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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-19
(45)【発行日】2023-07-27
(54)【発明の名称】コンプレッサー装置
(51)【国際特許分類】
   B60C 23/12 20060101AFI20230720BHJP
   B60B 35/02 20060101ALI20230720BHJP
   B60B 35/14 20060101ALI20230720BHJP
   F04B 27/053 20060101ALI20230720BHJP
   F04B 39/10 20060101ALI20230720BHJP
   F04B 27/047 20060101ALI20230720BHJP
【FI】
B60C23/12
B60B35/02 L
B60B35/14 V
F04B27/053
F04B39/10 A
F04B39/10 M
F04B27/047
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019547968
(86)(22)【出願日】2018-03-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-16
(86)【国際出願番号】 EP2018055369
(87)【国際公開番号】W WO2018158466
(87)【国際公開日】2018-09-07
【審査請求日】2021-03-02
(31)【優先権主張番号】102017002083.3
(32)【優先日】2017-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102017106805.8
(32)【優先日】2017-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591203428
【氏名又は名称】イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド
(73)【特許権者】
【識別番号】518090052
【氏名又は名称】カーテー プロジェクテントビクルングス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】コンスタンティン ツィベリディス
【審査官】佐々木 智洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-090826(JP,A)
【文献】特表2017-500238(JP,A)
【文献】特開2012-202385(JP,A)
【文献】独国実用新案第202014010520(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 23/12
B60B 35/02
B60B 35/14
F04B 27/053
F04B 39/10
F04B 27/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸(32)を中心として回転可能にホイールキャリア(3)に支持されたホイールハブ(4)に取付け可能な車両用ホイールのタイヤのタイヤ内腔(7)に圧力媒体を供給するコンプレッサー装置(10)において、
コンプレッサー部材(18)と協働するハブ側圧縮室(16)であって、前記タイヤ内腔(7)に供給されるべき前記ハブ側圧縮室(16)内の圧力媒体は、前記コンプレッサー部材(18)が前記ハブ側圧縮室(16)内で往復直線運動することによって該ハブ側圧縮室(16)内で加圧されるハブ側圧縮室(16)と、
トランスミッション(20)とを具備し、
前記トランスミッション(20)は、ハブ側トランスミッション部分(24)とホイールキャリア側トランスミッション部分(26)とが作用位置にあるとき、ホイールキャリア側とホイールハブ側との間の回転運動を前記コンプレッサー部材(18)の往復直線運動に変換するように構成され、
前記コンプレッサー部材(18)は、前記ハブ側トランスミッション部分(24)に結合されており、
前記コンプレッサー部材(18)は、該コンプレッサー部材(18)内に配置された永久磁石(102)を含み
複数の永久磁石(100)が前記ハブ側圧縮室(16)の周壁に配設されており、該永久磁石(100)の配置及び極性は、径方向内方又は径方向外方に向かうコンプレッサー部材(18)の径方向(34)における動きを補助するように選択されているコンプレッサー装置。
【請求項2】
前記ハブ側圧縮室(16)の死容積(120)に接続された圧力媒体出口(76)が、前記ハブ側圧縮室(16)を画定するキャップ部に設けられており、該圧力媒体出口(76)は、内部にチェックバルブ(80)が配置された導管部(78)を介して、前記タイヤ内腔(7)に接続可能であり、前記導管部(78)は、リリーフバルブ(82)に接続され、該リリーフバルブ(82)を介して、前記導管部(78)の圧力を解放可能である請求項1に記載のコンプレッサー装置(10)。
【請求項3】
圧力媒体入口(72)を有した圧力室(25)を更に具備し、前記コンプレッサー部材(18)は該圧力室の境界の一部分を形成しており、該圧力室(25)内に圧力サージを供給することによって、前記コンプレッサー部材(18)が該圧力室(25)内で移動する請求項1に記載のコンプレッサー装置(10)。
【請求項4】
前記圧力室(25)は、前記ハブ側圧縮室(16)である請求項3に記載のコンプレッサー装置(10)。
【請求項5】
前記圧力室(25)は、前記ハブ側圧縮室(16)とは空気的に分離して形成され、前記圧力室(25)は、前記コンプレッサー部材(18)又は前記ハブ側トランスミッション部分(24)内に配置される請求項3に記載のコンプレッサー装置(10)。
【請求項6】
並進体(130)の往復直線運動によって電気エネルギーを生成する発電機装置(140)と、
発電機トランスミッション(135)とを更に具備し、
前記発電機トランスミッション(135)は、ホイールキャリア側発電機トランスミッション部分(137)とハブ側発電機トランスミッション部分(139)とが作用位置にあるとき、ホイールキャリア側とホイールハブ側との回転運動を前記並進体(130)の往復直線運動に変換するように構成され、
前記発電機トランスミッション(135)は、前記トランスミッション(20)とは独立して作動可能である請求項1に記載のコンプレッサー装置(10)。
【請求項7】
前記コンプレッサー部材(18)は、前記ハブ側トランスミッション部分(24)と一体的に接続して形成される請求項1に記載のコンプレッサー装置(10)。
【請求項8】
前記コンプレッサー部材(18)は、コンプレッサー装置(10)の動作時に、径方向内方及び径方向外方に向かう動作によって圧力媒体を送出するように構成及び配置される請求項1に記載のコンプレッサー装置(10)。
【請求項9】
前記コンプレッサー部材(18)又は前記ハブ側圧縮室(16)の境界に設けられ、前記コンプレッサー部材(18)の吸引行程において開き、前記コンプレッサー部材(18)の送出行程において閉じるリードバルブ(64)を更に具備する請求項3に記載のコンプレッサー装置(10)。
【請求項10】
前記ホイールキャリア側トランスミッション部分(26)は、分岐部(46)と、該分岐部(46)を介して接続する作用トラック(48)及び解放トラック(50)とを有するディスク溝カム(44)を備える請求項1に記載のコンプレッサー装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載の、ホイールハブに取付け可能な車両用ホイールのタイヤのタイヤ内腔に圧力媒体を供給するコンプレッサー装置に関する。
【0002】
ここで、タイヤのタイヤ内腔は、ホイールハブに取付け可能な車両用ホイールの一部であり、ホイールハブは、回転軸の周りに回転可能にホイールキャリアにおいて支持されている。
【背景技術】
【0003】
車両用タイヤのタイヤ内腔に、例えば圧縮空気等の圧力媒体を満たすために、タイヤバルブを車両用ホイールに設け、このタイヤバルブを介して圧力媒体をタイヤ内腔に導入することができることが既知である。乗用車、トラック、又は商用車両等の車両では、タイヤバルブは、通常、タイヤが取り付けられるリムの領域に配置されるため、外側から簡単にアクセス可能である。
【0004】
タイヤバルブは、タイヤ圧力を、特に手動で、制御及び場合によっては補正することができるように、例えばホースによって、車両外部の圧力媒体源に接続することができる。
【0005】
さらに、車両用タイヤのタイヤ内腔の圧力媒体充填を自律的に行うことができる車両側圧力媒体供給システムが既知である。これに関して、車両側に設けられた中央圧力媒体源、例えばコンプレッサー又はアキュムレーターから、ホイールまで、圧力媒体導管が設けられ、タイヤ内腔へと続くことが既知である。ホイールキャリア等の車両に対して回転しない部材から、走行動作時に回転するホイールへの移行部において、いわゆるロータリージョイントが実現され、それにより、走行中、すなわちホイールが回転する場合でも、圧力媒体充填が可能になる。このようにして、タイヤ圧力を、例えば、変化する積載率、路面、及び周囲温度に適合させることができ、又は、例えば拡散による漏れを補償することができる。
【0006】
既知のシステムの問題は、車両外部の圧力媒体源においてそれぞれ保持され、全てのタイヤ内腔における圧力を、労力をかけて試験し、又は補正しなければならないことである。ロータリージョイントを介して圧力媒体をタイヤ内腔に送達する既知の車両側圧力媒体源では、圧力媒体に対するロータリージョイントの動作安全性が問題となる。ロータリージョイントは、非常に高いコストをかけなければ、車両の寿命を長らえさせるように丈夫で長寿命に作製することができず、そのため、費用がかさみ不経済である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、車両の総寿命にわたって信頼性がありメンテナンスが少なくて済むように、タイヤ内腔への圧力媒体の充填を保証するコンプレッサー装置を創出することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、請求項1に記載のコンプレッサー装置によって解決される。このコンプレッサー装置は、ハブ側圧縮室及びコンプレッサー部材を備え、コンプレッサー部材の往復直線運動によって、タイヤ内腔に導かれる圧縮室内の圧力媒体を加圧することができ、コンプレッサー装置は、トランスミッション、好ましくはカムトランスミッションを備え、トランスミッションは、ハブ側トランスミッション部分とホイールキャリア側トランスミッション部分とが作用位置にある場合に、ホイールキャリア側とホイールハブ側との回転運動をコンプレッサー部材の往復直線運動に変換するように構成されることを特徴とする。
【0009】
ホイールキャリア側トランスミッション部分とハブ側トランスミッション部分とが作用位置になると、コンプレッサー装置は、動作を開始する。コンプレッサー部材は、送出行程の終端をなす上死点と、吸引行程の終端をなす下死点との間を往復して往復直線運動を行う。
【0010】
ハブ側トランスミッション部分がホイールキャリア側トランスミッション部分との作用位置から離されると、コンプレッサー装置は、動作を停止する。すると、コンプレッサー部材は、ホイールハブ側とホイールキャリア側との間の回転相対運動によって駆動されなくなる。
【0011】
コンプレッサー部材の並進運動は、径方向又は軸方向のいずれかにおいて行われることが好ましい。そのようなコンプレッサー装置は、それぞれ他の方向には非常にコンパクトに構成することができ、このことは、設置場所によっては望ましい場合がある。しかしながら、コンプレッサー部材は、径方向又は軸方向の一方のみの成分を含む並進運動を行うことも可能である。
【0012】
コンプレッサー装置は、特に、コンプレッサー部材が径方向の運動を行う場合、複数のコンプレッサー部材を備えることができる。これにより、コンプレッサー装置の送出率を高めることができる。
【0013】
コンプレッサー装置は、リング状に形成され、周方向に分散されて配置された複数の圧縮室を有し、圧縮室内に、コンプレッサー部材がそれぞれ配置され、径方向に往復直線運動を行うことができるようになっていることが好ましい。個々のコンプレッサー部材は、ピストンと同様に構成され、径方向内方又は径方向外方に向いた拡張部を含むことが有利であり、この拡張部は、同時に、ハブ側トランスミッション部分を形成することが好ましい。ハブ側トランスミッション部分は、カムトラック、好ましくはホイールキャリア側に設けられるカムトラックの外側輪郭又は内側輪郭との作用位置にすることができる。ここでは、カムトラックは、ホイールキャリア側トランスミッション部分を形成する。
【0014】
概して、トランスミッションは、カムトランスミッションであることが好ましい。径方向における運動又は径方向成分を有する運動を行うコンプレッサー部材において、ホイールキャリア側トランスミッション部分は、内側に配置することができ、そのため、外側輪郭にカムトラックを有することができる。これに代わって、ホイールキャリア側トランスミッション部分を外側に配置することもでき、したがって、内側輪郭にカムトラックを有することができる。
【0015】
コンプレッサー部材が完全に又は主に軸方向に動くようにコンプレッサー装置が構成されている場合、コンプレッサー部材は、環状ピストン又は平面ピストンとして構成することができる。環状ピストンとして構成される場合、コンパクトな形態が可能である。環状ピストンとして構成される場合、高い送出率が可能である。
【0016】
軸方向に動くコンプレッサー部材は、圧縮室に面しない側に、ハブ側トランスミッション部分を形成するカムトラックを有することができる。ホイールキャリア側トランスミッション部分は、同様にカムトラックとして形成することができる。しかし、ホイールキャリア側トランスミッション部分は、プランジャー駆動部として形成することもできる。ホイールキャリア側トランスミッション部分がカムトラックを有するか又はカムトラックによって形成され、ハブ側トランスミッション部分がプランジャー出力部として形成される形態も考えられる。
【0017】
ハブ側トランスミッション部分とホイールキャリア側トランスミッション部分との間の接触領域には、少なくとも1つのローラーが配置されることが好ましい。このローラーは、ハブ側トランスミッション部分又はホイールキャリア側トランスミッション部分に配置することができる。例えば、ハブ側トランスミッション部分は、ローラープランジャーの形態のプランジャー出力部として形成することができる。
【0018】
圧縮室の境界、好ましくは圧縮室を画定するキャップ部(Deckelabschnitt)において、圧縮室の死容積に接続する圧力媒体出口が設けられ、圧力媒体出口は、好ましくは内部にチェックバルブが設けられた導管部を介してタイヤ内腔に接続可能であり、導管部はリリーフバルブに接続され、このリリーフバルブを介して導管部の圧力を解放可能である場合が有利である。ここで、キャップ部とは、コンプレッサー部材が上死点にある場合でも圧縮室を画定する圧縮室の壁の領域を意味する。換言すれば、キャップ部は、圧縮室の壁の死容積を画定する部分である。圧力解放可能な導管部に接続している圧力媒体出口を通して、圧縮室の死容積は、空気ばねとして用いることができ、この空気ばねは、吸引行程を開始するために、コンプレッサー部材を上死点における位置から移動させる。コンプレッサー部材が上死点に留まる場合、導管部の圧力を解放することができ、空気ばねの作用が止まる。この場合、コンプレッサー部材は、例えば、遠心力又は磁石に基づく連結解除機構(より詳細に後述する)を介して、上死点の位置に保持することができる。
【0019】
圧力室に圧力媒体入口が設けられ、コンプレッサー部材は、圧力室を画定する部分を形成し、コンプレッサー部材は、圧力室に圧力サージを供給することによって可動である場合が有利である。圧力媒体入口を介して、圧力下に置かれた圧力媒体をアキュムレーターから、例えばタイヤ内腔から圧力室に供給することができる。これにより、コンプレッサー部材は動くことができる。これは、例えば、コンプレッサー装置を作動させるため、又はハブ側トランスミッション部分をホイールキャリア側トランスミッション部分との作用位置にするために利用することができる。
【0020】
圧力室は、圧縮室とすることができる。この場合、圧力媒体入口は、圧縮室の境界のキャップ部内に配置されることが有利である。
【0021】
圧力室は、圧縮室とは空気的に分離して形成することができることが有利である。したがってこの場合、圧力室内の圧力は、圧縮室内の圧力とは独立している。圧力室は、コンプレッサー部材及び/又はハブ側トランスミッション部分内に配置されることが好ましい。
【0022】
一般的には圧縮室の領域内であるが、対応する実施形態では圧力室の領域内に、対応するシールが設けられることが理解される。
【0023】
圧力室は閉鎖可能であることが有利である。したがって、圧力媒体入口を介して、圧力下にある圧力媒体を圧力室に供給することができ、この場合、圧力室は、圧力室内の圧力が維持されるように空気的に密閉可能であることを意味する。このことは、例えば、磁気バルブ又は別様に構成された好ましくは駆動可能なバルブを介して行うことができる。
【0024】
圧力室は、特にバルブを備える圧力媒体入口を有することができ、それとは別個に、好ましくは別個のバルブを備える出口を有することができる。しかしながら、圧力媒体入口は、圧力室に圧力サージを供給するとともに圧力室の圧力を解放するように構成された1つのバルブを備える構成としてもよい。
【0025】
特に棒状のガイド要素が、コンプレッサー部材内に延在する場合が好ましい。そのようなガイド要素は、コンプレッサー部材の動きをガイドし、コンプレッサー部材が傾かないようにする。
【0026】
圧力媒体入口は、棒状のガイド要素に設けられることが好ましい。コンプレッサー部材には、例えば、圧力室を形成する中空部を設けることができる。棒状のガイド要素は、この中空部内に延在し、同時に、圧力媒体入口を有することができる。ただし、圧力媒体入口は、少なくとも部分的に、コンプレッサー部材とガイド要素との間の、例えば溝内に延在することもできる。圧力室は、ガイド要素に対してシールされることが有利である。圧力室に圧力を加えると、コンプレッサー部材は、ガイド要素に沿って、例えば上死点から下死点へと動く。圧力室が閉鎖される場合、この動きにより、圧力室内の圧力が弱まり、したがって圧力室の容積が増大する。圧力室が閉鎖される場合、コンプレッサー部材が上死点へと戻る際に、圧力室内の圧力が再び上昇する。圧力室又は圧力室内に包囲された圧力下にある圧力媒体は、空気ばねとして作用する。このばね作用がもはや所望されない場合、圧力室の圧力を解放することができる。
【0027】
ガイド要素は、径方向に動くように設計されているコンプレッサー部材に設けられることが特に好ましい。
【0028】
少なくとも2つの、特に棒状のガイド要素が、コンプレッサー部材内に延在する場合が有利である。さらに、ガイド要素は、コンプレッサー部材に対する回転阻止部を形成し、コンプレッサー部材が確実にガイドされることを保証し、コンプレッサー部材が傾くことがないようにする。
【0029】
棒状のガイド要素が供給管部内に延在し、供給管部は、圧力媒体入口へと開口する場合が有利である。したがって、圧力室には、圧力媒体を簡単な方法で供給することができる。ガイド要素は、例えば、中空のペンのように簡単に形成することができる。
【0030】
ガイド要素は、圧力室の境界の一部分を形成することが好ましい。
【0031】
また、ガイド要素は、コンプレッサー部材に対する回転阻止部を形成し、好ましくは、ガイド要素は、円形でない、特に長円形の断面を有する場合が有利である。この場合、コンプレッサー部材は、ガイド要素によってガイドされて傾斜が妨げられるだけでなく、回転も妨げられる。
【0032】
好ましい一実施形態において、コンプレッサー装置は、磁石に基づく連結解除機構を備え、この磁石に基づく連結解除機構を介して、ハブ側トランスミッション部分をホイールキャリア側トランスミッション部分との作用位置から離して保持することができ、及び/又はホイールキャリア側トランスミッション部分との作用位置から離すことができる。
【0033】
このために、連結解除機構は、切替え可能な磁石機構を含むことができる。このような切替え可能な磁石機構の一例は、例えば電磁石である。この場合、そのような電磁石は、通電されると磁性を有するように構成することができる。これに代わって、電磁石は、通電されると減磁されるように構成することもできる。また、切替え可能な磁石機構は、永久磁石の編成(Formation)を、永久磁石の第2の編成に対して動かす、例えば回転させることによって、引き合う作用から反発する作用へと又はその逆をもたらすことができる。例えば、4つの永久磁石をリング状の編成に配置することができ、これらの永久磁石は、それぞれ極性が交互に向いている。永久磁石の第2の編成は、これに対応して形成することができる。双方の編成の永久磁石を、それぞれ同じ極性の磁石が互いに対向するように置く場合、磁石機構は反発する。双方の磁石編成を、例えば90度回転させた場合、それぞれ異なる極性の磁石が互いに対向し、双方の磁石編成は引き合う。他のタイプの磁石編成も同様に考えられる。例えば、異なる極性の永久磁石を一列に配置することができ、第2の磁石編成に対する並進運動によって、一列に配置された永久磁石が、反発及び引き合う作用の間で切替え可能となることができる。
【0034】
概して、切替え可能な磁石機構とは、磁力が反発状態と引き合う状態との間、又は反発状態と中立状態との間、又は引き合う状態と中立状態との間で切替え可能である機構として理解される。
【0035】
また、2つの磁石編成を有する切替え可能な磁石機構の上述の実施形態において、第1の磁石編成をコンプレッサー部材に配置し、第2の磁石編成を圧縮室のキャップ部に配置することができる。コンプレッサー装置を駆動する場合、磁石機構は、中立状態又は反発状態へと切り替えることができる。コンプレッサー装置の動作を止める場合、すなわち、ハブ側トランスミッション部分をホイールキャリア側トランスミッション部分との作用位置から離す場合、磁石機構は、引き合う状態にさせることができる。この引き合う作用によって、コンプレッサー部材は、上死点においてキャップ部の領域に保持される。
【0036】
一方、連結解除機構は、例えば、キャップ部又はコンプレッサー部材自体に配置された永久磁石によって形成することもできる。そのような連結解除機構では、磁力は準安定である。そのような連結解除機構が、例えば、圧力室によって形成される上述の空気ばねと組み合わされる場合、圧力室の圧力が解放されて、空気ばね作用が与えられなくなると、連結解除機構は、コンプレッサー部材を上死点でのみ保持することができる。
【0037】
また、連結解除機構は、ホイールキャリア側トランスミッション部分を動かす又は保持するように構成することができる。換言すれば、この実施形態における磁力は、ホイールキャリア側トランスミッション部分を動かす又は保持するように作用する。
【0038】
また、コンプレッサー装置が磁石に基づく連結開始機構を備え、この磁石に基づく連結開始機構によって、ハブ側トランスミッション部分をホイールキャリア側トランスミッション部分との作用位置に保持することができ、及び/又はホイールキャリア側トランスミッション部分との作用位置へともたらすことができる場合が有利である。このために、例えば、切替え可能な磁石機構は、ホイールキャリア側トランスミッション部分内、又はホイールキャリア側トランスミッション部分及びハブ側トランスミッション部分内に配置することができる。コンプレッサー装置が動作を開始する場合、この切替え可能な磁石機構は、ホイールキャリア側トランスミッション部分とハブ側トランスミッション部分とが引き合い、作用位置に移行するか、又は、ホイールキャリア側トランスミッション部分とハブ側トランスミッション部分とが接触すると、この作用位置に留まるように切り替えることができる。この第1の接触を引き起こすのは、例えば、詳細に上述した圧力室を介して行うことができる。
【0039】
連結開始機構は、ホイールキャリア側トランスミッション部分を動かす又は保持するように構成することができる。換言すれば、この実施形態における磁力は、ホイールキャリア側トランスミッション部分を動かす又は保持するように作用する。
【0040】
連結開始機構は、ホイールキャリア側トランスミッション部分又はハブ側トランスミッション部分に配置された永久磁石によって構成することができる。このような連結開始機構において、磁力は準安定に作用する。一方、このような連結開始機構が、詳細に上述したような連結解除機構と組み合わされる場合、連結解除機構が作動されていないとき、連結開始機構は、ホイールキャリア側トランスミッション部分及びハブ側トランスミッション部分を作用位置に保持することのみ可能である。
【0041】
また、連結解除機構及び/又は連結開始機構が、磁力によってコンプレッサー部材を保持する及び/又は動かすように構成及び配置され、それにより、ハブ側トランスミッション部分の位置に影響を与えることができる場合が有利である。したがって、この実施形態では、連結解除機構及び/又は連結開始機構は、ハブ側トランスミッション部分に直接ではなく、ハブ側トランスミッション部分に更に接続されているコンプレッサー部材に作用する。
【0042】
特に、連結開始機構は、磁力によってハブ側トランスミッション部分を直接、作用位置に保持する及び/又は作用位置に動かすように構成及び配置することができることが有利である。
【0043】
連結解除機構及び/又は連結開始機構により、コンプレッサー部材及び/又はハブ側トランスミッション部分は、磁力による影響を直接受けることが有利である。
【0044】
また、並進体が発電機装置に設けられ、発電機装置は、並進体の往復直線運動によって電気エネルギーを生成し、コンプレッサー装置は、発電機トランスミッションを備え、発電機トランスミッションは、ホイールキャリア側発電機トランスミッション部分とハブ側発電機トランスミッション部分とが作用位置にある場合に、ホイールキャリア側とホイールハブ側との回転運動を並進体の往復直線運動に変換するように構成され、好ましくは、発電機トランスミッションは、トランスミッションとは独立して作動可能である場合が有利である。ハブ側発電機トランスミッション部分が電気的に作用位置に移動する及び作動位置から移動する場合が有利である。発電機装置は、例えば、コンプレッサー装置のセンサー又は回路のために利用される電気エネルギーを生成するために利用することができる。コンプレッサー装置は、エネルギー貯蔵部、例えば、発電機装置を介してエネルギーを蓄えることができるアキュムレーターを備えることが好ましい。エネルギー貯蔵部に蓄えられたエネルギーが下限閾値を下回るとすぐに、ハブ側発電機トランスミッション部分が自動的にホイールキャリア側発電機トランスミッション部分との作用位置に移行する実施形態が好ましい。これにより、エネルギー貯蔵部内に常に十分なエネルギーが存在することが保証される。
【0045】
また、コンプレッサー部材がプレート状に形成され、好ましくは、プレート状のコンプレッサー部材の下面がハブ側トランスミッション部分を形成する場合が有利である。このようなコンプレッサー装置は、特にコンパクトな構成とすることができる。このようなプレート状のコンプレッサー部材は、詳細に上述したガイド要素と組み合わされることが好ましい。
【0046】
コンプレッサー部材は、通常、好ましくは上死点に面しない端部にガイド部を有することができる。このようなガイド部は、通常、圧縮室の壁に対するコンプレッサー部材の傾斜及び/又は回転を妨げるように構成される。例えば、圧縮室の壁に溝を設け、コンプレッサー部材に対応する拡張部を設けることができる。このガイド部又はその一部分は、圧縮室の壁において、圧縮室の壁の上死点と下死点との間の領域の外側に配置される場合が好ましい。
【0047】
コンプレッサー部材は、ハブ側トランスミッション部分と一体的に接続して形成される場合が有利である。これにより、コンプレッサー装置は、特に頑丈になる。
【0048】
コンプレッサー部材内に永久磁石が配置されるか、又はコンプレッサー部材が強磁性材料を含む場合が有利である。これにより、例えば、対応する磁石又は磁石機構を圧縮室の壁に対応して配置することで、連結解除機構及び/又は連結開始機構を簡単な様式で実現することができる。
【0049】
永久磁石がトランスミッション部分の一方に配置され、他方のトランスミッション部分に強磁性材料を含む又は同様に反対の極性を有する永久磁石を備え、それにより、双方のトランスミッション部分が事実上引き合う場合が有利である。この実施形態は、対応する強度をなす連結解除機構によって構成することができる。
【0050】
圧縮室の周壁に、少なくとも1つの永久磁石、好ましくは一列の永久磁石が配置される場合が有利である。この永久磁石又は永久磁石の列は、圧縮室内でのコンプレッサー部材の動きを補助することができる。このために、永久磁石は、リング状に形成されることが好ましい。
【0051】
コンプレッサー部材及び/又は圧縮室の境界において、リードバルブが、コンプレッサー部材の吸引行程において開くとともに、コンプレッサー部材の送出行程において閉じるように構成されている場合が有利である。
【0052】
ホイールキャリア側トランスミッション部分は、好ましくは分岐部と、分岐部を介して接続する作用トラック及び解放トラックとを有するディスク溝カム及び/又はディスク隆起カムを備える場合が有利である。これにより、ハブ側トランスミッション部分は、事実上経路に沿って導くことができる。ここでは、ディスク溝カムは、溝の形態で形成されたカムトラックである。この溝には、ハブ側トランスミッション部分の係合要素が係合する。これにより、ハブ側トランスミッション部分を経路に沿って導くことができる。これに対して、ディスク隆起カムは、隆起部の形態のカムトラックである。このようなディスク隆起カムでは、ハブ側トランスミッション部分は、隆起部を上下すなわち両側から把持又は包囲し、したがって、同様に経路に沿って導かれる。この場合、作用トラックは、カムトラックが、係合状態でハブ側トランスミッション部分が動かされるように不均一な形状になっている、カムトラックの一部である。作用トラックとは対照的に、解放トラックがある。解放トラックとは、カムトラックが、解放トラックとの係合状態においてもハブ側トランスミッション部分が動かないように均一な形状になっている、カムトラックの一部を意味する。コンプレッサー装置の動作の開始又は終了を可能にするために、カムトラックは、分岐部を有する。適切な制御インパルスによって、ハブ側トランスミッション部分は、分岐部を介して解放トラックから作用トラックへ、又は作用トラックから解放トラックへともたらすことができる。
【0053】
コンプレッサー部材がダブルピストンとして形成される場合が好ましい。これにより、コンプレッサー装置の圧送率を高めることができる。
【0054】
本願は、第2の態様において、ホイールハブに取付け可能な車両用ホイールのタイヤのタイヤ内腔に圧力媒体を供給するコンプレッサー装置であって、ホイールハブは、回転軸の周りに回転可能にホイールキャリアに支持されており、コンプレッサー装置は、少なくとも1つのハブ側圧縮室と、コンプレッサー部材とを備え、コンプレッサー部材を動かすことによって、タイヤ内腔に導かれるハブ側圧縮室内の圧力媒体を加圧することができ、コンプレッサー装置は、トランスミッション、好ましくはカムトランスミッションを備え、このトランスミッションは、ホイールキャリア側トランスミッション部分とハブ側トランスミッション部分との相互作用によって、ホイールキャリア側とホイールハブ側との回転運動を、好ましくはコンプレッサー部材の往復直線運動に変換するように構成され、コンプレッサー装置は、連結機構を備え、連結機構は、ハブ側トランスミッション部分が、磁力によって直接、ホイールキャリア側トランスミッション部分と相互作用する作用位置に移動する若しくは作用位置から移動するか、又は、ハブ側トランスミッション部分が、磁力によって直接、作用位置に保持される若しくは作用位置から離れて保持されるように構成されることを特徴とする、コンプレッサー装置にも関する。
【0055】
また、第1の態様の詳細に上述した有利な実施形態は、上述し以下に記載する第2の態様に係るコンプレッサー装置にも当てはまる。
【0056】
この第2の態様に係るコンプレッサー装置において、「磁力によって直接」という用語は、ハブ側トランスミッション部分を保持する又は動かすことが磁力によって直接もたらされ、ハブ側トランスミッション部分とは独立した更なる可動要素は、磁力によって動かず又は保持されず、この要素は、この場合、例えば、摩擦係合又は形状係合によって、ハブ側トランスミッション部分を動かす又は保持することを意味する。
【0057】
したがって、磁力は、この第2の態様に係るコンプレッサー装置では、直接、ハブ側トランスミッション部分に作用するか、又はこの一体的若しくは固定的に接続された要素に作用する。
【0058】
この第2の態様に係るコンプレッサー装置は、リング状に形成され、周方向に分散されて配置された複数の圧縮室を備え、この圧縮室内には、コンプレッサー部材がそれぞれ配置され、径方向の往復直線運動において可動になっていることが好ましい。個々のコンプレッサー部材は、ピストンと同様に構成され、径方向内方に向いた拡張部を含むことが有利であり、この拡張部は、同時に、ハブ側トランスミッション部分を形成することが好ましい。ハブ側トランスミッション部分は、カムトラック、好ましくはホイールキャリア側に設けられたカムトラックの外側輪郭との作用位置にすることができる。カムトラックは、ホイールキャリア側トランスミッション部分を形成することが有利である。
【0059】
第1の態様及び第2の態様に係るコンプレッサー装置の動作の開始、すなわち、トランスミッション部分の作用位置への移行、例えば、ハブ側トランスミッション部分の作用位置への動きは、自律的に、すなわち、車両内の任意の形態の調節機構又は制御機構を介して行うことができ、これらの機構は、タイヤ圧力の低下又は運転者による制御信号に応じてコンプレッサー装置の動作を開始する。換言すれば、コンプレッサー装置は、タイヤのアイドリング時に自動的にタイヤに空気を入れるか、又は運転者の制御信号に応じてタイヤに空気を入れる。運転者の制御信号は、Bluetooth接続を介してコンプレッサー装置に伝達可能であることが好ましい。このようなBluetooth接続を介した制御信号は、運転者が携帯電話を介してコンプレッサー装置に伝達可能とすることができることが好ましい。
【0060】
また、第2の態様に係るコンプレッサー装置において、コンプレッサー部材は、ハブ側トランスミッション部分と一体的に接続して形成されることが好ましい。したがって、ハブ側トランスミッション部分の動きは、コンプレッサー部材に直接伝達され、コンプレッサー部材の動きは、ハブ側トランスミッション部分に直接伝達される。したがって、連結させる作用のある磁力は、ハブ側トランスミッション部分又はハブ側トランスミッション部分に一体的に接続されるコンプレッサー部材又はコンプレッサー部材のピストン部のいずれかに作用することができる。さらに、これにより、ハブ側トランスミッション部分とコンプレッサー部材との間で力を伝達する更なる要素が不要になり、それにより、第2の態様に係るコンプレッサー装置は特に頑丈になる。
【0061】
第2の態様に係るコンプレッサー装置において、圧縮室の壁、好ましくは圧縮室の径方向内側にある壁に、電磁石が配置される場合が好ましい。また、この電磁石は、通電されると磁性を有するように構成することができ、これに代わって、電磁石は、通電時に磁性を有することもできる。通電時に磁性を有しない電磁石は、概して、永久磁石をコアとして用いることによって実現することができる。すなわち、永久磁石の磁力は、通電時に事実上相殺される。電磁石が通電されていない状態で磁性を有する場合、この電磁石は、例えば、径方向内側にある圧縮室の底部に配置することができ、コンプレッサー部材又はコンプレッサー部材のピストン状の部分を、磁力によって分離された状態に保持することができる。したがって、コンプレッサー部材に固定的に接続されたハブ側トランスミッション部分は、磁力によって作用位置から離れて保持される。電磁石を通電すると、永久磁石の磁力は作用しなくなる。ハブ側トランスミッション部分が作用位置から離れて保持されなくなると、ハブ側トランスミッション部分は、車両の走行時に生じる遠心力によって径方向外方に押しやられ、ハブ側トランスミッション部分は、遠心力によって、カムトラックの内側輪郭との係合状態になり、それにより、ホイールキャリア側トランスミッション部分を形成するこのカムトラックと相互作用する。
【0062】
第2の態様に係るコンプレッサー装置において、コンプレッサー部材に永久磁石が配置される場合が好ましい。これにより、コンプレッサー部材は、例えば自動的に、好ましくは径方向内側にある圧縮室の壁に、磁力により「くっつく」又は吸着することができる。圧縮室の底部におけるコンプレッサー部材のこの磁力による吸着は、例えば、壁にある電磁石によって解除することができる。このために、電磁石は、通電されるとコンプレッサー部材内の永久磁石に反発するように極性が与えられる。この場合、ハブ側トランスミッション部分は、ホイールキャリア側トランスミッション部分に連結し、すなわち、ホイールキャリア側トランスミッション部分との作用位置に動く。この動きは、例えば、ここでも車両の動作時の遠心力によって生じる。しかし、この動きを引き起こす他の力、例えば、空気式駆動も考えられる。
【0063】
第2の態様に係るコンプレッサー装置において、圧縮室の径方向壁、好ましくは径方向内側にある壁に、切替え可能なバルブ、好ましくは磁気バルブを介して圧力媒体源に接続可能な、圧縮室に圧力サージを供給するための圧力媒体入口が設けられる場合が好ましい。この圧力媒体入口を介して、圧力媒体源から圧力サージの形態の圧力媒体を導入することができる。このような圧力サージによって、同様に、コンプレッサー部材の磁力による吸着を、圧縮室の壁から解放することができ、これにより、コンプレッサー部材は、遠心力による駆動によって動き、ハブ側トランスミッション部分がホイールキャリア側トランスミッション部分との作用位置に動くようになっている。
【0064】
第2の態様に係るコンプレッサー装置において、圧縮室の径方向内側にある壁における圧力媒体入口は、圧縮室の径方向内側にある壁に配置される永久磁石と組み合わせることもでき、この場合、コンプレッサー部材は、永久磁石を備える必要がなく、その代わり、圧縮室の壁に配置される永久磁石と相互作用することができる磁性材料だけ備えればよい。
【0065】
第2の態様に係るコンプレッサー装置において、圧縮室の径方向壁、好ましくは径方向内側にある壁に、内部にチェックバルブが配置される導管部を介してタイヤ内腔に接続可能な圧力媒体出口があり、導管部は、リリーフバルブに接続され、このリリーフバルブを介して導管部を排気することができる場合が好ましい。この場合、圧力媒体出口におけるチェックバルブは、コンプレッサー部材の送出行程において、圧縮室の圧縮部分における残留圧力を常に保持するように構成され、残留圧力は、コンプレッサー部材が圧縮室の壁、特に径方向内側にある壁と接触することを妨げることが好ましい。コンプレッサー部材が圧縮室の壁に接触しない場合、磁力による吸着も生じることがない。ハブ側トランスミッション部分をホイールキャリア側トランスミッション部分との相互作用から解除するために、導管部は、リリーフバルブを介して排気することができる。これにより、チェックバルブは開き、残された圧力媒体が圧縮室から出る。これにより、コンプレッサー部材は、圧縮室の径方向内側にある壁と接触し、磁力によりこの壁に吸着することができる。その場合、2つのトランスミッション部分の連結が解除され、又はハブ側トランスミッション部分が作用位置から離れる。
【0066】
第2の態様に係るコンプレッサー装置において、圧縮室の周壁に、少なくとも1つの永久磁石、好ましくは一列の永久磁石が配置される場合が好ましい。さらに、永久磁石の列は、圧縮室の壁に同じ形態で配置された極性を有して設けられることが好ましい。圧縮室の壁における永久磁石は、リング状に形成されることが好ましい。また、コンプレッサー部材に更なる永久磁石が設けられることが好ましい。コンプレッサー部材の永久磁石が、圧縮室の壁のリング状に形成された永久磁石内にある場合、この永久磁石が、圧縮室内のコンプレッサー部材の動きを補助する。これにより、コンプレッサー装置はまた、非常に高い回転数又は非常に高い遠心力で確実に動作することができる。
【0067】
第2の態様に係るコンプレッサー装置において、コンプレッサー部材が、コンプレッサー装置の動作中、径方向内方及び径方向外方に向かう双方の動きによって、圧力媒体を送出するように形成及び配置されている場合が好ましい。これにより、コンプレッサー部材が事実上ダブルピストンとして作用するので、コンプレッサー部材又はコンプレッサー装置は、特に効率的に送出を行う。
【0068】
第2の態様に係るコンプレッサー装置において、コンプレッサー部材には、リードバルブ、好ましくは2つのリードバルブが配置され、このリードバルブのうちの1つが径方向内方に開くことができ、別のリードバルブが径方向外方に開くことができるように構成される場合が好ましい。これにより、吸引と送出との間、すなわち吸引行程と送出行程との間の切替えを特に効率的に行うことができる。異なる方向に開くリードバルブは、特に簡単な様式で、コンプレッサー部材の内方及び外方への運動の際に、前段落に記載した送出を可能にするか、又はダブルピストンとしての機能を可能にする。
【0069】
第2の態様に係るコンプレッサー装置において、ホイールキャリア側トランスミッション部分が、好ましくは分岐部と、分岐部を介して接続する作用トラック及び解放トラックとを有するディスク溝カム及び/又はディスク隆起カムを含む場合が好ましい。ここでは、ディスク溝カムは、溝の形態で形成されたカムトラックである。この溝に、ハブ側トランスミッション部分の係合要素が係合する。これにより、ハブ側トランスミッション部分を経路に沿って導くことができる。これによれば、ディスク隆起カムは、隆起部の形態のカムトラックである。そのようなディスク隆起カムにおいて、ハブ側トランスミッション部分は、上下すなわち両側から隆起部を把持し、したがって、同様に経路に沿って導かれる。この場合、作用トラックは、係合状態のハブ側トランスミッション部分が動かされるようにカムトラックが不均一形状になっている、カムトラックの一部である。作用トラックとは対照的に、解放トラックがある。解放トラックとは、解放トラックと係合状態にあってもハブ側トランスミッション部分が動かないようにカムトラックが均一形状になっている、カムトラックの一部を意味する。コンプレッサー装置の動作を開始又は終了することを可能にするために、カムトラックは分岐部を有する。適切な制御インパルスによって、ハブ側トランスミッション部分は、解放トラックから作用トラックへともたらすことができるか又は作用トラックから解放トラックへともたらすことができる。
【0070】
第2の態様に係るコンプレッサー装置において、ハブ側トランスミッション部分がプランジャー出力部を備える場合が好ましい。このプランジャー出力部は、コンプレッサー部材と固定的に又は一体的に接続されることが好ましい。
【0071】
第2の態様に係るコンプレッサー装置において、プランジャー出力部がディスクカムの内側輪郭を介して駆動可能である場合が好ましい。ディスクカムの輪郭は、径方向内側にある。ガイドされる動きは径方向内方に行われる。これにより、ハブ側トランスミッション部分又はコンプレッサー部材が遠心力に抗して径方向内方に動くことが保証される。
【0072】
プランジャー出力部は、第2の態様に係るコンプレッサー装置では、ディスクカムの外側輪郭を介して駆動可能とすることもできる。この場合、経路に沿った動きは径方向外方に行われる。
【0073】
第2の態様に係るコンプレッサー装置において、コンプレッサー装置は、好ましくは回転軸の周りに周方向に均等に分散されて配置された複数のコンプレッサー部材を備える場合が好ましい。
【0074】
第1の態様及び第2の態様に係るコンプレッサー装置において、ハブ側トランスミッション部分は、ローラープランジャーを備え、これにより、ホイールキャリア側トランスミッション部分との特に低摩擦の接触が保証される場合が好ましい。
【0075】
第1の態様及び第2の態様に係るコンプレッサー装置において、ローラープランジャーは、自己潤滑性であり、好ましくは、ローラープランジャーのシャフト内に潤滑剤リザーバーを備えることが好ましい。これにより、摩擦が最小限に抑えられる。また、潤滑剤リザーバー内の潤滑剤が、付勢機構を介してローラープランジャーのローラーの方向に付勢されている場合が好ましい。また、潤滑剤リザーバーは、ローラー側に流出防止部を有する場合が好ましい。常に潤滑が保証されていることによって、コンプレッサー装置の耐用寿命が延びる。
【0076】
第1の態様及び第2の態様に係るコンプレッサー装置において、コンプレッサー装置が、タイヤ内腔における圧力媒体の圧力、温度、及び/又は湿度の測定及び/又は表示を行う装置を備え、好ましくは、この装置は、圧力媒体導管を介してタイヤ内腔に接続可能である場合も好ましい。
【0077】
第1の態様及び第2の態様に係るコンプレッサー装置において、コンプレッサー装置は、圧力媒体入口側がフィルターに接続される場合も好ましい。
【0078】
第1の態様及び第2の態様に係るコンプレッサー装置において、コンプレッサー装置は、フィルターの清掃のために、タイヤ内腔からの又はコンプレッサー装置による送達を介した圧力媒体を利用するように構成される場合も好ましい。
【0079】
本発明の更なる特徴、使用可能性、及び利点は、図面に基づいて説明される本発明の実施例の以下の記載から明らかになる。これらの特徴は、明示的に言及されていなくても、単独及び種々の組合せの双方において、本発明の本質とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
図1】本発明に係るコンプレッサー装置の構成の概略図である。
図2】本発明に係るコンプレッサー装置の第1の実施形態の一視点における図である。
図3】本発明に係るコンプレッサー装置の第1の実施形態の一視点における図である。
図4】本発明に係るコンプレッサー装置の第1の実施形態の一視点における図である。
図5図4に対応する視点における、本発明に係るコンプレッサー装置の更なる一実施形態の図である。
図6】ホイールキャリア側トランスミッション部分の一実施形態の図である。
図7】ホイールキャリア側トランスミッション部分の更なる一実施形態の図である。
図8図8に対応するホイールキャリア側トランスミッション部分を備える、本発明に係るコンプレッサー装置の更なる一実施形態の図である。
図9】一実施形態のコンプレッサー部材を備える圧縮室の詳細図である。
図10】更なる一実施形態のコンプレッサー部材を備える圧縮室の詳細図である。
図11】更なる一実施形態のコンプレッサー部材を備える圧縮室の詳細図である。
図12】更なる一実施形態のコンプレッサー部材を備える圧縮室の詳細図である。
図13】更なる一実施形態及び個々の領域の詳細図である。
図14】軸方向運動を行うコンプレッサー部材を備える更なる一実施形態の図である。
図15図14と同様の、軸方向運動を行うコンプレッサー部材を備える更なる一実施形態の図である。
図16図14のコンプレッサー装置のコンプレッサー部材のホイールキャリア側トランスミッション部分に面しない側の上面図である。
図17】本発明に係るコンプレッサー装置の更なる一実施形態の図である。
図18】本発明に係るコンプレッサー装置の更なる一実施形態の図である。
図19】切替え可能な磁石機構の一部分の図である。
図20】異なる切替え位置における切替え可能な磁石機構の図である。
【発明を実施するための形態】
【0081】
一連の図面において、対応する部材及び要素には、同じ参照符号が付されている。より明確にするために、全ての図において全ての参照符号を繰り返し付してはいない。
【0082】
図1において、本発明に係るコンプレッサー装置10の設置位置が概略的に示されている。コンプレッサー装置10は、図1では、網掛け領域によって単に概略的に示されている。
【0083】
リムには参照符号1が付されている。ブレーキディスクには参照符号2が付され、ホイールキャリアには参照符号3が付され、ホイールハブには参照符号4が付され、ホイールベアリングには参照符号5が付されている。
【0084】
コンプレッサー装置10からは、タイヤ内腔7に向かって、圧力媒体導管6が延在する。タイヤ自体は、図1には示されていない。
【0085】
ホイールハブ受け部8の領域において、リムは、シール剤を供給するための概略的に示されたポート9を有する。ここでは、ポート9は任意のものである。
【0086】
図1に示されている実施形態において、圧力媒体導管6は、リム1の材料を通って延在する。圧力媒体導管6の一部は、ブレーキディスク2の中空のブレーキディスク固定ねじによって実現されることが有利である。回転軸には参照符号32が付されている。径方向には参照符号34が付されている。ハブ側、すなわちハブ側部品は、車両の動作時に、回転軸32の周りに、ホイールキャリア側、すなわちホイールキャリア側部品、例えばホイールキャリア3又は車両の車室に対して回転する。
【0087】
図2図4において、本発明に係るコンプレッサー装置10の第1の実施形態が詳細に示されている。コンプレッサー装置10は、第1のハウジング部分12及び第2のハウジング部分14を備える。
【0088】
図4において、図2、3のコンプレッサー装置10が、線IV-IVに沿った断面で示されている。コンプレッサー装置10は、ここでは全部で4つのハブ側圧縮室16を備えるが、そのうちの2つのみに参照符号が付されている。
【0089】
圧縮室16のそれぞれは、ハブ側コンプレッサー部材18に割り当てられる。コンプレッサー装置10は、複数のトランスミッション20を備え、圧縮室16のそれぞれは、トランスミッション20に割り当てられる。トランスミッション20は、ここではカムトランスミッション22としてそれぞれ構成される。
【0090】
トランスミッション20は、ハブ側トランスミッション部分24をそれぞれ備える。ハブ側トランスミッション部分24は、プランジャー出力部25によってそれぞれ形成される。コンプレッサー部材18は、ここでは、プランジャー出力部25又はハブ側トランスミッション部分24と一体的に形成される。トランスミッション20のハブ側トランスミッション部分24は、コンプレッサー装置10のホイールキャリア側トランスミッション部分26とそれぞれ相互作用することができる。
【0091】
コンプレッサー装置10又はそのトランスミッション20は、ここでは、ハブ側トランスミッション部分24のそれぞれと相互作用することができるただ1つのホイールキャリア側トランスミッション部分26を備える。ホイールキャリア側トランスミッション部分26は、カム輪郭30を備えるディスクカム28として形成される。カム輪郭30は、図2図4の実施形態において内側にあり、すなわち、内側輪郭をなす。これに対して、図5の実施形態では、カム輪郭30は外側に形成され、図5のカム輪郭30は、外側輪郭をなす。
【0092】
図4では、作用動作位置ALにあるコンプレッサー装置10を示している。作用動作位置ALでは、ハブ側トランスミッション部分24は、ホイールキャリア側トランスミッション部分26と相互作用し、したがって、作用位置にある。コンプレッサー装置10は、動作中である。ハブ側トランスミッション部分24は、ここでは、ホイールキャリア側トランスミッション部分26と直接機械的に接触する。
【0093】
走行中の車両において、ディスクカム28は車両に対して静止している。ハブ側部品、例えば、ハブ側トランスミッション部分24は、回転軸32の周りに回転し、又は車両に対して回転する。ハブ側トランスミッション部分24及びコンプレッサー部材18は、走行速度に応じて高い遠心力を受ける。遠心力は、径方向34外方に作用する。この遠心力は、ハブ側トランスミッション部分24を、ディスクカム28又はディスクカム28によって形成されるホイールキャリア側トランスミッション部分26(図4)に接触させる。
【0094】
図4のコンプレッサー装置10において、ハブ側トランスミッション部分24は、それぞれの圧縮室16の径方向内側にある壁に配置されているそれぞれの電磁石38の形態の連結機構36を介して、磁力によって遠心力に抗してホイールキャリア側トランスミッション部分26から遠ざかることができる。さらに、電磁石38は、連結解除機構39を形成する。図4のコンプレッサー装置10のハブ側トランスミッション部分24は、電磁石38に通電することによって、ホイールキャリア側トランスミッション部分26との作用位置から動くことができ、その場合、コンプレッサー装置10は、作用動作位置ALではなくなる。通電された電磁石38は、磁力によって直接、ハブ側トランスミッション部分24に作用するか、又はハブ側トランスミッション部分24と一体的に構成されたコンプレッサー部材18に作用する。電磁石38が通電されている限り、電磁石38は、ハブ側トランスミッション部分24を、ホイールキャリア側トランスミッション部分26との作用位置から離して保持する。電磁石38の通電によって事実上の非作用状態となる、対応する強度の永久磁石を設けることもできる。この場合、電磁石38は、コンプレッサー装置10を作動させるためにのみ通電させる必要がある。
【0095】
図5には、カム輪郭30を外側輪郭として有するディスクカム28として構成されたホイールキャリア側トランスミッション部分26を備える、上述したようなコンプレッサー装置10の更なる一実施形態が示されている。
【0096】
図5では、解放動作位置FLにあるコンプレッサー装置10が示されている。この解放動作位置FLでは、ハブ側トランスミッション部分24は、ホイールキャリア側トランスミッション部分26と相互作用しない。コンプレッサー装置10は、動作していない。
【0097】
ハブ側トランスミッション部分24は、ホイールキャリア側電磁石40の形態の連結機構36を介して、磁力によって遠心力に抗してホイールキャリア側トランスミッション部分26に近付くことができる。電磁石40は、連結開始機構41をなす。その場合、図5のコンプレッサー装置10は、作用動作位置になる。
【0098】
図6において、ディスク溝カム44を備える代替的なホイールキャリア側トランスミッション部分26が示されている。ディスク溝カム44は、二方向矢印によって示されている分岐部46を有する。分岐部46は、作用トラック48と、破線によって示される解放トラック50との接続部にある。ハブ側トランスミッション部分24に接続されるとともに、例えばローラーとして形成することができる係合要素52が、象徴的に示されている。係合要素52が解放トラック50に移動すると、係合要素52に接続されたハブ側トランスミッション部分24は、径方向34に動かない。一方、係合要素52が作用トラック48と係合している場合、係合要素52は、作用トラック内を経路に沿って導かれ、したがって、ハブ側トランスミッション部分24も経路に沿って導かれる。ハブ側トランスミッション部分24又はその係合要素52は、磁石に基づく連結解除機構39及び磁石に基づく連結開始機構41を介して、作用トラック48から解放トラック50に切り替えることができる。作用トラック48において、ハブ側トランスミッション部分24は、ホイールキャリア側トランスミッション部分26との作用位置にある。解放トラック50において、ハブ側トランスミッション部分24は、ホイールキャリア側トランスミッション部分26との作用位置にない。
【0099】
図7において、カム輪郭30における係合要素52の側方係合の原理が示されている。左図は、カム輪郭30を、回転軸32に沿った視点において概略的に示し、右図は、それに対応して、径方向34に向けた視点において断面図で概略的に示している。また、カム輪郭30は、回転軸32に沿った視点において見ると、係合要素52の前後で閉鎖されるように構成することができ、これは、参照符号60の付された点線によって示されている。
【0100】
図6の作用トラック48に示されているように、係合要素52が両側から経路に沿って導かれることは、ダブルピストンの様式で構成されたコンプレッサー部材18との組合せに特に好適である。
【0101】
図8において、コンプレッサー装置10は、図7の側方係合の原理に従って示されている。
【0102】
ダブルピストンの様式に従って構成されたコンプレッサー部材18が、図9において概略的に示されている。コンプレッサー部材18には、径方向内方及び径方向外方にそれぞれ開くことができるリードバルブ64が示されている。それぞれの送出行程において、リードバルブ64は閉じる。吸引行程における空気の吸引は、ハブ側トランスミッション部分24においてチャネル66を介して行うことができる。代替的には、リードバルブ64は、圧縮室16の壁に設けることもできる。また、図9の図では、リードバルブ64は、それぞれ上下に配置され、圧縮室16に対して開いている。
【0103】
図10において、図9の図と同様に、コンプレッサー部材18を備える単独の圧縮室16が示されている。圧縮室16の径方向壁68において、より正確には径方向内側にある壁68において、圧縮室16に圧力サージを導く圧力媒体入口70が設けられ、この圧力媒体入口70を介して、切替え可能なバルブ72、好ましくは磁気バルブが、圧力媒体源74に接続可能である。この実施形態において、圧縮室16は、同時に圧力室75を形成する。
【0104】
図10のコンプレッサー装置10は、図8のコンプレッサー装置10と同様の他の構造で、すなわち側方係合を伴って構成される。
【0105】
圧縮室16の径方向壁68において、内部にチェックバルブ80が配置されている導管部78を介してタイヤ内腔7に接続可能である圧力媒体出口76も設けられる。導管部78は、リリーフバルブ82に接続され、このリリーフバルブ82によって、導管部78の排気又は圧力解放が可能である。
【0106】
図10に示されているような圧縮室16及びコンプレッサー部材18の構成を伴うコンプレッサー装置10(コンプレッサー装置の全体構成は図8に対応する)の動作の際、コンプレッサー部材18は、圧縮室16の壁に配置されている永久磁石84による磁力によって、圧縮室16の壁に保持することができる。コンプレッサー部材18を永久磁石84から解放するために、圧力媒体が、圧力サージの形態で、圧力媒体源74からバルブ72及び圧力媒体入口70を介して圧縮室16にもたらされる。これにより、コンプレッサー部材18は、永久磁石84から解放され、遠心力によって径方向外方に引っ張られる。係合要素52を伴うハブ側トランスミッション部分24は、ホイールキャリア側トランスミッション部分26(図示せず。ただし、図7のカムトラックを参照のこと)との作用位置にされる。
【0107】
送出行程では、コンプレッサー部材18は、図10の図において下方に動き、この場合、圧力媒体は、圧力媒体出口76を通ってタイヤ内腔7へと流れる。しかし、或る特定の残留圧力が圧縮室16内に残る。この残留圧力は、コンプレッサー部材18が永久磁石84に接して吸着することを防ぐ。圧縮室16は、空気ばねとして作用し、圧力室25をなす。コンプレッサー装置10が動作を停止した場合、導管部78は、リリーフバルブ82を介して排気される。その後、圧力室25又は圧縮室16内の残留圧力は、チェックバルブ80を介して導管部78に解放される。
【0108】
上述した圧力サージを介した連結の代わりに又はそれに加えて、永久磁石84の他に、電磁石38を圧縮室の壁に設けることもでき、電磁石38は、通電されると、永久磁石84の磁力を相殺するように構成される。この場合、永久磁石84と電磁石38との上述の組合せは、組合せ連結解除機構39をなす。ここでは、ハブ側トランスミッション部分24は、遠心力によって、ホイールキャリア側トランスミッション部分26との作用位置にされる。一方で、これはまた、十分な強度をなす磁力によって行うことができる。
【0109】
永久磁石を、コンプレッサー部材18に配置することもできる。そのような永久磁石は、図10に関して上述した相互作用を強化することができる。また、コンプレッサー部材18における永久磁石は、圧縮室16の壁と相互作用し、この壁に配置された電磁石38が通電されると、この壁から遠ざけられるような構成及び配置とすることができる。また、コンプレッサー部材18における永久磁石と常に引き付け合うように相互作用する更なる永久磁石を圧縮室16の壁に設けることができるが、この引き付ける作用は、圧縮室16の壁における電磁石に通電することにより、停止することができる。
【0110】
永久磁石90及び/又は電磁石92を、ホイールキャリア側トランスミッション部分26に配置して、ハブ側トランスミッション部分24を引き付けることもでき、この場合、永久磁石90及び/又は電磁石92は連結開始機構41となる。または、永久磁石90及び/又は電磁石92を、対応する極性及び通電及び配置において遠ざけることができ、この場合、永久磁石90及び/又は電磁石92は連結解除機構39となる。そのような構成は、図11に示されている。
【0111】
例えば、永久磁石90は、ハブ側トランスミッション部分24がホイールキャリア側トランスミッション部分26と一度接触して作用位置になると、常に接触したままにさせることができる(連結開始機構41)。電磁石92に対応する極性の電流を流すことによって、永久磁石90の磁力を弱めるか又は相殺することができ、それにより、ハブ側トランスミッション部分24は作用位置から離される(連結解除機構39)。また、更なる電磁石94を設けることができ、この電磁石94は、通電すると、永久磁石90の磁力を増強し、それにより、ハブ側トランスミッション部分24を、ホイールキャリア側トランスミッション部分620との作用位置にすることができる(連結開始機構41)。
【0112】
図12は、図10に示されている変形形態と同様に、圧縮室16の周りの領域を示している。ただし、図12に示されている変形形態では、複数のリング状の永久磁石100が圧縮室16の周りに配置されている。この永久磁石100は、コンプレッサー部材18内の永久磁石102と相互作用する。また、永久磁石100の配置及び極性は、径方向内方又は径方向外方に向かうコンプレッサー部材18の径方向34における動きを補助するように選択することができる。
【0113】
図13の左側は、本発明に係るコンプレッサー装置10の更なる一実施形態(トランスミッション部分24、26に関しては図5と同様)を概略的に示している。右上は、コンプレッサー部材18及びハブ側トランスミッション部分24を備える圧縮室16を詳細に示している。右下は、コンプレッサー部材の線RU-RUに沿った断面を示している。
【0114】
このコンプレッサー装置10は、コンプレッサー部材18とともに、コンプレッサー部材18内に延在する棒状のガイド要素110をそれぞれ備える。
【0115】
そのようなコンプレッサー部材18が、右側に示されている。ここでは、圧力媒体入口72が、棒状のガイド要素110に設けられている。圧力媒体入口72は、圧力室75へと開口し、圧力室75は、ここでは圧縮室16とは分離して構成されている。したがって、圧力室75と圧縮室16との間には空気的な接続がない。
【0116】
圧力室75に圧力媒体が加えられると、コンプレッサー部材16は下方(図13の右図)又は径方向内方(図13の左図)に動く。これにより、ハブ側トランスミッション部分24は、ホイールキャリア側トランスミッション部分26と接触させることができる。リリーフバルブ82を介して圧力室75の圧力が解放されない場合(すなわち、圧力下にある圧力媒体が充填された状態)、圧力室75は空気ばねとして作用する。送出行程では、圧力室75内の圧力媒体が圧縮される。コンプレッサー部材18が上死点に達した場合、圧力室25内の圧力によって吸引行程が開始されるか、又は、ハブ側トランスミッション部分24がホイールキャリア側トランスミッション部分26と常に接触状態になるように、圧力室25内の圧力が供給される。コンプレッサー装置10の動作が停止された場合、リリーフバルブ82を介して圧力室25の圧力を解放することができる。
【0117】
棒状のガイド要素110内には、圧力媒体入口72へと開口する供給管部112が延在する。ガイド要素110は、図13において、圧力室75を画定する部分を形成する。図13において、導管部78及び圧力室75は、共通の制御バルブを介して圧力を解放可能であるか又は排気可能である。
【0118】
図13の右下に示されているように、ガイド要素110は、コンプレッサー部材18に対する回転阻止部114を形成し、ガイド要素110は、円形でない断面、ここでは略長円形の断面を有する。
【0119】
死容積は、図13(右上)において参照符号120が付され、破線によって象徴的に示されている。
【0120】
図13(左)のコンプレッサー装置10は、発電機装置140の並進体130を備える。発電機装置140は、並進体130の往復直線運動によって電気エネルギーを生成する。また、コンプレッサー装置10は、発電機トランスミッション135を備え、発電機トランスミッション135は、ホイールキャリア側発電機トランスミッション部分137(ここではホイールキャリア側トランスミッション部分26と同一である)とハブ側発電機トランスミッション部分139とが作用位置にある場合に、ホイールキャリア側とホイールハブ側との間の回転運動を並進体130の往復直線運動に変換するように構成される。発電機トランスミッション135は、ここではトランスミッション20とは独立して作動可能である。トランスミッション20及び発電機トランスミッション135は、ここでは略同一の構造である。並進体130は、コンプレッサー部材18として二重の機能も果たすことができる。
【0121】
図14に示されている実施形態において、コンプレッサー部材18は、軸方向、すなわち回転軸32の方向に動く。また、図14は、径方向34に延在する平面に沿ってハウジング又は圧縮室16の境界を通る断面を示している。
【0122】
ハブ側トランスミッション部分24又はコンプレッサー部材18及びホイールキャリア側トランスミッション部分26は、回転軸32に沿って見た場合、円形の断面を有する(図16を参照)。
【0123】
図14は、2つの動作状態におけるコンプレッサー装置10を示している。左側は、プレート状に構成されたコンプレッサー部材18(同時にハブ側トランスミッション部分24を形成する)を下死点UTにおいて示しており、右側は、上死点OTにおいて示している。ホイールキャリア側トランスミッション部分26は、ハブ側トランスミッション部分24に対して回転する。キャッチ部(Mitnehmer)140は、ハブ側トランスミッション部分24とホイールキャリア側トランスミッション部分620との相互回転を妨げる。キャッチ部140は、コンプレッサー装置10のハウジング(概略的にのみ示す)に接続される。
【0124】
図15は、図14のコンプレッサー装置10の代替的な実施形態を示している。
【0125】
図15に示されている実施形態において、ハブ側トランスミッション部分24とホイールキャリア側トランスミッション部分26との接触領域に、ローラー150が配置されている。ここでは、ローラー150は、図15に示されているように、ハブ側トランスミッション部分24又はホイールキャリア側トランスミッション部分26に配置することができる。
【0126】
図16は、回転軸32に沿って見た場合の図14のコンプレッサー装置10のコンプレッサー部材18のホイールキャリア側トランスミッション部分26に面しない側の上面図を示している。
【0127】
図17、18は本発明に係るコンプレッサー装置10の更なる実施形態を示している。
【0128】
図17、18に示されている実施形態は、プレート状に形成されたコンプレッサー部材18を備え、コンプレッサー装置10の動作時に径方向34に往復直線運動を行う。
【0129】
図17のコンプレッサー装置10は、ホイールキャリア側トランスミッション部分26においてそれぞれ永久磁石90を備える(そのうちの1つのみが示されている)、永久磁石90は、ハブ側トランスミッション部分24がホイールキャリア側トランスミッション部分26との作用位置に保持され、したがって、連結開始機構41をなすように構成される。
【0130】
圧縮室16のキャップ部にも、永久磁石90よりも強力に構成された永久磁石84が同様に配置される。コンプレッサー装置10の動作時、圧縮室16内の圧力媒体は、空気ばねとして構成され(圧縮室16は圧力室25を形成する)、コンプレッサー部材18が永久磁石84に吸着することを阻止する。コンプレッサー装置10の動作を停止するために、バルブ82を介して1つ又は複数の圧縮室16が圧力を解放される。すると、コンプレッサー部材18は、永久磁石84に吸着し、ホイールキャリア側トランスミッション部分26から解放される。
【0131】
図18のコンプレッサー装置10は、図17のコンプレッサー装置10と同様の構成である。
【0132】
しかし、図18のコンプレッサー装置10は、一方では、ホイールキャリア側トランスミッション部分26とハブ側トランスミッション部分24との間の接触領域に配置されるローラー150を備え、他方では、図18のコンプレッサー装置10は、コンプレッサー部材18と圧縮室16の周壁との間の接触領域に配置されるローラー160も備える。また、ローラー160は、一部は圧縮室16の壁(右下)に配置され、一部はコンプレッサー部材18の壁(中央上方)に配置される。
【0133】
全ての実施形態において、コンプレッサー部材18は、圧縮室16の壁に対してシールされた周囲シールを備える。
【0134】
図19は、永久磁石162、164の編成161が円盤状のプレート166に配置された切替え可能な磁石機構160の一部を示している。
【0135】
第1の極性の2つの永久磁石162が、第2の極性の2つの永久磁石164に対して90度ずらされて配置されている。
【0136】
図20において、永久磁石162、164の2つの円盤状のプレート166に配置された編成161が、互いに重なった状態の側面図が示されている。図20の中央には、左側に示されている形態から右側に示されている形態への回転運動170が、矢印によって示されている。ここでは、回転運動170は、上側の円盤状のプレート166に関するものである。
【0137】
左側の形態において、永久磁石162、164の編成161は互いに反発する。これは二方向矢印180によって示されている。右側の形態において、永久磁石162、164の編成161は引き合う。これは、参照符号190の付された二方向矢印によって示されている。
【0138】
このような切替え可能な磁石機構160は、切替え可能な磁石に基づく連結解除機構39を実現するために、及び/又は切替え可能な磁石に基づく連結開始機構41を実現するために使用することができる。例えば、このために、永久磁石162、164の編成161は、コンプレッサー部材18に設けることができ、第2の回転可能に支持された永久磁石162、164の編成161は、圧縮室16のキャップ部に設けることができる。制御インパルスによって、第2の回転可能に支持された永久磁石162、164の編成161は、キャップ部において90度回転させることができ、引き合う作用から反発する作用へと又はその逆に切り替えることができる。
【0139】
同様の形態が、圧縮室16のキャップ部に対向する壁において可能である。
【符号の説明】
【0140】
1 リム
2 ブレーキディスク
3 ホイールキャリア
4 参照符号
5 参照符号
6 圧力媒体導管
7 タイヤ内腔
8 ホイールハブ受け部
9 ポート
10 コンプレッサー装置
12 第1のハウジング部分
14 第2のハウジング部分
16 ハブ側圧縮室
18 ハブ側コンプレッサー部材
20 トランスミッション
22 カムトランスミッション
24 ハブ側トランスミッション部分
25 プランジャー出力部
26 ホイールキャリア側トランスミッション部分
28 ディスクカム
30 カム輪郭
32 回転軸
34 径方向
36 連結機構
38 電磁石
39 連結解除機構
40 ホイールキャリア側電磁石
41 連結開始機構
44 ディスク溝カム
46 分岐部
48 作用トラック
50 解放トラック
52 係合要素
60 参照符号
64 リードバルブ
66 チャネル
68 径方向壁
70 圧力媒体入口
72 圧力媒体入口
74 圧力媒体源
75 圧力室
76 圧力媒体出口
78 導管部
80 チェックバルブ
82 リリーフバルブ
84 永久磁石
90 永久磁石
92 電磁石
94 電磁石
100 永久磁石
102 永久磁石
110 ガイド要素
112 供給管部
114 回転阻止部
120 参照符号
130 並進体
135 発電機トランスミッション
137 ホイールキャリア側発電機トランスミッション部分
139 ハブ側発電機トランスミッション部分
140 キャッチ部
150 ローラー
160 ローラー
161 編成
162 永久磁石
164 永久磁石
166 プレート
170 回転運動
180 二方向矢印
190 参照符号
620 ホイールキャリア側トランスミッション部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20