい。
【0055】
例示的には、光共振器から出射される光は緑色光である光変換層は、青色光を緑色光に変換するための下変換発光材料および/または赤色光を緑色光に変換するための上変換発光材料を含んでもよい。例えば、下変換発光材料は、緑色量子ドット、緑色蛍光材料などの緑色発光材料を含んでもよい。例えば、上変換発光材料は、フッ化イットリウムナトリウム(NaYF4)をホスト材料として、Yb:Tm:Er=(18~25):0:2をドープしてもよい。なお、上変換発光材料は、赤色光よりも波長の大きい赤外線等を赤色光に変換することができ、下変換発光材料は、青色光よりも波長の小さい紫外線、X線、ガンマ線等を青色光に変換することもできる。
【0056】
例示的には、光共振器から出射される光は青色光である光変換層は、赤色光と緑色光を青色光に変換するための上変換発光材料を含んでもよい。例えば、フッ化イットリウムナトリウム(NaYF4)をホスト材料として、Yb:Tm:Er=20:0.2:(0~0.5)をドープする。なお、上変換発光材料は、赤色光よりも波長の大きい赤外線等を赤色光に変換することもできる。例えば、光変換層は、青色光よりも波長の小さい紫外線、X線、ガンマ線等を青色光に変換するための下変換発光材料を含んでもよい。
【0057】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例において、量子ドットは一般に球形または類球形であり、その直径は通常2から20ナノメートルの間である。量子ドットの具体例としては、シリコン量子ドット、ゲルマニウム量子ドット、硫化カドミウム量子ドット、セレン化カドミウム量子ドット、テルル化カドミウム量子ドット、セレン化亜鉛量子ドット、硫化鉛量子ドット、セレン化鉛量子ドット、リン化インジウム量子ドットやヒ素化インジウム量子ドットなどを含む。
【0058】
本発明の少なくとも1つの実施例において、光変換層の屈折率及び消衰係数等のパラメータは限定されず、上変換発光材料または下変換発光材料は、対応する屈折率または消衰係数の光変換層を得るために他の材料とドープされてもよい。例えば、光変換層の屈折率の範囲は、1~5、さらには2、3、4などとすることができる。例えば、光変換層の消衰係数の範囲は、1~5、さらには2、3、4などとすることができる。例えば、光変換層の屈折率と消衰係数は、同一であってもよいし、略同一であってもよい。
【0059】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例において、光変換層の材料は、量子ドット及び銀ナノ粒子を含んでもよい。量子ドットと銀ナノ粒子の配合比を調節することで、光変換層の屈折率や消衰係数を調節することができる。例えば、光変換層材料中の銀ナノ粒子の占める割合が多いほど、光変換層の屈折率が小さくなり、消衰係数が大きくなる。例えば、量子ドットと銀ナノ粒子との体積比は66.94%/33.06%とすることができ、これにより、光変換層はクロムと同じ又は類似の屈折率と消衰係数を有することができる。
【0060】
なお、本開示の少なくとも1つの実施例において、光共振器内の特定の構造層は、光共振器の設計波長に位置し得る光変換層に置き換えられてもよい。このように、設計波長域の光の出射率を向上させるとともに、光共振器の膜系設計を簡略化し、コストを低減することができる。
【0061】
例えば、光共振器には、光共振器の設計波長の波節に位置する金属層(例えばクロム層)が設けられる。光共振器の動作中に、クロム層は高い反射率を有し、設計波長域の光を反射し、設計波長域の光の出射率を増加させることができ、また、クロム層は大きな消光係数を有し、非設計波長域の光を吸収し、非設計波長域の光の出射率を低下させることができる。例えば、本開示の少なくとも1つの実施例において、上記光共振器におけるクロム層の代わりに光変換層を設けてもよく、この光変換層の光学的厚さをクロム層と同じにしてもよい。例えば、この光変換層の屈折率、消衰係数、膜厚等のパラメータは、クロム層と同等に設定されている。このように、設計波長域の光の出射率を増加させるとともに、光共振器の膜系構造の再設計を不要とすることができ、光共振器における他の膜層の設計パラメータを維持することができ、光共振器の製造プロセスを簡略化し、コストを低減する。
【0062】
本開示の少なくとも1つの実施例は、上記のいずれかの実施例における光共振器を含む表示パネルを提供する。この表示パネルにおいては、光共振器が単色光線を出射することができ、カラーフィルムを設ける必要がなくてもよい。また、光共振器出射光の単色性が良く、表示画像の効果が向上するとともに、他の波長光線をこの単色光線に変換して出射光の輝度を向上させることができる。
【0063】
例えば、表示パネルは、タブレット、テレビ、ディスプレイ、ノートパソコン、デジタルフォトフレーム、ナビゲーションなど、表示機能を有する任意の製品または部品であってよく、本開示の少なくとも1つの実施例は、これに限定されない。
【0064】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例によって提供される表示パネルは、光共振器と積層して設けられ、通過する光の強度を制御可能に構成された光強度制御構造をさらに含む。光強度制御構造は、光の強度を制御することができ、表示パネルの表示画像の階調を調整することができる。なお、本開示の少なくとも1つの実施例において、光強度制御構造と光共振器は表示用光の光路上に積層して設置することができ、光強度制御構造に表示画像の階調を調整させることができる。例えば、光強度制御構造が位置する面は光共振器が位置する面と平行となり、光強度制御構造が位置する面に垂直となる方向において、光強度制御構造は光共振器と少なくとも部分的に重なる。
【0065】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例において、表示パネルは、複数の画素ユニットを含んでもよく、各画素ユニットには、上述した実施例のいずれか1つの光共振器を設けてもよい。
【0066】
図2Aは本開示の1つの実施例によって提供される表示パネルの部分構造の模式図であり、
図2Bは本開示の1つの実施例によって提供される別の表示パネルの部分構造の模式図であり、
図2Aと
図2Bは、表示パネルの1画素ユニットの構造を示す。
【0067】
例示的に、
図2Aと
図2Bに示すように、各画素ユニット1100において、表示パネルは、表示用光の光路上に光共振器100と積層して設けられた光強度制御構造200を含み、光強度制御構造200は、通過する光の強度を制御可能に構成される。例えば、光強度制御構造200は、光共振器100に入射する光又は光共振器100から出射される光の強度を制御するように構成される。
【0068】
例えば、
図2Aと
図2Bに示すように、表示パネルは、第1の基板310と第2の基板320を含んでもよい。例えば、第1の基板310は、第2の基板320に対して表示パネルの表示側に位置している。例えば、第2の基板320はアレイ基板であってもよい。例えば、各画素ユニット1100において、アレイ基板は、少なくとも1つのスイッチ素子(例えば、薄膜トランジスタ)を含んでもよく、スイッチ素子は、光強度制御構造200のスイッチ及びオン状態で印加される電圧の大きさを制御するように、光強度制御構造200に信号接続される。
【0069】
本開示の少なくとも1つの実施例において、表示パネルの種類は限定されない。例えば、表示パネルは、反射型表示パネルであってもよいし、透過型表示パネルであってもよい。また、光強度制御構造200と光共振器100との位置関係や、光共振器100の種類は、表示パネルの種類に応じて選択することができる。
【0070】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例によって提供される表示パネルにおいて、表示パネルが反射型表示パネルであり、表示パネルの表示側から非表示側に向かって順に、光強度制御構造と光共振器が設けられており、光共振器は反射型光共振器であり、光反射を実現する。例示的に、
図2Aに示すように、表示パネルは反射型表示パネルである。例えば、表示過程において、外界の環境光は光強度制御構造200を経て反射型光共振器100に入り、反射型光共振器100は単色光線を反射し、単色光線は光強度制御構造200を経て出射され、その間、光強度制御構造200はこの単色光線の強度を調節する。このように、表示パネルに反射層を別途設ける必要がなく、表示パネルの構造が簡素化されるとともに、反射型光共振器100は、環境光のうちの他の波長の光線をこの単色光に変換することができ、この単色光の輝度が向上し、従来の反射型表示パネルに比べて表示画像の輝度が向上する。
【0071】
なお、表示パネルが反射型表示パネルである場合には、光共振器を透過型光共振器としてもよく、これに応じて、第2の基板を反射型基板としてもよい。この場合、光強度制御構造と光共振器との位置関係は、光強度制御構造と光共振器とが第2の基板の表示側に面する側にあれば、特に限定されない。
【0072】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例によって提供される表示パネルにおいて、表示パネルは透過型表示パネルであり、光共振器は透過型光共振器である。例示的に、
図2Bに示すように、表示パネルは透過型表示パネルである。例えば、表示過程において、バックライトは透過型光共振器100に入射し、透過型光共振器100は単色光線を出射し、光強度制御構造200はこの単色光線の強度を調整する。バックライトがまず光共振器100に入ってから光強度制御構造200に入る表示方式は、バックライトが単色光線に変換される割合を最大化させ、バックライトの利用率を向上させる。なお、光強度制御構造200は、透過型光共振器100の入光側に位置してもよく、すなわち、光強度制御構造200がバックライトの輝度を調整した後、輝度が調整されたバックライトが透過型光共振器100に入射する。
【0073】
本開示の少なくとも1つの実施例において、光強度制御構造の具体的な構成は、光強度制御構造が光の輝度を調整可能であれば特に限定されない。
【0074】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例によって提供される表示パネルにおいて、光強度制御構造は、第1の電極と、第2の電極と、エレクトロクロミック層とを含むエレクトロクロミック光強度制御構造であり、第1の電極と第2の電極は、電気信号の印加時にエレクトロクロミック層を制御可能に構成される。
図3は本開示の1つの実施例によって提供される別の表示パネルの部分構造の模式図である。例示的に、
図3に示すように、光強度制御構造200は、第1の電極210と、第2の電極220と、エレクトロクロミック層230とを含むエレクトロクロミック光強度制御構造である。例えば、エレクトロクロミック層230は、第1の電極210と第2の電極220との間に位置する。エレクトロクロミック層230はエレクトロクロミック材料を含み、エレクトロクロミック材料は電場の作用下で光透過率が変化し、例えば透明状態から暗色状態へと変化することができる。例えば、第1の電極210と第2の電極220とに電圧が印加されていない場合や、印加されている電圧が等しい場合には、第1の電極210と第2の電極220との間の電位差はゼロとなり、エレクトロクロミック層230は、透明状態を有し、第1の電極210と第2の電極220との電位差がゼロよりも大きい場合には、エレクトロクロミック層230は、濃色状態を有し、電位差が大きいほどエレクトロクロミック層230の光透過率が小さくなる。
【0075】
本開示の少なくとも1つの実施例において、エレクトロクロミック層中のエレクトロクロミック材料の種類は限定されない。例えば、エレクトロクロミック材料は、三酸化タングステン、ポリチオフェン類及びその誘導体、バイオレット、テトラチオフルバレン、又は金属フタロシアニン化合物等を含んでもよい。
【0076】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例において、第1の電極と第2の電極は、透明電極または半透明電極であってもよい。例えば、透明電極の材料は、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化インジウムガリウム(IGO)、ガリウム添加酸化亜鉛(GZO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム(In2O3)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、カーボンナノチューブなどを含んでもよい。
【0077】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例によって提供される表示パネルにおいて、光強度制御構造は液晶光強度制御構造であり、この液晶光強度制御構造は第3の電極、第4の電極、第1の偏光層、第2の偏光層と液晶層を含み、液晶層は、第1の偏光層と第2の偏光層との間に挟まれており、第3の電極と第4の電極は、電気信号の印加時に液晶層を制御可能に構成されている。例えば、第1の偏光層の第1の偏光方向と第2の偏光層の第2の偏光方向とが互いに垂直となり、表示パネルをノーマリーブラック状態とすることができ、表示画像のコントラストを向上させることができる。
図4Aは本開示の1つの実施例によって提供される別の表示パネルの部分構造の模式図であり、
図4Bは本開示の1つの実施例によって提供される別の表示パネルの部分構造の模式図である。例示的に、
図4Aと
図4Bに示すように、光強度制御構造200は、第3電極240と、第4の電極250と、第1の偏光層260と、第2の偏光層270と、液晶層280とを含む液晶光強度制御構造であり、液晶層280は、第1の偏光層260と第2の偏光層270との間に介在する。第3電極240と第4の電極250との間に生じる電界を調整して液晶層280における液晶分子の捩れを制御することにより、第1の偏光層260と第2の偏光層270との協働により、液晶光強度制御構造200が異なる光透過率を有するようにする。例えば、第3の電極240と第4の電極250とは、液晶層280の同じ側に位置していてもよいし、それぞれ液晶層280の両側に位置していてもよい。
【0078】
本発明の少なくとも1つの実施例によって提供される表示パネルにおいて、表示用光の伝播経路上において、光共振器が光強度制御構造の前に位置していてもよく、すなわち、表示用光が光共振器を通過した後に光強度制御構造に入ることにより、表示用光が所望の単色光に変換される割合を高め、光の利用効率を高めるとともに単色光の輝度を増加させることができる。
【0079】
例えば、
図4Aに示すように、表示パネルは透過型表示パネルであり、光共振器100は光強度制御構造200の第2の基板320に面する側に位置し、これによりバックライトが単色光線に変換される割合を増加させることができる。
【0080】
例えば、
図4Bに示すように、表示パネルは反射型表示パネルであり、光共振器100は光強度制御構造200の第1の基板320に面する側に位置し、これにより外部環境光線が単色光線に変換される割合を増加させることができる。例えば、第3の電極240は、透明電極又は半透明電極として設けられてもよく、第4の電極250は、反射電極として設けられてもよい。
【0081】
なお、本開示の上記少なくとも1つの実施例によって提供される光共振器は、表示分野に限らず、他の光学分野にも適用可能である。例えば、上述した光共振器は、レーザ分野に適用することができる。
【0082】
本開示について、以下の数点をさらに説明する必要がある。
【0083】
(1)本開示の実施例の図面は、本開示の実施例に関連する構造にのみ関連し、他の構造は、一般的な設計を参照することができる。
【0084】
(2)明確にするために、本開示の実施例を説明するための図面において、層または領域の厚さは、拡大または縮小され、すなわち、これらの図面は、実際の縮尺で描かれていない。
【0085】
(3)本開示の実施例および実施例の特徴は、矛盾することなく互いに組み合わされて、新たな実施例を得ることができる。
【0086】
以上は、本開示の具体的な実施形態に過ぎなく、本開示の保護範囲はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲による保護範囲を基準とすべきである。
【0087】
本願は、2018年4月8日付出願された中国特許出願第201810306414.5号の優先権を主張するものであり、本願の一部として上記の中国特許出願の開示内容を全体として援用する。
【符号の説明】
【0088】
100 光共振器
101 共振器本体
110 光変換層
121 第1機能層
122 第2機能層
130 光学媒体層
140 反射防止膜
150 金属吸収層
200 光強度制御構造
210 第1の電極
220 第2の電極
230 エレクトロクロミック層
240 第3の電極
250 第4の電極
260 第1の偏光層
270 第2の偏光層
280 液晶層
310 第1の基板
320 第2の基板
1100 画素ユニット