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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】光学フィルタ
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/28 20060101AFI20230719BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20230719BHJP
   H01L 27/144 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
G02B5/28
H01L27/146 D
H01L27/144 K
【請求項の数】 18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021168899
(22)【出願日】2021-10-14
(62)【分割の表示】P 2018129246の分割
【原出願日】2018-07-06
(65)【公開番号】P2022009149
(43)【公開日】2022-01-14
【審査請求日】2021-11-11
(31)【優先権主張番号】15/657,515
(32)【優先日】2017-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502151820
【氏名又は名称】ヴァイアヴィ・ソリューションズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Viavi Solutions Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100179903
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 敏夫
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ スウィツァー ザ サード
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルク ジェイ オケンファス
【審査官】渡邊 吉喜
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04740442(US,A)
【文献】特開2017-126742(JP,A)
【文献】特表2009-503614(JP,A)
【文献】特開平01-246362(JP,A)
【文献】特開平07-120779(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/28
H01L 27/146
H01L 27/144
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学フィルタであって、
1つ又はそれ以上の第1の層と、
1つ又はそれ以上の第2の層と、
を備え、
前記1つ又はそれ以上の第1の層および前記1つ又はそれ以上の第2の層は、45゜の入射角で約100ナノメートル(nmより少ない角度シフト、又は30゜の入射角で約30nmより少ない角度シフトを提供するように構成されており、
前記1つ又はそれ以上の第1の層は、アニール処理した水素化ゲルマニウムの1つ又はそれ以上の層を含む、光学フィルタ。
【請求項2】
前記1つ又はそれ以上の第1の層は、1つ又はそれ以上の水素化ゲルマニウムの層をさらに含む、請求項1に記載の光学フィルタ。
【請求項3】
前記1つ又はそれ以上の第2の層は、1つ又はそれ以上の二酸化ケイ素の層を含む、請求項1に記載の光学フィルタ。
【請求項4】
前記1つ又はそれ以上の第1の層は、約1550nmの波長に中心がある通過帯域に対して、約40%より高い透過率をもたらす、請求項1に記載の光学フィルタ。
【請求項5】
前記1つ又はそれ以上の第1の層は、約1550nmの波長に中心がある通過帯域に対して、約80%より高い透過率をもたらすようにさらに構成されている、請求項1に記載の光学フィルタ。
【請求項6】
前記1つ又はそれ以上の第1の層は、約1550nmの波長に中心がある通過帯域に対して、約85%より高い透過率をもたらすようにさらに構成されている、請求項1に記載の光学フィルタ。
【請求項7】
光学フィルタであって、
第1屈折率を有する1つ又はそれ以上の第1の層であって、約1550nmの中心波長を有するスペクトル範囲にて0.001未満の吸光係数を有する水素化ゲルマニウム膜を含む、1つ又はそれ以上の第1の層と、
第2屈折率を有する1つ又はそれ以上の第2の層と、
を備える、光学フィルタ。
【請求項8】
前記第2屈折率は前記第1屈折率よりも小さい、請求項に記載の光学フィルタ。
【請求項9】
前記吸光係数は0.0006である、請求項に記載の光学フィルタ。
【請求項10】
前記水素化ゲルマニウム膜はアニール処理した水素化ゲルマニウム膜である、請求項に記載の光学フィルタ。
【請求項11】
前記水素化ゲルマニウム膜は約4.3の屈折率を有する、請求項に記載の光学フィルタ。
【請求項12】
前記水素化ゲルマニウム膜は約2.5マイクロメートルの単層膜である、請求項に記載の光学フィルタ。
【請求項13】
前記1つ又はそれ以上の第1の層は、非水素化ゲルマニウム膜をさらに含む、請求項に記載の光学フィルタ。
【請求項14】
前記非水素化ゲルマニウム膜は、約0.07の吸光係数および約1550nmの中心波長での4.6の屈折率を有する、請求項13に記載の光学フィルタ。
【請求項15】
前記1つ又はそれ以上の第1の層は、1つ又は複数の別の水素化ゲルマニウム膜をさらに含む、請求項に記載の光学フィルタ。
【請求項16】
記水素化ゲルマニウム膜は、0.07よりも小さい吸光係数および約1550nmの中心波長での4.6よりも小さい屈折率を有する、請求項に記載の光学フィルタ。
【請求項17】
前記1つ又はそれ以上の第2の層は、
二酸化ケイ素(SiO)材料、
酸化アルミニウム(Al)材料、
二酸化チタン(TiO)材料、
五酸化ニオブ(Nb)材料、
五酸化タンタル(Ta)材料、又は
フッ化マグネシウム(MgF)材料
のうちの1つまたはそれ以上を含む、請求項に記載の光学フィルタ。
【請求項18】
光学フィルタであって、
第1の層のセットであって
つ又はそれ以上の水素化ゲルマニウム膜と、
アニール処理した水素化ゲルマニウム膜と、
を含む、第1の層のセットと、
第2の層のセットと、
を備え
前記アニール処理した水素化ゲルマニウム膜は、約1550nmの中心波長を有するスペクトル範囲にて0.001未満の吸光係数を有する、光学フィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
光センサデバイスは情報を捕捉するのに利用することができる。例えば、光センサデバ
イスは、1組の電磁的周波数のセットに関連する情報を捕捉することができる。光センサ
デバイスは、情報を捕捉する1組のセンサ素子(例えば、光センサ、分光(スペクトル)
センサ、及び/又は画像センサ)のセットを有することができる。例えば、センサ素子の
アレイは、複数の多重周波数に関連する情報を捕捉するのに利用することができる。1つ
の例において、センサ素子アレイは、特定スペクトル範囲、例えば、約1100ナノメー
トル(nm)~約2000(nm)のスペクトル(分光)範囲、約1550nmの中心波
長を有する他のスペクトル範囲等に関連する情報を捕捉するのに利用することができる。
センサ素子アレイにおけるセンサ素子はフィルタに関連付けることができる。フィルタは
、センサ素子を通過する光の第1スペクトル範囲に関連する通過帯域を有することができ
る。フィルタは、光の第2スペクトル範囲がセンサ素子を通過するのをブロックすること
に関連付けることができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
あり得る幾つかの実施形態によれば、帯域通過フィルタは、1組の層のセットを備える
ことができる。前記層のセットは、層の第1サブセットを含むことができる。前記層の第
1サブセットは、第1屈折率を有する水素化ゲルマニウム(Ge:H)を含むことができ
る。前記層のセットは、層の第2サブセットを含むことができる。
層の第2サブセットは、第2屈折率を有する材料を含むことができる。前記第2屈折率は
前記第1屈折率よりも小さいものとし得る。
【0004】
あり得る幾つかの実施形態によれば、光学フィルタは基板を備えることができる。該光
学フィルタは、入射光をフィルタ処理するよう前記基板上に交互配置する高屈折率層及び
低屈折率層のセットを備えることができる。該光学フィルタは、約1550ナノメートル
(nm)の中心波長を有するスペクトル範囲内における入射光の第1部分を通過させ、ま
た該スペクトル範囲内ではない入射光の第2部分を反射するよう構成し得る。前記高屈折
率層は水素化ゲルマニウム(Ge:H)とすることができる。前記低屈折率層は二酸化ケ
イ素(SiO)とすることができる。
【0005】
あり得る幾つかの実施形態によれば、光学系は、入力光信号をフィルタ処理し、フィル
タ処理済み入力光信号を供給するよう構成された光学フィルタを備えることができる。前
記入力光信号は第1光源からの光及び第2光源からの光を含むことができる。前記光学フ
ィルタは誘電体薄膜層のセットを含むことができる。前記誘電体薄膜層のセットは、第1
屈折率を有する水素化ゲルマニウム(Ge:H)を含む層の第1サブセットを有すること
ができる。前記誘電体薄膜層のセットは、前記第1屈折率よりも小さい第2屈折率を有す
る材料による層の第2サブセットを有することができる。前記フィルタ処理済み入力光信
号は、前記入力光信号に比べて前記第2光源からの減少した強度の光を含むことができる
。該光学系は、前記フィルタ処理済み入力光信号を受光し、かつ出力電気信号を供給する
よう構成されている光センサを備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1A】本明細書に記載の本発明実施形態の概略図である。
図1B】本明細書に記載の本発明実施形態の概略図である。
図1C】本明細書に記載の本発明実施形態の概略図である。
図2】本明細書に記載の水素化ゲルマニウムをベースとする光学フィルタ
図3】本明細書に記載の水素化ゲルマニウムをベースとする光学フィルタを製造するシステムの概略図である。
図4A】本明細書に記載の水素化ゲルマニウムをベースとする光学フィルタに関する特性を示すグラフである。
図4B】本明細書に記載の水素化ゲルマニウムをベースとする光学フィルタに関する特性を示すグラフである。
図4C】本明細書に記載の水素化ゲルマニウムをベースとする光学フィルタに関する特性を示すグラフである。
図4D】本明細書に記載の水素化ゲルマニウムをベースとする光学フィルタに関する特性を示すグラフである。
図5A】本明細書に記載の水素化ゲルマニウムをベースとする光学フィルタに関する特性を示すグラフである。
図5B】本明細書に記載の水素化ゲルマニウムをベースとする光学フィルタに関する特性を示すグラフである。
図5C】本明細書に記載の水素化ゲルマニウムをベースとする光学フィルタに関する特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
例示的実施形態の詳細を以下に添付図面につき説明する。異なる図面における同一参照
符号は、同一又は類似の素子を特定することができる。
【0008】
光センサデバイスは、光トランスミッタ、電球、外光源等のような光源から発生する光
を受光するセンサ素子のセンサ素子アレイを有することができる。光センサデバイスは、
1つ又はそれ以上のセンサ技術を利用することができ、例えば、相補型金属酸化膜半導体
(CMOS)技術、電荷結合素子(CCD)技術等を利用することができる。光センサデ
バイスのセンサ素子(例えば、光センサ)は、1組の電磁的周波数のセットに関する情報
(例えば、スペクトルデータ)を捕捉することができる。センサ素子は、ヒ化インジウム
ガリウム(InGaAs)をベースとするセンサ素子、シリコンゲルマニウム(SiGe
)をベースとするセンサ素子、等々とすることができる。
【0009】
センサ素子は、センサ素子への光をフィルタ処理するフィルタに関連付けして、センサ
素子が電磁的周波数の特定スペクトル範囲に関する情報を捕捉できるようにする。例えば
、センサ素子は、約1100ナノメートル(nm)~約2000(nm)のスペクトル範
囲、約1500ナノメートル(nm)~約1600(nm)のスペクトル範囲、約155
0nmの中心波長があるスペクトル範囲等における通過帯域を有するフィルタに整列させ
、センサ素子に指向する光の一部をフィルタ処理させる。フィルタは、光の一部をフィル
タ処理する誘電体層のセットを有することができる。例えば、フィルタは、高屈折率層及
び低屈折率層を交互配置する誘電体フィルタのスタックを有することができ、例えば、高
屈折率材料として水素化シリコン(Si:H若しくはSiH)又はゲルマニウム(Ge)
及び低屈折率材料として二酸化ケイ素(SiO)を交互配置する。しかし、約1550
nmの中心波長を有するスペクトル範囲に関連するフィルタのために高屈折率材料として
水素化シリコンを使用することは、過剰な角度シフト(例えば、閾値よりも大きい角度シ
フト)を生ずる結果となるおそれがある。さらに、高屈折率材料としてゲルマニウムを使
用することは、約1550nmに中心がある通過帯域用の閾値透過率よりも低い、例えば
、約1550nmの波長で約20%より低い透過率となる結果を生じ得る。
【0010】
本明細書に記載の幾つかの実施形態は、高屈折率材料として水素化ゲルマニウム(Ge
:H若しくはGeH)を使用し、これにより閾値よりも小さい角度シフトを生ずる結果と
なる光学フィルタを提供する。例えば、光学フィルタは、水素化ゲルマニウム若しくはア
ニール処理(焼鈍)した水素化ゲルマニウムによる1つ又はそれ以上の層と、及び二酸化
ケイ素による1つ又はそれ以上の層とを備え、約1550nmの波長に中心がある通過帯
域に対して、45゜の入射角で約100nmより少ない角度シフト、30゜の入射角で約
30nmより少ない角度シフト、15゜の入射角で約10nmより少ない角度シフト、等
々をもたらすことができる。さらに、水素化ゲルマニウム及び/又はアニール処理した水
素化ゲルマニウムを使用する光学フィルタは、約1550nmの波長に中心がある通過帯
域に対して、閾値レベルよりも高い透過率、例えば、約40%より高い、約80%より高
い、約85%より高い、等の高い透過率をもたらすことができる。このようにして、本明
細書に記載の幾つかの実施形態において、閾値より少ない角度シフトかつ閾値レベルより
大きい透過率で光をフィルタ処理する。
【0011】
図1A~1Cは、本明細書に記載の例示的実施形態100/100′/100″の概略
図である。図1Aに示すように、例示的実施形態100は、センサシステム110を備え
る。センサシステム110は、光学系の一部分であり、またセンサ決定に対応する電気出
力を供給することができる。センサシステム110は、光学フィルタ130を含む光学フ
ィルタ構体120と、及び光センサ140とを有する。例えば、光学フィルタ構体120
は、通過帯域フィルタ処理する機能を実施する光学フィルタ130を含むことができる。
他の実施例において、光学フィルタ130は、光センサ140におけるセンサ素子のアレ
イに整列することができる。
【0012】
本明細書に記載の幾つかの実施形態は、センサシステムにおける光学フィルタに関して
説明するが、本明細書に記載の実施形態は他タイプのシステムに使用することができ、セ
ンサシステム等の外部で使用することができる。
【0013】
図1Aにさらに示すように、参照符号150は、光学フィルタ構体120に向かって指
向する入力光信号である。入力光信号は、限定しないが、1500nm~1600nmの
スペクトル範囲、1100nm~2000nmのスペクトル範囲、等々のような、特定ス
ペクトル範囲(約1550nmに中心があるスペクトル範囲)に関連する光を含むことが
できる。例えば、光トランスミッタ(光送信機)は、光を光センサ140に向かうよう指
向させ、光センサ140が光の測定を実施できるようにすることができる。他の実施例に
おいて、光トランスミッタは、検査機能性、感知機能性、通信機能性、等々のような他の
機能向けに光の他のスペクトル範囲を指向させることができる。
【0014】
さらに図1Aに参照符号160で示すように、光信号の第1スペクトル範囲を有する第
1部分は、光学フィルタ130及び光学フィルタ構体120によって通過することができ
ない。例えば、光学フィルタ130の高屈折率材料層及び低屈折率材料を含むことができ
る誘電体薄膜層における誘電体フィルタのスタックによれば、光の第1部分を第1方向に
反射させる、吸収させる等々を行わせることができる。このケースにおいて、光の第1部
分は、光学フィルタ130に入射する光学フィルタ130の通過帯域には含まれず、約1
550nmに中心がある特定スペクトル範囲内ではない光の95%より多い光の閾値部分
であり得る。参照符号170で示すように、光信号の第2部分は光学フィルタ130及び
光学フィルタ構体120によって通過する。例えば、光学フィルタ130は、第2スペク
トル範囲を有する光の第2部分を第2方向に光センサ140に向けて通過することができ
る。この場合、光の第2部分は、光学フィルタ130に入射する光学フィルタ130の通
過帯域内であり、例えば、約1550nmに中心がある特定スペクトル範囲内における入
射光の50%より多い光の閾値部分であり得る。
【0015】
さらに図1Aに示すように、光センサ140まで通過している光信号の第2部分に基づ
いて、光センサ140は、例えば、画像化、外光感知、物体存在検出、測定実施、通信円
滑化、等々に使用するための電気出力信号をセンサシステム110に供給することができ
る。幾つかの実施形態において、光学フィルタ130及び光センサ140の他の構成を利
用することができる。例えば、入力光信号と共線的に光信号の第2部分を通過させるので
はなく、光学フィルタ130は光信号の第2部分を異なる位置に配置した光センサ140
に向けて他の方向に指向させることができる。
【0016】
図1Bに示すように、他の例示的実施形態100′は、光センサ140を形成し、また
光学フィルタ構体120の基板に一体化したセンサ素子アレイにおける1組のセンサ素子
のセットを備える。この場合、光学フィルタ130は基板上に直接配置される。入力光信
号150-1及び150-2は、複数の異なる角度で受光され、また入力光信号150-1
及び150-2の第1部分160-1及び160-2は複数の異なる角度に反射する。入力
光信号150-1及び150-2の第2部分は、光学フィルタ130から光センサ140を
形成するセンサ素子アレイまで通過し、これにより出力電気信号180を供給する。
【0017】
図1Cに示すように、他の例示的実施形態100″は、光センサ140を形成し、また
光学フィルタ構体120から(例えば、光学系の自由空間光通信タイプにおける自由空間
によって)離されているセンサ素子アレイにおける1組のセンサ素子のセットを備える。
この場合、光学フィルタ130は光学フィルタ構体120上に配置される。入力光信号1
50-1及び150-2は、光学フィルタ130で複数の異なる角度で受光される。入力光
信号150-1及び150-2の第1部分160-1及び160-2は複数の異なる角度に反
射し、また入力光信号150-1及び150-2の第2部分170-1及び170-2は光学
フィルタ130及び光学フィルタ構体120によって通過する。この第2部分170-1
及び170-2を受光することに基づいて、センサ素子アレイは出力電気信号180を供
給する。
【0018】
上述したように、図1A~1Cは単に例として提示するものである。他の実施例も可能
であり、また図1A~1Cにつき説明されたのと異なるものであり得る。
【0019】
図2は例示的な光学フィルタ200の概略図である。図2は、高屈折率材料として水素
化ゲルマニウムを使用する光学フィルタの例示的積層体を示す。さらに図2に示すように
、光学フィルタ200は、光学フィルタのコーティング部分210と、及び基板220と
を備える。
【0020】
光学フィルタのコーティング部分210は1組の光学フィルタ層のセットを有する。例
えば、光学フィルタのコーティング部分210は、層230-1~230-N(N≧1)の
第1セット(例えば、高屈折率層(H層))と、層240-1~240-(N+1)の第2
セット(例えば、低屈折率層(L層))とを有する。幾つかの実施形態において、層23
0及び240は、特別な順序、例えば(H-L)(m≧1)順序、(L-H)順序、L
-(H-L)等々の順序で配列することができる。例えば、図示のように、層230及び
240は、H層を光学フィルタ200の表面上に配置し、またH層が基板220の表面に
隣接する状態で(H-L)-Hの順序で位置決めする。幾つかの実施形態において、1つ
又はそれ以上の他の層を光学フィルタ200に設けることができ、例えば、1つ又はそれ
以上の保護層、1つ又はそれ以上のフィルタ処理機能(例えば、ブロッカー、反射防止コ
ーティング等)を提供する1つ又はそれ以上の層を設けることができる。
【0021】
層230は、1組の水素化ゲルマニウム層のセットを含むことができる。幾つかの実施
形態において、H層用に他の材料を使用することができ、例えば、特定スペクトル範囲(
例えば、約1100nm~2000nmのスペクトル範囲、約1400nm~1600n
mのスペクトル範囲、約1550nmの波長、等々)にわたり、L層の屈折率よりも大き
い屈折率、2.0より大きい屈折率、3.0より大きい屈折率、4.0より大きい屈折率、
4.5より大きい屈折率、4.6より大きい等の屈折率、を有する他の材料を利用すること
ができる。他の実施例において、層230は、約1550nmの波長で約4.2の屈折率
を有するものを選択することができる。
【0022】
幾つかの実施形態において、H層230用に特別な水素化ゲルマニウムをベースとする
材料、例えば、水素化ゲルマニウム、アニール処理した水素化ゲルマニウム等々を選択す
ることができる。幾つかの実施形態において、層230及び/又は240は特定吸光係数
に関連することができ、例えば、約1550nmで、約0.1未満、約0.05未満、約0
.01未満、約0.005未満の吸光係数、特定スペクトル範囲にわたり(例えば、約80
0nm~約2300nmのスペクトル範囲、約1100nm~約2000nmのスペクト
ル範囲、又は約1550nmの波長、等々)、約0.001未満の吸光係数、約0.000
8未満の吸光係数、等々の吸光係数に関連することができる。
【0023】
層240は、1組の二酸化ケイ素(SiO)層のセットを含むことができる。幾つか
の実施形態において、L層用に他の材料を利用することができる。幾つかの実施形態にお
いて、L層240のために特定材料を選択することができる。例えば、層240は、二酸
化ケイ素(SiO)層のセット、酸化アルミニウム(Al)層のセット、二酸化
チタン(TiO)層のセット、五酸化ニオブ(Nb)層のセット、五酸化タンタ
ル(Ta)層のセット、フッ化マグネシウム(MgF)層のセット、等々のセッ
トを含むことができる。この場合、層240は、例えば、特定スペクトル範囲(例えば、
約1100nm~約2000nmのスペクトル範囲、約1400nm~約1600nmの
スペクトル範囲、約1550nmの波長、等々)にわたり、層230の屈折率よりも小さ
い屈折率を有するよう選択することができる。例えば、層240は、特定スペクトル範囲
(例えば、約1100nm~約2000nmのスペクトル範囲、約1400nm~約16
00nmのスペクトル範囲、約800nmのスペクトル範囲、約1550nmの波長、等
々)にわたり、3未満の屈折率に関連するよう選択することができる。
【0024】
他の実施例において、層240は、特定スペクトル範囲(例えば、約1100nm~約
2000nmのスペクトル範囲、約1400nm~約1600nmのスペクトル範囲、約
1550nmの波長、等々)にわたり、2.5よりも小さい屈折率に関連するよう選択す
ることができる。他の実施例において、層240は、特定スペクトル範囲(例えば、約1
100nm~約2000nmのスペクトル範囲、約1400nm~約1600nmのスペ
クトル範囲、約1550nmの波長、等々)にわたり、2よりも小さい屈折率に関連する
よう選択することができる。他の実施例において、層240は、特定スペクトル範囲(例
えば、約1100nm~約2000nmのスペクトル範囲、約1400nm~約1600
nmのスペクトル範囲、約1550nmの波長、等々)にわたり、1.5よりも小さい屈
折率に関連するよう選択することができる。幾つかの実施形態において、層240のため
の特定材料は、帯域外遮蔽スペクトル範囲の所望幅、入射角変化に関連する所望中心波長
シフト、等々に基づいて選択することができる。
【0025】
幾つかの実施形態において、光学フィルタのコーティング部分210は、層の特定数、
mに関連させることができる。例えば、水素化ゲルマニウムに基づく光学フィルタは、H
層及びL層による約20の層を含むことができる。他の実施例において、光学フィルタ2
00は、他の層数、例えば2層~1000層の範囲、4層~50層の範囲、等々に関連す
ることができる。幾つかの実施形態において、光学フィルタのコーティング部分210の
各層は、特定厚さに関連することができる。例えば、層230及び240それぞれは、約
5nm~2000nmの間における厚さに関連することができ、この結果、光学フィルタ
のコーティング部分210は、約0.2μm~100μmの間における厚さ、約0.5μm
~20μmの間における厚さ、等々の厚さに関連する。
【0026】
幾つかの実施形態において、層230及び240は複数の厚さに関連することができ、
例えば、層230に対する第1厚さ、層240に対する第2厚さ、層230の第1サブセ
ットに対する第1厚さ、層230の第2サブセットに対する第2厚さ、層240の第1サ
ブセットに対する第1厚さ、層240の第2サブセットに対する第2厚さ、等々に関連す
ることができる。この場合、層の厚さ及び/又は層の個数は、光学フィルタ200を、約
1100nm~約2000nmのスペクトル範囲、約1550nmの中心波長、等々に対
して利用できるよう選択することができる。
【0027】
幾つかの実施形態において、光学フィルタのコーティング部分210は、スパッタリン
グ手順を使用して作製することができる。例えば、光学フィルタのコーティング部分21
0は、パルス状マグネトロンに基づくスパッタリング手順を使用し、ガラス基板上に層2
30及び240を交互にスパッタリングして作製することができる。幾つかの実施形態に
おいて、光学フィルタのコーティング部分210は、入射角変化での比較的低い中心波長
シフトに関連することができる。例えば、光学フィルタのコーティング部分210は、0
゜から15゜に至る入射角変化で大きさとして約20nm未満の中心波長シフト、約15
nm未満の中心波長シフト、約10nm未満、等々の中心波長シフト;0゜から30゜に
至る入射角変化で約100nm未満の中心波長シフト、約50nm未満の中心波長シフト
、約30nm未満、等々の中心波長シフト;0゜から45゜に至る入射角変化で約200
nm未満の中心波長シフト、約150nm未満の中心波長シフト、約125nm未満、約
100nm未満、等々の中心波長シフト;等々を引き起こすことができる。
【0028】
幾つかの実施形態において、光学フィルタのコーティング部分210は、基板220の
ような基板に付着させる。例えば、光学フィルタのコーティング部分210は、ガラス板
に付着させる。幾つかの実施形態において、光学フィルタのコーティング部分210は、
空気媒体又はガラス媒体のような入射媒体に関連することができる。幾つかの実施形態に
おいて、光学フィルタ200は1組のプリズムのセット間に配置することができる。
【0029】
幾つかの実施形態において、アニーリング手順を利用して光学フィルタのコーティング
部分210を作製することができる。例えば、基板上に層230及び240をスパッタ堆
積後に光学フィルタ200をアニール処理して光学フィルタ200の1つ又はそれ以上の
光学的特性を向上させることができ、例えば、アニーリング手順を実施しない他の光学フ
ィルタに対して光学フィルタ200の吸収係数を減少することができる。
【0030】
上述したように、図2は単に例として提示する。他の例も可能であり、また図2につき
説明したのと異なるものとすることができる。
【0031】
図3は、本明細書に記載の水素化ゲルマニウムに基づく光学フィルタを製造するための
スパッタ堆積装置の実施例300の概略図である。
【0032】
図3に示すように、実施例300は、真空チャンバ310、基板320、カソード33
0、標的331、カソード電源340、アノード350、プラズマ活性化源(PAS)3
60、及びPAS電源370を備える。標的331はゲルマニウム材料を含むことができ
る。PAS電源370は、PAS360に給電するのに利用し、また高周波(RF)電源
を有することができる。カソード電源340は、カソード330に給電するのに利用し、
またパルス状直流(DC)電源を有することができる。
【0033】
図3につき説明すると、標的331は、水素(H)並びにアルゴンのような不活性ガ
スの存在の下にスパッタリングして、基板320上に水素化ゲルマニウム材料を層として
堆積させる。不活性ガスは、アノード350及び/又はPAS360を介してチャンバ内
に供給することができる。水素は、水素を活性化するよう作用するPAS360から真空
チャンバ310内に導入する。付加的又は代替的に、カソード330が水素活性化を引き
起こすことができ(例えば、この場合、水素は真空チャンバ310の他の部分から導入す
ることができる)、又はアノード350が水素活性化を引き起こすことができ(例えば、
この場合、水素はアノード350によって真空チャンバ310内に導入することができる
)。幾つかの実施形態において、水素は、水素ガス、水素ガスと希ガス(例えば、アルゴ
ンガス)の混合気、等々の形式をとることができる。PAS360は、カソード330の
閾値近傍内に配置して、PAS360からのプラズマ及びカソード330からのプラズマ
がオーバーラップできるようにする。PAS360を使用することによって、水素化ゲル
マニウム層を比較的高い堆積速度で堆積させることができる。幾つかの実施形態において
、水素化ゲルマニウム層は、約0.05nm/s~約2.0nm/sの堆積速度、約0.5
nm/s~約1.2nm/sの堆積速度、約0.8nm/sの堆積速度、等々の速度で堆積
される。
【0034】
本明細書でスパッタリング手順について、特定ジオメトリ及び特定実施形態の観点から
説明したが、他のジオメトリ及び他の実施形態も可能である。例えば、水素は、他の方向
から、カソード330に対する閾値近傍のガスマニホルドから、等々で注入することがで
きる。本明細書で異なる成分形態の観点から説明したが、異なる材料、異なる製造プロセ
ス、等々を用いて異なるゲルマニウム相対濃度も達成することができる。
【0035】
上述したように、図3は単に例として提示する。他の例も可能であり、また図3につき
説明したのと異なるものとすることができる。
【0036】
図4A~4Dは、高屈折率材料として水素化ゲルマニウムを用いる光学フィルタに関連
する例を示す。図4A~4Dは、水素化ゲルマニウムをベースとする単一層膜に関連する
特性を示す。
【0037】
図4Aにおいて、またグラフ400によって示すように、膜410-1~410-5のセ
ットに関する透過性を示すフィルタ応答を提示する。各膜410は、約2.5マイクロメ
ートルの単層膜とすることができる。膜410-1は、0立方センチメートル毎分(SC
CM)の流量の水素濃度に関連する。換言すれば、膜410-1は非水素化ゲルマニウム
を使用する。膜410-2、410-3、410-4、及び410-5は、それぞれ20SC
CM、100SCCM、160SCCM、及び200SCCMの流量の水素濃度に関連す
る。換言すれば、膜410-2~410-5は、水素濃度が増加していく水素化ゲルマニウ
ムを使用する。この場合、膜410-2~410-5のような水素化ゲルマニウム膜は、非
水素化ゲルマニウム膜410-1に比べて増加した透過率に関連する。このようにして、
光学フィルタに水素化ゲルマニウムを利用することにより、向上した透過率をもたらすこ
とができる。例えば、水素化ゲルマニウム膜における水素濃度に基づいて、水素化ゲルマ
ニウム膜は、1100nm~2000nmのスペクトル範囲、1400nm~1600n
mのスペクトル範囲、1550nmの波長を有するスペクトル範囲、等々に対して、20
%より高い、40%より高い、60%より高い、80%より高い、85%より高い、90
%より高い、等々の透過率に関連することができる。
【0038】
図4Bにおいて、またグラフ420によって示すように、膜410の屈折率及び吸光係
数を提示する。1400nmの波長では、非水素化ゲルマニウム膜410-1は約0.1の
吸光係数に関連し、この吸光係数は、それぞれ約0.05、約0.005、及び約0.00
2である、水素化ゲルマニウム膜410-2、410-3、及び410-5の吸光係数より
も大きい。同様に、1400nmの波長では、非水素化ゲルマニウム膜410-1は、そ
れぞれ4.6、4.4及び4.3の屈折率に関連する水素化ゲルマニウム膜410-2、41
0-3、及び410-5と比べると、4.7の屈折率に関連する。この場合、水素化ゲルマ
ニウム膜410-2、410-3、及び410-5は減少した吸光係数に関連するとともに
、閾値屈折率(例えば、4.0より大きい、4.2より大きい、4.4より大きい、4.5よ
り大きい、等々)を維持する。
【0039】
1550nmの波長では、非水素化ゲルマニウム膜410-1は約0.07の吸光係数に
関連し、この吸光係数は、それぞれ約0.03、約0.003、及び約0.001である、
水素化ゲルマニウム膜410-2、410-3、及び410-5の吸光係数よりも大きい。
同様に、1550nmの波長では、非水素化ゲルマニウム膜410-1は、それぞれ4.4
、4.3及び4.2の屈折率に関連する水素化ゲルマニウム膜410-2、410-3、及び
410-5と比べると、4.6の屈折率に関連する。この場合、水素化ゲルマニウム膜41
0-2、410-3、及び410-5は減少した吸光係数に関連するとともに、閾値屈折率
(例えば、4.0より大きい、4.2より大きい、4.4より大きい、等々)を維持する。
【0040】
2000nmの波長では、非水素化ゲルマニウム膜410-1は約0.05の吸光係数に
関連し、この吸光係数は、それぞれ約0.005、約0.0005、及び約0.00000
1である、水素化ゲルマニウム膜410-2、410-3、及び410-5の吸光係数より
も大きい。同様に、1550nmの波長では、非水素化ゲルマニウム膜410-1は、そ
れぞれ4.4、4.2及び4.1の屈折率に関連する水素化ゲルマニウム膜410-2、41
0-3、及び410-5と比べると、4.5の屈折率に関連する。この場合、水素化ゲルマ
ニウム膜410-2、410-3、及び410-5は減少した吸光係数に関連するとともに
、閾値屈折率(例えば、3.5より大きい、3.75より大きい、4.0より大きい、等々
)を維持する。
【0041】
図4Cにおいて、またグラフ430によって示すように、水素化ゲルマニウム膜410
-5及び水素化ケイ素膜410-6の屈折率を提示する。この場合、水素化ゲルマニウム膜
410-5の屈折率は、それぞれ水素化ケイ素膜410-6の屈折率よりも大きい。
【0042】
図4Dにおいて、またグラフ440によって示すように、水素化ゲルマニウム膜410
-5及びアニール処理した水素化ゲルマニウム膜410-5′の屈折率及び吸光係数を提示
する。この場合、例えば、約300℃で60分間にわたるアニーリング手順を適用するこ
とによって、アニール済み水素化ゲルマニウム膜410-5′を形成する結果となり、上
昇した屈折率(例えば、約4.3まで上昇する)を生ずる結果となり、約1550nmの
中心波長を有するスペクトル範囲で、水素化ゲルマニウム膜410-5に比べて減少した
吸光係数を生ずる結果となり、これにより角度シフトを減少し、また透過率を向上させる
【0043】
上述したように、図4A~4Dは単に例として提示する。他の例も可能であり、また図
4A~4Dにつき説明したのと異なるものとすることができる。
【0044】
図5A~5Cは光学フィルタに関連する特性のグラフである。図5A~5Cは帯域通過
に関する特性を示す。
【0045】
図5Aにおいて、またグラフ500によって示すように、水素化ゲルマニウム光学フィ
ルタ510のフィルタ応答を提示する。光学フィルタ510は、水素化ゲルマニウム及び
二酸化ケイ素の交互層を備えることができる。幾つかの実施形態において、光学フィルタ
510は、5.6μmの厚さに関連することができ、また0゜の入射角に対して約155
0nmに中心がある帯域通過に関連することができる。さらに、光学フィルタ510は、
0゜~40゜の入射角に対して閾値量よりも大きい透過率(例えば、約90%より大きい
)に関連する。
【0046】
図5Bにおいて、またグラフ520によって示すように、水素化ケイ素に基づく光学フ
ィルタ530のフィルタ応答を提示する。光学フィルタ530は、水素化ケイ素及び二酸
化ケイ素の交互層を備えることができる。幾つかの実施形態において、光学フィルタ53
0は、5.9マイクロメートル(μm)の厚さに関連することができ、また0゜の入射角
に対して約1550nmに中心がある帯域通過に関連することができる。
【0047】
図5Cにおいて、またグラフ540によって示すように、光学フィルタ510(Si:
G)と比較して、光学フィルタ530(Si:H)は、0゜~約40゜の入射角に対して
減少した角度シフトに関連する。例えば、光学フィルタ510は、例えば、ほぼ0~10
゜の入射角で約5nm未満、ほぼ0~10゜の入射角で約4nm未満、ほぼ0~10゜の
入射角で約3nm未満、ほぼ0~10゜の入射角で約2nm未満、等々における中心波長
の変化に関連する。同様に、光学フィルタ510は、例えば、ほぼ10~20゜の入射角
で約15nm未満、ほぼ10~20゜の入射角で約10nm未満、ほぼ10~20゜の入
射角で約9nm未満、ほぼ10~20゜の入射角で約8nm未満、等々における中心波長
の変化に関連する。
【0048】
同様に、光学フィルタ510は、例えば、20゜の入射角で約8nm未満、20゜の入
射角で約9nm未満、20~30゜の入射角で約30nm未満、20~30゜の入射角で
約20nm未満、20~30゜の入射角で約15nm未満、20~30゜の入射角で約1
0nm未満、等々における中心波長の変化に関連する。同様に、光学フィルタ510は、
例えば、30゜~40゜の入射角で約40nm未満、30゜~40゜の入射角で約35n
m未満、30゜~40゜の入射角で約30nm未満、30゜~40゜の入射角で約25n
m未満、30゜~40゜の入射角で約20nm未満、等々における中心波長の変化に関連
する。
【0049】
上述したように、図5A~5Cは単に例として提示する。他の例も可能であり、また図
5A~5Cにつき説明したのと異なるものとすることができる。
【0050】
このようにして、高屈折率層としての水素化ゲルマニウム及び低屈折率層としての他の
材料を有する光学フィルタのような、水素化ゲルマニウム光学フィルタは、約1550n
mに中心波長があるスペクトル範囲に関連する光学フィルタ用に他の材料を使用するもの
に対して改善された角度シフト、改善された透過率、及び減少した物理的厚さをもたらす
ことができる。
【0051】
上述の開示は図示及び説明を与えるものであり、排他的なものであることを、又は実施
形態を開示したそのものに限定することを意図しない。変更及び改変することは、上述の
開示を考慮して可能であり、又は上述の実施形態そのものから知得することができる。
【0052】
幾つかの実施形態を本明細書で閾値に関連して説明した。ここで使用されるように、閾
値を満たすことは、閾値より大きい、閾値よりも多い、閾値よりも高い、閾値以上の、閾
値未満、閾値よりも少ない、閾値よりも低い、閾値以下、閾値に等しい、等々の値に言及
し得る。
【0053】
特徴の特別な組合せが特許請求の範囲における請求項で詳述される及び/又は本明細書
で開示されたが、これら組合せは、あり得る実施形態の開示に限定することを意図してい
ない。実際、これら特徴の多くは、特許請求の範囲における請求項で詳述されない及び/
又は本明細書で開示されないやり方で組み合わせることができる。特許請求の範囲で列挙
される各従属項は、1つの請求項のみに直接従属できるが、あり得る実施形態の開示は、
請求項セットにおけるすべての他の請求項と組み合せた各従属項を包含する。
【0054】
本明細書で使用される素子、行為、又は指示命令のいずれも、明確にそうであると記載
されない限りは、厳密又は必須なものと解すべきではない。さらに、不定冠詞「a」及び
「an」は、1つ又はそれ以上の事物(item)を包含することを意図しており、また「1つ
又はそれ以上の(one or more)」と互換的に使用することができる。さらに、本明細書
で使用されるように、用語「セット」は、1つ又はそれ以上の事物(例えば、関連事物、
非関連事物、関連事物及び非関連事物の組合せ、等々)を包含することを意図しており、
また「1つ又はそれ以上の(one or more)」と互換的に使用することができる。単に1
つの事物を意図する場合、用語「1つ(個)」又は同様の言葉遣いを使用する。さらに、
本明細書で使用されるように、用語「has」、「have」、「having」等々は、制約がない
ものであることを意図している。さらに、語句「~に基づく/~をベースとする(based
on)」は、それ以外を明示されない限り、「少なくとも部分的に、~に基づく/~をベー
スとする(based, at least in part, on)」を意味することを意図している。
【符号の説明】
【0055】
100 例示的実施形態
100′ 例示的実施形態
100″ 例示的実施形態
110 センサシステム
120 光学フィルタ構体
130 光学フィルタ
140 光センサ
150 入力光信号
160 光信号の第1スペクトル範囲を有する第1部分
170 光信号の第2スペクトル範囲を有する第2部分
180 出力電気信号
200 光学フィルタ
210 (光学フィルタの)コーティング部分
220 基板
230 層
240 層
300 実施例
310 真空チャンバ
320 基板
330 カソード
331 標的
340 カソード電源
350 アノード
360 プラズマ活性化源(PAS)
370 PAS電源
400 グラフ
410-1 非水素化ゲルマニウム膜
410-2 水素化ゲルマニウム膜
410-3 水素化ゲルマニウム膜
410-5 水素化ゲルマニウム膜
410-6 水素化ケイ素膜
420 グラフ
430 グラフ
440 グラフ
500 グラフ
510 水素化ゲルマニウム光学フィルタ
520 グラフ
530 水素化ケイ素に基づく光学フィルタ
540 グラフ
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C