(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】再パルプ化可能な包装材料
(51)【国際特許分類】
B65D 65/40 20060101AFI20230719BHJP
B32B 27/10 20060101ALI20230719BHJP
B32B 29/00 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
B65D65/40 D
B32B27/10
B32B29/00
(21)【出願番号】P 2020569138
(86)(22)【出願日】2019-06-12
(86)【国際出願番号】 IB2019054893
(87)【国際公開番号】W WO2019239334
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2022-05-12
(32)【優先日】2018-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】501239516
【氏名又は名称】ストラ エンソ オーワイジェイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ニュフレット、オーサ
(72)【発明者】
【氏名】ボンネラップ、クリス
(72)【発明者】
【氏名】エクベリ、マグヌス
【審査官】植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/089508(WO,A1)
【文献】特表2013-510222(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/00-65/46
B32B 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装材料であって、
第1の面および第2の面を含む板紙基材、
前記基材の第1の面上に適用された少なくとも1つのバリア層であって、ポリビニルアルコール、エチレンとポリビニルアルコールとのコポリマー、デンプン、カルボキシメチルセルロース、およびそれらの組み合わせの群から選択される水溶性ポリマーを、このバリア層の乾燥重量に基づいて少なくとも50重量%の量で含むバリア層、
前記バリア層上のポリオレフィンの押出コーティング層、ならびに、
前記基材の第2の面上に適用された少なくとも1つの分散液バリア層であって、包装材料の印刷面を形成している少なくとも1つの分散液バリア層を含む、
包装材料。
【請求項2】
前記押出コーティング層のポリオレフィンが、ポリエチレンおよびポリプロピレンの群から選択される、請求項1に記載の包装材料。
【請求項3】
前記バリア層が、バリア層の乾燥重量に基づいて、50重量%以上100重量%以下の範囲の量
で前記水溶性ポリマーを含む、請求項1または2に記載の包装材料。
【請求項4】
前記バリア層の水溶性ポリマーがPVOHまたはエチレンとPVOHとのコポリマーであり、前記バリア層の坪量
が2g/m
2以上7g/m
2以下の範囲内である、請求項1~3のいずれか1項に記載の包装材料。
【請求項5】
前記バリア層の水溶性ポリマーがデンプンであり、前記バリア層の坪量
が2g/m
2以上10g/m
2以下の範囲内である、
請求項1~3のいずれか1項に記載の包装材料。
【請求項6】
前記バリア層の水溶性ポリマーがカルボキシメチルセルロースであり、前記バリア層の坪量
が4g/m
2以上6g/m
2以下の範囲内である、
請求項1~3のいずれか1項に記載の包装材料。
【請求項7】
前記分散液バリア層が、分散液バリア層の乾燥重量100重量%に基づくパーセント割合として、40重量%以上100重量%以下の範囲の量でラテックスを含み、かつ0重量%以上60重量%以下の範囲の量で顔料を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の包装材料。
【請求項8】
前記分散液バリア層が、デンプン
を含み、
かつ、ワックス、スチレンマレイン酸無水物(SMA)および/もしくはアルキルケテンダイマー(AKD類)の群から選択される少なくとも1種の疎水性ポリマー、またはエチレンとポリビニルアルコールとのコポリマーを含む、
請求項1~6のいずれか1項に記載の包装材料。
【請求項9】
前記包装材料が、ASTM D3985に従って23℃、50%相対湿度(RH)で測定された5cc/m
2*日*atm未満の酸素移動速度(OTR)、および/またはASTM F1249に従って測定された1日あたり10g/m
2未満の水蒸気移動速度(WVTR)、および/またはCOBB1800を使用して測定された1g/m
2未満の吸水率を示す、請求項1~8のいずれか1項に記載の包装材料。
【請求項10】
前記包装材料の再パルプ化から入手された拒絶品が、前記包装材料の乾燥重量100重量%に基づいて、15重量%未
満である、請求項1~9のいずれか1項に記載の包装材料。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の包装材料を製造する方法であって、
第1の面および第2の面を含む板紙基材を提供するステップ、
前記基材の第1の面上に少なくとも1つのバリア層を適用するステップであって、このバリア層が、ポリビニルアルコール、エチレンとポリビニルアルコールとのコポリマー、デンプン、カルボキシメチルセルロース、およびそれらの組み合わせの群から選択される水溶性ポリマーを、前記バリア層の乾燥重量に基づいて少なくとも50重量%の量で含むステップ、
前記バリア層上にポリオレフィンの層を適用するステップ、ならびに
前記基材の第2の面上に、少なくとも1つの分散液バリア層を適用するステップであって、この少なくとも1つの分散液バリア層が、包装材料の印刷面を形成するステップを含み、
前記ポリオレフィンの層がチルロールを使用した押出コーティングによって適用され、
このチルロールの温度が10℃以上25℃以下の範囲内である、
製造方法。
【請求項12】
前記ポリオレフィンの層がポリエチレン層および/またはポリプロピレン層を含み、前記ポリエチレン層の押出が300℃以上330℃以下の範囲の溶融温度で実施され、および/または
前記ポリプロピレン層の押出が295℃以上320℃以下の範囲の溶融温度で実施される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記バリア層が適用された板紙基材が、前記ポリオレフィン層で押出コーティングされる前に、コロナ処理または火炎処理によって処理される、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記ポリオレフィンの押出コーティング層が、押出ステップでオゾン処理される、請求項11~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1~10のいずれか1項に記載の包装材料を含むか、または請求項1~10のいずれか1項に記載の包装材料から形成された包装。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体または冷凍食品の包装材料、特に再パルプ化可能な包装材料に関する。
【背景技術】
【0002】
液体または冷凍食品の包装(パッケージ)またはカップに使用される繊維ベースの材料は、通常、内面(包装された製品に面する)と外面(印刷面)の両方の上にバリアコーティングが施されている。内面上に適用されたバリアコーティングは、材料に、例えば、液体、グリース、酸素および/または芳香に対する抵抗性を与え、包装材料上で包装された製品の影響に耐えうるものとする。バリアコーティングはまた、熱封止(ヒートシール)可能であるべきである。繊維ベースの製品上にバリアを形成するときに最も一般的に使用される材料は、ポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP)などのポリオレフィンである。今日では、ポリ乳酸(PLA)などの他のバイオベースのポリマーを含むバイオベースのバージョンの材料も使用されている。液体包装用の板は、通常、両面にポリマーコーティングが施され、多くの場合、内面上に追加のラミネートアルミニウム層が施されている。
【0003】
WO2011/003565A2およびWO2012/093036A2には、紙または他のセルロースベース材料の層、ポリオレフィンベースのポリマーの液密かつ熱封止可能な最外層、および紙またはセルロースベース材料の層の内面上にコーティングされた蒸着物である誘導熱感受性の金属コーティングを含む、液体食品包装用の非箔包装ラミネートが、開示されている。金属蒸着コーティング層は、実質的にアルミニウムからなる層であり得る。したがって、この包装ラミネートは、金属層、特にアルミニウム層を含む。US2001/0005550Alには、紙または板紙のコア層、およびコア層の片面上に適用されたバリア層を含むラミネート包装材料を製造する方法、ならびにそれによって製造されたラミネート包装材料が開示されている。好ましくは、デンプンまたはデンプン誘導体がバリア層として使用される。しかし、このラミネートは熱可塑性の外層で多層化されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ポリオレフィンおよびアルミニウム箔の数層を含む包装材料は、板紙からプラスチックコーティングを分離する際の問題のために再パルプ化が困難である。再パルプ化が可能であるが、同時に酸素および湿分に対するバリアを提供することの両方を満たす包装材料の必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、本発明の独立請求項による包装材料、包装材料の製造方法、および包装によって実現される。従属請求項は、好ましい実施形態に関連している。本文脈で明確に示されていない限り、これらは自由に組み合わせることができる。
【0006】
本発明は、以下を提供する。
包装材料であって、
第1の面および第2の面を含む板紙基材、
前記基材の第1の面上に適用された少なくとも1つのバリア層であって、ポリビニルアルコール(PVOH)、エチレンとポリビニルアルコールとのコポリマー、デンプン、カルボキシメチルセルロース(CMC)、およびそれらの組み合わせの群から選択される水溶性ポリマーを、このバリア層の乾燥重量に基づいて少なくとも50重量%の量で含むバリア層、
前記バリア層上のポリオレフィンの押出コーティング層、ならびに、
前記基材の第2の面上に適用された少なくとも1つの分散液バリア層であって、包装材料の印刷面を形成している少なくとも1つの分散液バリア層を含む、
包装材料。
【0007】
驚くべきことに、本発明による包装材料は、容易に再パルプ化可能であり、それでも良好な湿分および酸素バリアを提供することが見出された。
【0008】
従って、バリア層上に適用されたポリオレフィンの押出コーティング層は、バリア層と直接接触している。PVOHの水溶性ポリマー、エチレンとPVOHとのコポリマー、デンプンまたはCMCのバリア層を、押出ポリオレフィン層と直接接触させて配置することによって、酸素および湿分バリア特性が驚くほど高く、特にそれぞれの単層の特性を考慮すると予想よりも高いことが示されている。これにより、余分な層、例えばアルミニウムの層が必要とされないという利点が与えられる。本明細書で使用される場合、水溶性ポリマーは、水に溶解、分散、または膨潤するポリマーを指す。従って、そのようなポリマーは、水性のポリマーエマルジョンに使用可能である。いかなる理論にも拘束されることを望まないが、これは、ポリオレフィン層と水溶性ポリマー層との間の界面にトランス結晶構造(trans-crystalline structure)が形成され得るという事実に起因する可能性があると推測される。
【0009】
さらに、板紙基材とポリオレフィンの押出コーティング層との間にPVOH、デンプンまたはCMCなどの水性ポリマーのバリア層を配置すると、包装材料の再パルプ化が非常に容易になり、かつリサイクルにおけるポリオレフィン層の分離が容易になる。好ましくは、包装材料は、1つのポリオレフィン層のみを含む。特に、包装材料は、包装の外面/印刷面である基材の第2面の上にポリオレフィン層を含まない。押出されたポリオレフィンの量を既知の包装用ラミネートと比べて大幅に減らすことができるため、それに応じて拒絶品(reject:廃棄品、規格不良品)の割合を著しく減少させることができる。いくつかの実施形態では、包装材料またはそれで製作された包装の再パルプ化における拒絶品は、包装または包装材料の乾燥重量100重量%に基づいて、15重量%未満、好ましくは8重量%未満、より好ましくは5重量%未満である。
【0010】
印刷面上では、板紙基材に分散液バリア層が設けられており、結露から生じる湿分に対するバリアを与える。分散液バリア層は、ラテックスおよび任意選択で顔料を含み得る。あるいは、分散液バリア層は、デンプン、ならびに、任意選択で、ワックス、スチレンマレイン酸無水物(SMA)および/もしくはアルキルケテンダイマー(AKD類)などの疎水性ポリマー、またはエチレンとポリビニルアルコールとのコポリマーを含み得る。外面/印刷面上に適用されたそのような分散液コーティングは、凝縮(結露)から生じる湿分に対する十分に効率的なバリアとして機能することができる。さらに、バリア層は良好な光学特性を提供し、バリア層が形成された印刷に適した包装の表面をもたらす。
【0011】
分散液バリアが印刷面を形成する一方で、押出コーティング層は、それが形成された包装の内面を成す。好ましくは、押出コーティング層は、包装の内容物と直接接触する。好ましくは、包装材料は、さらなる層を含まない。好ましい実施形態では、包装材料はアルミニウムの層を含まない。
【0012】
本明細書で使用される場合、「板紙」(“paperboard”)は、少なくとも部分的に、植物、木材、および/または合成繊維を含み得る繊維の融合物である紙ベースの基材を指す。板紙基材は、好ましくはセルロース繊維を含む。包装材料に使用される典型的な板紙基材は、少なくとも1つの層、好ましくはいくつかの層を含む。板紙基材は、好ましくは背面層および上層の少なくとも2つの層を含む多層板紙である。板紙基材は、1つまたは複数の中間層をさらに含み得る。板紙基材は、例えば、上層、背面層および中間層を含み得る。板紙基材は、少なくとも150gsm、好ましくは少なくとも180gsm、または少なくとも200gsm、または少なくとも250gsmの坪量を有し得る。このような多層板紙は、液体および/または冷凍食品の包装に特に好適である。
【0013】
紙層またはコーティング層の坪量は、平方メートルあたりのグラム数、gsmまたはg/m2として表される重量を指す。本明細書で使用されるように、gsmおよびg/m2は交換可能に使用され得る。
【0014】
本明細書で使用される場合、「バリア層」は、材料を通る酸素などのガスの透過性および/または繊維構造内の液体の吸収を低減または排除することによって板紙基材にバリア特性を与えるコーティング層を指す。液体または冷凍食品などの包装された製品の流出を防止し、かつ、包装された製品の品質を低下させる可能性のある酸素、湿分、グリース、油、その他の混入物質の包装内への侵入を防止するために、バリアコーティングが必要である。
【0015】
本明細書で使用される場合、「分散液バリア層」(“dispersion barrier layer”)は、水溶液および分散液のコーティングの従来技術でよく知られている、板紙基材上への分散液コーティングによって導入された層を指す。本明細書で使用される場合、「分散液コーティング」は、ラテックスなどの微細なポリマー粒子を含む水性分散液を表面に適用して、乾燥後に固体の実質的に非多孔質のフィルムを形成するコーティング技術を指す。
【0016】
本明細書で使用される場合、「ラミネート」(積層体)は、複数の層の材料を指し、その複合材料は、異なる材料の使用による改善された特性を達成する。ラミネートは、例えば、熱、圧力または接着剤によって組み立てられた多層オブジェクトである。多層化された包装材料は、ラミネートと称される場合がある。
【0017】
本明細書で使用される場合、「ラテックス」は、ポリマー粒子の水性懸濁液を指し、これは、天然ポリマー、合成ポリマー、バイオマス由来の合成ポリマー、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0018】
本明細書で使用される場合、「顔料」は、製紙業界で通常言及される製紙(抄紙)に使用される粘土(クレー)、チョークまたはカオリンなどの増量剤、充填剤およびコーティングを指す。
【0019】
本文脈において、「印刷面」は、印刷されるように適合された表面を定義することを意味する。従って、印刷面を形成する少なくとも1つの分散液バリア層は、板紙の最外層を形成する。
【0020】
本明細書で表現される酸素移動速度(OTR)は、ASTM D3985に従って、23℃の温度および50%の相対湿度(RH)で測定される。本明細書で表現される水蒸気移動速度は、23℃の温度および50%RHで、Mocon機器を用いて、ASTM F1249に従って測定される。本明細書で表現される吸水率は、SCAN-P 12:64に従ってCOBB1800を使用して測定される。
【0021】
特に明記しない限り、与えられた%は重量%であり、層、プライ(層)、または包装などのそれぞれの対象物の乾燥重量100重量%に基づいて計算される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態による包装材料の概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の更なる一実施形態による包装材料の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、様々な実施形態および他の態様に関連してさらに説明される。文脈で明確に示されていない限り、これらの実施形態および態様は自由に組み合わせることができる。
【0024】
板紙基材は、好ましくは、上層および背面層と、1つまたは複数の中間層とを含み、中間層がバルク(嵩)を与える多層板紙である。板紙基材、特に1つまたは複数の中間層は、硫酸塩/クラフトパルプおよびCTMPを含んでいてよく、これらは有利なことにバルクを与える。パルプは、漂白されていなくても、漂白されていてもよい。バルクを与える層は、少なくとも70重量%の化学熱機械パルプ(CTMP)もしくは熱機械パルプ(TMP)に由来する繊維で構成されていてよく、および/または発泡体で形成されていてよい。基材は、少なくとも150gsm、または少なくとも200gsmの坪量を有していてよい。上層の上には鉱物(ミネラル)コーティングを施すことができる。好ましくは、上層は鉱物コーティングを備えない。基材の上層および/または背面層は、未処理であるか、または、例えば片面または両面上にデンプンの薄層を用いて、表面サイジングされていてよい。基材は、好ましくは、分散液バリアが適用される第2の面上にて表面サイジングされていてよい。表面サイジングは、分散液バリア層(単一層または複数層)を適用する前に適用される。表面サイジングは、加工デンプンを含むか、もしくは加工デンプンからなるか、またはアクリルコポリマーなどの表面サイジング剤を含み得る。これにより、分散液コーティングのバリア特性がさらに向上する。
【0025】
押出コーティング層のポリオレフィンは、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)、またはそれらの混合物などの熱可塑性ポリオレフィンであり得る。好ましい実施形態では、押出コーティング層のポリオレフィンは、ポリエチレンおよびポリプロピレンの群から選択される。これらは特に良好なバリア特性を与え、押出コーティングによる良好な適用を可能にする。このようなバリア層はまた、熱封止(ヒートシール)可能である。
【0026】
押出コーティングされたポリオレフィン層と板紙基材との間に、バリア層が配置されている。バリア層は、PVOH、エチレンとPVOHとのコポリマー、デンプン、CMC、およびそれらの組み合わせの群から選択される、少なくとも50重量%の水溶性ポリマーで構成されている。エチレンとPVOHとのコポリマーはまた、エチレン-ビニルアルコールコポリマー(EVOH)とも称される。好ましくは、水溶性ポリマーは、PVOH、デンプン、CMC、およびそれらの組み合わせの群から選択される。
【0027】
いくつかの実施形態では、バリア層は、バリア層の乾燥重量に基づいて、50重量%以上100重量%以下の範囲、好ましくは70重量%以上95重量%以下の範囲、より好ましくは80重量%以上90重量%以下の範囲の量で水溶性ポリマーを含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、バリア層の水溶性ポリマーは、PVOHまたはエチレンとPVOHとのコポリマーである。エチレンとPVOHとのコポリマーが好ましい場合があり、これはより優れた耐湿性を与える。水溶性ポリマーがPVOHまたはエチレンとPVOHとのコポリマーである実施形態では、1つまたは複数のバリア層の坪量は、好ましくは2g/m2以上7g/m2以下、より好ましくは3g/m2以上7g/m2以下または4g/m2以上6g/m2以下の範囲内である。
【0029】
更なる一実施形態では、バリア層の水溶性ポリマーはデンプンである。デンプンは、好ましくはアミロペクチンに富むデンプンであり、好ましくは99%を超えるアミロペクチンを含む。これにより、フィルム形成が改善される。水溶性ポリマーがデンプンであるいくつかの実施形態では、坪量は、好ましくは2g/m2以上10g/m2以下の範囲、または好ましくは5g/m2以上10g/m2以下の範囲である。
【0030】
更なる一実施形態では、バリア層の水溶性ポリマーは、カルボキシメチルセルロースである。水性ポリマーがCMCであるいくつかの実施形態では、バリア層の坪量は、4g/m2以上6g/m2以下の範囲内である。
【0031】
いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーを含む少なくとも2つのバリア層が、板紙基材とポリオレフィン層との間に適用されてよい。それぞれのバリア層の各々を薄くして、上記の与えられた坪量に従って総坪量を構築することができる。このようにして、酸素バリア特性をさらに改善することができる。
【0032】
一実施形態では、1つまたは複数のバリア層は、マレイン酸コポリマーおよび/またはアクリル酸コポリマーの群から選択される添加剤を含む。好ましいスチレンマレイン酸コポリマーは、スチレンマレイン酸無水物(SMA)である。これらの添加剤は、水溶性ポリマーの層とポリオレフィン層との間の接着性をさらに改善する。バリア層は、バリア層の乾燥重量に基づいて、10重量%以上50重量%以下の範囲の量のマレイン酸コポリマーおよび/またはアクリル酸コポリマーを含み得る。
【0033】
更なる一実施形態では、1つまたは複数のバリア層は、顔料、例えば、粘土(クレー)、炭酸カルシウム、タルクおよび/またはナノ顔料の群から選択される顔料などをさらに含む。好ましくは、粘土はカオリンクレーである。ナノ顔料という用語は、ナノスケールの粉末を指す。顔料はバリア特性をさらに改善する可能性がある。バリア層は、バリア層の乾燥重量に基づいて、50重量%未満の量の顔料を含み得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、バリア層は、バリア層の総乾燥重量100重量%に基づく割合として、少なくとも50重量%、少なくとも80重量%、もしくは少なくとも90重量%の、PVOH、エチレンとPVOHとのコポリマー、デンプンおよび/またはCMCの群から選択される水溶性ポリマー;0重量%以上50重量%以下の範囲内のマレイン酸コポリマーおよび/またはアクリル酸コポリマーの群から選択される添加剤;ならびに、0重量%以上10重量%以下の範囲内の消泡剤またはレオロジー調整剤などの第2の添加剤を含み得る。
【0035】
一実施形態では、バリア層は、発泡水溶性ポリマーから形成される。そのような実施形態では、水溶性ポリマーは、フォームコーティング(発泡コーティング)によって板紙上に適用される。発泡バリア層の使用は、層内の少量および/または均一に分布した量のPVOH、エチレンとPVOHとのコポリマー、デンプンおよび/またはCMCの存在を可能にする。PVOHを使用する場合、加水分解度は88%未満であることが好ましい。
【0036】
印刷面上では、板紙基材に少なくとも1つの分散液バリアが設けられる。一実施形態では、分散液バリアは、ラテックスおよび任意選択で顔料を含む。包装材料の外面上に適用されたラテックスと顔料とを含む分散液バリアは、凝縮から生じる湿分に対する十分に効率的なバリアとして機能することができる。さらに、バリア層は、印刷に好適な光学特性を与える。ラテックスは、スチレン-ブタジエンラテックス、スチレン-アクリラートラテックス、アクリラートラテックス、ビニル-アセタートラテックス、アクリラートラテックス、ビニルアセタートラテックス、ビニルアセタート-アクリラートラテックス、スチレン-ブタジエン-アクリロニトリルラテックス、スチレン-アクリレート-アクリロニトリルラテックス、スチレン-ブタジエン-アクリラート-アクリロニトリルラテックス、スチレン-無水マレイン酸ラテックス、スチレン-アクリラート-無水マレイン酸ラテックス、またはこれらのラテックスの混合物を含む群から選択され得る。ラテックスは、好ましくは、スチレン-ブタジエン(SB)ラテックスまたはスチレン-アクリラート(SA)ラテックスである。ラテックスは、バイオベース、すなわち、バイオマスに由来するもの、例えば、バイオベースのスチレン-アクリラートまたはスチレン-ブタジエンラテックスなどであってよい。バイオベースのラテックスは、同様の性能を与え、二酸化炭素排出量(カーボンフットプリント)を改善する。分散層中の顔料は、好ましくは、粘土(クレー)、タルクおよび炭酸カルシウムの群から選択され、最も好ましくは、粘土または炭酸カルシウムである。粘土は、好ましくはカオリンクレーである。
【0037】
これらの実施形態では、分散液バリア層は、分散液バリア層の乾燥重量100重量%に基づく割合として、40重量%以上100重量%以下の範囲の量のラテックス、および0重量%以上60重量%以下の範囲の量の顔料を含み得る。
【0038】
ラテックスおよび顔料に加えて、1つまたは複数の分散液バリア層は、少量の添加剤をさらに含み得、添加剤の量は、分散バリア層の乾燥重量に対して計算した場合、好ましくは、0.1重量%以上5重量%以下の範囲内、または1重量%以上5重量%以下の範囲内、または0.1重量%以上1重量%以下の範囲内である。添加剤には、増粘剤、消泡剤または発泡防止剤、分散助剤、追加の顔料、架橋剤、スリップ添加剤、充填剤、離型剤、防腐剤、およびブロッキング防止剤が含まれ得る。
【0039】
他の実施形態では、分散液バリア層は、デンプン、ならびに、ワックス、スチレンマレイン酸無水物(SMA)および/もしくはアルキルケテンダイマー(AKD)の群から選択される少なくとも1種の疎水性ポリマー、またはエチレンとポリビニルアルコールとのコポリマーを含む。エチレンとPVOHとのコポリマーは、任意選択で、疎水性ポリマーをさらに含む。ワックスはポリエチレンワックスであってもよい。
【0040】
包装材料は、少なくとも1つの分散液バリア層、好ましくは2つ以上の分散液バリア層、例えば2つの分散液バリア層を含む。第1の分散液バリア層は、未処理または表面サイジング処理された板紙基材の第2の面上に直接適用され得、第2の分散液バリア層は、第1の分散液バリア層上に適用され得る。次に、この実施形態では、第2の分散液バリア層が印刷面を形成する。2つの分散液バリア層は、より良い被覆を与え、バリア特性を強化し得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、包装材料は、ASTM D3985に従って23℃、50%相対湿度(RH)で測定された15cc/m2*日*atm未満、好ましくは10cc/m2*日*atm未満もしくは5cc/m2*日*atm未満の酸素移動速度(OTR);および/または、ASTM F1249に従って測定された1日あたり10g/m2未満、好ましくは1日あたり5g/m2未満の水蒸気移動速度(WVTR);および/または、COBB1800を使用して測定された1g/m2未満の吸水率を示す。
【0042】
OTRは、好ましくは1cc/m2*日*atm以上5cc/m2*日*atm以下、より好ましくは3cc/m2*日*atm未満であってよい。WVTRは、好ましくは1日あたり5g/m2未満、より好ましくは1日あたり3g/m2未満、更に好ましくは1日あたり1g/m2未満であってよい。吸水率は、表面が液体に対して不浸透性である程度を指し、表面吸着によって、例えば、液状の水に30分曝したときの表面上に吸着したg(水)/m2によって測定され得る。COBB1800を使用して測定された吸水率は、好ましくは0.1g/m2以上5g/m2以下の範囲内、または更に好ましくは1g/m2未満の範囲内である。
【0043】
包装材料、または包装材料を含むかもしくは包装材料から作製された包装は、一般的な再パルプ化技法を使用して他の紙製品中にリサイクルすることができる。再パルプ化では、セルロース繊維が分離され、清浄化後にリサイクル可能である。再パルプ化されていない部分は、拒絶品(リジェクト;廃棄品)と称される。拒絶品は、凝集した繊維および何らかの固形異物を含み得る。拒絶品は、廃棄または燃焼のために取り除く必要がある。
【0044】
好ましい実施形態では、包装材料の再パルプ化から入手された拒絶品は、包装材料の乾燥重量100重量%に基づいて、15重量%未満、好ましくは8重量%未満、より好ましくは5重量%未満である。したがって、当該包装材料は、非常に優れた再パルプ化性を提供する。したがって、この包装材料は、再パルプ化可能な包装材料と称され得る。
【0045】
本発明は、また当該包装材料を製造する方法に関し、
この方法は、
第1の面および第2の面を含む板紙基材を提供するステップ、
前記基材の第1の面上に少なくとも1つのバリア層を適用するステップであって、このバリア層が、ポリビニルアルコール(PVOH)、エチレンとポリビニルアルコールとのコポリマー、デンプン、カルボキシメチルセルロース、およびそれらの組み合わせの群から選択される水溶性ポリマーを、前記バリア層の乾燥重量に基づいて少なくとも50重量%の量で含むステップ、
前記バリア層上にポリオレフィンの層を適用するステップ、ならびに
前記基材の第2の面上に、少なくとも1つの分散液バリア層を適用するステップであって、この少なくとも1つの分散液バリア層が、包装材料の印刷面を形成するステップを含み、
前記ポリオレフィンの層がチルロールを使用した押出コーティングによって適用され、
このチルロールの温度が10℃以上25℃以下の範囲内である。
【0046】
押出コーティングは、ポリオレフィンなどの熱可塑性ポリマーを溶融し、フラットダイからチルロール上に押し出す連続プロセスである。チルロールは、主に、押出およびコーティング操作における熱伝達および仕上げ装置として機能する。いかなる理論にも拘束されることを望まないが、特定のチルロール温度は、ポリオレフィン層と水溶性ポリマー層との間の界面でのトランス結晶性構造の形成のために重要であると考えられる。
【0047】
包装材料を製造するプロセスにおいて、ポリマー層の押出は、好ましくは、押出機を離れるときにポリマーが有する特定の溶融温度でさらに実行される。この方法の実施形態では、ポリエチレン層の押出は、300℃以上330℃以下の範囲内の溶融温度で実施され、および/またはポリプロピレン層の押出は、295℃以上320℃以下の範囲内の溶融温度で実施される。ポリオレフィン層にPEが使用される実施形態では、溶融温度は、好ましくは310℃以上325℃以下の範囲内であり、チルロール温度は、好ましくは10℃以上25℃以下の範囲内である。ポリオレフィン層にPPが使用される実施形態では、溶融温度は、好ましくは300℃以上315℃以下の範囲内であり、チルロール温度は、好ましくは10℃以上25℃以下の範囲内である。
【0048】
いくつか実施形態においては、バリア層が適用された板紙基材は、ポリオレフィンの層でコーティングされる前に、コロナ処理または火炎処理によって処理される。この方法のさらなる実施形態では、ポリオレフィンの押出コーティング層は、押出ステップにてオゾン処理される。押出ステップでのオゾン処理は、コロナ処理または火炎処理に加えて、またはその代わりに実行することができる。デンプン、CMCまたはPVOHのバリア層が適用された板紙基材は、好ましくは、この層で押出コーティングされる前にコロナ処理によって処理され得る。これらの処理により、ポリマーは部分的に分解され、その結果、移動度が増大し、水溶性ポリマーとポリオレフィン層との間の界面での結晶化が促進されると考えられる。
【0049】
水性ポリマーは、例えば、ローラーコーティング、カーテン、ブレードコーティング、ロッドコーティング、ジェットコーティングなどを含む、既知のいずれかのコーティング方法によって適用することができる。1つの好ましい実施形態では、水性ポリマーを含む1つまたは複数のバリア層は、板紙製造機械(抄紙機)にてオンラインで(製造操作中に)適用される。
【0050】
バリア層は、フォーム(発泡体)の形態で適用され得る。そのような実施形態では、水溶性ポリマーは、フォームコーティング(発泡コーティング)によって板紙上に適用される。これにより、少量のPVOH、デンプン、および/またはCMCを適用しつつ、均一な分布を実現することができる。バリア層にPVOHを使用する場合、加水分解度は88%未満であることが好ましい。フォームの適用は、PVOHおよびデンプンまたはCMCなどの混合物の使用をさらに容易にする。
【0051】
分散液バリア層は、好ましくは、ローラーコーティング、スプレーコーティング、カーテン、ブレードコーティング、スロットコーティング、浸漬コーティング、グラビアロールコーティング、リバースダイレクトグラビアコーティング、ロッドコーティング、ソフトチップブレードコーティング、および/またはそれらの組み合わせの使用によって適用される。好ましいコーティング方法は、ロッドコーターまたはソフトチップブレードコーターの使用を含む。
【0052】
本発明はさらに、上記の包装材料を含むか、またはそれから作製された包装に関する。包装は、液体および/または冷凍食品に特に有用である。包装は、好ましくは、ヒートシール(熱封止)を使用して作製される。
【0053】
好ましくは、包装は、アルミニウム、例えば、アルミニウムの層またはアルミニウム箔を含まない。さらに好ましいことに、包装は、包装の第2の面、すなわち外面/印刷面上にポリオレフィン層を含まない。好ましくは、包装は、1つのポリオレフィン層のみを含む。押出されたポリオレフィンの量を、既知の包装と比較して大幅に減らすことができるため、リサイクルにおけるポリオレフィン層の分離および再パルプ化が非常に容易になる。いくつかの実施形態では、包装の再パルプ化における拒絶品は、包装の乾燥重量100重量%に基づいて、15重量%未満、好ましくは8重量%未満、より好ましくは5重量%未満である。
【0054】
本発明のさらなる特徴は、実施例および図面から明らかになるであろう。
ここで、
図1は、本発明の一実施形態による包装材料の概略図である。
図2は、本発明の更なる一実施形態による包装材料の概略図である。
【0055】
図1に示された包装材料は、板紙基材1を含む。板紙基材1は、第1の面および第2の面を有し、板紙基材の第1の面上にはバリア層3がコーティングされており、このバリア層3は、PVOH、エチレンとPVOHとのコポリマー、デンプン、カルボキシメチルセルロース、およびそれらの組み合わせの群から選択される水溶性ポリマーを、バリア層3の乾燥重量に基づいて少なくとも50重量の量で含む。ポリエチレンまたはポリプロピレンなどのポリオレフィン4の層は、バリア層3上に押出コーティングされている。押出コーティングされた層4は、包装材料から形成された包装の内容物と接触することになる。板紙基材1の第2の面は、分散液バリア層4でコーティングされており、分散液バリア層4は、包装材料の印刷面を形成している。
図1に示された板紙基材は、液体および/または冷凍食品の熱封止包装に特に好適である。
【0056】
図2に示された包装材料は、3つの層、上層1a、中間層1b、および背面層1cを含む板紙基材1を含む。中間層lbには、バルクを与えるためにCTMPおよび硫酸塩/クラフトパルプが含まれている。パルプは、漂白されていなくてもよいし、漂白されていてもよい。ボード1aおよびlcの表面層には、表面サイジング剤が含まれていてよい。板紙基材の第2の面上では、上層1aが第1の分散液バリア層2aでコーティングされ、第2の分散液バリア層2bが第1のバリア層2a上に配置されている。分散液バリア層は、板紙基材上への分散液バリアコーティングによってもたらされる。包装材料は、最も外側の分散液バリア層2b上に直接印刷することができる。第1の面上では、板紙基材の背面層1cが、バリア層3でコーティングされており、このバリア層3は、PVOH、エチレンとPVOHとのコポリマー、デンプン、カルボキシメチルセルロース、およびそれらの組み合わせの群から選択される水溶性ポリマーを、バリア層3の乾燥重量に基づいて少なくとも50重量の量で含む。ポリエチレンまたはポリプロピレンなどのポリオレフィン4の層が、バリア層3上に押出コーティングされている。押出コーティングされた層4は、包装材料から形成された包装の内容物と接触することになる。
【実施例】
【0057】
例1
本発明の包装材料のバリア特性を評価するために、一連の試験を実施し、本発明に従って製造された包装材料のバリア特性をジェットおよびロッドコーティングを使用するパイロット試験で評価した。
【0058】
一連の試験で使用された板紙基材は、190~232gsmの間の坪量を有する基板であり、これは、漂白クラフトパルプから形成された2つの外層、ならびに漂白クラフトパルプおよびCTMPを含む中間層を含む多層板紙であった。
【0059】
板紙基材を、ポリビニルアルコール(PVOH)またはデンプンでコーティングし、裏面上に、すなわち、その作製された包装の内面を形成する面上にバリア層を形成した。デンプンは、少なくとも99重量%のアミロペクチンを含むポテトのデンプンであった。その後、コーティングされた基材に、ポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP)で押出コーティングし、押出コーティング層を形成した。約300℃のポリマー溶融温度で、さらに15~20℃の温度に保持されたチルロールを使用して押出コーティングを実行した。押出コーティングステップの前にすべてのサンプルをコロナ処理した。
【0060】
したがって、以下のコーティング構造を示すようにサンプル群を調製した:
基材/バリア層/押出コーティング層。
【0061】
参照サンプル(REF)として、バリア層で事前コーティングすることなしに、ポリエチレンを用いて基板を押出コーティングした。
【0062】
表1は、基板の坪量、ならびに適用されたバリア層および押出コーティング層の種類および量を示す。
【表1】
【0063】
本発明による包装材料の特性は、表2に要約されている。WVTRおよびCOBB1800は、試験サンプルの一部についてのみ測定した。
【0064】
表2から分かるように、本発明の包装材料は優れたバリア特性を示した。
【0065】
その後、全てのサンプルを包装に転化し、これについてバリア特性を測定した。転化された包装のOTR、WVTRおよびCOBB1800は、包装材料のサンプル群のそれらの特性と大きく異ならなかった。
【0066】
【表2】
なお、本発明に包含され得る諸態様または諸実施形態は、以下のように要約される。
[1].
包装材料であって、
第1の面および第2の面を含む板紙基材、
前記基材の第1の面上に適用された少なくとも1つのバリア層であって、ポリビニルアルコール、エチレンとポリビニルアルコールとのコポリマー、デンプン、カルボキシメチルセルロース、およびそれらの組み合わせの群から選択される水溶性ポリマーを、このバリア層の乾燥重量に基づいて少なくとも50重量%の量で含むバリア層、
前記バリア層上のポリオレフィンの押出コーティング層、ならびに、
前記基材の第2の面上に適用された少なくとも1つの分散液バリア層であって、包装材料の印刷面を形成している少なくとも1つの分散液バリア層を含む、
包装材料。
[2].
前記押出コーティング層のポリオレフィンが、ポリエチレンおよびポリプロピレンの群から選択される、上記項目[1]に記載の包装材料。
[3].
前記バリア層が、バリア層の乾燥重量に基づいて、50重量%以上100重量%以下の範囲の量で、好ましくは70重量%以上95重量%以下の範囲の量で、より好ましくは80重量%以上90重量%以下の範囲の量で、前記水溶性ポリマーを含む、上記項目[1]または[2]に記載の包装材料。
[4].
前記バリア層の水溶性ポリマーがPVOHまたはエチレンとPVOHとのコポリマーであり、前記バリア層の坪量が好ましくは2g/m
2
以上7g/m
2
以下の範囲内である、上記項目[1]~[3]のいずれか1項に記載の包装材料。
[5].
前記バリア層の水溶性ポリマーがデンプンであり、前記バリア層の坪量が好ましくは2g/m
2
以上10g/m
2
以下の範囲内である、上記項目[1]~[4]のいずれか1項に記載の包装材料。
[6].
前記バリア層の水溶性ポリマーがカルボキシメチルセルロースであり、前記バリア層の坪量が好ましくは4g/m
2
以上6g/m
2
以下の範囲内である、上記項目[1]~[5]のいずれか1項に記載の包装材料。
[7].
前記分散液バリア層が、分散液バリア層の乾燥重量100重量%に基づくパーセント割合として、40重量%以上100重量%以下の範囲の量でラテックスを含み、かつ0重量%以上60重量%以下の範囲の量で顔料を含む、上記項目[1]~[6]のいずれか1項に記載の包装材料。
[8].
前記分散液バリア層が、デンプン、ならびに、ワックス、スチレンマレイン酸無水物(SMA)および/もしくはアルキルケテンダイマー(AKD類)の群から選択される少なくとも1種の疎水性ポリマー、またはエチレンとポリビニルアルコールとのコポリマーを含む、上記項目[1]~[7]のいずれか1項に記載の包装材料。
[9].
前記包装材料が、ASTM D3985に従って23℃、50%相対湿度(RH)で測定された5cc/m
2
*日*atm未満の酸素移動速度(OTR)、および/またはASTM F1249に従って測定された1日あたり10g/m
2
未満の水蒸気移動速度(WVTR)、および/またはCOBB1800を使用して測定された1g/m
2
未満の吸水率を示す、上記項目[1]~[8]のいずれか1項に記載の包装材料。
[10].
前記包装材料の再パルプ化から入手された拒絶品が、前記包装材料の乾燥重量100重量%に基づいて、15重量%未満、好ましくは8重量%未満、より好ましくは5重量%未満である、上記項目[1]~[9]のいずれか1項に記載の包装材料。
[11].
上記項目[1]~[10]のいずれか1項に記載の包装材料を製造する方法であって、
第1の面および第2の面を含む板紙基材を提供するステップ、
前記基材の第1の面上に少なくとも1つのバリア層を適用するステップであって、このバリア層が、ポリビニルアルコール、エチレンとポリビニルアルコールとのコポリマー、デンプン、カルボキシメチルセルロース、およびそれらの組み合わせの群から選択される水溶性ポリマーを、前記バリア層の乾燥重量に基づいて少なくとも50重量%の量で含むステップ、
前記バリア層上にポリオレフィンの層を適用するステップ、ならびに
前記基材の第2の面上に、少なくとも1つの分散液バリア層を適用するステップであって、この少なくとも1つの分散液バリア層が、包装材料の印刷面を形成するステップを含み、
前記ポリオレフィンの層がチルロールを使用した押出コーティングによって適用され、
このチルロールの温度が10℃以上25℃以下の範囲内である、
製造方法。
[12].
ポリエチレン層の押出が300℃以上330℃以下の範囲の溶融温度で実施され、および/またはポリプロピレン層の押出が295℃以上320℃以下の範囲の溶融温度で実施される、上記項目[11]に記載の方法。
[13].
前記バリア層が適用された板紙基材が、前記ポリオレフィン層で押出コーティングされる前に、コロナ処理または火炎処理によって処理される、上記項目[11]または[12]に記載の方法。
[14].
前記ポリオレフィンの押出コーティング層が、押出ステップでオゾン処理される、上記項目[11]~[13]のいずれか1項に記載の方法。
[15].
上記項目[1]~[10]のいずれか1項に記載の包装材料を含むか、または上記項目[1]~[10]のいずれか1項に記載の包装材料から形成された包装。