(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-19
(45)【発行日】2023-07-27
(54)【発明の名称】ニラ収穫装置
(51)【国際特許分類】
A01D 45/00 20180101AFI20230720BHJP
【FI】
A01D45/00 Z
(21)【出願番号】P 2023029385
(22)【出願日】2023-02-28
【審査請求日】2023-02-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521521851
【氏名又は名称】株式会社サンユー技研
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】弁理士法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平 博之
(72)【発明者】
【氏名】五十峯 正弘
【審査官】中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-137050(JP,A)
【文献】特許第6659395(JP,B2)
【文献】特許第7138985(JP,B1)
【文献】特開2001-251927(JP,A)
【文献】特許第5640270(JP,B2)
【文献】中国特許出願公開第109757200(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 13/00 - 33/14
A01D 45/00 - 45/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列栽培されたニラの列に沿って走行する走行体と、前記ニラを所定の高さ位置で切断する切断機構と、前記切断機構によって切断されたニラを起立姿勢で搬送する搬送機構と、前記搬送機構の下流端部の下方に配設されて搬送されたニラを収容する収容部とを備えるニラ収穫装置において、
前記搬送機構の下流端部の下方であって前記収容部の上方に、前記搬送機構により搬送されたニラを起立姿勢から所定方向に横倒させた横倒姿勢に変換する姿勢変換機構を設け、
前記姿勢変換機構は、前記搬送
機構の下流端部で起立姿勢のニラの切断端部側を把持する把持手段と、ニラを把持した状態の前記把持手段をニラが横倒姿勢となる方向に回転させる回転駆動手段とを備え、
前記把持手段は、一対の円盤部材と、両円盤の中心位置に軸線を一致させて夫々支持する一対の回転軸とを備え、
各回転軸は、両円盤部材の一部を互いに当接させた当接部と両円盤部材の他部を互いに離間させた離間部とを形成すべく、延長軸線が交差するように角度を存して設けられ、
両円盤部材における前記離間部は、前記搬送機構の下流端部に搬送されたニラを受け取る方向に拡開されており、両円盤部材における前記当接部は、前記離間部に位置したニラを挟持することを特徴とするニラ収穫装置。
【請求項2】
前記把持手段の前記円盤部材は、スポンジ材によって形成されていることを特徴とする請求項1記載のニラ収穫装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場に植えられたニラを刈り取り収穫するニラ収穫装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に見られるように、圃場で栽培されたニラを自動的に収穫するニラ収穫装置が知られている。このものは、走行しながらニラを刈り取り、その刈り取ったニラを、搬送機構に沿って搬送する。搬送機構の下流端部の下方には、収納箱等の収容部が設けられている。搬送機構により搬送されたニラは、搬送機構の下流端部から落下し、収容部に収容される。
【0003】
搬送機構は、無端回動する一対のスポンジベルトを備え、ニラを両スポンジベルトで挟んで搬送する。両スポンジベルトは、搬送機構の下流端でニラを開放し、収容部にその上方から落下させる。これにより、ニラの刈り取りから収容部に収容するまでの作業が自動化され、ニラの収穫作業を軽減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1においては、搬送機構に沿って起立状態で搬送されたニラを、起立姿勢のまま搬送機構の下流端で開放して自由落下させることにより、収容部に落とし込む。このため、ニラの一本一本の向きが定まらず、切り口が異なる方向を向いて収容部に収容される。
【0006】
ニラの出荷に際しては、切り口側を揃えて所定数量のニラを束ねることが行われるが、切り口が異なる方向を向いて収容部に収容されているニラの切り口を手作業で揃えなければならず、その作業に手間がかかる不都合ある。
【0007】
上記の点に鑑み、本発明は、切り取ったニラを、切り口を一方向に揃えて収容部に収容することができるニラ収穫装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するために、本発明は、配列栽培されたニラの列に沿って走行する走行体と、前記ニラを所定の高さ位置で切断する切断機構と、前記切断機構によって切断されたニラを起立姿勢で搬送する搬送機構と、前記搬送機構の下流端部の下方に配設されて搬送されたニラを収容する収容部とを備えるニラ収穫装置において、前記搬送機構の下流端部の下方であって前記収容部の上方に、前記搬送機構により搬送されたニラを起立姿勢から所定方向に横倒させた横倒姿勢に変換する姿勢変換機構を設け、前記姿勢変換機構は、前記搬送機構の下流端部で起立姿勢のニラの切断端部側を把持する把持手段と、ニラを把持した状態の前記把持手段をニラが横倒姿勢となる方向に回転させる回転駆動手段とを備え、前記把持手段は、一対の円盤部材と、両円盤の中心位置に軸線を一致させて夫々支持する一対の回転軸とを備え、各回転軸は、両円盤部材の一部を互いに当接させた当接部と両円盤部材の他部を互いに離間させた離間部とを形成すべく、延長軸線が交差するように角度を存して設けられ、両円盤部材における前記離間部は、前記搬送機構の下流端部に搬送されたニラを受け取る方向に拡開されており、両円盤部材における前記当接部は、前記離間部に位置したニラを挟持することを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、搬送機構の下流端部と収容部との間に前記上方に姿勢変換機構を設けたので、搬送機構により搬送された起立姿勢のニラを、所定方向に横倒させた横倒姿勢(例えば、切り口の方向を揃えた横倒姿勢)に変換して収容部に収容することができる。
【0010】
これにより、所定数量のニラを束ねる際に、それに先立って切り口側を揃える作業を軽減することができ、ニラの収穫から出荷までの作業効率を向上させることができる。
【0012】
更に、一対の円盤部材と、両円盤の中心位置に軸線を一致させて夫々支持する一対の回転軸とを備えることにより、把持手段をコンパクトに構成することができる。そして、ニラの姿勢を変換するときには、両円盤部材の回転により、両円盤部材の離間部でニラを受け取り、次いで、両円盤部材の当接部でニラを把持してニラを横倒させる。これにより、比較的短い距離で迅速且つ確実にニラの姿勢を変換して収容部に収納することができる。
【0013】
更に、本発明において、前記把持手段の前記円盤部材は、スポンジ材によって形成されていることを特徴とする。
【0014】
これにより、両円盤部材の当接部でニラを把持したとき、当接部における圧接力を比較的高く設定してニラの脱落を防止することができ、しかもニラの損傷を防止した挟持状態を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態のニラ収穫装置の説明的平面図。
【
図2】
図1のII-II線で断面視した説明図側面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態のニラ収穫装置は、
図1及び
図2に示すように、走行体1と、切断機構2と、搬送機構3と、収容部4とを備えている。
【0017】
走行体1は、複数の車輪5と、車輪5を軸支するフレーム6とを備えている。車輪5は、走行駆動モータ5aによって駆動される。走行駆動モータは、フレーム6の後端部に備える操作部7を介して作業者により操作される。走行体1は、操作部7の操作により、前進、後退、停止が行われる。
【0018】
切断機構2は、
図2に示すように、走行体1の前側に設けられており、周縁に鋭利な切刃が形成された円盤状のカッター部材8を備えている。カッター部材8は、カッター駆動モータ9により回転駆動される。
【0019】
搬送機構3は、
図1及び
図2に示すように、複数の搬送ベルト10と、
図3に一部を示す複数のプーリ11とを備えている。搬送ベルト10は、何れも、スポンジ材によって無端に形成されており、前後一対となる複数組の各プーリ11に夫々掛けわたされている。プーリ11は夫々図示しない駆動モータにより回転駆動され、これによって、各搬送ベルト10が無端回動する。
【0020】
図1及び
図2に示すように、左右に位置する搬送ベルト10は、互いに密着して設けられており、切断機構2により切断されたニラを、その切り口(切断端部)を下側に向けた起立姿勢で挟持し、搬送する。
【0021】
搬送ベルト10による搬送方向は、走行体1の前進方向の反対側に向かって斜め上方に延びている。搬送ベルト10による搬送方向が斜め上方に至ることにより、搬送機構3の下流端部の下方には、
図2及び
図3に示すようにフレーム6上方に比較的大きなスペースを形成することができ、このスペースを形成している位置のフレーム6上には、収容部4が設けられている。収容部4は、ニラ収穫用のニラ収容箱により構成される。
【0022】
また、搬送機構3の下流端部の下方であって、収容部4の上方には、姿勢変換機構12が設けられている。姿勢変換機構12は、
図3に示すように、把持手段13と、回転駆動手段14とにより構成されている。
【0023】
図3及び
図4に示すように、把持手段13は、スポンジ材によって形成された第1円盤部材15と、第1円盤部材15と合一形状にスポンジ材によって形成された第2円盤部材16と、第1円盤部材15を支持する第1回転軸17と、第2円盤部材16を支持する第2回転軸18とを備えている。
【0024】
図4A及び
図4Bに平面示すように、第1回転軸17と第2回転軸18とは、互いの軸線が交差するように傾斜して設けられている。第1回転軸17に支持された第1円盤部材15と、第2回転軸18に支持された第2円盤部材16とは、当接部19と、離間部20とが形成されている。
【0025】
第1回転軸17は、
図3に示すように、モータによる回転駆動手段14により強制的に回転される。これにより、第1円盤部材15が回転し、第1円盤部材15に当接部19により摩擦係合状態の第2円盤部材16が回転する。この時の回転方向は、回転駆動モータ21側から見て、第1円盤部材15が反時計回りとされる。
【0026】
図4Aに示すように、搬送ベルト10によって起立状態で搬送されたニラWは、搬送ベルト10の下流端部の下方で離間部20に入る。続いて、離間部20のニラWは当接部19に接すると、第1円盤部材15と第2円盤部材16との回転により、
図4Bに示すように、当接部19にニラWが挟み込まれる。これにより、ニラWは横倒姿勢となり、収容部4の内部に落下する。
【0027】
第1円盤部材15と第2円盤部材16とがスポンジ材により形成されていことにより、
図4Bに示すように、第1円盤部材15と第2円盤部材16とが変形して当接部19が比較的広い当接面を形成し、ニラWをしっかり挟持することができる。しかも、スポンジ材の柔軟性により、挟持状態のニラWが損傷することもない。
【0028】
収容部4に収容されたニラWは、上述したように、第1円盤部材15と第2円盤部材16とを備える姿勢変換機構12により横倒姿勢とされ、切り口を揃えた状態で収容部4内に落下する。これにより、収容部4から取り出したニラWは既に切り口の方向が揃った状態であるので、例えば、出荷に際してニラを束ねる作業を軽減することができ、作業効率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0029】
1…走行体、2…切断機構、3…搬送機構、4…収容部、12…姿勢変換機構、13…把持手段、14…回転駆動手段、15…円盤部材、16…円盤部材、17…回転軸、18…回転軸、19…当接部、20…離間部。
【要約】
【課題】切り取ったニラを、切り口を一方向に揃えて収容部に収容することができるニラ収穫装置を提供する。
【解決手段】ニラ収穫装置は、配列栽培されたニラWの列に沿って走行する走行体1と、ニラWを所定の高さ位置で切断する切断機構2と、切断機構2によって切断されたニラWを起立状態で搬送する搬送機構3と、搬送機構3により搬送されたニラWを収容する収容部4とを備える。搬送機構3の下流端部の下方で収容部4の上方に、ニラWを起立姿勢から横倒姿勢に変換する姿勢変換機構12を設ける。姿勢変換機構12は、搬送手段3の下流端部で起立姿勢のニラを把持する把持手段13と、把持手段13をニラが横倒姿勢となる方向に回転させる回転駆動手段14とを備える。
【選択図】
図1