(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-19
(45)【発行日】2023-07-27
(54)【発明の名称】挿入治具セット、挿入治具及び胃瘻カテーテルセット
(51)【国際特許分類】
A61J 15/00 20060101AFI20230720BHJP
A61M 25/00 20060101ALI20230720BHJP
【FI】
A61J15/00 Z
A61M25/00 530
(21)【出願番号】P 2018145805
(22)【出願日】2018-08-02
【審査請求日】2021-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】513245473
【氏名又は名称】鈴木 裕
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】福田 浩之
(72)【発明者】
【氏名】有川 清貴
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 稔
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕
【審査官】小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-068654(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0097392(US,A1)
【文献】特開2014-121451(JP,A)
【文献】特開2013-059560(JP,A)
【文献】特表2005-511206(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 15/00
A61M 25/04
A61M 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳み可能な胃内固定部を先端に有する胃瘻カテーテルを体内に挿入するための挿入治具セットであって、
筒状の外套部と、該外套部内に前進後退可能に通される内挿部と、を含んで構成される挿入治具と、
前記外套部の周囲に取り付けられた前記胃瘻カテーテルと、
前記外套部の先端側に配設され、折り畳まれた状態の前記胃内固定部の少なくとも一部を覆うキャップと、を備え、
前記胃瘻カテーテル又は前記外套部と前記キャップとのうちの一方は、他方に係止する係止部を有し、
前記内挿部は、前記外套部内に通されて前進したときに、
前記係止部に対して直接的又は間接的に当接して押圧し、前記押圧の力によって前記係止部による係止を解除することを特徴とする挿入治具セット。
【請求項2】
前記係止部は、前記外套部の内壁面に設けられて、前記キャップに係止可能に構成されており、
前記内挿部は、前記外套部の内壁面の一部に当接して前記外套部を拡開させることによって、前記係止部による係止を解除する請求項1に記載の挿入治具セット。
【請求項3】
前記外套部の内壁面には、径方向内側に突出する突出部が形成されており、
該突出部は、前記係止部よりも近位側に配設されており、
前記内挿部は、前記外套部内に通されて前進したときに、前記突出部に当接して、前記外套部を拡開させる請求項2に記載の挿入治具セット。
【請求項4】
前記外套部の先端部にスリットが形成されており、
該スリットは、前記外套部の先端に至るまで前記外套部の軸方向に延在している請求項2又は3に記載の挿入治具セット。
【請求項5】
前記内挿部は、前記キャップの近位端部に当接して前記キャップを前記胃瘻カテーテル及び前記外套部から離脱させることが可能な位置まで前進可能に構成されている請求項1から4のいずれか一項に記載の挿入治具セット。
【請求項6】
前記胃内固定部の少なくとも一部は、前記キャップにおける前記係止部又は前記係止部に係止される部位を除く一部の空間に収容されている請求項1から5のいずれか一項に記載の挿入治具セット。
【請求項7】
折り畳み可能な胃内固定部を先端に有する胃瘻カテーテルと、折り畳まれた状態の前記胃内固定部の少なくとも一部を覆うキャップと、を体内に挿入するための挿入治具であって、
前記胃瘻カテーテルを周囲に取り付けることが可能な筒状の外套部と、該外套部内に通される内挿部と、を含んで構成され、
前記外套部は、前記キャップに係止する係止部を有し、
前記内挿部は、前記係止部に直接的又は間接的に当接可能な遠位端部を有し、前記外套部内に通されて前進して前記遠位端部が前記係止部に直接的又は間接的に当接したときに、前記係止部を変形させて前記係止部による係止を解除することを特徴とする挿入治具。
【請求項8】
折り畳み可能な胃内固定部を先端に有する胃瘻カテーテルと、
折り畳まれた状態の前記胃内固定部の少なくとも一部を覆うキャップと、を含んで構成され、
前記胃瘻カテーテルは、胃内に挿入するための挿入治具の一部を挿入可能に形成されており、
前記キャップに、前記挿入治具が直接的又は間接的に当接可能な部位が設けられており、前記挿入治具に当該部位が押し出されることで、前記キャップが前記胃瘻カテーテルから取り外される構成となっており、
前記キャップは、前記挿入治具に係止されるくびれ部分を有するブロック状の被係止部を有することを特徴とする胃瘻カテーテルセット。
【請求項9】
折り畳み可能な胃内固定部を先端に有する胃瘻カテーテルと、
折り畳まれた状態の前記胃内固定部の少なくとも一部を覆うキャップと、を含んで構成され、
前記胃瘻カテーテルは、胃内に挿入するための挿入治具の一部を挿入可能に形成されており、
前記キャップに、前記挿入治具が直接的又は間接的に当接可能な部位が設けられており、前記挿入治具に当該部位が押し出されることで、前記キャップが前記胃瘻カテーテルから取り外される構成となっており、
前記胃瘻カテーテルと前記キャップとのうちの一方は、他方に係止する係止部を有し、
前記係止部は、圧縮変形可能であり、弾性復元力により前記他方に係止する係止突起であることを特徴とする胃瘻カテーテルセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、胃瘻カテーテルを胃内に取り付ける際に用いられる挿入治具セット、挿入治具及び胃瘻カテーテルセットに関する。
【背景技術】
【0002】
胃瘻においては、胃内への栄養剤の投与を可能とし、その状態を維持するために拡張可能なバンパー等の胃内固定部を先端部に備える胃瘻カテーテルが用いられる。
そして、体に対して胃瘻カテーテルを取り付ける際には、胃内固定部が瘻孔の壁面を圧迫又は傷つけることを回避又は抑制して、被験者の負担となることを軽減することが重要となる。
【0003】
例えば、特許文献1には、胃内固定部(同文献には、内部ボルスタと記載。)を覆って、胃内固定部が折り畳まれた状態に保持可能なキャップ(同文献には、カプセルと記載。)を備える胃瘻カテーテルの挿入治具セット(同文献には、ガストロストミー用器具と記載。)が開示されている。
同文献に記載の挿入治具セットは、キャップにより胃内固定部を折り畳んだ状態とし、瘻孔を介して胃内に胃内固定部を挿入可能として、被検者の負担を軽減している。このキャップには、リップコード(裂きひも)を通すための孔が形成されている。そして、キャップは、当該孔に通されたリップコードが引かれることによって引き裂かれ、胃内固定部を拘束する状態から胃内固定部が拡張可能とする状態に移行して、胃内固定部を胃内に留置することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の挿入治具セットにおいては、リップコードによりキャップを引き裂いたところで、キャップを胃内固定部から切り離す機構がないために、引き裂かれたキャップが胃内固定部に貼り付いた状態で残されるおそれがあった。この場合に、胃内固定部の折り畳み状態から拡張状態への移行を阻害するおそれがあった。
また、キャップに、リップコードを通すための孔を設ける必要があるとともに、リップコードにより引き裂き可能な程度の厚さ及び素材であることが必要となり、胃内固定部を折り畳み状態に維持するための保持力が制限されることがあった。このため、弾性力の高い胃内固定部に対して、このキャップを用いた場合には、胃内固定部の弾性復元を抑制できずに、胃内固定部からキャップが不意に外れてしまうことが考えられる。
さらに、術者は、リップコードを引くことのみによっては、キャップが胃内固定部から外れたことの確証を得ることが困難であった。
【0006】
本発明は上述のような課題に鑑みてなされたものであり、胃瘻カテーテルからキャップが不意に外れることを防止できつつ、キャップを好適に取り外すことが可能な挿入治具セット、挿入治具及び胃瘻カテーテルセットを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の挿入治具セットは、折り畳み可能な胃内固定部を先端に有する胃瘻カテーテルを体内に挿入するための挿入治具セットであって、筒状の外套部と、該外套部内に前進後退可能に通される内挿部と、を含んで構成される挿入治具と、前記外套部の周囲に取り付けられた前記胃瘻カテーテルと、前記外套部の先端側に配設され、折り畳まれた状態の前記胃内固定部の少なくとも一部を覆うキャップと、を備え、前記胃瘻カテーテル又は前記外套部と前記キャップとのうちの一方は、他方に係止する係止部を有し、前記内挿部は、前記外套部内に通されて前進したときに前記係止部による係止を解除することを特徴とする。
【0008】
本発明の挿入治具は、折り畳み可能な胃内固定部を先端に有する胃瘻カテーテルと、折り畳まれた状態の前記胃内固定部の少なくとも一部を覆うキャップと、を体内に挿入するための挿入治具であって、前記胃瘻カテーテルを周囲に取り付けることが可能な筒状の外套部と、該外套部内に通される内挿部と、を含んで構成され、前記外套部は、前記キャップに係止する係止部を有し、前記内挿部は、前記外套部内に通されて前進したときに、前記係止部による係止を解除することを特徴とする。
【0009】
本発明の胃瘻カテーテルセットは、折り畳み可能な胃内固定部を先端に有する胃瘻カテーテルと、折り畳まれた状態の前記胃内固定部の少なくとも一部を覆うキャップと、を含んで構成され、前記胃瘻カテーテルは、胃内に挿入するための挿入治具の一部を挿入可能に形成されており、前記キャップは、前記挿入治具に係止される被係止部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の挿入治具セット、挿入治具及び胃瘻カテーテルセットによれば、胃瘻カテーテルからキャップが不意に外れることを防止できつつ、キャップを好適に取り外すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係る挿入治具セットを示す斜視図であり、キャップがバンパーを折り畳み状態にするように拘束している状態を示す図である。
【
図2】挿入治具セットの一部を示す部分断面図であり、
図1のII-II断面を示す図である。
【
図3】外套部の遠位端部の断面を示す部分断面斜視図であり、
図1のIII-III断面を示す図である。
【
図4】挿入治具セットを示す斜視図であり、キャップがバンパーを解放して拡張させている状態を示す図である。
【
図5】挿入治具セットの一部を示す部分断面図であり、
図4のV-V断面を示す図である。
【
図6】第1変形例に係る外套部とキャップとの係止構造を示す断面図であり、閉腕状態の屈曲端部を示す図である。
【
図7】第1変形例に係る外套部とキャップとの係止構造を示す断面図であり、開腕状態の屈曲端部を示す図である。
【
図8】第2変形例に係る胃瘻カテーテルとキャップとの係止構造を示す断面図である。
【
図9】第3変形例に係る胃瘻カテーテルとキャップとの係止構造を示す断面図であり、係止状態を示す図である。
【
図10】第3変形例に係る胃瘻カテーテルとキャップとの係止構造を示す断面図であり、係止解除状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、以下に説明する部材の形状、寸法、配置等については、本発明の趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
また、全ての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0013】
<<概要>>
まず、本実施形態に係る挿入治具セットS及び挿入治具(オブチュレータ1)の概要について、
図1~
図5を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る挿入治具セットSを示す斜視図であり、キャップ5がバンパー4aを折り畳み状態にするように拘束している状態を示す図、
図2は、挿入治具セットSの一部を示す部分断面図であり、
図1のII-II断面を示す図である。
図3は、外套部2の遠位端部の断面を示す部分断面斜視図であり、
図1のIII-III断面を示す図である。
図4は、挿入治具セットSを示す斜視図であり、キャップ5がバンパー4aを解放して拡張させている状態を示す図である。
図5は、挿入治具セットSの一部を示す部分断面図であり、
図4のV-V断面を示す図である。
【0014】
なお、本明細書において、「遠位側」とは、特に断りのない限り、挿入治具セットS及びオブチュレータ1において、挿入治具セットS及びオブチュレータ1の操作者から遠い側をいい、具体的にはキャップ5に取り付けられる又は覆われる側をいう。また、遠位側を先端側という場合がある。
また、「近位側」とは、特に断りのない限り、挿入治具セットS及びオブチュレータ1の操作者から近い側をいう。また、近位側を基端側という場合がある。
また、挿入治具セットSの構成要素が遠位側に移動することを前進すると呼称し、逆に近位側に移動することを後退すると呼称する場合がある。
【0015】
本発明の実施形態に係る挿入治具セットSは、折り畳み可能な胃内固定部(バンパー4a)を先端に有する胃瘻カテーテル4を体内(胃内)に挿入するための挿入治具セットSである。
挿入治具セットSは、筒状の外套部2と、外套部2内に前進後退可能に通される内挿部3と、を含んで構成される挿入治具(オブチュレータ1)と、外套部2の周囲に取り付けられた胃瘻カテーテル4と、外套部2の先端側に配設され、折り畳まれた状態の胃内固定部(バンパー4a)の少なくとも一部を覆うキャップ5と、を備える。
胃瘻カテーテル4又は外套部2とキャップ5とのうちの一方は、他方に係止する係止部(係止爪2b)を有し、内挿部3は、外套部2内に通されて前進したときに、係止爪2bによる係止を解除することを特徴とする。
【0016】
上記構成によれば、胃瘻カテーテル4又は外套部2とキャップ5とが係止しており、内挿部3によって、その係止を解除可能に構成されていることで、胃瘻カテーテル4及び外套部2からキャップ5が不意に離脱することを防止できる。
本発明において、「係止」とは、一時的に保持・固定されて移動を制限している状態をいい、下記において説明する構造的に係止する状態の他、粘着剤等により、物性的に粘着して離脱可能な状態を含むものとする。
【0017】
内挿部3が外套部2内に通されて前進したときに、係止部による係止を解除する構成としては、係止部が設けられている部材に前進した内挿部3が直接的に又は間接的に当接して、当該部材を変形させることにより、係止部の係止力を弱めて係止を解除する構成がある。
その他、前進した内挿部3が、係止部が設けられている部材又は係止対象部材に直接的に又は間接的に当接して押圧し、係止部が設けられている部材又は係止対象部材との間に係止部による係止力よりも強い荷重が加わることにより、係止部による係止を解除する構成がある構成がある。これらの詳細については後述する。
【0018】
本発明の実施形態に係る挿入治具(オブチュレータ1)は、折り畳み可能な胃内固定部(バンパー4a)を先端に有する胃瘻カテーテル4と、折り畳まれた状態の胃内固定部の少なくとも一部を覆うキャップ5と、を体内に挿入するためのものである。
挿入治具(オブチュレータ1)は、胃瘻カテーテル4を周囲に取り付けることが可能な筒状の外套部2と、外套部2内に通される内挿部3と、を含んで構成されている。外套部2は、キャップ5に係止する係止部(係止爪2b)を有する。
内挿部3は、外套部2内に通されて前進したときに、係止爪2bによる係止を解除する。
上記構成によれば、外套部2とキャップ5が係止しており、内挿部3によって、その係止を解除可能に構成されていることで、外套部2からキャップ5が不意に離脱することを防止できる。
【0019】
本発明に係る実施形態に係る胃瘻カテーテルセットS1は、折り畳み可能な胃内固定部(バンパー4a)を先端に有する胃瘻カテーテル4と、折り畳まれた状態のバンパー4aの少なくとも一部を覆うキャップ5と、を含んで構成されている。
胃瘻カテーテル4は、胃内に挿入するための挿入治具(オブチュレータ1)の一部を挿入可能に形成されており、キャップ5は、オブチュレータ1の係止爪2bに係止される被係止部(被係止ブロック5c)を有することを特徴とする。
キャップ5がオブチュレータ1に係止される被係止部を有することで、胃瘻カテーテル4からキャップ5が不意に離脱することを防止できる。
【0020】
<<構成>>
次に、挿入治具セットS及び挿入治具(オブチュレータ1)の構成について
図1~
図5を参照して説明する。挿入治具セットSは、上記のように、胃瘻カテーテル4を体内に挿入するためのオブチュレータ1と、外套部2の周囲に取り付けられた胃瘻カテーテル4と、外套部2の先端側に配設され、折り畳まれた状態の胃内固定部の少なくとも一部を覆うキャップ5と、を備える。
【0021】
<オブチュレータ>
オブチュレータ1は、上記のように、外套部2と、内挿部3と、を含んで構成されている。
外套部2の中央部分に、胃瘻カテーテル4の近位側にある体外固定部4bを保持する保持部2dが設けられている。保持部2dは、オブチュレータ1の軸方向に交差する方向に延在する二股部分を有して、当該二股部分で胃瘻カテーテル4の体外固定部4bを保持している。
外套部2の遠位端部の外周に、外套部2の遠位端から通された胃瘻カテーテル4が取り付けられる。
オブチュレータ1の近位端には、内挿部3に連続する操作部3bが設けられており、術者は操作部3bを外套部2に対して軸方向に往復動させることにより、内挿部3を往復動させることが可能となっている。
【0022】
図3に示すように、外套部2の先端部にスリット2cが4本形成されており、スリット2cは、外套部2の先端に至るまで外套部2の軸方向に延在している。外套部2の先端部は、4本のスリット2cにより、4片に分割されている。「軸方向に延在」とは、軸方向成分を含んで延在の意味であり、軸方向に平行な方向のみならず、軸方向に対して斜めに延在するものも含む。
外套部2の先端部にスリット2cが形成されていることで、外套部2の先端側が拡開しやすくなる。このため、術者が内挿部3を前進操作して、後述するように係止爪2bによる係止を解除したときに、外套部2からキャップ5を円滑に離脱させることができることとなる。
【0023】
なお、スリット2cの数は4本であると、外套部2の遠位端部を4片に分割でき、対向する2片をバランスよく曲げ変形させることができる。このため、後述する係止爪2bによるキャップ5の被係止ブロック5cに対する係止及び係止解除を安定して行うことができるため好適である。しかしながら、本発明はこのような構成に限定されず、外套部2の遠位端部を拡径させてキャップ5の係止の解除を行うことが可能であれば、スリット2cの数は任意である。さらには、例えば外套部2が弾性変形可能な素材で形成されている場合には、スリット2cを設けなくてもよい。
【0024】
外套部2には、キャップ5の一部を係止する係止部(係止爪2b)が設けられている。
係止爪2bは、外套部2の内壁面に設けられて、後述するキャップ5の被係止ブロック5cのくびれ部分に係止可能に構成されている。より詳細には、外套部2の先端部において分割された4片のうち、対向する2片に設けられている。
なお、係止爪2bは、外套部2の先端部において分割された対向する2片に設けられているものに限定されず、係止爪2bの数は任意であり、外套部2の先端部において分割された4片の全てに設けられていてもよい。係止爪2bが当該4片の全てに設けられていれば、外套部2の周方向における90度ごとの4箇所に配置された係止爪2bのそれぞれが、キャップ5の被係止ブロック5cのくびれ部分に係止することになる。このため、キャップ5に対する係止状態をより好適に維持することが可能となる。
また、上記のように、更に複数のスリット2cが形成されていることにより、外套部2の先端部が、更に複数の片で構成されている場合には、任意の複数の片に係止爪2bが設けられていてもよい。
【0025】
そして、本実施形態に係る係止爪2bにおける、外套部2の軸心に対する径方向の断面は、軸心側を上辺とする台形状に形成されている。この台形は、遠位側の辺と他の近傍の内壁面との間の鋭角側の角度が、近位側の辺と他の近傍の内壁面との間の鋭角側の角度よりも小さくなるように形成されている。つまり、台形の遠位側の辺を含んで形成される面は、台形の近位側の辺を含んで形成される面よりも傾斜した傾斜面となっている。
本実施形態においては、近位側の辺は、他の近傍の内壁面に対して直角に形成されている。つまり、係止爪2bの近位側の面は、外套部2の軸方向に直交する面である。なお、係止爪2bの係止対象である、キャップ5に設けられた被係止ブロック5cの遠位側の面も、外套部2の遠位端部に挿し込まれた状態において、外套部2の軸方向に直交する方向に形成されている。
【0026】
このように形成された係止爪2bには、遠位側からキャップ5の被係止ブロック5cが挿し込まれる場合には、傾斜面に近位端面5aが当接することにより、自然に拡径方向に力が加わることになり、外套部2の遠位端部を容易に拡開させることができる。
一方で、上記のように、係止爪2bの近位側の面と、被係止ブロック5cの遠位側の面とは、外套部2の軸方向に直交する面である。このため、キャップ5の被係止ブロック5cが、係止爪2bを越えて近位側まで挿し込まれたときには、キャップ5が外套部2の軸方向に移動したとしても、外套部2の遠位端部を拡開させる方向に力が加わりにくく、係止爪2bによる係止が解除されにくい。
【0027】
外套部2における係止爪2bが設けられた2片の内壁面のそれぞれには、径方向内側に突出する突出部2aが形成されている。後述するように、内挿部3が外套部2内に通されて前進したとき(外套部2の近位側から遠位側に挿し込まれたとき)に、内挿部3の外周面が突出部2aに当接することにより、外套部2の2片の遠位側を拡開させる(径方向外側に曲げ変形させる)機能を有する。突出部2aは、断面円弧状に形成されて、周方向に延在しており、係止部(係止爪2b)よりも近位側に配設されている。内挿部3が突出部2aに当接して、外套部2を拡開させることによって、キャップ5と外套部2との係止を好適に解除することができる。
【0028】
また、突出部2aが断面円弧状に形成されていることで、内挿部3についての外套部2の軸方向の移動を阻害せずに、外套部2の2片の遠位側を外形方向の外側にスムーズに変形させることができる。しかしながら、本発明に係る突出部の形状は、断面円弧状に形成されているものに限定されず、内挿部3の外面に当接する近位側の面が、軸線方向に対してなだらかに傾斜した傾斜面であれば、断面三角形状であっても断面台形状であってもよい。
【0029】
<胃瘻カテーテル>
胃瘻カテーテル4は、瘻孔を通って、体外と胃の内部とを連通するものであり、外套部2の外周に取り付けられて、オブチュレータ1の保持部2dによって体外固定部4bを保持されて固定されている。胃瘻カテーテル4は、胃内に留置される径方向に拡縮可能なバンパー4aと、体表面よりも外側に配設される体外固定部4bと、これらを連通するシャフト4cと、を含んで構成されている。
本実施形態に係るバンパー4aは、傘状に形成されて、自然状態において軸方向に垂直な径方向に広がっており、折り畳まれて弾性変形した状態で、後述するキャップ5の空間5s内に収容可能に構成されている。なお、バンパー4aは、径方向に拡縮可能な構成であれば、傘状のものに限定されず、屈曲可能な複数の棒状の部材のみから構成されるものであってもよい。
【0030】
<キャップ>
キャップ5は、不図示の瘻孔を介して胃内にバンパー4aを配設する際に、バンパー4aが折り畳まれた状態を保持しつつ瘻孔の壁面に加わる抵抗を抑制し、バンパー4aの体内への挿入を容易とするためのものである。キャップ5は、セルロース系若しくはゼラチン系の材料から形成された食品用に用いられるハードカプセルカバー、又はポリ乳酸等の体内で分解される材料で形成されており、遠位端側が鈍頭のキャップ状に形成されている。
詳細には、キャップ5は、被係止ブロック5cと、被係止ブロック5cから連続して径方向中央部に設けられた軸線方向に延在する軸心部5bと、軸心部5bの遠位側と連続して、径方向外側に設けられた周壁5dと、により、一体的として形成されている。軸心部5bの外周部と周壁5dの内周部とによって、折り畳んだ状態のバンパー4aを収容可能な円形の深堀状の空間5sが形成されている。
【0031】
胃内固定部(バンパー4a)の少なくとも一部は、内挿部3が外套部2の遠位側に挿し込まれていない
図2に示す状態において、キャップ5における係止部(係止爪2b)に係止される部位(被係止ブロック5c)を除く一部の空間5sに収容されている。
このような構成によれば、キャップ5が、外套部2に係止された状態で、バンパー4aの少なくとも一部を収容することができる。
空間5sは、バンパー4aを収容可能な大きさで形成されている。詳細には、軸心部5bの外径は、胃瘻カテーテル4のシャフト4cの内径よりも小さく、周壁5dの近位側端面の内径は、シャフト4cの外径よりも大きく形成されている。
軸心部5bから被係止ブロック5cに亘って、貫通孔5eが軸方向に延在して形成されている。貫通孔5eは、不図示のガイドワイヤを挿通させるためのものである。
【0032】
<<動作>>
次に、挿入治具セットSによる胃瘻カテーテル4の体内への挿入動作について、
図1~
図5を参照して説明する。
術者は、体外固定部4bが近位側に位置する向きにした胃瘻カテーテル4を外套部2の遠位端部に通し、保持部2dを体外固定部4bにかけるようにして、胃瘻カテーテル4を外套部2に取り付ける。そして、術者は、胃瘻カテーテル4のバンパー4aがキャップ5の空間5s内に収まるように、キャップ5を胃瘻カテーテル4に取り付けつつ、キャップ5を外套部2に挿し込んで、係止爪2bに係止させる。ここで、係止爪2bによるキャップ5の係止位置は、被係止ブロック5cが外套部2の係止爪2bを越える位置である。
【0033】
次に、術者は、キャップ5で覆われたバンパー4aをキャップ5ごと瘻孔に通し、バンパー4aが胃の内部に至る位置(保持部2dが腹壁の表面に当接する位置)までオブチュレータ1で胃瘻カテーテル4を押し込む。
そして術者は、
図4に示すように、操作部3bを遠位側に押し込むように操作して、内挿部3を外套部2の遠位側に押し込む。内挿部3は、外套部2内に通されて前進したときに突出部2aに当接して、外套部2の遠位端部における突出部2aが設けられた2片に曲げ荷重が加わり、外套部2の遠位端部の2片を拡開させる。
【0034】
これにより、外套部2の2辺の遠位端に設けられた係止爪2bによる被係止ブロック5cに対する係止が解除され、キャップ5を自重により胃内に落とし込むことができる。胃内に抜け落ちたキャップ5は、上記のように食用あるいは体内で分解される材料であるため、胃内容物とともに排泄されるか溶解することで身体への影響もない。
このようにして、キャップ5による拘束が解除されたバンパー4aを径方向に拡張させて、胃瘻カテーテル4のバンパー4aを胃内に留置することができる。
【0035】
上記においては、外套部2を拡開させて、係止爪2bの係止を解除させて、キャップ5の自重によって、外套部2からキャップ5を離脱させる構成を説明した。さらに、内挿部3は、
図4及び
図5に示すように、キャップ5の近位端部(近位端面5a)に当接して、キャップ5を胃瘻カテーテル4及び外套部2から離脱させることが可能な位置まで前進可能に構成されていると好ましい。
【0036】
上記構成によれば、係止爪2bとキャップ5との係止を解除したのみでは胃瘻カテーテル4及び外套部2からキャップ5が離脱しなかったとしても、内挿部3をキャップ5の近位端面5aに当接させて、キャップ5を確実に離脱させることができる。
なお、外套部2をキャップ5の近位端面5aに当接させて押し込んで、キャップ5を外す際には、オブチュレータ1の保持部2dに体外固定部4bが保持されており、胃瘻カテーテル4は動かないため、キャップ5を相対移動させることが容易にできる。
【0037】
<<第1変形例>>
上記実施形態に係るオブチュレータ1においては、外套部2の突出部2aに内挿部3を当接させることにより、外套部2の遠位端部を拡開させる構成を説明したが、本発明はこのような構成に限定されない。
次に、第1変形例に係る係止構造について、
図6及び
図7を主に参照して説明する。
図6は、第1変形例に係る外套部12とキャップ5との係止構造を示す断面図であり、閉腕状態の屈曲端部12aを示す図、
図7は、外套部12とキャップ5との係止構造を示す断面図であり、開腕状態の屈曲端部12aを示す図である。
【0038】
本変形例に係る胃瘻カテーテルセットS2は、折り畳み可能な胃内固定部(バンパー4a)を先端に有する胃瘻カテーテル4と、折り畳まれた状態のバンパー4aの少なくとも一部を覆うキャップ5と、を含んで構成されている。
胃瘻カテーテル4は、胃内に挿入するための挿入治具(オブチュレータ1)の一部(外套部12)を挿入可能に形成されており、キャップ5は、オブチュレータ1の係止爪12bに係止される被係止部(被係止ブロック5c)を有することを特徴とする。
キャップ5がオブチュレータ1の係止爪12bに係止される被係止ブロック5cを有することで、胃瘻カテーテル4からキャップ5が不意に離脱することを防止できる。
【0039】
特に、外套部12における遠位端部の対向する2片は、自然状態において、遠位端に向かうにつれて軸心側に近づくように屈曲している屈曲端部12aを形成している。屈曲端部12aの遠位端は、内挿部3の外面間の大きさよりも軸心側に位置するように形成されており、屈曲端部12a遠位端から軸心方向に向かって、被係止ブロック5cの遠位端部に係止する係止爪12bが突出して形成されている。
【0040】
このように、外套部12に対して遠位側に押し込まれた内挿部3は、
図7に示すように、外套部12の内壁面の一部である屈曲端部12aに当接して外套部12の屈曲端部12aを拡開させることによって、係止部(係止爪12b)による係止を解除できる。
特に、外套部12における遠位端部の対向する2片は、上記実施形態に係る外套部2と異なり、外套部12の他の部位よりも径方向外方に突出することがないため、胃瘻カテーテル4の内壁によって変形を阻害されることはない。このため、外套部12とキャップ5との係止状態を外套部2よりもスムーズに解除することができる。
【0041】
なお、屈曲端部12aは、外套部12の遠位端部の対向する2片に設けられているものに限定されず、屈曲端部12aの数は任意であり、外套部12の遠位端部において分割された4片の全てに設けられていてもよい。屈曲端部12aが当該4片の全てに設けられていれば、外套部12の周方向における90度ごとの4箇所に配置された屈曲端部12aのそれぞれが、キャップ5の被係止ブロック5cのくびれ部分に係止することになる。このため、キャップ5に対する係止状態をより好適に維持することが可能となる。
また、上記のように、更に複数の屈曲端部12aが形成されていることにより、外套部12の先端部が、更に複数の片で構成されている場合には、任意の複数の片に屈曲端部12aが設けられていてもよい。
【0042】
<<第2変形例>>
上記実施形態においては、キャップ5の被係止ブロック5cに外套部2、12の係止爪2b、12bが係止する例を説明したが、本発明はこのような構成に限定されない。
次に、第2変形例に係る係止構造について、
図8を主に参照して説明する。
図8は、第2変形例に係る胃瘻カテーテル4とキャップ25との係止構造を示す断面図である。
【0043】
本変形例に係る胃瘻カテーテルセットS3は、折り畳み可能な胃内固定部(バンパー4a)を先端に有する胃瘻カテーテル4と、折り畳まれた状態のバンパー4aの少なくとも一部を覆うキャップ25と、を含んで構成されている。胃瘻カテーテル4は、胃内に挿入するための挿入治具(オブチュレータ1)の一部(外套部22)を挿入可能に形成されている。
本変形例に係るキャップ25は、胃瘻カテーテル4のバンパー4aに係止する係止部(係止突起25b)を有する。
【0044】
例えば、係止突起25bは、弾性材料から成るものであり、バンパー4aがキャップ25の空間25s内に収容されて、バンパー4aの外周面からの径方向外側に荷重による圧縮変形するように構成されている。キャップ25は、係止突起25bの弾性復元力による摩擦力によって、バンパー4aに係止することになる。
このような係止構造により、胃瘻カテーテル4にキャップ25が係止していることで、胃瘻カテーテル4からキャップ25が不意に離脱することを防止できる。
【0045】
係止突起25bによる係止を解除する際には、上記の実施形態同様に、内挿部3の遠位端面3aをキャップ25の近位端面25aに当接させて、係止突起25bがバンパー4aから離脱する位置まで、内挿部3を遠位側に押し込むようにすればよい。
また、キャップ25の周壁25dの内面には、係止突起25bを設けずに、胃瘻カテーテル4のバンパー4aに、キャップ25の周壁25dの内面に係止する不図示の係止部を設けるようにしてもよい。
【0046】
<<第3変形例>>
上記の第2変形例においては、傘状のバンパー4aに係止する係止突起25bを有するキャップ25について説明したが、本発明はこのような構成に限定されない。
次に、第3変形例に係る係止構造について、
図9及び
図10を主に参照して説明する。
図9は、第3変形例に係る胃瘻カテーテル34とキャップ35との係止構造を示す断面図であり、係止状態を示す図、
図10は、胃瘻カテーテル34とキャップ35との係止構造を示す断面図であり、係止解除状態を示す図である。
【0047】
本変形例に係る胃瘻カテーテルセットS4は、折り畳み可能な胃内固定部(バンパー34a)を先端に有する胃瘻カテーテル34と、折り畳まれた状態のバンパー34aの少なくとも一部を覆うキャップ35と、を含んで構成されている。
胃瘻カテーテル34は、胃内に挿入するための挿入治具の一部(外套部22)を挿入可能に形成されており、キャップ35は、胃瘻カテーテル34に係止する係止部(係止突起35b)を有する。
特に、バンパー34aは、内部にとぐろを巻くように巻回されたワイヤ34bを備える。ワイヤ34bが自然状態よりもバンパー34aの軸心側に収縮した状態で、バンパー34aは、キャップ35の空間35sに収容されることになる。
キャップ35の係止突起35bが、バンパー34aを介してバンパー34aの内部にあるワイヤ34bに当接することで、キャップ35が胃瘻カテーテル34に係止することとなる。
【0048】
そして、内挿部3は、キャップ35の近位端部(近位端面35a)に当接してキャップ5を胃瘻カテーテル34及び外套部22から離脱させることが可能な位置まで外套部22内に通されて前進可能に構成されている。具体的には、内挿部3の遠位端面3aがキャップ35の近位端面35aに当接して、係止突起35bがワイヤ34bを乗り越える位置まで、キャップ35が内挿部3により遠位方向に押し込まれる。このようにキャップ35が押し込まれることにより、
図10に示すように、胃瘻カテーテル34からキャップ35を離脱させることができる。
【0049】
術者は、キャップ35を体内で取り外すことで、ワイヤ34bの拡径方向に復元する際に付勢によりバンパー34aを拡径することができる。バンパー34aの不図示の瘻孔の孔径よりも大きく拡径することで、胃瘻カテーテル34の遠位端が胃内に留置されることとなる。
【0050】
なお、上記変形例に係るキャップ25、35の係止突起25b、35bは、胃瘻カテーテル4、34のバンパー4a、34a部分に係止するものとして説明したが、本発明は、このような構成に限定されず、シャフト部分に係止する構成であってもよい。
また、上記実施形態においては、内挿部3が、係止部が設けられている部材又は係止対象部材に直接当接して押圧することにより、係止部による係止を解除するものとして説明したが、第3の部材を介して間接的に上記の部材を押圧して、係止を解除する構成であってもよい。
【0051】
上記実施形態は、以下の技術思想を包含するものである。
(1)折り畳み可能な胃内固定部を先端に有する胃瘻カテーテルを体内に挿入するための挿入治具セットであって、
筒状の外套部と、該外套部内に前進後退可能に通される内挿部と、を含んで構成される挿入治具と、
前記外套部の周囲に取り付けられた前記胃瘻カテーテルと、
前記外套部の先端側に配設され、折り畳まれた状態の前記胃内固定部の少なくとも一部を覆うキャップと、を備え、
前記胃瘻カテーテル又は前記外套部と前記キャップとのうちの一方は、他方に係止する係止部を有し、
前記内挿部は、前記外套部内に通されて前進したときに、前記係止部による係止を解除することを特徴とする挿入治具セット。
(2)前記係止部は、前記外套部の内壁面に設けられて、前記キャップに係止可能に構成されており、
前記内挿部は、前記外套部の内壁面の一部に当接して前記外套部を拡開させることによって、前記係止部による係止を解除する(1)に記載の挿入治具セット。
(3)前記外套部の内壁面には、径方向内側に突出する突出部が形成されており、
該突出部は、前記係止部よりも近位側に配設されており、
前記内挿部は、前記外套部内に通されて前進したときに、前記突出部に当接して、前記外套部を拡開させる(2)に記載の挿入治具セット。
(4)前記外套部の先端部にスリットが形成されており、
該スリットは、前記外套部の先端に至るまで前記外套部の軸方向に延在している(2)又は(3)に記載の挿入治具セット。
(5)前記内挿部は、前記キャップの近位端部に当接して前記キャップを前記胃瘻カテーテル及び前記外套部から離脱させることが可能な位置まで前進可能に構成されている(1)から(4)のいずれか一項に記載の挿入治具セット。
(6)前記胃内固定部の少なくとも一部は、前記キャップにおける前記係止部又は前記係止部に係止される部位を除く一部の空間に収容されている(1)から(5)のいずれか一項に記載の挿入治具セット。
(7)折り畳み可能な胃内固定部を先端に有する胃瘻カテーテルと、折り畳まれた状態の前記胃内固定部の少なくとも一部を覆うキャップと、を体内に挿入するための挿入治具であって、
前記胃瘻カテーテルを周囲に取り付けることが可能な筒状の外套部と、該外套部内に通される内挿部と、を含んで構成され、
前記外套部は、前記キャップに係止する係止部を有し、
前記内挿部は、前記外套部内に通されて前進したときに、前記係止部による係止を解除することを特徴とする挿入治具。
(8)折り畳み可能な胃内固定部を先端に有する胃瘻カテーテルと、
折り畳まれた状態の前記胃内固定部の少なくとも一部を覆うキャップと、を含んで構成され、
前記胃瘻カテーテルは、胃内に挿入するための挿入治具の一部を挿入可能に形成されており、
前記キャップは、前記挿入治具に係止される被係止部を有することを特徴とする胃瘻カテーテルセット。
(9)折り畳み可能な胃内固定部を先端に有する胃瘻カテーテルと、
折り畳まれた状態の前記胃内固定部の少なくとも一部を覆うキャップと、を含んで構成され、
前記胃瘻カテーテルは、胃内に挿入するための挿入治具の一部を挿入可能に形成されており、
前記胃瘻カテーテルと前記キャップとのうちの一方は、他方に係止する係止部を有することを特徴とする胃瘻カテーテルセット。
【符号の説明】
【0052】
S 挿入治具セット
S1、S2、S3、S4 胃瘻カテーテルセット
1 オブチュレータ(挿入治具)
2 外套部
2a 突出部
2b 係止爪(係止部)
2c スリット
2d 保持部
3 内挿部
3a 遠位端面
3b 操作部
4 胃瘻カテーテル
4a バンパー(胃内固定部)
4b 体外固定部
4c シャフト
5 キャップ
5a 近位端面
5b 軸心部
5c 被係止ブロック(被係止部)
5d 周壁
5e 貫通孔
5s 空間
12 外套部
12a 屈曲端部
12b 係止爪(係止部)
22 外套部
25 キャップ
25a 近位端面
25b 係止突起(係止部)
25d 周壁
25s 空間
34 胃瘻カテーテル
34a バンパー(胃内固定部)
34b ワイヤ
35 キャップ
35a 近位端面
35b 係止突起(係止部)
35s 空間