(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】非平衡熱硬化プロセス
(51)【国際特許分類】
H10K 71/60 20230101AFI20230719BHJP
H10K 50/16 20230101ALI20230719BHJP
H10K 50/15 20230101ALI20230719BHJP
H10K 50/17 20230101ALI20230719BHJP
H10K 50/82 20230101ALI20230719BHJP
H10K 50/81 20230101ALI20230719BHJP
H10K 71/40 20230101ALI20230719BHJP
H10K 71/15 20230101ALI20230719BHJP
H10K 77/10 20230101ALI20230719BHJP
H10K 30/50 20230101ALI20230719BHJP
H10K 102/20 20230101ALN20230719BHJP
H10K 102/10 20230101ALN20230719BHJP
【FI】
H10K71/60
H10K50/16
H10K50/15
H10K50/17
H10K50/82
H10K50/81
H10K71/40
H10K71/15
H10K77/10
H10K30/50
H10K102:20
H10K102:10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023018809
(22)【出願日】2023-02-10
(62)【分割の表示】P 2021560165の分割
【原出願日】2020-03-10
【審査請求日】2023-02-13
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521438685
【氏名又は名称】シノヴィア テクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ブルクハルト,ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】スロッカベージ,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ゲイナー,ホイットニー
(72)【発明者】
【氏名】リウ,バン-ヤン
【審査官】酒井 康博
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107623076(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0140336(US,A1)
【文献】国際公開第2017/087475(WO,A1)
【文献】特表2010-534407(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 71/10 - 71/60
H10K 50/00 - 50/88
H10K 77/10
H10K 30/50
H10K 102:20
H10K 102:10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶液ベースの処理を用いて部分OLEDスタックを基材上に作製して、前記部分OLEDスタックの各層を形成することを含み、溶液ベースの処理を用いて透明導電層を堆積させて、前記部分OLEDスタック用のアノードを形成することを含み、
脂肪族溶媒に懸濁した金属化合物を含む溶液を前記部分OLEDスタックの上に堆積させることを含み、
前記金属化合物が、前記脂肪族溶媒に可溶性となるように官能化された導電性粒子を含み、
前記金属化合物を含む前記溶液が、ロールツーロールプロセスを用いて堆積され、
前記溶液中の前記金属化合物から導電性固体層を形成して、前記部分OLEDスタック用のカソードを形成すること、を含む、
方法。
【請求項2】
前記部分OLEDスタックが、前記基材に近い順に、
前記アノードと、
正孔注入層と、
正孔輸送層と、
発光層と、
電子輸送層と、
電子注入層と、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アノードが、透明導電層である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記部分OLEDスタックが、ボトムエミッション型部分OLEDスタックである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記金属化合物が、銀(Ag)化合物又はアルミニウム(Al)化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記カソードが、反射性である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記部分OLEDスタックが、前記基材上の少なくとも1cm
2の連続領域を覆う、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記アノードが、インジウムスズ酸化物(ITO)以外の材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記部分OLEDスタックは複数の層からなり、
前記部分OLEDスタックの前記複数の層の各層が、前記脂肪族溶媒に不溶性である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記金属化合物は、前記導電性粒子を含み、
前記部分OLEDスタック用の前記カソードを形成するために前記溶液から前記導電性固体層を形成することが、前記溶液を熱硬化させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
基材の表面上に少なくとも部分有機発光ダイオード(OLED)スタックが配置された基材を提供すること、
前記部分OLEDスタックの上に、金属及び還元剤を含む溶液を堆積させること、及び
前記金属を還元して前記溶液から前記金属を析出させることにより前記部分OLEDスタック用のカソードを形成すること、
を含む方法。
【請求項12】
前記部分OLEDスタックが、前記基材に近い順に、
アノードと、
正孔注入層と、
正孔輸送層と、
発光層と、
電子輸送層と、
電子注入層と、
を含む、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記アノードが、透明導電層である、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
前記部分OLEDスタックが、ボトムエミッション型部分OLEDスタックである、請求項
11に記載の方法。
【請求項15】
前記金属が、銀(Ag)又はアルミニウム(Al)を含む、請求項
11に記載の方法。
【請求項16】
前記カソードが、反射性である、請求項
11に記載の方法。
【請求項17】
前記部分OLEDスタックが、前記基材上の少なくとも1cm
2の連続領域を覆う、請求項
11に記載の方法。
【請求項18】
前記部分OLEDスタックが、インジウムスズ酸化物(ITO)以外の材料を含むアノードを含む、請求項
11に記載の方法。
【請求項19】
前記部分OLEDスタックが、複数の層からなり、
前記方法が、
溶液ベースの処理を用いて前記部分OLEDスタックを作製して、前記部分OLEDスタックの各層を形成することをさらに含み、溶液ベースの処理を用いて透明導電層を堆積させて、前記部分OLEDスタック用のアノードを形成することを含む、請求項
11に記載の方法。
【請求項20】
前記金属及び前記還元剤を含む前記溶液が、ロールツーロールプロセスを使用して堆積される、請求項
11に記載の方法。
【請求項21】
前記部分OLEDスタックが、複数の層からなり、
前記溶液が溶媒を含み、
前記部分OLEDスタックの前記複数の層の各層が、前記溶媒に不溶性である、請求項
11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示のいくつかの実施形態は、一般に、非平衡熱硬化プロセス(「フラッシュ硬化」)に関し、より具体的には、有機薄膜デバイス内のフラッシュ硬化材料に関する。本開示のいくつかの実施形態は、有機発光ダイオード(OLED)におけるカソードの溶液ベースの堆積に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード、光起電力デバイス、及び薄膜トランジスタなどの薄膜電子デバイスは、典型的には、基材上に作製された層のスタックを含み、1つ以上の電子的に活性な層を含む。層のスタックは順次作製され、(例えば、コーティング、印刷、又はリソグラフィプロセスによって)1つの層がその下の層の上に作製される。
【0003】
各層をできるだけ迅速かつ安価に作製することが有益である。様々な溶液ベース技術及び/又はロールツーロールプロセス技術は、一般に非常に高速で安価であるが、すべての電子デバイス層が溶液ベース及び/又はロールツーロールプロセスと相性が良いわけではない。例えば、いくつかの層は、従来、(遅くて費用がかかる)蒸着、及び/又は、(同じく遅くて費用がかかる)炉内での熱処理(例えば、硬化処理)を用いて堆積されてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の実施形態は、溶液ベース技術及び/又はロールツーロールプロセス技術と相性の良い方法で特定の電子デバイス層を作製するための方法を提供することによって、蒸着及び/又は炉内での熱硬化などの低速で費用かかる技術の必要性を低減する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(A1)その目的のために、電子デバイスのスタック内のそれぞれの層をフラッシュ硬化する方法が提供される。本方法は、基材と、その基材の表面上に配置された1つ以上の電子的に活性な層とを含む層のスタックを提供することを含む。本方法は、さらに、層のスタックの上に、材料の熱硬化性層を塗布することを含む。本方法は、さらに、層のスタックを第1の温度よりも低い第2の温度未満に維持しながら、材料の熱硬化性層を硬化させるのに十分な長さの時間にわたって、材料の熱硬化性層の温度を第1の温度よりも高く上昇させることを含む非平衡熱プロセスを開始するために層のスタックの表面を照射することを含む。層のスタックは、第2の温度未満の温度に対して堅牢である。
【0006】
(A2)(A1)のいくつかの実施形態では、層のスタックは、一部が有機発光ダイオード(OLED)スタックである。
【0007】
(A3)(A1)のいくつかの実施形態では、層のスタックは、一部が有機光起電力のためのスタックである。
【0008】
(A4)(A1)~(A3)のいくつかの実施形態では、材料の熱硬化性層は、架橋性材料を含む。非平衡熱プロセスを実施することは、架橋性材料を架橋することを含む。
【0009】
(A5)(A1)~(A3)のいくつかの実施形態では、材料の熱硬化性層は、重合性材料を含む。非平衡熱プロセスを実施することは、重合性材料を重合することを含む。
【0010】
(A6)(A1)~(A3)のいくつかの実施形態では、材料の熱硬化性層は、半導体ポリマーホスト材料及びドーパントを含む熱活性化可能なドープ層である。非平衡熱プロセスを実施することは、熱活性化可能なドープ層を熱活性化することを含む。
【0011】
(A7)(A1)~(A6)のいくつかの実施形態では、第2の温度は、層のスタック内のそれぞれの層のガラス転移温度である。
【0012】
(A8)(A1)~(A7)のいくつかの実施形態では、材料の熱硬化性層を硬化させるのに十分な長さの時間にわたって層のスタックを第1の温度に維持すると、層のスタックが動作不能になる。
【0013】
(A9)(A1)~(A8)のいくつかの実施形態では、第2の温度は、バルク損傷閾値温度である。
【0014】
(A10)(A1)~(A9)のいくつかの実施形態では、第2の温度は、層のスタック内のそれぞれの層に亀裂又は反りを生じさせる温度である。
【0015】
(A11)(A1)~(A10)のいくつかの実施形態では、第1の温度で材料の熱硬化性層を硬化させるのに十分な時間の長さは、10秒未満、20秒未満、又は1分未満、又は10分未満である。
【0016】
(A12)(A1)~(A11)のいくつかの実施形態では、第2の温度で材料の熱硬化性層を硬化させるのに十分な時間の長さは、10分超、1時間超、2時間超、8時間超、12時間超、又は24時間超である。
【0017】
(A13)(A1)~(A12)のいくつかの実施形態では、第2の温度は、層のスタック内の第1の層に第1の量の熱変形を引き起こす温度であり、第1の量の熱変形は、層のスタック内の、第1の層とは異なる第2の層に亀裂又は反りを引き起こす。
【0018】
(A14)(A13)のいくつかの実施形態では、第1の層は、基材である。
【0019】
(A15)(A13)~(A14)のいくつかの実施形態では、熱変形は、塑性変形である。
【0020】
(A16)(A1)~(A15)のいくつかの実施形態では、材料の熱硬化性層は、層のスタック内の電子的に活性な材料層である。
【0021】
(A17)(A1)~(A16)のいくつかの実施形態では、非平衡熱プロセスによって、材料の熱硬化性層から熱硬化材料層が生成される。本方法は、さらに、熱硬化材料層と、基材と熱硬化材料層との間に配置された電極とを含む電子デバイスをパッケージングすることを含む。熱硬化材料層は、電極を含む電子的に活性な層のスタック内のそれぞれの層である。
【0022】
(B1)さらに、電子デバイスが提供される。電子デバイスは、架橋性材料から形成された架橋材料層を含む。電子デバイスは、さらに第2の材料の層を含む。架橋材料層は、第2の材料の層の上に配置される。架橋性材料を架橋するための閾値温度は、第2の材料の層の損傷閾値温度より高い。電子デバイスは、(A1)~(A12)に従って作製されてもよく、又は(A1)~(A12)に関して説明した特徴のいずれかを有していてもよい。
【0023】
(C1)さらに、電子デバイスが提供される。電子デバイスは、半導体ポリマーホスト材料及びドーパントを含む熱活性化ドープ材料の層を含む。電子デバイスは、さらに第2の材料の層を含む。熱活性化ドープ材料の層は、第2の材料の層の上に配置される。ドーパントを熱的に活性化するための閾値温度は、第2の材料の層の損傷閾値温度より高い。電子デバイスは、(A1)~(A12)に従って作製されてもよく、又は(A1)~(A12)に関して説明した特徴のいずれかを有していてもよい。
【0024】
(D1)さらに、電子デバイスが提供される。電子デバイスは、重合性材料から形成された重合材料層を含む。電子デバイスは、さらに第2の材料の層を含む。重合材料層は、第2の材料の層の上に配置される。重合性材料を重合するための閾値温度は、第2の材料の層の損傷閾値温度より高い。電子デバイスは、(A1)~(A12)に従って作製されてもよく、又は(A1)~(A12)に関して説明した特徴のいずれかを有していてもよい。
【0025】
(E1)さらに、OLEDスタック上にカソードを堆積させる方法が提供される。本方法は、基材の表面上に少なくとも部分OLEDスタックが配置された基材を提供することを含む。本方法は、さらに、部分OLEDスタックの上に、脂肪族溶媒に懸濁された金属化合物を含む溶液を堆積させることを含む。本方法は、さらに、溶液中の金属化合物から導電性固体層を形成して、部分OLEDスタック用のカソードを形成することを含む。
【0026】
(E2)(E1)のいくつかの実施形態では、部分OLEDスタックは、基材に近い順に、アノード、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、及び電子注入層を含む。
【0027】
(E3)(E1)~(E2)のいくつかの実施形態では、アノードは、透明導電層である。
【0028】
(E4)(E1)~(E3)のいくつかの実施形態では、部分OLEDスタックは、ボトムエミッション型OLEDスタックの一部である。
【0029】
(E5)(E1)~(E4)のいくつかの実施形態では、金属化合物は、銀(Ag)化合物又はアルミニウム(Al)化合物を含む。
【0030】
(E6)(E1)~(E5)のいくつかの実施形態では、カソードは反射性である。
【0031】
(E7)(E1)~(E6)のいくつかの実施形態では、カソードは、0.001~1.0Ω/□/ミルの導電率を有する。
【0032】
(E8)(E1)~(E7)のいくつかの実施形態では、部分OLEDスタックは、基材上の少なくとも1cm2の連続領域を覆う。
【0033】
(E9)(E1)~(E8)のいくつかの実施形態では、部分OLEDスタックは、酸化インジウムスズ(ITO)以外の材料を含むアノードを含む。
【0034】
(E10)(E1)~(E9)のいくつかの実施形態では、部分OLEDスタックは、複数の層からなる。本方法は、さらに、溶液ベースの処理を用いて部分OLEDスタックを作製して、部分OLEDスタックの各層を形成することを含み、溶液ベースの処理を用いて透明導電層を堆積させて部分OLEDスタック用のアノードを形成することを含む。
【0035】
(E11)(E1)~(E10)のいくつかの実施形態では、金属化合物を含む溶液は、ロールツーロールプロセスを用いて堆積される。
【0036】
(E12)(E1)~(E11)のいくつかの実施形態では、金属化合物は、脂肪族溶媒に可溶性となるように官能化された導電性粒子を含む。
【0037】
(E13)(E1)~(E12)のいくつかの実施形態では、部分OLEDスタックは、複数の層からなる。部分OLEDスタックの複数の層の各層は、脂肪族溶媒に不溶性である。
【0038】
(E14)(E1)~(E13)のいくつかの実施形態では、金属化合物は、導電性粒子を含む。溶液から導電性固体層を形成して部分OLEDスタック用のカソードを形成することは、溶液を熱硬化させることを含む。
【0039】
(F1)さらに、OLEDスタック上にカソードを堆積させる方法が提供される。本方法は、基材の表面上に少なくとも部分有機発光ダイオード(OLED)スタックが配置された基材を提供すること、部分OLEDスタックの上に、金属及び還元剤を含む溶液を堆積させること、及び、金属を還元して溶液から金属を析出させること、を含む。いくつかの実施形態では、上記溶液は、金属を含む金属化合物を含み、当該金属は金属内で金属状態ではない(例えば、金属元素が金属である酸化状態以外の酸化状態を有する)。
【0040】
(F2)(F1)のいくつかの実施形態では、部分OLEDスタックは、基材に近い順に、アノード、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、及び電子注入層を含む。
【0041】
(F3)(F2)のいくつかの実施形態では、アノードは、透明導電層である。
【0042】
(F4)(F1)~(F3)のいくつかの実施形態では、部分OLEDスタックは、ボトムエミッション型OLEDスタックの一部である。
【0043】
(F5)(F1)~(F4)のいくつかの実施形態では、金属は、銀(Ag)又はアルミニウム(Al)を含む。
【0044】
(F6)(F1)~(F5)のいくつかの実施形態では、カソードは、反射性である。
【0045】
(F7)(F1)~(F6)のいくつかの実施形態では、カソードは、0.001~1.0Ω/□/ミルの導電率を有する。
【0046】
(F8)(F1)~(F7)のいくつかの実施形態では、部分OLEDスタックは、基材上の少なくとも1cm2の連続領域を覆う。
【0047】
(F9)(F1)~(F8)のいくつかの実施形態では、部分OLEDスタックは、酸化インジウムスズ(ITO)以外の材料を含むアノードを含む。
【0048】
(F10)(F1)~(F9)のいくつかの実施形態では、部分OLEDスタックは、複数の層からなる。本方法は、さらに、溶液ベースの処理を用いて部分OLEDスタックを作製して、部分OLEDスタックの各層を形成することを含み、溶液ベースの処理を用いて透明導電層を堆積させて部分OLEDスタック用のアノードを形成することを含む。
【0049】
(F11)(F1)~(F10)のいくつかの実施形態では、金属及び還元剤を含む溶液は、ロールツーロールプロセスを用いて堆積される。
【0050】
(F12)(F1)~(F11)のいくつかの実施形態では、部分OLEDスタックは、複数の層からなり、溶液は溶媒を含み、部分OLEDスタックの複数の層の各層は、溶媒に不溶性である。
【0051】
(G1)さらに、電子デバイスが提供される。デバイスは、基材と、当該基材の表面上に配置されたOLEDスタックの一部とを含む。部分OLEDスタックは、基材に近い順に、アノードと、1つ以上の活性層とを含む。電子デバイスは、さらに、焼結導電性粒子の固体層を含むカソードを含む。電子デバイスは、(E1)~(E14)又は(F1)~(F12)に従って作製されてもよく、あるいは、(E1)~(E14)又は(F1)~(F12)に関して説明した特徴のいずれかを有していてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1A】いくつかの実施形態による、電子デバイスを少なくとも部分的に作製するためのロールツーロールプロセスの設定を示す図である。
【
図1B】いくつかの実施形態による、電子デバイスを少なくとも部分的に作製するためのロールツーロールプロセスの設定を示す。
【
図2A】いくつかの実施形態による、非平衡熱硬化プロセスを示す。
【
図2B】いくつかの実施形態による、非平衡熱硬化プロセスを示す。
【
図2C】いくつかの実施形態による、非平衡熱硬化プロセスを示す。
【
図3A】いくつかの実施形態による、層のスタックの上にカソードを堆積させるための溶液ベースのプロセスを示す。
【
図3B】いくつかの実施形態による、層のスタックの上にカソードを堆積させるための溶液ベースのプロセスを示す。
【
図4】いくつかの実施形態による、層のスタック内の層を熱硬化させる方法のフローチャートである。
【
図5A】いくつかの実施形態による、OLEDスタックの一部の上にカソードを溶液ベースで堆積させる方法のフローチャートを示す。
【
図5B】いくつかの実施形態による、OLEDスタックの一部の上にカソードを溶液ベースで堆積させる方法のフローチャートを示す。
【0053】
図面全体を通して、同様の参照番号は、対応する部分を指す。
【発明を実施するための形態】
【0054】
ここで、実施形態を詳細に参照し、その実施例を添付の図面に示す。以下の詳細な説明では、記載された様々な実施形態を完全に理解することができるように、特定のディテールについて多く記載する。ただし、これらの特定の詳細な説明が無くても記載された様々な実施形態を実施し得ることは、当業者には明らかであろう。他の例では、実施形態の態様を不必要に不明瞭にしないために、周知の方法、手順、構成要素、回路、及びネットワークについては詳細に説明していない。
【0055】
図1A~
図1Bは、いくつかの実施形態による、電子デバイスを少なくとも部分的に製造するためのロールツーロールプロセス設定を示す図である。
【0056】
図1Aは、いくつかの実施形態による、電子的に活性な層(及び他の層)を印刷するためのフレキソ印刷機構100を示す。フレキソ印刷をロールツーロールプロセスの一例として用いるが、本開示の助けを得た当業者は、デバイス材料をコーティング及び印刷するために他のロールツーロールプロセスも適用することができることを理解するであろう。そのようなプロセスは、用途に応じて、スロットダイコーティング、グラビアコーティング、マイクログラビアコーティング、ロールコーティング、コンマコーティング、バーコーティング、ロッドコーティング、ナイフコーティング、ブレードコーティング、スライドコーティング、カーテンコーティング、スプレーコーティング、ロータリースクリーン印刷、インクジェット印刷などを含む。
【0057】
フレキソ印刷機構100は、壷ローラー102を含む。壷ローラー102は、インクパン104内に位置するインクをアニロックスローラー106に転写する。最新のフレキソ印刷では、アニロックスローラー106は、調量ローラーと呼ばれることもある。
【0058】
アニロックスローラー106は、版胴110に取り付けられた可撓性印刷版108へのインクの転写を担う。いくつかの実施形態では、アニロックスローラー106は、版胴110に取り付けられた可撓性印刷版108に均一な厚さのインクを転写する(例えば、アニロックスローラー106は、特定のインク容量を有する微細に彫刻印刷されたセルを有する)。いくつかの実施形態では、任意選択のドクターブレード114は、アニロックスローラー106を掻き取って、可撓性印刷版108に供給されるインクが彫刻印刷されたセル内に含まれるもののみであることを保証する。
【0059】
いくつかの実施形態では、可撓性印刷版108は、軟質可撓性ゴム状材料から作製される。いくつかの実施形態では、可撓性印刷版108は、装着接着テープ112を使用して版胴110に保持される。他の実施形態では、可撓性印刷版108は、磁石、テンションストラップ、及び/又はラチェットを使用して版胴110に保持される。
【0060】
フレキソ印刷機構100は、さらに、版胴110に圧力を加える圧胴116(「印刷アンビル」とも呼ばれる)を含む。これにより、可撓性印刷版108のインク像が印刷基材118に転写される。いくつかの実施形態では、インクは、層のスタック内のそれぞれの層が形成される溶液である(例えば、後続の図に関して説明される層のいずれか)。いくつかの実施形態では、印刷基材118は、後述する方法400(
図4)及び方法500(
図5A~
図5B)における基材として使用される。
【0061】
状況によっては、
図1Aに示すように、印刷基材118上に印刷されたインクを硬化させる必要がある。その目的のために、
図1Bは、いくつかの実施形態による、フォトニック硬化機構115を示す。フォトニック硬化機構115は、印刷基材118を搬送する一対の搬送ローラー(例えば、搬送ローラー120a及び搬送ローラー120b)を含む。次いで、印刷基材118は、ランプ122からの放射線にさらされ(放射線で照射され)、印刷基材118上のインクを、(例えば、UV硬化又は熱硬化プロセスを開始することによって)硬化させる。いくつかの実施形態では、
図2A~
図2C及び方法400(
図4)を参照して説明されるように、ランプ122は、フラッシュ硬化ランプ(例えば、キセノンフラッシュ硬化ランプ)であり、印刷基材118の上面に(例えば、光子の形態で)エネルギーを堆積させる。次いで、印刷基材118は、硬化すると、一対のプルローラー(例えば、プルローラー124a及びプルローラー124b)を通って搬送される。いくつかの実施形態では、
図1A~
図1Bに示すプロセスを繰り返すことによって、硬化したインクの上に追加の(例えば、後続の)デバイス層を印刷することができる。
【0062】
図2A~
図2Cは、いくつかの実施形態による、非平衡熱硬化プロセス(例えば、フラッシュ硬化プロセス)を示す。
図2Aでは、基材204と、基材の表面上に配置された1つ以上の電子的に活性な層とを含む層のスタック202が提供される。例えば、層206a、層206b、及び層206cのうちの1つ以上は、電子的に活性な層である。材料の熱硬化性層208は、層のスタック202の上に適用される。フラッシュ硬化ランプ(例えば、
図1のランプ122)からの光210は、材料の熱硬化性層208に入射する。
【0063】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の熱硬化プロセスは、スタックの2つの層が硬化プロセスを完了するのに必要な期間にわたって実質的に異なる温度にある場合、非平衡熱プロセスと見なされることに留意されたい。例えば、以下で説明するように、いくつかの実施形態では、硬化性層は、第1の温度より高く上昇され、別の層は、第1の温度より低い第2の温度より低く維持され、デバイスは、第2の温度に対して堅牢である。第1の温度と第2の温度は異なるため、プロセスは非平衡熱プロセスと見なされる。
【0064】
その目的のために、
図2Bに示すように、フラッシュ硬化では、エネルギーは急速に(熱化時間未満で)、光210の実質的にすべてが吸収される上面(例えば、材料の熱硬化性層208)にのみ蓄積される。これにより、上面(例えば、材料の熱硬化性層208)が高温(例えば、>500℃)まで加熱されることが可能になるが、そのエネルギーが(基材を含む)下の層のスタック202内に熱化するにつれて、上面の温度(T)は低下し、基材の温度は上昇する。しかし、基材の熱容量は表面の熱容量よりもはるかに大きいため、層のスタック202の温度は少し(例えば、層のスタック202の損傷閾値未満)しか上昇せず、これにより、材料の熱硬化性層208を高温で硬化させている間中、他の層への熱損傷を防ぐことができる。
【0065】
図2Cは、結果として得られる構造を示す。より具体的には、
図2Cは、熱硬化性材料(例えば、架橋性材料から形成された架橋材料、重合性材料から形成された重合材料、及び/又は半導体ポリマーホスト材料及びドーパントを含む熱活性化ドープ材料)から形成された材料の熱硬化性層208を含む電子デバイス212を示す。電子デバイスは、さらに、第2の材料層(例えば、層206a、層206b、及び/又は層206cのいずれか)を含む。熱硬化材料層208は、第2材料層の上に配置される。材料208を熱硬化させるための閾値温度は、第2材料層の損傷閾値温度より高い。電子デバイスは、電子デバイスを保護するために、追加の電子的に活性な層やバリア層などの(図示しないが、
図3Bのバリア層314に類似する)後続の層を含むことができる(つまり、熱硬化層は、電子デバイスの最上層である必要はない)ことに留意されたい。
【0066】
図3A~
図3Bは、いくつかの実施形態による、層のスタックの上にカソードを堆積させるための溶液ベースのプロセスを示す。具体的には、
図3A~
図3Bは、ボトムエミッション型OLED用のカソードを堆積させるための溶液ベースのプロセスの一例を示す。
図3Aでは、基材304の表面上に少なくとも部分OLEDスタック302が配置された基材304が提供される。例えば、部分OLEDスタック302は、アノード306a、正孔注入層306b、正孔輸送層306c、発光層306d、電子輸送層306e、及び電子注入層306fのうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、部分OLEDスタックは、複数の前述の層を含み、前述の層のうちの少なくとも1つを含まない。例えば、いくつかの実施形態では、部分OLEDスタックは、正孔輸送層及び/又は電子輸送層を含まない。いくつかの実施形態では、部分OLEDスタック内の各層は溶液処理される(例えば、ロールツーロールプロセスを用いて処理される)。いくつかの実施形態では、スタック内の4つ以上の層が溶液処理される。多くの層が溶液処理されるにつれて、層の塗布が先に堆積された層を損傷しないような直交性の化学的性質を見つけることがますます困難になることに留意されたい。本明細書に記載のいくつかの実施形態は、スタック内に既に堆積されている3つ以上の溶液処理層を損傷しない化学的性質(例えば、脂肪族溶媒又はトレンス反応)を使用して、溶液処理の銀カソード又はアルミニウムカソードを堆積させる方法を提供する。いくつかの実施形態では、1つ以上の溶液処理された(又は溶液処理可能な)層は、アルコール、エステル、アルデヒド、エーテル、ケトン、芳香族、及び極性プロトン性溶媒を含むクラスの溶媒のいずれかに溶解しやすい。
【0067】
例えば、いくつかの実施形態では、例示的な部分OLEDスタックは、以下の対応する溶媒(括弧内に配置)を使用して作製される:アノード(水)、正孔注入層(アルコール系溶媒)、発光層(芳香族溶媒)、電子受容層(エーテル溶媒)。
【0068】
金属化合物(例えば、銀(Ag)化合物又はアルミニウム(Al)化合物)を含む溶液308が部分OLEDスタックの上に堆積される。いくつかの実施形態では、溶液は溶媒をさらに含み、部分OLEDスタック内のいずれの層も溶媒に可溶性ではない(例えば、層が架橋されているか、層が特定の溶媒に本来不溶性であるかのいずれかの理由により)。部分OLEDスタック用のカソード310は、金属化合物から形成される。例えば、いくつかの実施形態では、金属化合物は金属粒子(例えば、ナノ粒子)を含み、カソードは、溶液を熱硬化させて金属粒子を一緒に焼結させることによって形成される。別法として、カソードは、金属化合物中の金属を金属状態に還元するためのトレンス反応を使用して形成される。本明細書で使用される場合、化合物という用語は、任意の酸化状態の上記金属(例えば、金属が金属状態にあるナノ粒子、金属が金属状態にない溶解金属塩)を含む任意の物質を網羅することを意図している。
【0069】
図3Bは、得られた構造を示す。より具体的には、
図3Bは、ボトムエミッション型OLED312を示す。ボトムエミッション型OLED312は、基材304と、基材304の表面上に配置された部分OLEDスタック302とを含む。例えば、部分OLEDスタックは、基材に近い順に、アノード306a及び1つ以上の活性層のうちの1つ以上を含む。例えば、1つ以上の活性層は、正孔注入層306b、正孔輸送層306c、発光層306d、電子輸送層306e及び電子注入層306fのうちの1つ以上を含む。ボトムエミッション型OLED312は、カソード310をさらに含む。いくつかの実施形態では、カソード310は、焼結導電性粒子(例えば、多孔質金属層)の固体層を含む。いくつかの実施形態では、カソード310は、トレンス反応を示し特徴的な粒径を有する金属の結晶層を含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、追加の層をボトムエミッション型OLED312に塗布することができる。例えば、
図3Bに示すボトムエミッション型OLED312は、バリア層314及びラミネート316を含み、ボトムエミッション型OLED312を、物理的損傷や、例えば、水損傷から保護する。
【0071】
いくつかの実施形態では、
図3A~
図3Bに示すスタックは、アノードが上部にくるように反転されていることに留意されたい(例えば、このOLEDは上面発光OLEDである)。いくつかの実施形態では、アノードは、本明細書に記載の実施形態による、堆積された銀アノードである。
【0072】
図4は、いくつかの実施形態による、層のスタック内の層を熱硬化させる方法400のフローチャートを示す。方法400を参照して説明される様々な工程は、任意選択的に、
図5A~
図5Cを参照して以下に説明される方法500などの本明細書に記載される他の方法及びプロセスと組み合わされてもよい。
【0073】
OLEDなどの様々な電子デバイスは、基材上に層のスタックを(例えば、次々に、リソグラフィ、コーティング、及び/又は印刷プロセスを介して)作製することによって製造される。かかる電子デバイスの作製中において、層の1つに熱プロセスを実施すること、例えば、層を重合、架橋、又はドープすることがしばしば必要となる。したがって、スタックのバルク温度を上昇させることによって(例えば、スタックを炉内に配置することによって)熱プロセスを実施する場合、スタック内の他の層は、熱処理に対して堅牢でなければならない(例えば、他の層を、熱処理によって電子デバイスが機能しないか許容できない寿命を有するように不可逆的に損傷することはできない)。例えば、そのような損傷は、特定の層の温度が損傷閾値(例えば、層が分解する温度)を超えて上昇すると、その特定の層に発生する可能性がある。このような損傷はまた、機械的破壊を引き起こす様々な層間の熱膨張差に起因し得る。例えば、厚い(例えば、厚さ50ミクロン)基材上に複数の薄膜(例えば、約50nmの厚さ)を積層する場合がある。基材がかなり加熱されると、基材が膨張し、スタックが基材に持っていかれて、電子的に活性な層及び/又はバリア層に亀裂を引き起こす。
【0074】
1つの解決策は、スタックに熱的に堅牢な層を用いることであるが、そのような熱的に堅牢な層は高価である。別の解決策は、より低い温度で熱プロセスを実施することであるが、そうすることは、熱プロセスを生産規模においてもはや実行不可能なレベルまで遅くする可能性がある。
【0075】
本開示のいくつかの実施形態では、非平衡熱プロセス(例えば、フラッシュ硬化プロセス)を使用して、上述の問題を克服する。フラッシュ硬化プロセスでは、フラッシュ硬化ランプ(例えば、キセノンフラッシュ硬化ランプ)を使用して材料層(例えば、架橋性材料層、重合性材料層、又はドープ材料層)がその表面を照射される。フラッシュ硬化ランプからのエネルギーは迅速に(例えば、熱化時間未満)、表面の最上層にのみ蓄積される(例えば、エネルギーは、光が実質的に吸収される層に蓄積される)。これにより、表面の最上層を高温(例えば、>500℃)に加熱することができるが、そのエネルギーが下にある層に熱化する際に、下にある層の温度はわずかしか上昇しない。したがって、本開示の非平衡熱プロセスは、フラッシュ硬化層が、下にある層を損傷することなく熱プロセスを実施するのに必要な温度に達することを可能にする。これらのフラッシュ硬化プロセスを用いることにより、処理時間の増加を伴うことなく、熱的に安定性の低い下位構造を有するデバイスを製造することができ、製品コストをほぼ一桁削減することができる。
【0076】
例えば、かかる実施形態を用いて、下にある層を損傷することなく、OLEDスタック内の層内のドーパントを架橋、重合、又は活性化することができる。しかしながら、本開示の助けを得た当業者は、本明細書に記載の実施形態を用いて、層の熱処理が1つ以上の下にある層の熱感度によって律速される他の薄膜デバイス(例えば、有機薄膜デバイス)を作製することができることを理解するであろう。そのようなデバイスとしては、薄膜太陽電池デバイス(例えば、有機光電変換)、プラスチック基材上に堆積された薄膜トランジスタ、及び、タッチセンサ、OLED以外のタイプの透明ディスプレイといった低コストの可撓基材上に作製された他のデバイスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0077】
その目的のために、方法400は、基材と、その基材の表面上に配置された1つ以上の電子的に活性な層とを含む層のスタックを提供すること(402)を含む。いくつかの実施形態では、基材は有機基材(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのプラスチック)である。いくつかの実施形態では、基材は可撓性である。いくつかの実施形態では、基材は、ロールツーロールプロセスに適している。いくつかの実施形態では、基材を提供することは、ロールツーロールプロセス装置に、基材をロール(例えば、リールとして)として提供することを含む。
【0078】
いくつかの実施形態では、層のスタックは、部分OLEDスタックである(404)。いくつかの実施形態では、層のスタックは、有機光起電力のための部分スタックである(406)。しかしながら、当業者は、方法400が、薄膜トランジスタ、タッチセンサ、OLED以外のタイプの透明ディスプレイといった、プラスチック基材上に堆積されたさまざまなデバイス(例えば、薄膜デバイス)に適用可能であることを理解するであろう。
【0079】
方法400は、層のスタックの上に、材料の熱硬化性層を塗布すること(408)をさらに含む。いくつかの実施形態では、材料の熱硬化性層を塗布することは、スロットダイコーティング、グラビアコーティング、マイクログラビアコーティング、ロールコーティング、コンマコーティング、バーコーティング、ロッドコーティング、ナイフコーティング、ブレードコーティング、スライドコーティング、カーテンコーティング、スプレーコーティング、ロータリースクリーン印刷、インクジェット印刷などを含む。
【0080】
いくつかの実施形態では、材料の熱硬化性層は、有機材料を含む。いくつかの実施形態では、材料の熱硬化性層は、架橋性材料を含む(410)。いくつかの実施形態では、材料の熱硬化性層は、重合性材料を含む(412)。いくつかの実施形態では、材料の熱硬化性層は、半導体ポリマーホスト材料及びドーパントを含む熱活性化可能なドープ層である(414)。
【0081】
方法400は、さらに、層のスタックを第1の温度未満である第2の温度未満に維持しながら(例えば、デバイス層のスタックのいかなる部分も第2の温度より高くなく、かつ/又は、層のスタックのいかなるそれぞれの部分もそのそれぞれの部分の損傷閾値温度より高くない)、材料の熱硬化性層(例えば、材料の熱硬化性層の少なくとも一部であって、電子デバイスにおいて電子的に機能するのに十分である一部)を硬化させるのに十分な長さの時間にわたって、材料の熱硬化性層の温度(例えば、材料の熱硬化性層の少なくとも一部)を第1の温度よりも高くすることを含む非平衡熱プロセスを実施すること(416)を含む。層のスタックは、第2の温度未満の温度に対して堅牢である。いくつかの実施形態では、層のスタックは、第2の温度より高い温度に対して(少なくとも材料の熱硬化性層を硬化させるのに十分な長さの時間にわたって)堅牢ではない。いくつかの実施形態では、層のスタック内の第2の層は、第2の温度より高い温度に対して(少なくとも材料の熱硬化性層を硬化させるのに十分な長さの時間にわたって)堅牢ではない。いくつかの実施形態では、材料の熱硬化性層は、第2の層に直接接している。いくつかの実施形態では、熱硬化性層と第2の層との間に1つ以上の介在層がある。いくつかの実施形態では、熱硬化性層は、第2の層の後に堆積される。いくつかの実施形態では、第2の層は、光(例えば、可視光)に対して実質的に透明である。
【0082】
いくつかの実施形態では、非平衡熱プロセスを実施することは、デバイス層のスタックの表面を照明して非平衡熱プロセスを開始することを含む。いくつかの実施形態では、非平衡熱プロセスを実施することは、材料の熱硬化性層の表面を照射して非平衡熱プロセスを開始することを含む。いくつかの実施形態では、表面はランプで照明される。
【0083】
いくつかの実施形態では、成果物(例えば、パッケージ化されたデバイス)が所定の寿命を有し所定の歩留まりを有する場合、層のスタックは、それぞれの温度に対して(それぞれの時間量にわたって)堅牢であると考えられる。例えば、いくつかの実施形態では、所定の歩留まりは90%であり、所定の寿命は(例えば、想定される動作条件下で)1年である。いくつかの実施形態では、所定の歩留まりは90%であり、所定の寿命は2週間である。
【0084】
いくつかの実施形態では、非平衡熱プロセスを実施することは、フラッシュランプ(例えば、材料の熱硬化性層を光硬化又は「フラッシュ硬化」するためのキセノンフラッシュランプ)を使用して材料の熱硬化性層の表面を照射することを含む。いくつかの実施形態では、非平衡熱プロセスを実施することは、架橋性材料を架橋すること(例えば、第1の温度は、十分な量(例えば、可能な架橋の90%)の架橋が起こる架橋閾値温度である)(418)を含む。いくつかの実施形態では、架橋性材料は、架橋前は可溶性であり、架橋後は不溶性である(例えば、製造プロセスにおいてどのような溶媒が使用される場合であっても)。いくつかの実施形態では、本方法は、非平衡熱プロセスを実施した後に、熱硬化材料層の上に追加の層を塗布することを含み、追加の層は溶媒を含む。材料の熱硬化性層は、非平衡熱処理を行う前は溶媒に可溶性であり、非平衡熱プロセスを行った後は不溶性である。
【0085】
いくつかの実施形態では、第1の温度は、190℃、200℃、300℃、400℃、又は500℃より高い。いくつかの実施形態では、第2の温度は、100℃、150℃、又は200℃未満である。
【0086】
いくつかの実施形態では、非平衡熱プロセスを実施することは、重合性材料を重合すること(420)を含む(例えば、第1の温度は、十分な量(例えば、可能な重合の90%)の重合が起こる重合閾値温度である)。
【0087】
いくつかの実施形態では、非平衡熱プロセスを実施することは、熱活性化可能なドープ層を熱活性化すること(422)を含む(例えば、第1の温度はドーパント活性化閾値温度であり、例えば、非平衡熱プロセスを実施することによって材料の電荷キャリア密度が増加する)。
【0088】
いくつかの実施形態では、第1の温度は500℃以上である。いくつかの実施形態では、第2の温度は、第1の温度よりも低い層のスタックの損傷閾値温度である。例えば、いくつかの実施形態では、損傷閾値温度は約150℃である。温度が高すぎる場合に層のスタックが不可逆的に損傷され得る無数の態様があり、よって、これに対応する無数の損傷閾値温度があることに留意されたい。例えば、いくつかの実施形態では、第2の温度は、層のスタック内のそれぞれの層のガラス転移温度である(例えば、それぞれの層は、ガラス転移温度より高い温度にさらされた場合、たやすく溶融する)。いくつかの実施形態では、第2の温度は、バルク損傷閾値温度である(例えば、材料の熱硬化性層を硬化させるのに十分な長さの時間にわたって層のスタックを第1の温度に維持すると、層のスタックは動作不能になるであろう)。別の言い方をすれば、バルク損傷閾値温度は、材料の熱硬化性層を硬化させるのに十分な長さの時間にわたってその温度で炉内に配置された場合に、層のスタックが不可逆的に損傷を受ける温度である。
【0089】
いくつかの実施形態では、第2の温度は、層のスタック内のそれぞれの層に亀裂又は反りを生じさせる温度である。例えば、第2の温度では、基材の熱膨張(変形)により、基材に亀裂又は反りが生じる可能性があり、これにより、電子的に活性な層の1つ以上に亀裂又は反りが生じ、デバイスが動作不能になる。あるいは、層のスタック内の1つの層を溶融して再固化させると、層のスタック内の異なる層に亀裂又は反りが生じる可能性がある。
【0090】
いくつかの実施形態では、第2の温度は、層のスタック内の第1の層に第1の量の熱変形を引き起こす温度である。第1の量の熱変形は、第1の層とは異なる層のスタック内の第2の層に亀裂又は反りを生じさせる。いくつかの実施形態では、第1の層は基材である。いくつかの実施形態では、熱変形は塑性変形である。例えば、基材をかなりの時間第2の温度に上昇させると、基材が塑性変形し(例えば、伸張)、基材の上部に配置された1つ以上の層(例えば、バリア層)に小さな亀裂が生じる可能性がある。小さな亀裂は、例えば、デバイス内に水分を入れることによって、デバイスの寿命を許容可能な閾値未満に制限する可能性がある。
【0091】
いくつかの実施形態では、材料の熱硬化性層は、層のスタック内の電子的に活性な材料層である。いくつかの実施形態では、非平衡熱プロセスによって材料の熱硬化性層から熱硬化材料層が生成され、本方法は、さらに、材料の熱硬化性層と、基材と材料の熱硬化性層との間に配置された電極とを含む電子デバイスをパッケージングすることを含み、材料の熱硬化性層は、電極を含む電子的に活性な層のスタック内のそれぞれの層である。例えば、いくつかの実施形態では、熱硬化材料層と、第1の温度まで上昇した場合に損傷を受けるであろう層のスタック内の他の層との間に熱保護層は存在しない。層のスタックが熱保護層を含まない1つの理由は、電子デバイスの機能に必要な電気的特性を維持する電子デバイス(例えば、OLED)スタックのスタックの中に熱保護層を形成することがしばしば困難又は不可能であることである。
【0092】
いくつかの実施形態では、層のスタックは第1の温度に対しても堅牢であり、本明細書に記載のフラッシュ硬化プロセスは硬化プロセスをスピードアップするために使用されることに留意されたい。
【0093】
いくつかの実施形態では、架橋(又は重合又はドーパント活性化)閾値温度は第1の温度より十分に低く、実際には損傷閾値温度(例えば、第2の温度)より低くてもよいことに留意されたい。架橋(又は重合又はドーパント活性化)閾値温度が損傷閾値温度を下回る場合、架橋(又は重合又はドーパント活性化)は損傷閾値温度より低い温度で実施することができるが、第2の温度で材料の熱硬化性層を硬化させるのに十分な時間の長さは、10分を超え、1時間を超え、2時間を超え、8時間を超え、12時間を超え、又は24時間を超える(例えば、ロールツーロールプロセスには長すぎる)。対照的に、いくつかの実施形態では、第1の温度で材料の熱硬化性層を硬化させるのに十分な時間の長さは、10秒未満、20秒未満、1分未満、又は10分未満である。
【0094】
図5A~
図5Bは、いくつかの実施形態による、OLEDスタック上にカソードを溶液ベースで堆積させるための方法500のフローチャートを示す。方法500を参照して説明される様々な工程は、任意選択的に、
図4を参照して先に説明した方法400などの本明細書に記載の他の方法及びプロセスと組み合わせることができる。
【0095】
溶液処理デバイスを作製する際、所与の層中の溶媒がその下の層を溶解しないことが不可欠である。これは、下にある層の溶媒に対して直交性の溶媒を使用することによって、又は、架橋によって1つ以上の層を不溶性にすることによって達成される。理想的には、これらの材料をすべて架橋可能にして、溶媒の選択が問題にならないようにする。しかしながら、これらは電子的に活性な材料であり、架橋する能力は追加の機能をもつ化学的性質を必要とするため、層の大部分は架橋可能にすることができないか、さもなければ不溶性にすることができない材料から作られる。
【0096】
カソードはボトムエミッション型OLEDスタックの最終層であるため、その下の層(通常は3~5層からなる)のいずれも溶解してはならないがゆえに、設計が最も困難である。このため、従来の溶液処理されるボトムエミッション型OLEDスタックでは、カソードは溶液処理されない。すなわち、ほとんどのOLEDカソードが金属膜である一方で、ほとんどの溶液処理可能な金属は溶媒に懸濁されたナノ粒子を含む。(移動電子を有する)金属粒子を安定化するためには、通常、極性溶媒を使用しなければならない。このことは、典型的なOLEDスタック内に極性溶媒に可溶性の層があるために、問題を引き起こす。
【0097】
むしろ、典型的なOLED作製プロセスでは、カソードは真空堆積プロセス(例えば、物理蒸着)によって堆積される。しかしながら、真空蒸着プロセスは、上述のようにロールツーロールプロセスを用いて実施することができる溶液ベースのプロセスよりも著しく遅く、費用がかかる。
【0098】
方法500は、材料スタックが影響を受けない溶媒(例えば、脂肪族溶媒)を使用することによって、これらの問題を低減又は緩和する。ナノ粒子の(表面の電子特性を変化させるリガンドをその表面に付着させることによる)適切な表面官能化により、ナノ粒子をそのような非極性脂肪族溶媒(例えば、C14~C16のバリアント又はそれより短いもの)に懸濁することができる。
【0099】
そのために、方法500は、基材の表面に配置された部分OLEDスタックを少なくとも有する基材を提供すること(502)を含む。いくつかの実施形態では、部分OLEDスタックは複数の層からなる。いくつかの実施形態では、基材は有機基材(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのプラスチック)である。いくつかの実施形態では、基材は可撓性である。いくつかの実施形態では、基材は、ロールツーロールプロセスに適している。いくつかの実施形態では、基材を提供することは、ロールツーロールプロセス装置に、基材をロール(例えば、リールとして)として提供することを含む。
【0100】
いくつかの実施形態では、方法500は、さらに、溶液ベースの処理を用いて部分OLEDスタックを作製して部分OLEDスタックの各層を形成することを含み、溶液ベースの処理を用いて透明導電層を堆積させて部分OLEDスタック用のアノードを形成することを含む。いくつかの実施形態では、方法500は、溶液ベースの処理を用いて部分OLEDスタックを作製して、1つ以上の(例えば、すべてには満たない)層を形成すること、及び/又は、層の大部分を(例えば、本明細書に記載のロールツーロールプロセスを使用して)形成することを含む。
【0101】
状況次第で(例えば、上記の方法400の説明と同様に)、基材はOLEDスタックの一部と見なされ得ることに留意されたい。したがって、「部分OLEDスタック」は、基材とは異なるOLEDスタックの第2の部分を指す。
【0102】
いくつかの実施形態では、OLEDスタックは、インジウムスズ酸化物(ITO)以外の材料を含むアノードを含む(例えば、アノードはITOを含まない)(504)。いくつかの実施形態では、アノードは、有機マトリックス中に導電性材料を含む。いくつかの実施形態では、アノードは、有機マトリックス(例えば、プラスチックマトリックス)中に銀ナノワイヤを含む。いくつかの実施形態では、有機マトリックスは硬化エポキシである。いくつかの実施形態では、アノードに加えて、OLEDスタックは、1つ以上の電子的に活性な層を含む。
【0103】
いくつかの実施形態では、部分OLEDスタックは、ボトムエミッション型OLEDスタックの部分である(506)(例えば、OLEDスタックは基材を通して光を放出し、その結果、基材はスーパーストレートとしての役割を機能的に果たす)。いくつかの実施形態では、部分OLEDスタックは、基材に近い順に、1つ以上の、又は複数の、又は3つ以上の、アノード、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層及び/又は電子注入層を含む(508)。いくつかの実施形態では、これらの層のうちの1つ以上は省略され、及び/又はこれらの層のうちの2つ以上の機能は、1つの層に組み合わされるか又は統合される。例えば、いくつかの実施形態では、部分OLEDスタックは、アノード及び発光層のみを含み、その上にカソードが作製される。いくつかの実施形態では、アノードは、透明導電層(例えば、透明導電性フィルム)である(510)。
【0104】
いくつかの実施形態では、部分OLEDスタックは、基材上の少なくとも1cm2(又は4cm2又は10cm2)の連続領域を覆う(512)。別の言い方をすれば、方法500は大面積OLEDを生成する。大面積OLEDは、それらの電極において高い導電性を必要とし、そうでない場合は、デバイスは、電極の一方の側(例えば、アノード又はカソード)から他方の側への著しい電圧降下を受ける。その結果、使用時に、OLEDの一方の側が他方の側よりも多くの光を放出することになる。この問題を回避するために、いくつかの実施形態では、方法500は、0.001~1.0Ω/□/ミルの導電率を有するカソードを作製するために使用される。いくつかの実施形態では、導電率は0.001Ω/□/ミルを超える。
【0105】
方法500は、部分OLEDスタックの上に、金属化合物を含む溶液を堆積させること(514)を含む。いくつかの実施形態では、金属化合物は、銀(Ag)化合物又はアルミニウム(Al)化合物を含む。いくつかの実施形態では、金属化合物は、導電性粒子の形態である。いくつかの実施形態では、導電性粒子は、導電性金属粒子(例えば、金属がゼロ酸化の金属状態にあるAg又はAl粒子)である。いくつかの実施形態では、導電性粒子は、導電性ナノ粒子(例えば、平均直径が1ミクロン未満の粒子)である。
【0106】
いくつかの実施形態では、金属化合物を含む溶液は、ロールツーロールプロセスを使用して堆積される。例えば、溶液は、ロールツーロールプロセス技術のためのインクを含む。
【0107】
いくつかの実施形態では、溶液は非極性溶媒を含む(516)。いくつかの実施形態では、溶液は、脂肪族溶媒(例えば、脂肪族溶媒は、C14~C16分子を含む)を含む(518)。いくつかの実施形態では、金属化合物は、非極性溶媒に可溶性となるように官能化された導電性粒子を含む(520)。例えば、脂肪族溶媒の場合、導電性粒子は、溶媒(例えば、C14~C16鎖)を構成するのと同じ炭素鎖を含むように官能化することができる。
【0108】
いくつかの実施形態では、部分OLEDスタックの複数の層の各層は、非極性溶媒に不溶性である(例えば、層が架橋されているか、又は層が非極性溶媒に全く可溶性でないかのいずれかである)。いくつかの実施形態では、方法400(
図4)を参照して説明したように、フラッシュ硬化を使用して、そうしないと非極性溶媒に可溶性となる層を架橋する。
【0109】
方法500は、溶液中の金属化合物から導電性固体層を形成して、部分OLEDスタック用のカソードを形成すること(522)を含む。いくつかの実施形態では、カソードを形成することにより、電子機能性OLEDが完成する(ただし、保護のためにバリア層又はラミネートなどの追加の層を追加してもよい)。
【0110】
いくつかの実施形態では、金属化合物は、導電性粒子を含む(524)。部分OLEDスタック用のカソードを形成するために溶液から導電性固体層を形成することは、溶液を熱硬化すること(例えば、焼結)を含む。したがって、そのような実施形態では、得られるカソードは、複数の焼結導電性粒子を含む(例えば、得られるカソードは、多孔質金属層である)。焼結の程度によっては、熱硬化後に導電性粒子を個々に識別できない場合があることに留意されたい。
【0111】
いくつかの実施形態では、カソードは、トレンス反応を使用して溶液から堆積される。そのために、溶液は、還元剤(例えば、還元糖)を含む(526)。溶液から導電性固体層を形成して部分OLEDスタック用のカソードを形成することは、金属化合物中の金属(例えば、Al又はAg)を還元して溶液から金属を析出させることを含む。いくつかの実施形態では、溶液中で、金属は非中性金属(例えば、非ゼロ酸化状態)であり、よって金属形態ではない。むしろ、溶液中では、金属は、(溶解している可能性はあるが)塩などのより大きな分子の一部である。
【0112】
いくつかの実施形態では、カソードは反射性である(528)。
【0113】
本明細書で使用される場合、第1の層が第2の層の「上に」あると記載されている場合、明示的に述べられていない限り、第1の層が第2の層の直接接触していることを意味するものではないことに留意されたい。むしろ、第1の層が基材に対して(例えば、堆積に関して)第2の層から見て遠位にある場合に、第1の層は第2の層の上にあるという。別の言い方をすれば、第1の層が第2の層の後に堆積されるとき、第1の層は第2の層の上にあるという。1つ以上の介在層が、第2の層と、第2の層の上にある第1の層との間に配置されてもよい。
【0114】
さらに、本明細書で使用される場合、「基材」という用語は、その上に追加のデバイス層が作製される下にある物体又は層を指すために使用される。ただし、そのような層は、作製の目的においては基材として機能し得るが、デバイスの機能性の観点では、スーパーストレートとして機能し得ることを理解されたい。
【0115】
前述の説明は、説明のために、特定の実施形態を参照して説明されている。ただし、先の例示的な説明は、網羅的であること、又は、本発明を開示された詳細な形態に限定することを意図するものではない。先の教示を考慮して、多くの修正及び変形が可能である。本実施形態は、本発明の原理及びその実際の用途を最もよく説明し、それによって、他の当業者が本発明及び企図される特定の用途に適した様々な修正を伴う様々な実施形態を最もよく利用することができるように選択され、説明された。
【0116】
本明細書では、「第1」、「第2」などの用語を使用して様々な要素を説明する場合があるが、これらの要素はこれらの用語によって限定されるべきではないことが理解されよう。これらの用語は、ある要素を別の要素と区別するためにのみ使用される。例えば、「材料層の第1の例」のすべての出現箇所が一貫して名称変更され、「材料層の第2の例」のすべての出現箇所が一貫して名称変更される限り、説明の意味を変更することなく、材料層の第1の例を材料層の第2の例と呼ぶことができ、同様に、材料層の第2の第1の例を材料層の第1の例と呼ぶことができる。材料層の第1の例及び材料層の第2のフィスト例は両方とも材料層の例であるが、それらは材料層の同じ例ではない。
【0117】
本明細書で使用される用語は、特定の実施態様のみを説明するためのものであり、特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。実施態様及び添付の特許請求の範囲の説明で使用されるとき、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数形も含むことが意図される。本明細書で使用される「及び/又は」という用語は、関連する列挙された項目のうちの1つ以上のありとあらゆる可能な組み合わせを指し、包含することも理解されよう。「含む(comprises)」及び/又は「含んでいる(comprising)」という用語は、本明細書で使用される場合、記載された特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/又は成分の存在を規定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、成分、及び/又はそれらのグループの存在又は追加を排除するものではないことがさらに理解されよう。
【0118】
本明細書で使用される場合、「if」という用語は、文脈に応じて、記載された前提条件が真であることを「when」又は「upon」又は「in response to determining」又は「inaccordingtodetecting」又は「inresponsetodetecting」を意味すると解釈され得る。同様に、「[記載された条件の前提条件が真であると判定された場合]」又は「[記載された条件の前提条件が真である場合]」又は「[記載された条件の前提条件が真である場合]」という語句は、文脈に応じて、記載された前提条件が真であると「判定されたとき」又は「判定されたことに応答して」又は「判定されたことに応じて」又は「検出されたとき」又は「検出されたことに応答して」を意味すると解釈され得る。