(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】家具
(51)【国際特許分類】
E05D 15/58 20060101AFI20230719BHJP
E05D 3/14 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
E05D15/58 A
E05D3/14 Z
(21)【出願番号】P 2021568582
(86)(22)【出願日】2020-05-04
(86)【国際出願番号】 AT2020060180
(87)【国際公開番号】W WO2020232490
(87)【国際公開日】2020-11-26
【審査請求日】2021-12-10
(32)【優先日】2019-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】597140501
【氏名又は名称】ユリウス ブルーム ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Julius Blum GmbH
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 1, 6973 Hoechst, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン デュア
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第01873522(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0117500(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0128032(US,A1)
【文献】特表2018-502234(JP,A)
【文献】国際公開第2013/114730(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 15/00-15/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
家具(1)であって、
-家具本体(2)と、
-該家具本体(2)に対して相対的に可動に支持された少なくとも1つの戸(4)と、
-該少なくとも1つの戸(4)を可動に支持するように、前記戸(4)に枢着結合された少なくとも1つの家具ヒンジ(16)と、
-前記少なくとも1つの戸(4)を少なくとも部分的に収容するように、前記家具本体(2)内にまたは前記家具本体(2)に沿って配置され、前記家具本体(2)の少なくとも1つの側壁(7a)により画定された収容ポケット(5b)と、
-少なくとも1つのカバープレート(11)であって、少なくとも、該カバープレート(11)が前記収容ポケット(5b)を少なくとも部分的に覆い隠す第1の作動位置と、前記カバープレート(11)が前記収容ポケット(5b)を解放する第2の作動位置との間で可動である、カバープレート(11)と
を有する家具において、
前記家具ヒンジ(16)は、少なくとも1つの制御部材(17)を有しており、前記少なくとも1つの戸(4)が前記収容ポケット(5b)内で少なくとも部分的に移動させられると、前記制御部材(17)により、前記カバープレート(11)は2つの前記作動位置の間で可動であり、
前記少なくとも1つの戸(4)が収容ポケット(5b)からの引き出し方向(22)に移動することにより、前記カバープレート(11)が前記第1の作動位置から前記第2の作動位置に向かって動くことを特徴とする、家具(1)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの側壁(7a)は、鉛直方向に延びる角隅部(25)を有しており、該角隅部(25)を中心として、前記少なくとも1つの戸(4)が可動であり、前記カバープレート(11)は、前記家具本体(2)の前記少なくとも1つの側壁(7a)に配置されている
、請求項1記載の家具。
【請求項3】
前記家具ヒンジ(16)の前記制御部材(17)は、前記カバープレート(11)の前記第1の作動位置では、前記カバープレート(11)から前記収容ポケット(5b)の奥行き方向に離間されており、前記第2の作動位置では前記カバープレート(11)に当接している、請求項1または2記載の家具。
【請求項4】
前記家具ヒンジ(16)の前記制御部材(17)は、前記カバープレート(11)を滑り支持する少なくとも1つの制御カム(20)を有している、請求項1から3までのいずれか1項記載の家具。
【請求項5】
前記制御部材(17)の動作は、前記家具ヒンジ(16)の動作に連動されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の家具。
【請求項6】
前記家具ヒンジ(16)の前記制御部材(17)は、好適には長孔状のガイド軌道(18)を有しており、該ガイド軌道(18)に沿って、前記家具ヒンジ(16)のガイド部材(19)が移動可能に案内されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の家具。
【請求項7】
前記カバープレート(11)は、鉛直方向に延びる軸(14)を中心として旋回可能に支持されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の家具。
【請求項8】
前記カバープレート(11)は、前記家具本体(2)に、好適には該家具本体(2)の前記側壁(7a)に取り付けられるべき取付け部材(13)に旋回可能に支持されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の家具。
【請求項9】
前記カバープレート(11)は、蓄力器(21)の力により、前記第1の作動位置に向かって付勢され得る、請求項1から8までのいずれか1項記載の家具。
【請求項10】
前記カバープレート(11)は、実質的に前記少なくとも1つの戸(4)の高さに相当する長さを有している、請求項1から9までのいずれか1項記載の家具。
【請求項11】
前記カバープレート(11)は、第1のウェブ(11a)と、該第1のウェブ(11a)から横方向に、好適には実質的に直角に突出した第2のウェブ(11b)とを有しており、好適には、前記収容ポケット(5b)内で前記少なくとも1つの戸(4)が移動させられると、前記家具ヒンジ(16)の前記制御部材(17)は、前記カバープレート11の前記第2のウェブ(11b)に係合可能に構成されている、請求項1から10までのいずれか1項記載の家具。
【請求項12】
前記カバープレート(11)の前記第1のウェブ(11a)と前記第2のウェブ(11b)とは、それぞれ異なる長さを有しており、好適には、前記第1のウェブ(11a)は、前記第2のウェブ(11b)の少なくとも3倍の長さを有している、請求項11記載の家具。
【請求項13】
前記少なくとも1つの戸(4)を案内する少なくとも1つのガイド(9c)が設けられており、該ガイド(9c)は、前記少なくとも1つの戸(4)を、前記家具本体(2)の前記側壁(7a)に沿って案内するように形成されている、請求項1から12までのいずれか1項記載の家具。
【請求項14】
前記少なくとも1つの戸(4)を支持するように、好適には前記カバープレート(11)に配置されたそらせ部材(15)が設けられており、該そらせ部材(15)により、前記家具本体(2)、特に前記家具本体(2)の前記側壁(7a)および/または前記カバープレート(11)と、前記少なくとも1つの戸(4)との衝突が防止されている、請求項1から13までのいずれか1項記載の家具。
【請求項15】
前記そらせ部材(15)は、前記少なくとも1つの戸(4)を滑り支持するように好適には凸状に形成された少なくとも1つのそらせ輪郭(15a)を有している、請求項14記載の家具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家具であって、
-家具本体と、
-家具本体に対して相対的に可動に支持された少なくとも1つの戸と、
-少なくとも1つの戸を可動に支持するように、戸に枢着結合された少なくとも1つの家具ヒンジと、
-少なくとも1つの戸を少なくとも部分的に収容するように、家具本体内にまたは家具本体に沿って配置され、家具本体の少なくとも1つの側壁により画定された収容ポケットと、
-少なくとも1つのカバープレートであって、少なくとも、カバープレートが収容ポケットを少なくとも部分的に覆い隠す第1の作動位置と、カバープレートが収容ポケットを解放する第2の作動位置との間で可動である、カバープレートと
を有する家具に関する。
【0002】
2つの家具部分の間に位置する隙間を覆い隠すように可動に支持されたカバープレートを備えた家具は、例えば欧州特許出願公開第2899344号明細書、欧州特許出願公開第2071108号明細書および国際公開第9923337号から既に公知である。
【0003】
独国特許発明第102014018682号明細書には、1つの家具本体と複数の折戸部材とを備えた家具が記載されており、これらの折戸部材は、家具本体を覆い隠す第1の位置から、折り畳まれた折戸部材が家具本体の上部収容ポケット内に収容されている第2の位置へ移行可能である。折戸部材は、第1の位置から出発して、第1のモータ駆動装置により家具本体に対して相対的に持ち上げ可能であり、次いで折戸部材は、第2のモータ駆動装置により家具本体の上部収容ポケット内へ可動である。さらに、可動に支持された閉鎖フラップが設けられており、閉鎖フラップは、第2のモータ駆動装置により駆動可能なプッシュチェーンにより作動させられる。家具本体の上部収容ポケットは、折戸部材が収容ポケット内に位置しているときに、閉鎖フラップにより閉鎖可能である。
【0004】
本発明の課題は、カバープレートの動作制御が改良された、冒頭で述べた形式の家具を提供することにある。
【0005】
このことは本発明に基づき、特許請求項1または2記載の特徴により解決される。本発明の別の有利な実施例は、各従属請求項に記載されている。
【0006】
本発明では、家具ヒンジは、少なくとも1つの制御部材を有しており、少なくとも1つの戸が収容ポケット内で少なくとも部分的に移動させられると、制御部材により、カバープレートは2つの作動位置の間で可動である、ということが想定されている。
【0007】
換言すると、家具ヒンジは、カバープレートを押圧するように可動に支持された少なくとも1つの制御部材を有しており、この場合、制御部材は、カバープレートが収容ポケットを少なくとも部分的に覆い隠す第1の作動位置では、カバープレートから係合外にもたらされている。制御部材は、収容ポケット内の戸の所定の位置から初めて、カバープレートに係合することができ、これにより、カバープレートは、制御部材が当接することで第2の作動位置へ可動であり、第2の作動位置において、カバープレートは収容ポケットを解放する。
【0008】
少なくとも1つの側壁は、鉛直方向に延びる角隅部を有しており、角隅部を中心として、少なくとも1つの戸が可動である。この場合、カバープレートは、家具本体の少なくとも1つの側壁に配置されている、ということが想定されていてよい。換言すると、戸は、カバープレートも配置されている側壁の角隅部の周りを移動することができる。このようにしてカバープレートは、戸の少なくとも1つの相対位置において、戸により覆い隠すことができるため、カバープレートは、戸の少なくとも1つの相対位置において、正面からは見えなくなっている。
【0009】
家具ヒンジの制御部材は、カバープレートの第1の作動位置では、カバープレートから収容ポケットの奥行き方向に離間されて配置されていてよい。カバープレートの第2の作動位置では、家具ヒンジの制御部材はカバープレートに当接している。
【0010】
家具ヒンジの制御部材は、カバープレートに沿って滑り支持する制御カムを有していてよい。このようにして、カバープレートの動作の開始、動作過程および終了を、時間的かつ運動学的に改良して制御することができる。
【0011】
1つの実施例では、家具ヒンジの制御部材の動作は、家具ヒンジの動作に連結されている、ということが想定されていてよい。このようにして、家具ヒンジの相対位置に依存して、家具ヒンジの閉鎖距離および開放距離により変化する制御部材の動作が達成され、制御部材のこの動作により、カバープレートの動作が2つの作動位置の間で制御可能である。
【0012】
家具ヒンジの制御部材は、好適には長孔状のガイド軌道を有していてよく、ガイド軌道に沿って、家具ヒンジのガイド部材が移動可能に案内されている。
【0013】
1つの実施例では、カバープレートは、カバープレートが70°~110°、好適には実質的に90°の角度範囲内の回動運動により、第1の作動位置と第2の作動位置との間で可動である、ということが想定されていてよい。
【0014】
本発明の別の細部および利点は、以下の図面の説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1aおよび
図1bは、家具本体と、家具本体に対して相対的に可動の戸とを備えた家具を2つの異なる位置で示す斜視図である。
【
図2】
図2a~
図2cは、収容ポケット内に挿入された戸を正面から見た図ならびに詳細に示す2つの別の図である。
【
図3】
図3aおよび
図3bは、戸を収容する収容ポケットの正面図および拡大断面図である。
【
図4】
図4aおよび
図4bは、戸の、引き出し方向に沿った2つの異なる位置を示す図である。
【
図5】
図5aおよび
図5bは、戸の、2つの別の相対位置を示す図である。
【
図6】
図6a~
図6cは、戸を可動に支持する家具ヒンジの斜視図ならびに第1および第2の作動位置におけるカバープレートを示す図である。
【0016】
図1aには、家具本体2と、家具本体2に対して相対的に可動の戸3a,3b,4とを備えた家具1の斜視図が示されている。戸3a,3bは、鉛直方向に延びる軸を介して互いに枢着結合されている。ガイドシステム8を介して、戸3a,3bは、戸3a,3bが互いに実質的に同一平面に方向付けられている第1の位置と、戸3a,3bが互いに実質的に平行に方向付けられている第2の位置との間で可動である。第1の(同一平面)位置において、戸3a,3bは、家具本体2を実質的に完全に覆い隠している。第2の(平行)位置において、戸3a,3bは、家具本体2の収容ポケット5a内に挿入可能である。収容ポケット5aは、互いに実質的に平行に離間された2つの側壁6a,6bにより形成される。ガイドシステム8は、戸3a,3bを案内する第1のガイドレール9aを有しており、この場合、第1のガイドレール9aは、戸3a,3bを家具本体2の端面2aに沿って案内するように形成されている。第1のガイドレール9aに対して横方向に延びる第2のガイドレール9bにより、戸3a,3bは、家具本体2の側壁6aに沿って案内され得る。
【0017】
これに対して戸4は、単一の戸4として形成されており、第1の位置では他方の2つの戸3a,3bに対して同一平面に方向付けられている。戸4が側壁7aに対して実質的に平行に方向付けられている第2の位置では、戸4はガイド9cに沿って、家具本体2の別の収容ポケット5b内に挿入可能である。収容ポケット5bは、やはり互いに実質的に平行に離間された2つの側壁7a,7bにより形成される。
【0018】
図1bには、
図1aに示した家具1が示されており、この場合、戸3a,3bは、互いに平行な位置において収容ポケット5a内に収容されている。これに対して戸4は、2つの側壁7a,7bにより形成された収容ポケット5b内に挿入されている。
【0019】
図2aには、戸4を正面から見た図が示されており、この場合、戸4は側壁7aに対して平行に方向付けられており、完全に収容ポケット5b内に位置している。側壁7aと戸4との間には、鉛直方向に延びる隙間10が形成され、隙間10は、可動に支持されたカバープレート11により、少なくとも部分的に覆い隠すことができる。カバープレート11の機能形式を、簡単のために戸4と収容ポケット5bとに関連して説明する。しかしまた、カバープレート11は、2つの他方の戸3a,3bと組み合わせて使用されてもよい。
【0020】
つまり、側壁7aと戸4との間には隙間10が位置しており、隙間10は、例えば約3cmの幅を有している。この隙間10は、戸4が収容ポケット5b内に挿入されている位置において、カバープレート11により覆い隠すことができる。カバープレート11は、実質的に戸4の高さに相当する長さを有していてよい。
【0021】
図2bには、
図2aに示したユニットを上から見た図が示されており、この場合、戸4は完全に、側壁7a,7bにより形成された収容ポケット5b内に格納されている。側壁7aには、レールの形態のガイド9cが取り付けられている。戸4は、鉛直方向に延びる支持体12に、鉛直方向に延びる軸を中心として旋回可能に支持されており、この場合、支持体12は、ガイド9cに沿って移動可能である。側壁7aの手前側の領域には取付け部材13が取り付けられており、この場合、カバープレート11は取付け部材13に、鉛直方向に延びる軸14を中心として旋回可能に支持されている。
【0022】
図2cには、
図2bにおいて丸で囲まれた領域「A」が拡大図で示されている。側壁7aには取付け部材13が取り付けられており、この場合、カバープレート11は、鉛直方向に延びる軸14を中心として、取付け部材13に対して相対的に旋回可能である。カバープレート11は、第1のウェブ11aと、第1のウェブ11aから横方向に突出した第2のウェブ11bとを有している。隙間10を覆い隠す第1の作動位置において、カバープレート11の第1のウェブ11aは、側壁7aに対して実質的に直角に方向付けられている。カバープレート11には、好適には凸状に形成されたそらせ輪郭15aを備えたそらせ部材15が支持されており、この場合、そらせ部材15はカバープレート11と共に、鉛直方向に延びる軸14を中心として可動である。そらせ部材15により、特に戸4が人により側壁7aに対して相対的に極早期に傾倒させられた場合には、戸4と側壁7aおよび/またはカバープレート11との間の衝突が防止される。つまりそらせ部材15により、戸4は収容ポケット5bから完全に脱出した後に初めて、家具本体2の端面2aに沿って可動である、ということが保証される。
【0023】
図3aには、側壁7a,7bにより形成された収容ポケット5bを正面から見た図が示されており、この場合、戸4は収容ポケット5bから脱出させられている。
【0024】
図3bには、
図3aに書き込まれた平面B-Bに沿った横断面が示されており、この場合、収容ポケット5bから脱出させられた戸4が看取される。戸4は、少なくとも1つの家具ヒンジ16を介して支持体12に旋回可能に結合されており、この場合、支持体12はガイド9cに沿って移動可能である。家具ヒンジ16は、少なくとも1つの制御部材17を有しており、制御部材17によりカバープレート11は、戸4が収容ポケット5b内へ少なくとも部分的に移動させられた場合に、2つの作動位置の間で可動である。第1の作動位置において、カバープレート11は収容ポケット5bを少なくとも部分的に覆い隠す(
図2c)。第2の作動位置において、カバープレート11は収容ポケット5bを解放しており、このことは
図3bに示されている。第2の作動位置において、カバープレート11の第1のウェブ11aは家具本体2の側壁7aに対してほぼ平行に方向付けられている。第1の作動位置(
図2c)において、家具ヒンジ16の制御部材17は、カバープレート11から収容ポケット5bの奥行き方向に離間されている。収容ポケット5bからの戸4の進出動作の終了頃に、家具ヒンジ16の制御部材17はカバープレート11に、この場合はカバープレート11の第2のウェブ11bに係合可能であり、これによりカバープレート11は、鉛直方向に延びる軸14(
図4b)を中心として傾倒させられる。家具ヒンジ16の制御部材17は、好適には長孔状のガイド軌道18を有しており、ガイド軌道18に沿って、家具ヒンジ16のガイド部材19が移動可能に案内されている。さらに制御部材17は、カバープレート11を滑り支持する制御カム20を有していてよい。制御カム20のそれぞれ異なる輪郭により、カバープレート11のそれぞれ異なる運動学的な移動経路が実現され得る。
【0025】
図4aには、戸4の、収容ポケット5bから引き出し方向22への動きが示されている。戸4は、家具ヒンジ16を介して支持体12に旋回可能に支持されており、この場合、支持体12は、側壁7aに取り付けられたガイド9cに沿って移動可能である。制御カム20が配置された(破線で特徴付けられた)制御部材17が認められ、この場合、制御部材17の動作は、家具ヒンジ16の動作に結合されている。示された図面において、家具ヒンジ16の制御部材17は、カバープレート11から係合外にもたらされている。隙間10を覆い隠すカバープレート11は、鉛直方向に延びる軸14を中心として旋回可能に支持されており、(例えば引張ばねの形態の)蓄力器21の力により、隙間10を覆い隠す第1の作動位置に向かって押圧される。
【0026】
戸4が引き出し方向22にさらに動かされると、制御部材17はカバープレート11の第2のウェブ11bに接触し、これによりカバープレート11は、鉛直方向に延びる軸14を中心として旋回させられる(
図4b)。戸4は、そらせ部材15のそらせ輪郭15aに沿って滑動するように支持され、これにより、戸4と、カバープレート11および/または側壁7aとの衝突が防止されている。家具ヒンジ16のガイド部材19は、家具ヒンジ16が動くと制御部材17のガイド軌道18に沿って移動可能であり、これにより制御部材17は、家具ヒンジ16の枢着軸を中心として旋回させられる。
【0027】
図5aには、戸4の引き出し方向22への動きの続きが示されている。戸4は、戸4がそらせ部材15から係合外にもたらされる程度にまで、収容ポケット5bから脱出させられている。ただしカバープレート11の第2のウェブ11bは、引き続き制御部材17の制御カム20に当接しており、これにより、第1の作動位置へのカバープレート11の、-蓄力器21の力により生ぜしめられる-望ましくない戻り動作が阻止されている。
【0028】
戸4が収容ポケット5bから完全に引き出された後に、戸4は、
図5bに示すように、鉛直方向に延びる軸を中心として、側壁7aに対して相対的に旋回させられてよい。カバープレート11、好適にはカバープレート11の第2のウェブ11bは、制御部材17の制御カム20に沿って滑動するように支持され得る。
図1aに示した、戸4が家具本体2を覆い隠す位置に戸4が到達すると、カバープレート11の第2のウェブ11bは、制御カム20の端部ストッパ20aに当接し、これにより、カバープレート11は第2の作動位置に解除可能にロックされている。
【0029】
側壁7aは、鉛直方向に延びる角隅部25を有しており、角隅部25を中心として、戸4が可動である。1つの好適な実施例では、カバープレート11は、家具本体2の側壁7aに配置されている、ということが想定されている。
【0030】
図6aには、戸4を可動に支持する家具ヒンジ16の1つの例示的な実施形態が示されている。家具ヒンジ16は、支持体12に取り付ける第1の金具部材23aと、戸4に取り付ける第2の金具部材23bとを有しており、この場合、金具部材23a,23bは、枢着機構24を介して互いに結合されている。家具ヒンジ16は、制御カム20が配置された制御部材17を含み、制御カム20は、カバープレート11と、好適にはカバープレート11の第2のウェブ11bと協働するように形成されている。ガイド部材19は、制御部材17のガイド軌道18に沿ってまたはガイド軌道18内を移動可能に案内されている。ガイド軌道18内に係合しているガイド部材19の代わりに、制御部材17は、協働する歯列を介して家具ヒンジ16の動作に連結されてもよい。
【0031】
図6bには、カバープレート11が、側壁7aと戸4との間に形成された隙間10を覆い隠すことができる第1の作動位置で示されている。カバープレート11は、鉛直方向に延びる軸14を介して旋回可能に、側壁7aに取り付けられるべき取付け部材13に結合されている。例えば引張ばねの形態の蓄力器21の力により、カバープレート11は常時、第1の作動位置に向かって予荷重を加えられている。カバープレート11にはさらに、そらせ輪郭15aを備えたそらせ部材15が配置されており、そらせ輪郭15aにより、戸4と側壁7aおよび/またはカバープレート11との衝突が防止されている。カバープレート11の2つのウェブ11a,11bは、それぞれ異なる長さを有していてよく、この場合、第1のウェブ11aは、第2のウェブ11bよりも少なくとも3倍長く形成されていてよい。カバープレート11の第1の作動位置において、第1のウェブ11aは、側壁7aに対して実質的に直角に方向付けられている。
【0032】
図6cには、カバープレート11が収容ポケット5bを解放する第2の作動位置で示されている。第2の作動位置において、カバープレート11の第1のウェブ11aは側壁7aに対して実質的に平行に方向付けられており、これにより、収容ポケット5bからの家具ヒンジ16の動作が解放されている。つまりカバープレート11は、軸14を中心とした70°~110°、好適には実質的に90°の角度範囲内の回動運動により、第1の作動位置と第2の作動位置との間で切換可能である。
【0033】
家具ヒンジ16の金具部材23a,23bと、カバープレート11の取付け部材13とは、これらの構成部材を想定位置に取り付けることができる(例えば孔、だぼ、またはロック部材の形態の)それぞれ少なくとも1つの取付け箇所を有していてよい。