(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-19
(45)【発行日】2023-07-27
(54)【発明の名称】組織内部成長が低減する陰圧治療のためのシステム及び装置
(51)【国際特許分類】
A61M 27/00 20060101AFI20230720BHJP
A61F 13/00 20060101ALI20230720BHJP
A61F 13/02 20060101ALI20230720BHJP
【FI】
A61M27/00
A61F13/00 305
A61F13/02 310D
A61F13/02 310M
A61F13/02 345
(21)【出願番号】P 2019566969
(86)(22)【出願日】2018-06-05
(86)【国際出願番号】 US2018035995
(87)【国際公開番号】W WO2018226650
(87)【国際公開日】2018-12-13
【審査請求日】2021-05-26
(32)【優先日】2017-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(72)【発明者】
【氏名】ロック,クリストファー,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ロビンソン,ティモシー,マーク
(72)【発明者】
【氏名】ワイト,デイヴィッド,ジョージ
【審査官】竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-521886(JP,A)
【文献】特表2003-532504(JP,A)
【文献】特表2013-521015(JP,A)
【文献】特開2008-073187(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 27/00
A61F 13/00
A61F 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
陰圧を用いて組織部位を治療するためのドレッシングにおいて、
第1面と、前記第1面とは反対側の第2面とを備えたマニホールドと、
前記第1面に隣接する第1層及び前記第2面に隣接する第2層であって、各々がポリマーフィルムを備える第1層及び第2層と、
少なくとも前記第1面に隣接する前記ポリマーフィルムにおける複数の流体制限部であって、1以上の前記流体制限部が、歪んでいないときは通常閉鎖しており、圧力勾配に応じて開放するように構成されている流体制限部と、
前記第1層と前記第2層との間の複数の結合部であって、前記マニホールドの分離可能な区画を画定する複数の結合部と、
前記マニホールドの分離可能な区画のそれぞれの間に配置された少なくとも1つの犠牲接合部であって、共通の頂点において接合される一対の三角形状の拡張部を有する犠牲接合部と、
を備えることを特徴とするドレッシング。
【請求項2】
請求項1に記載のドレッシングにおいて、前記複数の結合部が、前記マニホールドの前記分離可能な区画の間に継目を形成していることを特徴とするドレッシング。
【請求項3】
請求項1に記載のドレッシングにおいて、前記マニホールドが、前記分離可能な区画の間に穿孔を備えることを特徴とするドレッシング。
【請求項4】
請求項1に記載のドレッシングにおいて、前記複数の結合部が、前記マニホールドの前記分離可能な区画の間にシールを形成していることを特徴とするドレッシング。
【請求項5】
請求項1に記載のドレッシングにおいて、前記複数の結合部が、前記マニホールドの前記分離可能な区画の間にシールを形成し、前記シールが、前記マニホールドを露出させることなく切断されるように構成されていることを特徴とするドレッシング。
【請求項6】
請求項1に記載のドレッシングにおいて、前記マニホールドが、5ミリメートル~8ミリメートルの厚さを有することを特徴とするドレッシング。
【請求項7】
請求項1に記載のドレッシングにおいて、前記複数の結合部が、幾何学的形状として前記分離可能な区画を画定していることを特徴とするドレッシング。
【請求項8】
請求項1に記載のドレッシングにおいて、前記分離可能な区画が、20ミリメートルを超えない辺
および400平方ミリメートル未満の面積を有する等辺多角形であることを特徴とするドレッシング。
【請求項9】
請求項1に記載のドレッシングにおいて、前記第1層及び前記第2層のうちの少なくとも一方に隣接する封止層をさらに備え、前記封止層が、前記流体制限部に流体的に結合されたアパーチャを有することを特徴とするドレッシング。
【請求項10】
請求項1に記載のドレッシングにおいて、前記ポリマーフィルムが、30グラム/平方メートル未満の面密度を有するポリエチレンフィルムであることを特徴とするドレッシング。
【請求項11】
請求項1に記載のドレッシングにおいて、前記複数の流体制限部が複数のスロットを備え、前記スロットの各々が、4ミリメートル未満の長さと2ミリメートル未満の幅とを有することを特徴とするドレッシング。
【請求項12】
請求項1に記載のドレッシングにおいて、前記複数の流体制限部が前記マニホールドと同一の広がりを有することを特徴とするドレッシング。
【請求項13】
請求項1に記載のドレッシングにおいて、
前記複数の流体制限部が、前記ポリマーフィルムにわたって、相互に平行である行及び列で分散され、
前記行が、中心において3ミリメートル間隔を空けて配置され、
前記行の各々における前記流体制限部が、中心において3ミリメートル間隔を空けて配置されていることを特徴とするドレッシング。
【請求項14】
請求項
13に記載のドレッシングにおいて、隣接する行における前記流体制限部がずれていることを特徴とするドレッシング。
【請求項15】
請求項1に記載のドレッシングにおいて、前記第1面及び前記第2面に隣接する前記ポリマーフィルムにおける前記複数の流体制限部を特徴とするドレッシング。
【請求項16】
陰圧を用いて組織部位を治療するためのドレッシングにおいて、
第1面と、前記第1面とは反対側の第2面とを備えたマニホールドと、
前記第1面に隣接する第1層及び前記第2面に隣接する第2層であって、各々がポリマーフィルムを備える第1層及び第2層と、
少なくとも前記第1面に隣接する前記ポリマーフィルムにおける複数の流体制限部と、
前記マニホールドの分離可能な区画を形成するように前記第1層を前記第2層に結合する手段と、
前記マニホールドの分離可能な区画のそれぞれの間に配置された少なくとも1つの犠牲接合部であって、共通の頂点において接合される一対の三角形状の拡張部を有する犠牲接合部と、
前記第1層および前記第2層の少なくとも一方に隣接している封止層であって、前記流体制限部に流体的に結合された複数のアパーチャを有する封止層と、
を備えることを特徴とするドレッシング。
【請求項17】
組織部位に陰圧治療を提供するための装置において、
第1面と、前記第1面とは反対側の第2面とを備えたマニホールドと、
前記第1面に隣接する第1層及び前記第2面に隣接する第2層であって、各々がポリマーフィルムを備える前記第1層及び前記第2層と、
少なくとも前記第1面に隣接する前記ポリマーフィルムにおける複数の流体制限部と、
前記第1層と前記第2層との間の複数の結合部であって、前記マニホールドの分離可能な区画を画定する複数の結合部と、
前記マニホールドの分離可能な区画のそれぞれの間に配置された少なくとも1つの犠牲接合部であって、共通の頂点において接合される一対の三角形状の拡張部を有する犠牲接合部と、
前記マニホールドに流体的に結合された陰圧源と、
を備えることを特徴とする装置。
【請求項18】
請求項
17に記載の装置において、前記複数の結合部が、前記マニホールドの前記分離可能な区画の間に少なくとも2ミリメートルの幅を有する継目を形成していることを特徴とする装置。
【請求項19】
請求項
17に記載の装置において、前記マニホールドが、前記結合部と位置合わせされた穿孔を備えることを特徴とする装置。
【請求項20】
請求項
17に記載の装置において、前記マニホールドが、前記分離可能な区画の間に穿孔を備えることを特徴とする装置。
【請求項21】
請求項
17に記載の装置において、前記複数の結合部が、前記マニホールドの前記分離可能な区画の間にシールを形成していることを特徴とする装置。
【請求項22】
請求項
17に記載の装置において、前記複数の結合部が、幾何学的形状として前記分離可能な区画を画定していることを特徴とする装置。
【請求項23】
請求項
17に記載の装置において、前記複数の結合部が、有機的形状として前記分離可能な区画を画定していることを特徴とする装置。
【請求項24】
請求項
17に記載の装置において、前記複数の結合部が、モザイク形状として前記分離可能な区画を画定していることを特徴とする装置。
【請求項25】
請求項
17に記載の装置において、前記分離可能な区画が等辺多角形であることを特徴とする装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、米国特許法第119条(e)の下で、2017年10月24日に出願された、「SYSTEMS,APPARATUSES,AND METHODS FOR NEGATIVE-PRESSURE TREATMENT WITH REDUCED TISSUE IN-GROWTH」と題する米国仮特許出願第62/576,498号明細書、2017年9月29日に出願された、「COMPOSITE DRESSINGS FOR IMPROVED GRANULATION AND REDUCED MACERATION WITH NEGATIVE-PRESSURE TREATMENT」と題する米国仮特許出願第62/565,754号明細書、2017年6月7日に出願された、「TISSUE CONTACT INTERFACE」と題する米国仮特許出願第62/516,540号明細書、2017年6月7日に出願された、「COMPOSITE DRESSINGS FOR IMPROVED GRANULATION AND REDUCED MACERATION WITH NEGATIVE-PRESSURE TREATMENT」と題する米国仮特許出願第62/516,550号明細書、及び2017年6月7日に出願された、「COMPOSITE DRESSINGS FOR IMPROVED GRANULATION AND REDUCED MACERATION WITH NEGATIVE-PRESSURE TREATMENT」と題する米国仮特許出願第62/516,566号明細書の出願の利益を主張し、これらの出願の各々は、すべての目的に対して参照により本明細書に援用される。
【0002】
添付の特許請求の範囲に示す本発明は、概して組織治療システムに関し、より詳細には、ただし限定なしに、陰圧組織治療のためのシステム、ドレッシング及び充填材と、陰圧組織治療のためのシステム、ドレッシング及び充填材を使用する方法とに関する。
【背景技術】
【0003】
臨床試験及び診療により、組織部位に近接して減圧することにより、組織部位における新たな組織の増殖を高め加速させることができることが示された。この現象の適用は多数あるが、この現象は創傷の処置に特に有利であることが分かった。外傷であるか、手術であるか、又は別の原因であるか、創傷の病因に関わらず、創傷の適切なケアは、転帰に対して重要である。創傷又は他の組織の減圧による治療は、一般に、「陰圧療法」と呼ぶことができるが、たとえば、「陰圧創傷療法」、「減圧療法」、「真空療法」、「真空補助閉鎖」及び「局所陰圧」を含む他の名称によっても知られている。陰圧療法は、上皮組織及び皮下組織の移動、血流の改善、並びに創傷部位における組織の微小変形を含む、多くの利点を提供することができる。これらの利点により、合わせて、肉芽組織の発生を増大させ、治癒時間を短縮することができる。
【0004】
組織部位を洗浄することは、新たな組織の増殖のために非常に有益であり得るということも広く許容されている。たとえば、創傷を液体溶液の流れで洗うことができ、又は、治療目的で液体溶液を使用して腔を洗うことができる。これらの行為は、一般にそれぞれ「灌注」及び「洗浄(lavage)」と呼ばれる。「滴下」は、一般に、組織部位に徐々に流体を導入し、流体を除去する前に所定期間、流体を放置するプロセスを指す、別の行為である。たとえば、創傷床の上への局所治療溶液の滴下を陰圧療法と組み合わせて、創傷床内の可溶性汚染物質を緩めて感染性物質を除去することにより、創傷治癒をさらに促進することができる。その結果、可溶性細菌負荷を低減させ、汚染物質を除去し、創傷を洗浄することができる。
【0005】
陰圧療法及び滴下療法の臨床的利益は広く知られているが、治療システム、構成要素及びプロセスの改善は、医療提供者及び患者に利益をもたらすことができる。
【発明の概要】
【0006】
添付の特許請求の範囲において、陰圧療法環境において組織を治療する新たな且つ有用なシステム、装置及び方法を示す。当業者が請求項に係る主題を作成し使用することができるように、例示的な実施形態も提供する。
【0007】
たとえば、いくつかの実施形態では、陰圧を用いて組織部位を治療するためのドレッシング又は充填材は、穿孔又は有窓フィルムの少なくとも2つの層内に封入された網状フォームの薄いシートを含むことができる。好適なフィルムとしては、たとえば、ポリエチレン、ポリウレタン又はエチルメチルアクリレートを挙げることができる。フィルムのいくつかの実施形態は、表面の上に形成された直線状の穿孔又は開窓を有することができる。いくつかの実施形態では、フォームは複数の区画で形成することができる。たとえば、フォーム区画は、区画の周囲にフィルム層を接合することによって形成することができる。区画は、いくつかの例ではモザイク形状で形成することができ、フォーム及びフィルムの複合材は、いくつかの構成ではキルト構造に類似することができる。ドレッシング又は充填材を最適な配置のための形状及びサイズとするために、区画を折り重ね、切断し、又は他の方法で分離することができ、区画の間で、接合されたフィルム層に沿って区画を折り重ねるか又は分離することにより、フォームの露出を回避するか又は最小限にすることができる。
【0008】
より全体的には、いくつかの実施形態では、陰圧を用いて組織部位を治療するためのドレッシング又は充填材は、第1面と、第1面とは反対側の第2面とを有するマニホールドを含むことができる。ドレッシングはまた、第1面に隣接する第1層と、第2面に隣接する第2層とを含むことができる。いくつかの実施形態では、第1層及び第2層は、各々、ポリマーフィルムを含むか又はポリマーフィルムから構成され得る。ドレッシングはまた、少なくとも第1面に隣接するポリマーフィルムにおける複数の流体制限部と、第1層と第2層との間の複数の結合部とを含むことができる。複数の結合部は、概して、マニホールドの分離可能な区画を画定する。
【0009】
いくつかの実施形態では、複数の結合部は、マニホールドの分離可能な区画の間に継目を形成している。区画の間の継目は、少なくとも2ミリメートルの幅を有する。マニホールドはまた、いくつかの例では結合部に位置合わせすることができる穿孔も含むことができる。マニホールドは、いくつかの実施形態では、分離可能な区画の間に犠牲接合部又は結合部をさらに含むことができる。
【0010】
ドレッシングのいくつかの実施形態は、第1面と、第1面とは反対側の第2面とを備えたマニホールドと、第1面に隣接する第1層及び第2面に隣接する第2層であって、各々がポリマーフィルムを含む第1層及び第2層と、少なくとも第1面に隣接するポリマーフィルムにおける複数の流体制限部と、マニホールドの分離可能な区画を形成するように第1層を第2層に結合する手段とを含むことができる。
【0011】
ドレッシングは、いくつかの例では、マニホールド区画の少なくとも2つの層を含むことができる。第1マニホールド層と第2マニホールド層との間に、少なくとも1つの中間層を配置することができる。ドレッシングのいくつかの実施形態は、中間層とは反対側で第1マニホールド層に隣接する第1外層と、中間層とは反対側で第2マニホールド層に隣接する第2外層と、第1外層及び第2外層における複数の流体制限部と、第1外層と中間層との間及び第2外層と中間層との間の複数の結合部とをさらに含むことができる。少なくとも第1外層及び第2外層は、各々、ポリマーフィルムを備えることができる。複数の結合部は、第1マニホールド層及び第2マニホールド層の分離可能な区画を画定することができる。
【0012】
他の実施形態は、組織部位に陰圧治療を提供するための装置に関することができる。たとえば、装置は、第1面と、第1面とは反対側の第2面とを備えたマニホールドと、第1面に隣接する第1層及び第2面に隣接する第2層であって、各々がポリマーフィルムを備える第1層及び第2層と、少なくとも第1面に隣接するポリマーフィルムにおける複数の流体制限部と、第1層と第2層との間の複数の結合部であって、マニホールドの分離可能な区画を画定する複数の結合部と、マニホールドに流体的に結合された陰圧源とを含むことができる。
【0013】
他の実施形態例は、組織部位を治療する方法に関することができる。いくつかの方法は、組織部位のサイズ及び形状のうちの少なくとも一方に基づいてドレッシングの分離可能な区画を切り取るステップと、組織部位を充填し又は覆うようにドレッシングを適用するステップと、組織部位に隣接する表皮にドレッシングを封止するステップと、ドレッシングを陰圧源に流体的に結合するステップと、陰圧源からドレッシングに陰圧を印加するステップとを含むことができる。
【0014】
請求項に係る主題を作成し使用する目的、利点及び好ましい形態は、例示的な実施形態の以下の詳細な説明と併せて添付図面を参照することにより最もよく理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本明細書による、陰圧治療を提供することができる治療システムの実施形態例の機能ブロック図である。
【
図2】
図2は、
図1の治療システムの実施形態例に関連付けることができるドレッシングの組立分解図である。
【
図3】
図3は、
図2のドレッシングのマニホールドの上面図である。
【
図5】
図5は、
図2のドレッシングのマニホールドの上面図である。
【
図6】
図6は、
図2のドレッシングのマニホールドの上面図である。
【
図7】
図7は、
図2のドレッシングのマニホールドの上面図である。
【
図8】
図8は、
図1の治療システムのドレッシングの実施形態例に関連付けることができるマニホールドの組立分解図である。
【
図9】
図9は、
図2のドレッシングのいくつかの実施形態に関連付けることができる、1つの層における流体制限部の構成例の概略図である。
【
図11】
図11は、いくつかの実施形態に関連付けることができるさらなる詳細を示す、別のドレッシング層の別の例の概略図である。
【
図12】
図12は、いくつかの実施形態に関連付けることができるさらなる詳細を示す、別のドレッシング層の別の例の概略図である。
【
図13】
図13は、いくつかの実施形態に関連付けることができるさらなる詳細を示す、別のドレッシング層の別の例の概略図である。
【
図14】
図14は、
図1の治療システムの実施形態例に関連付けることができるドレッシングの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施形態例の以下の説明は、当業者が、添付の特許請求の範囲に示す主題を作成し使用することを可能にする情報を提供するが、当技術分野においてすでに周知のいくつかの詳細は省略している場合がある。したがって、以下の詳細な説明は、限定的ではなく例示的なものとして解釈されるべきである。
【0017】
本明細書では、添付図面に示すさまざまな要素間の空間的な関係又はさまざまな要素の空間的な向きに関連して、実施形態例を記載している場合もある。概して、こうした関係又は向きは、処置を受けるために適所にある患者に一致するか又はそうした患者に対する基準系を想定する。しかしながら、当業者であれば認識されるはずであるように、この基準系は、厳密な規定ではなく、単に説明上の好都合な手段である。
【0018】
図1は、本明細書による、組織部位に対し局所処置溶液の滴下とともに陰圧療法を提供することができる治療システム100の実施形態例の簡易機能ブロック図である。
【0019】
この文脈において「組織部位」という用語は、限定されないが、表面創傷、骨組織、脂肪組織、筋組織、神経組織、皮膚組織、血管組織、結合組織、軟骨、腱又は靭帯を含む、組織上に又は組織内に位置する創傷、欠損又は他の処置標的を広く指す。「組織部位」という用語はまた、必ずしも創傷及び欠損していないが、代わりに、さらなる組織を追加するか又はその増殖を促進することが望ましい可能性がある領域である、任意の組織の領域を指す場合もある。たとえば、採取し移植することができるさらなる組織を増殖させるために、組織部位に陰圧を印加することができる。本明細書で用いる表面創傷は、表皮、真皮及び/又は皮下層に対する負傷又は損傷等、身体の外面に露出している身体の表面上の創傷である。表面創傷としては、たとえば、潰瘍又は閉鎖切開部を挙げることができる。本明細書で用いる表面創傷は、腹腔内の創傷は含まない。創傷としては、たとえば、慢性、急性、外傷性、亜急性及び離開した創傷、中間層熱傷、潰瘍(糖尿病潰瘍、圧迫潰瘍又は静脈不全潰瘍等)、弁及びグラフトを挙げることができる。
【0020】
治療システム100は、たとえば、陰圧源102等の陰圧の供給源又は供給部、ドレッシング104、容器106等の流体容器、及びコントローラ108等の調節器又はコントローラを含むことができる。さらに、治療システム100はセンサを含むことができ、センサは、動作パラメータを測定し、動作パラメータを示すフィードバック信号をコントローラ108に提供する。
図1に示すように、たとえば、治療システム100は、コントローラ108に結合された、圧力センサ110、電気センサ112又は両方を含むことができる。
図1の例に示すように、ドレッシング104は、いくつかの実施形態では、組織インタフェース114、カバー116又は両方を備えるか又はそうしたものから本質的に構成され得る。
【0021】
治療システム100はまた、滴下溶液の供給源も含むことができる。たとえば、溶液源118は、
図1の実施形態例に示すように、ドレッシング104に流体的に結合することができる。溶液源118は、いくつかの実施形態では、陽圧源120等の陽圧源、陰圧源102等の陰圧源又は両方に、流体的に結合することができる。組織部位への滴下溶液(たとえば、生理食塩水)の適切な投与量を確実にするために、滴下調節器122等の調節器もまた、溶液源118及びドレッシング104に流体的に結合することができる。たとえば、滴下調節器122はピストンを備えることができ、ピストンは、陰圧間隔中に溶液源から滴下溶液を引き出し、排出間隔中に溶液をドレッシングに滴下するように、陰圧源102によって空気圧式に作動させることができる。さらに又は別法として、コントローラ108は、組織部位への滴下溶液の投与量を制御するために、陰圧源102、陽圧源120又は両方に結合することができる。いくつかの実施形態では、滴下調節器122はまた、
図1の例に示すように、ドレッシング104を通して陰圧源102に流体的に結合することも可能である。
【0022】
治療システム100のいくつかの構成要素は、センサ、処理装置、アラームインジケータ、メモリ、データベース、ソフトウェア、表示装置、又は治療をさらに容易にするユーザインタフェース等、他の構成要素内に収容し、又は他の構成要素とともに使用することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、陰圧源102は、溶液源118、コントローラ108及び他の構成要素と結合して治療ユニットにすることができる。
【0023】
概して、治療システム100の構成要素は、直接結合される場合もあれば間接的に結合される場合もある。たとえば、陰圧源102は、容器106に直接結合することができ、容器106を通してドレッシング104に間接的に結合することができる。結合としては、文脈により、流体結合、機械的結合、熱的結合、電気的結合若しくは化学的結合(化学結合等)、又は結合の何らかの組合せも挙げることができる。たとえば、陰圧源102は、コントローラ108に電気的に結合することができ、且つ、組織部位に流体路を提供するように1つ又は複数の分配構成要素に流体的に結合することができる。いくつかの実施形態では、構成要素はまた、物理的に近接し、単一構造体に一体化されており、又は同じ材料片から形成されることによって、結合することも可能である。たとえば、組織インタフェース114及びカバー116は、互いに隣接して配置される別個の層とすることができ、いくつかの実施形態では互いに接合することができる。
【0024】
分配構成要素は、好ましくは着脱可能であり、使い捨て、再使用可能又はリサイクル可能であり得る。ドレッシング104及び容器106が、分配構成要素の実例である。流体伝導体が、分配構成要素の別の例示的な例である。この文脈における「流体伝導体」は、チューブ、パイプ、ホース、導管、又は、2つの端部の間で流体を搬送するように適合された1つ又は複数の内腔若しくは開放経路を備えた他の構造体を含む。通常、チューブは、幾分かの可撓性がある長尺状の円筒状構造体であるが、幾何学的形状及び剛性は変更することができる。さらに、いくつかの流体伝導体を他の構成要素内にはめ込むか又は他の構成要素と他の方法で一体的に結合することができる。分配構成要素はまた、他の構成要素の結合及び分離を容易にするインタフェース又は流体ポートも含むか又は備えることができる。いくつかの実施形態では、たとえば、ドレッシングインタフェースは、ドレッシング104への流体伝導体の結合を容易にすることができる。
【0025】
陰圧源102等の陰圧供給部は、陰圧での空気の貯蔵部であり得るか、又は、たとえば、真空ポンプ、吸引ポンプ、多くの医療施設で利用可能な壁面吸込みポート、又はマイクロポンプ等、手動又は電動式の装置であり得る。「陰圧」は、一般に、密閉された治療環境の外部の局所環境における周囲圧力等、局所的な周囲圧力を下回る圧力を指す。多くの場合、局所的な周囲圧力はまた、組織部位が位置する場所の大気圧でもあり得る。別法として、圧力は、組織部位における組織に関連する静水圧未満であり得る。別段の指示がない限り、本明細書で述べる圧力の値はゲージ圧である。陰圧の上昇と言及する場合、それは、一般に絶対圧の低下を指し、一方、陰圧の低下は、一般に絶対圧の上昇を指す。組織部位に印加される陰圧の量及び性質は、治療要件に従って変更することができるが、圧力は、概して、-5mmHg(-667Pa)~-500mmHg(-66.7kPa)の一般に低真空(rough vacuum)とも呼ばれる低真空(low vacuum)である。一般的な治療範囲は、-50mmHg(-6.7kPa)~-300mmHg(-39.9kPa)である。
【0026】
容器106は、組織部位から引き出される滲出物及び他の流体を管理するために使用することができる、容器、キャニスタ、パウチ又は他の貯蔵構成要素を表す。多くの環境では、流体の収集、貯蔵及び廃棄のために、剛性容器が好ましいか又は望まれる可能性がある。他の環境では、剛性容器貯蔵なしに流体を適切に廃棄することができ、再使用可能な容器が、陰圧療法に関連する廃棄物を低減させコストを削減ことができる。
【0027】
コントローラ108等のコントローラは、陰圧源102等、治療システム100の1つ又は複数の構成要素を動作させるようにプログラムされたマイクロプロセッサ又はコンピュータであり得る。いくつかの実施形態では、たとえば、コントローラ108はマイクロコントローラとすることができ、マイクロコントローラは、一般に、治療システム100の1つ又は複数の動作パラメータを直接又は間接的に制御するようにプログラムされた、プロセッサコア及びメモリを含む集積回路を備える。動作パラメータは、たとえば、陰圧源102に印加される電力、陰圧源102によって生成される圧力、又は組織インタフェース114に分配される圧力を含むことができる。コントローラ108はまた、好ましくは、フィードバック信号等の1つ又は複数の入力信号を受け取るように構成され、入力信号に基づいて1つ又は複数の動作パラメータを変更するようにプログラムされる。
【0028】
圧力センサ110又は電気センサ112等のセンサは、一般に、当技術分野において、物理現象又は特性を検出又は測定し、概して、検出又は測定される現象又は特性を示す信号を提供するように動作可能な、任意の装置として知られている。たとえば、圧力センサ110及び電気センサ112は、治療システム100の1つ又は複数の動作パラメータを測定するように構成することができる。いくつかの実施形態では、圧力センサ110は、空気圧経路における圧力を測定し、測定値を、測定された圧力を示す信号に変換するように構成された、トランスデューサであり得る。いくつかの実施形態では、たとえば、圧力センサ110は、ピエゾ抵抗ひずみゲージであり得る。電気センサ112は、任意選択的に、いくつかの実施形態では、電圧又は電流等、陰圧源102の動作パラメータを測定することができる。好ましくは、圧力センサ110及び電気センサ112からの信号は、コントローラ108への入力信号として好適であるが、いくつかの実施形態ではいくつかの信号調節が適切であり得る。たとえば、信号は、コントローラ108によって処理することが出来る前に、フィルタリングするか又は増幅させる必要がある場合がある。典型的には、信号は電気信号であるが、光信号等、他の形態で表すことができる。
【0029】
組織インタフェース114は、概して、組織部位と部分的に又は完全に接触するように適合させることができる。組織インタフェース114は、実施されている治療のタイプ又は組織部位の性質及びサイズ等、種々の要素に応じて、多くの形態をとることができ、且つ多くのサイズ、形状又は厚さを有することができる。たとえば、組織インタフェース114のサイズ及び形状は、深く且つ不規則な形状の組織部位の輪郭に適合させることができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、カバー116は、細菌バリア及び身体的外傷からの保護を提供することができる。カバー116はまた、蒸発損失を低減させ、2つの構成要素、又は治療環境と局所外部環境との間等、2つの環境の間に流体シールを提供することができる材料から、構成することも可能である。カバー116は、たとえば、所与の陰圧源に対して組織部位において陰圧を維持するのに適切なシールを提供することができる、エラストマーフィルム又は膜であり得る。カバー116は、いくつかの応用では、高水蒸気透過率(MVTR)を有することができる。たとえば、MVTRは、いくつかの実施形態では、24時間あたり少なくとも300g/m2であり得る。いくつかの実施形態例では、カバー116は、水蒸気には透過性であるが液体には不透過性である、ポリウレタンフィルム等のポリマードレープであり得る。こうしたドレープは、通常、25~50ミクロンの範囲の厚さを有する。透過性材料の場合、透過率は、概して、所望の陰圧を維持することができるのに十分低くなければならない。
【0031】
カバー116は、たとえば、以下の材料のうちの1つ又は複数を含むことができる。すなわち、親水性ポリウレタン、セルロース誘導体、親水性ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、親水性アクリル樹脂、親水性シリコーンエラストマー、たとえば、14400g/m2/24時間のMVTR(逆カップ技法)と約30ミクロンの厚さとを有する、Wrexham、United KingdomのCoveris Advanced CoatingsのINSPIRE2301材料、薄いコーティングされていないポリマードレープ、天然ゴム、ポリイソプレン、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリブタジエン、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマー、クロロスルホン化ポリエチレン、多硫化ゴム、ポリウレタン(PU)、EVAフィルム、コポリエステル、シリコーン、シリコーンドレープ、3M Tegaderm(登録商標)ドレープ、Glendale、CaliforniaのAvery Dennison Corporationから入手可能なもの等のポリウレタン(PU)ドレープ、たとえばFranceのArkemaのポリエーテルブロックポリアミドコポリマー(PEBAX)、INSPIRE2327、又は他の適切な材料である。
【0032】
取付デバイスを使用して、無傷の表皮、ガスケット又は別のカバー等の取付面に、カバー116を取り付けることができる。取付デバイスは、多くの形態をとることができる。たとえば、取付デバイスは、組織部位の周囲の表皮にカバー116を接着するように構成された、医学的に許容可能な感圧接着剤であり得る。いくつかの実施形態では、たとえば、カバー116の一部又はすべてを、25~65グラム/平方メートル(g.s.m.)の付着量を有することができるアクリル接着剤等の接着剤でコーティングすることができる。いくつかの実施形態では、密閉性を向上させ漏れを低減させるように、より厚い接着剤、又は接着剤の組合せを付与することができる。取付デバイスの他の実施形態例としては、両面テープ、糊、親水コロイド、ヒドロゲル、シリコーンゲル又はオルガノゲルを挙げることができる。
【0033】
溶液源118はまた、滴下療法のための溶液を提供することができる、容器、キャニスタ、パウチ、バッグ又は他の貯蔵構成要素も表すことができる。溶液の組成は、指示される療法に従って変更することができるが、いくつかの指示に対して好適であり得る溶液の例としては、次亜塩素酸塩系溶液、硝酸銀(0.5%)、硫黄系溶液、ビグアニド、陽イオン溶液及び等張液が挙げられる。
【0034】
密閉された治療環境内等、別の構成要素又は場所において減圧するために陰圧源を使用する流体力学は、数学的に複雑である可能性がある。しかしながら、陰圧療法及び滴下に適用可能な流体力学の基本原理は、一般に、当業者には周知であり、本明細書では、減圧するプロセスは、たとえば、陰圧を「送達する」、「分配する」又は「発生させる」として例示的に記載するものとする。
【0035】
概して、滲出物及び他の流体は、流体路に沿って圧力の低い方に向かって流れる。したがって、「下流」という用語は、通常、流体路において、相対的に陰圧源により近いか又は陽圧源からより離れることを意味する。逆に、「上流」という用語は、相対的に陰圧源からより離れるか又は陽圧源により近いことを意味する。同様に、こうした基準系における流体「入口」又は「出口」に関していくつかの特徴を記載することが好都合である場合がある。この向きは、概して、本明細書におけるさまざまな特徴及び構成要素を説明する目的で想定されている。しかしながら、流体路は、いくつかの応用では(陰圧源の代わりに陽圧源を用いること等により)反転させることも可能であり、この説明的な慣例は限定的な慣例として解釈されるべきではない。
【0036】
図2は、
図1のドレッシング104の例の組立図であり、組織インタフェース114が分離可能な区画を備えるいくつかの実施形態に関連付けることができるさらなる詳細を示す。
図2の例では、組織インタフェース114は、継目210によって境界を定めることができる1つ又は複数のインタフェース区画205を備える。インタフェース区画205の各々は、マニホールド区画215を含むことができる。いくつかの例では、継目210は、マニホールド区画215の間に形成することができ、又は、マニホールド区画215を画定することができる。
【0037】
マニホールド区画215は、いくつかの実施形態では、フォームを備えるか又はフォームから構成され得る。たとえば、フォームは、網状フォーム等の連続気泡フォームであり得る。フォームはまた、ドレッシングの流体保持容量を低減させるように比較的薄く且つ疎水性とすることも可能であり、それにより、滲出物及び他の流体が外部貯蔵場所に迅速に進むのを促進することができる。フォーム層はまた、ドレッシングの厚さを低減させ且つ可撓性を増大させるように薄くすることも可能であり、それにより、ドレッシングが陰圧下で創傷床及び他の組織部位に沿うのを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、マニホールド区画215は、3次元テキスタイル、不織布ウィッキング材料、真空成形テクスチャ面及びそれらの複合材から形成することができる。多くの治療応用に対して、7ミリメートル未満の厚さと少なくとも90%の自由体積とを有する疎水性マニホールドが好適であり得る。いくつかの実施形態では、マニホールド区画215は、着色された材料から形成することができる。マニホールド区画215の各々は、同じ色又は異なる色であり得る。
【0038】
図2の例に示すように、組織インタフェース114は、1つ又は複数の流体制限部220を有することができ、流体制限部220は、組織インタフェース114にわたって均一に又はランダムに分散させることができる。流体制限部220は、双方向であり且つ圧力応答型であり得る。たとえば、流体制限部220の各々は、概して、液体流を実質的に低減させるように通常は歪んでいない弾性通路を備えるか又はそうした弾性通路から本質的に構成することができ、圧力勾配に応答して拡張又は開放することができる。流体制限部220は、マニホールド区画215と同一の広がりを有することができる。
【0039】
たとえば、流体制限部220のいくつかの実施形態は、1つ若しくは複数のスリット、スロット、又はスリット及びスロットの組合せを備えるか又はそうしたものから本質的に構成され得る。いくつかの例では、流体制限部220は、4ミリメートル未満の長さと1ミリメートル未満の幅とを有する直線状スロットを備えるか又はそうした直線状スロットから構成され得る。いくつかの実施形態では、長さは少なくとも2ミリメートルとすることができ、幅は少なくとも0.4ミリメートルとすることができる。約3ミリメートルの長さ及び約0.8ミリメートルの幅が、多くの応用に対して特に好適である可能性があり、約0.1ミリメートルの許容差もまた許容可能であり得る。こうした寸法及び許容差は、たとえば、レーザカッタを用いて達成することができる。いくつかの実施形態では、流体制限部220は、超音波又は他の加熱手段によって形成することができる。こうした構成のスロットは、通常は閉鎖した又は休止状態で液体流を実質的に低減させる不完全な弁として機能することができる。たとえば、こうしたスロットは、完全に閉鎖又は封止されることなく流体制限部を形成することができる。スロットは、圧力勾配に応答してより広く拡張又は開放して、液体流の増大を可能にすることができる。
【0040】
図2の例に示すように、いくつかの実施形態では、ドレッシング104は、使用の前にカバー116の一部の上の任意選択的な接着剤を保護するためにリリースライナ245を含むことができる。リリースライナ245はまた、たとえばドレッシング104の展開に役立つスチフネスも提供することができる。リリースライナ245は、たとえば、工程紙、フィルム又はポリエチレンであり得る。さらに、いくつかの実施形態では、リリースライナ245は、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル材料、又は同様の極性半結晶性ポリマーであり得る。リリースライナ245に対する極性半結晶ポリマーの使用により、ドレッシング104のしわ又は他の変形を実質的に排除することができる。たとえば、極性半結晶性ポリマーは、高配向性であり、ドレッシング104の構成要素と接触したとき、又は温度若しくは環境の変動又は滅菌を受けたときに発生する可能性がある軟化、膨張又は他の変形に耐性があり得る。さらに、リリースライナ245の、組織インタフェース114と接触するように構成される側に、剥離剤を配置することができる。たとえば、剥離剤は、シリコーンコーティングとすることができ、手による、ドレッシング104に損傷を与えることもドレッシング104を変形させることもない、リリースライナ245の除去を、容易にするのに好適な剥離因子を有することができる。いくつかの実施形態では、剥離剤は、たとえば、フルオロカーボン又はフルオロシリコーンであり得る。他の実施形態では、リリースライナ245は、コーティングされず、又は他の方法で剥離剤なしに使用することができる。
【0041】
図2はまた、流体伝導体250及びドレッシングインタフェース255の一例も示す。
図2の例に示すように、流体伝導体250は、一端においてドレッシングインタフェース255に流体的に結合することができる可撓性チューブであり得る。ドレッシングインタフェース255は、
図2の例に示すように、流体伝導体250と組織インタフェース114との間に流体路を提供するようにカバー116のアパーチャ260の上に配置することができる、エルボコネクタであり得る。
【0042】
図3は、
図2の組織インタフェース114の上面図であり、いくつかの例に関連付けることができるさらなる詳細を示す。インタフェース区画205の各々におけるマニホールド区画215は、同じ形状又は異なる形状を有することができる。
図3の例に示すように、インタフェース区画205及びマニホールド区画215は、同様の形状を有することができる。いくつかの実施形態では、インタフェース区画205及びマニホールド区画215の各々は、
図3の例における略正方形状等、モザイク形状を有することができ、各辺は、約10mm~約30mm(たとえば、約15mm~約25mm又は約18mm~約22mm)の範囲の長さを有する。たとえば、マニホールド区画215は、約20mm×約20mmの寸法を有する正方形であり得る。
【0043】
継目210の各々は、約2mm~約5mmの範囲の幅Wを有することができ、マニホールド区画215のいかなる部分も露出させることなく、インタフェース区画205が継目210に沿って分離されるのを可能にするのに、十分広い幅であり得る。
【0044】
図4は、線4-4に沿った
図3の組織インタフェース114の断面図であり、いくつかの実施形態に関連付けることができるさらなる詳細を示す。
図4の例では、組織インタフェース114は、第1層405と、第2層410と、第1層405と第2層410との間に配置されたマニホールド区画215とを備える。いくつかの実施形態では、
図4の例に示すように、第1層405及び第2層410は、マニホールド区画215に隣接して配置することができる。また
図4の例に示すように、継目210は、第1層405と第2層410との間の1つ又は複数の結合部によって形成することができる。結合部は、連続的又は不連続であり得る。
【0045】
第1層405及び第2層410は、流体流を制御若しくは管理する手段を備えるか又はそうした手段から本質的に構成され得る。いくつかの実施形態では、第1層405及び第2層410は、液体に対して不透過性であるエラストマー材料を備えるか又はそうしたエラストマー材料から本質的に構成され得る。たとえば、第1層405及び第2層410は、ポリマーフィルムを備えるか又はポリマーフィルムから本質的に構成され得る。いくつかの実施形態では、第1層405及び第2層410はまた、平滑又は艶消しの表面性状も有することができる。いくつかの応用に対して、SPI(米国プラスチック産業協会)標準規格による等級B3より優れた又はそれに等しい艶出し又は光沢仕上げが特に有利であり得る。いくつかの実施形態では、表面高さのばらつきを許容可能な許容差に制限することができる。たとえば、第2層の表面は、実質的に平坦な面を有することができ、高さのばらつきが1センチメートルに対して0.2ミリメートルに制限される。
【0046】
いくつかの実施形態では、第1層405及び第2層410は、疎水性材料を含むか又は疎水性材料から本質的に構成され得る。疎水性は、変更することができ、いくつかの実施形態では少なくとも90度の水接触角を有することができる。いくつかの実施形態では、疎水性材料は、150度以下の水接触角を有することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、疎水性材料の接触角は、少なくとも90度~約120度の範囲、又は、少なくとも120度~150度の範囲であり得る。水接触角は、任意の標準装置を使用して測定することができる。接触角を視覚的に近似するために手動のゴニオメータを使用することができるが、接触角測定器具は、多くの場合、特に、水平ステージ、シリンジ等の液体滴下器、カメラ、及び接触角をより正確に且つ精密に計算するように設計されたソフトウェアを必要とする一体化システムを含む可能性がある。こうした一体化システムの非限定的な例としては、すべてPortsmouth、VAのFirst Ten Angstroms、Inc.,から市販されているFTÅ125、FTÅ200、FTÅ2000及びFTÅ4000システムと、すべてHamburg、GermanyのKruss GmbHから市販されているDTA25、DTA30及びDTA100システムとを挙げることができる。別段の指定がない限り、本明細書における水接触角は、20~25℃及び20~50%の相対湿度の空気中で5cm以下の高さから追加された静滴に対して、水平サンプル面上の脱イオン・蒸留水を使用して測定される。本明細書で報告する接触角は、最高測定値及び最低測定値をともに捨てた、5~9の測定値の平均を表す。第1層405、第2層410又は両方の疎水性は、液体からコーティングされるか又はプラズマコーティングされるものとして、シリコーン及びフルオロカーボン等の他の材料の疎水性コーティングによってさらに強化することができる。
【0047】
第1層405及び第2層410は、互いを含む他の層に結合するためにも好適であり得る。たとえば、第1層405、第2層410又は両方は、熱、高周波(RF)溶接、又は超音波溶接等、熱を発生させる他の方法を使用して、ポリウレタンフォームに溶接されるように適合させることができる。ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル及びアクリル酸塩等、より極性の高い材料に対して、RF溶接は特に好適であり得る。ポリエチレン等のより極性の低いフィルム材料のRF溶接を容易にするために、犠牲極性インタフェースを使用することができる。第1層405及び第2層410は、ホットメルトフィルムを含むことができる。
【0048】
第1層405及び第2層410の面密度は、指示される療法又は応用に従って変更することができる。いくつかの実施形態では、40グラム/平方メートル未満の面密度が好適である可能性があり、いくつかの応用に対して、約20~30グラム/平方メートルの面密度が特に有利であり得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、たとえば、第1層405、第2層410又は両方は、ポリエチレンフィルム等の疎水性ポリマーを含むか又はそうした疎水性ポリマーから構成され得る。ポリエチレンの単純且つ不活性構造は、生体組織及び流体とあるとしてもごくわずかに相互作用する面を提供し、液体の自由な流れと低い付着力とを促進することができる表面を提供することができ、これは、多くの応用に対して特に有利であり得る。他の好適なポリマーフィルムとしては、ポリウレタン、アクリル樹脂、ポリオレフィン(環状オレフィンコポリマー等)、ポリアセテート、ポリアミド、ポリエステル、コポリエステル、PEBAXブロックコポリマー、熱可塑性エラストマー、熱可塑性加硫物、ポリエーテル、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリカーボネート、スチレン系、シリコーン、フルオロポリマー及びアセテートが挙げられる。多くの応用に対して、20ミクロン~100ミクロンの厚さが好適であり得る。フィルムは、透明であるか、着色されているか、又は印刷されている場合がある。ポリエチレンフィルムに貼り合わせるために好適なより極性の高いフィルムとしては、ポリアミド、コポリエステル、イオノマー及びアクリル樹脂が挙げられる。ポリエチレンと極性フィルムとの間の接合に役立つために、エチレンビニルアセテート又は変性ポリウレタン等の結合層を使用することができる。エチルメチルアクリレート(EMA)フィルムもまた、いくつかの構成に対して好適な疎水性及び溶接特性を有することができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、流体制限部220は、第1層405及び第2層410のうちの少なくとも一方に穿孔を備えるか又は穿孔から本質的に構成され得る。穿孔は、第1層405、第2層410又は両方から材料を除去することによって形成することができる。たとえば、穿孔は、材料を切り込むことによって形成することができ、そうした切込みにより、いくつかの実施形態では、穿孔の縁も変形させることができる。穿孔にわたって圧力勾配がない場合、通路は、シール又は流体制限を形成するのに十分小さくすることができ、それにより、液体流を実質的に低減させるか又は防止することができる。さらに又は別法として、流体制限部220のうちの1つ又は複数はエラストマー弁とすることができ、それは、歪んでいないときは液体流を実質的に防止するために通常閉鎖されており、圧力勾配に応じて開放することができる。いくつかの応用に対して、材料における開窓が、好適な弁であり得る。開窓もまた、材料を除去することによって形成することができるが、除去される材料の量と開窓の結果としての寸法とは、穿孔より桁が小さいものとすることができ、縁を変形させる可能性はない。いくつかの実施形態では、流体制限部220は、第1層405及び第2層410の両方を通って延在し、流体制限部220は、第1層405及び第2層410のうちの少なくとも一方と同一の広がりを有する。
【0051】
マニホールド区画215の各々は、約10mm~約30mm(たとえば、約15mm~約25mm又は約18mm~約22mm)の範囲であり得る長さL1を有する。たとえば、マニホールド区画215の各々は、約20mmの長さを有することができる。いくつかの実施形態では、マニホールド区画215は、約5mm~約15mmの距離D1によって間隔を空けて配置することができる。たとえば、いくつかの実施形態に対して、約10mmの距離D1が特に有利であり得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、組織インタフェース114におけるマニホールド区画215の各々は同じサイズであり得る。他の実施形態では、組織インタフェース114におけるマニホールド区画215のうちの1つ又は複数は、異なるサイズを有することができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、組織インタフェース114は、約5mm~約20mm(たとえば、約8mm~約18mm又は約10mm~約15mm)の範囲の厚さT1を有する。たとえば、組織インタフェース114は、約8mmの厚さT1を有することができる。組織インタフェース114の厚さT1は、組織インタフェース114を形成するために使用されるマニホールド区画215の厚さに応じて変更することができる。たとえば、マニホールド区画215の各々は、約5mm~約15mm(たとえば、約8mm~約12mm)の範囲の厚さを有することができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、第1層405及び第2層410は、継目210に沿ってインタフェース区画205を切り離すのに役立つように透明ポリマーから形成することができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、組織インタフェース114は、マニホールド区画215を、間隔を空けて配置し、マニホールド区画215の上にポリマーフィルムの第1層405を配置し、マニホールド区画215の下に第2層410を配置し、第2層410に第1層405を結合し、マニホールド区画215の間に継目210を形成することによって、形成することができる。第1層405を第2層410に結合するために好適な手段としては、たとえば、アクリル樹脂等の接着剤、及び熱、高周波(RF)又は超音波溶接等の溶接を挙げることができる。いくつかの実施形態では、溶接を容易にするために、第1層405と第2層410との間に犠牲材料を配置することができる。好適な犠牲材料としては、たとえば、Bayerによって提供されるホットメルトフィルム(H2、HU2及びH5フィルム等)、Corneliusによって提供されるホットメルトフィルム(Collanoフィルム)又はProchimirによって提供されるホットメルトフィルム(TC203又はTC206フィルム等)を挙げることができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、マニホールド区画は、フォーム等の一体型マニホールド材料から形成することができる。いくつかの実施形態では、たとえば、第1層405と第2層410との間の結合部が、マニホールド材料の層を通って延在して、マニホールド区画215を画定することができる。たとえば、マニホールド層のいくつかの実施形態は、約5mm~約8mmの範囲の厚さを有することができ、第1層405の及び第2層410のうちの少なくとも一方は、溶接中にマニホールド層を通って溶融して継目210を形成することができる。
【0057】
さらに又は別法として、単体マニホールド材料を穿孔して切断して、種々の好適な形状及びパターンでマニホールド区画215を画定することができる。いくつかの実施形態では、継目210は、マニホールド区画215の間の穿孔と整列することができる。いくつかの例では、マニホールド区画215を合わせて単一ユニットとして維持するために、マニホールド区画215の間に犠牲接合部を残すことができる。マニホールド区画215を単一ユニットとして維持することにより、組織インタフェース114のより容易な組立を可能にすることができる。いくつかの実施形態では、さらなる安定性のために、第1層405及び第2層410のうちのいずれか又は両方をマニホールド区画215に結合することも可能である。
【0058】
図5は、組織インタフェース114の別の例の上面図であり、いくつかの実施形態に関連付けることができるさらなる詳細を示す。
図5の例では、インタフェース区画205は略三角形状を有する。いくつかの実施形態では、インタフェース区画205内のマニホールド区画215もまた、略三角形状を有する。三角形状は、たとえば、正三角形、二等辺三角形又は不等辺三角形であり得る。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の犠牲接合部500が、マニホールド区画215を合わせて結合することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、フォーム等のマニホールド材料は、マニホールド区画215を形成し、マニホールド区画215の間に犠牲接合部500を残すような形状とし、且つそのように穿孔することができる。
図5の例では、犠牲接合部500は、略三角形状を有することができる拡張部505を備える。
図5の拡張部505は、共通の頂点で接合されており、それにより、インタフェース区画205が分離される場合にマニホールド材料のあり得る露出を最小限にすることができる。インタフェース区画205の間に継目210を形成するように、拡張部505の周囲に且つ/又は拡張部505を通って、第2層410に第1層405を結合することができる。
【0059】
いくつかの実施形態例では、組織インタフェース114は、略六角形状を有することができる。組織インタフェース114の1つ又は複数の側面は、同じ長さ又は異なる長さを有することができる。
【0060】
組織インタフェース114は、
図5の例に示すように、8つのインタフェース区画205を含むことができる。いくつかの実施形態では、組織インタフェース114は、インタフェース区画205の各々の寸法に応じて、1つ又は複数のインタフェース区画205を含むことができる。
【0061】
図6は、組織インタフェース114の別の例の上面図であり、いくつかの実施形態に関連付けることができるさらなる詳細を示す。
図6の例では、組織インタフェース114は略正方形状を有し、組織インタフェース114におけるインタフェース区画205の各々は略三角形状を有する。
図6の組織インタフェース114は、8つのインタフェース区画205を含む。
【0062】
図7は、組織インタフェース114の別の例の上面図であり、いくつかの実施形態に関連付けることができるさらなる詳細を示す。
図7の例では、インタフェース区画205は略正方形状を有する。マニホールド区画215の各々もまた略正方形状を有し、犠牲接合部500によって隣接するマニホールド区画215に取り付けることができる。
図7の組織インタフェース114は、9つのインタフェース区画205を含む。
【0063】
他の実施形態では、組織インタフェース114は、より多いか又は少ないインタフェース区画205を含むことができる。インタフェース区画205の各々は、異なるサイズ又は同じサイズを有することができる。インタフェース区画205の各々は、同じ形状又は異なる形状を有することができる。たとえば、インタフェース区画205は、約20ミリメートルを超えない辺を有することができ、約400平方ミリメートル未満の面積を有する、等辺多角形の形態であり得る。
【0064】
図8は、
図1の組織インタフェース114の別の例の組立図である。
図8の例では、組織インタフェース114は、第1層405、第2層410、マニホールド区画215、第3層802及び第4層804を含む。
【0065】
第3層802、第4層804又は両方は、組織部位との流体シールを提供するために好適な軟質の柔軟な材料を含むか又はそうした材料から本質的に構成することができ、実質的に平坦な面を有することができる。第3層802、第4層804又は両方は、封止層であり得る。いくつかの実施形態では、第3層802、第4層804又は両方はまた、接着性でもあり得る。たとえば、第3層802は、限定なしに、シリコーンゲル、軟質シリコーン、親水コロイド、ヒドロゲル、ポリウレタンゲル、ポリオレフィンゲル、水素化スチレンコポリマーゲル、発泡ゲル、接着剤、ポリウレタン、ポリオレフィン又は水素化スチレンコポリマーでコーティングされた、ポリウレタン及びポリオレフィン等の軟質独立気泡フォームを含むことができる。いくつかの応用に対して、約100g.s.m.~約150g.s.m.の付着量を有するシリコーンゲルが好適であり得る。いくつかの実施形態では、第3層802、第4層804又は両方は、約200ミクロン(μm)~約1000ミクロン(μm)の厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、第3層802、第4層804又は両方は、約5ショアOO~約80ショアOOの硬度を有することができる。さらに、第3層802、第4層804又は両方は、疎水性又は親水性材料から構成することができる。
【0066】
いくつかの実施形態では、第3層802、第4層804又は両方は、疎水性のコーティングされた材料であり得る。たとえば、いずれか又は両方は、たとえば織布、不織布、成形又は押出メッシュ等の間隔の空いた材料を疎水性材料でコーティングすることによって形成することができる。コーティングのための疎水性材料は、たとえば、軟質シリコーンであり得る。
【0067】
第3層802、第4層804又は両方は、内側部分808を包囲するか又はその周囲の周縁部806と、周縁部806及び/又は内側部分808を通って配置されたアパーチャ810とを有することができる。内側部分808は、いくつかの例では、第1層405又は第2層410の表面領域に対応することができる。内側部分808の周囲において、内側部分808と周縁部806との間に、内側境界部812を配置することができる。
図8の例に示すように、内側境界部812には、実質的にアパーチャ810がないものとすることができる。いくつかの例では、
図8に示すように、内側部分808は、対称であり且つ中心に配置され得る。
【0068】
アパーチャ810は、たとえば、切断により、若しくは局所RF若しくは超音波エネルギーの印加により、又は、開口部を形成するための他の好適な技法により、形成することができる。アパーチャ810は、均一分布パターンを有することができ、又は第3層802、第4層804又は両方の上でランダムに分散させることができる。アパーチャ810は、たとえば、円形、正方形、星形、卵形、多角形、スリット、複雑な曲線、直線形状、三角形を含む、多くの形状を有することができ、又はこうした形状の何らかの組合せを有することができる。
【0069】
アパーチャ810の各々は、一様の又は同様の幾何学的特性を有することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、アパーチャ810の各々は、実質的に同じ直径を有する円形アパーチャであり得る。いくつかの実施形態では、アパーチャ810の各々の直径は、約1ミリメートル~約50ミリメートルであり得る。他の実施形態では、アパーチャ810の各々の直径は、約1ミリメートル~約20ミリメートルの範囲であり得る。
【0070】
他の実施形態では、アパーチャ810の幾何学的特性は変更することができる。たとえば、アパーチャ810の位置に応じて、アパーチャ810の直径を変更することができる。いくつかの実施形態では、周縁部806におけるアパーチャ810の直径は、内側部分808におけるアパーチャ810の直径より大きくすることができる。たとえば、いくつかの実施形態では、周縁部806に配置されたアパーチャ810は、約9.8ミリメートル~約10.2ミリメートルの範囲の直径を有することができる。いくつかの実施形態では、角部に配置されたアパーチャ810は、約7.75ミリメートル~約8.75ミリメートルの範囲の直径を有することができる。いくつかの実施形態では、内側部分808に配置されたアパーチャ810は、約1.8ミリメートル~約2.2ミリメートルの範囲の直径を有することができる。
【0071】
周縁部806におけるアパーチャ810のうちの少なくとも1つは、周縁部806の縁部に位置決めすることができ、縁部と横方向に流体連通している、縁部において開放した又は露出された内部切取部を有することができる。
図8の例に示すように、周縁部806におけるアパーチャ810は、縁部に近接して又は縁部に、縁部と横方向に流体連通して位置決めすることができる。縁部に近接して又は縁部に位置決めされたアパーチャ810は、
図8の例に示すように周縁部806にわたって実質的に等距離に間隔を空けて配置することができる。別法として、縁部に近接する又は縁部におけるアパーチャ810の間隔は、不規則であり得る。
【0072】
図9は、アパーチャ810の構成例の概略図であり、第3層802、第4層804又は両方のいくつかの実施形態に関連付けることができるさらなる詳細を示す。
【0073】
いくつかの実施形態では、アパーチャ810は、行、列、又は行及び列の格子で配置することができる。アパーチャ810は、いくつかの実施形態では、ずれている場合がある。たとえば、
図9に示すように、1つの行におけるアパーチャ810は、隣接する行におけるアパーチャ810からずれている場合があり、1つの列におけるアパーチャは、隣接する列におけるアパーチャからずれている場合がある。他の実施形態では、行又は列におけるアパーチャ810は、整列している場合がある。アパーチャ810のパターンは、いくつかの構成では実質的に均一であり得る。各行及び列内で、たとえば、アパーチャ810は、互いに等距離であり得る。
図9は、多くの応用に対して特に好適であり得る1つの構成例を示し、そこでは、アパーチャ810は、3ミリメートルずれて、各行及び列に沿って約6ミリメートル間隔を空けて配置されている。
図9の内側部分808におけるアパーチャ810は、約2.0mmの直径を有する。いくつかの実施形態では、アパーチャ810のパターンは不均一である。
【0074】
図10は、流体制限部220の構成例の上に重ね合わされた
図9のアパーチャ810の構成例の概略図であり、組織インタフェース114のいくつかの実施形態例に関連付けることができるさらなる詳細を示す。たとえば、
図10に示すように、幾つかの実施形態では、流体制限部220は、アパーチャ810の少なくともいくつかと整列し、アパーチャ810の少なくともいくつかにオーバーラップし、アパーチャ810の少なくともいくつかと位置合わせされ、又は他の方法でアパーチャ810の少なくともいくつかに流体結合することができる。いくつかの実施形態では、流体制限部220のうちの1つ又は複数は、内側部分808においてのみアパーチャ810と位置合わせするか、又はアパーチャ810と部分的にのみ位置合わせすることができる。
図10の例における流体制限部220は、概して、流体制限部220の各々がアパーチャ810のうちの1つのみと位置合わせされるように構成される。他の例では、流体制限部220のうちの1つ又は複数は、アパーチャ810のうちの2つ以上と位置合わせすることができる。たとえば、流体制限部220のうちの任意の1つ又は複数は、アパーチャ810のうちの2つ以上にわたって延在する穿孔又は開窓であり得る。さらに又は別法として、流体制限部220のうちの1つ又は複数は、アパーチャ810のうちの任意のものと位置合わせされない場合もある。
【0075】
図11は、第3層802の別の例の概略図であり、いくつかの実施形態に関連付けることができるさらなる詳細を示す。
図11の例に示すように、第3層802は、内側部分808におけるアパーチャ810の代わりに又はそれに加えて、弁1100等、1つ又は複数の流体制限部を有することができる。弁1100はエラストマーであり得る。
【0076】
図12及び
図13は、弁1100の他の構成例を示し、そこでは、弁1100は、各々、概して、交差スリット又は十字スリットの組合せを備える。
図12に示す実施形態では、弁1100は、概して、「Y」字形状を有する。
図13に示すいくつかの実施形態では、弁1100は、概して十字又はプラス形状を有する。
【0077】
図14は、
図1の治療システムのいくつかの実施形態に関連付けることができる組織インタフェース114の別の例の概略断面図である。いくつかの実施形態では、
図14に示すように、組織インタフェース114は、第1マニホールド層1405及び第2マニホールド層1410を含むことができる。第1マニホールド層1405は、中間層1400によって第2マニホールド層1410から分離することができる。いくつかの実施形態では、中間層1400は、ポリマーフィルムを含むか又はポリマーフィルムから本質的に構成され得る。
図14の例に示すように、第1層405は、中間層1400とは反対側で、第1マニホールド層1405に隣接して配置することができる。第2層410は、中間層1400とは反対側で、第2マニホールド層1410に隣接して配置することができる。第1層405及び第2層410は、いくつかの実施形態では、第1マニホールド層1405、第2マニホールド層1410及び中間層1400を封入することができる。第1マニホールド層1405及び第2マニホールド層1410の各々においてマニホールド区画215を封入するか又は形成するために、第1層405、第2層410及び中間層1400の間に継目210を形成することができる。いくつかの実施形態では、マニホールド区画215のさらなる層及び中間層1400と同様の中間層もまた含めることができる。流体制限部220は、第1層405及び第2層410の各々を通って延在することができる。
【0078】
いくつかの実施形態では、組織部位を治療する方法は、治療されている組織部位のサイズ及び形状のうちの少なくとも一方に基づいてドレッシングの分離可能な区画を切り取ることを含むことができる。本方法はまた、組織部位を充填し且つ/又は覆うようにドレッシングを適用することと、組織部位に隣接する表皮にドレッシングを封止することとを含むことができる。本方法は、ドレッシングを陰圧源に流体的に結合することと、陰圧源からドレッシングに陰圧を印加することとをさらに含むことができる。
【0079】
いくつかの実施形態では、分離可能な区画を切り取ることは、分離可能な区画の間の継目又はシールを切断することを含むことができる。いくつかの構成では、分離可能な区画は、ドレッシング内部のマニホールド区画を露出させることなく切り取ることができる。
【0080】
本明細書に記載したシステム、装置及び方法は、著しい利点を提供することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、継目210は、所望のサイズ及び形状を有する組織インタフェース114を得るように、インタフェース区画205が切り離されるか又は他の方法で分離されるのを可能にするのに十分広い幅であり得る。たとえば、組織インタフェース114は、インタフェース区画205を分離することにより深い且つ/又は不規則な創傷を充填するようなサイズ及び形状とすることができる。さらに、ドレッシング104のいくつかの実施形態は、約3~約10日間(たとえば、約7日間)使用に耐えることができる。
【0081】
いくつかの例示的な実施形態で示したが、当業者は、本明細書に記載したシステム、装置及び方法が、添付の請求項の範囲内にあるさまざまな変形及び変更が可能であることを理解するであろう。さらに、「又は」等の用語を使用するさまざまな代替例の記載は、文脈から明らかに必要でない限り、相互排他性を必要とせず、「1つの(a)」又は「1つの(an)」という冠詞は、文脈から明らかに必要でない限り、対象を単一の例に限定するものではない。販売、製造、組立又は使用の目的で、構成要素をさまざまな構成で組み合わせるか又は除去することも可能である。たとえば、いくつかの構成では、ドレッシング102、容器112又は両方を、製造又は販売のために他の構成要素から除去又は分離することができる。他の構成例では、コントローラ108はまた、他の構成要素から、独立して製造し、構成し、組み立て又は販売することも可能である。
【0082】
添付の特許請求の範囲は、上述した主題の新規性のある且つ進歩性のある態様を示すが、具体的に詳細に記載していないさらなる主題も包含することができる。たとえば、当業者には既知であることから新規性のある且つ進歩性のある特徴を識別するために必要ではない場合、いくつかの特徴、要素又は態様を特許請求の範囲から省略している場合がある。いくつかの実施形態に関連して記載した特徴、要素及び態様はまた、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、省略するか、組み合わせるか、又は、同じ、等価の若しくは同様の目的にかなう代替的な特徴と置き換えることも可能である。