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特許7316084作動流体を供給するための流体装置及び電気化学システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-19
(45)【発行日】2023-07-27
(54)【発明の名称】作動流体を供給するための流体装置及び電気化学システム
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/122 20060101AFI20230720BHJP
   G05D 16/00 20060101ALI20230720BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20230720BHJP
   H01M 8/0438 20160101ALI20230720BHJP
   H01M 8/04746 20160101ALI20230720BHJP
【FI】
F16K31/122
G05D16/00 Z
H01M8/04 N
H01M8/04 J
H01M8/0438
H01M8/04746
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019081726
(22)【出願日】2019-04-23
(65)【公開番号】P2020008168
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】1853591
(32)【優先日】2018-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】510132347
【氏名又は名称】コミサリア ア レネルジ アトミク エ オウ エネルジ アルタナティヴ
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】フロワドュロ ローラン
(72)【発明者】
【氏名】ソーゼット フランソワ
【審査官】篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-317916(JP,A)
【文献】特開平10-143252(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/12 - 31/165
F16K 31/36 - 31/42
H01M 8/04 - 8/0668
G05D 16/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動流体を上流側圧力で受け入れるように設計された入口を備え、作動流体を流すための流体ラインと、
前記流体ラインに配置され、前記上流側圧力から下流側圧力まで前記作動流体の圧力を低減するように適合された圧力調整器と、
バルブ開放位置及びバルブ閉鎖位置を占有するように適合されたバルブヘッドを備え、前記圧力調整器の上流又は下流の流体ラインに配置されたバルブと、を備え、
前記バルブは、前記バルブヘッドに作用する圧力が前記上流側圧力に実質的に等しいか、それとも前記下流側圧力に実質的に等しいかによって、開放又は閉鎖のために圧力制御されるように適合され、
前記圧力調整器の流体ライン上流に接続された第1の開口、前記圧力調整器の流体ライン下流に接続された第2の開口、及び、制御開口と呼ばれ、前記バルブヘッドに接続された第3の開口を備え、前記制御開口が前記第1の開口に接続されるか、それとも前記第2の開口に接続されるかによって、前記バルブを開放させるか、又は閉鎖させるように適合された分配器を備えた、作動流体を供給するための流体装置。
【請求項2】
前記分配器は、前記作動流体が、前記バルブの前記入口での前記流体ラインの前記作動流体の前記圧力に実質的に等しい、閉鎖圧力と呼ばれる圧力を前記バルブヘッドに作用させる場合、前記バルブが閉鎖されるように構成される、
請求項1に記載の流体装置。
【請求項3】
前記バルブは、前記圧力調整器の下流に配置され、前記作動流体が前記上流側圧力に実質的に等しい圧力を前記バルブヘッドに作用させる場合、開放し、前記作動流体が前記下流側圧力に実質的に等しい圧力を前記バルブヘッドに作用させる場合、閉鎖するように適合され、
前記分配器は、
前記制御開口を前記第1の開口に接続し、それによって、前記バルブヘッドを前記上流側圧力に実質的に等しい圧力で前記作動流体と連通させるバルブ開放構成と、
前記制御開口を前記第2の開口に接続し、それによって、前記バルブヘッドを前記下流側圧力に実質的に等しい圧力で前記作動流体と連通させるバルブ閉鎖構成と、を有する、
請求項1又は2に記載の流体装置。
【請求項4】
前記バルブは、前記圧力調整器の上流に配置され、前記作動流体が前記下流側圧力に実質的に等しい圧力を前記バルブヘッドに作用させる場合、開放し、前記作動流体が前記上流側圧力に実質的に等しい圧力を前記バルブヘッドに作用させる場合、閉鎖するように適合され、
前記分配器は、
前記制御開口を前記第2の開口に接続し、それによって、前記バルブヘッドを前記下流側圧力に実質的に等しい圧力で前記作動流体と連通させるバルブ開放構成と、
前記制御開口を前記第1の開口に接続し、それによって、前記バルブヘッドを前記上流側圧力に実質的に等しい圧力で前記作動流体と連通させるバルブ閉鎖構成と、を有する、
請求項1又は2に記載の流体装置。
【請求項5】
前記バルブは、前記バルブヘッドと前記流体ラインと連通する内部通路との間に配置され、前記バルブヘッドを前記内部通路のシャッターに接続するロッドが密封状態で貫通した中間チャンバを備え、
前記中間チャンバは前記閉鎖圧力に実質的に等しい圧力で設定されている、
請求項2に記載の流体装置。
【請求項6】
前記中間チャンバは、前記作動流体が前記閉鎖圧力である前記流体ラインの一部に接続されている、
請求項5に記載の流体装置。
【請求項7】
前記分配器は電気的に制御されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の流体装置。
【請求項8】
上流側圧力以上の圧力で作動流体を貯蔵するためのタンクと、
作動流体の流れを燃料電池に提供するように適合された少なくとも1つの入口マニホルドを備えた燃料電池と、
タンクを前記入口マニホルドに接続する、前記作動流体が水素又は酸素である、請求項1~7のいずれか一項に記載の少なくとも1つの流体装置と、を備える電気化学システム。
【請求項9】
バルブ開放位置及びバルブ閉鎖位置を占有するように適合され、前記バルブヘッドに作用する圧力が前記上流側圧力に実質的に等しいか、それとも前記下流側圧力に実質的に等しいかによって、開放又は閉鎖のために圧力制御され、
前記流体装置の前記分配器によって、あるいは、
前記圧力調整器の前記流体ライン上流に接続された第1の開口、前記圧力調整器の前記流体ライン下流に接続された第2の開口及び、補助バルブのヘッドに接続され、制御開口と呼ばれる第3の開口を備えるとともに、その制御開口がその第1の開口に接続されるか、それともその第2の開口に接続されるかによって前記補助バルブを開放させるか、又は閉鎖させるように適合された補助分配器によって、圧力制御されるように適合されたバルブヘッドと、を含む、少なくとも1つの補助バルブを備える、
請求項8に記載の電気化学システム。
【請求項10】
前記作動流体が水素であり、
前記燃料電池は、前記作動流体を受け入れるように設計されたアノード入口マニホルドと、空気を受け入れるように設計されたカソード入口マニホルドと、を含むことができ、
少なくとも1つの空気供給バルブは、前記カソード入口マニホルドに接続された空気流体供給ラインに配置され、
バルブ開放位置及びバルブ閉鎖位置を占有するように適合され、かつ、そのバルブヘッドに作用する圧力が前記上流側圧力に実質的に等しいかそれとも、前記下流側圧力に実質的に等しいかによって、開放又は閉鎖のために圧力制御され、
前記流体装置の前記分配器によって、あるいは
前記圧力調整器の前記流体ライン上流に接続された第1の開口、前記圧力調整器の前記流体ライン下流に接続された第2の開口及び、前記空気供給バルブの前記バルブヘッドに接続され、前記制御開口と呼ばれる第3の開口、を備え、かつその制御開口がその第1の開口に接続されているか、それともその第2の開口に接続されているかによって、前記空気供給バルブを開放させるか、又は閉鎖させるように適合された、前記空気供給バルブを制御する分配器によって、圧力制御されるように適合されたバルブヘッドを備える、
請求項8又は9に記載の電気化学システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、流体ラインに直列に配置された圧力調整器及びバルブを備える流体装置の分野である。このような流体装置は上流側圧力で作動流体を受け入れ、上流側圧力より低い下流側圧力で作動流体を供給する、すなわち、送出するのに使用される場合がある。本発明は多数の技術分野、とりわけ、最初に圧力下で貯蔵された作動流体、例えば水素及び/又は酸素を供給される燃料電池を備える電気化学システムの分野で適用され得る。
【背景技術】
【0002】
多数の技術分野では、上流側圧力で作動流体を受け入れ、上流側圧力より低い下流側圧力で要求された作動流体を送出するように適合した流体供給装置を使用する必要がある。そして、このような供給装置は、バルブ及び圧力調整器が直列に配置された、作動流体を流すための流体ラインを備える。
【0003】
これは、とりわけ、例えば最初に圧力で貯蔵された作動流体が供給された燃料電池を備えた電気化学システムの場合である。そして、供給装置は通常、加圧タンクを燃料電池の入口に接続する。一例として、タンクは、数十バールの圧力で水素を貯蔵でき、燃料電池には、数バール付近の圧力で水素が供給されることが必要とされる場合がある。そして、作動流体の流れを許可するか、あるいは防止するためのバルブとともに圧力調整器が流体供給ライン上に必要とされる。
【0004】
従来から、バルブの開放/閉鎖の制御を様々な方法で提供することができる。よって、バルブは、例えば、ソレノイドを用いて電気的に制御されてもよいし、例えば圧縮空気を用いて圧力制御されてもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このようなバルブ制御に関連したエネルギーコストの低い流体供給装置を提供することが必要とされている。
【0006】
本発明の目的は先行技術の欠点の少なくとも一部を克服することであり、より詳細には、バルブ制御のエネルギーコストの低い、作動流体を供給するための流体装置を提示することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このため、本発明は、上流側圧力Pinで作動流体を受け入れるように設計された入口を備えた、作動流体を流すための流体ラインと、流体ラインに配置され、上流側圧力から下流側圧力Poutに作動流体の圧力を低減するように適合された圧力調整器と、圧力調整器の流体ラインの上流又は下流に配置され、バルブ開放位置及びバルブ閉鎖位置を占有するように適合されたバルブヘッドを備えたバルブと、を備えた作動流体を供給するための流体装置を提示する。
【0008】
本発明によれば、バルブは、バルブヘッドに作用する圧力が実質的に上流側圧力Pinに等しいか、それとも下流側圧力Poutに等しいかによって、開放又は閉鎖のため圧力制御されるように適合される。
【0009】
また、流体装置は、圧力調整器の流体ラインの上流に接続された第1の開口、圧力調整器の流体ラインの下流に接続された第2の開口、及び制御開口と呼ばれる、バルブヘッドに接続された第3の開口を備えるとともに、制御開口が第1の開口に接続されているか、それとも、第2の開口に接続されているかによってバルブを開放させるか、又は閉鎖させるように適合された分配器を備える。
【0010】
こうした流体供給装置の好ましい、非限定的な一部の特徴は以下のとおりである。
【0011】
分配器は、作動流体が、バルブ入口での流体ライン内の作動流体の圧力に実質的に等しい閉鎖圧力と呼ばれる圧力をバルブヘッドに作用させる場合、バルブが閉鎖するように構成されてもよい。
【0012】
バルブは、圧力調整器の下流に配置してもよく、作動流体が上流側圧力Pinに実質的に等しい圧力をバルブヘッドに作用させる場合、開放し、作動流体が下流側圧力Poutに実質的に等しい圧力をバルブヘッドに作用させる場合、閉鎖するように適合されてもよい。そして分配器は、制御開口を第1の開口に接続し、それによって、バルブヘッドを上流側圧力Pinに実質的に等しい圧力で作動流体と連通させるバルブ開放構成と、制御開口を第2の開口に接続し、それによってバルブヘッドを下流側圧力Poutに実質的に等しい圧力で作動流体と連通させるバルブ閉鎖構成と、を有してもよい。
【0013】
バルブは圧力調整器の上流に配置してもよく、作動流体が下流側圧力Poutに実質的に等しい圧力をバルブヘッドに作用させる場合に、開放するように適合され、作動流体が上流側圧力Pinに実質的に等しい圧力をバルブヘッドに作用させる場合、閉鎖するように適合されてもよい。そして分配器は、制御開口を第2の開口に接続し、それによってバルブヘッドを下流側圧力Poutに実質的に等しい圧力で作動流体と連通させるバルブ開放構成と、制御開口を第1の開口に接続し、それによってバルブヘッドを上流側圧力Pinに実質的に等しい圧力で作動流体と連通させるバルブ閉鎖構成と、を有してもよい。
【0014】
バルブは、バルブヘッドと流体ラインと連通する内部通路との間に配置され、バルブヘッドを内部通路のシャッタに接続するロッドが密封状態で貫通した中間チャンバであって、閉鎖圧力に実質的に等しい圧力に設定された中間チャンバを備えてもよい。
【0015】
中間チャンバは作動流体が閉鎖圧力である流体ラインの一部と接続されてもよい。
【0016】
分配器は電気的に制御されてもよい。
【0017】
本発明はまた、上流側圧力Pin以上の圧力で作動流体を貯蔵するタンクと、燃料電池に、水素又は酸素である作動流体の流れを提供するように適合された少なくとも1つの入口マニホルドを備えた燃料電池と、タンクを入口マニホルドに接続する、先行する特徴のいずれかに記載の少なくとも1つの流体供給装置と、を備える電気化学システムに関する。
【0018】
電気化学システムは少なくとも1つの補助バルブを備えることができ、それは、バルブ開放位置及びバルブ閉鎖位置を占有するように適合され、かつ、バルブヘッドに作用する圧力が前記上流側圧力Pinに実質的に等しいか、それとも、下流側圧力Poutに実質的に等しいかによって、開放又は閉鎖のために圧力制御されるとともに、
流体供給装置の分配器によって、あるいは
圧力調整器の流体ライン上流に接続された第1の開口、圧力調整器の流体ライン下流に接続された第2の開口、及び、補助バルブヘッドに接続され、制御開口と呼ばれる第3の開口を備えるとともに、その制御開口がその第1の開口に接続されているか、それともその第2の開口に接続されているかによって補助バルブを開放させるか、あるいは閉鎖させるように適合された補助分配器によって、圧力制御されるように適合されたバルブヘッドを備える。
【0019】
作動流体は水素であってもよい。燃料電池は作動流体を受け入れるように設計されたアノード入口マニホルドと、空気を受け入れるように設計されたカソード入口マニホルドと、を含むことができる。少なくとも1つの空気供給バルブはカソード入口マニホルドに接続された空気流体供給ラインに配置されてもよく、空気供給バルブは、
バルブ開放位置及びバルブ閉鎖位置を占有するように適合されたバルブヘッドであって、そのバルブヘッドに作用する圧力が上流側圧力Pinに実質的に等しいか、それとも下流側圧力Poutに実質的に等しいかによって、開放又は閉鎖のために圧力制御されるように適合されたバルブヘッドを備え、
流体供給装置の分配器によって、あるいは、圧力調整器の流体ライン上流に接続された第1の開口、圧力調整器の流体ライン下流に接続された第2の開口及び、空気供給バルブヘッドに接続された、制御開口と呼ばれる第3の開口を備えるとともに、その制御開口がその第1の開口に接続されているか、それとも、その第2の開口に接続されているかによって、空気供給バルブを開放させるか、又は閉鎖させるように適合された、空気供給バルブを制御する補助分配器によって圧力制御される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
添付の図面を参照すると、本発明の他の態様、目的、利点及び特徴が、非限定的な実施例によって提供される、本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明を閲読することにより、容易に明らかになるであろう。
図1A】閉鎖構成(図1A)における、バルブが圧力調整器の下流に配置されている第1の実施形態にかかる流体供給装置の概略図である。
図1B】開放構成(図1B)における、バルブが圧力調整器の下流に配置されている第1の実施形態にかかる流体供給装置の概略図である。
図2A】閉鎖構成(図2A)における、バルブが圧力調整器の上流に配置されている第2の実施形態にかかる流体供給装置の概略図である。
図2B】開放構成(図2B)における、バルブが圧力調整器の上流に配置されている第2の実施形態にかかる流体供給装置の概略図である。
図3A】閉鎖構成(図3A)における、中間チャンバが閉鎖圧力Poutに等しい圧力に設定された第1の実施形態にかかる流体供給装置の圧力制御可能バルブの一例の概略断面図である。
図3B】開放構成(図3B)における、中間チャンバが閉鎖圧力Poutに等しい圧力に設定された第1の実施形態にかかる流体供給装置の圧力制御可能バルブの一例の概略断面図である。
図4A】補助バルブの制御も提供する、一実施形態にかかる流体供給装置を備える燃料電池型の電気化学システムの一例の概略図である。
図4B】空気供給バルブの制御も提供する、一実施形態にかかる水素流体供給装置を備える燃料電池型の電気化学システムの別の例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面及び以下の説明では、同一の参照符号は同一又は同様の要素を表す。また、図面の明瞭さを高めるために、種々の要素は一定の縮尺で示されていない。さらに、種々の実施形態及び変形例は、互いに排他的ではなく、互いに組み合わせることができる。特に明記しない限り、「実質的に」、「約」及び「オーダーの」という用語は、10%、又は好ましくは5%の許容誤差を意味する。さらに、「を含む」という表現は、特に明記しない限り、「少なくとも1つを含む」と解釈されるべきである。
【0022】
本発明は概ね、上流側圧力Pinで作動流体を受け入れ、下流側圧力Poutで作動流体を送出するように適合された流体供給装置関する。したがって、供給装置は、圧力調整器とバルブが直列に配置された、作動流体を流すための流体ラインを含む。バルブは、制御流体が流体ライン内に存在する作動流体である分配器によって圧力制御することができる。さらに、作動流体はガスであってもよいし、液体であってもよい。
【0023】
図1A及び図1Bは、閉鎖構成(図1A)及び開放構成(図1B)におけるバルブ13が圧力調整器12の下流に配置された第1の実施形態にかかる流体供給装置10の概略図である。
【0024】
流体ライン11はゼロでない上流側圧力Pinで作動流体を受け入れるように設計された入口11Eを含む。入口11Eは、貯蔵タンク(図示せず)のような圧力下で作動流体の供給源に接続されていてもよい。上流側圧力Pinは、数バールであってもよいし、場合によっては、数十バール又は数百バールであってもよい。流体ライン11は、バルブ13が開放されているか、それとも閉鎖されているかによって下流側圧力Poutで作動流体を送出するように設計された供給出口11Sを含む。供給装置10は、上流側圧力Pinで作動流体を入口11Eに送出するように適合された作動流体の供給源を含んでもよいし、そのような供給源に接続されていてもよい。
【0025】
原則として、以下の説明では、作動流体は、無視してもよいし、無視しなくてもよいあらゆる圧力低下を受けたとしても、その位置が圧力調整器12の上流か、それとも下流かによって、Pin又はPoutに等しいか、あるいは実質的に等しいとされる。換言すると、以下の説明では、圧力調整器とバルブ、並びに、分配器を流体ライン及びバルブに接続する通路に存在しうるものとの間での圧力低下は無視される。
【0026】
圧力調整器12は、流体ライン11に配置され、上流側圧力Pinから下流側圧力Poutまで作動流体の圧力を低減するように適合される。大まかに言えば、圧力調整器12は下流側圧力Poutを制御するための部材である。つまり、それは、それを通過する作動流体の圧力を送出値Poutまで低下させるように適合されている。それは、下流側圧力Poutが上流側圧力よりも高い場合、閉鎖位置にあってもよい。また、圧力調整器は、例えばモル流量値を下流側圧力Poutに依存させて、作動流体のモル流量値を制御してもよいし、制御しなくてもよい。
【0027】
バルブ13は流体ライン11に、この場合は、圧力調整器12の下流に配置されている。それは供給装置10の入口11Eと出口11Sとの間で作動流体の流れを許可又は阻止するように適合されている。このため、それは、図3A及び図3Bに示すように、従来の方法では、バルブヘッド13.1、バルブボディ13.2,流体ライン11と連通する内部通路13.3及び内部通路13.3を閉塞し、あるいは開放したままにするように適合されたシャッタ13.4を含む。バルブヘッド13.1はバルブボディ13.2に対して変位することで、移動可能であり、開放位置と閉鎖位置との間でシャッタ13.4を変位させ、それによって内部通路13.3、ゆえに、流体ライン11内で作動流体の流れを許可又は阻止することができる。
【0028】
バルブ13は圧力制御され、つまり、制御流体がバルブヘッド13.1に作用する圧力によって開放及び閉鎖のために制御されるように適合される。本発明の文脈では、制御流体は作動流体であり、その圧力は、上述したように、あらゆる圧力低下を受けても、圧力Pin又はPoutに実質的に等しくてもよい。したがって、バルブ13は、作動流体がPinに実質的に等しい圧力をバルブヘッド13.1に作用させるか、それともPoutに実質的に等しい圧力をバルブヘッド13.1に作用させるかによって開放又は閉鎖のために圧力制御されるように適合されている。原則として、バルブ13は、バルブヘッド13.1がPinに実質的に等しい圧力を受けている場合に、閉鎖されてもよいし、あるいはPoutに実質的に等しい圧力を受けている場合には、閉鎖されてもよい。本例では、作動流体が下流側圧力Poutに実質的に等しい圧力をバルブヘッド13.1に作用させる場合、バルブ13は閉鎖されている。作動流体が上流側圧力Pinに実質的に等しい圧力をバルブヘッド13.1に作用させる場合、それは開放されている。
【0029】
分配器14は、ユーザによる作動に応じて、流体ライン11内に存在する作動流体である制御流体を用いたバルブ13の制御、つまり、バルブの動作又は作動を提供する。それは少なくとも3つの開口14.1,14.2,14.3を含み、開放位置及び閉鎖位置と呼ばれる少なくとも2つの位置を占有することができる。分配器は少なくとも1つの3/2分配器(3つの開口及び2つの位置を意味する)である。分配器14は、特に、水素の場合ように作動流体が空気と接触すると可燃性となる場合には、電気的に作動され、ガルバニック絶縁されることが有利である。その作動には、とりわけ、供給装置10の用途に応じて低電力が必要とされることがある。しかし、他の種類の作動を使用してもよい。分配器14は、以下に説明するが、バルブ13を閉鎖する構成及びバルブ13を開放する構成を有する。
【0030】
第1の開口14.1は、圧力調整器12の流体ライン11上流に接続され、それによって、上流側圧力Pinに実質的に等しい圧力で作動流体を受け入れる。第2の開口14.2は、圧力調整器12の流体ライン11下流に接続され、それによって、下流側圧力Poutに実質的に等しい圧力で作動流体を受け入れる。「接続されている」という用語は、「流体的に接続されている」、つまり流体的に連通していることを意味すると解釈される。制御開口と呼ばれる第3の開口14.3は、バルブヘッド13.1に接続され、それによって、Pin又はPoutに実質的に等しい圧力で、後者を作動流体と連通させることができる。
【0031】
原則として、供給装置10は、通常閉鎖されてもよいし、あるいは通常は開放されてもよい。「通常」という用語は、インアクティブである場合の、つまり、分配器14がユーザにより作動又は発動されていない場合の、供給装置10の状態を指す。流体ライン11の入口11Eは、上流側圧力Pinで作動流体を受け入れる。
【0032】
供給装置10が通常閉鎖されている場合、分配器14はバルブ閉鎖構成を有するので、バルブ13は閉鎖されている。この場合、作動流体が流体ライン11を流れない。バルブ13は上流側圧力Pinに実質的に等しい開放圧力で、過剰圧力により開放するように作動され得るか、下流側圧力Poutに実質的に等しい開放圧力で過小圧力により、開放するように作動され得るかによって、2つの構成を有することができる。
バルブ13は、この場合、Pinに実質的に等しい開放圧力で、過剰圧力により、開放するように作動され得る。
したがって、そのバルブヘッドが開放圧力より低い圧力を受ける場合、例えば下流側圧力Poutに実質的に等しい圧力、すなわち、大気圧を受ける場合、それを閉鎖することができる。このため、分配器14は、制御開口14.3が第2の開口14.2に接続されている閉鎖構成を有する。
それは、バルブヘッドが開放圧力(この場合、上流側圧力Pinに実質的に等しい)を受ける場合、過剰圧力により開放のため作動される。このため、分配器14は、制御開口14.3が第1の開口14.1に接続されている開放構成を有する。
変形例では、バルブ13は、この場合、Poutに実質的に等しい開放圧力で、過小圧力より開放のために作動されてもよい。
したがって、それは、バルブヘッドが開放圧力より高い圧力を受けた場合、例えば、上流側圧力Pinに実質的に等しい圧力を受けた場合、閉鎖されてもよい。このため、分配器14は、制御開口14.3が第1の開口14.1に接続されている閉鎖構成を有する。
それは、バルブヘッドが開放圧力(この場合、下流側圧力Poutに実質的に等しい)を受ける場合、過小圧力により開放のため作動される。このため、分配器14は制御開口14.3が第2の開口14.2に接続されている開放構成を有する。
【0033】
変形例では、供給装置10は、分配器14がユーザにより発動又は作動されていない場合、通常開放し得る。分配器14は、バルブ開放構成を有し、ゆえにバルブ13は開放している。その後、作動流体が流体ライン11を流れることができる。ここではまた、バルブは、上流側圧力Pinに実質的に等しい閉鎖圧力で過剰圧力により閉鎖のため作動されるか、あるいは、下流側圧力Poutに実質的に等しい閉鎖圧力で過小圧力により閉鎖のため作動されるかによって、2つの構成を有することができる。
バルブ13は、この場合、Pinに実質的に等しい閉鎖圧力で、過剰圧力により閉鎖のため、作動され得る。
それは、バルブヘッドが閉鎖圧力より低い圧力を受ける場合、例えばそれが下流側圧力Poutに実質的に等しい圧力、すなわち大気圧を受ける場合、開放している。このため、分配器14は制御開口14.3が第2の開口14.2に接続されている開放構成を有する。
それは、バルブヘッドが閉鎖圧力(この場合、上流側圧力Pinに実質的に等しい)を受ける場合、過剰圧力により閉鎖のため作動される。このため、分配器14は制御開口14.3が第1の開口14.1に接続されている閉鎖構成を有する。
変形例では、バルブ13は、この場合、Poutに実質的に等しい閉鎖圧力で過小圧力により閉鎖のため作動され得る。
したがって、それは、バルブヘッドが閉鎖圧力より高い圧力を受ける場合、例えば上流側圧力Pinに実質的に等しい圧力を受ける場合、開放している。このため、分配器14は制御開口14.3が第1の開口14.1に接続されている開放構成を有する。
それは、バルブヘッドが閉鎖圧力(この場合、下流側圧力Poutに実質的に等しい)を受ける場合、過小圧力により閉鎖のため、作動される。このため、分配器14は、制御開口14.3が第2の開口14.2に接続されている閉鎖構成を有する。
【0034】
図1A及び図1Bに示す例では、供給装置10は通常閉鎖され、バルブ13は、バルブヘッドが下流側圧力Poutに実質的に等しい圧力を受ける場合、閉鎖されるように構成される。換言すると、この場合のバルブ13は、分配器14が発動されていない場合に、閉鎖され、また、この場合Pinに実質的に等しい開放圧力で、過剰圧力により、開放のため作動される。分配器14は、その後、制御開口14.3が第2の開口14.2に接続された、静止したバルブ閉鎖構成を有する。ユーザが分配器14を作動させると、それはバルブ開放構成に変わり、その後、バルブ13を開放させる。
【0035】
ここで、供給装置10の動作を説明する。図1Aは通常閉鎖状態、つまり、分配器14がユーザにより作動又は発動されていないが、作動流体が上流側圧力Pinで入口11Eに存在している供給装置10を示す。バルブ13が閉鎖しているので、作動流体は流体ライン11の出口11Sから流れない。分配器14は閉鎖構成を有し、制御開口14.3が第2の開口14.2に接続されているので、バルブヘッド13.1を、下流側圧力Poutに実質的に等しい圧力で作動流体と流体連通させる。バルブヘッド13.1がPoutに実質的に等しい圧力を受ける場合、バルブはここでは、閉鎖されるように構成されているので、バルブヘッド13.1はここでは、シャッタ13.4が内部通路13.3を閉鎖し、ゆえに、流体ライン11の作動流体の流れを阻止する位置にある。
【0036】
図1Bは発動状態の供給装置10を示す。分配器14はその後、ユーザにより作動されると、バルブ開放構成に変わり、制御開口14.3が第1の開口14.1に接続されるので、バルブヘッド13.1を、上流側圧力Pinに実質的に等しい圧力で作動流体と流体連通させる。バルブ13は、ここでは、Pinに実質的に等しい開放圧力で過剰圧力により、開放のため作動され得るので、バルブヘッド13.1はその後、変位し、シャッタ13.4が開放位置を占有することで、作動流体が内部通路13.3、ゆえに流体ライン11を流れるようになる。
【0037】
また、分配器14が閉鎖構成に戻ると、制御開口14.3はその後、第2の開口14.2に再び接続される。過渡状態が存在し、そこでは、制御開口14.3をバルブヘッド13.1に接続する通路内に配置された圧力Pinでの作動流体は圧力Poutまで膨張し、第2の開口14.2を介して流体ライン11に達する。
【0038】
したがって、供給装置10は、とりわけソレノイドバルブ及び圧縮空気バルブと比較して、バルブ13の制御に関連するエネルギーコストが特に低いのは、専用制御流体ではなく、作動流体を使用して、それにより上流側圧力Pinと下流側圧力Poutとの間の圧力差を呈するからである。制御は分配器により提供され、それは、バルブ13を開放するように要求されるか、それとも閉鎖するように要求されるかによって、上流側圧力Pin又は下流側圧力Poutでの作動流体をバルブヘッド13.1に導くものである。分配器14の作動も、とりわけ電気的に作動される場合、エネルギーコストが低い。
【0039】
分配器14が閉鎖構成に戻ると、制御開口14.3をバルブヘッド13.1に接続する通路に含有される作動流体が流体ライン11と連通するようになり膨張によりその中に導入されることによって、供給装置10を動作させるエネルギーコストも低減される。したがって、分配器14が一方の構成から他方の構成に変化する場合、作動流体の損失はない。
【0040】
バルブ13の制御は、圧縮空気バルブの例に使用されるコンプレッサの代わりに、分配器14を使用するので、供給装置10の信頼度も高い。それは、全体寸法がより小さく軽量でもある。
【0041】
それは、この場合の制御流体が流体ライン内に存在する作動流体である場合のように、専用制御流体の流体ラインへの漏洩リスクがないので、例えば、圧縮空気圧バルブに存在する安全リスクを回避することもできる。
【0042】
図2A及び図2Bは、閉鎖構成(図2A)及び開放構成(図2B)における、バルブ13が圧力調整器12の上流に配置されている第2の実施形態にかかる流体供給装置10の概略図である。
【0043】
供給装置10は、とりわけ圧力調整器12に対するバルブ13の位置により、図1A及び図1Bに示すものとは異なる。また、本例では、分配器14がユーザにより作動されていない場合、バルブ13も閉鎖される。さらに、それは、この場合、下流側圧力Poutに実質的に等しい開放圧力で、過小圧力により開放のため作動されてもよい。換言すると、それは、バルブヘッド13.1が作動流体の開放圧力(この場合、下流側圧力Poutに実質的に等しい)を受ける場合、過小圧力により、開放のため作動される。
【0044】
図2Aは、通常閉鎖状態、つまり、分配器14がユーザにより作動又は発動されていない供給装置10を示す。バルブ13は閉鎖されているので、作動流体は流体ライン11の出口11Sから流出しない。分配器14は閉鎖構成を有し、制御開口14.3は第1の開口14.1に接続されているので、バルブヘッド13.1を、上流側圧力Pinに実質的に等しい圧力で作動流体と流体的に連通させる。バルブヘッド13.1がPinに実質的に等しい圧力を受ける場合、バルブはここでは閉鎖されるように構成されるので、バルブヘッド13.1は、ここでは、シャッタ13.4が内部通路13.3を閉鎖し、ゆえに、流体ライン11の作動流体の流れを阻止する位置を占有する。
【0045】
図2Bは発動状態の供給装置10を示す。分配器14がユーザにより作動されると、それはバルブ開放構成に変わり、制御開口14.3は、第2の開口14.2に接続されるので、下流側圧力Poutに実質的に等しい圧力で、バルブヘッド13.1を作動流体と流体的に連通させる。ここでは、Poutに実質的に等しい開放圧力で、過小圧力により開放のため、バルブ13を作動することができるので、バルブヘッド13.1はその後、変位し、シャッタ13.4は開放位置を占有することによって、作動流体を内部通路13.3内、ゆえに流体ライン11に流すことができる。
【0046】
また、分配器14が閉鎖構成に戻ると、制御開口14.3はその後、第1の開口14.1に再び接続される。過渡状態が存在し、そこでは、制御開口14.3をバルブヘッド13.1に接続する通路に配置される圧力Poutでの作動流体は、第1の開口14.1を介して、バルブ13と圧力調整器12との間の流体ライン内の作動流体によって圧力Pinまで圧縮される。
【0047】
図3A及び図3Bは、実施形態にかかる、閉鎖構成(図3A)及び開放構成(図3B)における流体装置のバルブ13の一例を示す。ここでは、バルブ13は図1A及び図1Bに示すものと類似又は同一である。それは、分配器14がユーザにより発動されていない場合、閉鎖され、また、ここでは上流側圧力Pinに実質的に等しい開放圧力で、過剰圧力により開放のため作動され得る。換言すると、それは、作動流体が上流側圧力Pinに実質的に等しく、安静圧力Poutより高い開放圧力をバルブヘッド13.1に印加する場合、開放のため作動される。
【0048】
バルブ13は、バルブヘッド13.1と、入口と出口との間に伸びた内部通路13.3が配設され、流体ライン11の一部を形成するボディ13.2と、バルブヘッド13.1にロッドによって固定されたシャッタ13.4とを備える。バルブ13の開放及び閉鎖構成はバルブヘッド13.1の位置、ゆえに、内部通路13.3内のシャッタ13.4の位置に依存するので、バルブヘッドは、ボディ13.2に対する変位によって移動可能に収められる。バルブヘッド13.1は、中間チャンバ13.6に配置された、バネなどの戻し部材13.5により、その変位が制限される。ロッドは密封状態で中間チャンバ13.6を貫通する。また、バルブヘッド13.1は、密封通路によって分配器14の制御開口14.3に接続されているので、バルブヘッド13.1は、上流側圧力Pinに実質的に等しい圧力又は、下流側圧力Poutに実質的に等しい圧力をバルブヘッド13.1に作用させることができる作動流体と接触している。上述したように、「所与の値に実質的に等しい圧力」という表現は、本明細書では、圧力があらゆる圧力低下を受けても、この値に等しいことを意味すると解釈される。
【0049】
上述したように、バルブ13は、ここでは、分配器14がユーザによって発動されていない(作動流体が下流側圧力Poutに実質的に等しく、開放圧力Pinより低い圧力をバルブヘッド13.1に作用させる)場合、閉鎖される。それは、作動流体が、ここでは、上流側圧力Pinに実質的に等しい開放圧力をバルブヘッド13.1に作用させる場合、過剰圧力により開放のため作動される。
【0050】
こうして、図3Aに示すように、バルブ13は、分配器14により開放のために作動されていない場合、閉鎖される。こうして、制御開口14.3は第2の開口14.2に接続されるので、作動流体は下流側圧力Poutに実質的に等しい、ゆえに開放圧力Pinより低い圧力をバルブヘッド13.1に作用させる。したがって、戻し部材13.5は、バルブヘッド13.1を+Z方向に押し戻し、それによって、内部通路13.3を(シャッタ13.4とバルブシートとの間の密封接点で)遮断し、ゆえに、流体ライン11内の作動流体の流れを阻止する。
【0051】
図3Bに示すように、バルブ13が分配器14により開放のために作動されると、制御開口14.3は第1の開口14.1に接続されるので、作動流体は、ここでは、上流側圧力Pinに実質的に等しい開放圧力をバルブヘッド13.1に作用させる。したがって、バルブヘッド13.1は、-Z方向に変位し、シャッタ13.4をバルブシートから隔離し、そして、内部通路13.3に、ゆえに、流体ライン11に作動流体を流すことができる。
【0052】
しかし、発明者らは、バルブ13の開放段階後に、分配器14がバルブ13を閉鎖させる場合、シートに対するシャッタ13.4の密封閉鎖が不完全である場合があることを発見した。これは、とりわけ、中間チャンバ13.6が、
一方では、閉鎖圧力とは異なる圧力Pintermを受け、例えば、下流側圧力Poutより低い圧力を受け、
他方では、-Z方向に向き、Pout×S1(S1は圧力Poutでの作動流体が接触するバルブヘッド13.1の表面積である)に実質的に等しい第1の力F1と、反対方向、この場合、+Z方向を向き、Pout×S2(S2は圧力Poutで内部通路13.3内に存在する作動流体が接触する表面積であり、S2はS1とは異なり、この場合、S1より小さい)に実質的に等しい第2の力F2と、を受ける場合である。
【0053】
したがって、発明者らは、中間チャンバ13.6が、10%、好ましくは5%の許容誤差で、閉鎖圧力に実質的に等しい、つまり、この場合、下流側圧力Poutに等しい圧力Pintermになると、不完全な密封閉鎖を回避することができることを発見した。中間チャンバ13.6は圧力調整器12の流体ライン11下流に接続されてもよいので、それは圧力Poutで作動流体が充填される。それは、不活性流体、例えば窒素で充填されてもよい。空気が供給される燃料電池のカソードラインにバルブ13を適用する場合、中間チャンバ13.6は、流出する流体が酸素枯渇空気ゆえに実質的に不活性である空気である燃料電池のカソード出口に接続されてもよい。
【0054】
本例では、供給装置10は通常閉鎖され、バルブ13は、この場合、Pinに実質的に等しい開放圧力で過剰圧力によって開放のため作動され得る。換言すると、作動流体が開放圧力Pinより低い圧力、この場合、下流側圧力Poutに実質的に等しい圧力をバルブヘッドに印加する場合、バルブ13は閉鎖のため作動される。変形例では、バルブ13は、この場合Poutに実質的に等しい開放圧力で、過小圧力により開放のため作動されてもよい。換言すると、図2A図2Bに示す例の場合と同じように、バルブヘッドが開放圧力Poutより高い圧力(ここでは、上流側圧力Pinに実質的に等しい圧力)を受ける場合、バルブ13は閉鎖のために作動される。この場合、中間チャンバ13.6は閉鎖圧力に実質的に等しい圧力、ここでは、上流側圧力Pinになることが好ましい。
【0055】
図4Aは燃料電池21を有する電気化学システム20の場合の第1の実施形態にかかる流体供給装置10の応用例を示す。本例では、燃料電池21はアノードで水素が供給される。燃料電池21のアノード側は、特に、ここでは、燃料電池に水素が供給されることを考慮する。しかし、本発明は燃料電池21のカソード側に適用可能であり、作動流体は初めに圧力下で貯蔵された酸素である。電気化学システム20は、ここでは、簡略化して示されており、図示した要素に加えて、補助流体及び/又は熱的及び/又は電気部材(図示せず)を含んでもよい。
【0056】
電気化学システム20は、燃料電池21に作動流体、ここでは、水素を供給する流体装置10を含む。それは有利にも、補助分配器25により圧力制御可能な、少なくとも1つの補助バルブ24、この場合、パージバルブを含み、その制御流体は流体ライン11を流れる作動流体である。
【0057】
電気化学システム20は上流側圧力Pin以上の圧力で、例えば数バール又は数十バールで、加圧された作動流体、この場合、水素を貯蔵するタンク22を含む。タンク22は、流体供給装置10を経由して燃料電池21のアノード側に供給する。
【0058】
流体供給装置10は、水素タンク22を、燃料電池21のアノード入口マニホルドCeに接続する。それは、図1A及び図1Bを参照して前述したものと同一又は類似である。したがって、それはタンク22の出口で圧力調整器12が配置された流体ライン11と、ホルダー12とアノード入口マニホルドCeとの間のバルブ13と、を備える。バルブ13は、前記した分配器14によって制御される。
【0059】
燃料電池21は、少なくとも1つの電気化学セル、この場合、電気化学セルのスタック(図示せず)を含む。セルそれぞれは、アノード及びカソードを含み、それらは、電解質膜により、互いに分離されており、この組み合わせにより、膜電極接合体(MEA)が形成される。アノード、膜及びカソードは、当業者に既知の従来の要素であり、それゆえ、詳細には説明しない。各接合体はバイポーラプレートにより隣接するセルの接合体とは隔離されており、一方で第1のセルのアノードに、他方で隣接するセルのカソードに、反応種をもたらし、電気化学反応から生じる生成物を及び非反応種を除去し、また、セル間に電流を伝達するように適合される。それは、セル間の伝熱流体の流れも提供し、結果として生じる熱を除去することが可能になる。
【0060】
燃料電池21は、セルへの供給ガスの流体注入用に設計され、一方はアノードマニホルドCeであり、他方はカソードマニホルドCeである2つの別々の入口マニホルドと、燃料電池21から未反応供給ガス及び非反応種を除去する2つの別々の出口マニホルドCs,Csとを含む。したがって、水素は、アノード入口マニホルドCeによって燃料電池21に注入され、それは、それを電気化学セルに案内する。その後、未反応水素及び非反応種は、対応する出口マニホルドCsにより除去される。燃料電池21は電気負荷23にも接続されており、それに電気エネルギーを供給する。
【0061】
こうして、動作中、流体供給装置10は、この場合、Pinに等しい上流側圧力で、タンク22から水素を受け入れる。水素が流体ライン11を流れ、圧力調整器12を通過し、それにより、圧力が下流側圧力Poutまで低減される。水素の一部も分配器14の第1の開口14.1に到達する。以上説明したように、供給装置10は通常閉鎖され、バルブ13は、開放圧力Pinで過剰圧力によって開放のために作動され得るので、分配器14は、停止時、制御開口14.3が第2の開口14.2に接続されたバルブ閉鎖構成を有する。バルブヘッド13.1はその後、開放圧力Pinより低い圧力、この場合、作動流体の下流側圧力Poutに実質的に等しい圧力を受けると、それによってバルブ13を閉鎖構成に保つことができる。
【0062】
図4Aは供給装置10が発動している電気化学システム20を示す。ユーザにより分配器14が作動されると、制御開口14.3は第1の開口14.1に接続される。バルブヘッド13.1はその後、作動流体の上流側圧力Pinに実質的に等しい開放圧力を受けると、バルブ13が開放する。
【0063】
供給装置10が発動を停止されると、分配器14は、制御開口14.3が第2の開口14.2に接続された停止状態に戻る。過渡状態では、上流側圧力Pinに実質的に等しい圧力でバルブヘッド13.1と接触している作動流体は、圧力Poutに実質的に等しい圧力まで膨張し、圧力調整器12の流体ライン11下流に到達する。
【0064】
こうして、バルブ13は、流体ライン11を流れる作動流体である制御流体を用いて、分配器14によって開放/閉鎖のため作動される。第2の開口14.2を流体ライン11に接続することにより、バルブ13が閉鎖されているときの作動流体の損失を回避することができる。とりわけ欧州特許出願第3109934号に記載されるように、とりわけ電気化学システム20が燃料電池21の動作中、定期的に作動され得る複数の水素又は酸素供給バルブを含む場合、エネルギーコストが大幅に低減される場合がある。
【0065】
パージバルブ24は、ここでは、補助分配器25によって制御される。変形例では、後者はなくてもよいので、分配器14が同時にバルブ13及び補助バルブ24を開放/閉鎖させる。パージバルブ24はここでは、図1A及び図1Bを参照して記載したバルブ13と類似又は同一である。それは、分配器25が発動されていない場合、開放されていることが好ましく、上記したように過剰圧力又は過小圧力により開放のために作動されてもよい。変形例では、それは、分配器25が発動されていない場合、閉鎖されてもよく、過剰圧力又は過小圧力により閉鎖のため作動されてもよい。
【0066】
補助分配器25は圧力調整器12の流体ライン11上流に接続された第1の開口25.1、圧力調整器12の流体ライン11下流に接続された第2の開口25.2、及びパージバルブ24のヘッドに接続された制御開口25.3を含む。分配器25によるパージバルブ24の作動は上記の動作と同様であり、ここで詳細には説明しない。したがって、補助バルブ24の作動は、バルブ24を制御するためにも、作動流体の圧力差が利用されるので、エネルギーコストが特に低い。
【0067】
図4Bは燃料電池21を有する電気化学システム20の文脈の第1の実施形態にかかる流体供給装置10の別の応用例を示す。本例では、供給装置10はアノード流体ラインに配置され、燃料電池21に水素を供給する。燃料電池21にはカソード側に空気が供給され、燃料電池は、専用分配器27により圧力制御された空気供給バルブ26を備える。変形例では、専用分配器27はなくてもよいので、分配器14が同時にバルブ13及び空気供給バルブ26の開放/閉鎖を制御する。
【0068】
ここでは、カソード供給バルブ26はアノード供給バルブ13と類似又は同一である。それは、分配器27が発動されていない場合、閉鎖されることが好ましく、上記したように、過剰圧力又は過小圧力により開放のため作動されてもよい。変形例では、それは、分配器27が発動されていない場合、開放されてもよく、過剰圧力又は過小圧力により閉鎖のため作動されてもよい。
【0069】
カソード分配器27は、圧力調整器12の流体ライン11上流に接続された第1の開口27.1、圧力調整器12の流体ライン11下流に接続された第2の開口27.2、及びカソード供給バルブ26のヘッドに接続された制御開口27.3を備える。後者は、ここでは、図1A及び図1Bを参照して記載したものと類似又は同一であり、分配器27が発動されていない場合、閉鎖され、また、つまり、そのバルブヘッドが、上流側圧力Pinに実質的に等しい開放圧力で作動流体を受ける場合、過剰圧力により開放のため作動され得る。分配器27によりカソード供給バルブ26の作動は、上記の動作と同様であり、ここで更に詳細には説明しない。したがって、カソード供給バルブ26の作動は、このバルブ26を制御するためにも作動流体の圧力差を利用するので、必要なエネルギーコストが特に低い。
【0070】
特定の実施形態を上記に説明してきた。変形及び修正の範囲は、当業者には明らかであろう。したがって、上記の各種実施例は組み合わせることができ、電気化学システム20はアノード側及びカソード側の両方において、第1又は第2の実施形態にかかる流体供給装置10の流体ラインに流れる作動流体によって圧力制御された、複数の補助バルブを備えてもよい。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B