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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】レーザ溶接プラスチックセグメント
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/38 20060101AFI20230719BHJP
   B22C 7/00 20060101ALI20230719BHJP
   B29C 65/16 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
B29C33/38
B22C7/00 112B
B29C65/16
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022506692
(86)(22)【出願日】2020-07-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-07
(86)【国際出願番号】 US2020043757
(87)【国際公開番号】W WO2021025889
(87)【国際公開日】2021-02-11
【審査請求日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】62/882,264
(32)【優先日】2019-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520449345
【氏名又は名称】キヤノンバージニア, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Canon Virginia, Inc.
【住所又は居所原語表記】12000 Canon Blvd., Newport News, Virginia, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン, ジョエル シー.
(72)【発明者】
【氏名】持田 健
(72)【発明者】
【氏名】スピード, テッリー
【審査官】関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-176975(JP,A)
【文献】特開2011-255683(JP,A)
【文献】特開2004-058581(JP,A)
【文献】特表2007-523763(JP,A)
【文献】特開2010-149390(JP,A)
【文献】特開2017-029988(JP,A)
【文献】特開2011-161633(JP,A)
【文献】特表2014-529522(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/00-33/76
B29C 65/00-65/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロストワックス鋳造処理用の樹脂金型を作成するためのレーザ溶接処理によって組み立てられる少なくとも2つの樹脂部品であって、
上面と、
側面と、
前記上面と前記側面との間のエッジ部分であって、前記エッジ部分は、前記上面から外側に突出する突出部分を含む、エッジ部分と、
を含む第1の樹脂部品と、
上面と、
前記第1の樹脂部品の前記側面と嵌合する側面と、
第2の樹脂部品の前記上面と前記第2の樹脂部品の前記側面との間のエッジ部分であって、前記第2の樹脂部品の前記エッジ部分は、前記第2の樹脂部品の前記上面から外側に突出する突出部分を含み、前記第2の樹脂部品の前記突出部分は、前記第1の樹脂部品の前記突出部分と嵌合して単一バンプの連続面上にシームラインを有する前記単一バンプを形成し、前記単一バンプは、前記第1の樹脂部品の前記上面及び前記第2の樹脂部品の前記上面から外側に突出する、エッジ部分と、
を含む前記第2の樹脂部品と、
を備える少なくとも2つの樹脂部品。
【請求項2】
前記第1の樹脂部品の前記突出部分は、前記第1の樹脂部品の前記上面及び前記第1の樹脂部品の前記側面から外側に突出し、
前記第2の樹脂部品の前記突出部分は、前記樹脂部品の前記上面から外側に突出し、前記樹脂部品の前記側面から窪む、請求項1に記載の少なくとも2つの樹脂部品。
【請求項3】
前記第1の樹脂部品と前記第2の樹脂部品との間の溶接シームの寸法は、少なくとも、-0.001インチ~0.004インチの範囲の溶接シームクリアランス、0.015インチ~0.100インチの範囲の溶接シームオーバーラップ厚さ、または、15~75度の範囲の溶接シーム溶接角度によって規定される、請求項1に記載の少なくとも2つの樹脂部品。
【請求項4】
前記第1の樹脂部品と前記第2の樹脂部品との間のクリアランス値は、少なくとも、0.001インチ~0.011インチの範囲の部品間クリアランス、または、0%~100%の範囲の部品クリアランス結合剤領域によって規定される、請求項1に記載の少なくとも2つの樹脂部品。
【請求項5】
前記単一バンプの寸法は、少なくとも、0.002インチ~0.010インチの範囲を有するシームバンプ高さ、または、0.030インチ~0.100インチの範囲を有するシームバンプ幅によって規定される、請求項1に記載の少なくとも2つの樹脂部品。
【請求項6】
前記第1の樹脂部品および前記第2の樹脂部品は、ポリスチレンプラスチックで構成される、請求項1に記載の少なくとも2つの樹脂部品。
【請求項7】
ロストワックス鋳造処理用の樹脂金型を作成するために少なくとも2つの樹脂部品を組み立てる方法であって、
上面、側面、及び前記上面と前記側面との間のエッジ部分を含む第1の樹脂部品を提供することであって、前記エッジ部分は、前記上面から外側に突出する第1の突出部分を含む、提供することと、
上面と、前記第1の樹脂部品の前記側面と嵌合する側面と、第2の樹脂部品の前記上面と前記第2の樹脂部品の前記側面との間のエッジ部分とを含む前記第2の樹脂部品を提供することであって、前記第2の樹脂部品の前記エッジ部分は、前記第2の樹脂部品の前記上面から外側に突出する突出部分を含み、前記第2の樹脂部品の前記突出部分は、前記第1の樹脂部品の前記突出部分と嵌合する、提供することと、
前記第1の樹脂部品の前記側面と前記第2の樹脂部品の側面とが対向するように、前記第1の樹脂部品と前記第2の樹脂部品とを位置決めすることと、
少なくとも、前記第1の樹脂部品の前記突出部分又は前記第2の樹脂部品の前記突出部分にレーザを照射して、前記第1の樹脂部品の前記上面及び前記第2の樹脂部品の前記上面から外側に突出する単一バンプの連続面を有するシームラインを有する前記単一バンプを形成するレーザ溶接処理を実行することと、
を含む方法。
【請求項8】
前記第1の樹脂部品の前記突出部分と前記第2の樹脂部品の前記突出部分との間のシーム面は、前記第1の樹脂部品の前記側面と前記第2の樹脂部品の側面との間のシーム面に対して、前記第2の樹脂部品の側に傾斜しており、レーザは、前記第2の樹脂部品の前記突出部分の表面に向けられている、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記レーザの焦点距離は170~200mmの範囲内であり、前記焦点距離は、レーザ装置のガルバノメータの面から、少なくとも、前記第1の樹脂部品の前記突出部分または前記第2の樹脂部品の前記突出部分の表面まで測定される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の樹脂部品と前記第2の樹脂部品との間の溶接シームは、前記シームラインを作成するために溶接される、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記レーザは、前記溶接シーム上を通過する間に溶接パターンを繰り返し、部分的に重なり合い且つ前記溶接シームに沿って配置された前記溶接パターンは、複数の円を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
溶接時間は、前記レーザのクロック速度、及び、前記レーザが前記第1の樹脂部品及び前記第2の樹脂部品の上を通過する回数に依存し、前記溶接時間は、溶接開始から溶接停止までの時間から、ワークピースのロードに必要な任意の時間を引いた時間である、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記レーザは、1900~2100ナノメートルの波長を有する、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、令和1年8月2日に出願された米国仮出願第62/882264号の利益を主張する。
【0002】
本開示は、ロストワックス鋳造用の金型を作成するために、製造処理中および/または組立処理中にプラスチック構成要素を一緒に結合するための方法および構成要素に関する。
【背景技術】
【0003】
プラスチックセグメントを使用するステータおよびホイールタイプの製品は、現在、各セグメントが射出成形または他の類似の方法を使用して製造されることを必要とする。プラスチックセグメントは、結合剤およびアセンブリ固定具を使用して、リングに一緒に結合される。セグメントがリングに組み立てられた後、セグメント間に残る凹状領域を除去するために充填されなければならないセグメント間のシーム(継ぎ目)が形成される。この領域は、処理後の液体が金型に浸透するのを防止するために密封される必要がある。
【0004】
図1A~1Cは、現在知られている処理を示す。図1Aは第1のセグメント1及び第2のセグメント2を示しており、第1のセグメント1及び第2のセグメント2の結合の後に接着剤塗布を補助するために溝を有するように設計された溶接シーム(継ぎ目)を形成するためにレーザが使用される。図1Bは第1のセグメント1および第2のセグメント2が接合されるときに、材料(マテリアル)が一方の側に押し上げられることを示す。図1Cは、第1のセグメント1および第2のセグメント2が接合されることによって材料が圧搾されるときの、第1のセグメント1および第2のセグメント2の幅の減少を示す。
【0005】
第1のセグメントと第2のセグメントとの間の凹状領域を除去するために使用される現在の処理は大きな労力を要し、場合によっては、手動処理を介して特定の顧客要件を達成することが困難になる。典型的には、部分プロファイルの寸法要件および密封要件が存在する。型漏れの原因となる密封ジョイント部分の固定と同様に寸法プロファイルの修理が必要になった場合は、部品の再加工が必要となる。
【発明の概要】
【0006】
本開示の態様は、複数のセグメントのより効果的な接合を提供し、任意の追加の処理の必要性を排除するための方法および構成要素を提供する。
【0007】
本開示の態様は、製造および/または組み立て処理中にプラスチック構成要素を一緒に結合するための方法および構成要素に関する。
ロストワックス鋳造処理用の樹脂金型を作成するためのレーザ溶接処理によって組み立てられる少なくとも2つの樹脂部品であって、上面と、側面と、前記上面と前記側面との間のエッジ部分であって、前記エッジ部分は、前記上面から外側に突出する突出部分を含む、エッジ部分と、を含む第1の樹脂部品と、上面と、前記第1の樹脂部品の前記側面と嵌合する側面と、第2の樹脂部品の前記上面と前記第2の樹脂部品の前記側面との間のエッジ部分であって、前記第2の樹脂部品の前記エッジ部分は、前記第2の樹脂部品の前記上面から外側に突出する突出部分を含み、前記第2の樹脂部品の前記突出部分は、前記第1の樹脂部品の前記突出部分と嵌合して単一バンプの連続面上にシームラインを有する前記単一バンプを形成し、前記単一バンプは、前記第1の樹脂部品の前記上面及び前記第2の樹脂部品の前記上面から外側に突出する、エッジ部分と、を含む前記第2の樹脂部品と、を備える少なくとも2つの樹脂部品。
【0008】
さらなる実施形態、特徴、および利点は、添付の図面および提供される特許請求の範囲と併せて解釈される場合、例示的な実施形態の以下の詳細な説明に基づいて明らかになるのであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を形成する添付の図面は、本開示の様々な実施形態の特徴および利点を示す。
【0010】
図1A】、
図1B】、
図1C図1A図1Cは、2つのセグメントを結合するための従来の方法を示す図である。
【0011】
図2図2は、本開示による溶接製品の一部を示す図である。
【0012】
図3図3は、本開示による溶接製品の上面図を示す図である。
【0013】
図4図4は、図3のA-A’線に沿った境界領域の拡大断面図である。
【0014】
図5A】、
図5B】、
図5C図5A図5Cは、本開示による溶接処理を示す。
【0015】
図6図6は、本開示による溶接ジョイントの断面図である。
【0016】
図7図7は、本開示によるリング構造に溶接された材料の個々のセグメントを示す
【0017】
図8図8は、本開示によるレーザ溶接システムに関連する溶接ジョイントを示す図である。
【0018】
図9図9は、本開示によるレーザ溶接システムを示す図である。
【0019】
図10図10は、本開示によるレーザ溶接システムの一部を示す図である。
【0020】
図11図11は、レーザの動作中にレーザによって繰り返されるパターンを示す図である。
【0021】
図面全体を通して、別段の記載がない限り、同じ参照符号および文字は、例示された実施形態の同様の特徴、要素、構成要素または部分を示すために使用される。本開示はここで、図面を参照して詳細に説明されるが、例示的な実施形態に関連して行われる。添付の特許請求の範囲によって規定される主題の開示の真の範囲および精神から逸脱することなく、記載された例示的な実施形態に対して変更および修正を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示はいくつかの実施形態を含み、当業者に知られている詳細については、特許、特許出願、および他の参考文献に依拠する。したがって、特許、特許出願、または他の参考文献が本明細書中で引用または反復される場合、それは、すべての目的のため、ならびに列挙される命題のために、その全体が参照により援用されることが理解されるべきである。
【0023】
本開示は、プラスチックセグメント間の凹面領域を充填して、部品形状を修正し、次いで、プラスチックセグメントを一緒にレーザ溶接して、それらの元の寸法を維持するためにプラスチックセグメントを接合することを可能とし、一方で、プラスチックセグメントを接合することによって生成されるシーム(継ぎ目)で成形材料が漏れるのを防止することを可能にすることに関する。レーザ溶接は、プラスチックセグメント間の空隙(ギャップ)を充填するための二次処理を必要とすることなく、プラスチックセグメントを効果的に結合し、一緒に密封(封止)する。プラスチックセグメントは、提供された図に示されるように組み立てられる。1つの例示的な実施形態では、図7に示すように、プラスチックセグメントをリングに溶接することができる。
【0024】
図2は、溶接製品10の一部を示す。溶接製品10は、第1のセグメント1と第2のセグメント2とを含む。第1のセグメント1と第2のセグメント3との間には境界領域3がある。図3は、溶接製品10の一部の上面図を示す。図4は、図3のA-A’線に沿った境界領域3の拡大断面図を示す。バンプ4は、第1のセグメント1の一部であるバンプ4aと、第2のセグメント2の一部であるバンプ4bとを含む。バンプ4a及びバンプ4bは、例えばレーザを用いて境界4cで互いに溶接されている。
【0025】
図2および図4に示すように、90度以外の角度である溶接角度を使用することができる。バンプ4における第1のセグメント1と第2のセグメント2との間のシーム面である溶接シームは、角度をつける必要がない。すなわち、溶接角度は90度とすることができる。
【0026】
公知のアプローチでは、セグメントは、凹形のステップ及び又はチャンバを有して設計され、セグメント間の凹状領域を充填する二次処理を可能にする。この既知の設計は、レーザを使用して製品仕様要件を満たすプロファイルを生成するのに理想的ではない。予備的レーザ溶接試験は、セグメント間の現行の設計を用いた良好な溶接をもたらした。結果はプロファイル要件を満たしているが、オリジナルのセグメントデザインのために、レーザ溶接は溶接リングの直径を収縮させた。最終製品の各溶接シームは、クランプ圧力及ぼ各溶接シームで押し上げられた少しの材料を必要とした。これは、各セグメントのサイズの縮小を引き起こし、その結果、リングの全直径が製品の寸法要求を下回る縮小をもたらした。
【0027】
レーザ溶接と共に使用される場合、必要な製品プロファイルおよび気密密封の製造を容易にする代替セグメント設計が提供される。この設計は、プラスチックセグメントをレーザ溶接するために必要とされる処理の独特で重要な構成要素である。この設計の少なくとも1つの利点は、レーザ動作中に部品の寸法が維持されることである。
【0028】
溶接シームでプラスチックセグメントを再設計し、理想的なレーザ溶接技術と設定により、プラスチックセグメントを一緒に結合および密封(封止)する効果的な交換が可能になる。従って、例示的な実施形態では、プラスチックセグメント同士の結合及び密封は、プラスチックセグメント同士の結合及びレーザ溶接と置き換えられる。
【0029】
本開示の例示的実施形態によれば、再設計されたプラスチックセグメントは、完成品の寸法プロファイルおよび密封要件を満たすことを可能にする。これは、公知のアプローチで行われているように、化学結合および接着密封の代わりにレーザ溶接を利用することによって達成される。プラスチックセグメントの再設計は、プラスチックセグメント間の凹状ギャップを排除し、その結果、凹状ギャップを充填するための後処理の必要性を排除する。
【0030】
使用されるレーザ設定により、溶接ジョイントの効果的な結合と密封が可能になる。レーザが使用するアプローチと通過数は溶接ジョイントを密封し、結合するために不可欠である。例示的なレーザ設定は、以下を含むことができる:
レーザ溶接パラメータ
【表1】
【0031】
レーザ溶接は、ジョイントを気密封止し、金型加工後における液体の浸透を防止する。その結果、密封修理の再加工が排除される。これは、接着封止および化学結合、それに続く重要な再加工によって、以前に達成された。
【0032】
本実施形態によれば、作業者が手作業で接着密封材を塗布したり、再加工したりする代わりに、レーザを用いて処理を自動化することができる。
【0033】
全体として、本開示は、ヒューマンエラーの機会を排除することによって、プラスチックセグメントを一緒に、均一かつ安定的に取り付ける再現性を向上させる。
【0034】
本開示は、ファーストパスの歩留まりを改善し、処理ステップおよび再加工を排除することによって、処理におけるコスト削減を可能にする。
【0035】
一対の部品、すなわち、一緒に溶接したときに部品の上面から外側に突出する、バンプ、すなわちバンプ4を形成する第1のセグメント1と第2のセグメント2、を提供することによって、部品間のシーム(継ぎ目)は、上面からの凹部を含まない。これにより、凹部に樹脂を充填するためのレーザ溶接後の後処理を低減または完全に排除することができる。
【0036】
バンプ、すなわちバンプ4を形成する第1のセグメント1および第2のセグメント2の部品対に、結合剤領域のシーム(継ぎ目)に対して(第2のセグメント2に対して)角度をつけられたシーム(継ぎ目)面(溶接シーム(継ぎ目)63)を設け、第2のセグメント2に向けられたレーザを照射することによって、第2のセグメント2上の樹脂は、レーザ貫通および加熱から押し上げられ、膨張し、材料が重なるシーム(継ぎ目)を密封(封止)する。この処理は、レーザ溶接処理中に2つの部分に加えられる高いクランプ圧力を必要とせず、従って、溶接部品の収縮を回避する。
【0037】
図5A図5Cは、第1のセグメント1と第2のセグメント2とを溶接する上述した溶接処理の一例を示している。図5Aは第1のセグメント1及び第2のセグメント2を示しており、従来技術の結合剤溝が除去され、レーザ溶接の結果、材料が溶接シームで重なり合う。得られたバンプの初期寸法は、レーザ溶接動作の実行後の初期要件を満たすように設定される。図5Bは、レーザ溶接動作の結果として材料が押し上げられる第1のセグメント1および第2のセグメント1を示す。レーザ溶接動作に関連する加熱は、材料の膨張を引き起こす。材料が第1のセグメント2および第2のセグメント2と重なるシーム(継ぎ目)は封止される。図5Cは、例示的な実施形態によれば、顧客/製品の要件を満たす結果として生じるバンプ及び溶接シームに加えて、組み合わされた第1のセグメント1及び第2のセグメント2の全体寸法50がレーザ溶接動作中に維持されることを示している。
【0038】
図6は、図5A~5Cの溶接処理から生じる溶接ジョイントの断面図である。上述したように、溶接シームバンプ61は、レーザ溶接動作中に材料が押し上げられることによって発生するバンプである。溶接シーム重複厚さ62は、図5Bに関して説明したように、第1のセグメント1および第2のセグメント2に重なる材料に関連する厚さ量である。
【0039】
溶接シーム63は、第1のセグメント1と第2のセグメント2とが接続されるレーザ溶接動作によって発生するシーム(継ぎ目)である。溶接角度65は、溶接の角度である。部品間のクリアランス66は、第1のセグメント1と第2のセグメント2との間のクリアランス(間隙)の量である。結合剤領域67は、結合剤が配置される領域である。シームバンプ幅68は、バンプ4の幅を表す。シームバンプ高さ69は、バンプ4の高さを表す。図8は、図6の溶接ジョイントを、レーザ溶接システム20(後述する)に関連して図示する。
【0040】
溶接シーム設計のための例示的なパラメータは、以下を含むことができる(図6および8を参照):
♯1.図6および図8に示されるような溶接シーム(継ぎ目)63
A.溶接シームクリアランス64は、-0.001”~0.004”の範囲を有する
B.溶接シーム重複厚さ62は、0.015”~0.100”の範囲を有する
C.溶接シーム63、溶接角度65は、15~75度の範囲を有する(図6参照)
♯2.図6および図8に示されるような部品クリアランス
A.部品間クリアランス66は、0.001~0.010”の範囲を有する
B.部品クリアランス結合剤領域67は、0%から100%の範囲を有する(図6参照)
♯3.図6及び図8に示されるような溶接シームバンプ61
A.シームバンプ高さ69は、0.002”~0.010”の範囲を有する
B.シームバンプ幅68は、0.030”~0.100”の範囲を有する
♯4.材料タイプはポリスチレンプラスチックである
【0041】
レーザ設定および溶接シーム設計のための例示的パラメータを決定するために使用される試験結果を表2に示す。
表2:試験データ-溶接構造および溶接処理のファクタ範囲および設定を決定するために使用される
【表2】
【0042】
図9は、例示的な実施形態によるレーザ溶接システム20を示す。レーザ溶接システム20は、コントローラ27、レーザジェネレータ(生成器)26(オシレータ、発振器)、転送ファイバ21、ビーム整形器22、及びレーザガルバノメータ(レーザ検流計)23を含む。レーザジェネレータ26は、例えば、ダイオードレーザポンプ(図示されていない)を介してレーザビームを生成する。転送ファイバ21は、レーザジェネレータ26によって生成されたレーザビームをビーム整形器22に転送する。ビーム整形器22はレーザビームを再整形し、ガルバノメータヘッド23に送信する。ガルバノメータヘッド23は、レーザビームを溶接経路に沿って移動させる。ガルバノメータヘッド23は、レーザビーム24を溶接ターゲット25に出力する。コントローラ27は、ガルバノメータヘッド23を制御して、レーザビーム24と共に溶接ターゲット25に対するレーザビーム24の方向を変える。
【0043】
図10は、レーザ溶接動作に使用される焦点距離が、溶接ターゲット25に対向するガルバノメータヘッド23の側から溶接ターゲット25の表面まで測定されることを示している。図11は、レーザ溶接動作中にレーザがたどる例示的なパターンを示す図である。このパターンは、限定的であるとは見なされず、例示的な実施形態の実施を可能にする任意のパターンが適用可能である。
定義
【0044】
説明を参照する際に、開示される実施例の完全な理解を提供するために、特定の詳細が記載される。他の例では、本開示を不必要に長くしないために、周知の方法、手順、構成要素、および回路は詳細に説明されていない。
【0045】
要素または部分が本明細書において、別の要素または部分の「上に」、「対して」、「接続されて」、または「結合されて」いると言及される場合、要素または部分は、他の要素または部品の上に直接、対して、接続されて、または結合されてもよく、あるいは介在する要素または部品が存在してもよいことを理解されたい。対照的に、要素が、別の要素または部品の「直接上に」、「直接接続されて」、または「直接結合されて」いると言及される場合、介在する要素または部品は存在しない。使用される場合、用語「および/または」は、そのように提供される場合、関連する列挙された項目のうちの1つまたは複数の任意且つすべての組合せを含む。
【0046】
「下に(under)」、「下に(beneath)」、「下に(below)」、「より低く(lower)」、「上に(above)」、「上に(upper)」、「近位に(proximal)」、「遠位に(distal)」などの空間的に相対的な用語は、本明細書では説明を容易にするために、様々な図に示されるように、1つの要素または特徴と別の要素または特徴との関係を説明するために使用することができる。しかしながら、空間的に相対的な用語は、図に示される向きに加えて、使用または動作中のデバイスの異なる向きを包含することが意図されることが理解されるべきである。例えば、図中のデバイスが裏返される場合、他の要素または特徴の「下(below)」または「下(beneath)」として記載される要素は、他の要素または特徴の「上(above)」に配向される。したがって、「下(below)」などの相対的な空間用語は、上および下の両方の向きを包含することができる。デバイスは別の方法で配向されてもよく(90度または他の配向で回転されてもよく)、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子はそれに応じて解釈されるべきである。同様に、「近位」および「遠位」という相対的な空間的用語も、適用可能であれば、交換可能であってもよい。
【0047】
本明細書で使用される用語「約」は例えば、10%以内、5%以内、またはそれ未満を意味する。いくつかの実施形態では、用語「約」が測定誤差内を意味し得る。
【0048】
第1、第2、第3などの用語は、本明細書では様々な要素、構成要素、領域、部品、および/またはセクションを説明するために使用され得る。これらの要素、構成要素、領域、部品、および/またはセクションは、これらの用語によって限定されるべきではないことを理解されたい。これらの用語は、1つの要素、構成要素、領域、部品、またはセクションを別の領域、部品、またはセクションから区別するためにのみ使用されている。したがって、以下で説明する第1の要素、構成要素、領域、部品、またはセクションは、本明細書の教示から逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、部品、またはセクションと呼ぶことができる。
【0049】
本明細書で使用される用語は特定の実施形態を説明するためだけのものであり、限定することを意図するものではない。本開示を説明する文脈(特に、以下の特許請求の範囲の文脈)における用語「a」および「an」および「the」ならびに同様の指示対象の使用は本明細書中で別段の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両方を包含すると解釈されるべきである。用語「備える(comprising)」、「有する(having)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、および「含む(containing)」は特に断らない限り、限定されない用語として解釈されるべきである(すなわち、「含むがこれに限定されない」を意味する)。具体的にはこれらの用語が本明細書で使用される場合、述べられた特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を指定するが、明示的に述べられていない1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除しない。本明細書中の数値範囲の記載は本明細書中で特に指摘しない限り、単にその範囲内に該当する各値を個々に言及するための略記法としての役割を果たすことだけを意図しており、各値は本明細書中で個々に列挙されるかのように、明細書に組み込まれる。例えば、範囲10~15が開示される場合、11、12、13、および14も開示される。本明細書で記載した全ての方法は本明細書に別段の指示がない限り、或いは明らかに文脈に矛盾しない限り、任意の好適な順序で実行され得る。本明細書で提供される任意のおよびすべての例、または例示的な言語(例えば、「そのよう」)の使用は単に、本開示をより明確にすることを意図したものであり、特に主張されない限り、本開示の範囲に対する限定を提示するものではない。本明細書中のいかなる言語も、本開示の実施に不可欠であるとして特許請求されていない要素を示すものと解釈されるべきではない。
【0050】
本開示の方法および組成物はさまざまな実施形態の形態に組み込むことができ、そのうちのいくつかのみが本明細書に開示されることが理解されるのであろう。当業者であれば、前述の説明を読めば、これらの実施形態の変形が明らかになるのであろう。本発明者らは、当業者がそのようなバリエーションを適切に使用することを期待し、本発明者らは、本明細書に具体的に記載される以外の方法で本開示が実施されることを意図する。したがって、本開示は適用可能な法律によって許可されるように、本明細書に添付された特許請求の範囲に列挙された主題のすべての修正および均等物を含む。さらに、本明細書で別段の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、そのすべての可能な変形形態における上述の要素の任意の組合せが、本開示に包含される。
図1A
図1B
図1C
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図5A
図5B
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