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特許7315980基地局、通信システム、及び、基地局の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-19
(45)【発行日】2023-07-27
(54)【発明の名称】基地局、通信システム、及び、基地局の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 56/00 20090101AFI20230720BHJP
   H04W 72/0446 20230101ALI20230720BHJP
   H04W 92/20 20090101ALI20230720BHJP
   H04W 4/70 20180101ALI20230720BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20230720BHJP
【FI】
H04W56/00 110
H04W72/0446
H04W92/20
H04W4/70
H04W84/12
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021157472
(22)【出願日】2021-09-28
(65)【公開番号】P2022058242
(43)【公開日】2022-04-11
【審査請求日】2023-03-22
(31)【優先権主張番号】P 2020166320
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500112146
【氏名又は名称】サイレックス・テクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】桑原 哲也
【審査官】松野 吉宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-033070(JP,A)
【文献】特開2006-304085(JP,A)
【文献】特開2007-281984(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リング方式の有線ネットワークを介して複数の基地局が通信する通信システムにおける一の基地局であって、
前記有線ネットワークに接続される有線インターフェースと、
被制御機器と無線通信するための無線インターフェースと、
前記有線インターフェースを介して受信されるタイミング信号であって、前記複数の基地局のそれぞれが無線通信を開始するタイミングを示すタイミング信号に基づいて、前記被制御機器と無線通信する期間を算出する算出部と、
前記被制御機器に対するコマンドを、前記有線インターフェースを介して受信した場合、前記算出部が算出した前記期間内に、前記被制御機器に対するコマンドに基づいて、前記無線インターフェースを介して前記被制御機器と無線通信する機器制御部と、を備え
複数の前記基地局は、それぞれ、同じチャネルを用いて前記被制御機器と無線通信する前記基地局同士が互いに異なるグループに属するように、複数のグループのいずれかに予め分類されており、
前記算出部は、前記タイミング信号及び前記複数のグループの数に基づいて前記期間を算出する
基地局。
【請求項2】
前記機器制御部は、
前記被制御機器に対するコマンドを、前記有線インターフェースを介して受信した場合、現在の時刻が、前記算出部が算出した前記期間内であるか否かを判定し、
現在の時刻が、前記算出部が算出した前記期間内であると判定した場合、前記被制御機器との無線通信を開始し、
現在の時刻が、前記算出部が算出した前記期間内ではないと判定した場合、現在の時刻が前記期間内になるまで待機してから前記被制御機器との無線通信を開始する
請求項1に記載の基地局。
【請求項3】
前記機器制御部は、
前記無線インターフェースを介して複数の前記被制御機器と無線通信可能に接続されており、
前記有線インターフェースを介して、複数の前記被制御機器のうちの2つ以上の前記被制御機器に対するコマンドを同時に受信した場合、
当該2つ以上の前記被制御機器に対するコマンドに基づいて、前記期間内であって、且つ、互いに異なるタイミングで当該2つ以上の前記被制御機器のそれぞれと無線通信する
請求項1又は2に記載の基地局。
【請求項4】
前記タイミング信号は、前記複数の基地局が同期をとるための同期信号である
請求項1~3のいずれか1項に記載の基地局。
【請求項5】
前記機器制御部は、前記被制御機器との無線通信において、前記被制御機器に対するコマンドの前記被制御機器への送信処理と、前記被制御機器に対するコマンドに応じた応答データを前記被制御機器から要求する要求信号の送信処理と、前記応答データの受信処理と、を行う
請求項1~4のいずれか1項に記載の基地局。
【請求項6】
前記算出部は、
(ア)前記被制御機器に対するコマンドの前記被制御機器への送信処理と、
(イ)前記要求信号の送信処理、及び、前記応答データの受信処理と、
をそれぞれ個別に実行するための前記期間と、前記被制御機器に対するコマンドの前記被制御機器への送信処理と前記要求信号の送信処理との間の前記被制御機器と無線通信しない待機期間とを算出する
請求項5に記載の基地局。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の基地局を複数備え、
複数の前記基地局は、それぞれ、
1つ又は複数の前記被制御機器のそれぞれと同じチャネルを用いて無線通信し
記タイミング信号及び前記複数のグループの数に基づいて、1つ又は複数の前記被制御機器と無線通信する期間を算出し、
前記有線インターフェースを介して、複数の前記被制御機器のうちの2つ以上の前記被制御機器に対するコマンドを同時に受信した場合、
当該2つ以上の前記被制御機器に対するコマンドに基づいて、前記期間内であって、且つ、互いに異なるタイミングで当該2つ以上の前記被制御機器のそれぞれと無線通信する
通信システム。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか1項に記載の基地局を複数備え
数の前記基地局が備える前記機器制御部は、それぞれ、グループ毎に同じ前記期間に、前記被制御機器との無線通信において、前記被制御機器に対するコマンドの前記被制御機器への送信処理と、前記被制御機器に対するコマンドに応じた応答データを前記被制御機器から要求する要求信号の送信処理と、前記応答データの受信処理と、を行い、
複数の前記基地局が備える前記算出部は、
(ア)前記被制御機器に対するコマンドの前記被制御機器への送信処理と、
(イ)前記要求信号の送信処理、及び、前記応答データの受信処理と、
をそれぞれ個別に実行するための前記期間と、前記被制御機器に対するコマンドの前記被制御機器への送信処理と前記要求信号の送信処理との間の前記被制御機器と無線通信しない待機期間とを、前記タイミング信号及び前記複数のグループの数に基づいて算出する
通信システム。
【請求項9】
リング方式の有線ネットワークを介して複数の基地局が通信する通信システムにおける一の基地局の制御方法であって、
前記基地局は、
前記有線ネットワークに接続される有線インターフェースと、
被制御機器と無線通信するための無線インターフェースと、を備え、
前記基地局の制御方法は、
前記有線インターフェースを介して受信されるタイミング信号であって、前記複数の基地局のそれぞれが無線通信を開始するタイミングを示すタイミング信号に基づいて、前記被制御機器と無線通信する期間を算出する算出ステップと、
前記被制御機器に対するコマンドを、前記有線インターフェースを介して受信した場合、前記算出ステップで算出した前記期間内に、前記被制御機器に対するコマンドに基づいて、前記無線インターフェースを介して前記被制御機器と無線通信する無線通信ステップと、を含み、
複数の前記基地局は、それぞれ、同じチャネルを用いて前記被制御機器と無線通信する前記基地局同士が互いに異なるグループに属するように、複数のグループのいずれかに予め分類されており、
前記算出ステップでは、前記タイミング信号及び前記複数のグループの数に基づいて前記期間を算出する
基地局の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局、通信システム、及び、基地局の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工場等に配備される産業機器の制御通信のネットワークは、固定的に配置される機器の他、ロボット又は搬送車等の移動機器に接続し構築される。固定的に配置される機器の接続にはケーブルを用いた有線ネットワークが用いられる。一方、移動機器の接続には、無線リンクを用いた無線ネットワークが有用である。
【0003】
産業機器のネットワークには、冗長性及び即時性の観点からEtherCAT(登録商標)等のリング方式の通信規格が用いられている。
【0004】
特許文献1は、産業機器の有線ネットワークのうちの一部のリンクをケーブルレス化つまり無線化することができる通信装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-29790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
無線通信する通信装置は、自装置が無線通信でデータ等を送信する際には、自装置が無線通信に用いる周波数(チャネル)を用いて無線通信が行われていないかを予め確認し、無線通信が行われていないことを確認してから、無線通信を実行する。具体的には、無線通信する通信装置には、自装置が無線通信でデータ等を送信する前に、自装置が無線通信に用いるチャネルを用いた無線信号を探索すること(いわゆる、キャリアセンス)が要求される。キャリアセンスによれば、同じチャネルが用いられることによる無線通信での電波の干渉が回避され得る。
【0007】
一方、通信装置は、キャリアセンスによって自装置が無線通信に用いようとするチャネル上で自装置以外の無線信号を検知した場合、所定時間待機した後で、無線通信を実行する。そのため、当該通信装置が実行する無線通信に所定時間待機した分だけ遅延が発生する。
【0008】
上記したリング方式のネットワークでは、上位コントローラが複数の通信機器と通信しながら当該複数の通信機器のそれぞれが無線通信する子機の動作を制御するために、遅延が発生すると、又は、定期的な通信が実行されないと、当該子機の動作に不具合が生じる可能性がある。このように、リング方式のネットワークでは、定周期且つ低遅延の通信が要求される。
【0009】
本発明は、無線通信での遅延の発生を抑制できる基地局等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係る基地局は、リング方式の有線ネットワークを介して複数の基地局が通信する通信システムにおける一の基地局であって、前記有線ネットワークに接続される有線インターフェースと、被制御機器と無線通信するための無線インターフェースと、前記有線インターフェースを介して受信されるタイミング信号であって、前記複数の基地局のそれぞれが無線通信を開始するタイミングを示すタイミング信号に基づいて、前記被制御機器と無線通信する期間を算出する算出部と、前記被制御機器に対するコマンドを、前記有線インターフェースを介して受信した場合、前記算出部が算出した前記期間内に、前記被制御機器に対するコマンドに基づいて、前記無線インターフェースを介して前記被制御機器と無線通信する機器制御部と、を備える。
【0011】
これによれば、例えば、各基地局が同じチャネルを用いて被制御機器と無線通信する場合においても、各基地局は、互いに異なるタイミングで被制御機器と無線通信できる。そのため、このような構成によれば、キャリアセンスによる待機時間(待機期間)が発生することが抑制される。このように、本発明の一態様に係る基地局によれば、無線通信での遅延の発生を抑制できる。
【0012】
また、例えば、前記機器制御部は、前記被制御機器に対するコマンドを、前記有線インターフェースを介して受信した場合、現在の時刻が、前記算出部が算出した前記期間内であるか否かを判定し、現在の時刻が、前記算出部が算出した前記期間内であると判定した場合、前記被制御機器との無線通信を開始し、現在の時刻が、前記算出部が算出した前記期間内ではないと判定した場合、現在の時刻が前記期間内になるまで待機してから前記被制御機器との無線通信を開始する。
【0013】
これによれば、基地局は、算出部が算出した期間内に適切に被制御機器と無線通信できる。
【0014】
また、例えば、前記機器制御部は、前記無線インターフェースを介して複数の前記被制御機器と無線通信可能に接続されており、前記有線インターフェースを介して、複数の前記被制御機器のうちの2つ以上の前記被制御機器に対するコマンドを同時に受信した場合、当該2つ以上の前記被制御機器に対するコマンドに基づいて、前記期間内であって、且つ、互いに異なるタイミングで当該2つ以上の前記被制御機器のそれぞれと無線通信する。
【0015】
これによれば、基地局は、同じチャネルを用いて2つ以上の被制御機器と無線通信する場合であっても、当該2つ以上の被制御機器と無線通信する期間を互いに重ならないようにできる。そのため、当該2つ以上の被制御機器と無線通信する際の電波の干渉が回避され得る。
【0016】
また、例えば、前記タイミング信号は、前記複数の基地局が同期をとるための同期信号である。
【0017】
例えば、EtherCATに従うネットワークでは、各基地局は、それぞれが有するRTC(Real Time Clock)等の計時部(時計)の時刻を揃えるために、つまり、各基地局が他の基地局と同期をとる。そこで、本発明の一態様に係る基地局は、同期信号に基づいて、自装置が無線通信する期間を決定する。これによれば、各基地局が当該期間を算出するための新たな信号等を用いずに、各基地局は、同期信号に基づいて各基地局が、それぞれ自装置が無線通信する期間を算出できる。
【0018】
また、例えば、前記機器制御部は、前記被制御機器との無線通信において、前記被制御機器に対するコマンドの前記被制御機器への送信処理と、前記被制御機器に対するコマンドに応じた応答データを前記被制御機器から要求する要求信号の送信処理と、前記応答データの受信処理と、を行う。
【0019】
これによれば、基地局は、無線通信によって子機から応答データを受信し、且つ、リング方式の有線ネットワークを介してマスタに応答データを送信できる。
【0020】
また、例えば、前記算出部は、(ア)前記被制御機器に対するコマンドの前記被制御機器への送信処理と、(イ)前記要求信号の送信処理、及び、前記応答データの受信処理と、をそれぞれ個別に実行するための前記期間と、前記被制御機器に対するコマンドの前記被制御機器への送信処理と前記要求信号の送信処理との間の前記被制御機器と無線通信しない待機期間とを算出する。
【0021】
これによれば、基地局は、待機期間が適切に算出されることで、被制御機器が応答データの生成に時間がかかる場合にも、その期間を他の基地局が占有して無線通信を行う期間として利用できる。
【0022】
また、本発明の一態様に係る通信システムは、上記記載の基地局を複数備え、複数の前記基地局は、それぞれ、1つ又は複数の前記被制御機器のそれぞれと同じチャネルを用いて無線通信し、前記同じチャネルを用いて無線通信する前記基地局同士が互いに異なるグループに属するように、複数のグループのいずれかに予め分類されており、前記タイミング信号及び前記複数のグループの数に基づいて、1つ又は複数の前記被制御機器と無線通信する期間を算出し、前記有線インターフェースを介して、複数の前記被制御機器のうちの2つ以上の前記被制御機器に対するコマンドを同時に受信した場合、当該2つ以上の前記被制御機器に対するコマンドに基づいて、前記期間内であって、且つ、互いに異なるタイミングで当該2つ以上の前記被制御機器のそれぞれと無線通信する。
【0023】
例えば、複数の基地局が同じチャネルを用いて被制御機器と無線通信する場合においても、当該複数の基地局は互いに異なるタイミングで複数の被制御機器と無線通信できる。つまり、本発明の一態様に係る基地局同士によれば、同じチャネルを用いて被制御機器と無線通信する場合であっても、互いが無線通信する期間を互いに重ならないようにできるために、本発明の一態様は、それぞれが被制御機器と無線通信する基地局を複数備えるシステムに好適である。
【0024】
また、本発明の別の一態様に係る通信システムは、上記記載の基地局を複数備え、複数の前記基地局は、それぞれ、同じチャネルを用いて前記被制御機器と無線通信する前記基地局同士が互いに異なるグループに属するように、複数のグループのいずれかに予め分類されており、複数の前記基地局が備える前記機器制御部は、それぞれ、グループ毎に同じ前記期間に、前記被制御機器との無線通信において、前記被制御機器に対するコマンドの前記被制御機器への送信処理と、前記被制御機器に対するコマンドに応じた応答データを前記被制御機器から要求する要求信号の送信処理と、前記応答データの受信処理と、を行い、複数の前記基地局が備える前記算出部は、(ア)前記被制御機器に対するコマンドの前記被制御機器への送信処理と、(イ)前記要求信号の送信処理、及び、前記応答データの受信処理と、をそれぞれ個別に実行するための前記期間と、前記被制御機器に対するコマンドの前記被制御機器への送信処理と前記要求信号の送信処理との間の前記被制御機器と無線通信しない待機期間とを、前記タイミング信号及び前記複数のグループの数に基づいて算出する。
【0025】
これによれば、通信システムが備える複数の基地局は、それぞれ、待機期間が適切に算出されることで、複数の基地局が無線通信する子機が応答データの生成に時間がかかる場合にも、その時間を別のグループの送受信のために利用できる。
【0026】
また、本発明の一態様に係る基地局の制御方法は、リング方式の有線ネットワークを介して複数の基地局が通信する通信システムにおける一の基地局の制御方法であって、前記基地局は、前記有線ネットワークに接続される有線インターフェースと、被制御機器と無線通信するための無線インターフェースと、を備え、前記基地局の制御方法は、前記有線インターフェースを介して受信されるタイミング信号であって、前記複数の基地局のそれぞれが無線通信を開始するタイミングを示すタイミング信号に基づいて、前記被制御機器と無線通信する期間を算出する算出ステップと、前記被制御機器に対するコマンドを、前記有線インターフェースを介して受信した場合、前記算出ステップで算出した前記期間内に、前記被制御機器に対するコマンドに基づいて、前記無線インターフェースを介して前記被制御機器と無線通信する無線通信ステップと、を含む。
【0027】
これによれば、上記した本発明の一態様に係る基地局と同様の効果を奏する。
【0028】
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能なCD-ROM等の記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、無線通信での遅延の発生を抑制できる基地局等を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、実施の形態1に係る基地局を含む通信システムの構成を示す模式図である。
図2図2は、実施の形態1に係る基地局及び子機の機能構成を示すブロック図である。
図3図3は、実施の形態1に係るコマンドを含む無線フレームの第一の説明図である。
図4図4は、実施の形態1に係るコマンドを含む無線フレームの第二の説明図である。
図5図5は、実施の形態1に係る無線フレームへの書き込み処理の説明図である。
図6図6は、実施の形態1に係る基地局の処理手順を示すフローチャートである。
図7図7は、実施の形態1に係る通信システムが備える複数の基地局のそれぞれが無線通信するタイミングを説明するための図である。
図8図8は、実施の形態2に係る基地局を含む通信システムの構成を示す模式図である。
図9図9は、実施の形態2に係る基地局及び子機の機能構成を示すブロック図である。
図10図10は、実施の形態2に係る通信システムが備える複数の基地局のそれぞれが無線通信するタイミングを説明するための図である。
図11図11は、比較例に係る通信システムが備える複数の基地局のそれぞれが無線通信するタイミングを説明するための図である。
図12図12は、実施の形態2に係る基地局の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0032】
以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0033】
なお、同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0034】
(実施の形態1)
[構成]
<通信システム>
まず、実施の形態1に係る基地局及び通信システムの構成について説明する。
【0035】
図1は、実施の形態1に係る基地局10を含む通信システム1の構成を示す模式図である。なお、図1においては、有線通信可能な機器同士を実線で繋ぎ、無線通信可能な機器同士を破線(より具体的には、破線矢印)で繋いでいる。
【0036】
通信システム1は、マスタMと、基地局10、11、12、13、14、15、16、及び、17と、子機20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、及び、35とを備える。マスタMと、基地局10~17とは、リング方式の有線のネットワーク(有線ネットワークN)によって通信可能(より具体的には、有線通信可能)に接続されている。
【0037】
マスタMは、有線ネットワークNに接続されており、同じく有線ネットワークNに接続された基地局10~17を制御する制御装置(いわゆる上位コントローラ)である。また、マスタMは、有線ネットワークNに接続されておらず、且つ、基地局10~17のいずれかと無線通信可能な1つ又は複数の子機(以下、被制御機器ともいう)20~35を、基地局10~17を介して制御する。
【0038】
有線ネットワークNは、例えば、EtherCATに従うネットワークである。
【0039】
なお、以下の説明では、有線ネットワークNは、EtherCATに従うネットワークである場合を例として説明する。有線ネットワークNは、SERCOSIII等のリング方式の通信規格に従うネットワークであってもよい。
【0040】
マスタMは、リング方式の有線ネットワークNにEtherCATフレーム(単にフレームともいう)を送信する。マスタMにより送信されたフレームは、有線ネットワークNを一巡して再びマスタMに戻る。例えば、マスタMが図1に示すD方向にフレームを送信すると、このフレームは、基地局10、11、12、13、14、15、16、及び、17をこの順に経由してマスタMに戻る。
【0041】
基地局10~17は、それぞれ、マスタMから送信されるコマンドデータ(以下、単にコマンドともいう)を受信する、マスタMに対するスレーブである。基地局10~17は、それぞれ、有線ネットワークNに接続されている。また、基地局10~17は、それぞれ、マスタMが送信するフレームを、有線ネットワークNを介して受信し、受信したフレームに含まれるコマンドの読み出し、又は、受信したフレームへのデータの書き込みを実行して、フレームを有線ネットワークNに送信する。
【0042】
例えば、基地局10~17は、それぞれ、コマンドを含むフレームを受信した場合、受信したフレームに含まれるコマンドに従って動作する。
【0043】
コマンドには、例えば、マスタMに制御される被制御機器がフレームに所定のデータを書き込むことを要求するライトコマンド、及び、被制御機器に応答データを要求するリードコマンド等が含まれる。
【0044】
基地局10~17は、それぞれ、例えば、ライトコマンドを含むフレームを受信した場合、当該ライトコマンドに従って所定のデータを書き込む。或いは、基地局10~17は、それぞれ、例えば、リードコマンドを含むフレームを受信した場合、受信したフレームの中の所定のフィールドに応答データを書き込んで、有線ネットワークNにフレームを送信する。
【0045】
また、基地局10~17は、それぞれ、子機20~35と無線通信可能に接続されている。基地局10~17は、それぞれ、子機20~35と無線通信することで、子機20~35を制御する。
【0046】
基地局10は、例えば、マスタMが送信した、子機20に対するコマンドを含むフレームを、有線ネットワークNを介して受信した場合、受信したコマンドを子機20に無線通信で送信(転送)する。また、基地局10は、例えば、子機20が送信した応答データを無線通信で受信した場合、受信した応答データをマスタMに有線ネットワークNを介して送信(転送)する。
【0047】
同様に、基地局11~17は、それぞれ、例えば、マスタMが送信した、自装置が無線通信可能な子機に対するコマンドを含むフレームを受信した場合、受信したコマンドを自装置が無線通信可能な子機に無線通信で送信(転送)する。また、同様に、基地局11~17は、例えば、自装置と無線通信可能な子機が送信した応答データを無線通信で受信した場合、受信した応答データをマスタMに有線ネットワークNを介して送信(転送)する。
【0048】
このように、本実施の形態では、基地局10~17は、マスタMと子機20~35との中継器として機能する。具体的には、通信システム1のように、EtherCATに従うシステムでは、マスタMからコマンドが各スレーブ(基地局10~17)に送信される。基地局10~17は、例えば、応答データ(0バイトデータ)をマスタMに送信する。また、各基地局10~17は、受信したコマンドが、自装置が無線通信可能な子機宛てのデータであった場合、当該データを、例えば、後述する記憶部107(図2参照)に記憶する。また、各基地局10~17は、子機から受信した応答データを自装置宛てのEtherCATデータの応答データを書き込む箇所に書き込み、マスタMに送信する。
【0049】
子機20~35は、それぞれ、マスタMによる制御を受けて動作する、被制御機器である。子機20~35は、それぞれ、基地局10~17のいずれかと、無線通信可能に接続されている。
【0050】
本実施の形態では、子機20及び21は、それぞれ、基地局10と、5GHz帯の36チャネル(以下、Ch.36又はチャネル36ともいう)を用いて、無線通信可能に接続されている。また、子機22及び23は、それぞれ、基地局11と、5GHz帯の40チャネル(以下、Ch.40又はチャネル40ともいう)を用いて、無線通信可能に接続されている。また、子機24及び25は、それぞれ、基地局12と、5GHz帯の44チャネル(以下、Ch.44又はチャネル44ともいう)を用いて、無線通信可能に接続されている。また、子機26及び27は、それぞれ、基地局13と、5GHz帯の48チャネル(以下、Ch.48又はチャネル48ともいう)を用いて、無線通信可能に接続されている。また、子機28及び29は、それぞれ、基地局14と、5GHz帯の36チャネル(Ch.36)を用いて、無線通信可能に接続されている。また、子機30及び31は、それぞれ、基地局15と、5GHz帯の40チャネル(Ch.40)を用いて、無線通信可能に接続されている。また、子機32及び33は、それぞれ、基地局16と、5GHz帯の44チャネル(Ch.44)を用いて、無線通信可能に接続されている。また、子機34及び35は、それぞれ、基地局17と、5GHz帯の48チャネル(Ch.48)を用いて、無線通信可能に接続されている。
【0051】
このように、通信システム1が備える複数の基地局10~17のうちの少なくとも2つ以上の基地局は、同じチャネルを用いて被制御機器(子機)と無線通信する。
【0052】
なお、本実施の形態では、基地局10~17は、それぞれ、2台の子機と同じチャネルを用いて無線通信する。基地局10~17のそれぞれが無線通信する子機の台数は、特に限定されない。また、基地局10~17のそれぞれが複数の子機と無線通信する場合、それぞれの子機と無線通信する際に用いるチャネルは、同じでもよいし、異なってもよい。
【0053】
例えば、子機20は、基地局10を介してマスタMからコマンドを受信し、受信したコマンドに従って動作する。また、子機20は、基地局10に応答データを送信することで、基地局10を介してマスタMに応答データを送信する。
【0054】
子機20~35は、例えば、搬送機等の移動可能な移動機器、センサ機器、モータ、ロボットアームである。
【0055】
なお、子機20~35は、互いに同等の機能を有する機器であってもよいし、互いに異なる機能を有する機器であってもよい。
【0056】
このように、通信システム1によれば、マスタMは、有線ネットワークNに直接に接続されている基地局10~17だけでなく、有線ネットワークNに直接に接続されていない子機20~35も制御することができる。具体的には、マスタMは、有線ネットワークNに直接接続されていない子機20~35を、有線ネットワークNに直接接続されている基地局10~17が子機20~35と無線通信することで制御する。通信システム1によれば、例えば、基地局10~17が子機20~35と物理的に離れて存在するために配線を敷設することが不可能又は困難である場合等にも、子機20~35を制御できる利点がある。このように、通信システム1によれば、制御通信のネットワークトポロジの自由度を向上させることができる。
【0057】
ここで、無線通信する通信装置(本実施の形態では、基地局10~17及び子機20~35)には、従来の方法によれば、自装置が無線通信でデータ等を送信する前に、キャリアセンスを実行することが要求される。キャリアセンスによれば、同じチャネルが用いられることによる無線通信での電波の干渉が回避され得る。
【0058】
例えば、図1に示す例では、基地局10と基地局14とは、同じチャネル(36チャネル)を用いて無線通信する。そのため、例えば、基地局10は、キャリアセンスを行い、36チャネルを用いた無線通信が行われていなければ、つまり、基地局14が無線通信をしていなければ、無線通信を実行する。また、基地局10は、36チャネルを用いた無線通信が行われていれば、つまり、基地局14が無線通信をしていれば、所定時間待機した後で無線通信を実行する。
【0059】
そのため、基地局10が36チャネルを用いた無線信号を検知した場合、所定時間待機した分だけ遅延が発生する。
【0060】
このように、それぞれが無線通信する通信装置を複数備えるシステムにおいて、このような遅延を抑制するために、それぞれの通信装置が用いるチャネルを異なるように設定すると、システムが備える通信装置の数を増やす程、チャネル数が多く必要になる。利用できるチャネル数には限界があるため、それぞれの通信装置が用いるチャネルを異なるように設定するだけでは、システムが備える通信装置の数を増やせない問題が生じる。そこで、それぞれが無線通信する通信装置を複数備えるシステムにおいては、無線通信に用いられるチャネルの数を抑制しつつ、且つ、通信の遅延の発生を抑制できることが要求される。
【0061】
本願発明者らは、鋭意検討した結果、無線通信する複数の機器が無線通信するタイミング(無線通信期間)を適切にずらすことにより、通信の遅延の発生を抑制できることを見出した。具体的には、基地局10~17は、それぞれ、互いが無線通信を開始するタイミングを把握し、他の基地局が無線通信しない期間を算出して、算出した期間で自装置が無線通信可能な子機と無線通信する。具体的には、基地局10~17は、自装置と同じチャネルを用いる他の基地局が無線通信を開始するタイミングを互いに把握できており、当該他の基地局が無線通信しない期間を算出して、算出した期間で自装置が無線通信可能な子機と無線通信する。
【0062】
以降において、基地局10及び子機20の機能構成及び動作について詳細に説明する。なお、子機20~35については子機20を代表として、基地局10~17については基地局10を代表として説明するが、他の子機及び他の基地局についても同様の説明が成立する。
【0063】
<基地局及び子機>
図2は、本実施の形態に係る基地局10及び子機20の機能構成を示すブロック図である。
【0064】
基地局10は、リング方式の有線ネットワークNを介して複数の基地局10~17が通信する通信システム1における一の基地局である。本実施の形態では、基地局10は、マスタMから送信されたコマンドを子機20および21に無線通信で送信する基地局装置である。
【0065】
基地局10は、有線インターフェース101と、処理部104と、記憶部107と、無線インターフェース109と、を備える。
【0066】
有線インターフェース101は、有線ネットワークNに接続される通信インターフェースである。有線インターフェース101は、入力用ポート102と、出力用ポート103と、を含む。
【0067】
入力用ポート102は、有線ネットワークNに接続され、有線ネットワークNからフレームを受信するポートである。入力用ポート102は、1つの物理ポートに割り当てられる。
【0068】
出力用ポート103は、有線ネットワークNに接続され、有線ネットワークNへフレームを送信するポートである。出力用ポート103は、1つの物理ポートに割り当てられる。
【0069】
処理部104は、基地局10の各種処理を実行する処理部である。処理部104は、算出部105と、機器制御部106と、を含む。
【0070】
算出部105は、有線インターフェース101を介して受信されるタイミング信号であって、複数の基地局10~17のそれぞれが無線通信を開始するタイミングを示すタイミング信号に基づいて、被制御機器(本実施の形態では、子機20及び子機21)と無線通信する期間を算出する処理部である。タイミング信号は、例えば、複数の基地局10~17が同期をとるための同期信号である。より具体的には、タイミング信号は、いわゆる割込み信号(SYNC0)である。
【0071】
本実施の形態では、マスタM及び各基地局10~17が同期するために、マスタMと各基地局10~17とが同じ時計を共有する、つまり、マスタM及び各スレーブが有する計時部(図示しない)が刻む時刻を揃えるディストリビューテッドクロック(DC/Distributed Clock)モードという機能が用いられる。
【0072】
DCモードでは、各基地局10~17のうちで、マスタMからのEtherCATデータを初めに受信する基地局(本実施の形態では、基地局10)が、いわゆるマスタークロックとなり、各基地局10~17間の遅延時間を計測して補正する。
【0073】
これにより、複数台のスレーブが有線ネットワークNに接続されたシステムでは、DCモードでマスタMと各スレーブとが同期して動作する。
【0074】
上記の通り、DCモードによれば、マスタMと各基地局10~17とは、同じ時刻を刻む時計(時計情報)を共有できる、言い換えると、時刻を合わせることができる、つまり、同期をとることができる。具体的には、各基地局10~17は、所定のタイミングで割り込み信号(SYNC0)を発生させて(生成して)、発生させたSYNC0を有線ネットワークNに送信する。これにより、各基地局10~17は、自装置が送信したSYNC0のタイミングと、他の各基地局が送信したSYNC0を受信したタイミングとに基づいて、自装置が備える時計の時刻を補正する。その結果、各基地局10~17では、同期がとられる。
【0075】
また、各基地局10~17のうちで、マスタMからのEtherCATデータを初めに受信する基地局(本実施の形態では、基地局10)は、SYNC0を発生させる周期に応じて、リセット信号(SYNC1)を発生させて(生成して)有線ネットワークNに送信する。
【0076】
各基地局10~17は、SYNC0の発生回数をカウントしている。なお、各基地局10~17から同時に発生されるSYNC0については、SYNC0の発生回数が1回とカウントする。
【0077】
ここで、各基地局10~17は、SYNC1を受信した場合、SYNC0のカウントをリセット(初期化)する。本実施の形態では、例えば、基地局10は、SYNC0を6回発生させる度に(つまり、6周期毎に)SYNC1を発生させる。具体的には、本実施の形態では、基地局10は、SYNC0を250μsec.毎に発生させ、SYNC0の6回目を発生させた250μsec.後にSYNC1を発生させる(図7参照)。また、本実施の形態では、基地局10は、SYNC1を発生させた250μsec.後にSYNC0(カウントが1回目のSYNC0)を発生させる。
【0078】
これにより、例えば、各基地局10~17のうちで、マスタMからのEtherCATデータを初めに受信する基地局(本実施の形態では、基地局10)に、SYNC0を発生させる周期が予め定められていることで、各基地局10~17では、SYNC0を発生させるタイミングの同期がとられ、且つ、SYNC0が発生された回数のカウント数が同じになる。
【0079】
また、各基地局10~17は、同期信号(SYNC0及びSYNC1)を周期的に繰り返し発生させる。
【0080】
本実施の形態では、各基地局10~17には、SYNC0を発生させたカウント数毎に、子機との無線通信を開始するタイミングが予め割り振られている。例えば、SYNC0の1~3回目を発生させた後は、基地局10~13が無線通信し、SYNC0の4~6回目を発生させた後は、基地局14~17が無線通信する。これにより、基地局10~17は、基地局10~17が同期をとるための同期信号に基づいて、子機と無線通信する期間を決定する。
【0081】
そこで、算出部105は、自装置に割当てられたSYNC0が発生させたカウント数に応じた各基地局10~17が子機と無線通信を開始するタイミングを示す情報(タイミング情報)と、有線ネットワークNを介して受信する同期信号(SYNC0及びSYNC1)の受信タイミング(同期信号が発生されるタイミング)とに基づいて、機器制御部106が無線インターフェース109を介して子機20及び21と無線通信する期間を算出する。例えば、基地局10の算出部105は、1回目のSYNC0が発生されるタイミングから4回目のSYNC0が発生されるタイミングまでの期間をもとに、機器制御部106が無線インターフェース109を介して子機20及び21と無線通信する期間を算出する。算出部105が算出する期間は、マスタMから受信したフレームが配下の子機のうち何台宛てのコマンドを含むかにも依存する。
【0082】
なお、本実施の形態では、各SYNC0が発生されるタイミング毎に、基地局10~17のいずれかが子機との無線通信を開始するように予め定められている。例えば、基地局10は、1~3回目のSYNC0が発生されるタイミングに、基地局10が、子機20及び21との無線通信を開始する。
【0083】
また、同期信号は、EtherCATデータとは異なる信号として生成されて有線ネットワークNに送信される。
【0084】
機器制御部106は、子機20及び21に対するコマンド(より具体的には、コマンドを含むフレーム)を、有線インターフェース101を介して受信した場合、算出部105が算出した期間内(機器制御部106が無線インターフェース109を介して子機20及び21と無線通信する期間内)に、受信したコマンドに基づいて、無線インターフェース109を介して子機20及び21と無線通信する処理部である。
【0085】
例えば、機器制御部106は、子機20に対するコマンドを、有線インターフェース101を介して受信した場合、受信したコマンドを記憶部107に一時的に記憶させ、算出部105が決定したタイムスロットを用いて、記憶部107に記憶させたコマンドを、無線インターフェース109を介して子機20に送信し、応答データを要求する要求信号を、無線インターフェース109を介してさらに送信し、応答データを子機20から無線インターフェース109を介して受信する。このように、機器制御部106は、受信したコマンドに基づいて、無線インターフェース109を介して子機20と無線通信する。具体的には、機器制御部106は、算出部105が算出した期間に、子機20、21との無線通信(無線通信処理)において、コマンドの子機20、21への送信処理(第1送信処理)と、コマンドに応じた応答データを子機20、21から要求する要求信号の送信処理(第2送信処理)と、応答データの受信処理と、を行う。本実施の形態では、算出部105は、例えば、コマンドの送信処理と、要求信号の送信処理と、応答データの受信処理と、を連続して実行するための期間を算出する。
【0086】
例えば、記憶部107には、子機20及び21等の制御し得る子機のリストである機器リスト情報108が記憶されている。機器制御部106は、入力用ポート102により子機20等を制御するためのコマンドを受信した場合に、受信したコマンドの対象である機器(対象機器ともいう)の識別子を取得する。そして、機器制御部106は、当該コマンドを所定の形式でカプセル化して、対象となる子機に無線インターフェース109を介して送信する。ここで、所定の形式とは、例えば、IEEE802.11の各通信規格に準拠したフレームに基づく形式などである。
【0087】
また、例えば、機器制御部106は、子機20に対するマスタMからのコマンドを、有線インターフェース101を介して受信した場合、現在の時刻(すなわち、当該コマンドを受信した時刻)が、算出部105が算出した期間内であるか否かを判定する。例えば、機器制御部106は、現在の時刻が、算出部105が算出した期間内であると判定した場合、子機20との無線通信を開始する。一方、機器制御部106は、例えば、現在の時刻が、算出部105が算出した期間内ではないと判定した場合、現在の時刻がその期間内になるまで待機してから子機20との無線通信を開始する。
【0088】
なお、機器制御部106は、対象となる子機が複数ある場合、コマンドを複数の子機のそれぞれに対して順次にユニキャスト送信してもよい。ユニキャスト送信には到達確認及び再送の制御のしくみが設けられているので、より信頼性の高い無線通信によりコマンドを送信できる利点がある。或いは、機器制御部106は、対象となる子機が複数ある場合、コマンドを複数の対象機器に対してブロードキャスト送信してもよい。ブロードキャスト送信を用いれば、一度の送信で複数の子機20等にコマンドを受信させることにより無線通信帯域の削減の利点が得られる。
【0089】
また、機器制御部106は、子機20等により送信される応答データのフレームへの書込みの制御を行う。機器制御部106は、無線インターフェース109を介して受信した子機20等による応答を示す応答データを出力用ポート103により出力する。より具体的には、機器制御部106は、子機20による応答を読み取るためのリードコマンドを入力用ポート102により受信した場合に、リードコマンドを含むフレームに、子機20等による応答を示す応答データを書き込んで出力用ポート103から出力する。
【0090】
ここで、応答データとは、機器制御部106が送信したコマンドに係る制御に基づく子機20等による応答を示すデータである。
【0091】
また、機器制御部106は、子機20等から、応答データが所定の形式でカプセル化された無線フレームを、無線インターフェース109を介して受信する。例えば、機器制御部106は、子機20等から応答データを受信した場合、受信した応答データを記憶部107に一時的に記憶させ、その後に入力用ポート102を介して受信したリードコマンドを含むフレームに書き込む。
【0092】
また、機器制御部106は、入力用ポート102を介してコマンドを受信したとき、場合によっては受信したコマンドを含むフレームに、当該制御に対する応答データがないことを示すデータを書き込んで、出力用ポート103から出力してもよい。コマンドを受信した時点では、当該コマンドに基づく子機20等に対する制御の結果としての応答が得られないことがある。その場合、上記のように当該制御に対する応答データがないことを示すデータを書き込んで出力することで、フレームの伝送遅延を小さくすることができる利点がある。
【0093】
また、機器制御部106は、入力用ポート102及び出力用ポート103の機能の物理ポートへの割り当て、及び、入力用ポート102及び出力用ポート103によるフレームの送受信を制御する。
【0094】
処理部104は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサと、当該プロセッサが実行する、記憶部107等に記憶された制御プログラムとにより実現される。
【0095】
なお、算出部105と機器制御部106とは、1つのプロセッサにより実現されてもよいし、2以上のプロセッサにより別々に実現されてもよい。
【0096】
また、処理部104は、SYNC0の発生回数をカウントするカウンタ、及び、時間を計測するRTC等の計時部を備えてもよい。
【0097】
記憶部107は、機器リスト情報108を記憶する記憶装置(メモリ又はストレージ)である。記憶部107には、処理部104が実行する制御プログラムが記憶されていてもよい。
【0098】
機器リスト情報108は、基地局10が無線通信する子機20及び21の情報を含むデータである。機器リスト情報108は、例えば、子機20及び21を識別するための識別情報と、子機20及び21それぞれのIP(Internet Protocol)アドレス又はMAC(Media Access Control)アドレス等のアドレスを示す情報とが紐付けられた情報である。
【0099】
また、記憶部107には、例えば、SYNC0及びSYNC1を発生させる周期を示す情報、及び、各基地局10~17が各子機との無線通信を開始するタイミングを示すSYNC0を発生させたカウント数を示す情報の予め定められる情報が記憶されている。
【0100】
無線インターフェース109は、子機20及び21と無線通信するための通信インターフェースである。言い換えると、無線インターフェース109は、子機20及び21と無線リンクを介して無線通信する通信インターフェースである。無線インターフェース109は、例えば、IEEE802.11a、b、g、n等の通信規格に準拠した無線通信により子機20及び21と接続される。
【0101】
なお、無線インターフェース109と無線通信可能に接続される子機の数は、特に限定されない。本実施の形態では、無線インターフェースは、複数の子機(子機20及び21)と無線通信可能に接続されている。この場合、有線インターフェース101を介して複数の子機のそれぞれに対するコマンドを同時に受信した場合、算出部105は、複数の子機のそれぞれと無線通信する期間を算出する。また、この場合、機器制御部106は、例えば、算出部105が算出した期間内に、無線インターフェース109を介して複数の子機のそれぞれと、複数の子機のそれぞれに対するコマンドに基づいて無線通信する。
【0102】
このように、例えば、機器制御部106は、無線インターフェース109を介して複数の子機と無線通信可能に接続されている場合、有線インターフェース101を介して、基地局10が無線通信可能な複数の子機のうちの2つ以上の子機に対するコマンドを同時に受信したとき、当該2つ以上の子機に対するコマンドに基づいて、算出部105が算出した期間内であって、且つ、互いに異なるタイミングで当該2つ以上の子機のそれぞれと無線通信する。ここでいう2つ以上の子機とは、機器制御部106が無線インターフェース109を介して無線通信可能な複数の子機のうち、全ての子機でもよいし、任意の2つ以上の子機でもよい。また、同時に受信とは、例えば、マスタMから送信された1つのパケットに2つ以上の子機のそれぞれに対するコマンドが含まれていることを意味する。また、2つ以上の子機に対するコマンドとは、互いに異なる指示を示すコマンドでもよいし、2つ以上の子機に転送する必要がある同じ指示を示すコマンド(言い換えると、1つのコマンド)でもよく、2つ以上の子機のそれぞれと基地局10とが無線通信する必要があるコマンドであればよい。
【0103】
本実施の形態では、基地局10~17は、それぞれ、配下の複数の子機と同じチャネルを用いて無線通信する。例えば、基地局10は、子機20及び21のそれぞれとチャネル36を用いて無線通信する。また、通信システム1が備える基地局10~17同士は、同じチャネルを用いて子機と無線通信する基地局同士が互いに異なるグループに属するように、複数のグループのいずれかに予め分類されている。例えば、チャネル36を用いて子機と無線通信する基地局10と基地局14とは、互いに異なるグループに属する。例えば、基地局10が備える記憶部107には、自装置が属するグループと、グループの数を示す情報と、が予め記憶されている。基地局10は、タイミング信号及び複数のグループの数に基づいて、子機20及び21のそれぞれと無線通信する期間を算出する。また、基地局10は、有線インターフェース101を介して子機20及び21に対するコマンドを同時に受信した場合、子機20及び21のそれぞれに対するコマンドに基づいて、算出部105が算出した期間内であって、且つ、互いに異なるタイミングで子機20及び21のそれぞれと無線通信する。
【0104】
例えば、基地局10において、コマンドの送信、応答データを要求する要求信号の送信、及び、応答データの受信までの一連の送受信処理にかかる時間を示す情報が、予め記憶部107に記憶されている。そこで、算出部105は、例えば、有線インターフェース101を介して複数の子機のそれぞれに対するコマンドを同時に受信した場合、当該複数の子機の台数から無線通信にかかる時間を算出する。算出部105は、例えば、算出した時間に基づいて、当該複数の子機のそれぞれの無線通信するタイミングを決定する。算出部105は、例えば、ある周期における期間内に複数の子機のそれぞれと無線通信する時間が収まると判定した場合、当該期間内に複数の子機のそれぞれと無線通信する。一方、算出部105は、例えば、ある周期における期間内に複数の子機のそれぞれと無線通信する時間が収まらないと判定した場合、当該期間内に複数の子機の少なくともいずれかと無線通信し、残りの無線通信を次の周期の期間に行うように期間を決定する。
【0105】
例えば、算出部105は、機器制御部106が無線インターフェース109を介して、第1周期における算出した期間に子機20と無線通信し、第1周期の次の周期である第2周期における算出した期間に子機21と無線通信するように、期間を決定する。
【0106】
また、算出部105は、機器制御部106が無線インターフェース109を介して、第1周期における算出した期間に子機20にコマンドを送信し、第1周期の次の周期である第2周期における期間に子機20に要求信号を送信して応答データを受信する等、1台の子機との無線通信を異なる周期における期間に亘って実行するように期間を設定してもよい。
【0107】
なお、本実施の形態では、算出部105が算出する期間とは、基地局10が複数の子機のいずれか(図1における子機20及び21のいずれか)と無線通信する期間を示し、上記の例では、第1周期における期間と第2周期における期間の両方の期間)を示す。
【0108】
子機20は、無線インターフェース201と、子機制御部202と、を備える。
【0109】
無線インターフェース201は、基地局10と無線通信するための通信インターフェースである。無線インターフェース201は、基地局10に適合する無線規格(例えばIEEE802.11a、b、g、n等の通信規格)に準拠した無線通信により基地局10と無線通信可能に接続される。無線インターフェース201は、基地局10の機器制御部106が無線インターフェース109により送信したコマンドを受信する。無線インターフェース201を子機側無線インターフェースともいう。
【0110】
子機制御部202は、基地局10と子機20との間でのコマンド及び応答データのやりとりをする処理部である。子機制御部202は、無線インターフェース201により受信したコマンドに基づく動作を実行する。また、子機制御部202は、応答データを生成して、無線インターフェース201を介して基地局10に送信する。
【0111】
子機制御部202は、例えば、CPU等のプロセッサと、当該プロセッサが実行する、子機20が備える図示しないメモリ等に記憶された制御プログラムと、により実現される。
【0112】
なお、EtherCATフレームをUDP(User Datagram Protocol)データグラム又はIPパケットにカプセル化する場合、無線インターフェース109及び無線インターフェース201には、IPアドレスが設定されていることを要する。
【0113】
また、フレームの送信元である無線インターフェース109には、個別にIPアドレスが設定されるが、無線インターフェース201には個別のIPアドレスが設定されていてもよいし、設定されていなくてもよい。無線インターフェース201に個別にIPアドレスが設定されていない場合、無線インターフェース109からブロードキャストで無線通信が実行される。この場合、子機20は、PSDU内のEthernet(登録商標)ヘッダの宛先MACアドレス、又は、IPヘッダ内の宛先IPアドレスを解析することで、自分宛のデータであることを判別する。
【0114】
また、無線インターフェース109及び201の無線通信は、IEEE802.11a、b、g、n等の通信規格に準拠した無線通信に限定されない。
【0115】
<フレーム構造>
図3及び図4は、本実施の形態に係るコマンドを含む無線フレーム40の説明図である。
【0116】
図3の(a)は、コマンド又は応答データを含む無線フレーム40の全体を示す説明図である。
【0117】
無線フレーム40は、既存のIEEE802.11規格に準拠した無線フレームである。無線フレーム40は、PLCP(Physical Layer Convergence Protocol)プリアンブル41と、PLCPヘッダ42と、IEEE802.11ヘッダ43と、データ44と、FCS(Frame Check Sequence)45とを含む。
【0118】
PLCPプリアンブル41は、IEEE802.11フレームの先頭に付加される同期信号を含むフィールドである。ここでいう同期信号は、例えば、基地局10と子機20とが同期をとるための同期信号であって、SYNC0とは異なる信号である。
【0119】
PLCPヘッダ42は、当該IEEE802.11フレームの変調方式及び伝送速度、データ長等の情報を含むフィールドである。
【0120】
IEEE802.11ヘッダ43は、当該IEEE802.11フレームのフレーム種別、宛先MACアドレス及び送信元MACアドレス等の情報を含むフィールドである。例えば、無線フレーム40がコマンドを含む場合、宛先MACアドレスを子機20のものとし、送信元MACアドレスを基地局10のものとする。或いは、例えば、無線フレーム40が応答データを含む場合、宛先MACアドレスを基地局10のものとし、送信元MACアドレスを子機20のもとする。
【0121】
データ44は、IEEE802.11フレームが運ぶデータを含むフィールドである。データ44は、コマンド又は応答データを含むEtherCATフレームを含む。
【0122】
FCS45は、IEEE802.11ヘッダ43及びデータ44のフィールドにより算出されるチェックサムを含むフィールドである。
【0123】
データ44に含まれるフィールドについてさらに詳細に説明する。
【0124】
データ44には、EtherCATフレームが含まれている。言い換えれば、データ44には、EtherCATフレームがカプセル化されている。カプセル化の方法には、様々な方法を採用され得る。カプセル化の方法には、例えば、UDPデータグラムにカプセル化する方法、IPパケットにカプセル化する方法、又は、IEEE802.11フレームにカプセル化する方法等が採用され得る。なお、EtherCATフレームを直接にカプセル化してもよい。この場合、カプセル化に対するオーバヘッドを軽減できる。
【0125】
図3の(b)は、EtherCATフレームをUDPデータグラムにカプセル化する場合のデータ44を示す図である。
【0126】
データ44は、Ethernetヘッダ50と、IPヘッダ51と、UDPヘッダ52と、EtherCATヘッダ53と、EtherCATデータグラム54とを含む。
【0127】
Ethernetヘッダ50は、送信元MACアドレス、宛先MACアドレス及びタイプを含むフィールドである。例えば、無線フレーム40がコマンドを含む場合、子機20のMACアドレスを宛先とし、基地局10のMACアドレスを送信元とする。或いは、例えば、無線フレーム40が応答データを含む場合、基地局10のMACアドレスを宛先とし、子機20のMACアドレスを送信元とする。タイプは、IPを意味する「0x0800」である。
【0128】
IPヘッダ51は、送信元IPアドレス及び宛先IPアドレスを含むフィールドである。例えば、無線フレーム40がコマンドを含む場合、子機20のIPアドレスを宛先とし、基地局10のIPアドレスを送信元とする。或いは、例えば、無線フレーム40が応答データを含む場合、基地局10のIPアドレスを宛先とし、子機20のIPアドレスを送信元とする。
【0129】
UDPヘッダ52は、送信元ポート番号及び宛先ポート番号等を含むフィールドである。UDPポート番号には、予め定められた値が採用され得る。
【0130】
EtherCATヘッダ53は、EtherCATフレームのヘッダであり、当該EtherCATフレームのデータ長等を含む。
【0131】
EtherCATデータグラム54は、EtherCATフレームが運ぶデータを含むフィールドである。EtherCATデータグラム54には、複数の機器宛てのデータが含まれ得る。複数の機器宛てのデータを含む場合には、その宛先となる機器の識別子と、当該機器へ送信するデータとを含むデータグラムが複数連結された構成を有する。例えば、EtherCATデータグラム54は、子機20宛てのデータグラム(図4におけるデータグラム56)、子機21宛てのデータグラム(図4におけるデータグラム57)が連結された構成を有する。
【0132】
図4は、EtherCATデータグラム54の全体を示す説明図である。
【0133】
データグラム56は、コマンド56A、機器ID56B、及び、データ長56Cの各フィールドを含んでいる。また、本例では、データグラム56は、さらに、データ56Dを含む。
【0134】
コマンド56Aは、データグラム56が含むコマンドの種別を示すフィールドである。コマンド56Aは、ライトコマンド又はリードコマンド等のコマンド種別を示す。
【0135】
機器ID56Bは、データグラム56の宛先を示すフィールドである。機器ID56Bは、例えば、子機20を示す機器IDを含む。
【0136】
データ長56Cは、データグラム56に含まれるデータ56Dのデータ長を示す。データ長56Cは、例えば、バイト単位である。
【0137】
データ56Dは、データグラム56に含まれるデータである。
【0138】
なお、データ56Dは、必須ではない。データ56Dがない場合、データ長56Cをゼロとし、データ56Dを省くことができる。
【0139】
データグラム57は、上記と同様、コマンド57A、機器ID57B、及び、データ長57Cの各フィールドを含んでいる。また、本例では、データグラム57は、さらに、データ57Dを含んでいる。機器ID57Bは、例えば、子機21を示す機器IDを含む。
【0140】
なお、データ44は、EthercatCATフレームをEthernetフレームにカプセル化する形式をとることもできる。この場合、データ44は、Ethernetヘッダ50と、EtherCATヘッダ53と、EtherCATデータグラム54とを含む。
【0141】
また、データ44は、EtherCATフレームをIEEE802.11フレームにカプセル化する形式をとることもできる。この場合、データ44は、EtherCATヘッダ53と、EtherCATデータグラム54とを含む。
【0142】
図5は、本実施の形態に係る無線フレームへの書き込み処理の説明図である。具体的には、図5は、ライトコマンド及びリードコマンドそれぞれを含むデータグラム56に対して機器制御部106がデータを書き込んだ状態を示している。
【0143】
図5の(a)は、有線ネットワークNから受信したライトコマンドを含むデータグラム56に対して機器制御部106がデータを書き込んだ状態を示している。
【0144】
機器制御部106は、ライトコマンドを含むフレームに、機器からの応答がないことを示すデータを書き込む。具体的には、機器制御部106は、データ長56Cにゼロを書き込む。
【0145】
図5の(b)は、有線ネットワークNから受信したリードコマンドを含むデータグラム56に対して機器制御部106がデータを書き込んだ状態の一例を示している。
【0146】
機器制御部106は、リードコマンドを含むフレームに機器から受信した応答データを書き込む。機器制御部106は、例えば、データ56Dに5バイトの応答データを書き込む。また、機器制御部106は、当該応答データのデータ長である5バイトを意味する「5」をデータ長56Cに書き込む。
【0147】
なお、図5の(a)及び(b)には、それぞれ、コマンドの一例としてのライトコマンド及びリードコマンドを含むデータグラム56に対して機器制御部106がデータを書き込んだ状態を示しているが、これらのコマンド種別はあくまで一例であり、その他のコマンドについても同様である。
【0148】
[処理手順]
続いて、基地局10が実行する処理手順について詳細に説明する。
【0149】
図6は、本実施の形態に係る基地局10の処理手順を示すフローチャートである。
【0150】
まず、機器制御部106は、機器リスト情報108を取得する(S101)。具体的には、機器制御部106は、基地局10が無線通信する子機の情報(例えば、子機の識別情報及び子機のアドレス)を含む機器リスト情報108を取得する。本実施の形態では、機器リスト情報108は、記憶部107に予め記憶されている。機器制御部106は、有線インターフェース101又は無線インターフェース109を介して機器リスト情報108を外部から受信することで取得してもよい。
【0151】
次に、算出部105は、有線インターフェース101を介して受信されるタイミング信号であって、複数の基地局のそれぞれが無線通信を開始するタイミングを示すタイミング信号に基づいて、子機と無線通信する期間を算出する(S102)。例えば、算出部105は、上記したタイミング情報に基づいて、SYNC0のカウント数が何回目から何回目までの期間に無線通信するかを算出する。例えば、算出部105は、カウント情報がカウンタ1~3を示す情報であり、SYNC0が250μsec.毎に発生される場合、カウントが1回目のSYNC0が発生してから、250μsec.×3=750sec.の期間を無線通信する期間(無線通信可能な期間)として算出する。
【0152】
次に、機器制御部106は、有線インターフェース101を介して、子機20又は21へのコマンドを受信したか否かを判定する(S103)。
【0153】
機器制御部106は、子機20又は21へのコマンドを受信していないと判定した場合(S103でNo)、処理をステップS103に戻す。
【0154】
一方、機器制御部106は、子機20又は21へのコマンドを受信したと判定した場合(S103でYes)、機器制御部106は、受信したコマンドを一時的に記憶部107に記憶させる(S104)。
【0155】
次に、機器制御部106は、現在のタイミング(現在の時刻)が、算出部105が算出した、子機20又は21と無線通信可能な期間内であるか否かを判定する(S105)。
【0156】
なお、機器制御部106は、有線インターフェース101を介して子機20へのコマンドを受信したとして以下のフローチャートを説明する。
【0157】
機器制御部106は、現在のタイミングが算出した、子機20又は21と無線通信可能な期間内ではないと判定した場合(S105でNo)、処理をステップS105に戻す。
【0158】
一方、機器制御部106は、現在のタイミングが算出した期間内であると判定した場合(S105でYes)、無線インターフェース109を介してコマンドを子機20に送信する(S106)。
【0159】
このように、機器制御部106は、算出部105が算出した期間以外では、子機20とは無線通信せずに待機する。
【0160】
なお、機器制御部106は、無線インターフェース109を介して子機20に送信したコマンドについては、子機20にコマンドを送信した後であれば、任意のタイミングで記憶部107から削除させてもよい。
【0161】
次に、機器制御部106は、無線インターフェース109を介して、ステップS106で送信したコマンドに対する応答データを要求する要求信号を子機20に期間内に送信する(S107)。
【0162】
次に、機器制御部106は、応答データを子機20から無線インターフェース109を介して受信したか否かを判定する(S108)。
【0163】
機器制御部106は、応答データを子機20から無線インターフェース109を介して受信していないと判定した場合(S108でNo)、処理をステップS108に戻す。
【0164】
一方、機器制御部106は、応答データを子機20から無線インターフェース109を介して受信したと判定した場合(S108でYes)、受信した応答データをEtherCATフレームに書き込んで有線インターフェース101を介して有線ネットワークNに送信する(S109)。
【0165】
なお、基地局10は、例えば、子機20と子機21の双方宛てのコマンドを受信したときなどの場合であって、ステップS106~S108の処理(無線通信処理)が、算出部105が算出した期間内に終了しないと判定した場合、算出した期間内に終了可能な処理まで実行した後で、処理をステップS105に戻し、ステップS105でYesと再度判定した場合、残りの処理を実行してもよい。
【0166】
図7は、本実施の形態に係る通信システム1が備える複数の基地局10~17のそれぞれが無線通信するタイミングを説明するための図である。なお、図7において、グループAのチャネル36は基地局10を示し、グループAのチャネル40は基地局11を示し、グループAのチャネル44は基地局12を示し、グループAのチャネル48は基地局13を示す。また、図7においては、グループBのチャネル36は基地局14を示し、グループBのチャネル40は基地局15を示し、グループBのチャネル44は基地局16を示し、グループBのチャネル48は基地局17を示す。また、図7において、「送信」とは、基地局が子機にコマンドを送信すること(コマンドの送信処理)を示し、「要求」とは、基地局が子機に要求信号を送信すること(要求信号の送信処理)を示し、「受信」とは、基地局が子機から応答データを受信すること(応答データの受信処理)を示す。
【0167】
図7に示す例では、SYNC0を250μs間隔、SYNC1をSYNC0の6周期分の1500μs間隔の周期で発生させる場合を示す。
【0168】
各基地局10~17は、SYNC0を受信したらカウンタをカウントアップし、SYNC1を受信したらカウンタをリセットする。
【0169】
このようなカウンタを用いて、各基地局10~17は、グループAに属するスレーブ(図1に示す基地局10~13)は、カウンタが1~3の期間が自装置のタイムスロットとし、グループBに属するスレーブ(図1に示す基地局14~17)は、カウンタが4~6の期間が自装置のタイムスロットとするように、算出する。図7に示す例では、例えば、基地局10(より具体的には、算出部105)は、グループが2つで、自装置がグループAに属するため、最初にSYNC0を受信してからSYNC1を受信するまで期間をグループ数で除算することで、子機20及び21と無線通信する期間を算出する。複数のグループのうちでの子機と無線通信する順序は、予め任意に定められてよく、例えば、記憶部107に記憶されている。図7に示す例では、グループA、グループBの順に、基地局は、子機と無線通信すると予め定められている。
【0170】
グループAに属する基地局10~13は、カウンタが1の期間(すなわちカウンタ1の初めからカウンタ2の直前までの時間)にコマンドを子機20~27に無線通信で送信し、カウンタ2の期間に要求信号を子機20~27に無線通信で送信し、さらに、カウンタ3の期間に応答データを子機20~27に無線通信で受信する。
【0171】
グループBに属する基地局14~17は、カウンタが4の期間にコマンドを子機28~35に無線通信で送信し、カウンタ5の期間に要求信号を子機28~35に無線通信で送信し、さらに、カウンタ6の期間に応答データを子機28~35無線通信で受信する。
【0172】
これによれば、グループAとグループBとで同じチャネル(無線チャネル)を用いて無線通信(コマンドの送信、要求信号の送信、及び、応答データの受信)が行われても、無線通信が行われるタイミングが異なる。言い換えると、グループAに属する基地局10~13とグループBに属する基地局14~17とは、互いに同じチャネル(周波数スロット)を用い、且つ、異なるタイミング(タイムスロット)を用いて無線通信する。そのため、通信システム1では、キャリアセンスによる待ち時間及び無線通信での電波の干渉が回避される。
【0173】
また、例えば、グループAに属する基地局10~13は、それぞれ、2つの子機と、カウンタが1~3の期間に無線通信する。
【0174】
また、例えば、基地局10が子機20と子機21とのそれぞれへのコマンドを、有線ネットワークNを介して同時に受信していた場合、子機20と無線通信することで子機20からの応答データを受信した後、1750μs後(250μs×7)に子機21と無線通信をすることで、2500μs後(250μs×10)に子機21から応答データを受信する。このように、例えば、基地局10は、算出部105が算出した期間内であって、且つ、互いに異なるタイミングで複数の子機20及び21のそれぞれと無線通信する。図7に示す例では、基地局10は、有線インターフェース101を介して子機20及び21のそれぞれに対するコマンドを同時に受信した場合、子機20及び21のそれぞれに対するコマンドに基づいて子機20及び21のそれぞれにコマンドを送信すると判定した場合、算出部105が算出したカウンタ1~3の期間内であって、且つ、互いに異なるタイミングで無線通信されるように、子機20とは最初のカウンタ1~3の期間内に無線通信し、子機21とはカウンタ4~6及び0の間は待機してその次のカウンタ1~3の期間内に無線通信する。
【0175】
このように、基地局10は、通信システム1が備える複数の基地局10~17が子機との無線通信を開始するタイミングに基づいて、子機20及び21と無線通信する期間を算出し、算出した期間内に子機20及び21と無線通信する。具体的には、複数の基地局10~17は、それぞれ、複数の子機のそれぞれと同じチャネルを用いて無線通信(図7に示す例では、「送信」、「要求」、及び、「受信」)する。また、複数の基地局10~17は、同じチャネルを用いて無線通信する基地局同士が互いに異なるグループに属するように、複数のグループのいずれかに予め分類されている。例えば、チャネル36を用いて子機と無線通信する基地局10と基地局14とは、互いに異なるグループに属する。例えば、複数の基地局10~17のそれぞれが備える記憶部107には、自装置が属するグループと、グループの数を示す情報と、が予め記憶されている。複数の基地局10~17は、それぞれ、タイミング信号及び複数のグループの数に基づいて、複数の子機(例えば、基地局10であれば子機20及び21)のそれぞれと無線通信する期間を算出する。例えば、基地局10の算出部105は、本例では、グループの数が2であるため、カウンタ1~3までの間に子機20、21と無線通信し、カウンタ4~6までの間には子機20、21と無線通信しないように期間を算出する。また、複数の基地局10~17は、それぞれ、有線インターフェース101を介して複数の子機のそれぞれに対するコマンドを同時に受信した場合、複数の子機のそれぞれに対するコマンドに基づいて、算出部105が算出した期間内であって、且つ、互いに異なるタイミングで複数の子機のそれぞれと無線通信する。
【0176】
なお、SYNC0及びSYNC1の発生間隔は、任意に設定されてよく、上記の例に限定されない。
【0177】
また、基地局10~17は、それぞれ、互いに異なるチャネルを用いて複数の子機と無線通信してもよい。例えば、基地局10は、同じチャネルを用いて子機20及び21と無線通信し、さらに、当該チャネルとは異なるチャネルを用いて図示しない他の子機と無線通信してもよい。
【0178】
[効果等]
以上説明したように、本実施の形態1に係る基地局10は、リング方式の有線ネットワークNを介して複数の基地局10~17が通信する通信システム1における一の基地局である。基地局10は、有線ネットワークNに接続される有線インターフェース101と、被制御機器(例えば、子機20)と無線通信するための無線インターフェース109と、有線インターフェース101を介して受信されるタイミング信号であって、複数の基地局10~17のそれぞれが無線通信を開始するタイミングを示すタイミング信号に基づいて、被制御機器と無線通信する期間を算出する算出部105と、被制御機器に対するコマンドを、有線インターフェース101を介して受信した場合、算出部105が算出した期間内に、被制御機器に対するコマンドに基づいて、無線インターフェース109を介して被制御機器と無線通信する機器制御部106と、を備える。
【0179】
これによれば、例えば、各基地局10~17が同じチャネルを用いて被制御機器と無線通信する場合においても、各基地局10~17は、互いに異なるタイミングで被制御機器と無線通信できる。そのため、このような構成によれば、キャリアセンスによる待機時間が発生することが抑制される。このように、実施の形態1に係る基地局10によれば、無線通信での遅延の発生を抑制できる。
【0180】
また、例えば、機器制御部106は、被制御機器に対するコマンドを、有線インターフェース101を介して受信した場合、現在の時刻が、算出部105が算出した期間内であるか否かを判定する。例えば、機器制御部106は、現在の時刻が、算出部105が算出した期間内であると判定した場合、被制御機器との無線通信を開始する。一方、機器制御部106は、例えば、現在の時刻が、算出部105が算出した期間内ではないと判定した場合、現在の時刻が期間内になるまで待機してから被制御機器との無線通信を開始する。
【0181】
これによれば、基地局10は、算出部105が算出した期間内に適切に被制御機器と無線通信できる。
【0182】
また、例えば、機器制御部106は、無線インターフェース109を介して複数の被制御機器と無線通信可能に接続されている。つまり、基地局10は、例えば、複数の被制御機器と無線通信可能に接続されている。この場合、例えば、機器制御部106は、有線インターフェース101を介して、複数の被制御機器のうちの2つ以上の被制御機器に対するコマンドを同時に受信した場合、当該2つ以上の被制御機器に対するコマンドに基づいて、算出部105が算出した期間内であって、且つ、互いに異なるタイミングで当該2つ以上の被制御機器のそれぞれと無線通信する。
【0183】
これによれば、基地局10は、同じチャネルを用いて2つ以上の被制御機器と無線通信する場合であっても、当該2つ以上の被制御機器と無線通信する期間を互いに重ならないようにできる。そのため、当該2つ以上の被制御機器と無線通信する際の電波の干渉が回避され得る。
【0184】
また、例えば、上記したタイミング信号は、複数の基地局10~17が同期をとるための同期信号である。
【0185】
例えば、EtherCATに従うネットワークでは、各基地局は、それぞれが有するRTC等の計時部の時刻を揃えるために、つまり、各基地局が他の基地局と同期をとる。そこで、実施の形態1に係る基地局10は、同期信号に基づいて、基地局10が無線通信する期間を決定する。これによれば、各基地局10~17が当該期間を算出するための新たな信号等を用いずに、基地局10は、同期信号に基づいて基地局10が無線通信する適切な期間を算出できる。
【0186】
また、例えば、機器制御部106は、被制御機器との無線通信において、被制御機器に対するコマンドの被制御機器への送信処理と、被制御機器に対するコマンドに応じた応答データを被制御機器から要求する要求信号の送信処理と、応答データの受信処理と、を行う。
【0187】
これによれば、基地局10は、無線通信によって被制御機器から応答データを受信し、且つ、リング方式の有線ネットワークNを介してマスタMに応答データを送信できる。
【0188】
また、実施の形態1に係る通信システム1は、本実施の形態に係る基地局を複数(本実施の形態では、基地局10~17)備える。複数の基地局は、それぞれ、1つ又は複数の被制御機器のそれぞれと同じチャネルを用いて無線通信し、当該同じチャネルを用いて無線通信する基地局同士が互いに異なるグループに属するように、複数のグループのいずれかに予め分類されている。また、複数の基地局は、それぞれ、タイミング信号及び複数のグループの数に基づいて、1つ又は複数の被制御機器のそれぞれと無線通信する期間を算出する。また、複数の基地局は、それぞれ、有線インターフェース101を介して複数の被制御機器のうちの2つ以上の被制御機器に対するコマンドを同時に受信した場合、当該2つの被制御機器に対するコマンドに基づいて、算出部105が算出した期間内であって、且つ、互いに異なるタイミングで当該2つ以上の被制御機器のそれぞれと無線通信する。
【0189】
例えば、基地局が複数の被制御機器と同じチャネルを用いて無線通信する場合においても、基地局は、他の基地局と互いに異なるタイミングで複数の被制御機器と無線通信できる。つまり、実施の形態1に係る基地局10~17同士によれば、同じチャネルを用いて被制御機器と無線通信する場合であっても、互いが無線通信する期間を互いに重ならないようにできるために、実施の形態1は、それぞれが子機と無線通信する基地局を複数備えるシステム(本実施の形態では、基地局10~17を備える通信システム1)に好適である。
【0190】
また、実施の形態1に係る基地局10の制御方法は、リング方式の有線ネットワークNを介して複数の基地局10~17が通信する通信システム1における一の基地局の制御方法である。基地局10の制御方法は、有線インターフェース101を介して受信されるタイミング信号であって、複数の基地局10~17のそれぞれが無線通信を開始するタイミングを示すタイミング信号に基づいて、被制御機器と無線通信する期間である期間を算出する算出ステップ(S102)と、被制御機器に対するコマンドを、有線インターフェース101を介して受信した場合(S103でYes)、算出ステップで算出した期間内に、被制御機器に対するコマンドに基づいて、無線インターフェース109を介して被制御機器と無線通信する無線通信ステップ(S106~S108)と、を含む。
【0191】
これによれば、上記した実施の形態1に係る基地局10と同様の効果を奏する。
【0192】
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能なCD-ROM等の記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0193】
(実施の形態2)
以下、実施の形態2に係る基地局及び通信システムについて説明する。なお、実施の形態2の説明においては、実施の形態1との差異点を中心に説明する。実施の形態2の説明においては、実施の形態1と実質的に同様の構成については同様の符号を付し、説明を一部簡略化又は省略する場合がある。
【0194】
[構成]
図8は、実施の形態2に係る基地局10Aを含む通信システム1Aの構成を示す模式図である。なお、図8においては、有線通信可能な機器同士を実線で繋ぎ、無線通信可能な機器同士を破線(より具体的には、破線矢印)で繋いでいる。
【0195】
通信システム1Aは、マスタMと、複数の基地局(例えば、基地局10A、10B、10C、10D)と、を備える。
【0196】
なお、図示しないが、グループB~グループFには、例えば、それぞれ、基地局10A~10Dのように、互いに異なるチャネルで子機(被制御機器)と無線通信する複数の基地局が含まれる。本実施の形態では、グループB~グループFには、それぞれ、5GHz帯の36チャネル(Ch.36)を用いて子機と無線通信する基地局と、5GHz帯の40チャネル(Ch.40)を用いて子機と無線通信する基地局と、5GHz帯の44チャネル(Ch.44)を用いて子機と無線通信する基地局と、5GHz帯の48チャネル(Ch.48)を用いて子機と無線通信する基地局との4つの基地局が含まれる。
【0197】
通信システム1Aが備える複数の基地局は、それぞれ、実施の形態1に係る基地局10等と同様に、マスタMから送信されるコマンドデータを受信する、マスタMに対するスレーブである。また、複数の基地局は、それぞれ、有線ネットワークNに接続されている。また、複数の基地局は、それぞれ、マスタMが送信するフレームを、有線ネットワークNを介して受信し、受信したフレームに含まれるコマンドの読み出し、又は、受信したフレームへのデータの書き込みを実行して、フレームを有線ネットワークNに送信する。
【0198】
通信システム1Aが備える複数の子機は、それぞれ、実施の形態1に係る子機20等と同様に、マスタMによる制御を受けて動作する、被制御機器である。複数の子機は、それぞれ、複数の基地局のいずれかと、無線通信可能に接続されている。
【0199】
なお、本実施の形態では、複数の基地局は、それぞれ、1台の子機と無線通信可能に接続されている。
【0200】
例えば、子機20Aは、基地局10Aと、5GHz帯の36チャネル(Ch.36)を用いて、無線通信可能に接続されている。また、例えば、子機20Bは、基地局10Bと、5GHz帯の40チャネル(Ch.40)を用いて、無線通信可能に接続されている。また、例えば、子機20Cは、基地局10Cと、5GHz帯の44チャネル(Ch.44)を用いて、無線通信可能に接続されている。また、例えば、子機20Dは、基地局10Dと、5GHz帯の48チャネル(Ch.48)を用いて、無線通信可能に接続されている。
【0201】
もちろん、通信システム1Aが備える複数の基地局は、それぞれ、複数の子機と無線通信可能に接続されていてもよい。
【0202】
複数の子機は、それぞれ、例えば、搬送機等の移動可能な移動機器、センサ機器、モータ、ロボットアームである。
【0203】
以降において、基地局10Aの機能構成及び動作について詳細に説明する。なお、通信システム1Aが備える複数の基地局について、基地局10Aを代表として説明するが、他の基地局についても同様の説明が成立する。また、通信システム1Aが備える複数の子機については、実施の形態1に係る子機20等と実質的に構成が同じであるため、説明を省略する。例えば、子機20Aは、子機20と実質的に同様の機能構成を有し、例えば、図2に示す無線インターフェース201と、子機制御部202と、を備える。
【0204】
図9は、本実施の形態に係る基地局10A及び子機20Aの機能構成を示すブロック図である。
【0205】
基地局10Aは、リング方式の有線ネットワークNを介して複数の基地局が通信する通信システム1Aにおける一の基地局である。本実施の形態では、基地局10Aは、マスタMから送信されたコマンドを子機20Aに無線通信で送信する基地局装置である。
【0206】
基地局10Aは、有線インターフェース101と、処理部104Aと、記憶部107と、無線インターフェース109と、を備える。
【0207】
処理部104Aは、基地局10Aの各種処理を実行する処理部である。処理部104Aは、算出部105Aと、機器制御部106Aと、を含む。
【0208】
算出部105Aは、有線インターフェース101を介して受信されるタイミング信号であって、複数の基地局のそれぞれが無線通信を開始するタイミングを示すタイミング信号に基づいて、被制御機器(本実施の形態では、子機20A)と無線通信する期間を算出する処理部である。
【0209】
タイミング信号は、例えば、複数の基地局が同期をとるための同期信号(例えば、上記したSYNC0)である。また、基地局10Aは、SYNC0を発生させる周期に応じてSYNC1を発生させて有線ネットワークNに送信する。算出部105Aは、例えば、自装置に割当てられたSYNC0が発生させたカウント数に応じた各基地局が子機と無線通信を開始するタイミングを示す情報(タイミング情報)と、有線ネットワークNを介して受信する同期信号(SYNC0及びSYNC1)の受信タイミング(同期信号が発生されるタイミング)とに基づいて、機器制御部106Aが無線インターフェース109を介して子機20Aと無線通信する期間を算出する。
【0210】
例えば、記憶部107には、複数の基地局が、それぞれ、子機との無線通信に係る時間(コマンドの送信処理、応答データを要求する要求信号の送信処理、及び、応答データの受信処理の一連の送受信処理にかかる時間)を示す情報が、予め記憶されている。算出部105Aは、例えば、タイミング信号及び当該情報に基づいて、子機20Aと無線通信する期間を算出する。各基地局が期間の算出に用いる情報は、マスタMに記憶され、各基地局に送信されてもよい。
【0211】
機器制御部106Aは、子機20Aに対するコマンド(より具体的には、コマンドを含むフレーム)を、有線インターフェース101を介して受信した場合、算出部105Aが算出した期間内に、受信したコマンドに基づいて、無線インターフェース109を介して子機20Aと無線通信する処理部である。
【0212】
例えば、機器制御部106Aは、子機20Aに対するコマンドを、有線インターフェース101を介して受信した場合、受信したコマンドを記憶部107に一時的に記憶させ、算出部105Aが決定したタイムスロットを用いて、つまり、算出部105Aが算出した期間に、記憶部107に記憶させたコマンドを、無線インターフェース109を介して子機20Aに送信し、応答データを要求する要求信号を、無線インターフェース109を介してさらに送信し、応答データを子機20Aから無線インターフェース109を介して受信する。言い換えると、機器制御部106Aは、算出部105Aが算出した期間に、子機20Aとの無線通信(無線通信処理)において、子機20に対するコマンドの子機20Aへの送信処理(第1送信処理)と、子機20Aに対するコマンドに応じた応答データを子機20Aから要求する要求信号の送信処理(第2送信処理)と、応答データの受信処理と、を行う。本実施の形態では、算出部105Aは、(ア)子機20Aに対するコマンドの子機20Aへの送信処理と、(イ)要求信号の送信処理、及び、応答データの受信処理と、をそれぞれ個別に実行するための期間と、子機20Aに対するコマンドの子機20Aへの送信処理と要求信号の送信処理との間の子機20Aと無線通信しない待機期間とを算出する。
【0213】
通信システム1Aが備える複数の基地局は、同じチャネルを用いて子機と無線通信する基地局同士が互いに異なるグループに属するように、複数のグループのいずれかに予め分類されている。例えば、基地局10Aが備える記憶部107には、自装置が属するグループと、グループの数を示す情報と、が予め記憶されている。算出部105Aは、例えば、タイミング信号及び複数のグループの数に基づいて、子機20Aと無線通信する期間及び待機期間を算出する。例えば、複数の基地局が備える算出部105Aは、それぞれ、グループ毎に同じ期間に子機と無線通信するように、当該期間を算出する。また、複数の基地局が備える機器制御部106は、それぞれ、グループ毎に同じ期間に、子機との無線通信において、子機へのコマンドの送信処理と、子機への要求信号の送信処理と、応答データの受信処理と、を行う。
【0214】
また、機器制御部106Aは、子機20Aから、応答データが所定の形式でカプセル化された無線フレームを、無線インターフェース109を介して受信する。例えば、機器制御部106Aは、子機20Aから応答データを受信した場合、受信した応答データを記憶部107に一時的に記憶させ、その後に入力用ポート102を介して受信したリードコマンドを含むフレームに書き込む。
【0215】
また、機器制御部106Aは、子機20Aにより送信される応答データのフレームへの書込みの制御を行う。機器制御部106Aは、無線インターフェース109を介して受信した子機20A等による応答を示す応答データを出力用ポート103により出力する。
【0216】
或いは、機器制御部106Aは、入力用ポート102を介してコマンドを受信した場合に、受信したコマンドを含むフレームに、当該制御に対する応答データがないことを示すデータを書き込んで、出力用ポート103から出力してもよい。コマンドを受信した時点では、当該コマンドに基づく子機20Aに対する制御の結果としての応答が得られないことがある。その場合、上記のように当該制御に対する応答データがないことを示すデータを書き込んで出力することで、フレームの伝送遅延を小さくすることができる利点がある。
【0217】
また、機器制御部106Aは、入力用ポート102及び出力用ポート103の機能の物理ポートへの割り当て、及び、入力用ポート102及び出力用ポート103によるフレームの送受信を制御する。
【0218】
図10は、実施の形態2に係る通信システム1Aが備える複数の基地局のそれぞれが無線通信するタイミングを説明するための図である。
【0219】
また、図10において、グループA~Fのチャネル36は、各グループにおいてチャネル36で子機と無線通信する基地局を示し、グループA~Fのチャネル40は、各グループにおいてチャネル40で子機と無線通信する基地局を示し、グループA~Fのチャネル44は、各グループにおいてチャネル44で子機と無線通信する基地局を示し、グループA~Fのチャネル48は、各グループにおいてチャネル48で子機と無線通信する基地局を示す。例えば、図10において、グループAであれば、チャネル36は、基地局10Aを示し、チャネル40は、基地局10Bを示し、チャネル44は、基地局10Cを示し、チャネル48は、基地局10Dを示す。
【0220】
また、図10において、「送信」とは、基地局が子機にコマンドを送信すること(コマンドの送信処理)を示し、「要求」とは、基地局が子機に要求信号を送信すること(要求信号の送信処理)を示し、「受信」とは、基地局が子機から応答データを受信すること(応答データの受信処理)を示す。
【0221】
また、図10では、SYNC0及びSYNC1の図示を省略しているが、SYNC0を300μs間隔、SYNC1をSYNC0の18周期分の5400μs間隔の周期で発生させる場合を示す。各基地局は、SYNC0を受信したらカウンタをカウントアップし、SYNC1を受信したらカウンタをリセットする。また、図10では、カウント0の図示を省略している。
【0222】
また、PAはグループAの各基地局が子機と無線通信する期間を示し、PBはグループBの各基地局が子機と無線通信する期間を示し、PCはグループCの各基地局が子機と無線通信する期間を示し、PDはグループDの各基地局が子機と無線通信する期間を示し、PEはグループEの各基地局が子機と無線通信する期間を示し、PFはグループFの各基地局が子機と無線通信する期間を示す。
【0223】
グループAに属する各基地局が備える算出部105Aは、それぞれ、カウンタが1、7及び8の期間を自装置が子機と無線通信する期間として算出する。具体的には、グループAに属する各基地局が備える算出部105Aは、それぞれ、カウンタが1の期間をコマンドの送信処理を行う期間とし、カウンタが7及び8の期間を要求信号の送信処理を行う期間、及び、応答データの受信処理を行う期間としてそれぞれ算出する。
【0224】
また、グループAに属する各基地局が備える算出部105Aは、それぞれ、カウンタが2~6の期間を、自装置が子機と無線通信しない期間である待機期間として算出する。例えば、算出部105Aは、通信システム1Aにおけるグループの数が6であるため、6-1=5のカウンタの期間を待機期間として算出する。
【0225】
機器制御部106Aは、例えば、子機20Aに対するコマンドを、有線インターフェース101を介して受信した場合、現在の時刻(すなわち、当該コマンドを受信した時刻)が、算出部105Aが算出した期間(例えば、図10に示すPA)内であるか否かを判定する。例えば、機器制御部106Aは、現在の時刻が、算出部105Aが算出した期間内であると判定した場合、子機20Aとの無線通信(具体的には、コマンドの送信処理)を開始する。一方、機器制御部106Aは、例えば、現在の時刻が、算出部105Aが算出した期間内ではないと判定した場合、現在の時刻が期間内になるまで待機してから子機20Aとの無線通信を開始する。
【0226】
次に、機器制御部106Aは、算出部105Aが算出した待機期間には子機20Aとは無線通信せず待機する。さらに、機器制御部106Aは、例えば、現在の時刻(すなわち、待機後の時刻)が、算出部105Aが算出した期間(例えば、図10に示すPA)内であるか否かを判定する。例えば、機器制御部106Aは、現在の時刻が、算出部105Aが算出した期間内であると判定した場合、子機20Aとの無線通信(具体的には、要求信号の送信処理及び応答データの受信処理)を開始する。一方、機器制御部106Aは、例えば、現在の時刻が、算出部105Aが算出した期間内ではないと判定した場合、現在の時刻が期間内になるまで待機してから子機20Aとの無線通信を開始する。
【0227】
応答データの種類には、センサの検出結果のように子機が比較的早く生成できる場合と、ロボットの動きのような子機が何らかの算出を行う必要があって生成に時間がかかる場合とがある。応答データの生成に時間がかかる場合、コマンドの送信処理の後に直ぐに要求信号の送信処理を行っても、子機が応答データを送信できない場合がある。こうした状況が認められる場合には、算出部105Aが算出した期間内に、送信、要求および受信をすべて処理することが難しい。そのため、送信処理の後の時間を待機時間として、当該待機時間を他のグループの無線通信に割く。基地局10Aは、次のグループAのための期間(図10におけるカウンタ7および8の期間)に要求および受信を行う。
【0228】
図11は、比較例に係る通信システムが備える複数の基地局のそれぞれが無線通信するタイミングを説明するための図である。
【0229】
また、図11において、グループA~Dのチャネル36は、各グループにおいてチャネル36で子機と無線通信する基地局を示し、グループA~Fのチャネル40は、各グループにおいてチャネル40で子機と無線通信する基地局を示し、グループA~Fのチャネル44は、各グループにおいてチャネル44で子機と無線通信する基地局を示し、グループA~Fのチャネル48は、各グループにおいてチャネル48で子機と無線通信する基地局を示す。
【0230】
また、図11において、「送信」とは、基地局が子機にコマンドを送信すること(コマンドの送信処理)を示し、「要求」とは、基地局が子機に要求信号を送信すること(要求信号の送信処理)を示し、「受信」とは、基地局が子機から応答データを受信すること(応答データの受信処理)を示す。
【0231】
また、図11では、SYNC0及びSYNC1の図示を省略しているが、SYNC0を300μs間隔、SYNC1をSYNC0の18周期分の5400μs間隔の周期で発生させる場合を示す。各基地局は、SYNC0を受信したらカウンタをカウントアップし、SYNC1を受信したらカウンタをリセットする。また、図11では、カウント0の図示を省略している。
【0232】
また、PAはグループAの各基地局が子機と無線通信する期間を示し、PBはグループBの各基地局が子機と無線通信する期間を示し、PCはグループCの各基地局が子機と無線通信する期間を示し、PDはグループDの各基地局が子機と無線通信する期間を示し、PEはグループEの各基地局が子機と無線通信する期間を示し、PFはグループFの各基地局が子機と無線通信する期間を示す。
【0233】
グループAに属する各基地局が備える算出部は、それぞれ、カウンタが1~6の期間を自装置が子機と無線通信する期間として算出する。具体的には、グループAに属する各基地局が備える算出部105Aは、それぞれ、カウンタが1の期間をコマンドの送信処理を行う期間とし、カウンタが2~5の期間を要求信号の送信処理を行う期間とし、カウンタが6の期間を応答データの受信処理を行う期間として算出する。
【0234】
図11に示すように、基地局と子機との無線通信の期間を、コマンドの送信処理、要求信号の送信処理、及び、応答データの受信処理の各処理を連続して行うようにすると、応答データの生成に時間がかかる場合には、基地局は、要求信号を子機に送信しても応答データを受信できないために、要求信号を繰り返し(本例では、カウンタが2~5の期間に4回)子機に送信する。そのために、要求信号を送信する期間が長くなる。
【0235】
一方、例えば、図10に示す例では、子機が応答データを生成するための期間が待機期間として算出され、算出された期間には基地局と子機との無線通信が行われず、当該基地局とは異なるグループに属する基地局と子機との無線通信が行われる。これにより、応答データの生成に時間がかかる場合にも、要求信号が送信されてから応答データが受信されるまでの時間を短くできる。
【0236】
例えば、図10に示す例では、通信システム1Aが備える各基地局が子機と無線通信が完了するまでの時間(カウンタが1~18)は、18slot(カウンタのカウント数)×300μs=5400μsとなる。また、この時間に、通信システム1Aとしては、24宛先(基地局が無線通信する基地局の数)と無線通信できる。そのため、1宛先当たりの無線通信に係る期間は、225μsとなる。
【0237】
一方、図11に示す例では、通信システム1Aが備える各基地局が子機と無線通信が完了するまでの時間(カウンタが1~7を4サイクル)の時間は、7slot×4(カウンタのカウント数)×300μs=8400μsとなる。また、この時間に、通信システム1Aとしては、16宛先(基地局が無線通信する基地局の数)と無線通信できる。そのため、1宛先当たりの無線通信に係る期間は、525μsとなる。
【0238】
このように、図10に示す例では、図11に示す例と比較して、1宛先当たりの通信時間を43%短縮できる。
【0239】
処理部104Aは、例えば、CPU等のプロセッサと、当該プロセッサが実行する、記憶部107等に記憶された制御プログラムとにより実現される。
【0240】
なお、算出部105Aと機器制御部106Aとは、1つのプロセッサにより実現されてもよいし、2以上のプロセッサにより別々に実現されてもよい。
【0241】
また、処理部104Aは、SYNC0の発生回数をカウントするカウンタ、及び、時間を計測するRTC等の計時部を備えてもよい。
【0242】
[処理手順]
図12は、実施の形態2に係る基地局10Aの処理手順を示すフローチャートである。
【0243】
まず、機器制御部106Aは、機器リスト情報108を取得する(S101)。
【0244】
次に、算出部105Aは、有線インターフェース101を介して受信されるタイミング信号であって、複数の基地局のそれぞれが無線通信を開始するタイミングを示すタイミング信号に基づいて、子機と無線通信する期間を算出する(S102a)。本実施の形態では、算出部105Aは、コマンドの送信処理を行う期間(第1無線通信期間)と、要求信号の送信処理、及び、応答データの受信処理とを行う期間(第2無線通信期間)と、をそれぞれ個別に実行するための期間と、コマンドの送信処理と要求信号の送信処理との間の子機20Aと無線通信しない待機期間とを算出する。
【0245】
次に、機器制御部106Aは、有線インターフェース101を介して、子機20Aへのコマンドを受信したか否かを判定する(S103)。
【0246】
機器制御部106Aは、子機20Aへのコマンドを受信していないと判定した場合(S103でNo)、処理をステップS103に戻す。
【0247】
一方、機器制御部106Aは、子機20Aへのコマンドを受信したと判定した場合(S103でYes)、受信したコマンドを記憶部107に一時的に記憶させる(S104)。
【0248】
次に、機器制御部106Aは、現在のタイミング(現在の時刻)が、算出部105Aが算出した期間内であるか否かを判定する(S105)。より具体的には、機器制御部106Aは、現在の時刻が、コマンドの送信処理を行う第1無線通信期間であるか否かを判定する。
【0249】
機器制御部106Aは、現在のタイミングが算出した期間内ではないと判定した場合(S105でNo)、処理をステップS105に戻す。
【0250】
一方、機器制御部106Aは、現在のタイミングが算出した期間内であると判定した場合(S105でYes)、無線インターフェース109を介してコマンドを子機20Aに送信する(S106)。
【0251】
次に、機器制御部106Aは、無線インターフェース109を介してACK信号を子機20Aから受信したか否かを判定する(S201)。
【0252】
機器制御部106Aは、無線インターフェース109を介してACK信号を子機20Aから受信していないと判定した場合(S201でNo)、処理をステップS201に戻す。
【0253】
一方、機器制御部106Aは、無線インターフェース109を介してACK信号を子機20Aから受信したと判定した場合(S201でYes)、要求信号の送信タイミングであるか否かを判定する(S202)。具体的には、機器制御部106Aは、現在の時刻が、要求信号の送信処理を行う第2無線通信期間であるか否かを判定する。
【0254】
機器制御部106Aは、要求信号の送信タイミングではないと判定した場合(S202でNo)、処理をステップS202に戻す。
【0255】
一方、機器制御部106Aは、要求信号の送信タイミングであると判定した場合(S202でYes)、無線インターフェース109を介して、ステップS106で送信したコマンドに対する応答データを要求する要求信号を子機20Aに期間内に送信する(S107)。
【0256】
次に、機器制御部106Aは、応答データを子機20Aから無線インターフェース109を介して受信したか否かを判定する(S108)。
【0257】
機器制御部106Aは、応答データを子機20Aから無線インターフェース109を介して受信していないと判定した場合(S108でNo)、処理をステップS108に戻す。
【0258】
一方、機器制御部106Aは、応答データを子機20Aから無線インターフェース109を介して受信したと判定した場合(S108でYes)、受信した応答データをEtherCATフレームに書き込んで有線インターフェース101を介して有線ネットワークNに送信する(S109)。
【0259】
[効果等]
以上、実施の形態2に係る基地局10Aは、リング方式の有線ネットワークNを介して複数の基地局が通信する通信システム1Aにおける一の基地局である。基地局10Aは、有線ネットワークNに接続される有線インターフェース101と、被制御機器(例えば、子機20A)と無線通信するための無線インターフェース109と、有線インターフェース101を介して受信されるタイミング信号であって、複数の基地局のそれぞれが無線通信を開始するタイミングを示すタイミング信号に基づいて、被制御機器と無線通信する期間を算出する算出部105Aと、被制御機器に対するコマンドを、有線インターフェース101を介して受信した場合、算出部105Aが算出した期間内に、被制御機器に対するコマンドに基づいて、無線インターフェース109を介して被制御機器と無線通信する機器制御部106Aと、を備える。算出部105Aは、(ア)被制御機器に対するコマンドの被制御機器への送信処理と、(イ)要求信号の送信処理、及び、応答データの受信処理と、をそれぞれ個別に実行するための期間と、被制御機器に対するコマンドの被制御機器への送信処理と要求信号の送信処理との間の被制御機器と無線通信しない待機期間とを算出する。
【0260】
これによれば、基地局10Aは、待機期間が適切に算出されることで、被制御機器が応答データの生成に時間がかかる場合にも、その期間を他の基地局が占有して無線通信を行う期間として利用できる。
【0261】
また、実施の形態2に係る通信システム1Aは、基地局を複数備え、複数の基地局は、それぞれ、同じチャネルを用いて被制御機器(子機)と無線通信する基地局同士が互いに異なるグループに属するように、複数のグループのいずれかに予め分類されており、複数の基地局が備える機器制御部106Aは、それぞれ、グループ毎に同じ期間に、被制御機器との無線通信において、被制御機器に対するコマンドの当該被制御機器への送信処理と、被制御機器に対するコマンドに応じた応答データを当該被制御機器から要求する要求信号の送信処理と、応答データの受信処理と、を行い、複数の基地局が備える算出部105Aは、(ア)被制御機器に対するコマンドの当該被制御機器への送信処理と、(イ)要求信号の送信処理、及び、応答データの受信処理と、をそれぞれ個別に実行するための期間と、被制御機器に対するコマンドの当該被制御機器への送信処理と要求信号の送信との間の被制御機器と無線通信しない待機期間とを、タイミング信号及び複数のグループの数に基づいて算出する。
【0262】
これによれば、通信システム1Aが備える複数の基地局は、それぞれ、待機期間が適切に算出されることで、複数の基地局が無線通信する被制御機器が応答データの生成に時間がかかる場合にも、その時間を別のグループの送受信のために利用できる。
【0263】
(その他の実施の形態)
以上、本発明の基地局、制御システム、及び、基地局の制御方法について、各実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記した各実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0264】
例えば、上記各実施の形態において、処理部104、104Aの構成要素の全部又は一部は、専用のハードウェアで構成されてもよく、或いは、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。処理部104、104Aは、CPU(Central Processing Unit)又はプロセッサ等のプログラム実行部が、HDD(Hard Disk Drive)又は半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0265】
また、処理部104、104Aの構成要素は、1つ又は複数の電子回路で構成されてもよい。1つ又は複数の電子回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0266】
1つ又は複数の電子回路には、例えば、半導体装置、IC(Integrated Circuit)又はLSI(Large Scale Integration)等が含まれてもよい。IC又はLSIは、1つのチップに集積されてもよく、複数のチップに集積されてもよい。ここでは、IC又はLSIと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又は、ULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれるかもしれない。また、LSIの製造後にプログラムされるFPGA(Field Programmable Gate Array)も同じ目的で使うことができる。
【0267】
また、本発明の全般的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路又はコンピュータプログラムで実現されてもよい。或いは、当該コンピュータプログラムが記憶された光学ディスク、HDD若しくは半導体メモリ等のコンピュータ読み取り可能な非一時的記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0268】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0269】
本発明は、産業機器の制御通信のネットワークを構成し、被制御機器と無線通信する基地局等に適用され得る。
【符号の説明】
【0270】
1、1A 通信システム
10、10A、10B、10C、10D、11、12、13、14、15、16、17 基地局
20、20A、20B、20C、20D、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35 子機
40 無線フレーム
41 PLCPプリアンブル
42 PLCPヘッダ
43 IEEE802.11ヘッダ
44、56D、57D データ
45 FCS
50 Ethernetヘッダ
51 IPヘッダ
52 UDPヘッダ
53 EtherCATヘッダ
54 EtherCATデータグラム
56、57 データグラム
56A、57A コマンド
56B、57B 機器ID
56C、57C データ長
101 有線インターフェース
102 入力用ポート
103 出力用ポート
104、104A 処理部
105、105A 算出部
106、106A 機器制御部
107 記憶部
108 機器リスト情報
109、201 無線インターフェース
202 子機制御部
M マスタ
N 有線ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12