(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-19
(45)【発行日】2023-07-27
(54)【発明の名称】地山探査装置および地山探査方法
(51)【国際特許分類】
E21D 9/06 20060101AFI20230720BHJP
G01V 1/00 20060101ALI20230720BHJP
G01S 15/10 20060101ALI20230720BHJP
【FI】
E21D9/06 301Z
G01V1/00 Z
G01S15/10
(21)【出願番号】P 2020031173
(22)【出願日】2020-02-27
【審査請求日】2022-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】志田 智之
(72)【発明者】
【氏名】田村 憲
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-128583(JP,U)
【文献】実開平04-122795(JP,U)
【文献】特開2013-057176(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 9/06
G01V 1/00
G01S 15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シールドマシンから地山に向けて水を噴射する水流発生装置と、
前記シールドマシンから地山に向けて超音波を発する超音波センサーと、
前記シールドマシンのスキンプレートに設けられたシャッター装置と、を備える地山探査装置であって、
前記シャッター装置は、前記スキンプレートに形成された開口部を遮蔽する土台と、前記土台の内面に沿って摺動するシャッター部と、前記シャッター部に設けられた蓋材と、を備えており、
前記土台には、第一噴射用孔が貫通していて、
前記シャッター部には、第二噴射用孔と蓋材用孔とが形成されており、
前記水流発生装置は、前記第二噴射用孔の内空側に接続されていて、前記シャッター部が前記土台の内面を摺動して前記第一噴射用孔と前記第二噴射用孔とが一致したときに、水を地山に向けて噴射することが可能となり、
前記蓋材は、前記蓋材用孔の内外方向に摺動可能に設けられていて、前記シャッター部が前記土台の内面を摺動して前記蓋材用孔と前記第一噴射用孔とが一致した際に前記蓋材の先端部が前記第一噴射用孔を遮蔽することが可能となり、
前記超音波センサーは、前記水流発生装置の噴射口の噴射方向後方に配設されていて、前記噴射口から噴射された前記水により形成された水柱内に超音波を発することを特徴とする、地山探査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の地山探査装置を利用してシールドマシンの外面と地山との距離を測定する地山探査方法であって、
前記水流発生装置により前記シールドマシンから地山に向けて水を噴射
し、
前記超音波センサーにより、前記水により形成された水柱内に超音波を発
するとともに、前記超音波の反射波を受信することにより、前記シールドマシンの外面と地山との距離を測定することを特徴とする、地山探査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールド工法における掘進時に使用する地山探査装置および地山探査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シールド工法よるトンネル施工おいて、余掘り量を測定しながら掘進する場合がある。シールド工法において余掘り量を把握できれば、シールドマシンと地山との間の空隙の体積を把握できるため、適切な裏込め量を算出することができる。また、曲線を有するトンネル施工において、必要な余掘り量(クリアランス)を確保していないと、シールドマシンが地山に接触することによって、推進力の増加や、回頭性の低下が生じてしまう。そのため、シールド工法では、掘進時に余掘り量を測定し、適切な余掘り量を確保しながら掘進するのが望ましい。
シールド工法における余掘り量の測定方法として、例えば、特許文献1には、シールドマシンから地山に向けて電磁波を放射し、地山からの反射波を受信することで、反射波の受信時間に基づいて地山面までの距離を算出する方法が開示されている。
同様の方法として、電磁波に代えて超音波を使用する場合もある。例えば、特許文献2には、カッターヘッドに取り付けられた超音波受発信器により、カッターヘッド周囲の地山に向けて超音波を発信し、地山までの距離を測定する地山探査方法が開示されている。
一方、シールド工法の余掘り部分には、孔壁から崩落した土砂等が滞留している場合がある。余掘り部分に土砂などが滞留していると、超音波等が透過し難くなるため、余掘り量を高精度に測定できなくなるおそれがある。すなわち、余掘り部分の不純物により反射する反射波と、地山面により反射した反射波とが発生することにより、余掘り部分の大きさを測定し難くなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平09-297179号公報
【文献】特開2018-44841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、シールド工法におけるシールドマシンの周囲の余掘り量を高精度に測定することを可能とした地山探査装置および地山探査方法を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための本発明の地山探査装置は、シールドマシンから地山に向けて水を噴射する水流発生装置と、前記シールドマシンから地山に向けて超音波を発する超音波センサーと、前記シールドマシンのスキンプレートに設けられたシャッター装置とを備えるものである。前記シャッター装置は、前記スキンプレートに形成された開口部を遮蔽する土台と、前記土台の内面に沿って摺動するシャッター部と、前記シャッター部に設けられた蓋材とを備えている。前記土台には、第一噴射用孔が貫通している。また、前記シャッター部には、第二噴射用孔と蓋材用孔とが形成されている。前記水流発生装置は、前記第二噴射用孔の内空側に接続されていて、前記シャッター部が前記土台の内面を摺動して前記第一噴射用孔と前記第二噴射用孔とが一致したときに、水を地山に向けて噴射することが可能となっている。また、前記蓋材は、前記蓋材用孔の内外方向に摺動可能に設けられていて、前記シャッター部が前記土台の内面を摺動して前記蓋材用孔と前記第一噴射用孔とが一致した際に前記蓋材の先端部が前記第一噴射用孔を遮蔽することが可能となっている。さらに、前記超音波センサーは、前記水流発生装置の噴射口の噴射方向後方に配設されていて、前記噴射口から噴射された前記水により形成された水柱内に超音波を発する。
また、本発明の地山探査方法は、前記地山探査装置を利用してシールドマシンの外面と地山との距離を測定する地山探査方法であって、シールドマシンから地山に向けて水を噴射するとともに、前記水により形成された水柱内に超音波を発し、前記超音波の反射波を受信することにより、前記シールドマシンの外面と地山との距離を測定するものである。
かかる地山探査装置および地山探査方法によれば、シールドマシンから地山面に向けて形成される水柱を利用して超音波測定を行うため、不純物による超音波の反射を抑制することができる。そのため、シールドマシンの周囲の余掘り利用を高精度に測定することができる。
【0006】
前記水流発生装置は、前記シールドマシンのスキンプレートの内面に固定されているとともに、前記スキンプレートに固定された箱体により覆われているのが望ましい。このようにすれば、シールドマシンの内部への地下水などの流入を防止できる。
また、前記噴射孔を閉塞するシャッターを備えていれば、水の噴射停止時に土砂等が水流発生装置内に流入することを防止することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の地山探査装置および地山探査方法によれば、シールド工法におけるシールドマシンの周囲の余掘り量を高精度に測定することが可能となる。この測定結果を利用することで、適切な余掘り量による掘進が可能なるとともに、適切な裏込め量を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】第一実施形態に係る地山探査装置の使用状況を示す断面図である。
【
図3】水流発生装置を示す図であって、(a)は地山側から望む平面図、(b)は断面図、(c)は内空側からの望む平面図である。
【
図4】第二実施形態に係る地山探査装置を示す図であって、(a)は通常時の断面図、(b)は測定時の断面図、(c)は内空側から望む平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第一実施形態>
第一実施形態では、シールド工法によりトンネルを構築する場合について説明する。
図1は、シールドマシン1の概要を示す断面図である。トンネル施工は、
図1に示すように、シールドマシン1により地山Gを削孔することで形成された掘削孔内に、シールドマシン1の後方にセグメントリングRを連設することにより行う。シールドマシン1は、先端に設けられたカッターヘッド11と、カッターヘッド11の後方に設けられた本体部12とを備えている。本体部12は、カッターヘッド11の動力となるモーター14や推進ジャッキ15等を備え、筒状のスキンプレート13により覆われている。掘削は、スキンプレート13と孔壁(地山G)との間に所定の大きさの隙間(余掘り部S)を確保した状態で行う。余掘り部Sの大きさは、本体部12に内装された地山探査装置2により確認する。
【0010】
以下、
図2を参照して地山探査装置2について説明する。
図2は、地山探査装置2の使用状況を示す断面図である。シールドマシン1には、複数の地山探査装置2が、周方向に所定の間隔をあけて設けられている。なお、地山探査装置2の数および配置は限定されるものではなく、適宜決定すればよい。地山探査装置2は、水流発生装置3と、超音波センサー4と、箱体5と、シャッター6を備えている。
水流発生装置3は、シールドマシン1から地山Gに向けて水Wを噴射する。水流発生装置3は、シールドマシン1のスキンプレート13の内面に固定されている。次に、
図3を参照して水流発生装置3の詳細について説明する。
図3は、水流発生装置3を示す図であって、(a)は地山G側から望む平面図、(b)は断面図、(c)は内空側からの望む平面図である。本実施形態の水流発生装置3は、
図3(b)に示すように、金属製の本体部31と、給水口32と、噴射口33と、センサー接続部34とを備えている。
【0011】
本体部31は、箱型の入口部31aと入口部31aから側方に延びる出口部31bとからなる。入口部31aおよび出口部31bは、中空部材であり、互いに連通している。
入口部31aのトンネル内空側の面(
図3(b)において左側面)には、給水管7を接続するための給水口32が形成されている。給水口32は、給水管7であるホースを取り付け可能な継手である。本実施形態の給水口32は、外面に波型の凹凸が形成された筒状部材を入口部31aの下面に固定することにより形成されている。なお、給水口32の構成(形状等)は限定されるものではなく、例えばワンタッチジョイント等、給水管7の構成(取付部の形状や給水管7の材質)等に応じて適宜決定すればよい。入口部31aの四つの側面のうちの一つには出口部31bが接続されていて、その他の三つの側面及び地山G側の面(
図3(b)において左側面)は遮蔽されている。
【0012】
出口部31bは、入口部31aよりも小さい高さを有し、入口部31aの側面から側方に張り出している。出口部31bは断面視矩形状で、平面視は直方体と半円とが組み合わされた形状(U字状)を呈している(
図3(a)または(c)参照)。出口部31bの地山G側の面およびトンネル内空側の面は開口している。一方、出口部31bの入口部31aと接続された側面以外の側面は遮蔽されている。
図3(a)および(b)に示すように、出口部31bの地山G側の面(
図3(b)において左側の面)には、水Wを噴射するための噴射口33が形成されている。噴射口33は、ノズル部材35に形成された貫通孔である。ノズル部材35は、出口部31bの地山G側の面に、複数のビス36により固定されている。なお、ノズル部材35の固定方法は限定されるものではなく、例えば、出口部31b(本体部31)溶接してもよい。また、出口部31bの地山G側の面に噴射口33を直接形成する場合は、ノズル部材35は省略してもよい。このように、給水口32と噴射口33は、互いの中心線をずらした位置に形成されている。給水口32から入口部31aに供給された水Wは、入口部31a内において直角に流れを変えて出口部31bへ供給される。出口部31bに供給された水Wは、出口部31b内において直角に曲がって噴射口33から噴射される。スキンプレート13には、水流発生装置3の取り付け箇所に対応して、噴射用孔16が形成されている。噴射口33は、スキンプレート13の噴射用孔16に接続されている。噴射口33から噴射された水Wは、シールドマシン1から地山Gに向けて噴射される。
【0013】
図3(b)および(c)に示すように、出口部31bのトンネル内空側の面(
図3(b)において右側の面)には超音波センサー4を接続するためのセンサー接続部34が形成されている。すなわち、センサー接続部34は、噴射口33の後方に形成されている。センサー接続部34は、超音波センサー4を接続するためのコネクターであって、センサホルダ37に形成されている。センサホルダ37は、出口部31bのトンネル内空側の面に、複数のビス36により固定されている。なお、センサホルダ37の固定方法は限定されるものではなく、例えば、出口部31b(本体部31)に溶接してもよい。また、出口部31bの内空側にセンサー接続部34を直接形成する場合は、センサホルダ37は省略してもよい。
【0014】
超音波センサー4は、シールドマシン1から地山Gに向けて超音波Uを発する。超音波センサー4は、センサー接続部34に取り付けられている。すなわち、超音波センサー4は、水流発生装置3の噴射口33の噴射方向後方に取り付けられている。噴射口33の中心軸とセンサー接続部34の中心は、同一直線状に形成されている。
図1に示すように、超音波センサー4は、噴射口33から噴射された水W(水柱W
P)内に超音波Uを発して、地山G(掘削孔の孔壁面)までの距離を測定する。
箱体5は、水流発生装置3および超音波センサー4を覆った状態で、スキンプレート13の内面に固定されている。箱体5は、シールドマシン1内への漏水を防止するカバーであり、噴射用孔16や水流発生装置3から流出した水W等を内部にとどめることができる。箱体5には、水流発生装置3に接続する給水管7や超音波センサー4に接続するケーブル等を挿通するための貫通孔が形成されている。
シャッター6は、スキンプレート13の外面に沿って形成されている。シャッター6は、スキンプレート13に形成された噴射用孔16を開閉可能に構成されていて、水Wの噴射を停止しているときに、スキンプレート13の噴射用孔16を遮蔽(噴射口33を閉塞)する。
【0015】
次に、地山探査装置2を利用して余掘り部Sの大きさを測定する地山探査方法について説明する。
図2に示すように、本実施形態の地山探査方法は、シールドマシン1から地山Gに向けて水Wを噴射するとともに、水Wにより形成された水柱W
P内に超音波Uを発し、地山面において反射した超音波Uの反射波を受信することにより、シールドマシン1(スキンプレート13の外面と地山Gとの距離を測定するというものである。
まず、給水管7を介して水流発生装置3に水Wを供給するとともに、シャッター6を開いて噴射用孔16を開口する。シャッター6を開くことで、水流発生装置3から噴射された水Wが、地山Gに吹き付けられる。このとき、水Wを所定の圧力により噴射することで、水柱W
Pを形成する。給水管7を介して供給される水Wは、ポンプ(図示せず)により圧送する。水Wの圧力は、地下水圧よりも高くするが、水柱W
Pを安定的に形成できるよう、地下水圧よりも十分に高圧であることが望ましい。
【0016】
シールドマシン1から地山面(掘削孔の孔壁面)に至る水柱WPを形成したら、水柱WP中に超音波センサー4から地山面に向けて超音波Uを発するとともに、地山面により反射した反射波を超音波センサー4により受信する。超音波センサー4から超音波Uを発した時間と、超音波センサー4によって反射波を受信した時間とによる時間差により、シールドマシン1の外面と地山面(掘削孔の孔壁面)との距離を算出する。
測定が終了したら、シャッター6により噴射用孔16(噴射口33)を遮蔽するとともに、水Wの噴射を停止する。このとき、水流発生装置3による水Wの噴射を継続した状態で、シャッター6により噴射口33を遮蔽することで、噴射用孔16から水流発生装置3の内部に地下水や土砂などが流入することを防止する。シャッター6により噴射口33を遮蔽したら、水流発生装置3への水Wの供給(水流発生装置3からの水Wの噴射)を停止する。
【0017】
第一実施形態の地山探査装置2および地山探査方法によれば、シールドマシン1から地山面に向けて形成される水柱WPを利用して超音波測定を行うため、余掘り部Sに堆積した土砂等の不純物による超音波Uの反射を抑制することができる。余掘り部Sに土砂等が堆積している場合であっても、噴射した水Wによって測定範囲(超音波Uの発信方向)外に排除される。そのため、シールドマシン1の周囲の余掘り部Sの幅(余掘り量)を高精度に測定でき、ひいては、適切な裏込め注入量を算出することができ、また、曲線を有するトンネルにおいては、地山Gとシールドマシン1との接触を好適に防止できる。
余掘り部Sの測定は、スキンプレート13の内側からシールドマシン1外に向けて行うため、カッターヘッド11が駆動中であっても、測定をすることができる。
水流発生装置3は、シールドマシン1のスキンプレート13の内面に固定された箱体5により覆われているため、シールドマシン1の内部への漏水を防止できる。また、水流発生装置3から水Wを噴射した状態でシャッター6により噴射用孔16を遮蔽できるので、土砂等が水流発生装置3内に流入することを防止できる。
また、水Wの噴射停止時は、シャッター6により噴射用孔16を遮蔽することで噴射口33が閉塞されているため、外部から土砂等がシールドマシン1の内部へ流入することを防止できる。
【0018】
<第二実施形態>
第二実施形態の地山探査装置2は、シールドマシン1の内空側においてスライドするシャッター装置60により噴射口33の開閉を行う点で、スキンプレート13の外面に沿って形成されたシャッター6により噴射口33の開閉を行う第一実施形態と異なっている。
図4に第二実施形態の地山探査装置2の概要を示す。シャッター装置60は、
図4(a)および(c)に示すように、スキンプレート13に形成された開口部17に設けられている。シャッター装置60は、開口部17を遮蔽するように設けられた土台61と、土台61の内面(内空側)に沿って摺動するシャッター部62と、シャッター部62に設けられた蓋材63とを備えている。
【0019】
土台61は、開口部17と同形状の板材からなる。本実施形態の土台61は、平面視矩形状であるが、土台61の形状は限定されるものではない。土台61には、第一噴射用孔64が貫通している。
シャッター部62は、土台61の内面に沿って摺動する。シャッター部62の土台61側の面の周縁には、シール材67が設置されている。シール材67は、土台61とシャッター部62の隙間を遮蔽する。また、シャッター部62には、第二噴射用孔65と、蓋材用孔66とが形成されている。第二噴射用孔65と蓋材用孔66は、第一噴射用孔64と同一の平面形状を有していて、シャッター部62の摺動方向に沿って並設されている。本実施形態のシャッター部62の内空側には、第二噴射用孔65側と蓋材用孔66側との間に段差が形成されている。なお、シャッター部62は、平板でもよく、段差は省略してもよい。
【0020】
第二噴射用孔65の内空側には、水流発生装置3(噴射口33)が接続されている。
図4(b)に示すように、第二噴射用孔65と第一噴射用孔64とを一致させることで、水Wを地山Gに向けて噴射することが可能となる。
蓋材用孔66には、蓋材63が設置されている。蓋材63は、蓋材用孔66に内外方向に摺動可能に設けられている。蓋材63の先端部は、蓋材用孔66と第一噴射用孔64とが一致した際に、第一噴射用孔64に挿入される。蓋材63の先端部の周面には、シール材67が設置されていて、第一噴射用孔64に挿入されることで、蓋材63が第一噴射用孔64を遮蔽する。
この他の第二実施形態の水流発生装置3、超音波センサー4の詳細は、第一実施形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
【0021】
次に、第二実施形態の地山探査装置2を利用して余掘り部Sの大きさを測定する地山探査方法について説明する。
まず、給水管7を介して水流発生装置3に水Wを供給するとともに、シャッター装置60を開口する。シャッター装置60の開口は、まず、第一噴射用孔64に先端が挿入された蓋材63を内空側に引き込むことで第一噴射用孔64から抜き出す。蓋材63を第一噴射用孔64から抜き出したら、シャッター部62をスライドさせて、
図4(b)に示すように、第一噴射用孔64と第二噴射用孔65とを一致させることでシャッター装置60を開口する。シャッター装置60を開口することで、水流発生装置3(噴射口33)から噴射された水Wが、地山Gに吹き付けられる。このとき、水Wを所定の圧力により噴射することで、水柱W
Pを形成する。給水管7を介して供給される水Wは、ポンプ(図示せず)により圧送する。水Wの圧力は、地下水圧よりも高くするが、水柱W
Pを安定的に形成できるよう、地下水圧よりも十分に高圧であることが望ましい。
【0022】
シールドマシン1から地山面(掘削孔の孔壁面)に至る水柱W
Pを形成したら、水柱W
P中に超音波センサー4から地山面に向けて超音波Uを発するとともに、地山面により反射した反射波を超音波センサー4により受信する。超音波センサー4から超音波Uを発した時間と、超音波センサー4によって反射波を受信した時間とによる時間差により、シールドマシン1の外面と地山面(掘削孔の孔壁面)との距離を算出する。
測定が終了したら、シャッター装置60(噴射口33)を遮蔽するとともに、水Wの噴射を停止する。このとき、水流発生装置3による水Wの噴射を継続した状態で、シャッター装置60を遮蔽することで、第一噴射用孔64から水流発生装置3の内部に地下水や土砂などが流入することを防止する。シャッター装置60の遮蔽は、シャッター部62を開口するときと逆方向にスライドさせる。シャッター部62は、蓋材用孔66の位置と第一噴射用孔64の位置とが一致するまでスライドさせる。蓋材用孔66の位置と第一噴射用孔64の位置とを一致させたら、
図4(a)に示すように、蓋材63を押し込んで、蓋材63の先端を第一噴射用孔64に差し込む。シャッター装置60を遮蔽したら、水流発生装置3への水Wの供給(水流発生装置3からの水Wの噴射)を停止する。
第二実施形態の地山探査装置2および地山探査方法によれば、第一実施形態の地山探査装置2および地山探査方法と同様の作用効果を得ることができる。
【0023】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明は前述の実施形態に限られず、前記の各構成要素については本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
例えば、箱体5は、必要に応じて設置すればよい。また、箱体5は、各水流発生装置3を個別に覆うものでもよいし、複数の水流発生装置3を覆うものであってもよい。シャッター装置60を有する場合で、箱体5を設置する場合はシャッター部62とともに摺動するように設けるのが望ましい。
給水口32を水流発生装置3の内空側に設けるものとしたが、給水口32の形成箇所は限定されるものではなく、例えば、水流発生装置3の側面の設けてもよい。
【符号の説明】
【0024】
1 シールドマシン
13 スキンプレート
2 地山探査装置
3 水流発生装置
31 本体部
32 給水口
33 噴射口
4 超音波センサー
5 箱体
6 シャッター
7 給水管
G 地山
U 超音波
W 水
WP 水柱