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特許7315669生体の心音、循環効果及び深部温度を継続的に無線で監視及び分析するセンサシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】生体の心音、循環効果及び深部温度を継続的に無線で監視及び分析するセンサシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20230719BHJP
   G01K 13/20 20210101ALI20230719BHJP
   A61B 5/02 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
A61B5/00 102A
G01K13/20 341Z
A61B5/02 350
A61B5/02 G ZDM
【請求項の数】 40
(21)【出願番号】P 2021518701
(86)(22)【出願日】2019-10-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(86)【国際出願番号】 NO2019050210
(87)【国際公開番号】W WO2020071926
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2022-09-06
(31)【優先権主張番号】1816203.2
(32)【優先日】2018-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】20181283
(32)【優先日】2018-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(73)【特許権者】
【識別番号】519345265
【氏名又は名称】オニオ アーエス
【氏名又は名称原語表記】ONIO AS
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100221899
【弁理士】
【氏名又は名称】高倉 みゆき
(72)【発明者】
【氏名】チェーティル メイサル
【審査官】外山 未琴
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0085062(US,A1)
【文献】国際公開第2016/185905(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00
A61B 5/02
G01K 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体の心音、循環効果及び深部温度を測定するセンサであって、
前記生体と電気的に接続される電極(126)を有する第1の層(104)と、
前記第1の層(104)の上に配置される、断熱材料を含む第2の層(122)と、
前記第2の層上に設けられる第3の層と、
前記第2の層(122)を通して熱伝導体(105)を介して前記第1の層(104)と熱的に接続される第1の温度センサ(110)と、
前記生体から断熱されて前記第3の層と熱的に接続される第2の温度センサ(120)と、を備え、
前記第1の温度センサ及び第2の温度センサが前記第2の層(122)よりも上に位置し、
前記電極(126)に動作可能に接続されるセンサ機器増幅ECG装置(117)が前記第1の層(104)上に位置し、
前記電極(126)がECG電極(126)として機能し、
前記第1の層及び第2の層の切り抜きの底部の第3の層上に位置する音センサ(129)を更に備え
前記切り抜きが、音を前記音センサまでより最適に伝える空洞を形成する、センサ。
【請求項2】
前記第2の温度センサが、前記第2の層によって前記生体から断熱されている、請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記切り抜きが円錐形状を有する、請求項1又は2に記載のセンサ。
【請求項4】
温度、圧力、流体流、熱流、レベル、近接性、変位、生体インピーダンス、画像、光、ガス、化学物質、加速度、方位、湿度、水分、インピーダンス、静電容量、力、電気、磁気、質量及び音声を含む群の追加の物理的特性を測定する少なくとも1つの追加のセンサを更に備える、請求項1に記載のセンサ。
【請求項5】
前記第3の層及び第1の層が金属材料を含む、請求項1に記載のセンサ。
【請求項6】
前記生体と前記空洞とを分離する振動板(111)を更に備える、請求項1に記載のセンサ。
【請求項7】
前記振動板が体音と共鳴する材料を含み、前記音センサ(129)によって拾われる音響圧力波を生成する、請求項6に記載のセンサ。
【請求項8】
前記音センサ(129)が加速度計である、請求項1に記載のセンサ。
【請求項9】
前記センサが圧電素子である、請求項1に記載のセンサ。
【請求項10】
前記生体の表面に向けられた前記第1の層(104)上にLED(119)及び光センサ(118)を更に備える、請求項1に記載のセンサ。
【請求項11】
前記生体の表面に接続する振動板(111)を更に備える、請求項1に記載のセンサ。
【請求項12】
前記センサが前記振動板上に位置しているか、又は前記振動板として構築される、請求項11に記載のセンサ。
【請求項13】
前記振動板(111)が導電性材料を含み、多層構造内に容量センサとして構築される、請求項11又は12に記載のセンサ。
【請求項14】
前記第3の層が、コンデンサを形成する前記振動板(111)の真上の導電性形状を含む、請求項13に記載のセンサ。
【請求項15】
前記振動板(111)と第3の層の導電性形状との間の前記第2の層(122)の少なくとも一部が除去され、
前記振動板が動く空気充填空洞を形成する、請求項14に記載のセンサ。
【請求項16】
前記振動板(111)が圧電素子で作られるか、又は前記圧電素子上に搭載される加速度計(128)を備える、請求項15に記載のセンサ。
【請求項17】
前記第1の層(104)が前記生体と電気的に接触しており、
前記センサが心電図ECGである、請求項1に記載のセンサ。
【請求項18】
ECGセンサが、前記第1の層(104)において分離されて前記生体と接触する2つ以上の電極を有する、請求項17に記載のセンサ。
【請求項19】
前記第1の層(104)が、前記生体の表面に接触する、前記第1の温度センサ(110)、電極(126)、力センサ(115)及び光センサ(118)と熱的に接続される、請求項1に記載のセンサ。
【請求項20】
環境発電手段(142)と、少なくとも1つのエネルギーストレージユニットと、を更に備え、
前記環境発電されたエネルギーが前記エネルギーストレージユニットに貯蔵される、請求項1に記載のセンサ。
【請求項21】
前記エネルギーを、光発電、熱電、圧電、電磁気、磁気、電気、酸化、静電及び生体エネルギーを含む群からの手段を使用して、周囲から環境発電することができる、請求項20に記載のセンサ。
【請求項22】
環境発電手段(142)を更に備え、圧電素子である振動板センサ(128)からエネルギーが環境発電される、請求項1に記載のセンサ。
【請求項23】
ECGセンサ、前記第1の温度センサ及び第2の温度センサ、前記音センサ及び光センサをサンプリングする処理手段を更に備える、請求項1に記載のセンサ。
【請求項24】
前記センサ(100)の少なくとも2つの金属層(104,106)及び少なくとも1つの絶縁層(122)で形成される容量性ストレージを備える群からのタイプのエネルギーストレージユニット、バッテリ及び燃料電池を更に備える、請求項1に記載のセンサ。
【請求項25】
前記センサが放射素子を更に含み、
前記第1の層が前記放射素子に対する反射体であり、
前記放射素子と前記反射体との間に断熱材料によって距離が形成されている、請求項1に記載のセンサ。
【請求項26】
前記放射素子、前記断熱材料及び前記反射体が、環境発電されたエネルギーを貯蔵するエネルギーストレージユニットを形成する、請求項25に記載のセンサ。
【請求項27】
前記反射体が、環境発電手段から環境発電されたエネルギーを貯蔵する容量性ストレージ装置の一部を備える、請求項25に記載のセンサ。
【請求項28】
前記放射素子が環境発電に対する受信要素として機能する、請求項25に記載のセンサ。
【請求項29】
環境発電手段、エネルギーストレージユニット、及び処理手段に電力を供給して少なくとも1つのセンサ(110,120,115,128,129)からデータをサンプリングする容量性ストレージ装置、を含む群から選択される少なくとも1つに動作可能に連結される前記処理手段を更に備え、
前記処理手段は、少なくとも1つのサンプリングされたセンサデータを送信する放射素子に連結される、請求項1に記載のセンサ。
【請求項30】
前記処理手段に連結されるインジケータを更に備える、請求項29に記載のセンサ。
【請求項31】
通知及び警報の手段を更に備える、請求項1に記載のセンサ。
【請求項32】
前記通知及び警報の手段が、ボタン及び音センサ(129)を含む群からの少なくとも1つである、請求項31に記載のセンサ。
【請求項33】
前記通知及び警報を使用して、イベントのデータにタイムスタンプを付ける、請求項31に記載のセンサ。
【請求項34】
前記通知及び警報を使用して支援要請する、請求項31に記載のセンサ。
【請求項35】
請求項1に記載のセンサを使用して、生体の心音、循環効果及び深部温度を測定する方法であって、
前記センサは前記生体の表面に配置され、光センサを更に備え、前記方法は、
第1のセンサでECGを測定するステップと、
前記音センサで心音を測定するステップと、
前記光センサで酸素飽和度を測定するステップと、
前記第1の温度センサで温度を測定するステップと、
前記第2の温度センサで温度を測定するステップと、
前記第1の温度センサ及び前記第2の温度センサからの測定値を使用して熱流束計算により前記深部温度を計算するステップと、
周波数、振幅及び位相シフトに関してマイクロホンからの前記心音を処理して、心音の分類及び心臓の動きを決定するステップと、を含む、方法。
【請求項36】
放射光スペクトルと受信光スペクトルとの差分から酸素飽和度を計算するステップを更に含む、請求項35に記載の測定方法。
【請求項37】
測定されたECGからECG信号及び複合体を計算するステップを更に含む、請求項35に記載の測定方法。
【請求項38】
加速度計データから脈拍及び心臓の動きを計算するステップを更に含む、請求項35に記載の測定方法。
【請求項39】
体温、RR、HRを使用して甲状腺反応及び食事摂取量に対する特徴的な身体変化を推定する方法であって、
請求項に記載のセンサからBTを測定するステップと、
請求項に記載のセンサからHRを測定するステップと、
請求項に記載のセンサからRRを測定するステップと、
請求項に記載のセンサからユーザ通知を測定するステップと、
体温、RR、HR及び前記ユーザ通知の前記測定からの測定値を使用して、前記甲状腺反応及び食事摂取量に対する身体変化を計算するステップと、を更に含む、請求項35~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
生体の表面温度を測定する、請求項1~34のいずれか一項に記載のセンサを使用する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に測定システムに関し、より具体的には、生体の心音、循環効果及び深部温度を継続的に測定及び分析するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
聴診器、心電図ECG、超音波撮像、sPO2及び心音用電子聴診器、並びに酸素飽和度のような循環効果用sPO2には、最新技術が反映されている。体温測定については、手動の体温計又は側頭動脈赤外線感知を使用した鼓膜(耳の中)、口腔又は直腸の測定が最新技術と考えられている。これらの方法は、装置がかさばり、複数の専門家が取り扱う必要があり、自動監視なしでの継続的な監視には適していない。専門の医療現場では、例えば心房細動が心停止及び生命を脅かす可能性のある状況に発展する可能性がある場合、多点ECG及びsPO2を使用して心拍リズム及び機能、並びに呼吸機能を継続的に監視する。これらのプローブは全て配線で接続されており、ほとんどの場合、患者は測定中安静にしている必要があるため、患者は看護師の助けなしでベッドの外に動くことが制限される。ECGは、心臓の電気的活動のみを監視し、例えば心拍出量のような機械的心機能及び有効性を評価する用途には限界がある。電気的活動のみを監視するので、ECGの測定値から、QRS波が実際に心拍を伴うと結論づけることができない。電気的活動は正常だが心拍出量がない、いわゆる「結滞(skipped beat)」と呼ばれるこの一般的な状況を検出できないことが、今日のECG評価の限界となっている。
【0003】
先行技術としては、従来の聴診器、従来のsPO2並びに従来の体温計及びECGを参照すべきである。
【0004】
表面接触のための接触面、接触面センサ、及びセンサに動作可能に接続される無線チップを使用して継続的に読み出しするシステム及び方法、並びに周囲温度、圧力、流量、流れ、レベル、近接性、変位、バイオ、画像、ガス、化学物質、加速度、方位、湿度、水分、インピーダンス、静電容量、力、電気、磁気及び質量を測定し、これにより補正データを形成する方法に関する特許文献1も参照すべきである。
【0005】
また更に、深部体温計に関しては特許文献2を参照すべきであり、基板と、熱流を受け取って2つの熱流に分割される受熱端末装置とを有する、深部身体体温計を開示し、各々の流れが、入力側及び出力側温度センサを備えるそれぞれの熱流測定システムによって測定される。
【0006】
最後に、監視システムに関しては特許文献3を参照すべきであり、監視システムは、ハウジング内に電界センサであり得る少なくとも1つのセンサを有するモジュールを備える。
【0007】
したがって、上述の問題を克服する方法及びシステムが必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】国際公開第2018/186748号
【文献】欧州特許出願公開第3296708号明細書
【文献】米国特許出願公開第2007100666号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の主な目的は、生体の心音、循環効果及び深部温度を継続的に測定及び分析するセンサ及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、本発明によれば、請求項1の特徴部分の特徴を有する、請求項1の前提部分に定義される生体の心音、循環効果及び温度を測定するセンサにより達成され、また、請求項33の特徴部分の特徴を有する、請求項33の前提部分に定義されるセンサの動作方法によって達成される。
【0011】
本発明の第1の態様では、生体の心音、循環効果及び深部温度を測定するセンサが提供され、センサは、生体と電気的に接続される電極を有する第1の層(104)と、第1の層(104)の上に配置される、断熱材料である第2の層(110)と、第2の層(122)を介して第1の層(104)と熱的に接続される第1の温度センサ(120)と、生体から断熱される第2の温度センサ(120)と、を備え、第1の温度センサ及び第2の温度センサが第2の層(122)よりも上に位置し、電極(126)に接続されるセンサ機器増幅ECG装置(117)が第1の層(104)上に位置し、電極(126)がECG電極(126)として機能し、第1の層及び第2の層の切り抜きの底部の第3の層上に位置する音センサ(129)が、音を音センサまでより最適に伝える空洞を形成することを特徴とする。
【0012】
好ましくは、第1の温度センサ(110)は、第2の層(122)を通る熱伝導体(105)を介して第1の層(104)と熱的に接続している。好ましくは、音センサはマイクロホンである。好ましくは、切り抜きは円錐形状である。
【0013】
第1の層、第2の層及び第3の層を重ねたものに言及するときは、これらは積層形式で編成されており、第1の層が生体に最も近い。第2の層は第1の層の上に重ねられ、第2の層は第1の層よりも生体から離間している。「上に」は、第1の層が水平面上に配置されている場合、その他の層も水平に重ねられていることを理解すべきである。通常、サンドイッチ構造とも呼ばれる。層は、同じ形状、厚さ、面積、方位を有する必要はない。つまり、層の積層形態を依然として維持しながら、層が部分的に重なり合い得ることを意味する。
【0014】
好ましくは、センサシステムは、温度、圧力、流体流、熱流、レベル、近接性、変位、生体インピーダンス、画像、光、ガス、化学物質、加速度、方位、湿度、水分、インピーダンス、静電容量、力、電気、磁気、質量及び音声を含む群の、追加の物理的特性を測定する少なくとも1つの追加のセンサを備える。これは、生体の監視の改善に有利であろう。
【0015】
好ましくは、センサ(100)は、第2の層よりも上に第3の層を更に備えることを特徴とし、好ましくは、第3の層及び第1の層は金属材料を含む。利点の1つは、層が電荷の容量性ストレージとして動作できることである。
【0016】
好ましくは、センサ(100)は、生体と空洞とを分離する薄い振動板(diaphragme)(111)を更に備えることを特徴とする。好ましくは、これは体音と共鳴する薄い材料であり、音センサ(129)によって拾われる音響圧力波を生成し、好ましくはマイクロホンである。
【0017】
好ましくは、センサ(100)は、加速度計である音センサ(129)を更に備えることを特徴とする。
【0018】
好ましくは、センサ(100)は、圧電素子であるセンサ(111)を更に備えることを特徴とする。
【0019】
好ましくは、センサ(100)は、皮膚に向けられた第1の層(104)上にLED(119)及び光センサ(118)を更に備えることを特徴とする。反射率パルスオキシメータとして機能する。
【0020】
好ましくは、センサ(100)は、生体の表面に接続する振動板(111)を更に備えることを特徴とする。より好ましくは、加速度計又は圧電構成部品であるセンサ(128)が振動板上に位置しているか、又は振動板として構築される。利点の1つは、振動板の動きが電気信号に直接変換されることである。
【0021】
好ましくは、センサ(100)は、薄い導電性材料である振動板(111)を更に備え、多層構造内に容量センサとして構築されていること特徴とする。好ましくは、第3の層は、このようなコンデンサを形成する振動板(111)の真上の導電性形状を含む。より好ましくは、振動板(111)と第3の層との間の第2の層(122)が除去され、振動板が動く空気充填空洞を形成する。この利点は、PCB製造のような標準的な製造技術で低コストの構造を実装できることである。更に好ましくは、第1の振動板(111)は、圧電素子で作られるか、又は圧電素子上に搭載される加速度計(128)を備える。この利点は、2つのセンサの相関関係により、頑健性及び耐騒音性を増大させることである。
【0022】
好ましくは、センサ(100)は、生体と電気的に接触する第1の層(104)を更に含み、センサ(128)は、心電図ECG(デジタル変換器付き機器増幅器)であることを特徴とする。より好ましくは、このECGセンサは、第1の層(104)において分離されて生体と接触する2つ以上の電極を有する。
【0023】
好ましくは、センサ(100)は、人間の皮膚等の生体の表面に接触する、温度センサ(110)、電極(126)、力センサ(115)及び光センサ(118)と熱的に接続される第1の層(104)を更に備えることを特徴とする。
【0024】
好ましくは、センサは、環境発電手段(142)と、少なくとも1つのエネルギーストレージユニットと、を更に備え、環境発電されたエネルギーがエネルギーストレージユニットに貯蔵されることを特徴とする。利点の1つは、エネルギーを貯蔵して後に使用できることである。エネルギーは、光起電、熱電、圧電、電磁気、磁気、電気、酸化、静電、生体エネルギーを電気エネルギーに変換する手段を使用して、周囲から環境発電することができる。
【0025】
好ましくは、センサは、環境発電手段(142)を更に備え、圧電素子である振動板センサ(128)からエネルギーを環境発電することを特徴とする。
【0026】
好ましくは、センサは、ECGセンサ、第1の温度センサ及び第2の温度センサ、音センサ並びに光センサをサンプリングする処理手段を更に備えることを特徴とする。利点の1つは、センサデータをデジタル形式に変換できることである。処理手段は、プログラム可能かつ変更可能である。前記処理手段は、変更可能な操作モード、センサの操作、データの格納、データの処理、データの暗号化、データの復号化、データの解釈、補助構成要素の操作及び較正、並びに自己破壊を含む群から少なくとも1つの特性を有することができる。加えて、メモリ装置を設けて、センサデータを格納して後の検索を可能にしてもよい。
【0027】
好ましくは、センサは、エネルギーストレージユニットが少なくとも1つの容量性ストレージであり、好ましくは、センサ(100)の少なくとも2つの金属層(104,106)及び少なくとも1つの絶縁層(122)で形成されることを特徴とする。また、エネルギーストレージユニットは、バッテリ、燃料電池又は類似のものであってもよい。
【0028】
好ましくは、センサは、センサが放射素子を更に含み、第1の層が放射素子に対する反射体であり、アンテナ放射素子と反射体との間に断熱材料によって距離が形成されていることを特徴とする。利点の1つは、設計がコンパクトなことである。
【0029】
好ましくは、センサは、放射素子、断熱材料及び反射体が、環境発電されたエネルギーを貯蔵するエネルギーストレージユニットを形成することを特徴とする。利点の1つは、サイズが改善されることである。
【0030】
好ましくは、センサは、反射体が、環境発電手段からの環境発電されたエネルギーを貯蔵する容量性ストレージ装置を備えることを特徴とする。利点の1つは、ユニットのサイズが縮小され、装置の製造が容易になることであろう。
【0031】
好ましくは、センサは、放射素子が環境発電に対する受信要素として機能することを特徴とする。利点の1つは、電波からのエネルギーを環境発電できることである。
【0032】
好ましくは、センサは、処理手段が、環境発電手段、エネルギーストレージユニット、及び処理手段に電力を供給して少なくとも1つのセンサ(110,120,115,118,128,129)からデータをサンプリングする容量性ストレージ装置、を含む群から選択される少なくとも1つに連結され、処理手段が少なくとも1つのサンプリングされたセンサデータを送信する放射素子に連結されていることを特徴とする。利点の1つは、ユニットへ周囲から電力供給ができ、以前のエネルギーが装置に貯蔵されているので、環境発電にアクセスすることなく一定期間動作できることである。
【0033】
好ましくは、センサは、処理手段に連結されるインジケータを更に備え、好ましくはインジケータが着色光であることを特徴とする。インジケータは、LCDスクリーン、電子インク(e-ink)スクリーン、白色光、又は警報の状況をユーザに視覚的に表示できる他の装置とすることができる。
【0034】
好ましくは、センサは、通知及び警報に使用されるボタンを更に備えることを特徴とする。通知及び警報は、時間符号化タップ配列であってもよい。通知及び警報を使用して、イベントのデータにタイムスタンプを付け、又は支援要請することができる。好ましくは、このセンサは、音センサ(129)と同じである。
【0035】
本発明の第2の態様では、生体の表面に配置される請求項1に記載のセンサを使用して、生体の心音、循環効果及び深部温度を測定する方法が提供される。本方法は、第1のセンサからECGを測定するステップと、音センサから心音を測定するステップと、光センサから酸素飽和度を測定するステップと、第1の温度センサから温度を測定するステップと、第2の温度センサから温度を測定するステップと、第1の温度センサ及び第2の温度センサからの測定値を使用して熱流束計算により深部温度を計算するステップと、周波数、振幅及び位相シフトに関してマイクロホンからの音を処理して、心音の分類及び心臓の動きを決定するステップと、を含む。
【0036】
好ましくは、本方法は、放射光スペクトルと受信光スペクトルとの差分から酸素飽和度を計算するステップを含む。ECG記録データからECG信号及び複合体を計算する。
【0037】
好ましくは、本方法は、加速度計データから脈拍及び心臓の動きを計算するステップを更に含む。
【0038】
本発明の第3の態様では、生体の表面温度を測定するセンサの使用方法が提供される。
【0039】
本発明の第4の態様では、ユーザ入力等からの機械的圧力を測定するセンサの使用方法が提供され、ユーザがセンサを押す、タップする又は打つことで、例えば世話人に警告する。このようなタップは、時間符号化配列とし、誤警報を回避することができる。
【0040】
本発明の多数の非網羅的な実施形態、変形形態又は代替形態は、従属請求項によって定義される。
【0041】
本明細書において、「継続」という用語は、システムが有効になっている場合、ユーザの介入に関係なく、測定を繰り返し実行する測定システムを意味するものと理解される。人間のECGを監視する場合、これは、250Hz~1kHzの測定値を意味する場合があり、心拍変動性HRVの検出に関連する必要なサンプリングレートに対応する。人間の心音を監視する場合、これは、4kHzでの測定を意味する場合があり、第1、第2及び第3の心音、収縮期音及び拡張期音、並びに全収縮期雑音の特徴の検出及び分離に関連する必要なサンプリングレートに対応する。酸素飽和度については、これは、10秒毎に1回という稀な測定を意味する場合がある。人間の体温を監視する場合、これは、毎分2回の稀な測定を意味する場合があり、体温がどのくらい速く変化することができるか、及び±0.1℃の好ましい分解能に関連する必要なサンプリングレートに対応する。急激な変化の例には、悪性熱、弛張熱又は類似のものによって引き起こされるものがあり得る。このような急激な変化は、10分ごとに1℃未満であり、シャノンのサンプリング定理(Shannon's sampling theorem)と±0.1℃以内の温度変化の検出に対応するには、毎分2回のサンプリングレートが必要である。
【0042】
本発明は、生体との接触面を共有する、ECG電極、光センサ、温度センサ及び音センサによって上記目的を達成する。接触面は、生体との優れた電気的接触、音的接触及び熱的接触を提供し、生体のECG、心音、酸素飽和度及び温度を測定することができる。混合信号半導体により、センサ及び生体の他の物理的パラメータを定量化し、信号処理し、格納し、配信することができる。好ましくは、配信は、無線通信リンクによるものである。通信リンクは、搬送波と変調伝送を生成する中央リーダによって可能になる。混合信号半導体によって変調された搬送波は、典型的には、例えばRFID等の後方散乱無線システムで使用される。
【0043】
継続的に読み出しするセンサシステムが提供され、センサシステムは、生体の表面に取り付ける接触面と、接触面と電気的に接触するセンサと、熱的に接触するセンサと、最適化された音声接触をするセンサと、光学的に接触するセンサと、センサに動作可能に接続されるRFIDチップと、を備え、RFIDチップは、センサからデータを読み取ってリーダからの誘導信号に応答し、前記データを送信する。
【0044】
好ましくは、接触面が露出している一方で、システムは弾性材料でカプセル化されている。
【0045】
好ましくは、接触面は接着剤層で被覆されている。
【0046】
好ましくは、本システムは、周囲から環境発電し、そのエネルギーを指定のストレージユニットに貯蔵する。これは、バッテリーレス用途において有利である。
【0047】
好ましくは、本システムは、定義されたプログラムに基づいて、センサの操作、信号処理、アルゴリズム作業、データ処理、データの格納、後方散乱無線操作等のタスクを実行するようにプログラムされ、かつプログラムすることができる。このようなプログラムの例としては、リーダの接触に関係なく、電力が十分である限り、センサエンジンの電源を入れること、センサデータを記録すること、センサエンジンの電源を切ること、及びプログラムされた時間単位毎に1回、タイムスタンプ付きのセンサデータを格納することであり得る。
【0048】
好ましくは、本システムは、プログラムに基づいて独立して動作し、センサを操作し、センサデータ等のデータを格納して、後に読み出し又は送信することができる。これは、システムが自律的に動作できるという点で有利である。
【0049】
好ましくは、本システムは、周囲から環境発電し、そのエネルギーを指定されたエネルギーストレージユニットに貯蔵する。
【0050】
好ましくは、本システムは、定義されたプログラムに基づいて、センサの操作、データの計算、データの格納、及び無線の操作等のタスクを実行するようにプログラム可能であり、かつプログラムすることができる。
【0051】
好ましくは、本システムは、プログラムに基づいて独立して動作し、センサを操作し、データを格納して後に読み出すことができる。好ましくは、本システムは、弾性材料を使用して、接触面に対して任意の側に位置するアンテナを更に備え、アンテナと接触面との間の距離により、アンテナ利得を提供する。
【0052】
好ましくは、本システムは、アンテナを更に備え、アンテナは、金属反射体から分離されて金属反射体と実質的に反対側に位置する放射素子を備える。放射素子と金属反射体は、材料によって離間されており、材料の寸法は、放射素子と反射体との間の間隔を定義するとともに、このような間隔保持材料の電磁特性及び放射素子の放射効率によるアンテナ利得を定義する。これにより、例えば、人体、哺乳類、動物等の生体からの吸収作用を低減する。このような反射体は、システムに対するエネルギーストレージとして、また、熱流束に対する熱伝達要素として実装して、コストを削減し、製造を簡素化することができる。
【0053】
好ましくは、アンテナに対する金属層は多層構造として設計され、層は絶縁体によって分離され、また層は実質的に一次元又は多次元のコンデンサを実装して、エネルギーストレージユニットとして機能する。
【0054】
好ましくは、アンテナに対する金属反射体として機能する金属層は多層構造として設計され、層は絶縁体によって分離され、エネルギーストレージユニットとして機能する。
【0055】
好ましくは、金属層を分離する絶縁体は、既知の一定の熱伝導率を有し、多層反射体構造の最上層に熱を伝達する。
【0056】
好ましくは、前記構造の最上層は、熱伝導材料及び導電性材料によって、センサが位置する層に接続される。前記接続は、1つの温度センサを熱的に接続する薄いピン又はVIAとすることができる。
【0057】
好ましくは、断熱材料は、多層反射体の上層と温度センサが接続される層との間に配置される。
【0058】
好ましくは、この断熱材の上層に追加の温度センサが位置し、既知の良好な断熱材によって接触面から熱を分離する。
【0059】
好ましくは、2つの温度センサは同じ構造レベルに位置し、熱流束測定の実行、例えば深部温度の推定に使用される。
【0060】
好ましくは、音センサは、温度センサと同じ構造レベルに位置し、他の層に成形される空洞の底部にのみ位置して、マイクロホンに対する音を最適化する。
【0061】
好ましくは、電極に接続される機器増幅器は、温度センサ及び音センサと同じ構造レベルに位置する。
【0062】
好ましくは、光センサは、皮膚と接触する構造レベルに位置する。
【0063】
好ましくは、本システムは、温度、圧力、熱流、流体流、レベル、近接性、変位、バイオ、画像、インピーダンス、照度、ガス、化学物質、加速度、方位、湿度、水分、インピーダンス、静電容量、抵抗、力、電気、磁気、音、騒音、音声及び質量を含む群から、少なくとも1つの特性を検出する第2のセンサを更に備える。
【0064】
好ましくは、本システムは、2つ以上の同じセンサを更に備え、センサのクラスタを形成する。
【0065】
センサのクラスタを一緒に使用して、流量などの複雑な値を測定する、又は組み合わせてドリフト及び騒音等の環境への影響を補正することができる。
【0066】
好ましくは、温度、水分及び生体インピーダンスに対するセンサの組み合わせは、汗、脱水及び発熱を一度に検出するのに非常に価値があり得る。発熱に対するケアを可能にし、患者が汗に浸るのを防ぎ、病気の患者、例えば高齢患者に極めて重要となりうる必要な水分補給のレベルについて助言する。
【0067】
好ましくは、1つ以上の温度センサと加速度センサとの組み合わせを使用して、生体の発熱痙攣を検出する。
【0068】
好ましくは、静電容量センサとの組み合わせにより、例えば、センサが皮膚上に配置されたことを検出することができ、例えば、オン/オフ機能に対するタッチ機能を可能にすることができる。
【0069】
好ましくは、本システムは、位置検出器を更に備える。
【0070】
いくつかの実施形態では、センサの動作方法が提供される。温度、圧力、流量、レベル、近接性、変位、バイオ、画像、ガス、化学物質、加速度、方位、湿度、水分、インピーダンス、静電容量、力、電気、磁気及び質量を含む群から少なくとも1つの特性を検出する第2のセンサを使用して、センサからのデータを環境効果に対して補正し、これにより補正データを形成する。好ましくは、例えばCarolis流量センサと2つの加速度計との組み合わせを更に含む群から、低コストの血流及び血圧センサを実装することができ、例えばβ遮断薬を常用している患者を家庭で継続監視する、低コストで快適な非侵襲的手段を提供することができる。
【0071】
好ましくは、音センサからの記録された音が所定の範囲外にあるとき、例えば、聴覚音の周波数コンテンツが150Hzを超える非常に高い成分を示すとき、全収縮期雑音を示す警報が発せられる。
【0072】
好ましくは、センサからのデータが所定の範囲外にあるとき、例えば熱が39℃を超えて上昇したとき若しくは心拍数が非常に増加したとき、又は両方の組み合わせのときに、警報が発せられる。
【0073】
好ましくは、センサからのデータが所定の範囲外にあるとき、例えば温度が36~37.9℃の安定温度から38℃を超える温度まで上昇したとき、亜熱状態又は熱状態の可能性を示す警報が発せられる。
【0074】
好ましくは、センサからのデータが所定の範囲外にあるとき、例えば熱が38.5℃未満の温度から38.5℃を超える温度まで上昇したとき、明確な発熱を示す警報が発せられる。
【0075】
好ましくは、センサからの補正データが所定の範囲外にあるとき、例えば周囲温度が35℃を超えるとき、警報が発せられる。
【0076】
好ましくは、第2のセンサからのデータが所定の範囲外にあるとき、例えば温度が45℃を超えるとき、警報が発せられる。
【0077】
好ましくは、2つ以上のセンサからの複合データが所定の範囲外にあるとき、例えば高い周囲温度及び高い心拍数との組み合わせで発熱が高いときに、警報が発せられる。例えば、40℃の発熱と心拍数100、35℃を超える周囲温度との組み合わせである。
【0078】
生体の心音、循環効果、酸素飽和度及び深部温度を継続的に無線で測定するセンサシステム及び方法であって、このようなシステムは、生体の表面又は皮膚上に配置される、好ましくは可撓性粘着帯具として一体化される無線センサシステムを備える。好ましくは、このシステムは、周囲から環境発電する手段と、環境発電したエネルギーをエネルギーストレージユニットに貯蔵する手段と、を備える。このような環境発電は、無線通信で使用される搬送波の整流、又はラジオ若しくはテレビ帯等の地上放送信号の整流として実装することができる。環境発電されたエネルギーは、コンデンサ、充電池、又は電気エネルギーを貯蔵して後に使用する類似のストレージユニット等のエネルギーストレージユニットに貯蔵される。代替システムは、太陽電池又はより伝統的な燃料電池からの小さな電位を高めることができる。コンデンサは、前述のように、既に熱流束測定に使用されている2つの金属体(層)によって実現することができる。無線リーダは、例えば、周囲状況を感知することに加えて、定義された無線プロトコル又は複数のプロトコルを組み合わせて使用してセンサデータを読み取ることができ、例えばネットワーククラウドソリューションとして実装することができるエコシステムにこのようなデータを送信することができる。前記エコシステムは、単純化された定量化可能なデータをエンドユーザ装置に提示する方法及び信号処理を含み、このようなデータ、データの履歴へのアクセス並びにこのようなエコシステムへのビッグデータアクセスプラットフォームに基づいて、通知を個別に調整可能にすることができる。また、前記エコシステムは、生体の心音、酸素飽和度及び温度並びに傾向に関する情報の場所、追跡及び新しい洞察に使用できる分析方法を含む。これらの用途の1つは、例えば心内膜炎のような例えば感染症によって引き起こされる、例えば人間の心音と連動して、生体における発熱と通常呼ばれる体温上昇を引き起こす病気を監視し得ることである。ユーザが提供する生体に関する情報と、例えばユーザ装置から取得できるそのジオロケーションとを組み合わせることで、追加の分析のために、このようなエコシステムを通じて地理的位置特定データ及び感染パターンを追跡する一例がある。一例としては、ジオロケーション並びに心音の特徴及び経時的な呼吸頻度コンテンツの応答を利用して、人間の喘息の発生及び社会における拡大を追跡し、心臓病の環境的原因にマッピングすることができる。このような使用は、医療当局及び医学研究にとって非常に価値があり、感染源の追跡、感染拡大の追跡、及び一般に発熱反応、特徴的な心音並びに付随する心拍数及び酸素飽和度の変化を引き起こす登録済み及び未登録の病気についての知識の増加に関する、社会の登録済み及び未登録の病気に関する知識に大きく貢献することができる。例として、このような装置は、世界の開発地域及び後進地域の両方で使用され、知識、対策を改善し、流行発生及び非流行発生の両方を支援することができる。
【発明の効果】
【0079】
従来技術に対する技術的差異は、センサシステムを違和感なく継続的に装着することが可能であり、センサの統合度及び測定精度が高いことである。他の技術的差異は、センサに環境発電及びエネルギー貯蔵の手段が設けられていることである。また、センサの反射層は、放射素子を皮膚の電気吸収から効果的に遮蔽して、アンテナシステムを改善する。
【0080】
これらの効果により、更に複数の利点が得られる。
【0081】
人間及び動物等の生体を継続的に監視することを可能にする。
【0082】
世話人又は患者による管理なしに、測定システムを継続的に使用することを可能にする。
【0083】
周囲温度、音、湿度が変化しても、またセンサが覆われているときでも、センサの有効な読み取りを可能にする。
【0084】
リーダ又は電源が範囲外にあっても、継続的な測定を可能にする。
【0085】
無線及び受動センサを低コストで統合可能にし、消耗品の心音センサを再利用して感染リスク及びセンサの故障を抑える。
【0086】
生体の心臓及び心の病気及び不全、感染性及び非感染性疾患を識別する指標として、ECG、心音パターン及び酸素飽和度並びにより少ないパターンを使用することを可能にする。
【0087】
例えば好中球減少患者における敗血症発症の早期警告として、心拍周波数の増加、奇妙な若しくは欠落した音、又は正常なベースラインの体温変動の振幅の変化等の、ECG、心音及び体温の異常を検出することを可能にする。
【0088】
例えば高温及び低温の温度警告を、管理なしに行うことを可能にする。
【0089】
例えば心拍数が高い及び低い等の心拍数の警告を、管理なしに行うことを可能にする。
【0090】
例えばHRV及び心不全等のECGと心音の相関関係を、管理なしに変化させることを可能にする。
【0091】
低コストのセンサを可能にし、専門的及び家庭的な医療現場で広範に使用することを可能にする。
【0092】
生体の非侵襲的な監視を可能にする。
【0093】
例えば重症患者など、患者及び生体をより快適に監視すること可能にする。
【0094】
リーダ又はセンサからの単純な視覚的フィードバックにより、警報/無警報状態を知らせることを可能にする。
【0095】
バッテリなどの1回限りの使用電源への依存を減らすことを可能にする。
【0096】
監視システムの使用を容易にすることを可能にする。
【0097】
より効率的なシステムで生体を監視することを可能にする。
【0098】
より小型のシステムで生体を監視することを可能にする。
【0099】
既知の病気に関連する心音を、管理なしに監視及び検出することを可能にする。
【0100】
既知の病気に関連する付随する心拍数を、管理なしに監視及び検出することを可能にする。
【0101】
センサ実装を押したりタップしたりすることで、患者が世話人に通知又は警告することを可能にする。
【0102】
センサ実装を押したりタップしたりすることで、管理を必要とせずに、ユーザがイベントをデータにタイムスタンプすることを可能にする。
【0103】
管理を必要とせずに、心拍周波数を監視することを可能にする。
【0104】
管理を必要とせずに、心拍数を監視することを可能にする。
【0105】
管理を必要とせずに、心音周波数を監視することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0106】
図1】センサ実装と、リーダと、エコシステムと、ユーザ装置と、を備えるシステムを示す図である。
図2】アンテナと、無線チップと、センサと、環境発電部と、熱伝導体と、断熱材と、エネルギーストレージと、を有するセンサ実装を示す図である。
図3】センサ実装、並びに形状例及び熱伝導体と接着剤との間の空間を示す図である。
図4】センサに接続された熱伝導層、並びにアンテナ及びセンサを囲む断熱層への接続を示す図である。
図5】間隔保持材料と金属反射体とを有する、センサ実装のアンテナ部分を示す図である。
図6】センサ実装の構築と、熱流束モード測定、心音測定、心拍数測定の部品を示す図である。
図7】熱流束モード測定の断熱材料の周囲に無線チップ及び外部センサが搭載された、基板の基本的な折り畳みを示す図である。
図8】リーダ及びそのアンテナ、無線チップ、処理チップ、センサ、インタフェース、ストレージ及び気流設計を示す図である。
図9】インタフェース、信号処理アルゴリズム、処理及び異なるストレージシステムを有するエコシステムの重要な部分を示す図である。
図10】システム内のユーザ装置及びこのような装置のストレージユニットを示す図である。
図11】センサ実装及び形状例を示す図である。
図12】無線チップと、音センサと、2つのサーミスタを使用した熱流束センサ構築と、熱伝導性及び断熱材料と、を有するセンサ実装を示す図である。
図13】無線チップと、音センサと、熱伝導性及び断熱材料を提供する標準PCBのような多層構造材料を使用した熱流束センサ構築と、を有するセンサ実装を示す図である。
図14】無線チップと、音センサと、2つのサーミスタを使用した熱流束センサ構築と、を有するセンサ実装を示す図であり、この構成要素は、断熱材料の周囲に折り畳まれてエネルギーストレージ装置としての追加機能を有するフレキシブル基板上に組み立てられている。
図15】無線チップと、音センサと、2つのサーミスタを使用した熱流束センサ構築と、を有するセンサ実装を示す図であり、構成要素が可撓性基板上に組み立てられており、接触面を1つのサーミスタに接続する熱パイプを示している。
図16】無線チップ及び層上の2つのサーミスタを、通信アンテナ専用領域及び環境発電専用領域とともに示す図である。
図17】熱流束モード温度測定の概念及びその一部、並びに深部温度の参照を示す図である。周囲への熱流束チャネルを含む。
図18】リーダ及びそのアンテナ、無線チップ、処理チップ、センサ、インタフェース、ストレージ及び気流設計を示す図である。
図19】天井にリーダがあり、ユーザの額にセンサがある、典型的なユーザシナリオを示す図である。
図20】人体の上半身及び胸部の表示を示す図である。
図21】標準基板の積重体におけるコンデンサとしての音センサ実装を示す図である。
図22】加速度計を組み込んだ標準基板の積重体におけるコンデンサとしての音センサ実装を示す図である。
図23】円錐形状の空気空洞と、振動板と、多層構造の音センサと、を有する音センサ実装を示す図である。
図24】多層構造の第1の層上の力センサとしての音センサ実装を示す図である。
図25】多層構造の第1の層上の電極で囲まれた振動板を示す図である。
図26】例えば人間の皮膚に面する構造面と、例えば皮膚に接触する、電極と、温度伝導層と、振動板と、光センサと、発光体と、を示す図である。
図27】基板の周囲の多層構造であり、例えば人間の皮膚に面する、電極と、熱パイプを有する温度伝導領域と、発光体と、光センサと、力センサと、構造的に反対側に組み立てられた温度センサと加速度計と、を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0107】
本発明の上記の構成及び更なる構成は、添付の特許請求の範囲に詳細に記載されており、添付の図面を参照して与えられる本発明の[例示的な]実施形態についての以下の詳細な説明を考慮することにより、その利点とともに、より明らかになるであろう。
【0108】
図面に概略的に示される例示的な実施形態に関連して、本発明を以下に更に説明する。
【0109】
本開示の様々な態様を、添付の図面を参照して以下により完全に説明する。しかしながら、本開示は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本開示全体を通して提示される任意の具体的な構造又は機能に限定されるものと解釈されるべきではない。むしろ、これらの態様は、本開示を徹底的かつ完全にし、本開示の範囲を当業者に完全に伝えるように提供される。本明細書の教示に基づいて、当業者は、本開示の範囲が、本開示の任意の他の態様から独立して実装されているか、あるいは本開示の任意の他の態様と組み合わされて実装されているかに関わらず、本明細書に開示される本開示の任意の態様を網羅することが意図されることを理解すべきである。例えば、本明細書に記載される任意の数の態様を使用して、装置を実装することができ、あるいは方法を実施することができる。加えて、本開示の範囲は、本明細書に記載される本開示の様々な態様に加えて、あるいはそれ以外に、他の構造、機能又は構造及び機能を使用して実施されるこのような装置又は方法を網羅することが意図される。本明細書に開示される本開示の任意の態様は、請求項の1つ以上の要素によって具現化することができることを理解されたい。
【0110】
図面に概略的に示される例示的な実施形態に関連して、本発明を更に説明する。
【0111】
図1に示される装置は、心臓病を疑う患者によって又は専門家が同意したときに、専門的な又は家庭的な使用を目的とした、例えば心音、心拍数、ECG、酸素飽和度及び深部温度の監視システムである。現在、心臓の監視及び酸素飽和度に主に使用されている代替手段は、より高価なECG装置、聴診器及びsPO2センサであるが、これらは有線であり及び/又はかさばる装置を装着する必要があり、場合によっては電池を交換又は充電する必要がある。体温については、鼓膜(耳の中)、口腔又は直腸の測定、側頭動脈赤外線感知がある。ほとんどの場合、これらは、例えばシャワーを浴びるときに手間がかかるなど、着用及び管理が不快で面倒であると考えられている。既存の最も快適な手法は側頭動脈赤外線感知手法であるが、これは継続的な測定ができない。継続的な測定を可能にするいくつかのBluetoothベースの装置が出現したが、これらはバッテリといくつかの電子機器を備えており、消費者が広く使用するには総所有コストが高すぎることになる。これらの装置はBluetoothをベースとしており、ユーザ装置がセンサの範囲内に制限されるため、ユーザにとって使い勝手を悪くしている。これは、鉄筋コンクリートのような建築材料が使われる環境では課題となり得る。また、ユーザが継続的に観察できるセンサの数も制限される。この結果、ユーザ装置がセンサ及び警報から継続的なデータを取得するためには、ユーザ及びユーザ装置がセンサと同じ部屋に留まる必要がある。後方散乱無線技術は、RFIDの形で最もよく知られている。RFIDは長年にわたって存在しており、ほとんどの手法において、大量のタグを読み取るリーダインフラストラクチャのある、大規模な物流業務での電子識別及び何らかの形のセキュリティアプリケーション向けに設計されている。
【0112】
<発明の基礎となる原理>
基本的な原理は、後方散乱無線とアンテナを有するセンサを、バッテリなしの低コストのセンサシステムに統合し、生体の表面に取り付ける接着剤付きのパッケージに入れることで、ウェアラブル(装着型)センサを使用して継続監視することができる、ということである。同じ後方散乱無線技術を利用するリーダは、センサシステムに電力を誘導し、センサから利用可能なデータを読み取る。使用時には、センサシステムがリーダによって反復可能に読み取られることができるため、実用的な低コストと継続使用が実現され、広範囲に使用すること、及びこれまで大規模な継続データが利用できなかった領域からより大量のセンサデータを得ることができる。このシステムは、心音センサと、心拍数センサと、ECGセンサと、酸素飽和度センサと、マイクロホンと、1つ以上の温度センサと、を備え、従来のプリント回路基板のようなアクセスしやすい製造工程を使用して容易に
製造することができる。好ましい心音センサは、音感知コンデンサを備える。好ましくは、皮膚に直接接触する第1の層上の導電性振動板として、及び空気空洞よって分離される第3の層上の金属層として組み立てられる。好ましくは、第3の層上の金属層は小さな穴によって穿孔されて、振動板が動くときに空気流を出入りさせる。好ましい心拍数センサは、皮膚と電気的に接触する第1の層上に2つ以上の電極を備える。好ましくは、これらの電極は、機器増幅器に続いて、アナログ-デジタル変換器であるECGに接続される。好ましいECGセンサは4つの測定点を含み、好ましいマイクロホンは心音に対して最適化された共振円錐空洞を含み、好ましい温度センサは2つのサーミスタの配列を含む。生体の表面に最も近いのは、1つのECGセンサと、1つのサーミスタが熱的に接続される金属層である。次いで、既知の、好ましくは一定の熱係数を有する材料の層がある。第3の層として、第2の金属層があり、第2のサーミスタが第3の層に熱的に接続されており、第3の層として、第2の金属層があり、第2のサーミスタが第3の層に熱的に接続されており、マイクロホンが断熱材料に成形された円錐空洞に接続されて位置している。適切なアナログ/デジタル変換器でECG及びマイクロホンを測定することにより、心音を導き出し、適切なアナログ/デジタル変換器でサーミスタ値を測定することにより、熱流束を推定し、適切なアルゴリズムを適用して深部温度及び心音の特徴を計算することができる。心電図とマイクを適切なアナログ・デジタル変換器で測定することで心音を導き出し、サーミスタの値を適切なアナログ・デジタル変換器で測定することで熱流束を導き出し、適切なアルゴリズムを適用して深部温度と心音の特徴を計算することができる。第1の層及び第3の層の金属層は、任意の形状を有することができる。好ましくは、第1の層及び第3の層の金属層は、互いに対応する形状を有する。好ましくは、2つの金属層は、可能な限り重なり合う。第1のサーミスタが第1の層と第3の層との間に埋め込まれている面倒な技術を使用する代わりに、PCBビアを新規に使用する。ビアは熱パイプとして使用されるため、両方のサーミスタを同じPCBレベルに配置することができる。これはまた、接触点又は電極が第1の層上に位置し、電子機器が第3の層上に位置し、ビアで相互接続され得るので、ECGセンサにも有効である。マイクロホンは、心音検出を改善するように成形された円錐空洞の底部の第3の層上に位置することもできる。センサシステムは特に小型であり、製造が容易であり、使用する部品が少ない低コストなものである。
【0113】
人体における甲状腺の機能はとりわけ、代謝を調節するものであり、ホルモンが速度を増加させるとともに、ほぼ全ての人体組織に影響を与える。甲状腺ホルモンは心血管系にも直接作用し、心拍強度及び脈拍HR、呼吸数RR、酸素の摂取及び消費、並びにミトコンドリアの活性を増加させる。血流増加と体温BTを組み合わせる。
【0114】
甲状腺機能の反応によって、特定の食事、例えば低炭水化物、高タンパク質等に対する体の反応が決定される。故に、食事摂取後のBT(及び皮膚温度)、HR及びRRを監視することで、特定の食事並びにそれに対する身体反応を検出し、分類することができる。これにより、食事監視システムが食事の助言をすることができる。肥満又は間違った栄養状態に苦しんでいる国にとって、このようなシステムは、個人が自身の食事の課題について容易に洞察を得る方法であるだけでなく、是正措置を指導する手段の両方であり得る。別の用途としては、運動能力の高いアスリートが、筋力又は疲労度を向上させるために、高性能の食事及び身体反応を必要とする場合がある。もう一つは、精神科患者及び高齢介護患者等の患者が十分に食事を摂取しているかどうかの監視である。
【0115】
<本発明を実施するための最良の形態>
図1に示される本発明による装置の実施形態は、可撓性センサ実装100と、無線リーダ200と、エコシステム300と、ユーザ装置400と、を備える。無線リーダ200は、センサデータを読み取ってそれをエコシステム300に格納する。エコシステム300は、データ処理及び表示フォーマットを備え、そのデータを、ユーザ装置400を通してユーザに提示する。ユーザ装置400は、携帯電話のアプリケーションとすることができる。記載されているこのようなシステムは、心音、心拍数及び温度センサ実装100とすることができ、このシステムは、心音、心拍数を記録し、例えば子供などの人間の胸部上の表面温度を測定し、病気に関連する可能性のある心臓異常を検出し、心音、心拍数を計算し、エコシステムを使用して人間の深部温度を計算し、これを、例えば両親又は代わりの世話人に継続的に提示し、心音、心拍数、ECG、酸素飽和度及び発熱の監視に焦点を当ててこのような発生、傾向及び重症度に関する継続的な情報を提供する、病気の間の継続的なバイタルサイン監視の装置として機能するように設計される。心臓、心拍数又は発熱反応を引き起こす病気により医師に連絡するとき、このようなデータを提示し及び分析して、医師の診断プロセスを支援することができる。このようなシステムは、消費者が発熱体温計等の他の監視機器を見つけることを期待する、例えばオンラインストア、薬局又は地元のスーパーマーケットを通じて消費者に利用可能であろう。市販品束は、リーダと複数のセンサ、及び例えば印刷の異なる複数のセンサの束であり得る。このような装置は、病気の間の監視を改善して病気の子供をケアするだけでなく、子供と親の双方に安心感をもたらす。また、病気の発症に関するこのような規模のデータが現在存在しないため、心臓反応、心拍数の変化、酸素飽和度及び発熱反応を引き起こす病気に関する研究に対する新たな未開拓分野となる可能性もある。現在入手可能な継続的な心臓、酸素飽和度及び発熱の監視データのほとんどは、病気の患者を病院で監視して得たものである。社会における病気の拡大を監視することは、大規模な流行を早期の段階で低減又は予防することにより、大きな社会経済的価値を有し得る。
【0116】
図1に示されるシステムは、例えば人間及び動物の生体の心音、心拍数、酸素飽和度及び温度を継続的に無線で監視及び分析するように設計されている。このシステムは、例えば、円形、正方形、長方形又は楕円形等の任意の形状の、例えば粘着性帯具のような可撓性センサ実装100を備える。センサ実装100は、その周囲から環境発電し、心音、心拍数、酸素飽和度を記録し、温度を感知し、それを無線で送信することができる。環境発電に使用されるのは、誘導電波、受け取った太陽エネルギー、皮膚と空気の温度差を利用して電気エネルギーを生成するペルチェ素子を介して電気エネルギーに変換される熱エネルギー、例えば圧電装置を介した動きから変換される電気エネルギーであり得る。センサシステムに無線でエネルギーを伝達し、センサ実装100からの送信を受信することができるリーダ200は、内部センサ270から例えば温度及び湿度等の周囲センサ情報を追加し、これをエコシステム300に送信する。エコシステム300は、例えばネットワーククラウドソリューションに実装することができる。このエコシステム実装は、好ましくはリアルタイムで、データを格納及び定量化し、データをエンドユーザに送信する方法を有する。エンドユーザは、装置400を通じて、例えばスマートフォン等の装置のアプリケーション又は任意のコンピュータを介したWebインタフェースを通じて、システムをインタフェースする。リーダ200は、エコシステムへの接続がないときのバックアップソリューションとしてもよく、例えばBluetooth等の無線技術を使用してデータを装置に直接伝達することができる。例としては、ユーザの装置のアプリケーションがあるが、このアプリケーションもまた、データをリアルタイムで定量化してユーザに提示する方法を有し、データを受信して処理する。バックアップシナリオでは、データは装置のデータストレージユニットに保存され、後にエコシステムと同期する。短期間でリーダがエコシステム又はバックアップモードの装置との接続を失った場合、エコシステム又はバックアップモードの装置との接続が再び機能するまで、内部ストレージを介してデータを保存する手段がある。
【0117】
センサ実装100は、システムの鍵であり、多層構造として構築されて長距離後方散乱通信の特性と最適化された感知条件とを組み合わせている。これは複数の方法で達成することができる。第1の手法は、例えば、図4及び5に図示するような温度センサと組み合わせた音センサによる二重センサ手法とすることができ、第2の手法は、図2、6、7、12、13、14、15、16及び17に図示するような温度熱流束測定500を使用した二重センサ実装を使用した音センサ及び温度感知とすることができる。図2に示されるセンサ実装100は、アンテナ130と、無線チップ135とを備え、無線チップ135は、一体型の温度感知機能と、無線及びプロトコル部分との両方を備えることができ、温度センサとすることができる外部センサ110、120、音センサとすることができる外部センサ129、ECGのような機器増幅器を使用する電圧センサとすることができる数のecg、に例えば電力を供給し通信する可能なインタフェースを含む。熱伝導層114、断熱層122及び印刷層144。また、センサ実装は、周囲から環境発電することができる環境発電ユニット140を備え得る。
【0118】
アンテナ130は、例えば皮膚及び人体の特性によって引き起こされる放射エネルギーの吸収による影響を最小限に抑えるような方法で設計される。このような構成は、このようなエネルギーの吸収を制限する方法でアンテナ130を設計することにより得られる。これに対処する手法は、以下のうちの1つ又は組み合わせとすることができる。間隔保持材料122を使用してアンテナ放射素子132を皮膚から所与の距離だけ離間させること、選択された電磁特性を有する間隔保持材料を適用すること、アンテナの共振周波数を変更すること、アンテナと皮膚との間に金属反射体138を適用すること、又は当業者に既知の他の手法。故に、アンテナ130は、配置されている材料に影響されないように、又は配置されている材料の構成を建設的に使用して放射性能を改善するように設計される。
【0119】
図6は、センサ実装における熱伝導層114が、センサ実装100が配置される表面、例えば人間の皮膚と直接的かつ良好な熱接触を可能にすることを示す。熱伝導体114は、接着剤層152の切り抜き領域155及び金属反射体138の切り抜き領域137に、空間/隙間125を設けて配置することができる。この空間/隙間125は、熱伝導体114とアンテナ設計130の下部金属層/金属反射体138との間に設計することができるものである。これは、熱伝導体114と金属反射体138との間の良好な熱接続及び電気接続を回避し、138への横方向の熱損失又は熱伝達を回避し、無線チップ135並びに外部センサ110、120及び129に対するESD課題を低減するためである。熱伝導層114は測定媒体と直接接触する。単一センサモードにおいて集積センサ及び外部センサ110を有し、熱流束温度感知モードにおいて外部センサ120を有する無線チップ135は、熱伝導接着剤、又は無線チップ135及び外部センサ110、並びに120及び129の両方を固定するとともに良好な熱伝導体である類似の化合物を使用して、熱伝導層114に熱的に接続される。無線チップ135及びセンサ110、並びに120及び129の両方は、DIE形式又は良好な熱伝導率を有するその他のパッケージングである。センサ120への熱接続は、例えばPET基板の穿孔領域を通して行うことができ、この穿孔領域は、熱伝導体114をセンサ120に固定するために使用される熱伝導性接着剤で充填することができる。
【0120】
図5に示される単一センサ手法における、センサ実装の最上層のアンテナ放射素子132から無線チップ135の接続への遷移部133、又は図6及び図7に図示される基板122の折り畳み部は、2つの構成の組み合わせを可能にする。すなわち、導電性又は吸収性の表面上に配置されるアンテナにおける良好な領域性能と、内部センサ及びセンサ110及びセンサ120と測定媒体との間の良好な熱接触である。図4及び図5を参照のこと。単一温度センサ手法における、アンテナ放射素子132からセンサ実装の下層への遷移部133は、例えば球体の平面カットのように、無線チップ135及び音センサ129がこの形状の中央底部に位置する円弧として最適に成形される。この形状の底部中心はセンサ実装100内の最下層の一部に位置し、一方、この形状の外縁部に接続されるアンテナ放射素子132は、印刷層144の真下の上から2番目の層に位置する。アンテナ放射素子132と、成形遷移部133と、接続された無線チップ135と、を備える基板は、例えば可撓性PET基板又は類似のものに組み立てられ、製造中に成形される一体型部品である。無線チップ135は、典型的には、導電性接着剤、又は基板が曲げられている間に電気接続を維持することを可能にする他の適切な材料若しくは方法を使用して基板に接着される。
【0121】
成形遷移部133の底部と最上層との間の領域は、周囲温度からの影響、及び測定面からの熱損失を低減するために、断熱材料122で充填される。このような断熱材料122は、例えば独立気泡ポリエチレンフォーム又は類似の材料とすることができる。加えて、アンテナ構造の反射層138は、測定面からの熱損失を低減するために、例えば、金属化BoPET(二軸延伸ポリエチレンテレフタレート)又は類似の断熱材料とすることができる。熱伝導体114と組み合わせた両方の断熱技術は、内部温度センサ及びセンサ110又は120に対する温度平衡時間を短縮するのに役立つ。これは、断熱材122がセンサ110と周囲条件との間の熱伝導率を低減させることで達成される。アンテナ130における金属シート断熱材138は、センサ実装100によって覆われる表面領域全体に対する熱伝導率を低下させる一方で、熱伝導体114は、測定媒体の表面に対する熱伝導率を増加させる。
【0122】
ここで、図6を参照する。熱流束センサ手法では、例えば可撓性PET基板とすることができる基板180は、単一センサ手法と同様に、製造時に一体型部品として組み立てることができるが、外部温度センサ120及び音センサは、無線チップ135から離れて位置している。熱流束感知手法における手法では、基板は、センサ実装100の2倍のサイズで製造され、アンテナ領域139の切り抜き又は遮断領域を通って配線される接続ワイヤ182を使用して外部センサ110を接続し、それを材料122の周りに折り畳む構成を有し、この材料122は、金属反射体138とアンテナ放射素子132との間のアンテナスペーサとして、及び表面からの熱損失を低減する断熱材として機能し、既知の電磁特性及び既知の熱伝達計数を有し、材料は、例えば、よりコンパクトなアンテナ設計130に対して、又は良好な断熱材として最適化され得る。単一センサ手法及び熱流束感知手法の両方において、熱伝導体114及び断熱材料122の両方は、既知の熱特性、並びにリーダ200からの周囲センサデータと組み合わせて129、110及び120からのセンサデータを有し、アルゴリズム及び信号処理システム370は、文献、例えば人間の深部温度の推定に関する医学文献からの既知の補正技術を人間の深部温度推定に適用して、その表面温度から生体の心音、心拍数、酸素飽和度及び真の深部温度を推定することができる。周囲条件の変化は、センサ110又はセンサ120に影響を与える前に、リーダ200内の周囲センサ270によって検出することができ、周囲からセンサ実装100内のセンサ110又はセンサ120に対する影響は既知であるため、この影響は、信号処理アルゴリズムシステム370で補正することができる。
【0123】
図9に示される心音及び心拍数信号処理システム370は、心拍数を測定し、例えば雑音、ランブル、クリック及びスナップのような既知の逸脱した周波数コンテンツを病気の指標として探して、心音の周波数コンテンツ及び異常を分析する。高速フーリエ変換FFT、位相検出、ウェーブレット相関等、複数の信号処理技術を適用して音を分析する。図9に示される酸素飽和度信号処理システム370は、反射光の量及び周波数コンテンツを測定し、血流中の酸素含有量を計算する。FFT、加重移動平均WMA等、複数の信号処理技術が適用される。
【0124】
図9に示される単一温度センサ信号処理アルゴリズムシステム370は、生体の表面温度、例えば人間の皮膚温度を測定し、湿気に対する湿球/乾球補正技術のような既知の補正技術、例えば表面温度と深部温度との間で常に定義される差分を使用し、リーダ200内のセンサ270からのセンサ情報を使用して、周囲条件への温度漏れ補正を組み合わせる。熱流束感知手法は、2つのセンサ110及び120を利用し、深部から組織及び皮膚を通る熱流束515を計算することによって深部温度520を計算し、2つのセンサの読み取り値とその間にある材料122の既知の熱伝達係数124との差を使用して、材料122を通る熱流束を計算する。次式は、図17に示すように、例えば人間の深部温度の計算に使用されるとき、このような計算の中心部分となり得る:
【数1】

ここで、
Tc:深部温度
TA:センサA106の温度
TB:センサB114の温度
φqCA:深部と皮膚との間の熱流束515
φqAB:センサA106とセンサB114との間の熱流束
:組織/皮膚の熱伝達係数510
:断熱材122の熱伝達係数123
【0125】
センサ実装100の構造の理由:生体、例えば人体の皮膚/組織の熱伝達係数に関する既知のデータと、皮膚とセンサ110及びセンサ120と単一センサモードでのセンサ110との間で最適化された既知の熱伝導率と、断熱材料122の既知の熱伝達係数124と、感知環境における周囲条件に対する既知の熱伝導率と、を利用し、アルゴリズムを適用して、生体の深部温度を高精度で予測することができる。アンテナ設計と、単一センサ手法で無線チップを接続する形状と、熱流束手法での折り畳みと、センサへの熱接続と、周囲条件に対する断熱性と、の組み合わせにより、生体の表面温度及び深部温度を推定する長距離の継続的かつ受動的なRFIDセンサ応用に対する、アンテナとセンサ性能の最適な組み合わせが維持される。
【0126】
下層:測定媒体(例えば皮膚)への熱接続と同じ層上に位置する最下層は、接着剤層152であり、例えば、それが適用される生体に害を及ぼさない低刺激性の特性を有する。
【0127】
最上層:最上層は、アートワーク用の印刷可能層である。この層は、薄紙のように、アンテナ性能に影響を及ぼさない材料の薄い層となる。
【0128】
リーダ200(図8に示す)は、無線センサ実装100に対するエコシステムへの入口(portal)として設計される。この設計は、無線リーダチップ210と、処理ユニット230と、内部ストレージ240と、内部センサ270と、有線インタフェース250と、無線ネットワークインタフェースの無線290と、無線ネットワークインタフェースのアンテナ260と、無線アンテナ220と、を備えることができ、センサ270が空気質及び/又は温度センサである場合、センサの気流設計280を備えることができる。リーダ200は、カスタム読み取りプランを通してセンサ実装を読み取る。例えば、センサ実装における無線チップ135は、内部センサ110及び/又は外部センサ120及び/又はその他を使用して感知を実行する、並びに例えば適切なセンサ情報、較正データ、ID及び他の情報をリーダ200に通信するのに十分な電力を蓄積するために、msであり得る特定量の誘導エネルギーを必要とする。更に、リーダ200及び読み取りプランは、低消費電力、センサ実装100へのデューティサイクル通信、故にその測定頻度、及びエコシステム300への通信間隔に対して最適化されるようにカスタマイズされており、読み取りシステムが周期的にスリープ状態になることを可能にする。この実装により、センサを順次複数回読み取ることができ、オーバーサンプリングを適用して解像度を高め、適用される読み取り速度と比較してゆっくり変化する温度測定のノイズを低減することができる。故に、センサの温度測定精度が向上し、これにより深部温度の計算精度を高めることができる。リーダ200に実装される標準の無線及び有線ネットワーク通信プロトコル及び方法は、エコシステム300への通信に対する単一のメインチャネルとして機能することができ、例えば、メイン通信が故障した場合のバックアップシステムを備えることができる。更に、リーダ200は、メイン通信チャネルが一時的に故障した場合及び/又はバックアップ通信チャネルが一時的に故障した場合に使用する、バックアップストレージを備えることができる。また、リーダ200は、エコシステムに通信されるデータを暗号化する、例えばハードウェア又はソフトウェアの方法を含み得る。リーダ200へのネットワーク接続を通して、例えばIPアドレスを通して、現在のジオロケーションをエコシステムに記録することができる。この目的は、例えば、規制要件、社会における流行病及び非流行病の位置の追跡、温度、湿度及び気圧であり得る局所環境条件の調査による動作モードの設定であり得る。更に、リーダ設計は気流設計280を備え、例えばリーダ200の内部の空気又はリーダ200の内部の乾燥空気の加熱により生じる影響から周囲センサ270を分離し、周囲条件のより正確な感知を確実にする。
【0129】
エコシステム300(図9に示す)は、例えば、製品330、センサ読取値320及びユーザ310に関するデータを格納するとともに、例えば、[数1]に記載されるような実装アルゴリズムを有する信号処理アルゴリズム方法370と、例えば人間の深部温度を計算する例えば[数1]を使用して、センサデータに対して信号処理アルゴリズム方法370を実行し、他の式を使用して心臓異常を検出し、酸素飽和度及び心拍数を計算する処理ユニット360と、を備えるように設計することができる。更に、エコシステム300は、ユーザ側350とビッグデータ側340とで異なるインタフェースを備えることができる。このようなエコシステム300は、例えばネットワーククラウドソリューションとして又は任意の他の装置若しくはユニットとして実装することができる。エコシステム300は、エコシステム300の一部となるように設計及び製造される全ての製品、例えばセンサ実装、リーダ及び他の装置の固有IDを格納するように設計され、例えば、ユーザ体験並びに/又はセンサデータの品質及び有用性を損なう偽造製品を制限することができる。このようなエコシステム300では、ユーザインタフェース350は、個々のユーザのデータへのアクセスを容易に制限し、データがユーザの製品によってのみ生成されるようにすることができる。また、ビッグデータに対するインタフェースは、ユーザを識別可能なデータ、例えば電子メールアドレス、名前、メモ、画像等を含まないようにデータを容易に制限することができる。更に、エコシステムは、全ての固有の製品IDをデータベースに格納することによって、製品の動作時間を制限し、例えばセンサを長期間使用することによって、また例えば生体の表面との音声、電気、熱接続が減少することに起因してデータ誤りが生じることによって、読み取り値の質が損なわれないようにする。
【0130】
生体の体温調節は、最適な動作体温を維持しようとする恒常性機構の一部である。体温は、日中、日をまたいで、また個体群にわたって変化するため一定ではない。人間においてはこのような体温の平均は37.0℃であるが、体温には通常のリズムがあるため、平熱は37.0±0.5℃の範囲として定義される。平熱の上昇は、重大な要因によって引き起こされる可能性があり、2つの主な定義、発熱と高熱症とに分けられる。発熱は、生体の温度が正常範囲を超えて上昇した状態であり、これは発熱反応又は発熱(pyrexia)として知られている。体温調節の設定点の上昇によって引き起こされる発熱は、主に感染性及び非感染性の両方で医学的条件に起因して生じる。一方、高熱症は、生体が自身で対処しきれない熱を発生させている状態によって引き起こされ、これは周囲が高温である条件(熱中症)、又は薬物使用に対する有害反応によって引き起こされる可能性がある。この状態では、設定値は上昇しない。通常、午前中に37.2℃を超える体温、又は午後に37.7℃を超える体温が発熱と考えられる。発熱温度の範囲は、発熱>37.5℃、高熱症>37.5℃、及び過熱症>40.0℃に分類される。過熱症は、生命を脅かす可能性があり、医学的緊急事態と考えられる。経時的な発熱(又は体温)の発生により、特定の発熱のパターン(発熱パターン)が明らかになる。これらのパターンは、古くから病気の診断に役立つことが知られ、使用されており、通常は、連続熱、断続熱、寛解熱、ペルエブスタイン熱、波状熱、再発熱に分類される。
【0131】
エンドユーザ装置400(図10に示す)は、例えばWebインタフェース、スマートデバイス又は他のもののアプリケーションとして設計されるインタフェースを備える。このインタフェース422は、例えば、進行中の測定からのリアルタイムデータを提示し、このデータの経時的変化に基づいて通知を設定及び調整することができる。このような通知は、例えば、雑音、ランブル、クリック及びスナップのような特定の心音の検出、低酸素飽和度の警告、高熱警告、又は発熱反応を引き起こす状態を伴う人間に対して長期間にわたる所与のレベルの発熱及び心拍数の上昇であり得る。加速度計のような他のセンサに基づく警告では、発作中の体の動きによって発熱発作警報がトリガされ得る。例えば、短期又は長期のデータ履歴、及び以前の個々の測定値には、インタフェース422を介してアクセスすることができる。エンドユーザ装置420は、ストレージユニット424を備えることができ、ストレージユニットを使用して、例えばリーダへのバックアップ通信ソリューションがアクティブである場合及び/又はエコシステム300若しくはデータ履歴若しくは外部ストレージへの接続がない場合に、データを一時的に格納することができる。更に、ユーザインタフェース422は、解熱剤投与並びに一般的な健康状態登録機能を含むことができる。これは、タイムスタンプを備えることができ、グラフィカルユーザインタフェースの単純なグラフィカルボタンとすることができ、量及びブランドを含む実際の医薬品の登録をサポートすることができ、これは、例えば、このような医薬品パッケージ上の光学的に可読可能な製品コードをスキャンし、このような情報を公衆医薬品データベースに関連付けるために使用される、スマートデバイスからのカメラ入力を関連付けるソフトウェアとして実装することができる。薬剤投与に関するこのような情報は、次いで、例えばセンサデータと関連付けて使用され、システムから提供される人間の病気データを分析するとき、一般的な健康状態に加えて、例えば予期しない経時的な変化及び薬剤の投与量について、例えば医師に説明し得る。更に、エンドユーザ装置400は無線リーダチップを備えて、センサ実装100に電力を誘導し、センサ実装100からデータを直接読み取ることができる。これは、例えばNFC、RFID等を使用して実行できる。
【0132】
図13には、センサ実装の第2の実施形態が示されている。センサ実装100は、多層構造として構築されて、長距離後方散乱通信の特性と最適化された感知条件とを組み合わせ、多層構造のエネルギーストレージと環境からの環境発電とを組み込んでいる。センサ実装100は、アンテナ130と、一体型の環境発電ユニット140並びに2つのサーミスタ110及び120を使用する温度感知機能の両方を含み得る無線チップ135と、音センサ129と、例えばECG、発光体119及び光センサ118の機器増幅器と、温度センサであり得る外部センサと例えば給電及び通信可能なインタフェースを含む無線及びプロトコル部分と、を備える。熱伝導層104、断熱層122及び印刷層144。センサ実装はまた、周囲から環境発電する1つ以上の手段を備える、外部環境発電ユニット140を備えることができる。アンテナ層上の領域142(図16参照)は、環境発電専用とすることができ、例えば環境発電アンテナ構造及びソーラーパネルの実装を可能にし、電磁エネルギー及び光エネルギーを環境発電する。図12、13、14には、センサの積み重ねの様々な実施形態が示されている。熱流束感知のセンサ構造は、接触面に接触する熱伝導層104と、断熱材122を通過する金属のような良好な熱伝導体105の一部と熱的に接続される温度センサ110と、で構築されている。故に、熱伝導体105の一部及び断熱材料の上部は同じ層上に位置し、第2の温度センサ120が断熱材122の上部に位置することを可能にしている。したがって、温度センサ110及び温度センサ122は同じ層上に位置しながら熱流束測定を表し、同じ層上に音センサ129も位置し、より複雑でないより低コストの製造を可能にする。更に、熱伝導層104はアンテナの一部としても機能し、反射体として機能し、人間の皮膚がエネルギー吸収することを低減する。前記層は、多層金属構造として実装することができ、この金属層は、良好な熱伝導特性を有するアイソレータ材料の薄いシートによって分離される、薄いシートとして実装される。故に、前記多層構造104、106は、エネルギーストレージ装置としても機能し、環境発電エンジン140に接続される。
【0133】
図12は、センサ実装100の熱伝導層104が、センサ実装100が配置されている例えば人間の皮膚の表面との直接的かつ良好な熱接触を可能にすることを示している。熱伝導層104は測定媒体と直接接触する。センサ110は、熱パイプ105の実装を通して、一方センサ120は、熱流束センサを形成する断熱材122の上部に位置している。
【0134】
図16では、アンテナ放射素子130と、環境発電素子142と、温度センサ110及び120と、無線チップ135と、を備える基板は、一体型として設計され、例えば可撓性PET基板等の上に組み立てられ、製造中に成形され得る。低コストのロールツーロール製造を可能にする。構成要素は、典型的には導電性接着剤、ワイヤ接合、又は基板が曲げられている間に電気接続を維持することができる他の適切な材料若しくは方法を使用して、基板に接着される。
【0135】
前記可撓性基板との収縮に使用される断熱材料は、例えば独立気泡ポリエチレンフォーム又は類似の材料とすることができる。
【0136】
図7には、第2の熱流束センサ手法が示されている。例えば可撓性PET基板とすることができる基板122は、製造時に一体型部品として組み立てられ得る。熱流束感知における熱伝導体104及び断熱材料122の両方は、既知で一定の熱特性を有し、リーダ200からの周囲センサデータとセンサ110及びセンサ120からのセンサデータを組み合わせる。アルゴリズム及び信号処理システム370は、熱流束センサデータから生体の真の深部温度を推定することができる。例えば、温度、湿度及び気圧等の周囲条件の変化は、それが熱流束センサに影響を与える前に、リーダ200内の周囲センサ270によって検出することができる。周囲からセンサ実装100内の熱流束センサに対する影響は既知であるため、この影響は、信号処理アルゴリズムシステム370で補正することができる。
【0137】
熱流束感知手法は、2つのセンサ110及び120を利用し、深部から組織及び皮膚を通る熱流束510を計算することによって深部温度520を計算し、2つのセンサの読み取り値とその間の材料122の既知の熱伝達係数との差を使用して、材料122を通る熱流束を計算する。次の式は、図17に示すように、例えば人間の深部温度の計算に使用するとき、このような計算の中心部分となり得る。計算には、前述した[数1]の式を使用する。
【0138】
センサ実装100の構造の理由:例えば人体の皮膚/組織等の生体の熱伝達係数に関する既知のデータと、皮膚とセンサ110及び120との間の最適化された既知の熱伝導率と、断熱材料122の既知の熱伝達係数と、感知環境における周囲条件に対する既知の熱伝導率と、を利用し、アルゴリズムを適用して、生体の深部温度を高精度で予測することができる。アンテナ反射体及びアンテナ放射構造をエネルギーストレージ装置として利用し、アンテナ反射体を熱伝達設計として利用する、コンパクトな多層構造におけるセンサ実装の組み合わせにより、熱流束手法をコンパクトかつ低コストの形状因子で実装することができる。後方散乱無線のアンテナ設計と、環境発電、エネルギーストレージ構成及びセンサ構築を組み合わせることにより、生体の深部温度を推定する長距離の継続的かつ受動的な後方散乱無線センサ応用に対する、アンテナとセンサ性能の最適な組合せが維持される。
【0139】
下層:測定媒体への熱的接続と同じ層上に位置する最下層は、接着剤層152であり、例えばそれが塗布される生体に害を及ぼさない低刺激性の特性、並びに防水性及び細菌耐性を有するシリコーンゲル接着剤である。接着剤は、好ましくは薄く、既知の熱伝導特性を有する熱伝導性である。
【0140】
センサ実装の最上層:最上層は、アートワーク用の印刷可能層となる。この層は、薄紙のように、アンテナ性能に影響を及ぼさない材料の薄い層となる。
【0141】
図18は、無線センサ実装100に対するエコシステムへの入口として設計されているリーダ200の第2の実施形態を示している。この設計は、無線リーダチップ210と、処理ユニット230と、内部ストレージ240と、内部センサ270と、有線インタフェース250と、無線ネットワークインタフェースの無線290と、無線ネットワークインタフェースのアンテナ260と、無線リーダアンテナ220と、を備えることができ、センサ270が空気質及び/又は温度センサである場合、センサの気流設計280を備えることができる。リーダ200は、カスタム読み取りプランを通してセンサ実装を読み取る。例えば、センサ実装における無線チップ135は、センサ110及び120を使用して感知を実行する、並びに例えば適切なセンサ情報、較正データ、ID及び他の情報をリーダ200に通信するのに十分な電力を蓄積し、msであり得る誘導信号のいくつかの時間単位を必要とする。更に、リーダ200及び読み取りプランは、低消費電力、センサ実装100へのデューティサイクル通信、したがってその測定頻度、及びエコシステム300への通信間隔に対して最適化されるようにカスタマイズされており、読み取りシステムが周期的にスリープ状態になることを可能にする。この実装により、センサを順次複数回読み取ることができ、オーバーサンプリングを適用して解像度を高め、適用される読み取り速度と比較してゆっくり変化する温度等の測定のノイズを低減することができる。故に、センサの温度測定精度が向上し、これにより深部温度の計算精度を高めることができる。リーダ200に実装される標準の無線及び有線ネットワーク通信プロトコル及び方法は、エコシステム300への通信に対する単一のメインチャネルとして機能することができ、例えば、メイン通信が故障した場合のバックアップシステムを備えることができる。更に、リーダ200は、メイン通信チャネルが一時的に故障した場合及び/又はバックアップ通信チャネルが一時的に故障した場合に使用する、バックアップストレージを備えることができる。また、リーダ200は、エコシステムに通信されるデータを暗号化する、例えばハードウェア又はソフトウェアの方法を含み得る。リーダ200へのネットワーク接続を通して、例えばIPアドレスを通して、現在のジオロジケーションをエコシステムに記録することが出来る。この目的は、例えば、規制要件、社会における流行病及び非流行病の位置の追跡、温度、湿度及び気圧であり得る局所環境条件の調査による動作モードの設定であり得る。更に、リーダ設計は気流設計280を備え、例えばリーダ200の内部の空気又は乾燥空気の加熱により生じる影響から周囲センサ270を分離し、周囲条件のより正確な感知を確実にする。
【0142】
図19は、リーダ200が天井に位置し、センサ100が患者の額に取り付けられている典型的なシナリオを示している。
【0143】
図20は、人間の上半身を示しており、心音と心拍数が目立つ典型的な領域である胸部を示している。これは、センサ100を配置する最適な領域を示す。
【0144】
図21は、例えば標準的なPCBのような基板における音センサ実装を示しており、第1の層104及び第3の層106は、2層PCB積重体の各側面上の最上層を表している。基板122は、PCB内の深部を表す。108はPCB内に機械加工された穴であり、振動板111と金属バックプレート109との間に空気空洞を形成する。導電性振動板111及び金属バックプレートは、空洞を間に挟み、コンデンサとして機能する。このコンデンサは、振動板111によって拾われる音波による振動板111の動きに大きく影響されるように設計されている。振動板111が動くと、穿孔112を通して空気が空洞内に出入りする。このように、音波により生じる109と111の間の静電容量の変化を検出することができる。
【0145】
図22は、図21と同様の実装を示しており、振動板111の中央に追加の加速度計128を配置しているだけである。このようにして、静電容量の変化及び加速度計129のデータによって、振動版111によって拾われる音波を読み取ることができる。
【0146】
図23は、例えば標準PCBのような多層構造における音センサ実装を示しており、第1の層104は、例えば皮膚と接触している。第1の層104から始まり、基板122を貫通して、円錐形状の空気空洞113が機械加工される。この円錐の先端は第3の層106を穿刺し、小穴を残す。構造体の第1の層104側には、空気空洞113の幅広端部を覆う振動板111が搭載されている。構造体の第3の層106上には、音センサ129、例えばMEMSマイクロホンが第3の層106の小穴の上に直接配置される。その結果、振動板111を動かす音波により、これらの音波が空洞113を通って伝わり、これが音センサ129によって拾われる。
【0147】
図24は、例えば標準PCBのような多層構造の第1の層104上の力センサ115としての音センサ実装を示している。このような力センサ115は、例えば力に敏感であるように設計されるコンデンサ、又は例えば薄い圧電素子であり得る。
【0148】
図25は、第1の層104及び4つの電極126によって囲まれる振動板111を示しており、この電極126は、電圧変動を拾い上げるオペアンプ、ECGに接続される。
【0149】
図26は、例えば人間の皮膚と接触する第1の構造面と、第1の層104と、振動板111と、ECG測定電極126と、発光体119及び光センサ118と、を示す。
【0150】
図126は、電極126と、温度センサ110と熱的に接触する第1の層104と、光センサ118及び発光体119と、力センサ115と、基板120と、第2の温度センサ120と、加速度計128と、を有する断面を示す。
【0151】
BT、HR、RR及び他のセンサ機能を考慮に入れて、特定の食事についての特徴的な変化を検出するアルゴリズム。
【0152】
<代替実施形態>
上記には多くの変形例を想定することができる。例えば、無線センサ実装においてアンテナ130を使用する場合、アンテナは、空気中ではなく、生体の表面上、例えば人間の皮膚上で動作するように当業者によって設計される。
【0153】
別の変形例は、例えば人間の頭蓋の前頭骨等、生体又は生体の一部を建設的に使用するようにアンテナ130を設計し、アンテナ性能を改善することである。
【0154】
別の変形例としては、無線センサシステムを異なる基板材料及び形状で実装し、生体で異なる方法で使用されるように設計することができる。人間の場合、これは、例えばコンタクトレンズ、シャツ若しくは耳栓、イヤリング若しくは他の宝飾品であってもよく、又は靴、衣類の布地、帯具、弾性バンド、医療用ギプス若しくは石膏、ブリーフ、おむつ、衛生用ナプキン、パンティライナー、プロテーゼ、コルセット又は他の医療用及び非医療用支援若しくは補助装置で実装されてもよい。
【0155】
これの別の変形例は、多数の無線プロトコル及び標準規格を使用した無線センサ実装であり、より広い使用範囲及び動作範囲を可能にする。これは、例えば、多数の無線プロトコル、既存の無線プロトコルと新規の無線プロトコルとの組み合わせ、新規の無線プロトコルに基づくカスタムプロトコル、又は多数の他の無線プロトコルとすることができる。
【0156】
高齢患者に対して使用されるセンサのいくつかの実施形態では、光学センサ、容量センサ、水分、及びPHセンサのような例えば簡単に実装される化学センサの組合せは、高齢者の生活の質をより高める手段を提供し、例えば高齢者介護施設でのルーチンの質をより高めることを保証するだろう。このようにセンサを組み合わせることで、アシドーシス、脱水症、下痢、飢餓、腎不全及び尿路感染症等の複数の医学的及び非医学的状態に関する早期の徴候を検出することができ、加えて、概要の内容を分類することができるだろう。
【0157】
他の実施形態では、センサシステムとして実装されるECG、マイクロホン、温度、圧力、近接性、方位、変位、光、静電容量及び加速度の組み合わせが、皮膚と、例えば背部及び頸部の多くの怪我の手術後及び先天性異常からの矯正手術後に使用されるコルセットとの間に位置する場合、例えば医療補助具の使用を検出することができる。次いで、このシステムは、使用量、例えばきつ過ぎず又は緩すぎず正しく使用されているかどうか、使用中の患者の動き及び活動、並びに使用中の補助具の変位を検出することができる。データ基盤を医者に提供することで、患者への更なる助言、治療及びモチベーションを支援及び援助して、結果を改善する。
【0158】
更に他の実施形態では、温度、水分及び光、例えば紫外線を組み合わせたセンサの組み合わせは、子供及び高齢者の高熱症/過熱及び日光への過剰露出を検出するセンサシステムとして機能することができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の温度センサを生体インピーダンスセンサと組み合わせることができ、このシステムは脱水症を検出することもできる。
【0159】
更に他の実施形態では、センサは、温度感知、水分及びPHレベルを含む群からの1つ以上のセンサと組み合わされ、生体インピーダンスと組み合わせて、例えば火傷に対するスマート帯具として機能し、感染による深部及び/又は発熱に対する表面温度の上昇、特定の細菌感染によるPHレベルの変化、及び細菌増殖からの排出による水分増加によって、傷に対する注意が必要かどうかを検出することができる。世話人は、新しい皮膚の発達を保護する瘡蓋の破壊によって新たな感染症が不必要に引き起こされ得る、不要な帯具の交換を避けることができる。
【0160】
他の実施形態では、センサシステムは、音声、騒音、音及び加速度計等のセンサと組み合わせることができ、これは例えばいびき及び無呼吸の検出器として機能し、音声と振動を組み合わせて在宅医療市場に低コストのテストを提供する。
【0161】
更に他の実施形態では、温度、加速度計、変位及び力等のセンサの組合せは、例えば膝半月板手術後の関節の柔軟性と使用を検出する手段を提供し、更には膝の感染症又は炎症によって引き起こされる局所温度の発生を検出する手段を提供する。患者及び医師に情報を提供して、治療と回復を改善する。
【0162】
更に他の実施形態では、患者の発熱による発疹、赤面、肌の色の画像が取り込まれる。この画像は、患者から収集される体温パターン及び他の重要なデータと共に、患者の監視に使用される。発疹の一時的な発生と発熱パターンを共に使用して、病気を判定することができる。
【0163】
断熱層122は、別個の断熱層及び積層することができる電気絶縁材料の代替物として、電気絶縁材料として二重にすることができる。
【0164】
このようなシステムの多数の更なる変形例を想定することができる。例えば、食事中にRR、HR及びユーザ通知「タップ」を検出するシステム通知アルゴリズムを使用して、食事中の人が食べ物を詰まらせているかを検出し、例えば高齢者介護施設において警報を発し、窒息死を防止することができる。
【0165】
別の変形例として、トレーニングから最適な効果を得るためにアスリートへの影響及びパフォーマンス/休憩のバランスを監視することができる。このような実装では、BT、RR、HR及び他のセンサを通してプロのアスリートのパフォーマンス及び休憩指数をマッピングするように設計されるアルゴリズムに、同じセンサデータを適用することができる。このようなシステムからの出力は、例えばトレーニングセッション間の休息量に関する個別のアドバイスであり得る。
【0166】
別の変形例として、精神科患者及び高齢患者の食事摂取を監視して、全体的な安定性及び良好な健康を維持することができる。このような実装は最初の説明と同じであり、アルゴリズムの出力が単純化され、健康的な生活を維持するのに十分な食事摂取量を示す。世話人及び家族への通知に変更することができる。
【符号の説明】
【0167】
100:アンテナと、無線チップと、センサと、熱伝導体と、を有するセンサ実装
101:接合ワイヤ
102:RF整流器に接続された接合ワイヤ
103:周囲への熱伝導体である銅(CU)製の最上層
104:接触面に接続された露出金属
105:熱パイプ/導体として動作するPCBビア
106:金属層
107:熱パイプ/導体ではなく電気接続としてのみ動作するPCBビア
108:空気空洞
109:キャップバックプレート
110:無線チップに接続された温度センサ
111:振動板
112:通気穿孔
113:円錐形状空洞
114:熱伝導体
115:力センサ
117:ECG電圧センサ
118:光センサ
119:光源/LED
120:無線チップに接続された温度センサ
122:断熱材、基板
124:2つのサーミスタ間の熱流束
125:センサ実装のアンテナ部分の下にある熱伝導体と金属裏打ち及び接着剤との間の空間/隙間
126:電極
128:加速度計
129:音センサ
130:センサ実装のアンテナ部分
132:最上層の専用アンテナ領域
133:最下層のサーミスタへの遷移及び接続
135:センサ実装の無線、プロトコル及びコントローラ部分
137:第2のセンサへの接続が配線される設計上のアンテナ領域の切り抜き
138:アンテナの金属反射体部分
139:熱伝導体への接続に適合する金属反射体の切り抜き
140:センサ実装の環境発電部分
142:最上層の専用環境発電領域
144:センサ実装の印刷層
150:センサ実装のエネルギー貯蔵部分
152:センサ実装を測定面に固定する接着剤
155:皮膚への熱伝導体接続位置における接着剤の切り抜き
170:センサ実装及び形状変化のいくつかの例
180:センサチップ及びアンテナが埋め込まれたメイン基板
182:2つのセンサ間の接続配線
200:アンテナと、無線リーダチップと、処理チップと、インタフェースと、データストレージと、センサと、気流設計と、を有するリーダ
210:無線リーダチップ
220:無線リーダアンテナ
230:処理及びインタフェースチップ
240:リーダ内のデータストレージ
250:リーダの有線インタフェース
260:リーダ無線インタフェースのアンテナ
270:リーダ内の周囲センサ
280:リーダ周囲センサの気流設計
290:無線インタフェースの無線
300:インタフェースと、信号処理アルゴリズムと、処理及びストレージシステムと、を有するエコシステム
310:エコシステムユーザストレージ
320:エコシステムセンサデータストレージ
330:エコシステム製品データベース
340:ビッグデータアクセスのエコシステムインタフェース
350:エンドユーザアクセスのエコシステムインタフェース
360:エコシステム処理ユニット
370:エコシステム信号処理アルゴリズム
400:エンドユーザ装置
420:アプリケーション又はwebブラウザを有するエンドユーザ装置及びそのストレージユニット
422:アプリケーション又はwebブラウザを有するエンドユーザ装置
424:エンドユーザ装置内のストレージユニット
500:温度熱流束測定設定
510:組織/皮膚熱伝達係数
515:深部と組織/皮膚との間の熱流束
520:深部温度Tc
530:人体の胸部
610:測定環境の空気
615:センサ100と環境との間の熱流束
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27