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特許7316278曲げるべきシート工作物の曲げ短縮の決定
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-19
(45)【発行日】2023-07-27
(54)【発明の名称】曲げるべきシート工作物の曲げ短縮の決定
(51)【国際特許分類】
   B21D 5/00 20060101AFI20230720BHJP
【FI】
B21D5/00
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020533620
(86)(22)【出願日】2018-12-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-03-04
(86)【国際出願番号】 AT2018060310
(87)【国際公開番号】W WO2019119010
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-12-08
(31)【優先権主張番号】A51081/2017
(32)【優先日】2017-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】509296085
【氏名又は名称】トルンプ マシーネン オーストリア ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【弁理士】
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】ハーラルト クナイディンガー
【審査官】堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0106463(US,A1)
【文献】特開2000-055602(JP,A)
【文献】実開昭60-082204(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
nの曲げ軸を中心に、かつnの曲げ角度アルファだけ屈曲されたシート工作物の短縮長さを見積もる方法であって、
-第1の測定部材(20)の第1の測定部材表面(22)と第2の測定部材(21)の第2の測定部材表面(23)とを有する測定配置が使用され、
-かつ測定部材(20、21)が曲げ機械の部分によって形成されており、かつ第1と第2の測定部材表面(22、23)が、互いに対して90°の角度で配置されており、
-かつ、屈曲されたシート工作物が、延び直線に沿って延びるn+1の脚と、シート工作物を曲げることによって形成されて、2つの隣接する脚の間に延びるnの湾曲領域とを有する、
ものにおいて、以下の方法ステップ、
シート工作物の第1の自由端部(12)と第2の自由端部(13)との間の長さを測定することによって、シート工作物を曲げる前のシート細片の元の長さL0を定め、
-シート工作物を屈曲し隣接する第1の脚(3)の第1の自由端部(12)と、第1の脚(3)の第1の表面(10)とを、測定部材表面(22、23)に対して配置することによって、屈曲されたシート工作物の外側の表面を測定部材表面(22、23)に添接させ、
れぞれの曲げ軸とは逆の、第1の脚(3)の第1の表面(10)に延びている直線の交点を決定し
前記交点と第1の(3)第1の自由端部(12との間の間隔A1定め、
かつ、隣接する第2の脚(24)の第2の自由端部(13)と、第2の脚(24)の第2の表面(31)とを、測定部材表面(22、23)に対して配置し、
それぞれの曲げ軸とは逆の、第2の脚(24)の第2の表面(31)に延びている直線の交点を決定し、
前記交点と第2の脚(24)の第2の自由端部(13)との間の間隔A2を定め、
-かつそれらの交点の間のn-1の間隔Bjを定め、
-脚の自由端部(12、13)が、屈曲されたシート工作物が測定部材表面(22、23)に対して配置されたときに、測定部材表面(22、23)の交点に対する自由端部(12、13)の間隔を測定することによる、非接触の測定方法を適用して測定され、
-式:
【数1】
に基づいて接線短縮Tを定める、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
nの曲げ軸を中心に、かつ、曲げ角度アルファ<90°を有する、nの曲げ角度だけ屈曲されたシート工作物の短縮長さを見積もる方法であって、
-第2の測定部材(20)の第1の測定部材表面(22)と第2の測定部材(21)の第2の測定部材表面(23)とを有する測定配置が使用され、
-かつ測定部材(20、21)が曲げ機械の部分によって形成されており、かつ第1と第2の測定部材表面(22、23)が互いに対して90°の角度で配置されており、
-かつ屈曲されたシート工作物が、延び直線に沿って延びる少なくともn+1の脚と、シート工作物の屈曲によって形成されて、隣接し合う脚の間に延びるnの湾曲領域とを有する、
ものにおいて、以下の方法ステップ:
シート工作物の第1の自由端部(12)と第2の自由端部(13)との間の長さを測定することによって、シート工作物を曲げる前のシート細片の元の長さL0を定め、
-シート工作物を屈曲し、隣接する第1の脚(3)の第1の自由端部(12)と、第1の脚(3)の第1の表面(10)とを、測定部材表面(22、23)に対して配置することによって、かつ屈曲されたシート工作物の外側の表面を測定部材表面(22、23)に添接させ、
-屈曲されたシート工作物のエッジ長さC1定め、前記エッジ長さC1が、第1の(3)の延び直線に対して平行に測定すべき、第1の(3)第1の自由端部(12)から接点までの間隔を表し、前記接点内で第1の脚(3)の延び直線に対して垂直となる接線が湾曲領域に接し、
隣接する第2の脚(24)の第2の自由端部(13)と、第2の脚(24)の第2の表面(31)とを、測定部材表面(22、23)に対して配置し、
屈曲されたシート工作物のエッジ長さC2を定め、前記エッジ長さC2が、第2の脚(24)の延び直線に対して平行に測定すべき、第2の脚(24)の第2の自由端部(13)から接点までの間隔を表し、前記接点内で第2の脚(24)の延び直線に対して垂直となる接線が湾曲領域に接し、
-屈曲されたシート工作物のn-1のエッジ長さDlを定め、前記エッジ長さDlが、脚の延び直線に対して平行に測定すべき、1つの接点から他の接点への間隔を表し、前記接点内で、延び直線に対して垂直となる接線が湾曲領域に接し、
-脚の自由端部(12、13)が、屈曲されたシート工作物が測定部材表面(22、23)に対して配置されたときに、測定部材表面(22、23)の交点に対する自由端部(12、13)の間隔を測定することによる、非接触の測定方法を適用して測定され、
-以下の式:
【数2】
に基づいてエッジ短縮長さKを計算する、
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、nの曲げ軸を中心に、かつnの曲げ角度アルファだけ屈曲されるシート工作物の短縮長さを見積もる方法に関するものであって、その場合に屈曲されたシート工作物は延び直線に沿って延びるn+1の脚と、シート工作物の屈曲によって形成され、かつ隣接する脚の間に延びるnの湾曲領域とを有している。
【0002】
その場合に文字nは、自然数をあらわす;n=1、2、3、4、...が成立する。
【背景技術】
【0003】
曲げ軸を中心にシート細片を曲げる際の困難は、屈曲されたシート細片が定められた寸法を有するように、シート細片の元の長さを選択することにある。曲げのプロセスの間、一般的な教えによれば、工作物が湾曲領域の外側において伸張される間、曲げるべき工作物に従って湾曲領域の内側に圧縮がもたらされる。湾曲の内側もしくは外側における工作物の圧縮と伸張の寸法は、影響ファクターの多さに基づいて予測がきわめて困難である。
【0004】
特許文献1(独国特許出願第112012000792号明細書)においては、シート構造物に曲げる前にシート工作物の初期寸法を定めるための方法が提案されており、その方法は、長さH3の決定と角度の決定に基づいている。湾曲された工作物を三角形と考える場合に、H3は実質的に三角形の高さに相当する。
【0005】
本発明に係る方法は、特許文献1に開示されている方法とは異なり、長さH3の決定なし、かつ角度の決定なしで、したがってより簡単なやり方で実施可能である。
【0006】
特許文献2(欧州特許出願第1398094号明細書)は、曲げ装置内の曲げ部分の脚長さを定める方法に関する。特許文献2には、本発明に係る方法のこの部分のような、短縮長さを求めるヒントは見られない。特許文献2は、特に脚長さの決定に限定されている。
【0007】
特許文献3(欧州特許出願第2683504号明細書)は、プレート曲げ装置上でシート材料の曲げ角度を動的に補正する方法を記述している。そこに記述されている方法は、特に、曲げダイが引き戻された位置へ移動された後に、名目的な曲げ角度及び屈曲されたシートからの曲げダイの間隔の決定に基づいている。以下で記述される方法は、このパラメータの決定なしで充分である。
【0008】
特許文献4(独国特許出願第10009074号明細書)は、工作物を自由曲げあるいは揺動曲げする方法及び曲げる際の工作物脚の位置を求める装置に関する。特許文献4においては、本発明に係る方法に記述されるような、長さと間隔の決定及び短縮の計算についてのヒントは見られない。
【0009】
特許文献5(独国特許出願第10163956号明細書)には、曲げることによって変形された工作物において長さを測定する方法と装置が記述されている。特許文献5には、本発明に係る方法において記述されるような、短縮の計算についてのヒントは見られない。
特許文献6(米国特許出願公開第2010/106463号明細書)は、シートを曲げることによって部品を形成する際に体積モデリングするためのコンピュータプログラム及びその場合に利用される数学的な関係を記述している。その中には、シート短縮を取り入れた式(”Bend Deduction LDB”)もしくはシート補償を取り入れた式(”Bend Compensation V”)も開示されている。
特許文献7(米国特許出願公開第5689435号明細書)においては、ガスタービンエンジン用のシートからなるホルダを自動化して構築するシステムが記述される。
特許文献8(独国特許出願公開第19936839号明細書)は、プレートを曲げることによって形成される、屈曲された部材の2つの表面の延長線のバーチャルな交点に基づいて、長さを測定する長さ測定装置を記述している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】独国特許出願第112012000792号明細書
【文献】欧州特許出願第1398094号明細書
【文献】欧州特許出願第2683504号明細書
【文献】独国特許出願第10009074号明細書
【文献】独国特許出願第10163956号明細書
【文献】米国特許出願公開第2010/106463号明細書
【文献】米国特許出願公開第5689435号明細書
【文献】独国特許出願公開第19936839号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来技術に基づくこれらの方法は、一般的に、簡単には実施できない。本発明の課題は、曲げ軸を中心にとする曲げの結果生じる、シート工作物の短縮を定めるために、従来技術に基づく方法の欠点を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以下で詳述する本発明は、シート工作物を曲げる際に発生する短縮をできるだけ簡単な方法で、できる限り高い精度で、見積もりの主旨において定めることができるようにすることを、課題としている。本発明に係る方法によって、多数のシート工作物の曲げ挙動における変化、特に多数の曲げるべきシート工作物の挙動を、生じる短縮に関して定めることを、特に簡単にしようとしている。
【0013】
この課題は、請求項に記載の方法によって解決される。
【0014】
本発明に係る方法は、特に、シート工作物の延び面積にわたって変化しない厚みを有するシート工作物に向けられているが、それに限定されるものではない。これは、周知の規格によって定められた限界の範囲内で厚みが変化し得ることを、排除するものではない。
【0015】
本発明に係る方法は、特に屈曲されたシート工作物に向けられており、そのシート工作物は型曲げ工具により冷間曲げによって形成される。屈曲されたシート工作物は、DIN6935を顧慮して形成することができる。
【0016】
曲げ軸を中心にシート工作物を曲げることによる短縮の見積もりは、接線短縮を定めることによって行うことができ、この方法は接線短縮について、以下のステップを有する:
-シート工作物を曲げる前シート細片の元の長さL0を定め、
-隣接し合う脚の延び直線の、あるいはそれら延び直線に対して平行の直線の、1つ/複数の交点を定め、それらの直線は脚の、それぞれの曲げ軸とは逆の表面に延びており、
1つ/複数の交点と脚の自由端部との間の間隔A1、A2を定め、かつそれら交点の間のn-1の間隔Bjを求め、
-式
【数1】
に従って接線短縮Tを定める。
【0017】
n=1の曲げ軸を有するシート工作物は、2つの脚とそれらの脚の間に延びる湾曲領域とを有している。したがって間隔A1とA2のみを定めることができる。
【0018】
n=2の曲げ軸を有するシート工作物は、3つの脚と2つの隣接する脚の間に延びる2つの湾曲領域とを有する。したがって2つの間隔A1、A2と間隔B1を定めることができる。
【0019】
定めることができる間隔Aの数と定めることができる間隔Bの数は、幾何学的な条件によってあらかじめ定められている。
【0020】
曲げ軸を中心とするシート工作物の屈曲による短縮の見積もりは、エッジ短縮を定めることによっても行うことができ、この方法はエッジ短縮のために以下のステップを有する:
-シート工作物を曲げる前のシート細片の元の長さL0を定め、
-屈曲されたシート工作物エッジ長さC1、C2を定め、そのエッジ長さC1、C2はそれぞれ脚の延び直線に対して平行に測定すべき、脚の自由端部から接点までの間隔を表し、その接点内で、第1の延び直線に対して垂直となる接線が湾曲領域と接し、
-屈曲されたシート工作物のn-1のエッジ長さD1を定め、そのエッジ長さD1は、脚の延び直線に対して平行に測定すべき、1つの接点から他の接点への間隔を表し、その接点内で、延び直線に対して垂直となる接線が湾曲領域に接し、
-次の式:
【数2】
に基づいてエッジ短縮長さKを計算する。
【0021】
n=1の曲げ軸を有するシート工作物は2つの脚とそれらの脚の間に延びる湾曲領域とを有している。したがって間隔C1とC2のみを定めることができる。
【0022】
n=2の曲げ軸を有するシート工作物は、3つの脚と2つの脚の間に延びる2つの湾曲領域とを有している。したがって2つの間隔C1、C2と間隔D1を定めることができる。
【0023】
定めることができる間隔Cの数と定めることができる間隔Dの数は、幾何学的な条件によってあらかじめ定められている。
【0024】
ここに開示される発明は、シート工作物のエッジ短縮長さを定める装置にも関するものであって、その装置は第1の測定部材表面と第2の測定部材表面とを有しており、その場合に第1の測定部材表面と第2の測定部材表面は、互いに対して直角である。
【0025】
測定部材表面は、シート工作物の脚の表面が測定部材表面に添接可能であり、かつシート工作物のエッジ長さが、測定部材表面の交点からのシート工作物の自由端部の間隔を定めることによって定めることができるように、形成されている。
【0026】
この種の本発明に係る装置は、測定部材表面からの自由端部の間隔を定めるための接触する測定装置及び/又は非接触の測定装置を有することができる。
【0027】
第2の測定部材表面(定めるべきエッジ長さを有する脚がこの第2の測定部材表面と接触される)は、定めるべきエッジ長さCよりも小さい長さL2を有することができる。この形成が、余剰寸法によってエッジ長さCを定めることを許す。
【0028】
本発明をさらによく理解するために、以下の図を用いて本発明を詳細に説明する。
図は、著しく簡略化された図式的な表示である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、エッジ短縮を定めるための曲げ角度アルファ<90°を有する、曲げ軸を中心に曲げられたシート工作物の幾何学的状況を示している。
図2図2は、エッジ短縮を定めるための曲げ角度アルファ<180°を有する、曲げ軸を中心に曲げられたシート工作物の幾何学的状況を示している。
図3図3は、エッジ短縮を定めるための曲げ角度90<アルファ<180°を有する、曲げ軸を中心に曲げられたシート工作物の幾何学的状況を示している。
図4図4は、接線短縮を定めるための曲げ角度アルファ<90°を有する、曲げ軸を中心に曲げられたシート工作物の幾何学的状況を示している。
図5図5は、接線短縮を定めるための測定装置を示している。
図6図6は、接線短縮を定めるための2つの曲げ角度アルファ<90°有する、2つの曲げ軸を中心に曲げられたシート工作物の幾何学的状況を示している。
図7図7は、接線短縮を定める可能性を示している。
図8図8は、複数回曲げられたシート工作物の接線短縮の決定を示している。
【発明を実施するための形態】
【0030】
最初に記録しておくが、異なるように記載される実施形態において、同一の部分には同一の参照符号ないし同一の構成部分名称が設けられており、その場合に説明全体に含まれる開示は、同一の参照符号ないし同一の構成部分名称を有する同一の部分へ意味に従って移し替えることができる。また、説明内で選択される、たとえば上、下、側方などのような位置記載は、直接説明され、かつ示される図に関するものであって、この位置記載は位置が変化した場合には意味に従って新しい位置へ移し替えられる。見やすくする理由から、すべての図において必ずしもすべての部材に参照符号は設けられていない。
【0031】
図1図2は、シート工作物1において定めるべき長さと間隔を示しており、そのシート工作物1は曲げ軸2を中心に曲げ角度アルファだけ屈曲されている。図1図2の図面平面に対して垂直に方位づけされた曲げ軸2を中心にシート工作物を曲げる際に発生する短縮を見積もるための本発明に係る方法として、図1図2についての図説明において明らかにされる、接線短縮Tの決定は、アルファ<180°のすべての曲げ角度について可能である。図1は、曲げ角度アルファ<90°で曲げ軸2を中心に屈曲されたシート工作物1を示しており、図は、曲げ角度90°<アルファ<180°で曲げ軸2を中心に屈曲されたシート工作物1を示している。
【0032】
図1図2に示されるシート工作物1は、それぞれ1つの曲げ軸2を有しているので、n=1が成り立つ。
【0033】
それぞれ図1図2に示される屈曲された曲げ工作物1は、それぞれ第1の脚3(この第1の脚3は第1の延び直線4に沿って延びる)、第2の脚5(この第2の脚5は第2の延び直線6に沿って延びる)及び第1の脚3と第3の脚5の間に延びる湾曲領域7を有している。脚3、4と湾曲領域7の間のそれぞれの移行は、幾何学的に脚3、4の延びと湾曲領域7の多角の延びとによって定められており、その場合に第1の脚3と湾曲領域7の間の第1の移行点14と、第2の脚5と湾曲領域7の間の第2の移行点15は、シート工作物1において定めるのは困難である。
【0034】
湾曲領域6は、多角の形状を有しており、その場合に第1の脚3もしくは第1の延び直線4と第2の脚5もしくは第2の延び直線5は、それぞれ湾曲領域7の終端点に対して接線状である。
【0035】
当業者は、どの図にも示されていないシート工作物の元の長さL0を、曲げ軸2を中心にシート工作物1を曲げる前に、従来技術にもとづく測定方法によって定めることができる。元の長さL0は、シート工作物1の自由端部12、13の間で測定可能な長さと定義される。
【0036】
当業者は、第1の直線8と第2の直線9の間の、付加的に円でマーキングされた交点Sを定め、その場合に第1の直線8と第2の直線9は、第1の延び直線4もしくは第2の延び直線6に対して平行な直線である。第1の直線8は、第1の延び直線4に対して平行な直線であり、この第1の直線8は第1の脚3の外側の第1の表面10に対する接線である。第2の直線9は、第2の延び直線11に対して平行な直線であり、その第2の直線9は、第2の脚5の外側の第2の表面11に対する接線である。
【0037】
交点Sは、第1の測定部材が外側の第1の表面10に、そして第2の測定部材が外側の第2の表面11に添接するように、定めることができる。外側の表面に添接するこれらの測定部材は、表面に添接するエッジが、第1の直線8もしくは第2の直線とぴったりと合うように延びる。
【0038】
交点Sの決定後に、当業者は、図1に記入された長さA1とA2を定めることができる。長さA1は、定義によれば、第1の脚3の第1の自由端部12と交点Sの間で測定された長さである。長さA2は、定義によれば、第2の脚5の第2の自由端部13と交点Sの間で測定された長さである。
【0039】
当業者は、シート工作物の測定された最初の長さL0から、式T=L0-A1-A2に基づいて長さA1と長さA2を用いて、接線短縮Tを定める。
【0040】
シート工作物の短縮を見積もるための本発明に係る方法は、nの脚を有する屈曲されたシート工作物にも適用可能である。図3は、本発明に係る方法を、第1の脚3、第2の脚5、第3の脚24を有するシート工作物1に適用したものを示している。第1の脚3と第2の脚5の間には、第1の湾曲領域7が、そして第2の脚5と第3の脚24の間には、第2の湾曲領域25が延びている。第1の湾曲領域7は第1の曲げ軸2を中心にシート工作物1を曲げることによって、そして第2の湾曲領域25は第2の曲げ軸26を中心にシート工作物1を曲げることによって形成される。図3は、第1の曲げ軸2を中心に曲げる場合と第2の曲げ軸26を中心に曲げる場合にシート工作物1がそれぞれ曲げ角度アルファだけ屈曲される、特殊場合に関する。
【0041】
第1の脚3は、第1の延び直線4に沿って延びている;第2の脚4と第3の脚24は、第2の延び直線6もしくは第3の延び直線27に沿って延びている。
【0042】
当業者は、第1の交点Sを、第1の直線8と第2の直線9の交点として求める。交点S1と交点S2は、図3において円で付加的にマーキングされている。第1の直線8は、第1の脚3の第1の表面10内に延びており、その第1の表面10は曲げ軸2とは逆側で、第1の延び直線4に対して平行に延びる。第2の直線9は、第2の脚5の第2の表面11内に延びており、その第2の表面11は第1の曲げ軸2とは逆側で、第2の延び直線に対して平行に延びる。
【0043】
さらに交点S2が、第3の直線28と第4の直線29の交点として求められる。第3の直線28は、第2の脚5の、第2の曲げ軸26とは逆の第3の表面30内かつ第2の延び直線6に対して平行に延びている。第4の直線29は、第3の脚24の第4の表面31(この第4の表面31は第3の脚24の、第2の曲げ軸26とは逆の表面である)内かつ第3の延び直線27に対して平行に延びている。
【0044】
当業者は、次に、シート工作物1の第1の自由端部12と第1の交点S1の間の間隔としての間隔A1、シート工作物1の第2の自由端部13と第2の交点S2の間の間隔としての間隔A2及び交点S1と交点S2の間の間隔B1を求める。上述した間隔は、第1の延び直線3に対し、もしくは第2の延び直線6に対し、もしくは第3の延び直線27に対して平行に測定される。間隔A1は第1の延び線4に対し、間隔A2は第3の延び線27に対し、かつ間隔B1は第2の延び線6に対して平行である。
【0045】
当業者は、本発明の開示によって定義される接線短縮をT=L0-A1-A2-B1によって計算する。
【0046】
図4は、シート工作物1において定めるべき長さと間隔を示しており、そのシート工作物1は、エッジ短縮Kを定めるために、曲げ軸2を中心に曲げ角度アルファだけ屈曲されており、そのエッジ短縮はシート工作物1を曲げ軸2を中心に、かつ曲げ角度アルファ小なり/イコール90°だけ屈曲した後に定めることができる。
【0047】
当業者は、図には示されない、変形されていないシート工作物1の元の長さL0を測定することができる。元の長さL0は、変形されていないシート工作物1の自由端部11、13の間で測定可能な長さである。
【0048】
図4の図面平面に垂直に方位づけされた曲げ軸2を中心に屈曲されたシート工作物1は、第1の脚2(この第1の脚は第1の延び直線4に沿って延びる)、第2の延び直線6に沿って延びる第2の脚5及び脚3、4の間に延びる多角形の湾曲領域7を有している。延び直線4、5は、湾曲領域7に対する接線を形成する。
【0049】
延び直線4、5は、第1の移行点14もしくは第2の移行点15において湾曲領域7に接し、これらの移行点14、15は幾何学的に一義的に定義されているが、湾曲したシート工作物1においては定めることは困難である。
【0050】
当業者は、第1の接点16を求め、その第1の接点16において、第1の延び直線4上に垂直に引いた直線が湾曲領域7上に第1の接線18を形成する。さらに第2の接点17を求めることができ、その第2の接点17において、第2の延び直線6上に垂直に引いた直線が、湾曲領域7上に第2の接線19を形成する。これらの接点16、17が、付加的に円でマーキングされている。
【0051】
屈曲されたシート工作物において第1のエッジ長さC1が測定可能であって、その第1のエッジ長さC1は、第1の自由端部12と第1の接点16の間の、第1の延び直線4に対して平行な間隔として定義される。それと同様にして、屈曲されたシート工作物1において第2のエッジ長さC2を定めることができ、その第2のエッジ長さC2は、自由端部13と第2の接点17の間の、第2の延び直線6に対して平行に測定すべき間隔として、測定可能である。
【0052】
第1のエッジ長さC1は、たとえば簡単に実施できるやり方においてスライドゲージを用いて測定可能である。そのために、対象の外側寸法については、外側測定脚の内側エッジが第1の自由端部12と湾曲部7の外表面に、そしてスライドゲージのロッドの外側脚へ向いたエッジが表面10に添接される。スライドゲージのロッドのエッジを第1の表面へ添接させることによって、第1の接点16が求められて、第1のエッジ長さC1が測定される。
【0053】
それと同様なやり方で、第2のエッジ長さC2は、外側測定脚の内側エッジを第2の自由端部13と湾曲部7の外表面に添接させ、かつスライドゲージのロッドの、外側脚へ向いたエッジを第1の表面11に添接させることによって、定められる。
【0054】
そして当業者は、シート工作物1を曲げ軸2を中心に、かつアルファ<90°の角度だけ曲げることによって生じるシート工作物1の短縮を、エッジ短縮の計算によって見積もることができる。エッジ短縮は、式K=L0-C1-C2によって計算することができる。
【0055】
図4は、曲げ角度アルファ=90°の特殊場合を示している。図1から図3についての上の図説明と同様に、当業者は、交点Sを第1の直線8と第2の直線9の交点として定めることができる。その場合に上で充分正確に説明した構成プロセスが適用される。交点Sは、図4において付加的に円でマーキングされている。間隔A1と間隔A2は、上述した説明と同様に求められ、その場合に当業者は、図4に示される特殊場合において、曲げ角度アルファ=90°、A1=C1及びA2=C2が成立することを認識する。さらにアルファ=90°の特殊場合について、L0-C1-C2=K=T=L0-A1-A2が成立する。
【0056】
図5は、曲げ角度アルファ小なり/イコール90°を有する、屈曲されたシート工作物1においいてエッジ長さS1、C2を定めるための他の方法を示している。
【0057】
測定配置は、第1の測定部材表面22もしくは第2の測定部材表面23を備えた、第1の測定部材20と第2の測定部材21を有している。測定部材表面22、23は、互いに対して90°の角度で配置されている。第2の測定部材表面23は、既知の長さL2を有する。
【0058】
測定部材20、21は、曲げ機械の一部とすることができる。
【0059】
屈曲されたシート工作物1の外側の表面が測定表面22、23に添接する。第1のエッジ長さC1を定めるために、第1の表面10が第2の測定部材表面23に接触し、湾曲領域7の外表面が第1の測定部材表面22に接触する。
【0060】
図5は、曲げ角度アルファイコール80°を有するシート工作物1を示している。第1の測定部材表面22が、湾曲領域7の外表面に接触する。
【0061】
長さL2はわかっているので、当業者は、余剰寸法L1を定めることによって第1のエッジ長さC1を定めることができる。寸法L1は、たとえば非接触の測定方法によって定めることができる。
【0062】
第2のエッジ長さC2を定めるために、当業者は、屈曲されたシート工作物1の第2の表面11を第2の測定部材表面23に、湾曲領域7の外表面を第2の測定部材表面22に添接させ、それによってここでも余剰寸法L1の測定を介して第2のエッジ長さBを定めることができる。第2のエッジ長さC2を定めるプロセスは、図5には示されていない。
【0063】
図6は、第1の曲げ角度アルファ小なり/イコール90°と第2の曲げ角度アルファ小なり/イコール90°を有する、2つの曲げ軸2、26を中心に屈曲されたシート工作物1の短縮を見積もる方法を示している。
【0064】
シート工作物1は、第1の脚3、第2の脚5および第3の脚24を有しており、それらの脚3、5、24は、延び直線4、6、27に沿って延びている。第1の脚3と第2の脚5は、第1の湾曲領域7によって分離されている。第2の脚5と第3の脚25は、第2の湾曲領域25によって分離されている。
【0065】
第1のエッジ長さC1を測定するために、当業者はスライドゲージ(図6には示されていない)のロッドのエッジを第1の脚3の第1の表面10に添接させ、その第1の表面10は第1の脚3の、第1の曲げ軸2とは逆の表面である。当業者は、さらに、外側測定脚の内側エッジを第1の自由端部12に、そして他の外側測定脚の内側エッジを第1の湾曲領域7に添接させる。ロッドを第1の表面10に添接させることによって、他の外側測定脚の内側エッジが第1の接点16において第1の湾曲領域7に接触する。
【0066】
第2のエッジ長さC2の決定は、それと同様に行われ、その場合にスライドゲージ(図6には示されない)のロッドのエッジが、第3の脚24の第2の表面11に添接する。ここでも外側測定脚の内側エッジが、シート工作物1の第2の自由端部13と第2の接点17に接触する。
【0067】
エッジ長さD1を定めるために、スライドゲージ(図6には図示されず)のロッドのエッジが、第2の脚5の第3の表面30に、そして外側測定脚の内側エッジが第1の湾曲領域7と第2の湾曲領域25に添接する。
【0068】
当業者は、第1の曲げ軸2と第2の曲げ軸26を中心とするシート工作物1の屈曲によるシート工作物1のエッジ短縮を、式K=L0-C1-C2-D1によって計算する。
【0069】
図6についての図の説明には、本発明に係る方法がどのように簡単に実施可能であるかを文字説明によっても明らかにするために、接線の構築などは、上述した図の説明におけるように詳細には説明されていない。
【0070】
図7は、図5を補足して、例示される形状を有する、屈曲により短縮されたシート工作物1が本発明に係る方法を適用してどのように測定することができるかを明らかにしているので、短縮を見積もることができる。-図5についての上の説明において詳細に説明されたように-屈曲されたシート工作物1が、第1の測定部材20と第2の測定部材21によって形成される測定装置内へ挿入されるので、シート工作物1が測定装置に接触し、かつ自由端部12を測定することができる。
【0071】
図7に示すシート工作物1において、それぞれ接線短縮が求められる。
【0072】
図8を用いて、どのようにして本発明に係る方法を用いて、第1の曲げ軸2と第2の曲げ軸26を中心として屈曲されたシート工作物1の短縮が自由端を測定することにより見積もられるか、が説明される。ここでもシート工作物1は、第1の延び直線4に沿って延びる第1の脚3、第2の延び直線6に沿って延びる第2の脚2及び第3の延び直線27に沿って延びる第3の脚24を有している。シート工作物1は、第1の脚3と第2の脚5の間に延びる第1の湾曲領域7及び第2の脚5と第3の脚24の間に延びる第2の湾曲領域25を有している。第1の湾曲領域7と第2の湾曲領域25は、シート工作物1を第1の曲げ軸2を中心に、もしくは第2の曲げ軸26を中心にそれぞれ曲げ角度アルファだけ屈曲することによって形成される。したがって図8に示す屈曲されたシート工作物1は、2つの等しい曲げ角度を有している。
【0073】
屈曲されたシート工作物1は、測定するためにその第1の端部が、第1の測定部材表面22と第2の測定部材表面23とを有する測定装置内へ挿入される。図8においては、見やすくするために、互いに対して直角で配置された測定部材表面22、23のみが示されている。
【0074】
シート工作物1は、その第1の端部が第2の測定部材表面23に、そしてその第1の表面10が第1の測定部材表面22に接触し、それによってシート工作部1が測定装置に対しても方向づけされる。
【0075】
従来技術に基づく非接触及び/又は接触の測定方法を適用して、シート工作物1の第2の端部13が測定され、その場合に特に第1の測定部材表面22に対する、もしくは第2の測定部材表面23に対する間隔aと間隔bが定められる。
【0076】
したがって当業者は、間隔aと間隔b及び曲げ角度アルファ並びに曲げ厚みsを認識する。
【0077】
したがって当業者が図8から読み取ることができる幾何学的な関係に基づいて以下が成立する:
【数3】
【0078】
実施例は、可能な実施変形例を示しており、その場合にここに記録しておくが、本発明は具体的に示された実施変形例に限定されるものではなく、むしろ個々の実施変形例を互いに様々に組み合わせることも可能であり、これらの変形可能性はこの発明による技術的に取り扱うための教示に基づいて、この技術分野で活動する当業者の裁量の範囲内にある。そのために当業者は、進歩的に作業する必要はない。
【0079】
保護領域は、請求項によって定められる。しかし明細書と図面は、請求項を解釈するために利用されるべきである。図示され、かつ説明された様々な実施例からなる個別特徴及び特徴の組合せは、それ自体自立した進歩的解決を表すことができる。自立した進歩的解決の基礎となる課題は、明細書から読み取ることができる。
【0080】
間隔を定めるための全方法は、従来技術に基づく他の方法によって、及び/又は慣用の教示の適用によって、補足し、あるいは代えることもできる。
【0081】
最後に形式的に指摘しておくが、構造をよりよく理解するために部材は一部縮尺どおりではなく、拡大及び/又は縮小して示されている。
【符号の説明】
【0082】
1 シート工作物
2 (第1の)曲げ軸
3 第1の脚
4 第1の延び直線
5 第2の脚
6 第2の曲げ直線
7 第1の湾曲領域
8 第1の直線
9 第2の直線
10 第1の表面
11 第2の表面
12 第1の端部
13 第2の端部
14 第1の移行点
15 第2の移行点
16 第1の接点
17 第2の接点
18 第1の接線
19 第2の接線
20 第1の測定部材
21 第2の測定部材
22 第1の測定部材表面
23 第2の測定部材表面
24 第3の脚
25 第2の湾曲領域
26 第2の曲げ軸
27 第3の延び軸
28 第3の直線
29 第4の直線
30 第3の表面
31 第4の表面
S 交点
Ai 間隔
Bj 間隔
Ck 間隔
Dl 間隔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8