(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-19
(45)【発行日】2023-07-27
(54)【発明の名称】段部検出装置及び段部検出方法
(51)【国際特許分類】
D05B 29/02 20060101AFI20230720BHJP
D05B 27/10 20060101ALI20230720BHJP
D05B 19/12 20060101ALI20230720BHJP
【FI】
D05B29/02 101
D05B27/10
D05B19/12
(21)【出願番号】P 2019036142
(22)【出願日】2019-02-28
【審査請求日】2022-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003399
【氏名又は名称】JUKI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤江 公子
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 典男
【審査官】横山 綾子
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-344653(JP,A)
【文献】特開平05-184757(JP,A)
【文献】特開平04-348792(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D05B 29/02
D05B 27/10
D05B 19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミシンの押さえ部材よりも縫製方向上流側において縫製対象物の高さを検出する高さセンサと、
前記高さセンサの検出データに基づいて、前記縫製対象物における段部の縫製位置への接近を検出する段部検出部と、
前記段部検出部の前記段部の接近の検出に基づいて、前記ミシンの縫製条件を変更する変更指令部と、を有
し、
前記段部検出部は、前記検出データにおいて前記高さの傾斜が大きい方の端を基準として前記段部を検出する、
段部検出装置。
【請求項2】
ミシンの押さえ部材よりも縫製方向上流側において縫製対象物の高さを検出する高さセンサと、
前記高さセンサの検出データに基づいて、前記縫製対象物における段部の縫製位置への接近を検出する段部検出部と、
前記段部検出部の前記段部の接近の検出に基づいて、前記ミシンの縫製条件を変更する変更指令部と、を有
し、
前記段部検出部は、前記検出データにおいて前記高さの傾斜が両端共に所定の閾値に対して小さい場合、前記傾斜の間の領域に設定する中間点を基準として前記段部を検出する、
段部検出装置。
【請求項3】
前記段部検出部は、前記検出データにおいて前記高さが所定の範囲内にある場合に、前記段部を検出する、
請求項1
又は請求項2に記載の段部検出装置。
【請求項4】
前記段部検出部は、前記検出データにおける信号の幅が所定の長さ未満である場合に、エラーとして処理する、
請求項1から請求項
3のいずれか1項に記載の段部検出装置。
【請求項5】
前記段部検出部は、前記段部の接近時間を算出し、
前記変更指令部は、前記接近時間に基づいて前記縫製条件を変更する、
請求項1から請求項
4のいずれか1項に記載の段部検出装置。
【請求項6】
前記縫製対象物の送り処理の停止時点に、前記高さセンサに前記高さを検出させ、前記縫製対象物の送り処理の開始時点に、前記検出データを出力させる高さ検出制御部と、をさらに有する、
請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載の段部検出装置。
【請求項7】
前記高さセンサは、前記縫製位置から前記縫製方向上流側において前記縫製対象物に向けて発光する発光部と、前記発光部よりも前記縫製方向に直交する方向の位置において前記縫製対象物からの反射光を受光する受光部と、を有する、
請求項1から請求項
6のいずれか1項に記載の段部検出装置。
【請求項8】
前記変更指令部は、前記ミシンの縫製条件として、前記押さえ部材の押さえ、前記押さえ部材よりも縫製方向下流側の位置に設けられた先引きローラの先引き圧、及び、前記先引きローラの先引き量の少なくとも一つを変更する、
請求項1から請求項
7のいずれか1項に記載の段部検出装置。
【請求項9】
前記押さえ部材よりも縫製方向上流側において、前記高さセンサの検出位置の周囲において縫製対象物を押さえるガード部材と、をさらに有する、
請求項1から請求項
8のいずれか1項に記載の段部検出装置。
【請求項10】
前記押さえ部材よりも縫製方向上流側において、前記高さセンサの検出位置を空けて、前記縫製対象物の折り畳み送りを補助するガイド部材と、をさらに有する、
請求項1から請求項
8のいずれか1項に記載の段部検出装置。
【請求項11】
前記高さセンサは、前記縫製対象物よりも上方に設けられた上側距離センサと、前記縫製対象物よりも下方に設けられた下側距離センサと、を有する、
請求項1から請求項
8のいずれか1項に記載の段部検出装置。
【請求項12】
ミシンの押さえ部材よりも縫製方向上流側において縫製対象物の高さを検出する高さ検出ステップと、
前記高さ検出ステップの検出データに基づいて、前記縫製対象物における段部の縫製位置への接近を検出する段部検出ステップと、
前記段部検出ステップの前記段部の接近の検出に基づいて、前記ミシンの縫製条件を変更する縫製条件変更ステップと、を有し、
前記段部検出ステップにおいて、前記検出データにおいて前記高さの傾斜が大きい方の端を基準として前記段部を検出する、
段部検出方法。
【請求項13】
ミシンの押さえ部材よりも縫製方向上流側において縫製対象物の高さを検出する高さ検出ステップと、
前記高さ検出ステップの検出データに基づいて、前記縫製対象物における段部の縫製位置への接近を検出する段部検出ステップと、
前記段部検出ステップの前記段部の接近の検出に基づいて、前記ミシンの縫製条件を変更する縫製条件変更ステップと、を有し、
前記段部検出ステップにおいて、前記検出データにおいて前記高さの傾斜が両端共に所定の閾値に対して小さい場合、前記傾斜の間の領域に設定する中間点を基準として前記段部を検出する、
段部検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、段部検出装置及び段部検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ミシンの押さえ部材が縫製対象物の段部に乗り上げたことを検出することに基づいて、送り歯の高さを高くする技術が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
押さえ部材が段部を乗り越えられない可能性がある。その結果、縫い目ピッチが詰まる可能性がある。
【0005】
本発明の態様は、押さえ部材が段部を乗り越えられない事態を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に従えば、ミシンの押さえ部材よりも縫製方向上流側において縫製対象物の高さを検出する高さセンサと、前記高さセンサの検出データに基づいて、前記縫製対象物における段部の縫製位置への接近を検出する段部検出部と、前記段部検出部の前記段部の接近の検出に基づいて、前記ミシンの縫製条件を変更する変更指令部と、を有する、段部検出装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の態様によれば、押さえ部材が段部を乗り越えられない事態を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るミシンの一例を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る段部検出装置の制御装置を示す機能ブロック図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る高さセンサと押さえ部材との関係を模式的に示す図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る高さセンサと押さえ部材との関係を模式的に示す図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る段部検出方法を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る段部検出方法の一例を模式的に示す図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係る段部検出方法の一例を模式的に示す図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係る段部検出方法の一例を模式的に示す図である。
【
図9】
図9は、第1実施形態に係る段部検出方法の一例を模式的に示す図である。
【
図10】
図10は、第1実施形態に係る段部検出方法の一例を模式的に示す図である。
【
図11】
図11は、第1実施形態に係る段部検出方法の一例を模式的に示す図である。
【
図12】
図12は、第1実施形態に係る段部検出方法の一例を模式的に示す図である。
【
図13】
図13は、第1実施形態に係る段部検出方法の一例を模式的に示す図である。
【
図14】
図14は、第1実施形態に係る段部検出方法の一例を模式的に示す図である。
【
図15】
図15は、第1実施形態に係る段部検出方法の一例を模式的に示す図である。
【
図16】
図16は、第2実施形態に係る段部検出装置の一例を模式的に示す図である。
【
図17】
図17は、第3実施形態に係る段部検出装置の一例を模式的に示す図である。
【
図18】
図18は、第4実施形態に係る段部検出装置の一例を模式的に示す図である。
【
図19】
図19は、第4実施形態に係る段部検出方法の一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。所定面のX軸と平行な方向をX軸方向とし、所定面においてX軸と直交するY軸と平行な方向をY軸方向とし、所定面と直交するZ軸と平行な方向をZ軸方向とする。
【0011】
[第1実施形態]
<ミシン>
第1実施形態に係るミシン1ついて説明する。本実施形態においては、ミシン1に規定されたローカル座標系に基づいて各部の位置関係について説明する。ローカル座標系は、XYZ直交座標系により規定される。所定面内のX軸と平行な方向をX軸方向とする。X軸と直交する所定面内のY軸と平行な方向をY軸方向とする。所定面と直交するZ軸と平行な方向をZ軸方向とする。また、本実施形態においては、X軸及びY軸を含む平面を適宜、XY平面、と称する。X軸及びZ軸を含む平面を適宜、XZ平面、と称する。Y軸及びZ軸を含む平面を適宜、YZ平面、と称する。XY平面は、所定面と平行である。XY平面とXZ平面とYZ平面とは直交する。また、本実施形態においては、XY平面と水平面とが平行である。+Y方向はミシン1の縫製対象物Sの送り方向であり、縫製方向SDである。Z軸方向は上下方向である。+Z方向は上方向であり-Z方向は下方向である。なお、XY平面が水平面に対して傾斜していてもよい。
【0012】
図1は、第1実施形態に係るミシン1の一例を模式的に示す斜視図である。
図1に示すように、ミシン1は、ミシンヘッド2と、ミシン針3を保持してZ軸方向に往復移動する針棒4と、縫製対象物Sを支持する支持板5と、縫製対象物Sを押さえる押さえ部材6と、先引きローラ7と、シンクロナイザ8と、縫製対象物Sの段部SSを検出する段部検出装置10と、を備える。ここで、段部SSとは、局所的に縫製対象物Sを構成する生地が複数枚、積層した部分のことを指す。
【0013】
ミシンヘッド2は、針棒4をZ軸方向に往復移動可能に支持する。針棒4は、支持板5における針板5Aの上方に配置され、縫製対象物Sの表面と対向可能である。ミシン針3に上糸が掛けられる。支持板5は、縫製対象物Sの裏面を下方から支持する。支持板5は、針棒4の下方において嵌め込まれた針板5Aと、針板5Aよりも縫製方向SDの上流側において上面に上方へ突起したラッパ5Bと、を有する。支持板5の上面は、ラッパ5Bの部分を除き、XY平面と平行である。針板5Aの下方に不図示の釜が配置される。釜は、ボビンケースに入れられたボビンを収容する。釜は、針棒4の往復移動と同期して回転する。釜から下糸が供給される。
【0014】
押さえ部材6は、縫製対象物Sを上方から押さえる。押さえ部材6は、ミシンヘッド2に支持される。押さえ部材6は、針板5Aの上方に配置され、縫製対象物Sの表面と接触する。押さえ部材6は、針板5Aとの間で縫製対象物Sを保持する。
【0015】
先引きローラ7は、押さえ部材6よりも縫製方向SDの下流側に設けられる。先引きローラ7は、支持板5の上方に配置され、縫製対象物Sの表面と接触する。先引きローラ7は、縫製対象物Sを上方から所定の先引き圧で押さえるとともに、回転動作が与えられることに伴い所定の先引き量で先引きする。
【0016】
シンクロナイザ8は、上下方向に往復移動するミシン針3の上死点と下死点とを測定する。上死点は、ミシン針3の上下方向の可動範囲において最も上側の停止位置である。下死点は、ミシン針3の上下方向の可動範囲において最も下側の停止位置である。
【0017】
針棒4が下降すると、針棒4に保持されているミシン針3が縫製対象物Sを貫通し、針板5Aに設けられている孔を通過する。ミシン針3が針板5Aの孔を通過すると、ミシン針3に掛けられている上糸に釜から供給された下糸が掛けられる。上糸に下糸が掛けられた状態で、ミシン針3が上昇して、縫製対象物Sから退去する。ミシン針3が縫製対象物Sを貫通しているとき、ミシン1は、縫製対象物Sを停止する。ミシン針3が縫製対象物Sから退去したとき、ミシン1は、縫製対象物Sを縫製方向SDである+Y方向に移動する。ミシン1は、縫製対象物Sの+Y方向の移動と停止とを繰り返しながら、すなわち送り処理の動作と停止とを繰り返しながら、ミシン針3を往復移動させて縫製対象物Sを縫製方向SDに平行なミシン針3の直下を通る縫製ラインSLに沿って縫製する。
【0018】
以下の説明においては、ミシン針3の直下の位置を適宜、縫製位置3A、と称する。XY平面内において、縫製位置3Aは、ミシン針3の位置と一致する。縫製位置3Aにおいて、ミシン針3は縫製対象物Sを貫通する。
【0019】
<段部検出装置>
段部検出装置10は、縫製対象物Sにおける段部SSの縫製位置3Aへの接近の検出に基づいて、ミシン1の縫製条件を変更するものであり、高さセンサ11と、制御装置12と、入力装置13と、を有する。
【0020】
高さセンサ11は、ミシン1の押さえ部材6よりも縫製方向SDの上流側において縫製対象物Sの高さを検出する。高さセンサ11は、縫製対象物Sに対して非接触で、縫製対象物Sに検出光を照射して光学的に高さを測る方式の検出器である。高さセンサ11が照射する検出光は、赤外レーザ光、可視レーザ光等が例示される。以下の説明においては、高さセンサ11によって高さを検出する位置を適宜、検出位置11A、と称する。XY平面内において、検出位置11Aは、高さセンサ11の位置と一致することが好ましい。検出位置11Aにおいて、高さセンサ11は縫製対象物Sの高さを検出する。本実施形態では、検出位置11Aは、支持板5のラッパ5B上にあるが、本発明はこれに限定されることなく、押さえ部材6よりも縫製方向SDの上流側であれば、支持板5のいかなる位置にあってもよい。
【0021】
入力装置13は、段部SSの縫製位置3Aへの接近の検出に必要な各種情報の入力を受け付ける。制御装置12は、高さセンサ11が検出した縫製対象物Sの高さの情報と、入力装置13が入力を受け付けた情報と、に基づいて、段部幅SWを有する段部SSの縫製位置3Aへの接近の検出をし、ミシン1の縫製条件を変更することに関する電算処理を実行する。
【0022】
図2は、第1実施形態に係る段部検出装置10の制御装置12を示す機能ブロック図である。
図2に示すように、制御装置12は、ミシン1及び段部検出装置10を制御するコンピュータシステムを含む。
図3に示すように、制御装置12は、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサを含む処理装置12Aと、ROM(Read Only Memory)又はストレージのような不揮発性メモリ及びRAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリを含む記憶装置12Bと、信号及びデータを入出力可能な入出力回路を含む入出力インターフェース12Cと、を有する。
【0023】
処理装置12Aは、段部検出部121と、変更指令部122と、高さ検出制御部123と、を有する。
【0024】
段部検出部121は、高さセンサ11の検出データに基づいて、縫製対象物Sにおける段部SSの縫製位置3Aへの接近を検出する。
【0025】
段部検出部121は、段部SSの縫製方向SDの前方側の端部SIを基準として段部SSを検出してもよいし、段部SSの縫製方向SDの後方側の端部SOを基準として段部SSを検出してもよく、ミシン1の仕様及び段部SS等の状況にあわせて適宜使い分けられることが好ましい。
【0026】
段部検出部121が前方側の端部SIを基準として段部SSを検出する場合、前方側の端部SIが検出位置11Aを通過して間もなく段部SSを検出したと判定することができるので、段部SSの検出を迅速にできるという利点がある。段部検出部121が後方側の端部SOを基準として段部SSを検出する場合、段部SSの全体の形状を段部SSの検出の判定に用いることができるので、段部SSの検出を精度よくできるという利点がある。
【0027】
変更指令部122は、段部検出部121の段部SSの接近の検出に基づいて、ミシン1の縫製条件を変更する。すなわち、変更指令部122は、段部検出部121が段部SSの接近を検出した場合に、ミシン1の縫製条件を変更する。
【0028】
高さ検出制御部123は、高さセンサ11が外部同期可能である場合、縫製対象物Sの送り処理の停止時点に、高さセンサ11に高さを検出させ、縫製対象物Sの送り処理の開始時点に、検出データを出力させる。
【0029】
制御装置12の記憶装置12Bには、縫製対象物Sの各段部SSに関する情報、具体的には、各段部SSの縫製方向SDにおける各段部幅SWの情報、各段部SSの間隔の情報、各段部SSの接近順序の情報等が記憶される。これらの各段部SSに関する情報等は、入力装置13を通じて入力される。
【0030】
制御装置12の入出力インターフェース12Cには、押さえ部材6の押さえ高さを変更する押さえ上げ装置6Bを駆動させる電磁弁6Aと、先引きローラ7の先引き圧を変更する電磁弁7Aと、先引きローラ7の先引き量を変更するパルスモータ7Cを駆動させるモータードライバ7Bと、シンクロナイザ8と、高さセンサ11と、入力装置13とが接続される。
【0031】
段部検出部121、変更指令部122及び高さ検出制御部123は、いずれも、処理装置12Aが、第1実施形態に係る段部検出装置10が第1実施形態に係る段部検出方法を実行するための段部検出プログラムを実行することにより、実現される機能部である。処理装置12Aの詳細な機能、すなわち、段部検出部121、変更指令部122及び高さ検出制御部123の詳細な機能は、後述する第1実施形態に係る段部検出方法の詳細な説明の箇所で説明する。
【0032】
図3及び
図4のそれぞれは、第1実施形態に係る高さセンサ11と押さえ部材6との関係を模式的に示す図である。
図3は、高さセンサ11と押さえ部材6とを上方である+Z方向から見た関係を模式的に示している。
図4は、高さセンサ11と押さえ部材6とを側方である-X方向から見た関係を模式的に示している。なお、
図3及び
図4では、高さセンサ11、押さえ部材6及び縫製対象物S以外の要素を省略している。
【0033】
図3及び
図4に示すように、高さセンサ11による検出位置11Aは、押さえ部材6における縫製対象物Sの表面と接触する面の縫製方向SDの上流側の先端である押さえ端6Cから、縫製方向SDの上流側に距離11Bだけ離れた位置にある。なお、本実施形態では、押さえ端6Cは、縫製位置3Aを通る縫製ラインSLの両側に設けられており、両側の押さえ端6Cが縫製位置3Aよりも縫製方向SDの上流側にある。
【0034】
図3に示すように、高さセンサ11は、縫製位置3Aから縫製方向SDの上流側において縫製対象物Sに向けて検出光を照射する発光部11Cと、発光部11Cよりも縫製方向SDに直交する方向の位置において縫製対象物Sからの反射光を受光する受光部11Dとを有する。
【0035】
図3に示すように、発光部11Cは、縫製ラインSL上、すなわち針延長上となるように配置することが好ましい。受光部11Dは、発光部11Cに対して、コバステッチ時に縫製対象物SのコバSEが配置される側と反対側に配置することが好ましい。一般的には、コバステッチ時に縫製対象物SのコバSEがミシン針3に向かって右側に来るように縫製するため、受光部11Dは、発光部11Cに対して左側に配置することが好ましい。
【0036】
図4に示すように、検出位置11Aと押さえ端6Cとの間の距離11Bは、縫製のピッチPLの丁度4倍である。距離11Bは、縫製対象物Sの送り時間が、高さ検出制御部123による高さセンサ11による検出の開始から、変更指令部122による押さえ部材6への縫製条件の変更指令の到達までにかかる時間よりも長くなるように設定される。ミシン1及び段部検出装置10では、針数単位で、すなわち、距離がピッチPLを基準として設計され、時間が縫製対象物SのピッチPLの送り時間に基づいて設計されることから、距離11Bは、縫製のピッチPLの整数倍に設計することが好ましい。
【0037】
<段部検出方法>
第1実施形態に係る段部検出装置10の作用について以下に説明する。
図5は、第1実施形態に係る段部検出方法を示すフローチャートである。
図6、
図7、
図8、
図9、
図10、
図11、
図12、
図13、
図14及び
図15のそれぞれは、第1実施形態に係る段部検出方法の一例を模式的に示す図である。
【0038】
図6は、段部検出の高さ範囲を説明する図である。
図7、
図8、
図9及び
図10のそれぞれは、段部SSの種類に応じた段部検出を説明する図である。
図11及び
図12のそれぞれは、エラーとして処理する信号を含む場合の段部検出を説明する図である。
図13及び
図14のそれぞれは、段部SSの縫製位置3Aへの接近時間の算出処理を説明する図である。
図6~
図14の横軸は、検出した時間を、縫製対象物Sの送り処理方向である縫製方向SDの距離に換算したものを表すパラメータ軸である。
図6~
図14の縦軸は、検出した高さ、または、段部検出に関するON/OFFを表すパラメータ軸である。
図15は、ミシン針3の往復移動を考慮した段部検出の制御処理を説明する図である。
【0039】
段部検出装置10によって実行される第1実施形態に係る段部検出方法について、段部検出装置10の処理装置12Aにおける段部検出部121、変更指令部122及び高さ検出制御部123の詳細な機能と併せて、
図5~
図15を用いて説明する。
【0040】
図5に示すように、第1実施形態に係る段部検出方法は、高さ検出ステップS10と、段部検出ステップS20と、縫製条件変更ステップS30と、を有する。
【0041】
高さセンサ11は、ミシン1の押さえ部材6よりも縫製方向SDの上流側において縫製対象物Sの高さを検出する(高さ検出ステップS10)。
【0042】
高さ検出ステップS10では、まず、発光部11Cが、縫製対象物Sの検出位置11Aに向けて検出光を照射する。次に、高さ検出ステップS10では、受光部11Dが、発光部11Cから照射された検出光が縫製対象物Sで反射することで生じる反射光を受光する。高さ検出ステップS10では、発光部11Cからの検出光の照射時点と、受光部11Dによる反射光の受光時点との間の時間に基づいて、検出位置11Aにおける縫製対象物Sの高さを検出する。
【0043】
段部検出部121は、高さ検出ステップS10の検出データに基づいて、縫製対象物Sにおける段部SSの縫製位置3Aへの接近を検出する(段部検出ステップS20)。
【0044】
段部検出ステップS20では、段部検出部121が、まず、高さセンサ11から、縫製対象物Sの高さの検出データを取得する。段部検出ステップS20では、段部検出部121が、次に、この検出データにおいて高さが所定の範囲内にある場合に、段部SSを検出する。
【0045】
図6に示すように、段部検出ステップS20では、段部検出部121が、検出データにおける高さが、所定の範囲内である低閾値H1以上高閾値H2以下の範囲内にある場合に、段部SSを検出した旨のONを示す検出信号DSを出し、この所定の範囲の範囲外にある場合に、段部SSを検出していない旨のOFFを示す非検出信号NDSを出す。
【0046】
ここで、段部検出部121は、この所定の範囲内を、縫製対象物Sの段部SSではない領域の高さと、縫製対象物Sの所定の段部SSの高さと、縫製対象物Sの上に置かれた障害物である指Fの高さとの3点の情報の入力に基づいて設定する。段部検出部121は、縫製対象物Sの段部SSではない領域の高さよりも大きく、縫製対象物Sの所定の段部SSの高さ以下に低閾値H1を設定する。段部検出部121は、縫製対象物Sの所定の段部SSの高さ以上、縫製対象物Sの上に置かれた指Fの高さ未満の高閾値H2を設定する。
【0047】
なお、本実施形態では、検出信号DS及び非検出信号NDSの生成処理を段部検出部121で実行することとしたが、本発明はこれに限定されず、高さセンサ11で実行することとしてもよい。
【0048】
段部検出ステップS20では、次に、段部検出部121が、検出データにおける高さの傾斜に基づいて、段部SSの基準を設定して、検出した段部SSの縫製方向SDにおける範囲を決定する。
【0049】
例えば、
図7を用いて、縫製対象物Sにおいて上方に向けて縫製方向SDの前方側の端部SI1と後方側の端部SO1とを露わにした段部幅SW1の段部SS1を検出する場合について説明する。
図7に示すように、段部SS1の高さの検出データは、端部SI1より前方側において低閾値H1未満となり、端部SI1と端部SO1との間において低閾値H1以上高閾値H2以下の範囲内となり、端部SO1より後方側において低閾値H1未満となっている。段部SS1の高さの検出データは、端部SI1及び端部SO1において高さの傾斜が大きく、明確に所定の範囲外と所定の範囲内との間での切り替わりが起きている。
【0050】
段部検出ステップS20では、段部検出部121が、
図7に示す段部SS1を検出する場合、段部SS1の高さの検出データに従って、段部幅SW1に相当する長さの検出信号DS1と、検出信号DS1の前後において非検出信号NDS1と、を出す。ここで、
図7に示す段部SS1を検出する場合、段部SS1の高さの検出データにおいて低閾値H1以上高閾値H2以下の範囲内となる長さが段部幅SW1に相当する長さとなるため、端部SI1と端部SO1とのいずれを基準としても、段部SS1の縫製方向SDにおける範囲を一意に決定することができる。
【0051】
また、
図8を用いて、縫製対象物Sにおいて上方に向けて縫製方向SDの前方側の端部SI2を露わにしている一方で、後方側の端部SO2を露わにしていない段部幅SW2の段部SS2を検出する場合について説明する。
図8に示すように、段部SS2の高さの検出データは、端部SI2より前方側において低閾値H1未満となり、端部SI2と端部SO2との間において低閾値H1以上高閾値H2以下の範囲内となり、端部SO2より後方側において低閾値H1以上高閾値H2以下の範囲内から低閾値H1未満へ緩やかに減少している。段部SS2の高さの検出データは、端部SI2において高さの傾斜が大きく、明確に所定の範囲外と所定の範囲内との間での切り替わりが起きている一方で、端部SO2において高さの傾斜が小さく、緩やかに所定の範囲外と所定の範囲内との間での切り替わりが起きている。
【0052】
段部検出ステップS20では、段部検出部121が、
図8に示す段部SS2を検出する場合、まず、段部SS2の高さの検出データにおいて低閾値H1以上高閾値H2以下の範囲内となる部分に基づく処理前検出信号DS2Pと、処理前検出信号DS2Pの前後における処理前非検出信号NDS2Pを生成する。
【0053】
ここで、処理前検出信号DS2Pは、段部幅SW2に相当する長さよりも長い信号である。このため、段部検出部121は、高さの傾斜が大きい端部SI2を基準として、処理前検出信号DS2Pを、段部幅SW2に相当する長さの検出信号DS2に補正する。段部検出部121は、この検出信号DS2と、検出信号DS2の前後において非検出信号NDS2と、を出す。
【0054】
また、
図9を用いて、縫製対象物Sにおいて上方に向けて縫製方向SDの前方側の端部SI3を露わにしていない一方で、後方側の端部SO3を露わにしている段部幅SW3の段部SS3を検出する場合について説明する。
図9に示すように、段部SS3の高さの検出データは、端部SI3より前方側において低閾値H1未満から低閾値H1以上高閾値H2以下の範囲内へ緩やかに増加しており、端部SI3と端部SO3との間において低閾値H1以上高閾値H2以下の範囲内となり、端部SO3より後方側において低閾値H1未満となっている。段部SS3の高さの検出データは、端部SI3において高さの傾斜が小さく、緩やかに所定の範囲外と所定の範囲内との間での切り替わりが起きている一方で、端部SO3において高さの傾斜が大きく、明確に所定の範囲外と所定の範囲内との間での切り替わりが起きている。
【0055】
段部検出ステップS20では、段部検出部121が、
図9に示す段部SS3を検出する場合、まず、段部SS3の高さの検出データにおいて低閾値H1以上高閾値H2以下の範囲内となる部分に基づく処理前検出信号DS3Pと、処理前検出信号DS3Pの前後における処理前非検出信号NDS3Pを生成する。
【0056】
ここで、処理前検出信号DS3Pは、段部幅SW3に相当する長さよりも長い信号である。このため、段部検出部121は、高さの傾斜が大きい端部SO3を基準として、処理前検出信号DS3Pを、段部幅SW3に相当する長さの検出信号DS3に補正する。段部検出部121は、この検出信号DS3と、検出信号DS3の前後において非検出信号NDS3と、を出す。
【0057】
このように、
図8及び
図9に示す各例のように、段部検出ステップS20では、段部検出部121が、検出データにおいていずれか一方の高さの傾斜が所定以上に大きい場合には、高さの傾斜が大きい方の端を基準として段部SSを検出する。
【0058】
また、
図10を用いて、縫製対象物Sにおいて上方に向けて縫製方向SDの前方側の端部SI4と後方側の端部SO4とを露わにしていない段部幅SW4の段部SS4を検出する場合について説明する。
図10に示すように、段部SS4の高さの検出データは、端部SI4より前方側において低閾値H1未満から低閾値H1以上高閾値H2以下の範囲内へ緩やかに増加しており、端部SI4と端部SO4との間において低閾値H1以上高閾値H2以下の範囲内となり、端部SO4より後方側において低閾値H1以上高閾値H2以下の範囲内から低閾値H1未満へ緩やかに減少している。
【0059】
段部SS4の高さの検出データは、端部SI4及び端部SO4において高さの傾斜が所定の閾値に対して小さく、緩やかに所定の範囲外と所定の範囲内との間での切り替わりが起きている。ここで、高さの傾斜に対する所定の閾値は、段部SSを露わにしている端部に対して高さを検出した場合の高さの傾斜よりも小さく、段部SSを露わにしていない端部に対して高さを検出した場合の高さの傾斜よりも大きい値であり、予め設定されて入力装置13を通じて入力されて、制御装置12の記憶装置12Bに記憶されている。高さの傾斜に対する所定の閾値は、検出データにおける高さの傾斜に基づいて、段部SSを露わにしている端部に基づくものであるか、段部SSを露わにしていない端部に基づくものであるかの判定を可能にしている。
【0060】
段部検出ステップS20では、段部検出部121が、
図10に示す段部SS4を検出する場合、まず、段部SS4の高さの検出データにおいて低閾値H1以上高閾値H2以下の範囲内となる部分に基づく処理前検出信号DS4Pと、処理前検出信号DS4Pの前後における処理前非検出信号NDS4Pを生成する。
【0061】
ここで、処理前検出信号DS4Pは、段部幅SW4に相当する長さよりも長い信号である。また、段部SS4の高さの検出データは、端部SI4及び端部SO4において高さの傾斜が小さいので、端部SI4を基準にすることも、端部SO4を基準にすることも困難である。このため、段部検出部121は、処理前検出信号DS4Pの中間点SMを基準として、処理前検出信号DS4Pを、段部幅SW4に相当する長さの検出信号DS4に補正する。なお、本実施形態では、処理前検出信号DS4Pにおける1:1の中間点SMを基準点としたが、本発明はこれに限定されず、段部SS4の形態に基づいて、適宜、中間点の設定の仕方を変更してもよい。段部検出部121は、この検出信号DS4と、検出信号DS4の前後において非検出信号NDS4と、を出す。
【0062】
このように、
図10に示す例のように、段部検出ステップS20では、段部検出部121が、検出データにおいて高さの傾斜が両端共に所定の閾値に対して小さい場合には、傾斜の間の領域に設定する中間点SM、すなわち傾斜の間において生成される処理前検出信号DS4Pにおける中間点SMを基準として段部SSを検出する。
【0063】
また、
図11及び
図12を用いて、エラーとして処理する信号を含む場合の段部検出を説明する。段部検出ステップS20では、段部検出部121が、検出データの高さの傾斜の間において形成される信号の幅が所定長さTL未満である場合に、エラーとして処理する。このようなエラーは、縫製対象物Sの上方に、縫製処理をする予定の無い生地や解れた糸が一時的に検出位置11Aにおいて乗っかった場合等に生じるノイズである。
【0064】
図11では、幅が所定長さTL未満である検出信号DSと、所定長さTL以上である検出信号DSとを生成した場合を示している。段部検出ステップS20では、段部検出部121が、所定長さTL未満の検出信号DSをエラー信号ESとして処理し、エラー信号ESの両隣の非検出信号NDSを、一体の非検出信号NDSとして処理する。段部検出ステップS20では、段部検出部121が、所定長さTL以上である検出信号DSのみを実体のある検出信号DSとして取り扱い、この検出信号DSにおける縫製方向SDの前方側の開始時点を以って前方側の端部SIを決定し、後方側の終了時点を以って後方側の端部SOを決定する。段部検出ステップS20では、段部検出部121が、前方側の端部SIを基準として段部SSを検出する場合、前方側の端部SIから所定長さTL以上に渡って検出信号DSを生成した時点T1で、段部SSを検出する。
【0065】
図12では、2つの検出信号DSの間に、幅が所定長さTL未満である非検出信号NDSを生成した場合を示している。段部検出ステップS20では、段部検出部121が、所定長さTL未満の非検出信号DSをエラー信号ESとして処理し、エラー信号ESの両隣の検出信号DSを、一体の検出信号DSとして処理する。段部検出ステップS20では、段部検出部121が、所定長さTL以上である非検出信号NDSのみを実体のある非検出信号DSとして取り扱い、実体のある検出信号DSにおける縫製方向SDの前方側の開始時点を以って前方側の端部SIを決定し、後方側の終了時点を以って後方側の端部SOを決定する。段部検出ステップS20では、段部検出部121が、後方側の端部SOを基準として段部SSを検出する場合、後方側の端部SOから所定長さTL以上に渡って検出信号DSを生成した時点T2で、段部SSを検出する。
【0066】
また、
図13及び
図14を用いて、段部SSの縫製位置3Aへの接近時間の算出処理を説明する。段部検出ステップS20では、段部検出部121が、段部SSの接近時間を算出する。なお、段部SSの接近時間とは、段部SSが検出された時点から段部SSの前方側の端部SIが押さえ端6Cに到達する時点までの時間のことである。
【0067】
図13では、前方側の端部SIを基準として段部SSを検出する場合を示している。段部検出ステップS20では、段部検出部121が、前方側の端部SIが所定長さTL以上に相当する距離を縫製方向SDに移動した瞬間に、段部SSを検出する。この瞬間における段部SSの前方側の端部SIの位置と押さえ端6Cとの距離は、検出位置11Aと押さえ端6Cとの間の距離11Bよりも所定長さTL以上に相当する距離だけ少ないものとなっている。段部検出ステップS20では、段部検出部121が、この距離と、縫製対象物Sの送り処理の条件とに基づいて、段部SSの縫製位置3Aへの接近時間を算出する。
【0068】
図14では、後方側の端部SOを基準として段部SSを検出する場合を示している。段部検出ステップS20では、段部検出部121が、後方側の端部SOが所定長さTL以上に相当する距離を縫製方向SDに移動した瞬間に、段部SSを検出する。この瞬間における段部SSの前方側の端部SIの位置と押さえ端6Cとの距離は、検出位置11Aと押さえ端6Cとの間の距離11Bよりも段部幅SWと所定長さTL以上に相当する距離との和の分だけ少ないものとなっている。段部検出ステップS20では、段部検出部121が、この距離と、縫製対象物Sの送り処理の条件とに基づいて、段部SSの縫製位置3Aへの接近時間を算出する。
【0069】
変更指令部122は、段部検出ステップS20の段部SSの接近の検出に基づいて、ミシン1の縫製条件を変更する(縫製条件変更ステップS30)。
【0070】
縫製条件変更ステップS30では、変更指令部122が、まず、段部検出ステップS20で段部検出部121が検出した段部SSについての接近時間の情報及び段部幅SWの情報に基づいて、この段部SSが押さえ部材6及び先引きローラ7のそれぞれの下側を通過する時点及び時間を算出する。
【0071】
縫製条件変更ステップS30では、変更指令部122が、次に、段部SSが押さえ部材6及び先引きローラ7のそれぞれの下側を通過する時点及び時間に基づいて、ミシン1の縫製条件として、押さえ部材6の押さえ、先引きローラ7の先引き圧、及び、先引きローラ7の先引き量の少なくとも一つを変更する。
【0072】
例えば、縫製条件変更ステップS30では、変更指令部122が、段部SSの前方側の端部SIが押さえ部材6の押さえ端6Cに到達する時点に合わせて、押さえ部材6を1段階上昇させる旨の指令を電磁弁6Aに送信して、電磁弁6Aの駆動により押さえ上げ装置6Bを駆動して押さえ部材6を1段階上昇させる。そして、変更指令部122が、段部SSの前方側の端部SIが押さえ部材6の押さえ端6Cを通過する時点に合わせて、押さえ部材6を1段階下降させる旨の指令を電磁弁6Aに送信して、電磁弁6Aの駆動により押さえ上げ装置6Bを駆動して押さえ部材6を1段階下降させて、段部SS検出前の状態に戻す。
【0073】
また、例えば、縫製条件変更ステップS30では、変更指令部122が、段部SSが検出されてから段部SSの前方側の端部SIが押さえ部材6の押さえ端6Cを通過するまでの間の時間に合わせて、先引きローラ7の先引き圧を1段階上昇させる旨の指令を電磁弁7Aに送信して、電磁弁7Aの駆動により先引きローラ7の先引き圧を1段階上昇させる。そして、変更指令部122が、段部SSの前方側の端部SIが押さえ部材6を完全に通過する時点にあわせて、先引きローラ7の先引き圧を1段階下降させる旨の指令を電磁弁7Aに送信して、電磁弁7Aの駆動により先引きローラ7の先引き圧を1段階下降させて、段部SS検出前の状態に戻す。
【0074】
また、例えば、縫製条件変更ステップS30では、変更指令部122が、段部SSが検出された時点から段部SSの前方側の端部SIが押さえ部材6の押さえ端6Cに到達する時点までの間の時間に合わせて、先引きローラ7の先引き量を1段階上昇させる旨の指令をモータードライバ7Bに送信して、モータードライバ7Bに応じたパルスモータ7Cの駆動により先引きローラ7の先引き量を1段階上昇させる。そして、変更指令部122が、段部SSの前方側の端部SIが押さえ部材6の押さえ端6Cに到達する時点に合わせて、先引きローラ7の先引き量をさらに1段階上昇させる旨の指令をモータードライバ7Bに送信して、モータードライバ7Bに応じたパルスモータ7Cの駆動により先引きローラ7の先引き量をさらに1段階上昇させる。その後、変更指令部122が、段部SSの前方側の端部SIが押さえ部材6の押さえ端6Cを通過する時点にあわせて、先引きローラ7の先引き量を2段階下降させる旨の指令をモータードライバ7Bに送信して、モータードライバ7Bに応じたパルスモータ7Cの駆動により先引きローラ7の先引き量を2段階下降させて、段部SS検出前の状態に戻す。
【0075】
このように、縫製条件変更ステップS30では、変更指令部122が、段部SSの段部SSの接近の検出に基づいて、押さえ部材6が段部SSを円滑で乗り越えられない事態を抑制するとともに、段部SSが原因で縫い目詰まりが生じる可能性を抑制するように、押さえ部材6の押さえ、先引きローラ7の先引き圧、及び、先引きローラ7の先引き量等を適宜変更する。
【0076】
第1実施形態に係る段部検出方法では、さらに、高さセンサ11が外部同期可能である場合、高さ検出制御部123が、縫製対象物Sの送り処理の停止時点に、高さセンサ11に高さを検出させ、縫製対象物Sの送り処理の開始時点に、検出データを出力させるように、高さセンサ11を制御する。
図15を用いて、第1実施形態に係る段部検出方法における高さ検出制御部123の制御処理を説明する。
【0077】
図15では、ミシン針3の往復移動の様子を模式的に示している。
図15に示すように、ミシン針3の先端が縫製対象物Sよりも上方にある期間は、1ピッチの時間の半分であり、縫製対象物Sの送り処理を実行する送り期間HP1である。ミシン針3が縫製対象物Sを貫通している期間は、1ピッチの時間の残りの半分であり、縫製対象物Sの送り処理を停止する送り停止期間HP2である。
【0078】
高さ検出制御部123は、まず、シンクロナイザ8から、上下方向に往復移動するミシン針3の上死点と下死点との位置の情報、及び、ミシン針3が上死点または下死点にある時点の情報等を取得する。高さ検出制御部123は、シンクロナイザ8から取得したミシン針3に関するこれらの情報に基づいて、送り期間HP1と送り停止期間HP2とを求める。
【0079】
高さ検出制御部123は、次に、縫製対象物Sの送り処理の停止時点である送り停止期間HP2の開始時点に、高さセンサ11に高さを検出させ、縫製対象物Sの送り処理の開始時点である送り期間HP1の開始時点に、直前の検出で取得した検出データを出力させるように、高さセンサ11を制御する。
【0080】
<効果>
以上説明したように、本実施形態によれば、高さセンサ11がミシン1の押さえ部材6よりも縫製方向SDの上流側において縫製対象物Sの高さを検出し、段部検出部121が高さセンサ11の検出データに基づいて、縫製対象物Sにおける段部SSの縫製位置3Aへの接近を検出し、変更指令部122が縫製対象物Sの段部SSの接近の検出に基づいて、ミシン1の縫製条件を変更するので、押さえ部材6が段部SSを乗り越えられない事態を抑制することができるとともに、段部SSが原因で縫い目詰まりが生じる可能性を抑制することができる。また、押さえ部材6が段部SSを乗り越えるためのミシン1の縫製条件の変更を自動で実行するので、ミシン1を使用する作業者が押さえ部材6が段部SSを乗り越えるために必要な作業を抑制することができる。
【0081】
また、本実施形態によれば、段部検出部121が、検出データにおいて高さが所定の範囲内にある場合に、段部SSを検出する。このため、縫製対象物Sを押さえた指F等の障害物を誤って段部SSとして検出することを抑制することができる。
【0082】
また、本実施形態によれば、段部検出部121が、検出データにおいて高さの傾斜が大きい方の端を基準として段部SSを検出する。このため、露わになっている方の端部を基準として段部SSを検出するので、端部SSの縫製方向SDの位置及び接近状態をより正確に検出することができる。
【0083】
また、本実施形態によれば、段部検出部121が、検出データにおいて高さの傾斜が両端共に所定の閾値に対して小さい場合、傾斜の間の領域に設定する中間点SMを基準として段部SSを検出する。このため、いずれの端部も露わになっていない場合でも、端部SSの縫製方向SDの位置及び接近状態をより正確に検出することができる。
【0084】
このように、本実施形態によれば、段部SSの形状の特徴にあった段部SSの検出のアルゴリズムを採用しているので、縫製対象物Sにおいて生じ得る生地浮き等の細かい生地高さ変動を誤って段部SSとして検出することを抑制することができる。
【0085】
また、本実施形態によれば、段部検出部121が、検出データにおける信号の幅が所定長さTL未満である場合に、エラーとして処理する。このため、縫製対象物Sの上方に、縫製処理をする予定の無い生地や解れた糸が一時的に検出位置11Aにおいて乗っかった場合等に起因するノイズを誤って段部SSとして検出することを抑制することができる。さらに、本実施形態によれば、エラー処理の基準となる所定長さTLを、針数単位で設計することが好ましく、この場合、縫製速度に依らないノイズカットを実現することができる。
【0086】
また、本実施形態によれば、段部検出部121が、段部SSの接近時間を算出し、変更指令部122が、接近時間に基づいて縫製条件を変更する。このため、段部SSの接近のタイミングに合わせて好適に縫製条件を変更することができる。また、段部検出部121が、縫製条件の変更のタイミングを調整することができるので、ミシン1や縫製対象物Sによる縫製条件や、ミシン1を使用する作業者の癖等に柔軟に対応することができる。
【0087】
また、本実施形態によれば、高さ検出制御部123が、縫製対象物Sの送り処理の停止時点に、高さセンサ11に高さを検出させ、縫製対象物Sの送り処理の開始時点に、検出データを出力させる。このため、縫製対象物Sが移動することで生じる検出データにおける高さの誤差を低減することができる。
【0088】
また、本実施形態によれば、高さセンサ11の発光部11Cが、縫製位置3Aから縫製方向SDの上流側において縫製対象物Sに向けて発光し、高さセンサ11の受光部11Dが、発光部11Cよりも縫製方向SDに直交する方向の位置において縫製対象物Sからの反射光を受光する。このため、高さセンサ11による検出位置11Aを縫製ラインSLに正確に合わせることができるので、段部SSの検出精度を向上することができる。また、コバステッチ時に、縫製対象物SのコバSEを発光部11Cに対して受光部11Dとは反対側に配置することで、段部SSの検出精度を向上することができる。
【0089】
また、本実施形態によれば、変更指令部122が、ミシン1の縫製条件として、押さえ部材6の押さえ、先引きローラ7の先引き圧、及び、先引きローラ7の先引き量の少なくとも一つを変更する。このため、より確実に、押さえ部材6が段部SSを乗り越えられない事態を抑制することができるとともに、段部SSが原因で縫い目詰まりが生じる可能性を抑制することができる。
【0090】
また、本実施形態によれば、入力装置13を通じて、縫製対象物Sの各段部SSに関する情報、具体的には、各段部SSの縫製方向SDにおける各段部幅SWの情報、各段部SSの間隔の情報、各段部SSの接近順序の情報等を制御装置12の記憶装置12Bに記憶させる。このため、段部SS以外の誤検知を抑制することができる。
【0091】
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
【0092】
本実施形態においては、押さえ部材6よりも縫製方向SDの上流側において、高さセンサ11の検出位置11Aの周囲において縫製対象物Sを押さえるガード部材22(
図16参照)をさらに有する例について説明する。
【0093】
<段部検出装置>
図16は、第2実施形態に係る段部検出装置20の一例を模式的に示す図である。
図16は、段部検出装置20の要部の斜視図を示している。
【0094】
図16に示すように、段部検出装置20は、高さセンサ11と、制御装置12と、入力装置13と、ガード部材22と、を有する。ガード部材22は、ワイヤが曲げられて形成されており、ワイヤによって囲まれた隙間領域22Aが形成されている。ガード部材22は、検出位置11Aが隙間領域22A内に位置するように、縫製ラインSLを跨いで配置されている。ガード部材22は、ガード支持部22Bによって、上方部分が高さセンサ11のケーシングに固定されている。
【0095】
<効果>
以上説明したように、本実施形態によれば、押さえ部材6よりも縫製方向SDの上流側において、高さセンサ11の検出位置11Aの周囲において縫製対象物Sを押さえるガード部材22をさらに有するので、検出位置11Aにおいて縫製対象物Sにしわや浮き等が発生することを防止したり、検出位置11Aに高さ検出に対する障害物が入ることを防止したり、ミシン1の作業者が高さ検出を妨害してしまうことを防止することができる。このため、段部SSをより確実に、より高い精度で検出することを可能にする。
【0096】
また、本実施形態によれば、ガード支持部22Bが、高さセンサ11とガード部材22とを固定しているので、検出位置11Aと隙間領域22Aとの位置関係を固定することができる。
【0097】
[第3実施形態]
第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
【0098】
本実施形態においては、押さえ部材6よりも縫製方向SDの上流側において、高さセンサ11の検出位置11Aを空けて、縫製対象物Sの折り畳み送りを補助するガイド部材32(
図17参照)をさらに有する例について説明する。
【0099】
<段部検出装置>
図17は、第3実施形態に係る段部検出装置30の一例を模式的に示す図である。
図17は、段部検出装置30の要部の斜視図を示している。
【0100】
図17に示すように、段部検出装置30は、高さセンサ11と、制御装置12と、入力装置13と、ガイド部材32と、を有する。ガイド部材32は、中央に、縫製対象物Sの折り畳み送りに支障を来さない程度に、貫通孔32Aが設けられている。ガイド部材32は、検出位置11Aが貫通孔32A内に位置するように、縫製ラインSLを跨いで配置されている。
【0101】
<効果>
以上説明したように、本実施形態によれば、押さえ部材6よりも縫製方向SDの上流側において、高さセンサ11の検出位置11Aを空けて、縫製対象物Sの折り畳み送りを補助するガイド部材32をさらに有するので、縫製対象物Sの折り畳み送りを補助する必要がある場合でも、押さえ部材6が段部SSを乗り越えられない事態を抑制することができるとともに、段部SSが原因で縫い目詰まりが生じる可能性を抑制することができる。
【0102】
[第4実施形態]
第4実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
【0103】
本実施形態においては、高さセンサ11が、縫製対象物Sよりも上方に設けられた上側距離センサ42(
図18参照)と、縫製対象物Sよりも下方に設けられた下側距離センサ44(
図18参照)と、を有する構成である例について説明する。
【0104】
<段部検出装置>
図18は、第3実施形態に係る段部検出装置40の一例を模式的に示す図である。
図14は、段部検出装置40の要部を側面から見た図である。
【0105】
図18に示すように、段部検出装置40は、高さセンサ11と、制御装置12と、入力装置13と、を有する。高さセンサ11は、上側距離センサ42と下側距離センサ44とを有して構成される点を除き、第1実施形態~第3実施形態に係る高さセンサ11と同様である。
【0106】
上側距離センサ42は、上方から縫製対象物Sの上面の高さを検出する。上側距離センサ42は、縫製対象物Sに対して非接触で、上方から縫製対象物Sに検出光を照射して光学的に上側距離センサ42と縫製対象物Sの上面との間の距離を測る方式の検出器である。上側距離センサ42が照射する検出光は、赤外レーザ光、可視レーザ光等が例示される。
【0107】
支持板5は、第4実施形態では、検出位置11Aに貫通孔5Cが設けられている。下側距離センサ44は、貫通孔5Cを介して、下方から縫製対象物Sの下面の高さを検出する。下側距離センサ44は、縫製対象物Sに対して非接触で、下方から縫製対象物Sに検出光を照射して光学的に下側距離センサ44と縫製対象物Sの下面との間の距離を測る方式の検出器である。下側距離センサ44が照射する検出光は、赤外レーザ光、可視レーザ光等が例示される。
【0108】
<段部検出方法>
第4実施形態に係る段部検出装置40の作用について以下に説明する。
図19は、第4実施形態に係る段部検出方法の一例を模式的に示す図である。
図19は、段部検出装置40の要部を側面から見た図である。
【0109】
第4実施形態に係る高さ検出ステップS10では、上側距離センサ42が、上方から縫製対象物Sの上面の高さを検出するとともに、下側距離センサ44が、貫通孔5Cを介して、下方から縫製対象物Sの下面の高さを検出する。
【0110】
第4実施形態に係る段部検出ステップS20では、段部検出部121が、上側距離センサ42が検出した縫製対象物Sの上面の高さと、下側距離センサ44が検出した縫製対象物Sの下面の高さとに基づいて、縫製対象物Sの高さに相当する縫製対象物Sの厚みの検出データを取得する。
【0111】
図19は、第4実施形態に係る段部検出方法の一例を模式的に示す図である。
図19を用いて、縫製対象物Sの高さの検出データの取得処理を以下に説明する。
【0112】
高さ検出ステップS10が実行された際に段部SSが検出位置11Aを通過していない場合、
図19の(A)に示すように、段部検出部121は、上側距離センサ42が検出した縫製対象物Sの上面の高さと、下側距離センサ44が検出した縫製対象物Sの下面の高さとに基づいて、縫製対象物Sの検出位置11Aにおける厚みTH1を算出し、この厚みTH1を縫製対象物Sの高さとして取得する。
【0113】
高さ検出ステップS10が実行された際に段部SSが検出位置11Aを通過している最中である場合、
図19の(B)に示すように、段部検出部121は、上側距離センサ42が検出した縫製対象物Sの上面の高さと、下側距離センサ44が検出した縫製対象物Sの下面の高さとに基づいて、縫製対象物Sの検出位置11Aにおける厚みTH2を算出し、この厚みTH2を縫製対象物Sの高さとして取得する。
【0114】
高さ検出ステップS10が実行されている途中に段部SSの前方側の端部SIが検出位置11Aを通過した場合、
図19の(A)に示す状態から算出される厚みTH1と、
図19の(B)に示す状態から算出される厚みTH2との間の値、例えば、厚みTH1と厚みTH2と相加平均値を取得して、この値を縫製対象物Sの高さとして取得する。
【0115】
<効果>
以上説明したように、本実施形態によれば、高さセンサ11が、縫製対象物Sよりも上方に設けられた上側距離センサ42と、縫製対象物Sよりも下方に設けられた下側距離センサ44と、を有する。このため、縫製対象物Sの形状等によってしわや浮き等が高い確率で発生してしまう場合でも、段部SSをより確実に、より高い精度で検出することを可能にする。また、ほとんどすべての段部SSに対して、検出データにおいて前方側の端部SI及び後方側の端部SOにおける高さの傾斜を大きく検出することができるので、端部SSの縫製方向SDの位置及び接近状態をより正確に検出することができる。
【符号の説明】
【0116】
1…ミシン、2…ミシンヘッド、3…ミシン針、3A…縫製位置、4…針棒、5…支持板、5A…針板、5B…ラッパ、5C…貫通孔、6…押さえ部材、6A…電磁弁、6B…押さえ上げ装置、6C…押さえ端、7…先引きローラ、7A…電磁弁、7B…モータードライバ、7C…パルスモータ、8…シンクロナイザ、10…段部検出装置、11…高さセンサ、11A…検出位置、11B…距離、11C…発光部、11D…受光部、12…制御装置、12A…処理装置、12B…記憶装置、12C…入出力インターフェース、13…入力装置、20…段部検出装置、22…ガード部材、22A…隙間領域、22B…ガード支持部、30…段部検出装置、32…ガイド部材、32A…貫通孔、40…段部検出装置、42…上側距離センサ、44…下側距離センサ、121…段部検出部、122…変更指令部、123…高さ検出制御部、DS…検出信号、DS1…検出信号、DS2…検出信号、DS2P…処理前検出信号、DS3…検出信号、DS3P…処理前検出信号、DS4…検出信号、DS4P…処理前検出信号、ES…エラー信号、F…指、H1…低閾値、H2…高閾値、HP1…送り期間、HP2…送り停止期間、NDS…非検出信号、NDS1…非検出信号、NDS2…非検出信号、NDS2P…処理前非検出信号、NDS3…非検出信号、NDS3P…処理前非検出信号、NDS4…非検出信号、NDS4P…処理前非検出信号、PL…ピッチ、S…縫製対象物、SD…縫製方向、SE…コバ、SI…端部、SI1…端部、SI2…端部、SI3…端部、SI4…端部、SL…縫製ライン、SM…中間点、SO…端部、SO1…端部、SO2…端部、SO3…端部、SO4…端部、SS…段部、SS1…段部、SS2…段部、SS3…段部、SS4…段部、SW…段部幅、SW1…段部幅、SW2…段部幅、SW3…段部幅、SW4…段部幅、T1…時点、T2…時点、TH1…厚み、TH2…厚み。