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特許7316298自己輸血のための出血液を処理するためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-19
(45)【発行日】2023-07-27
(54)【発明の名称】自己輸血のための出血液を処理するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/00 20060101AFI20230720BHJP
【FI】
A61M1/00 170
A61M1/00 100
【請求項の数】 31
(21)【出願番号】P 2020556346
(86)(22)【出願日】2018-12-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-03-25
(86)【国際出願番号】 FR2018053500
(87)【国際公開番号】W WO2019129973
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2021-10-12
(31)【優先権主張番号】1763308
(32)【優先日】2017-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(31)【優先権主張番号】1763310
(32)【優先日】2017-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】520232655
【氏名又は名称】イ-エスウペ
【氏名又は名称原語表記】I-SEP
【住所又は居所原語表記】21 Rue Lanoue Bras de Fer, 44200 NANTES, FRANCE
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ガドラ、フランシス
(72)【発明者】
【氏名】ショレ、ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ピコ、シルヴァン
(72)【発明者】
【氏名】フォレスト-ヴィユガ、パトリシア
【審査官】沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-527212(JP,A)
【文献】特表平07-503379(JP,A)
【文献】特表2013-513406(JP,A)
【文献】特表2002-500071(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出血液を処理するための処理ユニット(100)を備え、自己輸血の目的で患者から以前に採取された出血液を処理するための処理システムであって、前記処理ユニット(100)は、
吸入室(111)を吐出室(112)から分離するように、ハウジング(114)内に配置された濾過膜(113)を含む接線濾過用の濾過装置(110)であって、前記吸入室(111)および前記吐出室(112)がそれぞれ、流体のための入口(111a、112a)および出口(111b、112b)を有する、濾過装置(110)と、
再循環ライン(150)によって前記濾過装置(110)における前記吸入室(111)の前記出口(111b)および前記入口(111a)にそれぞれ流体的に接続された入口(140a)および出口(140b)を有する処理ポーチ(140)であって、前記出血液が、前記再循環ライン(150)において、前記処理ポーチ(140)の前記出口(140b)から前記濾過装置(110)の前記吸入室(111)を通って前記処理ポーチ(140)の前記入口(140a)に向かう方向に循環することを可能にする、処理ポーチ(140)と、
前記処理ポーチ(140)の前記出口(140b)と前記濾過装置(110)の前記吸入室(111)の前記入口(111a)との間において前記再循環ライン(150)に流体的に接続された吸入ライン(120)であって、自己輸血に望まれない化合物を含む濾液を前記出血液から除去するために、前記濾過装置(110)の前記濾過膜(113)を通して濾過する目的で採取された前記出血液を前記処理ユニット(100)に供給することが可能である、吸入ライン(120)と、
前記処理ポーチ(140)の前記出口(140b)と前記濾過装置(110)の前記吸入室(111)の前記入口(111a)との間において前記再循環ライン(150)に流体的に接続された輸血ライン(170)であって、前記処理ポーチ(140)に含まれる処理された出血液を回収することが可能である、輸血ライン(170)と、
前記濾過装置(110)の前記吐出室(112)の前記出口(112b)に流体的に接続され、前記濾過膜(113)を通過した前記濾液を前記吸入室(111)から吐出する吐出ライン(130)と、
を備え、
前記処理ユニットが、
記濾過装置(110)の前記吐出室(112)の前記入口(112a)に流体的に接続されて、前記吐出室(112)に洗浄液を運ぶ洗浄ライン(180)と、
前記吐出室(112)内の洗浄液の圧力を制御できるように、前記洗浄ライン(180)内の流れを調整するように配置された第1の流れ調整部材(181)、および前記吐出ライン(130)内の流れを調整するように配置された第2の流れ調整部材(131)と、
をさらに備え
前記洗浄ライン(180)はさらに、前記処理ポーチ(140)の前記出口(140b)と前記濾過装置(110)の前記吸入室(111)の前記入口(111a)との間の第1位置において前記再循環ライン(150)に流体的に接続され、前記処理ユニット(100)は、前記処理ユニット(100)に希釈液を運ぶことを目的とする希釈ライン(190)をさらに含み、前記希釈ライン(190)は、前記処理ポーチ(140)の前記出口(140b)と前記濾過装置(110)の前記吸入室(111)の前記入口(111a)との間の第2位置において前記再循環ライン(150)に流体的に接続されており、前記希釈液は洗浄液として使用できることを特徴とする処理システム。
【請求項2】
前記処理ユニット(100)は、前記希釈ライン(190)内の流れを調整するように配置された第3の流れ調整部材(191)と、前記再循環ライン(150)内の流れを調整するように配置された第4の流れ調整部材(151)と、前記処理ポーチ(140)の前記出口(140b)と前記濾過装置(110)の前記吸入室(111)の前記入口(111a)において前記再循環ライン(150)内の流れを調整するように配置された第5の流れ調整部材(152)と、を備える、請求項に記載の処理システム。
【請求項3】
前記第2位置は、前記出血液の処理中に、前記再循環ライン(150)内の流体の循環方向において前記第1位置の上流に位置する、請求項およびのいずれか一項に記載の処理システム。
【請求項4】
出血液を前記再循環ライン(150)内で、前記処理ポーチ(140)の前記出口(140b)から前記濾過装置(110)の前記吸入室(111)を通って前記処理ポーチ(140)の前記入口(140a)に向かう方向に循環させるように配置されている単一の蠕動ポンプ(160)を備え、前記蠕動ポンプ(160)は、前記処理ポーチ(140)の前記出口(140b)と前記濾過装置(110)の前記吸入室(111)の前記入口(111a)との間における前記第2位置と前記第1位置との間において前記再循環ライン(150)に配置される、請求項に記載の処理システム。
【請求項5】
前記出血液を前記再循環ライン(150)内において前記処理ポーチ(140)の前記出口(140b)から前記濾過装置の前記吸入室(111)を介して前記処理ポーチ(140)の前記入口(140a)に向かう方向に循環させるように配置された少なくとも1つの蠕動ポンプ(160)を備える、請求項1~のいずれか一項に記載の処理システム。
【請求項6】
前記処理ポーチ(140)は、前記処理ポーチ(140)を、前記処理ポーチ(140)の前記入口(140a)側にある第1の処理室(142)と前記処理ポーチ(140)の前記出口(140b)側にある第2の処理室(143)とに分離するように作動させることができる分離装置(141)を備える、請求項1~のいずれか一項に記載の処理システム。
【請求項7】
前記処理ポーチ(140)は、前記入口(140a)および前記出口(140b)が対角線に沿って前記処理ポーチのいずれかの側にある実質的に平行六面体の形状を有し、前記処理ポーチは、前記出口(140b)の側面に先細り形状を有する内部空洞をさらに有する、請求項1~のいずれか一項に記載の処理システム。
【請求項8】
前記濾過装置(110)の前記濾過膜(113)は、中空繊維を有する濾過膜(113)であり、前記中空繊維は、前記ハウジング(114)内で長手方向に延びる前記濾過膜(113)を形成する、請求項1~のいずれか一項に記載の処理システム。
【請求項9】
前記濾過装置(110)の中空繊維を有する前記濾過膜(113)は、ポリエステルスルホンとポリビニルピロリドンとの混合物から形成された中空繊維を含む、請求項に記載の処理システム。
【請求項10】
前記濾過装置(110)の前記濾過膜(113)は、全体として0.1μm~1μmの間の気孔率を有する、請求項1~のいずれか一項に記載の処理システム。
【請求項11】
前記濾過装置(110)の前記濾過膜(113)は、全体として0.6μmの気孔率を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の処理システム。
【請求項12】
前記濾過装置(110)の前記濾過膜(113)は、0.1m~1m間の全濾過表面積を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の処理システム。
【請求項13】
前記濾過装置(110)の前記濾過膜(113)は、0.2m ~0.6m の間の全濾過表面積を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の処理システム。
【請求項14】
前記処理ユニット(100)は、前記輸血ライン(170)内の流れを調整するように構成された第6の流れ調整部材(171)を備える、請求項1~13のいずれか一項に記載の処理システム。
【請求項15】
複数の調整弁を備え、各々の前記調整弁は、対応する流れを調整するために、前記調整部材の1つと協働することをそれぞれ意図されている、請求項1~14のいずれか一項に記載の処理システム。
【請求項16】
前記処理ユニット(100)は、前記吸入ライン(120)、前記吐出ライン(130)、前記再循環ライン(150)、前記輸血ライン(170)、および前記洗浄ライン(180)の固定を可能にするテンプレート(101)を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の処理システム。
【請求項17】
支持ユニット(10)を備え、前記処理ユニット(100)の前記テンプレート(101)は、独自の位置決めに従って前記処理ユニット(100)を前記支持ユニット(10)に結合することを可能にする、誤り防止形状を有する、請求項16に記載の処理システム。
【請求項18】
前記濾過装置(110)の前記濾過膜(113)は、中空繊維を有する濾過膜(113)であり、前記支持ユニット(10)は水平支持面を形成し、前記処理ユニット(100)の前記濾過装置(110)は、前記濾過膜(113)の前記中空繊維が前記水平支持面に含まれない方向に沿って延びるように前記支持ユニット(10)に結合されるように意図されている、請求項17に記載の処理システム。
【請求項19】
輸血ユニット(400)を備え、前記輸血ユニット(400)は、患者への輸血前に、前記処理ポーチ(140)からの処理済み出血液を収集するために前記輸血ライン(170)に接続されることが意図された入口を有する輸血ポーチ(410)を含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の処理システム。
【請求項20】
前記濾液を回収するための回収ユニット(300)を備え、前記回収ユニット(300)は、前記吐出ライン(130)に流体的に接続されるように意図された入口(310a)を有する回収ポーチ(310)を含み、前記回収ポーチ(310)は、さらに、前記濾過装置(110)の前記吐出室(112)から前記吐出ライン(130)を介して前記回収ポーチ(310)に前記濾液を除去すべく、前記回収ポーチ(310)を減圧するための装置に結合されることが意図されている、請求項1~19のいずれか一項に記載の処理システム。
【請求項21】
前記濾液を回収するための回収ユニット(300)を備え、前記回収ユニット(300)は、前記吐出ライン(130)に流体的に接続されるように意図された入口(310a)を有する回収ポーチ(310)を含み、前記回収ポーチ(310)は、前記処理ユニット(100)の前記濾過装置(110)に対して、前記濾過装置(110)に対して前記回収ポーチ(310)内に真空圧を作り、前記濾液前記濾過装置(110)の前記吐出室(112)から前記吐出ライン(130)を通って前記回収ポーチ(30)に除去させるようにさらに配置される、請求項1~20のいずれか一項に記載の処理システム。
【請求項22】
患者から以前に採取された出血液を収集するための収集容器(210)を含む、出血液を収集するための収集ユニット(200)を備え、前記収集容器(210)は、前記吸入ライン(120)に流体的に接続された出口(210b)を有る、請求項1~21のいずれか一項に記載の処理システム。
【請求項23】
前記収集容器(210)は、前記処理ユニット(100)に送られる前に前記出血液の前濾過を行うことを可能にする前濾過装置(220)を組み込んでいる、請求項22に記載の処理システム。
【請求項24】
前記吸入ライン(120)に配置された追加の前濾過装置(122)をさらに備える、請求項22に記載の処理システム。
【請求項25】
請求項1~24のいずれか一項に記載の処理システムを使用する方法であって、前記濾過装置(110)前記出血液を部分的または完全に処理した後、前記第2の流量調整部材(131)の高さにおいて前記吐出ライン(130)を塞ぐことと、前記洗浄ライン(180)から前記吐出室(112)に洗浄液を注入することとにより生成された膜貫通向流前記濾過膜(113)の向流洗浄実行し、前記洗浄ライン(180)から前記吐出室(112)に洗浄液を注入することによって前記吐出室(112)内に生成された圧力、前記濾過膜(113)に保持された要素のすべてまたは一部取り除ことを特徴とする方法。
【請求項26】
前記決定された量の出血液の前記処理中に、定期的な間隔で向流洗浄が行われる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
決定された量の出血液の全処理の後に向流洗浄が行われる、請求項25および26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
向流洗浄は、前記洗浄液の循環速度を変化させることにより、特に、前記洗浄液の循環速度を増減することにより実行される、請求項2527のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記濾過装置(110)を数回通過させて輸血に望ましくない化合物を除去するために、前記循環ライン(150)を循環させることにより、前記吸気ライン(120)からの出血液の決定された量が処理され、前記処理ポーチ(140)は、処理する出血液の量にかかわらず、前記循環ラインにおいて連続的な流量を有する流れを維持することを可能にする、請求項2528のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
決定された量の出血液の前記処理中、前記処理ポーチ(140)の前記出口(140b)が塞がれ、次いで、前記循環ライン(150)に存在する出血液を除去するために、希釈液が、前記濾過装置(110)を通過するように意図された前記希釈ラインに注入され、次いで、前記循環ライン(150)に存在する前記流体が閾値を下回るヘマトクリット値を有する場合、前記処理ポーチ(140)に存在する前記処理された出血液が分離される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
向流洗浄の前および/または後に、すすぎによって前記濾過膜(113)の洗浄が行われ、前記すすぎは、前記処理ポーチ(140)の前記出口(140b)を塞ぐことによって、前記濾過装置(110)の前記吐出室(112)の前記出口(112b)の高さにおいて前記吐出ライン(130)を塞ぐことによって、および前記濾過装置(110)を通過するように意図された希釈液を前記吸入室(111)に注入することによって実行される、請求項2530のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に外科的介入中に患者に自己輸血を行うための血液などの出血液の処理の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
自己輸血または自家輸血、すなわち患者自身の血液の患者への輸血は、同種輸血または同種間輸血、つまり他の人の血液からの輸血に存在する可能性のある非互換性を回避し、特に感染症の伝染を防ぐので、外科的介入中にますます実施されている。
【0003】
術中自己輸血の場合、患者から直接採取された血液をほぼ継続的に輸血できることが重要であり、すなわち、この処理は、特に血液の処理による無駄時間を制限しながら、患者とは無関係に処理装置で行われる。しかし、採血中、既知の方法で、自己凝固装置による処理を可能にし、その輸血の品質と血液要素の機能とを維持するために、操作条件によってすでに希釈されたこの血液に抗凝固剤も添加する必要がある。採取された出血血液にベクター液を使用することにより、フィルタや他のチューブとの機械的接触中に赤血球が直接の物理的外傷から保護されるため、これらのアクションが必要であると思われる。流体ベクトルにおけるこの希釈により、赤血球と空気の接触が減少し、溶血が大幅に制限される。最後に、それはまた、血液の凝固活性を制御および防止し、血液要素、特に赤血球の回収を可能にしない血餅の形成を回避することを可能にする。回収された血液は、血液量の損失を補うために、次に患者に輸血されなければならないが、これは重要な問題を引き起こす。実際、希釈された血液量の輸血の場合、これらの非常に重要な輸液量による血液量増加現象、および同じ理由で凝固低下症候群、および/または、洗浄されていない場合、非常に重要な輸血量の抗凝固剤を引き起こす可能性がある。
【0004】
さらに、直接採取されて、抗凝固処理および血液希釈のみされた血液の自己輸血中は、二次的影響を引き起こしやすい活性化または分解された生物学的物質を輸血する可能性がある。例えば、取り除いた方が良い多少分解されたヒスタミン、カリクレインもしくはキニン、血漿因子、または代わりに、細胞外傷に由来する小さなタンパク質および他の細胞破片が見つかる可能性がある。
【0005】
したがって、術中の自己輸血状態の場合、血液の処理は、採決することと、採血と同時に血液の抗凝固処理(希釈につながる)を行うことと、その後、前濾過ジャーで前濾過し、細胞要素を含む相から流体相を分離することにより、一方では輸血することを意図した収集相の濃縮を可能にし、他方では除去すべき流体相の収集を可能にするために処理装置で処理することと、を含む。術中の患者は一般的に緊急に輸血する必要があるため、これらのステップはできるだけ早く実行する必要があることを明記する必要がある。
【0006】
外科的介入中に患者に自己輸血を実施するためのいくぶん複雑で効率的なさまざまな技術が開発されてきた。
【0007】
例えば、遠心分離技術に基づく自己輸血システムが存在する。自己輸血で採取した血液を遠心分離すると、赤血球(red blood cells:RBC)と血漿含有血小板(plasma containing platelets:PRP)とタンパク質とが確実に分離される。したがって、この方法では高い水準で血小板を回収することは不可能である。
【0008】
さらに、プロセスを迅速にするために、より強力な遠心分離を行うことができるが、赤血球と血漿との間の界面に、バフィーコートと呼ばれ、血小板と白血球(white blood cells:WBC)との混合物である層が形成される。したがって、この層は直接輸血には適さない。
【0009】
したがって、血小板を回収し、バフィーコートなどの望ましくない要素を排除するために、補完的な処理を適用する必要がある。さらに、遠心分離が強すぎると、血小板が除去され、輸血する濃縮液の品質が低下する。
【0010】
外科医による吸引による血液および体液の採取は、赤血球の外傷を誘発し、最も壊れやすい細胞の機械的溶血を引き起こす。自己輸血において知られ広く用いられているメカニズムである遠心分離もまた、わずかな機械的溶血を引き起こす。遠心分離による術中の血液の処理中に、赤血球は外傷を受け、最大19%に達し得る重要な溶血を引き起こす。緊急モード(処理時間を短縮するためのより強力な遠心分離)では、この溶血率は33%に達することがある。
【0011】
溶血の問題は別として、遠心分離により血小板の大部分が除去されるため(回収率は10%未満)、遠心分離による血液の術中処理の現在の方法に対する代替が望まれている。一次止血(創傷の水準での血小板凝集)に直接関与するこの目的の細胞の直接的な喪失は、容易に理解できるように、手術中に問題を起こす。そのため、損失が大きすぎる場合、医師は1種またはそれ以上の相同血小板が濃縮されている不安定な血液製剤の輸血に頼ることができる。結果として、患者の血小板を保存し、輸血することを可能にする方法(好ましくは、50%を超える回収率で)は、認められるであろう。
【0012】
したがって、膜濾過装置に基づいて、代替の自己輸血システムが開発されてきた。これは、例えば、米国特許第4886487号明細書、米国特許第5215519号、および米国特許出願公開第2003/229302号明細書に記載されている自己輸血システムの場合である。これらのシステムは、遠心分離の場合のように血小板などの重要な要素を排除することなく、輸血のための望ましくない要素の実際の分離を可能にするという意味で有利である。しかしながら、そのようなシステムには、特に効率の点で、いくつかの欠点がある。
【0013】
細胞(RBC、WBCおよび血小板)は高い膜変形能を有し、血液の微小血管または創傷を通過することができる。ただし、膜での濾過中は、プロセス全体で濾過流量の低下が見られる。流れの低下は、いくつかの要因、すなわち、吸着、立体障害、粘性効果、細孔の閉塞および詰まり、ならびに膜/溶液界面での濃度勾配によって説明され得る。
【0014】
濾過の場合、これらの細胞が通過できるようにするために、孔のサイズと材料の親水性とを制御する必要がある。孔径が10μm未満、特に1μm未満の膜を使用する場合、細胞による膜の目詰まりは正面濾過では必須であるため、接線濾過の必要がある。血小板はまた、活性化後に高い接着性を有し、膜の表面に吸着されるか、または血漿タンパク質に吸着されて膜を詰まらせる傾向がある。
【0015】
接線濾過は、時間単位あたりの膜を通過できる材料の量に影響され、このことは、概して処理速度を制限する。膜貫通流量または濾過係数が話題とされている。しかしながら、大量の出血を患っている患者は、より長い濾過時間により機会損失係数の増加を見ることができない。したがって、濾過によって血液を処理するための術中時間が、赤血球と血漿の分離は、500mlの採血量に対して4~6分の迅速な時間で行われる従来の遠心分離法に匹敵することが重要である。
【0016】
処理時間と同じように、膜濾過による処理の性能は、遠心分離法による血液の術中処理と少なくとも同等でなければならない(赤血球の回収率が80%を超え、ヘパリンの量が0.5IU/ml未満)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【文献】米国特許第4886487号明細書
【文献】米国特許第5215519号明細書
【文献】米国特許出願公開第2003/229302号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
今日、特に上記の欠点の少なくとも1つを解決することを可能にする、自己輸血のために血液を処理するための改善されたシステムの必要性が存在する。
【0019】
本発明の目的はまた、訓練を殆どまたは全くされていない専門家が使用できるように、使いやすく直感的である自己輸血用の血液を処理するためのシステムを提案することでもある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この目的のため、出血液を処理するためのユニットを備え、自己輸血の目的で患者から以前に採取された出血液を処理するためのシステムであって、上記処理ユニットは、
吸入室を吐出室から分離するように、ハウジング内に配置された濾過膜を含む接線濾過用の濾過装置であって、吸入室および吐出室がそれぞれ、流体のための入口および出口を有する、濾過装置と、
再循環ラインによって濾過装置における吸入室の出口および入口にそれぞれ流体的に接続された入口および出口を有する処理ポーチであって、出血液が、再循環ラインにおいて、処理ポーチの出口から濾過装置の吸入室を通って処理ポーチの入口に向かう方向に循環することを可能にする、処理ポーチと、
処理ポーチの出口と濾過装置の吸入室の入口との間において再循環ラインに流体的に接続された吸入ラインであって、自己輸血に望まれない化合物を含む濾液を出血液から除去するために、濾過装置の濾過膜を通して濾過する目的で採取された出血液を処理ユニットに供給することが可能である、吸入ラインと、
処理ポーチの出口と濾過装置の吸入室の入口との間において再循環ラインに流体的に接続された輸血ラインであって、上記処理ポーチに含まれる処理された出血液を回収することが可能である、輸血ラインと、
濾過装置の吐出室の出口に流体的に接続され、濾過膜を通過した濾液を吸入室から吐出する吐出ラインと、を備え、
処理ユニットが、
処理濾過装置の吐出室の入口に流体的に接続されて、上記吐出室に洗浄液を運ぶ洗浄ラインと、
吐出室内の洗浄液の圧力を制御できるように、洗浄ライン内の流れを調整するように配置された第1の流れ調整部材、および吐出ライン内の流れを調整するように配置された第2の流れ調整部材と、
をさらに備えることを特徴とするシステムが提案される。
【0021】
この処理システムの、単独または組み合わせて用いられる、好ましいが非限定的な態様は、次のとおりである。
洗浄ラインはさらに、処理ポーチの出口と濾過装置の吸入室の入口との間の第1位置において再循環ラインに流体的に接続され、処理ユニットは、処理ユニットに希釈液を運ぶことを目的とする希釈ラインをさらに含み、希釈ラインは、処理ポーチの出口と濾過装置の吸入室の入口との間の第2位置において再循環ラインに流体的に接続されており、希釈液は洗浄液として使用できる。
処理ユニットは、希釈ライン内の流れを調整するように配置された第3の流れ調整部材と、再循環ライン内の流れを調整するように配置された第4の流れ調整部材と、処理ポーチの出口と濾過装置の吸入室の入口において再循環ライン内の流れを調整するように配置された第5の流れ調整部材と、を備える。
第2位置は、出血液の処理中に、再循環ライン内の流体の循環方向において第1位置の上流に位置する。
システムは、出血液を再循環ライン内で、処理ポーチの出口から濾過装置の吸入室を通って処理ポーチの入口に向かう方向に循環させるように配置されている単一の蠕動ポンプを備え、上記蠕動ポンプは、処理ポーチの出口と濾過装置の吸入室の入口との間における第2位置と第1位置との間において再循環ラインに配置される。
システムは、出血液を再循環ライン内において処理ポーチの出口から濾過装置の吸入室を介して処理ポーチの入口に向かう方向に循環させるように配置された少なくとも1つの蠕動ポンプを備える。
処理ポーチは、処理ポーチを、処理ポーチの入口側にある第1の処理室と処理ポーチの出口側にある第2の処理室とに分離するように作動させることができる分離装置を備える。
処理ポーチは、入口および出口が対角線に沿って処理ポーチのいずれかの側にある実質的に平行六面体の形状を有し、処理ポーチは、出口側に先細り形状を有する内部空洞をさらに有する。
濾過装置の濾過膜は、中空繊維を有する濾過膜であり、上記中空繊維は、ハウジング内で長手方向に延びる濾過膜を形成する。
濾過装置の中空繊維を有する濾過膜は、ポリエステルスルホンとポリビニルピロリドンとの混合物から形成された中空繊維を含む。
濾過装置の濾過膜は、全体として0.1μm~1μmの間、好ましくは0.6μm程度の気孔率を有する。
濾過装置の濾過膜は、0.1m~1mの間、好ましくは0.2m~0.6mの間の全濾過表面積を有する。
処理ユニットは、輸血ライン内の流れを調整するように構成された第6の流れ調整部材を備える。
処理システムは、複数の調整弁を備え、各々の調整弁は、対応する流れを調整するために、調整部材の1つと協働することをそれぞれ意図されている。
処理ユニットは、吸入ライン、吐出ライン、再循環ライン、輸血ライン、および洗浄ラインの固定を可能にするテンプレートを含む。
処理システムは、支持ユニットを備え、処理ユニットのテンプレートは、独自の位置決めに従って処理ユニットを支持ユニットに、できれば取り外し可能に結合することを可能にする、誤り防止形状を有する。
支持ユニットは水平支持面を形成し、処理ユニットの濾過装置は、濾過膜の中空繊維が水平支持面に含まれない方向に沿って延びるように支持ユニットに結合されるように意図されている。
処理システムは、輸血ユニットを備え、上記輸血ユニットは、患者への輸血前に、処理ポーチからの処理済み出血液を収集するために輸血ラインに接続されることが意図された入口を有する輸血ポーチを含む。
処理システムは、濾液回収ユニットを備え、上記回収ユニットは、吐出ラインに流体的に接続されるように意図された入口を有する回収ポーチを含み、上記回収ポーチは、さらに、濾過装置の吐出室から吐出ラインを介して回収ポーチに濾液を循環させるべく、回収ポーチを減圧するための装置に結合されることが意図されている。
処理システムは、濾液回収ユニットを備え、上記回収ユニットは、吐出ラインに流体的に接続されるように意図された入口を有する回収ポーチを含み、上記回収ポーチは、処理ユニットの濾過装置に対して、濾過装置に対して回収ポーチ内に真空圧を作り、濾液が濾過装置の吐出室から吐出ラインを通って回収ポーチに循環するようにさらに配置される。
処理システムは、患者から以前に採取された出血液を収集するための容器を含む、出血液を収集するためのユニットを備え、上記収集容器は、吸入ラインに流体的に接続された出口を有し、上記収集容器は、好ましくは、処理ユニットに送られる前に出血液の前濾過を行うことを可能にする前濾過装置を組み込んでいる。
処理システムは、吸入ラインに配置された追加の前濾過装置をさらに備える。
【0022】
このシステムを使用して、後の自己輸血を目的として患者から以前に採取された出血液を処理する方法であって、濾過装置によって出血液を部分的または完全に処理した後、膜貫通向流を作成しながら濾過膜の洗浄が実行され、向流は、第2の流量調整部材の高さにおいて吐出ラインを塞ぐことにより、および洗浄ラインから吐出室に洗浄液を注入することにより生成され、洗浄液を注入することによって吐出室内に生成された圧力により、濾過膜に保持された要素のすべてまたは一部が取り除かれ得る方法もまた提案される。
【0023】
処理システムを使用するこの方法の、単独または組み合わせて用いられる、好ましいが非限定的な態様は、次のとおりである。
決定された量の出血液の処理中に、定期的な間隔で向流洗浄が行われる。
決定された量の出血液の全処理の後に向流洗浄が行われる。
向流洗浄は、洗浄液の循環速度を変化させることにより、特に、洗浄液の上記循環速度を増減することにより実行される。
濾過装置を数回通過させて自己輸血に望ましくない化合物を除去するために、循環ラインを循環させることにより、吸気ラインからの出血液の決定された量が処理され、処理ポーチは、処理する出血液の量にかかわらず、循環ラインにおいて連続的な流量を有する流れを維持することを可能にする。
決定された量の出血液の処理中、処理ポーチの出口が塞がれ、次いで、循環ラインに存在する出血液を除去するために、濾過装置を通過するように意図された希釈液が、循環ラインに注入され、次いで、循環ラインに存在する流体が閾値を下回るヘマトクリット値を有する場合、処理ポーチに存在する処理された出血液が分離される。
【0024】
処理システムを使用するこの方法の、単独で、または前述の態様と組み合わせて用いられる別の好ましいが非限定的な態様によれば、洗浄は、向流洗浄の前および/または後に、すすぎによって濾過膜から実行され、すすぎは、濾過装置の吐出室の出口の高さで吐出ラインを塞ぎ、そして、濾過装置を通過することを意図した希釈液を吸入室に注入することで、処理ポーチの出口を塞ぐことにより行われる。
【0025】
出血液を処理するためのユニットを備え、自己輸血の目的で患者から以前に採取された出血液を処理するためのシステムであって、上記処理ユニットは、
吸入室を吐出室から分離するように、ハウジング内に配置された接線濾過用の濾過膜を含む濾過装置であって、吸入室および吐出室がそれぞれ、流体のための入口および出口を有する、濾過装置と、
再循環ラインによって濾過装置における吸入室の出口および入口にそれぞれ流体的に接続された入口および出口を有する処理ポーチであって、出血液が、再循環ラインにおいて、処理ポーチの出口から濾過装置の吸入室を通って処理ポーチの入口に向かう方向に循環することを可能にする、処理ポーチと、
処理ポーチの出口と濾過装置の吸入室の入口との間において再循環ラインに流体的に接続された吸入ラインであって、自己輸血に望まれない化合物を含む濾液を出血液から除去するために、濾過装置の濾過膜を通して濾過する目的で採取された出血液を処理ユニットに供給することが可能である、吸入ラインと、
処理ポーチの出口と濾過装置の吸入室の入口との間において再循環ラインに流体的に接続された輸血ラインであって、上記処理ポーチに含まれる処理された出血液を回収することが可能である、輸血ラインと、
濾過装置の吐出室の出口に流体的に接続され、濾過膜を通過した濾液を吸入室から吐出する吐出ラインと、を備え、
処理ユニットが、
処理ポーチの出口で再循環ライン内の流れを調整するように配置された第1の流れ調整部材と、
処理ユニットに希釈液を運ぶことを目的とする希釈ラインをさらに含み、希釈ラインは、処理ポーチの出口と濾過装置の吸入室の入口との間の第2位置において再循環ラインに流体的に接続されており、希釈液は洗浄液として使用できる、システムがさらに提案される。
【0026】
この処理システムの、単独または組み合わせて用いられる、好ましいが非限定的な態様は、次のとおりである。
処理ポーチの入口の高さに、入口の高さに到達する流体の性質を検出する光学センサが配置される。
処理ポーチは、処理ポーチを、処理ポーチの入口側にある第1の処理室と処理ポーチの出口側にある第2の処理室とに分離するように作動させることができる分離装置を備える。
処理ユニットは、希釈ライン内の流れを調整するように構成された第2の流れ調整部材と、濾過装置の吸入室の入口で再循環ライン内の流れを調整するように構成された第3の流れ調整部材とを備える。
処理ポーチは、入口および出口が対角線に沿って処理ポーチのいずれかの側にある実質的に平行六面体の形状を有し、処理ポーチは、出口側に先細り形状を有する内部空洞をさらに有する。
濾過装置の濾過膜は、中空繊維を有する濾過膜であり、上記中空繊維は、ハウジング内で長手方向に延びる濾過膜を形成する。
濾過装置の中空繊維を有する濾過膜は、ポリエステルスルホンとポリビニルピロリドンとの混合物から形成された中空繊維を含む。
濾過装置の濾過膜は、全体として0.1μm~1μmの間、好ましくは0.6μm程度の気孔率を有する。
濾過装置の濾過膜は、0.1m~1mの間、好ましくは0.2m~0.6mの間の全濾過表面積を有する。
処理システムは、出血液を再循環ライン内において処理ポーチの出口から濾過装置の吸入室を介して処理ポーチの入口に向かう方向に循環させるように配置された少なくとも1つの蠕動ポンプを備える。
処理システムは、複数の調整弁を備え、各々の調整弁は、対応する流れを調整するために、調整部材の1つと協働することをそれぞれ意図されている。
処理ユニットは、吸入ライン、吐出ライン、再循環ライン、希釈ライン、および輸血ラインの固定を可能にするテンプレートを含む。
処理システムは、支持ユニットを備え、処理ユニットのテンプレートは、独自の位置決めに従って処理ユニットを支持ユニットに結合することを可能にする、誤り防止形状を有する。
支持ユニットは水平支持面を形成し、処理ユニットの濾過装置は、濾過膜の中空繊維が水平支持面に含まれない方向に沿って延びるように支持ユニットに結合されるように意図されている。
処理システムは、輸血ユニットを備え、上記輸血ユニットは、患者への輸血前に、処理ポーチからの処理済み出血液を収集するために輸血ラインに接続されることが意図された入口を有する輸血ポーチを含む。
処理システムは、濾液回収ユニットを備え、上記回収ユニットは、吐出ラインに流体的に接続されるように意図された入口を有する回収ポーチを含み、上記回収ポーチは、さらに、濾過装置の吐出室から吐出ラインを介して回収ポーチに濾液を循環させるべく、回収ポーチを減圧するための装置に結合されることが意図されている。
処理システムは、濾液回収ユニットを備え、上記回収ユニットは、吐出ラインに流体的に接続されるように意図された入口を有する回収ポーチを含み、上記回収ポーチは、処理ユニットの濾過装置に対して、濾過装置に対して回収ポーチ内に真空圧を作り、濾液が濾過装置の吐出室から吐出ラインを通って回収ポーチに循環するようにさらに配置される。
処理システムは、患者から以前に採取された出血液を収集するための容器を含む、出血液を収集するためのユニットを備え、上記収集容器は、吸入ラインに流体的に接続された出口を有し、上記収集容器は、好ましくは、処理ユニットに送られる前に出血液の前濾過を行うことを可能にする前濾過装置を組み込んでいる。
処理システムは、吸入ラインに配置された追加の前濾過装置をさらに備える。
【0027】
後の自己輸血の目的で患者から以前に採取された出血液を処理するためにこのシステムを使用する方法も提案され、濾過装置による出血液の部分的または全体的な処理の後、濾過装置を通過するために、希釈液が希釈ラインから循環ラインに注入される。
【0028】
処理システムを使用するためのこの方法の好ましい態様によれば、濾過膜の洗浄はすすぎによって行われ、すすぎは、第1の流量調整部材の高さにおいて処理ポーチの出口を塞ぐことによって、第2の流量調整部材の高さにおいて吐出ラインを塞ぐことにより、および希釈ラインから吸入室に洗浄液を注入することによって行われる。
【0029】
この場合、光学センサが希釈液の存在を検出するとすぐに、すすぎが停止されてもよい。
【0030】
好ましい方法では、すすぎの前に、第2の処理室内の処理された出血液を分離するために、分離装置を制御することができる。
【0031】
処理システムを補足的または代替的な方法で使用するためのこの方法の別の好ましい態様によれば、処理システムに含まれている出血液の希釈が行われ、希釈は、第1の流量調整部材の高さにおいて処理ポーチの出口を塞ぎ、次いで希釈液から洗浄液を吸入室に注入し、次いで、循環ラインに存在する液体が閾値を下回るヘマトクリット値を有するときに、処理ポーチに存在する処理された出血液を分離することによって行われる。
【0032】
本発明の他の特徴および利点は、純粋に例示的で非限定的であり、添付の図面に関して読まれるべき以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明による処理システムの概略斜視図である。
図2】本発明による処理システムのための流体接続の第1のレイアウトの概略図である。
図3】第1のレイアウトの第1の実施形態による、処理システムの処理ユニットの描写である。
図4】第1のレイアウトの第2の実施形態による、処理システムの処理ユニットの描写である。
図5】本発明による処理システムの処理ユニットのための処理ポーチの略図である。
図6】本発明による処理システムのための流体接続の第2のレイアウトの概略図である。
図7】記載された処理システムのための追加の前濾過装置の配置の例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
[自己輸血を目的とした出血液処理システムの説明]
図1は、特に自己輸血を目的として患者の出血液、特に血液を処理するためのシステムの非限定的な例を示している。
【0035】
提案された処理システムは、特に外科的介入の間、施術者によるその使用を容易にするために互いに対して取り外し可能な特定の数の機能ユニットを含む。
【0036】
提案された処理システムの特徴の1つは、以下で詳細に説明される血液処理ユニット100にある。
【0037】
提案された処理システムは、好ましくは、特に図1に示されるように、主支持体がキャスタに取り付けられ得る、様々な形態であり得る支持ユニット10を備えている。好ましくは、支持ユニット10は、処理システムの非消耗要素、すなわち、いくつかの連続する処理サイクルの間に再利用することができる、特に、システムの要素が患者の出血液または汚染につながる可能性のあるその他の物質と直接接触していない要素を統合する。
【0038】
支持ユニット10は、特に、例えば1つまたはそれ以上のプロセッサの形態のデータ処理手段を統合することができるが、出血液の処理を所定の処理パラメータの関数および/またはシステムのユーザが入力した制御情報の関数として管理することを可能にする制御手段も統合することができる。この点で、支持ユニット10は、キーボード、触覚アクチュエータ、音声認識システムなど、制御情報を入力するための手段を備え得る。好ましくは、ユーザに処理サイクルを通知するための情報伝達手段も設けられ、これらの情報伝達手段は、例えば、スクリーン、ランプまたは発光ダイオード、スピーカ、バイブレータまたはその他を含む、視覚的、音声的および/または触覚的であり得る。
【0039】
支持ユニット10はまた、好ましくは、処理システムのエネルギー供給、特に電気のための要素を統合する。支持ユニット10は、システムにエネルギーを供給するために電池を組み込むことができ、支持ユニット10は、上記支持ユニット10を電気ソケット、例えば病院の壁ソケットに接続することを可能にするいかなる場合の電気コネクタも含む。
【0040】
処理システムにおける流体の循環は、支持ユニット10に統合された、または外部の流体供給手段によって達成される。
【0041】
流体供給手段として、例えば、1つ以上の蠕動ポンプ160を設けて、処理システムの循環回路に存在する流体を、流体の特定の移動方向だけでなく、場合によっては反対方向に移動することを可能にすることができる。好ましくは、上記またはこの蠕動ポンプは、それらが直接電気的に供給され得る支持ユニット10に統合される。流体供給手段は、好ましくは、10ml/分~4000ml/分、好ましくは100ml/分~2000ml/分、さらに好ましくは、200ml/分~1400ml/分の流量で、処理ユニット100内の出血性流体の循環を可能にするために設けられる。
【0042】
流体供給手段の中で、特定の変位方向の循環回路内の流体の変位に有利な真空圧力を生成するために流体循環回路に接続された真空システムが設けられてもよい。この点で、必要な真空圧力を生成するために、1つ以上の真空ポンプを処理システム、より具体的には支持ユニット10に統合することができる。処理システムが、真空を具体的に制御できるように、処理システムが使用される場所の真空壁ソケットとの接続を可能にするコネクタと、真空レギュレータとを備えることも設けられ得る。好ましくは、0~-100kPaの真空を適用することを可能にする手段が設けられる。
【0043】
支持ユニット10は、いくつかの連続する処理サイクル中に再利用することができ、処理ユニット100によって実行される動作に機能的にリンクされる他の要素をさらに統合することができ、これについては以下で詳述する。
【0044】
したがって、支持ユニットは、例えば電磁石またはステッピングモータで動作する電磁弁などの流量調整弁を組み込んでもよく、これらは、処理ユニット100のパイプと協働して、上記処理ユニット100内を循環する流体の流れの調整を可能にするように構成される。
【0045】
特定の処理サイクル中の処理の進展を監視することを可能にするセンサが設けられてもよい。そのようなセンサは、例えば、圧力センサ、計量装置、センサ、特にヘマトクリットを計算するための(例えば、処理ユニット内を循環する流体のヘマトクリット値を計算するための)光学センサを含み得る。
【0046】
上記のように、これらの再利用可能な要素は、好ましくは支持ユニット10に統合されるが、処理ユニット100がそれらの1つまたはそれ以上を統合することも想定され得る。
【0047】
処理システムは、図1に示されるように、支持ユニット10上に配置されるのに適した、出血液を収集するためのユニット200をさらに含む。
【0048】
そのような収集ユニット200は、例えば外科的介入の間、または前に、患者から採取された出血液を収集するための容器210を備える。
【0049】
図2に示すように、この収集容器210は、処理ユニット100に設けられた吸入ライン120に流体的に接続された出口210bを有する。
【0050】
収集容器210はまた、一般に出血液を吸引するためのカニューレを含み、特に希釈剤および抗凝固剤を投与するための手段を含み、それ自体が既知である血液を採取するための手段に連結されるように意図された入口210aを含む。これらの希釈剤および/または抗凝固剤の特定の供給源、例えばヘパリン化クリスタロイド組成物は、収集容器210の入口210aに直接接続され得る。
【0051】
さらに好ましくは、収集容器210は、前濾過装置220を組み込んでおり、処理ユニット100に送られる前に採取された出血性流体の前濾過を実行することを可能にする。そのような前濾過は、一般に、比較的大きな寸法の粒子を濾過し、例えば、血餅、骨の小片、または採取された出血液中に存在する組織の小片さえも除去することを目的とする。
【0052】
前濾過は、特に、数十マイクロメートルを超えるサイズの粒子を堰き止めるために行われる。
【0053】
例えば、減少するサイズの粒子を保持するための多孔性勾配を有する前部濾過型の前濾過装置220を使用することができ、多孔性勾配は、例えば、150μm~40μmに漸進的に及ぶ。
【0054】
この前濾過装置220は、例えば、多層型フィルタ、より具体的には、最大の要素を保持するための製織メッシュ層と、その厚さがより小さいサイズの立体障害要素によって保持することを可能にする不織布メッシュ層と、最小の要素を保持するための最後の細かく織られたメッシュ層とを備えた多層型フィルタであり得る。
【0055】
好ましい方法では、収集ユニット200は、真空源、例えば、真空壁ソケット20aに真空レギュレータ250を介してさらに接続され、前濾過装置220による前濾過を最適化する。
【0056】
収集容器210に存在する収集された出血液の量を測定するために設けられる収集ユニット200に、さらに重量インジケータを形成する力センサなどの秤量システム230が設けられてもよい。この秤量システム230は、処理サイクルを制御するための情報を提供することを可能にし、例えば、収集容器210が処理サイクルを開始するのに十分な出血液を含むときに処理サイクルを開始することを可能にする。秤量システム230はまた、処理ユニット100に注入される出血液の量を制御することを可能にする。
【0057】
処理システムはさらに、支持ユニット10上に配置され、処理ユニット100の輸血ライン170に結合されることが意図される輸血ユニット400を備える。
【0058】
より具体的には、輸血ユニット400は、患者への輸血前に、処理ユニット100に組み込まれた処理ポーチ140から来る処理された出血液を収集するために、輸血ライン170に接続されることが意図される入口410aを有する輸血ポーチ410を備える。より具体的には、患者に輸血を行うことが望まれる場合、輸血ポーチ410を処理システムから切り離し、それを患者に接続して、処理された出血液の輸血を行うことが重要である。
【0059】
処理システムはまた、支持ユニット10に取り付けられ、処理ユニット100から来る濾液、すなわち、患者への輸血に適さない、出血液から引き出された廃棄物を回収することを目的とする回収ユニット300も備える。
【0060】
したがって、この回収ユニット300は、処理ユニット100の吐出ライン130に流体接続されるように意図された入口310aを有する回収ポーチ310を備える。
【0061】
優先的に、回収ポーチ310は、吐出ライン130から上記回収ポーチ310まで循環流体を駆動するように減圧されるようにさらに設けられる。
【0062】
この目的のために、回収ポーチ310は、例えば、真空壁ソケット20bおよび真空レギュレータ330を使用する真空システム、および/または少なくとも1つの真空ポンプおよび電子レギュレータを含む自律システムなどの減圧装置に結合され得る。適用される真空を微調整することで、適用される真空圧力を管理し、圧力が低くなりすぎて処理が遅くなることを回避したり、圧力が高すぎて赤血球やフィルタに損傷を与えたりすることを回避できる。必要に応じて真空システムを解除するために、遮断および呼吸弁320を設けることもできる。
【0063】
代替的に、または追加的に、回収ポーチ310の減圧は、特に2つのユニット間の高さの差によって、処理ユニット100に関する特定のレイアウトによって作成されてもよい。例えば図1に示されているように、回収ユニット300は、例えばキャスタに近い支持ユニット10の下部に配置されることが好ましく、一方、処理ユニット100は、上部か、少なくとも回収ユニット300より高い高さに配置される。人工真空(例えば、真空ポンプを使用した)を使用せずに要素を互いに対して単純に配置することによる回収ポーチ310の減圧は、溶血のリスクを制限するために特に有利であり得ることに留意されたい。
【0064】
少なくとも10cm、好ましくは20cm~100cmの間に含まれ、好ましくは30cm~70cmの間に含まれ、さらに好ましくは30cm~60cmの間に含まれる、処理ユニット100を回収ユニット300から少なくとも10cm分離する垂直距離が設けられる。
【0065】
具体的には、回収ポーチ310の減圧が処理ユニット100に対する特定のレイアウトによって独自に作成される場合、処理ユニット100を回収ユニット300から分離する垂直距離は、好ましくは30cmよりも大きく、例えば、50cm~70cm、好ましくは60cm~65cm、さらに好ましくは65cm程度で選択される。提案された処理システムの特徴の1つは、支持ユニット10から取り外し可能で、新しい患者ごとに簡単かつ迅速に交換できるようになっており、従来技術に存在するシステムの欠点、特に遠心分離に基づくものの欠点を有することなく、採取された出血液の迅速な処理を行う処理ユニット100にある。
【0066】
消耗品として適格であり、処理のために出血液と接触するように意図されている処理システムのすべての要素は、支持ユニット10に対して取り外し可能であり、したがって非常に容易に交換できることに留意されたい。これは、処理ユニット100とは別に、特に収集ユニット200、回収ユニット300、および輸血ユニット400に関係する。
【0067】
提案された処理ユニット100は、いくつかの処理サイクルを実行して、より大量の出血液を処理できるようにするために、患者の出血液の効率的な処理を可能にし、同じ患者に対して連続して数回使用できるように設けられる。
【0068】
上述したように、接線濾過、すなわち濾過する出血液が濾過膜と平行に循環し、この濾過膜と接触して濾過される濾過を行うことが好ましい。
【0069】
したがって、この目的のために、提案された処理ユニット100は、吸入室111を吐出室112から分離するように、ハウジング114内に配置された濾過膜113を有する接線濾過用の濾過装置110を備えており、吸入室111および吐出室112は、流体の入口(111a、112a)および出口(111b、112b)をそれぞれ有する。処理するための出血液は、入口111aから出口111bへと吸入室111内を循環し、自己輸血にとって望ましくない化合物を含む濾液を出血液から除去するために、濾過膜113を通して接線濾過を受ける。濾液は、濾過膜113を通過して、吐出室112に至る。
【0070】
好ましくは、接線濾過用の濾過装置110は、ハウジング114内に配置された中空繊維を有する濾過膜113を含み、上記中空繊維は、ハウジング114内で長手方向に延びる濾過膜を形成する。説明の残りの部分は、基本的に中空繊維を含む濾過膜113を含む濾過装置110を有する処理ユニットを参照して行われるが、対応する教示は、特に連続した濾過の後の詰まりの問題に関して、すべてのタイプの接線濾過装置に適用できる。
【0071】
好ましい方法では、濾過装置110の中空繊維を有する濾過膜113は、その親水性に有利な特性を有する材料で形成された繊維を含む。濾過膜113の親水性が向上していることにより、濾過の進行に伴う膜の目詰まり現象を顕著に低減することができる。濾過膜113の詰まりを低減することにより、濾過装置110の向上した効率を維持することが可能になる。
【0072】
したがって、好ましくは、濾過膜113の中空繊維は、ポリエステルスルホン(PES)とポリビニルピロリドン(PVP)との混合物から形成される。例えば、繊維の押し出しの前にPVPと混合されたPESで作られた膜が設けられる。中空繊維の基本的な材料はまた、例えば、PES、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、アクリロニトリルベースのコポリマーまたはターポリマーとは別に、血液濾過膜として一般的に使用される他の生体適合性材料の中から選択することもできる。
【0073】
濾過装置110の中空繊維を有する濾過膜113は、さらに好ましくは、0.1μm~1μmの間に含まれる全体的な気孔率を有する。このような孔径により、輸血に適さないタンパク質や他の薬物分子を通過させることが可能になると同時に、出血液の対象となる化合物、すなわち赤血球、白血球、血小板を保護することができる。
【0074】
提案された濾過装置110では、濾過膜113は、例えば、0.04mを超える、例えば0.1m~3mの間に含まれる、好ましくは0.2m~0.6mの間に含まれる全濾過表面積を有する。より具体的には、濾過表面積は、通常5分以下で出血液の迅速な濾過を可能にするのに十分なように選択されるが、あまりにも大きなタンパク質の付着、およびそれに伴う血小板の損失を避けるためにはあまり重要ではない。好ましくは、500mlの容量の出血液の処理のために5分未満で濾過を可能にする濾過装置が選択される。
【0075】
濾過装置は、第1の例によれば、円筒状ハウジング内に長手方向に配置された中空繊維を有する濾過膜を含み得、濾過膜は、0.6μmの平均気孔率、0.2mの濾過表面積を有し、上記中空繊維は、ポリエステルスルホン(PES)とポリビニルピロリドン(PVP)との組み合わせの混合物から形成され、内径が300μm、外径が470μm、壁の厚さが85μmである。
【0076】
第2の例によれば、濾過装置は、第1の例と同じ特性を有するが、濾過表面積は0.6mである。
【0077】
第3の例によれば、濾過装置は、第1の例と同じ特性を有するが、濾過表面積は0.4mである。
【0078】
処理ユニット100は、再循環ライン150によって濾過装置110に流体的に接続される処理ポーチ140をさらに備える。
【0079】
より具体的には、処理ポーチ140は、再循環ライン150によって濾過装置110の吸入室111の入口111aおよび出口111bにそれぞれ流体的に接続された入口140aおよび出口140bを有する。
【0080】
このレイアウトは、特に、再循環ライン150内の出血液を、処理ポーチ140の出口140bから濾過装置110の吸入室111を介して処理ポーチ140の入口140aに向かう方向に循環させることを可能にする。
【0081】
処理ポーチ140は、入口140aから出口140bへの内部流れを促進し、ポーチの底部での沈殿効果および循環を促進して、処理された血液流体の混合を促進するように設けられた形状を有する。例えば、図5に示すように、
【0082】
処理ポーチ140は、対角線に沿って処理ポーチのいずれかの側に入口140aおよび出口140bを有する実質的に平行六面体の形状を有する。さらに好ましくは、処理ポーチは、処理ポーチ140に含まれる流体を出口140bに向かって収束させるために、出口140bの側に先細り形状を有する内部空洞をさらに有する。
【0083】
この処理ポーチ140は、出血液を処理するためのサイクルにおいて積極的な役割を果たす。第1に、以下に見られるように、処理ポーチ140は、処理サイクル中の出血液の再循環を可能にし、すなわち、上記処理サイクル中の出血液の循環流量を変化させることなく、濾過装置110内のいくつかの連続した循環を可能にする。実際、処理ポーチ140は、潜在的な流れの変動を吸収することを可能にする緩衝地帯の役割を果たす。処理ポーチ140はまた、濾過を行い、濾過装置110を介したタンパク質および薬物物質などの可溶性要素の排除を促進するために、希釈液で処理する出血液を混合するための領域として使用され得る。
【0084】
これは必須ではないが、処理ポーチ140は、分離装置141を作動させて、処理ポーチ140を、処理ポーチ140の入口140a側にある第1の処理室142と処理ポーチ140の出口140b側にある第2の処理室143とに分離することができる。そのような分離装置141は、例えば、作動して、処理サイクルの巻き戻しの関数として上記第1および第2の処理室を形成することができる電気機械クランプの形態をとることができる。
【0085】
支持ユニット10の流体供給手段は、主に、処理ポーチ140の出口140bから濾過装置110の吸入室111を介して処理ポーチ140の入口140aに向かう前述の処理方向と呼ばれる方向への出血液の循環を確実にするために設けられる。それらはまた、以下に見られるように、処理サイクルにおけるある特定の段階について反対方向の循環を任意に可能にすることもできる。
【0086】
図2の例示的な実施形態によれば、蠕動ポンプ160は、処理ポーチ140の出口140bと濾過装置110の吸入室111の入口111aとの間の再循環ライン150に配置された再循環ラインに設けられる。これにより、上記の循環方向の両方に出血液を循環させることができる。
【0087】
処理ユニット100はさらに、流体が前述の循環ライン150を用いて実際の処理ユニット100内を循環することを可能にするが、処理システムの他のユニットへ/からも流体を循環させることを可能にする。
【0088】
したがって、処理ユニット100は、処理ポーチ140の出口140bと濾過装置110の吸入室111の入口111aとの間において再循環ライン150に流体接続された吸入ライン120を含み、これにより、処理ユニット110に、自己輸血にとって望ましくない化合物を含む残留物を出血液から除去するために、出血液から濾過装置110の中空繊維を有する濾過膜113を通して濾過する目的で採取された出血液を供給することができる。この吸入ライン120はさらに、上述の収集ユニット200に取り外し可能に接続されるように意図されている。
【0089】
図7に示されるように、収集ユニット200に接続されることが意図される側で、この吸気ライン120に挿入するために、処理ユニット100の濾過装置110による実際の濾過の前に追加の濾過を実行することを可能にする追加の前濾過装置122が設けられてもよい。そのような追加の前濾過装置122の目的は、オプションの前濾過装置220にもかかわらず、収集容器210の出口で形成されやすい、凝固物と呼ばれる凝固した物質の塊を保持することである。
【0090】
追加の前濾過装置122は、動的フィルタとして動作する、すなわち、それは、処理時間性能に悪影響を与えることなく、処理ユニットによって課された流量で動作できなければならない。追加の前濾過装置122は、好ましくは、収集容器210の任意の前濾過装置220の濾過水準よりも高い濾過水準を有する。
【0091】
追加の前濾過装置122は、例えば、40μm~200μmの間に含まれる、好ましくは100μm~170μmの間に含まれる、さらに好ましくは150μm程度の濾過水準を有し得る。凝塊保持容量は、5ml~100ml、好ましくは20ml~50mlであってもよい。
【0092】
好ましくは、この追加の前濾過装置122は、処理ユニット100の一体部分を形成する。しかしながら、この追加の前濾過装置が、収集容器210の出口の高さにおいて、収集ユニット200に組み込まれることも想定され得る。
【0093】
好ましくは、この追加の前濾過装置122は、処理システムに取り外し可能に取り付けられ、これにより、例えば、それを除去し、目詰まりの場合にそれを洗浄することが可能になる。
【0094】
処理ユニット100はさらに、処理ポーチ140の出口140bと濾過装置110の吸入室111の入口111aとの間において同様に再循環ライン150に流体的に接続され、上記処理ポーチ140に含まれる処理された出血液を回収することを可能にする輸血ライン170を含む。この輸血ライン170はさらに、上述の輸血ユニット400に取り外し可能に接続されるように意図されている。
【0095】
好ましい方法では、吸入ライン120および輸血ライン170は、例えば、マルチパス流体コネクタ156を用いて、図2に示されるように、再循環ライン150上の同じ位置で口切り(tapped)される。したがって、図2図3、および図4に示されるように、入口経路が処理ポーチ140の出口140bの方向で再循環ライン150に流体接続され、第1の出口経路が濾過装置110の吸入室111の入口111aの方向で再循環ライン150に流体的に接続され、第2の出口が吸入ライン120に流体的に接続され、第3の出口が輸血ライン170に流体的に接続されるように3方コネクタ156が使用され得る。
【0096】
しかしながら、以下に見られるように、および図6に示されるように、処理ポーチ140の出口140bの高さにおいて蠕動ポンプ160の上流に吸入ラインがタップされる構成が設けられ得る。この場合、輸血ラインは、標準の2方向流体コネクタによって再循環ラインに接続される。この場合、蠕動ポンプ160が出血液を循環の両方向に循環させるのに適している必要はなく、出血液を単一の方向、すなわち処理方向に沿って循環させるポンプがあれば十分である。
【0097】
処理ユニット100はさらに、濾過装置110の吐出室112の出口112bに流体的に接続され、中空繊維を有する濾過膜113を通過した濾液を吸入室111から吐出する吐出ライン130を含む。この吐出ライン130はさらに、上述の吐出ユニット130に取り外し可能に接続されるように意図されている。
【0098】
回収ポーチ310が、例えば、真空システムによって減圧されるように設けられる場合、これは、上記真空圧力が、吐出ライン130を通して吐出室112まで感じられるので、濾過装置100の濾過膜113を通しての濾過を加速し得る。
【0099】
処理ユニット100はさらに、濾過装置110の吐出室112の入口112aに流体的に接続されて、上記吐出室112内に洗浄液を運ぶ洗浄ライン180を備えてもよい。この洗浄ライン180は、記載されたすべての例示的な実施形態において必須ではないことに留意されたい。
【0100】
この洗浄ライン180の目的は、流体を吐出室112内に運び、膜貫通向流、すなわち、濾過中に濾過装置110の中空繊維を含む濾過膜113を通過する流れの通常の方向と反対の方向に流れる流れを作り出すことを可能にすることである。濾過膜113を通るこの向流は、濾過膜113の中空繊維上に保持された要素の全部または一部を除去するために非常に有用であり、したがって、特に濾過の効率および迅速性に関して濾過膜113の濾過能力を再生する。提案された向流はまた、処理サイクル中または2つの処理サイクルの間で、簡単かつ迅速な方法で濾過膜の洗浄を可能にするという点で有利である。
【0101】
洗浄ライン180内の流れを調整するように配置された流れ調整部材181と、吐出室112内の洗浄液の圧力を制御できるように吐出ライン130内の流れを調整するように配置された別の流れ調整部材131とを設けることができる。
【0102】
したがって、向流は、流れ調整部材131の高さにおいて吐出ライン130を塞ぎ、洗浄ライン180から吐出室112内に洗浄液を注入することにより生成され得、洗浄液の注入により吐出室112内に生成される圧力により必要な膜貫通向流が創出される。
【0103】
向流を生じさせる必要がある場合、洗浄液を洗浄ライン180に直接注入することができ、洗浄液を含む外部供給源が設けられる。
【0104】
処理ユニット100が洗浄ライン180を備えるか否かに関わらず、希釈液を処理ユニット100内に搬送することを可能にする希釈ライン190をさらに設けることができる。次いで、希釈ライン190は、好ましくは、処理ポーチ140の出口140bと濾過装置110の吸入室111の入口111aとの間の位置において再循環ライン150に流体的に接続される。好ましくは、希釈ライン190は、蠕動ポンプ160の上流において口切りされる。
【0105】
この希釈ライン190はさらに、希釈ラインに結合されることが意図される入口/出口オリフィス510aを有する希釈容器510を備える希釈ユニット500に取り外し可能に接続されることが意図される。希釈容器510は、処理ユニット100に注入されることが意図された希釈液を含む。この希釈液は、結晶質組成物、好ましくは炭水化物またはタンパク質を含まない、赤血球と適合性のある等張溶液であり得、例えば注射用製剤を製造するために水に希釈された塩化ナトリウム、乳酸ナトリウム、および/または塩化カリウムを含む。
【0106】
流れ調整部材191は、好ましくは、希釈ライン190内の流れ調整を可能にするために設けられる。
【0107】
好ましい方法では、洗浄ライン180は、処理ポーチ140の出口140bと濾過装置110の吸入室111の入口111aとの間の位置において再循環ライン150に流体的に接続される。処理ユニット100が希釈ライン190を備える場合、希釈液は、洗浄ライン180に供給するために使用され得、したがって、洗浄液として使用され得る。
【0108】
好ましくは、処理ユニット100に別の流れ調整部材151が設けられ、処理ポーチ140の出口140bの高さにおいて再循環ライン150内の流れを調整するように構成される。
【0109】
さらに別の流れ調整部材152が、濾過装置110の吸入室111の入口111aの高さにおいて再循環ライン150内の流れを調整できるように設けられることが好ましい。
【0110】
輸血ライン170内の流れを調整するように構成された流れ調整部材171を設けることもでき、それにより、輸血ユニット400に伝達する流れを制御することが可能になる。
【0111】
図2図4および図6に示される例示的な実施形態は、処理ユニット100が回路内の流体の循環のために単一の蠕動ポンプ160を必要とする処理システムであり、この蠕動ポンプ160は、出血液を再循環ライン150内で処理ポーチ140の出口140bから濾過装置110の吸入室111を介して処理ポーチ140の入口140aに向かう方向(指定された処理方向)に循環させるように配置される。
【0112】
優先的には、この蠕動ポンプ160は、流れを、処理方向とは反対の方向、すなわち、濾過装置110の吸入室111の入口111aから処理ポーチ140の出口140bに向かう方向にも循環させることを可能にする。このことは、吸入ライン120が蠕動ポンプ160の下流、すなわち濾過装置110の吸入室111の入口111aの高さにおいて口切りされる図2の例示的な実施形態において特に有利である。好ましくは、蠕動ポンプ160は、希釈ライン190が再循環ライン150に流体的に接続されている位置と、洗浄ライン180が再循環ライン150に流体的に接続されている位置との間において、処理ポーチ140の出口140bと濾過装置110の吸入室111の入口111aとの間で再循環ライン150に配置される。
【0113】
処理ユニット100に対して想定される操作の機能として、吸入ライン120は、図2に示されるように、蠕動ポンプ160の下流、すなわち濾過装置の吸入室112の入口112a側で再循環ライン150にタップされるか、または、図6に示すように、蠕動ポンプ160の上流、すなわち、処理ポーチ140の出口140b側で再循環ライン150にタップされる。
【0114】
図2に示されるように、吸入ライン120が蠕動ポンプ160の下流において再循環ライン150上にタップされる場合、出血液は、処理サイクルの開始中に、好ましくは収集容器210から処理ポーチ140に送られる。
【0115】
吸入ライン120が蠕動ポンプ160の上流において再循環ライン150上にタップされている場合、出血液は、処理サイクルの開始中に、好ましくは収集容器210から濾過装置110を介して直接送られる。これは、流体の循環の両方向で動作しなければならない蠕動ポンプ160を必要としないという利点を有する。
【0116】
上記で特定したように、処理システムは、特定の処理サイクル中の処理の進展を監視することを可能にするセンサを含むことが好ましい。
【0117】
この点で、特に、蠕動ポンプ160の処理方向下流の過圧を検出するように構成された圧力センサ153を循環ライン150内に設けることができる。
【0118】
処理ユニット100内を循環する流体のヘマトクリット値を測定するために、ヘマトクリットセンサ154がさらに設けられてもよい。そのようなヘマトクリットセンサ154は、例えば、赤外線で発光するダイオードと受光器とのアセンブリから形成される光学センサであってもよい。
【0119】
処理ポーチ140内に存在する流体の量を測定するように構成された、重量インジケータを形成する力センサなどの秤量システム155も設けられ得る。この秤量システム155は、処理サイクルを制御するための情報を提供することを可能にし、例えば、特にヘマトクリット値に関して標的パラメータが達した場合に、輸血ユニット400に対する処理された出血液の移送をトリガすることを可能にする。
【0120】
処理ユニット100は消耗品であり、特に新しい患者ごとに交換されることが意図されており、その取り扱いが単純かつ容易であることが好ましい。この処理ユニット100は、流体循環ラインを形成する特定の数の異なる構成要素および管類を含むので、特に吸入ライン120、吐出ライン130、再循環ライン150、輸血ライン170、ならびに必要に応じて、洗浄ライン180および/または希釈ライン190の固定を可能にするテンプレート101が設けられ得る。濾過装置110および処理ポーチ140は、処理ユニット100の一体部分であり、したがって、対応する配管およびテンプレート101に事前に接続される。したがって、このように提案された処理ユニット100は、必要に応じて交換するために、キット形態の消耗品として提案されてもよい。
【0121】
テンプレート101はまた、支持ユニット10への設置を容易にするために設けられ、この点に関して、独自の位置決めに従って処理ユニット100を支持ユニット10に結合することを可能にする誤り防止形状を有する。
【0122】
さらに、処理ユニット100の濾過装置110は、濾過膜113の中空繊維が、支持ユニット10によって規定される水平支持面に含まれない方向に沿って延びるように、つまり、濾過装置110が、水平支持面に対して傾斜しているように支持ユニット10に結合されることが意図される。なお、この水平支持面は、支持ユニット10が地面に置かれたときの水平面と平行な支持ユニット10の横断面に対応する。
【0123】
図3の例は、テンプレート101の垂直設置のために設けられた、テンプレート101を有する処理ユニット100を示し、すなわち、テンプレート101は、例えば、支持ユニット10の水平支持面とは異なる面、例えば傾斜面、好ましくは垂直面(すなわち、水平支持面に垂直)に固定される。この実施形態によれば、テンプレート101を配置することは必然的に濾過装置110の傾斜したレイアウトをもたらすので、濾過装置110もテンプレート101に固定することができる。
【0124】
図4の例は、テンプレート101の水平設置のために設けられた、テンプレート101を有する処理ユニット100を示し、すなわち、テンプレート101は、支持ユニット10の水平支持面に平行な面に固定される。この実施形態によれば、濾過装置110は、テンプレート101に固定されておらず、水平支持面に対して傾斜して配置されるように、独立した方法で支持ユニット10に固定されなければならない。
【0125】
図3および図4に示すように、前述の流れ調整部材は、流れを制御しなければならない流体循環ラインを形成する管に面して配置されたオリフィスの形態をとることができる。次いで、調整弁、例えば、電磁石で動作するソレノイド弁が、オリフィスを介して管類に突き当たるように配置され、管類の部分を制御し、それにより、流体の流れがそこを通過できるようにするように設けられる。好ましい方法では、これらの調整弁は、支持ユニット10に直接取り付けられ、したがって、異なる一連の処理ユニット100に使用することができる。
【0126】
テンプレート101を含む処理ユニット100の配置は非常に簡単である。実際、テンプレート101を、この目的のために設けられたハウジング内の支持体上に配置することで十分である。流量調整部材が、支持ユニット101の電磁弁と協働することを目的とするオリフィスである場合、テンプレート101の割出しピン形状のおかげで、反対の配置が自動的に行われる。テンプレート101が支持ユニット10上に配置されると、吸入ライン120を吸入ユニット200に、吐出ライン130を吐出ユニット300に、輸血ライン170を輸血ユニット400に、必要に応じて希釈ライン190を希釈ユニット500に接続することが重要である。ユニットのいくつかは、それらのそれぞれのラインに予め接続することができ、すなわち、支持ユニット10に配置される前に、処理ユニット100に既に接続されていることに留意されたい。例えば、輸血ユニット400は、好ましくは輸血ライン170に予め接続され、吐出ユニット300はまた、吐出ライン130に予め接続されてもよい。濾過装置110および/または処理ポーチ140がテンプレート101に固定されていない場合、それを支持ユニット10に固定することが重要である。
【0127】
処理流量は、タンパク質と血小板の付着を濾過装置の高さで制限する重要な剪断力を加えるために十分に高く選択されるが、望ましくない溶血を引き起こすほど高すぎることはない。選択された流量は、中空繊維の濾過膜を使用する濾過装置に一般的に推奨される流量よりもはるかに大きく、通常は5~10倍である。実際、細胞濃度の点で濾過結果はポジティブであることが観察されており、処理システムは、患者に直接接続されておらず、一方では収集ユニット200を、他方では輸血ユニット400を介して、後者が患者に接続されている場合に一意的に間接的に接続されるため、高い循環流量は煩わしくない。実際には、上記のように、処理ユニット100は、好ましくは10ml/分~4000ml/分、好ましくは100ml/分~2100ml/分、例えば1400ml/分または700ml/分の流量で作動する。
【0128】
吐出ライン130を介して回収ユニット300の高さにおいて0~-100kPaに制御された真空を適用することにより、濾過の速度を改善し、それを一定に維持することができる。さらに、膜間流の逆転中(特に向流洗浄中)に、真空圧が継続的に加えられない場合、濾過の停止が観察され、血液の処理を継続できなくなる。
【0129】
濾過装置110の寿命および濾過効率を延ばすための洗浄に関する前述の利点とは別に、2つの処理サイクルの間に濾過膜113を中空繊維ですすぐための希釈液の通過も、血小板の回収に寄与する。
【0130】
自己輸血を目的とした出血液の処理用に提案された処理システムは、使用が簡単であり、既存の装置よりも定性的な性能で患者から採取した出血液の迅速な処理を可能にする。以下に示す性能のすべてまたは一部は、提案された処理装置で実際に達成され得る。
40%以上、さらには50%以上、さらには60%以上、さらには70%以上の血小板の平均収量。
80%以上、さらには90%以上、さらには95%以上、さらには99%程度の赤血球(RBC)の平均収量。
80%以上、さらには90%以上、さらには95%以上、さらには97%程度の白血球(WBC)の平均収量。
溶血の減少、または溶血がゼロもしくkはゼロに近いこと。標的溶血は、例えば1%未満、好ましくは0.8%未満であり得る。
95%以上、または98%以上の遊離ヘモグロビンの除去。
処理後の輸血ポーチ内の残留ヘパリン濃度が0.5IU/ml以下である。
輸血に適した量である出血液500mlの処理時間が、10分以下、好ましくは8分以下、好ましくは6分以下であり、最適な方法では5分以下程度である。
【0131】
上記の定性的性能の水準は、動作条件の関数として調整されることに留意されたい。
【0132】
例えば、処理を非常に迅速に行う必要がある場合、性能がわずかに低下する可能性がある。
【0133】
同様に、例えば3倍濃縮の間に、処理された出血液を数回濃縮することが決定された場合、ヘパリン型の輸血には望ましくない生成物など、自己輸血に望ましくない化合物を確実に除去するために、既存のシステムと比較して、提案された処理システムの全体的な性能を低下させることなく、一部の性能が低下する可能性がある。
【0134】
[自己輸血を目的とした出血液処理システムの運用]
提案された処理システムの動作の例は、標準モードに従って以下に記載されており、決して限定するものではない。提案された処理システムは実際、外科的介入の必要性または輸血の必要性の関数として適合された、異なる特定の段階に従って標準モードで使用され得る。提案された処理システムの操作は、特定の操作状況、例えば、緊急事態では、処理が完全に終了していなくても輸血が必要な場合や、処理する出血液の量が標準的な処理サイクルに最適でない場合などにも適合させることができる。
【0135】
以下の動作の例は、図2図4に示されるような処理ユニット100の第1のレイアウトを参照して説明される。このレイアウトによれば、濾過装置を通過することにより濃縮を開始する前に出血液を希釈することができる。希釈に使用されるすすぎ液の量は、500mlの出血液ボーラスでは200mlだが、この量のすすぎ液は、例えば18リットル程度(出血液中の抗凝固剤の初期濃度による)のように、はるかに多くなる可能性がある。この希釈容量は、最初の濃縮後または出血液の容量がない場合、処理の開始時に、または処理中の数ミリリットルから数百ミリリットルのボーラスごとに追加することができる。
【0136】
図6に示すような処理ユニット100の第2のレイアウトによる動作の例では、処理ユニットに入る出血液は、すすぎ液を加える前に、濾過装置を通過する間に濃縮される。実際、出血液は、収集ユニット200から処理ポーチ140への移送中に、濾過装置113を直接通過する。希釈液を加える前に濾過する利点は、処理ポーチへの移送中に可溶性要素が直接排除されることである。この場合、濾過装置は、より急速に汚れる傾向があるので、濾過装置を詰まらせることができないという事実は特に有利である。
【0137】
[(A)処理システムを準備する段階]
最初に、処理システムの構成要素を組み込む段階と、この処理システムを初期化して試験を行う段階とを含む、提案された処理システムを準備する段階について説明する。
【0138】
流体の流れを調整するための電磁弁によって形成されたすべてのクランプは開いた位置にある。
【0139】
回収ユニット200、回収ユニット300、輸血ユニット400および希釈ユニット500は、支持ユニット10に設置されている。
【0140】
次に、処理ユニット100が支持ユニット10上に設置される。吸入ライン120の調整弁121のクランプおよび希釈ライン190の調整弁191のクランプが閉じられる。
【0141】
異なるユニットは、対応する流体循環ラインの管類と関連するコネクタとを使用して最終的に接続され、これらのコネクタは、例えば「ルアーロック」式である。
【0142】
回収ユニット200および回収ユニット300は、真空壁ソケット(20a、20b)に接続される。さらに、収集容器210の入口210aにヘパリン化クリスタロイド溶液の供給源が接続され得る。
【0143】
すべての要素が支持ユニット10に接続されると、処理システムが始動され(電力供給)、処理システムの初期化および試験の段階が開始され、支持ユニット10の中央ユニットによって管理される。
【0144】
この試験段階では、すべてのユニットが支持ユニット10に、および相互に正しく接続されていることを確認する。中央ユニットがこの種の情報を取得するように、支持ユニット10の高さに配置された光学接点を例えば特に使用することができる。
【0145】
初期化では、中央ユニットからのコマンドにより、さまざまなラインのクランプが制御され、調整弁がすべて閉位置になる。
【0146】
真空源が供給され、処理システムが作動して処理サイクルが開始される。
【0147】
[(B)最初の処理サイクルの前に処理ユニットの回路を準備する段階]
厳密に言えば、処理サイクルを開始する前に、処理サイクルを準備する段階を、好ましいが任意の方法で実行することができ、これにより、実際の処理サイクルの効率を改善することができる。
【0148】
この準備段階は、外科的介入の上流で行われ得るが、出血が観察され次第、自己輸血が想定される場合は、外科的介入中に行うことが望ましい。
【0149】
収集ユニット200のプライミングは、最初に、上記収集容器210内に特定の体積が得られるまで、ヘパリン添加晶質溶液の吸引により収集容器210を充填することによって実行される。この吸引は、例えば、収集容器210に300ミリバール程度の真空を適用することにより達成され得る。収集容器210は、例えば200mlのヘパリン化晶質溶液で満たされる。ヘパリン化晶質溶液による収集ユニットのこのプライミングにより、特に濾過速度の観点から、その中での前濾過を容易にする予定である収集ユニット200を加湿することができる。さらに、これによって材料をヘパリン化することができ、したがって凝固の現象を制限することができる。
【0150】
次に、処理ユニット100の再循環ラインのプライミングが行われ、厳密に言えば処理が行われる。このプライミングは、特に出血が活発なときに開始される。そうするために、回収ユニット300の減圧が作動され、例えば、弁320を作動させることにより、濾過装置100を通して真空が適用される一方、吸入ライン120の調整弁121および希釈ライン190の調整弁191が閉じ、他のすべてのクランプが開かれる。次に、洗浄ライン180の調整弁181、再循環ライン150の調整弁151、輸血ライン170の調整弁171のクランプが閉じられ、希釈ライン190の調整弁191のクランプが開かれる。蠕動ポンプ160が始動され、再循環ライン150が希釈ユニット500からの希釈液で満たされる。回路内に存在する空気は、吐出ライン130を通じて吐出され、希釈液は、処理ユニット100の要素、特に濾過装置110および処理ポーチ140のさまざまな空室を徐々に満たす。
【0151】
再循環ラインを満たすための時間遅延の後、必要であれば、洗浄ライン180のプライミングが行われる。この点で、例えば、回収ユニット300を介して加えられる真空により、回収ユニット300の真空圧がまだ活発である間、洗浄ライン180の調整弁181のクランプが開かれ、その後、再循環ライン150の調整弁152および再循環ライン150の調整弁151が閉じられる。次に、希釈液が、洗浄ライン180を通って循環し、濾過装置110の吐出室112に至り、次いで向流の濾過膜113の中空繊維を通って循環する。
【0152】
処理ユニット100の再循環ラインおよび洗浄ライン180のこのプライミングにより、処理ポーチ140が希釈液で徐々に満たされる。
【0153】
優先的に、これらのプライミング段階は、一定量の希釈液が処理ポーチ140内に存在するまで継続され、この液体は、処理する出血液を希釈/洗浄する役割を果たす。好ましくは、吐出ライン130の調整弁131のクランプが閉じられ、真空用の弁320も閉じられて、処理ポーチ140を希釈液でより迅速に満たす。処理ポーチでは、最初の処理サイクルに役立つ容量(指定された洗浄容量)に到達するまで希釈液が充填され続ける。例えば、約500mlの出血液ボーラスを処理したい場合、200mlの洗浄容量が使用される。処理ポーチ144の重量インジケータ155が洗浄重量(=体積)に達したことを検出すると、ポンプ160が停止される。
【0154】
準備段階の後、処理ポーチ140を充填せず、逆に吐出ユニット300を介して処理ポーチ140を空にすることも想定され得る。この場合、出血液が処理ユニット100の回路に注入されるとき、出血液ボーラスの希釈は、処理段階中に直接実行される。
【0155】
したがって、処理ユニット100は、処理するための出血液の第1のボーラスを受け入れ、第1の処理サイクルを実行する準備ができている。収集容器210が第1の処理サイクル(例えば、約500ml)のための十分な量の出血液を含むのを待つ間、洗浄ライン180の調整弁181および希釈ライン190の調整弁191のクランプは、すべてのクランプが閉じられるように閉じられる。
【0156】
処理する出血液の量が十分であるときに処理の開始をトリガするのは、収集容器210の重量インジケータ230である。
【0157】
異なるクランプの開閉順序は、ポンプが連続的に動作し、したがって、処理ユニット100内の流体が連続的に循環し得るように選択されることに留意されたい。
【0158】
[(C)出血液の処理の段階]
自己輸血プロセス全体では、互いに独立した3つの連続したステップがある。
(E1)患者への介入が必要な場合、出血液を採取する。出血液は実際に患者から採取され、収集ユニット200の収集容器210に移される。
(E2)患者との関係なしに行われる、採取された出血液の処理。この処理ステップは、提案された処理システム、特に処理ユニット100で実行される。
(E3)患者への介入が必要な場合の、処理された出血液の輸血。処理ユニット100によって処理され、次いで輸血ユニット400の輸血ポーチ410に移された出血液が患者に輸血され得る。そうするために、輸血ポーチ410を処理システムから切り離して患者に接続することが好ましい。
【0159】
以下の説明は、ステップE1中に患者から以前に採取された出血液の処理のステップE2を詳述する。上述のように処理ユニット100の回路の準備段階があるか否かにかかわらず、第1の処理サイクルは、収集容器210内の出血液の量が閾値に達したときに開始され、この閾値は、処理サイクルで処理したいボーラスの量に優先的に対応し、この出血液のボーラスは、例えば、500ml程度から選択される。
【0160】
したがって、処理サイクル中にボーラスが処理するために固定された量より多い出血液の量を処理するために、いくつかの連続した処理サイクルを実行することが推奨される。
【0161】
処理サイクルは、ある特定の場合において、例えば、出血量が少ないままである処理の終了時、出血の終わり、または施術者によって選択された任意の適切な瞬間など、処理ボーラス用に固定された量よりも少ない量の出血液で実行できることに留意されたい。しかしながら、処理する出血液の量は、処理回路の死容積(VmTT)、すなわち、処理ポーチ140の出口140bと処理ポーチ140の入口140aとの間に含まれる容積、すなわち、再循環ライン150および濾過装置113の内部の容積よりも大きい、好ましくは少なくとも2倍大きいことが同様に必要であることに留意されたい。
【0162】
すでに示したように、収集容器210の重量インジケータ230がボーラスの目標量を測定するとすぐに、処理サイクルを自動的に開始できるようになる。このボーラスは、例えば、500mlの出血液に等しくてもよい。このボーラスは、前処理および処理ユニット100のプライミングの段階中に、処理ポーチ140に貯蔵された希釈液(例えば、200mlの容量)と混合され得る。例えば、前処理段階が開始されていない場合、または処理が濾過装置113内の濾過段階によって開始された場合など、希釈体積が処理ポーチ140に存在しない場合、希釈ユニット500から再循環ライン150に直接、必要な量の希釈液を導入することが可能であり得る。
【0163】
収集容器210の出血液を処理室140内に存在する希釈液と混合するために、まず、処理ポーチ140を上記出血液で満たすことが重要である。そうするために、吸入ライン120の調整弁121および再循環ライン150の調整弁151のクランプが開かれ、蠕動ポンプ160が逆回転で、すなわち、出血液を、処理方向とは反対の方向に、処理室140の出口140bへと駆動するように始動される。処理ポーチ140の重量インジケータ155が、目標処理容量に達したことを検出すると、蠕動ポンプ160が停止される。この混合ステップは、最初に出血液を処理ポーチ140に注入することによって、または事前に濾過および濃縮を実行することによって実行することができ、まだ存在しない場合は、この同じ処理ポーチ140に希釈液を注入することに留意されたい。
【0164】
厳密に言えば、出血液を処理する段階は、目標のヘマトクリット値が得られるまで、濾過および濃縮から開始される。一般に、望ましいヘマトクリット値は45%±5%程度であるが、50%±5%、55%±5%程度、または最大60%±5%であってもよい。したがって、この段階では、吸気ライン120の調整バルブ121のクランプが閉じられ、次に再循環ライン150の調整弁152および吐出ライン130の調整弁131のクランプが開かれ、電気制御弁320も作動して、回収ユニット300を介して吐出室112に真空をかける。次いで、処理ポーチ140に含まれる流体が、濾過装置110の吸入室111の出口140bから入口111aへ、次に濾過装置110の吸入室111の出口111bから処理ポーチ140の入口140aまで循環するように、蠕動ポンプ160が処理方向に作動する。
【0165】
濾過装置110を通過する際に、処理する出血液は、中空繊維を有する濾過膜113によって濾過され、自己輸血に望ましくない化合物(輸血するのに適さないタンパク質および他の薬物分子など)が徐々になくなり、吐出ライン130を介して回収ユニット300の真空圧力によって吸引される前に、濾過膜113を通って吐出室112まで達する。濾過装置110および処理ポーチ140を通る再循環ライン150における出血液の再循環は、目標ヘマトクリット値に到達するまで行われ、このヘマトクリット値は、ヘマトクリットセンサ154の高さで検出される。
【0166】
一旦目標ヘマトクリット値に到達し、処理ポーチ140内の濃縮物(処理された出血液に対応する)の量が十分である(例えば、100mlを超える)とき、この濃縮物を輸血ユニット400の輸血ポーチ410に移すことが想定され得る。
【0167】
必須ではないが、好ましくは、再循環ライン150および濾過装置110の濾過膜113の洗浄が行われる。より具体的には、輸血ユニット400と濾過装置110を通過する処理ポーチ140との間に含まれる回路の容積に対応する濾過回路の死容積(VmCF)を洗浄することが想定されている。この点で、再循環ライン150の調整弁151および吐出ライン130の調整弁131のクランプは閉じられ、希釈ライン190の調整弁191のクランプは開かれる。蠕動ポンプ160は、処理方向の動作に戻り、希釈ユニット500から濾過装置110の方向に希釈液を運び、この希釈液は、VmCFから血液柱を押すために注入される。
【0168】
処理ポーチ140の入口140aの高さに配置された、入口140aの高さに到達する流体の性質を検出し得る光学センサを設けてもよい。そのようなセンサが使用される場合、光学センサが希釈液の存在を検出するとすぐに、ポンプ160を停止してすすぎ段階を停止することが可能である。このような光学センサにより、洗浄流体が処理ポーチに入る前に、ポンプ160の停止を命令することができる。
【0169】
このすすぎ段階では、処理ポーチ140は、濃縮物を処理室142内に閉じ込めることを可能にする分離装置141を、処理ポーチ140の出口140b側の下部に組み込むことが望ましい。処理ポーチ140の入口140a側の処理ポーチ140の上部の分離装置141によって形成された他の処理室141により、回路に含まれ、すすぎ段階で回路内の希釈液によって押された流体を回収することができる。
【0170】
処理するための出血液の同じボーラスのいくつかの連続した濃縮の段階を実行することも可能であることに留意されたい。これは特に、ヘパリン型の輸血には望ましくない生成物など、自己輸血に望ましくない化合物をさらに良好に除去することを可能にする。好ましくは、処理する出血液の同じボーラスに対して3倍濃縮が行われる。
【0171】
好ましい方法では、いくつかの連続的な濃縮が行われる場合、処理する出血液のボーラスが濃縮段階の後に目標ヘマトクリット値に達すると、処理された出血液は再び希釈され、新たな濃縮中に不純物が除去される。
【0172】
移送が必要な場合、オプションのすすぎの後、または濾過および濃縮の段階の直後、および/またはいくつかの濃縮の段階の後で、再循環ライン150の調整弁152および希釈ライン190の調整弁191のクランプを(まだそうでない場合)閉じ、そして輸血ライン170の調整弁171および再循環ライン150の調整弁151のクランプを(まだそうでない場合)開くことが重要である。次いで、蠕動ポンプ160が処理方向に始動され、濃縮物が処理ポーチ140から輸血ユニット400の輸血ポーチ410に移される。
【0173】
処理室140内に存在する濃縮物の量は維持され、したがって輸血ユニット400にすぐに移送されないことに留意されたい。次いで、濃縮物は、後の処理サイクルから得られた濃縮物、つまり別のボーラスで累積される。
【0174】
濃縮液が全部または一部輸血ユニット400に移されると、処理サイクルが終了し、別の処理サイクルが出血液の別のボーラスでトリガされてもよい。
【0175】
処理された出血液の患者への輸血のステップE3は、特に輸血ポーチ410を処理システムから切り離し、それを患者に接続することによって実行することができる。輸血がすぐに必要でない場合は、輸血ポーチ410も保管することができ、新たに処理された出血液を回収できるようにするために、新しい輸血ポーチ410が処理システムに接続されている。
【0176】
[(D)濾過装置の洗浄段階]
膜濾過の間、連続する処理サイクルの間、プロセス全体を通して濾過流の低下が一般に観察される。濾過膜の濾過能力のこの低下は、いくつかの現象によるものであり、特に、吸着すること、および濾過する化合物による細孔の閉塞および詰まりによるものである。吸着による汚れ(fouling)は、最大90%、または最大で濾過の完全な閉塞に至る可能性のある透過性の損失を表す場合がある。
【0177】
提案された処理システム、特に本明細書で提案された特定の処理ユニット100により、同じ患者の出血液の処理中に、上記濾過装置110を処理ユニット100から分解する必要なしに、したがって、出血液の全体的な処理が全く中断されないかまたは殆ど中断されることなく、濾過装置110を洗浄することができる。
【0178】
提案された処理システムでは、濾過装置110のいくつかの類型の洗浄を想定することができ、これらの類型の洗浄は、単独で、または互いに補完して実行され得る。
【0179】
第1の類型の洗浄は、希釈ユニット500から濾過ユニット110の吸入室111の入口111aの方向に希釈液を導入することによって実行される、濾過装置110の吸入室111をすすぐことからなる。この類型のすすぎは、濃縮液を実際に移送する前の、処理サイクルの最終段階ですでに説明している。
【0180】
第2の類型の洗浄は、希釈ユニット500から濾過ユニット110の吐出室112の入口112aの方向に希釈液を導入することによって実行される、濾過装置110の吐出室112をすすぐことからなる。このすすぎにより、まだ存在している可能性のある濾液を吐出室112から空にし、吐出ライン130を介して回収ポーチ310に除去することができる。そうするために、輸血ライン170の調整弁171および再循環ライン150の調整弁151のクランプを閉じ、希釈ライン190の調整弁191および洗浄ライン180の調整弁181のクランプを開くことができる。また、再循環ライン150の調整弁152のクランプが閉じていることが好ましい。次いで、蠕動ポンプが始動して、希釈液を希釈ポーチ500から濾過装置110の処理方向に循環させる。
【0181】
第3の類型の洗浄は、上述したように、膜貫通向流を作成することにより、濾過装置110の濾過膜113の詰まりを取り除くことからなる。そうするために、電気制御弁320を閉じて、回収ユニット300内の真空を停止し、吐出ライン130の調整弁131のクランプを閉じる。輸血ライン170の調整弁171、再循環ライン150の調整弁151、および再循環ライン150の調整弁152のクランプも閉じられ、希釈ライン190の調整弁191および洗浄ライン180の調整弁181のクランプが開かれる。吐出ライン130が塞がれているという事実により、吐出室112内の洗浄液の圧力が増加し、このようにして、濾過膜113に固定されている化合物を除去する。ポンプ160の駆動速度を変化させることによって、または洗浄ライン180の調整弁181の高さで通過する流れを変化させることによって、この吐出室112内の圧力を制御することができる。濾過膜113から化合物が剥がれると、吐出ライン130の調整弁131のクランプを開くことにより、以前と同様に吐出室112のすすぎが実行され得る。目詰まりしない流量、すなわち膜貫通向流を生成するための洗浄流体の循環の流量は、好ましくは、少なくとも処理流量、すなわち、処理ユニット100内の出血液の循環流量に等しい。これにより、各サイクルでの赤血球の損失を減らしながら、全体的な処理時間を短縮できることが実際に観察されている。赤血球の損失は、例えば、目詰まりのない流量が1200ml/分から600ml/分を通過するときの10%に比べてわずか5%である。繊維の洗浄性能も向上する。
【0182】
上述の3つの類型の洗浄は、単独でまたは次々と組み合わせて実行されてもよい。
【0183】
例えば、次の2つの手順による洗浄のシーケンスが想定される。
(a1)上記の第3の類型の洗浄により、特に濾過膜を外側から内側に洗浄して濾過装置110の濾過膜113の目詰まりを解消し、
(b1)上記の第1の類型の洗浄に従って濾過装置110の吸入室111をすすぐ。
【0184】
別の例によれば、3つのステップによる以下の一連の洗浄が想定され得る。
(a1)上記の第1の類型の洗浄に従って濾過装置110の吸入室111をすすぎ、
(b1)上記の第3の類型の洗浄により、特に濾過膜を外側から内側に洗浄して濾過装置110の濾過膜113の目詰まりを解消し、
(c1)上記の第1の類型の洗浄に従って濾過装置110の吸入室111をすすぐ。
【0185】
濾過装置110が洗浄されると、処理室140に存在する希釈体積を調整することができ、この希釈体積は、処理サイクルを準備する段階に関して上記で説明したように、後の処理サイクルに使用され得る。したがって、洗浄段階の後、吐出ライン130の調整バルブ131のクランプを閉じたまま、クリーニングライン180の調整バルブ181のクランプを閉じること、およびポンプ160で希釈液を循環させ続けながら、再循環ライン150の調整バルブ152のクランプを開くことが重要である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7