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特許7316258電気化学反応単位および電気化学反応セルスタック
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-19
(45)【発行日】2023-07-27
(54)【発明の名称】電気化学反応単位および電気化学反応セルスタック
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/028 20160101AFI20230720BHJP
   C25B 1/04 20210101ALI20230720BHJP
   C25B 9/17 20210101ALI20230720BHJP
   C25B 15/00 20060101ALI20230720BHJP
   H01M 8/0208 20160101ALI20230720BHJP
   H01M 8/0276 20160101ALI20230720BHJP
   H01M 8/0286 20160101ALI20230720BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20230720BHJP
【FI】
H01M8/028
C25B1/04
C25B9/17
C25B15/00 302Z
H01M8/0208
H01M8/0276
H01M8/0286
H01M8/12 102A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020159609
(22)【出願日】2020-09-24
(65)【公開番号】P2022053032
(43)【公開日】2022-04-05
【審査請求日】2021-11-26
(73)【特許権者】
【識別番号】519322392
【氏名又は名称】森村SOFCテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001911
【氏名又は名称】弁理士法人アルファ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野 達也
(72)【発明者】
【氏名】石田 暁
【審査官】高木 康晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-032559(JP,A)
【文献】国際公開第2018/155112(WO,A1)
【文献】特開2015-032557(JP,A)
【文献】特開2015-115181(JP,A)
【文献】特開2016-038984(JP,A)
【文献】特開2015-153709(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0051923(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/02
H01M 8/12
C25B 1/04
C25B 9/17
C25B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解質層と、前記電解質層を挟んで第1の方向に互いに対向する空気極および燃料極とを含む電気化学反応単セルと、
前記第1の方向において、前記電気化学反応単セルの前記燃料極側に配置され、かつ、少なくともクロムを含む金属製の導電性部材と、
前記燃料極と前記導電性部材とに面する燃料室のうち、前記第1の方向視において、前記電解質層と、前記空気極と、前記燃料極とが互いに重なる部分である重複部分の外側に位置する外側空間に配置された周辺部材であって、ハロゲンとアルカリ金属との少なくとも一方を含む周辺部材と、
を備える電気化学反応単位において、
前記第1の方向において、前記周辺部材と前記導電性部材との間に配置された第1の部材を備え、
前記第1の部材は、前記第1の部材の表面のうちの前記周辺部材に対向する側の表面における、前記周辺部材に接する接触部分の少なくとも一部分が、アルミナから形成されている、
ことを特徴とする電気化学反応単位。
【請求項2】
請求項1に記載の電気化学反応単位において、
前記第1の部材には、前記第1の方向視において、前記重複部分を包含する貫通孔が形成されており、
前記第1の部材は、前記貫通孔を取り囲む貫通孔周囲部が、前記導電性部材の周縁部に接合されることにより、前記燃料室と、隣接する他の前記電気化学反応単セルの前記空気極に面する空気室とを区画する、
ことを特徴とする電気化学反応単位。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電気化学反応単位において、
前記第1の方向視において、前記第1の部材における前記接触部分の前記一部分は、前記導電性部材と前記周辺部材とが重なる部分を包含している、
ことを特徴とする電気化学反応単位。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の電気化学反応単位において、
前記導電性部材と前記第1の部材とが接する位置に、前記導電性部材と前記第1の部材とを溶接により接合する溶接部が形成されている、
ことを特徴とする電気化学反応単位。
【請求項5】
前記第1の方向に並べて配置された複数の電気化学反応単位を備える電気化学反応セルスタックにおいて、
前記複数の電気化学反応単位の少なくとも1つは、請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の電気化学反応単位である、
ことを特徴とする電気化学反応セルスタック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、電気化学反応単位および電気化学反応セルスタックに関する。
【背景技術】
【0002】
水素と酸素との電気化学反応を利用して発電を行う燃料電池の種類の1つとして、固体酸化物形の燃料電池(以下、「SOFC」という)が知られている。SOFCの構成単位である燃料電池発電単位(以下、単に「発電単位」という)は、固体酸化物を含む電解質層と、電解質層を挟んで所定の方向(以下、「第1の方向」という)に互いに対向する空気極および燃料極とを含む燃料電池単セル(以下、単に「単セル」という)を有している。
【0003】
発電単位には、単セル周辺の空間を埋めて発電効率を向上させる等の目的で、周辺部材(例えば、フェルト部材)が充填されることがある。このようなフェルト部材は、例えば、燃料極と、Cr(クロム)を含有する金属により形成された導電性部材(例えば、フェライト系ステンレスにより形成されたインターコネクタ)とに面する燃料室における、ガスの主たる流れ方向に直交する方向の両端の位置であって、インターコネクタの表面に接するように配置される。また、フェルト部材として、アルミナ-シリカ(二酸化ケイ素)系のフェルト材料が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2018/155112号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
導電性部材を形成する金属に含まれるCrが空気中の酸素と反応すると、導電性部材の表面に、Cr酸化物(例えば、Cr(クロミア))を含む酸化被膜層が形成される。Cr酸化物を含む酸化被膜層は緻密性が高いため、導電性部材に含まれる汚染物質(例えば、P(リン))の放出または拡散を抑制する。例えば、燃料室に供給されるガス中に、上記汚染物質が含まれていると、該汚染物質が燃料極における三相界面に付着して反応場が減少する現象(「燃料極の被毒」と呼ばれる。)が発生し、単セルの性能が低下するおそれがある。
【0006】
一方、周辺部材は、アルカリ金属やハロゲンを含んでいる場合がある。ここで、アルカリ金属に由来するアルカリ金属イオンは、周辺部材と導電性部材との界面において、上記汚染物質の酸化を促進させ、Cr酸化物を含む酸化被膜層の異常化を引き起こす傾向がある。また、ハロゲンに由来するハロゲン化物イオンは、周辺部材と導電性部材との界面において、Cr酸化物を含む酸化被膜層を腐食させ、Cr酸化物を含む酸化被膜層の異常化を引き起こす傾向がある。これにより、上記酸化された汚染物質が、周辺部材を介して、また、導電性部材に含まれる上記汚染物質が、上記腐食された酸化被膜層と周辺部材とを介して、燃料室へ放出または拡散される傾向がある。このため、上記汚染物質による燃料極の被毒に起因する単セルの性能低下を抑制することが困難である、という課題がある。
【0007】
なお、このような課題は、水の電気分解反応を利用して水素の生成を行う固体酸化物形の電解セル(以下、「SOEC」という。)の構成単位である電解単セルを複数備える電解セルスタックにも共通の課題である。なお、本明細書では、燃料電池単セルと電解単セルとをまとめて電気化学反応単セルと呼び、燃料電池スタックと電解セルスタックとをまとめて電気化学反応セルスタックと呼ぶ。また、このような課題は、SOFCやSOECに限らず、他のタイプの電気化学反応セルスタックにも共通の課題である。
【0008】
本明細書では、上述した課題を解決することが可能な技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本明細書に開示される電気化学反応単位は、電解質層と、前記電解質層を挟んで第1の方向に互いに対向する空気極および燃料極とを含む電気化学反応単セルと、前記第1の方向において、前記電気化学反応単セルの前記燃料極側に配置され、かつ、少なくともクロムを含む金属製の導電性部材と、前記燃料極と前記導電性部材とに面する燃料室のうち、前記第1の方向視において、前記電解質層と、前記空気極と、前記燃料極とが互いに重なる部分である重複部分の外側に位置する外側空間に配置された周辺部材であって、ハロゲンとアルカリ金属との少なくとも一方を含む周辺部材と、を備える電気化学反応単位において、前記第1の方向において、前記周辺部材と前記導電性部材との間に配置された第1の部材を備え、前記第1の部材は、前記第1の部材の表面のうちの前記周辺部材に対向する側の表面における、前記周辺部材に接する接触部分の少なくとも一部分が、アルミナから形成されている。本電気化学反応単位では、第1の方向において、周辺部材と導電性部材との間に配置された第1の部材を備える。第1の部材は、第1の部材の表面のうちの周辺部材に対向する側の表面における、周辺部材に接する接触部分の少なくとも一部分が、緻密性の高いアルミナから形成されている。このため、アルミナから形成されている当該一部分において、周辺部材の内部におけるアルカリ金属イオンやハロゲン化物イオンが、導電性部材におけるCr酸化物を含む酸化被膜層に到達することを抑制することができる。従って、本電気化学反応単位によれば、導電性部材におけるCr酸化物を含む酸化被膜層の異常化を抑制することができ、汚染物質による燃料極の被毒により電気化学反応単セル(ひいては、電気化学反応単位)の性能が低下することを抑制することができる。
【0010】
(2)上記電気化学反応単位において、前記第1の部材には、前記第1の方向視において、前記重複部分を包含する貫通孔が形成されており、前記第1の部材は、前記貫通孔を取り囲む貫通孔周囲部が、前記導電性部材の周縁部に接合されることにより、前記燃料室と、隣接する他の前記電気化学反応単セルの前記空気極に面する空気室とを区画する構成としてもよい。本電気化学反応単位によれば、第1の部材を、燃料室と、隣接する他の電気化学反応単セルにおける空気室とを区画する部材としても機能させることができる。
【0011】
(3)上記電気化学反応単位において、前記第1の方向視において、前記第1の部材における前記接触部分の前記一部分は、前記導電性部材と前記周辺部材とが重なる部分を包含している構成としてもよい。換言すれば、本電気化学反応単位では、第1の部材の表面における、導電性部材と周辺部材とが重なる部分の全面が、アルミナから形成されている。従って、本電気化学反応単位によれば、汚染物質による燃料極の被毒により電気化学反応単セル(ひいては、電気化学反応単位)の性能が低下することを効果的に抑制することができる。
【0012】
(4)上記電気化学反応単位において、前記導電性部材と前記第1の部材とが接する位置に、前記導電性部材と前記第1の部材とを溶接により接合する溶接部が形成されている構成としてもよい。このため、本電気化学反応単位によれば、第1の部材が、導電性部材に比較的強固に接合されるため、導電性部材に対する固定位置からの位置ズレを抑制することができる。
【0013】
(5)本明細書に開示される電気化学反応セルスタックは、前記第1の方向に並べて配列された複数の電気化学反応単位を備える電気化学反応セルスタックにおいて、前記複数の電気化学反応単位の少なくとも1つは、上記電気化学反応単位である。本電気化学反応セルスタックによれば、導電性部材におけるCr酸化物を含む酸化被膜層の異常化を抑制することができ、汚染物質による燃料極の被毒により電気化学反応単セル(ひいては、電気化学反応単位)の性能が低下することを抑制することができる。
【0014】
なお、本明細書に開示される技術は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、電気化学反応単位(燃料電池発電単位または電解セル単位)、複数の電気化学反応単位を備える電気化学反応セルスタック(燃料電池スタックまたは電解セルスタック)、それらの製造方法等の形態で実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態における燃料電池スタック100の外観構成を示す斜視図
図2図1のII-IIの位置における燃料電池スタック100のXZ断面構成を示す説明図
図3図1のIII-IIIの位置における燃料電池スタック100のXZ断面構成を示す説明図
図4図2に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のXZ断面構成を示す説明図
図5図3に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のYZ断面構成を示す説明図
図6】燃料極側集電部材148の作製方法の一例を示す説明図
図7図4および図5のVII-VIIの位置における発電単位102のXY断面構成を示す説明図
図8】第1,第2変形例における燃料電池スタック100A,100Bの構成を概略的に示す説明図
図9】第3変形例における燃料電池スタック100Cの構成を概略的に示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0016】
A.実施形態:
A-1.構成:
(燃料電池スタック100の構成)
図1は、本実施形態における燃料電池スタック100の外観構成を示す斜視図であり、図2は、図1(および後述する図7)のII-IIの位置における燃料電池スタック100のXZ断面構成を示す説明図であり、図3は、図1(および後述する図7)のIII-IIIの位置における燃料電池スタック100のYZ断面構成を示す説明図である。各図には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている。本明細書では、便宜的に、Z軸正方向を上方向と呼び、Z軸負方向を下方向と呼ぶものとするが、燃料電池スタック100は実際にはそのような向きとは異なる向きで設置されてもよい。図4以降についても同様である。
【0017】
燃料電池スタック100は、複数の(本実施形態では7つの)燃料電池発電単位(以下、単に「発電単位」という。)102と、一対のターミナルプレート70,80と、一対のエンドプレート104,106とを備える。7つの発電単位102は、所定の配列方向(本実施形態ではZ軸方向)に並べて配置されている。上記配列方向(Z軸方向)は、特許請求の範囲における第1の方向に相当する。
【0018】
一対のターミナルプレート70,80のうちの一方(以下、「上側ターミナルプレート70」という。)は、7つの発電単位102から構成される集合体(以下、「発電ブロック103」という。)の上側に配置されており、一対のエンドプレート104,106のうちの一方(以下、「上側エンドプレート104」という。)は、上側ターミナルプレート70の上側に配置されている。また、一対のターミナルプレート70,80のうちの他方(以下、「下側ターミナルプレート80」という。)は、発電ブロック103の下側に配置されており、一対のエンドプレート104,106のうちの他方(以下、「下側エンドプレート106」という。)は、下側ターミナルプレート80の下側に配置されている。なお、上側ターミナルプレート70と上側エンドプレート104との間、および、下側ターミナルプレート80と下側エンドプレート106との間には、絶縁シート92が介在している。絶縁シート92は、例えばマイカシートや、セラミック繊維シート、セラミック圧粉シート、ガラスシート、ガラスセラミック複合剤等により構成されている。
【0019】
燃料電池スタック100を構成する各層(発電単位102、ターミナルプレート70,80、エンドプレート104,106)のZ軸方向回りの周縁部には、上下方向に貫通する複数の(本実施形態では8つの)孔が形成されており、各層に形成され互いに対応する孔同士が上下方向に連通して、上側エンドプレート104から下側エンドプレート106にわたって上下方向に延びる連通孔108を構成している。以下の説明では、連通孔108を構成するために燃料電池スタック100の各層に形成された孔も、連通孔108と呼ぶ場合がある。
【0020】
各連通孔108には上下方向に延びるボルト22が挿通されており、ボルト22とボルト22の両側に嵌められたナット24とによる上下方向の圧縮力によって、燃料電池スタック100は締結されている。なお、図2および図3に示すように、ボルト22の一方の側(上側)に嵌められたナット24と上側エンドプレート104の上側表面との間、および、ボルト22の他方の側(下側)に嵌められたナット24と下側エンドプレート106の下側表面との間には、絶縁シート26が介在している。ただし、後述のガス通路部材27が設けられた箇所では、ナット24と下側エンドプレート106の表面との間に、ガス通路部材27とガス通路部材27の上側および下側のそれぞれに配置された絶縁シート26とが介在している。絶縁シート26は、例えばマイカシートや、セラミック繊維シート、セラミック圧粉シート、ガラスシート、ガラスセラミック複合剤等により構成されている。
【0021】
各ボルト22の軸部の外径は各連通孔108の内径より小さい。そのため、各ボルト22の軸部の外周面と各連通孔108の内周面との間には、空間が確保されている。図1および図2に示すように、燃料電池スタック100のZ軸方向回りの外周における1つの辺(Y軸に平行な2つの辺の内のX軸正方向側の辺)の中点付近に位置するボルト22(ボルト22A)と、そのボルト22Aが挿通された連通孔108とにより形成された空間は、燃料電池スタック100の外部から酸化剤ガスOGが導入され、その酸化剤ガスOGを各発電単位102に供給するガス流路である酸化剤ガス供給マニホールド161として機能し、該辺の反対側の辺(Y軸に平行な2つの辺の内のX軸負方向側の辺)の中点付近に位置するボルト22(ボルト22B)と、そのボルト22Bが挿通された連通孔108とにより形成された空間は、各発電単位102の空気室166から排出されたガスである酸化剤オフガスOOGを燃料電池スタック100の外部へと排出する酸化剤ガス排出マニホールド162として機能する。なお、本実施形態では、酸化剤ガスOGとして、例えば空気が使用される。
【0022】
また、図1および図3に示すように、燃料電池スタック100のZ軸方向回りの外周における1つの辺(X軸に平行な2つの辺の内のY軸正方向側の辺)の中点付近に位置するボルト22(ボルト22D)と、そのボルト22Dが挿通された連通孔108とにより形成された空間は、燃料電池スタック100の外部から燃料ガスFGが導入され、その燃料ガスFGを各発電単位102に供給する燃料ガス供給マニホールド171として機能し、該辺の反対側の辺(X軸に平行な2つの辺の内のY軸負方向側の辺)の中点付近に位置するボルト22(ボルト22E)と、そのボルト22Eが挿通された連通孔108とにより形成された空間は、各発電単位102の燃料室176から排出されたガスである燃料オフガスFOGを燃料電池スタック100の外部へと排出する燃料ガス排出マニホールド172として機能する。なお、本実施形態では、燃料ガスFGとして、例えば都市ガスを改質した水素リッチなガスが使用される。
【0023】
燃料電池スタック100には、4つのガス通路部材27が設けられている。各ガス通路部材27は、中空筒状の本体部28と、本体部28の側面から分岐した中空筒状の分岐部29とを有している。分岐部29の孔は本体部28の孔と連通している。各ガス通路部材27の分岐部29には、ガス配管(図示せず)が接続される。また、図2に示すように、酸化剤ガス供給マニホールド161を形成するボルト22Aの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、酸化剤ガス供給マニホールド161に連通しており、酸化剤ガス排出マニホールド162を形成するボルト22Bの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、酸化剤ガス排出マニホールド162に連通している。また、図3に示すように、燃料ガス供給マニホールド171を形成するボルト22Dの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、燃料ガス供給マニホールド171に連通しており、燃料ガス排出マニホールド172を形成するボルト22Eの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、燃料ガス排出マニホールド172に連通している。
【0024】
(エンドプレート104,106の構成)
一対のエンドプレート104,106は、Z軸方向視での外形が略矩形の平板状の部材であり、例えばステンレスにより形成されている。一対のエンドプレート104,106の中央付近には、それぞれ、Z軸方向に貫通する孔32,34が形成されている。Z軸方向視で、一対のエンドプレート104,106のそれぞれに形成された孔32,34の内周線は、後述する各単セル110を内包している。そのため、各ボルト22およびナット24によるZ軸方向の圧縮力は、主として各発電単位102の周縁部(後述する各単セル110より外周側の部分)に作用する。
【0025】
(ターミナルプレート70,80の構成)
一対のターミナルプレート70,80は、Z軸方向視での外形が略矩形の平板状の部材であり、例えばステンレスにより形成されている。上側ターミナルプレート70の中央付近には、Z軸方向に貫通する孔71が形成されている。Z軸方向視で、上側ターミナルプレート70に形成された孔71の内周線は、後述する各単セル110を内包している。なお、本実施形態では、Z軸方向視で、上側ターミナルプレート70に形成された孔71の内周線は、上側エンドプレート104に形成された孔32の内周線と略一致している。上側ターミナルプレート70は、Z軸方向視で、上側エンドプレート104の外周線から外側に突出した突出部78を備えており、該突出部78は、燃料電池スタック100のプラス側の出力端子として機能する。また、下側ターミナルプレート80は、Z軸方向視で、下側エンドプレート106の外周線から外側に突出した突出部88を備えており、該突出部88は、燃料電池スタック100のマイナス側の出力端子として機能する。
【0026】
(発電単位102の構成)
図4は、図2に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のXZ断面構成を示す説明図であり、図5は、図3に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のYZ断面構成を示す説明図である。図4の上部には、発電単位102の一部分のXZ断面構成が拡大して示されており、図5の上部には、発電単位102の一部分のYZ断面構成が拡大して示されている。
【0027】
図4および図5に示すように、発電単位102は、燃料電池単セル(以下、「単セル」という。)110と、単セル用セパレータ120と、空気極側フレーム部材130と、燃料極側フレーム部材140と、燃料極側集電部材148と、発電単位102の最上層および最下層を構成する一対のインターコネクタ190および一対のIC用セパレータ180とを備えている。単セル用セパレータ120、空気極側フレーム部材130、燃料極側フレーム部材140、IC用セパレータ180におけるZ軸方向回りの周縁部には、上述したボルト22が挿通される連通孔108に対応する孔が形成されている。
【0028】
単セル110は、電解質層112と、電解質層112のZ軸方向の一方側(上側)に配置された空気極114と、電解質層112のZ軸方向の他方側(下側)に配置された燃料極116とを備える。なお、本実施形態の単セル110は、燃料極116で単セル110を構成する他の層(電解質層112および空気極114)を支持する燃料極支持形の単セルである。
【0029】
電解質層112は、Z軸方向視で略矩形の平板形状部材であり、固体酸化物(例えば、YSZ(イットリア安定化ジルコニア))を含むように構成されている。すなわち、本実施形態の単セル110は、電解質として固体酸化物を用いる固体酸化物形燃料電池(SOFC)である。空気極114は、Z軸方向視で電解質層112より小さい略矩形の平板形状部材であり、例えばペロブスカイト型酸化物(例えば、LSCF(ランタンストロンチウムコバルト鉄酸化物))を含むように構成されている。燃料極116は、Z軸方向視で電解質層112と略同じ大きさの略矩形の平板形状部材であり、例えば、Ni(ニッケル)、Niとセラミック粒子からなるサーメット、Ni基合金等により形成されている。
【0030】
単セル用セパレータ120は、中央付近にZ軸方向に貫通する略矩形の孔121が形成されたフレーム状の部材であり、例えば、金属により形成されている。単セル用セパレータ120における孔121を取り囲む部分(以下、「貫通孔周囲部」という。)は、電解質層112における空気極114の側(上側)の表面の周縁部に対向している。単セル用セパレータ120は、その対向した部分に配置されたロウ材(例えばAgロウ)により形成された接合部124により、電解質層112(単セル110)と接合されている。単セル用セパレータ120により、空気極114に面する空気室166と燃料極116に面する燃料室176とが区画され、単セル110の周縁部における一方の電極側から他方の電極側へのガスのリーク(クロスリーク)が抑制される。
【0031】
インターコネクタ190は、略矩形の平板形状の平板部150と、平板部150から空気極114側に突出した複数の略柱状の空気極側集電部134とを有する導電性の部材であり、少なくともクロム(Cr)を含む金属(例えば、フェライト系ステンレス)により形成されている。このため、インターコネクタ190(具体的には、平板部150)の上面S150には、Cr酸化物を含む酸化被膜層(図示せず)が形成される。本実施形態では、インターコネクタ190の表面(空気室166に面する表面)に、例えばスピネル型酸化物により構成された導電性の被覆層194が形成されている。以下では、被覆層194に覆われたインターコネクタ190を、単にインターコネクタ190という。インターコネクタ190(より詳細には、インターコネクタ190の各空気極側集電部134)は、例えばスピネル型酸化物により構成された導電性接合材196を介して、単セル110の空気極114に接合されている。インターコネクタ190は、発電単位102間の電気的導通を確保すると共に、発電単位102間での反応ガスの混合を防止する。なお、本実施形態では、2つの発電単位102が隣接して配置されている場合、1つのインターコネクタ190は、隣接する2つの発電単位102に共有されている。すなわち、ある発電単位102における上側のインターコネクタ190は、その発電単位102の上側に隣接する他の発電単位102における下側のインターコネクタ190と同一部材である。また、燃料電池スタック100において最も下側に位置する発電単位102の下側のインターコネクタ190は、導電性接合材196を介して下側ターミナルプレート80に電気的に接続されている。また、燃料電池スタック100において最も上側に位置する発電単位102の上側のインターコネクタ190は、IC用セパレータ180を介して上側ターミナルプレート70に電気的に接続されている。なお、平板部150は、特許請求の範囲における導電性部材に相当する。
【0032】
IC用セパレータ180は、中央付近にZ軸方向に貫通する略矩形の孔181が形成されたフレーム状の部材であり、基部182と、被膜層184とから構成されている。基部182は、例えば、ステンレス等の金属により形成されている。被膜層184は、基部182の表面を覆う部材であり、アルミナにより形成されている。また、孔181は、Z軸方向視において、領域OAを包含する貫通孔である。なお、領域OAは、Z軸方向視において、電解質層112と、空気極114と、燃料極116とが互いに重なる領域である。IC用セパレータ180における孔181を取り囲む部分(以下、「貫通孔周囲部」という。)は、インターコネクタ190(平板部150)の周縁部における上面S150に、例えばレーザ溶接により接合されている。ある発電単位102に含まれる一対のIC用セパレータ180のうち、上側のIC用セパレータ180は、該発電単位102の空気室166と、該発電単位102に対して上側に隣り合う他の発電単位102の燃料室176(または外部空間)とを区画する。また、ある発電単位102に含まれる一対のIC用セパレータ180のうち、下側のIC用セパレータ180は、該発電単位102の燃料室176と、該発電単位102に対して下側に隣り合う他の発電単位102の空気室166とを区画する。このように、IC用セパレータ180により、発電単位102の周縁部における発電単位102間のガスのリークが抑制される。なお、IC用セパレータ180は、特許請求の範囲における第1の部材に相当し、領域OAは、特許請求の範囲における重複部分に相当する。
【0033】
上述の通り、本実施形態では、IC用セパレータ180とインターコネクタ190(平板部150)とは、レーザ溶接により接合されている。より具体的には、IC用セパレータ180と平板部150とが接する位置には、IC用セパレータ180と平板部150とを接合する溶接部300が形成されている。溶接部300の一部分は、溶接部材(IC用セパレータ180)の下面Sb180に露出しており、溶接部300の一部分は、被溶接部材(平板部150)内まで進入している。また、本実施形態では、溶接部300は、Z軸方向視において、IC用セパレータ180の貫通孔周囲部およびインターコネクタ190の周縁部に連続的に形成されている。このため、燃料電池スタック100における密閉性を向上させることができる。
【0034】
空気極側フレーム部材130は、中央付近にZ軸方向に貫通する略矩形の孔131が形成されたフレーム状の部材であり、例えば、マイカ等の絶縁体により形成されている。空気極側フレーム部材130の孔131は、空気極114に面する空気室166を構成する。空気極側フレーム部材130は、単セル用セパレータ120における電解質層112に対向する側とは反対側(上側)の表面の周縁部と、上側のIC用セパレータ180における空気室166に対向する側(下側)の表面の周縁部とに接触しており、両者の間のガスシール性(すなわち、空気室166のガスシール性)を確保するシール部材として機能する。また、空気極側フレーム部材130によって、発電単位102に含まれる一対のIC用セパレータ180間(すなわち、一対のインターコネクタ190間)が電気的に絶縁される。また、空気極側フレーム部材130には、酸化剤ガス供給マニホールド161と空気室166とを連通する酸化剤ガス供給連通孔132と、空気室166と酸化剤ガス排出マニホールド162とを連通する酸化剤ガス排出連通孔133とが形成されている。
【0035】
燃料極側フレーム部材140は、中央付近にZ軸方向に貫通する略矩形の孔141が形成されたフレーム状の部材であり、例えば、金属により形成されている。燃料極側フレーム部材140の孔141は、燃料極116に面する燃料室176を構成する。燃料極側フレーム部材140は、単セル用セパレータ120における電解質層112に対向する側(下側)の表面の周縁部と、下側のIC用セパレータ180における燃料室176に対向する側(上側)の表面の周縁部とに接触している。また、燃料極側フレーム部材140には、燃料ガス供給マニホールド171と燃料室176とを連通する燃料ガス供給連通孔142と、燃料室176と燃料ガス排出マニホールド172とを連通する燃料ガス排出連通孔143とが形成されている。
【0036】
燃料極側集電部材148は、燃料室176内に配置されている。燃料極側集電部材148は、導電性部144と弾性部149とを有する。導電性部144は、燃料極116とインターコネクタ190とを電気的に接続する部分であり、例えば、ニッケルやニッケル合金、ステンレス等により形成されている。導電性部144は、燃料極116の下側の表面に接触した電極対向部145と、インターコネクタ190の上側の表面に接触したインターコネクタ対向部146と、電極対向部145とインターコネクタ対向部146とをつなぐ連接部147とを有している。また、弾性部149は、燃料極側集電部材148の弾性を確保するための部分であり、例えば、マイカ等により形成されている。導電性部144のうちのインターコネクタ対向部146は、Z軸方向においてインターコネクタ190と弾性部149との間に配置され、導電性部144のうちの電極対向部145は、Z軸方向において燃料極116と弾性部149との間に配置されている。これにより、燃料極側集電部材148が温度サイクルや反応ガス圧力変動による発電単位102の変形に追随し、燃料極側集電部材148を介した燃料極116とインターコネクタ190との電気的接続が良好に維持される。
【0037】
図6は、燃料極側集電部材148の作製方法の一例を示す説明図である。燃料極側集電部材148は、例えば、図6に示すように、平板状の材料(例えば、厚さ10~200μmのニッケル箔)に切り込みSLを入れ、該材料の上に複数の孔が形成されたシート状の弾性部149を配置した状態で、複数の矩形部分を曲げ起こして弾性部149を挟むように加工することにより作製される。曲げ起こされた各矩形部分が電極対向部145となり、曲げ起こされた部分以外の穴OPが開いた状態の平板部分がインターコネクタ対向部146となり、電極対向部145とインターコネクタ対向部146とをつなぐ部分が連接部147となる。なお、図6では、燃料極側集電部材148の製造方法を示すため、一部の矩形部分について、曲げ起こし加工が完了する前の状態を示している。
【0038】
また、本実施形態の発電単位102は、さらに、フェルト部材41を備える。図4および図7に示すように、フェルト部材41は、燃料室176において、空間Sに配置されている。なお、空間Sは、領域OAの外側に位置する空間である。より具体的には、フェルト部材41は、燃料室176において、燃料ガスFGの主たる流れ方向(Y軸方向)に直交する方向(X軸方向)の両端の位置(Z軸方向において単セル110の空気極114と重ならない位置)に充填されている。フェルト部材41の存在により、燃料室176に供給された燃料ガスFGが、発電にあまり寄与しない領域を通過して燃料室176から排出されることを抑制することができ、発電効率を向上させることができる。なお、フェルト部材41は、特許請求の範囲における周辺部材に相当し、空間Sは、特許請求の範囲における外側空間に相当する。
【0039】
フェルト部材41は、アルミナ-シリカ(二酸化ケイ素)系のフェルト材料により構成されている。すなわち、フェルト部材41は、セラミックスであるアルミナと、シリカ成分とを含んでいる。フェルト部材41がアルミナを含むことにより、フェルト部材41の耐熱性や柔軟性を向上させることができる。なお、本実施形態で使用されるフェルト部材41は、Alの結晶構造を有すると共に、SiOの結晶構造も有している。このようなフェルト部材41は、Alの結晶構造を有する市販のアルミナ-シリカ系のフェルト原材料を、例えば1000℃以上、1300℃以下で8~12時間の熱処理を行い、その後に成形することにより作製することができる。本実施形態のフェルト部材41は、更に、ハロゲン元素を含む化合物およびアルカリ金属元素を含む化合物を含んでいる。
【0040】
なお、上述したように、燃料電池スタック100は、複数の発電単位102を備えており、各発電単位102は、単セル110と燃料極側集電部材148と一対のインターコネクタ190とを有している。また、2つの発電単位102が隣接して配置されている場合、1つのインターコネクタ190は、隣接する2つの発電単位102に共有されている。そのため、本実施形態の燃料電池スタック100は、複数の単セル110と、複数の単セル110について設けられた複数の燃料極側集電部材148と、複数の単セル110について設けられた複数のインターコネクタ190とを備えると言える。
【0041】
A-2.燃料電池スタック100の動作:
図2および図4に示すように、酸化剤ガス供給マニホールド161の位置に設けられたガス通路部材27の分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)を介して酸化剤ガスOGが供給されると、酸化剤ガスOGは、ガス通路部材27の分岐部29および本体部28の孔を介して酸化剤ガス供給マニホールド161に供給され、酸化剤ガス供給マニホールド161から各発電単位102の酸化剤ガス供給連通孔132を介して、空気室166に供給される。また、図3および図5に示すように、燃料ガス供給マニホールド171の位置に設けられたガス通路部材27の分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)を介して燃料ガスFGが供給されると、燃料ガスFGは、ガス通路部材27の分岐部29および本体部28の孔を介して燃料ガス供給マニホールド171に供給され、燃料ガス供給マニホールド171から各発電単位102の燃料ガス供給連通孔142を介して、燃料室176に供給される。
【0042】
各発電単位102の空気室166に酸化剤ガスOGが供給され、燃料室176に燃料ガスFGが供給されると、単セル110において酸化剤ガスOGおよび燃料ガスFGの電気化学反応による発電が行われる。この発電反応は発熱反応である。各発電単位102において、単セル110の空気極114は導電性接合材196を介してインターコネクタ190に電気的に接続され、燃料極116は燃料極側集電部材148を介してインターコネクタ190に電気的に接続されている。すなわち、燃料電池スタック100に含まれる複数の発電単位102は、電気的に直列に接続されている。また、燃料電池スタック100において、最も上側に位置する発電単位102の上側のインターコネクタ190は上側ターミナルプレート70に電気的に接続されており、最も下側に位置する発電単位102の下側のインターコネクタ190は下側ターミナルプレート80に電気的に接続されている。そのため、燃料電池スタック100の出力端子として機能する一対のターミナルプレート70,80から、各発電単位102において生成された電気エネルギーが取り出される。なお、SOFCは、比較的高温(例えば700℃から1000℃)で発電が行われることから、起動後、発電により発生する熱で高温が維持できる状態になるまで、燃料電池スタック100が加熱器(図示せず)により加熱されてもよい。
【0043】
各発電単位102の空気室166から排出された酸化剤オフガスOOGは、図2および図4に示すように、酸化剤ガス排出連通孔133を介して酸化剤ガス排出マニホールド162に排出され、さらに酸化剤ガス排出マニホールド162の位置に設けられたガス通路部材27の本体部28および分岐部29の孔を経て、当該分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)を介して燃料電池スタック100の外部に排出される。また、各発電単位102の燃料室176から排出された燃料オフガスFOGは、図3および図5に示すように、燃料ガス排出連通孔143を介して燃料ガス排出マニホールド172に排出され、さらに燃料ガス排出マニホールド172の位置に設けられたガス通路部材27の本体部28および分岐部29の孔を経て、当該分岐部29に接続されたガス配管(図示しない)を介して燃料電池スタック100の外部に排出される。
【0044】
なお、本実施形態の燃料電池スタック100を構成する各発電単位102では、空気室166における酸化剤ガスOGの主たる流れ方向(図2に示すように、X軸正方向側からX軸負方向側に向かう方向)と燃料室176における燃料ガスFGの主たる流れ方向(図3に示すように、Y軸正方向側からY軸負方向側に向かう方向)とが交差している。すなわち、本実施形態の発電単位102(燃料電池スタック100)は、クロスフロータイプのSOFCである。
【0045】
A-3.IC用セパレータ180付近の詳細構成:
図4の拡大図を用いて、IC用セパレータ180付近の詳細構成について説明する。IC用セパレータ180は、Z軸方向において、フェルト部材41と、平板部150との間に配置されている。本実施形態において、フェルト部材41の下面S41は、その全面において、IC用セパレータ180の上面Su180に接しており、平板部150の上面S150(より詳しくは、Cr酸化物を含む酸化被膜層)に接していない。上述の通り、IC用セパレータ180は、アルミナにより形成された被膜層184を備えている。すなわち、IC用セパレータ180の上面Su180は、Z軸方向視におけるIC用セパレータ180とフェルト部材41との重なり部分である部分CP1を含む全面が、アルミナから形成されている。このため、フェルト部材41の下面S41は、その全面において、IC用セパレータ180のアルミナ層(被膜層184)に接している。より具体的には、Z軸方向視において、IC用セパレータ180における部分CP1は、部分OL(Z軸方向視におけるフェルト部材41と平板部150との重なり部分)を包含している。本実施形態では、Z軸方向視において、部分CP1の外縁は、部分OLの外縁を取り囲んでいる。このように、本実施形態では、Z軸方向において、フェルト部材41と平板部150との間には、アルミナ層(被膜層184)が介在している。なお、IC用セパレータ180の上面Su180は、特許請求の範囲における「第1の部材の表面のうちの周辺部材に対向する側の表面」に相当し、部分CP1は、特許請求の範囲における接触部分に相当し、部分OLは、特許請求の範囲における「導電性部材と周辺部材とが重なる部分」に相当する。
【0046】
また、本実施形態では、平板部150の上面S150は、部分CP2において、IC用セパレータ180の下面Sb180に接している。このため、平板部150の上面S150は、Z軸方向視におけるIC用セパレータ180と平板部150との重なり部分である部分CP2において、IC用セパレータ180のアルミナ層(被膜層184)に接している。
【0047】
A-4.本実施形態の効果:
以上説明したように、本実施形態の発電単位102は、電解質層112と、単セル110と、Z軸方向において、単セル110の燃料極116側に配置され、かつ、クロムを含む金属製の平板部150と、フェルト部材41とを備える。フェルト部材41は、燃料極116と平板部150とに面する燃料室176のうち、Z軸方向視において、領域OAの外側に位置する空間Sに配置されている。また、フェルト部材41は、ハロゲンとアルカリ金属とを含んでいる。本実施形態では、更に、Z軸方向において、フェルト部材41と平板部150との間にIC用セパレータ180が配置されている。IC用セパレータ180は、上面Su180が、アルミナから形成されている。本実施形態の発電単位102では、Z軸方向において、フェルト部材41と平板部150との間に配置されたIC用セパレータ180を備える。IC用セパレータ180は、上面Su180が、緻密性の高いアルミナから形成されている。このため、アルミナから形成されている上面Su180において、フェルト部材41の内部におけるアルカリ金属イオンやハロゲン化物イオンが、平板部150におけるCr酸化物を含む酸化被膜層に到達することを抑制することができる。従って、本実施形態の発電単位102によれば、平板部150におけるCr酸化物を含む酸化被膜層の異常化を抑制することができ、汚染物質による燃料極116の被毒により単セル110(ひいては、発電単位102)の性能が低下することを抑制することができる。
【0048】
本実施形態の上記発電単位102では、IC用セパレータ180には、Z軸方向視において、領域OAを包含する孔181が形成されている。また、IC用セパレータ180は、孔181を取り囲む貫通孔周囲部が、平板部150の周縁部に接合されることにより、燃料室176と、隣接する他の単セル110の空気極114に面する空気室166とを区画している。本実施形態の発電単位102によれば、IC用セパレータ180を、燃料室176と、隣接する他の単セル110における空気室166とを区画する部材としても機能させることができる。
【0049】
本実施形態の上記発電単位102では、Z軸方向視において、IC用セパレータ180における接触部分である部分CP1は、平板部150とフェルト部材41とが重なる部分OLを包含している。換言すれば、本実施形態の発電単位102では、IC用セパレータ180の上面Su180における、平板部150とフェルト部材41とが重なる部分OLの全面が、アルミナから形成されている。従って、本実施形態の発電単位102によれば、汚染物質による燃料極116の被毒により単セル110(ひいては、発電単位102)の性能が低下することを効果的に抑制することができる。
【0050】
本実施形態の上記発電単位102では、平板部150とIC用セパレータ180とが接する位置に、平板部150とIC用セパレータ180とを溶接により接合する溶接部300が形成されている。このため、本実施形態の発電単位102によれば、IC用セパレータ180が、平板部150に比較的強固に接合されるため、平板部150に対する固定位置からの位置ズレを抑制することができる。
【0051】
本実施形態の燃料電池スタック100は、上記発電単位102で構成されている。本実施形態の燃料電池スタック100によれば、平板部150におけるCr酸化物を含む酸化被膜層の異常化を抑制することができ、汚染物質による燃料極116の被毒により単セル110(ひいては、発電単位102)の性能が低下することを抑制することができる。
【0052】
B.変形例:
B-1.第1変形例:
図8(A)は、第1変形例における燃料電池スタック100Aの構成を概略的に示す説明図である。図8(A)には、図4の拡大図と同一の位置における第1変形例の燃料電池スタック100AのXZ断面構成が示されている。以下では、第1変形例の燃料電池スタック100Aの構成のうち、上述した実施形態の燃料電池スタック100と同一の構成については、その説明を適宜省略する。
【0053】
第1変形例の燃料電池スタック100Aは、フェルト部材41に代えて、フェルト部材41Aを備えている点で、上記実施形態の燃料電池スタック100と異なっている。フェルト部材41Aは、特許請求の範囲における周辺部材に相当する。
【0054】
第1変形例の燃料電池スタック100Aでは、フェルト部材41Aの下面S41Aは、Z軸方向視におけるIC用セパレータ180とフェルト部材41との重なり部分である部分CP1において、IC用セパレータ180の上面Su180に接しており、平板部150の上面S150(より詳しくは、Cr酸化物を含む酸化被膜層)に接していない。また、Z軸方向視におけるフェルト部材41Aと平板部150との重なり部分である部分OLの一部(部分CP1を除く部分)において、フェルト部材41Aの下面S41Aは、平板部150の上面S150に接している。すなわち、フェルト部材41Aの下面S41Aは、部分CP1において、IC用セパレータ180のアルミナ層(被膜層184)に接している。また、平板部150の上面S150は、Z軸方向視におけるIC用セパレータ180と平板部150との重なり部分である部分CP2において、IC用セパレータ180のアルミナ層(被膜層184)に接している。
【0055】
B-2.第2変形例:
図8(B)は、第2変形例における100Bの構成を概略的に示す説明図である。図8(B)には、図4の拡大図と同一の位置における第2変形例の燃料電池スタック100BのXZ断面構成が示されている。以下では、第2変形例の燃料電池スタック100Bの構成のうち、上述した実施形態の燃料電池スタック100と同一の構成については、その説明を適宜省略する。
【0056】
第2変形例の燃料電池スタック100Bは、フェルト部材41に代えて、フェルト部材41Bを備え、更に、板状部材200を備えている点で、上記実施形態の燃料電池スタック100と異なっている。フェルト部材41Bは、特許請求の範囲における周辺部材に相当し、板状部材200は、特許請求の範囲における第1の部材に相当する。
【0057】
板状部材200は、中央付近にZ軸方向に貫通する略矩形の孔201が形成されたフレーム状の部材であり、基部202と、被膜層204とから構成されている。基部202は、例えば、金属により形成されている。被膜層204は、基部202の表面を覆う部材であり、アルミナにより形成されている。また、孔201は、Z軸方向視において、電解質層112と、空気極114と、燃料極116とが互いに重なる領域を包含する貫通孔である。板状部材200は、Z軸方向視において、IC用セパレータ180の孔181に取り囲まれている。板状部材200は、インターコネクタ190(平板部150)の上面S150に、例えば溶接により接合されている。
【0058】
第2変形例の燃料電池スタック100Bでは、板状部材200は、Z軸方向において、フェルト部材41Bと、平板部150との間に配置されている。本変形例において、フェルト部材41Bの下面S41Bは、その全面において、板状部材200の上面Su200に接しており、平板部150の上面S150(より詳しくは、Cr酸化物を含む酸化被膜層)に接していない。上述の通り、板状部材200は、アルミナにより形成された被膜層204を備えている。すなわち、板状部材200の上面Su200は、Z軸方向視における板状部材200とフェルト部材41Bとの重なり部分である部分CP1を含む全面が、アルミナから形成されている。このため、フェルト部材41Bの下面S41Bは、その全面において、板状部材200のアルミナ層(被膜層204)に接している。より具体的には、Z軸方向視において、板状部材200における部分CP1は、部分OL(Z軸方向視におけるフェルト部材41Bと平板部150との重なり部分)と同等である。なお、板状部材200の上面Su200は、特許請求の範囲における「第1の部材の表面のうちの周辺部材に対向する側の表面」に相当し、部分CP1は、特許請求の範囲における接触部分に相当し、部分OLは、特許請求の範囲における「導電性部材と周辺部材とが重なる部分」に相当する。
【0059】
また、本変形例では、平板部150の上面S150は、部分CP2において、板状部材200の下面Sb200に接している。このため、平板部150の上面S150は、Z軸方向視における板状部材200と平板部150との重なり部分である部分CP2において、板状部材200のアルミナ層(被膜層204)に接している。
【0060】
B-3.第3変形例:
図9は、第3変形例における燃料電池スタック100Cの構成を概略的に示す説明図である。図9には、図4と同一の位置における第3変形例の燃料電池スタック100CのXZ断面構成が示されている。以下では、第3変形例の燃料電池スタック100Cの構成のうち、上述した実施形態の燃料電池スタック100と同一の構成については、その説明を省略する。
【0061】
第3変形例の燃料電池スタック100Cは、インターコネクタ190およびフェルト部材41に代えて、インターコネクタ190Cおよびフェルト部材41Cを備え、更に、板状部材210を備え、IC用セパレータ180を備えていない点で、上記実施形態の燃料電池スタック100と異なっている。フェルト部材41Cは、特許請求の範囲における周辺部材に相当し、板状部材210は、特許請求の範囲における第1の部材に相当する。
【0062】
インターコネクタ190Cは、略矩形の平板形状の平板部150Cと、平板部150Cから空気極114側に突出した複数の略柱状の空気極側集電部134とを有する導電性の部材であり、少なくともクロムを含む金属(例えば、フェライト系ステンレス)により形成されている。このため、インターコネクタ190C(具体的には、平板部150C)の上面S150Cには、Cr酸化物を含む酸化被膜層(図示せず)が形成される。インターコネクタ190CにおけるZ軸方向回りの周縁部には、上述したボルト22が挿通される連通孔108に対応する孔が形成されている。本変形例において、空気極側フレーム部材130は、単セル用セパレータ120における電解質層112に対向する側とは反対側の表面の周縁部と、インターコネクタ190Cにおける空気極114に対向する側の表面の周縁部とに接触している。また、本変形例において、燃料極側フレーム部材140は、単セル用セパレータ120における電解質層112に対向する側の表面の周縁部と、インターコネクタ190Cにおける燃料極116に対向する側の表面の周縁部とに接触している。
【0063】
板状部材210は、中央付近にZ軸方向に貫通する略矩形の孔211が形成されたフレーム状の部材であり、基部212と、被膜層214とから構成されている。基部212は、例えば、金属により形成されている。被膜層214は、基部212の表面を覆う部材であり、アルミナにより形成されている。また、孔211は、Z軸方向視において、電解質層112と、空気極114と、燃料極116とが互いに重なる領域を包含する貫通孔である。板状部材210は、燃料極側フレーム部材140の内縁に接するように配置されている。板状部材210は、インターコネクタ190C(平板部150C)の上面S150Cに、例えば溶接により接合されている。
【0064】
第3変形例の燃料電池スタック100Cでは、板状部材210は、Z軸方向において、フェルト部材41Cと、平板部150Cとの間に配置されている。本変形例において、フェルト部材41Cの下面S41Cは、その全面において、板状部材210の上面Su210に接しており、平板部150Cの上面S150C(より詳しくは、Cr酸化物を含む酸化被膜層)に接していない。上述の通り、板状部材210は、アルミナにより形成された被膜層214を備えている。すなわち、板状部材210の上面Su210は、Z軸方向視における板状部材210とフェルト部材41Cとの重なり部分である部分CP1を含む全面が、アルミナから形成されている。このため、フェルト部材41Cの下面S41Cは、その全面において、板状部材210のアルミナ層(被膜層214)に接している。より具体的には、Z軸方向視において、板状部材210における部分CP1は、部分OL(Z軸方向視におけるフェルト部材41Cと平板部150Cとの重なり部分)と同等である。なお、板状部材210の上面Su210は、特許請求の範囲における「第1の部材の表面のうちの周辺部材に対向する側の表面」に相当し、部分CP1は、特許請求の範囲における接触部分に相当し、部分OLは、特許請求の範囲における「導電性部材と周辺部材とが重なる部分」に相当する。
【0065】
また、本変形例では、平板部150Cの上面S150Cは、部分CP2において、板状部材210の下面Sb210に接している。このため、平板部150Cの上面S150Cは、Z軸方向視における板状部材210と平板部150Cとの重なり部分である部分CP2において、板状部材210のアルミナ層(被膜層214)に接している。
【0066】
第1から第3変形例においても、フェルト部材41A,41B,41Cの下面S41A,S41B,S41Cは、その少なくとも一部において、アルミナ層(被膜層184,204,214)に接している。このため、第1から第3変形例においても、平板部150におけるCr酸化物を含む酸化被膜層の異常化を抑制することができ、汚染物質による燃料極116の被毒により単セル110(ひいては、発電単位102)の性能が低下することを抑制することができる。
【0067】
B-4.その他の変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態および変形例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
【0068】
上記実施形態における燃料電池スタック100の構成や燃料電池スタック100を構成する各部分の構成は、あくまで一例であり、種々変形可能である。上記実施形態では、IC用セパレータ180および板状部材200,210は、その上面および下面の両方にアルミナ層(被膜層184,204,214)を有しているが、これに限定されず、上面のみにアルミナ層を有する構成としてもよい。また、アルミナ層は、当該上面のうち、フェルト部材41,41A,41B,41Cと接する少なくとも一部分に形成されていてもよい。
【0069】
上記実施形態では、フェルト部材41が、ハロゲンおよびアルカリ金属を含んでいる構成を採用したが、これに限定されず、ハロゲンとアルカリ金属との少なくとも一方を含む構成とすることができる。
【0070】
上記実施形態では、第1の部材に相当するIC用セパレータ180および板状部材200,210が、基部182,202,212と、基部182,202,212の表面を覆うアルミナにより形成された被膜層184,204,214と、から構成されているが、第1の部材の全体がアルミナにより形成されていてもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、一対のエンドプレート104,106に孔32,34が形成されているが、一対のエンドプレート104,106の少なくとも一方について該孔32,34が形成されていなくてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、インターコネクタ190,190Cは導電性の被覆層194を含んでいるが、インターコネクタ190,190Cが該被覆層194を含んでいなくてもよい。また、上記実施形態において、燃料電池スタック100に含まれる単セル110の個数(発電単位102の個数)は、あくまで一例であり、単セル110の個数は燃料電池スタック100に要求される出力電圧等に応じて適宜決められる。また、上記実施形態における各部材を構成する材料は、あくまで例示であり、各部材が他の材料により構成されていてもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、空気室166における酸化剤ガスOGの主たる流れ方向と燃料室176における燃料ガスFGの主たる流れ方向とが交差するクロスフロータイプを例に挙げて説明しているが、本発明は、他のタイプ(上記2つの流れ方向が略同一方向であるコフロータイプや上記2つの流れ方向が略反対方向であるカウンターフロータイプ等)にも適用可能である。
【0074】
また、上記実施形態では、燃料ガスに含まれる水素と酸化剤ガスに含まれる酸素との電気化学反応を利用して発電を行う燃料電池スタック100を対象としているが、本明細書に開示される技術は、水の電気分解反応を利用して水素の生成を行う固体酸化物形電解セル(SOEC)の構成単位である電解単セルを複数備える電解セルスタックにも同様に適用可能である。なお、電解セルスタックの基本的な構成は、例えば特開2016-81813号公報に記載されているように公知であるが、おおよそ以下の通りである。すなわち、電解セルスタックの構成は、上述した実施形態の燃料電池スタック100の構成において、「発電単位」を「電解セル単位」と読み替え、「単セル」を「電解単セル」と読み替え、「酸化剤ガス供給マニホールド」を「空気排出マニホールド」と読み替え、「酸化剤ガス排出マニホールド」を「空気供給マニホールド」と読み替え、「燃料ガス供給マニホールド」を「水素排出マニホールド」と読み替え、「燃料ガス排出マニホールド」を「水蒸気供給マニホールド」と読み替え、「酸化剤ガス供給連通孔」を「空気排出連通孔」と読み替え、「酸化剤ガス排出連通孔」を「空気供給連通孔」と読み替え、「燃料ガス供給連通孔」を「水素排出連通孔」と読み替え、「燃料ガス排出連通孔」を「水蒸気供給連通孔」と読み替えた構成である。
【0075】
電解セルスタックの運転の際には、空気極114がプラス(陽極)で燃料極(水素極)116がマイナス(陰極)となるように、一対のターミナルプレート70,80を介して電解セルスタックに電圧が印加される。また、ガス通路部材27を介して水蒸気供給マニホールドに原料ガスとしての水蒸気が供給される。なお、供給される水蒸気に、水素ガスが含まれていてもよい。水蒸気供給マニホールドに供給された水蒸気は、水蒸気供給マニホールドから各電解セル単位の水蒸気供給連通孔を介して燃料室176に供給され、各電解単セルにおける水の電気分解反応に供される。各電解単セルにおける水の電気分解反応により燃料室176で発生した水素ガスは、余った水蒸気と共に水素排出連通孔を介して水素排出マニホールドに排出され、水素排出マニホールドからガス通路部材27を経て電解セルスタックの外部に取り出される。
【0076】
また、電解セルスタックの運転の際には、電解セルスタックの温度の制御等のために、必要により空気が電解セルスタックの内部に供給される。この場合には、ガス通路部材27を介して空気供給マニホールドに供給された空気が、空気供給マニホールドから各電解セル単位の空気供給連通孔を介して、空気室166に供給される。空気室166に供給された空気は、空気極114で生成される酸素とともに空気排出連通孔を介して空気排出マニホールドに排出され、空気排出マニホールドからガス通路部材27を経て電解セルスタックの外部に排出される。
【0077】
このような構成の電解セルスタックにおいても、上記実施形態における燃料電池スタック100と同様の構成を採用することにより、上記実施形態における燃料電池スタック100の作用効果と同様の作用効果を奏する。
【0078】
また、上記実施形態では、固体酸化物形燃料電池(SOFC)を例に説明したが、本明細書に開示される技術は、溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)といった他のタイプの燃料電池(または電解セル)にも適用可能である。
【符号の説明】
【0079】
22:ボルト 22A:ボルト 22B:ボルト 22D:ボルト 22E:ボルト 24:ナット 26:絶縁シート 27:ガス通路部材 28:本体部 29:分岐部 32:孔 41:フェルト部材 41A:フェルト部材 41B:フェルト部材 41C:フェルト部材 70:上側ターミナルプレート 71:孔 78:突出部 80:下側ターミナルプレート 88:突出部 92:絶縁シート 100:燃料電池スタック 100A:燃料電池スタック 100B:燃料電池スタック 100C:燃料電池スタック 102:発電単位 103:発電ブロック 104:上側エンドプレート 106:下側エンドプレート 108:連通孔 110:単セル 112:電解質層 114:空気極 116:燃料極 120:単セル用セパレータ 121:孔 124:接合部 130:空気極側フレーム部材 131:孔 132:酸化剤ガス供給連通孔 133:酸化剤ガス排出連通孔 134:空気極側集電部 140:燃料極側フレーム部材 141:孔 142:燃料ガス供給連通孔 143:燃料ガス排出連通孔 144:導電性部 145:電極対向部 146:インターコネクタ対向部 147:連接部 148:燃料極側集電部材 149:弾性部 150:平板部 150C:平板部 161:酸化剤ガス供給マニホールド 162:酸化剤ガス排出マニホールド 166:空気室 171:燃料ガス供給マニホールド 172:燃料ガス排出マニホールド 176:燃料室 180:IC用セパレータ 181:孔 182:基部 184:被膜層 190:インターコネクタ 190C:インターコネクタ 194:被覆層 196:導電性接合材 200:板状部材 201:孔 202:基部 204:被膜層 210:板状部材 211:孔 212:基部 214:被膜層 300:溶接部 CP1:部分 CP2:部分 CP:部分 FG:燃料ガス FOG:燃料オフガス OA:領域 OG:酸化剤ガス OL:部分 OOG:酸化剤オフガス OP:穴 S150:上面 S150C:上面 S41:下面 S41A:下面 S41B:下面 S41C:下面 S:空間 SL:切り込み Sb180:下面 Su180:上面 Su200:上面 Su210:上面
図1
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図9