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特許7316244制動装置、糸長計測装置及びいずれかを備えた魚釣用リール
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  • 特許-制動装置、糸長計測装置及びいずれかを備えた魚釣用リール 図1
  • 特許-制動装置、糸長計測装置及びいずれかを備えた魚釣用リール 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-19
(45)【発行日】2023-07-27
(54)【発明の名称】制動装置、糸長計測装置及びいずれかを備えた魚釣用リール
(51)【国際特許分類】
   A01K 89/0155 20060101AFI20230720BHJP
   A01K 89/015 20060101ALI20230720BHJP
【FI】
A01K89/0155
A01K89/015 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020052044
(22)【出願日】2020-03-24
(65)【公開番号】P2021145655
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2022-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140822
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 光広
(72)【発明者】
【氏名】安田 悠
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-357601(JP,A)
【文献】特開2012-005429(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 89/0155
A01K 89/015
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプールを軸支する一方の軸受け部材と、該スプールを回転操作する操作手段と、を備えた本体フレームに取付け可能な制動装置であって、
該スプールを軸支する他方の軸受け部材と、スプール制動部と、該スプール制動部の制動力を制御する制御基板と、該制御基板に給電する電池と、該電池と該基板を覆うカバー部材と、を備え、
前記電池は、前記基板と、前記他方の軸受け部材との間に設けられ、該電池は外部電力から充電可能な二次電池であり、該電池の充電用端子が設けられることを特徴とする制動装置。
【請求項2】
前記基板は、制動装置の設定値を表示可能な表示手段を有する、請求項1に記載の制動装置。
【請求項3】
前記基板は、制動装置の設定値を入力可能な入力手段を有する、請求項1又は2に記載の制動装置。
【請求項4】
前記基板は、通信手段を有し、前記スプールの回転情報を外部に送信可能にされる、請求項1からまでのいずれか1項に記載の制動装置。
【請求項5】
前記基板は、通信手段を有し、前記制動装置の設定情報を受信可能にされる、請求項1からまでのいずれか1項に記載の制動装置。
【請求項6】
前記制動装置に、前記スプールに設けた導電体を貫通する磁場発生手段と、該磁場発
手段の磁場を調整する磁場調整手段と、を設けた、請求項1からまでのいずれか1項に記載の制動装置。
【請求項7】
前記制動装置に、前記スプールに設けた磁石と対向するコイルを設けた、請求項1からまでのいずれか1項に記載の制動装置。
【請求項8】
請求項1からまでのいずれか1項に記載の制動装置を有する魚釣り用リール。
【請求項9】
スプールを軸支する一方の軸受け部材と、該スプールを回転操作する操作手段と、を備えた本体フレームに取付け可能な糸長計測装置であって、
該スプールを軸支する他方の軸受け部材と、スプール回転検出部と、該スプール回転検出部により検出された情報に基づき糸長を算出する制御基板と、該制御基板に給電する電池と、該電池と該基板を覆うカバー部材と、を備え、
前記電池は、前記基板と、前記他方の軸受け部材との間に設けられ、該電池は外部電力から充電可能な二次電池であり、該電池の充電用端子が設けられることを特徴とする糸長計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投擲時のスプールの過回転によるバックラッシュを防止したり、若しくは投擲時の釣糸の糸長計測ができる、魚釣用リールの制動装置若しくは糸長計測装置及びこれらを備えた魚釣用リールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、魚釣用リールでは、投擲時のスプールの過回転によるバックラッシュを防止するバックラッシュ防止装置や釣果の向上を図るためにスプールからの釣糸の繰出量やスプールへの巻取量を測定する糸長計測装置を内蔵した様々な種類のものが知られている。
【0003】
このような魚釣用リールとして、例えば、特許文献1では、スプールの回転に連動して回転する非磁性導電体に渦電流を発生させてスプールの回転に制御をかけることができ、スプールの回転を検知するセンサーと、該センサーよりの信号をパルスカウンターにより基準クロック回路の信号毎にパルス数をカウンターするカウンター回路と、該パルス数からスプールの回転速度、回転加速度を演算回路で演算し、その値が予めデータ設定器により設定した値に達したときに非磁性導電体に渦電流を発生させる制御手段とを備えた魚釣用リールが開示されている。
【0004】
また、このような魚釣用リールとして、例えば、特許文献2では、リール本体に回転可能に支持されたスプールと、当該スプールの回転数を検出する回転数検出手段と、当該回転数検出手段の検出結果に基づき糸長を計測する糸長計測手段と、釣り情報を表示する表示器と、釣り情報を発信する外部送信手段からの送信データを受信する受信手段と、釣糸の繰出しを停止させる停止手段と、当該受信手段で受信された水深データと糸長計測手段の計測値に基づき上記停止手段を制御して、釣糸の繰出しを所望の水深で停止させる制御手段とを備えた魚釣用リール構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実開昭62-001575号公報
【文献】特開2003-274823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に係る構成では、表示手段や通信手段など新たな機能を付加しようとすると、これらの機能を提供するための電力供給も含めて既存の機構全体を見直す必要があり、大幅なコスト増加を余儀なくされるという問題があった。
【0007】
また、特許文献2に係る構成でも、新たな機能を追加する場合にはリール本体自体の機構を見直す必要があり、その費用が過大となってしまうという問題があった。
【0008】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、リール本体の側部のユニットを交換するだけで、既存のリールに新たな機能を付加し、かつその費用を大幅に低減することにある。本発明のこれら以外の目的は、本明細書全体を参照することにより明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態に係る制動装置は、スプールを軸支する一方の軸受け部材と、該スプールを回転操作する操作手段と、を備えた本体フレームに取付け可能にされ、該スプールを軸支する他方の軸受け部材と、スプール制動部と、該スプール制動部の制動力を制御する制御基板と、該制御基板に給電する電池と、該電池と該基板を覆うカバー部材と、を備えるよう構成される。
【0010】
本発明の一実施形態に係る制動装置において、該電池は、該基板と、該他方の軸受け部材との間に設けられる。
【0011】
本発明の一実施形態に係る制動装置において、該電池は外部電力から充電可能な二次電池であり、該電池の充電用端子が設けられる。
【0012】
本発明の一実施形態に係る制動装置において、該基板は、制動装置の設定値を表示可能な表示手段を有するよう構成される。
【0013】
本発明の一実施形態に係る制動装置において、該基板は、制動装置の設定値を入力可能な入力手段を有するよう構成される。
【0014】
本発明の一実施形態に係る制動装置において、該基板は、通信手段を有し、該スプールの回転情報を外部に送信可能にされるよう構成される。
【0015】
本発明の一実施形態に係る制動装置において、該基板は、通信手段を有し、該制動装置の設定情報を受信可能にされるよう構成される。
【0016】
本発明の一実施形態に係る制動装置において、該制動装置に、該スプールに設けた導電体を貫通する磁場発生手段と、該磁場発生手段の磁場を調整する磁場調整手段と、を設けるよう構成される。
【0017】
本発明の一実施形態に係る制動装置において、該制動装置に、該スプールに設けた磁石と対向するコイルを設けるよう構成される。
【0018】
本発明の一実施形態に係る魚釣用リールは、これらの制動装置を有するよう構成される。
【0019】
本発明の一実施形態に係る糸長計測装置は、スプールを軸支する一方の軸受け部材と、該スプールを回転操作する操作手段と、を備えた本体フレームに取付け可能にされ、該スプールを軸支する他方の軸受け部材と、スプール回転検出部と、該スプール回転検出部により検出された情報に基づき糸長を算出する制御基板と、該制御基板に給電する電池と、該電池と該基板を覆うカバー部材と、を備えるよう構成される。
【発明の効果】
【0020】
上記実施形態によれば、リール本体の側部のユニットを交換するだけで、既存のリールに新たな機能を付加し、かつその費用を大幅に低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係る制動装置1及び魚釣用リール100を説明する概略図である。
図2】本発明の一実施形態に係る制動装置1を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る係止装置の実施形態について、添付図面を参照しながら具体的に説明する。複数の図面において共通する構素には当該複数の図面を通じて同一の参照符号が付されている。各図面は、説明の便宜上、必ずしも正確な縮尺で記載されているとは限らない点に留意されたい。
【0023】
まず、図1、2を参照して、本発明の一実施形態に係る制動装置1について説明する。図示のように、本発明の一実施形態に係る制動装置1は、スプール2を軸支する一方の軸受け部材3と、該スプール2を回転操作する操作手段4(図示しない)と、を備えた本体フレーム5に取付け可能にされ、該スプール2を軸支する他方の軸受け部材6と、スプール制動部7と、該スプール制動部7の制動力を制御する制御基板8と、該制御基板8に給電する電池9と、該電池9と該基板8を覆うカバー部材10と、を備えるよう構成される。
【0024】
本発明の一実施形態に係る制動装置1によれば、リール本体の側部のユニットを交換するだけで、既存のリールに新たな機能を付加し、かつその費用を大幅に低減することが可能となる。
【0025】
図1、2に示すように、制動装置1のスプール制動部7は、モータ17を有し、該モータ17は蓋部材18とカバー部材10に取り囲まれるようにして、蓋部材18に支持され、モータ17の駆動力がセットプレート19に配置されているギヤ列20を介して、制動手段21に接続される。このようにして、後述する導電体に対する制動手段の相対位置を変化させることで、スプールの2の制動を確実に行うことができるが、ここではこれ以上の詳細は延べない。
【0026】
図1、2に示すように、本発明の一実施形態に係る制動装置1において、該電池9は、該基板8と、該他方の軸受け部材6との間に設けられる。これにより、基板8をカバー部材10側に配置することができる。基板上には、LEDやLCD、スピーカー等の外部出力用部品、操作ボタン等の入力部品、通信端子や充電用の端子といった電気部品を配置することができる。これらの電気部品は、ユーザが直接操作又は視認したりするため、装置の外側表面側に配置する必要がある。上記レイアウトによれば、これらの電気部品をリード線やフレキシブルケーブル等で配線する方法に比して、全体の小型化や低コスト化をしながら配置することができる。
【0027】
ここで、本発明の一実施形態に係る制動装置1において、該電池9は外部電力から充電可能な二次電池であってもよく、その場合、該基板8上に該電池の充電用端子が設けられるようにしてもよい。このようにすることで、該電池9の交換の必要がなくなる。これにより、該電池9を内部に配置することが可能となり、該カバー部材10に電池交換のための蓋等を設ける必要がなくなり、また該電池9の防水を大型化を招かずにしやすくなるという技術的効果を奏する。また、基板8と軸受け部材8の間に電池9を配置することで、デッドスペースを増やすことなく大体積の電池を配置しやすくなり、電池の寿命を延ばし、電流容量を大きくできるという技術的効果を得ることができる。
【0028】
また、図2に示すように、本発明の一実施形態に係る制動装置1において、該基板8は、制動装置1の設定値を表示可能な表示手段11を有するよう構成される。このとき、必要に応じてカバー部材10の一部に貫通穴をあけたり、透過性の高い材質にすることができる。これにより、制動装置により簡便に表示機能を付加することが可能となる。
【0029】
本発明の一実施形態に係る制動装置1において、該基板8は、制動装置1の設定値を入力可能な入力手段12を有するよう構成される。これにより、制動装置により簡便に入力機能を付加することが可能となる。
【0030】
本発明の一実施形態に係る制動装置1において、該基板8は、通信手段13を有し、該スプール2の回転情報を外部に送信可能にされるよう構成される。これにより、制動装置により簡便に送信機能を付加することが可能となる。
【0031】
本発明の一実施形態に係る制動装置1において、該基板8は、通信手段13を有し、該制動装置1の設定情報を受信可能にされるよう構成される。これにより、制動装置により簡便に受信機能を付加することが可能となる。
【0032】
本発明の一実施形態に係る制動装置1において、該制動装置1に、該スプール2に設けた導電体14を貫通する磁場発生手段15と、該磁場発生手段の磁場を電子的に調整する磁場調整手段16と、を設けるよう構成される。これにより、制動装置をリール本体の側部に取付けることで、簡便かつ低コストで電子的にスプールの制動を行わしめることが可能となる。また、本制動装置を取付けたリールの電池が切れたときや、制動装置の特性を変更したい際には、本制動装置を有する別のユニットに交換すればよい。これにより、スプールや釣り糸、釣竿を交換することなく、釣りを続けることができる。
【0033】
本発明の一実施形態に係る制動装置1において、該制動装置1に、該スプール2に設けた磁石と対向するコイルを設けるよう構成してもよい。
【0034】
図示しないが、本発明の一実施形態に係る糸長計測装置30は、スプール22を軸支する一方の軸受け部材23と、該スプール2を回転操作する操作手段24と、を備えた本体フレーム25に取付け可能にされ、該スプール22を軸支する他方の軸受け部材26と、スプール回転検出部27と、該スプール回転検出部27により検出された情報に基づき糸長を算出する制御基板28と、該制御基板28に給電する電池29と、該電池29と該基板28を覆うカバー部材31と、を備えるよう構成されてもよい。
【0035】
本発明の一実施形態に係る糸長計測装置30によれば、リール本体の側部のユニットを交換するだけで、既存のリールに新たな機能を付加し、かつその費用を大幅に低減することが可能となる。
【0036】
本発明の一実施形態に係る魚釣用リール100は、該本体フレーム5と、該本体フレーム5に取り付けられた既述の制動装置1を有するよう構成される。
【0037】
本発明の一実施形態に係る制動装置1を備えた魚釣用リール100によれば、リール本体5の側部のユニットを交換するだけで、既存のリールに新たな機能を付加し、かつその費用を大幅に低減することが可能となる。
【0038】
本明細書で説明された各構成要素の寸法、材料、及び配置は、実施形態中で明示的に説明されたものに限定されず、この各構成要素は、本発明の範囲に含まれうる任意の寸法、材料、及び配置を有するように変形することができる。また、本明細書において明示的に説明していない構成要素を、説明した実施形態に付加することもできるし、各実施形態において説明した構成要素の一部を省略することもできる。
【符号の説明】
【0039】
1 制動装置
2 スプール
3 一方の軸受け部材
4 操作手段
5 本体フレーム
6 他方の軸受け部材
7 スプール制動部
8 制御基板
9 電池
10 カバー部材
11 表示手段
12 入力手段
13 通信手段
14 導電体
15 磁場発生手段
16 磁場調整手段
17 モータ
18 蓋部材
19 セットプレート
20 ギヤ列
22 スプール
23 一方の軸受け部材
24 操作手段
25 本体フレーム
26 他方の軸受け部材
27 スプール回転検出部
28 制御基板
29 電池
30 糸長計測装置
31 カバー部材
100 魚釣用リール
図1
図2