(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】ヘテロアリールアゾール化合物および有害生物防除剤
(51)【国際特許分類】
C07D 401/04 20060101AFI20230719BHJP
A01N 43/50 20060101ALI20230719BHJP
A01P 7/04 20060101ALI20230719BHJP
A61K 31/444 20060101ALI20230719BHJP
A61P 33/10 20060101ALI20230719BHJP
A61P 33/14 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
C07D401/04 CSP
A01N43/50 M
A01P7/04
A61K31/444
A61P33/10
A61P33/14
(21)【出願番号】P 2020550414
(86)(22)【出願日】2019-09-30
(86)【国際出願番号】 JP2019038480
(87)【国際公開番号】W WO2020071304
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2022-02-18
(31)【優先権主張番号】P 2018187675
(32)【優先日】2018-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018202997
(32)【優先日】2018-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004307
【氏名又は名称】日本曹達株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】阪西 慶太
(72)【発明者】
【氏名】崎山 訓史
(72)【発明者】
【氏名】青山 光
(72)【発明者】
【氏名】岩佐 孝男
(72)【発明者】
【氏名】松井 麻記
(72)【発明者】
【氏名】小林 朝巳
(72)【発明者】
【氏名】牛島 大佑
【審査官】中村 政彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/104741(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/052035(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/012395(WO,A1)
【文献】国際公開第1999/002518(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/024587(WO,A1)
【文献】国際公開第1997/046530(WO,A1)
【文献】CAS REGISTRY No. 2169190-00-3,DATABASE REGISTRY, [online],2018年01月03日,Retrieved from: STN
【文献】CAS REGISTRY No. 2166828-15-3,DATABASE REGISTRY, [online],2017年12月31日,Retrieved from: STN
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 401/00
C07D 403/00
C07D 417/00
A01N 43/00
A01N 53/00
A01P 7/00
A61K 31/00
A61P 33/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表される化合物、そのN-オキサイド化合物、立体異性体、互変異性体、水和物またはそれらの塩。
【化1】
式(I)中、
Aは、C
Hである。
B
1は、C
X
1
である。
X
1は、
C3~8シクロアルキル
基である。
X
2
およびX
3
は、水素原子である。
R
1は、
C1~6アルキルチオ基、
C1~6アルキルスルフィニル基、または
C1~6アルキルスルホニル基である。
R
2は、
C1~6アルキル基である。
Rは、
C1~6
ハロアルキル基である。
【請求項2】
請求項
1に記載の化合物、そのN-オキサイド化合物、立体異性体、互変異性体、水和物およびそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1つを有効成分として含有する有害生物防除剤。
【請求項3】
請求項
1に記載の化合物、そのN-オキサイド化合物、立体異性体、互変異性体、水和物およびそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1つを有効成分として含有する殺虫若しくは殺ダニ剤。
【請求項4】
請求項
1に記載の化合物、そのN-オキサイド化合物、立体異性体、互変異性体、水和物およびそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1つを有効成分として含有する外部寄生虫防除剤。
【請求項5】
請求項
1に記載の化合物、そのN-オキサイド化合物、立体異性体、互変異性体、水和物およびそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1つを有効成分として含有する内部寄生虫防除剤または駆除剤。
【請求項6】
請求項
1に記載の化合物、そのN-オキサイド化合物、立体異性体、互変異性体、水和物およびそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1つを有効成分として含有する種子処理剤または栄養繁殖器官処理剤。
【請求項7】
請求項
1に記載の化合物、そのN-オキサイド化合物、立体異性体、互変異性体、水和物およびそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1つを有効成分として含有する水稲育苗箱処理用農薬粒状組成剤。
【請求項8】
請求項
1に記載の化合物、そのN-オキサイド化合物、立体異性体、互変異性体、水和物およびそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1つを有効成分として含有する土壌処理剤。
【請求項9】
請求項
1に記載の化合物、そのN-オキサイド化合物、立体異性体、互変異性体、水和物およびそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1つを有効成分として含有するベイト剤。
【請求項10】
請求項
1に記載の化合物、そのN-オキサイド化合物、立体異性体、互変異性体、水和物およびそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1つを有効成分として含有する植物成長促進剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヘテロアリールアゾール化合物および有害生物防除剤に関する。より詳細には、本発明は、優れた殺虫活性および/または殺ダニ活性を有し、安全性に優れ、且つ工業的に有利に合成できるヘテロアリールアゾール化合物、ならびにこれを有効成分として含有する有害生物防除剤に関する。本願は2018年10月2日に出願された日本国特許出願第2018-187675号、及び2018年10月29日に出願された日本国特許出願第2018-202997号に対し優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
殺虫・殺ダニ活性を有する化合物が種々提案されている。そのような化合物を農薬として実用するためには、効力が十分に高いだけでなく、薬剤抵抗性が生じ難いこと、植物に対する薬害や土壌汚染を生じさせないこと、家畜や魚類などに対する毒性が低いことなどが要求される。
【0003】
ところで、特許文献1には、式(A)または(B)で表される化合物などが開示されている。
【化1】
【化2】
【0004】
また、特許文献2には、式(C)で表される化合物などが開示されている。
【化3】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】WO2017/104741A
【文献】WO2018/052035A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、有害生物防除活性、その中でも特に殺虫活性および/または殺ダニ活性に優れ、安全性に優れ、かつ工業的に有利に合成できるヘテロアリールアゾール化合物を提供することである。本発明の別の課題は、ヘテロアリールアゾール化合物を有効成分として含有する有害生物防除剤、殺虫もしくは殺ダニ剤、外部寄生虫防除剤、または内部寄生虫防除もしくは駆除剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下の態様を包含する本発明を完成するに至った。
【0008】
〔1〕 式(I)で表される化合物、そのN-オキサイド化合物、立体異性体、互変異性体、水和物またはそれらの塩。
【化4】
式(I)中、
Aは、CHまたは窒素原子である。
B
1 は、CX
1 または窒素原子である。
X
1 、X
2 およびX
3 は、それぞれ独立して、水素原子、置換若しくは無置換のC1~6アルキル基、置換若しくは無置換のC2~6アルケニル基、置換若しくは無置換のC2~6アルキニル基、水酸基、置換若しくは無置換のC1~6アルコキシ基、置換若しくは無置換のC1~6アルコキシカルボニル基、ホルミル基、置換若しくは無置換のC1~6アルキルチオ基、置換若しくは無置換のC1~6アルキルスルフィニル基、置換若しくは無置換のC1~6アルキルスルホニル基、置換若しくは無置換のC3~8シクロアルキル基、置換若しくは無置換のC6~10アリール基、置換若しくは無置換の3~6員ヘテロシクリル基、置換若しくは無置換のC6~10アリールオキシ基、置換若しくは無置換の5~6員ヘテロアリールオキシ基、置換若しくは無置換のアミノ基、置換若しくは無置換のアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のヒドラジニル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲノ基、式:-CR
3=N-OR
4で表される基、式:-N=CHNR
5R
6で表される基、または式:-N=S(O)
qR
7R
8で表される基である。
R
3およびR
4は、それぞれ独立して、水素原子、C1~6アルキル基、またはC1~6ハロアルキル基である。
R
5、R
6、R
7およびR
8は、C1~6アルキル基である。
qは、0または1である。
R
1は、置換若しくは無置換のC1~6アルキルチオ基、置換若しくは無置換のC1~6アルキルスルフィニル基、または置換若しくは無置換のC1~6アルキルスルホニル基である。
R
2は、置換若しくは無置換のC1~6アルキル基である。
Rは、置換若しくは無置換のC1~6アルキル基である。
【0009】
〔2〕 式(I)が式(II)である、前記〔1〕に記載の化合物、そのN-オキサイド化合物、立体異性体、互変異性体、水和物またはそれらの塩。
【化5】
式(II)中、
R
1、R
2、およびRは、式(I)中のそれらと同様の意味を示す。
Xは、置換若しくは無置換のC1~6アルキル基、置換若しくは無置換のC2~6アルケニル基、置換若しくは無置換のC2~6アルキニル基、水酸基、置換若しくは無置換のC1~6アルコキシ基、置換若しくは無置換のC1~6アルコキシカルボニル基、ホルミル基、置換若しくは無置換のC1~6アルキルチオ基、置換若しくは無置換のC1~6アルキルスルフィニル基、置換若しくは無置換のC1~6アルキルスルホニル基、置換若しくは無置換のC3~8シクロアルキル基、置換若しくは無置換のC6~10アリール基、置換若しくは無置換の3~6員ヘテロシクリル基、置換若しくは無置換のC6~10アリールオキシ基、置換若しくは無置換の5~6員ヘテロアリールオキシ基、置換若しくは無置換のアミノ基、置換若しくは無置換のアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のヒドラジニル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲノ基、式:-CR
3=N-OR
4で表される基、式:-N=CHNR
5R
6で表される基、または式:-N=S(O)
qR
7R
8で表される基である。
R
3およびR
4は、それぞれ独立して、水素原子、C1~6アルキル基、またはC1~6ハロアルキル基である。
R
5、R
6、R
7およびR
8は、C1~6アルキル基である。
qは、0または1である。
nは化学的に許容されるXの個数を示し、かつ0~3のいずれかの整数であり、nが2以上のときXは互いに同じでも異なってもよい。
【0010】
〔3〕 式(I)が式(III)である、前記〔1〕に記載の化合物、そのN-オキサイド化合物、立体異性体、互変異性体、水和物またはそれらの塩。
【化6】
式(III)中、
A、R
1、R
2、およびRは、式(I)中のそれらと同様の意味を示す。
Xは、式(II)中のそれらと同様の意味を示す。
【0011】
〔4〕 式(I)中、RがC1~6ハロアルキル基である、前記〔1〕に記載の化合物、そのN-オキサイド化合物、立体異性体、互変異成体、水和物またはそれらの塩。
【0012】
〔5〕 前記〔1〕~〔4〕に記載の化合物、そのN-オキサイド化合物、立体異性体、互変異性体、水和物およびそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1つを有効成分として含有する有害生物防除剤。
【0013】
〔6〕 前記〔1〕~〔4〕に記載の化合物、そのN-オキサイド化合物、立体異性体、互変異性体、水和物およびそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1つを有効成分として含有する殺虫若しくは殺ダニ剤。
【0014】
〔7〕 前記〔1〕~〔4〕に記載の化合物、そのN-オキサイド化合物、立体異性体、互変異性体、水和物およびそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1つを有効成分として含有する外部寄生虫防除剤。
【0015】
〔8〕 前記〔1〕~〔4〕に記載の化合物、そのN-オキサイド化合物、立体異性体、互変異性体、水和物およびそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1つを有効成分として含有する内部寄生虫防除剤または駆除剤。
【0016】
〔9〕 前記〔1〕~〔4〕に記載の化合物、そのN-オキサイド化合物、立体異性体、互変異性体、水和物およびそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1つを有効成分として含有する種子処理剤または栄養繁殖器官処理剤。
【0017】
〔10〕 前記〔1〕~〔4〕に記載の化合物、そのN-オキサイド化合物、立体異性体、互変異性体、水和物およびそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1つを有効成分として含有する水稲育苗箱処理用農薬粒状組成剤。
【0018】
〔11〕 前記〔1〕~〔4〕に記載の化合物、そのN-オキサイド化合物、立体異性体、互変異性体、水和物およびそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1つを有効成分として含有する土壌処理剤。
【0019】
〔12〕 前記〔1〕~〔4〕に記載の化合物、そのN-オキサイド化合物、立体異性体、互変異性体、水和物およびそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1つを有効成分として含有するベイト剤。
【0020】
〔13〕 前記〔1〕~〔4〕に記載の化合物、そのN-オキサイド化合物、立体異性体、互変異性体、水和物およびそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1つを有効成分として含有する植物成長促進剤剤。
【発明の効果】
【0021】
本発明のヘテロアリールアゾール化合物は、農作物や衛生面で問題となる有害生物を防除することができる。特に農業害虫およびダニ類をより低濃度で効果的に防除することができる。さらに、人畜を害する外部寄生虫および内部寄生虫を効果的に防除することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
〔ヘテロアリールアゾール化合物〕
本発明のヘテロアリールアゾール化合物は、式(I)で表される化合物(以下、化合物(I)と表記することがある。)、そのN-オキサイド化合物、立体異性体、互変異性体、水和物またはそれらの塩である。式(I)で表される化合物は、鏡像異性体またはジアステレオマーであるすべての立体異性体を包含する。
【化7】
【0023】
本発明において、「無置換(unsubstituted)」の用語は、母核となる基のみであることを意味する。「置換」との記載がなく母核となる基の名称のみで記載しているときは、別段の断りがない限り「無置換」の意味である。
一方、「置換(substituted)」の用語は、母核となる基のいずれかの水素原子が、母核と同一または異なる構造の基(置換基)で置換されていることを意味する。従って、「置換基」は、母核となる基に結合した他の基である。置換基は1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。2つ以上の置換基は同一であってもよいし、異なるものであってもよい。
「C1~6」などの用語は、母核となる基の炭素原子数が1~6個などであることを表している。この炭素原子数には、置換基の中に在る炭素原子の数を含まない。例えば、置換基としてエトキシ基を有するブチル基は、C2アルコキシC4アルキル基に分類する。
【0024】
「置換基」は化学的に許容され、本発明の効果を有する限りにおいて特に制限されない。以下に「置換基」となり得る基を例示する。
メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基などのC1~6アルキル基;
ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基(アリル基)、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1-メチル-2-プロペニル基、2-メチル-2-プロペニル基などのC2~6アルケニル基;
エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、1-ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、1-メチル-2-プロピニル基などのC2~6アルキニル基;
【0025】
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、キュバニル基などのC3~8シクロアルキル基;
フェニル基、ナフチル基などのC6~10アリール基;
ベンジル基、フェネチル基などのC6~10アリールC1~6アルキル基;
3~6員ヘテロシクリル基;
3~6員へテロシクリルC1~6アルキル基;
【0026】
水酸基;
メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、s-ブトキシ基、i-ブトキシ基、t-ブトキシ基などのC1~6アルコキシ基;
ビニルオキシ基、アリルオキシ基、プロペニルオキシ基、ブテニルオキシ基などのC2~6アルケニルオキシ基;
エチニルオキシ基、プロパルギルオキシ基などのC2~6アルキニルオキシ基;
フェノキシ基、ナフトキシ基などのC6~10アリールオキシ基;
ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基などのC6~10アリールC1~6アルコキシ基;
チアゾリルオキシ基、ピリジルオキシ基などの5~6員ヘテロアリールオキシ基;
チアゾリルメチルオキシ基、ピリジルメチルオキシ基などの5~6員ヘテロアリールC1~6アルキルオキシ基;
【0027】
ホルミル基;
アセチル基、プロピオニル基などのC1~6アルキルカルボニル基;
ホルミルオキシ基;
アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基などのC1~6アルキルカルボニルオキシ基;
ベンゾイル基などのC6~10アリールカルボニル基;
メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロポキシカルボニル基、i-プロポキシカルボニル基、n-ブトキシカルボニル基、t-ブトキシカルボニル基などのC1~6アルコキシカルボニル基;
メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、n-プロポキシカルボニルオキシ基、i-プロポキシカルボニルオキシ基、n-ブトキシカルボニルオキシ基、t-ブトキシカルボニルオキシ基などのC1~6アルコキシカルボニルオキシ基;
カルボキシ基;
【0028】
フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、イオド基などのハロゲノ基;
フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル基、パーフルオロプロピル基、2,2,2-トリフルオロ-1-トリフルオロメチルエチル基、パーフルオロイソプロピル基、4-フルオロブチル基、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ジクロロメチル基、ジブロモメチル基、トリクロロメチル基、トリブロモメチル基、1-クロロエチル基、2,2,2-トリクロロエチル基、4-クロロブチル基、パークロロヘキシル基、2,4,6-トリクロロヘキシル基などのC1~6ハロアルキル基;
2-クロロ-1-プロペニル基、2-フルオロ-1-ブテニル基などのC2~6ハロアルケニル基;
4,4-ジクロロ-1-ブチニル基、4-フルオロ-1-ペンチニル基、5-ブロモ-2-ペンチニル基などのC2~6ハロアルキニル基;
トリフルオロメトキシ基、2-クロロ-n-プロポキシ基、2,3-ジクロロブトキシ基などのC1~6ハロアルコキシ基;
2-クロロプロペニルオキシ基、3-ブロモブテニルオキシ基などのC2~6ハロアルケニルオキシ基;
クロロアセチル基、トリフルオロアセチル基、トリクロロアセチル基などのC1~6ハロアルキルカルボニル基;
【0029】
アミノ基;
メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基などのC1~6アルキル置換アミノ基;
アニリノ基、ナフチルアミノ基などのC6~10アリールアミノ基;
ベンジルアミノ基、フェネチルアミノ基などのC6~10アリールC1~6アルキルアミノ基;
ホルミルアミノ基;
アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、ブチリルアミノ基、i-プロピルカルボニルアミノ基などのC1~6アルキルカルボニルアミノ基;
メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、n-プロポキシカルボニルアミノ基、i-プロポキシカルボニルアミノ基などのC1~6アルコキシカルボニルアミノ基;
アミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、N-フェニル-N-メチルアミノカルボニル基などの無置換もしくは置換基を有するアミノカルボニル基;
イミノメチル基、(1-イミノ)エチル基、(1-イミノ)-n-プロピル基などのイミノC1~6アルキル基;
N-ヒドロキシ-イミノメチル基、(1-(N-ヒドロキシ)-イミノ)エチル基、(1-(N-ヒドロキシ)-イミノ)プロピル基、N-メトキシ-イミノメチル基、(1-(N-メトキシ)-イミノ)エチル基などの置換もしくは無置換のN-ヒドロキシイミノC1~6アルキル基;
メトキシイミノ基、エトキシイミノ基、n-プロポキシイミノ基、i-プロポキシイミノ基、n-ブトキシイミノ基などのC1~6アルコキシイミノ基;
アミノカルボニルオキシ基;
エチルアミノカルボニルオキシ基、ジメチルアミノカルボニルオキシ基などのC1~6アルキル置換アミノカルボニルオキシ基;
【0030】
メルカプト基;
メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、i-プロピルチオ基、n-ブチルチオ基、i-ブチルチオ基、s-ブチルチオ基、t-ブチルチオ基などのC1~6アルキルチオ基;
トリフルオロメチルチオ基、2,2,2-トリフルオロエチルチオ基などのC1~6ハロアルキルチオ基;
フェニルチオ基、ナフチルチオ基などのC6~10アリールチオ基;
チアゾリルチオ基、ピリジルチオ基などの5~6員ヘテロアリールチオ基;
【0031】
メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、t-ブチルスルフィニル基などのC1~6アルキルスルフィニル基;
トリフルオロメチルスルフィニル基、2,2,2-トリフルオロエチルスルフィニル基などのC1~6ハロアルキルスルフィニル基;
フェニルスルフィニル基などのC6~10アリールスルフィニル基;
チアゾリルスルフィニル基、ピリジルスルフィニル基などの5~6員ヘテロアリールスルフィニル基;
【0032】
メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、t-ブチルスルホニル基などのC1~6アルキルスルホニル基;
トリフルオロメチルスルホニル基、2,2,2-トリフルオロエチルスルホニル基などのC1~6ハロアルキルスルホニル基;
フェニルスルホニル基などのC6~10アリールスルホニル基;
チアゾリルスルホニル基、ピリジルスルホニル基などの5~6員ヘテロアリールスルホニル基;
メチルスルホニルオキシ基、エチルスルホニルオキシ基、t-ブチルスルホニルオキシ基などのC1~6アルキルスルホニルオキシ基;
トリフルオロメチルスルホニルオキシ基、2,2,2-トリフルオロエチルスルホニルオキシ基などのC1~6ハロアルキルスルホニルオキシ基;
【0033】
トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基などのトリC1~6アルキル置換シリル基;
トリフェニルシリル基などのトリC6~10アリール置換シリル基;
シアノ基;ニトロ基;
【0034】
また、これらの「置換基」は、当該置換基中のいずれかの水素原子が、異なる構造の基で置換されていてもよい。その場合の「置換基」としては、C1~6アルキル基、C1~6ハロアルキル基、C1~6アルコキシ基、C1~6ハロアルコキシ基、ハロゲノ基、シアノ基、ニトロ基などを挙げることができる。
【0035】
また、上記の「3~6員ヘテロシクリル基」とは、窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群から選ばれる1~4個のヘテロ原子を環の構成原子として含むものである。ヘテロシクリル基は、単環および多環のいずれであってもよい。多環ヘテロシクリル基は、少なくとも一つの環がヘテロ環であれば、残りの環が飽和脂環、不飽和脂環または芳香環のいずれであってもよい。「3~6員ヘテロシクリル基」としては、3~6員飽和ヘテロシクリル基、5~6員ヘテロアリール基、5~6員部分不飽和ヘテロシクリル基などを挙げることができる。
【0036】
3~6員飽和ヘテロシクリル基としては、アジリジニル基、エポキシ基、ピロリジニル基、テトラヒドロフラニル基、チアゾリジニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基などを挙げることができる。
【0037】
5員ヘテロアリール基としては、ピロリル基、フリル基、チエニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、トリアゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、テトラゾリル基などを挙げることができる。
6員ヘテロアリール基としては、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基などを挙げることができる。
【0038】
〔A〕
式(I)中、Aは、CHまたは窒素原子である。
すなわち、式(I)で表される化合物は、式(I-1)、または式(I-2)で表される化合物である。
【化8】
【化9】
式(I-1)および式(I-2)中、B
1 、R
1 、R
2 、R、X
2 およびX
3 は、式(I)中のそれらと同様の意味を示す。
【0039】
〔B
1〕
式(I)中、B
1 は、CX
1 または窒素原子である。
すなわち、式(I)で表される化合物は、式(I-3)、または式(I-4)で表される化合物である。
【化10】
【化11】
式(I-3)および式(1-4)中、A、R
1 、R
2 、R、X
2 およびX
3 は、式(I)中のそれらと同様の意味を示す。
式(I-3)中、X
1 は、水素原子、置換若しくは無置換のC1~6アルキル基、置換若しくは無置換のC2~6アルケニル基、置換若しくは無置換のC2~6アルキニル基、水酸基、置換若しくは無置換のC1~6アルコキシ基、置換若しくは無置換のC1~6アルコキシカルボニル基、ホルミル基、置換若しくは無置換のC1~6アルキルチオ基、置換若しくは無置換のC1~6アルキルスルフィニル基、置換若しくは無置換のC1~6アルキルスルホニル基、置換若しくは無置換のC3~8シクロアルキル基、置換若しくは無置換のC6~10アリール基、置換若しくは無置換の3~6員ヘテロシクリル基、置換若しくは無置換のC6~10アリールオキシ基、置換若しくは無置換の5~6員ヘテロアリールオキシ基、置換若しくは無置換のアミノ基、置換若しくは無置換のアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のヒドラジニル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲノ基、式:-CR
3=N-OR
4で表される基、式:-N=CHNR
5R
6で表される基、または式:-N=S(O)
qR
7R
8で表される基である。ここで、R
3およびR
4は、それぞれ独立して、水素原子、C1~6アルキル基、またはC1~6ハロアルキル基であり、R
5、R
6、R
7およびR
8は、C1~6アルキル基であり、qは、0または1である。
【0040】
X1における「C1~6アルキル基」は、直鎖であってもよいし、分岐鎖であってもよい。「C1~6アルキル基」としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、i-プロピル基、i-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、i-ペンチル基、ネオペンチル基、2-メチルブチル基、i-ヘキシル基などを挙げることができる。
【0041】
X1における「C1~6アルキル基」上の置換基として好ましくは、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、イオド基などのハロゲノ基;シアノ基;エトキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基などを挙げることができる。
【0042】
X1における「C2~6アルケニル基」としては、ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1-メチル-2-プロペニル基、2-メチル-2-プロペニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、1-メチル-2-ブテニル基、2-メチル-2-ブテニル基、1-ヘキセニル基、2-ヘキセニル基、3-ヘキセニル基、4-ヘキセニル基、5-ヘキセニル基などを挙げることができる。
【0043】
X1における「C2~6アルキニル基」としては、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、1-ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、1-メチル-2-プロピニル基、2-メチル-3-ブチニル基、1-ペンチニル基、2-ペンチニル基、3-ペンチニル基、4-ペンチニル基、1-メチル-2-ブチニル基、2-メチル-3-ペンチニル基、1-ヘキシニル基、1,1-ジメチル-2-ブチニル基などを挙げることができる。
【0044】
X1における「C1~6アルコキシ基」としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、s-ブトキシ基、i-ブトキシ基、t-ブトキシ基などを挙げることができる。
【0045】
X1における「C1~6アルコキシカルボニル基」としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロポキシカルボニル基、i-プロポキシカルボニル基、n-ブトキシカルボニル基、t-ブトキシカルボニル基などを挙げることができる。
【0046】
X1における「C1~6アルキルチオ基」は、メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、n-ブチルチオ基、n-ペンチルチオ基、n-ヘキシルチオ基、i-プロピルチオ基、i-ブチルチオ基などを挙げることができる。
【0047】
X1における「C1~6アルキルスルフィニル基」としては、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、t-ブチルスルフィニル基などを挙げることができる。
【0048】
X1における「C1~6アルキルスルホニル基」としては、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、t-ブチルスルホニル基などを挙げることができる。
【0049】
X1における「C2~6アルケニル基」、「C2~6アルキニル基」、「C1~6アルコキシ基」、「C1~6アルキルチオ基」、「C1~6アルキルスルフィニル基」および「C1~6アルキルスルホニル基」上の置換基として好ましくは、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、イオド基などのハロゲノ基;メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、s-ブトキシ基、i-ブトキシ基、t-ブトキシ基などのC1~6アルコキシ基を挙げることができる。
【0050】
X1における「C3~8シクロアルキル基」としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、キュバニル基などを挙げることができる。
【0051】
X1における「C6~10アリール基」としては、フェニル基、ナフチル基、インデニル基、インダニル基、テトラリニル基などを挙げることができる。
【0052】
X1における「3~6員ヘテロシクリル基」とは、窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群から選ばれる1~4個のヘテロ原子を環の構成原子として含むものである。ヘテロシクリル基は、単環および多環のいずれであってもよい。多環ヘテロシクリル基は、少なくとも一つの環がヘテロ環であれば、残りの環が飽和脂環、不飽和脂環または芳香環のいずれであってもよい。「3~6員ヘテロシクリル基」としては、3~6員飽和ヘテロシクリル基、5~6員ヘテロアリール基、5~6員部分不飽和ヘテロシクリル基などを挙げることができる。
3~6員飽和ヘテロシクリル基としては、アジリジニル基、エポキシ基、ピロリジニル基、テトラヒドロフラニル基、チアゾリジニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基などを挙げることができる。
5~6員部分不飽和ヘテロシクリル基としては、2-オキソピリジン-1(2H)-イル基などを挙げることができる。
5員ヘテロアリール基としては、ピロリル基、フリル基、チエニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、トリアゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、テトラゾリル基などを挙げることができる。
6員ヘテロアリール基としては、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基などを挙げることができる。
【0053】
X1における「C6~10アリールオキシ基」としては、フェノキシ基、ナフチルオキシ基などを挙げることができる。
【0054】
X1における「5~6員ヘテロアリールオキシ基」としては、ピリジルオキシ基、ピリミジルオキシ基などを挙げることができる。
【0055】
X1における「C3~8シクロアルキル基」、「C6~10アリール基」、「3~6員ヘテロシクリル基」、「C6~10アリールオキシ基」、「5~6員ヘテロアリールオキシ基」上の置換基として、好ましくは、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、イオド基などのハロゲノ基;メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基などのC1~6アルキル基;フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル基、パーフルオロプロピル基、2,2,2-トリフルオロ-1-トリフルオロメチルエチル基、パーフルオロイソプロピル基、4-フルオロブチル基、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ジクロロメチル基、ジブロモメチル基、トリクロロメチル基、トリブロモメチル基、1-クロロエチル基、2,2,2-トリクロロエチル基、4-クロロブチル基、パークロロヘキシル基、2,4,6-トリクロロヘキシル基などのC1~6ハロアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、s-ブトキシ基、i-ブトキシ基、t-ブトキシ基などのC1~6アルコキシ基;2-クロロ-n-プロポキシ基、2,3-ジクロロブトキシ基、トリフルオロメトキシ基などのC1~6ハロアルコキシ基;アミノ基を挙げることができる。
【0056】
X1における「置換若しくは無置換のアミノ基」は、「-NRaRb」で表される基などである。式中、RaおよびRbは、それぞれ独立して、水素原子、C1~6アルキル基、C3~8シクロアルキル基、ホルミル基、C1~6アルキルカルボニル基、C3~8シクロアルキルカルボニル基、または置換若しくは無置換のアミノカルボニル基である。
【0057】
RaおよびRbにおける「C1~6アルキル基」としては、前記X1において例示したそれらと同じものが挙げられる。
【0058】
RaおよびRbにおける「C3~8シクロアルキル基」としては、前記X1において例示したそれらと同じものが挙げられる。
【0059】
RaおよびRbにおける「C1~6アルキルカルボニル基」としては、アセチル基、プロピオニル基などを挙げることができる。
【0060】
RaおよびRbにおける「C3~8シクロアルキルカルボニル基」としては、シクロプロピルカルボニル基、シクロブチルカルボニル基、シクロペンチルカルボニル基などを挙げることができる。
【0061】
RaおよびRbにおける「置換若しくは無置換のアミノカルボニル基」としては、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、エチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基などを挙げることができる。
【0062】
X1における「置換若しくは無置換のアミノカルボニル基」としては、前記RaおよびRbにおいて例示したそれらと同じものが挙げられる。
【0063】
X
1における「置換若しくは無置換のヒドラジニル基」は、式(a)で表される基などである。
【化12】
式(a)中、*は結合位置であり、R
c、R
dおよびR
eは、それぞれ独立して、水素原子、C1~6アルキル基、または置換若しくは無置換のフェニルスルホニル基などである。
【0064】
Rc、RdおよびReにおける「C1~6アルキル基」としては、前記X1において例示したそれらと同じものが挙げられる。
【0065】
Rc、RdおよびReにおける「置換フェニルスルホニル基」としては、パラトルエンスルホニル基などを挙げることができる。
【0066】
X1における「ハロゲノ基」としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、イオド基などを挙げることができる。
【0067】
X1における「式:-CR3=N-OR4で表される基」、「式:-N=CHNR5R6で表される基」および「式:-N=S(O)qR7R8で表される基」のR3、R4、R5、R6、R7およびR8における「C1~6アルキル基」としては、前記X1において例示したそれらと同じものが挙げられる。
【0068】
R3およびR4における「C1~6ハロアルキル基」としては、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル基、パーフルオロプロピル基、2,2,2-トリフルオロ-1-トリフルオロメチルエチル基、パーフルオロイソプロピル基、4-フルオロブチル基、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ジクロロメチル基、ジブロモメチル基、トリクロロメチル基、トリブロモメチル基、1-クロロエチル基、2,2,2-トリクロロエチル基、4-クロロブチル基、パークロロヘキシル基、2,4,6-トリクロロヘキシル基などのC1~6ハロアルキル基などを挙げることができる。
【0069】
すなわち、式(I)で表される化合物は、式(I-5)、式(I-6)、式(I-7)または式(I-8)で表される化合物である。
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【0070】
式(I-5)、式(I-6)、式(I-7)および式(I-8)中、R1 、R2 、R、X2 およびX3 は、式(I)中のそれらと同様の意味を示す。
式(I-5)および式(I-6)中、X1は、式(I-3) 中のそれらと同様の意味を示す。
【0071】
〔X2 、X3〕
X2 およびX3 は、それぞれ独立して、水素原子、置換若しくは無置換のC1~6アルキル基、置換若しくは無置換のC2~6アルケニル基、置換若しくは無置換のC2~6アルキニル基、水酸基、置換若しくは無置換のC1~6アルコキシ基、置換若しくは無置換のC1~6アルコキシカルボニル基、ホルミル基、置換若しくは無置換のC1~6アルキルチオ基、置換若しくは無置換のC1~6アルキルスルフィニル基、置換若しくは無置換のC1~6アルキルスルホニル基、置換若しくは無置換のC3~8シクロアルキル基、置換若しくは無置換のC6~10アリール基、置換若しくは無置換の3~6員ヘテロシクリル基、置換若しくは無置換のC6~10アリールオキシ基、置換若しくは無置換の5~6員ヘテロアリールオキシ基、置換若しくは無置換のアミノ基、置換若しくは無置換のアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のヒドラジニル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲノ基、式:-CR3=N-OR4で表される基、式:-N=CHNR5R6で表される基、または式:-N=S(O)qR7R8で表される基である。ここで、R3およびR4は、それぞれ独立して、水素原子、C1~6アルキル基、またはC1~6ハロアルキル基であり、R5、R6、R7およびR8は、C1~6アルキル基であり、qは、0または1である。
【0072】
X2 およびX3 における「置換若しくは無置換のC1~6アルキル基」、「置換若しくは無置換のC2~6アルケニル基」「置換若しくは無置換のC2~6アルキニル基」、「置換若しくは無置換のC1~6アルコキシ基」、「置換若しくは無置換のC1~6アルコキシカルボニル基」、「置換若しくは無置換のC1~6アルキルチオ基」、「置換若しくは無置換のC1~6アルキルスルフィニル基」、「置換若しくは無置換のC1~6アルキルスルホニル基」、「置換若しくは無置換のC3~8シクロアルキル基」、「置換若しくは無置換のC6~10アリール基」、「置換若しくは無置換の3~6員ヘテロシクリル基」、「置換若しくは無置換のC6~10アリールオキシ基」、「置換若しくは無置換の5~6員ヘテロアリールオキシ基」、「置換若しくは無置換のアミノ基」、「置換若しくは無置換のアミノカルボニル基」、「置換若しくは無置換のヒドラジニル基」および「ハロゲノ基」は前記X1において例示したそれらと同じものが挙げられる。
【0073】
式:-CR3=N-OR4中のR3およびR4における「C1~6アルキル基」および「C1~6ハロアルキル基」は、すでに例示したものと同じ意味を示す。
【0074】
式:-N=CHNR5R6中のR5およびR6における「C1~6アルキル基」は、すでに例示したものと同じ意味を示す。
【0075】
式:-N=S(O)qR7R8中のR7およびR8における「C1~6アルキル基」は、すでに例示したものと同じ意味を示す。
【0076】
〔R1〕
式(I)中、R1は、置換若しくは無置換のC1~6アルキルチオ基、置換若しくは無置換のC1~6アルキルスルフィニル基、または置換若しくは無置換のC1~6アルキルスルホニル基である。
【0077】
R1における「C1~6アルキルチオ基」、「C1~6アルキルスルフィニル基」および「C1~6アルキルスルホニル基」としては、前記X1において例示したそれらと同じものが挙げられる。
【0078】
R1における「C1~6アルキルチオ基」、「C1~6アルキルスルフィニル基」および「C1~6アルキルスルホニル基」上の置換基として、好ましくはフルオロ基、クロロ基、ブロモ基、イオド基などのハロゲノ基を挙げることができる。
【0079】
〔R2〕
式(I)中、R2は、置換若しくは無置換のC1~6アルキル基である。
【0080】
R2における「C1~6アルキル基」としては、前記X1において例示したそれらと同じものが挙げられる。
【0081】
R2における「C1~6アルキル基」上の置換基として、好ましくはフルオロ基、クロロ基、ブロモ基、イオド基などのハロゲノ基を挙げることができる。
【0082】
〔R〕
式(I)中、Rは、置換若しくは無置換のC1~6アルキル基である。
【0083】
Rにおける「C1~6アルキル基」としては、前記X1において例示したそれらと同じものが挙げられる。
【0084】
Rにおける「置換C1~6アルキル基」としては、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル基、1-クロロ-2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル基、1,2,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル基、パーフルオロプロピル基、2,2,2-トリフルオロ-1-トリフルオロメチルエチル基、パーフルオロイソプロピル基、4-フルオロブチル基、1,4,4,4-テトラフルオロブチル基、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチル基、1,2,2,3,3,4,4,4-オクタフルオロブチル基、パーフルオロブチル基、3,3,3-トリフルオロ-2-トリフルオロメチルプロピル基、1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロ-2-トリフルオロメチルプロピル基、1,2,3,3,3-ペンタフルオロ-2-トリフルオロメチルプロピル基、2,2,3,3,4,4,5,5,5-ノナフルオロペンチル基、1-クロロ-2,2,3,3,4,4,5,5,5-ノナフルオロペンチル基、1,2,2,3,3,4,4,5,5,5-デカフルオロペンチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ジクロロメチル基、ジブロモメチル基、トリクロロメチル基、トリブロモメチル基、1-クロロエチル基、2,2,2-トリクロロエチル基、4-クロロブチル基、パークロロヘキシル基、2,4,6-トリクロロヘキシル基などのC1~6ハロアルキル基;1-ヒドロキシ-2,2,3,3,4,4,5,5,5-ノナフルオロペンチル基などの水酸基置換C1~6ハロアルキル基;1-アセチルオキシ-2,2,3,3,4,4,5,5,5-ノナフルオロペンチル基などのC1~6アルキルカルボニルオキシ基置換C1~6ハロアルキル基;(2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロポキシ)メチル基、(2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブトキシ)メチル基などのC1~6ハロアルコキシC1~6アルキル基;((1,1,2-トリフルオロ-2-(トリフルオロメトキシ)エトキシ)メチル基などのC1~6ハロアルコキシC1~6ハロアルコキシC1~6アルキル基を挙げることができる。
【0085】
Rにおける「C1~6アルキル基」上の置換基として、好ましくはフルオロ基、クロロ基、ブロモ基、イオド基などのハロゲノ基;水酸基;トリフルオロメトキシ基、2-クロロ-n-プロポキシ基、2,3-ジクロロブトキシ基、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロポキシ基、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブトキシ基などのC1~6ハロアルコキシ基;アセチルオキシ基などのC1~6アルキルカルボニルオキシ基を挙げることができる。
【0086】
〔塩〕
化合物(I)の塩は、農園芸学的に許容される塩であれば、特に制限されない。化合物(I)の塩としては、例えば、塩酸、硫酸などの無機酸の塩;酢酸、乳酸などの有機酸の塩;リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属の塩;カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属の塩;鉄、銅などの遷移金属の塩;トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、ヒドラジンなどの有機塩基の塩;アンモニウム塩などを挙げることができる。
【0087】
〔製造方法〕
化合物(I)、N-オキサイド化合物、立体異性体、互変異性体、水和物またはそれらの塩は、その製造方法によって特に限定されない。例えば、これらは、実施例等に記載した公知の製造方法によって得ることができる。また、化合物(I)のN-オキサイド化合物や塩などは、化合物(I)から公知の手法によって得ることができる。
【0088】
〔式(II)で表される化合物〕
式(I)で表される化合物は、式(II)で表される化合物であることが好ましい。
【化17】
式(II)中、
R
1、R
2、およびRは、式(I)中のそれらと同様の意味を示す。
Xは、置換若しくは無置換のC1~6アルキル基、置換若しくは無置換のC2~6アルケニル基、置換若しくは無置換のC2~6アルキニル基、水酸基、置換若しくは無置換のC1~6アルコキシ基、置換若しくは無置換のC1~6アルコキシカルボニル基、ホルミル基、置換若しくは無置換のC1~6アルキルチオ基、置換若しくは無置換のC1~6アルキルスルフィニル基、置換若しくは無置換のC1~6アルキルスルホニル基、置換若しくは無置換のC3~8シクロアルキル基、置換若しくは無置換のC6~10アリール基、置換若しくは無置換の3~6員ヘテロシクリル基、置換若しくは無置換のC6~10アリールオキシ基、置換若しくは無置換の5~6員ヘテロアリールオキシ基、置換若しくは無置換のアミノ基、置換若しくは無置換のアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のヒドラジニル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲノ基、式:-CR
3=N-OR
4で表される基、式:-N=CHNR
5R
6で表される基、または式:-N=S(O)
qR
7R
8で表される基である。
n化学的に許容されるXの個数を示し、かつ0~3のいずれかの整数であり、nが2以上のときXは互いに同じでも異なってもよい。
【0089】
Xにおける「置換若しくは無置換のC1~6アルキル基」、「置換若しくは無置換のC2~6アルケニル基」「置換若しくは無置換のC2~6アルキニル基」、「置換若しくは無置換のC1~6アルコキシ基」、「置換若しくは無置換のC1~6アルコキシカルボニル基」、「置換若しくは無置換のC1~6アルキルチオ基」、「置換若しくは無置換のC1~6アルキルスルフィニル基」、「置換若しくは無置換のC1~6アルキルスルホニル基」、「置換若しくは無置換のC3~8シクロアルキル基」、「置換若しくは無置換のC6~10アリール基」、「置換若しくは無置換の3~6員ヘテロシクリル基」、「置換若しくは無置換のC6~10アリールオキシ基」、「置換若しくは無置換の5~6員ヘテロアリールオキシ基」、「置換若しくは無置換のアミノ基」、「置換若しくは無置換のアミノカルボニル基」、「置換若しくは無置換のヒドラジニル基」および「ハロゲノ基」は前記X1において例示したそれらと同じものが挙げられる。
【0090】
式:-CR3=N-OR4中のR3およびR4における「C1~6アルキル基」および「C1~6ハロアルキル基」は、すでに例示したものと同じ意味を示す。
【0091】
式:-N=CHNR5R6中のR5およびR6における「C1~6アルキル基」は、すでに例示したものと同じ意味を示す。
【0092】
式:-N=S(O)qR7R8中のR7およびR8における「C1~6アルキル基」は、すでに例示したものと同じ意味を示す。
【0093】
式(II)中、R1は、C1~6アルキルスルホニル基であることが好ましく、R2は、C1~6アルキル基であることが好ましい。
【0094】
式(II)中、Rは、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル基、1-クロロ-2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル基、1,2,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル基、パーフルオロプロピル基、2,2,2-トリフルオロ-1-トリフルオロメチルエチル基、パーフルオロイソプロピル基、4-フルオロブチル基、1,4,4,4-テトラフルオロブチル基、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチル基、1,2,2,3,3,4,4,4-オクタフルオロブチル基、パーフルオロブチル基、3,3,3-トリフルオロ-2-トリフルオロメチルプロピル基、1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロ-2-トリフルオロメチルプロピル基、1,2,3,3,3-ペンタフルオロ-2-トリフルオロメチルプロピル基、2,2,3,3,4,4,5,5,5-ノナフルオロペンチル基、1-クロロ-2,2,3,3,4,4,5,5,5-ノナフルオロペンチル基、1,2,2,3,3,4,4,5,5,5-デカフルオロペンチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ジクロロメチル基、ジブロモメチル基、トリクロロメチル基、トリブロモメチル基、1-クロロエチル基、2,2,2-トリクロロエチル基、4-クロロブチル基、パークロロヘキシル基、2,4,6-トリクロロヘキシル基などのC1~6ハロアルキル基であることが好ましく、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル基、1,2,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル基、パーフルオロプロピル基、2,2,2-トリフルオロ-1-トリフルオロメチルエチル基、パーフルオロイソプロピル基、4-フルオロブチル基、1,4,4,4-テトラフルオロブチル基、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチル基、1,2,2,3,3,4,4,4-オクタフルオロブチル基、パーフルオロブチル基、3,3,3-トリフルオロ-2-トリフルオロメチルプロピル基、1,2,3,3,3-ペンタフルオロ-2-トリフルオロメチルプロピル基、2,2,3,3,4,4,5,5,5-ノナフルオロペンチル基、1,2,2,3,3,4,4,5,5,5-デカフルオロペンチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基などのC1~6フルオロアルキル基であることがより好ましい。
【0095】
式(II)中、Xは、ハロゲノ基、置換若しくは無置換のC1~6アルキル基、置換若しくは無置換のC1~6アルコキシ基、ホルミル基、C3~8シクロアルキル基、置換若しくは無置換のC6~10アリール基、置換若しくは無置換の3~6員ヘテロシクリル基、置換若しくは無置換の5~6員ヘテロアリールオキシ基、置換若しくは無置換のアミノ基、または式:「-CR3=N-OR4」で表される基であることが好ましく、置換若しくは無置換のC1~6アルキル基、C3~8シクロアルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基、または置換若しくは無置換の6員ヘテロアリール基であることがより好ましく、C3~8シクロアルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基、または置換若しくは無置換の6員ヘテロアリール基であることが特に好ましい。
【0096】
式(II)中、nは1であることが好ましい。
【0097】
〔式(III)で表される化合物〕
式(I)で表される化合物は、式(III)で表される化合物であることが好ましい。
【化18】
式(III)中、
A、R
1、R
2、およびRは、式(I)中のそれらと同様の意味を示す。
Xは、式(II)中のそれらと同様の意味を示す。
【0098】
式(III)中、R1は、C1~6アルキルスルホニル基であることが好ましく、R2は、C1~6アルキル基であることが好ましく、RはC1~6フルオロアルキル基であることが好ましく、Xは、置換若しくは無置換の5~6員ヘテロアリール基であることが好ましく、置換若しくは無置換の5員ヘテロアリール基であることがより好ましい。
【0099】
式(I)で表される化合物は、以下の化合物であることが好ましい。
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
【化27】
【化28】
【化29】
【化30】
【化31】
【化32】
【化33】
【化34】
【化35】
【化36】
【化37】
【化38】
【化39】
【化40】
【0100】
本発明のヘテロアリールアゾール化合物は、植物の生育に影響する各種の農業害虫およびダニ類などの有害生物の防除効果に優れている。
また、本発明のヘテロアリールアゾール化合物は、作物に対する薬害が少なく、魚類や温血動物への毒性が低いため、安全性の高い物質である。そのため、殺虫剤または殺ダニ剤の有効成分として有用である。
さらに、近年、コナガ、ウンカ、ヨコバイ、アブラムシなど多くの害虫において各種既存薬剤に対する抵抗性が発達し、それら薬剤の効力不足問題を生じており、抵抗性系統の害虫にも有効な薬剤が望まれている。本発明のヘテロアリールアゾール化合物は、感受性系統のみならず、各種抵抗性系統の害虫や、さらに殺ダニ剤抵抗性系統のダニ類にも優れた防除効果を示す。
【0101】
本発明のヘテロアリールアゾール化合物は、人獣に害を及ぼす外部寄生虫および内部寄生虫の防除効果に優れている。また、魚類や温血動物への毒性が低いため、安全性の高い物質である。そのため、外部寄生虫および内部寄生虫の防除剤の有効成分として有用である。
【0102】
また、本発明のヘテロアリールアゾール化合物は、防除の対象となる生物のすべての発育ステージにおいて効力を示し、例えば、ダニ、昆虫などの卵、若虫、幼虫、蛹、成虫に対して優れた防除効果を示す。
【0103】
〔有害生物防除剤〕
本発明の有害生物防除剤は、本発明のヘテロアリールアゾール化合物から選ばれる少なくともひとつを有効成分として含有する。本発明の有害生物防除剤に含まれるヘテロアリールアゾール化合物の量は有害生物の防除効果を示す限りにおいて特に制限されない。有害生物防除剤は、有害生物を防除する剤であり、殺虫もしくは殺ダニ剤、外部寄生虫防除剤、または内部寄生虫防除もしくは駆除剤などを包含するものである。
【0104】
〔殺虫もしくは殺ダニ剤〕
本発明の殺虫もしくは殺ダニ剤は、本発明のヘテロアリールアゾール化合物から選ばれる少なくともひとつを有効成分として含有する。本発明の殺虫もしくは殺ダニ剤に含まれるヘテロアリールアゾール化合物の量は殺虫もしくは殺ダニ効果を示す限りにおいて特に制限されない。
【0105】
本発明の有害生物防除剤、または殺虫もしくは殺ダニ剤は、穀物類;野菜類;根菜類;イモ類;花卉類;果樹類;観葉植物、茶、コーヒー、カカオなどの樹木類;牧草類;芝類;ワタなどの植物に対して用いることが好ましい。
植物への施用において、本発明の有害生物防除剤、または殺虫もしくは殺ダニ剤は、葉、茎、柄、花、蕾、果実、種子、スプラウト、根、塊茎、塊根、苗条、挿し木などのいずれの部位に用いてもよい。
また、本発明の有害生物防除剤、または殺虫もしくは殺ダニ剤は、施用される植物の種によって特に制限されない。植物の種としては、例えば、原種、変種、改良品種、栽培品種、突然変異体、ハイブリッド体、遺伝子組み換え体(GMO)などを挙げることができる。
【0106】
本発明の有害生物防除剤は、各種の農業害虫およびダニ類を防除するために、種子処理、茎葉散布、土壌施用、水面施用などに使用することができる。
【0107】
本発明の有害生物防除剤によって防除可能な各種の農業害虫およびダニ類の具体例を以下に示す。
【0108】
(1)鱗翅目(Lepidoptera)のチョウまたは蛾
(a)ヒトリガ科(Arctiidae)のガ、例えば、アメリカシロヒトリ(Hyphantria cunea)、クワゴマダラヒトリ(Lemyra imparilis);
(b)チビガ科(Bucculatricidae)のガ、例えば、ナシチビガ(Bucculatrix pyrivorella);
(c)シンクイガ科(Carposinidae)、例えば、モモシンクイガ(Carposina sasakii);
(d)ツトガ科(Crambidae)のガ、例えば、ジアファニア属種(Diaphania spp.)の、ワタヘリクロノメイガ(Diaphania indica)、アメリカウリノメイガ (Diaphania nitidalis);例えば、オストリニア属種(Ostrinia spp.)の、アワノメイガ(Ostrinia furnacalis)、ヨーロピアンコーンボーラー(Ostrinia nubilalis)、アズキノメイガ(Ostrinia scapulalis);その他、ニカメイガ(Chilo suppressalis)、コブノメイガ(Cnaphalocrocis medinalis)、モモノゴマダラノメイガ(Conogethes punctiferalis)、サウスウエスタンコンボーラー(Diatraea grandiosella)、クワノメイガ(Glyphodes pyloalis)、ハイマダラノメイガ(Hellula undalis)、シバツトガ(Parapediasia teterrella);
(e)キバガ科(Gelechiidae)のガ、例えば、イモキバガ(Helcystogramma triannulella)、ワタアカミムシ(Pectinophora gossypiella)、ジャガイモキバガ(Phthorimaea operculella)、バクガ(Sitotroga cerealella);
(f)シャクガ科(Geometridae)のガ、例えば、ヨモギエダシャク(Ascotis selenaria);
(g)ホソガ科(Gracillariidae)のガ、例えば、チャノホソガ(Caloptilia theivora)、ミカンハモグリガ(Phyllocnistis citrella)、キンモンホソガ(Phyllonorycter ringoniella);
(h)セセリチョウ科(Hesperiidae)のチョウ、例えば、イチモンジセセリ(Parnara guttata);
(i)カレハガ科(Lasiocampidae)のガ、例えば、オビカレハ(Malacosoma neustria);(j)ドクガ科(Lymantriidae)のガ、例えば、リマントリア属種(Lymantria spp.)の、マイマイガ(Lymantria dispar)、ノンネマイマイ(Lymantria monacha);その他の、チャドクガ(Euproctis pseudoconspersa)、ヒメシロモンドクガ(Orgyia thyellina);
【0109】
(k)モグリガ科(Lyonetiidae )のガ、例えば、リオネチア属種(Lyonetia spp.)の、モモハモグリガ(Lyonetia clerkella)、ギンモンハモグリガ(Lyonetia prunifoliella malinella);
(l)ヤガ科(Noctuidae)のガ、例えば、スポドプテラ属種(Spodoptera spp.)の、スジキリヨトウ(Spodoptera depravata)、サザンアーミーワーム(Spodoptera eridania)、シロイチモジヨトウ(Spodoptera exigua)、ツマジロクサヨトウ(Spodoptera frugiperda)、アフリカヨトウ(Spodoptera littoralis)、ハスモンヨトウ(Spodoptera litura);例えば、オートグラファ属種(Autographa spp.)の、ガンマキンウワバ (Autographa gamma)、タマナギンウワバ(Autographa nigrisigna);例えば、アグロチス属種(Agrotis spp.)の、タマナヤガ(Agrotis ipsilon)、カブラヤガ(Agrotis segetum);例えば、ヘリコベルパ属種(Helicoverpa spp.)の、オオタバコガ(Helicoverpa armigera)、タバコガ(Helicoverpa assulta)、コットンボールワーム(Helicoverpa zea);例えば、ヘリオチス属種(Heliothis spp.)の、ワタキバガ (Heliothis armigera)、ニセアメリカタバコガ(Heliothis virescens);その他の、ナカジロシタバ(Aedia leucomelas)、ミツモンキンウワバ(Ctenoplusia agnata)、アケビコノハ(Eudocima tyrannus)、ヨトウガ(Mamestra brassicae)、アワヨトウ(Mythimna separata)、フタオビコヤガ(Naranga aenescens)、マツキリガ(Panolis japonica)、ニセタマナヤガ(Peridroma saucia)、ソイビーンルーパー(Pseudoplusia includens)、イラクサギンウワバ(Trichoplusia ni);
(m)コブガ科(Nolidae) のガ、例えば、ミスジアオリンガ (Earias insulana);
(n)シロチョウ科(Pieridae)のチョウ、例えば、モンシロチョウ属種(Pieris spp.)のオオモンシロチョウ(Pieris brassicae)、モンシロチョウ(Pieris rapae crucivora);
(o)コナガ科(Plutellidae)のガ、例えば、アクロレピオプシス属種(Acrolepiopsis spp.)の、ネギコガ(Acrolepiopsis sapporensis)、ヤマノイモコガ(Acrolepiopsis suzukiella);その他、コナガ(Plutella xylostella);
(p)メイガ科(Pyralidae)のガ、例えば、スジマダラメイガ(Cadra cautella)、モロコシマダラメイガ(Elasmopalpus lignosellus)、シロイチモジマダラメイガ(Etiella zinckenella)、ハチノスツヅリガ (Galleria mellonella);
(q)スズメガ科(Sphingidae)のガ、例えば、マンジュカ属種(Manduca spp.)の、トマトホーンワーム(Manduca quinquemaculata)、タバコホーンワーム(Manduca sexta);
【0110】
(r)ニセマイコガ科(Stathmopodidae)のガ、例えば、カキノヘタムシガ(Stathmopoda masinissa);
(s)ヒロズコガ科(Tineidae)のガ、例えば、イガ(Tinea translucens);
(t)ハマキガ科(Tortricidae)のガ、例えば、アドキソフィエス属種(Adoxophyes spp.)の、チャノコカクモンハマキ(Adoxophyes honmai)、リンゴコカクモンハマキ(Adoxophyes orana);例えば、アルチプス属種(Archips spp.)の、リンゴモンハマキ(Archips breviplicanus)、ミダレカクモンハマキ(Archips fuscocupreanus);その他の、トウヒノシントメハマキ (Choristoneura fumiferana)、コドリンガ(Cydia pomonella)、ブドウホソハマキ (Eupoecilia ambiguella)、ナシヒメシンクイ(Grapholitha molesta)、チャハマキ(Homona magnanima)、マメシンクイガ(Leguminivora glycinivorella)、ホソバヒメハマキ(Lobesia botrana)、マメヒメサヤムシガ(Matsumuraeses phaseoli)、トビハマキ(Pandemis heparana)、テングハマキ(Sparganothis pilleriana);
(u)スガ科(Yponomeutidae)のガ、例えば、リンゴヒメシンクイ(Argyresthia conjugella)。
【0111】
(2)アザミウマ目(Thysanoptera)害虫
(a)クダアザミウマ科(Phlaeothripidae)の、例えば、カキクダアザミウマ(Ponticulothrips diospyrosi);
(b)アザミウマ科(Thripidae)の、例えば、フランクリニェラ属種(Frankliniella spp.)の、ヒラズハナアザミウマ(Frankliniella intonsa)、ミカンキイロアザミウマ(Frankliniella occidentalis);例えば、トリプス属種(Thrips spp.)の、ミナミキイロアザミウマ(Thrips palmi)、ネギアザミウマ(Thrips tabaci);その他の、クロトンアザミウマ(Heliothrips haemorrhoidalis)、チャノキイロアザミウマ(Scirtothrips dorsalis)。
【0112】
(3)カメムシ目(Hemiptera)の害虫
(A)頸吻亜目(Archaeorrhyncha)
(a)ウンカ科(Delphacidae)の、例えば、ヒメトビウンカ(Laodelphax striatella)、トビイロウンカ(Nilaparvata lugens)、クロフツノウンカ(Perkinsiella saccharicida)、セジロウンカ(Sogatella furcifera)。
【0113】
(B)頸吻亜目(Clypeorrhyncha)
(a)ヨコバイ科(Cicadellidae)の、例えば、エンポアスカ属種(Empoasca spp.)の、ジャガイモヒメヨコバイ(Empoasca fabae)、カキノヒメヨコバイ(Empoasca nipponica)、チャノミドリヒメヨコバイ(Empoasca onukii)、マメノミドリヒメヨコバイ(Empoasca sakaii)、;その他の、フタテンヒメヨコバイ(Arboridia apicalis)、ミドリナガヨコバイ(Balclutha saltuella)、フタテンオオヨコバイ(Epiacanthus stramineus)、ヒメフタテンヨコバイ(Macrosteles striifrons)、ツマグロヨコバイ(Nephotettix cinctinceps)。
【0114】
(C)カメムシ亜目(Heteroptera)
(a)ホソヘリカメムシ科(Alydidae)の、例えば、ホソヘリカメムシ(Riptortus clavatus);
(b)ヘリカメムシ科(Coreidae)の、例えば、ホソハリカメムシ(Cletus punctiger)、クモヘリカメムシ(Leptocorisa chinensis);
(c)ナガカメムシ科(Lygaeidae)の、例えば、アメリカコバネナガカメムシ (Blissusleucopterus)、カンシャコバネナガカメムシ(Cavelerius saccharivorus)、コバネヒョウタンナガカメムシ(Togo hemipterus);
(d)カスミカメムシ科(Miridae)の、例えば、クロトビカスミカメ(Halticus insularis)、サビイロカスミカメ (Lygus lineolaris)、コットンフリーホッパー(Psuedatomoscelis seriatus)、ナガムギカスミカメ(Stenodema sibiricum)、アカスジカスミカメ(Stenotus rubrovittatus)、イネホソミドリカスミカメ(Trigonotylus caelestialium);
【0115】
(e)カメムシ科(Pentatomidae)の、例えば、ネザラ属種(Nezara spp.)の、アオクサカメムシ(Nezara antennata)、ミナミアオカメムシ(Nezara viridula);例えば、シラホシカメムシ属種(Eysarcoris spp.)の、トゲシラホシカメムシ(Eysarcoris aeneus)、オオトゲシラホシカメムシ(Eysarcoris lewisi)、シラホシカメムシ(Eysarcoris ventralis)、その他の、ブチヒゲカメムシ(Dolycoris baccarum)、ナガメ(Eurydema rugosum)、ツヤアオカメムシ(Glaucias subpunctatus)、サギカメムシ(Halyomorpha halys)、クイチモンジカメムシ(Piezodorus hybneri)、チャバネアオカメムシ(Plautia crossota)、イネクロカメムシ(Scotinophora lurida);
(f)ホシカメムシ科(Pyrrhocoridae)の、例えば、アカホシカメムシ(Dysdercus cingulatus);
(g)ヒメヘリカメムシ科(Rhopalidae)の、例えば、アカヒメヘリカメムシ(Rhopalus msculatus);
(h)キンカメムシ科(Scutelleridae)の、例えば、ムギチャイロカメムシ(Eurygasterintegriceps);
(i)グンバイムシ科(Tingidae)の、例えば、ナシグンバイ(Stephanitis nashi)。
【0116】
(D)腹吻亜目(Sternorrhyncha)
(a)カサアブラムシ科(Adelgidae)の、例えば、カラマツカサアブラムシ(Adelges laricis);
(b)コナジラミ科(Aleyrodidae)例えば、ベミシア属種(Bemisia spp.)の、シルバーリーフコナジラミ(Bemisia argentifolii)、タバココナジラミ(Bemisia tabaci);その他の、ミカントゲコナジラミ(Aleurocanthus spiniferus)、ミカンコナジラミ(Dialeurodes citri)、オンシツコナジラミ(Trialeurodes vaporariorum);
(c)アブラムシ科(Aphididae)、例えば、アフィス属種(Aphis spp.)の、マメアブラムシ(Aphis craccivora)、マメクロアブラムシ(Aphis fabae)、イチゴネアブラムシ(Aphis forbesi)、ワタアブラムシ(Aphis gossypii)、ヨーロッパリンゴアブラムシ(Aphis pomi)、ニワトコアブラムシ(Aphis sambuci)、ユキヤナギアブラムシ(Aphis spiraecola);例えば、ロパロシフム属種(Rhopalosiphum spp.)の、トウモロコシアブラムシ(Rhopalosiphum maidis)、ムギクビレアブラムシ(Rhopalosiphum padi);例えば、ジサフィス属種(Dysaphis spp.)の、オオバコアブラムシ(Dysaphis plantaginea)、ギシギシネアブラムシ(Dysaphis radicola);例えば、マクロシフム属種(Macrosiphum spp.)の、ムギヒゲナガアブラムシ(Macrosiphum avenae)、チューリップヒゲナガアブラムシ(Macrosiphum euphorbiae);例えば、ミズス属種(Myzus spp.)の、ニワウメクロコブアブラムシ (Myzus cerasi)、モモアカアブラムシ(Myzus persicae)、カワリコブアブラムシ(Myzus varians);その他の、エンドウヒゲナガアブラムシ(Acyrthosiphon pisum)、ジャガイモヒゲナガアブラムシ(Aulacorthum solani)、ムギワラギクオマルアブラムシ(Brachycaudus helichrysi)、ダイコンアブラムシ(Brevicoryne brassicae)、イチゴケナガアブラムシ(Chaetosiphon fragaefolii)、モモコフキアブラムシ(Hyalopterus pruni)、チシャミドリアブラムシ(Hyperomyzus lactucae)、ニセダイコンアブラムシ(Lipaphis erysimi)、ソラマメヒゲナガアブラムシ(Megoura viciae)、ムギウスイロアブラムシ(Metopolophium dirhodum)、レタスアブラムシ(Nasonovia ribis-nigri)、ホップイボアブラムシ(Phorodon humuli)、ムギミドリアブラムシ(Schizaphis graminum)、ムギヒゲナガアブラムシ(Sitobion avenae)、コミカンアブラムシ(Toxoptera aurantii);
【0117】
(d)カタカイガラムシ科(Coccidae)の、例えば、セロプラスター属種(Ceroplastes spp.)の、ツノロウムシ(Ceroplastes ceriferus)、ルビーロウムシ(Ceroplastes rubens);
(e)マルカイガラムシ科(Diaspididae)の、シューダウラカスピス属種(Pseudaulacaspis spp.)の、クワシロカイガラムシ(Pseudaulacaspis pentagona)、ウメシロカイガラムシ(Pseudaulacaspis prunicola);例えば、ウナスピス属種(Unaspis spp.)の、マサキナガカイガラムシ(Unaspis euonymi)、ヤノネカイガラムシ(Unaspis yanonensis);その他の、アカマルカイガラムシ(Aonidiella aurantii)、ナシマルカイガラムシ(Comstockaspis perniciosa)、チャコノハカイガラムシ(Fiorinia theae)、チャノマルカイガラムシ(Pseudaonidia paeoniae);
(f)ワタフキカイガラムシ科(Margarodidae)の、例えば、オオワラジカイガラムシ(Drosicha corpulenta)、イセリアカイガラムシ(Icerya purchasi);
(g)ネアブラムシ科(Phylloxeridae)の、例えば、ブドウネアブラムシ(Viteus vitifolii);
(h)コナカイガラムシ科(Pseudococcidae )の、例えば、プラノコッカス属種(Planococcus spp.)の、ミカンコナカイガラムシ(Planococcus citri)、フジコナカイガラムシ(Planococcus kuraunhiae);その他の、ナスコナカイガラムシ(Phenacoccus solani)、クワコナカイガラムシ(Pseudococcus comstocki);
(i)キジラミ科(Psyllidae)の、例えば、プスルラ属種(Psylla spp.)の、リンゴキジラミ(Psylla mali)、ナシキジラミ(Psylla pyrisuga);その他の、ミカンキジラミ(Diaphorina citri)。
【0118】
(4)カブトムシ亜目(Polyphaga)の害虫
(a)シバンムシ科(Anobiidae)の、例えば、タバコシバンムシ(Lasioderma serricorne);
(b)オトシブミ科(Attelabidae)の、例えば、ドロハマキチョッキリ(Byctiscus betulae)、モモチョッキリゾウムシ(Rhynchites heros);
(c)ナガシンクイムシ科(Bostrichidae)の、例えば、ヒラタキクイムシ(Lyctus brunneus);
(d)ミツギリゾウムシ科(Brentidae)の、例えば、アリモドキゾウムシ(Cylas formicarius);
(e)タマムシ科(Buprestidae )の、例えば、アカバナガタマムシ (Agrilus sinuatus);
(f)カミキリムシ科(Cerambycidae)の、例えば、ゴマダラカミキリ(Anoplophora malasiaca)、マツノマダラカミキリ(Monochamus alternatus)、キボシカミキリ(Psacothea hilaris)、ブドウトラカミキリ(Xylotrechus pyrrhoderus);
(g)ハムシ科(Chrysomelidae)の、例えば、ブルクス属種(Bruchus spp.)の、エンドウマメゾウムシ (Bruchus pisorum)、ソラマメゾウムシ (Bruchus rufimanus);例えば、ジアブロチカ属種(Diabrotica spp.)の、ノーザンコーンルートワーム(Diabrotica barberi)、サザンコーンルートワーム(Diabrotica undecimpunctata)、ウエスタンコーンルートワーム(Diabrotica virgifera);例えば、フィロトレタ属種(Phyllotreta spp.)の、ノミトビヨロイムシ(Phyllotreta nemorum)、キスジノミハムシ(Phyllotreta striolata);その他の、ウリハムシ(Aulacophora femoralis)、アズキゾウムシ(Callosobruchus chinensis)、カメノコハムシ(Cassida nebulosa)、テンサイトビハムシ(Chaetocnema concinna)、コロラドハムシ(Leptinotarsa decemlineata)、イネクビホソハムシ(Oulema oryzae)、ナスナガスネトビハムシ(Psylliodes angusticollis);
【0119】
(h)テントウムシ科(Coccinellidae)の、例えば、エピラクナ属種(Epilachna spp.)の、インゲンテントウ(Epilachna varivestis)、ニジュウヤホシテントウ(Epilachna vigintioctopunctata);
(i)ゾウムシ科(Curculionidae)の、例えば、アントノムス属種(Anthonomus spp.)の、ワタミゾウムシ(Anthonomus grandis)、ナシハナゾウムシ (Anthonomus pomorum);例えば、シトフィルスコクゾウムシ属種(Sitophilus spp.)の、グラナリーウィービル(Sitophilus granarius)、コクゾウムシ(Sitophilus zeamais);その他の、イネゾウムシ(Echinocnemus squameus)、イモゾウムシ(Euscepes postfasciatus)、マツアナアキゾウムシ(Hylobius abietis)、アルファルファタコゾウムシ(Hypera postica)、イネミズゾウムシ(Lissohoptrus oryzophilus)、キンケクチブトゾウムシ(Otiorhynchus sulcatus)、アカアシチビコフキゾウムシ (Sitona lineatus)、シバオサゾウムシ(Sphenophorus venatus);
(j)コメツキムシ科(Elateridae)の、例えば、メラノツス属種(Melanotus spp.)の、マルクビクシコメツキ(Melanotus fortnumi)、カンシャクシコメツキ(Melanotus tamsuyensis);
(k)ケシキスイ科(Nitidulidae)の、例えば、ヒメヒラタケシキスイ(Epuraea domina);
(l)コガネムシ科(Scarabaeidae)の、例えば、アノマラ属種(Anomala spp.)の、ドウガネブイブイ(Anomala cuprea)、ヒメコガネ(Anomala rufocuprea);その他の、キンイロハナムグリ(Cetonia aurata)、コアオハナムグリ(Gametis jucunda)、ナガチャコガネ(Heptophylla picea)、ヨーロッパコフキコガネ (Melolontha melolontha)、マメコガネ(Popillia japonica);
(m)キクイムシ科(Scolytidae)の、例えば、ヤツバキクイ (Ips typographus);
(n)ハネカクシ科(Staphylinidae)の、例えば、アオバアリガタハネカクシ(Paederus fuscipes);
(o)ゴミムシダマシ科(Tenebrionidae)の、例えば、チャイロコメノゴミムシダマシ(Tenebrio molitor)、コクヌストモドキ(Tribolium castaneum);
(p)コクヌスト科(Trogossitidae)の、例えば、コクヌスト(Tenebroides mauritanicus)。
【0120】
(5)ハエ目(Diptera)の害虫
(A)ハエ亜目(Brachycera)
(a)ハモグリバエ科(Agromyzidae)の、例えば、リリオマイザ属種(Liriomyza spp.)の、ナスハモグリバエ(Liriomyza bryoniae)、ネギハモグリバエ(Liriomyza chinensis)、トマトハモグリバエ(Liriomyza sativae)、マメハモグリバエ(Liriomyza trifolii);その他の、ナモグリバエ(Chromatomyia horticola)、イネハモグリバエ(Agromyza oryzae);
(b)ハナバエ科(Anthomyiidae)の、例えば、デリア属種(Delia spp.)の、タネバエ(Delia platura)、キャベツハナバエ (Delia radicum);その他の、テンサイモグリハナバエ(Pegomya cunicularia);
(c)ショウジョウバエ科(Drosophilidae)の、例えば、ショウジョウバエ属種(Drosophila spp.)の、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)、オウトウショウジョウバエ(Drosophila suzukii);
(d)ミギワバエ科(Ephydridae)の、例えば、イネヒメハモグリバエ(Hydrellia griseola);
(e)ハネオレバエ科(Psilidae)の、例えば、ニンジンサビバエ (Psila rosae);
(f)ミバエ科(Tephritidae)の、例えば、バクトロセラ属種(Bactrocera spp.)の、ウリミバエ(Bactrocera cucurbitae)、ミカンコミバエ(Bactrocera dorsalis);例えば、ラゴレチス属種(Rhagoletis spp.)の、ヨーロッパオウトウミバエ (Rhagoletis cerasi)、リンゴミバエ (Rhagoletis pomonella);その他の、チチュウカイミバエ(Ceratitis capitata)、オリーブミバエ(Dacus oleae)。
【0121】
(B)カ亜目(Nematocera)
(a)タマバエ科(Cecidomyiidae)の、例えば、ダイズサヤタマバエ(Asphondylia yushimai)、ソルガムタマバエ(Contarinia sorghicola)、ヘシアンバエ(Mayetiola destructor)、ムギアカタマバエ(Sitodiplosis mosellana)。
【0122】
(6)バッタ目(Orthoptera)の害虫
(a)バッタ科(Acrididae)の、例えば、スキストセルカ属種(Schistocerca spp.)の、アメリカイナゴ (Schistocerca americana)、サバクトビバッタ (Schistocerca gregaria);その他の、オーストラリアトビバッタ(Chortoicetes terminifera)、モロッコイナゴ (Dociostaurus maroccanus)、トノサマバッタ(Locusta migratoria)、ブラウンイナゴ(Locustana pardalina)、アカトビバッタ (Nomadacris septemfasciata)、コバネイナゴ(Oxya yezoensis);
(b)コオロギ科(Gryllidae)の、例えば、ヨーロッパイエコオロギ (Acheta domestica)、エンマコオロギ(Teleogryllus emma);
(c)ケラ科(Gryllotalpidae)の、例えば、ケラ(Gryllotalpa orientalis);
(d)キリギリス科(Tettigoniidae)の、例えば、クラズミウマ (Tachycines asynamorus)。
【0123】
(7)ダニ類(Acari)
(A)無気門目(Astigmata)のコナダニ類(Acaridida)
(a)コナダニ科(Acaridae)のダニ、例えば、リゾギルホス属種(Rhizoglyphus spp.)の、ネダニ(Rhizoglyphus echinopus)、ロビンネダニ(Rhizoglyphus robini);例えば、ケナガコナダニ属種(Tyrophagus spp.)の、オンシツケナガコナダニ(Tyrophagus neiswanderi)、オオケナガコナダニ(Tyrophagus perniciosus)、ケナガコナダニ(Tyrophagus putrescentiae)、ホウレンソウケナガコナダニ(Tyrophagus similis);その他、アシブトコナダニ(Acarus siro)、ムギコナダニ(Aleuroglyphus ovatus)、ニセケナガコナダニ(Mycetoglyphus fungivorus);
【0124】
(B)前気門目(Prostigmata)のケダニ類(Actinedida)
(a)ハダニ科(Tetranychidae)のダニ、例えば、ブリオビア属種(Bryobia spp.)の、クローバーハダニ(Bryobia praetiosa)、ニセクローバーハダニ(Bryobia rubrioculus);例えば、エオテトラニクス属種(Eotetranychus spp.)の、コウノシロハダニ(Eotetranychus asiaticus)、アンズハダニ(Eotetranychus boreus)、エノキハダニ(Eotetranychus celtis)、ミチノクハダニ(Eotetranychus geniculatus)、ミヤケハダニ(Eotetranychus kankitus)、クリハダニ(Eotetranychus pruni)、シイノキハダニ(Eotetranychus shii)、スミスハダニ(Eotetranychus smithi)、スギナミハダニ(Eotetranychus suginamensis)、クルミハダニ(Eotetranychus uncatus);例えば、オリゴニクス属種(Oligonychus spp.)の、スギノハダニ(Oligonychus hondoensis)、チビコブハダニ(Oligonychus ilicis)、カラマツハダニ(Oligonychus karamatus)、マンゴーハダニ(Oligonychus mangiferus)、サトウキビハダニ(Oligonychus orthius)、アボガドハダニ(Oligonychus perseae)、エゾスギハダニ(Oligonychus pustulosus)、イネハダニ(Oligonychus shinkajii)、トドマツハダニ(Oligonychus ununguis);例えば、パノニクス属種(Panonychus spp.)の、ミカンハダニ(Panonychus citri)、クワオオハダニ(Panonychus mori)、リンゴハダニ(Panonychus ulmi);例えば、テトラニクス属種(Tetranychus spp.)の、ニセナミハダニ(Tetranychus cinnabarinus)、カンザワハダニ(Tetranychus kanzawai)、アシノワハダニ(Tetranychus ludeni)、ミズナラハダニ(Tetranychus quercivorus)、サガミハダニ(Tetranychus phaselus)、ナミハダニ(Tetranychus urticae)、オウトウハダニ(Tetranychus viennensis)ミツユビナミハダニ (Tetranychus evansi);例えば、アポニクス属(Aponychus spp.)の、イトマキハダニ(Aponychus corpuzae)、タイリクハダニ(Aponychus firmianae);例えば、ミドリハダニ属(Sasanychus spp.)の、ミドリハダニ(Sasanychus akitanus)、ヒメミドリハダニ(Sasanychus pusillus);例えば、シゾテトラニクス属(Shizotetranychus spp.)の、タケスゴモリハダニ(Shizotetranychus celarius)、ケナガスゴモリハダニ(Shizotetranychus longus)、ススキスゴモリハダニ(Shizotetranychus miscanthi)、ヒメササハダニ(Shizotetranychus recki)、ヤナギハダニ(Shizotetranychus schizopus);その他、カタバミハダニ(Tetranychina harti)、ナミケナガハダニ(Tuckerella pavoniformis)、ケウスハダニ(Yezonychus sapporensis);
【0125】
(b)ヒメハダニ科(Tenuipalpidae)のダニ、例えば、ブレビパルプス属種(Brevipalpus spp.)の、ブドウヒメハダニ(Brevipalpus lewisi)、チャノヒメハダニ(Brevipalpus obovatus)、ミナミヒメハダニ(Brevipalpus phoenicis)、サボテンヒメハダニ(Brevipalpus russulus)、オンシツヒメハダニ(brevipalpus californicus);例えば、テニパルプス属種(Tenuipalpus spp.)の、ランヒメハダニ(Tenuipalpus pacificus)、カキヒメハダニ(Tenuipalpus zhizhilashviliae);その他、パイナップルヒメハダニ(Dolichotetranychus floridanus);
(c)フシダニ科(Eriophyidae)のダニ、例えば、アセリア属種(Aceria spp.)の、カキサビダニ(Aceria diospyri)、イチジクモンサビダニ(Aceria ficus)、クリフシダニ(Aceria japonica)、クコフシダニ(Aceria kuko)、カーネーションサビダニ(Aceria paradianthi)、クコハモグリダニ(Aceria tiyingi)、チューリップサビダニ(Aceria tulipae)、シバハマキフシダニ(Aceria zoysiea);例えば、エリオフィエス属種(Eriophyes spp.)の、ニセナシサビダニ(Eriophyes chibaensis)、ウメフシダニ(Eriophyes emarginatae);例えばアクロプス属種(Aculops spp.)の、トマトサビダニ(Aculops lycopersici)、ミカンサビダニ(Aculops pelekassi);例えば、アクルス属種(Aculus spp.)の、モモサビダニ(Aculus fockeui)、リンゴサビダニ(Aculus schlechtendali);その他、チャノナガサビダニ(Acaphylla theavagrans)、チャノサビダニ(Calacarus carinatus)、ブドウハモグリダニ(Colomerus vitis)、ブドウサビダニ(Calepitrimerus vitis)、ナシサビダニ(Epitrimerus pyri)、キンモクサビダニ(Paraphytoptus kikus)、マキサビダニ(Paracalacarus podocarpi)、リュウキュウミカンサビダニ(Phyllocotruta citri);
(d)ホコリダニ科(Transonemidae)のダニ、例えば、タルソネムス属種(Tarsonemus spp.)の、スジブトホコリダニ(Tarsonemus bilobatus)、アシボソホコリダニ(Tarsonemus waitei);その他、シクラメンホコリダニ(Phytonemus pallidus)、チャノホコリダニ(Polyphagotarsonemus latus);
(e)ハシリダニ科(Penthaleidae)のダニ、例えば、ペンタレウス属種(Penthaleus spp.)の、ハクサイダニ(Penthaleus erythrocephalus)、ムギダニ(Penthaleus major)。
【0126】
本発明の有害生物防除剤は、殺菌剤、殺虫・殺ダニ剤、殺線虫剤、殺土壌害虫剤などの他の有効成分; 植物調節剤、共力剤、肥料、土壌改良剤、動物用飼料などと混用または併用してもよい。
本発明のヘテロアリールアゾール化合物と他の有効成分との組合せは、殺虫・殺ダニ・殺線虫活性に関して相乗効果が期待できる。相乗効果は、定法に従ってコルビーの式(Colby.S.R. ; Calculating Synergistic and Antagonistic Responses of Herbicide Combinations ; Weeds 15, 20-22頁, 1967)により確認することができる。
【0127】
本発明の有害生物防除剤と混用または併用することができる、殺虫・殺ダニ剤、殺線虫剤、殺土壌害虫剤、駆虫剤などの具体例を以下に示す。
【0128】
(1)アセチルコリンエステラーゼ阻害剤:
(a)カーバメート系: アラニカルブ、アルジカルブ、ベンジオカルブ、ベンフラカルブ、ブトカルボキシム、ブトキシカルボキシム、カルバリル、カルボフラン、カルボスルファン、エチオフェンカルブ、フェノブカルブ、ホルメタネート、フラチオカルブ、イソプロカルブ、メチオカルブ、メソミル、オキサミル、ピリミカルブ、プロポキサル、チオジカルブ、チオファノックス、トリアザメート、トリメタカルブ、XMC、キシリルカルブ;フェノチオカルブ、MIPC、MPMC、MTMC、アルドキシカルブ、アリキシカルブ、アミノカルブ、ブフェンカルブ、クロエトカルブ、メタム・ナトリウム、プロメカルブ;
【0129】
(b)有機リン系: アセフェート、アザメチホス、アジンホス-エチル、アジンホス-メチル、カズサホス、クロルエトキシホス、クロルフェンビンホス、クロルメホス、クロルピリホス、クロルピリホス-メチル、クマホス、シアノホス、デメトン-S-メチル、ダイアジノン、ジクロルボス/DDVP、ジクロトホス、ジメトエート、ジメチルビンホス、ジスルホトン、EPN、エチオン、エトプロホス、ファムフール、フェナミホス、フェニトロチオン、フェンチオン、ホスチアゼート、ヘプテノホス、イミシアホス、イソフェンホス、イソカルボホス、イソキサチオン、マラチオン、メカルバム、メタミドホス、メチダチオン、メビンホス、モノクロトホス、ナレド、オメトエート、オキシジメトン-メチル、パラチオン、パラチオン-メチル、フェントエート、ホレート、ホサロン、ホスメット、ホスファミドン、ホキシム、ピリミホス-メチル、プロフェノホス、プロペタムホス、プロチオホス、ピラクロホス、ピリダフェンチオン、キナルホス、スルホテップ、テブピリンホス、テメホス、テルブホス、テトラクロルビンホス、チオメトン、トリアゾホス、トリクロルホン、バミドチオン;ブロモホス・エチル、BRP、カルボフェノチオン、シアノフェンホス、CYAP、デメトン-S-メチルスルホン、ジアリホス、ジクロフェンチオン、ジオキサベンゾホス、エトリムホス、フェンスルホチオン、フルピラゾホス、ホノホス、ホルモチオン、ホスメチラン、イサゾホス、ヨードフェンホス、メタクリホス、ピリミホス-エチル、ホスホカルブ、プロパホス、プロトエート、スルプロホス。
【0130】
(2)GABA-作動性塩素イオンチャネルアンタゴニスト: アセトプロール、クロルデン、エンドスルファン、エチプロール、フィプロニル、ピラフルプロール、ピリプロール;カンフェクロル、ヘプタクロル、ジエノクロル。
(3)ナトリウムチャンネルモジュレーター: アクリナトリン、d-シス-トランス アレスリン、d-トランスアレスリン、ビフェントリン、ビオアレスリン、ビオアレスリンS-シクロペンチル異性体、ビオレスメトリン、シクロプロトリン、シフルトリン、ベータ-シフルトリン、シハロトリン、ラムダ-シハロトリン、ガンマ-シハロトリン、シペルメトリン、アルファ-シペルメトリン、ベータ-シペルメトリン、シータ-シペルメトリン、ゼータ-シペルメトリン、シフェノトリン[(1R)-トランス異性体]、デルタメトリン、エンペントリン[(EZ)-(1R)-異性体]、エスフェンバレレート、エトフェンプロックス、フェンプロパトリン、フェンバレレート、フルシトリネート、フルメトリン、タウ-フルバリネート、ハルフェンプロックス、イミプリトリン、カデスリン、ペルメトリン、フェノトリン[(1R)-トランス異性体]、プラレトリン、ピレスラム、レスメトリン、シラフルオフェン、テフルスリン、テトラメトリン[(1R)-異性体]、トラロメトリン、トランスフルトリン;アレスリン、ピレトリン、ピレトリンI、ピレトリンII、プロフルトリン、ジメフルトリン、ビオエタノメトリン、ビオペルメトリン、トランスペルメトリン、フェンフルトリン、フェンピリトリン、フルブロシトリネート、フルフェンプロックス、メトフルトリン、プロトリフェンブト、ピレスメトリン、テラレトリン。
【0131】
(4)ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニスト: アセタミプリド、クロチアニジン、ジノテフラン、イミダクロプリド、ニテンピラム、ニチアジン、チアクロプリド、チアメトキサム、スルホキサフロル、ニコチン、フルピラジフロン、フルピリミン。
(5)ニコチン性アセチルコリン受容体アロステリックモジュレーター: スピネトラム、スピノサド。
(6)クロライドチャンネル活性化剤: アバメクチン、エマメクチン安息香酸塩、レピメクチン、ミルベメクチン;イベルメクチン、セラメクチン、ドラメクチン、エプリノメクチン、モキシデクチン、ミルベマイシン、ミルベマイシンオキシム、ネマデクチン。
(7)幼若ホルモン様物質: ヒドロプレン、キノプレン、メソプレン、フェノキシカルブ、ピリプロキシフェン;ジオフェノラン、エポフェノナン、トリプレン。
(8)その他非特異的阻害剤: 臭化メチル、クロルピクリン、フッ化スルフリル、ホウ砂、吐酒石。
(9)同翅目選択的摂食阻害剤: フロニカミド、ピメトロジン、ピリフルキナゾン。
【0132】
(10)ダニ類生育阻害剤: クロフェンテジン、ジフロビダジン、ヘキシチアゾクス、エトキサゾール。
(11)微生物由来昆虫中腸内膜破壊剤: バチルス・チューリンゲンシス亜種イスラエレンシ、バチルス・スファエリクス、バチルス・チューリンゲンシス亜種アイザワイ、バチルス・チューリンゲンシス亜種クルスタキ、バチルス・チューリンゲンシス亜種テネブリオニス、Bt作物タンパク質:Cry1Ab、Cry1Ac、Cry1Fa、Cry1A.105、Cry2Ab、Vip3A、mCry3A、Cry3Ab、Cry3Bb、Cry34Ab1/Cry35Ab1。
(12)ミトコンドリアATP生合成酵素阻害剤: ジアフェンチウロン、アゾシクロチン、シヘキサチン、酸化フェンブタスズ、プロパルギット、テトラジホン。
(13)酸化的リン酸化脱共役剤: クロルフェナピル、スルフラミド、DNOC;ビナパクリル、ジノブトン、ジノカップ。
(14)ニコチン性アセチルコリン受容体チャンネルブロッカー: ベンスルタップ、カルタップ塩酸塩;ネライストキシン;チオスルタップ一ナトリウム塩、チオシクラム。
(15)キチン合成阻害剤: ビストリフルロン、クロルフルアズロン、ジフルベンズロン、フルシクロクスロン、フルフェノクスロン、ヘキサフルムロン、ルフェヌロン、ノバルロン、ノビフルムロン、テフルベンズロン、トリフルムロン、ブプロフェジン、フルアズロン。
(16)双翅目脱皮かく乱剤: シロマジン。
(17)脱皮ホルモン受容体アゴニスト: クロマフェノジド、ハロフェノジド、メトキシフェノジド、テブフェノジド。
(18)オクトパミン受容体アゴニスト: アミトラズ、デミジトラズ、クロルジメホルム。
(19)ミトコンドリア電子伝達系複合体III阻害剤: アセキノシル、フルアクリピリム、ヒドラメチルノン。
(20)ミトコンドリア電子伝達系複合体I阻害剤: フェナザキン、フェンピロキシメート、ピリミジフェン、ピリダベン、テブフェンピラド、トルフェンピラド、ロテノン。
【0133】
(21)電位依存性ナトリウムチャネルブロッカー: インドキサカルブ、メタフルミゾン。
(22)アセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤: スピロジクロフェン、スピロメシフェン、スピロテトラマト。
(23)ミトコンドリア電子伝達系複合体IV阻害剤: リン化アルミニウム、リン化カルシウム、ホスフィン、リン化亜鉛、シアニド。
(24)ミトコンドリア電子伝達系複合体II阻害剤: シエノピラフェン、シフルメトフェン、ピフルブミド。
(25)リアノジン受容体モジュレーター: クロラントラニリプロール、シアントラニプロール、フルベンジアミド、シクラニリプロール、テトラニリプロール。
(26)混合機能オキシダーゼ阻害剤化合物: ピペロニルブトキシド。
(27)ラトロフィリン受容体作用薬: デプシペプチド、環状デプシペプチド、24員環状デプシペプチド、エモデプシド。
(28)その他の剤(作用機構が未知): アザジラクチン、ベンゾキシメート、ビフェナゼート、ブロモプロピレート、キノメチオネート、クリオライト、ジコホル、ピリダリル、;ベンクロチアズ、硫黄、アミドフルメット、1,3-ジクロロプロペン、DCIP、フェニソブロモレート、ベンゾメート、メタアルデヒド、クロルベンジレート、クロチアゾベン、ジシクラニル、フェノキサクリム、フェントリファニル、フルベンジミン、フルフェナジン、ゴシップルア、ジャポニルア、メトキサジアゾン、石油、オレイン酸カリウム、テトラスル、トリアラセン;アフィドピロペン(afidopyropen)、フロメトキン、フルフィプロル(flufiprole)、フルエンスルフォン、メペルフルスリン、テトラメチルフルスリン、トラロピリル、ジメフルスリン、メチルネオデカンアミド;フルララネル、アフォキソラネル、フルキサメタミド、5-[5-(3,5-ジクロロフェニル)-5-トリフルオロメチル-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-3-イル]-2-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)ベンゾニトリル(CAS:943137-49-3)、ブロフラニリド、その他のメタジアミド類。
【0134】
(29)駆虫剤:
(a)ベンズイミダゾール系: フェンベンダゾール、アルベンダゾール、トリクラベンダゾール、オキシベンダゾール、メベンダゾール、オクスフェンダゾール、パーベンダゾール、フルベンダゾール;フェバンテル、ネトビミン、チオファネート;チアベンダゾール、カンベンダゾール;
(b)サリチルアニリド系: クロサンテル、オキシクロザニド、ラフォキサニド、ニクロサミド;
(c)置換フェノール系: ニトロキシニル、ニトロスカネイト;
(d)ピリミジン系: ピランテル、モランテル;
(e)イミダゾチアゾール系: レバミソール、テトラミソール;
(f)テトラヒドロピリミジン系: プラジカンテル、エプシプランテル;
(g)その他の駆虫薬: シクロジエン、リアニア、クロルスロン、メトロニダゾール、デミジトラズ;ピペラジン、ジエチルカルバマジン、ジクロロフェン、モネパンテル、トリベンジミジン、アミダンテル;チアセタルサミド、メロルサミン、アルセナマイド。
【0135】
本発明の有害生物防除剤と混用または併用することができる、殺菌剤の具体例を以下に示す。
(1)核酸生合成阻害剤:
(a)RNAポリメラーゼI阻害剤: ベナラキシル、ベナラキシル-M、フララキシル、メタラキシル、メタラキシル-M;オキサジキシル;クロジラコン、オフレース;
(b)アデノシンデアミナーゼ阻害剤: ブピリメート、ジメチリモール、エチリモール;
(c)DNA/RNA合成阻害剤: ハイメキサゾール、オクチリノン;
(d)DNAトポイソメラーゼII阻害剤: オキソリン酸。
【0136】
(2)有糸核分裂阻害剤および細胞分裂阻害剤:
(a)β-チューブリン重合阻害剤: ベノミル、カルベンダジム、クロルフェナゾール、フベリダゾール、チアベンダゾール;チオファネート、チオファネートメチル;ジエトフェンカルブ;ゾキサミド;エタボキサム;
(b)細胞分裂阻害剤: ペンシクロン;
(c)スペクトリン様タンパク質の非局在化阻害剤: フルオピコリド。
【0137】
(3)呼吸阻害剤:
(a)複合体I NADH酸化還元酵素阻害剤: ジフルメトリム;トルフェンピラド;
(b)複合体IIコハク酸脱水素酵素阻害剤: ベノダニル、フルトラニル、メプロニル;イソフェタミド;フルオピラム;フェンフラム、フルメシクロックス;カルボキシン、オキシカルボキシン;チフルザミド;ベンゾビンジフルピル、ビキサフェン、フルキサピロキサド、フラメトピル、イソピラザム、ペンフルフェン、ペンチオピラド、セダキサン;ボスカリド;
(c)複合体IIIユビキノールオキシダーゼQo阻害剤: アゾキシストロビン、クモキシストロビン、クメトキシストロビン、エノキサストロビン、フルフェノキシストロビン、ピクオキシストロビン、ピラオキシストロビン;ピラクロストロビン、ピラメトストロビン、トリクロピリカルブ;クレソキシム-メチル、トリフロキシストロビン;ジモキシストロビン、フェナミンストロビン、メトミノストロビン、オリサストロビン;ファモキサドン;フルオキサストロビン;フェンアミドン;ピリベンカルブ;
(d)複合体IIIユビキノール還元酵素Qi阻害剤: シアゾファミド;アミスルブロム;
(e)酸化的リン酸化の脱共役剤: ビナパクリル、メプチルジノカップ、ジノカップ;フルアジナム;フェリムゾン;
(f)酸化的リン酸化阻害剤(ATP 合成酵素の阻害剤): フェンチンアセテート、塩化フェンチン、水酸化フェンチン;
(g)ATP生産阻害剤: シルチオファム;
(h)複合体III:チロクローム bc1(ユビキノン還元酵素)のQx(未知)阻害剤: アメトクトラジン。
【0138】
(4)アミノ酸およびタンパク質合成阻害剤
(a)メチオニン生合成阻害剤: アンドプリム、シプロジニル、メパニピリム、ピリメタニル;
(b)タンパク質合成阻害剤: ブラストサイジン-S;カスガマイシン、カスガマイシン塩酸塩;ストレプトマイシン;オキシテトラサイクリン。
【0139】
(5)シグナル伝達阻害剤:
(a)シグナル伝達阻害剤: キノキシフェン、プロキナジド;
(b)浸透圧シグナル伝達におけるMAP・ヒスチジンキナーゼ阻害剤: フェンピクロニル、フルジオキソニル;クロゾリメート、イプロジオン、プロシミドン、ビンクロゾリン。
【0140】
(6)脂質および細胞膜合成阻害剤:
(a)りん脂質生合成、メチルトランスフェラーゼ阻害剤: エジフェンホス、イプロベンホス、ピラゾホス;イソプロチオラン;
(b)脂質の過酸化剤: ビフェニル、クロロネブ、ジクロラン、キンドゼン、テクナゼン、トルクロホスメチル;エトリジアゾール;
(c)細胞膜に作用する剤: ヨードカルブ、プロパモカルブ、プロパモカルブ塩酸塩、プロパモカルブホセチレート、プロチオカルブ;
(d)病原菌細胞膜を撹乱する微生物: バチルスズブチリス菌、バチルス ズブチリスQST713 株、バチルス ズブチリスFZB24 株、バチルス ズブチリスMBI600 株、バチルス ズブチリスD747株;
(e)細胞膜を撹乱する剤: ゴセイカユプテ(ティーツリー)の抽出物。
【0141】
(7)細胞膜のステロール生合成阻害剤:
(a)ステロール生合成におけるC14位の脱メチル化阻害剤: トリホリン;ピリフェノックス、ピリイソキサゾール;フェナリモル、フルルプリミドール、ヌアリモル;イマザリル、イマザリル硫酸塩、オキスポコナゾール、ペフラゾエート、プロクロラズ、トリフルミゾール、ビニコナゾール;
アザコナゾール、ビテルタノール、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジクロブトラゾール、ジフェノコナゾール、ジニコナゾール、ジニコナゾール-M、エポキシコナゾール、エタコナゾール、フェンブコナゾール、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルトリアホール)、フルコナゾール、フルコナゾール-シス、ヘキサコナゾール、イミベンコナゾール、イプコナゾール、メトコナゾール、ミクロブタニル、ペンコナゾール、プロピコナゾール、キンコナゾール、シメコナゾール、テブコナゾール、テトラコナゾール、トリアジメホン、トリアジメノール、トリチコナゾール;プロチオコナゾール、ボリコナゾール;
(b)ステロール生合成におけるΔ14還元酵素およびΔ8→Δ7-イソメラーゼの阻害剤:
アルジモルフ、ドデモルフ、ドデモルフ酢酸塩、フェンプロピモルフ、トリデモルフ;フェンプロピジン、ピペラリン;スピロキサミン;
(c)ステロール生合成系のC4位脱メチル化における3-ケト還元酵素阻害剤: フェンヘキサミド;フェンピラザミン;
(d)ステロール生合成系のスクワレンエポキシダーゼ阻害剤: ピリブチカルブ;ナフチフェン、テルビナフィン。
【0142】
(8)細胞壁合成阻害
(a)トレハラーゼ阻害剤: バリダマイシン;
(b)キチン合成酵素阻害剤: ポリオキシン、ポリオクソリム;
(c)セルロース合成酵素阻害剤: ジメトモルフ、フルモルフ、ピリモルフ;ベンチアバリカルブ、イプロバリカルブ、トルプロカルブ、バリフェナレート;マンジプロパミド。
【0143】
(9)メラニン生合成阻害剤
(a)メラニン生合成の還元酵素阻害剤: フサライド;ピロキロン;トリシクラゾール;
(b)メラニン生合成の脱水酵素阻害剤: カルプロパミド;ジクロシメット;フェノキサニル。
【0144】
(10)宿主植物の抵抗性誘導剤:
(a)サリチル酸合成経路に作用する剤: アシベンゾラル-S-メチル;
(b)その他: プロベナゾール;チアジニル;イソチアニル;ラミナリン;オオイタドリ抽出液。
【0145】
(11)作用性が不明な剤: シモキサニル、ホセチルアルミニウム、リン酸(リン酸塩)、テクロフタラム、トリアゾキシド、フルスルファミド、ジクロメジン、メタスルホカルブ、シフルフェナミド、メトラフェノン、ピリオフェノン、ドジン、ドジン遊離塩基、フルチアニル。
【0146】
(12)多作用点を有する剤: 銅(銅塩)、ボルドー液、水酸化銅、銅ナフタレート、酸化銅、オキシ塩化銅、硫酸銅、硫黄、硫黄製品、多硫化カルシウム;ファーバム、マンコゼブ、マネブ)、マンカッパー、メチラム、ポリカーバメート、プロピネブ、チラム、ジネブ、ジラム;キャプタン、カプタホール、フォルペット;クロロタロニル;ジクロフルアニド、トリルフルアニド;グアザチン、イミノクタジン酢酸塩(iminoctadine triacetate)、イミノクタジンアルベシル酸塩(iminoctadine trialbesilate);アニラジン;ジチアノン;キノメチオネート;フルオルイミド。
【0147】
(13)その他の剤: DBEDC、フルオロフォルペット、グアザチンアセテート、ビス(8-キノリノラト)銅(II)、プロパミジン、クロロピクリン、シプロフラム、アグロバクテリウム、ベトキサジン、ジフェニルアミン、メチルイソチアネート(MITC)、ミルデオマイシン、カプサイシン、クフラネブ、シプロスルファミド、ダゾメット、デバカルブ、ジクロロフェン、ジフェンゾクワット、ジフェンゾクワットメチルスルホネート、フルメトベル、ホセチルカルシウム、ホセチルナトリウム、イルママイシン、ナタマイシン、ニトロタールイソプロピル、オキサモカルブ、プロパモシンナトリウム、ピロールニトリン、テブフロキン、トルニファニド、ザリラミド、アルゴフェーズ(Algophase)、アミカルチアゾール(Amicarthiazol)、オキサチアピプロリン(Oxathiapiprolin)、メチラム亜鉛、ベンチアゾール、トリクラミド、ユニコナゾール、ミルデオマイシン、オキシフェンチイン(Oxyfenthiin)、ピカルブトラゾクス(picarbutrazox)。
【0148】
本発明の有害生物防除剤と混用または併用することができる、植物調節剤の具体例を以下に示す。
アブシジン酸、カイネチン、ベンジルアミノプリン、1,3-ジフェニルウレア、ホルクロルフェヌロン、チジアズロン、クロルフェヌロン、ジヒドロゼアチン、ジベレリンA、ジベレリンA4、ジベレリンA7、ジベレリンA3、1-メチルシクロプロパン、N-アセチルアミノエトキシビニルグリシン(別名:アビグリシン)、アミノオキシ酢酸、硝酸銀、塩化コバルト、IAA、4-CPA、クロプロップ、2,4-D、MCPB、インドール-3-酪酸、ジクロルプロップ、フェノチオール、1-ナフチルアセトアミド、エチクロゼート、クロキシホナック、マレイン酸ヒドラジド、2,3,5-トリヨード安息香酸、サリチル酸、サリチル酸メチル、(-)-ジャスモン酸、ジャスモン酸メチル、(+)-ストリゴール、(+)-デオキシストリゴール、(+)-オロバンコール、(+)-ソルゴラクトン、4-オキソ-4-(2-フェニルエチル)アミノ酪酸;エテホン、クロルメコート、メピコートクロリド、ベンジルアデニン、5-アミノレブリン酸。
【0149】
〔外部寄生虫防除剤〕
本発明の外部寄生虫防除剤は、本発明のヘテロアリールアゾール化合物から選ばれる少なくともひとつを有効成分として含有するものである。本発明の外部寄生虫防除剤に含まれるヘテロアリールアゾール化合物の量は外部寄生虫の防除効果を示す限りにおいて特に制限されない。
【0150】
本発明の外部寄生虫防除剤の処理の対象となる宿主動物としては、ヒト、家畜哺乳動物(例えば、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギなど)、実験動物(例えば、マウス、ラット、スナネズミなど)、愛玩動物(例えば、ハムスター、モルモット、イヌ、ネコ、ウマ、リス、ウサギ、フェレットなど)、野生および動物園の哺乳動物(サル、キツネ、シカ、バッファローなど)、家禽(シチメンチョウ、アヒル、ニワトリ、ウズラ、ガチョウなど)、愛玩鳥(ハト、オウム、九官鳥、文鳥、インコ、ジュウシマツ、カナリアなど)などの温血動物; または、サケ、マス、ニシキゴイなどの魚類を挙げることができる。その他にも、ミツバチ、クワガタムシ、カブトムシを挙げることができる。
【0151】
本発明の外部寄生虫防除剤は、公知の獣医学的な手法(局所、経口、非経口または皮下投与)で施用することができる。その方法として、錠剤、カプセル、飼料混入などにより動物に経口的に投与する方法; 浸漬液、坐薬、注射(筋肉内、皮下、静脈内、腹腔内など)などにより動物に投与する方法; 油性または水性液剤を噴霧、ポアオン、スポットオンなどにより局所的に投与する方法; 樹脂に外部寄生虫防除剤を練り込み、前記混練物を首輪、耳札などの適当な形状に成形し、それを動物に装着し局所的に投与する方法; などを挙げることができる。
【0152】
外部寄生虫は、宿主動物、特には温血動物の中および上に寄生する。詳しくは、宿主動物の背、脇下、下腹部、内股部などに寄生して動物から血液やフケなどの栄養源を得て生息する。外部寄生虫としては、ダニ類、シラミ類、ノミ類、カ、サシバエ、ニクバエなどを挙げることができる。本発明の外部寄生虫防除剤によって防除可能な外部寄生虫の具体例を以下に示す。
【0153】
(1)ダニ類(Acari)
ワクモ科(Dermanyssidae)のダニ、オオサシダニ科(Macronyssidae)のダニ、トゲダニ科(Laelapidae)のダニ、ヘギダニ科(Varroidae)のダニ、ヒメダニ科(Argasidae)のダニ、マダニ科(Ixodidae)のダニ、キュウセンヒゼンダニ科(Psoroptidae)のダニ、ヒゼンダニ科(Sarcoptidae)のダニ、トリヒゼンダニ科(Knemidokoptidae)のダニ、ニキビダニ科(Demodixidae)のダニ、ツツガムシ科(Trombiculidae)のダニ、クワガタナカセ類等の昆虫寄生性のダニ。
(2)シラミ目(Phthiraptera)
ケモノジラミ科(Haematopinidae)のシラミ、ケモノホソジラミ科(Linognathidae)のシラミ、タンカクハジラミ科(Menoponidae)のハジラミ、チョウカクハジラミ科(Philopteridae)のハジラミ、ケモノハジラミ科(Trichodectidae)のハジラミ。
(3)ノミ目(Siphonaptera)
ヒトノミ科(Pulicidae)のノミ、例えば、イヌノミ属種(Ctenocephalides spp.)の、イヌノミ(Ctenocephalides canis)、ネコノミ(Ctenocephalides felis);
スナノミ科(Tungidae)のノミ、ナガノミ科(Ceratophyllidae)のノミ、ホソノミ科(Leptopsyllidae)のノミ。
(4)カメムシ目(Hemiptera)。
(5)ハエ目(Diptera)の害虫
カ科(Culicidae)のカ、ブユ科(Simuliidae)のブユ、ヌカカ科(Ceratopogonidae)のヌカカ、アブ科(Tabanidae)のアブ、イエバエ科(Muscidae)のハエ、ツエツエバエ科(Glossinidae)のシェシェバエ、ニクバエ科のニクバエ、シラミバエ科(Hippoboscidae)のハエ、クロバエ科(Calliphoridae)のハエ、ヒツジバエ科(Oestridae)のハエ。
【0154】
〔内部寄生虫防除もしくは駆除剤〕
本発明の内部寄生虫防除もしくは駆除剤は、本発明のヘテロアリールアゾール化合物から選ばれる少なくともひとつを有効成分として含有するものである。本発明の内部寄生虫防除もしくは駆除剤に含まれるヘテロアリールアゾール化合物の量は内部寄生虫の防除効果を示す限りにおいて特に制限されない。
【0155】
本発明の内部寄生虫防除もしくは駆除剤の対象となる寄生虫は、宿主動物、特には温血動物や魚類の中に寄生する(内部寄生虫)。本発明の内部寄生虫防除もしくは駆除剤が有効な宿主動物としては、ヒト、家畜哺乳動物(例えば、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギなど)、実験動物(例えば、マウス、ラット、スナネズミなど)、愛玩動物(例えば、ハムスター、モルモット、イヌ、ネコ、ウマ、リス、ウサギ、フェレットなど)、野生および動物園の哺乳動物(サル、キツネ、シカ、バッファローなど)、家禽(シチメンチョウ、アヒル、ニワトリ、ウズラ、ガチョウなど)、愛玩鳥(ハト、オウム、九官鳥、文鳥、インコ、ジュウシマツ、カナリアなど)などの温血動物;または、サケ、マス、ニシキゴイなどの魚類を挙げることができる。寄生虫を防除および駆除することで、寄生虫が媒介する寄生虫疾患を予防または治療することができる。
【0156】
防除または駆除対象の寄生虫としては、以下のものを挙げることができる。
(1)腎虫目(Dioctophymatida)の線虫類
(a)腎虫科(Dioctophymatidae)の腎虫、例えば、ディオクトフィーマ属種(Dioctophyma spp.)の、腎虫(Dioctophyma renale);
(b)ソブリフィメ科(Soboliphymatidae)の腎虫、例えば、ソブリフィメ属種(Soboliphyme spp.)の、ソブリフィメ・アベイ(Soboliphyme abei)、ソブリフィメ・ブツリニ(Soboliphyme baturini)。
【0157】
(2)毛頭虫目(Trichocephalida)の線虫類
(a)旋毛虫科(Trichinellidae)の旋毛虫、例えば、旋毛虫属種(Trichinella spp.)の、旋毛虫(Trichinella spiralis);
(b)鞭虫科(Trichuridae)の鞭虫、例えば、キャピラリア属種(Capillaria spp.)の、有環毛細線虫(Capillaria annulata)、捻転毛細線虫(Capillaria contorta)、肝毛細線虫(Capillaria hepatica)、穿通毛細線虫(Capillaria perforans)、キャピラリア・プリカ(Capillaria plica)、豚毛細線虫(Capillaria suis);トリキュリス属種(Trichuris spp.)の、犬鞭虫(Trichuris vulpis)、牛鞭虫(Trichuris discolor)、羊鞭虫(Trichuris ovis)、トリキュリス・スクリジャビニー(Trichuris skrjabini)、豚鞭虫(Trichuris suis)。
【0158】
(3)桿線虫目(Rhabditida)の線虫類
糞線虫科(Strongyloididae)の糞線虫、例えば、糞線虫属種(Strongyloides spp.)の、乳頭糞線虫(Strongyloides papillosus)、猫糞線虫(Strongyloides planiceps)、豚糞線虫(Strongyloides ransomi)、豚糞線虫(Strongyloides suis)、糞線虫(Strongyloides stercoralis )、アメリカ猫糞線虫(Strongyloides tumefaciens)、ネズミ糞線虫(Strongyloides ratti)。
【0159】
(4)円虫目(Strongylida)の線虫類
鈎虫科(Ancylostomatidae)の鉤虫、例えば、鉤虫属種(Ancylostoma spp.)の、ブラジル鉤虫(Ancylostoma braziliense)、犬鉤虫(Ancylostoma caninum)、ズビニ鉤虫(Ancylostoma duodenale)、ネコ鈎虫(Ancylostoma tubaeforme);ウンシナリア属種(Uncinaria stenocephala)の、狭頭鉤虫(Uncinaria stenocephala);ブノストマム属種(Bunostomum spp.)の、牛鉤虫(Bunostomum phlebotomum)、羊鉤虫(Bunostomum trigonocephalum)。
【0160】
(5)円虫目(Strongylida)の線虫類
(a)住血線虫科(Angiostrongylidae)の線虫、例えば、ネコ肺虫属種(Aelurostrongylus spp.)の、猫肺虫(Aelurostrongylus abstrusus);住血線虫属種(Angiostrongylus spp.)の、住血線虫(Angiostrongylus vasorum)、広東住血線虫(Angiostrongylus cantonesis);
(b)クレノゾーマ科(Crenosomatidae)の線虫、例えば、クレノゾーマ属種(Crenosoma spp.)の、肺毛細線虫(Crenosoma aerophila)、キツネ肺虫(Crenosoma vulpis);
(c)フィラロイデス科(Filaroididae)の線虫、例えば、フィラロイデス属種(Filaroides spp.)の、犬肺虫(Filaroides hirthi)、フィラロイデス・オスレリ(Filaroides
osleri);
(d)肺虫科(Metastrongylidae)の肺虫、例えば、豚肺虫属種(Metastrongylus spp.)の、豚肺虫(Metastrongylus apri)、メタストロンギルス・アシムメトリクス(Metastrongylus asymmetricus)、メタストロンギルス・プデンドテクタス(Metastrongylus pudendotectus)、メタストロンギルス・サルミィ(Metastrongylus salmi);
(e)開嘴虫科(Syngamidae)の開嘴虫、例えば、シアトストーマ属種(Cyathostoma spp.)の、水鳥肺虫(Cyathostoma bronchialis);シンガムス属種(Syngamus spp.)の、スクリジャビン開嘴虫(Syngamus skrjabinomorpha)、鶏開嘴虫(Syngamus trachea)。
【0161】
(6)円虫目(Strongylida)の線虫類
(a)モリネウス科(Molineidae)の線虫、例えば、ネマトジルス属種(Nematodirus spp.)の、細頸毛円虫(Nematodirus filicollis)、ネマトジルス・スパティガー(Nematodirus spathiger);
(b)ディクチオカウルス科(Dictyocaulidae)の線虫、例えば、ディクチオカウルス属種(Dictyocaulus spp.)の、糸状肺虫(Dictyocaulus filaria)、牛肺虫(Dictyocaulus viviparus );
(c)捻転胃虫科(Haemonchidae )の線虫、例えば、ヘモンクス属種(Haemonchus spp.)の、捻転胃虫(Haemonchus contortus);メキストシリウス属種(Mecistocirrus spp.)の、牛捻転胃虫(Mecistocirrus digitatus);
(d)捻転胃虫科(Haemonchidae)の線虫、例えば、胃虫属種(Ostertagia spp.)の、オステルターグ胃虫(Ostertagia ostertagi );
(e)ヘリグモネラ科(Heligmonellidae )の線虫、例えば、ニッポストロンジルス属種(Nippostrongylus spp.)の、ネズミ円虫(Nippostrongylus braziliensis);
(f)毛様線虫科(Trichostrongylidae)の線虫、例えば、毛様線虫属種(Trichostrongylus spp.)の、皺胃毛様線虫(Trichostrongylus axei )、蛇状毛様線虫(Trichostrongylus colubriformis )、毛様線虫科(Trichostrongylus tenuis);ヒオストロンギルス属種(Hyostrongylus spp.)の、紅色毛様線虫(Hyostrongylus rubidus);オベリスコイデス属種(Obeliscoides spp.)の、オベリスコイデス・クニクリ(Obeliscoides cuniculi)。
【0162】
(7)円虫目(Strongylida)の線虫類
(a)シャベルティア科(Chabertiidae)の線虫、例えば、シャベルティア属種(Chabertia spp.)の、羊縮小線虫(Chabertia ovina);腸結節虫属種(Oesophagostomum spp.)の、腸結節虫(豚)(Oesophagostomum brevicaudatum)、コロンビア腸結節虫(Oesophagostomum columbianum)、豚腸結節虫(Oesophagostomum dentatum)、腸結節虫(豚)(Oesophagostomum georgianum)、腸結節虫(Oesophagostomum maplestonei)、腸結節虫(豚)(Oesophagostomum quadrispinulatum)、牛腸結節虫(Oesophagostomum radiatum)、山羊腸結節虫(Oesophagostomum venulosum)、腸結節虫(イノシシ)(Oesophagostomum watanabei);
(b)豚腎虫科(Stephanuridae)の線虫、例えば、ステファヌラス属種(Stephanurus spp.)の、豚腎虫(Stephanurus dentatus );
(c)円虫科(Strongylidae)の線虫、例えば、円虫属種(Strongylus spp.)の、ロバ円虫(Strongylus asini )、無歯円虫(Strongylus edentatus)、馬円虫(Strongylus equinus)、普通円虫(Strongylus vulgaris)。
【0163】
(8)蟯虫目(Oxyurida)の線虫類
蟯虫科(Oxyuridae)の線虫、例えば、エンテロビウス属種(Enterobius spp.)の、チンパンジー蟯虫(Enterobius anthropopitheci)、蟯虫(Enterobius vermicularis);オキシルス属(Oxyuris spp.)の、馬蟯虫(Oxyuris equi);パサルルス属種(Passalurus spp.)の、ウサギ蟯虫(Passalurus ambiguus)。
【0164】
(9)回虫目(Ascaridida)の線虫類
(a)ニワトリ回虫科(Ascaridiidae)の線虫、例えば、ニワトリ回虫属種(Ascaridia spp.)の、ニワトリ回虫(Ascaridia galli);
(b)盲腸虫科(Heterakidae)の線虫、例えば、ヘテラキス属種(Heterakis spp.)の、ヘテラキス・ベラムポリア(Heterakis beramporia)、ヘテラキス・ブレビスピクルム(Heterakis brevispiculum)、鶏盲腸虫(Heterakis gallinarum)、ヘテラキス・プシーラ(Heterakis pusilla)、ヘテラキス・プトオーストラリス(Heterakis putaustralis);
(c)アニサキス科(Anisakidae)の線虫、例えば、アニサキス属種(Anisakis spp.)の、アニサキス線虫(Anisakis simplex);
(d)回虫科(Ascarididae)の線虫、例えば、回虫属種(Ascaris spp.)の、ヒト回虫(Ascaris lumbricoides)、豚回虫(Ascaris suum);パラスカリア属種(Parascaris spp.)の、馬回虫(Parascaris equorum);
(e)トキソカーラ科(Toxocaridae)の線虫、例えば、トキソカーラ属種(Toxocara spp.)の、犬回虫(Toxocara canis)、犬小回虫(Toxocara leonina)、豚回虫(Toxocarasuum)、牛回虫(Toxocara vitulorum)、猫回虫(Toxocara cati)。
【0165】
(10)旋尾線虫目(Spirurida)の線虫類
(a)オンコセルカ科(Onchocercidae)の線虫、例えば、ブルギア属種(Brugia spp.)の、マレー糸状虫(Brugia malayi)、ブルギア・パハンギィ(Brugia pahangi)、ブルギア・パティ(Brugia patei);ディペタロネーマ属種(Dipetalonema spp.)の、ディペタロネーマ・リコンディトゥム(Dipetalonema reconditum);イヌ糸状虫属種(Dirofilaria spp.)の、イヌ糸状虫(Dirofilaria immitis);フィラリア属種(Filaria spp.)の、フィラリア・オクリィ(Filaria oculi);オンコセルカ属種(Onchocerca spp.)の、頸部糸状虫(Onchocerca cervicalis)、ギブソン糸状虫(Onchocerca gibsoni)、咽頭糸状虫(Onchocerca gutturosa);
(b)セタリア科(Setariidae)の線虫、例えば、セタリア属種(Setaria spp.)の、指状糸状虫(Setaria digitata)、馬糸条虫(Setaria equina)、唇乳頭糸状虫(Setaria labiatopapillosa)、マーシャル糸状虫(Setaria marshalli);ブケレリア属種(Wuchereria spp.)の、バンクロフト糸状虫(Wuchereria bancrofti);
(c)糸状虫科(Filariidae)の線虫、例えば、パラフィラリア属種(Parafilaria spp.)の、多乳頭糸状虫(Parafilaria multipapillosa);ステファノフィラリア属種(Stephanofilaria spp.)の、ステファノフィラリア・アッサムエンシス(Stephanofilaria assamensis)、ステファノフィラリア・デドエシー(Stephanofilaria dedoesi)、ステファノフィラリア・カエリー(Stephanofilaria kaeli)、沖縄糸状虫(Stephanofilaria okinawaensis)、ステファノフィラリア・スティレシー(Stephanofilaria stilesi)。
【0166】
(11)旋尾線虫目(Spirurida)の線虫類
(a)顎口虫科(Gnathostomatidae)の線虫、例えば、顎口虫属種(Gnathostoma spp.)の、顎口虫(Gnathostoma doloresi)、有棘顎口虫(Gnathostoma spinigerum);
(b)ハブロネーマ科(Habronematidae)の線虫、例えば、ハブロネーマ属種(Habronema spp.)の、小口胃虫(Habronema majus)、小口胃虫(Habronema microstoma)、蠅馬胃虫(Habronema muscae);ドラスキア属種(Draschia spp.)の、大口馬胃虫(Draschia megastoma);
(c)フィザロプテラ科(Physalopteridae)の線虫、例えば、フィサロプテラ属種(Physaloptera spp.)の、犬胃虫(Physaloptera canis)、キツネ胃虫(Physaloptera cesticillata)、フィサロプテラ・エルドシオーナ(Physaloptera erdocyona)、フィサロプテラ・フェリディス(Physaloptera felidis)、エジプト猫胃虫(Physaloptera gemina)、フィサロプテラ・パピロラディラータ(Physaloptera papilloradiata)、猫胃虫(Physaloptera praeputialis)、フィサロプテラ・シュードプラエルティアリス(Physaloptera pseudopraerutialis)、ラーラ胃虫(Physaloptera rara)、フィサロプテラ・シビリカ(Physaloptera sibirica)、フィサロプテラ・ブルピニウス(Physaloptera vulpineus);
(d)ゴンギロネマ科(Gongylonematidae)の線虫、例えば、ゴンギロネマ属種(Gongylonema spp.)の、美麗食道虫(Gongylonema pulchrum);
(e)スピロセルカ科(Spirocercidae)の線虫、例えば、アスカロプス属種(Ascarops spp.)の、類円豚胃虫(Ascarops strongylina);
(f)テラジア科(Thelaziidae)の線虫、例えば、テラジア属種(Thelazia spp.)の、東洋眼虫(Thelazia callipaeda)、テラジア・グローサ(Thelazia gulosa)、涙眼虫(Thelazia lacrymalis)、ロデシア眼虫(Thelazia rhodesi)、スクリャービン眼虫(Thelazia skrjabini)。
【0167】
〔その他の有害生物についての防除剤〕
本発明のヘテロアリールアゾール化合物は、その他にも、毒針や毒液を持ち、人獣に被害を加える害虫、各種の病原体・病原菌を媒介する害虫、人に不快感を与える害虫(有毒害虫・衛生害虫・不快害虫など)の防除効果に優れている。
【0168】
以下に、その具体例を示す。
(1)ハチ目(Hymenoptera)の害虫
ミフシババチ科(Argidae)のハチ、タマバチ科(Cynipidae)のハチ、マツハバチ科(Diprionidae)のハチ、アリ科(Formicidae)のアリ、アリバチ科(Mutillidae )のハチ、スズメバチ科(Vespidae)のハチ。
【0169】
(2)その他の害虫
ゴキブリ類(Blattodea)、シロアリ類(termite)、クモ類(Araneae)、ムカデ類(cetipede)、ヤスデ類(millipede)、甲殻類(crustacea)、南京虫(Cimex lectularius)。
【0170】
〔種子処理剤または栄養繁殖器官処理剤〕
本発明の種子処理剤または栄養繁殖器官処理剤は、本発明のヘテロアリールアゾール化合物から選ばれる少なくともひとつを有効成分として含有するものである。本発明の種子処理剤または栄養繁殖器官処理剤に含まれるヘテロアリールアゾール化合物の量は防除効果を示す限りにおいて特に制限されない。
【0171】
栄養繁殖器官とは、植物の根、茎、葉などのうち、その部位を本体から切り離して土壌に設置した場合に、成長する能力を持つものを意味する。栄養繁殖器官としては、例えば、塊根(tuberous root)、横走根(creeping root)、鱗茎(bulb)、球茎(corm又はsolid bulb)、塊茎(tuber)、根茎(rhizome)、匍匐枝(stolon)、担根体(rhizophore)、茎断片(cane cuttings)、むかご(propagule)及びつる(vine cutting)が挙げられる。なお、匍匐枝は、ランナー(runner)と呼ばれることもあり、むかごは、珠芽とも呼ばれ、肉芽(broad bud)及び鱗芽(bulbil)に分けられる。つるとは、サツマイモやヤマノイモ等の苗条(葉及び茎の総称、shoot)を意味する。鱗茎、球茎、塊茎、根茎、茎断片、担根体又は塊根を総称して、球根とも呼ばれている。イモの栽培は塊茎を土壌に植え付けることで始めるが、用いられる塊茎は一般に種芋と呼ばれる。
【0172】
本発明の種子処理剤または栄養繁殖器官処理剤は、本発明のヘテロアリールアゾール化合物から選ばれる少なくともひとつを有効成分に、適当な固体担体又は液体担体を混合し、必要に応じて界面活性剤やその他の製剤用補助剤を添加して、水和剤、顆粒水和剤、フロアブル剤、又は粉剤等に製剤化されたものを指す。本組成物は、通常、バインダーと混合して用いる。また、本組成物は、バインダーを含有していてもよい。バインダーを含有する本組成物としては、種子処理専用のフロアブル剤(FS:Flowable concentrate for seed treatment)が挙げられる。
【0173】
前記バインダーとしては、植物種子または栄養繁殖器官への植物毒性影響のない接着性物質が用いられる。具体的には、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びカルボキシメチルセルロースを含むセルロース、ポリビニルピロリドン、デンプン、変性デンプン、デキストリン、マルトデキストリン、アルギン酸塩及びキトサンを含む多糖類、ゼラチン及びゼインを含むタンパク質、アラビアゴム、シェラック、リグノスルホン酸カルシウム、並びにメタクリルアミドモノマーからなる群より選択される少なくとも1 種を用いることができる。
【0174】
本発明のヘテロアリールアゾール化合物から選ばれる少なくともひとつを種芋に処理することにより、効率的に有害生物を防除することができる。ヘテロアリールアゾール化合物を種芋に処理する方法として、浸漬処理、粉衣処理あるいはコーティング処理等が挙げられる。また、トラクターで種イモを植え付ける際、トラクター上でヘテロアリールアゾール化合物を含有する薬液を吹き付けることによって、種芋に処理することもできる。
【0175】
〔水稲育苗箱処理用農薬粒状組成物〕
本発明の水稲育苗箱処理用農薬粒状組成物( 以下、「農薬粒状組成物」という) は、本発明のヘテロアリールアゾール化合物から選ばれる少なくともひとつを有効成分としてを含有するものである。本発明の農薬粒状組成物に含まれるヘテロアリールアゾール化合物の量は防除効果を示す限りにおいて特に制限されない。
【0176】
農薬粒状組成物は、種々の方法により得ることができるが、例えば、1種以上の有効成分と、必要により界面活性剤、バインダーおよび無機担体等を配合した粉状組成物を、湿式造粒法により押し出し造粒等することにより得られる。より具体的には、所定の粒度に調整した有効成分と、必要な界面活性剤、バインダーおよび無機担体を均一に混合した後、適量の水を加えて混練し、細孔を開けたスクリーンより押し出して成型し、乾燥して農薬粒状組成物とする。この際用いる細孔の大きさは、通常0 .5 mm ~ 1 .5 mmが好ましい。
【0177】
上記のようにして得られる農薬粒状組成物の粒径は特に制約はないが、平均粒径が0 .5 mmないし1 .5 mmであることが好ましく、特に、0 .7 mm ~ 1 .5 mmであることが好ましい。このような粒径の造粒粒状物は、造粒、乾燥後篩い分けすることにより得られる。
【0178】
農薬粒状組成物は、必要により、界面活性剤、バインダーおよび無機担体が配合される。このうち、界面活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコール高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル、ソルビタンモノアルキレート等のノニオン性界面活性剤;アルキルアリールスルホン酸塩、ジアルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキル燐酸エステル塩、アルキルアリール硫酸エステル塩、アルキルアリール燐酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸塩およびその縮合物、リグニンスルホン酸塩、アクリル酸とイタコン酸の共重合物あるいはメタアクリル酸とイタコン酸の共重合物、マレイン酸とスチレンの共重合物、マレイン酸とジイソブチレンの共重合物およびこれらのアルカリ金属塩等のポリカルボン型高分子活性剤;ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル燐酸エステル塩;ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル硫酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤等が挙げられる。この界面活性剤が通常配合される量としては、0 .1 重量部~5 重量部であるが、特に限定されない。
【0179】
農薬粒状組成物に配合されるバインダーとしては、例えば、カルボキシメチルセルロース金属塩、ポリビニルアルコール、アルファー化デンプン、デキストリン、キサンタンガム、グアシードガム、蔗糖、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸金属塩等が挙げられ、通常配合される量は、0 .1 重量部~ 5 重量部であるが、特に限定されない。更に、上記農薬粒状組成物に配合される無機担体としては、特に限定されるものではないが、例えば、クレー類、炭酸カルシウム、タルク、珪藻土、ゼオライト、アタパルジャイト、石膏、陶石等が挙げられる。
【0180】
〔土壌処理剤〕
本発明における土壌処理とは、例えば、有害生物による摂食等の被害から保護しようとする植物の根圏に有効成分を施用することにより、有害生物を直接防除するか、あるいは植物体内部に根部等から有効成分を浸透移行させて有害生物を防除する方法であり、具体的には、例えば、植穴処理(植穴散布、植穴処理土壌混和)、株元処理(株元散布、株元土壌混和、株元灌注、育苗期後半株元処理)、植溝処理(植溝散布、植溝土壌混和)、作条処理(作条散布、作条土壌混和、生育期作条散布)、播種時作条処理(播種時作条散布、播種時作条土壌混和)、全面処理(全面土壌散布、全面土壌混和)、側条処理、水面処理(全面水面施用、額縁水面施用)、その他土壌散布処理(生育期粒剤葉面散布、樹冠下または主幹周辺散布、土壌表面散布、土壌表面混和、播穴散布、畦部地表面散布、株間散布)、その他灌注処理(土壌灌注、育苗期灌注、薬液注入処理、地際部灌注、薬液ドリップイリゲーション、ケミゲーション)、育苗箱処理(育苗箱散布、育苗箱灌注、育苗箱薬液湛水)苗床処理(苗床散布、苗床灌注、水苗代苗床散布)、苗浸漬、育苗培土混和処理(床土混和、覆土混和)、播種時覆土前散布、播種時覆土後散布、茎注入処理、樹幹注入処理、樹幹散布処理、その他処理(鋤き込み、表土混和、雨落ち部混和、植位置処理、粒剤花房散布、ペースト肥料混和)が挙げられる。
水耕液処理とは、例えば、有害生物による摂食等の被害から保護しようとする植物の植物体内部に根部等から浸透移行させるために水耕液等に有効成分を施用することにより、該植物を有害生物による被害から保護する方法であり、具体的には、例えば、水耕液混和、水耕液混入などが挙げられる。
また、シート状やひも状、テープ状、網状の樹脂、紙、布等の担体に浸漬、含浸、塗布、練り込み等の方法で本発明組成物を含ませた製剤を、植物に巻き付ける、植物近傍に張り渡す、株元土壌に敷く、植物の栽培域を覆う等の方法により施用することもできる。
【0181】
〔ベイト剤〕
本発明のベイト剤は、本発明のヘテロアリールアゾール化合物から選ばれる少なくともひとつを有効成分として含有するものである。本発明のベイト剤に含まれるヘテロアリールアゾール化合物の量は防除効果を示す限りにおいて特に制限されない。
【0182】
本発明のベイト剤は、必要により、糖、炭水化物、乳成分などの摂取性向上成分、共力剤、誤飲防止剤、保存剤、香料、誘引剤等を含有してもよい。本発明のベイト剤は、通常、ヘテロアリールアゾール化合物および水、必要により上記した他の成分を混合することにより調整することができる。本発明のベイト剤の調整において、ヘテロアリールアゾール化合物は、ヘテロアリールアゾール化合物そのものであってもよいし、粉剤、水和剤、マイクロカプセル剤、フロアブル剤等の製剤された形態であってもよい。
【0183】
本発明のベイト剤により、効果的に防除できる有害生物としては、ワモンゴキブリ、チャバネゴキブリ、クロゴキブリ等のゴキブリ、オキナワカンシャクシコメツキなどのコメツキムシ、ヒメアリ、クロヤマアリ等のアリ、タバコシバンムシ、ジンサンシバンムシ等のシバンムシ、コクヌストモドキ、ヒラタコクヌストモドキ等のコクヌストモドキ、ノコギリヒラタムシ、カクムネヒラタムシ等のヒラタムシ、イエシロアリ、ヤマトシロアリ等のシロアリ、イエバエ、ヒメイエバエ、ノミバエ、チョウバエ等のハエ、アカイエカ、ヒトスジシマカ、ハマダラカ、ユスリカ等のカが挙げられる。
【0184】
本発明のベイト剤の施用形態としては、本発明のベイト剤そのままであってもよいし、例えば不織布、スポンジ、脱脂綿等に含浸させた状態であってもよい。本水性ベイト剤や、本ベイト剤を含浸した不織布、スポンジ、脱脂綿等は、例えばカップ、トレイ、瓶等の容器に入れて害虫駆除に供される。その際、本発明のベイト入り容器の外側を覆い、害虫が本発明のベイト剤摂取のために滞在できうるある程度の空間を有する装置とすれば、一般的に摂取性が向上し、効果的である。
【0185】
〔植物成長促進剤〕
本発明の植物成長促進剤は、本発明のヘテロアリールアゾール化合物から選ばれる少なくともひとつを有効成分として含有するものである。本発明の植物成長促進剤に含まれるヘテロアリールアゾール化合物の量は植物成長促進効果を示す限りにおいて特に制限されない。
【0186】
本発明の植物成長促進剤は、必要により、他の成分や担体等を適宜配合することができる。
本発明のヘテロアリールアゾール化合物は、単独で植物成長促進剤として使用することも可能であるが、通常、ヘテロアリールアゾール化合物を有効成分する製剤に用いられる慣用の固体担体、液体担体、分散剤、希釈剤、乳化剤、展着剤および増粘剤などの補助剤と混合して、水和剤、液剤、油剤、粉剤、粒剤またゾル剤(フロアブル)等の剤型に製剤して使用することができる。
【0187】
固体担体又は液体担体としては、例えば、タルク、クレー、ベントナイト、カオリン、けいそう土、モンモリロナイト、雲母、バーミキュライト、石膏、炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、木粉、澱粉、アルミナ、珪酸塩、糖重合体、ワックス類、水、アルコール類(メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、エチレングリコール、ベンジルアルコール等)、石油溜分(石油エーテル、ケロシン、ソルベントナフサ等)、脂肪族又は脂環式炭化水素類(n-ヘキサン、シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、クメン、メチルナフタレン等)、ハロゲン化炭化水素類(クロロホルム、ジクロロメタン等)、エーテル類(イソプロピルエーテル、エチレンオキシド、テトラヒドロフラン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールアセタート、酢酸アミル等)、酸アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアニリド等)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル等)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、アルコールエーテル類(エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等)などが挙げられる。
【0188】
補助剤としては、例えば、非イオン型界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル等)、陰イオン型界面活性剤(アルキルベンゼンスルホナート、アルキルスルホサクシナート、ポリオキシエチレンアルキルスルファート、アリールスルホナート等)、陽イオン型界面活性剤(アルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン類、第四級アンモニウム塩類等)、両性型界面活性剤(アルキルアミノエチルグリシン、アルキルジメチルベタイン等)、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アラビアゴム、トラガントガム、キサンタンガム、ポリビニルアセタート、ゼラチン、カゼイン、アルギン酸ソーダなどが挙げられる。
【0189】
他の成分としては、前記した殺菌剤、殺虫・殺ダニ剤、殺線虫剤、殺土壌害虫剤などの他の有効成分;植物調節剤、共力剤、肥料、土壌改良剤、動物用飼料などが挙げられる。
本発明のヘテロアリールアゾール化合物の植物成長促進剤中の含有量は、製剤形態、施用方法、その他の条件によって種々異なるが、0.5~95質量% が好ましく、2~70質量%の範囲が特に好ましい。
【0190】
適用対象となる植物としては、特に限定されないが、例えばイネ、大麦、小麦、ヒエ、トウモロコシ、アワ等のイネ科の穀物類;カボチャ、カブ、キャベツ、ダイコン、ハクサイ、ホウレンソウ、ピーマン、トマト等の野菜類;キク、ガーベラ、パンジー、ラン、シャクヤク、チューリップ等の花卉類; アズキ、インゲン、大豆、ラッカセイ、ソラマメ、エンドウ等の豆類;ジャガイモ、サツマイモ、サトイモ、ヤマイモ、タロイモ等のイモ類; ネギ、タマネギ、ラッキョウ等のネギ類等が挙げられる。
【0191】
本発明の植物成長促進剤の施用方法としては、植物への施用(茎葉散布)、植物の生長土壌への施用(土壌施用)、田面水への施用(水面施用)、種子への施用(種子処理)等が可能である。
【0192】
本発明の植物成長促進剤の施用量に関しては、適用植物等によっても異なるが、茎葉散布の場合には有効成分濃度として1~10000ppmの範囲、好ましくは10~1000ppmの溶液を10アール当たり50~300L施用するのが好ましく、土壌施用及び水面施用の場合には、有効成分量で10アール当たり0.1~1000g、特に好ましくは10~100g施用するのが好ましい。また、種子処理の場合には、種子1Kgに対して、0.001~50gの有効成分を施用するのが好ましい。
【0193】
〔製剤処方〕
本発明の有害生物防除剤、殺虫もしくは殺ダニ剤、外部寄生虫防除剤または内部寄生虫防除もしくは駆除剤の製剤処方を若干示すが、添加物および添加割合は、これら実施例に限定されるべきものではなく、広範囲に変化させることが可能である。製剤処方中の部は重量部を示す。
【0194】
以下に農園芸用および水稲用の製剤処方を示す。
【0195】
(製剤1:水和剤)
本発明のヘテロアリールアゾール化合物40部、珪藻土53部、高級アルコール硫酸エステル4部、およびアルキルナフタレンスルホン酸塩3部を均一に混合して微細に粉砕して、有効成分40%の水和剤を得る。
【0196】
(製剤2:乳剤)
本発明のヘテロアリールアゾール化合物30部、キシレン33部、ジメチルホルムアミド30部、およびポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル7部を混合溶解して、有効成分30%の乳剤を得る。
【0197】
(製剤3:粒剤)
本発明のヘテロアリールアゾール化合物5部、タルク40部、クレー、38部、ベントナイト10部、およびアルキル硫酸ソーダ7部を均一に混合して微細に粉砕後、直径0.5~1.0mmの粒状に造粒して有効成分5%の粒剤を得る。
【0198】
(製剤4:粒剤)
本発明のヘテロアリールアゾール化合物5部、クレー73部、ベントナイト20部、ジオクチルスルホサクシネートナトリウム塩1部、およびリン酸カリウム1部をよく粉砕混合し、水を加えてよく練り合せた後、造粒乾燥して有効成分5%の粒剤を得る。
【0199】
(製剤5:懸濁剤)
本発明のヘテロアリールアゾール化合物10部、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル4部、ポリカルボン酸ナトリウム塩2部、グリセリン10部、キサンタンガム0.2部、および水73.8部を混合し、粒度が3ミクロン以下になるまで湿式粉砕し、有効成分10%の懸濁剤を得る。
【0200】
以下に外部寄生虫防除剤、または内部寄生虫防除もしくは駆除剤の製剤処方を示す。
【0201】
(製剤6:顆粒剤)
本発明のヘテロアリールアゾール化合物5部を有機溶媒中で溶解させて溶液を得、該溶液をカオリン94部およびホワイトカーボン1部の上に噴霧し、次いで溶媒を減圧下蒸発させる。この種の顆粒は動物の餌と混合できる。
【0202】
(製剤7:注入剤)
本発明のヘテロアリールアゾール化合物0.1~1部とラッカセイ油99~99.9部を均一に混合し、次いで滅菌フィルターによりろ過滅菌する。
【0203】
(製剤8:ポアオン剤)
本発明のヘテロアリールアゾール化合物5部、ミリスチン酸エステル10部、およびイソプロパノール85部を均一に混合してポアオン剤を得る。
【0204】
(製剤9:スポットオン剤)
本発明のヘテロアリールアゾール化合物10~15部、パルミチン酸エステル10部、およびイソプロパノール75~80部を均一に混合してスポットオン剤を得る。
【0205】
(製剤10:スプレー剤)
本発明のヘテロアリールアゾール化合物1部、プロピレングリコール10部、およびイソプロパノール89部を均一に混合してスプレー剤を得る。
【0206】
次に、化合物の実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の化合物実施例によって何ら制限されるものではない。
【0207】
〔実施例1〕
2‐(5‐(エチルスルホニル)‐6‐(1‐メチル‐5‐(パーフルオロプロピル)‐1H‐イミダゾール‐2‐イル)ピリジン‐3‐イル)ピリミジン〔2‐(5‐(ethylsulfonyl)‐6‐(1‐methyl‐5‐(perfluoropropyl)‐1H‐imidazol‐2‐yl)pyridin‐3‐yl)pyrimidine〕の合成(化合物番号b-19)の合成
【0208】
(工程1)2‐ブロモ‐5‐クロロ‐3‐(エチルチオ)ピリジン〔2‐bromo‐5‐chloro‐3‐(ethylthio)pyridine〕の合成
【化41】
3‐アミノ‐2‐ブロモ‐5‐クロロピリジン(40.0g)、およびジエチルジスルフィド(16.5g)を1,2‐ジクロロエタン(770ml)に溶解させ、得られた溶液を室温で撹拌した。これに亜硝酸t‐ブチル(29.8g)を加え、50℃で一晩加熱した。得られた液を水に注ぎ、クロロホルムで抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過した。ろ液を減圧濃縮した。得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、目的物30.0g(収率62%)を得た。
得られた目的物の
1H‐NMRを以下に示す。
1H‐NMR (CDCl
3) δ: 8.08 (1H, d), 7.37 (1H, d), 2.96 (2H, q), 1.42 (3H, t).
【0209】
(工程2)5‐クロロ‐3‐(エチルチオ)‐2‐(1‐メチル‐1H‐イミダゾール‐2‐イル)ピリジン〔5‐chloro‐3‐(ethylthio)‐2‐(1‐methyl‐1H‐imidazol‐2‐yl)pyridine〕の合成
【化42】
反応容器において1‐メチル‐1H‐イミダゾール(4.0g)をテトラヒドロフラン(200ml)に溶解させ、反応容器を窒素で置換した。その後、-70℃に冷却した。これに2.65Mn‐ブチルリチウムn‐ヘキサン溶液(21ml)を滴下し、-70℃で30分間撹拌した。これに1M塩化亜鉛テトラヒドロフラン溶液(83ml)を加え、室温まで昇温し、1時間撹拌した。その後、2‐ブロモ‐5‐クロロ‐3‐(エチルチオ)ピリジン(10.4g)、およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(2.4g)を加え、反応容器を窒素置換した。その後、加熱還流下で一晩撹拌した。得られた液をロッシェル塩水溶液に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を水酸化ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過した。ろ液を減圧濃縮した。得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、目的物9.65g(収率92%)を得た。
得られた目的物の
1H‐NMRを以下に示す。
1H‐NMR (CDCl
3) δ: 8.31 (1H, d), 7.59 (1H, d), 7.21 (1H, d), 6.99 (1H, d), 3.85 (3H, s), 2.92 (2H, q), 1.37 (3H, t).
【0210】
(工程3)5‐クロロ‐3‐(エチルスルホニル)‐2‐(1‐メチル‐1H‐イミダゾール‐2‐イル)ピリジン〔5‐chloro‐3‐(ethylsulfonyl)‐2‐(1‐methyl‐1H‐imidazol‐2‐yl)pyridine〕の合成
【化43】
5‐クロロ‐3‐(エチルチオ)‐2‐(1‐メチル‐1H‐イミダゾール‐2‐イル)ピリジン(0.80g)をジクロロメタン(20ml)に溶解させ、0℃に冷却した。これに70%メタクロロ過安息香酸(1.71g)を加え、室温で5時間撹拌した。得られた液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液の混合溶液に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過した。ろ液を減圧濃縮した。得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、目的物0.84g(収率93%)を得た。
得られた目的物の
1H‐NMRを以下に示す。
1H‐NMR (CDCl
3) δ: 8.83 (1H, d), 8.46 (1H, d), 7.14 (1H, d), 7.05 (1H, d), 3.93 (2H, q), 3.68 (3H, s), 1.34 (3H, t).
【0211】
(工程4)2‐(5‐ブロモ‐1‐メチル‐1H‐イミダゾール‐2‐イル)‐5‐クロロ‐3‐(エチルスルホニル)ピリジン〔2‐(5‐bromo‐1‐methyl‐1H‐imidazol‐2‐yl)‐5‐chloro‐3‐(ethylsulfonyl)pyridine〕の合成
【化44】
5‐クロロ‐3‐(エチルスルホニル)‐2‐(1‐メチル‐1H‐イミダゾール‐2‐イル)ピリジン(0.84g)をジクロロメタン(30ml)に溶解させ、0℃に冷却した。これにN‐ブロモスクシンイミド(0.50g)を加え、室温で3時間撹拌した。得られた液を水に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、目的物0.93g(収率89%)を得た。
得られた目的物の
1H‐NMRを以下に示す。
1H‐NMR (CDCl
3) δ: 8.83 (1H, d), 8.46 (1H, d), 7.13 (1H, s), 3.88 (2H, q), 3.62 (3H, s), 1.35 (3H, t).
【0212】
(工程5)5‐クロロ‐3‐(エチルスルホニル)‐2‐(5‐ヨ‐ド‐1‐メチル‐1H‐イミダゾール‐2‐イル)ピリジン〔5‐chloro‐3‐(ethylsulfonyl)‐2‐(5‐iodo‐1‐methyl‐1H‐imidazol‐2‐yl)pyridine〕の合成
【化45】
反応容器において2‐(5‐ブロモ‐1‐メチル‐1H‐イミダゾール‐2‐イル)‐5‐クロロ‐3‐(エチルスルホニル)ピリジン(0.93g)をジオキサン(26ml)に溶解させ、反応容器をアルゴンで置換した。その後、室温で撹拌した。これにヨウ化ナトリウム(1.92g)、ヨウ化銅(0.1g)、およびtrans‐N,N’‐ジメチルシクロヘキサン‐1,2‐ジアミン(0.15g)を加え、加熱還流下で一晩撹拌した。得られた液を水に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、目的物0.93g(収率89%)を得た。
得られた目的物の
1H‐NMRを以下に示す。
1H‐NMR (CDCl
3) δ: 8.84 (1H, d), 8.46 (1H, d), 7.23 (1H, s), 3.87 (2H, q), 3.62 (3H, s), 1.34 (3H, t).
【0213】
(工程6)5‐クロロ‐3‐(エチルスルホニル)‐2‐(1‐メチル‐5‐(パーフルオロプロピル)‐1H‐イミダゾール‐2‐イル)ピリジン〔5‐chloro‐3‐(ethylsulfonyl)‐2‐(1‐methyl‐5‐(perfluoropropyl)‐1H‐imidazol‐2‐yl)pyridine〕の合成
【化46】
反応容器において5‐クロロ‐3‐(エチルスルホニル)‐2‐(5‐ヨ‐ド‐1‐メチル‐1H‐イミダゾール‐2‐イル)ピリジン(0.68g)をN,N’‐ジメチルプロピレンウレア(3ml)に溶解させ、反応容器をアルゴンで置換した。その後、室温で撹拌した。これにヨウ化銅(0.57g)、およびビス(n‐パーフルオロプロピル)亜鉛・DMPU錯体(1.96g)を加え、120℃で一晩撹拌した。得られた液を飽和ロッシェル塩水溶液に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、目的物0.61g(収率82%)を得た。
得られた目的物の
1H‐NMRを以下に示す。
1H‐NMR (CDCl
3) δ: 8.89 (1H, d), 8.47 (1H, d), 7.50 (1H, s), 3.73 (2H, q), 3.65 (3H, s), 1.34 (3H, t).
【0214】
(工程7)2‐(5‐(エチルスルホニル)‐6‐(1‐メチル‐5‐(パーフルオロプロピル)‐1H‐イミダゾール‐2‐イル)ピリジン‐3‐イル)ピリミジン〔2‐(5‐(ethylsulfonyl)‐6‐(1‐methyl‐5‐(perfluoropropyl)‐1H‐imidazol‐2‐yl)pyridin‐3‐yl)pyrimidine〕の合成
【化47】
反応容器において5‐クロロ‐3‐(エチルスルホニル)‐2‐(1‐メチル‐5‐(パーフルオロプロピル)‐1H‐イミダゾール‐2‐イル)ピリジン(0.29g)をジオキサン(10ml)に溶解させ、反応容器を窒素で置換した。その後、室温で撹拌した。これに2‐(トリブチルスタンニル)ピリミジン(0.35g)、酢酸パラジウム(II)(0.03g)、18%トリシクロヘキシルホスフィントルエン溶液(0.36g)、およびフッ化セシウム(0.22g)を加え、加熱還流下で一晩撹拌した。得られた液を10%フッ化カリウム水溶液に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を水、及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、目的物0.10g(収率31%)を得た。
得られた目的物の
1H‐NMRおよび
19F‐NMRを以下に示す。
1H‐NMR (CDCl
3) δ: 9.94 (1H, d), 9.48 (1H, d), 8.92 (2H, d), 7.52 (1H, s), 7.38 (1H, t), 3.75 (2H, q), 3.70 (3H, s), 1.37 (3H, t);
19F‐NMR(376 MHz, CDCl
3-C
6F
6): δ ‐80.41 (3H, t), ‐107.20 (2H, q), ‐125.60‐‐125.68 (2H, m).
【0215】
〔実施例2〕
5-(エチルスルホニル)-2-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)-4-(1-メチル-5-(パーフルオロブチル)-1H-イミダゾール-2-イル)ピリミジン〔5-(ethylsulfonyl)-2-(1-methyl-1H-1,2,4-triazol-3-yl)-4-(1-methyl-5-(perfluorobutyl)-1H-imidazol-2-yl)pyrimidine〕(化合物番号a-2)の合成
【0216】
(工程1)2-クロロ-1-(5-ヨード-1-メチル-1H-イミダゾール-2-イル)エタン-1-オン〔2-chloro-1-(5-iodo-1-methyl-1H-imidazol-2-yl)ethan-1-one〕の合成
【化48】
反応容器中で2,5-ジヨード-1-メチル-1H-イミダゾール(34.6g)をテトラヒドロフラン(1130ml)に溶解させ、反応容器を窒素で置換し、その後、-70℃に冷却した。これにn-ブチルリチウム(2.65M,n-ヘキサン溶液,42ml)を滴下し、-70℃で30分間撹拌した。これに2-クロロ-N-メトキシ-N-メチルアセトアミド(17.0g)を加え、-70℃で1時間撹拌した。得られた液を飽和塩化アンモニウム水溶液に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過した。ろ液を減圧濃縮して濃縮物を得た。
【0217】
(工程2)2-(エチルチオ)-1-(5-ヨード-1-メチル-1H-イミダゾール-2-イル)エタン-1-オン〔2-(ethylthio)-1-(5-iodo-1-methyl-1H-imidazol-2-yl)ethan-1-one〕の合成
【化49】
工程1で得られた濃縮物(未精製の2-クロロ-1-(5-ヨード-1-メチル-1H-イミダゾール-2-yl)エタン-1-オン)をN,N-ジメチルホルムアミド(100ml)とテトラヒドロフラン(100ml)との混合溶媒に溶解させ、得られた溶液を0℃で撹拌した。これにエチルメルカプタンナトリウム(10.0g,80%)を加え、室温で一晩撹拌した。得られた液を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、目的物5.74g(収率18%,2工程)を得た。
得られた目的物の
1H-NMRを以下に示す。
1H-NMR(400 MHz, CDCl
3): δ 7.28 (1H, s), 4.01 (3H, s), 3.94 (2H, s), 2.64 (2H, q), 1.28 (3H, t).
【0218】
(工程3)2-(エチルスルホニル)-1-(5-ヨード-1-メチル-1H-イミダゾール-2-イル)エタン-1-オン〔2-(ethylsulfonyl)-1-(5-iodo-1-methyl-1H-imidazol-2-yl)ethan-1-one〕の合成
【化50】
2-(エチルチオ)-1-(5-ヨード-1-メチル-1H-イミダゾール-2-イル)エタン-1-オン(5.7g)をジクロロメタン(190ml)へ溶解させて、得られた溶液を0℃で撹拌した。これにメタクロロ過安息香酸(70%,10g)を加え室温で5時間撹拌した。得られた液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液の混合溶液に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、目的物5.2g(収率81%)を得た。
得られた目的物の
1H-NMRを以下に示す。
1H-NMR(400 MHz, CDCl
3): δ 7.35 (1H, s), 4.81 (2H, s), 4.02 (3H, s), 3.28 (2H, q), 1.46 (3H, t).
【0219】
(工程4)3-(ジメチルアミノ)-2-(エチルスルホニル)-1-(5-ヨード-1-メチル-1H-イミダゾール-2-イル)プロプ-2-エン-1-オン〔3-(dimethylamino)-2-(ethylsulfonyl)-1-(5-iodo-1-methyl-1H-imidazol-2-yl)prop-2-en-1-one〕の合成
【化51】
2-(エチルスルホニル)-1-(5-ヨード-1-メチル-1H-イミダゾール-2-イル)エタン-1-オン(0.34g)をテトラヒドロフラン(5ml)へ溶解させて、得られた溶液を室温で撹拌した。これにN,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(0.23g)を加え加熱還流下で4時間撹拌した。得られた液を減圧濃縮した。
【0220】
(工程5)5-(エチルスルホニル)-4-(5-ヨード-1-メチル-1H-イミダゾール―2―イル)-2-(1-メチル-1H-1,2,4,-トリアゾール-3-イル)ピリミジン〔5-(ethylsulfonyl)-4-(5-iodo-1-methyl-1H-imidazol-2-yl)-2-(1-methyl-1H-1,2,4-triazol-3-yl)pyrimidine〕の合成
【化52】
工程4で得られた濃縮物(未精製の3-(ジメチルアミノ)-2-(エチルスルホニル)-1-(5-ヨード-1-メチル-1H-イミダゾール-2-イル)プロプ-2-エン-1-オン)をエタノール(10ml)に溶解させて、室温で撹拌した。これにトリエチルアミン(0.30g)と1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキシイミドアミド塩酸塩(0.20g)を加え、加熱還流下で5時間撹拌した。得られた液を飽和塩化アンモニウム水溶液に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、目的物0.44g(収率95%,2工程)を得た。
得られた目的物の
1H-NMRを以下に示す。
1H-NMR(400 MHz, CDCl
3): δ 9.50 (1H, s), 8.25 (1H, s), 7.31 (1H, s), 4.11 (3H, s), 4.07 (2H, q), 3.94 (3H, s), 1.41 (3H, t).
【0221】
(工程6)5-(エチルスルホニル)-2-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)-4-(1-メチル-5-(パーフルオロブチル)-1H-イミダゾール-2-イル)ピリミジン〔5-(ethylsulfonyl)-2-(1-methyl-1H-1,2,4-triazol-3-yl)-4-(1-methyl-5-(perfluorobutyl)-1H-imidazol-2-yl)pyrimidine〕の合成
【化53】
反応容器にて5-(エチルスルホニル)-4-(5ヨード-1-メチル-1H-イミダゾール―2―イル)-2-(1-メチル-1H-1,2,4,-トリアゾール-3-イル)ピリミジン(0.2g)をN,N’-ジメチルプロピレンウレア(3ml)に溶解させ、反応容器をアルゴンで置換し、次いで室温で撹拌した。これにヨウ化銅(0.17g)とChem. Eur. J. 2015, 21, 96-100.に記載の方法を参考に合成したビス(n-パーフルオロブチル)亜鉛・DMPU錯体(0.66g)を加え、110℃で3時間撹拌した。得られた液を飽和ロッシェル塩水溶液に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を水、及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、目的物0.06g(収率25%)を得た。
得られた目的物の
1H-NMRおよび
19F-NMRを以下に示す。
1H-NMR(400 MHz, CDCl
3): δ 9.53 (1H, s), 8.27 (1H, s), 7.54 (1H, s), 4.12 (3H, s), 3.89 (3H, s), 3.88 (2H, q), 1.40 (3H, t);
19F-NMR(376 MHz, CDCl
3-C
6F
6): δ -81.3(s, 3F), -106.3(s, 2F), -121.8(s, 2F), -126.0(s, 2F).
【0222】
〔実施例3〕
5-(エチルスルホニル)-4-(4-メチル-5-(ノナフルオロブチル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)-2,2’-ビピリミジン〔5-(ethylsulfonyl)-4-(4-methyl-5-(nonafluorobutyl)-4H-1,2,4-triazol-3-yl)-2,2'-bipyrimidine〕(化合物番号a-5)の合成
【0223】
(工程1)2,2,3,3,4,4,5,5,5-ノナフルオロペンタンヒドラジド〔2,2,3,3,4,4,5,5,5-nonafluoropentanehydrazide〕の合成
【化54】
2,2,3,3,4,4,5,5,5-ノナフルオロペンタン酸エチル(15.8g)をメタノール(108ml)に溶解させ、室温で撹拌した。これにヒドラジン一水和物(2.7g)を滴下し、室温で30分間撹拌した。得られた液を減圧濃縮した。
【0224】
(工程2)N-メチル-2-(2,2,3,3,4,4,5,5,5-ノナフルオロペンタノイル)ヒドラジン-1-カルボチオアミド〔N-methyl-2-(2,2,3,3,4,4,5,5,5-nonafluoropentanoyl)hydrazine-1-carbothioamide〕の合成
【化55】
工程1で得られた濃縮物(未精製の2,2,3,3,4,4,5,5,5-ノナフルオロペンタンヒドラジド)16.4gをメタノール(54ml)に溶解させ、0℃で撹拌した。これにイソチオシアン酸メチル(3.95g)のメタノール溶液(54mL)を滴下し、0℃で10分間撹拌した。その後、加熱還流下で3時間撹拌した。得られた液を室温まで放冷し、次いで減圧濃縮した。
【0225】
(工程3)4-メチル-5-(ノナフルオロブチル)-2,4-ジヒドロ-3H-1,2,4-トリアゾール-3-チオン〔4-methyl-5-(nonafluorobutyl)-2,4-dihydro-3H-1,2,4-triazole-3-thione〕の合成
【化56】
工程2で得られた濃縮物(未精製のN-メチル-2-(2,2,3,3,4,4,5,5,5-ノナフルオロペンタノイル)ヒドラジン-1-カルボチオアミド含有)23.5gを水(270ml)に懸濁させ、室温で撹拌した。これに炭酸水素ナトリウム(45.5g)を加え、加熱還流下で4時間撹拌した。得られた液を室温まで放冷し、その後、濃塩酸でpHを2に調整し、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過した。ろ液を減圧濃縮した。
【0226】
(工程4)4-メチル-3-(ノナフルオロブチル)-4H-1,2,4-トリアゾール〔4-methyl-3-(nonafluorobutyl)-4H-1,2,4-triazole〕の合成
【化57】
工程3で得られた濃縮物(4-メチル-5-(ノナフルオロブチル)-2,4-ジヒドロ-3H-1,2,4-トリアゾール-3-チオン含有)15.7gを水(424ml)に懸濁させ、室温で撹拌した。これに硝酸(47ml)を加え、加熱還流下で4時間撹拌した。得られた液を室温まで放冷し、次いで氷浴冷却下に30%水酸化ナトリウム水溶液でpHを12に調整し、クロロホルムで抽出した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、目的物10.5g(収率75%,4工程)を得た。
得られた目的物の
1H-NMRを以下に示す。
1H-NMR(400 MHz, CDCl
3): δ 8.25 (s, 1H), 3.86 (s, 3H).
【0227】
(工程5)3-ブロモ-4-メチル-5-(ノナフルオロブチル)-4H-1,2,4-トリアゾール〔3-bromo-4-methyl-5-(nonafluorobutyl)-4H-1,2,4-triazole〕の合成
【化58】
4-メチル-3-(ノナフルオロブチル)-4H-1,2,4-トリアゾール(3.44g)を四塩化炭素(114mL)に溶解させ、室温で撹拌した。これにN-ブロモスクシンイミド(2.24g)を加え、加熱還流下で20時間撹拌した。得られた液を室温まで放冷し、次いで減圧濃縮した。得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、目的物2.49g(収率57%)を得た。
得られた目的物の
1H-NMRを以下に示す。
1H-NMR(400 MHz, CDCl
3): δ 3.79 (s, 3H).
【0228】
(工程6)2-クロロ-1-(4-メチル-5-(ノナフルオロブチル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)エタン-1-オン〔2-chloro-1-(4-methyl-5-(nonafluorobutyl)-4H-1,2,4-triazol-3-yl)ethan-1-one〕の合成
【化59】
3-ブロモ-4-メチル-5-(ノナフルオロブチル)-4H-1,2,4-トリアゾール(1.50g)をテトラヒドロフラン(16ml)に溶解させ、反応系内を窒素で置換した後、-72℃に冷却した。これにn-ブチルリチウム(2.76M,n-ヘキサン溶液,1.70ml)を滴下し、-72℃で30分間撹拌した。これに2-クロロ-N-メトキシ-N-メチルアセトアミド(0.652g)のテトラヒドロフラン溶液(4ml)を滴下し、-72℃で1時間撹拌した。得られた液を飽和塩化アンモニウム水溶液に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、目的物0.90g(収率60%)を得た。
得られた目的物の
1H-NMRを以下に示す。
1H-NMR(400 MHz, CDCl
3): δ 5.04 (s, 2H), 4.13 (s, 3H).
【0229】
(工程7)2-(エチルチオ)-1-(4-メチル-5-(ノナフルオロブチル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)エタン-1-オン〔2-(ethylthio)-1-(4-methyl-5-(nonafluorobutyl)-4H-1,2,4-triazol-3-yl)ethan-1-one〕の合成
【化60】
2-クロロ-1-(4-メチル-5-(ノナフルオロブチル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)エタン-1-オン(0.90g)をテトラヒドロフラン(24ml)に溶解させ、室温で撹拌した。これにエチルメルカプタンナトリウム(90%,0.245g)を加え、室温で6時間撹拌した。これにエチルメルカプタンナトリウム(90%,0.245g)を追加し、室温で1時間撹拌した。得られた液を飽和塩化アンモニウム水溶液に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過した。ろ液を減圧濃縮した。
【0230】
(工程8)2-(エチルスルホニル)-1-(4-メチル-5-(ノナフルオロブチル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)エタン-1-オン〔2-(ethylsulfonyl)-1-(4-methyl-5-(nonafluorobutyl)-4H-1,2,4-triazol-3-yl)ethan-1-one〕の合成
【化61】
工程7で得られた濃縮物(2-(エチルチオ)-1-(4-メチル-5-(ノナフルオロブチル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)エタン-1-オン含有)0.98gをジクロロメタン(24ml)に溶解させ、0℃で撹拌した。これにメタクロロ過安息香酸(70%,1.32g)を加え、室温で3時間撹拌した。得られた液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液の混合溶液に注ぎ、クロロホルムで抽出した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過した。ろ液を減圧濃縮した。得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、目的物0.807g(収率78%,2工程)を得た。
得られた目的物の
1H-NMRを以下に示す。
1H-NMR(400 MHz, CDCl
3): δ 4.92 (s, 2H), 4.11 (s, 3H), 3.31 (q, 2H), 1.48 (t, 3H).
【0231】
(工程9)3-(ジメチルアミノ)-2-(エチルスルホニル)-1-(4-メチル-5-(ノナフルオロブチル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)プロプ-2-エン-1-オン〔3-(dimethylamino)-2-(ethylsulfonyl)-1-(4-methyl-5-(nonafluorobutyl)-4H-1,2,4-triazol-3-yl)prop-2-en-1-one〕の合成
【化62】
2-(エチルスルホニル)-1-(4-メチル-5-(ノナフルオロブチル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)エタン-1-オン(0.20g)をテトラヒドロフラン(2.3ml)に溶解させ、室温で撹拌した。これにN,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(0.274g)を加え、加熱還流下で1.5時間撹拌した。得られた液を減圧濃縮した。
【0232】
(工程10)5-(エチルスルホニル)-4-(4-メチル-5-(ノナフルオロブチル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)-2,2’-ビピリミジン〔5-(ethylsulfonyl)-4-(4-methyl-5-(nonafluorobutyl)-4H-1,2,4-triazol-3-yl)-2,2'-bipyrimidine〕の合成
【化63】
工程9で得られた濃縮物(3-(ジメチルアミノ)-2-(エチルスルホニル)-1-(4-メチル-5-(ノナフルオロブチル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)プロプ-2-エン-1-オン含有)0.27gをエタノール(2.3ml)に溶解させ、室温で撹拌した。これにトリエチルアミン(0.209g)と2-アミジノピリミジン塩酸塩(0.109g)を加え、加熱還流下で1時間撹拌した。得られた液を飽和塩化アンモニウム水溶液に注ぎ、クロロホルムで抽出した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、目的物0.10g(収率40%,2工程)を得た。
得られた目的物の
1H-NMRおよび
19F-NMRを以下に示す。
1H-NMR(400 MHz, CDCl
3): δ 9.70 (s, 1H), 9.09 (d, 2H), 7.56 (t, 1H), 3.92 (s, 3H), 3.83 (q, 2H), 1.42 (t, 3H);
19F-NMR(376 MHz, CDCl
3-C
6F
6): δ-81.28 (t, 3F), -109.73 (t, 2F), -122.00 - -122.09 (m, 2F), -125.72 - -125.81 (m, 2F).
【0233】
前記の実施例と同様の方法で製造した本発明化合物の一部を表1~表3に示す。表1は式(I)で表される化合物の置換基を示す。表中には、各化合物の物性として、性状、融点(m.p.)または屈折率(nD)を併せて示す。
尚、表中のMeはメチル基を、Etはエチル基を、cPrはシクロプロピル基を、Acはアセチル基をそれぞれ示す。
【0234】
【0235】
【0236】
【0237】
【0238】
表1~表3に示した化合物のうち、粘性オイル(viscous oil)、アモルファス(amorphous)または白色固体(white solid)の物性化合物については、1H-NMRデータを以下に示す。
化合物番号(a-10):1H-NMR (CDCl3) δ: 9.55 (1H, s), 8.10 (1H, s), 7.56 (1H, s), 4.44 (3H, s), 3.93 (2H, q), 3.91 (3H, s), 1.42 (3H, t).
化合物番号b-28:1H-NMR(400 MHz, CDCl3) δ: 9.37 (d, 1H), 8.80 (s, 1H), 8.78 (d, 1H), 8.25 (s, 1H), 7.44 (d, 1H), 5.92 (ddd, 1H), 3.88 (q, 2H), 3.70 (s, 3H), 1.38 (t, 3H).
化合物番号b-31:1H-NMR(400 MHz, CDCl3) δ: 9.93 (d, 1H), 9.47 (d, 1H), 8.91 (d, 2H), 7.40 (dd, 1H), 7.37 (t, 1H), 6.10 (ddd, 1H), 3.80 (q, 2H), 3.67 (d, 3H), 1.37 (t, 3H).
化合物番号b-37:1H-NMR(400 MHz, CDCl3) δ: 8.83 (d, 1H), 8.31 (d, 1H), 8.19 (dd, 2H), 7.83 (dt, 1H), 7.50 (s, 1H), 7.16 (dd, 1H), 7.12 (d, 1H), 3.70 (q, 2H), 3.67 (s, 3H), 1.33 (t, 3H).
化合物番号b-40:1H-NMR(400 MHz, CDCl3) δ: 10.28 (s, 1H), 9.35 (d, 1H), 8.92 (d, 1H), 7.45 (d, 1H), 5.90 (ddd, 1H), 3.96-3.86 (m, 2H), 3.74 (s, 3H), 1.37 (t, 3H).
化合物番号b-56:1H-NMR(400 MHz, CDCl3) δ: 8.99 (1H, d), 8.19 (1H, d), 7.37 (1H, dd), 6.08 (1H, dd), 3.76 (2H, q), 3.62 (3H, s), 2.00 (2H, dd), 1.63 (2H, dd), 1.31 (3H, t).
化合物番号b-65:1H-NMR(400 MHz, CDCl3) δ: 8.67 (1H, d), 8.01 (1H, d), 7.01 (1H, s), 3.71 (2H, q), 3.49 (3H, s), 3.30-3.17 (3H, m), 2.10-2.03 (1H, m), 1.28 (3H, t), 1.24-1.19 (2H, m), 0.93-0.88 (2H, m).
化合物番号b-67:1H-NMR(400 MHz, CDCl3) δ: 9.91 (1H, d), 9.47 (1H, d), 8.91 (2H, d), 7.36 (1H, t), 7.23 (1H, d), 5.59 (1H, ddd), 3.92-3.80 (2H, m), 3.69 (3H, s), 2.56-2.33 (4H, m), 1.38 (3H, t).
化合物番号b-72:1H-NMR(400 MHz, CDCl3) δ: 8.68 (1H, d), 8.02 (1H, d), 7.21 (1H, s), 5.76 (1H, dt), 5.09 (2H, s), 3.74 (2H, q), 3.55 (3H, s), 2.11-2.05 (1H, m), 1.30 (3H, t), 1.25-1.16 (2H, m), 0.96-0.89 (2H, m).
化合物番号c-2:1H-NMR(400 MHz, CDCl3)δ:9.31 (d, 1H), 8.89 (d, 1H), 7.58 (s, 1H), 7.43 (d, 1H), 5.91 (ddd, 1H), 4.79 (t, 2H), 3.89-3.78 (m, 2H), 3.71 (s, 3H), 1.34 (t, 3H).
【0239】
〔生物試験〕
本発明のヘテロアリールアゾール化合物が、有害生物防除剤および外部寄生虫防除剤の有効成分として有用であることを以下の試験例で示す。なお「部」は重量基準である。
【0240】
(試験用乳剤の調製)
本発明ヘテロアリールアゾール化合物5部、ジメチルホルムアミド93.6部、およびポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル1.4部を混合溶解し、有効成分5%の乳剤(I)を調製した。
対照のために、ジメチルホルムアミド98.5部、およびポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル1.5部を混合溶解して乳剤(II)を調製した。
【0241】
殺虫率は、下記の式により計算した。
殺虫率(%)=(死亡虫数/供試虫数)×100
【0242】
(試験例1)アワヨトウに対する効力試験
市販の人工飼料(インセクタLFS、日本農産工業社製)0.8gと乳剤(I)1μlをよく混和して試験用飼料を得た。
プラスチック製試験容器(1.4ml容)に、各処理区当り0.2gの試験用飼料を詰めた。次いでアワヨトウ2齢幼虫を各処理区当り2頭接種した。プラスチック製の蓋を、アワヨトウ2齢幼虫が逃げ出さないように試験容器に載せた。それを25℃の恒温室内に置き、第5日目に殺虫率と摂食量を調べた。試験は2反復で行った。
【0243】
対照区として、乳剤(I)を乳剤(II)に変えた以外は試験例1と同じ方法で、殺虫率と摂食量を調べた。
【0244】
化合物番号a-1、a-2、a-6、a-8、a-9、b-1、b-2、b-3、b-4、b-7、b-8、b-9、b-10、b-11、b-12、b-13、b-15、b-16、b-17、b-18、b-20、b-22、b-23、b-24、b-25、b-26、b-27、b-29、b-32、b-34、b-35、b-36、b-39、b-41、b-42、b-43、b-44、b-45、b-52、b-53、b-54、b-55、b-57、b-58、b-59、b-60、b-61、b-62、b-63、b-64、b-66、b-68、b-69、c-1、c-5およびc-8の化合物について、アワヨトウに対する効力試験を行った。いずれの化合物もアワヨトウに対する殺虫率が100%または摂食量が対照区比で10%以下であった。本発明ヘテロアリールアゾール化合物はアワヨトウに対して有効であることがわかる。
【0245】
(試験例2)アワヨトウに対する効力試験
乳剤(I)を、本発明化合物の濃度が125ppmになるように水で希釈した。トウモロコシ葉を前記希釈液に30秒間浸漬した。このトウモロコシ葉を、シャーレに入れ、アワヨトウ2齢幼虫5頭を放した。シャーレを温度25℃、湿度60%の恒温室内に置いた。放虫から6日間経過したときに生死判定を行い、殺虫率を算出した。試験は2反復で行った。
【0246】
化合物番号a-2、b-4、b-18、b-19およびb-21の化合物について、アワヨトウに対する効力試験を行ったいずれの化合物もアワヨトウに対して80%以上の殺虫率を示した。
【0247】
(試験例3)コナガに対する効力試験
乳剤(I)を、本発明化合物の濃度が125ppmになるように水で希釈した。キャベツ葉を前記希釈液中に30秒間浸漬した。このキャベツ葉をシャーレに入れた。これにコナガ2齢幼虫5頭を放した。シャーレを温度25℃、湿度60%の恒温室内に置いた。放虫から3日間経過したときに生死判定を行い、殺虫率を算出した。試験は2反復で行った。
【0248】
化合物番号a-1、a-2、a-4、a-5、a-6、a-10、b-1、b-4、b-8、b-9、b-10、b-13、b-15、b-16、b-18、b-19、b-20、b-21、b-22、b-24、b-25、b-27、b-29、b-31、b-34、b-36、b-37、b-41、b-42、b-43、b-44、b-45、b-47、b-48、b-51、b-52、b-54、b-55、b-56、b-58、b-60、b-61、b-62、b-64、b-67、b-69、c-1、c-4およびc-5の化合物について、コナガに対する効力試験を行った。いずれの化合物もコナガに対して80%以上の殺虫率を示した。
【0249】
(試験例4)ハスモンヨトウに対する効力試験
乳剤(I)を、本発明化合物の濃度が125ppmになるように水で希釈した。キャベツ葉を前記希釈液に30秒間浸漬した。このキャベツ葉を、シャーレに入れた。これにハスモントウ2齢幼虫5頭を放した。シャーレを温度25℃、湿度60%の恒温室内に置いた。放虫から6日間経過したときに生死判定を行い、殺虫率を算出した。試験は2反復で行った。
【0250】
化合物b-18、b-20、b-21およびb-51の化合物について、ハスモンヨトウに対する効力試験を行った。いずれの化合物もハスモンヨトウに対して80%以上の殺虫率を示した。
【0251】
(試験例5)マメアブラムシに対する効力試験
3寸鉢でササゲを育苗し、初生葉上にマメアブラムシ若虫を接種した。乳剤(I)を本発明化合物が125ppmになるように水で希釈し、マメアブラムシ若虫が寄生するササゲに前記希釈液を散布した。該ササゲを温度25℃、湿度60%の恒温室内に置いた。散布から4日間経過したときにマメアブラムシの生死判定を行い、殺虫率を算出した。試験は2反復で行った。
【0252】
化合物番号a-1、a-2、a-6、a-9、b-1、b-2、b-3、b-4、b-7、b-8、b-9、b-11、b-12、b-15、b-16、b-17、b-18、b-20、b-22、b-23、b-24、b-25、b-26、b-27、b-29、b-32、b-35、b-36、b-38、b-40、b-41、b-42、b-43、b-44、b-45、b-52、b-53、b-54、b-55、b-57、b-58、b-59、b-60、b-61、b-62、b-63、b-64、b-66、b-69、b-70、b-71、c-7およびc-8の化合物について、マメアブラムシに対する効力試験を行った。いずれの化合物もマメアブラムシに対して80%以上の殺虫率を示した。
【0253】
(試験例6)キスジノミハムシに対する効力試験
乳剤(I)を本発明化合物が125ppmとなるように水で希釈し、試験用薬液を調製した。3寸鉢に植えたチンゲンサイ苗(第7本葉展開期)に前記試験用薬液を散布した。チンゲンサイ苗を風乾させ、次いでプラスチックカップに入れた。これに、キスジノミハムシ(Phyllotreta striolata)成虫10頭を放した。温度25℃、湿度65%の恒温室内で保管し、放虫から7日後に生死判定を行い、殺虫率を算出した。試験は2反復で行った。
【0254】
化合物番号a-1、a-2、a-6、b-1、b-4、b-8、b-9、b-18、b-19、b-21、b-22、b-24、b-29、b-31、b-34、b-37、b-43、b-48、b-52、b-55、b-58、b-59、b-61、b-62、b-69、c-1、c-2およびc-5の化合物について、キスジノミハムシ成虫に対する効力試験を行った。いずれの化合物もキスジノミハムシ成虫に対して80%以上の殺虫率を示した。
【0255】
(試験例7)キスジノミハムシに対する効力試験
乳剤(I)を本発明化合物が2ppmとなるように水で希釈し、試験用薬液を調製した。3寸鉢に植えたチンゲンサイ苗(第7本葉展開期)に前記試験用薬液を散布した。チンゲンサイ苗を風乾させ、次いでプラスチックカップに入れた。これに、キスジノミハムシ(Phyllotreta striolata)成虫10頭を放した。温度25℃、湿度65%の恒温室内で保管し、放虫から7日後に生死判定を行い、殺虫率を算出した。試験は2反復で行った。
【0256】
化合物番号a-1、a-2、a-6、b-1、b-4、b-8、b-18、b-19、b-21、b-24、b-29、b-31、b-34、b-43、b-48、b-52、b-55、b-58、b-59、b-61、b-62およびc-1の化合物について、キスジノミハムシ成虫に対する効力試験を行った。いずれの化合物もキスジノミハムシ成虫に対して80%以上の殺虫率を示した。
【0257】
(試験例8)トビイロウンカに対する効力試験
乳剤(I)を、本発明化合物の濃度が125ppmになるように水で希釈した。該希釈液にイネ幼苗を30秒間浸漬した。イネ幼苗を風乾させ、次いでプラスチックケースに入れた。これに、トビイロウンカ2齢幼虫5頭を放した。温度25℃、湿度65%の恒温室内で保管し、接種から7日後に生死判定を行い、殺虫率を算出した。試験は2反復で行った。
【0258】
化合物番号a-1、a-2、a-3、a-4、a-9、b-3、b-4、b-7、b-9、b-15、b-17、b-19、b-28、b-34、b-46、b-47、b-48、b-51およびb-67の化合物について、トビイロウンカに対する効力試験を行った。いずれの化合物もトビイロウンカに対して80%以上の殺虫率を示した。
【0259】
(試験例9)イエバエに対する効力試験
本発明化合物をアセトンで希釈し、1gの角砂糖に100ppmになるように滴下した。該角砂糖をプラスチックカップに入れ、イエバエ(Musca domestica)雌成虫10頭を放し、蓋をした。25℃で保管し、放虫から24時間後に生死判定を行い、殺虫率を算出した。試験は2反復で行った。
【0260】
化合物番号b-4の化合物について、イエバエに対する効力試験を行った。いずれの化合物もイエバエに対して80%以上の殺虫率を示した。
【0261】
本発明のヘテロアリールアゾール化合物の中から無作為に選択したものが、いずれも上記のような効果を奏することから、本発明のヘテロアリールアゾール化合物は、例示しきれなかった化合物を含め、有害生物防除、特に殺ダニ、殺虫などの効果を有する化合物であることが理解できる。また、外部寄生虫などの人畜に害のある寄生虫にも効果を有する化合物であることが理解できる。