IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フスクバルナ アクティエボラーグの特許一覧

<>
  • 特許-動力工具 図1
  • 特許-動力工具 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-19
(45)【発行日】2023-07-27
(54)【発明の名称】動力工具
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/00 20060101AFI20230720BHJP
   A01G 3/06 20060101ALI20230720BHJP
【FI】
B25F5/00 A
B25F5/00 H
A01G3/06
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021510320
(86)(22)【出願日】2019-08-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-27
(86)【国際出願番号】 EP2019072809
(87)【国際公開番号】W WO2020043707
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-05-16
(31)【優先権主張番号】1851031-3
(32)【優先日】2018-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】511234781
【氏名又は名称】フスクバルナ アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【弁理士】
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル アレクサンデション
(72)【発明者】
【氏名】ミーケル アルビドソン
【審査官】城野 祐希
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-148068(JP,A)
【文献】特開2015-120208(JP,A)
【文献】特開2013-031922(JP,A)
【文献】特開2014-079873(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 5/00
A01G 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手持ち式動力工具(1)において、
- 動力工具(1)の工具(5)に動力供給するように構成された電動モータ(3)と、
- 前記電動モータ(3)に電力を供給するように構成された電源機構(7、9)と、
- 空気が空冷通路(11、11’)を通って流れている場合に前記電動モータ(3)および電源機構(7、9)を冷却するように、前記電動モータ(3)および前記電源機構(7、9)の少なくとも一部分を通って延在する空冷通路(11、11’)と、
- 前記電動モータ(3)と電源機構(7、9)の間で、前記空冷通路(11、11’)内に配設されたファン(13)と、
を含み、
前記ファン(13)が、前記空冷通路(11、11’)を通して前記電動モータ(3)から前記電源機構(7、9)に向かう流れ方向(d)に空気流を生成するように構成されており、
前記動力工具(1)が、前記電動モータ(3)を収容する第1のハウジング部分(23’)と、前記電源機構(7、9)を収容する第2のハウジング部分(23’’)とを有するハウジング(23)を含み、
前記電動モータ(3)がモータケーシング(20)を含み、前記空冷通路(11、11’)の一部分が前記モータケーシング(20)を通って延在し、かつ、
前記空冷通路(11、11’)の一部分が、前記モータケーシング(20)の周りを通って延在する、手持ち式動力工具(1)
【請求項2】
前記電動モータ(3)が、前記ファン(13)に動力供給するように配設されている、請求項1に記載の手持ち式動力工具(1)。
【請求項3】
前記ファン(13)が前記電動モータ(3)のモータシャフト(15)上に配設されている、請求項2に記載の手持ち式動力工具(1)。
【請求項4】
前記空冷通路(11、11’)が、前記電動モータ(3)の上流側に少なくとも1つの入口(17、17’)を、そして前記電源機構(7、9)の下流側に少なくとも1つの出口(19、19’)を含む、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の手持ち式動力工具(1)。
【請求項5】
前記電動モータ(3)が導体巻線(21)を含み、前記空冷通路(11、11’)の少なくとも一部分が前記導体巻線(21)を通って延在する、請求項1ないしのいずれか1項に記載の手持ち式動力工具(1)。
【請求項6】
前記電動モータ(3)が、モータ軸(am)を中心として回転するように配設されたモータシャフト(15)を含み、前記電動モータ(3)の場所において前記空冷通路(11、11’)を通して前記ファン(13)によって生成された前記空気流の前記流れ方向(d)が、前記モータ軸(am)に対し実質的に平行に延在する、請求項1ないしのいずれか1項に記載の手持ち式動力工具(1)。
【請求項7】
前記電源機構(7、9)がバッテリ(7)を含む、請求項1ないしのいずれか1項に記載の手持ち式動力工具(1)。
【請求項8】
前記電源機構(7、9)が、前記電動モータ(3)に電気を選択的に印加するように構成された制御ユニット(9)を含む、請求項1ないしのいずれか1項に記載の手持ち式動力工具(1)。
【請求項9】
記ハウジング(23)が前記空冷通路(11、11’)の境界画定表面(25)の少なくとも一部分を形成する、請求項1ないしのいずれか1項に記載の手持ち式動力工具(1)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの入口(17、17’)および/または前記少なくとも1つの出口(19、19’)が、ハウジング(23)内の開口部によって形成される、請求項4に記載の手持ち式動力工具(1)。
【請求項11】
前記ハウジング(23)が、前記電動モータ(3)および前記ファン(13)をさらに収容する、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の手持ち式動力工具(1)。
【請求項12】
前記動力工具(1)が、前記ファン(13)の出口部(13’’)から前記ファン(13)の入口部分(13’)への空気の再循環を妨げるように配設された少なくとも1つの壁(27)を含む、請求項1ないし11のいずれか1項に記載の手持ち式動力工具(1)。
【請求項13】
前記少なくとも1つの壁(27)が前記ハウジング(23)の壁である、請求項12に記載の手持ち式動力工具(1)。
【請求項14】
前記動力工具(1)が、少なくとも1つのハンドル部分(29、29’)を含む、請求項1ないし13のいずれか1項に記載の手持ち式動力工具(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、動力工具に関する。より具体的には、本発明は電動手持ち式動力工具に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、市場で入手可能な多くの種類の動力工具が存在している。例としては、チェーンソー、丸鋸、トリマー、ヘッジトリマー、芝刈り機、マルチツール、ドリルなどがある。動力工具は例えば、産業において、建設において、庭で、家事仕事のため、および家回りで締結具の駆動、ドリル穿孔、切断、整形、サンディング、研削、ルーティング、研磨、塗装、加熱などを目的として使用される。
【0003】
動力工具の共通の特徴は、それらが単に手作業以外の動力源によって駆動され得る工具を含むという点にある。今日、多くの動力工具は、工具に動力供給するように構成された電動モータを含んでいる。電動モータは、特に排気レベル、効率、騒音レベル、重量などに関しては、燃焼機関に比べていくつかの利点を提供する。いくつかの電動動力工具は、バッテリを含み、いくつかの動力工具は、動力工具を電源に接続するための電気的接続部を含む。消費者およびプロのユーザからの要求を満たすため、多くの動力工具には、制御ユニットおよびバッテリなど、強力な電源機構を必要とする強力な電動モータが具備されている。電動モータおよび電源機構などの電気的構成要素は、動作中に熱を発生させ、電力レベルが高い場合、より多くの熱が生成される。信頼性の高い動力工具を得るためおよび一定の動作時間を可能にするために、この熱を電気的構成要素から移送することが好ましい。
【0004】
動力工具に付随する共通の問題点は、動作の信頼性および動作中に生成される騒音レベルである。さらに、概して今日の消費者市場では、動力工具などの製品が、高い費用効率での製造および組立てに好適な条件および/または特性を有することが有利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上述の問題点および欠点の少なくともいくつかを克服するかまたは少なくとも軽減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によると、この目的は、手持ち式動力工具において、動力工具の工具に動力供給するように構成された電動モータと、電動モータに電力を供給するように構成された電源機構と、空気が空冷通路を通って流れている場合に電動モータおよび電源機構を冷却するように、電動モータおよび電源機構の少なくとも一部分を通って延在する空冷通路と、電動モータと電源機構の間で、空冷通路内に配設されたファンと、を含み、ファンが、空冷通路を通して電動モータから電源機構に向かう流れ方向に空気流を生成するように構成されている手持ち式動力工具によって達成される。
【0007】
ファンは、空冷通路を通して電動モータから電源機構に向かう流れ方向に空気流を生成するように構成されていることから、電動モータおよび電源機構の効率の良い冷却が提供される。そのさらなる結果として、より信頼性の高い動力工具が提供され、電動モータおよび電源機構は、過熱状態になることなく、高い動力レベルで動作することができる。
【0008】
動力工具の動作中、電動モータは、最大の熱を生成する構成要素であり得る。しかしながら、ファンが電動モータから電源機構に向かう流れ方向に空気流を生成するように構成されていることから、電動モータは、最も効率の良い冷却に付されることになる。これは、電動モータが、加熱されていない周囲空気を用いて冷却されるからである。したがって、ファンは電動モータから電源機構に向かう流れ方向に空気流を生成するように構成されていることから、電動モータは、過熱状態になることなく、高い動力レベルで動作することができる。
【0009】
その上、ファンは、電動モータと電源機構の間の空冷通路内に配設されていることから、空冷通路に進入する物体によって動作不能となることに対してより保護されている動力工具の1つの位置に位置付けされている。したがって、さらなる結果として、さらに一層信頼性の高い動力工具のための条件が提供される。
【0010】
さらにまた、ファンは電動モータと電源機構の間の空冷通路内に配設されていることから、ファンによって生成される騒音をより効率良く減衰させることができる。これにより、動作中に生成される騒音が低い動力工具のための条件が提供される。
【0011】
さらに、動力工具は空冷通路を含むことそしてファンは電動モータと電源機構の間で空冷通路内に配設されていることから、費用効率の良い製造および組立てに好適な条件および特性を有する動力工具が提供される。
【0012】
したがって、上述の問題および欠点の少なくともいくつかを克服するかまたは少なくとも軽減する手持ち式動力工具が提供される。結果として、上述の目的は達成される。
【0013】
任意には、電動モータはファンに動力供給するように配設されている。その結果、一部には別個のファンモータの必要性が回避されることを理由として、費用効率の良い製造および組立てに好適な条件および特性を有する動力工具が提供される。その上、軽量でコンパクトな動力工具のための条件が提供される。
【0014】
任意には、ファンは、電動モータのモータシャフト上に配設されている。その結果、費用効率の良い製造および組立てに好適な条件および特性を有する動力工具が提供される。その上、軽量でコンパクトな動力工具のための条件が提供される。
【0015】
任意には、空冷通路は、電動モータの上流側に少なくとも1つの入口を、そして電源機構の下流側に少なくとも1つの出口を含む。これにより、空気は効率良くこれらの構成要素の中および/またはこれらの構成要素を通過して誘導され得ることから、電動モータおよび電源機構のさらに効率の良い冷却を提供することができる。
【0016】
任意には、電動モータはモータケーシングを含み、空冷通路の少なくとも一部分がモータケーシングを通って延在する。これにより、電動モータのさらに効率の良い冷却が提供される。そのさらなる結果として、より信頼性の高い動力工具が提供され、かつ、電動モータが過熱状態になることなくさらに高い動力レベルで動作することのできる動力工具が提供される。
【0017】
任意には、電動モータは導体巻線を含み、空冷通路の少なくとも一部分が、導体巻線を通って延在する。導体巻線は、動作中に多くの熱を生成する電動モータの構成要素である。空冷通路の少なくとも一部分が導体巻線を通って延在することから、導体巻線の効率の良い冷却が提供される。そのさらなる結果として、より信頼性の高い動力工具が提供され、かつ、電動モータが過熱状態になることなくさらに高い動力レベルで動作することのできる動力工具が提供される。
【0018】
任意には、電動モータは、モータ軸を中心として回転するように配設されたモータシャフトを含み、電動モータの場所において空冷通路を通してファンによって生成された空気流の流れ方向は、モータ軸に対し実質的に平行に延在する。こうして軽量でコンパクトな動力工具のための条件が提供される一方で、電動モータの効率の良い冷却が提供される。
【0019】
任意には、電源機構は、バッテリを含む。これにより、動力工具のバッテリの冷却効率が良い使いやすい動力工具が提供される。
【0020】
任意には、電源機構は、電動モータに電気を選択的に印加するように構成された制御ユニットを含む。これにより、動力工具の制御ユニットの冷却効率が良い動力工具が提供される。
【0021】
任意には、動力工具は、電源機構を収容するハウジングを含み、該ハウジングは、空冷通路の境界画定表面の少なくとも一部分を形成する。これにより、構成要素の冷却効率が良く、かつ費用効率の良い製造および組立てに好適な条件および特性を有する動力工具が提供される。
【0022】
任意には、少なくとも1つの入口および/または少なくとも1つの出口は、ハウジング内の開口部によって形成される。これにより、費用効率の良い製造および組立てに好適な条件および特性を有する動力工具が提供される。
【0023】
任意には、ハウジングは、電動モータおよびファンをさらに収容する。これにより、構成要素の冷却効率が良く、かつ費用効率の良い製造および組立てに好適な条件および特性を有する動力工具が提供される。
【0024】
任意には、動力工具は、ファンの出口部からファンの入口部分への空気の再循環を妨げるように配設された少なくとも1つの壁を含む。これにより、空気は空冷通路を通ってより効率的にかつより低い圧送損失で圧送され、こうして、費用およびエネルギー効率良く、電動モータおよび電源機構のさらに効率の良い冷却が提供される。
【0025】
任意には、少なくとも1つの壁はハウジングの壁である。これにより、構成要素の冷却効率が良くかつ費用効率の良い製造および組立てに好適な条件および特性を有する動力工具が提供される。
【0026】
任意には、動力工具は、少なくとも1つのハンドル部分を含む手持ち式動力工具である。これにより、構成要素の冷却効率の良い、信頼性の高い手持ち式動力工具が提供される。さらに、使用中に発生する騒音量を低くするための条件を有する手持ち式動力工具が提供される。その上、費用効率の良い製造および組立てに好適な条件および特性を有する手持ち式動力工具が提供される。
【0027】
本発明のさらなる特徴およびその利点は、添付のクレームおよび以下の詳細な説明を検討した時点で明確になるものである。
【0028】
本発明の特定の特徴および利点を含めたさまざまな態様は、以下の詳細な説明中で論述されている例示的実施形態および添付図面から容易に理解されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、いくつかの実施形態に係る動力工具を例示する。
図2図2は、図1中で例示された動力工具のハウジングを通る断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の態様について、ここでさらに完全に説明する。全体を通して、同様の番号は同様の要素を意味する。簡潔さおよび/または明確さのため、周知の機能または構造は必ずしも詳述されないものとする。
【0031】
図1は、いくつかの実施形態に係る動力工具1を例示する。例示された実施形態によると、動力工具1はトリマーである。動力工具1は、トリマーヘッドの形をした工具5を含む。例示された動力工具1は本発明の例示的実施形態を成すものであり、本発明は添付クレームによってのみ定義される、ということを理解すべきである。したがって、本明細書中の実施形態によると、動力工具1は、トリマー以外のタイプの動力工具、例えばチェーンソー、丸鋸、マルチツール、ヘッジトリマー、ドリル、芝刈り機などであってよい。さらに、このような実施形態によると、本明細書中で言及されている工具は、例えば、切断用チェーン、鋸刃、切断用ユニット、ドリルなどを含み得る、ということも理解すべきである。
【0032】
動力工具1は、電動式動力工具1である。動力工具1はハウジング23を含み、本明細書中でさらに説明される通り、動力工具1はハウジング23内に配設された電動モータを含む。その上、例示された実施形態によると、動力工具1は、ハウジング23内に配設されたバッテリを含む。電動モータは、バッテリからの電力を用いて工具5に動力供給するように配設されている。例示された実施形態によると、動力工具1は、工具5とハウジング23の間に延在する細長い本体2を含む。動力工具1は、細長い本体2を通って延在するシャフトを含み、ここでシャフトは、電動モータから工具5まで動力を伝達するように配設されている。
【0033】
例示された実施形態によると、動力工具1は、ユーザの一方の手で把持されるように配設された第1のハンドル部分29と、ユーザの他方の手で把持されるように配設された第2のハンドル部分29’を含む。第1のハンドル部分29は、ユーザの手のひらにより押圧されるように配設された安全スイッチ6を含む。さらに、動力工具1の第1のハンドル部分29は、スロットルレバー8を含む。例示された実施形態によると、スロットルレバー8は、ユーザの1本以上の指によって押圧されるように配設されている。スロットルレバー8は、ユーザが、動力工具1の電動モータにより出力された動力を制御できるようにする。
【0034】
図2は、図1に例示された動力工具1のハウジング23を通る断面を例示する。図2中、断面は動力工具の電動モータ3のモータ軸amを含む平面内で描かれている。電動モータ3は、モータ軸amを中心として回転するように配設されたモータシャフト15を含む。前述の通り、電動モータ3は、動力工具の工具に動力供給するように構成されている。例示された実施形態によると、電動モータ3は、電子整流モータ(ECMs、ECモータ)としても公知であるブラシレス直流電動モータ、または同期直流モータである。動力工具はさらに、電動モータ3に対して電力を供給するように構成された電源機構7、9を含む。例示された実施形態によると、電源機構7、9は、バッテリ7および制御ユニット9を含む。制御ユニット9は、電動モータ3に対して電力を選択的に印加するように構成されている。すなわち、例示された実施形態によると、制御ユニット9は、図1に例示されているスロットルレバー8によって制御される量の電力をバッテリ7から電動モータ3に印加するように配設されている。バッテリ7は例えば、リチウムイオンバッテリを含み得る。
【0035】
動力工具1は、空気が空冷通路11、11’を通って流れている場合に電動モータ3および電源機構7、9を冷却するように、電動モータ3および電源機構7、9の少なくとも一部分を通過して延在する空冷通路11、11’を含む。動力工具1は、電動モータ3と電源機構7、9の間で空冷通路11、11’内に配設されたファン13を含む。例示された実施形態によると、ファン13は、電動モータ3のモータシャフト15上に配設された軸流ファンである。したがって、これらの実施形態によると、電動モータ3は、ファン13に動力供給するように、すなわちファン13を回転させるように配設される。ファン13は、空冷通路11、11’を通して、電動モータ3から電源機構7、9に向かう流れ方向dに空気流を生成するように構成されている。このようにして、本明細書中でさらに説明されているように、電動モータ3および電源機構7、9の効率の良い冷却が提供される。
【0036】
例示された実施形態によると、ハウジング23は、電源機構7、9、電動モータ3、およびファン13を収容する。その上、ハウジング23は、空冷通路11、11’の少なくとも一部分を定義し境界画定し、空冷通路11、11’の境界画定表面25の少なくとも一部分を形成する。空冷通路11、11’は、各々電動モータ3の上流側に配設された第1の入口17および第2の入口17’を含む。第1および第2の入口17、17’は、各々、ハウジング23内の開口部によって形成される。その上、例示された実施形態によると、空冷通路11、11’は、各々電源機構7、9の下流側に配設された第1の出口19および第2の出口19’を含む。第1の出口19は同様に図1中にも標示されている。その上、第1および第2の出口19、19’は、各々、ハウジング23内の開口部によって形成される。ハウジング23はファン13を収容することそしてファン13は電動モータ3と電源機構7、9の間で空冷通路11、11’内に配設されていることから、ファン13が生成する騒音は効率的に減衰される。
【0037】
電動モータ3は、モータケーシング20および導体巻線21を含む。例示された実施形態によると、空冷通路11、11’の一部分は、モータケーシング20および導体巻線21を通って延在する。その上、図2中で空冷通路11、11’を例示する破線によって標示されているように、空冷通路11、11’の一部分は同様に、モータケーシング20の周りに延在していてよい。このようにして、空気は、モータケーシング20を通って、導体巻線21を通って、ならびにモータケーシング20の周りを流れることができるため、電動モータ3は効率良く冷却される。
【0038】
図2から理解できるように、動力工具の動作中、ファン13は、電動モータ3を収容するハウジング23の第1のハウジング部分23’の内部体積内に、周囲の大気圧より低い圧力を創出することになる。その結果として、周囲空気は、第1および第2の入口17、17’内へ、電動モータ3を通り、電動モータ3の周りを、ファン13に向かって流れる。ファン13から、空気は、電源機構7、9に向かって押される。ファン13はこうして、電源機構7、9を収容するハウジング23の第2のハウジング部分23’’の内部体積内に、周囲の大気圧より高い圧力を創出する。第2のハウジング部分23’’内のより高い圧力は、空気を第1および第2の出口19、19’から外へと強制する。
【0039】
例示された実施形態によると、動力工具1は、ハウジング23の内部においてファン13の出口部分13’’からファン13の入口部分13’への空気の再循環を妨げるように配設された壁27を含む。壁27は、ファン13から実質的に半径方向に延在し、ファン13の半径方向外側の場所において第2のハウジング部分23’’の内部体積から第1のハウジング部分23’の内部体積を封止する。このようにして、空気は、より低い圧送損失でより効率良く、空冷通路11、11’を通って圧送される。例示された実施形態によると、壁27は、ハウジング23の内部壁である。これにより、動力工具を、簡単に組立てることができ、費用効率良く動力工具を製造するための条件が提供される。
【0040】
図2中で標示されているように、例示された実施形態によると、空冷通路11、11’は、ハウジング23の内部壁31により第1の空冷通路部分11および第2の空冷通路部分11’に分割される。したがって、例示された実施形態によると、ハウジングは、空気を一部の方向で妨害し他の方向で空気を誘導する壁27、31を含む。第1の空冷通路部分11はバッテリ7の一部分を通過して延在し、第2の空冷通路部分11’は、制御ユニット9の一部分を通過して延在する。したがって、動力工具の動作中、空気の一部は、第1の空冷通路部分11を通ってファン13から第1および/または第2の出口19、19’に向かって押され、空気の一部は、第2の空冷通路部分11’を通ってファン13から第1および/または第2の出口19、19’に向かって押される。このようにして、バッテリ7および制御ユニット9は各々効率良く冷却される。以上のことから分かるように、第2の空冷通路部分11’を標示する破線が第2の出口19’を通って描かれているものの、第2の空冷通路部分11’を通って流れる空気は、同様に第1の出口19を介してハウジング23から外に流出し得る。
【0041】
その上、例示された実施形態によると、電動モータ3の場所において、空冷通路11、11’を通してファン13により生成された空気流の流れ方向dは、モータ軸amに対し実質的に平行に延在する。流れ方向dは、電動モータ3の場所において、空冷通路11、11’を通してファン13により生成された空気流の平均的流れ方向dであり得る。本明細書中で使用される「~に対し実質的に平行」なる用語は、モータ軸amと流れ方向dの間の角度が10度未満であることを意味する。
【0042】
以上はさまざまな例示的実施形態を例証するものであること、そして本発明が添付のクレームによってのみ定義されること、を理解すべきである。当業者であれば、添付クレームによって定義されている通りの本発明の範囲から逸脱することなく、例示的実施形態を修正することができ、かつ例示的実施形態の異なる特徴を組合せて、本明細書中で説明されたもの以外の実施形態を創出することができることを認識するものである。
【0043】
本明細書中で使用されている「comprising(~を含む)」または「comprises(~を含む)」なる用語は、オープンエンデッドであり、1つ以上の記載された特徴、要素、ステップ、構成要素または機能を含むものの、1つ以上の他の特徴、要素、ステップ、構成要素、機能またはそれらの群の存在または付加を排除するものではない。
図1
図2