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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-19
(45)【発行日】2023-07-27
(54)【発明の名称】鋳型造型用粘結剤組成物
(51)【国際特許分類】
   B22C 1/22 20060101AFI20230720BHJP
   C08K 5/103 20060101ALI20230720BHJP
   C08L 61/24 20060101ALI20230720BHJP
【FI】
B22C1/22 C
C08K5/103
C08L61/24
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019138686
(22)【出願日】2019-07-29
(65)【公開番号】P2021020240
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】猪狩 友希
(72)【発明者】
【氏名】松尾 俊樹
【審査官】坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第102861867(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0207796(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22C 1/22
C08K 5/103
C08L 61/24,71/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラン樹脂と、トリアセチンとを含有する、鋳型造型用粘結剤組成物であって、
前記鋳型造型用粘結剤組成物中の前記トリアセチンの含有量が、0.1~40質量%である、鋳型造型用粘結剤組成物
【請求項2】
前記フラン樹脂がフルフリルアルコール、フルフリルアルコールと尿素とアルデヒド類の縮合物、及び尿素とエチレン尿素とアルデヒド類の縮合物から選ばれる1種以上である請求項1に記載の鋳型造型用粘結剤組成物。
【請求項3】
耐火性粒子と、請求項1又は2に記載の鋳型造型用粘結剤組成物と、当該鋳型造型用粘結剤組成物を硬化させる硬化剤を含む硬化剤組成物とを含有する鋳型用組成物。
【請求項4】
耐火性粒子と、請求項1又は2に記載の鋳型造型用粘結剤組成物と、当該鋳型造型用粘結剤組成物を硬化させる硬化剤を含む硬化剤組成物とを混合して鋳型用組成物を得る混合工程、及び前記鋳型用組成物を型枠に詰め、当該鋳型用組成物を硬化する硬化工程を含む鋳型の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳型造型用粘結剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、酸硬化性鋳型は、珪砂等の耐火性粒子に、酸硬化性樹脂を含有する鋳型造型用粘結剤組成物と、スルホン酸、硫酸、リン酸等を含有する硬化剤組成物とを添加し、これらを混練した後、得られた混練砂を木型等の原型に充填し、酸硬化性樹脂を硬化させて製造される。酸硬化性樹脂には、フラン樹脂やフェノール樹脂等が用いられており、フラン樹脂には、フルフリルアルコール、フルフリルアルコール・尿素・ホルムアルデヒド樹脂、フルフリルアルコール・ホルムアルデヒド樹脂、フルフリルアルコール・フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、その他公知の変性フラン樹脂等が用いられている。このような鋳型の製造方法は自由度の高い造型作業が可能であり、また鋳型の熱的性質に優れることから高品質の鋳物が製造できるため、機械部品や建設機械部品、あるいは自動車用部品等の鋳物を鋳造する際に広く使用されている。
【0003】
フルフリルアルコールは酸硬化性樹脂やフラン樹脂の構成成分として用いられており、重要なキーマテリアルであるが、フルフリルアルコールは環境規制に伴い安定に供給されない状況が続いている。そのため、フルフリルアルコールと代替することができる剤が検討されている。
【0004】
フルフリルアルコールと代替し得る剤として、フルフリルアルコールがとうもろこしの芯の主成分であるC5糖から製造されていることなどから糖類が検討されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】中国特許出願公開第102861867号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、フルフリルアルコールの代替を目的とした糖を含有する従来の粘結剤組成物では、鋳型強度が低下するという課題があった。
【0007】
本発明は、フルフリルアルコールの一部を代替しても鋳型強度を維持することができる鋳型造型用粘結剤組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の鋳型造型用粘結剤組成物は、フラン樹脂と、トリアセチンとを含有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、フルフリルアルコールの一部を代替しても鋳型強度を維持することができる鋳型造型用粘結剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<鋳型造型用粘結剤組成物>
本実施形態の鋳型造型用粘結剤組成物(以下、単に粘結剤組成物ともいう)は、フラン樹脂と、トリアセチンとを含有する。本実施形態の粘結剤組成物によれば、フルフリルアルコールの一部を代替しても鋳型強度を維持することができる鋳型造型用粘結剤組成物を提供することができる。本実施形態の粘結剤組成物がこのような効果を奏する理由は定かではないが、以下の様に考えられる。
【0011】
グリセリンがアセチル化されたトリアセチンは、グリセリンに比べ、水には溶解しにくくフルフリルアルコールに溶解するという特徴を持つ。これは、グリセリンの水酸基をアセチル化することでフラン樹脂との相溶性が高まり均一化が促進されることになり、局所的な弱い部分がグリセリンの配合に比べて低減されることにより、フルフリルアルコール等が用いられるフラン樹脂として、鋳型強度を向上することができると考えられる。
【0012】
〔トリアセチン〕
本実施形態の鋳型造型用粘結剤組成物は、フルフリルアルコールと代替しても鋳型強度を維持する観点から、トリアセチンを含有する。
【0013】
前記粘結剤組成物におけるトリアセチンの含有量は、フルフリルアルコールの含有量を減らして、供給安定性を向上させる観点から、0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、3質量%以上が更に好ましい。前記粘結剤組成物中のトリアセチンの含有量は、高い鋳型強度を発現させる観点から、40質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下が更に好ましく、12質量%以下がより更に好ましく、10質量%以下がより更に好ましい。また、前記粘結剤組成物中のトリアセチンの含有量は、以上の観点を踏まえて、0.1~40質量%が好ましく、1~20質量%がより好ましく、3~15質量%が更に好ましく、3~12質量%がより更に好ましく、3~10質量%がより更に好ましい。
【0014】
〔フラン樹脂〕
前記フラン樹脂は、フルフリルアルコール、フルフリルアルコールの縮合物、フルフリルアルコールとアルデヒド類の縮合物、フルフリルアルコールと尿素とアルデヒド類の縮合物(尿素変性フラン樹脂)、尿素とエチレン尿素とアルデヒド類の縮合物(尿素・エチレン尿素共縮合樹脂)、メラミンとアルデヒド類の縮合物、及び尿素とアルデヒド類の縮合物よりなる群から選ばれる1種からなるものや、これらの群から選ばれる2種以上の混合物からなるものが例示できる。また、これらの群から選ばれる2種以上の共縮合物からなるものも使用できる。このうち、鋳型の硬化速度向上と鋳型強度向上の観点から、フルフリルアルコール、フルフリルアルコールの縮合物及びフルフリルアルコールと尿素とアルデヒド類の縮合物から選ばれる1種以上、並びにこれらの共縮合物を使用するのが好ましい。
【0015】
前記フラン樹脂の合成に用いられるモノマー組成物は、フルフリルアルコールを含有し、目的の縮合物に応じて、例えば、アルデヒド類、尿素、フェノール類、及びメラミンから選ばれる1種以上のモノマーが選択され、使用できる。
【0016】
前記アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、グリオキザール、フルフラール、テレフタルアルデヒド、ヒドロキシメチルフルフラール等が挙げられ、これらのうち1種以上を適宜使用できる。鋳型強度向上の観点からは、ホルムアルデヒドを用いるのが好ましく、造型時のホルムアルデヒド発生量低減の観点からは、フルフラールやテレフタルアルデヒド、ヒドロキシメチルフルフラールを用いるのが好ましい。
【0017】
前記フェノール類としては、フェノール、クレゾール、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールC、ビスフェノールE、ビスフェノールFなどが挙げられ、これらのうち1種以上を使用できる。
【0018】
フルフリルアルコールとアルデヒド類の縮合物を製造する場合には、フルフリルアルコール1モルに対して、アルデヒド類を0.01~1モル使用することが好ましい。また、フルフリルアルコールとアルデヒド類と尿素の縮合物を製造する場合には、フルフリルアルコール1モルに対して、アルデヒド類を0.05~3モル、尿素を0.03~1.5モル使用することが好ましい。
【0019】
フラン樹脂を合成する際の反応温度は、使用する原料により異なり、得られる粘結剤組成物の粘度、アルデヒドの残留量、製造時間短縮、フラン樹脂の暴走反応の防止や、原料の蒸発防止の観点から、50~150℃が好ましく、70~130℃がより好ましく、80~130℃が更に好ましい。同様の観点から、フラン樹脂を合成する際の反応時間は、0.5~12時間が好ましく、1~10時間がより好ましく、3~8時間が更に好ましい。
【0020】
フラン樹脂を製造する際、フラン樹脂、原料のフルフリルアルコール、原料に含まれる水、反応中に生成する水等が含まれるが、経済性の観点から除去しなくてもよい。フラン樹脂組成物は、フラン樹脂、フルフリルアルコール及びフラン樹脂以外の成分、例えば水等を含有する。
【0021】
前記粘結剤組成物におけるフラン樹脂の含有量は、鋳型強度向上の観点から、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、68質量%以上が更に好まし、72質量%以上がより更に好ましい。前記粘結剤組成物におけるフラン樹脂の含有量は、粘度低減の観点から、98質量%以下がより好ましく、95質量%以下が更に好ましい。また、前記粘結剤組成物におけるフラン樹脂の含有量は、鋳型強度向上の観点及び粘度低減の観点から、50~98質量%が好ましく、60~95質量%がより好ましく、68~95質量%が更に好ましく、72~95質量%がより更に好ましい。
【0022】
〔硬化促進剤〕
本実施形態の粘結剤組成物中には、鋳型強度を向上させる観点から、硬化促進剤が含まれていてもよい。硬化促進剤の具体例及び添加量は、国際公開公報2015/098642に記載されている。
【0023】
<水>
前記粘結剤組成物中には、さらに水が含まれてもよい。例えば、フルフリルアルコールとアルデヒド類の縮合物などの各種縮合物を合成する場合、水溶液状の原料を使用したり縮合水が生成したりするため、縮合物は、通常、水との混合物の形態で得られる。このような縮合物を粘結剤組成物に使用するにあたり、水は必要に応じて、トッピング等で除去しても構わないが、硬化反応速度を維持できる限り、製造の際にあえて除去する必要はない。また、前記粘結剤組成物を取扱いやすい粘度に調整する目的などで、水をさらに添加してもよい。前記粘結剤組成物を取扱いやすい粘度に調整する目的で水をさらに添加する場合、前記粘結剤組成物の水の含有量は0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、3質量%以上が更に好ましい。ただし、硬化反応速度を維持する観点から、前記粘結剤組成物の水の含有量は30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましい。また、前記粘結剤組成物の水の含有量は、前記粘結剤組成物を取扱いやすい粘度に調整する観点、及び硬化反応速度を維持する観点から、0.5~30質量%が好ましく、1~25質量%がより好ましく、3~25質量%が更に好ましい。
【0024】
<その他の添加剤>
また、前記粘結剤組成物中には、更にシランカップリング剤等の添加剤が含まれていてもよい。例えば、前記粘結剤組成物中にシランカップリング剤が含まれていると、得られる鋳型の最終強度をより向上させることができるため好ましい。シランカップリング剤の具体例としては、国際公開公報2015/098642に記載されているものが挙げられる。シランカップリング剤としては、鋳型の強度を向上させる観点から、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシランが好ましく、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシランがより好ましい。
【0025】
シランカップリング剤の前記粘結剤組成物中の含有量は、鋳型の最終強度を向上させる観点から、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましい。シランカップリング剤の前記粘結剤組成物中の含有量は、同様の観点から、0.5質量%以下が好ましく、0.3質量%以下がより好ましい。
【0026】
<鋳型用組成物>
前記粘結剤組成物は、耐火性粒子及び硬化剤組成物と混合して鋳型用組成物とすることができる。本実施形態の鋳型用組成物は、前記粘結剤組成物、耐火性粒子及び硬化剤組成物を含有する。
【0027】
〔耐火性粒子〕
前記耐火性粒子としては、珪砂、クロマイト砂、ジルコン砂、オリビン砂、アルミナ砂、ムライト砂、合成ムライト砂等の従来公知のものを使用でき、また、使用済みの耐火性粒子を回収したものや再生処理したものなども使用できる。
【0028】
〔硬化剤組成物〕
前記硬化剤組成物は、前記粘結剤組成物を硬化させる硬化剤を含有するものであれば特に限定なく用いることができる。当該硬化剤としては酸系硬化剤が例示でき、キシレンスルホン酸(特に、m-キシレンスルホン酸)やトルエンスルホン酸(特に、p-トルエンスルホン酸)、メタンスルホン酸等のスルホン酸系化合物、リン酸、酸性リン酸エステル等のリン酸系化合物、硫酸等を含む酸性水溶液など、従来公知のものを1種以上が使用できる。ただし、スルホン酸や硫酸などの硫黄を含む酸を含有する硬化剤組成物を使用した場合、鋳造時に二酸化硫黄ガスが発生するため、2,6-ジヒドロキシ安息香酸、及び/又はしゅう酸のみを含有することが好ましい。この場合、鋳造時の二酸化硫黄ガスの発生を防ぐことができる。硬化剤組成物中の硫黄を含む酸の含有量は、30質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更に好ましく、1質量%以下がより更に好ましい。
【0029】
前記硬化剤組成物中の硬化剤の含有量は、最終的な鋳型強度向上の観点から、5~50質量%であることが好ましく、10~40質量%であることがより好ましい。
【0030】
前記鋳型用組成物において、耐火性粒子100質量部に対して、前記粘結剤組成物0.5~3.0質量部、前記硬化剤組成物0.07~2.0質量部含有することが好ましい。
【0031】
また、前記鋳型用組成物中の前記硬化剤組成物の含有量は、鋳型強度向上の観点から粘結剤組成物1.0質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.14質量部以上、更に好ましくは0.2質量部以上であり、好ましくは0.8質量部以下、より好ましくは0.6質量部以下、更により好ましくは0.4質量部以下である。以上を総合すると、前記鋳型用組成物中の前記硬化剤組成物の含有量は、鋳型強度向上の観点から粘結剤組成物1.0質量部に対して、好ましくは0.1~0.8質量部、より好ましくは0.14~0.6質量部、より更に好ましくは0.2~0.4質量部である。
【0032】
<鋳型の製造方法>
本実施形態の鋳型用組成物を硬化させることによって鋳型を製造することができる。本実施形態の鋳型の製造方法において、従来の鋳型の製造プロセスをそのまま利用して鋳型を製造することができる。好ましい鋳型の製造方法として、耐火性粒子と本実施形態の鋳型造型用粘結剤組成物と、前記鋳型造型用粘結剤組成物を硬化させる硬化剤組成物とを混合して鋳型用組成物を得る混合工程、及び前記鋳型用組成物を型枠に詰め、当該鋳型用組成物を硬化する硬化工程を有する鋳型の製造方法が挙げられる。
【0033】
前記混合工程は、耐火性粒状材料と硬化剤組成物を含有する鋳型造型用硬化剤組成物とを混合する第1混合工程、及び第1混合工程後に得られた混合物に鋳型造型用粘結剤組成物を混合する第2混合工程を有するのが好ましい。
【0034】
前記混合工程では、本実施形態の効果を阻害しない程度に酸硬化性樹脂、硬化促進剤、水、シランカップリング剤等の添加剤、酸性物質、及び溶剤等を添加してもよい。
【0035】
前記混合工程において、各原料を混合する方法としては、公知一般の手法を用いることが出来、例えば、バッチミキサーにより各原料を添加して混練する方法や、連続ミキサーに各原料を供給して混練する方法が挙げられる。
【実施例
【0036】
以下、本発明を具体的に示す実施例等について説明する。
【0037】
<実施例1~3、比較例1~3>
【0038】
〔フラン樹脂組成物の調製〕
三ツ口フラスコにフルフリルアルコール100質量部とパラホルムアルデヒド35質量部と尿素13質量部を混合し25質量%水酸化ナトリウム水溶液でpH9に調整した。反応混合物を100℃に昇温後、同温度で1時間反応させた。37質量%塩酸でpH4.5に調整し、更に100℃で1時間反応させた。その後、25質量%水酸化ナトリウム水溶液でpH7に調整し、尿素5質量部を添加して、100℃で30分反応させ、フラン樹脂組成物を得た。フラン樹脂組成物の組成は、尿素変性フラン樹脂71.7質量%、フルフリルアルコール19.5質量%、水8.8質量%であった。
【0039】
〔鋳型造型用粘結剤組成物の調製〕
上記のフラン樹脂組成物、フルフリルアルコール、トリアセチンまたはグリセリン、水、シランカップリング剤としてN-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシランを用いて、表1に示す組成になるように混合し、実施例1~3及び比較例1~3の鋳型造型用粘結剤組成物を調整した。なお、表1中、FFAはフルフリルアルコールを意味する。
【0040】
〔鋳型用組成物の製造〕
25℃、55%RHの条件下で、フラン再生硅砂100質量部に対し、硬化剤組成物0.32質量部を添加し、実施例1~3及び比較例1~3の鋳型造型用粘結剤組成物0.8質量部を添加し、これらを混合して鋳型用組成物を得た。上記フラン再生硅砂としては、空気中、1000℃で1時間加熱したときの質量減少率(LOI)が1.9質量%で、粒度38(AFS)のものを用いた。上記硬化剤組成物は花王クエーカー社製 カオーライトナー硬化剤 US-3及びC-21(いずれもキシレンスルホン酸、硫酸との水溶液)を用い、それらをUS―3/C―21=40:60の比率で配合し試験を実施した。
【0041】
〔試験例〕
混練直後の鋳型用組成物を直径50mm、高さ50mmの円柱形状のテストピース枠に充填したものを、圧縮強度1MPa到達時に抜型を行い、充填から24時間後に、JIS Z 2604-1976に記載された方法で、圧縮強度(MPa)を測定し、「24時間後の圧縮強度」とした。「24時間後の圧縮強度」の値が高いほど鋳型強度に優れる。結果を表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
表1の結果から、実施例1~3は、それぞれ比較例1~3に比べ、鋳型強度に優れていることがわかる。