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特許7316220コンピュータ化経口処方薬投与装置並びに関連システム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-19
(45)【発行日】2023-07-27
(54)【発明の名称】コンピュータ化経口処方薬投与装置並びに関連システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61J 7/00 20060101AFI20230720BHJP
【FI】
A61J7/00 A
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2019558990
(86)(22)【出願日】2018-01-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-21
(86)【国際出願番号】 US2018013440
(87)【国際公開番号】W WO2018132633
(87)【国際公開日】2018-07-19
【審査請求日】2021-01-08
【審判番号】
【審判請求日】2022-08-05
(31)【優先権主張番号】15/406,043
(32)【優先日】2017-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/674,046
(32)【優先日】2017-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/708,045
(32)【優先日】2017-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519255115
【氏名又は名称】バークシャー バイオメディカル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(72)【発明者】
【氏名】トーマス エム.ラウズ
(72)【発明者】
【氏名】スーザン ビー.オーウェン
(72)【発明者】
【氏名】クリスティー コーリー
【合議体】
【審判長】佐々木 一浩
【審判官】倉橋 紀夫
【審判官】井上 哲男
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0158194(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0166157(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 7/00
A61C 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象とするユーザ固有の歯列を受容するような大きさ及び形状の凹部を有するマウスピースと、
前記マウスピースに結合され、前記凹部内に位置決めされている前記対象とするユーザ固有の歯列に関連するデータとの比較に基づいて、前記対象とするユーザ固有の歯列が前記凹部内に位置決めされているかどうかを判定するように構成された感知要素と、
前記マウスピースに結合され、前記感知要素と通信するアクチュエータであって、前記アクチュエータは、前記対象とするユーザ固有の歯列が前記凹部内に位置決めされていると前記感知要素が判定したことに応答して、前記マウスピースに結合された貯蔵部から物質を分配するように構成される、アクチュエータと、
前記感知要素及び前記アクチュエータと通信するプロセッサであって、前記プロセッサは、前記対象とするユーザ固有の歯列が前記凹部内に位置決めされていると前記感知要素が判定したことに応答して、服薬指導に従って前記貯蔵部から前記物質を分配するように指示を前記アクチュエータに送信するように構成される、プロセッサと、を具備する、物質分配装置。
【請求項2】
前記感知要素は、前記凹部内に位置決めされたユーザの歯列の位置データを、前記対象とするユーザ固有の歯列に関連する所定の位置データと比較することによって、前記対象とするユーザ固有の歯列が前記凹部内に位置決めされるかどうかを判定するように構成される、請求項1に記載の物質分配装置。
【請求項3】
前記感知要素は、前記マウスピース内に埋設された位置センサを備える、請求項2に記載の物質分配装置。
【請求項4】
前記感知要素は、前記凹部に沿って前記マウスピース内に埋設された複数の位置センサを備える、請求項2に記載の物質分配装置。
【請求項5】
前記感知要素は、前記凹部内に位置決めされたユーザの歯列の圧力データを、前記対象とするユーザ固有の歯列に関連する所定の圧力データと比較することによって、前記対象とするユーザ固有の歯列が前記凹部内に位置決めされているかどうかを判定するように構成される、請求項1に記載の物質分配装置。
【請求項6】
前記感知要素は、前記マウスピース内に埋設された少なくとも1つの圧力感知要素を備える、請求項5に記載の物質分配装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの圧力感知要素は、前記凹部に沿った複数の位置で圧力を監視するように構成される、請求項6に記載の物質分配装置。
【請求項8】
前記凹部は、前記対象とするユーザの下列の歯又は上列の歯のうちの少なくとも一方を受容するような大きさ及び形状である、請求項1に記載の物質分配装置。
【請求項9】
前記プロセッサと通信するメモリをさらに具備する、請求項に記載の物質分配装置。
【請求項10】
前記メモリは、前記対象とするユーザのための前記物質についての前記服薬指導を含む、請求項に記載の物質分配装置。
【請求項11】
前記服薬指導は、前記対象とするユーザに前記物質を分配するための投薬量及び投薬タイミングを含む、請求項10に記載の物質分配装置。
【請求項12】
前記プロセッサは、前記服薬指導に基づいて警告を発するように構成される、請求項10に記載の物質分配装置。
【請求項13】
前記プロセッサは、前記対象とするユーザの通信装置と通信することによって前記警告を発するように構成される、請求項12に記載の物質分配装置。
【請求項14】
前記プロセッサは、前記服薬指導の投薬タイミングに基づいて前記警告を発するように構成される、請求項13に記載の物質分配装置。
【請求項15】
前記プロセッサは、医療提供者の通信装置と通信することによって前記警告を発するように構成される、請求項12に記載の物質分配装置。
【請求項16】
前記プロセッサは、前記服薬指導に従って前記物質を分配することができなかったことに基づいて前記警告を発するように構成される、請求項15に記載の物質分配装置。
【請求項17】
前記プロセッサは、前記貯蔵部から分配された前記物質に関連する分配データをメモリに保存するように構成される、請求項に記載の物質分配装置。
【請求項18】
前記分配データは、少なくとも分配量及び分配時間を含む、請求項17に記載の物質分配装置。
【請求項19】
前記物質は液体を含む、請求項1に記載の物質分配装置。
【請求項20】
前記アクチュエータはポンプを含む、請求項19に記載の物質分配装置。
【請求項21】
前記貯蔵部は複数の区画を備え、前記複数の区画のそれぞれは前記対象とするユーザに分配するための物質を収容するように構成される、請求項1に記載の物質分配装置。
【請求項22】
前記アクチュエータは、前記複数の区画のそれぞれから前記物質を分配するように構成される、請求項21に記載の物質分配装置。
【請求項23】
前記アクチュエータは、前記複数の区画のそれぞれから前記物質を分配するように構成された単一のアクチュエータを含む、請求項21に記載の物質分配装置。
【請求項24】
前記アクチュエータは複数のアクチュエータを含み、前記複数のアクチュエータのそれぞれは、前記複数の区画のうちの対応する区画から前記物質を分配するように構成される、請求項21に記載の物質分配装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医薬経口用量投与装置に概ね関し、さらに具体的にはコンピュータ化経口処方薬投与(computerized oral prescription administration、COPA)装置並びに関連するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
薬理学の歴史は、処方薬の有効な利益及び相対的な費用を最大にすることへの継続的な探求にて、投与経路、医薬製剤、剤形及び投与装置の絶え間ない進化を生み出してきた。処方物質の投与を、例えば、医療施設で、あるいは患者の自宅にて医師によって、管理された医療環境で開始することができる。初期段階の製剤には、エリキシル剤、強壮剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤、ひいては注射剤、静脈内(IV)剤及び硬膜外麻酔剤を含む、非経口(例えば血流中への)投与及び経腸(例えば胃腸への)投与用の液体形態が含まれ得る。初期段階の製剤は、例えば、機械化及び製剤研究によって、高度な形態を生み出すように開発することができる。初期段階の製剤、高度な形態並びに初期段階の製剤及び/又は高度な形態の患者による承諾などの追加の研究及び臨床試験は、投与経路、医薬製剤、剤形及び投与装置に寄与し得る。
【0003】
緊急事態への短期の関与から、さらに長期の慢性疾患治療へと医療上の治療が移行するにつれて、管理された医療環境から患者が自己管理する環境へと移行して処方薬物投与の割合が高まる。訓練を受けた医療スタッフの管理を外れた患者の自己管理環境では、液体製剤の投与は、投薬指示が具体的でないために困難であることがある。小さじ及び/又は大さじでの測定に基づく投与はあいまいで変動する可能性がある。投与カップにはさまざまな測定フォーマットがある可能性があるため、患者の自己管理環境では混乱を引き起こす可能性がある。さらに、投与カップは初期投薬瓶から分離されることが多いため、誤った投与につながる可能性がある。
【0004】
機械的製造システム及び薬理学研究の進歩により、処方物質の患者の自己管理投与が液体製剤から丸剤(例えば、錠剤又はカプセル製剤)に移行することが可能になり、これにより品質保持期間が長くなり、患者の使いやすさ、投与の正確さ及び製造コストの削減を可能にしている。このように、患者の自己管理環境での経口薬の大部分が現在丸剤である。さらに、ペレット、顆粒、微粒子、小型錠剤などを含む微粒子製剤への関心が高まっている。しかし、幼児、高齢者又は障害のある患者など、錠剤又はカプセル製剤を飲み込むことができないか、飲み込むのが好ましくない患者には、患者の自己管理環境で注射器を介して経腸的経口液体処方を与えることができる。さらに、非経口液体製剤は、吸収速度が最も早く、所望の結果での最も好都合な成果を得られることが多く、局所投与、在庫管理、不正防止及び投与経路監査機能を向上させることができるため、非経口液体製剤は依然として管理された医療環境で投与されることが多い。
【0005】
薬物の投与を管理する主体に応じて、さまざまな形態の薬物が、さまざまな主体の期待、要望及び課題を満たすために開発され得る。有効性と毒性に基づいていくつかの例外があるが、ほとんどの製薬会社が、さまざまな投与経路及び投薬経路を支持するために複数の製剤の薬剤を製造している。
【0006】
患者の自己制御環境での薬物投与を含む予防的又は結果的な治療計画に消費者が携わることが増えるにつれて、患者の自己制御環境又は自己管理環境での薬物投与に対する需要が高まっている。例えば、外来手術及び/又は1日の入院手術滞在が、重要な医療処置に対して一般的なものになってきている。これには、その後に患者の自宅での薬物投与を伴う可能性がある。さらに、高齢化が進むつれて、処方薬管理の需要が高まっている。消費者が、複数の市販薬及び/又は処方された薬剤を毎日服用することがある。ここで、薬剤は錠剤の形態であることが多い。残念なことに、錠剤の使いやすさと、慢性的な患者管理治療計画に携わる消費者の増加は、多くの薬物分類の誤用と誤った管理をもたらしている。
【0007】
例えば、錠剤形態は、軽量で持ち運び可能であり、受取人を選ばず、在庫管理が困難であり、個人識別番号を持たず、品質保持期間が長く、製造コストが安い。このため、錠剤の摂取量又は使用量は、医療管理環境の外では制御が困難である。さらに、製造プロセスにて規模の経済性を達成するために、錠剤製造は、将来の需要に基づくのではなく、利用可能な機械、材料及び/又は原料の生産量の最大化に基づいて予定される。いくつかの例外はあるが、錠剤は長期間にわたって有効状態を維持することから、製造される錠剤のうち無駄になるものの量は最小である。錠剤は、われわれの社会で急増し、中毒や乱用へのルートとなってきた。
【0008】
処方薬の誤用及び誤った管理の影響を非常に受けやすいそのような患者が自己管理する治療法の1つに、オピオイド疼痛治療がある。例えば、米国食品医薬品局(FDA)によれば、米国(US)にて1年あたり約1億人が疼痛に苦しんでいる。約900~1200万人の疼痛患者が慢性又は持続性の疼痛を患っているが、残りの疼痛患者は怪我、病気又は医療処置による短期間の疼痛を患っている。2014年に、疾病管理予防センターは、米国の年間オピオイド処方薬の数が米国の人口の成人の数とほぼ等しいと報告した。疼痛患者は熟練した適切な疼痛管理から恩恵を受ける必要があると同時に、オピオイドの誤用又は中毒は管理される必要がある。FDAの首脳陣及び医師は、2つの補完的な原則を釣り合わせる、即ち、急性又は慢性の痛みを経験している人々の健康状態を保護しながら、オピオイドの誤用や中毒に積極的に対処することによってオピオイドの流行に対処しようとしている。しかし、オピオイドの誤用に対する改革、政策及び制限が実施されている地域の疼痛患者は、この釣り合いを経験しない可能性がある。いくつかの州では、処方する前に医療提供者がチェックしなければならない既知の常習者又は誤用者のデータベースをさらに装備している。しかし、医師は、システムを使用する負担のために処方する前にデータベースを確認しない可能性があり、及び/又は真の慢性疼痛患者によるアクセスを制限したいと望んでいない可能性がある。他の州では、オピオイド系から処方した医師を追跡するための報告及び監査証跡を実施している。しかし、監査の精査のための追加のステップ及び精査の可能性を避けるために、一部の医師は疼痛管理や短期疼痛処方薬の提供を拒否することがあり、全症例を疼痛クリニックに委託することがある。
【0009】
患者教育の向上、ラベル付けの強化、制限的処方の試みは、医療提供者、患者、薬局、保険会社にとってはコストの増大、患者にとっては全体的な有効性の低下につながっている。結局、真の疼痛患者がオピオイドにアクセスするのに苦労するのに対し、オピオイドの誤用者は、導入された明白な監視体制にもかかわらず、利用可能なアクセス手段の操作を継続している。さまざまなレベルでの政策及び計画は成功しておらず、処方薬の誤用を管理又は軽減するのに十分なものではない。このため、薬物投与のための改良された装置、システム及び方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0010】
以下では、考察された技術の基本的な理解を提供するために本開示のいくつかの態様を要約する。この概要は、本開示の検討された全特徴の広範な概説ではなく、本開示の全態様のきわめて重要な要素又は必須の要素を特定することも、本開示のいずれかの態様又は全態様の範囲を描写することも意図しない。その唯一の目的は、後に提示されるさらに詳細な説明の前置きとして、本開示の1つ又は複数の態様のいくつかの概念を要約形式で提示することである。
【0011】
本開示は、コンピュータ化経口処方薬投与(COPA)装置並びに関連するシステム及び方法を提供する。COPA装置並びに関連するシステム及び方法は、対象とするユーザへの薬物の制御された分配を容易にする。これに関して、対象とするユーザの識別は、装置から薬剤を分配する前のユーザの歯列に基づいて確認することができる。また、装置から分配される薬剤のタイミング及び/又は量は、対象とするユーザに対する服薬指導に従って制御することができる。薬剤の分配に関連するパラメータ(例えば、薬剤療法、投薬量、タイミング、対象とするユーザの情報など)を、追跡し、COPA管理システムに保存し、及び/又は医療関係者、調剤関係者、患者、介護士及び/又は保険業者を含むの健康管理業界の連携を通して伝達し、その結果、治療計画に対する患者のコンプライアンスを評価することができ、及び/又は治療計画の有効性を評価することができる。さらに、COPA管理システムは、通知、リマインダ及び/又は課題として役立つように、健康管理業界の連携の参加者に警告を送信することができる。
【0012】
一実施形態では、物質分配装置が提供される。この装置は、対象とするユーザの歯列と嵌合するような大きさ及び形状の凹部を有するマウスピースと、マウスピースに結合され、対象とするユーザの歯列が凹部内に配置されているかどうかを判定するように構成された感知要素と、マウスピースに結合され感知要素と通信するアクチュエータであって、対象とするユーザの歯列が凹部内に配置されていると感知要素が判定したことに応答して、マウスピースに結合された貯留部から物質を分配するように構成されたアクチュエータと、を備える。
【0013】
いくつかの実施形態では、感知要素は、凹部内に配置されたユーザの歯列の位置データを、対象とするユーザの歯列に関連する所定の位置データと比較することによって、対象とするユーザの歯列が凹部内に位置決めされているかどうかを判定するように構成される。いくつかの実施形態では、感知要素は、マウスピース内に埋設された位置センサを備える。いくつかの実施形態では、感知要素は、凹部に沿ってマウスピース内に埋設されて離間した複数の位置センサを備える。いくつかの実施形態では、感知要素は、凹部内に位置決めされたユーザの歯列の圧力データを、対象とするユーザの歯列に関連する所定の圧力データと比較することによって、対象とするユーザの歯列が凹部内に位置決めされているかどうかを判定するように構成される。いくつかの実施形態では、感知要素は、マウスピース内に埋設された少なくとも1つの圧力感知要素を備える。いくつかの実施形態では、圧力感知要素は、凹部に沿った複数の位置で圧力を監視するように構成される。いくつかの実施形態では、凹部は、対象とするユーザの下列の歯又は上列の歯のうちの少なくとも一方と篏合するような大きさ及び形状である。
【0014】
いくつかの実施形態では、装置は、感知素子及びアクチュエータと通信するプロセッサをさらに備える。いくつかの実施形態では、装置はプロセッサと通信するメモリをさらに備える。いくつかの実施形態では、メモリは、対象とするユーザのための物質の服薬指導を含む。いくつかの実施形態では、服薬指導は、少なくとも対象となるユーザに物質を分配する投与量と投与タイミングを含む。いくつかの実施形態では、プロセッサは、対象とするユーザの歯列が凹部内に位置決めされていると感知要素が判定したことに応答して、服薬指導に従って貯蔵部から物質を分配する指示をアクチュエータに送信するように構成される。いくつかの実施形態では、プロセッサは服薬指導に基づいて警告を発するように構成される。いくつかの実施形態では、プロセッサは、対象とするユーザの通信装置と通信することによって警告を発するように構成される。いくつかの実施形態では、プロセッサは、服薬指導の投与タイミングに基づいて警告を発するように構成される。いくつかの実施形態では、プロセッサは、医療提供者の通信装置と通信することによって警告を発するように構成される。いくつかの実施形態では、プロセッサは、服薬指導に従って物質を投与しなかったことに基づいて警告を発するように構成される。いくつかの実施形態では、プロセッサは、貯蔵部から分配されている物質に関連する分配データをメモリに記憶するように構成される。いくつかの実施形態では、分配データは分配量及び/又は分配時間を含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、物質は液体を含む。いくつかの実施形態では、アクチュエータはポンプを含む。いくつかの実施形態では、貯蔵部は複数の区画を含み、複数の区画のそれぞれは、対象とするユーザに分配するための物質を収容するように構成される。いくつかの実施形態では、アクチュエータは、複数の区画のそれぞれから物質を分配するように構成される。いくつかの実施形態では、アクチュエータは、複数の区画のそれぞれから物質を分配するように構成された単一のアクチュエータを含む。いくつかの実施形態では、アクチュエータは複数のアクチュエータを含み、各アクチュエータは対応する区画から物質を分配するように構成される。
【0016】
一実施形態では、対象とするユーザに物質を分配する方法が提供される。この方法は、対象とするユーザの歯列がマウスピースの凹部内に配置されているかどうかを判定するステップであって、凹部は対象とするユーザの歯列と嵌合するような大きさ及び形状であるステップと、対象とするユーザの歯列がマウスピースの凹部内に位置決めされていると判定したことに応答して、マウスピースに結合された貯蔵部から物質を分配するステップと、を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、位置データ又は圧力データを対応する所定の位置データ又は圧力データと比較して、対象とするユーザの歯列が凹部内に位置決めされているかどうかを判定する。いくつかの実施形態では、物質は、対象とするユーザのための服薬指導に従って分配される。いくつかの実施形態では、方法は、貯蔵部から分配されている物質に関連する分配データを記憶するステップをさらに含む。分配データは分配量及び/又は分配時間を含むことができる。
【0018】
本開示の追加の態様、特徴及び利点が、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本開示の例示的な実施形態を添付の図面を参照して説明する。
図1】本開示の実施形態によるコンピュータ化経口処方薬投与(COPA)装置の上面斜視図。
図2】本開示の実施形態によるCOPA装置の底面斜視図。
図3】本開示の実施形態によるCOPA装置の斜視図。
図4】本開示の実施形態による連結ステーションで連結するために位置決めされたCOPA装置の斜視図。
図5】本開示の実施形態による連結ステーションで連結されたCOPA装置の斜視図。
図6】本開示の実施形態による結合のために位置決めされたCOPA装置及び事前包装されたマイクロポンプユニットの斜視図。
図7】本開示の実施形態によるCOPA装置の断面図。
図8】本開示の実施形態によるマイクロポンプユニットの概略図。
図9】本開示の実施形態によるCOPAシステムの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示の原理の理解を促進するために、ここで図面に示された実施形態を参照し、特定の用語を用いて実施形態を説明する。それでもなお、本開示の範囲に対する限定が意図されていないことが理解される。記載された装置、システム及び方法に対するあらゆる変更及び追加の修正並びに本開示の原理のあらゆる追加の適用が、本開示が関連する当業者に通常想起されるであろうように、全体的に検討され、本開示内に含まれる。
【0021】
本開示の実施形態は、集中管理システムに登録されたIDに固有の装置を通して腸内経口薬を投与するための機構を提供する。一実施形態では、この装置は、対象とするユーザの歯列と嵌合するような大きさ及び形状の凹部を備えるマウスピースを備える。マウスピースは、凹部内のさまざまな位置に位置決めされた位置センサ及び/又は圧力センサを備えてもよい。マウスピースは、プロセッサと、貯蔵部と、アクチュエータと、流路と、出口弁とを備えるマイクロポンプユニットを備えてもよい。貯蔵部は、処方された薬剤又は市販の薬剤で満たされてもよい。プロセッサは、位置センサ及び/又は圧力センサ並びにアクチュエータと通信してもよい。薬剤を投与するために、患者はマウスピースを自身の口腔内に挿入し、口を閉じてマウスピースを噛むようにしてもよい。位置センサ及び/又は圧力センサは、ユーザの歯列の位置及び咬合からの関連する圧力を感知し測定してもよい。プロセッサは、測定された位置及び/又は圧力と、対象とする受取患者の事前記録データとの間に一致があるかどうかを判定してもよい。プロセッサは、マウスピースが正しく位置決めされているかどうかを判定してもよい。プロセッサは、一致した正しい位置決めを検出すると、アクチュエータを作動させて正確な用量の薬剤を流路及び出口弁を通して、摂取のために患者の口腔内に放出させる。一実施形態では、集中管理システムは、マウスピースの作成及び準備、処方薬の充填及び/又はさまざまな識別機構による処方薬の投与又は分配を追跡してもよい。
【0022】
開示された実施形態はいくつかの利点を提供し得る。例えば、埋設プロセッサ及び集中管理システムを備えた固有の個別マウスピースの採用は、処方薬が対象とする受取人に送達されることを確実にすることができる。このため、開示された実施形態は処方薬の誤用及び誤まった管理を回避し得る。さらに、開示された実施形態は、医療提供者及び保険会社が処方薬の投与をいっそう良好に追跡し、処方薬の利点、効果及び/又は結果をさらに正確に評価することを可能にし得る。開示された実施形態は、正確な用量の処方薬を患者に送達し、特に高齢であるか、障害があるか、処方薬を自己投与する能力を制限し得る行動問題を有する患者に利益をもたらし得る。開示された実施形態は、対象とするユーザに処方薬を一致させるための認証の形態として歯列を使用するという文脈で説明されるが、他の生物学的マーキング(指紋、網膜又は虹彩スキャン、DNA、音声認識など)がこのほか、歯列マッチングと組み合わせて、及び/又は歯列マッチングの代わりに適用されるか使用され得る。
【0023】
図1は、本開示の実施形態によるCOPA装置100の上面斜視図である。COPA装置100は、腸内経口液剤、多粒子剤及び/又は他の形態の薬物を、対象とする患者又はユーザに、制御された投与量で送達するために使用され得る。COPA装置100は、上面102と反対側の底面104とを備えるマウスピースである。上面102は凹部110を備える。凹部110は、対象とするユーザの歯列に適合するような大きさ及び形状である。例えば、凹部110は、対象とするユーザの上歯を受容するための構成を備える。COPA装置100は、生体適合性印象材料又はポリマーから構成されてもよい。
【0024】
凹部110は、凹部110内のさまざまな位置に位置決めされた複数のセンサ112を備える。いくつかの実施形態では、センサ112は圧力センサ又は光学位置センサであってもよい。例えば、センサ112は、ユーザの歯肉溝、隅部及び歯肉線と接触する位置に埋設されてもよい。ユーザが正常咬合又は強制的咬合を使用してCOPA装置100周りの自身の口を閉じると、センサ112は、ユーザの歯列が凹部110内に位置決めされているかどうかを判定することができる。いくつかの実施形態では、センサ112は、凹部110内に埋設された1つ又は複数の敏捷性又は可撓性のフィラメント素線に収容されてもよい。例えば、各フィラメント素線は、2~20個のセンサ112又は任意の適切な数のセンサ112に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、センサ112は、凹部110内に埋設されたメッシュ構造体上に形成され分配されてもよい。メッシュ構造体は任意の適切な数のセンサ112を備えてもよい。メッシュ構造体又はフィラメント素線上のセンサ112は、ユーザがCOPA装置100上の自身の口を閉じるときに圧力プロファイルを作成することを可能にしてもよい。一実施形態では、センサ112は、ユーザが口を閉じたときの位置及び/又は圧力の測定値を監視し取得してもよい。本明細書でさらに詳細に説明するように、位置及び/又は圧力の測定値は、認証の一形態としてのユーザの歯列の所定のデータと比較して、処方物質の対象とする受取人を識別してもよい。
【0025】
COPA装置100は、密封処方薬分配ユニット120をさらに備える。密封処方薬分配ユニット120は、COPA装置100の上部中央に位置決めされてもよい。密封処方薬分配ユニット120は、密封スリーブ124と、密封スリーブ124の上面から処方薬分配ユニット120内に延びる複数のアクセスポート122とを備えてもよい。アクセスポート122は、処方物質を受容するように構成されてもよい。例えば、臨床医又は薬剤師は、アクセスポートを介して、処方物質を処方薬分配ユニット120に充填してもよい。処方物質は、液体及び/又は多粒子などのさまざまな形態の製剤を含んでもよい。処方薬分配ユニット120は、本明細書でさらに詳細に説明するように、プロセッサ、チャンバ、流路、アクチュエータ(例えば、マイクロポンプ)及び出口弁などの他の構成要素を備えてもよい。
【0026】
COPA装置100は、凹部110内の患者の歯の刻印を介して患者識別機能を提供してもよい。例えば、各個人は固有の歯の刻印を有する。特定の歯が隆起し、成熟し、永久歯と交換される可能性がある年齢に応じて特定のパターンがあり、歯の種類の調整のための特定のパターンがあるが、設定、大きさ、角度、患者の口腔内の特定の点の間の距離及び結果としての咬合は患者によって異なる。さらに、損傷した歯、抜けた歯、充填された歯、おおわれた歯並びに歯冠、ブリッジ、部分的義歯及び総義歯などの補綴物は、異なる個人の口の識別性又は独自性をさらに高める。このため、歯列刻印付きのCOPA装置100の使用は、特定の個人を識別するのに効果的であり得る。COPA装置100は、本明細書でさらに詳細に説明するように、マウスピースに結合された(例えば、密封処方薬分配ユニット120内に埋設された)プロセッサによって実装されるさまざまな患者認識機構を介して患者識別機能をさらに提供してもよい。
【0027】
COPA装置100は、密封処方薬分配ユニット120を介して、制御された処方薬投与機能をさらに提供する。例えば、プロセッサはセンサ112と通信し、COPA装置100が対象とするユーザの口腔内に正しく位置決めされているかどうかを判定するように構成されてもよい。プロセッサは、正確な位置を検出すると、本明細書でさらに詳細に説明するように、密封処方薬分配ユニット120内の構成要素を制御して、正確な用量の処方物質を対象とするユーザの口腔内に放出又は送達してもよい。
【0028】
図2は、本開示の実施形態によるCOPA装置100の底面斜視図である。底面104は、対象とするユーザの歯列、例えば、下の歯に適合するような大きさ及び形状の凹部210を備える。凹部210には、センサ112とほぼ同じ複数のセンサ212が埋設されている。センサ212は、可撓性又は敏捷性フィラメント素線又はメッシュ構造体に結合されてもよい。処方薬分配ユニット120は、底面104に複数の出口弁222を備え、そこでは処方物質が放出されてもよい。COPA装置100は、対象とするユーザの上歯が刻印された上部凹部110と、対象とするユーザの下歯が刻印された底部凹部210を有するように図示されているが、COPA装置100は、実質的に類似する機能を提供するために単一の凹部110又は単一の凹部210を備えることができる。
【0029】
図3は、本開示の実施形態によるCOPA装置100の斜視図である。図3は、処方薬分配ユニット120のさらに詳細な図を提供するために、(図1に示す)密封スリーブ124の上部を取り除いたCOPA装置100を示す。図示のように、処方薬分配ユニット120はマイクロポンプユニット300を備える。アクセスポート122は、マイクロポンプユニット300と連通して、処方物質をマイクロポンプユニット300に充填することを可能にしてもよい。
【0030】
図4は、本開示の実施形態による連結ステーション400で連結するために位置決めされたCOPA装置100の斜視図である。図5は、本開示の実施形態による連結ステーション400に連結されたCOPA装置100の斜視図である。COPA装置100は、保存、充電及び/又は通信ネットワークを介した通信のために連結ステーション400内に位置決めされてもよい。連結ステーション400は、連結区画410、無線送受信機420、充電部品430、複数のインジケータ440及びCOPA装置感知部品450を備えてもよい。無線送受信機420、充電部品430、インジケータ440及び感知部品450は、図示のように配置されるか、連結ステーション400上の任意の適切な構成で配置されてもよい。
【0031】
連結区画410は、COPA装置100を収容する大きさ及び形状であってもよい。無線送受信機420は、本明細書でさらに詳細に説明するように、COPA装置100が患者専用無線ネットワークを介して連結ステーション400に連結されている間にデータを送受信するように構成されてもよい。充電部品430は、(例えば、バッテリを充電するための)触覚充電部品を備え、COPA装置100が連結ステーション400に連結されている間にCOPA装置100を充電するように構成されてもよい。例えば、プロセッサ、アクチュエータの動作及び処方物質の放出は、電力に基づいて動作する。COPA装置感知部品450は、COPA装置100が正しく連結されているかどうかを検出するように構成されてもよい。例えば、COPA装置100の底面104は、連結ステーション感知部品をさらに備えてもよく、COPA装置100と連結ステーション400との間の連携を、COPA装置感知部品450及び連結ステーション感知部品を介して検出してもよい。充電部品430は、連携を検出した後、COPA装置100への充電を開始してもよい。さらに、COPA装置100は、本明細書でさらに詳細に説明するように、無線送受信機420を介して処方薬投与活動をCOPA管理システムにアップロードしてもよい。インジケータ440は発光ダイオード(LED)を含んでもよい。インジケータ440は、充電及び無線通信のためにCOPA装置100が連結区画410内に正しく位置決めされているかどうかを表示するように構成されてもよい。インジケータ440は、COPA装置100の充電状態(例えば、電源オン/オフ)及び/又は無線送受信機420の無線送信及び/又は受信動作を示すようにさらに構成されてもよい。
【0032】
いくつかの実施形態では、連結ステーション400は、使用及び/又は保管のさまざまな段階でCOPA装置100の存在を感知して検出し、対応するフィードバック及び/又は警告をユーザ、介護者、医師及び/又は薬局に提供することができる閉ループ制御システムを提供する。例えば、インジケータ440は、COPA装置100が連結ステーション400の近傍にある状態、連結ステーション400内に適切に連結されている状態、連結ステーション400内に不適切に連結されている状態、充電中、充電完了、データ転送中、適切に動作中、不適切に動作中及び/又は他の状態表示を示すように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、連結ステーション400は、さまざまなトーン及び/又は振動を発生させて、COPA装置100の近接又は連結、充電活動及び/又は通信活動をはじめとする現在の状態を示すことができる音響発生部品(例えば、スピーカ)を備えてもよい。いくつかの実施形態では、連結ステーション400は、スマートフォン、タブレット又はコンピュータのような計算装置と(例えば、無線送受信機420又は有線接続を介して)通信することができ、フィードバック及び/又は警告(のほか、COPA装置100から得られた処方薬投与活動の記録)をCOPAスマートフォン又はタブレットアプリケーションに送信してもよい。
【0033】
COPA装置100は、必要に応じて(例えば、1日に複数回、毎日、毎晩、毎週など)、投薬と投薬の間に保管、充電及び/又は通信のために連結ステーション400に配置されてもよい。処方薬分配ユニット120を備えるCOPA装置100の充電及び/又は電力の必要量は、薬剤の投与に関連する操作に要する時間が典型的には短い(例えば、1分以下である)ため、最小であってもよい。充電及び無線通信に加えて、連結ステーション400は、COPA装置100の紛失、置き忘れ又は損傷を防止するのに役立つ可能性がある。例えば、連結ステーション400は、対象とするユーザにCOPA装置100を適合させるための追加のプロトコルを提供するために、ロック機構をさらに備えてもよい。一実施形態では、連結ステーション400は、対象とするユーザの拇印又は他の任意の生物学的マーキングに対する拇印照合に基づいてCOPA装置100をロック解除又は解放するように構成された拇印走査部品又は光学走査部品を備えてもよい。
【0034】
対象ではないユーザがCOPA装置100を充分に一致させ、ロック解除してその後に処方薬を放出するのを防止するために、処方薬分配ユニット120内のプロセッサは、ロック機構と協働して、処方薬放出のための起動時間を制限するようにさらに構成されてもよい。例えば、指定された時間に薬物を送達するか放出するために、充電済みCOPA装置100を患者の口腔内に挿入してもよい。薬物の投与が時間によって特定されない場合、薬物放出時間の制御は最初の使用後に開始してもよい。例えば、プロセッサは、最初の使用の時間を記録し、経過時間又は所定の投薬と投薬の間の間隔に基づいてその後の放出を制御するように構成されてもよい。プロセッサは、その後の送達のために、指定された時間又は指定された期間で薬剤を放出するように構成されてもよい。
【0035】
図6は、本開示の実施形態による結合のために位置決めされたCOPA装置100及びマイクロポンプユニット300の斜視図である。マイクロポンプユニット300は、処方薬分配ユニット120の中核である。マイクロポンプユニット300は、プロセッサ310、貯蔵部320、アクチュエータ330及び複数の出口弁340を備える。プロセッサ310は、マイクロポンプユニット300を制御し、COPA装置100に関連する活動、例えば、投薬の送達時間及び量、充電時間及び/又は無線通信活動を記録するように構成される。貯蔵部320は、例えば、マイクロポンプユニット300を介した送達用に特別に処方されたときに、処方物質を保持するように構成される。アクチュエータ330は、作動時に正確な用量の処方物質を押圧するか送達するように構成される。出口弁340は、マイクロポンプユニット300の底部に位置決めされ、摂取のために処方物質を放出するように構成されている。マイクロポンプユニット300のさらに詳細な図を図7及び図8に示す。マイクロポンプユニット300の部品間の相互作用を以下でさらに詳細に説明する。マイクロポンプユニット300は、本明細書でさらに詳細に説明するように、さまざまな機構を通して処方薬と共に予め包装されてもよい。図示のように、COPA装置100は、マイクロポンプユニット300を受容する大きさ及び形状の区画114を備えてもよい。例えば、予め包装されたマイクロポンプユニット300は、区画114内に位置決めされ、(図1に示す)密封スリーブ124で覆って密封処方薬分配ユニット120を形成する。
【0036】
図7は、本開示の実施形態によるマイクロポンプユニット300の内部部品と、内部部品間の相互作用の詳細図を提供する。この点に関して、図7は、本開示の実施形態によるCOPA装置100の断面図である。断面図は図1の線101に沿って切断された図である。図7は、センサ112のうちの1つが可撓性又は敏捷性のフィラメント116上に位置決めされた状態で示されているが、センサ112は、上記のようにメッシュ構造体上に位置決めされてもよい。マイクロポンプユニット300は、COPA装置100の(図4に示す)区画114内に位置決めされる。マイクロポンプユニット300は、充電部品360(例えば、電池)及び(図8に示す)メモリ370をさらに備えてもよい。充電部品360は、プロセッサ310及びアクチュエータ330と連通してもよい。図4に示すように、COPA装置100が連結ステーション400に連結されると、充電部品360は、連結ステーション400の充電部品430に結合され、電池充電又は無線充電を介してCOPA装置100(例えば、プロセッサ310及びアクチュエータ330)を充電するように構成されてもよい。メモリ370は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、プログラマブル読み出し専用メモリ(PROM)、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)及びその組み合わせを含む任意の適切なメモリタイプの揮発性メモリ及び不揮発性メモリを備えてもよい。
【0037】
プロセッサ310は、例えば、ワイヤ710及びアクチュエータ330を介してセンサ112と連通することができる。アクチュエータ330は、流路350を介して貯蔵部320及び出口弁340と連通することができる。貯蔵部320は、(図1に示す)アクセスポート122及び流路350と連通することができる。
【0038】
貯蔵部320は、1つ又は複数のチャンバ322、例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ又は任意の適切な数のチャンバ322を備えてもよい。チャンバ322は、処方物質720を保持するように構成されてもよい。これに関して、チャンバ322の数及び大きさは、処方物質の数、処方物質の(少なくとも1つの)種類及び/又は使用される投与量に基づいて選択することができる。チャンバ322は、それでもなお装置を患者の口腔内に位置決めすることを可能にする任意の大きさであることが可能である。いくつかの例では、チャンバ322は、COPA装置100に形成された対応するチャンバ又はチャネルと連通しており、(1つ又は複数の)処方物質のための貯蔵容量を増大させることができる。チャンバ322は、アクセスポート122と連通してもよい。いくつかの実施形態では、各チャンバ322は、アクセスカニューレ730を介してアクセスポート122のうちの1つと連通している。
【0039】
臨床医又は薬剤師が、アクセスポート122を介して処方物質720を充填するか再充填してもよい。処方物質720は、液体製剤、粉末製剤、多粒子製剤又は他の任意の適切な製剤を含んでもよい。いくつかの実施形態では、チャンバ322はいずれも液体製剤で充填される。いくつかの他の実施形態では、一方のチャンバ322が液体製剤で充填され、他方のチャンバ322が粉末製剤又は多粒子製剤で充填されてもよい。異なるチャンバ322内の処方物質720は、特定の製剤を形成するために同時に放出されるか、処方物質720中の特定の活性成分が互いに反応するのを防ぐために異なる時間に放出されてもよい。これに関して、各チャンバ322は、対象とするユーザのための異なる処方物質720を含有してもよい。
【0040】
アクチュエータ330は、医薬製剤の送達に適したマイクロポンプであってもよい。アクチュエータ330は、プロセッサ310によって作動又は起動されて、処方物質720を流路350を通して流し、カニューレ740から出して、出口弁340を介して解放してもよい。アクチュエータ330は、正確な投与量の処方物質720を放出するために1回以上起動されてもよい。流路350は、適切な管材料から構成されてもよい。出口弁340は、例えばエラストマー膜を有し、ユーザの口腔内への処方物質720の漏出又はユーザの口腔内からCOPA装置100への処方物質の逆流を防止するように構成された任意の適切な流量制御弁であってもよい。
【0041】
プロセッサ310は、患者の識別及び照合を実施する機能、位置感知及び/又は圧力検出を(例えば、センサ112と協働して)実施する機能、アクチュエータ330に特定の用量の処方物質720を放出するように指示する機能、出口弁340の開口を制御する機能、対象とするユーザに対する服薬指導に従ってマイクロポンプユニット300の部品の動作を制御する機能、分配データを記憶する機能などの機能をはじめ、本明細書に記載の機能を実施するように構成される任意の適切なマイクロコントローラ又はマイクロプロセッサであってもよい。服薬指導は、対象とするユーザに物質を分配するための少なくとも投与量とタイミングを含んでもよい。服薬指導は、メモリ370に保存されてもよい。
【0042】
動作中、COPA装置100はユーザの口腔内に挿入されてもよい。ユーザは、COPA装置100周りの自身の口を閉じて、COPA装置100に噛みついてもよい。これにより、センサ112を起動して位置及び/又は圧力の測定を実施してもよい。プロセッサ310は、センサ112からの測定値に基づいて、COPA装置100がユーザの口腔内に正しく位置決めされているかどうかを判定してもよい。いくつかの実施形態では、COPA装置100が作成されると、ユーザの口の位置データ及び/又は圧力データがメモリ370に記録され保存されてもよい。プロセッサ310は、現在位置測定値及び/又は圧力測定値を元の位置データ及び/又は圧力データと比較して、COPA装置100の現在のユーザとCOPA装置100の対象とするユーザとが一致しているかどうかを判定してもよい。プロセッサ310はこのほか、現在位置測定値及び/又は圧力測定値を元の位置データ及び/又は圧力データと比較して、COPA装置100が対象とするユーザの口腔内に正しく位置決めされているかどうかを判定してもよい。
【0043】
ユーザが対象とするユーザであると確認され、COPA装置100が対象とするユーザの口腔内に正しく位置決めされると、プロセッサ310は起動指示をアクチュエータ330に送信し、出口弁340を開いて、対象とするユーザのための服薬指導に従ってマイクロポンプユニット300に保存される1つ又は複数の処方物質720を投与してもよい。アクチュエータ330の起動及び出口弁340の開口は、処方物質720が充填されたときにメモリ370に保存された服薬指導又は処方薬に基づくものであってもよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、COPA装置100は、COPA装置100の使用中にユーザにフィードバック及び/又は警告を提供することができる1つ又は複数のインジケータを備えてもよい。インジケータは、振動部品、音響発生部品(例えば、スピーカ)及び/又は視覚的インジケータ部品を含んでもよい。例えば、振動部品は、COPA装置100をさまざまなパルスパターンで振動させて、COPA装置のさまざまな状態を示すことができる(例えば、適正なユーザ認証及び分配の開始を示す1回の振動、分配の完了を示す2回の振動、COPA装置のエラーを示すためのパターン化された振動又は繰り返しの振動など)。同じように、音響発生部品は、COPA装置のさまざまな状態を示すためにさまざまなトーン及び/又はパターンを生成することができる。同じように、視覚的インジケータ部品は、COPA装置のさまざまな状態を示すためにさまざまな色及び/又はパターンを表示する1つ又は複数のLEDを含むことができる。COPA装置100の現在の状態は、プロセッサ310、センサ112又は212(例えば、COPA装置100の正しい位置決め又は誤った位置決め)、物質の分配を監視するセンサ(例えば、体積センサ又は流量センサ)、連結ステーション400及び/又はCOPA装置100及び/又は連結ステーション400に連動してCOPA装置100の状態を判定するための他のセンサ又は監視装置からのフィードバックに基づいて判定されてもよい。
【0045】
図8は、本開示の実施形態によるマイクロポンプユニット300の概略図である。図8は、マイクロポンプユニット300のさらに詳細な図及びセンサ112と連結ステーション400との相互作用を提供する。図示のように、マイクロポンプユニット300は、無線送受信機380をさらに備えてもよい。無線送受信機380は、任意の適切な無線通信プロトコルを実行してもよい。無線送受信機380は、本明細書でさらに詳細に説明するように、例えば、記録された活動をアップロードするか、修正された服薬指導又は新たな服薬指導をダウンロードするために、連結ステーション400と無線通信してもよい。さらに、無線送受信機380は、対象とするユーザの通信装置(例えば、コンピュータ、タブレット、スマートフォンなど)をはじめとする他の無線通信装置と無線通信してもよい。これに関して、マイクロポンプユニット300のプロセッサは、そのような警告又はリマインダを(例えば、可聴式インジケータ及び/又は視覚的インジケータを作動させることによって)発するように、対象とするユーザの通信装置を起動することによって(例えば、服薬指導の投薬タイミングに基づいて)ユーザに対する警告又はリマインダを開始するように構成することができる。同じように、マイクロポンプユニット300及び/又は連結ステーション400のプロセッサは、医療提供者の通信装置との通信を介して警告又は注意喚起を開始するように構成することができる。例えば、マイクロポンプユニット300及び/又は連結ステーションは、服薬指導に従って物質を分配できなかった状態(例えば、患者が処方された通りに薬剤を服用していない状態)及び/又は対象とするユーザを認証しようと試みて複数回失敗した状態(例えば、対象とするユーザ以外の誰かが薬剤にアクセスしようとしているか、対象とするユーザが装置の使用に問題があることを示す状態)に基づいて医療提供者に警告してもよい。
【0046】
図9は、本開示の実施形態によるシステム900の概略図である。システム900は、ネットワーク940を介して互いに通信するCOPA装置100、連結ステーション400、医師910、薬局920、患者/介護士ポータル930及び中央管理システム950を備える。ネットワーク940は、基幹ネットワーク又はインターネットに接続することができる1つ又は複数の無線アクセスネットワーク及び/又は1つ又は複数の有線ネットワークを備えてもよい。ネットワーク940は、患者のプライバシーを保護するためのネットワーク暗号化及びセキュリティポリシーを備えてもよい。ネットワーク940は、暗号化及びセキュリティポリシーに基づいてネットワーク940を介してデータを記憶及び検索するためのクラウドストレージを備えてもよい。医師910は処方薬管理システムの登録医師であってもよい。薬局920は、承認された薬局及び/又はCOPA装置(例えば、マウスピース)製作者であってもよい。COPA製作者は、対象とする受取人の歯列のさまざまな個々の要素を捉える標準化歯科用印象(例えば、COPA装置100)の獲得にて訓練された個人又は組織であってもよい。システム900は、誤用及び誤操作を防止するために処方薬投与及び管理の経路を追跡するための識別システムを提供してもよい。
【0047】
高いレベルでは、医師910は患者に薬剤を処方し、薬局920は患者のためのマウスピースを作成し、医師910によって提供される(少なくとも1つの)処方薬によってマウスピースを充填してもよい。薬局920は、マウスピースのマイクロポンプユニットをプログラムして、正確な投与量の処方薬及び/又は投与量摂取時間を送達してもよい。これに関して、患者のための服薬指導を、マイクロポンプユニットのメモリに保存してもよい。患者はマウスピースを患者の口腔内に挿入してもよく、マイクロポンプユニットは、ユーザが対象とする受取人であることを確認すると、プログラムされた通りに処方薬を分配することになる。患者は、マウスピースを使用していないときには、マウスピースを連結ステーションに連結してもよい。連結ステーションは、マウスピースを充電し、及び/又は無線接続及び/又は有線接続を介して医師910及び/又は薬局920と通信してもよい。医師910及び/又は薬局920は、連結ステーション400からの処方薬の分配に関連する情報を監視し検索してもよい。医師910は、監視情報及び/又は検索情報及び/又は患者の経過の評価に基づいて服薬指導を調整するための指示を提供してもよい。薬局920は、医師910からの指令に基づいて、マイクロポンプユニットのメモリに保存された服薬指導を調整するように指示を連結ステーション400に送信してもよい。例えば、マウスピースが連結ステーションに連結されると、それに応じて、メモリに保存されている服薬指導を更新するか再プログラムすることができる。これとは別に、メモリに保存された服薬指導は、薬局920にて更新するか再プログラムすることができる。同じように、医師910は、監視情報及び/又は検索情報及び/又は患者の経過の評価に基づいて新たな薬剤を処方してもよい。薬局920は、それに応じてマイクロポンプユニット300を補充してもよい。
【0048】
患者/介護士ポータル930は、ネットワーク940上のコンピュータサーバ又はクラウドストレージに保存されてもよい。管理システム950は、ネットワーク940をホストとしてもよい。管理システム950は、患者及び全COPA活動に関連する情報を保存するマスターデータベースを備えてもよい。例えば、管理システム950は、COPAプロセスに参加する医師(例えば、医師910)、組み立て技術者又はフルフィルメント技術者、薬剤師(例えば、薬局920)及び任意の医療職員が、例えば、ログインに基づいてマスターデータベースの少なくとも一部にアクセスできるようにしてもよい。一実施形態では、人員ごとに異なるログインプロファイルを有してもよく、マスターデータベースへのアクセスはログインプロファイルに基づくものであってもよい。いくつかの実施形態では、患者/介護士ポータル930は、管理システム950をホストとしてもよく、マスターデータベースへの特定のアクセスを有してもよい。患者情報は、患者の識別、健康歴、処方歴、COPA装置100内のプロセッサ310の識別、COPA装置100が充電される連結ステーション400の識別などを含んでもよい。患者の識別には、患者の社会保障番号(SSN)をはじめとする固有の識別子が含まれてもよい。処方歴は、患者に薬剤を処方した医師(例えば、医師910)の識別、処方薬が充填又は補充された薬局(例えば、薬局920)の識別、処方薬の識別及び薬剤が充填されたマイクロポンプユニット300内のプロセッサ310の識別を含んでもよい。処方歴はこのほか、管理システム950によって保存され管理されてもよい。医師の識別は、医師の国内提供者識別子(NPI)を含んでもよい。NPIは、健康保険の携帯性と説明責任に関する法律(HIPPA)の対象となる医師の固有の識別番号である。薬局の識別は、印象技術者識別子(ID)、組立技術者ID及び登録薬局IDを含んでもよい。印象技術者IDは、患者用のCOPA装置100を作成した技術者を識別する。組立技術者IDは、COPA装置100のマイクロポンプユニット300に処方薬を組み込むか充填した技術者を識別する。薬局IDは、処方薬が充填された薬局を識別する。処方薬の識別は、COPA装置100のマイクロポンプユニット300に充填された各処方物質又は製剤を識別する投与量IDを含んでもよい。
【0049】
一実施形態では、医師910は患者を検査し、代替療法が患者にとって有益であり得るかどうかを判定してもよい。医師910が特定の薬剤療法を患者が必要としていると判定した場合、例えば、COPA投与選択肢に基づく製剤のガイドラインに従って、医師は患者のための処方薬を注文してもよい。医師910は、例えば、データのHIPPA保護基準及び電子医療記録(EMR)フォーマットに従って、処方箋をネットワーク940を介して薬局920に電子的に送信してもよい。
【0050】
COPA製造業者では、印象技術者が、例えば、COPAガイドライン及び指示に従って、対象とする患者の口腔及び歯の印象を取り、COPA装置100用の型を作成してもよい。型は、密封スリーブ124とほぼ同じ密封スリーブを備えてもよい。例えば、印象技術者は、患者の歯列の刻印を作成するために、生体に優しいポリマーで充填された歯科用トレイを使用してもよい。COPA公認の歯科医、衛生士及び/又は他の訓練を受けた職業人(例えば、COPA装置組立技術者)が、COPA装置100のための型の作成を完了してもよい。
【0051】
組立技術者は、予め包装されたマイクロポンプユニット300を準備してもよい。各マイクロポンプユニット300は、マイクロポンプユニット内に埋設されたプロセッサ310のIDに基づいて識別されてもよい。組立技術者は、管理システム950にマイクロポンプユニット300のIDを記録してもよい。例えば、組立技術者は、IDを管理システム950に入力し、COPA装置(例えば、COPA装置100)のIDを保存し追跡する管理システム950のCOPA装置IDデータベースに問い合わせ、患者用に作成されたCOPA装置100のための新たなレコードを作成してもよい。組立技術者は、例えば、無線でマイクロポンプユニット300内のプロセッサ310を起動してもよい。起動は、医師910から受け取った指令に従ってプロセッサ310をプログラミングするステップを含んでもよい。プログラミングは、患者に対する服薬指導(例えば、各処方薬に対する投薬量及び投薬タイミング)を含んでもよい。上記のように、チャンバ322ごとに異なる製剤で充填されてもよい。このため、プログラミングは、放出順序、特定の放出時間及び/又は異なる製剤ごとの放出期間及び/又は放出と放出の間の間隔を含んでもよい。例えば、いくつかの製剤が即時放出(IR)用にプログラムされ、いくつかの製剤が持続放出(ER)用にプログラムされてもよい。
【0052】
組立技術者は、マイクロポンプユニット300又はプロセッサ310を起動させた後、起動されたマイクロポンプユニット300を、密封スリーブが位置決めされている型の上部中央に配置してもよい。マイクロポンプユニット300は、アクセスカニューレ730がアクセスポート122を通って密封スリーブの外側に延び、出口カニューレ740が型の基部を通って延びるように位置決めされてもよい。組立技術者は、COPA装置100の凹部110内にセンサ112のフィラメント又はメッシュを配置してもよい。組立技術者は、加圧空気がアクセスカニューレ730を通ってマイクロポンプユニット300内にポンプで送り込まれて、型の充填中に流路350が圧縮されないことを確実にするように、エアコンプレッサから型上部のアクセスポート122にホースを取り付けてもよい。組立技術者は、液体ポリマーを型にポンプで注入し、液体ポリマーを硬化させることができるようにしてもよい。液体ポリマーが硬化した後、COPA装置100は完成する。
【0053】
COPA装置100が完成すると、COPA装置100は薬局920に移動することができる。薬局920では、薬局の職員(例えば、COPA履行技術者)が、COPA装置100を、充填のためにマイクロポンプユニット300へのアクセスを可能にするように構成された台座をはじめとする構造体に配置してもよい。台座は、COPA装置を台座上に配置する前に毎回滅菌スリーブによって覆われてもよい。薬局職員は、例えば、ネットワーク940を介してCOPA管理システム950から、COPA装置100内のプロセッサ310のIDに基づいてCOPA装置100の記録を検索してもよい。薬局職員は、医師910から受け取った指令で指定された投与量に基づいて薬品製造業者から薬剤を(例えば、小瓶、小袋、ボトルなどの形態で)調達してもよい。薬局スタッフは、COPA装置100の記録を更新してもよい。薬局職員は、アクセスポート122を介して調合処方薬(例えば、処方物質720)を貯蔵部320の1つ又は複数のチャンバ322に注入するか堆積させるために、アクセスポート122で制御弁を起動するか開口してもよい。薬局スタッフは、充填終了後に制御弁を閉じてもよい。薬局職員は、貯蔵部320内の他のチャンバ322を充填するために同じプロセスを繰り返してもよい。その後、調合処方薬の放出は、上記のように対象とする受取人の歯とCOPA装置100との適合に基づくものである。いくつかの実施形態では、薬局920とCOPA製作者は同じ事業体であり得ることに留意されたい。
【0054】
COPA装置100用に作成された(例えば、プロセッサ310の)初期IDは、COPA装置100用の恒久的なIDとすることができる。充填された処方薬に関連する情報は、COPA装置100のIDに関連し、管理システム950及び/又は薬局920の内部追跡システムに記録されてもよい。このため、COPA装置100は、作成及び準備経路を通じて完全に追跡可能である。さらに、COPA装置100を製作するのに使用される型は、型IDを割り当てられてもよく、プロセッサ310のIDと関連付けて管理システム950に保存されてもよい。保存された型を使用するためのプロトコルが文書化され、その後のマウスピースの記録が管理システム950に関連して保存されてもよい。このため、誤用又は不正は管理システム950を介して追跡されてもよい。
【0055】
薬局スタッフは、COPA装置100を連結ステーション400と一組にしてもよい。薬局スタッフは、管理システム950内のCOPA装置100に関連して連結ステーション400のIDを記録してもよい。連結ステーション400の無線送受信機420は、COPA装置100に埋設されたプロセッサ310への遠隔アクセスのために管理システム950に記録され登録されてもよい。例えば、(少なくとも1つの)有効成分が消耗する前に患者がマウスピースを薬局920に返却することなく、薬局職員が無線送受信機420を介してプロセッサ310にアクセスすることによって、処方医910の指示又は指令に基づいて充填処方薬の投与量を調整してもよい。調整は、例えば、1回の放出当たりの投与量、放出のタイミング、1つ又は複数のチャンバ322の一時停止までの限られた数の修正を可能にしてもよい。
【0056】
患者は、薬局920からCOPA装置100及び連結ステーション400を取得してもよく、薬局スタッフは患者に使用法の指示を提供してもよい。患者は、COPA装置100を患者の口腔内に挿入し、口を閉じてCOPA装置100に噛みついてもよく、それにより処方薬分配ユニット120又はマイクロポンプユニット300が摂取のために処方薬を放出してもよい。患者は、使用後にCOPA装置100を清掃し、COPA装置100を連結ステーション400に連結してもよい。
【0057】
患者及び/又は介護士は、例えば、ネットワーク940を介して管理システム950をホストとしているオンラインCOPAアカウントにアクセスしてもよい。無線送受信機420は、マウスピースによって記録された活動(例えば、各薬剤の投薬量及び投薬タイミング)などのデータを検出し、管理システム950に送信してもよい。患者は、COPA装置100の各チャンバ322に装填された薬剤の記録を閲覧してもよい。患者は、初期処方薬及びその後の任意の改訂を含む、COPA装置100に充填されている薬剤の投与経路の記録を閲覧してもよい。患者は、治療が反復治療(recurring treatment)である場合には、第2の予め充填されたCOPA装置(例えば、COPA装置100)を取得し、枯渇したCOPA装置をドロップオフするための予想枯渇スケジュールの記録を閲覧してもよい。
【0058】
一実施形態では、COPA装置100の補充プロセスは、今日の薬品補充ポリシーと類似するポリシーを使用してもよい。COPA装置100は長期治療計画で使用されてもよい。処方医910が、患者から観察された治療結果に基づいて処方薬を調整及び改訂してもよい。医師910は改訂された処方薬を薬局920に電子的に転送してもよい。薬局職員又はフルフィルメント技術者は、連結ステーション400の無線送受信機420を介して無線でプロセッサ310に修正された指示を送信してもよい。管理システム950は全修正の記録全体を収容してもよい。対象とする受取人が、計画されたように、あるいは修正されたようにCOPAを使い切った場合、COPA装置100は、例えば、処方医910によって指示されるように、補給のために薬局920に戻されてもよい。薬局職員は、アクセスポート122を介して食塩水をCOPA装置100の中に流し込み、密封処方薬分配ユニット120の中に流し込み、出口弁222から出してもよい。薬局スタッフは、COPA装置100を洗い流した後、医師910から受け取った指令に基づいてCOPA装置100を補充してもよく、管理システム950内の記録を更新してもよい。例えば、処方薬を3回補充することについて記載されている場合、その記録は、COPA装置100のプロセッサ310のID及び以前の投与IDに関連して3回の投与IDを示すであろう。COPA装置100に関連する全情報を記録することによって、患者が治療計画中に提供者又は薬局を変更するときをはじめ、いつでも管理システム950内の患者と投与量の情報を検索してもよい。
【0059】
一実施形態では、例えば、治療計画又は治療計画の変更の終わりに、COPA装置100がもはや必要ではなくなった場合、COPA装置100を停止させ、管理システム950を更新してCOPA装置100の停止を示してもよい。いくつかの実施形態では、COPA装置100の停止時間が特定の制限時間内、例えばXヶ月以内である場合、組立技術者が元の印象を再利用して新たなCOPA装置100を構築してもよい。新COPA装置100内のプロセッサ310のIDは、旧COPA装置100の旧IDと関連付けて管理システム950に保存されてもよい。一実施形態では、受取人の歯列の実際の変化のためにCOPA装置100を鋳直す必要がある場合には、上記の作成及び準備のプロセスを繰り返してもよい。新たな型に関連する情報を、患者及び処方薬に関連して管理システム950に保存してもよい。特定の患者又は特定の処方薬に関連する全COPA装置100を追跡することによって、対象としないユーザが処方薬にアクセスすること、あるいは対象とするユーザが処方物質の誤用について誤った情報を提供することは起こりにくい。
【0060】
当業者は、上記の装置、システム及び方法がさまざまな方法で変更することができることを認識するであろう。このため、当業者であれば、本開示に包含される実施形態が上記の特定の例示的実施形態に限定されないことを理解するであろう。その点に関して、例示的な実施形態を示し説明してきたが、これまでの開示では広範囲の修正、変更及び置換が企図されている。本開示の範囲から逸脱することなく、そのような変形が上記の実施形態に対してなされてもよいことが理解される。このため、添付の特許請求の範囲は広く解釈されるとともに、本開示と一致する方法で解釈されることが適切である。
以下に、参照番号(符号)と対応する参照名を列記する。
【符号の説明】
【0061】
100 COPA装置
102 上面
104 底面
110 凹部
112 センサ
114 区画
116 フィラメント
120 処方薬分配ユニット
122 アクセスポート
124 スリーブ
210 凹部
212 センサ
222 出口弁
300 マイクロポンプユニット
310 プロセッサ
320 貯蔵部
322 チャンバ
330 アクチュエータ
340 出口弁
350 流路
360 部品
370 メモリ
380 無線送受信機
400 連結ステーション
410 連結区画
420 無線送受信機
430 部品
440 インジケータ
450 COPA装置感知部品
710 ワイヤ
720 処方物質
730 アクセスカニューレ
740 出口カニューレ
900 システム
910 医師
920 薬局
930 患者/介護士ポータル
940 ネットワーク
950 COPA管理システム
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