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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】冷媒蒸気圧縮システム
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/10 20060101AFI20230719BHJP
   F25B 6/04 20060101ALI20230719BHJP
   F25B 39/04 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
F25B1/10 R
F25B6/04 C
F25B39/04 E
F25B39/04 K
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020570530
(86)(22)【出願日】2020-05-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-04
(86)【国際出願番号】 US2020032439
(87)【国際公開番号】W WO2020247153
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2020-12-17
(31)【優先権主張番号】62/857,928
(32)【優先日】2019-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591003493
【氏名又は名称】キャリア コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】CARRIER CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】チョウ,ジェンホワ
(72)【発明者】
【氏名】シーネル,トビアス エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】リー,キオンウー
(72)【発明者】
【氏名】スカーセラ,ジェイソン ディー.
(72)【発明者】
【氏名】オーヤー,ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン,ピン スエ
(72)【発明者】
【氏名】ポプラウスキー,ブルース ジェイ.
【審査官】嶋田 研司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0031934(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0128568(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0058781(US,A1)
【文献】特開2010-216685(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/10
F25B 6/04
F25B 39/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒蒸気圧縮システムであって、
直列冷媒流関係で配置された少なくとも第1の圧縮段及び第2の圧縮段を有する圧縮装置と、
第1の二次流体の流れとの熱交換関係で冷媒を通過させるために、前記第2の圧縮段の前記冷媒の流れに関して下流に配置された第1の冷媒熱遮断熱交換器と、
前記第1の圧縮段から前記第2の圧縮段に通過する前記冷媒を、前記第1の二次流体の前記流れとの熱交換関係で通過させるために、前記第1の圧縮段と前記第2の圧縮段との間に配置された第1の冷媒中間冷却器であって、前記第1の二次流体の前記流れに関して前記第1の冷媒熱遮断熱交換器の下流に配置された、前記第1の冷媒中間冷却器と、
前記第2の圧縮段への吸込み口と流体連通する蒸気ラインを含むエコノマイザと、
前記第2の圧縮段及び前記第1の冷媒熱遮断熱交換器の冷媒流に関して中間に配置された第2の冷媒熱遮断熱交換器と、
前記第1の圧縮段と前記第2の圧縮段の中間に、及び第2の二次流体との熱交換関係で前記第1の圧縮段から前記第2の圧縮段に前記冷媒を通過させるために前記蒸気ラインの冷媒流に関して下流に配置された第2の冷媒中間冷却器と
を備える、冷媒蒸気圧縮システム。
【請求項2】
前記第1の冷媒熱遮断熱交換器は、円管プレートフィン熱交換器またはルーバーフィンミニチャネル平管熱交換器を備える、請求項1に記載の冷媒蒸気圧縮システム。
【請求項3】
前記第1の冷媒中間冷却器は、円管プレートフィン熱交換器またはルーバーフィンミニチャネル平管熱交換器を備える、請求項1に記載の冷媒蒸気圧縮システム。
【請求項4】
前記第2の冷媒熱遮断熱交換器は、ブレージングプレート式熱交換器、チューブオンチューブ熱交換器、またはチューブインチューブ熱交換器を備える、請求項1に記載の冷媒蒸気圧縮システム。
【請求項5】
前記第2の冷媒中間冷却器は、チューブオンチューブ熱交換器またはチューブインチューブ熱交換器を備える、請求項1に記載の冷媒蒸気圧縮システム。
【請求項6】
前記第1の二次流体は空気を含み、前記第2の二次流体はブラインを含む、請求項1に記載の冷媒蒸気圧縮システム。
【請求項7】
前記第2の冷媒熱遮断熱交換器を通り、そこから前記第2の冷媒中間冷却器を通る前記第2の二次流体の流れを最初に移動させるために、前記第2の冷媒熱遮断熱交換器及び前記第2の冷媒中間冷却器と動作可能なように関連付けられたポンプをさらに備える、請求項1に記載の冷媒蒸気圧縮システム。
【請求項8】
前記エコノマイザは、前記第1の冷媒熱遮断熱交換器と熱吸収熱交換器との間に配置されたフラッシュタンクエコノマイザを含む、請求項1に記載の冷媒蒸気圧縮システム。
【請求項9】
前記第1の冷媒熱遮断熱交換器を通り、そこから前記第1の冷媒中間冷却器を通る空気の流れを最初に移動させるために、前記第1の冷媒熱遮断熱交換器及び前記第1の冷媒中間冷却器と動作可能なように関連付けられた少なくとも1つのファンをさらに備える、請求項1に記載の冷媒蒸気圧縮システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷媒蒸気圧縮システムに関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年6月6日に出願され、参照により本明細書に援用される米国仮出願第62/857,928号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
本開示は、一般に、冷媒蒸気圧縮システムに関し、より詳細には冷媒蒸気圧縮システムのエネルギー効率及び/または冷却能力を改善することに関する。
【0004】
冷媒蒸気圧縮システムは、一般に、生鮮食品/冷凍品をトラック、鉄道、船によってまたはインターモーダルで輸送するためのトラック、トレーラー、コンテナなどの温度調節された貨物倉に供給される空気を冷凍するための輸送冷凍システムで使用される。
【0005】
従来、これらの冷媒蒸気圧縮システムの大部分は、未臨界の冷媒圧力で動作する。しかしながら、近年、HFC冷媒の代わりに、冷凍システムで使用するための二酸化炭素などの「天然の」冷媒により大きな関心が示されている。二酸化炭素の臨界温度は低いため、冷媒として二酸化炭素を充填している大部分の冷媒蒸気圧縮システムは、遷移臨界(transcritical)圧力領域での動作のために設計されている。
【0006】
典型的な冷媒蒸気圧縮システムは、圧縮装置と、冷媒熱遮断熱交換器(未臨界動作の場合、凝縮器として機能し、超臨界動作の場合、ガス冷却器として機能する)と、冷媒熱吸収熱交換器(蒸発器として機能する)と、冷媒の流れに関して、冷媒熱吸収熱交換器の上流に及び冷媒熱遮断熱交換器の下流に配置された膨張装置とを含む。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
例示的な一実施形態では、冷媒蒸気圧縮システムは、直列冷媒流関係で配置された、少なくとも1つの第1の圧縮段及び1つの第2の圧縮段を有する圧縮装置を含む。第1の冷媒熱遮断熱交換器は、第1の二次流体の流れとの熱交換関係で冷媒を通過させるために、第2の圧縮段の冷媒流に関して下流に配置される。第1の冷媒中間冷却器は、第1の圧縮段から第2の圧縮段に通過する冷媒を、第1の二次流体の流れとの熱交換関係で通過させるために、第1の圧縮段と第2の圧縮段との中間に配置される。第1の冷媒中間冷却器は、第1の二次流体の流れに関して第1の冷媒熱遮断熱交換器の下流に配置される。エコノマイザは、第2の圧縮段への吸込み口と流体連通する蒸気ラインを含む。第2の冷媒熱遮断熱交換器は、第2の圧縮段及び第1の冷媒熱遮断熱交換器の冷媒流に対して中間に配置される。第2の冷媒中間冷却器は、第1の圧縮段と第2の圧縮段の中間に、及び第2の二次流体との熱交換関係で第1の圧縮段から第2の圧縮段に冷媒を通過させるために、蒸気ラインの冷媒流に関して下流に配置される。
【0008】
上記の追加の実施形態では、第1の冷媒熱遮断熱交換器は、円管プレートフィン熱交換器またはルーバーフィンミニチャネル平管熱交換器を含む。
【0009】
上記のいずれかの追加の実施形態では、第1の冷媒中間冷却器は、円管プレートフィン熱交換器またはルーバーフィンミニチャネル平管熱交換器を含む。
【0010】
上記のいずれかの追加の実施形態では、第2の冷媒熱遮断熱交換器は、ブレージングプレート式熱交換器、チューブオンチューブ(tube-on-tube)熱交換器またはチューブインチューブ熱交換器を含む。
【0011】
上記のいずれかの追加の実施形態では、第2の冷媒中間冷却器は、チューブオンチューブ熱交換器またはチューブインチューブ熱交換器を含む。
【0012】
上記のいずれかの追加の実施形態では、第1の二次流体は空気を含み、第2の二次流体はブラインを含む。
【0013】
上記のいずれかの追加の実施形態では、ポンプは、第2の冷媒熱遮断熱交換器を通り、そこから第2の冷媒中間冷却器を通る第2の二次流体の流れを移動させるために、第2の冷媒熱遮断熱交換器と、及び第2の冷媒中間冷却器と動作可能なように関連付けられる。
【0014】
上記のいずれかの追加の実施形態では、エコノマイザ回路は、熱遮断熱交換器と熱吸収熱交換器との間に配置されたフラッシュタンクエコノマイザを含む。
【0015】
上記のいずれかの追加の実施形態では、少なくとも1つのファンは、第1の冷媒熱遮断熱交換器を通り、そこから第1の冷媒中間冷却器を通る空気の流れを最初に移動させるために、第1の冷媒熱遮断熱交換器と、及び第1の冷媒中間冷却器と動作可能なように関連付けられる。
【0016】
別の例示的な実施形態では、冷媒蒸気圧縮システムは、直列冷媒流関係で配置された少なくとも1つの第1の圧縮段及び1つの第2の圧縮段を有する圧縮装置を含む。第1の冷媒熱遮断熱交換器は、第1の二次流体との熱交換関係で冷媒を通過させるために、第2の圧縮段の冷媒流に関して下流に配置される。第2の冷媒熱遮断熱交換器は、第2の二次流体との熱交換関係で冷媒を通過させるために、第1の冷媒熱遮断熱交換器の冷媒流に関して上流に配置される。第1の冷媒中間冷却器は、第1の圧縮段から第2の圧縮段に通過する冷媒を、第1の二次流体との熱交換関係で通過させるために、第1の圧縮段と第2の圧縮段の中間に配置される。第2の冷媒中間冷却器は、第1の圧縮段と第2の圧縮段の中間に、及び第1の圧縮段から第2の圧縮段に通過する冷媒を第2の二次流体との熱交換関係で通過させるために第1の冷媒中間冷却器の冷媒流に関して上流に配置される。エコノマイザは、第2の圧縮段への吸込み口と流体連通する蒸気ラインを含む。
【0017】
上記の追加の実施形態では、第1の冷媒熱遮断熱交換器は、円管プレートフィン熱交換器またはルーバーフィンミニチャネル平管熱交換器を含む。
【0018】
上記のいずれかの追加の実施形態では、第1の冷媒中間冷却器は、円管プレートフィン熱交換器またはルーバーフィンミニチャネル平管熱交換器を含む。
【0019】
上記のいずれかの追加の実施形態では、第2の冷媒熱遮断熱交換器は、ブレージングプレート式熱交換器、チューブオンチューブ熱交換器、またはチューブインチューブ熱交換器を含む。
【0020】
上記のいずれかの追加の実施形態では、第2の冷媒中間冷却器は、ブレージングプレート式熱交換器、チューブオンチューブ熱交換器、またはチューブインチューブ熱交換器を含む。
【0021】
上記のいずれかの追加の実施形態では、エコノマイザ回路は、熱遮断熱交換器と熱吸収熱交換器との間に配置されたフラッシュタンクエコノマイザを含む。
【0022】
上記のいずれかの追加の実施形態では、第1の二次流体は空気を含み、第2の二次流体はブラインを含む。
【0023】
上記のいずれかの追加の実施形態では、少なくとも1つのファンは、第1の冷媒熱遮断熱交換器を通り、そこから第1の冷媒中間冷却器を通る空気の流れを最初に移動させるために、第1の冷媒熱遮断熱交換器と、及び第1の冷媒中間冷却器と動作可能なように関連付けられる。
【0024】
上記のいずれかの追加の実施形態では、ポンプは、第2の冷媒熱遮断熱交換器を通り、そこから第2の冷媒中間冷却器を通る第2の二次流体の流れを最初に移動させるために、第2の冷媒熱遮断熱交換器と、及び第2の冷媒中間冷却器と動作可能なように関連付けられる。
【0025】
別の例示的な実施形態では、冷媒蒸気圧縮システムは、直列冷媒流関係で配置された少なくとも1つの第1の圧縮段及び1つの第2の圧縮段を有する圧縮装置を含む。第1の冷媒熱遮断熱交換器は、第1の二次流体との熱交換関係で冷媒を通過させるために、第2の圧縮段の冷媒流に関して下流に配置される。第2の冷媒熱遮断熱交換器は、第2の二次流体との熱交換関係で冷媒を通過させるために、第1の冷媒熱遮断熱交換器の冷媒流に関して上流に配置される。第1の冷媒中間冷却器は、第1の圧縮段から第2の圧縮段に通過する冷媒を、第1の二次流体との熱交換関係で通過させるために、第1の圧縮段と第2の圧縮段の中間に配置される。エコノマイザは、第2の圧縮段への吸込み口と流体連通する蒸気ラインを含む。
【0026】
別の例示的な実施形態では、冷媒蒸気圧縮システムは、直列冷媒流関係で配置された少なくとも1つの第1の圧縮段及び1つの第2の圧縮段を有する圧縮装置を含む。第1の冷媒熱遮断熱交換器は、第1の二次流体との熱交換関係で冷媒を通過させるために、第2の圧縮段の冷媒流に関して下流に配置される。第2の冷媒熱遮断熱交換器は、第2の二次流体との熱交換関係で冷媒を通過させるために、第1の冷媒熱遮断熱交換器の冷媒流に関して下流に配置される。第1の冷媒中間冷却器は、第1の圧縮段から第2の圧縮段に通過する冷媒を、第1の二次流体との熱交換関係で通過させるために第1の圧縮段と第2の圧縮段との中間に配置される。第2の冷媒中間冷却器は、第1の圧縮段から第2の圧縮段に通過する冷媒を、第2の二次流体との熱交換関係で通過させるために第1の冷媒中間冷却器の冷媒流に関して下流に配置される。エコノマイザは、第2の圧縮段への吸込み口と流体連通する蒸気ラインを含む。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】輸送用冷凍システムを装備した冷凍コンテナの斜視図である。
図2】第1の例の冷媒蒸気圧縮システムを示す。
図3】第2の例の冷媒蒸気圧縮システムを示す。
図4】第3の例の冷媒蒸気圧縮システムを示す。
図5】第4の例の冷媒蒸気圧縮システムを示す。
図6】第5の例の冷媒蒸気圧縮システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、その空気が、貨物倉12と関連付けられた冷凍ユニット14の動作によって冷凍される、温度調節された貨物倉12を有する例の冷凍コンテナ10を示す。冷凍コンテナ10の図示の例では、冷凍ユニット14は、冷凍コンテナ10の壁に、つまり、従来の慣行では通常前壁18に取り付けられる。しかしながら、冷凍ユニット14は、冷凍コンテナ10の屋根、床、または他の壁に取り付けられてよい。さらに、冷凍コンテナ10は、少なくとも1つの点検口16を有し、それを通して例えば新鮮な食品または冷凍された食品などの生鮮品が冷凍コンテナ10の貨物倉12の中に積み込まれ、貨物倉12から取り出されてよい。
【0029】
図2~6は、温度調節された貨物倉12から引き出され、その中に戻される空気を冷凍するために冷凍ユニット14で使用するために適した多様な例の冷媒蒸気圧縮システム20-1~20-5を概略で示す。冷媒蒸気圧縮システム20-1~20-5は、以下にさらに説明する空冷モードまたは水/ブライン冷却モードのどちらかで動作する。冷媒蒸気圧縮システム20-1~20-5は、船で、鉄道で、陸路で、またはインターモーダルで生鮮品を輸送するために一般的に使用されるタイプの冷凍コンテナ10との関連で本明細書に説明されるが、冷媒蒸気圧縮システム20-1~20-5は、生鮮品を輸送するためのトラック、トレーラーなどの貨物倉を冷凍するための冷凍ユニットでも使用され得ることを理解されたい。また、冷媒蒸気圧縮システム20-1~20-5は、住居、オフィスビル、病院、学校、レストラン、または他の施設内の温度と湿度が調節された快適温湿範囲に供給される空気を調和する際の使用にも適している。また、冷媒蒸気圧縮システム20-1~20-5は、商業施設の陳列ケース、小売店、フリーザーキャビネット、冷蔵室、または他の生鮮品及び冷凍品の保管場所に供給される空気を冷凍する際にも用いられるであろう。
【0030】
図2は、例の蒸気圧縮システム20-1を示す。冷媒蒸気圧縮システム20-1は、冷媒ライン32を通して空冷式冷媒中間冷却器24の入口に流動的に結合された出口排出ポートを有する第1の圧縮段22Aを有する圧縮装置を含む。第1の圧縮段22Aは、より低い圧力から中間圧力に冷媒蒸気を圧縮する。空冷式冷媒中間冷却器24の出口は、冷媒ライン34を通して圧縮装置の第2の圧縮段22Bの吸込みポートに流動的に結合される。また、冷媒ライン34も空冷式冷媒中間冷却器24の下流に、及び第2の圧縮段22Bの上流に流動的に位置する第2の中間冷却器70と流体連通している。第2の圧縮段22Bは、中間圧力からより高い圧力に流体を圧縮する。第1の及び第2の圧縮段22A、22Bは、スクロール圧縮機、スクリュー圧縮機、往復圧縮機、回転圧縮機、または任意の他のタイプの圧縮機、または任意のそのような圧縮機の組み合わせであってよい。
【0031】
第2の圧縮段22Bの排出ポートは、冷媒ライン36を通して、本明細書ではガス冷却器とも呼ばれる冷媒熱遮断熱交換器26の冷媒入口に流動的に結合される。また、冷媒ライン36は、第2の圧縮段22Bの下流に、及び空冷式冷媒熱遮断熱交換器26の上流に流動的に位置する第2の冷媒熱遮断熱交換器60と流体連通している。空冷モード中、ファン44は、冷媒熱遮断熱交換器26及び空冷式冷媒中間冷却器24を介して二次流体(空気)を通過させるために、冷媒熱遮断熱交換器26及び空冷式冷媒中間冷却器24に隣接して配置される。空冷式冷媒中間冷却器24は、例えば、円管プレートフィン熱交換器またはルーバーフィンミニチャネル平管熱交換器を含んでよい。
【0032】
冷媒熱遮断熱交換器26の出口は、冷媒ライン38を通して、本明細書では蒸発器とも呼ばれる冷媒熱吸収熱交換器28に流動的に結合される。また、冷媒ライン38は、蒸発器28と動作可能なように関連付けられた、電子膨張弁または温度自動膨張弁などの一次膨張装置30も含む。
【0033】
冷媒熱遮断熱交換器26は、フィン付きチューブ熱交換器を含んでよく、それを通して、第2の圧縮段22Bから放出された高温高圧の冷媒(すなわち、最終的な圧縮チャージ)が、ファン(複数可)44によって冷媒熱遮断熱交換器26を通して引き出される最も一般的には周囲の空気を、二次流体との熱交換関係で通過させる。冷媒熱遮断熱交換器26は、例えば、円管プレートフィン熱交換器またはルーバーフィンミニチャネル平管熱交換器を含んでよい。
【0034】
また、蒸発器28は、フィン及び円管熱交換器コイルまたはフィン及び扁平ミニチャネル管熱交換器などのフィン付きチューブコイル熱交換器を含んでもよい。蒸発器28は、冷媒蒸気圧縮システムが遷移臨界サイクルで動作しているのか、それとも未臨界サイクルで動作しているのかに関わらず、冷媒蒸発器として機能する。蒸発器28に入る前に、冷媒ライン38を通過する冷媒は、例えば電子膨張弁または温度自動膨張弁などの一次膨張装置30を横切って、より低圧及びより低温に膨張して蒸発器28に入る。二相冷媒が蒸発器28を横切ると、冷媒は加熱流体との熱交換関係で通過し、それによって冷媒は蒸発する。蒸発器28を出た低圧の蒸気冷媒は、冷媒ライン42を通って第1の圧縮段22Aの吸込み口に達する。加熱流体は、冷却され、一般には除湿もされ、そこから温度と湿度が調節された環境に戻されるために、輸送冷凍ユニット関連する生鮮/冷凍貨物保管ゾーン、または商業施設の食品陳列もしくは保管場所、または空調システムと関連する建物快適温湿範囲などの温度と湿度が調節された環境から関連するファン(複数可)46によって引き出された空気であってよい。
【0035】
冷媒蒸気圧縮システム20-1は、一次冷媒回路と関連するエコノマイザ回路50をさらに含む。エコノマイザ回路50は、フラッシュタンクエコノマイザ52と、エコノマイザ回路膨張装置54と、冷媒ライン34を通る圧縮プロセスの中間圧力段との冷媒流連通する蒸気注入ライン40とを含む。エコノマイザ回路膨張装置54は、例えば電子膨張弁、温度自動膨張弁、または調整可能なオリフィス膨張装置であってよい。
【0036】
図2に示すように、フラッシュタンクエコノマイザ52は、冷媒熱遮断熱交換器26と一次膨張装置30との間の冷媒ライン38に配置される。エコノマイザ回路膨張装置54は、フラッシュタンクエコノマイザ52の上流の冷媒ライン38に配置される。フラッシュタンクエコノマイザ52は、エコノマイザ回路膨張装置54を横切った膨張した冷媒がその中に入り、液体冷媒部分及び蒸気冷媒部分に分離する、チャンバ56を画定する。
【0037】
液体冷媒は、チャンバ56の下部に集まり、そこから、一次膨張装置30によって冷媒ライン38の下流区間を通って計量配分されて、蒸発器28に流れる。蒸気冷媒は、液体冷媒の上方のチャンバ62の上部に集まり、そこから、冷媒蒸気の注入のための蒸気注入ライン40を通過して圧縮プロセスの中間段階に入る。図示する実施形態では、蒸気注入ライン40は、空冷式中間冷却器24の下流で、及び第2の圧縮段22Bの入口の上流で冷媒ライン34と連通する。逆止弁(図示せず)は、蒸気注入ライン40を通る逆流を防ぐために、冷媒ライン34とのその接続の上流で蒸気注入ライン40に配置されてよい。逆止弁が完全に閉じられると、システムは非節約モードで機能することを理解されたい。
【0038】
ブライン冷却モードで動作中、冷媒蒸気圧縮システム20-1は、それぞれ冷媒熱遮断熱交換器26及び空冷式冷媒中間冷却器24の代わりに、第2の冷媒熱遮断熱交換器60及び第2の中間冷却器70を利用する。ブライン冷却モードでの動作中、冷媒熱遮断熱交換器26及び空冷式冷媒中間冷却器24でほとんどまたはまったく伝熱が発生しないようにファン44は動作していない。例えば、グリコールまたはグリコール/水混合物を有するブラインなどの他の液体が、ブライン冷却モードでの水の代わりに二次流体として使用できるであろうことを理解されたい。
【0039】
図示の例では、第2の冷媒熱遮断熱交換器60は、伝熱関係で配置された二次流体パス62及び冷媒パス64を有する冷媒-液体熱交換器を含む。冷媒パス64は、冷媒ライン36に配置され、一次冷媒回路の一部を形成する。二次流体パス62は、冷却液ライン82に配置され、液体冷却回路の一部を形成する。第2の冷媒熱遮断熱交換器60の二次流体パス62及び冷媒パス64は、所望されるように、平行流熱交換関係でまたは向流熱交換関係で配置されてよい。第2の冷媒熱遮断熱交換器60は、ブレージングプレート式熱交換器、チューブインチューブ熱交換器、またはチューブオンチューブ熱交換器であってよい。
【0040】
第2の中間冷却器70は、伝熱関係で配置された二次流体パス72及び冷媒パス74を有する冷媒-液体熱交換器を含む。冷媒パス74は、第2の圧縮段22Bと冷媒流連通する空冷式冷媒中間冷却器24を相互に連結させ、一次冷媒回路の一部を形成する冷媒ライン34に配置される。また、第2の中間冷却器70は、蒸気注入ライン40からの冷媒流の下流に位置する。
【0041】
動作中、冷媒は、二次流体パス72を通過する、例えば水などの二次流体との熱交換関係で第2の中間冷却器70の冷媒パス74を通過し、それによって冷媒は、第1の圧縮段22A及び第2の圧縮段22Bの段間で冷却される。第2の中間冷却器70の二次流体パス72及び冷媒パス74は、向流熱交換関係で配置される。第2の中間冷却器70は、チューブインチューブ熱交換器またはチューブオンチューブ熱交換器を含む。この構成の1つの特徴は、冷凍ユニット14の実装の改善である。
【0042】
図2に示すように、第2の中間冷却器70は、二次冷却液ライン82に関して、第2の冷媒熱遮断熱交換器60の下流に配置される。冷却水または他の二次冷却液は、関連するポンプ80によって二次冷却液ライン82を通ってポンプ輸送されて、最初に、第2の冷媒熱遮断熱交換器60の冷媒パス64を通って流れる冷媒と熱交換関係で二次流体パス62を通り、次いで第2の中間冷却器70の冷媒パス74を通って流れる冷媒との熱交換関係で二次流体パス72を通って流れる。この構成では、第2の熱遮断熱交換器60及び第2の冷媒中間冷却器70の中の冷媒は、二回路ブライン流体流の代わりに、単一回路ブライン流体流で冷却できる。
【0043】
図3は、以下に説明する、または図に示す場合を除き、冷媒蒸気圧縮システム20-1に類似する冷媒蒸気圧縮システム20-2を示す。システム20-2では、第2の中間冷却器70は、空冷式冷媒中間冷却器24の上流に位置し、冷媒が空冷式冷媒中間冷却器24に到達する前に、熱が冷媒パス74から二次流体パス72に伝わるように冷媒ライン32と関連付けられる。
【0044】
図4は、以下に説明する、または図に示す場合を除き、冷媒蒸気圧縮システム20-1に類似する冷媒蒸気圧縮システム20-3を示す。システム20-3では、第2の中間冷却器70は、空冷式冷媒中間冷却器24の上流に位置し、冷媒が空冷式冷媒中間冷却器24に到達する前に、熱が冷媒パス74の冷媒から二次流体パス72に伝わるように冷媒ライン32と関連付けられる。さらに、第2の中間冷却器70は、この構成ではチューブオンチューブ熱交換器またはチューブインチューブ熱交換器ではない。
【0045】
図5は、以下に説明する、または図に示す場合を除き、冷媒蒸気圧縮システム20-3に類似する冷媒蒸気圧縮システム20-4を示す。特に、システム20-4は、第2の中間冷却器70を含まない。
【0046】
図6は、以下に説明する、または図に示す場合を除き、冷媒蒸気圧縮システム20-3に類似する冷媒蒸気圧縮システム20-5を示す。システム20-5では、第2の冷媒熱遮断熱交換器60は、冷媒ライン36の冷媒熱遮断熱交換器26の下流に流動的に位置し、第2の中間冷却器70は、冷媒ライン34の空冷式冷媒中間冷却器24の下流に位置する。
【0047】
異なる非限定的な実施形態が、特定の構成要素を有するとして示されているが、本開示の実施形態はそれらの特定の組み合わせに限定されない。非限定的な実施形態のいずれかからの構成要素または特徴のいくつかを、他の非限定的な実施形態のいずれかからの特徴または構成要素と組み合わせて使用することが可能である。
【0048】
同様の参照番号は、いくつかの図面全体で対応するまたは類似の要素を識別することを理解されたい。これらの例示的な実施形態では、特定の構成要素の構成が開示され、示されているが、他の構成も本開示の教示から利益を得ることができることも理解されたい。
【0049】
上述の説明は、いかなる限定的な意味でもなく、例示として解釈されるものとする。当業者は、特定の変更形態が本開示の範囲内に入るであろうことを理解するであろう。これらの理由から、以下の特許請求の範囲は、本開示の真の範囲及び内容を決定するために検討されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6