IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 浙江大学の特許一覧

特許7316010摩耗低減用のバルブ密封構造及びその方法
<>
  • 特許-摩耗低減用のバルブ密封構造及びその方法 図1
  • 特許-摩耗低減用のバルブ密封構造及びその方法 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-19
(45)【発行日】2023-07-27
(54)【発明の名称】摩耗低減用のバルブ密封構造及びその方法
(51)【国際特許分類】
   F16K 41/04 20060101AFI20230720BHJP
   F16K 1/02 20060101ALI20230720BHJP
   F16J 15/24 20060101ALI20230720BHJP
【FI】
F16K41/04
F16K1/02 A
F16J15/24 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022528355
(86)(22)【出願日】2020-10-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-07
(86)【国際出願番号】 CN2020120726
(87)【国際公開番号】W WO2021135498
(87)【国際公開日】2021-07-08
【審査請求日】2022-05-16
(31)【優先権主張番号】201911423814.5
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】505072650
【氏名又は名称】浙江大学
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】100128347
【弁理士】
【氏名又は名称】西内 盛二
(72)【発明者】
【氏名】金 志江
(72)【発明者】
【氏名】于 ▲龍▼杰
(72)【発明者】
【氏名】▲銭▼ ▲錦▼▲遠▼
【審査官】篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-023584(JP,U)
【文献】特開2014-190389(JP,A)
【文献】特開2004-019784(JP,A)
【文献】特開2003-269653(JP,A)
【文献】中国実用新案第209146335(CN,U)
【文献】中国実用新案第207814473(CN,U)
【文献】特開2018-071670(JP,A)
【文献】特開2019-219005(JP,A)
【文献】特開2007-107657(JP,A)
【文献】特開2004-052986(JP,A)
【文献】特開平11-051242(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 41/00 - 41/18
F16K 1/00 - 1/54
F16J 15/00 - 15/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
摩耗低減用のバルブ密封構造であって、回転輪(1)、固定バッフル(2)、可動押圧蓋(3)、バルブのバルブ蓋(4)、組に配置されたスプリング(5)、充填材(7)、可動スリーブ(8)、バルブロッド(9)、弁体(10)及びバルブコア(11)を備え、
前記バルブのバルブ蓋(4)は弁体(10)に固定され、前記バルブのバルブ蓋(4)の内部の軸方向貫通通路は二階段状端面を有し、その中の第1の垂直円形階段端面(A)と第1の水平環状階段端面(B)との間は、スタッフィングボックス通路であり、第1の水平環状階段端面(B)には可動スリーブ(8)が設けられており、第2の垂直円形階段端面(C)と第2の水平環状階段端面(D)との間は、バルブロッドのスナップリング通路であり、第3の垂直円形階段端面(E)内側には雌ネジ(13)がタッピングされており、
回転輪(1)は、バルブロッド(9)に固定接続され、前記バルブロッド(9)は、上から下に順に、同期して移動する上部スナップリング(17)、中部スナップリング(14)及び下部ネジ(12)が設けられており、バルブロッド(9)は、バルブのバルブ蓋(4)の軸方向貫通通路を貫通した後、底端がバルブコア(11)に接続され、バルブロッド(9)の下部ネジ(12)が雄ネジであり、前記雌ネジ(13)と共にバルブロッド(9)の軸方向移動を駆動するスパイラルペアを構成し、
固定バッフル(2)は、バルブのバルブ蓋(4)に固定接続され、前記可動押圧蓋(3)は、バルブロッド(9)に同軸に嵌着され、円環体と嵌込部分からなり、前記嵌込部分と前記スタッフィングボックス通路は、軸方向の摺動ペアを構成し、前記円環体は、固定バッフル(2)とバルブのバルブ蓋(4)との間に位置制限され、組に配置された前記スプリング(5)は、可動押圧蓋(3)の下方に設けられており、充填材(7)は、組に配置されたスプリング(5)と可動スリーブ(8)との間のスタッフィングボックス通路に充填され、組に配置されたスプリング(5)の両端はそれぞれ可動押圧蓋(3)の下面及び充填材(7)の上面に支持されており、可動押圧蓋(3)、組に配置されたスプリング(5)、充填材(7)及び可動スリーブ(8)は、前記バルブロッド(9)の外側のスタッフィングボックス通路で移動するように制限され、
前記可動押圧蓋(3)には第1の凸部が設けられており、第1の凸部が前記上部スナップリング(17)の下向き移動経路に位置し、上部スナップリング(17)がバルブロッド(9)と共に下向き移動する過程において、第1の凸部を押すことにより可動押圧蓋(3)を下向き移動させるように駆動し、
前記可動押圧蓋(3)には、直径がバルブロッドの上部スナップリング(17)の外径よりも大きい第1の内通溝(16)が設けられており、前記第1の凸部は、前記第1の内通溝(16)と同軸に前記第1の内通溝(16)の底部に設けられた第1の環状体であり、第1の環状体の内径は、前記バルブロッドの上部スナップリング(17)の外径よりも小さい、
前記可動スリーブ(8)には第2の凸部が設けられており、第2の凸部が前記中部スナップリング(14)の上向き移動経路に位置し、中部スナップリング(14)がバルブロッド(9)と共に上向き移動する過程において、第2の凸部を押すことにより可動スリーブ(8)を上向き移動させるように駆動し、
前記可動スリーブ(8)には、直径がバルブロッドのスナップリング(14)の外径よりも大きい第2の内通溝(15)が設けられており、前記第2の凸部は、前記第2の内通溝(15)と同軸に前記第2の内通溝(15)の頂部に設けられた第2の環状体であり、第2の環状体の内径は、前記バルブロッドのスナップリング(14)の外径よりも小さい、
前記バルブロッド(9)が限界位置まで下向き移動すると、バルブコア(11)がバルブ内の水流通路を完全に閉じ、可動スリーブ(8)が第1の水平環状階段端面(B)に貼り合わせ、中部スナップリング(14)が第2の凸部から離脱し、前記上部スナップリング(17)が可動押圧蓋(3)を押すことにより組に配置されたスプリング(5)及び充填材(7)を圧縮状態にし、
前記バルブロッド(9)が限界位置まで上向き移動すると、バルブコア(11)がバルブ内の水流通路を完全に開け、可動押圧蓋(3)の頂部が固定バッフル(2)に貼り合わせ、上部スナップリング(17)が第1の凸部から離脱し、前記中部スナップリング(14)が可動スリーブ(8)を押すことにより組に配置されたスプリング(5)及び充填材(7)を圧縮状態にする
ことを特徴とする摩耗低減用のバルブ密封構造。
【請求項2】
前記バルブロッド(9)の上部スナップリング(17)の外径は、中部スナップリング(14)の外径と等しく、且つ前記下部ネジ(12)の公称直径よりも大きい
ことを特徴とする請求項1に記載の摩耗低減用のバルブ密封構造。
【請求項3】
前記固定バッフル(2)は、貫通孔を有する蓋体であり、蓋体の内部は、中空であり、可動押圧蓋(3)の移動空間となる
ことを特徴とする請求項1に記載の摩耗低減用のバルブ密封構造。
【請求項4】
前記固定バッフル(2)は、ボルトとナットの組み合わせ(6)によりバルブのバルブ蓋(4)の頂部に固定される
ことを特徴とする請求項1に記載の摩耗低減用のバルブ密封構造。
【請求項5】
前記バルブロッド(9)が限界位置まで上向き又は下向き移動すると、組に配置されたスプリング(5)及び充填材(7)は最大圧縮状態にある
ことを特徴とする請求項1に記載の摩耗低減用のバルブ密封構造。
【請求項6】
前記バルブのバルブ蓋(4)は、その下端にフランジが設けられており、フランジによってバルブの弁体(10)に固定される
ことを特徴とする請求項1に記載の摩耗低減用のバルブ密封構造。
【請求項7】
前記充填材(7)は、組に配置されたスプリング(5)と可動スリーブ(8)との間のスタッフィングボックス通路を充満して可動密封を構成する
ことを特徴とする請求項1に記載の摩耗低減用のバルブ密封構造。
【請求項8】
摩耗低減用のバルブ密封方法であって、請求項1~7のいずれか一項に記載のバルブ密封構造を用いる方法であり、当該方法は、
バルブが閉から開になるように制御されると、回転輪(1)を回転させることによってバルブロッド(9)が上昇を開始するように制御され、可動押圧蓋(3)が組に配置されたスプリング(5)の作用で上向き移動して、充填材(7)の圧縮量が徐々に減少し、バルブがある程度開いた後、可動押圧蓋(3)が固定バッフル(2)により限制されて最頂端に到達し、充填材(7)の圧縮量が最小に達し、充填材(7)とバルブロッド(9)の荷重が減少し、バルブロッド(9)の動き過程における充填材(7)に対する摩耗が減少し、バルブロッド(9)が上昇し続けると、バルブロッド(9)の中部スナップリング(14)が可動スリーブ(8)の第2の内通溝(15)に入り、第2の凸部により可動スリーブ(8)を押してバルブロッド(9)と共に上向き移動して、充填材(7)が再び押圧作用を受け、バルブロッド(9)が最頂端まで移動すると、充填材(7)が最大圧縮状態にあり、充填材(7)とバルブロッド(9)の荷重が最大に達し、密封効果が向上し、
バルブが開から閉になるように制御されると、回転輪(1)を回転させることによってバルブロッド(9)が下降を開始するように制御され、可動スリーブ(8)がスプリング力の作用で下向き移動して、組に配置されたスプリング(5)の圧縮量が徐々に減少し、バルブが所定の度合いまで閉じられると、可動スリーブ(8)が最底端に到達し、第1の水平環状階段端面(B)に貼り合わせ、充填材(7)の圧縮量が最小に達し、充填材(7)とバルブロッド(9)の荷重が減少し、バルブロッド(9)の動き過程における充填材(7)に対する摩耗が減少し、バルブロッド(9)が下降し続けると、バルブロッド(9)の上部スナップリング(17)が可動押圧蓋(3)の第1の内通溝(16)に入り、第1の凸部により可動押圧蓋(3)を押してバルブロッド(9)と共に下向き移動して、充填材(7)が再び押圧作用を受け、バルブロッド(9)が最底端まで移動すると、充填材(7)が最大圧縮状態にあり、密封効果が向上する
ことを特徴とする摩耗低減用のバルブ密封方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密封構造の技術分野に関し、特に、往復接触式可動密封、スタッフィングボックス密封構造に関する。
【背景技術】
【0002】
遮断弁等のバルブは、バルブロッドの駆動によりバルブの開閉操作が行われるが、手動操作のバルブには、バルブロッドがネジの回転によりバルブを駆動することが多いため、バルブロッドと充填材との間に動きや摩擦があり、充填材に対する摩耗を招く。充填材が長期に亘って摩耗されると、充填材に対する摩耗や密封面の摩耗損傷を引き起こし、さらに充填材圧着板の圧着度が不十分となり、密封が故障する課題が発生し、作動媒体の漏出を引き起こし、設備事故が発生し、ひいては人の損害の深刻な結果を引き起こし得る。
【0003】
従来のバルブロッド充填材密封装置は、付勢力を増加させる方式を採用して、ここでのバルブ密封漏れ量が比較的に大きいという課題を解決し、このような装置は、バルブのバルブロッド充填材密封構造の分野に広く使用されている。しかし、このような装置は、充填材に対する摩耗量が多く、頻繁に取り外し充填材を交換する必要がある等の課題がある。現段階に開示された特許は、主として、高圧自動で付勢する密封装置などに焦点を当てているが、充填材に対する摩耗の低減、密封の耐用年数延長に向ける特許は少ない。
【0004】
技術の発展に伴い、工業には密封に対してより厳しい要求を提出し、頻繁に取り外し充填材を取り外しや交換することは、メンテナンスコストの上りを引き起こし、メンテナンスコストを節約するために、現段階のバルブ密封研究は、密封の高い信頼性を要求するだけでなく、長期の耐用年数を有することが要求される。したがって、密封効果が高く、耐用年数が長い適切な密封構造を研究することは、重要な意味を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、バルブのバルブロッドとスタッフィングボックスの可動密封構造を提供することにあり、本発明は、上部ロード装置及び下部ロード装置によって、充填材が全開全閉において押圧され、バルブ密封性能向上を実現する。バルブロッドが可動であるとき、充填材への圧縮を減少させることにより、充填材とバルブロッドとの間の弾性力を減少して、充填材に対する摩耗を減少させ、密封性が良好であり且つバルブのバルブロッドでの密封耐用年数を延長するという効果を達成する。
上記目的を達成するために、本発明で採用する解決手段は、下記の通りである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
摩耗低減用のバルブ密封構造は、回転輪、固定バッフル、可動押圧蓋、バルブのバルブ蓋、スプリングセット、充填材、可動スリーブ、バルブロッド、弁体及びバルブコアを備え、
前記バルブのバルブ蓋はバルブの弁体に固定され、その内部の軸方向貫通通路は二階段状端面を有し、第1の垂直円形階段端面と第1の水平環状階段端面との間は、スタッフィングボックス通路であり、第1の水平環状階段端面には可動スリーブが設けられており、第2の垂直円形階段端面と第2の水平環状階段端面との間は、バルブロッドのスナップリング通路であり、第3の垂直円形階段端面内側には、雌ネジがタッピングされており、
回転輪は、バルブロッドに固定接続され、前記バルブロッドは、上から下に順に、同期して移動する上部スナップリング、中部スナップリング及び下部ネジが設けられており、バルブロッドは、バルブのバルブ蓋の軸方向貫通通路を貫通した後、底端がバルブコアに接続され、バルブロッドの下部ネジが雄ネジであり、前記雌ネジと共にバルブロッド軸方向移動を駆動するスパイラルペアを構成し、
固定バッフルは、バルブのバルブ蓋に固定接続され、前記可動押圧蓋は、バルブロッドに同軸に嵌着され、円環体と嵌込部分からなり、前記嵌込部分と前記スタッフィングボックス通路は、軸方向の摺動ペアを構成し、前記円環体は、固定バッフルとバルブのバルブ蓋との間に位置制限され、前記スプリングセットは、可動押圧蓋の下方に設けられており、充填材は、スプリングセットと可動スリーブとの間のスタッフィングボックス通路に充填され、スプリングセットの両端はそれぞれ可動押圧蓋の下面及び充填材の上面に支持され、可動押圧蓋、スプリングセット、充填材及び可動スリーブは、前記バルブロッドの外側のスタッフィングボックス通路で移動するように制限され、
前記可動押圧蓋には第1の凸部が設けられており、第1の凸部が前記上部スナップリングの下向き移動経路に位置し、上部スナップリングがバルブロッドと共に下向き移動する過程において、第1の凸部を押すことにより可動押圧蓋を下向き移動させるように駆動し、
前記可動スリーブには第2の凸部が設けられており、第2の凸部が前記中部スナップリングの上向き移動経路に位置し、中部スナップリングがバルブロッドと共に上向き移動する過程において、第2の凸部を押すことにより可動スリーブを上向き移動させるように駆動し、
前記バルブロッドが限界位置まで下向き移動すると、バルブコアがバルブ内の水流通路を完全に閉じ、可動スリーブが第1の水平環状階段端面に貼り合わせ、中部スナップリングが第2の凸部から離脱し、前記上部スナップリングが可動押圧蓋を押すことによってスプリングセット及び充填材を圧縮状態にし、
前記バルブロッドが限界位置まで上向き移動すると、バルブコアがバルブ内の水流通路を完全に開け、可動押圧蓋の頂部が固定バッフルに貼り合わせ、上部スナップリングが第1の凸部から離脱し、前記中部スナップリングが可動スリーブを押すことによってスプリングセット及び充填材を圧縮状態にする。
【0007】
好ましくは、前記可動押圧蓋には、直径がバルブロッドのスナップリングの外径よりも大きい第1の内通溝が設けられており、前記第1の凸部は、第1の内通溝の底部に同軸に設けられた第1の環状体であり、第1の環状体の内径は、前記バルブロッドの上部スナップリングの外径よりも小さい。
【0008】
好ましくは、前記可動スリーブ中には、直径がバルブロッドのスナップリングの外径よりも大きい第2の内通溝が設けられており、前記第2の凸部は、第2の内通溝の頂部に同軸に設けられた第2の環状体であり、第2の環状体の内径は、前記バルブロッドのスナップリングの外径よりも小さい。
【0009】
好ましくは、前記バルブロッドの上部スナップリングの外径は、中部スナップリングの外径と等しく、前記下部ネジの公称直径よりも大きい。
【0010】
好ましくは、前記固定バッフルは、貫通孔を有する蓋体であり、蓋体の内部は、中空であり、可動押圧蓋の移動空間となる。
【0011】
好ましくは、前記固定バッフルは、ボルトグループによってバルブのバルブ蓋の頂部に固定される。
【0012】
好ましくは、前記バルブロッドが限界位置まで上向き又は下向き移動すると、スプリングセット及び充填材は最大圧縮状態にある。
【0013】
好ましくは、前記バルブのバルブ蓋は、下端にフランジが設けられており、フランジによってバルブの弁体に固定される。
【0014】
好ましくは、前記充填材は、スプリングセットと可動スリーブとの間のスタッフィングボックス通路を充填して満たし、可動密封を構成する。
【0015】
本発明の別の目的は、上記解決手段のいずれかに記載のバルブ密封構造の摩耗低減を用いたバルブ密封方法を提供することにあり、そのステップは以下の通りである。
バルブが閉から開になるように制御されると、回転輪を回転させることによってバルブロッドが上昇を開始するように制御され、可動押圧蓋スプがリングユニットの作用で上向き移動して、充填材の圧縮量が徐々に減少し、バルブがある程度開いた後、可動押圧蓋が固定バッフルにより限制されて最頂端に到達し、これにより、充填材の圧縮量が最小に達し、充填材とバルブロッドの荷重が減少し、バルブロッドの動き過程における充填材に対する摩耗が減少し、バルブロッドが上昇し続けると、バルブロッドの中部スナップリングが可動スリーブの第2の内通溝に入り、第2の凸部により可動スリーブを押してバルブロッドと共に上向き移動し、充填材が再び押圧作用を受け、バルブロッドが最頂端まで移動すると、充填材が最大圧縮状態にあり、充填材とバルブロッドの荷重が最大に達し、密封効果が向上するステップと、
バルブが開から閉になるように制御されると、回転輪を回転させることによってバルブロッドが下降を開始するように制御され、可動スリーブがスプリング力の作用で下向き移動して、スプリングセットの圧縮量が徐々に減少し、バルブが所定の度合いまで閉じられると、可動スリーブが最底端に到達し、第1の水平環状階段端面に貼り合わせ、これにより、充填材の圧縮量が最小に達し、充填材とバルブロッドの荷重が減少し、バルブロッドの動き過程における充填材に対する摩耗が減少し、バルブロッドが下降し続けると、バルブロッドの上部スナップリングが可動押圧蓋の第1の内通溝に入り、第1の凸部により可動押圧蓋を押してバルブロッドと共に下向き移動して、充填材が再び押圧作用を受け、バルブロッドが最底端まで移動すると、充填材が最大圧縮状態にあり、密封効果が向上するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明の有利な効果は以下の通りである。
本発明に記載の摩耗低減用のバルブ密封構造は、バルブのバルブ蓋の雌ネジとバルブロッドの下部ネジが互いに協働して駆動装置を構成し、可動押圧蓋、スプリングセット、充填材及びバルブロッドの上部スナップリングが充填材密封の上部ロード装置を構成し、可動スリーブ及びバルブロッドのスナップリングが充填材密封の下部ロード装置を構成する。本発明に記載の上部ロード装置と下部ロード装置は互いに協働することにより、バルブの開閉時に、スプリングセットを圧縮して強制密封を形成し、密封充填材に押圧力を付与し、付勢された充填材が圧縮され、バルブロッドと充填材との間の密封面における凹凸の微小隙間がいっぱい満たされ、密封面の付勢荷重が増大し、媒体の漏れを阻止し、密封面が良好な密封状態を保つ。
【0017】
充填材ガスケットが十分な反発能力を有するため、本発明に記載の上部ロード装置と下部ロード装置は互いに協働することにより、バルブが運動状態にあるとき、充填材が反発し、密封面における付勢荷重が低下し、運動状態における充填材の摩耗を減少させる。
【0018】
本発明の内容は特に低圧、中圧及び中小径のバルブに適用され、密封効果を向上させるだけでなく、密封装置の耐用年数を延長させる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の内容をより容易に理解するために、以下、図面及び実施例を参照して本発明をさらに詳細に説明する。
【0020】
図1】摩耗低減のバルブ密封の構造概略図である。
図2】バルブのバルブ蓋の構造概略図である。 図面中の符号は以下の通りであり、 1-回転輪、2-固定バッフル、3-可動押圧蓋、4-バルブのバルブ蓋、5-スプリングセット、6-ボルトグループ、7-充填材、8-可動スリーブ、9-バルブロッド、10-弁体、11-バルブコア、12-下部ネジ、13-雌ネジ、14-中部スナップリング、15-第2の内通溝、16-第1の内通溝、17-上部スナップリング。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の保護範囲はこれに限定されない。
【0022】
図1に示すように、本発明の好ましい実施例に係る摩耗低減用のバルブ密封構造は、主として、回転輪1、固定バッフル2、可動押圧蓋3、バルブのバルブ蓋4、スプリングセット5、充填材7、可動スリーブ8、バルブロッド9、弁体10及びバルブコア11を備えている。
【0023】
固定バッフル2は、貫通孔を有する蓋体であり、蓋体の内部は、中空であり、可動押圧蓋3の移動空間となる。固定バッフル2は、ボルトグループ6によりバルブのバルブ蓋4の頂部に固定され、バルブのバルブ蓋4の下端にはフランジが設けられており、フランジにより弁体10に固定される。バルブのバルブ蓋4の内部には、軸方向貫通通路が開設されている。図2に示すように、軸方向貫通通路は二階段状端面を有し、端面は、上から順に第1の垂直円形階段端面A、第1の水平環状階段端面B、第2の垂直円形階段端面C、第2の水平環状階段端面D及び第3の垂直円形階段端面Eが接続されてなる。ここで、第1の垂直円形階段端面Aと第1の水平環状階段端面Bとの間は、スタッフィングボックス通路であり、第1の水平環状階段端面Bには可動スリーブ8が設けられる。第2の垂直円形階段端面Cと第2の水平環状階段端面Dとの間は、バルブロッド中のスナップリング通路である。第3の垂直円形階段端面Eの内側には、雌ネジ13がタッピングされている。
【0024】
回転輪1は、バルブロッド9に固定接続され、バルブロッド9の回転を駆動するためのものである。バルブロッド9は、上から下に順に、上部スナップリング17、中部スナップリング14及び下部ネジ12が設けられており、バルブロッド9の上部スナップリング17の外径は、中部スナップリング14の外径と等しく、下部ネジ12の公称直径よりも大きい。上部スナップリング17、中部スナップリング14はバルブロッド9に固定され、同期して上下に移動するが、下部ネジ12は、バルブロッド9の外側にタッピングされている雄ネジである。バルブロッド9は、可動押圧蓋3、バルブのバルブ蓋4の軸方向貫通通路及び可動スリーブ8を貫通した後、底端がバルブコア11に固定接続され、バルブロッド9の下部ネジ12は、雄ネジであり、下部ネジ12と雌ネジ13は、バルブロッド9を軸方向に移動させるように駆動するスパイラルペアを構成する。回転輪1によって、バルブロッド9が当該スパイラルペアの駆動により、バルブのバルブ蓋4の軸方向貫通通路に沿って上下に移動し、さらにバルブの水流通路を開閉制御するようにバルブコア11を制御する。
可動押圧蓋3は、バルブロッド9に同軸に嵌着され、可動押圧蓋3は、円環体と嵌込部分からなる。ここで、嵌込部分がスタッフィングボックス通路に嵌め込み、両者は軸方向に上下移動する摺動ペアを構成し、円環体の外径は、スタッフィングボックス通路の直径と固定バッフル2の貫通孔の直径よりも大きいため、その上下移動は固定バッフル2とバルブのバルブ蓋4との間に位置制限される。スプリングセット5は、可動押圧蓋3の下方に設けられており、充填材7は、スプリングセット5と可動スリーブ8との間のスタッフィングボックス通路に充填され、スプリングセット5の両端はそれぞれ可動押圧蓋3の下面と充填材7の上面に支持される。充填材7は、可動密封を構成するようにスプリングセット5と可動スリーブ8との間のスタッフィングボックス通路をいっぱい充填すべきであり、スプリングセット5の圧縮程度により充填材7の圧縮程度が変化し、さらに充填材7とバルブロッド9との間の密封荷重が調整される。なお、可動押圧蓋3の嵌込部分、スプリングセット5、充填材7及び可動スリーブ8は、バルブロッド9の外側のスタッフィングボックス通路で移動するように制限される。
【0025】
本発明では、スプリングセット5と充填材7の圧縮程度は、一定ではなく、バルブロッド9の移動状態に応じて変化し、これにより、充填材摩耗が大きい、あるいは密封不良の課題を解決する。本発明は、主として、可動押圧蓋3、可動スリーブ8、上部スナップリング17、中部スナップリング14の間の協力によってこの効果を達成する。
ここで、可動押圧蓋3には第1の凸部が設けられており、第1の凸部は、上部スナップリング17の下向き移動経路に位置し、上部スナップリング17がバルブロッド9と共に下向き移動する過程において、第1の凸部を押すことにより可動押圧蓋3を下向き移動させる。本実施例では、可動押圧蓋3には、直径がバルブロッドの上部スナップリング17の外径よりも大きい第1の内通溝16が設けられるため、第1の凸部は、第1の内通溝16の底部に同軸に設けられた第1の環状体であり、第1の環状体の内径は、バルブロッドの上部スナップリング17の外径よりも小さい。これにより、バルブロッド9が下向き移動する過程において、上部スナップリング17が第1の環状体に当接すると、バルブロッド9の上向き移動が第1の環状体に制限されることなく、第1の環状体により可動押圧蓋3を押して下向き移動させることができる。
【0026】
同様に、可動スリーブ8には第2の凸部が設けられており、第2の凸部が中部スナップリング14の上向き移動経路に位置し、中部スナップリング14がバルブロッド9と共に上向き移動する過程において、第2の凸部を押すことにより可動スリーブ8を上向き移動させる。本実施例では、可動スリーブ8には、直径がバルブロッドのスナップリング14の外径よりも大きい第2の内通溝15が設けられるため、第2の凸部は、第2の内通溝15の頂部に同軸に設けられた第2の環状体であり、第2の環状体の内径は、バルブロッドのスナップリング14の外径よりも小さい。これにより、バルブロッド9が上向き移動する過程において、中部スナップリング14が第2の環状体に当接すると、バルブロッド9の下向き移動が第2の環状体に制限されることなく、第2の環状体により可動スリーブ8を押して上向き移動させることができる。
【0027】
バルブの密封性能と充填材摩耗損傷を両立させるために、上部スナップリング17、中部スナップリング14のバルブロッド9での位置、ピッチを合理的に設計すべきである。本発明では、バルブロッド9が限界位置まで下向き移動すると、バルブコア11はバルブ内の水流通路を完全に閉じ、可動スリーブ8は第1の水平環状階段端面Bに貼り合わせ、中部スナップリング14は第2の凸部から離脱し、両者の間は一定のピッチを維持し、上部スナップリング17は可動押圧蓋3を押すことによってスプリングセット5及び充填材7を圧縮状態にする。前記バルブロッド9が限界位置まで上向き移動すると、バルブコア11はバルブ内の水流通路を完全に開け、可動押圧蓋3の頂部は、固定バッフル2の頂壁に貼り合わせ、上部スナップリング17は第1の凸部から離脱し、両者の間は一定のピッチを維持し、中部スナップリング14は、可動スリーブ8を押すことによってスプリングセット5及び充填材7を圧縮状態にする。
【0028】
密封を可能な限り確保するために、バルブロッド9が限界位置まで上向き又は下向き移動すると、充填材7とバルブロッド9との間が相対的に摺動しなくなり、スプリングセット5と充填材7は最大圧縮状態にある方がよい。
【0029】
上記バルブ密封構造に基づき、本発明は、さらに、摩耗低減用のバルブ密封方法を提供することもでき、そのステップは下記の通りである。
【0030】
バルブが閉から開になるように制御されると、回転輪1を反時計回りに回転し、バルブロッド9が回転輪1により駆動されて、上昇を開始する。可動押圧蓋3がスプリングセット5の作用で上向き移動し、このとき充填材7の圧縮量が徐々に減少し、バルブがある程度開いた後、可動押圧蓋3が固定バッフル2に限制されて最頂端に到達し、このとき充填材7の圧縮量が最小に達し、充填材7とバルブロッド9の荷重が減少するため、バルブロッドが動く時にバルブロッドの充填材に対する摩耗を減少させる効果を奏する。
【0031】
バルブロッド9が上昇し続けると、バルブロッド9の中部スナップリング14が可動スリーブ8の第2の内通溝15に入り、第2の凸部により可動スリーブ8を押してバルブロッド9と共に上向き移動し、このとき充填材7が再び押圧作用を受け、バルブロッド9が最頂端まで移動すると、充填材7が最大圧縮状態にあり、このとき充填材7とバルブロッド9の荷重が最大に達し、密封効果が向上する。
【0032】
バルブが開から閉になるように制御されると、回転輪1を時計回りに回転し、バルブロッド9が回転輪1により駆動されて下降を開始する。可動スリーブ8がスプリング力の作用で下向き移動し、このときスプリングセット5の圧縮量が徐々に減少し、バルブが所定の度合いまで閉じられると、可動スリーブ8が最底端に到達し、第1の水平環状階段端面Bに貼り合わせ、このとき充填材7の圧縮量が最小に達し、充填材7とバルブロッド9の荷重が減少するため、バルブロッドが動く時にバルブロッドの充填材に対する摩耗を減少させる効果を奏する。
【0033】
バルブロッド9が下降し続けると、バルブロッド9の上部スナップリング17が可動押圧蓋3の第1の内通溝16に入り、第1の凸部により可動押圧蓋3を押してバルブロッド9と共に下向き移動し、このとき充填材7が再び押圧作用を受ける。バルブロッド9が最底端まで移動すると、このとき充填材7は最大圧縮状態にあり、密封効果が向上する。
【0034】
本発明では、上部スナップリング17と可動押圧蓋3は、上部ロード密封装置を構成し、中部スナップリング14と可動スリーブ8は、下部ロード密封装置を構成する。上部ロード密封装置と下部ロード密封装置は、スパイラルペアの駆動作用で互いに協働しており、バルブロッドが動くときに、ロード装置が充填材をアンロードし、密封装置の充填材摩耗を減少させ、密封装置の耐用年数を延長させる。バルブが全開になる直前と閉じる直前の2つの時刻に、充填材は段階的にロードする状態にあり、バルブが全開になる時刻と閉じる時刻に、充填材はロード完了状態にあり、良好な密封効果を奏する。
【0035】
前記実施例は本発明の好ましい実施形態であるが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の本質的な内容から逸脱することなく、当業者がなし得る任意の明らかな改良、置換又は変形はいずれも本発明の保護範囲に属する。
図1
図2