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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-19
(45)【発行日】2023-07-27
(54)【発明の名称】低密度フルオロポリマー発泡体
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/32 20060101AFI20230720BHJP
   C08J 9/12 20060101ALI20230720BHJP
   C08J 3/22 20060101ALI20230720BHJP
【FI】
C08J9/32 CEW
C08J9/12
C08J3/22
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2020514225
(86)(22)【出願日】2018-09-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-19
(86)【国際出願番号】 US2018049502
(87)【国際公開番号】W WO2019050915
(87)【国際公開日】2019-03-14
【審査請求日】2021-08-23
(31)【優先権主張番号】62/555,764
(32)【優先日】2017-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500307340
【氏名又は名称】アーケマ・インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】900 First Avenue,King of Prussia,Pennsylvania 19406 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】サエイド・ゼラファティ
(72)【発明者】
【氏名】ロナルド・パートリッジ
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー・エス・オブライエン
【審査官】芦原 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-278335(JP,A)
【文献】特開2008-127397(JP,A)
【文献】特表2012-525472(JP,A)
【文献】特開2005-121152(JP,A)
【文献】特表2007-533771(JP,A)
【文献】国際公開第98/036901(WO,A1)
【文献】特開2008-260242(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/00-9/42
B29C 44/00-44/60
C08L
C08K
C08J 3/00-3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フルオロポリマー発泡体構造であって、
ポリフッ化ビニリデン(PVDF)樹脂;
0.1~30重量%のミクロスフェア;
前記PVDF樹脂と相溶性を有する担体樹脂、
を含み、
前記ミクロスフェアが、前記PVDF樹脂と相溶性のあるアクリレート含有シェルを有し、前記PVDF樹脂は230℃、100S -1 で0.01~55.0Kpoiseの溶融粘度を有する、フルオロポリマー発泡体構造。
【請求項2】
前記PVDF樹脂が少なくとも51重量%のフッ化ビニリデンモノマー単位を有する、請求項1に記載のフルオロポリマー発泡体構造。
【請求項3】
前記ミクロスフェアが10~140μmの平均粒子径を有する、請求項1に記載のフルオロポリマー発泡体構造。
【請求項4】
前記発泡体が、1~20重量%の前記ミクロスフェアを含む、請求項1に記載のフルオロポリマー発泡体構造。
【請求項5】
さらに、耐衝撃性改良剤、UV安定剤、可塑剤、充填剤、着色剤、顔料、染料、酸化防止剤、帯電防止剤、界面活性剤、トナー、顔料、及び分散助剤、チャー形成剤、及び難燃剤からなる群から選択される1種以上の添加剤を含む、請求項1に記載のフルオロポリマー発泡体構造。
【請求項6】
前記PVDF樹脂が、少なくとも70重量%のフッ化ビニリデンモノマー単位及び0.1~30重量%のフルオロモノマー単位を有するポリフッ化ビニリデンコポリマーであり、
前記フルオロモノマー単位が、フッ化ビニル、トリフルオロエテン、テトラフルオロエテン、1種以上の部分的若しくは完全にフッ素化されたアルファオレフィン、3,3,3-トリフルオロ-1-プロペン、1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン、3,3,3,4,4-ペンタフルオロ-1-ブテン、及びヘキサフルオロプロペン、ヘキサフルオロイソブチレン、パーフルオロ化ビニルエーテル、パーフルオロメチルビニルエーテル、パーフルオロエチルビニルエーテル、パーフルオロ-n-プロピルビニルエーテル、パーフルオロ-2-プロポキシプロピルビニルエーテル、フッ素化ジオキソール、パーフルオロ(1,3-ジオキソール)、パーフルオロ(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソール)、及びフッ素化若しくは部分的にフッ素化されたアリルモノマーからなる群から選択される、
請求項1に記載のフルオロポリマー発泡体構造。
【請求項7】
前記PVDF樹脂が発泡されており、前記フルオロポリマー発泡体の密度が、発泡される前の前記PVDF樹脂の密度よりも75%低い密度未満である、請求項1に記載のフルオロポリマー発泡体構造。
【請求項8】
前記PVDF樹脂が発泡されており、発泡された前記PVDF樹脂の密度が、発泡される前の前記PVDF樹脂の密度よりも1~25%低い、請求項1に記載のフルオロポリマー発泡体構造。
【請求項9】
フルオロポリマー発泡体の製造に使用するためのマスターバッチであって、
前記マスターバッチは、5~95重量%の発泡性ミクロスフェア、及び95~5重量%の担体樹脂を含み、
前記担体樹脂は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)樹脂と相溶性がある、
マスターバッチ。
【請求項10】
232℃と100秒-1で、キャピラリーレオメトリーで測定した場合、前記担体樹脂が、それが添加されるPVDF樹脂の溶融粘度よりも少なくとも5倍低い溶融粘度を有するポリフッ化ビニリデンホモポリマー又はコポリマーである、請求項に記載のマスターバッチ。
【請求項11】
低密度フルオロポリマー発泡体を製造するための連続プロセスであって、順に、
a)任意に、担体ポリマー中に発泡性ミクロスフェアを含む1種以上のマスターバッチを形成する工程、
b)前記ミクロスフェア、及びポリフッ化ビニリデンポリマーを、任意にプレブレンドしてから、押出機に添加する工程、
c)前記ミクロスフェア/ポリフッ化ビニリデンポリマーブレンドを押出機で混合して処理する工程、
d)ポリフッ化ビニリデンポリマー発泡体を押出機から1つ以上のダイを通して押し出す工程、
e)ポリフッ化ビニリデンポリマー発泡体を処理及び形成する工程、
f)発泡体を最終製品に切断する工程、
を含むプロセス。
【請求項12】
前記押出機中のミクロスフェア及びポリフッ化ビニリデンのレベルは、前記ミクロスフェアについて0.1~30重量%であり、マトリックスポリマーとしての前記ポリフッ化ビニリデンポリマーについて70~99.5重量%である、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
前記ミクロスフェアがマスターバッチの一部である場合、前記マスターバッチは、5~95重量%の発泡性ミクロスフェア、及び95~5重量%の担体樹脂を含む、請求項11に記載のプロセス。
【請求項14】
前記押出機が二軸スクリュー押出機である、請求項11に記載のプロセス。
【請求項15】
前記形成工程e)がキャリブレータを含む、請求項11に記載のプロセス。
【請求項16】
低密度フルオロポリマー発泡体を製造するための非連続プロセスであって、順に、
a)任意に、担体ポリマー中に発泡性ミクロスフェアを含む1種以上のマスターバッチを形成する工程、
b)前記ミクロスフェア、及びポリフッ化ビニリデンポリマーを、任意にプレブレンドしてから、押出機に添加する工程、
c)前記ミクロスフェア/ポリフッ化ビニリデンポリマーブレンドを押出機で混合して処理する工程、
d)ポリフッ化ビニリデンポリマー発泡体を押出機からモールドに押し出す工程、
e)発泡体をモールド内で定着させ、成形品を形成する工程、
f)前記成形品を外す工程、
を含むプロセス。
【請求項17】
前記プロセスが、射出成形又は回転成形プロセスである、請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
前記発泡体構造が、石油とガス、ワイヤーとケーブル、航空宇宙、輸送、化学製造、建築と建設、飲料、医療、製薬又は化粧品産業で使用される、請求項1に記載のフルオロポリマー発泡体構造。
【請求項19】
前記発泡体構造が、難燃性絶縁体、光ファイバーのジャケット、ワイヤーとケーブル用途のジャケット、カプセル封止、充填剤、マイクロダクト導管、プレナム導管、化学製造装置、チューブ、配管、建築と建設、ガスケット、シール、薄い強靭な発泡フィルム、及び耐薬品性と難燃性テープからなる群から選択される、請求項1に記載のフルオロポリマー発泡体構造。
【請求項20】
前記発泡体構造がケーブルの部品であり、前記発泡体の導入により改善された剥離性を有する、請求項18に記載のフルオロポリマー発泡体構造。
【請求項21】
前記発泡体構造が、耐熱性及びクリープ特性を改善するために、電子ビームその他の方法によって架橋されている、請求項18に記載のフルオロポリマー発泡体構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低密度フルオロポリマー発泡体、好ましくはポリフッ化ビニリデン(PVDF)発泡体、及びその発泡体から作製された製品に関する。発泡体は、発泡剤を含むミクロスフェアをポリマーに添加し、それを押出機で処理することによって製造される。ミクロスフェアは、物理的な発泡剤を含むハードシェルからなる。シェルは加温により軟化し、発泡剤とミクロスフェアの膨張を可能にして、ポリマーマトリックス内により大きなボイドを生じさせる。ポリマー組成、粘度、処理温度、発泡剤の選択、負荷率、及び仕上げ条件を適切に制御することにより、発泡PVDFパイプ、チューブ、異形材、フィルム、ワイヤージャケットなどの有用な製品を製造できる。ミクロスフェアは、いくつかの手段によって、例えば相溶性ポリマー担体を有するマスターバッチの一部として、フルオロポリマーマトリックスに添加され得る。
【背景技術】
【0002】
フルオロポリマー、特にポリフッ化ビニリデンは、多くの用途で最適な材料となる多くの好ましい物理的特性を備えている。ポリフッ化ビニリデン(PVDF)は、優れた靭性と高い弾性を持ち、高い耐薬品性、耐候性、透過性、及び難燃性を備えている。コーティング用途と溶融加工可能な用途の両方で広く使用されている。PVDF樹脂は、ほとんどの熱成形プロセスで、成形品、押出し異形材、及びフィルムを含むがこれらに限定されない製品を製造するために使用できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
残念ながら、PVDFは比較的密度が高く、多くの汎用ポリマー樹脂よりも高価になる可能性がある。
【0004】
その優れた物理的及び化学的特性を、ほとんど又はまったく低下させることなく、PVDFの密度を低下させ、コストを削減することが望まれている。
【0005】
PVDFの密度を下げる1つの方法は、PVDF発泡体(PVDF foam)を形成することである。残念ながら、溶融強度が低く、溶融状態でのセル形成を制御することが困難なため、PVDFの発泡は基本的に、バッチプロセス、サポートを用いた発泡、又はラテックス凍結などの特殊なプロセスのいずれかに限定されている。バッチプロセスでは、固体PVDFが最初に、典型的には押出しによってフィルムに形成され、放射線によって架橋され、長時間、圧力下のガスに浸され、その後、高い温度で発泡され、典型的にはスラブに発泡される。この方法を使用して、固形の外皮を有する、パイプなどの中空又は長い製品を作製することはできない。サポート発泡技術では、不十分な溶融強度を克服するために、発泡ポリマーが崩壊するのを防ぐために、担体又はワイヤー上又はその周りに押し出される。この場合に押し出された発泡体は、担体のサポートなしではそれ自体を保持することができず、特に大きなサイズの用途ではなおさらである。したがって、製品のサイズを調整したり、中空で自己支持できる異形材を作製したりすることはできない。その結果、この技術はPVDFワイヤーコーティングの製造にのみ限定される。
【0006】
US4,781,433は、光ファイバーケーブル用の発泡PVDFジャケットについて述べている。PVDFは、発泡剤濃縮物を使用して形成され、移動するワイヤー上に直接押し出される発泡PVDFに作製される。PVDF発泡体は、サイジングされておらず、自己支持性(self-supporting)もない。
【0007】
US7,081,216は、PVDFエマルジョンを凍結し、続いて解凍することによるPVDF発泡体の形成を記載している。このプロセスは、固形外皮を有する中空又は長くて薄い製品の製造には有用ではない。
【0008】
国際公開第08/137393号は、導管として有用な発泡PVDF管状製品を記載している。サイジング、溶融粘度、核剤は記載されていない。
【0009】
溶融強度の問題を克服してコストを削減する1つの方法は、結晶化度を下げて発泡プロセスを改善するために、アクリルなどの他のポリマーとPVDFアロイを形成することである。このようなブレンドは、主にフルオロポリマーの高い結晶化度に起因するPVDF発泡体の特性による利点を損なうことになる。したがって、劣った特性を有する他のポリマーを添加することによるPVDF発泡体の特性の希釈なしに、PVDF発泡体を製造することが強く望ましい。
【0010】
PVDF自己支持性の発泡体は、US2012-0045603に記載されており、化学的発泡剤を含むマスターバッチを使用し、その後サイジング作業が行われる。
【0011】
従来の発泡ポリマーは、化学的又は物理的発泡剤を使用して生成されていた。化学的発泡剤の場合、化学物質を分解温度以上に加熱して分解させることによりガスが生成される。物理的発泡剤の場合、ガスはその融点に近いか、又はそれより高いポリマーマトリックスに直接導入される。バッチプロセスは主に物理的発泡剤を使用するが、どちらのタイプの発泡剤も連続又はバッチ発泡プロセスの両方で使用できる。化学的発泡剤は主に高密度発泡体(50%までの密度低下)に使用されるが、物理的発泡剤は軽い発泡体(10倍以上の密度低下)を生成できる。
【0012】
最近、発泡性ミクロスフェアの形態で、ポリマーを発泡させる新しい手段が開発された。US7879441は、押出機内でアクリレート不溶性ポリマーマトリックスに発泡性ミクロスフェアを添加することにより作製された発泡体製品を記載している。混合物は、押出機で発泡させて、発泡製品を製造するか、又は比較的未発泡のままにして、所定の場所で発泡させることができる。用途は主に粘着テープである。US2015/0322226は、ポリマーを発泡させるためのミクロスフェアの使用についても説明している。フルオロポリマーは含まれていない。これらのミクロスフェアも含み、ほとんどの材料をフルオロポリマーマトリックスに均一に分散させるのは難しいことが知られている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
驚くべきことに、低密度のフルオロポリマー発泡体、特にPVDF発泡体が、発泡性ミクロスフェアを使用して形成できることがわかった。ポリマーの粘度、処理条件、発泡剤の添加、及びサイジング条件を適切に選択することにより、最終的な仕様に合うサイズの発泡製品を、キャリブレーションプロセスを使用して得られる。フルオロポリマーとミクロスフェアは、単独で、又は調合されたマスターバッチの一部として、フルオロポリマーマトリックスに効果的に分散し、連続押出プロセス中、又は製品化後の形成プロセス中に発泡できる。フルオロポリマー相溶性担体樹脂を有するマスターバッチは、ミクロスフェアをフルオロポリマーに均一に分布させて、セル及び密度の均一な分布を有する発泡体を生成する手段を提供する。
【0014】
本発明により形成された独立気泡発泡体は、驚くべきことに、非常に滑らかな表面を有する。最大80%の密度低下が得られている。ミクロスフェアは有機液体を含むが、本発明によって形成される発泡体は難燃性である。
【0015】
さらに、驚くべきことに、この同じ発明を用いて、低粘度及び高粘度の両方のフルオロポリマーを容易に発泡させることができることが見出された。「射出成形」グレードの粘度の樹脂及び「押出成形」グレードの粘度の樹脂は、両方とも、本発明の技術を使用して発泡させることができる。物理的発泡剤を使用する場合、効果的に発泡できるのは、押出又は「高溶融強度」ポリマーのみである。粘度が低いと、大きなマクロボイドが発生したり、発泡後に発泡体が崩れたりする。
【0016】
発泡製品は、追加の加工助剤や添加剤なしで簡単に形成できる。製品は、さまざまな成形装置を使用して成形したり、ワイヤーや金属パイプなどの担体に押し出したりできる。本発明のフルオロポリマー発泡体は、フルオロポリマーから期待される耐薬品性に加えて、低密度、難燃性及び優れた断熱特性を有し、パイプ、チューブ、異形材、ジャケットフィルム、波付管、又は輸送、ワイヤー及びケーブル、化学製造、航空宇宙、建築及び建設、及びシール及びガスケットの産業における類似の製品として有用である。
【0017】
低密度発泡体を生成することに加えて、この技術は、達成される密度低下と相関する目標特性を有する製品を作製するために有用である。本発明が、膨張可能なミクロスフェアの添加率と直接相関する1~70%の再現可能な密度低下をもたらす能力により、この技術を使用して、特定の用途に必要な物理的及び機械的特性を調整することが可能になる。密度低下を制御可能ということは、曲げ特性、引張特性、衝撃特性、耐切断性(ストリッピング性)、誘電特性、透過特性、熱特性など、多くの特性を調整するのに役立つ。
【0018】
本発明は、低密度フルオロポリマー発泡体、発泡体の製造方法、及び発泡体から形成された製品に関する。
【0019】
この明細書内では、実施形態は、明快かつ簡潔な明細書を書くことができるように記載されているが、実施形態は、本発明から離れることなく様々に組み合わせたり、分離したりできることが意図され、理解される。例えば、本明細書に記載されているすべての好ましい特徴は、本明細書に記載されている本発明のすべての態様に適用可能であることが理解される。
【0020】
本発明の側面は以下を含む。
1.
以下を含むフルオロポリマー発泡体構造:
60~99.9重量%のフルオロポリマー、及び
0.1~40重量%、好ましくは0.5~30重量%、より好ましくは1~20重量%の残部発泡ミクロスフェア。
2.
前記フルオロポリマーが少なくとも51重量%のフッ化ビニリデンモノマー単位を有する、側面1に記載のフルオロポリマー発泡体構造。
3.
前記ミクロスフェアが、前記フルオロポリマーと相溶性のあるアクリルシェルを有する、側面1又は2に記載のフルオロポリマー発泡体構造。
4.
前記ミクロスフェアが10~140μmの平均粒子径を有する、側面1~3のいずれかに記載のフルオロポリマー発泡体構造。
5.
さらに、耐衝撃性改良剤、UV安定剤、可塑剤、充填剤、着色剤、顔料、染料、酸化防止剤、帯電防止剤、界面活性剤、トナー、顔料、及び分散助剤、チャー形成剤、及び難燃剤からなる群から選択される1種以上の添加剤を含む、側面1~4のいずれかに記載のフルオロポリマー発泡体構造。
6.
前記フルオロポリマーが、少なくとも70重量%のフッ化ビニリデンモノマー単位及び0.1~30重量%のフルオロモノマー単位を有するポリフッ化ビニリデンコポリマーであり、
前記フルオロモノマー単位が、フッ化ビニル、トリフルオロエテン、テトラフルオロエテン、1種以上の部分的若しくは完全にフッ素化されたアルファオレフィン、3,3,3-トリフルオロ-1-プロペン、1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン、3,3,3,4,4-ペンタフルオロ-1-ブテン、及びヘキサフルオロプロペン、ヘキサフルオロイソブチレン、パーフルオロ化ビニルエーテル、パーフルオロメチルビニルエーテル、パーフルオロエチルビニルエーテル、パーフルオロ-n-プロピルビニルエーテル、パーフルオロ-2-プロポキシプロピルビニルエーテル、フッ素化ジオキソール、パーフルオロ(1,3-ジオキソール)、パーフルオロ(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソール)、及びフッ素化若しくは部分的にフッ素化されたアリルモノマーからなる群から選択される、
側面1~5のいずれかに記載のフルオロポリマー発泡体構造。
7.
前記発泡体が、未発泡のフルオロポリマーの密度よりも75%低い密度未満、好ましくは50%低い密度未満、好ましくは35%低い密度未満、さらには25%低い密度未満の密度を有する、側面1~6のいずれかに記載のフルオロポリマー発泡体。
8.
フルオロポリマー発泡体の製造に使用するためのマスターバッチであって、
前記マスターバッチは、5~95重量%、好ましくは40~70重量%の発泡性ミクロスフェア、及び95~5重量%、好ましくは30~60重量%の担体樹脂を含み、
前記担体樹脂は、フルオロポリマーマトリックスと相溶性がある、
マスターバッチ。
9.
232℃と100秒-1で、キャピラリーレオメトリーで測定した場合、前記担体樹脂が、それが添加されるポリフッ化ビニリデンマトリックスポリマーの溶融粘度よりも少なくとも5倍低い溶融粘度を有するポリフッ化ビニリデンホモポリマー又はコポリマーである、側面8に記載のマスターバッチ。
10.
低密度フルオロポリマー発泡体を製造するための連続プロセスであって、順に、
a)任意に、担体ポリマー中に発泡性ミクロスフェアを含む1種以上のマスターバッチを形成する工程、
b)前記ミクロスフェア、及びポリフッ化ビニリデン樹脂を、任意にプレブレンドしてから、押出機に添加する工程、
c)前記ミクロスフェア/PVDFブレンドを押出機で混合して処理する工程、
d)PVDF発泡体を押出機から1つ以上のダイを通して押し出す工程、
e)PVDF発泡体を処理及び形成する工程、
f)発泡体を最終製品に切断する工程、
を含むプロセス。
11.
前記押出機中のミクロスフェア及びポリフッ化ビニリデンのレベルは、前記ミクロスフェアについて0.1~30重量%、好ましくは1~20重量%であり、マトリックスポリマーとしての前記ポリフッ化ビニリデンポリマーについて70~99.5重量%、好ましくは80~99重量%である、側面10に記載のプロセス。
12.
前記ミクロスフェアがマスターバッチの一部である場合、前記マスターバッチは、5~95重量%、好ましくは40~70重量%の発泡性ミクロスフェア、及び95~5重量%、好ましくは30~60重量%の担体樹脂を含む、側面10又は11に記載のプロセス。
13.
前記押出機が二軸スクリュー押出機である、側面10~12のいずれかに記載のプロセス。
14.
前記形成工程e)がキャリブレータを含む、側面10~13のいずれかに記載のプロセス。
15.
低密度フルオロポリマー発泡体を製造するための非連続プロセスであって、順に、
a)任意に、担体ポリマー中に発泡性ミクロスフェアを含む1種以上のマスターバッチを形成する工程、
b)前記ミクロスフェア、及びポリフッ化ビニリデン樹脂を、任意にプレブレンドしてから、押出機に添加する工程、
c)前記ミクロスフェア/PVDFブレンドを押出機で混合して処理する工程、
d)PVDF発泡体を押出機からモールドに押し出す工程、
e)発泡体をモールド内で定着させる工程、
f)成形品をモールドから外す工程、
を含むプロセス。
16.
前記成形プロセスが、射出成形又は回転成形プロセスである、請求項15に記載のプロセス。
17.
側面1~7のいずれかに記載のフルオロポリマー発泡体で作られた製品、又は請求項10~16のいずれかに記載のプロセスにより作られた製品であって、前記製品が、石油とガス、ワイヤーとケーブル、航空宇宙、輸送、化学製造、建築と建設、飲料、医療、製薬又は化粧品産業で使用される、製品。
18.
前記製品が、難燃性絶縁体、光ファイバーのジャケット、ワイヤーとケーブル用途のジャケット、マイクロダクト導管、プレナム導管、化学製造装置、チューブ、配管、建築と建設、ガスケット、シール、薄い強靭な発泡フィルム、及び耐薬品性と難燃性テープからなる群から選択される、側面17に記載の製品。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の発泡体で作られた熱成形発泡体カップを示す。
図2】本発明の発泡体で作られた熱成形発泡体サンプルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
「コポリマー」は、2つ以上の異なるモノマー単位を有するポリマーを意味するために使用される。「ポリマー」は、ホモポリマーとコポリマーの両方を意味するために使用される。例えば、本明細書で使用される場合、「PVDF」及び「ポリフッ化ビニリデン」は、特に明記されない限り、ホモポリマー及びコポリマーの両方を包含するために使用される。ポリマーは、直鎖、分岐、星型、櫛型、ブロック型、又はその他の構造であり得る。ポリマーは、均質、不均質であり得、コモノマー単位の勾配分布を有し得る。引用されたすべての参考文献は、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書で使用される場合、別段の記載がない限り、「%」は「重量%」を意味するものとする。分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定される重量平均分子量をいう。ポリマーにいくつかの架橋が含まれ、不溶性のポリマー部分によりGPCを適用できない場合、ゲルからの抽出後の可溶性部分/ゲル部分又は可溶性部分の分子量が使用される。GPCの代替として使用される分子量の定量化は、メルトフローレート(MFR)又は100秒-1で測定した溶融粘度(MV)である。前者について、分子量(MW)が高いほど、MFRが低くなり、後者について、MWが高い樹脂ほど、MVが高くなる。溶融粘度について、「押出し」グレードの製品は、PVDFポリマーの場合、最もよくあるのは、232、100秒-1において12~30kpoiseのMVを有するものである。「射出成形」グレードでは、MVが3~11kpoiseになる。物理的発泡の場合、最も関心のある範囲は通常、232、100秒-1において17~28kpoiseである。
【0023】
(発泡性ミクロスフェア)
ミクロスフェアは、さまざまな液体又は気体をカプセル化できるポリマーシェルを持つ小さな中空粒子ある。本発明における発泡性ミクロスフェアは、典型的には粉末であり、未発泡形態又は発泡形態であり得る。加熱すると、ポリマーシェルが軟化し、球体の液体の状態が変化して、高圧の大量のガスが生成され、これにより、ミクロスフェアが著しく膨張する。
【0024】
球体は、さまざまな直径(典型的には、広いサイズ分布を伴う)、シェル厚さ、シェル組成(典型的には、軽度に架橋されたアクリレート、メタクリレート、及びそれらのアクリロニトリルとのコポリマー)を有することができ、また、さまざまな液体又は気体(典型的には、イソオクタン、イソブテン、イソペンタン、又はそれらの混合物)を含むことができる。例えば、Akzo Nobel Expancel(登録商標)製品と、例えばUS3615972、US6509384、又はUS8088482に記載される球体がある。ミクロスフェアは、内部及び表面の両方に、微細に分散した有機又は非有機材料をさらに含むことができる。ミクロスフェアは、さまざまな粒子径と分布でいくつかのメーカーから市販されている。一般に、ミクロスフェアは10~140μm、より好ましくは20~120μmの平均粒子径を持ち、発泡前のシェルの厚さは数μmで、発砲後の平均直径が数十μmでシェル厚さが1μm未満が典型的である。
【0025】
発泡性ミクロスフェアを使用してフルオロポリマー発泡体を形成することに、いくつかのプロセス上の利点がある。1)ガス/ポリマーマトリックスの相互作用が少なくなり、溶解ガスによる溶融強度の低下に対する懸念が軽減される。2)溶解性、拡散性、透過性に代表される、発泡ガスとポリマーの相溶性はそれほど重要ではない。これにより、セルの発生と成長の現象をポリマー/ガスの相溶性から切り離すことができる。3)押出機の温度プロファイルは、純粋なポリマー押出で使用される温度プロファイルにより近づけることができ、処理ウィンドウは、ガス状発泡剤又は化学的発泡剤使用の場合と比較して広い。4)発泡ガスによって形成された気泡は通常、破裂せず、大きなボイドに合体しないが、ガス注入及び化学的発泡剤の両方からのガス状物理的発泡剤では発生する可能性がある。5)発泡体内のセルサイズ分布は、ミクロスフェア粒子の粒子サイズ分布に相関する。したがって、混合物を長時間高温に保つと、形成された気泡内のガスが薄いシェルからポリマーマトリックスに逃げ、気泡が崩壊するため、プロセスの温度と滞留時間の組み合わせに特に注意する必要がある。プロセスの温度と滞留時間の制御は、良好な独立発泡体を形成するために重要である。6)ミクロスフェアでは、核剤を添加する必要はない。本発明のミクロスフェア発泡は、連続又はバッチ発泡プロセスで使用することができる。
【0026】
発泡性ミクロスフェアがアクリレート含有シェルを有する場合、アクリルポリマーは溶融物中のPVDFと少なくとも部分的に混和性があるため、溶融プロセスによるPVDFマトリックスへの分散はより簡単かつ完全であり、かつ均一に分散される。混和性は、DSCデータ及び透明な混合物によって示すことができる。不溶性又は非混和性の材料は、一般に2相の形態になり、通常は不透明である。
【0027】
組成物で使用するための特定のミクロスフェアの選択は、ポリマーマトリックス、処理温度、粘度、及び必要なセルのサイズと構造に基づいて決定される。発泡形態若しくは非発泡形態、又は両方の組み合わせのミクロスフェアの任意の適切な割合を製剤に使用することができる。一般に、最終発泡製品中のミクロスフェアのレベルは、0.1~40重量%、好ましくは0.5~30重量%、より好ましくは1~20重量%の範囲である。2種以上の異なる平均粒子サイズのミクロスフェア、2種以上の異なるミクロスフェア発泡剤化学的性質、2種以上の異なる活性化温度、又はこれらの異なるミクロスフェアのいくつかの組み合わせを含む、2つ以上のタイプのミクロスフェアのブレンドが本発明で想定される。
【0028】
さらに、物理的又は化学的発泡剤と組み合わせたミクロスフェアの使用も想定される。
【0029】
作製される発泡体構造の密度及びその他の特性に対する発泡ミクロスフェアの装填量の直接的な影響がある。得られた適切な処理条件と低レベルの発泡ミクロスフェアの装填量により、押出物がダイを出るときに、気泡の形成が最小限になり、表面が滑らかになる。発泡ミクロスフェアのレベルが高すぎると、押出物がすぐに過剰に発泡し、溶融強度が劇的に低下し、粗い表面仕上げが生成されてしまう。ミクロスフェアによる発泡では、気泡の発生はダイの内部で発生する可能性があり、好ましくない処理条件下では、表面又は製品の内部に不均一な、崩壊した、又は破裂したセルが発生する。適切な量の発泡性濃縮物と適切な処理条件により、材料がダイを出るときに、軽い質感の滑らかな表面が生成されます。
【0030】
(マスターバッチ)
ミクロスフェアとフルオロポリマーマトリックスポリマーを直接組み合わせることはできるが、1つの好ましい実施形態では、ミクロスフェアは、取り扱いを容易にするためにポリマー担体と組み合わされ、例えば押出しプロセスで簡単に使用できるペレットを製造する場合などの取り扱いを容易にする。ポリマー担体は、発泡性ミクロスフェアの活性化温度より低い融点を持つ必要がある。有用なポリマー担体は、最適には、発泡されるフルオロポリマーマトリックスと相溶性又は混和性を有する必要がある。いくつかの有用な担体ポリマーには、エチレンビニルアセテート、アクリル、熱可塑性ウレタン(TPU)、又は他の低融点のフルオロポリマー、又はマスターバッチが添加されるマトリックスフルオロポリマー(PVDF)より低い粘度を有するホモポリマー若しくはコポリマーが含まれるが、これらに限定されない。マスターバッチ組成物は任意の形態であってよく、粉末、ペースト、又はペレットが好ましい。ミクロスフェア及び担体ポリマーに加えて、他の添加剤をマスターバッチにブレンドすることができる。マスターバッチに有用な添加剤には、充填剤、着色剤又は他の添加剤が含まれるが、これらに限定されない。本発明はまた、それぞれが異なる成分を含むか、又は異なるレベルの同じ成分を含む2種以上のマスターバッチの使用を想定する。
【0031】
マスターバッチ中の発泡性ミクロスフェアのレベルは、5%~95%、好ましくは10%~75%、最も好ましくは40%~70%の範囲である。フルオロポリマーマトリックスと共に使用されるこのマスターバッチの量は、0.01~90%、好ましくは0.05~30%、最も好ましくは0.1~15%の範囲である。
【0032】
(フルオロポリマー)
本発明のフルオロポリマーは、少なくとも50重量%の1種以上のフルオロモノマーを含むポリマーを含むが、これらに限定されない。本発明において使用される「フルオロモノマー」という用語は、フリーラジカル重合反応を受けることができるフッ素化されたオレフィン系不飽和モノマーを意味する。本発明において使用するための適切な例示的なフルオロモノマーは、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン(TFE)、エチレンテトラフルオロエチレン、及びヘキサフルオロプロピレン(HFP)並びにそれぞれのコポリマーを含むが、これらに限定されない。好ましいフルオロポリマーは、ポリフッ化ビニリデンホモポリマー若しくはコポリマー、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、パーフルオロ化エチレン-プロピレンコポリマー(EFEP)、及びポリテトラフルオロエチレンホモポリマー若しくはコポリマーである。テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロペン及びフッ化ビニリデンモノマー単位を有するものなどのターポリマーを含む、フルオロターポリマーも考えられる。最も好ましくは、フルオロポリマーはポリフッ化ビニリデン(PVDF)である。本発明は、PVDFに関して例示されるが、当業者は、PVDFという用語が例示される場合、他のフルオロポリマーも表され得ることを認識するであろう。
【0033】
本発明のポリフッ化ビニリデン(PVDF)は、PVDFホモポリマー、コポリマー又はポリマーアロイである。本発明のポリフッ化ビニリデンポリマーは、フッ化ビニリデン(VDF)を重合することにより製造されるホモポリマー、並びにフッ化ビニリデンのコポリマー、ターポリマー及びより高次のポリマーを含み、フッ化ビニリデン単位は、ポリマー中のすべてのモノマー単位の総重量の51%を超え、好ましくは70%を構成し、より好ましくは、モノマー単位の総重量の75%を超える。フッ化ビニリデンのコポリマー、ターポリマー及びより高次のポリマー(一般に本明細書ではまとめて「コポリマー」と呼ばれる)は、フッ化ビニリデンを、以下からなる群からの1種以上のモノマーと反応させることによって作成できる:フッ化ビニル;トリフルオロエテン;テトラフルオロエテン;1種以上の部分的又は完全にフッ素化されたアルファオレフィン、例えば3,3,3-トリフルオロ-1-プロペン、1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン、3,3,3,4,4-ペンタフルオロ-1-ブテン、及びヘキサフルオロプロペン、部分的にフッ素化されたオレフィンのヘキサフルオロイソブチレン;パーフルオロメチルビニルエーテル、パーフルオロエチルビニルエーテル、パーフルオロ-n-プロピルビニルエーテル、及びパーフルオロ-2-プロポキシプロピルビニルエーテルなどのパーフルオロ化ビニルエーテル;パーフルオロ(1,3-ジオキソール)及びパーフルオロ(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソール)などのフッ素化ジオキソール;アリル、部分的にフッ素化されたアリル、又は2-ヒドロキシエチルアリルエーテル若しくは3-アリルオキシプロパンジオールなどのフッ素化アリルモノマー;及びエテン又はプロペン。好ましいコポリマー又はターポリマーは、フッ化ビニル、トリフルオロエテン、テトラフルオロエテン(TFE)、及びヘキサフルオロプロペン(HFP)で形成される。
【0034】
好ましいコポリマーには、約55~約99重量%のVDF、それに対応して約1~約45重量%のHFP、好ましくは2~30重量%のHFPレベルを有するもの;VDFとCTFEのコポリマー;VDF/HFP/TFEのターポリマー;及びVDFとEFEPのコポリマーが含まれる。
【0035】
本出願では、230℃、100S-1で0.01~55.0Kpoiseの溶融粘度を持つPVDF樹脂を使用できる。好ましい粘度範囲は、0.01~20.0Kpoise、より好ましくは1.0~12.0Kpoiseである。
【0036】
本発明のPVDFは、PVDFと、混和性、半混和性、又は相溶性ポリマーとのアロイであってもよい。PVDFのほとんどのアロイはPVDF特性のいくらかの低下をもたらすため、好ましいPVDFはアロイではないものとする。しかし、少量の他のポリマーを、PVDFポリマーアロイ全体に対し最大25%添加できる。他のフルオロポリマー(例えばポリフッ化ビニルやPTFE)、TPU、及び(メタ)アクリルポリマーは、有用なポリマーアロイを構成し得る有用なポリマーの例である。
【0037】
(他の添加剤)
本発明の発泡体を形成するために必須なものはフルオロポリマー及び発泡性ミクロスフェアのみであるが、他の添加剤もまた、マスターバッチ中、マトリックス組成物中、又は別個の添加剤として、存在し得る。他の有用な添加剤には、充填剤、着色剤又は他の添加剤が含まれる。核剤を任意に組成物に使用してもよいが、核剤なしで良好な発泡体を形成することができる。
【0038】
(プロセス)
本発明のミクロスフェアで作製されるフルオロポリマー発泡体は、連続プロセス又は非連続プロセスで形成され得る。
【0039】
発泡性ミクロスフェアを使用して発泡体を形成するための一般的な連続手順には、次の工程が含まれる。なお、より好ましいPVDFは、PVDFと他のフルオロポリマーの両方を表すために使用される:a)任意に、担体ポリマー中に上記ミクロスフェアを含むマスターバッチを形成する工程、b)前記ミクロスフェア、及び上記PVDFを、任意にプレブレンドしてから、押出機に添加する工程、c)前記ミクロスフェア/PVDFブレンドを押出機で混合して処理する工程、d)PVDF発泡体を押出機から押し出す工程、e)前記PVDF発泡体を処理及び形成する工程、f)前記発泡体を最終製品に切断する工程。
【0040】
マスターバッチの形成は、任意であるが、好ましい最初のステップである。1種以上のマスターバッチは、ミクロスフェア、担体ポリマー、及び任意の他の添加剤を含み、上記のように、ペースト、粉末又はペレットに形成される。
【0041】
ミクロスフェアは、単独で、又は1種以上のマスターバッチの形で、PVDFマトリックスポリマーと組み合わされる。ブレンドは、押出機に入れる前のドライブレンド又はタンブリング操作を含むことができ、あるいは、ブレンドは押出機内で行うことができる。適切な量のミクロスフェアを添加することが重要である。得られた混合物は、溶融強度が低く、純粋なポリマーとは異なるレオロジー挙動を示す。その理由は、通常、押出成形機の末端近くで発泡体が形成され始め、排出される前にダイ内で十分に発達するためである。驚くべきことに、この挙動は、組成物がダイを通して押出機を出た後に発泡体が形成される化学的及び物理的発泡剤技術とは非常に異なる。押出機内での発泡は、安定性の問題を引き起こし、不均一で大きな、場合によっては崩壊したセルをもたらす可能性がある。さらに、慎重な処理パラメーターを選択しないと、表面仕上げに悪影響が及ぶ可能性がある。押出機でポリマーを溶融するのに十分な熱を生成することと、その温度でミクロスフェアを膨張させるのに適切な滞留時間とのバランスは、良好な発泡体を作成するための最も重要な側面の1つである。温度は、ポリマーを溶融して発泡剤を活性化するのに十分な高温にする必要がある。さらに、押出機におけるポリマー/発泡剤混合物の滞留時間は、発泡剤の主要部分の活性化及びポリマーの溶融のために十分に長い必要がある。しかし、滞留時間が長すぎると、ガスがミクロスフェアの壁から漏れてしまい、発泡剤の効果が低下する。したがって、押出機、アダプター、及びダイの温度プロファイルとライン速度は、慎重に選択する必要がある。押出機の末端の圧力、溶融温度、及びダイプロファイルも、他の重要な制御すべきパラメーターである。理想的な状況では、押出中に溶融物が受ける最大圧力は、発泡セルの崩壊を防ぐために、その温度でのミクロスフェア内部のガスの分圧よりも低いことが必要である。
【0042】
二軸押出機を使用する場合、ドライブレンド技術に加えて、マスターバッチとPVDFの計量供給も可能である。このプロセスには、単軸と二軸の両方の押出機を使用できる。単軸押出機では、滞留時間はスクリュー速度によって制御され、温度は外部加熱要素によって制御される。セルの分散は、押出機の末端にある混合セクションを使用することで加速される場合がある。しかしながら、ポリマーとミクロスフェアシェルとの間に十分な親和性がある場合、混合部材の助けなしに分散を達成することができる。二軸押出機の場合、滞留時間と分布は、スクリューの速度に加えて、スクリューの設計によっても制御される。温度は、剪断量とともに外部加熱要素によって制御される。二軸押出機の使用は、このタイプの押出機との優れた混合の可能性により、高い密度低下に特に有益である。押出機の温度プロファイルは、第1ゾーンではポリマーの溶融温度未満から開始し、PVDFの溶融温度と発泡剤の活性化温度に基づいて、徐々に目的の温度まで上昇させる必要がある。発泡剤の早すぎる活性化を引き起こし、ガスがマトリックスに漏れ、押出機の処理が不安定になる可能性があるため、押出機に沿って急激に温度を上げないように適切な注意を払う必要がある。通常、4ゾーン押出機では、第1ゾーンは発泡剤の活性化温度よりも約100°F低く、第2ゾーンは約50°F低く、第3ゾーンは発泡剤の活性化温度よりも約25°F低く、第4ゾーンは活性化温度である。PVDF発泡体製品は、1インチ、1.5インチ、2.5インチの単軸押出機など、さまざまな機械で製造されている。PVDF発泡体は、汎用スクリュー、Maddockミキシングヘッド付きバリアスクリュー、Eganミキシングヘッド付きバリアスクリューなど、さまざまなスクリューも使用して製造されている。L/Dが20:1~27:1であり、圧縮比が3:1~4.5:1の範囲のスクリューを使用して、本発明の教示による様々なPVDF発泡体が作製された。
【0043】
PVDF発泡体は、適切な形状のダイを通って押出機から出る。押出物は、ダイを出る前に部分的又は完全に発泡される。セルの膨張は主にダイから出る前に発生するが、いくつかの場合では、圧力の解放により、発泡体がダイから出た後に残留膨張が発生することがある。この時点で、温度が適切でない場合、ガスはミクロスフェアシェルから漏れ、押出物の表面から逃げ、発泡体密度の増加とセルサイズの縮小の崩壊を引き起す。好ましくは、発泡体は、押し出し後、ダイギャップサイズを超えて25%未満、より好ましくは10%未満膨張する。
【0044】
一実施形態では、発泡体は自己支持性であり、支持体としてのパイプ又はワイヤーを必要としない。
【0045】
押し出しに続いて、PVDF発泡体を成形及び/又はカレンダー加工して、滑らかな表面を設けることができる。押し出された発泡体は、例えば、シートやフィルムを形成するための3ロールミル、パイプやチューブを形成するためのキャリブレータなど、多くの手順で成形できる。発泡体は、絶縁目的で、ワイヤージャケット用のワイヤーなどのキャリア上、又はパイプ上に敷き、若しくはドローダウンすることもできる。この発泡体の重要な特徴は、その高い溶融強度により、必ずしもパイプ又はワイヤーキャリア上に敷く必要がなく、自立押出物として提供できることである。
【0046】
本明細書で使用されるキャリブレータは、PVDF発泡体について、冷却、造形、形成、崩壊防止、又はサイズをもたらす任意のデバイスであり得る。これらのキャリブレータにおけるパイプとチューブのための例は、サイジングタンク又は真空タンクであり、サイザーリングあり若しくはなし、水若しくは水スプレーあり若しくはなし、真空あり若しくはなし、又は上記の要素の組み合わせあり若しくはなしのいずれでもよい。発泡PVDFフィルムとシートのためのキャリブレータは、2又は3ロールのスタックにすることができ、カレンダーあり又はなしのいずれでもよい。波付管のキャリブレータは、さまざまなタイプの波付機械の1つであり得る。キャリブレータを通過した結果、発泡部品は滑らかな表面仕上げになり、機械的特性と浸透特性が向上する。一実施形態では、最終用途がパイプ及びチューブの製造である場合、発泡溶融物は通常、冷却タンクの内側に取り付けられている成形装置を通過し、その間タンク内の水の表面上が真空にされている。ほとんどの中空品を形成するためには、水温32℃、水真空10~20の15フィート長のタンクで十分であることがわかった。一実施形態では、タンク内の好ましいサイザーは、0.75インチ~3.5インチの長さの真鍮プレートから構成される。これらのプレート間の距離は、製造される製品の特性に合わせて変えることができる。
【0047】
非連続プロセスは、マイクロスフィア/フルオロポリマー混合物がモールドに押し出され、モールドが開放すると、成形された発泡体製品又は部品が提供される、射出成形を含み得る。本発明の発泡製品を製造するための非連続プロセスとして回転成形プロセスを使用することもできる。
【0048】
発泡体は、発泡体層が所望の構成の1つ以上の層を含む多層構造で使用することができる。発泡体層は、特定のテクスチャが必要な場合は外層に、滑らかな外面が必要な場合は多層構造内で使用できる。多層構造は、共押出及びタンデム押出を含む、現在まで知られている任意の技術を使用することができる。
【0049】
一実施形態では、後発泡プロセスを使用して、完全には膨張していないミクロスフェアを完全に膨張させることにより、発泡体密度をさらに低下させることができる。
【0050】
(特性)
本発明の発泡製品の重要な特性は、密度の大幅な低下である。本明細書で使用される「低密度」発泡体とは、非発泡フルオロポリマーの90%未満、好ましくは非発泡フルオロポリマーの密度の75%未満、より好ましくは未発泡フルオロポリマーの密度の50%未満の密度を有する発泡体を意味する。一実施形態では、フルオロポリマー発泡体は、非発泡フルオロポリマーの密度の35%未満、さらには非発泡フルオロポリマーの密度の25%未満である。
【0051】
固体PVDFは約1.78g/cm3の密度を有するが、本発明の発泡PVDFは、それが水と溶媒に浮上することを可能にする密度を有し得る。この低密度は、PVDFの優れた耐薬品性及び耐酸化性と相まって、US2016/0101932に示されているように、PVDF発泡体の腐食性液体の表面の蒸発及び/又はスプラッシュのシールドとしての有用性を持たせる。
【0052】
密度が40%低下し、さらに密度が50%低下した製品でも、重量を大きく減少させ、材料を大幅に節約しながら、耐荷重性を実現できる。このような密度低下のある製品は、例えば、圧力を保持できるパイプや、負荷を積載することができるロッドや異形材として使用できる。これらの製品は通常、一緒に結合されるか、標準のカップリング又はフィッティングに取り付けられ、また厳しい許容誤差で製造できる。例えば、4インチの一覧表40パイプの外径は4.500インチで、許容誤差は+/-0.009インチ、厚さは0.251インチで許容誤差は+/-0.016インチである。本発明の発泡PVDFは、キャリブレーションに耐える溶融強度を有し、製品を成形して、これらの厳密な許容誤差内にサイズ調整することを可能にする。
【0053】
本発明の発泡体は、優れた熱伝導性を有し、断熱材として有用である。例えば、80%の密度低下がある150ミルの厚さのPVDFコポリマー発泡体の75℃での熱伝導率は0.29BTU in/hr.ft2と測定され、B3材料となる。
【0054】
本発明の発泡製品の別の利点は、その増加した柔軟性である。実施例の表5に示すように、発泡のレベルが増加するにつれて曲げ弾性率は減少する。リールに置くことができなかった固体のPVDFパイプ又はシートは、発泡体の形では十分に柔軟性があり、リールに巻くことができる。場合によっては、高弾性率のPVDF部品を切断すると、マイクロクラックが発生することがある。発泡PVDFは、マイクロクラックなしにきれいな切断面を有することが示されている。
【0055】
本発明の別の実施形態では、発泡性濃縮物を使用して、重要な特性を「チューニング」調整するために、より低いレベルの密度低下をもたらす。これらの用途では、より低いレベルの密度低下を1~40%の範囲にし、望ましい特性を実現する。この技術が目標の密度低下を一貫して生み出す能力により、それを使用して目的の特性を調整することを可能とする。ある場合には、発泡は比較的低いレベルで添加され、それにより、固体ポリマーに関連する特性のほとんどを維持しながら、剥離性を向上させる。これは、カプセル封止の剥離が既知の問題である石油及びガスの用途において有用である。より具体的には、チューブカプセル封止ケーブル(tube encapsulated cable、TECケーブル)に使用されるカプセル封止層は、剥がすことが難しいことが当該分野で知られている。TECケーブルは、カプセル封止を加熱することで軟化させて剥離性を向上させる、という方法が使用できない領域に設置される。少量の発泡性濃縮物を添加することにより、他の物理的特性に大きな影響を与えない程度に低い目標値で、剥離性を大きく向上させる。
【0056】
別のケースでは、ケーブルの「感触」が重要と考えられるケーブルが製造される。多くの顧客にとって、製品を曲げたときの柔軟で「湿った」感触は重要であると考えられている。これは主観的なものであるが、認識された顧客のニーズに依存する実際の条件である。多くの場合、同等の性能と価格のケーブルでも、感触が重視されることにより感触によって差別化され得る。低レベルの発泡の追加で外側ジャケットの曲げ弾性率を調整する機能は、このような事項に対する有用で価値のある解決策になり得る。
【0057】
本発明のPVDF発泡体の別の重要な予想外の特性はその難燃性である。ミクロスフェアが可燃性液体を含んでいることを考えると、これは予期せぬことであるが、可燃性液体はフルオロポリマー発泡体の独立セル内に保たれる。
【0058】
本発明のプロセスによって作製された薄い発泡体フィルムは、半透明性を有し、光学用途において有用になる。
【0059】
(用途)
PVDFの独立気泡発泡体の低密度、軽量、柔軟性、及びPVDFの耐薬品性、紫外線抵抗性、耐熱性、及び難燃性を考慮すると、本発明の発泡体は、軽量及び/又は断熱と遮音が重要な用途に使用できる。PVDF発泡体が有用である重要な業界には、石油及びガス、ワイヤー及びケーブル、航空宇宙、輸送、化学製造、建築及び建設、飲料、医療、製薬、化粧品業界が含まれるが、これらに限定されない。PVDF発泡体製品には、単層及び多層のフィルム、パイプ、チューブが含まれる。
【0060】
PVDF発泡体の連続的な押出しと、キャリブレーションデバイスを介して厳密な許容誤差内で製品を形成する機能により、次のような多くの有用な製品につながることができるが、これらに限定されない:
・航空宇宙、列車、船、及び自動車用の軽量で難燃性の断熱材、
・光ファイバーケーブル用のジャケットとサブユニットジャケット、
・通信ケーブル及び電力ケーブルのジャケットと絶縁材、
・チューブカプセル封止ケーブル(TEC)のジャケット
・マイクロダクト導管、
・プレナム導管。
・化学製造用の配管、配管、断熱材、
・建築及び建設の断熱材又は複合パネルの一部、特に高い耐熱性又は難燃性が必要なところ、
・ガスケット及びシール、
・屋外の被覆材や耐火断熱材として他の丈夫なポリマーと拮抗できる薄い強靭な発泡フィルム、
・耐薬品性及び難燃性テープ、
・浮き装置
・遮音材
・構造用途向けの熱成形品
【実施例
【0061】
これらの実施例で使用される発泡性濃縮物は、EVA担体に65%のミクロスフェアを含んでいる。膨張前の製品の膨張平均粒子径は120μmである。この製品の活性化は、約160℃から始まり、210℃で最大膨張達成されると予想される。
【0062】
(実施例1:チューブ)
450°F、100-1Sで10Kpoiseの粘度を有するKYNAR PVDF 3120-10樹脂と、450°F、100-1Sで25Kpoiseの粘度を有するKYNAR PVDF 3120-50樹脂を使用して、24L/DバリアスクリューとMaddoxミキサーを備えた1.5インチ単軸押出機で発泡体チューブを作製した。壁厚0.060インチ、直径0.50インチのチューブは、2脚スパイダーダイを使用して作製した。ピンとダイは、スパイダーの脚を通ってチューブの中心に空気が流れるようにするポートとともに、ダイに取り付けられた。ピンとダイの長さは4.350インチで、ピンのベース直径は1.150インチであり、ダイのベース直径は1.750インチであった。ランド長さは1.200インチであった。このピンとダイの組み合わせにより、ドローバランスは1.1、ドローダウン比は0.997となった。
【0063】
0.50インチのチューブの場合、プレート間に0.060インチのギャップと0.905インチの全高を有する4つの真ちゅうサイジングプレートを備えた0.390インチのプレートサイザーを使用した。サイザーの開口部は半径0.125インチで、周囲が機械加工されている。サイザーは収縮を補うためにオーバーサイズにした。
【0064】
10フィートの2ステージ水真空冷却タンクを使用し、水温を90°Fに制御した。2ベルトプーラーは、材料を引くために9.6フィート/分のライン速度に設定された。
【0065】
表1及び2に、処理条件、マスターバッチの装填量、及び密度の低下率を示す。濃縮物装填量は2.5%から6%まで変化し、ペレットの形でKYNAR樹脂とドライブレンドしてから押し出した。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
同じラインと条件を使用した別の実行で、次の構成のチューブが実行された:
50% KYNAR UHM 6020-20
42% KYNAR 705
8% 発泡濃縮物
【0069】
KYNAR UHMには20%のガラス繊維が含まれている。したがって、最終製品のガラス繊維含有率は10%であった。得られたチューブは60%の密度低下となり、良好な表面仕上げ、高い剛性を備えていた。
【0070】
(実施例2:シート)
KYNAR PVDF発泡体シートは、スパイラルMaddoxミキサーを備えた直径1.250インチの24:1L/D単軸押出機で作製された。シートは、幅12インチ、ダイリップランド長さ1インチのコートハンガーダイを通して押し出された。リップギャップは約0.200インチに設定された。発泡体シートは、幅が10~11インチ、厚さが0.050~0.160インチであった。カレンダー加工あり又はなしのシートは、クローム磨きロール付きの3ロールスタックを使用して作製され、ワインダーにより下流で巻き取られた。濃縮物の装填量は2.5~6%であり、KYNAR 3120-10と450°F、100-1Sで2~4Kpoiseの粘度を有するKYNAR 705ペレットで、押し出される前にドライブレンドされた。
【0071】
以下、発泡剤の充填量、処理条件、及び対応する密度低下を示す。
【0072】
【表3】
【0073】
【表4】
【0074】
【表5】
【0075】
厚さが約100ミルの、密度が70%低下したKYNAR 3120-10と、密度が83%低下し、KYNAR 705で作られたシートは、直径3.5インチ、深さ1.25インチのカップに問題なく熱成形された。部品の表面仕上げは良好で、破れはなく、鋭い角がなかった。成形前に、シートを355°Fで40秒と45秒加熱した。
【0076】
(実施例3:フィルム)
KYNAR PVDF発泡体フィルムは、スパイラルMaddoxミキサーを備えた直径1.250インチの24:1L/D単軸押出機で作製された。フィルムは、幅12インチ、ダイリップランド長さ1インチのコートハンガーダイを通して押し出された。リップギャップは0.060インチに設定された。発泡体フィルムは、幅が10~11インチ、厚さが0.025~0.050インチであった。フィルムは、クローム磨きロール付きの3ロールスタックでカレンダー加工され、ワインダーにより下流で巻き取られた。処理条件は以下の通りである。濃縮物の装填量は2~4%であった。濃縮物はペレットの形で、KYNAR 3120-50樹脂と混合された。
【0077】
【表6】
【0078】
(実施例4:ワイヤージャケット)
ワイヤージャケットは、スパイラルMaddoxミキサーとB&Hクロスヘッドダイを備えた直径1.250インチの24:1L/D単軸押出機で作製された。ワイヤーはダイの中心を通って供給され、KYNAR発泡体でコーティングされた。次に、ジャケット付きワイヤーは、水タンクを通してプーラー/ワインダーによって引っ張られて固化し、次にリールに巻き取られて収集された。ドローダウン比は、選択した工具に応じて3~7%の間で変化した。ジャケットの厚さは0.020インチ~0.025インチの範囲であった。KYNAR 3120-10樹脂をベース樹脂として使用した。ダイとタンクの間の距離は約7インチであった。
【0079】
処理条件と工具サイズを下表に示す。
【0080】
【表7】
【0081】
【表8】
【0082】
(結果)
【0083】
【表9】
【0084】
(実施例5:燃焼試験)
KYNAR 3120-15シートのサンプルは、上記の実施例2で説明した方法を使用して作製された。シートの厚さは150ミルで、密度低下は70%であった。サンプルは、次の燃焼試験に供された。
1)FAR 25.853(a)Appendix F、Part I、(a)、1、(i):60秒時限垂直燃焼試験。サンプルはこのテストに広いマージンで合格した。
2)FAR 25.853(d)Appendix F、Part IV。オハイオ州立大学熱放出試験(OSU)とも呼ばれる。要件はHR/HRRについて65/65であり、サンプルは44/60で合格した。
3)FAR 25.853(d)Appendix F、Part V。平均4分の制限が200である煙密度試験であり、サンプルは58の値で合格した。
【0085】
PVC一次カバーを有し、PVCと、ソリッドのKYNAR 3120-15と、60%密度低下した発泡KYNAR 3120-15で巻かれた3セットの4ペア導体試験片が作製され、NFPA 262、2011年版の、空気処理スペースで使用するためのワイヤーとケーブルの火炎移動及び煙の標準試験方法(Standard Method of Test for Flame Travel and Smoke of Wires and Cables for Use in Air Handling Spaces)に供された。サンプルの直径は0.2インチであった。次の表に結果を示す。
【0086】
【表10】
【0087】
明らかに、KYNAR樹脂ジャケットの性能はPVCジャケットよりも優れており、発泡KYNAR樹脂ジャケットの性能はソリッドKYNARジャケットと非常に近い。
【0088】
外径0.48インチ、内径0.35インチのチューブサンプルは、KYNAR 3120-15から、実施例1で説明した方法を使用して65%の密度低下で作製された。サンプルはUL 2024:光ファイバー及び通信ケーブルレースウェイ(Optical Fiber and Communication Cable Raceway)に供された。次の表に試験結果を示す。
【0089】
【表11】
【0090】
サンプルは火炎と煙の特性に優れている。
【0091】
(実施例6:断熱材)
厚さが1インチのKYNAR 3120-15のサンプルが作製され、熱伝導率試験に供された。次の表に試験結果を示す。
【0092】
【表12】
【0093】
参考までに、固体KYNAR樹脂の熱伝導率は約1.125Btu.In/hr.ft2°Fである。これらの結果に基づいて、このKYNAR発泡体のR値はほぼ2.5 Btu / hr.ft2°Fである。
【0094】
(実施例7:耐薬品性)
今月、我々はいくつかの過酷な薬品に対するKYNAR低密度発泡体の耐薬品性試験を終了した。次の表は、密度低下が65%で、厚さ150ミルの3120-15発泡体シートが、室温及び40℃で30日間、いくつかの過酷な化学薬品にさらされた結果を示す。
【0095】
【表13】
【0096】
(実施例8:熱成形発泡シート)
密度低下65%のKYNAR 3120-10シートを使用して、直径3.375インチ、深さ1.25インチのカップを熱成形した。シートの厚さは140ミルで、MACC Electricの30インチ×36インチのシングルステーション熱成形機を使用した。条件は下表に要約される:
【0097】
【表14】
【0098】
図1に、熱成形されたカップの写真を示す。部品は破裂することなく非常に美しく描画され、キャビティを充填し、シャープなエッジを持つ。
【0099】
また、上記と同じ装置を使用して、密度低下が55%である30ミルのKYNAR 710ベースの発泡体シートを熱成形した。この部品のモールドは、ハニカムタイプの構造での使用の可能性があるKYNAR 700用に特別に設計及び注文された。条件を下表に示す。
【0100】
【表15】
【0101】
図2は、熱成形されたサンプルを示す。見ればわかるように、破裂はなく、サイズは非常に均一である。
【0102】
この実施例で使用したシートは、上記の実施例2で説明した方法を使用して作製された。
図1
図2