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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-19
(45)【発行日】2023-07-27
(54)【発明の名称】解凍調理装置
(51)【国際特許分類】
   F24C 3/02 20210101AFI20230720BHJP
【FI】
F24C3/02 F
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019150023
(22)【出願日】2019-08-19
(65)【公開番号】P2021032430
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】301071893
【氏名又は名称】株式会社ハーマン
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金沢 信吾
(72)【発明者】
【氏名】澤田 宗久
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-022425(JP,A)
【文献】特開2017-209187(JP,A)
【文献】特開2018-121867(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/00- 3/14
A47J 37/00-37/07
A23L 3/36- 3/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱庫と、
前記加熱庫に収容された調理容器及びこの調理容器に配置された冷凍食品を含む加熱対象物を加熱する加熱部と、
前記加熱部を制御して、前記加熱対象物を加熱する解凍運転を実行する制御部と
前記解凍運転の運転時間を設定するための操作部と、を備え、
前記加熱部は、
前記加熱対象物を上側から加熱する上バーナーと、
前記加熱対象物を下側から加熱する下バーナーとを有し
記制御部は、前記解凍運転において、
前記上バーナー及び前記下バーナーの両者で、前記加熱対象物を第1所定時間継続して加熱する第1加熱工程と、
前記第1加熱工程の後、前記上バーナー又は前記下バーナーだけで、前記加熱対象物を第2所定時間継続して加熱する第2加熱工程、あるいは、前記第1加熱工程の後、前記上バーナー及び前記下バーナーを第2所定時間継続して消火する第2消火工程と、
前記第2加熱工程あるいは前記第2消火工程の後、前記上バーナー及び前記下バーナーの両者で、前記加熱対象物を第3所定時間継続して加熱する第3加熱工程とを実行するものであり
前記制御部は、前記操作部によって設定された前記運転時間に基づいて、前記第1所定時間、前記第2所定時間及び前記第3所定時間を設定する、
解凍調理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記解凍運転において、
前記第3加熱工程の後、前記上バーナー及び前記下バーナーによる加熱を所定時間停止する余熱工程を実行する、
請求項1に記載の解凍調理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記運転時間が長くなった場合における前記第1所定時間の変化時間と前記第3所定時間の変化時間とを足し合わせた時間と、前記第2所定時間の変化時間との比率が、前記運転時間の長短にかかわらず一定となるように、前記第1所定時間、前記第2所定時間及び前記第3所定時間を設定する、
請求項に記載の解凍調理装置。
【請求項4】
前記調理容器の温度を検知する温度検知部を更に備え、
前記制御部は、初期温度として、前記解凍運転の開始の際に前記温度検知部によって前記調理容器の温度を検知し、前記初期温度が高い場合に、前記運転時間に対する前記第1所定時間の比率と、前記運転時間に対する前記第3所定時間の比率とのうちの少なくとも一方が、前記初期温度が低い場合と比較して小さくなるように、前記第1所定時間、前記第2所定時間及び前記第3所定時間を設定する、
請求項2又は3に記載の解凍調理装置。
【請求項5】
加熱庫と、
前記加熱庫に収容された調理容器及びこの調理容器に配置された冷凍食品を含む加熱対象物を加熱する加熱部と、
前記加熱部を制御する制御部とを備え、
前記加熱部は、
前記加熱対象物を上側から加熱する上バーナーと、
前記加熱対象物を下側から加熱する下バーナーとを有し、
前記制御部は、前記加熱部を制御して、前記加熱対象物を加熱する解凍運転を実行し、
前記制御部は、前記解凍運転において、
前記上バーナー及び前記下バーナーの両者で、前記加熱対象物を第1所定時間継続して加熱する第1加熱工程と、
前記第1加熱工程の後、前記上バーナー及び前記下バーナーを第2所定時間継続して消火する第2消火工程と、
前記第2消火工程の後、前記上バーナー及び前記下バーナーの両者で、前記加熱対象物を加熱する第3加熱工程とを実行する、
解凍調理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、解凍調理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、解凍調理装置が開示されている。この解凍調理装置は、解凍調理庫と、解凍調理庫に収容される伝熱皿と、伝熱皿に載置された冷凍食品を上側から加熱する上バーナーと、伝熱皿を下側から加熱する下バーナーと、上バーナー及び下バーナーを制御する制御部とを備えている。制御部は、上バーナーと下バーナーとを燃焼駆動することにより、冷凍食品を解凍して加熱調理する加熱調理運転を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-209148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した解凍調理装置にあっては、冷凍食品の解凍時において、冷凍食品が上バーナー及び下バーナーによって長時間加熱されると、冷凍食品の表面が焦げる等、不具合が生じることが懸念される。
【0005】
本開示は上記事由に鑑みてなされており、冷凍食品が必要以上に加熱されることを抑制でき、かつ、冷凍食品を速やかに解凍することができる解凍調理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る解凍調理装置は、加熱庫と、前記加熱庫に収容された調理容器及びこの調理容器に配置された冷凍食品を含む加熱対象物を加熱する加熱部と、前記加熱部を制御する制御部とを備える。前記加熱部は、前記加熱対象物を上側から加熱する上バーナーと、前記加熱対象物を下側から加熱する下バーナーとを有する。前記制御部は、前記加熱部を制御して、前記加熱対象物を加熱する解凍運転を実行する。前記制御部は、前記解凍運転において、前記上バーナー及び前記下バーナーの両者で、前記加熱対象物を第1所定時間継続して加熱する第1加熱工程と、前記第1加熱工程の後、前記上バーナー又は前記下バーナーだけで、前記加熱対象物を第2所定時間継続して加熱する第2加熱工程、あるいは、前記第1加熱工程の後、前記上バーナー及び前記下バーナーを前記第2所定時間継続して消火する第2消火工程と、前記第2加熱工程あるいは前記第2消火工程の後、前記上バーナー及び前記下バーナーの両者で、前記加熱対象物を加熱する第3加熱工程とを実行する。
【発明の効果】
【0007】
前記一態様に係る解凍調理装置は、冷凍食品が必要以上に加熱されることを抑制でき、かつ、冷凍食品を速やかに解凍することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の一実施形態に係る解凍調理装置の斜視図である。
図2図2は、同上の解凍調理装置が備える加熱庫の斜視図である。
図3図3は、同上の加熱庫の断面図である。
図4図4は、同上の加熱庫の一部を断面で示した斜視図である。
図5図5は、同上の解凍調理装置のガス供給路を示した説明図である。
図6図6は、同上の解凍調理装置のブロック図である。
図7図7は、同上の解凍調理装置により、第1解凍運転を実行したときにおける、温度検知部により検知した温度、上バーナーの火力及び下バーナーの火力の各々の時間経過に伴う変化を示したグラフである。
図8図8は、同上の解凍調理装置により、第2解凍運転を実行したときにおける、温度検知部により検知した温度、上バーナーの火力及び下バーナーの火力の各々の時間経過に伴う変化を示したグラフである。
図9図9は、同上の解凍調理装置により、第3解凍運転を実行したときにおける、温度検知部により検知した温度、上バーナーの火力及び下バーナーの火力の各々の時間経過に伴う変化を示したグラフである。
図10図10は、同上の第1解凍運転の制御を示したフローチャートである。
図11図11は、同上の第2解凍運転の制御を示したフローチャートである。
図12図12は、同上の第3解凍運転の制御を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(1)実施形態
図1に示す本実施形態の解凍調理装置1は、グリル付ガスこんろであって、詳しくはキッチンカウンター(図示せず)に形成された孔に上方より挿入されて設置されるドロップインこんろである。以下、解凍調理装置1について、解凍調理装置1の設置状態における方向を用いて説明する。具体的には、解凍調理装置1から見て、設計上、利用者が位置する方向を前方と規定する。また、解凍調理装置1を前方から見たときを基準にして、左右方向を規定する。
【0010】
解凍調理装置1は、ケーシング10、複数のこんろバーナー11及び天板12を備えている。ケーシング10は、上方に開口した箱状に形成されている。ケーシング10の内部には、複数のこんろバーナー11が設置されている。天板12はケーシング10上に設置されている。天板12はケーシング10の上面を覆っている。複数のこんろバーナー11の各々は、天板12に形成された孔を通過し、天板12よりも上方に突出している。
【0011】
解凍調理装置1は、複数のこんろ用操作部13を更に備えている。複数のこんろ用操作部13は、複数のこんろバーナー11にそれぞれ一対一で対応している。利用者は、各こんろ用操作部13を操作することで、対応するこんろバーナー11の点火と消火の切換え及び火力の変更の指令を行うことができる。
【0012】
解凍調理装置1は、加熱庫2を更に備えている。加熱庫2は、ケーシング10と天板12とで囲まれている。加熱庫2は、グリル庫であり、調理対象物又は調理対象物が配置された調理容器4(図2参照)を火で加熱するグリル調理を行うために用いられる。
【0013】
本実施形態の解凍調理装置1では、加熱庫2を用いて解凍調理が行われる。本開示における「解凍調理」とは、冷凍食品を加熱して解凍することを意味する。解凍調理の対象となる冷凍食品は、例えば、解凍後に摂取可能な加熱後摂取冷凍食品であり、詳しくは、冷凍食品が凍結直前に加熱される加熱後摂取冷凍食品である。なお、解凍調理の対象となる冷凍食品は、冷凍食品が凍結直前に加熱される加熱後摂取冷凍食品に限定されない。例えば、冷凍食品は、凍結前に加熱されない加熱後摂取冷凍食品であってもよい。また、冷凍食品は、切り身又はむき身等の生食用冷凍鮮魚介類、又は生食用以外の切り身又はむき身の冷凍鮮魚介類等であってもよい。
【0014】
図2に示すように、加熱庫2は、前方に開口した箱状に形成されている。加熱庫2は、底部20、左右の側壁21,22、後壁23及び天井部24を有している。加熱庫2の前面には、開口部25が形成されている。加熱庫2の内側には、底部20、左右の側壁21,22、後壁23及び天井部24で囲まれた加熱空間26が形成されている。加熱庫2内の加熱空間26は、開口部25を通じてケーシング10(図1参照)の前方に開放される。
【0015】
解凍調理装置1は、開口部25を開閉する扉14(図1参照)と、扉14を支持した支持機構15とを更に有している。支持機構15は、加熱庫2に設置されており、扉14を前後方向に移動可能に支持している。支持機構15は、例えば、左右一対のスライドレールで構成される。利用者は、扉14を前後方向に移動することで、加熱庫2の開口部25を扉14によって開閉することができる。
【0016】
解凍調理装置1は、調理容器4を更に備えている。調理容器4は、浅底で上方に開口した容器状に形成されている。調理容器4は、金属製であり、例えば、アルミニウム合金等から形成される。
【0017】
本実施形態の解凍調理装置1は、調理容器4に取付可能な蓋41を更に備えている。蓋41は、調理容器4に取り付けられた状態で、調理容器4の上端部に形成された開口部を閉塞する。なお、蓋41は、グリル調理を行う際に用いられ、後述する解凍調理が行われる際には、用いられない。すなわち、後述する解凍調理では、蓋41が取り外され、上面が開口した調理容器4が用いられる。
【0018】
解凍調理装置1は、調理容器4を支持する支持枠16を更に備えている。支持枠16は、例えば、金属製の線材から形成される。調理容器4は、支持枠16に対して着脱可能に取り付けられ、支持枠16によって支持される。
【0019】
支持枠16は、扉14に対して着脱可能に連結される。調理容器4が支持枠16に支持され、かつ、支持枠16が扉14に連結された状態において、扉14が前後方向に移動したとき、支持枠16及び調理容器4は、扉14と連動して前後方向に移動する。このため、利用者は、扉14を加熱庫2に対して前後方向に動かすことで、調理容器4を加熱庫2から出し入れすることができる。
【0020】
解凍調理装置1は、加熱部3を更に有している。加熱部3は、加熱庫2に収容された加熱対象物を加熱する。グリル調理を行う際、加熱対象物は、調理容器4と、この調理容器4に配置された調理物とで構成される。解凍調理を行う際、加熱対象物は、調理容器4と、この調理容器4に配置された冷凍食品とで構成される。
【0021】
図3及び図4に示すように、加熱部3は、上バーナー30と下バーナー31とを有している。上バーナー30は、加熱対象物を上側から加熱する。下バーナー31は、加熱対象物を下側から加熱する。上バーナー30及び下バーナー31の各々は、例えば、ブンゼンバーナーである。
【0022】
上バーナー30は、加熱庫2の天井部24に設置されており、加熱庫2の上端部に位置している。上バーナー30は、加熱庫2内に配置された加熱対象物の上方に位置し、加熱対象物を上側から加熱する。蓋41を取り付けずに調理容器4を用いた場合、調理容器4に配置された内容物(調理物又は冷凍食品)は、上バーナー30で生じた炎からの輻射によって上側から加熱される。
【0023】
下バーナー31は、加熱庫2の底部20に設置されており、加熱庫2の下端部に位置している。下バーナー31は、加熱庫2内に配置された加熱対象物の下方に位置し、加熱対象物を下側から加熱する。本実施形態の下バーナー31は、調理容器4が加熱庫2内の所定位置に配置された状態において、調理容器4の底部42の中央部の下方に位置する。下バーナー31で生じた炎は、調理容器4の底部42の中央部に当たる。この場合、調理容器4の内容物(調理物又は冷凍食品)は、下バーナー31によって加熱された調理容器4の熱が伝えられることによって加熱される。
【0024】
加熱部3は、図5に示すガス供給路32を更に有している。ガス供給路32は、上バーナー30及び下バーナー31に都市ガス等の燃料ガスを供給する。ガス供給路32は、主流路320と、主流路320から分岐した一対の副流路321,322とを有している。主流路320には、燃料ガスが供給される。一対の副流路321,322のうちの一方は、上バーナー30に通じる上バーナー用流路321であり、他方は下バーナー31に通じる下バーナー用流路322である。
【0025】
加熱部3は、加熱部3の単位時間当たりの加熱量を変更する火力変更部33を更に有している。本開示における加熱部3の単位時間当たりの加熱量とは、上バーナー30及び下バーナー31から加熱対象物に対して与えられる単位時間当たりの熱量である。
【0026】
火力変更部33は、上バーナー30の火力及び下バーナー31の火力を変更することで、加熱部3の加熱量を変更する。火力変更部33は、開閉弁330、上バーナー用点火プラグ331、下バーナー用点火プラグ332、上バーナー用火力調節部333及び下バーナー用火力調節部334を有している。
【0027】
上バーナー30には、上バーナー30を点火するための上バーナー用点火プラグ331が設置されている。下バーナー31には、下バーナー31を点火するための下バーナー用点火プラグ332が設置されている。
【0028】
開閉弁330は、主流路320に設けられている。開閉弁330は、例えば、電磁弁である。開閉弁330が開閉されることにより、主流路320から一対の副流路321,322への燃料ガスの供給の有無が切り換えられる。
【0029】
開閉弁330が開き、ガス供給路32から上バーナー30に燃料ガスが供給されている状態で、上バーナー用点火プラグ331が作動してスパークが生じることにより、上バーナー30は点火する。開閉弁330が開き、ガス供給路32から下バーナー31に燃料ガスが供給されている状態で、下バーナー用点火プラグ332が作動してスパークが生じることにより、下バーナー31は点火する。開閉弁330が閉じた状態では、上バーナー30及び下バーナー31の各々は、消火状態になる。
【0030】
上バーナー用火力調節部333は、点火状態の上バーナー30の火力を調節し、下バーナー用火力調節部334は、点火状態の下バーナー31の火力を調節する。本実施形態の上バーナー用火力調節部333は、上バーナー用流路321に設けられた、開閉弁333a及び開閉弁333bを有している。開閉弁333a及び開閉弁333bの各々は、例えば、電磁弁である。開閉弁333bは、上バーナー用流路321において、開閉弁333aよりも下流側に設けられている。
【0031】
ガス供給路32は、バイパス路323を更に有している。バイパス路323は、上バーナー用流路321において、開閉弁333aよりも下流側でかつ開閉弁333bよりも上流側の箇所と、開閉弁333bよりも下流側の箇所とを接続している。バイパス路323の少なくとも一部は、上バーナー用流路321よりも流路断面積が小さい流路324である。
【0032】
上バーナー30の火力は、開閉弁333a及び開閉弁333bの各々が開閉されることによって調節される。開閉弁330、開閉弁333a及び開閉弁333bの各々が開いた状態では、主流路320から上バーナー用流路321に供給された燃料ガスは、開閉弁333bと流路324との両者を通過して上バーナー30に供給される。この場合、上バーナー30の火力は、強火、すなわち「強」になる。開閉弁330及び開閉弁333aが開き、かつ、開閉弁333bが閉じた状態では、主流路320から上バーナー用流路321に供給された燃料ガスは、開閉弁333b及び流路324のうちの流路324のみを通過して上バーナー30に供給される。この場合、上バーナー30に供給される燃料ガスの流量は、開閉弁333bが開いた状態にある場合よりも少なくなる。このため、上バーナー30の火力は、弱火、すなわち「弱」になる。開閉弁330が閉じた状態にあるとき、及び開閉弁333aが閉じた状態にあるとき、上バーナー30には燃料ガスが供給されず、上バーナー30は消火状態、すなわち、上バーナー30の火力は「切」になる。
【0033】
本実施形態の下バーナー用火力調節部334は、下バーナー用流路322に設けられた開閉弁334aを有している。開閉弁334aは、例えば、電磁弁である。ガス供給路32は、バイパス路325を更に有している。バイパス路325は、下バーナー用流路322において、開閉弁334aよりも上流側の箇所と、開閉弁334aよりも下流側の箇所とを接続している。バイパス路325の少なくとも一部は、下バーナー用流路322よりも流路断面積が小さい流路326である。
【0034】
下バーナー31の火力は、開閉弁334aが開閉されることによって調節される。開閉弁330及び開閉弁334aが開いた状態では、主流路320から下バーナー用流路322に供給された燃料ガスは、開閉弁334aと流路326との両者を通過して下バーナー31に供給される。この場合、下バーナー31の火力は、「強」になる。開閉弁330が開き、かつ、開閉弁334aが閉じた状態では、主流路320から下バーナー用流路322に供給された燃料ガスは、開閉弁334a及び流路326のうちの流路326のみを通過して下バーナー31に供給される。この場合、下バーナー31に供給される燃料ガスの流量は、開閉弁334aが開いた状態にある場合よりも少なくなる。このため、下バーナー31の火力は、「弱」になる。開閉弁330が閉じた状態にあるとき、下バーナー31には燃料ガスが供給されず、下バーナー30は消火状態になる。
【0035】
解凍調理装置1は、利用者によって操作される操作部として、図1に示すグリル用操作部5を更に備えている。グリル用操作部5は、ケーシング10の前面に設けられている。利用者は、グリル用操作部5を操作して自動調理運転の設定を行うことができる。また、自動調理運転の設定がなされ、加熱対象物が加熱庫2内に配置され、かつ、扉14が閉じた状態で、利用者がグリル用操作部5を操作して自動調理運転の開始の指令を行うことにより、自動調理運転を実行することができる。
【0036】
自動調理運転の設定では、調理メニューが設定される。この調理メニューの設定は、利用者が、魚、鳥、パン等の食材の種類の違い、切り身、姿焼き等の食材の状態の違い、調理方法、火加減及び運転時間等に応じて設定された複数の調理メニューの中から、任意の調理メニューを選択することで設定される。
【0037】
解凍調理装置1は、図4に示す温度検知部27を更に備えている。温度検知部27は、加熱庫2に配置された調理容器4の温度を検知する。本実施形態の温度検知部27は、下バーナー31に設置された温度センサーである。加熱庫2内の所定位置に調理容器4が配されたとき、温度検知部27は、調理容器4の底部42の下面中央部に接触する。これにより、調理容器4の底部42の温度が、温度検知部27によって検知可能になる。
【0038】
解凍調理装置1は、図6に示す報知部17を更に備えている。報知部17は、自動調理運転の終了を報知する。報知部17は、例えば、ブザー又はスピーカー等の発音装置、文字又は図柄等を表示する表示装置、電灯、あるいはこれら複数の組み合わせである。
【0039】
解凍調理装置1は、制御部60を更に備えている。制御部60は、例えば、マイクロコンピューターで構成される。制御部60は、火力変更部33に電気的に接続されている。具体的に制御部60は、開閉弁330、上バーナー用点火プラグ331、上バーナー用火力調節部333(開閉弁333a,333b)、下バーナー用点火プラグ332及び下バーナー用火力調節部334(開閉弁334a)に、電気的に接続されている。また、制御部60は、こんろ用操作部13、グリル用操作部5及び温度検知部27にも電気的に接続されている。
【0040】
制御部60は、利用者によって自動調理運転の設定が行われ、かつ、自動調理運転の開始の指令がなされたことを条件として、自動調理運転を開始する。制御部60は、自動調理運転において、設定された調理メニュー及び温度検知部27の検知結果に基づき、火力変更部33を制御し、加熱庫2内に配置された加熱対象物を加熱部3によって加熱する。
【0041】
グリル用操作部5の操作により設定可能な複数の調理メニューには、グリル調理を行うためのグリル調理用メニューの他、解凍調理を行うための解凍調理用メニューが含まれている。制御部60は、解凍調理用メニューが設定された状態で自動調理運転の開始が指令されることにより、以下に示す解凍運転を実行する。なお、本実施形態の解凍運転では、冷凍食品を解凍後にも加熱して、冷凍食品を解凍運転直後に摂取可能な常温よりも高い温度にまで加熱するが、単に解凍だけを行う加熱であってもよい。
【0042】
解凍運転を行う場合、利用者は、前述した自動調理運転の設定において、グリル用操作部5を操作することにより、解凍運転の火加減及び解凍運転の運転時間を設定する。本実施形態では、解凍運転の火加減として、「中」、「強」及び「弱」の中から選択された一つの火加減が、設定される。また、解凍運転の運転時間として、1分、2分、・・・、19分及び20分と分単位で設定された運転時間の中から選択された一つの運転時間が設定される。これら火加減及び運転時間の設定は、例えば、利用者により、取扱説明書等に記載された内容に基づいて、冷凍食品の種類及び量、並びに好みの加熱量等に応じて行われる。
【0043】
本実施形態の解凍運転には、第1解凍運転、第2解凍運転及び第3解凍運転の3種類の解凍運転がある。制御部60は、グリル用操作部5の操作によって設定された火加減に基づき、第1解凍運転、第2解凍運転及び第3解凍運転のうちのいずれか一つの解凍運転を実行する。
【0044】
第1解凍運転は、火加減が「中」に設定されたときに実行される解凍運転である。第1解凍運転は、例えば、から揚げ、お好み焼き、たこ焼き、焼きおにぎり又はたい焼き等の冷凍食品の解凍に適した運転である。第2解凍運転は、火加減が「強」に設定されたときに実行される解凍運転である。第2解凍運転は、例えば、焼き餃子等の冷凍食品の解凍に適した運転である。第3解凍運転は、火加減が「弱」に設定されたときに実行される解凍運転である。第3解凍運転は、例えば、炒飯、ピザ又はコロッケ等の冷凍食品の解凍に適した運転である。
【0045】
第1解凍運転、第2解凍運転及び第3解凍運転の各々では、制御部60は、加熱部3を、グリル用操作部5の操作により設定された運転時間(調理時間)継続して制御する。この加熱部3の制御は、温度検知部27により検知した温度及び制御部60が備えるタイマーにより計測した時間に基づいて行われる。なお、タイマーは、制御部60によって実現される機能であるが、実体のある構成であってもよい。
【0046】
図7は、第1解凍運転を実行したときにおける、温度検知部27により検知した温度t、上バーナー30の火力及び下バーナー31の火力の各々の時間経過に伴う変化を示したグラフである。図8は、第2解凍運転を実行したときにおける、温度検知部27により検知した温度t、上バーナー30の火力及び下バーナー31の火力の各々の時間経過に伴う変化を示したグラフである。図9は、第3解凍運転を実行したときにおける、温度検知部27により検知した温度t、上バーナー30の火力及び下バーナー31の火力の各々の時間経過に伴う変化を示したグラフである。
【0047】
まず、火加減が「中」に設定された場合に実行される第1解凍運転について説明する。図7に示すように、第1解凍運転は、第1加熱工程、第2加熱工程、第3加熱工程及び余熱工程(第4加熱工程)の四つの加熱工程を含んでいる。第1解凍運転では、第1加熱工程、第2加熱工程、第3加熱工程及び余熱工程がこの順序で実行される。本実施形態の第1解凍運転は、第1加熱工程、第2加熱工程、第3加熱工程及び余熱工程だけで構成されている。
【0048】
第1加熱工程は、第1解凍運転において最初に実行される工程である。制御部60は、第1加熱工程中、上バーナー30及び下バーナー31の各々を常に点火状態にする。また、制御部60は、第1加熱工程において、上バーナー30の火力を「弱」に維持し、かつ、下バーナー31の火力を、温度検知部27の検知結果に基づいて、「強」と「弱」とに切り換える。
【0049】
第2加熱工程は、第1加熱工程に続いて実行される工程である。制御部60は、第2加熱工程中、上バーナー30を常に消火状態(火力を「切」)にし、かつ、下バーナー31を常に点火状態にする。また、制御部60は、第2加熱工程において、下バーナー31の火力を温度検知部27の検知結果に基づいて、「強」と「弱」とに切り換える。
【0050】
第3加熱工程は、第2加熱工程に続いて実行される工程である。制御部60は、第3加熱工程中、上バーナー30及び下バーナー31の各々を常に点火状態にする。また、制御部60は、第3加熱工程において、上バーナー30の火力を「弱」に維持し、かつ、下バーナー31の火力を、温度検知部27の検知結果に基づいて、「強」と「弱」とに切り換える。
【0051】
余熱工程は、第3加熱工程に続いて実行される工程である。制御部60は、余熱工程中、上バーナー30及び下バーナー31を共に消火状態(火力を「切」)にする。余熱工程では、調理容器4の余熱によって加熱対象物が加熱される。このような余熱工程が実行されることにより、冷凍食品の表面温度と内部温度との差が小さくなる。
【0052】
制御部60は、余熱工程が終了した時点で、報知部17による報知を行う。これにより、利用者は、解凍運転が終了したことを報知部17から発せられた音等によって認識することができる。
【0053】
制御部60は、第1解凍運転を実行するにあたり、第1所定時間T1、第2所定時間T2、第3所定時間T3及び第4所定時間T4を設定する。第1所定時間T1は、第1加熱工程の実行予定時間であり、第2所定時間T2は、第2加熱工程の実行予定時間である。第3所定時間T3は、第3加熱工程の実行予定時間であり、第4所定時間T4は、余熱工程の実行予定時間である。
【0054】
第1所定時間T1、第2所定時間T2、第3所定時間T3及び第4所定時間T4の設定は、グリル用操作部5の操作によって設定された運転時間と、第1解凍運転の開始時点において温度検知部27によって検知した、加熱庫2の初期温度t0とに基づいて行われる。
【0055】
具体的に制御部60には、初期温度t0に応じて複数のデータテーブルが記憶されている。各データテーブルは、運転時間毎に第1所定時間T1、第2所定時間T2、第3所定時間T3及び第4所定時間T4の各々が定められたテーブルであり、実験結果に基づいて設定される。制御部60は、初期温度t0に対応するデータテーブルにおいて、設定された運転時間に対応する第1所定時間T1、第2所定時間T2、第3所定時間T3及び第4所定時間T4を、それぞれ第1加熱工程の実行予定時間、第2加熱工程の実行予定時間、第3加熱工程の実行予定時間及び余熱工程の実行予定時間として設定する。
【0056】
本実施形態の制御部60は、第1解凍運転において、第1加熱工程、第2加熱工程、第3加熱工程及び余熱工程だけを実行する。このため、第1所定時間T1、第2所定時間T2、第3所定時間T3及び第4所定時間T4を足し合わせた合計時間は、グリル用操作部5の操作により設定された運転時間と同じである。
【0057】
上述したように、本実施形態の第1解凍運転では、加熱対象物が、第1加熱工程及び第3加熱工程の各々において、上バーナー30及び下バーナー31の両者で加熱される。そして、これら第1加熱工程及び第3加熱工程の間において実行される第2加熱工程では、加熱対象物は、上バーナー30及び下バーナー31のうちの下バーナー31だけで加熱される。このため、冷凍食品が上バーナー30によって必要以上に加熱されることが抑制され、かつ、冷凍食品が速やかに解凍される。すなわち、仮に冷凍食品が、第1加熱工程、第2加熱工程及び第3加熱工程の各々において、上バーナー30及び下バーナー31の両者によって加熱されると、冷凍食品が上バーナー30の輻射熱によって継続して加熱される時間が長くなり、冷凍食品の表面に焦げが生じる可能性がある。しかし、本実施形態では、冷凍食品が上バーナー30によって長時間継続して加熱されることが抑制されるため、冷凍食品の表面が焦げることが抑制される。しかも、上バーナー30は、第1加熱工程及び第3加熱工程の各々において常に点火状態になり、かつ、下バーナー31は、第1加熱工程、第2加熱工程及び第3加熱工程の各々において常に点火状態となる。したがって、冷凍食品は、上バーナー30及び下バーナー31によって十分に加熱されて速やかに解凍される。
【0058】
また、第1加熱工程、第2加熱工程及び第3加熱工程では、下バーナー31の点火状態が維持される。このため、下バーナー31の点火状態と消火状態との切換回数が抑制される。したがって、下バーナー用流路322には、上バーナー用流路321における開閉弁333aのような、点火状態と消火状態とを切り換えるための開閉弁を設ける必要がなく、解凍調理装置1の構成を簡略化できる。
【0059】
また、本実施形態では、利用者がグリル用操作部5を操作することにより設定された運転時間に基づいて、第1所定時間T1、第2所定時間T2、第3所定時間T3及び第4所定時間T4の各々が決定される。このため、冷凍食品の種類及び量、並びに好みの加熱量等に応じて、冷凍食品を適切に解凍できる。
【0060】
また、本実施形態では、データテーブルとして記憶された、第1所定時間T1、第2所定時間T2及び第3所定時間T3の各々は、第1解凍運転の実行中、冷凍食品の表面温度が、冷凍食品に焦げが生じる温度にならないように設定されている。
【0061】
ここで、冷凍食品の表面が焦げ始める、冷凍食品の表面温度は、冷凍食品毎にばらつきがあるものの、概ね130℃以上150℃以下の範囲である。このため、本実施形態では、第1解凍運転の実行中、冷凍食品の表面温度が常に130℃未満になるように、第1所定時間T1、第2所定時間T2及び第3所定時間T3の各々が設定されている。このため、本実施形態では、冷凍食品の焦げが生じ難い。
【0062】
以下に示す表1及び表2は、第1解凍運転の実行時に利用される制御部60に記憶されたデータテーブルの一部である。表1は、初期温度t0が20℃であるときのデータテーブルの一部であり、表2は、初期温度t0が100℃であるときのデータテーブルの一部である。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
本実施形態では、表1及び表2に示すように、運転時間が長くなった場合における第1所定時間T1の変化時間と第3所定時間T3の変化時間とを足し合わせた時間と、第2所定時間T2の変化時間との比率は、運転時間の長短にかかわらず、一定である。例えば、初期温度t0が20℃であって運転時間が7分から8分に変化した場合、第1所定時間T1の変化時間である+10秒(290秒-280秒)と第3所定時間T3の変化時間である+10秒(90秒-80秒)とを足し合わせた時間は+20秒となり、この時間と第2所定時間T2の変化時間である+20秒(60秒-40秒)との比率は、1(+20秒/+20秒)になる。また、初期温度t0が20℃であって運転時間が7分から9分に変化した場合、第1所定時間T1の変化時間である+20秒(300秒-280秒)と第3所定時間T3の変化時間である+20秒(100秒-80秒)とを足し合わせた時間は+40秒となり、この時間と第2所定時間T2の変化時間である+40秒(80秒-40秒)との比率も、1(+20秒/+20秒)になる。このように、第1所定時間T1の変化時間と第3所定時間T3の変化時間とを足し合わせた時間と、第2所定時間T2の変化時間との比率が、運転時間の長短にかかわらず一定であることで、冷凍食品が上バーナー30によって必要以上に加熱されることが一層抑制される。
【0066】
また、本実施形態では、表1及び表2に示すように、初期温度t0が高い場合に、運転時間に対する第1所定時間T1の比率と、運転時間に対する第3所定時間T3の比率との各々が、初期温度t0が低い場合と比較して小さくなるように、第1所定時間T1及び第3所定時間T3が設定されている。また、初期温度t0が高い場合に、運転時間に対する第2所定時間T2の比率と、運転時間に対する第4所定時間T4の比率との各々が、初期温度t0が低い場合と比較して大きくなるように、第2所定時間T2及び第4所定時間T4が設定されている。
【0067】
例えば、運転時間が7分である場合について比較すると、表1に示すように初期温度t0が20℃である場合、第1所定時間T1の運転時間に対する比率は2/3(280秒/420秒)になり、第3所定時間T3の運転時間に対する比率は4/21(80秒/420秒)になる。これに対し、表2に示すように、初期温度t0が100℃であり、運転時間が7分である場合、第1所定時間T1の運転時間に対する比率は11/21(220秒/420秒)になり、第3所定時間T3の運転時間に対する比率が3/14(90秒/420秒)になる。このように、初期温度t0が高い場合に、運転時間に対する第1所定時間T1の比率と、運転時間に対する第3所定時間T3の比率との各々が、初期温度t0が低い場合と比較して小さくなることで、例えば、自動調理運転が複数回連続して行われる等して、初期温度t0が高い状態で解凍運転が行われる場合、冷凍食品が上バーナー30によって必要以上に加熱されることが抑制される。
【0068】
なお、本実施形態では、運転時間に対する第1所定時間T1の比率と、運転時間に対する第3所定時間T3の比率との両者が、初期温度t0が高い場合に低い場合と比較して小さくなるが、運転時間に対する第1所定時間T1の比率と、運転時間に対する第3所定時間T3の比率とのうちの一方だけが、初期温度t0が高い場合に低い場合と比較して小さくなってもよい。
【0069】
本実施形態の制御部60は、図10に示すフローチャートに従って、加熱部3を制御することにより、第1解凍運転を実行する。第1解凍運転が開始されると、制御部60は、まず、ステップS1の処理を実行する。制御部60は、ステップS1の処理において、初期温度t0として、温度検知部27によって調理容器4の温度tを検知し、この初期温度t0と、グリル用操作部5の操作により設定された運転時間とに基づいて、第1所定時間T1、第2所定時間T2、第3所定時間T3及び第4所定時間T4の各々を設定する。
【0070】
制御部60は、ステップS1の処理に続いてステップS2の処理を実行する。制御部60は、ステップS2の処理において、第1加熱工程を開始する。制御部60は、第1加熱工程の開始と同時に、火力変更部33を制御して、上バーナー30及び下バーナー31の各々を点火状態にする。
【0071】
制御部60は、第1加熱工程中、上バーナー30の火力を常に「弱」に維持する。また、制御部60は、第1加熱工程中、温度検知部27の検知結果に基づいて下バーナー31の火力を切り替える温調制御を常に実行する。この温調制御では、制御部60は、温度検知部27により調理容器4の温度tを一定時間毎に検知し、検知した温度tが予め設定された第1所定温度t1(図7参照)以上であれば、火力変更部33を制御して下バーナー31の火力を「弱」に切り換える一方、第1所定温度t1未満であれば火力変更部33を制御して下バーナー31の火力を「強」に切り換える。本実施形態の第1所定温度t1は、140℃である。なお、第1所定温度t1は、140℃に限定されない。
【0072】
制御部60は、ステップS2の処理に続いてステップS3の処理を実行する。ステップS3の処理において、制御部60は、第1加熱工程の開始時点から現在まで経過した時間である第1加熱工程実行時間が、第1所定時間T1以上であるか否かを判定する。
【0073】
ステップS3の処理において、第1加熱工程実行時間が第1所定時間T1以上でなければ、制御部60は、ステップS4において一定時間待機する処理を行った後、ステップS3の処理を実行する。ステップS3の処理において、第1加熱工程実行時間が第1所定時間T1以上であれば、制御部60は、ステップS5の処理を実行する。
【0074】
制御部60は、ステップS5の処理において、第1加熱工程を終了し、第2加熱工程を開始する。制御部60は、第2加熱工程の開始と同時に、火力変更部33を制御して、上バーナー30を消火状態にする。
【0075】
制御部60は、第2加熱工程中、上バーナー30を常に消火状態にする。また、制御部60は、第2加熱工程中、温度検知部27の検知結果に基づいて下バーナー31の火力を切り替える温調制御を常に実行する。この温調制御は、第1加熱工程で実行される、下バーナー31の温調制御と同じである。すなわち、制御部60は、温度検知部27により調理容器4の温度tを一定時間毎に検知し、検知した温度tが予め設定された第1所定温度t1(本実施形態では140℃)以上であれば、火力変更部33を制御して下バーナー31の火力を「弱」に切り換える一方、第1所定温度t1未満であれば火力変更部33を制御して下バーナー31の火力を「強」に切り換える。
【0076】
制御部60は、ステップS5の処理に続いてステップS6の処理を実行する。ステップS6の処理において、制御部60は、第2加熱工程の開始時点から現在まで経過した時間である第2加熱工程実行時間が、第2所定時間T2以上であるか否かを判定する。
【0077】
ステップS6の処理において、第2加熱工程実行時間が第2所定時間T2以上でなければ、制御部60は、ステップS7において一定時間待機する処理を行った後、ステップS6の処理を実行する。ステップS6の処理において、第2加熱工程実行時間が第2所定時間T2以上であれば、制御部60は、ステップS8の処理を実行する。
【0078】
制御部60は、ステップS8の処理において、第2加熱工程を終了し、第3加熱工程を開始する。制御部60は、第3加熱工程の開始と同時に、火力変更部33を制御して、上バーナー30を点火状態にする。
【0079】
制御部60は、第3加熱工程中、上バーナー30の火力を常に「弱」にする。また、制御部60は、第3加熱工程中、温度検知部27の検知結果に基づいて下バーナー31の火力を切り替える温調制御を常に実行する。この温調制御は、第1加熱工程で実行される、下バーナー31の温調制御と同じである。すなわち、制御部60は、温度検知部27により調理容器4の温度tを一定時間毎に検知し、検知した温度tが予め設定された第1所定温度t1(本実施形態では140℃)以上であれば、火力変更部33を制御して下バーナー31の火力を「弱」に切り換える一方、第1所定温度t1未満であれば火力変更部33を制御して下バーナー31の火力を「強」に切り換える。
【0080】
制御部60は、ステップS8の処理に続いてステップS9の処理を実行する。ステップS9の処理において、制御部60は、第3加熱工程の開始時点から現在まで経過した時間である第3加熱工程実行時間が、第3所定時間T3以上であるか否かを判定する。
【0081】
ステップS9の処理において、第3加熱工程実行時間が第3所定時間T3以上でなければ、制御部60は、ステップS10において一定時間待機する処理を行った後、ステップS9の処理を実行する。ステップS9の処理において、第3加熱工程実行時間が第3所定時間T3以上であれば、制御部60は、ステップS11の処理を実行する。
【0082】
制御部60は、ステップS11の処理において、第3加熱工程を終了し、かつ、余熱工程を開始する。制御部60は、余熱工程の開始と同時に、火力変更部33を制御して、上バーナー30及び下バーナー31の各々を消火状態にする。制御部60は、余熱工程中、上バーナー30及び下バーナー31の各々を常に消火状態にする。
【0083】
制御部60は、ステップS11の処理に続いてステップS12の処理を実行する。ステップS12の処理において、制御部60は、余熱工程の開始時点から現在まで経過した時間である余熱工程実行時間が、第4所定時間T4以上であるか否かを判定する。
【0084】
ステップS12の処理において、余熱工程実行時間が第4所定時間T4以上でなければ、制御部60は、ステップS13において一定時間待機する処理を行った後、ステップS12の処理を実行する。ステップS12の処理において、余熱工程実行時間が第4所定時間T4以上であれば、制御部60は、ステップS14の処理を実行する。
【0085】
制御部60は、ステップS14の処理において、余熱工程を終了する。制御部60は、余熱工程の終了と同時に、報知部17によって第1解凍運転の終了を報知する。これにより、第1解凍運転が終了する。
【0086】
次に火加減が「強」に設定された場合に実行される第2解凍運転について説明する。図8に示すように、第2解凍運転は、第1加熱工程を含んでいる。本実施形態の第2解凍運転は、第1加熱工程だけで構成されている。
【0087】
制御部60は、第2解凍運転における第1加熱工程中、上バーナー30を常に消火状態にし、かつ、下バーナー31を常に点火状態にする。また、制御部60は、第2解凍運転の第1加熱工程において、下バーナー31の火力を、温度検知部27の検知結果に基づいて「強」と「弱」とに切り換える。
【0088】
制御部60は、第2解凍運転の第1加熱工程を第1所定時間T1だけ実行する。本実施形態の制御部60は、第2解凍運転において、第1加熱工程だけを実行する。このため、第1所定時間T1は、グリル用操作部5の操作により設定された運転時間である。
【0089】
本実施形態の制御部60は、図11に示すフローチャートに従って、加熱部3を制御することにより、第2解凍運転を実行する。第2解凍運転が開始されると、制御部60は、まず、ステップS21の処理を実行する。制御部60は、ステップS21の処理において、第1加熱工程を開始する。
【0090】
制御部60は、第1加熱工程の開始と同時に、火力変更部33を制御して、下バーナー31を点火状態にする。制御部60は、第1加熱工程中、上バーナー30を常に消火状態にする。このため、冷凍食品の表面には、焦げが生じ難い。
【0091】
また、制御部60は、第1加熱工程中、温度検知部27の検知結果に基づいて下バーナー31の火力を切り替える温調制御を常に実行する。この温調制御では、制御部60は、温度検知部27により調理容器4の温度tを一定時間毎に検知し、検知した温度tが予め設定された第2所定温度t2(図8参照)以上であれば、火力変更部33を制御して下バーナー31の火力を「弱」に切り換える一方、第2所定温度t2未満であれば火力変更部33を制御して下バーナー31の火力を「強」に切り換える。第2所定温度t2は、第1解凍運転における下バーナー31の温調制御に用いられた第1所定温度t1よりも高い温度であり、本実施形態では、180℃である。このため、第2解凍運転では、冷凍食品は、第1解凍運転が実行される場合よりも高い温度にまで加熱される。なお、第2所定温度t2は、180℃に限定されない。
【0092】
制御部60は、ステップS21の処理に続いてステップS22の処理を実行する。ステップS22の処理において、制御部60は、第1加熱工程の開始時点から現在まで経過した時間である第1加熱工程実行時間が、第1所定時間T1以上であるか否かを判定する。
【0093】
ステップS22の処理において、第1加熱工程実行時間が第1所定時間T1以上でなければ、制御部60は、ステップS23において一定時間待機する処理を行った後、ステップS22の処理を実行する。ステップS22の処理において、第1加熱工程実行時間が第1所定時間T1以上であれば、制御部60は、ステップS24の処理を実行する。制御部60は、ステップS24の処理において、第1加熱工程を終了する。制御部60は、第1加熱工程の終了と同時に、報知部17によって第2解凍運転の終了を報知する。これにより、第2解凍運転が終了する。
【0094】
次に火加減が「弱」に設定された場合に実行される第3解凍運転について説明する。図9に示すように、第3解凍運転は、第1加熱工程及び余熱工程を含んでいる。第3解凍運転では、第1加熱工程及び余熱工程がこの順序で実行される。本実施形態の第3解凍運転は、第1加熱工程及び余熱工程だけで構成されている。
【0095】
第3解凍運転の第1加熱工程は、第3解凍運転において最初に実行される工程である。制御部60は、第3解凍運転の第1加熱工程中、上バーナー30及び下バーナー31の各々を常に点火状態にする。また、制御部60は、第3解凍運転の第1加熱工程において、上バーナー30の火力を「強」に維持し、かつ、下バーナー31の火力を、温度検知部27の検知結果に基づいて、「強」と「弱」とに切り換える。
【0096】
第3解凍運転の余熱工程は、第1加熱工程に続いて実行される工程である。制御部60は、第3解凍運転の余熱工程中、上バーナー30及び下バーナー31を共に消火状態にする。余熱工程では、調理容器4の余熱によって加熱対象物が加熱される。
【0097】
制御部60は、第3解凍運転を実行するにあたり、第1加熱工程の実行予定時間及び余熱工程の実行予定時間として、第1所定時間T1及び第4所定時間T4をそれぞれ設定する。この設定は、第1解凍運転を実行する場合と同様に、利用者がグリル用操作部5を操作することによって設定された運転時間と、第3解凍運転の開始時において温度検知部27によって検知した加熱庫2の初期温度t0とに基づいて行われる。
【0098】
具体的に制御部60には、初期温度t0に応じて複数のデータテーブルが記憶されている。各データテーブルは、第1所定時間T1及び第4所定時間T4の各々が運転時間毎に定められたテーブルであり、実験結果に基づいて設定される。制御部60は、初期温度t0に対応するデータテーブルにおいて運転時間に対応する第1所定時間T1及び第4所定時間T4を、それぞれ第1加熱工程の実行予定時間及び余熱工程の実行予定時間として設定する。
【0099】
本実施形態の制御部60は、第3解凍運転において、第1加熱工程及び余熱工程だけを実行する。このため、第1所定時間T1と第4所定時間T4とを足し合わせた合計時間は、グリル用操作部5の操作により設定された運転時間である。
【0100】
以下に示す表3及び表4は、第3解凍運転の実行時に利用される制御部60に記憶されたデータテーブルの一部である。表3は、初期温度t0が20℃であるときのデータテーブルの一部であり、表4は、初期温度t0が100℃であるときのデータテーブルの一部である。
【0101】
【表3】
【0102】
【表4】
【0103】
本実施形態の制御部60は、図12に示すフローチャートに従って、加熱部3を制御することにより、第3解凍運転を実行する。第3解凍運転が開始されると、制御部60は、まず、ステップS31の処理を実行する。制御部60は、ステップS31の処理において、初期温度t0として、温度検知部27によって調理容器4の温度tを検知し、この初期温度t0と、グリル用操作部5の操作により設定された運転時間とに基づいて、第1所定時間T1及び第4所定時間T4の各々を設定する。
【0104】
制御部60は、ステップS31の処理に続いてステップS32の処理を実行する。制御部60は、ステップS32の処理において、第1加熱工程を開始する。制御部60は、第1加熱工程の開始と同時に、火力変更部33を制御して、上バーナー30及び下バーナー31の各々を点火状態にする。
【0105】
制御部60は、第1加熱工程中、上バーナー30の火力を常に「強」にする。このため、冷凍食品の表面の水分を飛ばすことができる。また、制御部60は、第1加熱工程中、温度検知部27の検知結果に基づいて下バーナー31の火力を切り替える温調制御を常に実行する。この温調制御では、制御部60は、温度検知部27により調理容器4の温度tを一定時間毎に検知し、検知した温度tが予め設定された第3所定温度t3(図9参照)以上であれば、火力変更部33を制御して下バーナー31の火力を「弱」に切り換える一方、第3所定温度t3未満であれば火力変更部33を制御して下バーナー31の火力を「強」に切り換える。第3所定温度t3は、第1解凍運転における下バーナー31の温調制御に用いられた第1所定温度t1よりも低い温度であり、本実施形態では、130℃である。なお、第3所定温度t3は、130℃に限定されない。
【0106】
制御部60は、ステップS32の処理に続いてステップS33の処理を実行する。ステップS33の処理において、制御部60は、第1加熱工程の開始時点から現在まで経過した時間である第1加熱工程実行時間が、第1所定時間T1以上であるか否かを判定する。
【0107】
ステップS33の処理において、第1加熱工程実行時間が第1所定時間T1以上でなければ、制御部60は、ステップS34において一定時間待機する処理を行った後、ステップS33の処理を実行する。ステップS33の処理において、第1加熱工程実行時間が第1所定時間T1以上であれば、制御部60は、ステップS35の処理を実行する。
【0108】
制御部60は、ステップS35の処理において、第1加熱工程を終了し、余熱工程を開始する。制御部60は、余熱工程の開始と同時に、火力変更部33を制御して、上バーナー30及び下バーナー31の各々を消火状態にする。制御部60は、余熱工程中、上バーナー30及び下バーナー31の各々を常に消火状態にする。
【0109】
制御部60は、ステップS35の処理に続いてステップS36の処理を実行する。ステップS36の処理において、制御部60は、余熱工程の開始時点から現在まで経過した時間である余熱工程実行時間が、第4所定時間T4以上であるか否かを判定する。
【0110】
ステップS36の処理において、余熱工程実行時間が第4所定時間T4以上でなければ、制御部60は、ステップS37において一定時間待機する処理を行った後、ステップS36の処理を実行する。ステップS36の処理において、余熱工程実行時間が第4所定時間T4以上であれば、制御部60は、ステップS38の処理を実行する。
【0111】
制御部60は、ステップS38の処理において、余熱工程を終了する。制御部60は、余熱工程の終了と同時に、報知部17によって第3解凍運転の終了を報知する。これにより、第3解凍運転が終了する。
【0112】
(2)変形例
上記実施形態の解凍調理装置1は、適宜設計変更可能である。例えば、第1解凍運転で実行される第1加熱工程、第2加熱工程、第3加熱工程及び余熱工程における上バーナー30の火力及び下バーナー31の火力は、限定されない。例えば、第1解凍運転の第1加熱工程における上バーナー30の火力は、「強」であってもよい。また、第1解凍運転の第3加熱工程における上バーナー30の火力は、「強」であってもよい。
【0113】
また、上記実施形態における第2加熱工程では、上バーナー30及び下バーナー31のうち、下バーナー31だけが消火されてもよい。すなわち、この場合、第2加熱工程では、加熱対象物は、上バーナー30及び下バーナー31のうち、上バーナー30だけで第2所定時間T2継続して加熱される。この場合も、冷凍食品の焦げを生じにくくすることができる。
【0114】
また、第2加熱工程に代えて、以下に示す第2消火工程を実行してもよい。第2消火工程は、第1加熱工程の後、上バーナー30及び下バーナー31を第2所定時間継続して消火する工程である。すなわち、この場合、第1加熱工程に続いて第2消火工程が実行され、第2消火工程に続いて第3消火工程が実行され、第3消火工程に続いて余熱工程が実行される。この場合にも、冷凍食品の焦げを生じにくくすることができる。
【0115】
また、上記実施形態における第1解凍運転では、第1所定時間T1、第2所定時間T2、第3所定時間T3及び第4所定時間T4の各々は、初期温度t0に応じて決定されるが、初期温度t0にかかわらず決定されてもよい。また、第1解凍運転及び第3解凍運転の各々では、余熱工程を実行しなくてもよい。
【0116】
また、本実施形態では、第1解凍運転、第2解凍運転及び第3解凍運転の各々の運転時間が、利用者のグリル用操作部5の操作により変更可能であるが、変更不能であってもよい。また、本実施形態では、グリル用操作部5の操作により設定された「火加減」に基づいて、実行する解凍運転が変更されるが、例えば、第1解凍運転、第2解凍運転及び第3解凍運転のうちの第1解凍運転だけが実行可能であってもよい。
【0117】
また、上バーナー用火力調節部333は、開閉弁333a及び開閉弁333bに限定されない。例えば、上バーナー用火力調節部333は、上バーナー用流路321に設けられた流量制御弁等であってもよい。また、下バーナー用火力調節部334は、開閉弁334aに限定されない。例えば、下バーナー用火力調節部334は、下バーナー用流路322に設けられた流量制御弁等であってもよい。また、上バーナー用火力調節部333及び下バーナー用火力調節部334の各々は、対応する上バーナー30及び下バーナー31の火力を3段階以上調節可能であってもよい。
【0118】
また、温度検知部27は、調理容器4に接触するものに限定されない。例えば、温度検知部27は、加熱庫2内の温度、加熱庫2から排出された気体の温度等を検知することで、調理容器4の温度と相関する情報を検知するものであってもよい。本開示では、このように調理容器4の温度と相関する情報を検知することも、調理容器4の温度を検知することに含まれる。
【0119】
また、調理容器4の形状は、限定されず、例えば、底の浅い皿状等であってもよい。また、調理容器4は、解凍調理装置1において必須ではない。例えば、解凍調理装置1が調理容器4を備えない場合、調理容器4に代えて別の調理容器を用意し、この調理容器を用いて既述の解凍調理を行えばよい。
【0120】
また、この他、解凍調理装置1の各要素の形状、大きさ及び材質等は適宜変更可能である。また、本開示の技術は、テーブルこんろ等、ドロップインこんろ以外のガスこんろにも適用可能である。また、本開示の技術は、こんろバーナーを備えないグリル装置等、グリル付ガスこんろ以外の解凍調理装置1にも適用可能である。
【0121】
(3)態様
以上説明した実施形態及び変形例から明らかなように、第1の態様の解凍調理装置(1)は、以下に示す構成を有する。解凍調理装置(1)は、加熱庫(2)、加熱部(3)及び制御部(60)を備える。加熱部(3)は、加熱庫(2)に収容された調理容器(4)及びこの調理容器(4)に配置された冷凍食品を含む加熱対象物を加熱する。制御部(60)は、加熱部(3)を制御する。加熱部(3)は、上バーナー(30)と下バーナー(31)とを有する。上バーナー(30)は、前記加熱対象物を上側から加熱する。下バーナー(31)は、前記加熱対象物を下側から加熱する。制御部(60)は、加熱部(3)を制御して、前記加熱対象物を加熱する解凍運転(第1解凍運転)を実行する。制御部(60)は、前記解凍運転において、第1加熱工程と、第2加熱工程と、第3加熱工程とを実行する。あるいは、制御部(60)は、前記解凍運転において、第1加熱工程と、第2消火工程と、第3加熱工程とを実行する。前記第1加熱工程は、上バーナー(30)及び下バーナー(31)の両者で、前記加熱対象物を第1所定時間(T1)継続して加熱する工程である。前記第2加熱工程は、前記第1加熱工程の後、上バーナー(30)及び下バーナー(31)のうちの下バーナー(31)だけで、前記加熱対象物を第2所定時間(T2)継続して加熱する工程である。前記第2消火工程は、前記第1加熱工程の後、上バーナー(30)及び下バーナー(31)を第2所定時間継続して消火する工程である。前記第3加熱工程は、前記第2加熱工程あるいは前記第2消火工程の後、上バーナー(30)及び下バーナー(31)の両者で、前記加熱対象物を加熱する工程である。
【0122】
この態様によれば、加熱対象物が、第1加熱工程及び第3加熱工程の各々において、上バーナー(30)及び下バーナー(31)の両者で加熱される。そして、これら第1加熱工程及び第3加熱工程の間において実行される第2加熱工程では、加熱対象物は、上バーナー(30)及び下バーナー(31)のうちの下バーナー31だけで加熱される。あるいは、第1加熱工程及び第3加熱工程の間において実行される第2消火工程では、加熱対象物は、上バーナー(30)及び下バーナー(31)によっては加熱されない。このため、冷凍食品が必要以上に加熱されることによって焦げが生じることが抑制され、かつ、冷凍食品が速やかに解凍される。
【0123】
第2の態様の解凍調理装置(1)は、第1の態様との組み合わせにより実現され得る。第2の態様の解凍調理装置(1)は、以下に示す構成を有する。制御部(60)は、前記解凍運転において、前記第3加熱工程の後、上バーナー(30)及び下バーナー(31)による加熱を所定時間(第4所定時間T4)停止する余熱工程を実行する。
【0124】
この態様によれば、余熱工程を実行することにより、冷凍食品の表面温度と内部温度との差が小さくなり、冷凍食品が適切に解凍されやすくなる。
【0125】
第3の態様の解凍調理装置(1)は、第1又は第2の態様との組み合わせにより実現され得る。第3の態様の解凍調理装置(1)は、以下に示す構成を有する。解凍調理装置(1)は、操作部(グリル用操作部5)を更に備える。操作部(5)は、前記解凍運転の運転時間を設定するために用いられる。前記第3加熱工程は、上バーナー(30)及び下バーナー(31)の両者で、前記加熱対象物を第3所定時間(T3)継続して加熱する工程である。制御部(60)は、操作部(5)によって設定された前記運転時間に基づいて、第1所定時間(T1)、第2所定時間(T2)及び第3所定時間(T3)を設定する。
【0126】
この態様によれば、操作部(5)によって設定された運転時間に基づいて、第1所定時間(T1)、第2所定時間(T2)及び第3所定時間(T3)の各々が決定される。このため、冷凍食品の種類及び量、並びに好みの加熱量等に応じて、冷凍食品を適切に解凍できる。
【0127】
第4の態様の解凍調理装置(1)は、第3の態様との組み合わせにより実現され得る。第4の態様の解凍調理装置(1)は、以下に示す構成を有する。制御部(60)は、前記運転時間が長くなった場合における第1所定時間(T1)の変化時間と第3所定時間(T3)の変化時間とを足し合わせた時間と、第2所定時間(T2)の変化時間との比率が、運転時間の長短にかかわらず一定となるように、第1所定時間(T1)、第2所定時間(T2)及び第3所定時間(T3)を設定する。
【0128】
この態様によれば、冷凍食品が必要以上に加熱されることが一層抑制される。
【0129】
第5の態様の解凍調理装置(1)は、第3又は第4の態様との組み合わせにより実現され得る。第5の態様の解凍調理装置(1)は、以下に示す構成を有する。解凍調理装置(1)は、温度検知部(27)を更に備える。温度検知部(27)は、調理容器(4)の温度(t)を検知する。制御部(60)は、初期温度(t0)として、前記解凍運転の開始の際に温度検知部(27)によって調理容器(4)の温度(t)を検知し、初期温度(t0)が高い場合に、前記運転時間に対する第1所定時間(T1)の比率と、前記運転時間に対する第3所定時間(T3)の比率とのうちの少なくとも一方が、初期温度(t0)が低い場合と比較して小さくなるように、第1所定時間(T1)、第2所定時間(T2)及び第3所定時間(T3)を設定する。
【0130】
この態様によれば、冷凍食品が必要以上に加熱されることが一層抑制される。
【符号の説明】
【0131】
t 調理容器の温度
t0 初期温度
T1 第1所定時間
T2 第2所定時間
T3 第3所定時間
T4 第4所定時間
1 解凍調理装置
2 加熱庫
27 温度検知部
3 加熱部
30 上バーナー
31 下バーナー
4 調理容器
5 グリル用操作部(操作部)
60 制御部
図1
図2
図3
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図12