(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-19
(45)【発行日】2023-07-27
(54)【発明の名称】電解水生成装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/461 20230101AFI20230720BHJP
C25B 1/04 20210101ALI20230720BHJP
C25B 1/26 20060101ALI20230720BHJP
C25B 9/00 20210101ALI20230720BHJP
C25B 15/08 20060101ALI20230720BHJP
【FI】
C02F1/461 A
C25B1/04
C25B1/26 C
C25B9/00 A
C25B9/00 F
C25B15/08 302
(21)【出願番号】P 2019146010
(22)【出願日】2019-08-08
【審査請求日】2022-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】592250414
【氏名又は名称】株式会社テックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【氏名又は名称】久松 洋輔
(74)【代理人】
【識別番号】100154634
【氏名又は名称】吉田 みさ子
(72)【発明者】
【氏名】岡 力矢
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-253954(JP,A)
【文献】特開2009-058160(JP,A)
【文献】特開2008-109984(JP,A)
【文献】特開2018-069178(JP,A)
【文献】特開2003-306787(JP,A)
【文献】中国実用新案第208218469(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F1/46-1/48
C25B1/00-9/77
C25B13/00-15/08
H05K5/00-5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水を電気分解することにより電解水を生成する電解水生成部と、
第1方向の一方側に開口部を有し、前記電解水生成部を格納する筐体であって、前記開口部の一辺の第1内壁であって前記第1方向に直交する第2方向に延びる第1内壁には、前記第2方向に延びる立ち上がり部がある筐体と、
前記筐体に開閉可能に取り付けられて前記開口部を覆い、前記立ち上がり部と前記筐体の内部への吸気路を形成する扉部と、
を有し、
前記扉部の内面には、フィルタを収納し通気性を有するフィルタ収納部が、前記第2方向に延びるとともに、前記立ち上がり部の頂部に接し、前記吸気路における前記筐体の内部への出口を覆う
ことを特徴とする電解水生成装置。
【請求項2】
前記立ち上がり部は、
前記第1内壁の前記第1方向における前記一方側の縁から立ち上がり、前記第1方向および前記第2方向に直交する第3方向の一方側に延びる第1壁部と、
前記第1壁部から前記第1方向の前記一方側に折曲する前記頂部と、
前記頂部から折曲して前記第3方向の他方側に延び、前記第1壁部よりも前記第3方向に短く、前記扉部と前記出口を形成する第2壁部と、を有し、
前記扉部の前記第3方向の前記
他方側の縁に沿う第1縁壁と、前記筐体の
前記第1壁部との隙間が、前記吸気路の入口となる
ことを特徴とする請求項1に記載の電解水生成装置。
【請求項3】
前記第1縁壁は、前記第2壁部の前記第3方向における前記他方側まで延び、
前記第1方向において、前記吸気路の前記入口は、前記出口よりも小さい
ことを特徴とする請求項2に記載の電解水生成装置。
【請求項4】
前記扉部は、全体が前記筐体から分離可能なはめ込み式である
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の電解水生成装置。
【請求項5】
前記第1方向および前記第2方向は、水平面内にあり、
前記吸気路は、前記電解水生成装置の下側にある
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の電解水生成装置。
【請求項6】
前記開口部は、矩形であり、
前記開口部における前記第2方向の両側の第2内壁の内側には、溝底部と、前記溝底部から前記第1方向の前記一方側に折曲する内縁壁と、が上下方向に沿って設けられ、前記第2内壁の各内側に前記第2内壁、前記溝底部、および前記内縁壁によって上下方向に延びる溝が形成され、
前記扉部の前記第2方向の両側の縁に沿って第2縁壁が設けられ、
前記フィルタ収納部の前記第2方向の両端には、それぞれ、接続部を介して突出部が接続し、前記フィルタ収納部の前記第2方向の両外側には、前記フィルタ収納部、前記接続部、および前記突出部によって凹部が形成され、
前記各溝には、それぞれ、前記第2縁壁および前記突出部が差し込まれ、前記各凹部には、それぞれ、前記内縁壁が差し込まれる
ことを特徴とする請求項5に記載の電解水生成装置。
【請求項7】
前記筐体内の上側に位置する第1排気ファンと、
前記筐体の側面又は前記扉部における前記第1排気ファンと対向する位置に設けられた排気口とを有する
ことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の電解水生成装置。
【請求項8】
前記筐体内は、前記第1方向の前記一方側に位置する機械室と、前記第1方向の他方側に位置する制御盤室とに仕切り壁によって仕切られ、
前記機械室には、前記電解水生成部と前記第1排気ファンとがあり、
前記制御盤室には、前記仕切り壁に形成された貫通孔を通る配線により前記電解水生成部と接続し前記電解水生成部を電気的に制御する制御盤と、排気量が前記第1排気ファンよりも
小さくなるように駆動される第2排気ファンとがある
ことを特徴とする請求項7に記載の電解水生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解水を生成する電解水生成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電解水生成装置は、供給された原水と電解質水溶液とを用いて電気分解をい、酸性電解水やアルカリ性電解水といった電解水を生成する装置である(例えば特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる構成の電解水生成装置では、電気分解と共に気体が発生するため、装置内部に気体が溜りやすく、換気するための機構を必要とする。
【0005】
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、その目的は、簡易な構成で換気機構を実現可能な電解水生成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するため、本発明の電解水生成装置は、
原水を電気分解して電解水を生成する電解水生成部と、
前記電解水生成部を格納する筐体と、
前記筐体に対して取り付けられた開閉可能な扉部と、
前記筐体と前記扉部との間に設けられた換気隙間と
を有することを特徴とする。
本発明の電解水生成装置は、
原水を電気分解することにより電解水を生成する電解水生成部と、
第1方向の一方側に開口部を有し、前記電解水生成部を格納する筐体であって、前記開口部の一辺の第1内壁であって前記第1方向に直交する第2方向に延びる第1内壁には、前記第2方向に延びる立ち上がり部がある筐体と、
前記筐体に開閉可能に取り付けられて前記開口部を覆い、前記立ち上がり部と前記筐体の内部への吸気路を形成する扉部と、
を有し、
前記扉部の内面には、フィルタを収納し通気性を有するフィルタ収納部が、前記第2方向に延びるとともに、前記立ち上がり部の頂部に接し、前記吸気路における前記筐体の内部への出口を覆う
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、簡易な構成で換気機構を実現可能な電解水生成装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】電解水生成装置の全体構成を示す略線図である。
【
図2】電解水生成装置の側面パネルを取り外した状態を示す略線図である。
【
図3】内側から見た側面パネルを示す略線図である。
【
図4】側面パネルを外した状態の電解水生成装置を示す略線図である。
【
図5】開状態の電解水生成装置と側面パネルの断面図を示す略線図である。
【
図6】閉状態の電解水生成装置と側面パネルの断面図を示す略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【0010】
<実施の形態>
図1において1は、全体として電解水生成装置を示している。電解水生成装置1は、水を使用する工場などでの使用が想定されている。従って、上側又は水平方向から水が掛かった場合であっても筐体2の内部に水が入らないよう、防水仕様となっている。
【0011】
電解水生成装置1は、直方体形状を有し、筐体2の内部に電解水生成部7(
図2参照)及び排気ファン6,43を収納している。排気ファン6,43は、筐体2における左右両側において、天井面25Cから吊下げられるようにして上部に設置されている。
【0012】
電解水生成部7は、外部から供給される原水(例えば水道水、工業用水、濾過された水など)、及び食塩や炭酸ナトリウム、塩酸などの電解質が溶解された電解質水溶液を電気分解し、電解水(例えば酸性電解水又はアルカリ性電解水、若しくは酸性電解水及びアルカリ性電解水)を生成する。後面25Bに形成された供給接続口(図示しない)を介して原水及び電解質水溶液が供給され、後面25Bに形成された排出接続口(図示しない)を介して電解水が排出される。供給接続口及び排出接続口には、それぞれホースが接続され、ホースの先端位置に原水及び電解質水溶液の供給源及び排出口が設けられている。
【0013】
図2に示すように、筐体2は、左右側の側面パネル3が筐体本体20から取り外し可能に構成されている。筐体本体20は、前側の前面25A、後側の後面25B、上側の天井面25C、下側の底面25Dの4面と左右側の開口部から構成されている。
【0014】
図3では、右側の側面パネル3及び筐体本体20の前後方向における中心近傍の断面図を示している。以下、右側の側面パネル3及び筐体本体20について説明し、同一構成を有する左側の側面パネル3及び筐体本体20についての説明を省略する。
【0015】
側面パネル3では、側面パネル3に設けられたパネル孔31の外側(図では右側)に対し、排気ファン6と対向する位置に該パネル孔31より一回り大きい左右側に長い換気口板4が取り付けられる。換気口板4は、貫通孔4Bと該貫通孔4Bを覆うように突出するフード4Aが設けられている。
【0016】
フード4Aは、貫通孔4Bのすぐ上から下端が貫通孔4Bよりも下側まで形成されており水平方向において貫通孔4Bの右側を覆っている。言い換えると、フード4Aは貫通孔4Bの外側を覆うと共に、その下側が開口しており、上側又は水平方向から水が掛かった場合であっても、貫通孔4Bを介して筐体2の内部に水が浸入するのを防止することができる。
【0017】
側面パネル3のパネル孔31の内側には、フィルタ5が取り付けられている。これにより、電解水生成装置1の外部から貫通孔4Bを介して異物が混入することを防止することができる。
【0018】
図4では、右側の側面パネル3の内側(左側)を下側から見た状態を示している。係止具8は、側面パネル3の外側面3A側からの操作に応じて側面パネル3を筐体本体20に係止して固定するための係止金具である。
【0019】
側面パネル3は、その端部である4辺が内側面3Bから突出する縁壁13(上側の縁壁13C、下側の縁壁13D、前側の縁壁13A及び後側の縁壁13B)が形成されている。突出する高さは4辺全て同じであり、例えば0.5~2.0cm程度である。上側、前後側の縁壁13C、縁壁13A及び縁壁13Bは、内側面3Bと水平な平坦部13Ab~13Cbを有している。この平坦部13Ab~13Cbは、例えば0.5~2.0cm程度であり、縁壁13の先端が折り曲げられることにより形成されている。
【0020】
下側の縁壁13Dは内側面3Bからほぼ直立する板形状を有しており、平坦部が形成されていない。縁壁13Dには、両端近傍に壁を切り欠いたように凹み13Daが設けられている。
【0021】
下側の縁壁13Dより1~5cm程度上側の位置には、内側面3Bから直立するフィルタ収納部10が形成されている。フィルタ収納部10は、左右側に長く形成されており、上下側に面を有する角柱形状を有している。フィルタ収納部10は、全面的に中抜きされた骨組みだけからなる格子状に形成されており、内部にフィルタ11が収納されている。フィルタ収納部10は、格子状の突出部分である収納機構10Aと板状の取付部10B(
図3参照)とから構成されており、取付部10Bが螺子などによって固定されることにより側面パネル3に固定されている。
【0022】
フィルタ収納部10の前後側両端には、ギャップ10Dを挟んで細長い突出部10Cが設けられている。すなわちフィルタ収納部10の端部には、凹部であるギャップ10Dが形成されている。なお突出部10Cは、フィルタ収納部10の長さより小さく形成されている。
【0023】
図5では、筐体本体20の右側を下側から見た状態を示しており、電解水生成部7を省略している。
【0024】
筐体本体20において、右側の開口部分の上側及び前後側の辺を構成する縁部分には、平坦部を有する縁面21(21A~21C)が形成されている。縁面21の内側には、0.5~2.0cm幅の溝29が形成され、溝29の内側には縁面21より低い(左側の)位置に先端を有する内縁壁27が形成されている。溝29には、ゴムなどの弾性材で形成されたシーリング材29Aが埋め込まれている。
【0025】
筐体本体20の下側部分には縁面は形成されておらず、内縁壁27の右側端と同位置に形成された縁面21と平行な0.5~2.0cm幅の平面を有する下平坦部22と、下平坦部22に続いて該下平坦部22より左側(すなわち開口部より奥)に形成された奥平坦部23とを有している。言い換えると、奥平坦部23から垂直に突出する突出部22aに続いて下平坦部22が延設されている。奥平坦部23の前後側の両端近傍には、螺子固定部24が突出している。
【0026】
縁面21、内縁壁27及び下平坦部22は筐体本体20から内側に突出するように形成されており、筐体本体20の内部空間は、縁面21、内縁壁27及び下平坦部22によって構成される開口部分より大きく形成されている。
【0027】
下平坦部22及び奥平坦部23は、底面25Dから上側へ向けて突出しているため、前面25Aと後面25Bと併せて受け皿を形成することができ、仮に電解水生成部7から水漏れが生じた場合であっても、漏れた水を筐体2内部に留めることができる。
【0028】
縁面21は、奥平坦部23から下側に突出して折れ曲り左右側に平行な平面を有する底縁面26(26A及び26B)に延設されている。底縁面26には、低い円柱形状を有する弾性体で構成された脚部26Cが取り付けられている。
【0029】
底面25Dは奥平坦部23の下側から延設され、底縁面26より上側に位置している。すなわち、底縁面26は、奥平坦部23から突出し、載置したときに床面と接触する脚の役割を担っている。
【0030】
図3に示したように、側面パネル3における縁壁13Cにおける先端の下端13Caから縁壁13Dの下側までの距離D1が、筐体本体20における内縁壁27の上端27Caから底面25Dの下端までの距離D2とほぼ同じ又は僅かに小さく(例えば0.05~1.0cm程度)になるよう形成されている。また、下端13Caから収納機構10Aの下端10Aaまでの距離D3が、上端27Caから下平坦部22の上端22aまでの距離D4より僅かに小さく(例えば0.05~1.0cm程度)なるように形成されている。
【0031】
従って、
図5に示すように、側面パネル3における収納機構10Aを下平坦部22に載せると、縁壁13Cにおける先端部分を溝29に嵌合させることができる。上述したように溝29には、シーリング材29Aが埋め込まれているため、縁壁13Cにおける平坦部はシーリング材29Aに当接する。
【0032】
このとき、フィルタ収納部10のギャップ10D(
図4参照)が内縁壁27に嵌まり、突出部10Cが溝29に嵌まり、下側の縁壁13Dに形成された凹み13Daは螺子固定部24を避けるようになされている。
【0033】
また図示しないが、前後方向においても同様であり、縁壁13A及び13Bの内側間の距離D5が溝29の内側間の距離D6よりも僅かに大きく(例えば0.05~1.0cm程度)形成されている。従って、縁壁13A及び13Bの平坦部が溝29のシーリング材29Aに当接する。
【0034】
すなわち、側面パネル3における上側及び左右側の縁壁13A~13Cが筐体本体20におけるシーリング材29Aに当接するため、上側及び左右側は密封され、外側から掛けられた水が筐体2の内部に侵入することを防止することができる。
【0035】
上述したように、排気ファン6に対向する位置に換気口板4が配置している。従って排気ファン6が回転すると、筐体2内部の気体がパネル孔31及び貫通孔4Bを介して外側へと移動する流れが形成される。
【0036】
このとき、縁壁13Dの先端と奥平坦部23の右端との間に換気隙間39が形成されており、換気隙間39の上側を覆うように収納機構10Aが設けられているため、換気隙間39は収納機構10Aに収納されたフィルタ11を通って気体が侵入する。
【0037】
このように、開口部を下側にのみ設けると共に、奥平坦部23と下平坦部22との間の段差のように開口部の上部にガードを設け、折れ曲がる空気の流れを形成させるようにした。これにより、換気隙間39では、開口部を有するにもかかわらず、外部からの水の浸入を防止することができる。
【0038】
また
図2に破線で示すように、筐体2は、左右方向を隔てる仕切り壁41を内部に有している。この仕切り壁41より左側の左側室には、電気系統を制御する制御盤42が設置されている。制御盤42に設置された電子部品は水に弱いため、左側室にも電解水生成部7のある右側室と同様の防水機構が設けられている。また、制御盤42から発生する熱を逃がすため、左側室にも排気ファン43や換気機構が設けられている。
【0039】
また図示しないが、制御盤42の一部は、右側の電解水生成部7と電気的に有線で接続されており、仕切り壁41に形成された貫通孔に配線が通されることにより制御盤42と電解水生成部7とが接続されている。
【0040】
貫通孔の周囲はシーリングされているものの、配線の交換などを想定して固着されていないため、密閉性はさほど高くない。仮に右側室の圧力が左側室よりも高くなってしまうと、電解水生成部7から発生した塩素ガスが左側室に移動する可能性が生じてしまう。
【0041】
そこで電解水生成装置1では、右側室の排気ファン6の排気量が左側室の排気ファン43の排気量よりも大きくなるように調整している。具体的には、排気ファン6と排気ファン43とで仕様の相違するものを設置したり、供給する電力の調整を行うことにより、排気量を相違させる。
【0042】
これにより、電解水生成装置1では、左側室が右側室よりも陽圧となる。このため電解水生成装置1では、右側室と左側室とで気圧差が生じた場合であっても、左側室から右側室へとガスが移動するようにでき、塩素ガスが左側室に移動することを極力防止できる。
【0043】
<動作及び効果>
以下、上記した実施形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて課題及び効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記各実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。また、各特徴に記載した用語の意味や例示等は、同一の文言にて記載した他の特徴に記載した用語の意味や例示として適用しても良い。
【0044】
以上の構成において、本発明の電解水生成装置(電解水生成装置1)は、原水を電気分解することにより電解水を生成する電解水生成部(電解水生成部7)と、
前記電解水生成部を格納する筐体(筐体2)と、
前記筐体に対して取り付けられた開閉可能な扉部(側面パネル3)と、
前記筐体と前記扉部との間に設けられた換気隙間(換気隙間39)とを有することを特徴とする。
【0045】
これにより、電解水生成装置は、開閉に使用される扉部の切り目を利用して換気隙間を形成することができるため、わざわざ孔や隙間を形成する必要がなく、簡易な構成で換気機構を形成することができる。
【0046】
電解水生成装置において、前記電解水生成部は、電気分解により塩素ガスを発生することを特徴とする。
【0047】
これにより、金属の腐食を引き起こしやすい塩素ガスを装置内部に充満させることを防止でき、電解水生成装置としての耐久性を向上させ得る。
【0048】
前記換気隙間は、
前記扉部における下側に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の電解水生成装置。
【0049】
これにより、重力の影響により水の浸入の恐れが小さい下側にのみ開口部を形成することができる。
【0050】
電解水生成装置において前記扉部は、
下端部分に前記筐体へ向けて突出する縁壁(縁壁13D)を有し、
前記筐体は、上側へ向けて突出する縁壁部(奥平坦部23)と、該縁壁部に延設され、前記扉部へ向けて突出する突出部(突出部22a)とを有することを特徴とする。
【0051】
これにより、開口部の上側に突出部を配置することができるため、仮に水が下から浸入した場合であっても、突出部によってガードでき、開口部からの水の浸入を防止できる。
【0052】
電解水生成装置は、前記換気隙間を覆うようにして設置されたフィルタ
を有することを特徴とする。
【0053】
これにより、換気隙間から侵入する異物をフィルタで除去できる。
【0054】
電解水生成装置において前記扉部は、
全体が筐体から分離可能なはめ込み式であることを特徴とする。
【0055】
これにより、ヒンジ式の開閉扉と比較して、扉の形状に係る制限がなく、また4辺が離隔可能なため開口部の設置場所に関する制限を少なくでき、設計の自由度を向上させることができる。
【0056】
電解水生成装置において前記フィルタは、
前記扉部の内側面から突出し、空洞を有するフィルタ収納部に格納されていることを特徴とする。
【0057】
これにより、扉部にフィルタを収納できるため、簡単にフィルタを交換できる。また、フィルタ収納部を扉部の位置決めに利用させることができる。
【0058】
電解水生成装置は、前記電解水生成部から前記筐体の外側へ向けた気体の流れを形成するファンと、
前記筐体の側面又は前記扉部における前記ファンと対向する位置に設けられた換気口と
を有することを特徴とする。
【0059】
これにより、筐体2内部の空気を排出して換気を促すことができるため、筐体2内部に電解水の生成によって発生した発生ガス(塩素ガスなど)が充満せず、発生ガスに起因する電解水生成部の劣化を防止することができる。
【0060】
電解水生成装置において前記換気口は、
前記換気口への外部からの液体の侵入を防ぐフードが設けられていることを特徴とする。
【0061】
これにより、換気口から液体が侵入することを未然に防止できる。
【0062】
電解水生成装置において前記フィルタ収納部は、
前記フィルタの下部を保持すると共に、上部及び左右を位置決め可能に形成されている
ことを特徴とする。
【0063】
これにより、筐体内部で生じる気流によってフィルタの位置が変わってしまうことを防止できる。
【0064】
すなわち、水場で使用されることが多く、防水仕様を要求されるものの、電解水生成部において発生する発生ガスの影響で密封構造を取ることができない電解水生成装置において、上側、左右側を密閉すると共に、最も水がかかりにくい下側に開口を設けて換気機構を形成する。このとき、扉部での切り目を利用して換気隙間を設けることにより、新たな開口部として孔などを形成せずに済む。また電解水生成装置の筐体に付随して開口部を設けることができるため、例えば底面に開口部を設ける場合と比較して、電解水生成部からの水もれなどを生じさせる恐れがない。
【0065】
前記筐体には、
仕切り壁(仕切り壁41)によって仕切られ、
前記電解水生成部と第1の排気ファン(排気ファン6)とを有する機械室(右側室)と、前記電解水生成部を電気的に制御する制御盤(制御盤42)と第2の排気ファン(排気ファン43)とを有する制御盤室(左側室)と、前記仕切り壁に形成された貫通孔を介して前記電解水生成部(電解水生成部7)と制御盤とを繋ぐ配線とを有し、
前記第1の排気ファンの排気量が、前記第2の排気ファンの排気量よりも大きくなるよう調整されている。
【0066】
これにより、制御盤室を機械室よりも陰圧にできるため、圧力の際によって機械室から制御盤室へと、電気分解によって発生する塩素ガスなどの生成ガスを移動させずに済み、制御盤の耐久性を向上させることができる。
【0067】
<他の実施の形態>
上述実施形態では、はめ込み式の扉として側面パネル3を使用するようにした。本発明はこれに限らず、例えばヒンジや蝶番を使用した一辺が回転することにより開閉可能な扉を使用し、該扉の切り目に換気機構を設けても良い。
【0068】
上述実施形態では、換気隙間39を覆うようにフィルタ11を設置した。本発明はこれに限らず、必ずしもフィルタは必須ではない。また、フィルタ収納部10の形状に制限は無く、必ずしも角柱形状にする必要は無い。例えばフィルタを載置して部分的に固定するようにしても良い。
【0069】
上述実施形態では、電解水生成装置1が防水仕様であるようにした。本発明はこれに限らず、必ずしも防水仕様である必要は無い。すなわち気密性を高めるシーリング材29Aや貫通孔4Bを覆うフード4Aなどの防水機構は必須ではなく、また開口を下側以外(左右前後上側)に設けてもよい。例えば扉部の左右又は上側に換気隙間を設けることができる。また、防水機構として公知の技術を適宜使用することが可能である。特に上及び左右前後側の5方向からの防水機構を設けることが有効である。
【0070】
上述実施形態では、電解水生成部7として、電解質を溶解させた電解質水溶液を用いるようにしたが、本発明はこれに限られない。例えば、電解水生成部は、固体電解質を使用して原水を電気分解することにより、pHが中性を呈する中性電解水や水素水を生成するようにしても良い。この場合であっても、オゾンなどの気体が発生するため、上述実施形態と同様の効果を得ることができる。なお上述実施形態においては述べていないが、電解水生成装置の筐体内部に電解水生成部の一部として制御盤が設置されても良い。例えば、一方の扉の内側面の一部に対して対向する又は当接するように制御盤が設置され、他方の扉の内側面に近接して電解水生成部における電解槽や貯水タンクなどが設置される。
【0071】
なお上述実施形態では、仕切り壁41によって左側室と右側室を形成したが、本発明はこれに限られない。仕切り壁41は必須ではない。制御盤42の形状や配置場所は、適宜変更可能である。
【0072】
上述実施形態では、換気隙間39を設けるようにしたが、、本発明はこれに限られない。換気隙間39は必須ではなく、扉部3の構成も変化させることが可能である。
【0073】
上述実施形態では、電解水生成部としての電解水生成部7と、筐体としての筐体2と、扉部としての側面パネル3と換気隙間としての換気隙間39とによって電解水生成装置としての電解水生成装置1を構成したが、その他種々の構成による電解水生成部と、筐体と、扉部と、換気隙間とによって本発明の電解水生成装置を構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、例えば食品工場などで使用される電解水生成装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0075】
1 :電解水生成装置
2 :筐体
3 :側面パネル
3A :外側面
3B :内側面
4 :換気口板
4A :フード
4B :貫通孔
5 :フィルタ
6 :排気ファン
7 :電解水生成部
8 :係止具
10 :フィルタ収納部
10A :収納機構
10B :取付部
10C :突出部
10D :ギャップ
11 :フィルタ
13,13B,13C,13D:縁壁
13Ab,13Bb,13Cb :平坦部
13Da :凹み
20 :筐体本体
21 :縁面
22 :下平坦部
23 :奥平坦部
25D :底面
26 :底縁面
26A :脚部
27 :内縁壁
29 :溝
29A :シーリング材
31 :パネル孔
39 :換気隙間