IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大嘉産業株式会社の特許一覧

特許7316103コンクリート養生装置及びコンクリート養生方法
<>
  • 特許-コンクリート養生装置及びコンクリート養生方法 図1
  • 特許-コンクリート養生装置及びコンクリート養生方法 図2
  • 特許-コンクリート養生装置及びコンクリート養生方法 図3
  • 特許-コンクリート養生装置及びコンクリート養生方法 図4
  • 特許-コンクリート養生装置及びコンクリート養生方法 図5
  • 特許-コンクリート養生装置及びコンクリート養生方法 図6
  • 特許-コンクリート養生装置及びコンクリート養生方法 図7
  • 特許-コンクリート養生装置及びコンクリート養生方法 図8
  • 特許-コンクリート養生装置及びコンクリート養生方法 図9
  • 特許-コンクリート養生装置及びコンクリート養生方法 図10
  • 特許-コンクリート養生装置及びコンクリート養生方法 図11
  • 特許-コンクリート養生装置及びコンクリート養生方法 図12
  • 特許-コンクリート養生装置及びコンクリート養生方法 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-19
(45)【発行日】2023-07-27
(54)【発明の名称】コンクリート養生装置及びコンクリート養生方法
(51)【国際特許分類】
   E21D 11/10 20060101AFI20230720BHJP
【FI】
E21D11/10 Z
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019108623
(22)【出願日】2019-06-11
(65)【公開番号】P2020200683
(43)【公開日】2020-12-17
【審査請求日】2022-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000204620
【氏名又は名称】大嘉産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】揖斐 剛
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-012957(JP,A)
【文献】特開2011-074652(JP,A)
【文献】特開2000-303719(JP,A)
【文献】特開平10-102773(JP,A)
【文献】特開2014-237926(JP,A)
【文献】特開平08-144574(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート面の少なくとも一部を覆ってコンクリートの養生を行うための養生シートと、
前記養生シートを前記コンクリート面に対して所定位置に保持するための養生シート支持装置と、を有し、
前記養生シート支持装置は、
前記養生シートを前記コンクリート面に対して所定位置に保持するための、膨張可能な袋状の養生バルーンと、
前記養生バルーンの長手方向の長さを調節可能な養生バルーン長さ調節手段と、を含
前記養生バルーン長さ調節手段は、互いに対向して設けられ前記養生バルーンの端部を挟み込んで閉塞可能なローラ及び押さえガイドを備え、前記ローラ及び前記押さえガイドによる前記養生バルーンの閉塞位置を調整することによって前記養生バルーンの長さを調節可能に構成されている、
ことを特徴とするコンクリート養生装置。
【請求項2】
前記養生バルーンは、アーチ状に膨張可能である、
請求項1に記載のコンクリート養生装置。
【請求項3】
前記養生シート支持装置は、前記コンクリート面の面方向に対して移動可能な移動手段を有する、
請求項1または請求項2に記載のコンクリート養生装置。
【請求項4】
前記養生バルーンが所定形状に膨張するのを補助するための、膨張可能な袋状の補助バルーンを有する膨張補助装置を更に備える、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のコンクリート養生装置。
【請求項5】
前記補助バルーンは、アーチ状に膨張可能である、
請求項4に記載のコンクリート養生装置。
【請求項6】
前記膨張補助装置は、前記補助バルーンのアーチ状に沿った方向の長さを調節可能な補助バルーン長さ調節手段を含む、
請求項5に記載のコンクリート養生装置。
【請求項7】
前記膨張補助装置は、前記コンクリート面の面方向に対して移動可能な移動手段を有する、
請求項4から請求項6に記載のコンクリート養生装置。
【請求項8】
コンクリート面の少なくとも一部を養生シートで覆ってコンクリートの養生を行うためのコンクリート養生方法であって、
膨張可能な袋状の養生バルーンの長手方向の長さを、養生を行う前記コンクリート面の形状に応じて調節する養生バルーン長さ調節工程と、
前記養生バルーンを膨張させて、養生シートを前記コンクリート面に対して所定位置に保持する養生バルーン膨張工程と、を含み、
前記養生バルーン長さ調節工程は、ローラ及び押さえガイドによって前記養生バルーンの端部を所定位置で挟み込んで閉塞することにより、前記養生バルーンの長さを調節する、
ことを特徴とするコンクリート養生方法。
【請求項9】
前記養生バルーン膨張行程を行って前記コンクリート面の養生が終了した後、前記養生バルーンを膨張させたまま前記コンクリート面から離し、前記養生バルーンを前記コンクリート面の面方向に対して移動させ、前記養生バルーンを養生すべき次のコンクリート面に近接させて前記養生シートを前記次のコンクリート面に対して所定位置に保持する次養生工程を更に含む、
請求項8に記載のコンクリート養生方法。
【請求項10】
前記養生バルーンに対して前記養生シートとは反対側において袋状の補助バルーンを配置し、前記補助バルーンを膨張させることによって前記養生バルーンが所定形状に膨張するのを補助する膨張補助工程を更に含む、
請求項8または請求項9に記載のコンクリート養生方法。
【請求項11】
前記養生バルーンの形状に応じて、前記補助バルーンの長手方向の長さを調節する補助バルーン長さ調節工程を更に含む、
請求項10に記載のコンクリート養生方法。
【請求項12】
前記膨張補助工程の後、前記補助バルーンを膨張させたまま前記養生バルーンから離し、前記補助バルーンを前記コンクリート面の面方向に対して移動させ、前記補助バルーンを膨張すべき次の養生バルーンに対して近接させて前記養生バルーンが所定形状に膨張するのを補助する次膨張補助工程を更に含む、
請求項10または請求項11に記載のコンクリート養生方法。
【請求項13】
コンクリート面の少なくとも一部を覆ってコンクリートの養生を行うための養生シートと、
前記養生シートを前記コンクリート面に対して所定位置に保持するための膨張可能な袋状の養生バルーンを有する養生シート支持装置と、
前記養生バルーンが所定形状に膨張するのを補助するための、膨張可能な袋状の補助バルーンを有する膨張補助装置と、備え、
前記補助バルーンは、アーチ状に膨張可能であり、
前記膨張補助装置は、前記補助バルーンの長手方向の長さを調節可能な補助バルーン長さ調節手段を含む、
ことを特徴とするコンクリート養生装置。
【請求項14】
前記膨張補助装置は、前記コンクリート面の面方向に対して移動可能な移動手段を有する、
請求項13に記載のコンクリート養生装置。
【請求項15】
コンクリート面の少なくとも一部を養生シートで覆ってコンクリートの養生を行うためのコンクリート養生方法であって、
膨張可能な袋状の養生バルーンを膨張させて、養生シートを前記コンクリート面に対して所定位置に保持する養生バルーン膨張行程と、
前記養生シートとは反対側において袋状の補助バルーンを配置し、前記補助バルーンをアーチ状に膨張させることによって前記養生バルーンが所定形状に膨張するのを補助する膨張補助工程と、
前記養生バルーンの形状に応じて、前記補助バルーンの長手方向の長さを調節する補助バルーン長さ調節工程と、
ことを特徴とするコンクリート養生方法。
【請求項16】
前記膨張補助工程の後、前記補助バルーンを膨張させたまま前記養生バルーンから離し、前記補助バルーンを前記コンクリート面の面方向に対して移動させ、前記補助バルーンを膨張すべき次の養生バルーンに対して近接させて前記養生バルーンが所定形状に膨張するのを補助する次膨張補助工程を更に含む、
請求項15に記載のコンクリート養生方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート養生装置及びコンクリート養生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トンネル等のコンクリートの打設を行う際には、例えば特許文献1に記載されるように、トンネル内面に対して養生を行う必要がある。特許文献1に記載の養生方法では、トンネル内面に保水シートとしての不織布と有孔導水管とを配置し、その内側から空気チューブを膨らませることにより、不織布及び有孔導水管をトンネル内面に押しつける。その後有孔導水管から水を供給して不織布に吸収させることにより、コンクリートの湿潤状態を維持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-102773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、トンネル工法においては、様々なトンネルの形状、寸法に対応して、専用の設備を用意する必要がある。前述の特許文献1に記載の養生方法においても、各トンネルに対して専用の不織布、有孔導水管、及び空気チューブを用意する必要があり、その設計及び製造に相当の時間と費用を必要とする。この問題はトンネルのコンクリート打設の場合に限らず、様々な形状のコンクリート打設面に対して養生を行う場合に起こりうる問題である。
本発明の目的は、上記のような問題に鑑み、様々な形状のコンクリート打設面に対して共通の設備を用いて養生を行うことができるコンクリート養生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明のコンクリート養生装置は、コンクリート面の少なくとも一部を覆ってコンクリートの養生を行うための養生シートと、養生シートをコンクリート面に対して所定位置に保持するための養生シート支持装置と、を有し、養生シート支持装置は、養生シートをコンクリート面に対して所定位置に保持するための、膨張可能な袋状の養生バルーンと、養生バルーンの長手方向の長さを調節可能な養生バルーン長さ調節手段と、を含み、養生バルーン長さ調節手段は、互いに対向して設けられ養生バルーンの端部を挟み込んで閉塞可能なローラ及び押さえガイドを備え、ローラ及び押さえガイドによる養生バルーンの閉塞位置を調整することによって養生バルーンの長さを調節可能に構成されている、ことを特徴としている。
【0006】
このような構成の本発明によれば、養生バルーンの長手方向の長さが調節可能な養生バルーン長さ調節手段を有するので、養生バルーンの長さを調節することにより、養生バルーンで養生シートを所定位置に保持するための範囲を調節することが可能になる。これにより、様々な寸法、形状のコンクリート打設面に対して養生を行うことが可能になり、コンクリート養生装置の汎用性が向上する。
【0007】
本発明においては、好ましくは、養生バルーン長さ調節手段は、袋状の養生バルーンを所望の長さ位置で閉塞可能に構成される。
このように構成された本発明によれば、養生バルーン長さ調節手段が、袋状の養生バルーンを所望の長さ位置で閉塞可能に構成されているので、養生バルーンの閉塞位置を調節することにより、簡単に養生バルーンの長さの調節が可能になる。
【0008】
本発明においては、好ましくは、養生バルーンは、アーチ状に膨張可能である。
このように構成された本発明によれば、養生バルーンがアーチ状に膨張可能であるので、例えばトンネル内面のようなアーチ状のコンクリート打設面に対しても養生バルーンがコンクリート打設面の形状に沿って膨張するから、養生シートがコンクリ-ト打設面に沿って配置され、良好に養生が行われる。
【0009】
本発明においては、好ましくは、養生シート支持装置は、コンクリート面の面方向に対して移動可能な移動手段を有する。
このように構成された本発明によれば、養生シート支持装置がコンクリート面の面方向に対して移動可能な移動手段を有するので、養生シートをコンクリート面に対して所定位置に保持して養生を行った後、養生シート支持装置を移動させて次のコンクリート面に対して養生シートを保持することが可能になる。よって、少ない設備でより大きな面積の養生を行うことが可能になり、養生作業が効率的になる。
【0010】
本発明においては、好ましくは、養生バルーンが所定形状に膨張するのを補助するための、膨張可能な袋状の補助バルーンを有する膨張補助装置を更に備える。
このように構成された本発明によれば、膨張補助装置の補助バルーンが養生バルーンを補助して養生バルーンが所定形状に膨張するのを助けるので、養生バルーンが確実に所定形状に膨張し、養生シートが確実に所定位置に保持される。
【0011】
本発明においては、好ましくは、補助バルーンは、アーチ状に膨張可能である。
このように構成された本発明によれば、補助バルーンがアーチ状に膨張可能であるので、例えばトンネル内面のようなアーチ状のコンクリート打設面に対しても補助バルーンがコンクリート打設面の形状に沿って膨張するから、養生バルーンがコンクリート打設面に沿って膨張することが可能になり、養生が良好に行われる。特に養生バルーンがアーチ状に膨張可能である場合には、補助バルーンが養生バルーンの形状に沿って膨張するので、より確実に養生バルーンを補助することが可能になる。
【0012】
本発明においては、好ましくは、膨張補助装置は、補助バルーンの長手方向の長さを調節可能な補助バルーン長さ調節手段を含む。
このように構成された本発明によれば、補助バルーン長さ調節手段を含むので補助バルーンの長さを調節することにより、養生バルーンを補助する範囲を調節することが可能になる。これにより、様々な寸法、形状の養生バルーンを補助することが可能になり、これにより様々な寸法、形状のコンクリート打設面に対して養生を行うことができるから、コンクリート養生装置の汎用性が向上する。
【0013】
本発明においては、好ましくは、膨張補助装置は、コンクリート面の面方向に対して移動可能な移動手段を有する。
このように構成された本発明によれば、膨張補助装置がコンクリート面の面方向に対して移動可能な移動手段を有するので、養生バルーンを所定形状に膨張させるのを補助した後、膨張補助装置を移動させて次のコンクリート面に対して養生バルーンの膨張を補助することが可能になる。よって、少ない設備でより大きな面積の養生を効率的に行うことが可能になる。
【0014】
また、上記の目的を達成するために、本発明のコンクリート養生方法は、コンクリート面の少なくとも一部を養生シートで覆ってコンクリートの養生を行うためのコンクリート養生方法であって、膨張可能な袋状の養生バルーンの長手方向の長さを、養生を行うコンクリート面の形状に応じて調節する養生バルーン長さ調節工程と、養生バルーンを膨張させて、養生シートをコンクリート面に対して所定位置に保持する養生バルーン膨張行程と、を含み、養生バルーン長さ調節工程は、ローラ及び押さえガイドによって養生バルーンの端部を所定位置で挟み込んで閉塞することにより、養生バルーンの長さを調節する、ことを特徴としている。
【0015】
このように構成された本発明によれば、養生バルーン長さ調節工程により養生バルーンの長手方向の長さを調節するので、養生バルーンで養生シートを所定位置に保持するための範囲を調節することが可能になる。これにより、様々な寸法、形状のコンクリート打設面に対して養生を行うことが可能になり、コンクリート養生装置の汎用性が向上する。
【0016】
本発明においては、好ましくは、バルーン長さ調節工程は、養生バルーンを所望の長さで閉塞することによって行われる。
このように構成された本発明によれば、袋状の養生バルーンを所望の長さ位置で閉塞することによって、簡単に養生バルーンの長さの調節が可能になる。
【0017】
本発明においては、好ましくは、養生バルーン膨張行程を行ってコンクリート面の養生が終了した後、養生バルーンを膨張させたままコンクリート面から離し、養生バルーンをコンクリート面の面方向に対して移動させ、養生バルーンを養生すべき次のコンクリート面に近接させて養生シートを次のコンクリート面に対して所定位置に保持する次養生工程を更に含む。
このように構成された本発明によれば、養生バルーン膨張行程を行って養生シートを所定位置に保持してコンクリート面の養生を行った後、養生バルーンを膨張させたまま次のコンクリート面へ移動して次の養生シートを保持するので、少ない設備でより大きな面積の養生を行うことが可能になり、養生作業が効率的になる。
【0018】
本発明においては、好ましくは、養生バルーンに対して養生シートとは反対側において袋状の補助バルーンを配置し、補助バルーンを膨張させることによって養生バルーンが所定形状に膨張するのを補助する膨張補助工程を更に含む。
このように構成された本発明によれば、補助バルーンが養生バルーンを補助して養生バルーンが所定形状に膨張するのを助けるので、養生バルーンが確実に所定形状に膨張し、養生シートが確実に所定位置に保持される。
【0019】
本発明においては、好ましくは、養生バルーンの形状に応じて、補助バルーンの長手方向の長さを調節する補助バルーン長さ調節工程を更に含む。
このように構成された本発明によれば、補助バルーンの長手方向の長さを調節するので、養生バルーンを補助する範囲を調節することが可能になる。これにより、様々な寸法、形状の養生バルーンを補助することが可能になり、これにより様々な寸法、形状のコンクリート打設面に対して養生を行うことができるから、コンクリート養生装置の汎用性が向上する。
【0020】
本発明においては、好ましくは、膨張補助工程の後、補助バルーンを膨張させたまま養生バルーンから離し、補助バルーンをコンクリート面の面方向に対して移動させ、補助バルーンを膨張すべき次の養生バルーンに対して近接させて養生バルーンが所定形状に膨張するのを補助する次膨張補助工程を更に含む。
このように構成された本発明によれば、補助バルーンを膨張させたままコンクリート面の面方向に対して移動させるので、養生バルーンを所定形状に膨張させるのを補助した後、補助バルーンを移動させて次のコンクリート面に対して養生バルーンの膨張を補助することが可能になる。よって、少ない設備でより大きな面積の養生を効率的に行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係るコンクリート養生装置の養生シート支持装置を示す正面図である。
図2】本発明の一実施形態に係るコンクリート養生装置の養生シート支持装置を示す側面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る養生シート支持装置の養生バルーン長さ調節手段を示す断面図である。
図4】本発明の一実施形態に係るコンクリート養生装置の膨張補助装置を示す正面図である。
図5】本発明の一実施形態に係るコンクリート養生装置の膨張補助装置を示す側面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る膨張補助装置の補助バルーンの補助バルーン長さ調節手段を示す部分拡大図である。
図7】本発明の一実施形態に係る補助バルーン長さ調節手段を示す部分拡大図である。
図8】本発明の一実施形態に係るコンクリート養生方法を示す図である。
図9】本発明の一実施形態に係るコンクリート養生方法を示す図である。
図10】本発明の一実施形態に係るコンクリート養生方法を示す図である。
図11】本発明の一実施形態に係るコンクリート養生方法を示す図である。
図12】本発明の一実施形態に係るコンクリート養生方法を示す図である。
図13】本発明の変形例に係るコンクリート養生方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好ましい実施形態を添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るコンクリート養生装置の養生シート支持装置を示す正面図であり、図2は、本発明の一実施形態に係るコンクリート養生装置の養生シート支持装置を示す側面図であり、図3は、本発明の一実施形態に係る養生シート支持装置の養生バルーン長さ調節手段を示す断面図であり、図4は、本発明の一実施形態に係るコンクリート養生装置の膨張補助装置を示す正面図であり、図5は、本発明の一実施形態に係るコンクリート養生装置の膨張補助装置を示す側面図である。
【0023】
これらの図1乃至5に示すように、本発明の一実施形態に係るコンクリート養生装置は、コンクリート面の少なくとも一部を覆ってコンクリートの養生を行うための養生シート2(図8参照)と、養生シート2をコンクリート面に対して所定位置に保持するための養生バルーン4を備えた養生シート支持装置(図1及び2参照)6と、養生シート支持装置6の養生バルーン4が所定形状に膨張するのを補助するための膨張補助装置8(図4及び5)と、を備える。
なお、本実施形態では、トンネル100(図8参照)の内面に打設されたコンクリートを養生するためのコンクリート養生装置について説明する。
【0024】
養生シート2は、トンネル100の内面のアーチ状の内周全体を覆うことができる長さと、トンネル100の内面の長さ方向の所定距離を覆うことができる長さを有するシート状部材である。
養生シート支持装置6は、図1及び図2に示すように、養生バルーン4と、養生バルーン4の両端を支持する支持台10と、2つの支持台10を載置するジャッキ台12と、を有する。支持台10の一方の内部には、養生バルーン4の長手方向の長さを調節可能な養生バルーン長さ調節手段14が配置されている。
【0025】
養生バルーン4は、トンネル100の長さ方向に沿って等間隔に配置可能な複数(本実施形態では5本)のメインバルーン16と、メインバルーン16同士を連結するサブバルーン18と、を有する。
メインバルーン16は、アーチ状に膨張可能な袋状に形成され、一方の端部が一方の支持台10に固定されている。この一方の端部付近には、メインバルーン16内に空気を注入するためのバルブ20と、メインバルーン16内の圧力を検出するための圧力センサ接続部22とが設けられている。メインバルーン16の他方の端部は、養生バルーン長さ調節手段14に挿入されている。この他方の端部付近には、養生バルーンの長さ調節のための目印24が所定間隔を隔てて複数設けられている。
メインバルーン16は、一重の袋状に形成されていてもよいが、例えば同じ素材のシートを二枚重ねて、あるいは異なる素材のシートを二枚重ねて、二重に形成されていてもよい。
【0026】
サブバルーン18は、5本のメインバルーン16を互いに連結するために、トンネル100の長さ方向に沿って延びる袋状のバルーンである。サブバルーン18は、メインバルーン16をアーチ状に膨張させたときのアーチ状の頂点付近及びその両側に所定間隔をあけて2本配置され、計3本配置されている。3本のサブバルーン18にはそれぞれ内部に空気を入れるためのバルブ(図示せず)とサブバルーン18の内部の圧力を検出するための圧力センサ接続部(図示せず)とが設けられている。
【0027】
他方の支持台10の内部に設けられた養生バルーン長さ調節手段14は、メインバルーン16の他方の端部を挟み込むローラ26及び押さえガイド28と、ローラ26を押さえガイド28に対して押しつけるためのプッシャ30と、プッシャ30をローラ26の半径方向に進退可能に支持するシリンダ32と、を有する。
ローラ26は、プッシャ30の進退方向に沿って若干移動可能に設けられており、これにより押さえガイド28に対して近接離間可能に設けられている。
押さえガイド28は、その内面がローラ26の外面に対向して設けられた円弧状の部材であり、内面の半径は、ローラ26の外径とほぼ同じである。したがって、押さえガイド28とローラ26との間には、円弧状の隙間34が形成される。この隙間34の距離は、円弧状の全域にわたってほぼ同じ距離になっており、この隙間34にメインバルーン16の端部が挿入されている。
【0028】
プッシャ30は、その先端側に、ローラ26の外径とほぼ同じ半径の円弧形の内面を有し、ローラ26の外面に当接可能に設けられている。プッシャ30の基端側はシリンダ32に固定されている。
シリンダ32は、プッシャ30をローラ26の外面に押しつけて隙間34に挿入されたメインバルーン16をローラ26と押さえガイド28との間に挟み込んで袋状のメインバルーン16を閉塞する閉塞位置と、プッシャ30をローラ26の外面から離間させてメインバルーン16の挟み込みを開放する開放位置との間で移動可能である。
【0029】
次に、膨張補助装置8について説明する。
膨張補助装置8は、図4及び図5に示すように、膨張可能な袋状の補助バルーン36と、補助バルーン36の端部を支持する台車38と、を有する。
補助バルーン36は、トンネル100の長さ方向に沿って等間隔に複数(本実施形態では5本)設けられており、補助バルーン36の間には、隣接する補助バルーン36を互いに連結する連結シート40が設けられている。補助バルーン36の両端は、端部を開口した状態で台車38に接続されている。
補助バルーン36は、一重の袋状に形成されていてもよいが、例えば同じ素材のシートを二枚重ねて、あるいは異なる素材のシートを二枚重ねて、二重に形成されていてもよい。
【0030】
補助バルーン36の両端付近には、補助バルーン36の長手方向の長さを調節可能な補助バルーン長さ調節手段42が設けられている。
図6及び図7は、本発明の一実施形態に係る膨張補助装置8の補助バルーン36の補助バルーン長さ調節手段42を示す部分拡大図である。図6に示すように、補助バルーン長さ調節手段42は、補助バルーン36の両端付近の外周にそれぞれ設けられたフラップ44と、フラップ44に設けられたはとめ46とを有する。
【0031】
フラップ44は、一対設けられ、上方のフラップ44Aは上端が補助バルーン36に外周に固定され下方に向かって延び、下方のフラップ44Bは下端が補助バルーン36の外周に固定され上方に向かって延びる。本実施形態では、図4及び図5に示すように、一対のフラップ44の組が上下に二組設けられており、上下の組のフラップ44では、上下のフラップ44間の距離が異なっている。具体的には、上の組のフラップ44の上下のフラップ44間の距離は、下の組のフラップ44の上下のフラップ44間の距離よりも大きく設定されている。
【0032】
補助バルーン36の長さを調節する際には、図7に示すように、上方のフラップ44Aのはとめ46と下方のフラップ44Bのはとめ46との間に紐48を通し、上下のフラップ44A,44Bの間の補助バルーン36を縮めた状態で紐48を縛る。補助バルーン36の各端にはそれぞれ上下二組の一対のフラップ44が設けられているから、これらの組み合わせることにより、様々な長さにわたって補助バルーン36を縮めることができる。具体的には、上の組のフラップ44の上下フラップ44A,44Bを縛る場合、下の組のフラップ44の上下フラップ44A、44Bを縛る場合、上の組のフラップ44の上方のフラップ44Aと下の組のフラップ44の下方のフラップを縛る場合等が考えられる。また、長さ調節手段42は補助バルーン36の両端に設けられているので、一方の長さ調節手段42において長さ調節を行う場合と両方の長さ調節手段42において長さ調節を行う場合を使い分けることによっても、補助バルーン36を異なる長さに調節することができる。
【0033】
台車38は、補助バルーン36の両端をそれぞれ固定する支持プレート50と、支持プレート50を移動可能に支持する車輪52と、支持プレート50を介して補助バルーン36の内部に空気を送る送風ユニット54と、を有する。台車38は、車輪52を有することによって台車38の設置面に対して補助バルーン36を移動可能に支持するから、台車38は、本発明の移動手段としての機能を果たす。
【0034】
以上のように構成されたコンクリート養生装置を用いたコンクリート養生方法について以下に説明する。
図8図12は、本発明の一実施形態に係るコンクリート養生方法を示す図である。まず、内面にコンクリートが打設された状態のトンネル100内面の形状、寸法に応じて、養生バルーン4の長さを調節する養生バルーン長さ調節工程及び補助バルーン36の長さを調節する補助バルーン長さ調節工程を行う。
【0035】
具体的には、養生シート長さ調節工程においては、養生バルーン長さ調節手段14のシリンダ32を開放位置に位置させた状態で、メインバルーン16の端部をローラ26から引き出す、またはメインバルーン16の端部を隙間34に入れ込んで、メインバルーン16の端部の長さを調節する。メインバルーン16の長さの調節の際には、目印24を目安にするとよい。メインバルーン16を所望の長さに調整した後、シリンダ32を開放一から閉塞位置へと移動させ、プッシャ30をローラ26に押しつけることにより、ローラ26が押さえガイド28に押しつけられて、隙間34を塞ぐ。これにより、メインバルーン16は所望の長さ位置において閉塞されて、メインバルーン16の長さが調節される。
【0036】
補助バルーン長さ調節工程は、図6及び図7を用いて説明したように、適宜フラップ44を選択してフラップ44の一方のはとめ46と他方のフラップ44のはとめ46とを紐48で縛ることにより、補助バルーン36の長さをちょうせつする。
【0037】
養生バルーン長さ調節工程及び補助バルーン長さ調節工程の後、トンネル100内部の設置面102に、養生シート2と、養生シート支持装置6と、膨張補助装置8とを設置する。この設置工程では、図8に示すように、膨張補助装置8の補助バルーン36に空気を入れずに収縮させた状態で、一対の台車38をトンネル100の両端に配置する。このとき、車輪52による支持が不安定である場合には、例えば台車38にアウトリガー等を設けて、台車38を所定位置に固定してもよい。
補助バルーン36の台車38の外側に、養生バルーン4が補助バルーン36の上側に位置するように、養生シート支持装置6を配置する。このとき、養生バルーン4のメインバルーン16が補助バルーン36の上方に位置するように養生バルーン4を配置するが、これに限らず、養生バルーン4のメインバルーン16が補助バルーン36の間の連結シート40の上方に位置していてもよい。
そして、養生バルーン4の上方に養生シート2を配置する。
【0038】
次に、養生バルーン4のサブバルーン18を膨張させるサブバルーン膨張行程を行う。サブバルーン膨張行程では、計5本のサブバルーン18に空気を注入し、サブバルーン18を膨張させる。この行程により、サブバルーン18が膨張し、養生バルーン4の錘の役割を果たし、養生バルーン4が補助バルーン36上で安定して位置決めされる。
【0039】
その後、図9に示すように、補助バルーン36を膨張させて養生バルーン4及び養生シート2を支持して養生バルーン4が所定形状に膨張するのを補助する膨張補助工程を行う。この膨張補助工程では、台車38に取り付けられた送風ユニット54から補助バルーン36に空気を送り、補助バルーン36を膨張させる。圧力センサにより補助バル-ん36内の圧力を監視し、所定圧力まで到達したら送風を停止する。空気が供給された補助バルーン36はアーチ状に膨張して、養生バルーン4及び養生シート2を上方にアーチ状に持ち上げる。なお、送風ユニット54による送風は、所定圧力を維持できる場合には上述のように停止してもよいが、所定圧力を保持するように続けてもよい。
【0040】
膨張補助工程の後、図10に示すように養生バルーン4を膨張させる養生バルーン膨張行程を行う。養生バルーン膨張行程では、各メインバルーン16のバルブ20から空気を注入し、メインバルーン16を膨張させる。圧力センサ接続部22に接続された圧力センサによりメインバルーン16内の圧力を監視し、所定圧力に到達したとき、空気の供給を停止する。メインバルーン16は補助バルーン36に下側から支えられてるため、途中で座屈する等の変形がなく、アーチ状に膨張する。そして養生バルーン4は、養生シート2を上に押し上げて、養生シート2をトンネル100内面のコンクリート面に接触させるかまたはコンクリート面から所定距離を保った状態で保持する。
なお、メインバルーン16への空気の供給は、メインバルーン16内の所定圧力を維持できる場合には上述のように停止してもよいが、所定圧力を保持するように続けてもよい。
【0041】
このように、養生バルーン4で養生シート2を保持した状態を維持することにより、図11に示すように、養生シート2は、トンネル100のコンクリート面を覆って、コンクリート面の湿潤状態を維持し養生を行う。
【0042】
養生バルーン4が所定形状のアーチ状に膨張した状態では、養生バルーン4は補助バルーン36がなくても所定形状を維持することができるので、養生バルーン膨張行程を行った後は、養生バルーン4及び養生シート2で養生を行っている間に、膨張補助装置8を養生すべき次のコンクリート面に移動させて、次のコンクリート面における養生バルーンの膨張を補助する次膨張補助工程を行う。
図12は、本発明の一実施形態に係るコンクリート養生方法を示す図である。この図12に示すように、補助バルーン36の空気を少し抜いて補助バルーン36を若干しぼませる。すると、補助バルーン36は、膨張したままで養生バルーン4から離れる。この状態で、補助バルーン36の台車38を移動させて膨張補助装置8をトンネル100の長手方向に移動させて、既に養生シート2及び養生バルーン4が配置された領域に隣接した領域である、次に養生すべき領域に位置決めする。そして補助バルーン36の上に新たな養生バルーン4及び養生シート2を配置し、補助バルーン36を再び膨張させることによって養生バルーン4及び養生シート2を持ち上げる。その後、養生バルーン4を膨張させることにより、次に養生すべき領域を養生シート2で覆う。これを繰り返し、養生シート2をトンネル100の所望の長さにわたって配置する。
【0043】
このように構成された本実施形態によれば、次のような優れた効果を得ることができる。
養生シート支持装置6が、養生バルーン4の長手方向の長さを調節可能な養生バルーン長さ調節手段14を有するので、養生バルーン4の長さを調節することができる。よって養生バルーン4によって養生シート2を配置する範囲を調節することができ、様々なトンネル100の形状及び寸法に対応して養生シート2を支持することができる。よってコンクリート養生装置の汎用性を向上させることができる。
【0044】
養生バルーン長さ調節手段14が、ローラ26及び押さえガイド28を有し、メインバルーン16の端部を所望の長さ位置で閉塞可能に構成したので、メインバルーン16の閉塞位置を変更するだけで養生バルーン4の長さを簡単に調節することができる。
【0045】
養生バルーン4のメインバルーン16がアーチ状に膨張可能であるので、トンネル100の内面のようなアーチ状のコンクリート面に対して養生バルーン4が良好に沿うことができる。これにより、養生シート2をアーチ状のコンクリート面に良く沿うように配置することができるから、コンクリート面の養生を確実に行うことができる。
【0046】
膨張補助装置8を有するので、養生バルーン4が膨張する際に途中で座屈せずアーチ状に膨張するのを補助することができる。よって養生バルーン4を確実にアーチ状に膨張させることができ、養生シート2をトンネル100のコンクリート面に対して所定位置に保持することができる。
【0047】
膨張補助装置8の補助バルーン36がアーチ状に膨張可能であるので、トンネル100の内面のようなアーチ状のコンクリート面及びアーチ状の養生バルーン4に対して補助バルーン36を良好に沿わせることができる。これにより、養生バルーン4をアーチ状に確実に膨張させることができる。
【0048】
膨張補助装置8の補助バルーン36がフラップ44及びはとめ46による補助バルーン長さ調節手段42を有するので、補助バルーン36を様々な形状、寸法に対応して膨張させることができる。よって様々な寸法、形状のトンネル100のコンクリート面に対して養生バルーン4及び養生シート2を支持することができるから、コンクリート養生装置の汎用性を向上させることができる。
【0049】
養生シート2をコンクリート面に対して配置する際には、養生バルーン4の長さを調節する養生バルーン長さ調節工程を行うので、養生バルーン4の長さをトンネル100の内面の形状や寸法に合わせて調節することができる。よって様々な形状や寸法のトンネル100に対して共通の養生シート支持装置6を使用することができるから、コンクリート養生装置の汎用性を向上させることができる。
【0050】
養生バルーン4を膨張させる際には、補助バルーン36を膨張させて養生バルーン4をアーチ状に膨張する補助を行う膨張補助工程を行うので、補助バルーン36によって養生バルーン4をアーチ状に確実に膨張させることができる。これにより養生シート2を確実にコンクリート面に対して所定位置に保持することができ、コンクリートの養生を確実に行うことができる。
【0051】
膨張補助装置8を使用する際には、フラップ44及びはとめ46による、補助バルーン36の長さを調節する補助バルーン長さ調節工程を行うので、様々な形状及び寸法の養生バルーン4に対応して補助バルーン36の膨張寸法、膨張形状を調節することができる。よって様々な寸法、形状のコンクリート面に対して養生を行うことができる。
【0052】
膨張補助工程の後、補助バルーン36を若干しぼませて、膨張させたまま養生バルーン4から離し、次の養生領域に移動させて次膨張補助工程を行うので、同じ膨張補助装置8を用いて複数の養生バルーン4の膨張補助を順次行うことができる。よってより少ない設備で効率的に養生作業を行うことができる。
【0053】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、例えば、以下のような態様であってもよい。
前述の実施形態では、養生シート支持装置6は、ジャッキ台12の上に固定されていたが、これに限らず、コンクリート面の面方向に対して移動可能な移動手段を有していてもよい。この場合には、養生シートによるコンクリート面の養生が終了した後、養生バルーン4を膨張させたままコンクリート面から離し、養生バルーンをコンクリート面の面方向に対して移動させ、養生すべき次のコンクリート面に近接させて養生シートを次に養生すべきコンクリート面に対して所定位置に保持する次養生工程を行ってもよい。
【0054】
具体的な構造について説明すると、図13は、本発明の変形例に係るコンクリート養生方法を示す図である。この図13に示すように、2つの養生シート支持装置6は、養生バルーン4を取り付けた台車60を有し、この台車60には車輪62が設けられている。このように養生シート支持装置6は、台車60の車輪62によってトンネル100の長手方向に移動可能となっている。また、この台車60は、養生バルーン4を上下方向に移動可能な昇降装置64を有している。よってこの変形例において台車60は本発明における養生シート支持装置の移動手段として機能する。
【0055】
このような構造の養生シート支持装置6では、2つの養生シート2及び養生シート支持装置6を用いて2つの養生領域を養生し、1つ目の養生シート2による養生が終了したら、1つ目の養生バルーン4を昇降装置64によって下方に移動させ、養生バルーン4を膨張させたままコンクリート面から離間する方向に移動させる。養生シート2は養生バルーン4の下降に伴ってコンクリート面から離れ、養生バルーン4の上に載置される。この状態で台車60を移動させて、2つ目の養生バルーン4の内側を通り、2つ目の養生領域に隣接する次の養生領域まで養生シート2及び養生シート支持装置6を移動させる。そして昇降装置64によって養生バルーン4を上昇させることにより、次の養生領域のコンクリート面に対して養生シート2を所定位置に保持する。
【0056】
このような構成の養生シート支持装置6であれば、2組の養生シート2及び養生シート支持装置6を用いて順次養生を行うことができるから、より少ない設備で効率的に養生を行うことができる。
【0057】
上述の実施形態では、膨張補助装置は移動手段を有していたが、必ずしも移動手段を有していなくてもよい。また、移動手段を有していない場合でも、膨張補助装置を次のコンクリート面の養生のための養生シートの補助のために使用してもよい。その場合には、膨張補助装置の補助バルーンを一旦収縮させ、養生すべき次のコンクリート面の位置に設置した後、改めて補助バルーンを膨張させてもよい。
上述の実施形態では、補助バルーンは、フラップ及びはとめによる補助バルーン長さ調節手段を有していたが、これに限らず例えば筒状の補助バルーン部品をファスナ等で任意の数連結することによって補助バルーンの長さを調節してもよい。また、補助バルーンは補助バルーン長さ調節手段を有していたが、これに限らず、補助バルーン長さ調節手段を有していなくてもよい。
更に、膨張補助装置は、補助バルーンの長さを調節することによって養生バルーンの所定形状への膨張を補助していたが、これに限らず、例えば補助バルーンの高さを調節することによって養生バルーンの膨張を補助してもよい。具体的には、補助バルーンの端部の間隔、例えば前述の実施形態では、台車38間の間隔を狭めることにより、補助バルーンのアーチの高さを高くして、養生バルーンの持ち上げを補助してもよい。この場合には、補助バルーンのアーチの高さを高くすることにより、様々な形状、寸法のコンクリート面に対応して養生バルーンの補助を行うことが可能になる。
【0058】
また、上述の実施形態では、補助バルーンはアーチ状に形成されていたが、これに限らず、養生するコンクリート面の形状や寸法等を勘案して任意の形状を採用することができる。
上述の実施形態では、膨張補助装置を用いて養生バルーンの膨張を補助していたが、形状やバルーンの材質、寸法等によっては膨張補助装置を用いなくても養生バルーンを所定形状に膨張させることができる場合があるので、必ずしも膨張補助装置を用いる必要はない。
【0059】
上述の実施形態では、養生バルーンは、袋状の養生バルーンを所望の長さで閉塞することによってその長さを調節していたが、これに限らず、例えば補助バルーンと同様にバルーンの長さを短縮可能に構成する、筒状の養生バルーン部品をファスナ等で任意の数連結する等の任意の方法で長さを調節すればよい。
また、養生バルーンは、アーチ状に形成されていたが、これに限らず、養生するコンクリート面の形状や寸法等を勘案して任意の形状を採用することができる。
【0060】
上述の実施形態では、養生バルーンはサブバルーンで連結され補助バルーンは連結シートで連結されていたが、これに限らず複数の養生バルーンまたは補助バルーンを個々に台車に連結してもよい。また、養生バルーン及び補助バルーンの数は、実施形態の5つ一組であるものに限らず、自由に設定してよく、1つずつ配置して使用してもよい。
【0061】
上述の実施形態では、トンネル内面のコンクリート面を養生する装置及び方法について説明したが、本発明は、トンネルに限らず、斜面や曲面、垂直面等、養生シートを配置しにくい任意の形状のコンクリート面を養生する装置及び方法として使用することができる。
【符号の説明】
【0062】
2 養生シート
4 養生バルーン
6 養生シート支持装置
8 膨張補助装置
14 養生バルーン長さ調節手段
36 補助バルーン
38 台車(移動手段)
42 補助バルーン長さ調節手段
60 台車(移動手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13