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特許7316306移動端末試験装置、移動端末試験システム及び移動端末試験装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-19
(45)【発行日】2023-07-27
(54)【発明の名称】移動端末試験装置、移動端末試験システム及び移動端末試験装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 24/06 20090101AFI20230720BHJP
   H04W 88/02 20090101ALI20230720BHJP
【FI】
H04W24/06
H04W88/02 150
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021012007
(22)【出願日】2021-01-28
(65)【公開番号】P2022115423
(43)【公開日】2022-08-09
【審査請求日】2022-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】狩野 大樹
(72)【発明者】
【氏名】中村 拓海
(72)【発明者】
【氏名】中川 大祐
(72)【発明者】
【氏名】竹内 将人
【審査官】三枝 保裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-072838(JP,A)
【文献】特開2017-168019(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動端末(2)の基地局として機能する擬似基地局部(10)と、
前記擬似基地局部を制御することにより前記移動端末を試験する試験制御部(13)と、を備え、
前記試験制御部に実行させる試験に関する設定を操作部(15)による操作によって行わせるための設定画面(20)を表示部(14)に表示させる移動端末試験装置であって、
前記試験制御部は、
前記試験制御部に実行させる試験の仕様を選択させるための第1操作画像(21)と、前記第1操作画像に対する操作によって選択された仕様に応じた試験を実行するためのパラメータを設定させるためのパラメータ操作画像(22a~22e)がパラメータの階層に基づいて並べられた第2操作画像(22)と、を前記設定画面に表示させ、
前記パラメータ操作画像に対する操作によって1のパラメータが変更された場合には、該パラメータ操作画像よりもパラメータの階層が下位のパラメータ操作画像を、前記第1操作画像に対する操作によって選択された仕様にしたがって更新し、
前記パラメータ操作画像が表す最上位の階層のパラメータは、前記第1操作画像に対する操作によって選択された仕様に応じて分類された試験のグループを表す移動端末試験装置。
【請求項2】
前記試験制御部は、試験条件を設定するための第3操作画像(23)を前記第1操作画像及び前記第2操作画像とともに前記設定画面に表示させる詳細モードと、前記第3操作画像を前記設定画面に表示させずに前記第1操作画像及び前記第2操作画像を前記設定画面に表示させる簡略モードとの間で前記設定画面の表示モードを前記操作部による操作に応じて切り替えることを特徴とする請求項1に記載の移動端末試験装置。
【請求項3】
前記試験制御部は、前記第1操作画像に対する操作によって選択された仕様と、前記第2操作画像に対する操作によって選択されたパラメータと、に対応する仕様上の試験項目の一覧を表す項目一覧画像(28)を前記設定画面に表示させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の移動端末試験装置。
【請求項4】
移動端末(2)の試験を行う移動端末試験装置(1)と、
前記移動端末試験装置を制御する試験制御装置(4)と、を備え、
前記移動端末試験装置は、
前記移動端末の基地局として機能する擬似基地局部(10)を有し、
前記試験制御装置は、
前記擬似基地局部を制御する試験制御部(13)と、
表示部(14)と、
操作部(15)と、を有し、
前記試験制御部に実行させる試験に関する設定を前記操作部による操作によって行わせるための設定画面(20)を前記表示部に表示させる移動端末試験システムであって、
前記試験制御部は、
前記試験制御部に実行させる試験のパラメータを前記操作部による操作によって設定させるための設定画面(20)を前記表示部に表示させ、
前記試験制御部に実行させる試験の仕様を選択させるための第1操作画像(21)と、前記第1操作画像に対する操作によって選択された仕様に応じた試験を実行するためのパラメータを設定させるためのパラメータ操作画像(22a~22e)がパラメータの階層に基づいて並べられた第2操作画像(22)と、を前記設定画面に表示させ、
前記パラメータ操作画像に対する操作によって1のパラメータが変更された場合には、該パラメータ操作画像よりもパラメータの階層が下位のパラメータ操作画像を、前記第1操作画像に対する操作によって選択された仕様にしたがって更新し、
前記パラメータ操作画像が表す最上位の階層のパラメータは、前記第1操作画像に対する操作によって選択された仕様に応じて分類された試験のグループを表す移動端末試験システム。
【請求項5】
移動端末(2)の基地局として機能する擬似基地局部(10)と、
前記擬似基地局部を制御することにより前記移動端末を試験する試験制御部(13)と、を備え、
前記試験制御部に実行させる試験に関する設定を操作部(15)による操作によって行わせるための設定画面(20)を表示部(14)に表示させる移動端末試験装置(1)の制御方法であって、
前記試験制御部に実行させる試験の仕様を選択させるための第1操作画像(21)と、前記第1操作画像に対する操作によって選択された仕様に応じた試験を実行するためのパラメータを設定させるためのパラメータ操作画像(22a~22e)がパラメータの階層に基づいて並べられた第2操作画像(22)と、を前記設定画面に表示させるステップと、
前記パラメータ操作画像に対する操作によって1のパラメータが変更された場合には、該パラメータ操作画像よりもパラメータの階層が下位のパラメータ操作画像を、前記第1操作画像に対する操作によって選択された仕様にしたがって更新するステップと、を前記試験制御部に実行させ、
前記パラメータ操作画像が表す最上位の階層のパラメータは、前記第1操作画像に対する操作によって選択された仕様に応じて分類された試験のグループを表す移動端末試験装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動端末試験装置、移動端末試験システム及び移動端末試験装置の制御方法に関する。
【0002】
従来、特許文献1に提案された技術のように、設定項目や設定項目ごとに定める試験の値を設定するための1つ以上のウィンドウが表示される設定項目設定エリアと、試験結果を表示する試験結果表示エリアとを表示装置に表示させる技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-72838号公報(第0033段落、図2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の技術は、設定項目の数や設定項目ごとに定めるパラメータを試験の仕様に応じて設定させる必要があるため、パラメータの設定がユーザの負担となることがあるといった課題があった。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、試験の仕様に応じたパラメータの設定にかかるユーザの負担を軽減することができる移動端末試験装置、移動端末試験システム及び移動端末試験装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の移動端末試験装置は、移動端末(2)の基地局として機能する擬似基地局部(10)と、前記擬似基地局部を制御することにより前記移動端末を試験する試験制御部(13)と、を備え、前記試験制御部に実行させる試験に関する設定を操作部(15)による操作によって行わせるための設定画面(20)を表示部(14)に表示させる移動端末試験装置であって、前記試験制御部は、前記試験制御部に実行させる試験の仕様を選択させるための第1操作画像(21)と、前記第1操作画像に対する操作によって選択された仕様に応じた試験を実行するためのパラメータを設定させるためのパラメータ操作画像(22a~22e)がパラメータの階層に基づいて並べられた第2操作画像(22)と、を前記設定画面に表示させ、前記パラメータ操作画像に対する操作によって1のパラメータが変更された場合には、該パラメータ操作画像よりもパラメータの階層が下位のパラメータ操作画像を、前記第1操作画像に対する操作によって選択された仕様にしたがって更新し、前記パラメータ操作画像が表す最上位の階層のパラメータは、前記第1操作画像に対する操作によって選択された仕様に応じて分類された試験のグループを表す構成を有している。
【0007】
この構成により、本発明の移動端末試験装置は、第1操作画像に対する操作によって移動端末の試験の仕様を選択した後に、第2操作画像に並べられた順序でパラメータ操作画像を操作することによって試験の仕様に応じたパラメータを設定することができるため、試験の仕様に応じたパラメータの設定にかかるユーザの負担を軽減することができる。
【0008】
なお、本発明の移動端末試験装置において、前記試験制御部は、試験条件を設定するための第3操作画像(23)を前記第1操作画像及び前記第2操作画像とともに前記設定画面に表示させる詳細モードと、前記第3操作画像を前記設定画面に表示させずに前記第1操作画像及び前記第2操作画像を前記設定画面に表示させる簡略モードとの間で前記設定画面の表示モードを前記操作部による操作に応じて切り替える構成としてもよい。
【0009】
この構成により、本発明の移動端末試験装置は、第1操作画像に対する操作によって移動端末の試験の仕様を選択した後に、詳細モードで、第3操作画像に対する操作によって試験条件を設定した状態で、詳細モード及び簡略モードのいずれかの表示モードで、第2操作画像に並べられた順序でパラメータ操作画像を操作することによって試験の仕様に応じたパラメータを設定することができるため、試験の仕様及び試験条件に応じたパラメータの設定にかかるユーザの負担を軽減することができる。
【0010】
また、本発明の移動端末試験装置において、前記試験制御部は、前記第1操作画像に対する操作によって選択された仕様と、前記第2操作画像に対する操作によって選択されたパラメータと、に対応する仕様上の試験項目の一覧を表す項目一覧画像(28)を前記設定画面に表示させる構成としてもよい。
【0011】
この構成により、本発明の移動端末試験装置は、第1操作画像及び第2操作画像に対する操作によって決定される仕様上の試験項目の一覧を表す項目一覧画像を設定画面に表示させるため、冊子や記憶媒体に記録されている仕様上の試験項目を確認させることなく、試験の内容を確認させることができる。
【0012】
本発明の移動端末試験システムは、移動端末(2)の試験を行う移動端末試験装置(1)と、前記移動端末試験装置を制御する試験制御装置(4)と、を備え、前記移動端末試験装置は、前記移動端末の基地局として機能する擬似基地局部(10)を有し、前記試験制御装置は、前記擬似基地局部を制御する試験制御部(13)と、表示部(14)と、操作部(15)と、を有し、前記試験制御部に実行させる試験に関する設定を前記操作部による操作によって行わせるための設定画面(20)を前記表示部に表示させる移動端末試験システムであって、前記試験制御部は、前記試験制御部に実行させる試験のパラメータを前記操作部による操作によって設定させるための設定画面(20)を前記表示部に表示させ、前記試験制御部に実行させる試験の仕様を選択させるための第1操作画像(21)と、前記第1操作画像に対する操作によって選択された仕様に応じた試験を実行するためのパラメータを設定させるためのパラメータ操作画像(22a~22e)がパラメータの階層に基づいて並べられた第2操作画像(22)と、を前記設定画面に表示させ、前記パラメータ操作画像に対する操作によって1のパラメータが変更された場合には、該パラメータ操作画像よりもパラメータの階層が下位のパラメータ操作画像を、前記第1操作画像に対する操作によって選択された仕様にしたがって更新し、前記パラメータ操作画像が表す最上位の階層のパラメータは、前記第1操作画像に対する操作によって選択された仕様に応じて分類された試験のグループを表す構成を有している。
【0013】
この構成により、本発明の移動端末試験システムは、第1操作画像に対する操作によって移動端末の試験の仕様を選択した後に、第2操作画像に並べられた順序でパラメータ操作画像を操作することによって試験の仕様に応じたパラメータを設定することができるため、試験の仕様に応じたパラメータの設定にかかるユーザの負担を軽減することができる。
【0014】
本発明の移動端末試験装置の制御方法は、移動端末(2)の基地局として機能する擬似基地局部(10)と、前記擬似基地局部を制御することにより前記移動端末を試験する試験制御部(13)と、を備え、前記試験制御部に実行させる試験に関する設定を操作部(15)による操作によって行わせるための設定画面(20)を表示部(14)に表示させる移動端末試験装置(1)の制御方法であって、前記試験制御部に実行させる試験の仕様を選択させるための第1操作画像(21)と、前記第1操作画像に対する操作によって選択された仕様に応じた試験を実行するためのパラメータを設定させるためのパラメータ操作画像(22a~22e)がパラメータの階層に基づいて並べられた第2操作画像(22)と、を前記設定画面に表示させるステップと、前記パラメータ操作画像に対する操作によって1のパラメータが変更された場合には、該パラメータ操作画像よりもパラメータの階層が下位のパラメータ操作画像を、前記第1操作画像に対する操作によって選択された仕様にしたがって更新するステップと、を前記試験制御部に実行させ、前記パラメータ操作画像が表す最上位の階層のパラメータは、前記第1操作画像に対する操作によって選択された仕様に応じて分類された試験のグループを表す
【0015】
このように、本発明の移動端末試験装置の制御方法は、第1操作画像に対する操作によって移動端末の試験の仕様を選択した後に、第2操作画像に並べられた順序でパラメータ操作画像を操作することによって試験の仕様に応じたパラメータを設定することができるため、試験の仕様に応じたパラメータの設定にかかるユーザの負担を軽減することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、試験の仕様に応じたパラメータの設定にかかるユーザの負担を軽減することができる移動端末試験装置、移動端末試験システム及び移動端末試験装置の制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の実施形態に係る移動端末試験装置のブロック図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る移動端末試験装置によって表示装置に表示される簡略モードの表示画面の表示例を示す概要図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る移動端末試験装置によって表示装置に表示される簡略モードの表示画面上に選択項目の候補が表示されている状態の表示例を示す概要図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係る移動端末試験装置によって表示装置に表示される詳細モードの表示画面の表示例を示す概要図である。
図5図5は、本発明の実施形態の変形例に係る移動端末試験システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る移動端末試験システムについて詳細に説明する。なお、本発明の実施形態においては、5G(5th Generation)無線方式である5G NR(New Radio)の標準仕様に準拠した移動端末の試験を行う移動端末試験装置に本発明に係る移動端末試験装置を適用した例について説明する。
【0019】
5G NRの標準仕様では、キャリアアグリゲーション(Carrier Aggregation)技術が導入されている。このキャリアアグリゲーションは、複数のキャリアを同時に用いて通信を行なうことで、伝送速度の向上を図る技術である。
【0020】
キャリアアグリゲーションにおいては、コンポーネントキャリア(以下、「CC」ともいう)と呼ばれるキャリアを複数用いて通信を行なう。キャリアアグリゲーションでは、移動端末が基地局との接続を維持するために必要なCCである1つのプライマリコンポーネントキャリア(以下、「PCC」ともいう)と、移動端末と基地局との伝送速度を向上させるために使用されるCCである1つ以上のセカンダリコンポーネントキャリア(以下、「SCC」ともいう)とにより通信が行なわれる。
【0021】
また、本発明の実施形態における移動端末試験装置は、送信側と受信側との双方で複数のアンテナを使用した通信を行うMIMO(Multiple-Input and Multiple-Output)に対応している。すなわち、本発明の実施形態における移動端末試験装置は、各CCを複数のアンテナから送信する状態を再現することができる。
【0022】
図1に示すように、移動端末試験装置1は、アンテナ3を介して無線で移動端末2と信号を送受信する。また、移動端末試験装置1は、同軸ケーブル等を介して有線で移動端末2と信号を送受信することもできる。
【0023】
移動端末試験装置1は、移動端末の基地局として機能する擬似基地局部10と、擬似基地局部10を制御するためのパラメータを含む試験情報が記憶される試験情報記憶部11と、移動端末の試験の仕様に応じて定義されたシナリオを含む情報が記憶されたシナリオ記憶部12と、擬似基地局部10を制御する試験制御部13と、表示部14と、操作部15と、を含んで構成される。
【0024】
移動端末試験装置1は、移動端末2と通信を行うための通信回路が設けられた図示しないコンピュータ装置によって構成される。このコンピュータ装置は、それぞれ図示しないCPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、ハードディスク装置と、表示装置と、入力装置とを有する。
【0025】
このコンピュータ装置のROM及びハードディスク装置には、コンピュータ装置を移動端末試験装置1として機能させるためのプログラムが格納されている。すなわち、CPUがRAMを作業領域としてROMに格納されたプログラムを実行することにより、当該コンピュータ装置は、移動端末試験装置1として機能する。
【0026】
擬似基地局部10は、CPU及び通信回路によって構成される。試験情報記憶部11は、ハードディスク装置によって構成される。試験制御部13は、CPUによって構成される。シナリオ記憶部12は、ROM又はハードディスク装置によって構成される。
【0027】
表示部14は、液晶表示装置などの表示装置によって構成される。操作部15は、キーボード装置やポインティングデバイスなどの入力装置によって構成される。例えば、操作部15は、表示部14を構成する液晶表示装置と一体に設けられたタッチパッドによって構成してもよい。
【0028】
移動端末試験装置1は、「3GPP TS 38.521-1(FR1 SA)」、「3GPP TS 38.521-3(FR1 NSA)」及び「3GPP TS 38.521-3(FR2 NSA)」などの3GPP(3rd Generation Partnership Project)の技術仕様書(TS)38シリーズにおける複数の仕様に対応する試験を実行することができる。各仕様に応じたシナリオは、シナリオ記憶部12に記憶されている。各仕様における各試験のパラメータは、試験情報記憶部11に記憶されている。
【0029】
試験制御部13は、移動端末2の試験の開始が操作部15によって指示されると、第1操作画像21が表す試験の仕様に応じてシナリオ記憶部12に記憶されたシナリオと、試験情報記憶部11に記憶されたパラメータとに基づいて擬似基地局部10を制御する。
【0030】
図2に示すように、試験制御部13は、試験情報記憶部11に記憶された試験に関するパラメータを操作部15による操作によって更新させるための設定画面20を表示部14に表示させる。
【0031】
例えば、試験制御部13は、移動端末試験装置1の起動が完了したこと、又は、操作部15による操作によって設定画面20の表示が要求されたことに基づいて、設定画面20を表示部14に表示させる。
【0032】
設定画面20には、詳細モードと簡略モードとの間で表示モードを切り替えるためのモード切替ボタン24が表示される。モード切替ボタン24は、トグル表示形式のボタンとして機能する。
【0033】
モード切替ボタン24は、詳細モードのときに操作部15によって操作されると簡略モードに表示モードを切り替え、簡略モードのときに操作部15によって操作されると詳細モードに表示モードを切り替える。図2には、簡略モードの設定画面20の表示例が示されている。詳細モードの設定画面20の表示例については、図4を参照しながら後述する。
【0034】
設定画面20には、試験制御部13に実行させる試験の仕様を選択させるための第1操作画像21と、第1操作画像に対する操作によって選択された仕様に応じた試験を実行するためのパラメータを設定させるためのパラメータ操作画像22a~22eがパラメータの階層に基づいて並べられた第2操作画像22とが表示される。
【0035】
図2に示す例において、第1操作画像21には、項目名として「Test Specification」が表示され、設定値として「521-1(FR1 SA)」が表示されている。本実施形態において、「Test Specification」の設定値は、仕様を表す。したがって、図2における第1操作画像21は、試験の仕様として「3GPP TS 38.521-1(FR1 SA)」が選択されていることを表す。
【0036】
図3に示すように、操作部15による操作によって第1操作画像21が押下されると、第1操作画像21の位置に基づく位置(例えば、第1操作画像21の下方)にプルダウンメニューが表示される。
【0037】
このプルダウンメニューには、「3GPP TS 38.521-1(FR1 SA)」の他に、「3GPP TS 38.521-3(FR1 NSA)」及び「3GPP TS 38.521-3(FR2 NSA)」を表す選択項目が表示され、操作部15による操作によって選択項目が選択されることによって、試験の仕様が選択される。
【0038】
なお、本実施形態において、設定値を選択させるユーザインタフェースとしてプルダウンメニューを用いた例を説明するが、設定値を選択させるユーザインタフェースとして、設定値の候補から設定値を選択させる画面や設定値を直接に入力させる画面を設定画面20に重畳して表示させるなど、選択させる設定値の種別に応じた態様のユーザインタフェースを採用することが好ましい。
【0039】
図2において、試験の仕様が選択されると、第2操作画像22に含まれるパラメータ操作画像22a~22eの表示数、表示項目及び設定値が必要に応じて更新される。パラメータ操作画像22aには、項目名として「Test Group」が表示され、設定値として「TX-Fundamental」が表示されている。
【0040】
「Test Group」の設定値は、第1操作画像21で選択されている仕様に応じて分類された試験のグループ(以下、「試験グループ」ともいう)を表す。「Test Group」は、第1階層(最上位)のパラメータである。
【0041】
操作部15による操作によってパラメータ操作画像22aが押下されると、パラメータ操作画像22aの位置に基づく位置(例えば、パラメータ操作画像22aの下方)にプルダウンメニューが表示される。
【0042】
このプルダウンメニューには、例えば、「TX-Fundamental」の他に、「TX-Time Mask」、「TX-Power Control」及び「RX」などの選択項目が表示され、操作部15による操作によって選択項目が選択されることによって、試験グループが選択される。
【0043】
試験グループが選択されると、パラメータ操作画像22b~22eの表示数、表示項目及び設定値が必要に応じて更新される。パラメータ操作画像22bには、項目名として「Test Item」が表示され、設定値として「Modulation-PUSCH」が表示されている。
【0044】
「Test Item」の設定値は、第1操作画像21で選択されている仕様において、パラメータ操作画像22aで選択されている試験グループに属する試験項目を表す。「Test Item」は、第2階層のパラメータである。
【0045】
操作部15による操作によってパラメータ操作画像22bが押下されると、パラメータ操作画像22bの位置に基づく位置(例えば、パラメータ操作画像22bの下方)にプルダウンメニューが表示される。
【0046】
このプルダウンメニューには、「Modulation-PUSCH」の他に、「Max. Power」、「Configured Power」、「Min. Power」、「Modulation-PUCCH」及び「Modulation-PRACH」などの選択項目が表示され、操作部15による操作によって選択項目が選択されることによって、試験項目が選択される。
【0047】
試験項目が選択されると、パラメータ操作画像22c~22eの表示数、表示項目及び設定値が必要に応じて更新される。試験項目によっては、パラメータ操作画像の表示数が0の場合もある。
【0048】
各パラメータ操作画像22c~22eの各設定値は、試験項目ごとに試験情報記憶部11に記憶されたパラメータの値を初期値とし、操作部15による操作によって変更された場合には、変更後の値に試験項目ごとに維持される。
【0049】
パラメータ操作画像22cには、項目名として「UL RMC Modulation」が表示され、設定値として「DFT-s-OFDM QPSK」が表示されている。「UL RMC Modulation」の設定値は、アップリンクの基準測定チャネルの変調方式を表す。「UL RMC Modulation」は、第3階層のパラメータである。
【0050】
操作部15による操作によってパラメータ操作画像22cが押下されると、パラメータ操作画像22cの位置に基づく位置(例えば、パラメータ操作画像22cの下方)にプルダウンメニューが表示される。
【0051】
このプルダウンメニューには、「DFT-s-OFDM QPSK」の他に、第1操作画像21で選択されている仕様と、パラメータ操作画像22bで選択されている試験項目とに応じた変調方式の候補を表す選択項目が表示され、操作部15による操作によって選択項目が選択されることによって、アップリンクの基準測定チャネルの変調方式が選択される。
【0052】
パラメータ操作画像22dには、項目名として「UL RB Allocation」が表示され、設定値として「Inner_1RB_Right」が表示されている。「UL RB Allocation」の設定値は、リソースブロック数とリソースブロックの割り当て位置との組み合せを表す。「UL RB Allocation」は、第3階層のパラメータである。
【0053】
操作部15による操作によってパラメータ操作画像22dが押下されると、パラメータ操作画像22dの位置に基づく位置(例えば、パラメータ操作画像22dの下方)にプルダウンメニューが表示される。
【0054】
このプルダウンメニューには、「Inner_1RB_Right」の他に、第1操作画像21で選択されている仕様と、パラメータ操作画像22bで選択されている試験項目とに応じたリソースブロック数とリソースブロックの割り当て位置との組み合せの候補を表す選択項目が表示され、操作部15による操作によって選択項目が選択されることによって、リソースブロック数とリソースブロックの割り当て位置との組み合せが選択される。
【0055】
パラメータ操作画像22eには、項目名として「Test Power」が表示され、設定値として「10 dBm」が表示されている。「Test Power」の設定値は、試験用信号の送信レベルを表す。「Test Power」は、第3階層のパラメータである。
【0056】
操作部15による操作によってパラメータ操作画像22eが押下されると、パラメータ操作画像22eの位置に基づく位置(例えば、パラメータ操作画像22eの下方)にプルダウンメニューが表示される。
【0057】
このプルダウンメニューには、「10 dBm」の他に、第1操作画像21で選択されている仕様と、パラメータ操作画像22bで選択されている試験項目とに応じた送信レベルの候補を表す選択項目が表示され、操作部15による操作によって選択項目が選択されることによって、送信レベルが選択される。
【0058】
第3階層のパラメータとしては、「UL RMC Modulation」、「UL RB Allocation」及び「Test Power」の他に、「UL RB Index」、「DL RMC Modulation」、「Test Point」、「Power Pattern」及び「Test Type」などがある。これらのパラメータに対応するパラメータ操作画像についての説明は省略する。
【0059】
第3階層の1のパラメータが変更された場合、第3階層の他のパラメータの数が変わったり、第3階層の他のパラメータの設定値が規定範囲外になったりするといったように、第3階層の他のパラメータに影響することがある。
【0060】
他の第3階層のパラメータに影響する第3階層のパラメータを上位の第3階層のパラメータとし、上位の第3階層のパラメータによって影響を受ける第3階層のパラメータを下位の第3階層のパラメータとする。
【0061】
この場合、第2操作画像22においては、上位の第3階層のパラメータに相当するパラメータ操作画像に対して、下位の第3階層のパラメータに相当するパラメータ操作画像が下方に表示される。
【0062】
したがって、第1操作画像21に対する操作によって試験の仕様を選択した後に、第2操作画像22に含まれるパラメータ操作画像を上から順に操作していくことによって試験の仕様に応じたパラメータが選択される。
【0063】
以上のように選択された各種パラメータは、設定画面20に表示される適用ボタン25が操作部によって操作されることで、試験情報記憶部11に反映される。この結果として、試験情報記憶部11に記憶されたパラメータが更新される。適用ボタン25は、プッシュ形式のボタンとして機能する。
【0064】
図4には、詳細モードの設定画面20の表示例が示されている。詳細モードの設定画面20には、第1操作画像21及び第2操作画像22に加えて、試験条件を設定するための第3操作画像23と、試験項目の一覧を表す項目一覧画像28とが表示される。
【0065】
なお、図4において、パラメータ操作画像22bの設定値として「Max. Power」が表示されている。「Max. Power」に対する第3階層のパラメータの数は、「UL RMC Modulation」及び「UL RB Allocation」の2つであるため、図2において表示されていたパラメータ操作画像22eは、第2操作画像22に含まれない。
【0066】
第3操作画像23に表示される試験条件を表す各設定値は、パラメータ操作画像22c~22eの設定値と同様に、試験情報記憶部11に記憶されている。第3操作画像23に表示される試験条件を表す各設定値は、試験情報記憶部11に記憶された値を初期値とし、操作部15による操作によって変更された場合には、変更後の値に維持される。
【0067】
第3操作画像23には、DLSCC操作画像23aと、ULSCC操作画像23bと、ULアンテナ操作画像23cと、パワークラス操作画像23dと、リスト画像23eが表示される。
【0068】
DLSCC操作画像23aには、項目名として「Number of DL SCC」が表示され、設定値として「1」が表示されている。DLSCC操作画像23aの設定値は、ダウンリンクのSCCの数を表す。
【0069】
ULSCC操作画像23bには、項目名として「Number of UL SCC」が表示され、設定値として「1」が表示されている。ULSCC操作画像23bの設定値は、アップリンクのSCCの数を表す。
【0070】
ULアンテナ操作画像23cには、項目名として「UL Antenna Configuration」が表示され、設定値として「Single Antenna」が表示されている。ULアンテナ操作画像23cの設定値は、アップリンクに使用するアンテナ3の状態を表す。「UL Antenna Configuration」に対する選択項目としては、「Single Antenna」の他に、MIMOに対応するための「Multiple Antenna」がある。
【0071】
パワークラス操作画像23dには、項目名として「UE Power Class」が表示され、設定値として「3」が表示されている。パワークラス操作画像23dの設定値は、第1操作画像21で選択されている仕様において規定された移動端末2の最大送信電力のクラスを表す。
【0072】
各操作画像23a~23dは、操作部15による操作によって押下されると、各操作画像23a~23dの位置に基づく位置(例えば、各操作画像23a~23dの下方)に表示されるプルダウンメニューが表示されることにより、各設定値の選択が可能になる。
【0073】
リスト画像23eには、PCCと、ULSCC操作画像23bで選択された数のSCCとのそれぞれに対して、「Duplex mode」、「DL Subcarrier Spacing (data)」、「UL Subcarrier Spacing (data)」、「DL Channel Bandwidth」、「UL Offset To Carrier」などの各設定値を設定させるための操作画像が配置される。
【0074】
図4においては、ULSCC操作画像23bで選択された数が1であるため、リスト画像23eには、SCC1に対する操作画像が配置される。例えば、ULSCC操作画像23bで選択された数が2であれば、リスト画像23eには、SCC1及びSCC2に対する操作画像が配置される。
【0075】
「Duplex mode」の行に配置された各操作画像は、各CCにおける多重化方式を表す。「DL Subcarrier Spacing (data)」の行に配置された各操作画像は、各CCにおけるダウンリンクのサブキャリア幅を表す。
【0076】
「UL Subcarrier Spacing (data)」の行に配置された各操作画像は、各CCにおけるアップリンクのサブキャリア幅を表す。「DL Channel Bandwidth」の行に配置された各操作画像は、各CCにおけるダウンリンクのチャネルバンド幅を表す。「UL Offset To Carrier」の行に配置された各操作画像は、各CCにおけるアップリンクのキャリアのオフセット周波数を表す。
【0077】
リスト画像23eには、「Duplex mode」、「DL Subcarrier Spacing (data)」、「UL Subcarrier Spacing (data)」、「DL Channel Bandwidth」、「UL Offset To Carrier」に加えて、その他の各種設定値を設定させるための各操作画像が各CCに対応付けられて配置されているが、その他の各種設定値についての説明は省略する。
【0078】
図4に示すリスト画像23eにおいては、各CCに対して配置される全ての操作画像を表示するには表示領域が不足しているため、リスト画像23eにスクロールバー23fが表示される。スクロールバー23fに対する操作によって、その他の各種設定値を設定させるための操作画像を表示させることもできるようになる。
【0079】
リスト画像23eに表示される操作画像は、例えば、図中、SCC1に対する「DL Subcarrier Spacing (data)」並びにPCC及びSCC1に対する「UL Subcarrier Spacing (data)」のように、変更することができない設定値を表すものもある。
【0080】
変更することができない設定値に対する操作画像は、操作部15による操作によって押下されたとしても、プルダウンメニューの表示が禁止される、すなわち、プルダウンメニューが表示されないことにより、設定値を変更することができない。
【0081】
リスト画像23eにおいて、変更することができない設定値は、変更することができる設定値と異なる表示態様(背景、文字色、文字の太さ、又は、これらの組合せ)で表示されることによって、変更することができる設定値と識別させるように表示される。
【0082】
以上のように第3操作画像23において選択された試験条件を表す各種設定値は、設定画面20に表示される適用ボタン25が操作部によって操作されることで、試験情報記憶部11に反映される。この結果として、試験情報記憶部11に記憶された試験条件を表す各種設定値が更新される。
【0083】
このように、第1操作画像21に対する操作によって試験の仕様を選択した後に、第3操作画像23に含まれる操作画像23a~23dとリスト画像23eに表示される操作画像に対する操作によって試験条件を設定した状態で、第2操作画像22に含まれるパラメータ操作画像を上から順に操作していくことによって試験の仕様及び試験条件に応じたパラメータが設定される。
【0084】
項目一覧画像28は、第1操作画像21で選択されている仕様と、パラメータ操作画像22bで選択されている試験項目とに対応する仕様上の試験項目の一覧を表す。仕様上の試験項目の一覧は、第1操作画像21で選択されている仕様が規定された仕様書におけるセクション番号と、タイトルと、テストIDとによって表される。テストIDは、仕様書にて定められているパラメータの組み合わせに対応する識別情報であって、パラメータ操作画像22c~22eの設定値によって変化する場合がある。
【0085】
なお、本実施形態においては、詳細モードの設定画面20に項目一覧画像28を表示し、簡略モードの設定画面20に項目一覧画像28を表示しない例について説明したが、簡略モードの設定画面20にも項目一覧画像28を表示するようにしてもよい。
【0086】
以上に説明したように、本実施形態は、第1操作画像21に対する操作によって移動端末2の試験の仕様を選択した後に、第2操作画像22に並べられた順序でパラメータ操作画像22a~22eを操作することによって試験の仕様に応じたパラメータを設定することができるため、試験の仕様に応じたパラメータの設定にかかるユーザの負担を軽減することができる。
【0087】
また、本実施形態は、第1操作画像21に対する操作によって移動端末2の試験の仕様を選択した後に、詳細モードで、第3操作画像23に対する操作によって試験条件を設定した状態で、詳細モード及び簡略モードのいずれかの表示モードで、第2操作画像22に並べられた順序でパラメータ操作画像22a~22eを操作することによって試験の仕様に応じたパラメータを設定することができるため、試験の仕様及び試験条件に応じたパラメータの設定にかかるユーザの負担を軽減することができる。
【0088】
また、本実施形態は、第1操作画像21及び第2操作画像22に対する操作によって決定される試験項目の一覧を表す項目一覧画像28を設定画面20に表示させるため、冊子や記憶媒体に記録されている仕様上の試験項目を確認させることなく、仕様上の試験の内容を確認させることができる。
【0089】
なお、本実施形態における移動端末試験装置1は、CPUと、RAMと、ROMと、フラッシュメモリと、ハードディスク装置と、通信モジュールとを備えた汎用のコンピュータ装置を接続できるように構成してもよい。
【0090】
この場合、図5に示すように、試験情報記憶部11、シナリオ記憶部12と、試験制御部13と、表示部14と、操作部15と、を含む試験制御装置4を汎用のコンピュータ装置によって構成し、試験情報記憶部11、シナリオ記憶部12と、試験制御部13と、表示部14と、操作部15と、を除いた移動端末試験装置1と試験制御装置4とによって移動端末試験システムを構成してもよい。
【0091】
以上、本発明の実施形態について開示したが、本発明の範囲を逸脱することなく、本発明の実施形態に変更を加えることは容易である。本発明の実施形態は、このような変更が加えられた等価物が特許請求の範囲に記載された発明に含まれることを前提として開示されている。
【符号の説明】
【0092】
1 移動端末試験装置
2 移動端末
4 試験制御装置
10 擬似基地局部
13 試験制御部
14 表示部
15 操作部
20 設定画面
21 第1操作画像
22 第2操作画像
22a~22e パラメータ操作画像
23 第3操作画像
28 項目一覧画像
図1
図2
図3
図4
図5