(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】プラズマ・熱加工システムを備えたワークピース加工装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20230719BHJP
H01L 21/26 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
H01L21/302 101C
H01L21/26 T
H01L21/26 J
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021201793
(22)【出願日】2021-12-13
【審査請求日】2021-12-13
(31)【優先権主張番号】202011464458.4
(32)【優先日】2020-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(32)【優先日】2021-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502278714
【氏名又は名称】マトソン テクノロジー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Mattson Technology, Inc.
【住所又は居所原語表記】47131 Bayside Parkway, Fremont, CA 94538, USA
(73)【特許権者】
【識別番号】520111187
【氏名又は名称】ベイジン イータウン セミコンダクター テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Beijing E-Town Semiconductor Technology Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】No. 8 Building, No. 28 Jinghai Er Rd., Economic and Technical Development Zone, 100176 Beijing, China
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ディクジット デセイ
(72)【発明者】
【氏名】アレックス ワンシドラー
(72)【発明者】
【氏名】ディーター ヘツラー
(72)【発明者】
【氏名】ジョゼフ シーバー
(72)【発明者】
【氏名】ロルフ ブレーメンスドルファー
(72)【発明者】
【氏名】ピート レンベシス
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ヤング
【審査官】加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-502794(JP,A)
【文献】特表2019-505988(JP,A)
【文献】特表2020-536387(JP,A)
【文献】特開2002-033311(JP,A)
【文献】特表2005-500674(JP,A)
【文献】特開2000-331938(JP,A)
【文献】特開2002-155364(JP,A)
【文献】特表2017-509143(JP,A)
【文献】特開2017-009450(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H01L 21/26
H01L 21/31
H05H 1/46
C23C 16/505
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面と、該上面とは反対側の裏面とを有するワークピースを加工するための加工装置であって、
その側壁において配置された排気ポートを有する加工チャンバと、
前記加工チャンバの第1の側に配置されていて、前記加工チャンバから分離されたプラズマチャンバと、
前記プラズマチャンバに1種以上のプロセスガスを送出するように構成されたガス送出システムと、
前記プラズマチャンバ内の前記1種以上のプロセスガスからプラズマを生成するように構成されたプラズマ源と、
前記加工チャンバ内に配置されたワークピース支持体であって、前記ワークピースを支持するように構成されていて、石英を含み、前記ワークピースの前記裏面に面しているワークピース支持体と、
前記加工チャンバの前記第1の側とは反対側の第2の側に構成された1つ以上の放射加熱源であって、前記ワークピースの前記裏面から前記ワークピースを加熱するように構成された1つ以上の放射加熱源と、
前記ワークピース支持体と前記1つ以上の放射加熱源との間に配置された誘電体窓と、
前記ワークピースの前記裏面の温度を示す温度測定値を取得するために温度測定波長範囲で構成されたワークピース温度測定システムと、
前記放射加熱源への電力供給を制御するように構成されたワークピース温度制御システムと、
前記ワークピースの周囲に配置されていて、前記加工チャンバを通るガスの流れを指向するための1つ以上の通路を備える圧送プレートと、
を備える、加工装置。
【請求項2】
前記プラズマ源は誘導結合プラズマ源である、請求項1記載の加工装置。
【請求項3】
前記誘導結合プラズマ源と前記プラズマチャンバとの間に、接地されたファラデーシールドが配置されている、請求項2記載の加工装置。
【請求項4】
前記プラズマチャンバと前記加工チャンバとは、1つ以上の分離グリッドを介して分離されている、請求項1
から3までのいずれか1項記載の加工装置。
【請求項5】
前記1つ以上の分離グリッドは、該分離グリッド内に配置された1つ以上の冷却通路を備える、請求項4記載の加工装置。
【請求項6】
前記1つ以上の分離グリッドの間にガスを注入するように構成された1つ以上のガス注入ポートをさらに備える、請求項4
または5記載の加工装置。
【請求項7】
前記1つ以上の分離グリッドは、前記プラズマを濾過して前記加工チャンバ内に濾過済み混合物を生成し、これによって、前記ワークピースの前記上面を前記濾過済み混合物に曝すことができるように配置されている、請求項4
から6までのいずれか1項記載の加工装置。
【請求項8】
前記誘電体窓は石英を含む、請求項1
から7までのいずれか1項記載の加工装置。
【請求項9】
前記誘電体窓は、前記温度測定波長範囲内の放射の少なくとも一部に対して透明な1つ以上の透明な領域と、前記温度測定波長範囲内の放射の一部に対して不透明な1つ以上の不透明な領域とを備え、前記1つ以上の不透明な領域は、前記温度測定波長範囲内の前記放射加熱源により放出される広帯域放射の少なくとも一部を遮蔽するように構成されている、請求項1
から8までのいずれか1項記載の加工装置。
【請求項10】
前記誘電体窓は石英を含み、前記1つ以上の不透明な領域は、前記1つ以上の透明な領域よりも高いレベルのヒドロキシル(OH)基を含む、請求項9記載の加工装置。
【請求項11】
前記温度測定波長範囲は2.7μmを含む、請求項1
から10までのいずれか1項記載の加工装置。
【請求項12】
前記誘電体窓を通過し、前記加工チャンバ内で前記ワークピース支持体を回転させるように構成された回転軸を含む回転システムを備える、請求項1
から11までのいずれか1項記載の加工装置。
【請求項13】
前記回転軸の第1の部分が前記加工チャンバ内に配置されており、前記回転軸の第2の部分が、前記加工チャンバ内に真空圧を維持することができるように、前記加工チャンバ外に配置されている、請求項12記載の加工装置。
【請求項14】
前記1つ以上の放射加熱源は、広帯域放射を放出して前記ワークピースを加熱するように構成されている、請求項1
から13までのいずれか1項記載の加工装置。
【請求項15】
前記1つ以上の放射加熱源は、前記温度測定波長範囲とは異なる加熱波長範囲で単色放射を放出するように構成されている、請求項1
から13までのいずれか1項記載の加工装置。
【請求項16】
前記ワークピース温度測定システムは、前記ワークピースの反射率測定値を取得するように構成されている、請求項1
から15までのいずれか1項記載の加工装置。
【請求項17】
前記ワークピース温度測定システムは、
前記温度測定波長範囲内の較正放射を放出するように構成された1つ以上のエミッタと、
1つ以上のセンサであって、前記1つ以上のエミッタから放出された前記較正放射の少なくとも一部が、前記ワークピースによって反射され、前記1つ以上のセンサによって収集される、1つ以上のセンサと、
を備える、請求項
16記載の加工装置。
【請求項18】
前記エミッタは、前記較正放射を強度の変調を伴って前記ワークピースに放出する、請求項
17記載の加工装置。
【請求項19】
前記温度測定システムは、第1のパイロメータと第2のパイロメータとを備え、前記第1のパイロメータは、前記ワークピースの中心で前記ワークピースの温度測定を行うように配置されており、前記第2のパイロメータは、前記ワークピースの外周で前記ワークピースの温度測定を行うように配置されている、請求項1
から18までのいずれか1項記載の加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、ワークピースのプラズマ加工および熱加工を実施するように動作させることができる装置などの半導体加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマ加工は、半導体産業において、半導体ウェーハおよび他の基板への材料の堆積、材料の改質、材料の除去、および関連する加工のために広く用いられている。プラズマ加工には、多くの場合、基板を加工するための高密度プラズマと活性種とを生成するために、プラズマ源(例えば、誘導結合プラズマ源、容量結合プラズマ源、マイクロ波プラズマ源、電子サイクロトロン共鳴プラズマ源など)が使用される。プラズマ中の活性種は、正負に帯電したイオンと、負に帯電した電子と、電荷中性ラジカルと、その他の高エネルギー中性粒子とを含むことができる。材料の電荷損傷を避けるために、リモートプラズマチャンバで生成されたプラズマからの電荷種を濾過して除去する一方、電荷中性ラジカルおよび他の高エネルギー中性粒子は分離グリッドを通過して加工チャンバに入り、半導体ウェーハなどの基板を処理することができる。
【0003】
熱加工は、半導体ウェーハおよびその他の基板の加工にも使用される。一般に、本明細書で使用される熱加工チャンバは、半導体ワークピースなどのワークピースを加熱する装置を指す。このような装置は、1つ以上のワークピースを支持するための支持プレートと、加熱ランプ、レーザ、または他の熱源など、ワークピースを加熱するためのエネルギー源とを含むことができる。熱処理中、制御された環境下でワークピースを加熱することができる。
【0004】
多くの熱処理プロセスでは、ワークピースに様々な化学的な変化および物理的な変化を起こさせるために、ワークピースを一定範囲の温度で加熱する必要がある。例えば、急速熱加工では、ランプの配列によってワークピースを典型的には数分以内に約300℃~約1,200℃の温度に加熱することができる。このようなプロセスでは、様々な所望の加熱方式に応じてワークピースの温度を確実かつ正確に測定し、制御することが重要な目標となる。
【0005】
半導体ウェーハおよび他の基板のプロセスフローでは、プラズマ加工ステップと熱加工ステップとが連続することがある。プラズマ加工および熱加工のための2つの別個の加工装置の代わりに、ワークピースのプラズマ加工および熱加工の両方を行うことができる単一の加工装置が、製造サイクルタイムおよび製造コストの削減のために望ましい。さらに、半導体および他の基板の加工フローでは、加工ステップでワークピースのプラズマ加工と熱加工とを同時に行う必要がある場合がある。したがって、ワークピースのプラズマ加工および熱加工の両方を行うことができる加工装置が望まれている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実施形態の態様および利点は、以下の説明に部分的に記載されるか、または説明から学ぶことができるか、または実施形態の実践を通じて学ぶことができる。
【0007】
本開示の例示的な態様は、ワークピースを加工するための加工装置に向けられている。加工装置は、加工チャンバと、加工チャンバの第1の側に配置されていて、加工チャンバから分離されたプラズマチャンバと、プラズマチャンバに1種以上のプロセスガスを送出するように構成されたガス送出システムと、プラズマチャンバ内の1種以上のプロセスガスからプラズマを生成するように構成されたプラズマ源と、加工チャンバ内に配置されたワークピース支持体であって、ワークピースを支持するように構成されていて、石英を含み、ワークピースの裏面に面しているワークピース支持体と、加工チャンバの第1の側とは反対側の第2の側に構成された1つ以上の放射加熱源であって、ワークピースの裏面からワークピースを加熱するように構成された1つ以上の放射加熱源と、ワークピース支持体と1つ以上の放射加熱源との間に配置された誘電体窓と、ワークピースの温度を示す温度測定値を取得するために温度測定波長範囲で構成されたワークピース温度測定システムと、放射加熱源への電力供給を制御するように構成されたワークピース温度制御システムと、を含む。
【0008】
様々な実施形態の、これらおよび他の特徴、態様、ならびに利点は、以下の説明および添付の特許請求の範囲を参照することによって、よりよく理解することができる。本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付図面は、本開示の実施形態を示し、説明と合わせて、関連する原理を説明する働きをする。
【0009】
当業者に向けられた実施形態の詳細な説明は、添付の図を参照する本明細書に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の例示的な態様による例示的な加工システムを示す図である。
【
図2】本開示の例示的な態様による例示的な加工システムを示す図である。
【
図3】本開示の例示的な態様による例示的な加工システムの一部を示す図である。
【
図4】本開示の例示的な態様による例示的な圧送プレートを示す図である。
【
図5】本開示の例示的な実施形態による例示的な加工システムを示す図である。
【
図6】本開示の例示的な実施形態による例示的な加工システムを示す図である。
【
図7】本開示の例示的な実施形態による例示的な温度測定システムを示す図である。
【
図8】本開示の例示的な実施形態による例示的なポストプラズマガス注入システムを示す図である。
【
図9】本開示の例示的な態様による例示的な加工システムを示す図である。
【
図10】本開示の例示的な態様による方法の例示的なフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、1つ以上の例が図面に示されている実施形態について詳細に参照する。各例は、実施形態の説明のために提供されるものであり、本開示を限定するものではない。実際、本開示の範囲または精神から逸脱することなく、実施形態に様々な修正および変形を加えることができることは、当業者には明らかである。例えば、特定の実施形態の一部として図示または説明された特徴は、別の実施形態とともに使用して、更なる実施形態を得ることができる。したがって、本開示の態様は、そのような修正および変形を取り扱うことが意図されている。
【0012】
様々なワークピース加工処理には、プラズマ処理、熱処理、またはその両方が必要になる場合がある。典型的に、プラズマ処理と、急速熱加工などの熱処理とは、プロセスパラメータを正確に制御するために、異なる装置または加工チャンバで実施する必要がある。さらに、プラズマ・熱加工中のワークピースの正確な温度測定値を取得することが困難な場合もある。
【0013】
したがって、本開示の態様は、多くの技術的効果および利点を提供する。例えば、本明細書で提供される加工装置は、同じ加工チャンバ内でプラズマ処理と熱処理との両方を実施することができるため、半導体加工作製における製造サイクルタイムと、製造コストと、装置全体の設置面積とを削減することができる。さらに、本明細書で提供される装置は温度測定システムを含んでおり、加工中のワークピースの中心と外周との両方でワークピースの温度を正確に決定することができる。
【0014】
本開示のこれらの例示的な実施形態は、変形および修正することができる。本明細書で使用されるように、単数形の「a」、「and」、および「the」は、文脈が明らかに他を指示しない限り、複数の参照語を含む。「第1」、「第2」、「第3」などの使用は、識別子として使用されており、暗示的であるか否かにかかわらず、必ずしも任意の順序を示すものではない。例示的な態様は、図示および説明する目的で、「基板」、「ワークピース」、または「ワークピース」を参照して説明されることがある。当業者であれば、本明細書で提供される開示を用いて、本開示の例示的な態様を任意の適切なワークピースで使用することができることを理解されたい。数値と併せて「約」という用語を使用することは、記載された数値の20%以内を意味する。
【0015】
図1は、本開示の例示的な実施形態による加工を実施するために使用することができる例示的な加工装置100を示す。図示されているように、加工装置100は、加工チャンバ110と、加工チャンバ110から分離されたプラズマチャンバ120とを含む。加工チャンバ110は、半導体ウェーハなどの加工されるワークピース114を保持するように動作させることができるワークピース支持体112または台座を含む。この例示では、誘導結合プラズマ源135によってプラズマチャンバ120(すなわち、プラズマ生成領域)内にプラズマが生成され、所望の種がプラズマチャンバ120から分離グリッドアセンブリ200を通してワークピース114の表面に流される。
【0016】
本開示の態様は、図示および説明する目的で、誘導結合プラズマ源を参照して説明される。当業者であれば、本明細書で提供される開示を用いて、本開示の範囲から逸脱することなく、任意のプラズマ源(例えば、誘導結合プラズマ源、容量結合プラズマ源など)を使用できることを理解されたい。
【0017】
プラズマチャンバ120は、誘電体側壁122と、天井124とを含む。誘電体側壁122と、天井124と、分離グリッド200とは、プラズマチャンバ内部125を画定する。誘電体側壁122は、石英および/またはアルミナなどの誘電体材料から形成することができる。誘電体側壁122は、セラミック材料から形成することができる。誘導結合プラズマ源135は、プラズマチャンバ120の誘電体側壁122に隣接して配置された誘導コイル130を含むことができる。誘導コイル130は、適切なマッチングネットワーク132を介して、RF電力発生器134に結合される。誘導コイル130は、プラズマチャンバ120内にプラズマを誘導するのに適した導電性材料を含む、任意の適切な材料から形成することができる。ガス供給部155と、環状ガス分配通路151または他の適切なガス導入機構とから、プロセスガスをチャンバ内部125に供給することができる。誘導コイル130をRF電力発生器134からのRF電力で励磁させると、プラズマチャンバ120内にプラズマを生成することができる。特定の実施形態では、加工装置100は、誘導コイル130のプラズマへの容量結合を低減するために、接地されたファラデーシールド128を選択的に含むことができる。接地されたファラデーシールド128は、誘導コイル130と同様のまたは実質的に同様の材料を含む、任意の適切な材料または導体から形成することができる。
【0018】
図1に示すように、分離グリッド200は、プラズマチャンバ120を加工チャンバ110から分離する。分離グリッド200を使用して、プラズマチャンバ120内のプラズマによって生成された混合物からイオン濾過を実施し、濾過済み混合物を生成することができる。濾過済み混合物に、加工チャンバ110内のワークピース114を曝すことができる。
【0019】
幾つかの実施形態では、分離グリッド200は、マルチプレート分離グリッドとすることができる。例えば、分離グリッド200は、互いに平行な関係で離隔している第1のグリッドプレート210と第2のグリッドプレート220とを含むことができる。第1のグリッドプレート210と第2のグリッドプレート220とは、所定の距離で分離することができる。
【0020】
第1のグリッドプレート210は、複数の穴を有する第1のグリッドパターンを有することができる。第2のグリッドプレート220は、複数の穴を有する第2のグリッドパターンを有することができる。第1のグリッドパターンは、第2のグリッドパターンと同一であっても、異なっていてもよい。荷電粒子は、分離グリッドの各グリッドプレート210,220の穴を通る経路において、壁上で再結合することができる。中性種(例えば、ラジカル)は、第1のグリッドプレート210と第2のグリッドプレート220とに設けられた穴を比較的自由に流れることができる。各グリッドプレート210および220の穴の大きさと、各グリッドプレート210および220の厚さとは、荷電粒子と中性粒子との両方に対する透明度に影響を与えることができる。
【0021】
幾つかの実施形態では、第1のグリッドプレート210は、金属(例えば、アルミニウム)または他の導電性材料から製造することができ、かつ/または、第2のグリッドプレート220は、導電性材料または(例えば、石英、セラミックなどの)誘電体材料のいずれかから製造することができる。幾つかの実施形態では、第1のグリッドプレート210および/または第2のグリッドプレート220は、シリコンまたは炭化ケイ素などの他の材料から製造することができる。グリッドプレートが金属または他の導電性材料から製造されている場合、グリッドプレートを接地することができる。幾つかの実施形態では、グリッドアセンブリは、1つのグリッドプレートを備える単一のグリッドを含むことができる。
【0022】
幾つかの実施形態では、グリッドプレートは、加工装置の動作中にグリッドプレートを冷却するための、グリッドプレート内に配置された1つ以上の冷却機構を有することができる。例えば、1つ以上の冷却通路をグリッドプレート内に配置することができる。グリッドプレートの温度を下げるために、空気または流体(例えば、水)を冷却通路を通して圧送することができる。グリッドプレートを冷却するために、他の既知の冷却化学物質を冷却通路を通して圧送することができる。
【0023】
ワークピース114は、シリコンウェーハなどの半導体ワークピースなど、任意の適切なワークピースであるか、またはそれを含むことができる。幾つかの実施形態では、ワークピース114は、ドープされたシリコンウェーハであるか、またはそれを含むことができる。例えば、シリコンウェーハは、シリコンウェーハの抵抗率が約0.1Ω・cmよりも大きく、例えば約1Ω・cmよりも大きくなるようにドープすることができる。
【0024】
次に、加工装置の例示的な実施形態について、
図1~
図8を参照して説明する。
図1に示すように、本開示の例示的な態様によれば、装置100は、例えば、ガス分配通路151または他の分配システム(例えば、シャワーヘッド)を介して、プロセスガスをプラズマチャンバ120に送出するように構成されたガス送出システム155を含むことができる。ガス送出システムは、複数の給送ガスライン159を含むことができる。給送ガスライン159は、弁158および/またはガスフローコントローラ185を用いて制御され、所望の量のガスをプロセスガスとしてプラズマチャンバに送出することができる。ガス送出システム155は、任意の適切なプロセスガスの送出に使用することができる。例示的なプロセスガスには、酸素含有ガス(例えば、O
2,O
3,N
2O,H
2O)、水素含有ガス(例えば、H
2,D
2)、窒素含有ガス(例えば、N
2,NH
3,N
2O)、フッ素含有ガス(例えば、CF
4,C
2F
4,CHF
3,CH
2F
2,CH
3F,SF
6,NF
3)、炭化水素含有ガス(例えば、CH
4)、またはこれらの組み合わせが含まれる。必要に応じて、他のガスを含む他の給送ガスラインを追加することができる。幾つかの実施形態では、プロセスガスは、He,Ar,Ne,XeまたはN
2など、「キャリア」ガスと呼ぶことができる不活性ガスと混合することができる。制御弁158を使用して、プラズマチャンバ120にプロセスガスを流すための各給送ガスラインの流量を制御することができる。実施形態では、ガス送出システム155は、ガスフローコントローラ185で制御することができる。
【0025】
加工されるワークピース114は、ワークピース支持体112によって加工チャンバ110内で支持される。ワークピース支持体112は、熱加工中にワークピース114を支持するように動作させることができる(例えば、ワークピース支持プレートである)。幾つかの実施形態では、ワークピース支持体112は、同時加工のために複数のワークピース114を支持するように構成することができる。幾つかの実施形態では、ワークピース支持体112は、熱加工の前、間、および/または後にワークピース114を回転させることができる。幾つかの実施形態では、ワークピース支持体112は、熱源140からワークピース114への放射、エミッタ150からワークピース114への放射、ワークピース114から温度測定装置167および168への放射、および反射率センサ166へのワークピース114によって反射されたエミッタ150の放射を含む、少なくとも一部の放射がワークピース支持体112を少なくとも部分的に通過できるように、透明であり、かつ/またはその他の方法で構成することができる。例えば、幾つかの実施形態では、ワークピース支持体112の材料を選択して、ワークピース114および/またはエミッタ150によって放出される放射などの所望の放射がワークピース支持体112を通過できるようにすることができる。幾つかの実施形態では、ワークピース支持体112は、ヒドロキシル不含の石英材料などの石英材料であるか、またはそれを含むことができる。
【0026】
ワークピース支持体112は、ワークピース支持体112から延在する、少なくとも3つの支持ピンなど、1つ以上の支持ピン115を含むことができる。幾つかの実施形態では、ワークピース支持体112は、分離グリッド220から離隔するなど、加工チャンバ110の頂部から離隔することができる。幾つかの実施形態では、支持ピン115および/またはワークピース支持体112は、熱源140から熱を伝達し、かつ/またはワークピース114から熱を吸収することができる。幾つかの実施形態では、支持ピン115は、石英製とすることができる。
【0027】
加工装置は、加工チャンバ110内でワークピース支持体112を支持するように構成された、誘電体窓108を通過する回転軸900をさらに含むことができる。例えば、回転軸900は、一端でワークピース支持体112に結合され、他端で、(
図3に示すように)回転軸900を360°回転させることができる回転装置920に結合される。例えば、ワークピース114の加工(例えば、熱加工)中に、1つ以上の熱源140によって生成された熱がワークピース114を均等に加熱することができるように、ワークピース114を継続的に回転させることができる。幾つかの実施形態では、ワークピース114の回転は、ワークピース114上に放射状の加熱ゾーンを形成し、これは、加熱サイクル中に良好な温度均一性制御を提供するのに役立つことができる。
【0028】
特定の実施形態では、回転軸900の一部が加工チャンバ110内に配置される一方、回転軸900の別の部分が、加工チャンバ110内の真空圧を維持することができるように加工チャンバ110外に配置されることを理解されたい。例えば、ワークピース114の加工中には、加工チャンバ110内の真空圧を維持する必要がある場合がある。さらに、ワークピース114を、加工中に回転させる必要がある。したがって、回転軸900は、誘電体窓108を通って、加工チャンバ110内で位置決めされ、回転軸900が、加工チャンバ110内の真空圧を維持しながら、ワークピース114を容易に回転させることができるようになっている。
【0029】
他の実施形態では、回転軸900は、回転軸900およびワークピース支持体112を鉛直方向に上下動させることができる並進装置(図示せず)に結合することができる。例えば、加工チャンバ110からワークピース114をロードまたはアンロードする際には、取出し装置を使用してワークピース114に容易にアクセスし、加工チャンバ110からワークピース114を取り出すことができるように、ワークピース支持体112を介してワークピース114を上昇させることが望ましい場合がある。例示的な取出し装置は、ロボットのサセプタを含むことができる。他の実施形態では、加工チャンバ110および加工チャンバ110に関連する要素の定期的なメンテナンスを行うために、ワークピース支持体112を鉛直方向に移動させる必要がある場合がある。回転軸900に結合することができる適切な並進装置は、ベローズまたは回転軸900を鉛直移動中に並進させることができる他の機械的装置または電気的装置を含む。
【0030】
加工装置100は、1つ以上の熱源140を含むことができる。幾つかの実施形態では、熱源140は、1つ以上の加熱ランプ141を含むことができる。例えば、1つ以上の加熱ランプ141を含む熱源140は、熱放射を放出してワークピース114を加熱することができる。幾つかの実施形態では、例えば、熱源140は、アークランプ、白熱ランプ、ハロゲンランプ、任意の他の適切な加熱ランプ、またはそれらの組み合わせを含む広帯域放射源とすることができる。幾つかの実施形態では、熱源140は、発光ダイオード、レーザダイオード、他の任意の適切な加熱ランプ、またはそれらの組み合わせを含む単色放射源とすることができる。熱源140は、例えば、ワークピース114の異なるゾーンを加熱するように位置決めされる、加熱ランプ141のアセンブリを含むことができる。ワークピース114が加熱されている間に、各加熱ゾーンに供給されるエネルギーを制御することができる。さらに、ワークピース114の様々なゾーンに適用される放射の量および/または種類も、開ループ方式で制御することができる。この構成では、様々な加熱ゾーン間の比率は、手動による最適化の後に予め決定することができる。他の実施形態では、ワークピース114の様々なゾーンに適用される放射の量および/または種類は、ワークピース114の温度に基づいて、閉ループ方式で制御することができる。
【0031】
幾つかの実施形態では、例えば、リフレクタ800(例えば、鏡)などの指向要素は、熱源140からの放射を加工チャンバ110に対して向けるように構成することができる。特定の実施形態では、リフレクタ800は、1つ以上の加熱ランプ141からの放射をワークピース114および/またはワークピース支持体112に対して向けるように構成することができる。例えば、1つ以上のリフレクタ800は、
図5および
図6に示すように、熱源140に関して配置することができる。1つ以上の冷却通路802は、リフレクタ800の間または内部に配置することができる。
図6に矢印804で示すように、周囲の空気が1つ以上の冷却通路802を通過して、加熱ランプ141などの1つ以上の熱源140を冷却することができる。
【0032】
本開示の例示的な態様によれば、1つ以上の誘電体窓108は、熱源140とワークピース支持体112との間に配置することができる。本開示の例示的な態様によれば、窓108は、ワークピース114と熱源140との間に配置することができる。窓108は、熱源140によって放出された放射(例えば、広帯域放射)の少なくとも一部が加工チャンバ110の一部に入射することを選択的に遮蔽するように構成することができる。例えば、窓108は、不透明な領域160および/または透明な領域161を含むことができる。本明細書で使用される「不透明」とは、一般的に、所定の波長に対して約0.4(40%)未満の透過率を有していることを意味し、「透明」とは、一般的に、所定の波長に対して約0.4(40%)を超える透過率を有していることを意味する。
【0033】
不透明な領域160は、熱源140からの所定の波長での迷走放射を遮蔽し、透明な領域161は、例えば、エミッタ150、反射率センサ166、および/または温度測定装置167,168が、不透明な領域160によって遮蔽された波長で加工チャンバ110内のワークピース114に対する障害とならないように、不透明な領域160および/または透明な領域161を位置決めすることができる。このようにして、窓108は、熱源140がワークピース114を加熱することを可能にしながら、所与の波長における熱源140による汚染から加工チャンバ110を効果的に遮蔽することができる。不透明な領域160および透明な領域161は、一般に、特定の波長に対してそれぞれ不透明および透明と定義することができ、すなわち、少なくとも特定の波長での放射に対して、不透明な領域160は不透明であり、透明な領域161は透明である。
【0034】
不透明な領域160および/または透明な領域161を含む窓108は、任意の適切な材料および/または構造から形成することができる。幾つかの実施形態では、誘電体窓108は、石英材料であるか、またはそれを含むことができる。さらに、幾つかの実施形態では、不透明な領域160は、ヒドロキシル(OH-)がドープされた石英などのヒドロキシル(OH)を含む石英であるか、またはそれを含むことができ、透明な領域161は、ヒドロキシルを含まない石英であるか、またはそれを含むことができる。ヒドロキシルがドープされた石英は、本開示による望ましい波長遮蔽特性を示すことができる。例えば、ヒドロキシルがドープされた石英は、加工装置100内の幾つかのセンサ(例えば、反射率センサ166および温度測定装置167,168)が動作する温度測定波長に対応することができる、約2.7μmの波長を有する放射を遮蔽することができる一方、ヒドロキシルを含まない石英は、約2.7μmの波長を有する放射に対して透明となることができる。したがって、ヒドロキシルがドープされた石英の領域は、加工チャンバ110内の(例えば、熱源140からの)上記の波長の迷走放射からセンサ(例えば、反射率センサ166および温度測定装置167,168)を遮蔽することができ、ヒドロキシルを含まない石英の領域は、センサが熱加工システム内の上記の波長で測定値を取得することができるように、センサの視野内に少なくとも部分的に配置することができる。
【0035】
したがって、実施形態では、誘電体窓108は、温度測定波長範囲内の放射の少なくとも一部に対して透明な1つ以上の透明な領域161と、温度測定波長範囲内の放射の一部に対して不透明な1つ以上の不透明な領域160とを含む。1つ以上の不透明な領域160は、温度測定波長範囲内の熱源140によって放出される広帯域放射の少なくとも一部を遮蔽するように構成されている。
【0036】
保護リング109を使用して、ワークピース114の1つ以上の縁部からの放射の縁部効果を軽減することができる。保護リング109は、ワークピース114の外周に位置決めすることができる。さらに、実施形態では、加工装置は、ワークピース114の周囲に配置された圧送プレート910を含む。例えば、
図4は、提供される実施形態で使用することができる例示的な圧送プレート910を示す。圧送プレート910は、加工チャンバ110を通るガスの流れを促進するための1つ以上の圧送通路912,913を含む。例えば、圧送プレート910は、ワークピース114の周囲に構成された連続圧送通路912を含むことができる。連続圧送通路912は、気体をワークピース114の上面などの第1の面からワークピースの裏面などの第2の面に通過させるように構成された環状の開口を含むことができる。連続圧送通路912は、保護リング109の周囲に同心円状に配置することができる。付加的な圧送通路913は、加工チャンバ110内のガス移動を促進するために圧送プレート910に配置することができる。圧送プレート910は、石英材料であるか、または石英材料を含むことができる。さらに、幾つかの実施形態では、圧送プレート910は、ヒドロキシル(OH)を含む石英、例えば、ヒドロキシルがドープされた石英(例えば、有意なレベルのヒドロキシル基を含む石英)であるか、またはそれを含むことができる。ヒドロキシルがドープされた石英は、本開示による望ましい波長遮蔽特性を示すことができる。
【0037】
加工チャンバ110内の真空圧を維持することができるように、加工チャンバ110からガスを圧送するように構成された1つ以上の排気ポート921を、加工チャンバ110内に配置することができる。例えば、プロセスガスは、プラズマチャンバ120から1つ以上の分離グリッド200を通って流れ、
図6に示されているような矢印に従って加工チャンバ110に入ることができる。ワークピース114をプロセスガスに曝し、その後、プロセスガスはワークピース114のいずれかの面の周囲を流れ、1つ以上の排気ポート921を介して加工チャンバ110から排気される。プロセスガスの流れは、
図6の矢印806で示されている。1つ以上の圧送プレート910を、ワークピース114の外周に配置して、プロセスガスの流れを促進することができる。隔離ドア180は、開いているときには、ワークピース114を加工チャンバ110へ入れることができ、閉じているときには、ワークピース114に対して熱加工を行うことができるような真空圧を加工チャンバ110内に維持することができるように、加工チャンバ110を密閉することができる。
【0038】
実施形態では、装置100は、コントローラ175を含むことができる。コントローラ175は、加工チャンバ110内の様々な構成要素を制御して、ワークピース114の加工を指示する。例えば、コントローラ175を使用して、熱源140を制御することができる。付加的にかつ/または代替的に、コントローラ175を使用して、例えば、エミッタ150、反射率センサ166、および/または温度測定装置167,168を含むワークピース温度測定システムを制御することができる。コントローラ175は、ワークピース114の加工中に加工チャンバ内の真空圧を維持するために、ガスフローコントローラ185を制御したり、加工チャンバ110の条件を変更したりするなど、1つ以上のプロセスパラメータを与えることもできる。コントローラ175は、例えば、1つ以上のプロセッサと、1つ以上のメモリデバイスとを含むことができる。1つ以上のメモリデバイスは、コンピュータ可読命令を格納することができ、それは1つ以上のプロセッサによって実行されると、1つ以上のプロセッサに、本明細書に記載されている任意の制御動作などの動作を実行させることができる。
【0039】
特に、
図1~
図2は、1つ以上の温度測定装置167,168を含む、ワークピース温度測定システムに有用な特定の構成要素を示している。実施形態では、温度測定装置167は、温度測定装置168に対してより中心的な位置に配置される。例えば、温度測定装置167は、ワークピース114をワークピース支持体112上に配置したときに、温度測定装置167がワークピース114の中心に対応する温度測定値を取得することができるように、ワークピース支持体112の中心線上またはその隣に配置することができる。温度測定装置168がワークピース114の外周に沿ってワークピース114の温度を測定できるように、温度測定装置168を、ワークピース支持体112の中心線から外側の位置に配置することができる。したがって、温度測定システムは、ワークピース114上の異なる位置でワークピース114の温度を測定することができる1つ以上の温度測定装置を含む。温度測定装置167,168は、パイロメータなど、ワークピース114から放出される放射を感知することができる1つ以上のセンサを含むことができる。温度測定装置167,168はまた、エミッタによって放出されて、ワークピースによって反射される放射の反射部分を感知することができる1つ以上のセンサを含むことができ、これについては本明細書でより詳細に説明する。
【0040】
例えば、幾つかの実施形態では、温度測定装置167,168は、温度測定波長範囲でワークピース114によって放出される放射を測定するように構成することができる。例えば、幾つかの実施形態では、温度測定装置167,168は、温度測定波長範囲内の波長でワークピースによって放出される放射を測定するように構成されたパイロメータとすることができる。不透明な領域160は、ヒドロキシルがドープされた石英を含む実施形態において、透明な領域161が透明であるように、かつ/または不透明な領域160が不透明であるように、波長を例えば2.7μmで選択することができる。第1の波長は、さらに、ワークピース114によって放出される黒体放射の波長に対応することができる。温度測定波長範囲は、それに応じて2.7μmを含むことができる。
【0041】
幾つかの実施形態では、温度測定システムは、1つ以上のエミッタ150と、1つ以上の反射率センサ166とを含む。例えば、実施形態では、ワークピース温度測定システムは、ワークピース114に対して傾倒して向けられた放射を放出するように構成されたエミッタ150も含むことができる。実施形態では、エミッタ150は、赤外線を放出するように構成することができる。エミッタ150によって放出される放射は、本明細書では較正放射と呼ぶこともある。エミッタ150によって放出された放射は、ワークピース114によって反射され、反射率センサ166によって収集される放射の反射部分を形成することができる。ワークピース114の反射率は、反射率センサ166に入射する放射の反射部分の強度によって表すことができる。不透明なワークピース114の場合、ワークピース114の放射率は、ワークピース114の反射率から計算することができる。同時に、ワークピース114によって放出される放射は、温度測定装置167および168のセンサによって測定することができる。幾つかの実施形態では、ワークピース114によって放出され、温度測定装置167および168内のセンサによって測定されたこのような放射は、エミッタ150によって放出され、ワークピース114によって反射された較正放射の反射部分を構成しない。最後に、ワークピース114の温度は、ワークピース114の放射率と組み合わせて、ワークピース114によって放出された放射に基づいて計算することができる。
【0042】
エミッタ(例えば、エミッタ150)によって放出される放射、および/またはセンサ(例えば、反射率センサ166および/または温度測定装置167,168のセンサ)によって測定される放射は、1つ以上の関連する波長を有することができる。例えば、幾つかの実施形態では、エミッタは、放出された放射の波長範囲が数値の公差内、例えば数値の10%以内に収まるように放射を放出する狭帯域エミッタであるか、またはそれを含むことができ、この場合、エミッタは数値によって参照される。幾つかの実施形態では、これは、広帯域スペクトル(例えば、プランクスペクトル)を放出する広帯域エミッタと、広帯域スペクトル内の狭帯域のみを通過させるように構成された光学ノッチフィルタなどの光学フィルタとの組み合わせによって実現することができる。同様に、センサは、数値の波長の(例えば、許容範囲内の)狭帯域放射の強度を測定するように構成することができる。例えば、幾つかの実施形態では、パイロメータなどのセンサは、特定の狭帯域の波長を測定する(例えば、測定のために選択する)ように構成された1つ以上のヘッドを含むことができる。
【0043】
本開示の例示的な態様によれば、1つ以上の透明な領域161は、エミッタ150および/または反射率センサ166の視野内に少なくとも部分的に配置することができる。例えば、エミッタ150および反射率センサ166は、透明な領域161が透明な温度測定波長範囲で動作することができる。例えば、幾つかの実施形態では、エミッタ150および/または反射率センサ166は、2.7μmで動作することができる。
図1および
図2に示されているように、透明な領域161は、窓108(例えば、不透明な領域160)によって妨害されることなく、(一般に破線で示される)放射流がエミッタ150から始まり、透明な領域161を通過し、ワークピース114によって反射され、反射率センサ166によって収集されるように位置決めすることができる。同様に、不透明な領域160を、放射され反射された放射の流れの外側にある窓108上の領域に配置して、熱源140からの温度測定波長範囲の放射から、ワークピース114および特に反射率センサ166を遮蔽することができる。例えば、幾つかの実施形態では、2.7μmの波長で動作するセンサおよび/またはエミッタのために、透明な領域161が含まれてよい。
【0044】
幾つかの実施形態では、エミッタ150および/または反射率センサ166は、位相同期することができる。例えば、幾つかの実施形態では、エミッタ150および/または反射率センサ166は、位相同期レジームによって動作させることができる。例えば、不透明な領域160は、第1の波長での熱源140からのほとんどの迷走放射を遮蔽するように構成することができるにもかかわらず、幾つかのケースでは、迷走放射が、上述したように、反射率センサ166によって知覚される場合がある。エミッタ150および/または反射率センサ166を位相同期レジームによって動作させることは、迷走放射の存在にもかかわらず、強度測定時の精度向上に寄与することができる。
【0045】
図7に示すように、例示的な位相同期レジームが、プロット250,260に関して説明される。プロット250は、エミッタ150によって温度測定波長範囲内で放出された放射I
IRの放射強度を経時的に(例えば、ワークピース114上で実施される処理プロセスの期間にわたって)示している。プロット250に図示されているように、エミッタ150によって放出される放射強度は変調することができる。例えば、エミッタ150は、強度を変調させてワークピース114上に較正放射を放出することができる。例えば、エミッタ150によって放出される放射強度を、パルス251として変調することができる。幾つかの実施形態では、放射を、パルスモードでエミッタ150によって放出することができる。他の幾つかの実施形態では、エミッタ150の一定の放射を、回転するチョッパホイール(図示せず)によって周期的に遮蔽することができる。チョッパホイールは、1つ以上の遮蔽部分および/または1つ以上の通過部分を含むことができる。チョッパホイールは、エミッタ150からの一定の放射の流れを、チョッパホイールの遮蔽部分によって断続的に遮蔽して、チョッパホイールの通過部分によって通過させるように、エミッタ150の視野内で回転させることができる。したがって、エミッタ150によって放出される一定の放射の流れを、チョッパホイールの回転に対応するパルス周波数を有するパルス251に変調することができる。パルス周波数は、加工装置100内の他の構成要素の動作とほとんど重複しない周波数であるか、またはそれを含むように選択することができる。例えば、幾つかの実施形態では、パルス周波数は、約130Hzとすることができる。幾つかの実施形態では、130Hzのパルス周波数は、熱源140が130Hzの周波数を有する放射を実質的に放出しないように構成することができるので、特に有利である。付加的にかつ/または代替的に、反射率センサ166は、パルス周波数に基づいて位相同期することができる。例えば、加工装置100(例えば、コントローラ175)は、パルス周波数で変調されてワークピース114から反射されたエミッタ150の較正放射に基づいて、反射率センサ166から測定値(例えば、ワークピース114の反射率測定値)を隔離することができる。このようにして、加工装置100は、反射率センサ166からの測定時の迷走放射からの干渉を低減することができる。実施形態では、少なくとも1つの反射率測定値は、パルス周波数に少なくとも部分的に基づいて、1つ以上のセンサから隔離することができる。
【0046】
同様に、プロット260は、反射率センサ166によって測定された反射放射強度IRを経時的に示している。プロット260は、経時的に(例えば、ワークピース114の温度が上昇するにつれて)、チャンバ内の迷走放射(迷走放射曲線261によって図示)が増加し得ることを示している。これは、例えば、ワークピース114の温度の増加、熱源140の強度の増加、および/またはワークピース114の加工に関連する様々な他の要因に関して、ワークピース114の放射率が増加し、それに対応してワークピース114の反射率が減少することに起因している。
【0047】
エミッタ150が放射を放出していない時点の間、反射率センサ166は、迷走放射曲線261に対応する測定値(例えば、迷走放射測定値)を取得することができる。同様に、エミッタ150が放射を放出している時点(例えば、パルス251)では、反射率センサ166は、全放射曲線262(例えば、全放射測定値)に対応する測定値を取得することができる。そして、反射率測定値は、迷走放射曲線261を示すこの情報に基づいて補正することができる。
【0048】
例示的な実施形態では、反射率センサ166が、エミッタ150によって放出され反射された放射を収集するために使用されることが開示されているが、本開示はそのように限定されない。特定の実施形態では、1つ以上の加熱ランプ141を使用して、本明細書で説明したエミッタ150のものと同様の放射を放出することができる。例えば、1つ以上の加熱ランプ141によって放出される放射は、第1の放射成分と、第2の放射成分とを含むことができる。放出される第1の放射成分が、ワークピース114を加熱するように構成される一方、放出される第2の放射成分はパルス周波数で変調される。1つ以上の加熱ランプ141によって放出される変調された第2の放射成分の一部は、ワークピース114によって反射され、反射率センサ166によって収集され、ワークピース114の反射率測定値を取得することができる。
【0049】
他の特定の実施形態では、温度測定装置167,168は、反射率センサ166と同様に機能することができるセンサで構成することもできる。すなわち、温度測定装置167,168は、ワークピース114の反射率測定値を決定するために使用することができる、較正放射などの変調された放射の反射部分を収集することもできる。幾つかの実施形態では、加工装置(例えば、コントローラ175)は、反射率センサ166および/または温度測定装置167,168から、ワークピース114の第1の放射測定値と、ワークピース114の第2の反射率測定値とを隔離することができる。ワークピース114の第2の反射率測定値は、エミッタ150またはパルス周波数で変調された1つ以上の加熱ランプ141によって放出された放射の反射部分に基づいている。
【0050】
特定の実施形態では、ワークピース温度制御システムを使用して、ワークピース114の温度を調整するために熱源140への電力供給を制御することができる。例えば、特定の実施形態では、ワークピース温度制御システムは、コントローラ175の一部とすることができる。実施形態では、ワークピース温度制御システムは、温度測定システムによって取得された温度測定値とは独立して、熱源140への電力供給を変更するように構成することができる。しかしながら、他の実施形態では、ワークピース温度制御システムは、ワークピース114の1つ以上の温度測定値に少なくとも部分的に基づいて、熱源140への電力供給を変更するように構成することができる。ワークピース114に加えられる熱源140からのエネルギーがワークピースを所望の温度まで加熱するがそれ以上にはならないように、熱源140への電力供給を調整するために、閉ループフィードバック制御を適用することができる。このように、熱源140への電力を制御するなどの、熱源140の閉ループフィードバック制御によって、ワークピース114の温度を維持することができる。
【0051】
説明したように、熱源140は、加熱波長範囲で放射を放出することができ、温度測定システムは、温度測定波長範囲についての温度測定値を取得することができる。したがって、特定の実施形態では、加熱波長範囲は、温度測定波長範囲とは異なる。
【0052】
図8は、本開示の例示的な実施形態による、分離グリッドでのポストプラズマガス注入の例を示す図である。例として、
図1の加工装置100を参照して
図8を説明する。
【0053】
本開示の例示的な態様によれば、加工装置100は、分離グリッド200を流れる中性種にガスを注入するように構成された1つ以上のガスポート1000を含むことができる。例えば、ガスポート1000は、マルチプレート分離グリッドのグリッドプレート間に、ガス(例えば、冷却ガス)を注入するように動作させることができる。このようにして、分離グリッドは、中性種へのポストプラズマガス注入を提供することができる。ポストプラズマガス注入は、多くの技術的効果および利点を提供することができる。幾つかの実施形態では、プロセスの均一性の特性を制御するためにガスを注入することができる。例えば、中性ガス(例えば、不活性ガス)を注入して、ワークピースに対する半径方向の均一性などの均一性を制御することができる。幾つかの他の実施形態では、冷却ガスを注入して、分離グリッドを通過するラジカルのエネルギーを制御することができる。
【0054】
分離グリッド200は、マルチプレート分離グリッド(例えば、
図1に示す2プレートグリッド、3プレートグリッド、4プレートグリッドなど)とすることができる。
図8に示すように、加工装置100は、グリッドプレート210とグリッドプレート220との間に形成された通路内など、グリッドプレート210とグリッドプレート220との間にガス1002を注入するように構成されたガスポート1000を含むことができる。より詳細には、グリッドプレート210を、プラズマで生成されたイオンと中性種との混合物に曝すことができる。ガスポート1000は、グリッドプレート210を通って流れる中性種に、ガス1002または他の物質を注入することができる。ワークピースを、グリッドプレート220を通過する中性種に曝すことができる。幾つかの実施形態では、ガスポート1000は、分離グリッド200の下、かつワークピース114の表面の上の位置で、加工チャンバ110にガス1002を直接注入することができる。
【0055】
ガスポート1000からのガス1002または他の物質は、プラズマチャンバ120から来るラジカルよりも高い温度もしくは低い温度とすることができ、または、プラズマチャンバ120からのラジカルと同一の温度とすることができる。ガスを使用して、分離グリッド200を通過するラジカルのエネルギーを制御することによって、加工装置100内のラジカルの均一性などの、均一性を調整または修正することができる。非プロセスガスは、窒素(N2)などの希釈ガス、および/またはヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、もしくは他の不活性ガスなどの不活性ガスを含むことができる。幾つかの実施形態では、ガス1002は、ヘリウム、窒素、および/またはアルゴンなどの不活性ガスとすることができる。
【0056】
実施形態では、加工装置は、
図9に示すようなデュアルワークピース構成を有することができる。例えば、加工装置1200は、プラズマチャンバ120a,120bと、加工チャンバ110a,110bとを含む。実施形態では、加工チャンバ110a,110bは、壁1202によって分割することができる。しかしながら、他の実施形態では、加工チャンバ110が分割されていない加工チャンバ(図示せず)を含むことが想定されている。図示されているように、ワークピース114a,114bを支持するためのワークピース支持体112a,112bが加工チャンバ110a,110b内に配置されている。加工チャンバ110a,110bの、プラズマチャンバ120a,120bとは反対側には、1つ以上の熱源140a,140bが配置されている。1つ以上の分離グリッド200a,200bは、加工チャンバ110a,110bをプラズマチャンバ120a,120bから分離する。1つ以上の誘電体窓108a,108bは、熱源140a,140bとワークピース支持体112a,112bとの間に配置されている。ワークピース114a,114bの温度測定値を取得するように構成された1つ以上の温度測定装置167a,167bも、加工チャンバ110a,110bに相対して配置することができる。温度測定装置167a,167bのみが示されているが、デュアルワークピース加工装置1200は、(
図9には示されていない)エミッタ150、反射率センサ166、温度測定装置168などを含む、本明細書に記載の温度測定システムの他の構成要素を含むことができる。
【0057】
回転軸900a,900bは、加工チャンバ110a,110b内でワークピース支持体112a,112bを回転させるために、ワークピース支持体112a,112bに結合されている。回転軸900a,900bの一部を加工チャンバ110a,110b内に配置することができる一方、回転軸900a,900bの他の部分を加工チャンバ110a,110bの外側に配置し、回転軸900a,900bがワークピース114a,114bの回転を容易にしながら、加工チャンバ110a,110b内の真空圧を維持することができるようになっている。
【0058】
装置1200は、例えば、ガス分配通路151a,151bまたは他の分配システム(例えば、シャワーヘッド)を介して、プロセスガスを加工チャンバ110a,110bに送出するように構成されたガス送出システム155a,155bを含むことができる。ガス送出システム155a,155bは、複数の給送ガスライン159a,159bを含むことができる。給送ガスライン159a,159bは、弁158a,158bおよび/またはガスフローコントローラ185a,185bを用いて制御され、所望の量のガスをプロセスガスとしてプラズマチャンバに送出することができる。ガス送出システム155a,155bを使用して、任意の適切なプロセスガスを送出することができる。制御弁158a,158bを使用して、プロセスガスを加工チャンバ110a,110bに流すための各給送ガスラインの流量を制御することができる。幾つかの実施形態では、ガス送出システム155a,155bは、ガスフローコントローラ185a,185bを用いて制御することができる。幾つかの他の実施形態では、ガス分配システム155は、ガス分配通路151(図示せず)を介してプラズマチャンバ110a,110bにプロセスガスを送出することができる単一のガス分配ラインに結合された給送ガスライン159を含む一元的なシステムとすることができる。
【0059】
このようなデュアルワークピース構成によって、複数のワークピースを加工することができる。例えば、ワークピースを移送して加工チャンバ110aで加工する一方、別のワークピースを加工チャンバ110bで同時に加工することができる。例えば、第1の加工チャンバ110a内のワークピースを、適切なプラズマ処理および/または熱処理を介して加工することができる一方、第2の加工チャンバ110b内の別のワークピースを、適切なプラズマ処理および/または熱処理を介して加工することができる。
【0060】
図10は、本開示の例示的な態様による1つの例示的な方法(700)の流れ図を示している。方法(700)は、例として、
図1の加工装置100を参照して説明される。方法(700)は、任意の適切な加工装置で実施することができる。
図10は、図示および説明する目的で、特定の順序で実施されるステップを示している。当業者は、本明細書で提供される開示内容を利用して、本明細書で説明した方法のいずれかの様々なステップを、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な方法で省略、拡大、同時に実施、再配置、および/または修正することができることを理解されたい。さらに、本開示の範囲から逸脱することなく、様々なステップ(図示せず)を実施することができる。
【0061】
(702)において、本方法は、加工装置100の加工チャンバ110内にワークピース114を設置することを含むことができる。加工チャンバ110は、プラズマチャンバ120から分離することができる(例えば、分離グリッドアセンブリによって分離する)。例えば、本方法は、
図1の加工チャンバ110内のワークピース支持体112上にワークピース114を設置することを含むことができる。ワークピース114は、シリコン、二酸化シリコン、炭化シリコン、1種以上の金属、1種以上の誘電体材料、またはそれらの組み合わせからなる1つ以上の層を含むことができる。
【0062】
(704)において、本方法は、プラズマチャンバ内にプロセスガスを入れることを含む。例えば、プロセスガスを、ガス分配通路151を含むガス送出システム155を介してプラズマチャンバ120に入れることができる。ガス送出システム155を使用して、ワークピース114から少なくとも1つの材料層をエッチングすることができるプロセスガスを送出することができる。例えば、プロセスガスは、酸素含有ガス(例えば、O2,O3,N2O,H2O)、水素含有ガス(例えば、H2,D2)、窒素含有ガス(例えば、N2,NH3,N2O)、フッ素含有ガス(例えば、CF4,C2F4,CHF3,CH2F2,CH3F,SF6,NF3)、炭化水素含有ガス(例えば、CH4)、またはこれらの組み合わせを含むことができる。幾つかの実施形態では、プロセスガスは、He,Ar,Ne,XeまたはN2など、「キャリア」ガスと呼ぶことができる不活性ガスと混合することができる。制御弁158を使用して、プラズマチャンバ120にプロセスガスを流すための各給送ガスラインの流量を制御することができる。ガスフローコントローラ185を使用して、プロセスガスの流れを制御することができる。
【0063】
(706)において、本方法は、プラズマチャンバ120内で誘導されたプラズマを用いて、プロセスガスから1種以上の種を生成することを含む。例えば、1種以上の種またはラジカルを生成するために、誘導コイル130をRF電力発生器134からのRF電力で励磁して、プラズマチャンバ120内のプロセスガスからプラズマを生成することができる。生成されたプラズマは、ラジカルを含む1種以上の種を含むことができる。適切なラジカルは、ワークピースから、材料の一部または材料層の一部を除去することができるエッチングラジカルを含むことができる。ワークピース114の表面特性を改質することができる他のラジカルを生成することができる。例えば、ワークピースの一部に材料層を選択的に堆積させることができるラジカルを生成することができる。表面の洗浄、表面の平滑化、材料の酸化、材料の窒化、材料のドープなどを含むが、これらに限定されない、ワークピース上の材料層の化学組成または材料組成を改質することができるラジカルを生成することができる。適切なラジカルの例としては、水素ラジカル、酸素ラジカル、フッ素ラジカル、およびこれらの組み合わせが挙げられる。幾つかの実施形態では、プラズマチャンバ内で生成されたプラズマは、水素ラジカル、フッ素ラジカル、酸素ラジカル、およびそれらの組み合わせなどの1種以上のラジカルを含むリモートプラズマである。
【0064】
(708)において、本方法は、濾過済み混合物を生成するために、1種以上の種を濾過することを含む。濾過済み混合物を生成するために、プラズマチャンバ120を加工チャンバ110から分離する分離グリッド200を介して1種以上の種を濾過し、所望のラジカルを生成することができる。分離グリッド200を使用して、濾過済み混合物を生成するために、プラズマチャンバ120内のプラズマによって生成された混合物からイオン濾過を実施することができる。濾過済み混合物は、1種以上のラジカルを含んでよい。
【0065】
幾つかの実施形態では、分離グリッド200は、約90%以上の効率、例えば約95%以上の効率でイオンを濾過するように構成することができる。イオン濾過のパーセント効率は、混合物中のイオンの総数に対する、混合物から除去されたイオンの量を指す。例えば、約90%の効率は、濾過中に約90%のイオンが除去されることを示している。約95%の効率は、濾過中に約95%のイオンが除去されることを示す。
【0066】
幾つかの実施形態では、分離グリッドは、マルチプレート分離グリッドとすることができる。マルチプレート分離グリッドは、並列した複数の分離グリッドプレートを有することができる。グリッドプレートの穴の配置および配列は、約95%以上など、イオン濾過のための所望の効率を提供するように選択することができる。
【0067】
幾つかの実施形態では、1つ以上の分離グリッドプレートは、分離グリッドプレート内に配置された1つ以上の冷却通路を含むことができる。本方法は、1つ以上の冷却通路を通して水を圧送することによって、1つ以上の分離グリッドを冷却することを含むことができる。
【0068】
さらに、幾つかの実施形態では、本方法は、分離グリッドを通過するラジカルのエネルギーを調整するために、分離グリッドに設けられたかまたは分離グリッドの下に設けられた1つ以上のガス注入ポートを通して非プロセスガスを入れることを含む。
【0069】
(710)において、本方法は、ワークピースを濾過済み混合物に曝すことを含む。濾過済み混合物は、ワークピース114の表面を改質することができる1種以上のラジカルを含むことができる。例えば、濾過済み混合物は、ワークピース114から材料を剥離することができる1種以上のラジカルを含むことができる。他の実施形態では、濾過済み混合物は、ワークピース114に材料層を堆積させることができる1種以上のラジカルを含むことができる。他の実施形態では、濾過済み混合物は、ワークピース114の表面上の1つ以上の材料層の化学組成または化学的特性もしくは機械的特性を改質することができる1種以上のラジカルを含むことができる。
【0070】
(712)において、本方法は、ワークピースを加熱するために、ワークピースの1つ以上の表面に向けて放射を放出することを含む。例えば、1つ以上の熱源140は、1つ以上の加熱ランプ141を含むことができる。他の適切な熱源は、本明細書で既に説明したように使用することができる。幾つかの実施形態では、例えば、リフレクタ800(例えば、鏡)などの指向要素は、熱源140からの放射を加工チャンバ110内でワークピース114および/またはワークピース支持体112に対して向けるように構成することができる。
【0071】
特定の実施形態では、ワークピース114は、ワークピースの加熱中に加工チャンバ110内で回転させることができる。例えば、ワークピース支持体112に結合された回転軸900を使用して、加工チャンバ110内でワークピース114を回転させることができる。
【0072】
ワークピース114を濾過済み混合物に曝すこと(710)と、ワークピースに放射を放出すること(712)とを、ワークピースの所望の加工が達成されるまで交互に行うことができる。他の実施形態では、ワークピース114を濾過済み混合物に曝すと同時に、ワークピースに放射を放出してワークピースを加熱することが望ましい場合がある。加工パラメータに応じて、プロセスガスは、1つ以上のガス排気ポート921を介して加工チャンバ110から除去することができる。
【0073】
(714)において、本方法は、ワークピース114の温度を示す温度測定値を取得することを含む。例えば、1つ以上の温度測定装置167,168、エミッタ150、および/または反射率センサ166を使用して、本明細書で既に説明したように、ワークピース114の温度を示す温度測定値を取得することができる。幾つかの実施形態では、温度測定は、1つ以上のエミッタによって、ワークピースの1つ以上の表面に較正放射を放出することと、1つ以上のエミッタによって放出され、ワークピースの1つ以上の表面によって反射された較正放射の反射部分を、1つ以上の反射率センサによって測定することと、反射部分に少なくとも部分的に基づいて、ワークピース114の反射率を決定することと、を含むことができる。幾つかの実施形態では、ワークピースの反射率測定は、1つ以上のエミッタによって放出される放射をパルス周波数で変調することと、パルス周波数に少なくとも部分的に基づいて、1つ以上の反射率センサから少なくとも1つの測定値を隔離することと、によって取得することができる。ワークピース114の放射率は、ワークピース114の反射率から決定することができる。他の幾つかの実施形態では、温度測定装置167,168内のセンサなどの1つ以上のセンサを使用して、ワークピース114から直接照射測定値を取得することができる。1つ以上の窓106,108を使用して、1つ以上の加熱ランプ141によって放出された広帯域放射の少なくとも一部が、温度測定装置167,168内のセンサまたは反射率センサ166などの1つ以上のセンサに入射することを遮蔽することができる。ワークピース141の温度は、ワークピース114の放射および放射率から決定することができる。
【0074】
実施形態では、
図10の様々な矢印によって示されるように、本方法は、様々な順序または組み合わせでリストされたステップを含むことができる。例えば、特定の実施形態では、ワークピース114をプラズマ処理する前に、加工チャンバ110内にワークピース114を設置して、熱源140からの放射に曝すことができる。他の実施形態では、ワークピース114の温度測定値を取得した後、ワークピース114はプラズマ処理または熱処理プロセスを受けることができる。ワークピース114を濾過済み混合物に曝すことと、ワークピース114に放射を放出することと、ワークピース114の温度測定値を取得することとを、ワークピース114の所望の加工が達成されるまで交互に行うことができる。他の実施形態では、ワークピース114を濾過済み混合物に曝すと同時に、ワークピース114に放射を放出してワークピース114を加熱することが望ましい場合がある。ワークピースの加工が完了するまで、温度測定値を取得することができる。本明細書で提供されるステップは、所望の加工パラメータに応じて任意の方法で交互にまたは繰り返し行うことができる。
【0075】
他の実施形態では、加工チャンバ110内にワークピース114を設置し、その後、例えば、ワークピース114を所定の加工温度または前加工温度に加熱するために、ワークピース114を放射に曝すことができることが想定されている。ワークピース114を放射に曝し、所望の前加工温度を達成した後、ワークピース114は、プラズマ処理プロセスを受けることができる。
【0076】
(716)において、プラズマの生成を停止し、プラズマチャンバおよび/または加工チャンバの両方またはいずれかへのガスの流入を停止し、放射の放出を停止して、したがって、ワークピースの加工が終了する。
【0077】
(718)において、本方法は、加工チャンバ110からワークピースを取り出すことを含む。例えば、ワークピース114を、加工チャンバ110内のワークピース支持体112から取り出すことができる。その後、加工装置を、付加的なワークピースの将来の加工のために調節することができる。
【0078】
本発明の更なる態様は、以下の条項の主題によって提供される。
【0079】
加工装置内でワークピースを加工するための方法であって、加工チャンバ内に配置された石英を含むワークピース支持体上にワークピースを設置することと、プラズマチャンバ内に1種以上のプロセスガスを入れることと、プラズマチャンバに設けられた誘導結合プラズマ源を使用してプラズマ内に1種以上のプロセスガスから1種以上の種を生成することと、1種以上のラジカルを含む濾過済み混合物を生成するために、1つ以上の分離グリッドによって1種以上の種を濾過することと、ワークピースを1種以上のラジカルを含む濾過済み混合物に曝すことと、ワークピースの表面の少なくとも一部を加熱するために、1つ以上の放射熱源によって、ワークピースの1つ以上の表面に向けられた放射を放出することと、ワークピースの温度を示す温度測定値を取得することと、を含む方法。
【0080】
少なくとも部分的に加工チャンバ内に配置された回転軸によって加工チャンバ内でワークピースを回転させることをさらに含む、前項のいずれか1項記載の方法。
【0081】
加工チャンバ内の真空圧を維持することをさらに含む、前項のいずれか1項記載の方法。
【0082】
1つ以上の排気ポートを使用して加工チャンバからガスを除去することを含む、前項のいずれか1項記載の方法。
【0083】
加工チャンバを通るプロセスガスの流れを指向するための1つ以上の通路を提供する圧送プレートをワークピースの周囲に配置することをさらに含む、前項のいずれか1項記載の方法。
【0084】
プロセスガスは、酸素含有ガス、水素含有ガス、窒素含有ガス、炭化水素含有ガス、フッ素含有ガスまたはこれらの組み合わせを含む、前項のいずれか1項記載の方法。
【0085】
ワークピースの温度を示す温度測定値を取得することは、1つ以上のエミッタによって、ワークピースの1つ以上の表面に較正放射を放出することと、1つ以上のエミッタによって放出され、ワークピースの1つ以上の表面によって反射された較正放射の反射部分を1つ以上のセンサによって測定することと、反射部分に少なくとも部分的に基づいて、ワークピースの温度を示す第1の温度測定値を決定することと、を含む、前項のいずれか1項記載の方法。
【0086】
1つ以上のエミッタによってパルス周波数で放射を放出することと、パルス周波数に少なくとも部分的に基づいて、1つ以上のセンサから少なくとも1つの測定値を隔離することと、をさらに含む、前項のいずれか1項記載の方法。
【0087】
ワークピースを加熱するように構成された1つ以上の加熱ランプによって放出された広帯域放射の少なくとも一部が1つ以上のセンサに入射することを1つ以上の窓によって遮蔽することをさらに含む、前項のいずれか1項記載の方法。
【0088】
ワークピースを1種以上のラジカルを含む濾過済み混合物に曝すことと、ワークピースの表面の少なくとも一部を加熱するために、1つ以上の熱源によって、ワークピースの1つ以上の表面に向けられた放射を放出することと、を交互に行うことを含む、前項のいずれか1項記載の方法。
【0089】
1つ以上の分離グリッド内に配置された1つ以上の冷却通路を通して流体を圧送することによって1つ以上の分離グリッドを冷却することを含む、前項のいずれか1項記載の方法。
【0090】
分離グリッドに設けられたかまたは分離グリッドの下に設けられた1つ以上のガス注入ポートを通して非プロセスガスを入れることをさらに含む、前項のいずれか1項記載の方法。
【0091】
プラズマ生成、プロセスガスの流れまたは放射を放出することを停止することをさらに含む、前項のいずれか1項記載の方法。
【0092】
加工チャンバからワークピースを取り出すことをさらに含む、前項のいずれか1項記載の方法。
【0093】
本発明の主題は、その特定の例示的な実施形態に関して詳細に説明されてきたが、当業者は、前述の理解を得た上で、そのような実施形態に対する修正、変形、および等価物を容易に製造することができることを理解されたい。したがって、本開示の範囲は、限定ではなく例示によるものであり、本開示は、当業者に容易に明らかになるような修正、変形、および/または付加を本主題に含めることを排除するものではない。