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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-19
(45)【発行日】2023-07-27
(54)【発明の名称】導電体用ばね力端子
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/48 20060101AFI20230720BHJP
【FI】
H01R4/48 A
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2020548810
(86)(22)【出願日】2019-03-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-24
(86)【国際出願番号】 EP2019055503
(87)【国際公開番号】W WO2019174982
(87)【国際公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-12-13
(31)【優先権主張番号】202018101402.1
(32)【優先日】2018-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513243480
【氏名又は名称】ヴァイトミュラー インターフェイス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンデイトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フェーリング, シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ヘルマン, ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ハニング, ヴァルター
(72)【発明者】
【氏名】クラッセン, コンスタンティン
【審査官】高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】独国実用新案第202017103185(DE,U1)
【文献】特開平06-036813(JP,A)
【文献】米国特許第06146187(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/48
H01R 9/00
H01R 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟な撚り導電体である導電体(10)を接続するためのダイレクトプラグインばね力端子であるばね力端子(1)であって、少なくとも、
a. チャンバ(4)を有し、チャンバ(4)内の導電体用のプラグインチャネル(5)を有するハウジング(3)と、
b. バスバー(8)又はクランプケージ(13)と、
c. チャンバ(4)内に配置され、クランプポイント(K)の領域でバスバー(8)又はクランプケージ(13)に導電体(10)を固定するための圧縮スプリングとして機能するクランプばね(7)とを備え、
d.クランプばね(7)は、回転軸の周りに回転可能なクランプ脚部(7b)を有し、該クランプ脚部(7b)はラッチ位置にラッチされるラッチ状態(R)から、ラッチ位置から解放されてバスバー(8)又はクランプケージ(13)に抗して導電体(10)を押圧するクランプ状態(K)に調整可能であり、ラッチ状態は、プッシャ(11)を使用して導電体挿入方向にクランプ脚部(11)を押すことによって生成され、
e. クランプ脚部(7b)は2つの異なる作動可能な調整手段を使用して、ラッチ状態(R)から解放可能であり、
f. 2つの作動可能な調整手段のうちの第1の調整手段は、可動の解放要素(12)を有し、接触される導電体(10)の端部は、導電体(10)の解放に作用し、
g. 2つの作動可能な調整手段のうちの第2の調整手段は、クランプ脚部(7b)を動かすプッシャ(11)であり、該プッシャ(11)はハウジング(3)内の作動チャネル(6)をプラグイン方向に変位可能であり、制限された程度まで挿入方向に直交して移動可能であり、且つラッチ縁部(11b)があり、ラッチ状態(R)のハウジング(3)のラッチ縁部(31)でハウジング(3)にラッチされ、ラッチ縁部(11b)はクランプばね(7)を開位置に対応してラッチし、ラッチ縁部(31)は反対の動作でラッチ状態(R)から解放可能であり、
h. 前記解放要素(12)はラッチ位置からプッシャ(11)を解放するように構成されて、この方法でまたラッチ状態(R)からクランプ脚部(7b)を解放するばね力端子(1)において、
i. 前記解放要素(12)は、チャンバ(4)のプッシャ(11)に対して横方向に配置及び形成され、解放要素は導電体挿入方向(X)に垂直に、または本質的に導電体挿入方向(X)に垂直にプッシャに作用して、プッシャをラッチ位置から解放し、
j. プッシャ(11)には作動輪郭(11f)が設けられ、解放要素(12)の作動対向輪郭(12f)と相互作用して、導電体(10)をばね力端子(1)にクランプし、及び/又はばね力端子(1)から導電体を解放し、解放要素(12)は、回転軸(12c)の周りに基本位置(G)から回転位置(S)に回転し、作動対向輪郭(12d)は、基本位置(G)にて、解放要素(12)の回転ピン(12c)の真下に配置される、ばね力端子(1)。
【請求項2】
解放要素(12)は、ラッチ状態の解放時にプッシャ(11)の少なくとも1つの作動輪郭(11f)に作用する、請求項に記載のばね力端子(1)。
【請求項3】
解放要素(12)は、チャンバ(4)のプッシャ(11)に対して横方向に配置及び形成され、プッシャ上にて導電体挿入方向(X)に対して大凡垂直-即ち、30°未満の角度で作用して、ラッチ位置からプッシャを解放する、請求項に記載のばね力端子(1)。
【請求項4】
前記解放要素(12)はレバーアーム(12a、12b)と回転軸(D12)を有して、ハウジング(3)に回転可能に取り付けられた傾斜レバーとして形成され、プッシャ(11)は回転軸(D11)を有する、請求項に記載のばね力端子(1)。
【請求項5】
ラッチ状態からプッシャ(11)を解放する際に、プッシャ(11)と解放要素(12)の回転方向は同じである、請求項に記載のばね力端子(1)。
【請求項6】
プッシャ(11)の回転軸(D11)は、導電体挿入方向(X)にて、プッシャのラッチ縁部(11h)のとハウジング(3)の対応するラッチ縁部(31)のに位置する、請求項に記載のばね力端子(1)。
【請求項7】
プッシャ(11)の回転軸(D11)は、導電体挿入方向(X)にて、クランプばね(7)のクランプ脚部(7b)のに位置する、請求項に記載のばね力端子(1)。
【請求項8】
解放要素(12)の回転軸(D12) は、導電体挿入方向(X)にて、プッシャ(11)の1又は複数の作動輪郭(11f)のに位置する、請求項に記載のばね力端子(1)。
【請求項9】
プッシャ(11)及びハウジング(3)の対応するラッチ縁部(11h、31)は、段部として形成される、請求項に記載のばね力端子(1)。
【請求項10】
前記段部は丸みを帯びた縁部を有する、請求項に記載のばね力端子(1)。
【請求項11】
前記段部は対応するラッチ縁面を有し、該ラッチ縁面はラッチ状態で、互いに5°と20°の間の角度で配列される、請求項に記載のばね力端子(1)。
【請求項12】
ラッチ状態(R)は、導電体を導電体挿入方向にハウジングに導入することにより、及び解放要素(12)上の導電体(10)の作用により、及びプッシャ上に解放要素をプラグイン方向に垂直又は大凡垂直に作用させることにより、解除可能である、請求項に記載のばね力端子(1)。
【請求項13】
前記傾斜レバーは、2つのレバーアーム(12a、12b)を有して、一方のレバーアームは導電体(10)とともに回転するように構成され、他方のレバーアームはプッシャ(11)上に作用して、ラッチ状態(X)からプッシャを解放する、請求項に記載のばね力端子(1)。
【請求項14】
前記ハウジング(3)は、ハウジング下部(3a)及び該ハウジング下部の上に固定可能なハウジング上部(3b)を有し、ハウジング下部(3a)は、円周方向に閉じたスリーブのように構成され、チャンバ(4)が形成されているハウジング下部(3a)の片側または両側が開いている、請求項に記載のばね力端子(1)。
【請求項15】
導電体のプラグインチャネル(5)と作動チャネル(6)が、前記ハウジング上部(3b)に形成されている、請求項14に記載のばね力端子(1)。
【請求項16】
クランプケージ(13)内にはクランプばね(7)が挿入可能であり、このクランプケージ(13)とクランプばね(7)は、開いた端面からスリーブのようなハウジング下部(3a)に挿入可能である、請求項14に記載のばね力端子(1)。
【請求項17】
ハウジング(3)は横方向に開放され、積層可能に構成されている、請求項に記載のばね力端子(1)。
【請求項18】
軸受ブロック(15)がクランプケージ(13)上に形成され又は配置され、該軸受ブロック上に解放要素(12)が回転可能に取り付けられている、請求項に記載のばね力端子(1)。
【請求項19】
プッシャ(11)用の作動チャネル(6)は、導電体のプラグインチャネル(5)に大凡平行に延びている、請求項に記載のばね力端子(1)。
【請求項20】
プッシャ(11)は、ラッチ状態(R)で作動チャネル(6)から自由端部(11a)が突き出るか、又はプッシャ(11)は、ラッチ状態(R)で自由端部(11a)がハウジング(3)の内側にある、請求項に記載のばね力端子(1)。
【請求項21】
前記プッシャ(11)は、プラグイン方向(X)への移動中に、クランプばね(7)のばね力によって、ラッチ位置でプラグイン方向(X)を横切る方向に移動する、請求項に記載のばね力端子(1)。
【請求項22】
前記プッシャ(11)は、手作業で又はドライバ(S)を使用して、プラグイン方向とは反対方向にラッチ状態(R)から解放可能である、請求項に記載のばね力端子(1)。
【請求項23】
前記プッシャ(11)は、作動工具を適用するための少なくとも1つの窪み(11d)または2つの窪み(11d、11d’)を有し、該窪みはプラグイン方向(X)及びプラグイン方向(X)に垂直なプッシャ(11)の移動が、作動工具を使用して実施可能であるように、個別にまたは協働して寸法決めされる、請求項に記載のばね力端子(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載のばね力端子に関する。
【背景技術】
【0002】
導電体をバスバーに押し付ける、又は押圧する圧縮ばねとして設計されたクランプばねを有するダイレクトプラグイン端子(プッシュイン)のような設計のばね力端子が、マニホールドの実施形態では公知である。ばね力端子は、例えば、バスバーの必要な電流容量、クランプばねのばね力、及び/又はそれらの設置条件、特にバスバーの構造サイズに応じて、バスバーの使用に基づいてとりわけ異なる。簡単な設置と安価な生産は、そのような端子に永続的に設定される要件である。
【0003】
米国特許第7,997,915号は、ワイヤ端部フェルールを開示しており、その端部には、導電体を解放できないように接続するためのダイレクトプラグイン端子が配置されている。ダイレクトプラグイン端子は、導電体と電気的に接触するための導電性クランプケージと、導電体を固定するためのばねを備えている。ばねには、導電体がプッシュイン端子に挿入されていない場合に保持エッジに配置された、旋回可能なクランプ脚部があり、導電体のための空きスペースが確保され、導電体がクランプケージに挿入可能である。ダイレクトプラグイン端子に挿入すると、保持手段が変位し、クランプ脚部が解放されて旋回する。旋回したクランプ脚部は、クランプケージの導電体を押圧する。
【0004】
ダイレクトプラグイン端子の改良例は、ヨーロッパ公開公報2678079号から公知であり、ラッチ状態は、導電体によるラッチされたクランプ脚部の解放後、作動要素、圧力要素を使用して再現可能である。
【0005】
ドイツ実用新案第202017103185号から、クランプ脚部は2つの異なる調整手段を使用してラッチ状態から解放可能であることが公知である。ここでは、要素をクランプ脚部の自由クランプ縁部にラッチすることによってラッチ状態が生成されず、それにもかかわらず、導電体をハウジングに導電体挿入方向に導入することによってラッチ状態を解除することができる。2つの調整手段の第1の調整手段は、可動の解放要素を有し、接触する導電体の端部は、導電体の解放中に解放要素に作用し、解放要素を使用して、クランプばねのクランプ脚部がラッチ状態から直接または間接的に解放可能である。
【0006】
2つの調整手段の第1の調整手段は対照的に、クランプ脚部を直接動かすための作動要素である。作動要素自体は、ここで、ラッチ状態で、クランプばねのクランプ脚部と一緒にラッチすることができ、それ自体がラッチ状態から直接解放可能であり、これにより、クランプばねのクランプ脚部もラッチ状態から解放可能である。作動要素はクランプ脚部を動かすためのプッシャであり、ハウジングの作動チャネル内でプラグイン方向に変位可能であり、限られた方法でプラグイン方向に対して垂直に移動可能であり、ラッチ状態では、ハウジングのクランプ縁部でハウジングにラッチされる。
【0007】
ドイツ実用新案第202017103185号のばね力端子は、それ自体が十分に証明されている。それにもかかわらず、その建設的な構成はさらに最適化される。この問題の解決が本発明の目的である。
【0008】
この目的は、請求項1及び/又は請求項8のばね力端子により達成される。有利な実施形態は、従属請求項から推論することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
柔軟な撚り導電体として構成される導電体を接続するための、特にダイレクトプラグイン端子であるばね力端子が提供され、少なくとも、
-チャンバを有し、チャンバ内の導電体用のプラグインチャネルを有するハウジングと、
-バスバー及び/又はクランプケージと、
-チャンバ内に配置され、バスバー及び/又はクランプポイントの領域でクランプケージに導電体を固定するための圧縮スプリングとして機能するクランプばねとを備え、
クランプばねは、回転軸の周りに回転可能なクランプ脚部を有し、該クランプ脚部はラッチ位置にラッチされるラッチ状態から、ラッチ位置から解放されてバスバー又はクランプケージに抗して導電体を押圧するクランプ状態に調整可能であり、ラッチ状態は、プッシャを使用して導電体挿入方向にクランプ脚部を押すことによって生成され、
クランプ脚部は2つの異なる作動可能な調整手段を使用して、ラッチ状態から解放可能であり、
2つの調整手段のうちの第1の調整手段は、可動の解放要素を有し、接触される導電体の端部は、導電体の解放に作用し、第1の調整手段を用いて、第2の調整手段とクランプばねのクランプ脚部はラッチ状態から解放可能であり、
2つの調整手段のうちの第2の調整手段は、クランプ脚部を動かすプッシャであり、該プッシャはハウジング内の作動チャネルをプラグイン方向に変位可能であり、制限された程度まで挿入方向に直交して移動可能であり、且つラッチ縁部があり、ラッチ状態のハウジングのラッチ縁部でハウジングにラッチされ、ラッチ縁部はクランプばねを開位置に対応してラッチし、ラッチ縁部は反対の動作でラッチ状態から解放可能であり、
第2の解放要素はラッチ位置からプッシャを解放するように構成されて、この方法でまたラッチ状態からクランプ脚部を解放する。
【0010】
解放要素は更に、チャンバのプッシャに対して横方向に配置及び形成され、解放要素はプッシャをそのラッチ位置から解放すべく、導電体挿入方向に対して垂直に、または本質的に垂直にプッシャに作用するように構成され、即ち導電体挿入方向に対して45°未満で、好ましくは30°未満で作用するように構成される。これは何故なら、このようにして、導電体は特定の状況下でのみ解放要素に作用することができるので、プッシャは特定の小さな力を用いて、ラッチ状態から簡単かつ確実に解放され、これによりクランプばねもラッチから解放される。
【0011】
一般的な先行技術に記載されているように、クランプ脚部の開位置またはラッチ位置の解放は、やはり2つの方法で可能である。しかし、請求項1に記載の手段により、特にラッチ状態から解放しやすいばね力端子が提供され、その構造的構成及び操作性は、この点に関してさらに改善されている。
【0012】
この目的から、ラッチ状態の解除中に、解放要素がプッシャの少なくとも1つの作動輪郭に作用する場合、それは有利である。
更に、解放要素が、少なくとも1つのレバーアームを有し、回転軸を有してハウジングに回転可能に取り付けられた傾斜レバーとして構成され、プッシャが回転軸D11を有することが提供される。
【0013】
目的を達成する1つの有利な構成において、プッシャには作動輪郭が設けられ、該作動輪郭は解放要素の作動対向輪郭と相互作用して、導電体をばね力端子にクランプし、及び/又はばね力端子から導電体を解放する。解放要素は、回転軸の周りに基本位置から回転位置に回転するのが好ましい。作動対向輪郭は、基本位置にて、解放要素の回転ピンの下に配置されるのが特に好ましい。従って、ばね力端子は、特に省スペースで製造可能である。
【0014】
ラッチ状態から解除中に、ラッチ状態からプッシャ及び解放要素の回転方向は同じであることが有利である。この方策は有利であるが、必須ではない。導電体による解放作動による2つの解放経路を有する解放要素の特にコンパクトな構成、又は端子の外側から工具を用い、又は手動によるプッシャの直接的な動作はこれにより実施される。
【0015】
プッシャの回転軸は、導電体挿入方向にて、ラッチ縁部の前且つクランプばねのクランプ脚部の上にあり、及び/又は解放要素の回転軸は、導電体挿入方向にて、プッシャの1つ又は複数の作動輪郭の前にあることは、さらに、良好かつ安全な解放のために有利に提供され得る。
【0016】
要素をクランプ脚部の自由なクランプ縁部にラッチすることによって、ラッチ状態が生成されず、ラッチ状態は、導電体挿入方向に導電体をハウジングに導入し、解放要素上の導電体を使用して作用することにより、及びプラグイン方向に対して垂直または本質的に垂直なプッシャ上の解放要素の作用により解放可能であることは、更に有利である。
【0017】
更に、プッシャのラッチ位置からの解放、及び特に機能的に信頼できる方法でこれに伴うそのラッチからのクランプばねの解放を構成するための対策を講じることができる。従って、プッシャ及びハウジングの対応するラッチ縁部が段部として形成され、段部が丸みを帯びた縁部を有することが好ましく、及び/又は対応するラッチ縁面を有し、ラッチ縁面がラッチ状態にて互いに0°と30°の間、好ましくは5°と20°の間の角度で配列されることが有利に提供される。このようにして、いずれの場合も、ラッチの状態を解除することなく、プッシャをラッチの外にスライドさせることが容易になる。従って、全体として、ラッチ縁部の領域における自己抑制は維持され、これは当業者が実験で確認することができる。
【0018】
ばね力端子は、固体導電体だけでなく、撚り導電体にも特に適している。これは、撚り導電体が、ラッチ状態で撚り導電体を分割して開くことなく、ハウジング内のチャンバの自由空間内を前後に移動できるからである。バスバーの材料は、例えば銅または銅合金などの良好な導電性を有するものを選択することができる。ばね鋼は、クランプばねの製造材料として有利である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
以下、本発明を図面を参照して例示的な実施形態に基づいてより詳細に説明する。この例示的な実施形態は、特に特許請求の範囲において可変である、本発明の建設的な実施のための1つの変形であるが、唯一の可能な変形ではない。
図1a】ばね力端子に挿入可能または挿入される導電体をクランプするために設けられたクランプ脚部を有するばね力端子の断面図を非ラッチ状態で示す。
図1b図1aにおけるばね力端子を示し、クランプ脚部がラッチ状態にある。
図2a図1bのばね力端子の断面図を示し、導電体がばね力端子への挿入中であり、クランプ脚部は依然としてラッチ状態にある。
図2b図2aのばね力端子を示し、導電体がばね力端子に挿入されており、クランプ脚部は、ラッチ状態から外れている。
図3a図1aからの状態における図1a及び図1b並びに図2a及び図2bからのばね力端子を部分的に破断した斜視図を示す。
図3b図3aから選択された図におけるばね力端子を示し、導電体はばね力端子への挿入中であり、クランプ脚部は依然としてラッチ状態にある。
図3c図3a及び図3bから選択された図におけるばね力端子を示し、導電体はばね力端子へ挿入され、クランプ脚部は依然としてラッチ状態にある。
図4a図1乃至図3のばね力端子の幾つかの要素及び要素アセンブリの斜視図を示す。
図4b図1乃至図3のばね力端子の幾つかの要素及び要素アセンブリの斜視図を示す。
図4c図1乃至図3のばね力端子の幾つかの要素及び要素アセンブリの斜視図を示す。
図4d図1乃至図3のばね力端子の幾つかの要素及び要素アセンブリの斜視図を示す。
図4e図1乃至図3のばね力端子の幾つかの要素及び要素アセンブリの斜視図を示す。
図4f図1乃至図3のばね力端子の幾つかの要素及び要素アセンブリの斜視図を示す。
図4g図1乃至図3のばね力端子の幾つかの要素及び要素アセンブリの斜視図を示す。
図4h図1乃至図3のばね力端子の幾つかの要素及び要素アセンブリの斜視図を示す。
図4i図1乃至図3のばね力端子の幾つかの要素及び要素アセンブリの斜視図を示す。
図4j図1乃至図3のばね力端子の幾つかの要素及び要素アセンブリの斜視図を示す。
図5a】アセンブリ状態及び側面図である図1のばね力端子の断面図を示すが、ハウジング下部はなく、図3bのようなラッチ状態に対応する。
図5b図5aの断面図を示し。幾つかの力の矢印及び幾つかの回転軸によって補足されている。
図6】ラッチ状態におけるハウジングとプッシャとの間のラッチ縁部の詳細を拡大して示される領域の側面図を示す。
図7】本発明による2つのばね力端子を有する端子ブロックを斜視図で示す。
図8a図7の端子ブロックのばね力端子用の解放要素を様々な斜視図で示す。
図8b図7の端子ブロックのばね力端子用の解放要素を様々な斜視図で示す。
図9図7による積層方向に互いに積み重ねられた複数の端子ブロックを有する端子ブロック配置を示す。
図10a】様々な状態のばね力端子を示す、図7による端子ブロックの詳細図である。
図10b】様々な状態のばね力端子を示す、図7による端子ブロックの詳細図である。
図10c】様々な状態のばね力端子を示す、図7による端子ブロックの詳細図である。
図10d】様々な状態のばね力端子を示す、図7による端子ブロックの詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1a及び図1b、図2a及び図2b及び図3a、図3b、図3cは、種々の図及び「切換え状態」における、第1のばね力端子を示す。これらの要素の個々の要素及びアセンブリは更に、図4a-図4h、図5a、図5b及び図6に見られる。
【0021】
ばね力端子1はハウジング3を有し、該ハウジング内にダイレクトプラグイン端子2(プッシュイン端子とも呼ばれる)が形成される。ハウジング3は絶縁性プラスチックから成るのが好ましい。ハウジング3は1又は複数の部品から形成され得る。これに関して、一般的な従来技術に関してさらに言及され、そこでは、本発明と原理的に組み合わせることもできる様々な構成が説明されている。従って、ハウジング3は、横方向に開いて形成することができ、積み重ね可能であるように構成することができる。
【0022】
図4a、図4c及び図4dを参照して、ハウジング3は、ここでは、例として、断面が本質的に長方形であり、その上にハウジング上部3bを配置することができるスリーブ状のハウジング下部3aからなる。そのような構成がここで実施されるのが好ましい。ハウジング上部3bは、摩擦ロック及び/又は形状嵌合によってハウジング下部3aに固定、例えば、ラッチすることができる。
【0023】
ハウジング3内には、特に金属部品も含む、ダイレクトプラグイン端子2の機能要素を収容するためのチャンバ4が形成されている。ここで、チャンバ4は、ハウジング下部3aに形成されている。チャンバ4は、上部が開放され、場合によってはその底部も開放されるように形成され得る。チャンバ4は、ハウジング上部3bによって上部が終端されている。それは、底部が閉じているように、または外部の電気的アセンブリへの接続用の端子が底部に隣接できるように開いているように形成することができる。これに関して、一般的な従来技術の図9が参照される。あるいは、ハウジング下部3aは、複数のチャンバ、複数のダイレクト接続2、及び複数のハウジング上部またはこの目的のために複数のチャンバに対応する1つのハウジング上部(ここでは図示せず)を有することもできる。
【0024】
チャンバ4は、一方では導電体プラグインチャネル5によってハウジングの外側の1つ(「プラグイン側」と呼ばれ、ここでは上側)に接続され、他方では作動チャネル6によってハウジングの外側の1つに接続される。作動チャネル6は、導電体プラグインチャネル5と本質的に平行に延びる。作動チャネル6は、それ自体、円筒形、又は段付き及び/又は円錐形に形成することができる。有利なことには、導電体プラグインチャネル5及び/又は作動チャネル6は、ハウジング上部3bに形成することができる。導電体プラグインチャネル5は、導電体プラグイン方向Xで導電体10をハウジングに差し込むために使用される。導電体プラグインチャンネルは、あるタイプの挿入ファンネルを持つことができる。導電体10は、剥がされた導電体端部を有する。これは、ダイレクトプラグイン接続2へのプラグインに使用される(図2a、図2b)。
【0025】
クランプばね7とバスバー8がチャンバ4に配置されて、ダイレクトプラグイン接続2を形成する。必要に応じて、金属製のクランプケージを提供でき、該ケージがクランプばね及び/又はバスバー8を支持するのに使用される。しかしながら、クランプケージも提供され得る。この点に関して、一般的な先行技術について再び参照する。
【0026】
図1a乃至図3cに従って、(簡単に構成された)クランプケージ13(特に図1a及び図2aを参照)を有する金属アセンブリが提供され、その中にクランプばね7が挿入可能である。クランプケージ13は、側面視で少なくともU字形であり、3つの脚部13a、13b、13cを有する。ハウジング下部3aが導電体10を中心に置くので、クランプケージは横方向に開いているが、これは問題にはならない。
【0027】
クランプばね7は、3つの脚部13a、13b、13cの間に置かれる。脚部13a、13b、13cの少なくとも1つは、電気的アセンブリ(ここでは図示せず)を、例えばプラグ(図示せず)又は回路基板などへ接続するのに使用され得る。バスバー8は、ここではクランプケージ、特にその脚部13aと同様に構成されている。
【0028】
クランプケージ13はクランプばね7とともに、開放側からハウジング下部3aに挿入可能である。これらの要素は、このようにして互いに事前に取り付け可能であり、したがって、さらに簡単に取り付け可能であり、ハウジング下部3a内に十分に保護されて配置される。
【0029】
いずれの場合でも、クランプケージ13の一方の脚部13aはバスバー8によって形成され、バスバー8は最初にこの箇所で導電体プラグイン方向Xと平行に延在し、次に、実際の接触セクションの下に隣接して、導電体プラグイン方向Xを横切る横脚部13bのクランプポイントKまで延び、導電体プラグイン方向Xと平行に再び延びる脚部13cにおいて導電体プラグイン方向Xに抗して延びる。
【0030】
クランプばね7は、U字形またはV字形に形成され、支持脚部7a及びクランプ脚部7bを有する。支持脚部7aはバットレスで支持されている。このバットレスは、チャンバ4の壁上の突起によって形成することができる。該突起は、バスバー8の脚部13cによってここで形成される。
【0031】
クランプ脚部7bは、湾曲した背部7cを介して支持脚部7aに接続されている。背部7cは、チャンバ4内に突出するハウジング3の支持輪郭と重なり合うことができるが、必須ではない。
【0032】
回転可能なクランプ脚部7bは、クランプポイントK(図2b)の領域で、その端のクランプ縁部7dを使用して、夫々の導電体10にばね力で作用し、この導電体10またはその剥がした導電体の端をバスバー8に押し付けるために使用される。このようにして、挿入された導電体10とバスバー8との間に導電性の接点が生成される。これは、図1bから明らかである。
【0033】
導電体10は、導電体プラグインチャネル5を介して、クランプポイントKの領域で、導電体プラグイン方向Xにチャンバ4に案内され得る(図2a、図4aを参照)。
作動要素は、作動チャネル6に配置される。ここで、作動要素は、好ましい構成において、作動要素6内で変位可能に案内される圧力要素(略して「プッシャ11」と呼ばれる)として形成される。
【0034】
プッシャ11の自由端部11aは、アクセスしやすいように、ハウジング3の外側を越えて外向きに突出するのが好ましい。これは有利であるが必須ではない。更に、工具、特にドライバをプッシャ11に適用するための作動輪郭、特に窪み11dは、この自由端部11a上に有利に形成することができる。この窪み11dは、ドライバが窪み11d(図4b、図4c)に比較的しっかりと遠くに挿入可能であるような寸法であるのが好ましい。しかしながら、プッシャ11の上方の作動端部は、作動チャネル6の内側に配置することもできる。
【0035】
プッシャ11の他端部11c(作動端とは反対側)は、チャンバ4内に突き出ている。該他端部は、このチャンバの下半分にある。更に、プッシャ11は、ここではその2つの端部11aと11cとの間に圧力輪郭11bを有する。この圧力輪郭11bは、クランプ脚部7bを開くために、プッシャ11を使用して差込方向にクランプ脚部7bに力を加えることができるように使用される。
【0036】
第1の圧力輪郭11bの下で、プッシャ11は、通路開口部のようなスロット11eまたは側壁を有する下部開口部を有する(図4b及び図4cも参照)。
取り付けられた状態では、クランプ脚部7bはスロット11eを貫通し、スロット11e内で制限された程度まで回転することができる。
更にプッシャ11は、これから説明する解放要素12の作用のための作動輪郭11fを有する。
【0037】
スロット11eの横に、プッシャはここで1つ又は2つのアーム11gを有し(図4も参照)、その下端に、作動輪郭11fが何れの場合も解放要素12のために形成され、解放要素はなお説明される。
【0038】
プッシャは、スロット11eの上端のアーム11gの間に圧力輪郭11bを持っており、圧力輪郭11bを使用してクランプ脚部7bに圧力を加えることができ、これにより、プッシャ11が圧力輪郭11h又はここの圧力縁部を使用して導電体挿入方向Xに作動チャネル6に押し下げられると、クランプ脚部7bに圧力を挿入することができ、このクランプ脚部を枢動させてバスバー8から離間させ、導電体10が開いたクランプポイントKに挿入可能である。
【0039】
ここでは、プッシャ11のアーム11gは、クランプばね7の側方に延びている。このようにして、プッシャ11の2つのアーム11gの確実なトリガーが実現可能である。この動作により、ハウジング3にラッチのように支持されたプッシャ11が移動し、それにより、プッシャ11は、ラッチ縁部31上のラッチから解放され、それによりプッシャ11が解放され、解放されたクランプ脚部7bのばね力により、プラグイン方向Xとは反対に、作動チャネル6内で幾分上方にスライドする。
【0040】
この少なくとも1つの作動輪郭11fは、ここでは、チャンバ4内のプッシャ11の端部11cの近くに配備される。それは、クランプポイントKの下に位置する。
移動可能な解放要素12は、プッシャ11の端部11cに横方向に隣接して、またはプッシャの端部の上方に、-作動輪郭11fの横方向に(プッシャ11が最大に挿入された状態で、まだ説明されていないラッチ状態に関して)チャンバ4内に配置されている。
【0041】
この解放要素12は、回転軸を中心に回転可能な2つのレバーアーム12a、12bを有する傾斜レバーとして構成されており(図4e)、g)、i)、j)も参照)、ここでは有利であるが必須ではない。傾斜レバー12は、角度付きレバーとして形成することができる。傾斜レバーは例えばバスバー8及び/又はクランプケージ13と一緒にチャンバ4に挿入される軸受ハウジング14又は軸受ブロックなどに取り付けることができる。この目的から、傾斜レバー12は、軸12cを有し、軸12cは、軸受ブロック14の軸受凹部14aに旋回可能に挿入される。レバーアーム12aは、チャンバ4内に押し下げることによる導電体による作動のために使用され、レバーアーム12bは、プッシャ11をラッチ位置から解放するために動かすために使用される。
【0042】
プッシャ11は更に、オフセットのような少なくとも1つの横方向の段を有し、その上に第1のラッチ縁部11h(図4b及び図5及び図6も参照)が形成される。このラッチ縁部11hは、ハウジング3のチャンバ4上/内の対応するラッチ縁部31と相互作用する。このラッチ縁部31を形成するために、ハウジング3、ここではハウジング上部3bは、対応する段部を有する。
【0043】
この場合において、ラッチ縁部11hは、プッシャ11のクランプ脚部7bに面する側に形成される。これは有利であるが、必須ではない。
プッシャ11をプラグイン方向Xで作動チャネル6に押し込むことにより、圧力輪郭11bを介してクランプ脚部7bに圧力を加えることができる。
一方で、これは導電体10を取り外すことができるように、挿入された導電体でクランプポイントKを開くために使用される。
【0044】
しかし、図1aの位置から開始して、プッシャ11の機能は当初は異なる。プッシャ11またはそのラッチ縁部11hが導電体挿入方向Xに十分深く押されると、ここでは作動チャネル6からチャンバ4への移行領域にて、ハウジング3の対応する反対側のラッチ縁部31を通過し、プッシャ11はクランプばね7又はクランプ脚部7bの力によって、導電体10のプラグイン方向Xに対して幾分垂直な側に押され、及び/又は旋回される。同時に、プッシャ11のラッチ縁部11hは、ハウジング3の対応するラッチ縁部31の後ろにラッチする(図5a及び図5bを参照)。ラッチ縁部31またはハウジング3の段部は、ここでは例示的な構成でハウジング上部3bに配置されている(図5b)。
【0045】
従って、プッシャ11は、ハウジング3内又は作動チャネル6内で、プラグイン方向に対して横方向にある程度変位可能及び/又は回転可能であることが必要である。変位及び/又は回転できることは、上記のラッチ位置でプッシャ11を押している間にラッチ縁部11hが移動できるようなに、少なくとも寸法が決められているのが好ましい(これに関して、特に図5及び回転軸D11を参照)。回転軸D11は、解除要素が作用するとき、ラッチ位置からの解除中、重ね合わされた回転及び線形運動時にプッシャがその周りを回転する軸である(D11として識別される)。回転軸D11はここでは作動チャネル6の内側に位置する。この目的から、作動チャネル6は、ここでは円筒形の輪郭ではなく、導電体の挿入方向Xに最初はわずかに円錐状に先細りになり、その後再び広がる輪郭を有し、回転軸D11はプッシャ11を、ハウジング3の作動チャネル6の先細りの領域と次に広がる領域との間の移行領域に適用することによって形成することができる。
【0046】
この方法にて、クランプばね7又はそのクランプ脚部7bもまた、ラッチされることができ、又はプッシャのラッチを介してハウジング3の開放位置に間接的にラッチされる(図1b及び図2aを参照)。
このラッチは、ハウジングにラッチ位置でラッチされているプッシャ11を使用して、導電体挿入方向にクランプ脚部に圧力をかけることによって実行され、しかし、プッシャ11のラッチを解除するには、そこから再び移動可能であり、従ってクランプばね7のラッチも解除する。
【0047】
ラッチ位置にて、導電体10は簡単な方法でクランプポイントKの領域に押し上げることができる。プッシャ11がラッチされているという点で、クランプばね7またはそのクランプ脚部自体が開位置に保持されている。導電体の端部はこのように挿入され得る。導電体の端部に接するべく、ラッチ位置は解除されなければならない。開位置の解除又はクランプ脚部7bのラッチ位置の解除は2つの異なる方法で可能である。
【0048】
ラッチ状態は、自由なクランプ縁部7d、即ち、導電体がクランプされるラッチ脚部7bの端部の要素のラッチによって生成されないので、クランプ脚部をラッチ位置から外すのに必要な力はごくわずかである。本発明は、これを利用して、クランプ脚部7bの自由なクランプ縁部7d上にラッチ位置またはラッチ状態を生成せず、むしろクランプ脚部7bの中央部分にてクランプ縁部から導電体挿入方向により離れたクランプ脚部7b上にプッシャ11の圧力によって生成する。この場合又はこの方法にて、導電体10が、例えば、非常に薄いマルチストランド導電体として形成されていても、導電体を使用して、非常に小さな力だけが解放要素12に加えられ、プッシャ11自体を直接使用して、クランプばね7またはそのクランプ脚部7bをラッチ位置から解放することができる。クランプばね7は、そのクランプ脚部7bを使用して、ここではプッシャ11をラッチ位置に保持する。
【0049】
これは、構造に関して様々な方法で、従って、以下で説明する方法で都合よく実施可能である。この作動時に、プッシャ11がハウジング3の上端でいくらか、ここではプラグイン方向Xに対して横方向に垂直に、移動、変位、または旋回して、ラッチ位置を解放し、ラッチ縁部11hは、ラッチ縁部31のラッチ位置から外れ、プッシャ11のハウジング3へのラッチが解除される。ラッチ脚部7bのラッチ位置がこのように解除される。この方法で、クランプばね7のクランプ脚部7bは弛緩し、クランプポイントKで導電体10をバスバー8に押し付けることができる。これは手動で、またはここでツールを使用することが考えられる。
【0050】
この領域は図6により正確に見られる。半径が、過度に小さくない段部又はラッチ縁部31および11hの対応するラッチ縁面の領域の角部領域又は縁部領域に形成されることが有利であり、プッシャ11は、ハウジングから十分に解放可能である。半径は0.1mmと0.2mmの間の範囲であるのが好ましい。更に、「ラッチ縁部」を実際に定義するラッチ縁面は、互いに正確に平行に配置することは可能であるが、平行に配置する必要はなく、むしろ、互いに1度から45度までの角度でやや斜めに整列させるのが好ましく、自己抑制的ロックが実現されるが、おそらく、このような自己抑制的ロックは、平行な表面及び/又はラッチ縁面の領域に非常に小さいエッジ半径を有するものよりも解放が容易である。
【0051】
或いは、導電体10の導電体端部を使用して解放要素12に導電体挿入方向Xに力F10を加えて、プッシャ11を解放位置から、従ってラッチ位置から解放することができる。この場合、導電体10は2つのレバーアームの一方、即ちレバーアーム12aを押す。このようにして、解放要素はその回転軸12cの周りを回転し、他のレバーアーム12bはプッシャ11の作動輪郭11fに力F12で作用する。この動作により、ハウジング3に支持されているプッシャ11は、ラッチ縁部31のラッチから解放されるように移動し、これにより、プッシャ11が解放され、解放されたクランプ脚部7bの力により、プッシャ11はプラグイン方向Xに抗して作動チャネル6内で再び幾分上方にスライドする。
【0052】
導電体の端部を用いたラッチ位置のこの解放は、ばね力端子1を切り換える一般的な方法である。例えば導電体10が非常に柔軟であり、特定の場合にそれを使用して解放要素12を作動させるのに十分な力を発生させることができない場合、プッシャ11の上記の動きは代替の解決策である。
【0053】
ハウジング3から突出するプッシャ11の端部11aの窪み11dが十分に深い寸法である場合、プッシャ11に手で、または好ましくは挿入されたドライバまたは他の工具を使用して、そのラッチ位置からプッシャ11を解放する力を加えることができることは有利である。
プッシャ11はまた、作動チャネル6の段部に対応し、導電体プラグイン方向Xにおけるプッシャ11の挿入境界を実施する段部を有することができる(ここでは見えない)。
【0054】
図4に従って、解放要素12は補足的なサブアセンブリから、要素13、7のアセンブリに形成される。このサブアセンブリは、金属のみ、プラスチックのみ、または金属とプラスチックで作られた要素の混合形態で構成される。これは、解放要素12と、ここでは解放要素12が回転可能に取り付けられた軸受ブロックまたは軸受ハウジング14とを有する。このサブアセンブリはまた、クランプケージ13に予め取り付けることができ、サブアセンブリはクランプケージ13及びバスバー7と一緒にハウジング3に挿入され得る。
【0055】
軸受ブロック14は、金属またはプラスチック製のクランプケージ13とは別の要素として形成でき、軸受ブロック14はクランプケージ13に固定可能で(図4e、図4g、図4i、図4j)、解放要素12の受け部も備えている。しかしながら、軸受ブロックは、バスバー上の付属品によって代替的に形成することもできる。
【0056】
解放要素12は2つのレバーアーム12a、12bを有する。従って、導電体10の導電体端部を使用して解放要素12に導電体挿入方向Xに力を加えて、プッシャ11を解放位置から、従ってラッチ位置から解放することができる。ここで、導電体10は、2つのレバーアームの一方、即ちレバーアーム12aを押す。このようにして、解放要素12は、その回転軸12cを中心に回転し、他のレバーアーム12bは、プッシャ11の1つ又は2つの対応する作動輪郭11f上のトリガー輪郭として作用する。
【0057】
解放要素12の1つ又は複数の作動輪郭は、プッシャ11に対して垂直または本質的に垂直(=90°±30°)に作用することが好ましい。
このようにして、特に小さな力を使用してプッシャ11及びクランプばねを解放することが可能である。導電体をクランプポイントに挿入することによるトリガに関する信頼性は、このようにして簡単な方法で再び高められる。
【0058】
或いは、プッシャ11はその上端での作動により、ラッチ位置から直接解放され得る。
ラッチ状態からのプッシャ11の解放時のプッシャ11及び解放要素12の回転方向は、同じであるのが好ましい。これは図5により良く見られる。これは、プッシャ11及び解放要素12の(仮想)回転軸D11及びD12が図5に示されているためである。
【0059】
プッシャ11の回転軸D11は、導電体挿入方向Xにおいてプッシャ11のラッチ縁部の前方に位置している。さらに、回転軸はクランプばね7のクランプ脚部7bの上に配置されている(上=挿入方向Xにおけるクランプばねの前)。
対照的に、1つ又は複数の作動輪郭11fは、解放要素12の回転軸の高さ又はより良くは高さより下に配置されるのが好ましい(下=挿入方向Xにおける回転軸D12の後)。
【0060】
このようにして、よりコンパクトな構造を実現でき、解放要素のレバーアームに対して垂直な又は本質的に垂直な解放要素12の力作用の上述の有利な配置を、構成的に簡単に実施することが可能である。
追加の要素、特に導電体プラグイン力をトリガー力の方向に偏向させるためのスライド要素(ここでは図示せず)を任意で提供することも考えられる。
【0061】
図7は、本発明に従った2つのばね力端子1を有する端子ブロック15を斜視図で示す。端子ブロック15は、好ましくは積層方向の一方の側で開いており、ばね力端子1を囲み、シルクハット状のレール160(図9参照)にロック可能である電気絶縁ハウジング3を有する。ハウジング3は、シルクハット状のレール160にロックするためのロック手段16を有する。
【0062】
ばね力端子1は、プラグイン方向91を横切る横方向93に、また端子ブロック15の対向する側I、IIの積層方向92を横切るように配置される。
【0063】
ばね力端子1は、夫々チャンバを有し、各チャンバ内にクランプばねが配置される。クランプばね7の背部7cは、クランプばね7のクランプ脚部7bのための回転軸を形成するウェブ70の一部を包み込む。クランプばね7の支持脚部7aは、ハウジング3の支持輪郭32上の回転軸周りのクランプ脚部7bの回転中に支持される。
【0064】
各ばね力端子1は、プッシャ11を有する。プッシャは、作動チャネル6内に配置される。クランプ脚部7bは、プッシャのスロット11eを貫通する。クランプ脚部は、スロット11e内で少なくとも限られた範囲で回転可能である。クランプ脚部7bを作動させるために、プッシャ11は圧力輪郭11b(図10(a)を参照)を有し、圧力輪郭を使用してクランプ脚部7bに圧力を加えることができる。
【0065】
更に、プッシャ11は、解放要素12に作用する作動輪郭11fを有する(図10(c))を参照)。
解放要素12は、ここでは、回転軸を形成する回転ピン12cの周りに回転可能に配置される。これについては、図8で詳しく説明する。端子ブロック15の第2側に配置されたばね力端子1の解放要素12は、図面の左側に分解図で示され、積層方向92の変位により、回転ピン12cに押される。
【0066】
更に、端子ブロック15のばね力端子1は夫々、互いに横方向に配置された2つの脚部13a、13bを有するクランプケージ13を有する。端子ブロック15のクランプケージ13はバスバー8によって互いに接続される。クランプケージ13とそれらを互いに接続するバスバー8もここでは分解図で示されており、積層方向92の変位により端子ブロック15に挿入可能である。
【0067】
導電体10は、プラグイン方向91の導電体プラグインチャネル5を介して各ばね力端子1に差し込むことができる。図9は、プラグインされた導電体10を備えたばね力端子1を示している。
第1側Iに配置されたばね力端子1にて、図面の右側で、プッシャ11は、ラッチ状態DRにおいて、ハウジング3のラッチ縁部31上のそのラッチ縁部11h(図10(a)を参照)でラッチされる。このように、クランプばね7はラッチ状態Rにあり、クランプ脚部7bはチャンバ4を解放し、従って、導電体10の挿入のために開いている。図10(a)もこの状態を示す。
【0068】
対照的に、第2側IIに配置されたばね力端子1にて、図面の左側で、プッシャ11は、解放されて非ラッチ位置Lに配置されている。この位置では、プッシャ11は、プラグイン方向91に対して、ラッチ位置DRに対して上方に変位している。クランプ脚部7bは、チャンバ4を貫通する閉じ位置Kに位置する。図10(d)もこの状態を示す。
【0069】
図8(a)、(b)は、この端子ブロック15のばね力端子1用の解放要素12を2つの斜視図で示す。解放要素は、中空の円筒形本体12fを有し、該円筒形本体は、各対向する端部にホイール形状の拡張部12gを有する。該円筒形本体12fは、回転軸を形成する回転ピン12cに押し付けられる。ばね力端子1に差し込まれた導電体10を使用して作動可能なレバーアーム12aは、解放要素12上に配置される。拡張部12gの間には、プッシャ11の端部11cが挿入可能な中間空間12eが形成されている。開いた作動端(図示せず)から中空円筒体12fに向かう方向から開始して、レバーアーム12aは広がる。回転軸12cのいくらか下には、プッシャ11の作動輪郭11fと相互作用するために設けられた作動対向輪郭12d(図10(a)を参照)がある。端子ブロック装置150は、シルクハット状のレール160にロックされている。導電体10は、各ばね力端子1に挿入されている。
【0070】
第1側Iに配置されたばね力端子1にて、図面の右側で、導電体10は未だクランプされていない。図10(b)はまた同じ状態を示す。
第2側IIに配置されたばね力端子1にて、図面の左側で、導電体10はクランプされている。導電体は解放要素12を作動させる。図10(c)はまた同じ状態を示す。
【0071】
図10(a)-(d)は、図7に従った端子ブロック15の詳細を示し、ここで、詳細の各々は、様々な状態のばね力端子1を示す。
図10(a)にて、プッシャはラッチ状態DRに位置する。従って、クランプばね7もラッチ状態Rにあり、クランプ脚部7bはその復元力に抗して調整される。従って、チャンバ4は開いており、導電体10はばね力端子1に挿入可能である。解放要素12は、基本位置Gに位置して、該基本位置にて導電体10と相互作用するように設けられた解放要素12のレバーアーム12aが挿入方向91に対して横方向93に延びる。この基本位置Gにて、作動対向輪郭12dは、解放要素12の回転軸を形成する回転ピン12cの下に配置される。従って、プッシャ11は、解放要素12の中空円筒形本体12fの拡張部12gの間の中間空間12eに配置される。この配置は、非常に省スペースであり、従ってばね力端子1は、非常に小さく/狭いように構成することができる。
【0072】
図10(b)は、チャンバ4内に導電体10を挿入中のばね力端子1を示す。導電体10は未だクランプされていない。
図10(c)にて、導電体10は、可能な限りチャンバ4内に挿入され、それにより、導電体10は、解放要素12のレバーアーム12aを作動させ、回転方向95に回転させる。従って、解放要素12は、回転された回転位置Sに配置される。プッシャ11は解放位置Lに位置する。プッシャは、プラグイン方向91に対するクランプばね7の復元力を使用して、クランプ脚部7bによって変位される。クランプ脚部7bは、導電体10をクランプケージ13に押圧し、それにより、ばね力端子1にクランプされる。
【0073】
作動対向輪郭12dは、解放要素12の回転により、回転角(図示せず)だけ旋回される。従って、作動対向輪郭は、回転ピン12cの下のその位置に対して拡張される。従って、作動対向輪郭12dは、プッシャの作動輪郭11fに容易にアクセスおよび作動可能である。
【0074】
この状態から開始して、プッシャ11は、プラグイン方向91に容易に、且つ横方向93(プラグイン方向に垂直)に対してわずかに変位することができる。プッシャ11の作動輪郭11fは、解放要素12の作動対向輪郭12dと相互作用し、解放要素12は、回転方向95に対して逆回転される。同時に、クランプ脚部7bは、クランプばね7の復元力に抗して回転方向97に回転され、それにより、導電体10が解放される。導電体10は、次に、プラグイン方向91に抗してチャンバ4から引き出される。
【0075】
別の導電体10をチャンバ4に挿入可能にするために、プッシャ11は、そのラッチ縁部11hをハウジング3のラッチ縁部31に再びロックすることができる。次に、クランプばね7は、図10(a)の状態に再び配置される。
【符号の説明】
【0076】
ばね力端子 1
ダイレクトプラグイン端子2
ハウジング 3
ハウジング下部 3a
ハウジング上部 3b
ラッチ縁部 31
支持輪郭 32
チャンバ 4
導電体プラグインチャネル5
作動チャネル 6
クランプばね 7
ウエブ、回転軸 70
支持脚部 7a
クランプ脚部 7b
背部 7c
クランプ縁部 7d
ラッチ状態、開位置 R
クランプ状態、閉じ位置 K
バスバー 8
導電体 10
プッシャ 11
自由端部 11a
窪み 11d
端部 11c
第1の圧力輪郭 11b、11b’
スロット 11e
作動輪郭 11f
アーム 11g
ラッチ縁部 11h
ラッチ状態 DR
解放状態 L
解放要素 12
レバーアーム 12a、12b
回転ピン、回転軸 12c
作動対向輪郭 12d
中間空間 12e
中空円筒形本体 12f
ホィール形の拡張部 12g
基本位置 G
回転位置 S
クランプケージ 13
脚部 13a、13b、13c
軸受ブロック 14
軸受凹部 14a
端子ブロック 15
端子ブロック装置 150
ロック手段 16
シルクハット状のレール 160
プラグイン/挿入方向 91
積層方向 92
横方向 93
拡張方向 94、96
回転方向 95、97
第1部、図面の右側 I
第2部、図面の左側 II

図1a
図1b
図2a
図2b
図3a
図3b
図3c
図4a)】
図4b)】
図4c)】
図4d)】
図4e)】
図4f)】
図4g)】
図4h)】
図4i)】
図4j)】
図5a
図5b
図6
図7
図8a)】
図8b)】
図9
図10a)】
図10b)】
図10c)】
図10d)】