IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社小松製作所の特許一覧

特許7316126工作機械システムと工作機械諸元の推定方法
<>
  • 特許-工作機械システムと工作機械諸元の推定方法 図1
  • 特許-工作機械システムと工作機械諸元の推定方法 図2
  • 特許-工作機械システムと工作機械諸元の推定方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-19
(45)【発行日】2023-07-27
(54)【発明の名称】工作機械システムと工作機械諸元の推定方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/18 20060101AFI20230720BHJP
   G05B 19/4063 20060101ALI20230720BHJP
【FI】
G05B19/18 W
G05B19/4063 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019128243
(22)【出願日】2019-07-10
(65)【公開番号】P2021015333
(43)【公開日】2021-02-12
【審査請求日】2022-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 尚登
【審査官】中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-072912(JP,A)
【文献】特開2008-234295(JP,A)
【文献】特開2018-063653(JP,A)
【文献】特開2008-071015(JP,A)
【文献】特開平08-328630(JP,A)
【文献】特開2017-109277(JP,A)
【文献】特開2013-196130(JP,A)
【文献】特開平05-042446(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 15/00-15/28
B23Q 37/00-41/08
B25J 1/00-21/02
G05B 19/18-19/416
G05B 19/418
G06Q 10/00-10/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を収容するための収容空間と、切削工具とを有する工作機械と、
前記切削工具を用いて前記被加工物に切削加工を施したとき、第1軸方向における前記切削工具の第1加工範囲を収集する収集部と、
収集された前記第1加工範囲の最大値及び最小値に基づき、前記収容空間の前記第1軸方向におけるサイズを推定する推定部と、
を備える工作機械システム。
【請求項2】
前記収集部は、前記切削工具を用いて前記被加工物に切削加工を施したとき、前記第1軸方向と直交する第2軸方向における前記切削工具の第2加工範囲を収集し、
前記推定部は、収集された前記第2加工範囲の最大値及び最小値に基づいて、前記収容空間の前記第2軸方向におけるサイズを推定する、
請求項1に記載の工作機械システム。
【請求項3】
前記収集部は、前記切削工具を用いて前記被加工物に切削加工を施したとき、前記第1及び第2軸方向それぞれと直交する第3軸方向における前記切削工具の第3加工範囲を収集し、
前記推定部は、収集された前記第3加工範囲の最大値及び最小値に基づいて、前記収容空間の前記第3軸方向におけるサイズを推定する、
請求項2に記載の工作機械システム。
【請求項4】
前記第1軸方向及び前記第2軸方向は、それぞれ水平方向に平行であり、
前記第1加工範囲の最大値及び最小値によって規定される第1ストロークは、前記第2加工範囲の最大値及び最小値によって規定される第2ストローク以上であり、前記第3加工範囲の最大値及び最小値によって規定される第3ストローク以上である、
請求項3に記載の工作機械システム。
【請求項5】
工作機械の諸元の推定方法であって、
前記工作機械は工具を有し、前記工具による施工時の前記工具の加工範囲を取得すること、
取得された前記加工範囲より特定方向の加工範囲の最大値及び最小値を記憶すること、
前記施工の都度、前記特定方向の加工範囲の前記最大値がより大きくなる場合に前記最大値を更新し、かつ、前記最小値がより小さくなる場合に前記最小値を更新すること、
更新された最大値と最小値の差分を前記工作機械の前記諸元と推定すること、
を含む推定方法。
【請求項6】
前記工作機械は、被加工物を収容するための収容空間を備え、
前記諸元は、前記収容空間の前記特定方向におけるサイズである、
請求項5に記載の推定方法。
【請求項7】
前記特定方向は、互いに直交する第1軸方向と第2軸方向と第3軸方向を含み、
各軸方向の前記更新された最大値と最小値の差分が最大の軸方向を前記特定方向とする、
請求項6に記載の推定方法。
【請求項8】
取得されているべき前記工作機械の前記収容空間のサイズに関する情報が未取得であることをもって発動すること、
を含む請求項6に記載の推定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、工作機械システムと工作機械諸元の推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、NC(Numerical Control)プログラムに従って、被加工物を所望の形状に加工するコンピュータ数値制御工作機械(以下、「工作機械」という。)が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、1以上の工作機械と、各工作機械に記憶された工具情報及び加工条件などを自動的に収集する制御装置とを備えるシステムが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、1以上の工作機械と、作業者が入力した各工作機械の稼働状況に関する情報を収集する制御装置とを備えるシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-41387号公報
【文献】特開2004-54701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、所定サイズの被加工物を加工するにあたって、生産管理のために当該被加工物を加工可能な工作機械を選定する必要がある。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のシステムでは、全ての工作機械において、機械制御と関連の薄い諸元まで記憶されているわけではない。特に、被加工物が配置される収容空間のサイズ(例えば、テーブルサイズ)を記憶していない工作機械が存在する場合、当該工作機械が被加工物を加工可能かどうか判断できない。
【0008】
また、特許文献2に記載のシステムでは、全工作機械について、被加工物が配置される収容空間のサイズを作業者が入力する必要があり煩雑である。
【0009】
本開示は、上述の状況に鑑みてなされたものであり、工作機械諸元の一つである収容空間のサイズを簡便に推定可能な工作機械システム、及び、工作機械諸元を簡便に推定可能な工作機械諸元の推定方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一態様に係る工作機械システムは、工作機械と、収集部と、推定部とを備える。工作機械は、被加工物を収容するための収容空間と、切削工具とを有する。収集部は、切削工具を用いて被加工物に切削加工を施したときの、第1軸方向における切削工具の第1加工範囲を収集する。推定部は、収集された第1加工範囲の最大値及び最小値に基づき、収容空間の第1軸方向におけるサイズを推定する。
【0011】
本開示の別の態様に係る工作機械諸元の推定方法は、以下の処理を含む。工作機械は工具を有し、工具による施工時の工具の加工範囲を取得すること。取得された加工範囲から特定方向の加工範囲の最大値及び最小値を記憶すること。施工の都度、特定方向の加工範囲の最大値がより大きくなる場合に記憶されている最大値を更新し、かつ、最小値がより小さくなる場合に記憶されている最小値を更新すること。最大値と最小値の差分を工作機械の諸元とすること。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、工作機械の収容空間のサイズを簡便に推定可能な工作機械システム、及び、工作機械諸元を簡便に推定可能な工作機械諸元の推定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係る工作機械システムの構成を示すブロック図
図2】実施形態に係る工作機械システムに記憶される工作機械属性テーブル
図3】実施形態に係る工作機械諸元の推定方法のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0014】
(工作機械システム1の構成)
本実施形態に係る工作機械システム1の構成について図面を参照しながら説明する。図1は、工作機械システム1の構成を示すブロック図である。
【0015】
工作機械システム1は、複数の工作機械装置10と、管理装置20とを備える。複数の工作機械装置10には、第1乃至第4工作機械装置10a~10dが含まれる。ただし、工作機械システム1が備える工作機械装置10の数は特に制限されず、1以上であればよい。以下の説明では、第1乃至第4工作機械装置10a~10dを纏めて「工作機械装置10」と略称する。
【0016】
[工作機械装置10]
各工作機械装置10は、工作機械11及びCNC(Computer Numerical Control)制御部12を有する。
【0017】
工作機械11は、被加工物(いわゆる、ワーク)に切削加工を施すことによって、被加工物を所望の形状に加工する。工作機械11は、テーブル13と、収容空間14と、切削工具15と、主軸16とを有する。
【0018】
テーブル13上には、被加工物が載置される。テーブル13は、被加工物を保持した状態で移動可能である。本実施形態において、テーブル13は、x軸方向(第1方向の一例)、y軸方向(第2方向の一例)及びz軸方向(第3方向の一例)のそれぞれに移動可能である。x軸方向は、y軸方向に対して垂直である。x軸方向及びy軸方向は水平方向に平行である。図1において、x軸方向は工作機械11の左右方向であり、y軸方向は工作機械11の奥行き方向である。x軸方向及びy軸方向によって水平面が規定される。z軸方向は、x軸方向及びy軸方向それぞれに垂直である。図1において、z軸方向は、鉛直方向である。
【0019】
収容空間14は、テーブル13上に設けられた空間である。収容空間14には、テーブル13上に載置された被加工物が収容される。切削工具15は、主軸16に取り付けられた状態で回転駆動する。切削工具15は、被加工物の切削加工に用いられる。本実施形態において、主軸16の位置は固定されている。
【0020】
CNC制御部12は、NC(Numerical Control)プログラムに従って、工作機械11を制御する。NCプログラムには、工作機械11におけるテーブル13の移動や座標系の設定などを処理するためのGコードが含まれる。Gコードには、目標座標値(X,Y,Z)と、目標座標値(X,Y,Z)に向かってテーブル13を移動させる際の送り速度(Fコード)とが含まれる。
【0021】
CNC制御部12は、切削工具15を用いて被加工物に切削加工を施工したときの、テーブル13のx軸方向におけるストローク(以下、「x軸ストローク」という。)と、テーブル13のy軸方向におけるストローク(以下、「y軸ストローク」という。)と、テーブル13のz軸方向におけるストローク(以下、「z軸ストローク」という。)とを取得する。x軸ストロークは、x軸方向におけるテーブル13の移動範囲を示しており、x軸方向における最大値及び最小値によって規定される。x軸ストロークは、第1軸方向における切削工具15の第1加工範囲の一例である。y軸ストロークは、y軸方向におけるテーブル13の移動範囲を示しており、y軸方向における最大値及び最小値によって規定される。y軸ストロークは、第2軸方向における切削工具15の第2加工範囲の一例である。z軸ストロークは、z軸方向におけるテーブル13の移動範囲を示しており、z軸方向における最大値及び最小値によって規定される。z軸ストロークは、第3軸方向における切削工具15の第3加工範囲の一例である。x軸ストローク、y軸ストローク及びz軸ストロークは、各軸方向におけるテーブル13の移動軌跡、又は、テーブル13の座標によって表される。
【0022】
CNC制御部12は、被加工物を切削加工するたびに、加工時のx軸ストローク、y軸ストローク及びz軸ストローク(第1乃至第3加工範囲)を含む制御データを管理装置20に送信する。
【0023】
[管理装置20]
管理装置20は、図1に示されるように、収集部21と、推定部22と、記憶部23と、通信部24とを有する。管理装置20の機能は、サーバーにより達成される。サーバーはクラウドサーバーであってよい。
【0024】
管理装置20は、通信部24によりネットワークを介して複数の工作機械装置10及び複数の端末装置30との間で相互に通信可能である。各端末装置30は、スマートフォンなどのスマートデバイス、或いはパーソナルコンピュータ等の情報処理機器であってよい。利用者は、端末装置30を介して管理装置20を利用できる。
【0025】
記憶部23には、図2に示すように、あらかじめ通信可能な各工作機械装置10の工作機械11に関する属性及び諸元が記憶されている。
【0026】
工作機械11の属性は、図2に示される工作機械11の位置情報を含む。位置情報とは、工作機械11の設置場所情報で、具体的には、設置国、設置会社、設置工場、設置建屋、設置ラインに関する情報を含む。
【0027】
工作機械11の諸元は、テーブルサイズ13Sと、推定テーブルサイズ13Tと、x軸ストロークと、y軸ストロークと、z軸ストロークとを含む。
【0028】
テーブルサイズ13Sとは、工作機械11の諸元の一つである工作機械11の有効作業範囲を意味する。テーブルサイズ13Sは、「(x軸方向の有効作業範囲の大きさ)×(y軸方向の有効作業範囲の大きさ)」で示される。テーブルサイズ13Sは、x軸方向の有効作業範囲の大きさとy軸方向の有効作業範囲の大きさと比較して大きい方の値で示してもよい。テーブルサイズ13Sは、x軸方向の有効作業範囲の大きさ、y軸方向の有効作業範囲の大きさ及びz軸方向の有効作業範囲の大きさの中で最大の値で示してもよい。通常、これらのうちx軸方向の有効作業範囲の大きさが最大の値を示す。
【0029】
推定テーブルサイズ13Tとは、x軸ストローク、y軸ストローク及びz軸ストロークの少なくとも1つに基づいて推定される収容空間14のサイズである。図2において、推定テーブルサイズ13Tは、x軸ストローク、y軸ストローク及びz軸ストロークそれぞれの最大値MAX及び最小値MINの差分のうち最も大きな差分の一の位を切り捨てた値である。推定テーブルサイズ13Tの推定方法については後述する。本開示の推定方法は、テーブルサイズ13Sのデータが記憶部23に記憶されていない場合に発動する。
【0030】
収集部21は、LAN(Local Area Network)及びWAN(Wide Area Network)などのネットワークを介して、各工作機械装置10のCNC制御部12に接続される。収集部21は、各工作機械装置10のCNC制御部12から加工時のx軸ストローク、y軸ストローク及びz軸ストローク(第1乃至第3加工範囲)を含む制御データを受信する。
【0031】
収集部21は、テーブルサイズ13Sに関する情報が欠落している工作機械装置10が存在する場合、当該工作機械装置10のCNC制御部12から収集したx軸ストロークを記憶部23に記憶させる。収集部21は、記憶部23に記憶されているx軸ストロークを随時更新する。
【0032】
具体的には、収集部21は、第1工作機械装置10aから初めてx軸ストロークを受信すると、受信したx軸ストロークの最大値max0及び最小値min0を、x軸ストロークの最大値MAX及び最小値MINとして記憶部23に記憶させる。続いて、収集部21は、第1工作機械装置10aから新たにx軸ストロークを受信すると、新たに受信したx軸ストロークの最大値max1が記憶部23に記憶されているx軸ストロークの最大値MAXより大きいか否か判定するとともに、新たに受信したx軸ストロークの最小値min1が記憶部23に記憶されているx軸ストロークの最小値MINより小さいか否か判定する。最大値max1が最大値MAXより大きい場合、収集部21は、最大値MAXを最大値max1に更新する。最小値min1が最小値MINより小さい場合、収集部21は、最小値MINを最小値min1に更新する。収集部21は、第1工作機械装置10aからx軸ストロークを受信するたびに、最大値MAX及び最小値MINを更新する。
【0033】
また、収集部21は、各工作機械装置10のCNC制御部12から収集したy軸ストローク及びz軸ストロークそれぞれについても、x軸ストロークと同様、最大値MAX及び最小値MINを更新する。
【0034】
また、図2に示す例では、第1乃至第4工作機械装置10a~10dのうち第1乃至第3工作機械装置10a~10cについてのテーブルサイズ13Sが記憶されていないため、収集部21は、第2及び第3工作機械装置10b,10cそれぞれについても、第1工作機械装置10aと同様、x軸ストローク、y軸ストローク及びz軸ストロークそれぞれの最大値MAX及び最小値MINを更新する。
【0035】
推定部22は、記憶部23に記憶された第1工作機械装置10aについてのx軸ストローク、y軸ストローク及びz軸ストロークに基づき、第1工作機械装置10aが有する収容空間14のサイズを推定する。
【0036】
具体的には、推定部22は、x軸ストローク、y軸ストローク及びz軸ストロークそれぞれの最大値MAX及び最小値MINの差分のうち、最も大きな差分を推定テーブルサイズ13Tとして記憶部23に記憶させる。このように、本実施形態において、推定部22は、x軸ストローク、y軸ストローク及びz軸ストロークのうち最も大きなストロークを推定テーブルサイズ13Tとする。従って、図2に示すように、例えば、工作機械装置10aでは、y軸ストロークがx軸ストローク以上かつz軸ストローク以上であるので、y軸ストロークの最大値及び最小値の差分が推定テーブルサイズ13Tとなっている。なお、図2では、最も大きな差分の一の位の数値を切り捨てた値が推定テーブルサイズ13Tとされている。
【0037】
また、推定部22は、第2及び第3工作機械装置10b,10cそれぞれについても、記憶部23に記憶されたx軸ストローク、y軸ストローク及びz軸ストロークに基づき、収容空間14のサイズ(すなわち、推定テーブルサイズ13T)を推定する。
【0038】
[推定フロー]
工作機械11と管理装置20は、ネットワークを介して相互通信することができる。工作機械11と管理装置20が相互通信により繋がった初期に、工作機械11の属性が管理装置20に入力され、管理装置20の記憶部23に記憶される。記憶されるべき属性の一つに工作機械11のテーブルサイズ13Sがあるが、テーブルサイズ13Sは、しばしば、管理装置20に記憶されていない。そのような場合、以下のような推定フローで、テーブルサイズ13Sを推定する。
【0039】
図3を参照して、工作機械11が加工動作を行うと、加工時のx軸ストローク、y軸ストローク及びz軸ストローク(第1乃至第3加工範囲)を含む制御データ等が管理装置20の収集部21に自動的に送信される(S101)。管理装置20の収集部21は、受信した制御データ等を記憶部23に記憶する。
【0040】
管理装置20の収集部21は、記憶部23に当該工作機械11のテーブルサイズ13Sに関する情報が欠落していることを確認すると(S102)、制御データから加工範囲の最大値max0と最小値min0を取得する。取得された値は、それぞれ、加工範囲の最大値MAX、最小値MINとして記憶部23に記憶される(S103)。
【0041】
工作機械11が新たに加工動作を行うと、S101と同様に、制御データ等が工作機械11から管理装置20の収集部21に送信される。管理装置20の収集部21は、受信された制御データから加工範囲の最大値max1と最小値min1を取得する(S104)。収集部21は、最大値max1が最大値MAXより大きい場合、最大値MAXの値は、max1に更新される。最小値min1が最小値MINより小さい場合、最小値MINの値は、min1に更新される(S105)。
【0042】
管理装置20の推定部22は、最大値MAXと最小値MINの差分を推定テーブルサイズ13Sとして、記憶部23に記憶する(S106)。
【0043】
以下、S104-S106の処理が繰り返される。利用者が端末装置30により、管理装置20を使って、ある大きさのワークの加工をするための工作機械11を検索する場合、この推定テーブルサイズのデータがあることで、円滑な検索が可能となる。
【0044】
(特徴)
工作機械システム1は、収集部21と、推定部22とを備える。収集部21は、切削工具15を用いて被加工物に切削加工を施したときのx軸ストローク、y軸ストローク及びz軸ストローク(すなわち、切削工具15の第1乃至第3加工範囲)を収集する。推定部22は、収集されたx軸ストローク、y軸ストローク及びz軸ストロークそれぞれの最大値MAX及び最小値MINに基づき推定テーブルサイズ13T(すなわち、収容空間14のサイズ)を推定する。
【0045】
従って、テーブルサイズ13Sを各工作機械装置10が記憶していない場合であっても、作業者が手作業で入力することなく、収容空間14のサイズを簡便に推定できる。その結果、所定サイズの被加工物を加工するにあたって、生産管理のために当該被加工物を加工可能な工作機械装置10を選定する際には、推定テーブルサイズ13Tと被加工物のサイズとを比較することによって、当該被加工物を加工可能な工作機械装置10を迅速に選定できる。
【0046】
(変形例)
本開示は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本開示の範囲を逸脱することなく種々の変形又は修正が可能である。
【0047】
(変形例1)
上記実施形態では、x軸ストローク、y軸ストローク及びz軸ストローク(すなわち、切削工具15の第1乃至第3加工範囲)それぞれの最大値MAX及び最小値MINに基づいて推定テーブルサイズ13Tを推定することとしたが、これに限られない。例えば、x軸ストローク(すなわち、切削工具15の第1加工範囲)の最大値MAX及び最小値MINのみに基づいて推定テーブルサイズ13Tを推定してもよい。この場合、収集部21は、x軸ストロークの最大値MAX及び最小値MINのみを記憶部23に記憶させればよい。なお、x軸方向だけでなくy軸方向及びz軸方向のサイズも比較しなければ被加工物を収容空間14に収容できるか否か正確には判別できないが、一般的には、x軸ストローク、y軸ストローク及びz軸ストロークのうちx軸ストロークが最も大きいため、x軸方向のサイズが適合していれば、y,z軸方向のサイズも適合する。そのため、ほとんどの場合、推定された収容空間14のx軸方向におけるサイズと被加工物のx軸方向におけるサイズとを比較すれば足りる。
【0048】
或いは、x軸ストローク(すなわち、切削工具15の第1加工範囲)及びy軸ストローク(すなわち、切削工具15の第2加工範囲)それぞれの最大値MAX及び最小値MINに基づいて推定テーブルサイズ13Tを推定してもよい。この場合、収集部21は、x軸ストローク及びy軸ストロークそれぞれの最大値MAX及び最小値MINを記憶部23に記憶させればよい。このように、x軸ストロークだけでなくy軸ストロークも用いることによって、x軸ストロークだけを用いる場合に比べて、推定テーブルサイズ13Tを精度良く推定することができる。
【0049】
(変形例2)
上記実施形態では、x軸方向及びy軸方向が水平方向に平行であり、z軸方向は鉛直方向であることとしたが、これに限られない。x,y,z軸方向は、互いに直交している限り、水平方向や鉛直方向に対して傾斜していてもよい。
【0050】
(変形例3)
上記実施形態において、テーブル13は、x,y,z軸方向に移動することとしたが、1以上の軸方向に移動するものであればよい。
【0051】
(変形例4)
上記実施形態において、切削工具15が取り付けられた主軸16の位置は固定されており、テーブル13が移動することとしたが、これに限られない。例えば、テーブル13が固定され、主軸16が移動することとしてもよい。この場合、x軸ストロークは、x軸方向における主軸16の移動範囲によって規定され、y軸ストロークは、y軸方向における主軸16の移動範囲によって規定され、z軸ストロークは、z軸方向における主軸16の移動範囲によって規定される。主軸16は、1以上の軸方向に移動すればよい。
【0052】
(変形例5)
上記実施形態では、x軸ストローク、y軸ストローク及びz軸ストロークそれぞれの最大値MAX及び最小値MINの差分のうち最も大きな差分の一の位の数値を切り捨てて推定テーブルサイズ13Tとしたが、これに限られない。最も大きな差分から推定テーブルサイズ13Tを決定する方法は適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 工作機械システム
10a~10c 第1乃至第3工作機械装置
11 工作機械
12 CNC制御部
13 テーブル
13S テーブルサイズ
13T 推定テーブルサイズ
14 収容空間
15 切削工具
16 主軸
20 管理装置
21 収集部
22 推定部
23 記憶部
24 通信部
30 端末装置
図1
図2
図3