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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-19
(45)【発行日】2023-07-27
(54)【発明の名称】無線充電装置およびそれを含む移動手段
(51)【国際特許分類】
   H01F 38/14 20060101AFI20230720BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20230720BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20230720BHJP
   B60M 7/00 20060101ALI20230720BHJP
   B60L 5/00 20060101ALI20230720BHJP
   B60L 53/12 20190101ALI20230720BHJP
【FI】
H01F38/14
H02J50/10
H02J7/00 301D
B60M7/00 X
B60L5/00 B
B60L53/12
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022520628
(86)(22)【出願日】2020-10-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-08
(86)【国際出願番号】 KR2020014932
(87)【国際公開番号】W WO2021086066
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-04-01
(31)【優先権主張番号】10-2019-0135517
(32)【優先日】2019-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0048503
(32)【優先日】2020-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0057764
(32)【優先日】2020-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】508148079
【氏名又は名称】エスケイシー・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SKC CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】102, Jeongja-ro, Jangan-gu Suwon-si Gyeonggi-do 16338 (KR)
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】キム、テキョン
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ジョンハク
(72)【発明者】
【氏名】キム、ナヨン
(72)【発明者】
【氏名】イ、スンファン
【審査官】古河 雅輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-267077(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0178800(US,A1)
【文献】特開2009-027025(JP,A)
【文献】特開2013-017254(JP,A)
【文献】特開2014-220953(JP,A)
【文献】特表2018-536983(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0010868(KR,A)
【文献】国際公開第2012/081424(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/073305(WO,A1)
【文献】特開2019-030089(JP,A)
【文献】特表2018-533198(JP,A)
【文献】特開2018-102124(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00-13/00
B60L 15/00-58/40
B60M 1/00- 7/00
H01F 38/14
H01F 38/18
H02J 7/00- 7/12
H02J 7/34- 7/36
H02J 50/00-50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイル部と、
前記コイル部上に配置されるシールド部と、
前記コイル部と前記シールド部との間に配置される第1磁性部および第2磁性部を含む磁性部とを含み、
前記第2磁性部が前記第1磁性部上に配置され、
前記第2磁性部は、前記第1磁性部に対して85kHzにおいて高い透磁率を有し、
前記第2磁性部は、前記第1磁性部に対して0.1W/m・K~6W/m・Kさらに高い熱伝導率を有する、無線充電装置。
【請求項2】
前記コイル部に外部から無線電力を受信されるとき、前記第1磁性部よりも前記第2磁性部においてより多い熱が発生する、請求項1に記載の無線充電装置。
【請求項3】
前記コイル部に85kHzの周波数および6.6kWの出力を有する無線電力が10分間受信されるとき、
前記第1磁性部の下面の温度(T110)が前記第2磁性部の上面の温度(T210)よりも1℃以上低い、請求項2に記載の無線充電装置。
【請求項4】
前記コイル部に85kHzの周波数および6.6kWの出力を有する無線電力が60分間受信されるとき、
前記第1磁性部の下面の温度(T160)と前記第2磁性部の上面の温度(T260)との差が1℃~15℃である、請求項3に記載の無線充電装置。
【請求項5】
前記T160が前記T110に比べて50℃~100℃さらに高く、
前記T260が前記T210に比べて50℃~100℃さらに高い、請求項4に記載の無線充電装置。
【請求項6】
前記無線充電装置が、
前記シールド部と前記磁性部との間に配置される放熱部をさらに含み、
前記第1磁性部が、
前記コイル部が配置される部分に対応する外郭部と、
前記外郭部によって囲まれる中心部とを含み、
前記外郭部の厚さが前記中心部の厚さよりも大きい、請求項1に記載の無線充電装置。
【請求項7】
前記放熱部が、バインダー樹脂と、前記バインダー樹脂内に分散された放熱フィラーとを含み、
前記放熱部が、前記磁性部と前記シールド部とを接着する、請求項6に記載の無線充電装置。
【請求項8】
前記第1磁性部が、85kHzの周波数において5~300の透磁率を有し、
前記第2磁性部が、85kHzの周波数において1000~5000の透磁率を有する、請求項6に記載の無線充電装置。
【請求項9】
前記第2磁性部および前記放熱部が、前記第1磁性部の外郭部上に配置される、請求項6に記載の無線充電装置。
【請求項10】
前記放熱部が、前記第2磁性部と前記シールド部とに同時に接触する、請求項6に記載の無線充電装置。
【請求項11】
前記第2磁性部が前記シールド部と熱的に連結される、請求項1に記載の無線充電装置。
【請求項12】
前記第1磁性部と前記第2磁性部とは互いに離隔され、
前記第1磁性部と前記第2磁性部との間の最短距離は1mm~20mmである、請求項11に記載の無線充電装置。
【請求項13】
前記無線充電装置が、前記第1磁性部と前記第2磁性部との間に配置されるトレイをさらに含み、
前記トレイは、前記第2磁性部を収容する安着溝を備え、
前記トレイは、前記シールド部の下部に固定される、請求項11に記載の無線充電装置。
【請求項14】
無線充電装置を含む移動手段であって、
前記無線充電装置が、
コイル部と、
前記コイル部上に配置されるシールド部と、
前記コイル部と前記シールド部との間に配置される第1磁性部および第2磁性部を含む磁性部とを含み、
前記第2磁性部が前記第1磁性部上に配置され、
前記第2磁性部は、前記第1磁性部に対して85kHzにおいて高い透磁率を有し、
前記第2磁性部は、前記第1磁性部に対して0.1W/m・K~6W/m・Kさらに高い熱伝導率を有する、移動手段。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実現例は、無線充電装置およびそれを含む移動手段に関するものである。より具体的に、実現例は、放熱構造を適用して充電効率の向上した無線充電装置およびそれを含む移動手段に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、情報通信分野は極めて速い速度で発展しており、電気、電子、通信、半導体などが総合的に組み合わされた多様な技術が持続的に開発される。また、電子機器のモバイル化傾向が増大するにつれ、通信分野においても無線通信および無線電力伝送技術に関する研究が盛んに行われている。特に、電子機器などに無線で電力を伝送する方案に関する研究が活発に進んでいる。
【0003】
前記無線電力伝送は、電力を供給する送信機と、電力供給を受ける受信機との間に物理的な接触なく磁気結合(inductive coupling)、容量結合(capacitive coupling)またはアンテナなどの電磁場共振構造を利用して、空間を介して電力を無線で伝送するものである。前記無線電力伝送は、大容量のバッテリーが求められる携帯用通信機器、電気自動車などに適しており、接点が露出されないため漏電などの危険がほとんどなく、有線方式の充電不良現象を防ぐことができる。
【0004】
一方、最近では電気自動車への関心が急増するにつれ、充電インフラ構築に対する関心が増大している。すでに、家庭用充電器を利用した電気自動車充電をはじめ、バッテリー交換、急速充電装置、無線充電装置などと、多様な充電方式が登場しており、新しい充電事業ビジネスモデルも登場し始めている(特許文献1参照)。また、欧州では試験運行中の電気自動車と充電所が目立ち始め、日本では自動車メーカーと電力会社が主導して電気自動車および充電所を試験的に運営している。
【0005】
電気自動車等に用いられる従来の無線充電装置は、無線充電効率向上のためにコイルに隣接して磁性体が配置され、遮蔽のための金属板が磁性体と一定間隔で離隔して配置される。
【0006】
無線充電装置は、無線充電動作中にコイルの抵抗と磁性体の磁気損失によって熱を発生する。特に、無線充電装置内の磁性体は、電磁波エネルギー密度の高いコイルに近い部分で熱を発生し、発生した熱は磁性体の磁気特性を変化させ、送信機と受信機間のインピーダンス不整合を引き起こして充電効率が低下し、これによって再び発熱現象が高じると言う問題があった。しかし、このような無線充電装置は、電気自動車の下部等に設置されるため、防塵や防水および衝撃吸収のために密閉構造を採用するので、放熱構造を実現することが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】韓国公開特許第2011-0042403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の無線充電装置において、磁性体として主に焼結フェライトシートをコイルと金属板との間、特にコイルに近い一面上に配置しているが、焼結フェライトシートは比重が大きいため、コイルと金属板との距離が近くなると(例えば10mm未満)、効率が急激に低下する問題がある。
【0009】
そこで、コイルと金属板との間の距離を維持し、焼結フェライトシートを安定して固定するためにスペーサのような別途の構造物が必要であり、これにより組立工程のコストが増加するという問題がある。また、充填中にコイルと焼結フェライトシートで熱が発生するが、特に、焼結フェライトシートで発生する熱は、熱伝導特性の低い空気またはスペーサへの伝達および放熱が難しい。これにより、温度が上昇した焼結フェライトシートは磁気特性が低下し、それによるコイルのインダクタンス値を変化させ充電効率を低下させ、さらに激しい発熱を誘発する。
【0010】
これを解決するために、磁性体を十分に厚くしてコイルと金属板との間の空きスペースを全て埋めれば放熱特性を改善し得るが、比重の大きい磁性体により重量全体が増加して自動車の軽量化に問題となり得、製造コストも大きく増大する。また、磁性体と金属板との間の空きスペースを放熱材料ですべて充填する方法も考えられているが、そうすると、放熱材料の導電性または絶縁性に起因して充電効率が低下し、製造コストが上昇し、または磁性体と金属板との間の空きスペースの一部のみを放熱材料で充填すると、放熱性能が不十分となる。
【0011】
そこで、本発明者らが研究した結果、電気自動車等の無線充電に適用される周波数において互いに異なる透磁率を有する2種以上の磁性体を組み合わせたハイブリッド(hybrid)型磁性体を無線充電装置に導入することにより、充電効率と放熱特性および耐久性を向上させ得ることを見出した。
【0012】
したがって、実現例の課題は、磁性特性の異なる2種以上の磁性体を導入して、充電効率と放熱特性および耐久性が改善した無線充電装置、およびそれを含む移動手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一実現例によると、コイル部と、前記コイル部上に配置されるシールド部と、前記コイル部と前記シールド部との間に配置される第1磁性部および第2磁性部を含む磁性部とを含み、前記第2磁性部は、前記第1磁性部に対して85kHzにおいて高い透磁率を有する、無線充電装置が提供される。
【0014】
他の実現例によると、無線充電装置を含む移動手段であって、前記無線充電装置がコイル部と、前記コイル部上に配置されるシールド部と、前記コイル部と前記シールド部との間に配置される第1磁性部および第2磁性部を含む磁性部とを含み、前記第2磁性部は前記第1磁性部に対して85kHzにおいて高い透磁率を有する、移動手段が提供される。
【発明の効果】
【0015】
前記実現例による無線充電装置は、電気自動車等の無線充電に適用される周波数において互いに異なる透磁率を有する2種の磁性部を含むことにより、充電効率と放熱特性および耐久性が向上され得る。
【0016】
具体的に、前記2種の磁性部は、透磁率のような磁性特性の面で差を有するが、1つ以上の磁性部がある場合には透磁率の大きさ順に磁束密度が大きくなるので、これらを組み合わせて無線充電時に集束される磁束を所望の方向に配分することができる。また、無線充電時に磁性部に集束された磁束の量と透磁損失に比例する大きさで熱が発生するので、2種の磁性部を適切な間隔で離隔配置することにより、熱をシールド部に効率よく伝達して外部に放出させることができ、また、車両走行中に加えられ得る外部の衝撃や歪みによって破損することを抑制することができる。
【0017】
したがって、前記無線充電装置は、送信機と受信機との間の大容量の電力伝送を必要とする電気自動車のような移動手段などに有用に使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1A図1Aは、一実現例による無線充電装置の分解斜視図を示すものである。
図1B図1Bは、他の実現例による無線充電装置の分解斜視図を示すものである。
図2A図2Aは、一実現例による無線充電装置の斜視図を示すものである。
図2B図2Bは、他の実現例による無線充電装置の斜視図を示すものである。
図3A図3Aは、一実現例による無線充電装置の断面図を示すものである。
図3B図3Bは、他の実現例による無線充電装置の断面図を示すものである。
図3C図3Cは、また他の実現例による無線充電装置の断面図を示すものである。
図3D図3Dは、また他の実現例による無線充電装置の断面図を示すものである。
図4図4は、また他の実現例による無線充電装置の分解斜視図を示すものである。
図5A図5Aは、また他の実現例による無線充電装置の断面図を示すものである。
図5B図5Bは、また他の実現例による無線充電装置の断面図を示すものである。
図5C図5Cは、また他の実現例による無線充電装置の断面図を示すものである。
図6図6は、また他の実現例による無線充電装置の分解斜視図を示すものである。
図7図7は、また他の実現例による無線充電装置の斜視図を示すものである。
図8A図8Aは、また他の実現例による無線充電装置の断面図を示すものである。
図8B図8Bは、また他の実現例による無線充電装置の断面図を示すものである。
図9A図9Aは、また他の実現例による無線充電装置の断面図を示すものである。
図9B図9Bは、また他の実現例による無線充電装置の断面図を示すものである。
図10図10は、モールドにより磁性部を成形する工程の一例を示すものである。
図11図11は、無線充電装置が受信機として適用された電気自動車を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の実現例の説明において、1つの構成要素が他の構成要素の上または下に形成されると記載されることは、1つの構成要素が他の構成要素の上または下に直接、またはさらに他の構成要素を介して間接的に形成されるものの全てを含む。
【0020】
また、各構成要素の上/下に関する基準は図面を基準にして説明する。図面における各構成要素の大きさは説明のために誇張されることがあり、実際に適用される大きさとは異なり得る。
【0021】
本明細書において、ある構成要素を「含む」ということは、特に反する記載がない限り、その他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0022】
また、本明細書に記載された構成要素の物性値、寸法などを示す全ての数値範囲は、特に記載がない限り、全ての場合において「約」という用語で修飾されるものと理解すべきである。
【0023】
本明細書において単数表現は、特に説明がなければ文脈上解釈される単数または複数を含む意味として解釈されるべきである。
【0024】
[無線充電装置]
一実現例による無線充電装置は、コイル部と、前記コイル部上に配置されるシールド部と、前記コイル部と前記シールド部との間に配置される第1磁性部および第2磁性部を含む磁性部とを含み、前記第2磁性部は前記第1磁性部に対して85kHzにおいて高い透磁率を有する。
【0025】
前記実現例による無線充電装置は、電気自動車等の無線充電に適用される周波数において互いに異なる透磁率を有する2種の磁性部を含むことにより、充電効率と放熱特性および耐久性が向上され得る。
【0026】
一方、ハイブリッド型の磁性部として2種以上を組み合わせて使用しながら、これらの磁性部を特に考慮することなく単に積層して配置すると、無線充電中に磁束が適切に配分されないため、発生する熱の外部への伝達が効果的ではなく、さらに、車両の走行中に加えられ得る外部の衝撃によって容易に破損され得る。
【0027】
これを解決するために、前記磁性部のうち第1磁性部に対して無線充電時により大きい発熱量を有する第2磁性部をシールド部の近くに配置し得る。例えば、前記第2磁性部が前記第1磁性部上に配置され、外部から無線電力が前記コイル部に受信されるとき、前記第1磁性部よりも前記第2磁性部においてより多い熱が発生し得る。
【0028】
図1Aおよび図1Bを参照すると、前記実現例による無線充電装置10は、コイル部200と、前記コイル部200上に配置される第1磁性部300と、前記第1磁性部300上に配置される第2磁性部500と、前記第2磁性部500上に配置されるシールド部400とを含み、前記コイル部200に外部から無線電力が受信されるとき、前記第1磁性部300よりも前記第2磁性部500においてより多い熱が発生し得る。
【0029】
前記実現例によると、無線充電時に互いに発熱量の異なる2種以上の磁性部を使用するが、これらの特性を考慮して配置することにより、無線充電時に発生する発熱を減少することができ、充電効率をさらに向上させ得る。具体的に、前記磁性部のうち、第1磁性部に対して無線充電時により大きい発熱量を有する第2磁性部をシールド部の近くに配置することにより、磁束密度と熱の放出を効率よく分配して、無線充電効率を高めながら、前記第2磁性部で発生する熱を、シールド部を介して放出させ、放熱特性を効率よく向上させ得る。
【0030】
また、前記無線充電装置に用いられる磁性部に立体構造を適用し、磁性特性の異なる追加の磁性部とともに放熱部を適切に活用することにより、充電効率および放熱特性を向上させ得る。例えば、前記無線充電装置は、前記シールド部と前記磁性部との間に配置される放熱部をさらに含み、前記第1磁性部が前記コイル部の配置される部分に対応する外郭部と、前記外郭部によって囲まれる中心部とを含み、前記外郭部の厚さが前記中心部の厚さよりも大きくて良い。
【0031】
図4を参照すると、前記実現例による無線充電装置10は、導電性ワイヤを含むコイル部200と、前記コイル部200上に配置されるシールド部400と、前記コイル部200と前記シールド部400との間に配置され第1磁性部300および第2磁性部500を含む磁性部と、前記シールド部400と前記第2磁性部500との間に配置される放熱部700とを含み、前記第1磁性部300が前記コイル部200の配置される部分に対応する外郭部310と、前記外郭部によって囲まれる中心部320とを含み、前記外郭部310の厚さが前記中央部320の厚さよりも大きく、前記第2磁性部500は、前記第1磁性部300に対して85kHzの周波数において高い透磁率を有し得る。
【0032】
前記実現例によると、無線充電装置に用いられる磁性部に立体構造を適用し、2種の磁性部を備えることにより、充電効率および放熱特性がともに向上し得る。具体的に、前記実現例によると、無線充電中に電磁エネルギーが集中するコイル部近傍の磁性部の厚さを厚くし、相対的に電磁エネルギー密度の低い中心の磁性部の厚さを下げることにより、無線充電効率を高めながら磁性部で発生する熱を下げられる。また、前記第1磁性部に比べ透磁率の高い前記第2磁性部の導入によって、磁束密度と放熱を効率よく配分して無線充電効率を高めながら、前記第2磁性部で発生する熱をシールド部を介して外部に放出させ、放熱特性も向上させ得る。さらに、前記放熱部は、前記磁性部の熱が前記シールド部に容易に伝達され得るようにしながら、外部の衝撃から前記磁性部が破壊されることを防止し得る。
【0033】
また、前記第1磁性部および前記第2磁性部を特性に合わせてシールド部との距離を調整して配置することにより、磁束の配分によって無線充電中に発生する熱を効率よく分散させながら、外部の衝撃や歪み等に対する耐久性を向上させ得る。具体的に、前記第2磁性部が前記第1磁性部上に配置され(すなわち、前記第1磁性部と前記シールド部との間に配置され)、前記第2磁性部が前記シールド部と熱的に連結され得る。
【0034】
図6図7、および図8A図9Bを参照すると、前記実現例による無線充電装置10は、コイル部200と、前記コイル部200上に配置される第1磁性部300と、前記第1磁性部300上に配置され、前記第1磁性部300よりも高い透磁率を有する第2磁性部500と、前記コイル部200上に配置されるシールド部400とを含み、前記第2磁性部500は前記シールド部400と熱的に連結され得る。
【0035】
前記実現例によると、2種の磁性部を含むが、透磁率のより高い磁性部をシールド部に隣接して配置することにより、磁束の配分によって無線充電中に発生する熱を効率よく分散させ得る。また、2種の磁性部の素材を調整して、外部の衝撃や歪み等に対する耐久性を向上させ得る。具体的に、前記2種の磁性部は透磁率のような磁性特性の面において差を有するが、1つ以上の磁性部がある場合には透磁率の大きさ順に磁束密度が大きくなるので、これらを組み合わせて無線充電時に集束される磁束を所望の方向に配分し得る。また、無線充電時に磁性部に集束された磁束の量と透磁損失とに比例する大きさで熱が発生するので、2種の磁性部を適切な間隔で離隔配置することにより、熱をシールド部に効率よく伝達して外部に放出させることができ、また、車両走行中に加えられ得る外部の衝撃や歪みによって破損することを抑制し得る。
【0036】
以下、前記無線充電装置の各構成要素別に具体的に説明する。
【0037】
<コイル部>
前記コイル部は、導電性ワイヤを含み得る。
【0038】
前記導電性ワイヤは導電性物質を含む。例えば、前記導電性ワイヤは導電性金属を含み得る。具体的に、前記導電性ワイヤは、銅、ニッケル、金、銀、亜鉛、および錫からなる群より選択される1種以上の金属を含み得る。
【0039】
また、前記導電性ワイヤは絶縁性外皮を備え得る。例えば、前記絶縁性外皮は絶縁性高分子樹脂を含み得る。具体的に、前記絶縁性外皮は、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂、テフロン樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂などを含み得る。
【0040】
前記導電性ワイヤの直径は、例えば、1mm~10mmの範囲、1mm~5mmの範囲、または1mm~3mmの範囲であり得る。
【0041】
前記導電性ワイヤは、平面コイル状で巻き付けられ得る。具体的に、前記平面コイルは、平面螺旋コイル(planar spiral coil)を含み得る。また、前記コイルの平面形状は、円形、楕円形、多角形、または角の丸い多角形の形状であり得るが、特に限定されない。
【0042】
前記平面コイルの外径は、5cm~100cm、10cm~50cm、10cm~30cm、20cm~80cm、または50cm~100cmであり得る。具体的な一例として、前記平面コイルは、10cm~50cmの外径を有し得る。
【0043】
また、前記平面コイルの内径は、0.5cm~30cm、1cm~20cm、または2cm~15cmであり得る。
【0044】
前記平面コイルの巻回数は、5回~50回、10回~30回、5回~30回、15回~50回、または20回~50回であり得る。具体的な一例として、前記平面コイルは、前記導電性ワイヤを10回~30回巻いて形成されたものであり得る。
【0045】
また、前記平面コイル形状内において、前記導電性ワイヤ間の間隔は、0.1cm~1cm、0.1cm~0.5cm、または0.5cm~1cmであり得る。
【0046】
前記のような好ましい平面コイル寸法および仕様範囲内のとき、電気自動車のような大容量電力伝送を必要とする分野に好適であり得る。
【0047】
前記コイル部は、前記第1磁性部と一定間隔で離隔して配置され得る。例えば、前記コイル部と前記第1磁性部との離隔距離は、0.2mm以上、0.5mm以上、0.2mm~3mm、または0.5mm~1.5mmであり得る。
【0048】
<シールド部>
前記シールド部は、前記コイル部および前記磁性部上に配置される。
【0049】
前記シールド部は、電磁波遮蔽により外部に電磁波が漏れて発生し得る電磁干渉(EMI、electromagnetic interference)を抑制する。
【0050】
前記シールド部は、前記コイル部と一定間隔で離隔して配置され得る。例えば、前記シールド部と前記コイル部との離隔距離は、10mm以上または15mm以上であり、具体的に10mm~30mm、または10mm~20mmであり得る。
【0051】
また、シールド部は、前記第1磁性部と一定間隔で離隔して配置され得る。例えば、前記シールド部と前記第1磁性部との離隔距離は、3mm以上、5mm以上、3mm~10mm、または4mm~7mmであり得る。
【0052】
前記シールド部の素材は、例えば金属であっても良く、これにより前記シールド部は金属板であり得るが、特に限定されない。具体的な一例として、前記シールド部の素材はアルミニウムであり、その他電磁波遮蔽能を有する金属または合金素材が使用され得る。
【0053】
前記シールド部の厚さは、0.2mm~10mm、0.5mm~5mm、または1mm~3mmであり得る。また、前記シールド部の面積は、200cm以上、400cm以上、または600cm以上であり得る。
【0054】
<磁性部>
前記実現例による無線充電装置は、第1磁性部と、前記第1磁性部よりもさらに高い透磁率を有する第2磁性部とを含む。
【0055】
このように、前記第2磁性部として磁気集束力の強い素材を用いることにより、磁気集束力が弱いため充電効率低下の発生を引き起こし得る第1磁性部の欠点を補うことができる。もし、前記第2磁性部を含まず、前記第1磁性部のみを使用すると、耐衝撃性および重量減少等の効果があり得るが、磁気集束力が弱いため、充電効率低下を生じ得る。一方、前記第2磁性部は、磁気集束力は強いが、平板大型化加工が難しく、自動車用厚膜状で製造および加工する際に制約があり得る。したがって、耐衝撃性が高く、重量減少効果のある第1磁性部とともに磁気集束力の強い第2磁性部を用いることにより、無線充電装置の性能を効率良く向上させ得る。
【0056】
例えば、前記無線充電装置は、前記コイル部上に配置される第1磁性部と、前記第1磁性部上に配置され、前記第1磁性部よりもさらに高い透磁率を有する第2磁性部とを含み得る。また、前記第1磁性部および前記第2磁性部は、前記コイル部と前記シールド部との間に配置され得る。
【0057】
具体的な一例によると、前記第1磁性部はバインダー樹脂および前記バインダー樹脂内に分散した磁性粉末を含み、前記第2磁性部はフェライト系磁性体を含み得る。
【0058】
前記第1磁性部および前記第2磁性部は、電気自動車の無線充電標準周波数近傍で一定範囲の磁性特性を有し得る。前記電気自動車の無線充電標準周波数は100kHz未満であり、例えば、79kHz~90kHz、具体的に81kHz~90kHz、より具体的に約85kHzであり得るが、これは携帯電話のようなモバイル電子機器に適用する周波数とは区別される帯域である。
【0059】
特に、前記第1磁性部および第2磁性部は、これらを構成する成分によって透磁率や透磁損失のような磁性特性の面において差を有する。その結果、前記2種の磁性部を組み合わせて、磁束の配分により無線充電中に発生する熱を効率よく分散させ得る。
【0060】
例えば、前記第2磁性部が85kHzにおいて前記第1磁性部に対して高い透磁率を有し得る。また、前記第2磁性部が85kHzにおいて前記第1磁性部に対して高い透磁損失を有し得る。
【0061】
具体的に、前記第2磁性部と前記第1磁性部との間の85kHzにおける透磁率の差は、100以上、500以上、または1000以上であり、具体的に100~5000、500~4000、または1000~3000であり得る。また、前記第2磁性部と前記第1磁性部との間の85kHzにおける透磁損失の差は、10以上、50以上、または100以上であり、具体的に10~300、50~250、または100~200であり得る。
【0062】
具体的に、前記第1磁性部が85kHzの周波数において5~300の透磁率を有し、前記第2磁性部が85kHzの周波数において1000~5000の透磁率を有し得る。より具体的に、前記第1磁性部が85kHzにおいて5~300の透磁率および0~30の透磁損失を有し、前記第2磁性部が85kHzにおいて1000~5000の透磁率および0~300の透磁損失を有し得る。
【0063】
無線充電時に磁束密度はコイル部に近接するほど高いが、磁性部がコイル部の周囲にある場合に磁性部に磁束が集束し、2つ以上の磁性部がある場合には磁性部の透磁率の大きい順に磁束密度が大きくなる。したがって、第1磁性部に対して高い透磁率を有する第2磁性部を適切に配置すれば、磁束を効率よく配分し得る。
【0064】
また、無線充電時に磁性部に集束された磁束の量と透磁損失に比例する大きさで熱が発生するので、前記2種の磁性部は無線充電時の発熱量の面においても差を有することとなる。例えば、電力送信または受信などの無線充電の際、具体的に前記コイル部に外部から無線電力が受信されるとき、前記第2磁性部の発熱量は、前記第1磁性部の発熱量よりも大きくてよい。
【0065】
このように、前記2種の磁性部は、互いに異なる磁性特性と発熱量とを有するため、これらを配置して組み合わせる方式に応じて、透磁率の大きさ順に磁束密度が大きくなる傾向を利用して、無線充電時に集束する磁束を所望の方向に配分することができ、また、磁束の量と透磁損失の大きさに比例して発熱量が増加する傾向を利用して、効率よく熱を外部に放出させ得る。
【0066】
図1Aおよび図1Bを参照すると、前記第1磁性部300が前記第2磁性部500に対して前記コイル部200の近くに配置され、前記第2磁性部500が前記第1磁性部300に対して前記シールド部400の近くに配置され得る。この際、前記第2磁性部は、前記シールド部と熱的に連結され得る。それにより、前記第2磁性部で発生する多量の熱が、前記シールド部を介して外部に容易に排出され得る。
【0067】
さらに、前記2種の磁性部の磁性特性と物理的特性とを考慮して各磁性部別に使用される量(体積)を調整することにより、充電効率を阻害することなく耐衝撃性を向上させ、製造コストも低減し得る。例えば、前記第1磁性部の体積が前記第2磁性部の体積よりも大きくて良い。
【0068】
以下、各磁性部別に組成および特性を具体的に説明する。
【0069】
<第1磁性部>
前記第1磁性部は、バインダー樹脂および前記バインダー樹脂内に分散された磁性粉末を含み得る。
【0070】
例えば、前記第1磁性部は、高分子型磁性体、または高分子型磁性ブロック(PMB)であり得る。
【0071】
前記第1磁性部は、バインダー樹脂によって磁性粉末が互いに結合されることにより、広い面積において全体的に欠陥が少ないとともに衝撃による損傷が少ない。
【0072】
前記磁性粉末は、酸化物系磁性粉末、金属系磁性粉末、またはこれらの混合粉末であり得る。例えば、前記酸化物系磁性粉末は、フェライト系粉末、具体的にNi-Zn系、Mg-Zn系、Mn-Zn系フェライト粉末であり得る。また、前記金属系磁性粉末は、Fe-Si-Al合金磁性粉末、またはNi-Fe合金磁性粉末であり得る。より具体的には、サンダスト(sendust)粉末、またはパーマロイ(permalloy)粉末であり得る。
【0073】
一例として、前記磁性粉末は、下記化学式1の組成を有し得る。
[化1]
Fe1-a-b-cSi
前記式において、XはAl、Cr、Ni、Cu、またはこれらの組み合わせであり、YはMn、B、Co、Mo、またはこれらの組み合わせであり、0.01≦a≦0.2、0.01≦b≦0.1、および0≦c≦0.05である。
【0074】
また、前記磁性粉末は、ナノ結晶性(nanocrystalline)磁性粉末であってよく、例えば、Fe系ナノ結晶性磁性粉末であってよく、具体的に、Fe-Si-Al系ナノ結晶性磁性粉末、Fe-Si-Cr系ナノ結晶性磁性粉末、またはFe-Si-B-Cu-Nb系ナノ結晶性磁性粉末であり得る。
【0075】
前記磁性粉末の平均粒径は、約3nm~約1mm、約1μm~300μm、約1μm~50μm、または約1μm~10μmの範囲であり得る。
【0076】
前記第1磁性部は、前記磁性粉末を10重量%以上、50重量%以上、70重量%以上、または85重量%以上の量で含み得る。
【0077】
例えば、前記第1磁性部は、前記磁性粉末を10重量%~99重量%、10重量%~95重量%、50重量%~95重量%、50重量%~92重量%、70重量%~95重量%、80重量%~95重量%、または80重量%~90重量%の量で含み得る。
【0078】
前記バインダー樹脂として、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリフェニルスルフィド(PSS)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0079】
例えば、前記バインダー樹脂は硬化性樹脂であり得る。具体的に、前記バインダー樹脂は、光硬化性樹脂および/または熱硬化性樹脂であり、特に、硬化して接着性を示し得る樹脂であり得る。より具体的に、前記バインダー樹脂は、グリシジル基、イソシアネート基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、またはアミド基などのような、熱による硬化が可能な官能基または部位を1つ以上含むか、または、エポキシド(epoxide)基、環状エーテル(cyclic ether)基、スルフィド(sulfide)基、アセタール(acetal)基、またはラクトン(lactone)基などのような、活性エネルギーによって硬化可能な官能基または部位を1つ以上含む樹脂を使用し得る。このような官能基または部位は、例えばイソシアネート基(-NCO)、ヒドロキシ基(-OH)、またはカルボキシル基(-COOH)であり得る。
【0080】
前記第1磁性部は、前記バインダー樹脂を5重量%~40重量%、5重量%~20重量%、5重量%~15重量%、または7重量%~15重量%の量で含有し得る。
【0081】
また、前記第1磁性部は、その重量を基準に、前記バインダー樹脂として、6重量%~12重量%のポリウレタン系樹脂、0.5重量%~2重量%のイソシアネート系硬化剤、および0.3重量%~1.5重量%のエポキシ系樹脂を含み得る。
【0082】
<第1磁性部の特性>
前記第1磁性部は、電気自動車の無線充電標準周波数近傍で一定範囲の磁性特性を有し得る。
【0083】
前記第1磁性部の85kHzの周波数において、透磁率は素材によって異なることがあり、広くは5~150000であり、具体的な素材によって5~300、500~3500、または10000~150000であり得る。また、前記第1磁性部の85kHzの周波数において、透磁損失は素材によって異なることがあり、広くは0~50000であり、具体的な素材によって0~1000、1~100、100~1000、または5000~50000であり得る。
【0084】
具体的な例として、前記第1磁性部が磁性粉末およびバインダー樹脂を含む高分子型磁性体の場合、85kHzの周波数における透磁率は5~500、5~130、15~80、または10~50であり、透磁損失は0~50、0~20、0~15、または0~5であり得る。
【0085】
また、前記第1磁性部は一定の比で伸長され得る。例えば、前記第1磁性部の伸び率は0.5%以上であり得る。前記伸長特性は、高分子を適用しないセラミック系磁性体では得られ難いものであり、大面積の磁性部が衝撃により歪み等が発生しても損傷を減らし得る。具体的に、前記第1磁性部の伸び率は、0.5%以上、1%以上、または2.5%以上であり得る。前記伸び率の上限には特に制限はないが、伸び率向上のために高分子樹脂の含有量が多くなると、磁性部のインダクタンス等の特性が低下し得るので、前記伸び率は10%以内であることが好ましい。
【0086】
前記第1磁性部は、衝撃前後の特性変化率が少なく、一般的なフェライト磁性シートに比べて格段に優れる。本明細書において、ある特性の衝撃前後の特性変化率(%)は、次の式により算出し得る。特性変化率(%)=|衝撃前特性値-衝撃後特性値|/衝撃前特性値×100
【0087】
例えば、前記第1磁性部は、1mの高さから自由落下させて印加した衝撃前後のインダクタンス変化率が5%未満、または3%以下であり得る。より具体的に、前記インダクタンス変化率は、0%~3%、0.001%~2%、または0.01%~1.5%であり得る。前記範囲内であるとき、衝撃前後のインダクタンス変化率が相対的に少ないので、磁性部の安定性がより向上し得る。
【0088】
また、前記第1磁性部は、1mの高さから自由落下させて印加した衝撃前後の品質係数(Qファクタ;Ls/Rs)変化率が、0~5%、0.001%~4%、または0.01%~2.5%であり得る。前記範囲内であるとき、衝撃前後の特性変化が少ないので、磁性部の安定性と耐衝撃性とがより向上し得る。
【0089】
また、前記第1磁性部は、1mの高さから自由落下させて印加した衝撃前後の抵抗変化率が、0~2.8%、0.001%~1.8%、または0.1%~1.0%であり得る。前記範囲内であるとき、実際の衝撃と振動が加わる環境において繰り返し適用しても、抵抗値が一定レベル以下に良好に維持され得る。
【0090】
また、前記第1磁性部は、1mの高さから自由落下させて印加した衝撃前後の充電効率変化率が、0~6.8%、0.001%~5.8%、または0.01%~3.4%であり得る。前記範囲内であるとき、大面積の磁性部が衝撃や歪みが繰り返し発生しても特性をより安定して維持し得る。
【0091】
<第1磁性部の構造的特徴>
前記第1磁性部は、立体構造を有することにより、充電効率および放熱特性をより向上させ得る。図3Bおよび図3Dを参照すると、前記第1磁性部300は、前記コイル部200が配置される部分に対応する外郭部310と、前記外郭部310によって囲まれる中心部320とを含み、前記外郭部310の厚さが前記中央部320の厚さよりも大きくてよい。すなわち、前記第1磁性部の外郭部は、前記コイル部において導電性ワイヤの密度が高い部分に対応して位置し、前記第1磁性部の中心部は、前記コイル部において導電性ワイヤの密度が低い部分に対応して位置し得る。この際、前記第1磁性部において外郭部と中心部とは互いに一体型で形成され得る。
【0092】
このように、無線充電中に電磁エネルギーが集中するコイル近傍の磁性部の厚さを厚くし、コイルがないため相対的に電磁エネルギー密度の低い中心部における磁性部の厚さを下げることにより、コイル周辺に集中する電磁波を効率よく集束させ、充電効率を向上させるだけでなく、別途のスペーサがなくとも堅固にとコイル部とシールド部との距離を維持し得るので、スペーサ等の使用に伴う材料費および工程費を低減し得る。
【0093】
前記第1磁性部において、前記外郭部が前記中央部に比べて1.5倍以上厚い厚さを有し得る。前記厚さ比であるとき、コイル周辺に集中する電磁波をより効果的に集束して充電効率を向上させることができ、発熱および軽量化にも有利である。具体的に、前記第1磁性部における外郭部/中心部の厚さ比は、2以上、3以上、または5以上であり得る。また、前記厚さ比は、100以下、50以下、30以下、または10以下であり得る。より具体的に、前記厚さ比は、1.5~100、2~50、3~30、または5~10であり得る。
【0094】
前記第1磁性部の外郭部の厚さは、1mm以上、3mm以上、または5mm以上であり、また30mm以下、20mm以下、または11mm以下であり得る。さらに、前記第1磁性部の中心部の厚さは、10mm以下、7mm以下、または5mm以下であり、また、0mmか0.1mm以上または1mm以上であり得る。具体的に、前記第1磁性部の外郭部が5mm~11mmの厚さを有し、前記中央部が0~5mmの厚さを有し得る。
【0095】
前記第1磁性部300の中心部320の厚さが0の場合、前記第1磁性部300は、中心部320に中空の形状を有し得る(例えばドーナツ形状)。この場合、前記第1磁性部は、より小さい面積でも充電効率を効果的に向上させ得る。
【0096】
または、前記第1磁性部は、立体構造ではなく平面構造を有し得る。すなわち、図3Aおよび図3Cを参照すると、前記第1磁性部300において前記外郭部310および前記中心部320の厚さが同一であり得る。
【0097】
<第2磁性部の組成および特性>
前記第2磁性部は、酸化物系磁性体、金属系磁性体、またはこれらの複合材料を含み得る。
【0098】
例えば、前記酸化物系磁性体はフェライト系磁性体であり、具体的な化学式はMOFe(ここで、MはMn、Zn、Cu、Niなどの1種以上の2価金属元素である)で表され得る。前記フェライト系磁性体は、焼結したものが透磁率のような磁性特性の点から有利である。このような焼結フェライト系磁性体は、原料成分を混合してか焼した後粉砕し、これをバインダー樹脂と混合して成形し焼成して、シート状またはブロック状に製造され得る。
【0099】
より具体的に、前記酸化物系磁性体は、Ni-Zn系、Mg-Zn系、またはMn-Zn系フェライトであり、特に、Mn-Zn系フェライトは、85kHzの周波数において室温~100℃以上の温度範囲にわたって高い透磁率、低い透磁損失、および高い飽和磁束密度を示し得る。
【0100】
前記Mn-Zn系フェライトは主成分として、Feを66mol%~70mol%、ZnOを10mol%~20mol%、MnOを8mol%~24mol%、およびNiOを0.4mol%~2mol%で含み、その他の副成分としてSiO、CaO、Nb、ZrO、SnOなどを含有し得る。前記Mn-Zn系フェライトは、主成分を所定のモル比で混合し、空気中で800℃~1100℃の温度で1時間~3時間のか焼後、副成分を添加して粉砕し、これにポリビニルアルコール(PVA)等のバインダー樹脂を適量混合して、プレスにより加圧成形した後、1200℃~1300℃まで昇温して2時間以上焼成することにより、シート状またはブロック状に製造され得る。その後、必要に応じてワイヤーソー(wire saw)やウォータージェット(water jet)などにより加工して、必要な大きさに切断される。
【0101】
また、前記金属系磁性体は、Fe-Si-Al合金磁性体、またはNi-Fe合金磁性体であってよく、より具体的にサンダスト(sendust)、またはパーマロイ(permalloy)であり得る。また、前記第2磁性部は、ナノ結晶性(nanocrystalline)磁性体を含んで良く、例えば、Fe系ナノ結晶性磁性体、具体的に、Fe-Si-Al系ナノ結晶性磁性体、Fe-Si-Cr系ナノ結晶性磁性体、またはFe-Si-B-Cu-Nb系ナノ結晶性磁性体を含み得る。前記第2磁性部としてナノ結晶性磁性体を適用する際、コイル部と距離が離れるほどコイルのインダクタンス(Ls)が低くなっても、抵抗(Rs)はさらに低くなることによりコイルの品質係数(Qファクタ:Ls/Rs)が高くなり、充電効率が向上し、発熱が減少し得る。
【0102】
前記第2磁性部は、前記第1磁性部とは異なる磁性体で構成され得る。具体的な一例として、前記第1磁性部がFe-Si-Al系合金磁性体を含み、前記第2磁性部がMn-Zn系フェライト、Fe-Si-Al系ナノ結晶性磁性体、Fe-Si-Cr系ナノ結晶性磁性体、およびFe-Si-B-Cu-Nb系ナノ結晶性磁性体からなる群より選択される1種以上を含み得る。これらの材料の組み合わせは、前記第2磁性部が前記第1磁性部に対して85kHzにおいて高い透磁率を有するのに有利である。
【0103】
前記第2磁性部は、電気自動車の無線充電標準周波数近傍で特定範囲の磁性特性を有し得る。
【0104】
例えば、前記第2磁性部の85kHzの周波数における透磁率は素材によって異なり、広くは5~150000であり、具体的な素材によって5~300、500~3500、または10000~150000であり得る。また、前記第2磁性部の85kHzの周波数における透磁損失は素材によって異なり、広くは0~50000であり、具体的な素材によって0~1000、1~100、100~1000、または5000~50000であり得る。
【0105】
具体的な一例として、前記第2磁性部がフェライト系磁性体の場合、前記第2磁性部の85kHzの周波数における透磁率は、1000~20000、1000~5000、または2000~4000であり、透磁損失は0~1000、0~100、または0~50であり得る。
【0106】
<第1磁性部および第2磁性部の面積および厚さ>
前記第1磁性部は大面積を有してよく、具体的に200cm以上、400cm以上、または600cm以上の面積を有し得る。また、前記第1磁性部は、10000cm以下の面積を有し得る。また、前記大面積の第1磁性部は、多数の磁性単位体が組み合わされて構成され、この際、前記磁性単位体の面積は、60cm以上、90cm以上、または95cm~900cmであり得る。
【0107】
または、前記第1磁性部は中心部に中空の形状を有してよく、この場合前記第1磁性部は外郭部の面積、すなわちコイル部に対応する面積を有し得る。
【0108】
前記第1磁性部は、モールドによる成形等の方法で製造された磁性ブロックであり得る。例えば、前記第1磁性部は、モールドにより立体構造で成形されたものであり得る。このような磁性シートは、磁性粉末とバインダー樹脂とを混合し、射出成形などによってモールドに注入して立体構造で成形され得る。
【0109】
具体的に、前記成形は射出成形により磁性部の原料をモールドに注入して行われ得る。より具体的に、前記磁性部は、磁性粉末と高分子樹脂組成物とを混合して原料組成物を得た後、図10に示すように、前記原料組成物301を射出成形機2によりモールド3に注入して製造され得る。この際、モールド3の内部形状を立体構造に設計して、磁性部の立体構造を容易に実現し得る。このような工程は、従来の焼結フェライトシートを磁性部として使用する場合には難しくなり得る。
【0110】
または、前記第1磁性部は磁性シートの積層体であってよく、例えば、磁性シートが20枚以上、または50枚以上積層されたものであり得る。
【0111】
具体的に、前記磁性シートの積層体は、第1磁性部の外郭部にのみ追加の磁性シートが1枚以上さらに積層されたものであり得る。この際、それぞれの磁性シートの厚さは80μm以上、または85μm~150μmであり得る。このような磁性シートは、磁性粉末とバインダー樹脂とを混合してスラリー化した後、シート状に成形して硬化するなどと、通常のシート化工程により製造され得る。
【0112】
前記第2磁性部は、シート状またはブロック状を有し得る。
前記第2磁性部の厚さは0.5mm~5mmであり、具体的に0.5mm~3mm、0.5mm~2mm、または1mm~2mmであり得る。前記第1磁性部の外郭部の厚さは、前記第2磁性部の厚さよりもさらに大きくてよい。例えば、前記外郭部の厚さが5mm~11mmであり、前記第2磁性部の厚さが0.5mm~3mmであり得る。
【0113】
一方、前記第2磁性部は、前記第1磁性部に対して厚さがより薄く、85kHzの周波数において透磁率がより高くて良い。このように、前記第1磁性部および第2磁性部の厚さ比および透磁率を最適化して設計した無線充電装置は、特に高電力において充電効率および発熱低減特性を最大化し得る。
【0114】
前記第1磁性部および第2磁性部の総厚さは、2.1mm~10mm、3.0mm~9mm、または4.0mm~8mmであり得る。前記第1磁性部および第2磁性部の総厚さが厚すぎると、磁性部の重量が増加し得るため、工程または使用に制約があり得る。
【0115】
前記第2磁性部は、前記第1磁性部と同じ面積を有するか、または異なる面積を有し得る。
【0116】
例えば、前記第2磁性部は、前記第1磁性部と同様に大面積を有し得る。具体的に、前記第2磁性部の面積は、200cm以上、400cm以上、または600cm以上であり得る。また、前記第2磁性部の面積は10000cm以下であり得る。また、前記大面積の第2磁性部は、多数の磁性単位体が組み合わされ構成されてよく、この際、前記磁性単位体の面積は、60cm以上、90cm以上、または95cm~900cmであり得る。
【0117】
または、前記第2磁性部は、前記第1磁性部より小さい面積を有し得る。例えば、前記第2磁性部が前記第1磁性部の外郭部上にのみ配置される場合、前記第2磁性部は前記外郭部の面積に対応する面積を有し得る。また、これにより、前記第2磁性部は前記コイル部に対応する位置に配置され、前記コイル部の面積に対応する面積を有し得る。この場合、前記第2磁性部は、小さい面積でも充電効率と放熱特性とを効果的に向上させ得る。
【0118】
<第1磁性部および第2磁性部の発熱>
前記磁性部は、コイル部の周囲に生成する磁場の磁気経路(magnetic path)を形成することができ、前記コイル部と前記シールド部との間に配置される。
【0119】
図1Aおよび図1Bを参照すると、前記無線充電装置10は、発熱量が互いに異なる第1磁性部300および第2磁性部500が組み合わされたハイブリッド(hybrid)型磁性部を含み得る。
【0120】
具体的に、前記第2磁性部500は、前記第1磁性部300上に配置されて良く、前記コイル部200に外部から無線電力が受信されるとき、前記第1磁性部300よりも前記第2磁性部500においてより多い熱が発生し得る。
【0121】
このように、前記第2磁性部500が前記第1磁性部300に対して無線充電時により大きい発熱量を有し、前記シールド部400のさらに近くに配置されることにより、磁束密度と熱の放出とを効率よく配分して無線充電効率を高めながら、前記第2磁性部500で発生する熱を、シールド部400を介して放出させ、放熱特性を効率良く向上させ得る。
【0122】
具体的に、前記コイル部に外部から無線電力が受信されるとき、前記磁性部が特定範囲の温度を有することにより、発熱低減効果を向上させ得る。
【0123】
図3A図3Dを参照すると、前記コイル部に85kHzの周波数および6.6kWの出力を有する無線電力が10分間受信されるとき、前記第1磁性部300の下面(P1)(すなわち、第1磁性部でコイル部に向かう面)の温度(T110)が、前記第2磁性部500の上面(P2)(すなわち、第2磁性部でシールド部に向かう面)の温度(T210)より1℃以上も低い。前記範囲を満足すると、充電効率および発熱低減特性を最大化し得る。
【0124】
具体的に、前記コイル部に無線電力が10分間受信されるとき、前記第1磁性部の下面の温度(T110)が前記第2磁性部の上面の温度(T210)よりも1℃~5℃さらに低く、例えば、1℃~4℃、1℃~3℃、または2℃~3℃さらに低い。
【0125】
もし、第1磁性部および第2磁性部のいずれか一方のみを使用するか、または第1磁性部および第2磁性部の配置を変更すると、前記T110が前記T210と同一となるか、またはより高くなり得る。この場合、高速充電および高電力無線充電時の発熱が増加するおそれがあり、無線充電装置の破損および電力変換回路の破壊可能性等の安全上の問題から使用性に制約を招いたり、充電効率が低下したりし得る。
【0126】
前記磁性部の表面温度測定は、米国の自動車技術者協会(Society of Automotive Engineers、SAE)で規定するSAE J2954 WPT2 Z2 class Standard TEST充電効率測定条件で行われ得る。前記規格は、電気自動車用磁気誘導方式を利用する無線電力伝送システムの容量台別性能、相互運用性、定格出力を出せる垂直および水平離隔距離基準、送受信機間通信方法、動作周波数、EMI(Electromagnetic Interface)/EMC(Electromagnetic Compatibility)、安定性のような様々な内容を含んでいる規格である。前記規格は、システムの性能だけでなく、容量台別送受信機の規格についても提示しているため、ほとんどの自動車メーカーは送受信機の製作の際、前記規格で提示する送受信機の構成およびサイズに従っている。
【0127】
具体的に、前記コイル部に85kHzの周波数および6.6kWの出力を有する無線電力が10分または60分間送信しながら、クアリトロール(Qualitrol)社のT/GUARD 405-SYSTEMを用いて、図3A図3Dのように第1磁性部の下面(P1)および第2磁性部の上面(P2)をそれぞれ測定する。この際、前記表面温度は、コイル部に対応する位置である外郭部において中間ポイントを基準に測定し得る。
【0128】
前記T110は、例えば、55℃~75℃、57℃~73℃、58℃~70℃、または58℃~67℃であり得る。
【0129】
また、前記T210は例えば、56℃~76℃、58℃~74℃、59℃~71℃、または60℃~70℃であり得る。
【0130】
また、前記コイル部に85kHzの周波数および6.6kWの出力を有する無線電力が60分間受信されるとき、前記第1磁性部の下面の温度(T160)および前記第2磁性部の上面の温度(T260)はそれぞれ100℃~180℃であり得る。
【0131】
前記T160は、例えば、100℃~180℃、120℃~180℃、130℃~180℃、130℃~160℃、または136℃~150℃であり得る。
【0132】
また、前記T260は例えば、100℃~180℃、120℃~180℃、120℃~170℃、125℃~165℃、または130℃~160℃であり得る。
【0133】
前記第1磁性部および第2磁性部が前記条件において特定範囲の温度を有することにより、充電効率および発熱低減特性を最大化し得る。
【0134】
もし、第1磁性部および第2磁性部のいずれか一方のみを適用するか、または第1磁性部および第2磁性部の配置が変更されると、前記T160および前記T260が前記範囲から外れることがあり、それによって温度が継続的に上昇して高温発熱が発生することにより、装置構造物の変形および破損が発生し得る。
【0135】
また、前記コイル部に85kHzの周波数および6.6kWの出力を有する無線電力が60分間受信されるとき、前記第1磁性部の下面の温度(T160)と前記第2磁性部の上面の温度(T260)との間の差が1℃~15℃であり得る。もし、前記T160および前記T260の差が大きすぎると、無線充電中に磁束が適切に配分されないため発生する熱の外部への伝達が効果的でなく、また車両走行中に加えられ得る外部の衝撃によって破損されやすくなり得る。
【0136】
例えば、前記T160および前記T260の差(絶対値)は、1℃~15℃、1℃~12℃、2℃~12℃、3℃~12℃、または5℃~12℃であり得る。
【0137】
また、図3Bおよび図3Dのように、前記第1磁性部が立体構造を有し、前記第2磁性部がシールド部と接触する場合、前記T260が前記T160に比べて低くなり、具体的にT260がT160に比べて、1℃~10℃、1℃~9℃、1℃~8℃、2℃~8℃、3℃~7℃、4℃~7℃、5℃~7℃程度さらに低くなり得る。このように、前記第1磁性部に対して無線充電時にさらに大きい発熱量を有する第2磁性部をシールド部と接触して配置することにより、磁束密度と熱の放出とを効率よく分配して無線充電効率を高めながら、前記第2磁性部で発生する熱を、シールド部を介して放出させて、放熱特性を効率よく向上させ得る。
【0138】
また、前記T160が前記T110に比べて50℃~100℃さらに高く、前記T260が前記T210に比べて50℃~100℃さらに高い。具体的に、前記T160が前記T110に比べて温度が50℃~90℃、50℃~85℃、または50℃~80℃とさらに高く、前記T260が前記T210に比べて50℃~100℃、50℃~90℃、50℃~80℃、または50℃~70℃とさらに高い。もし、前記T160と前記T110との差、または前記T260と前記T210との差が100℃を超えると、高速充電および高電力無線充電の際に発熱が増加するおそれがあり、そうすると、安全上の問題により使用性に制約を招き得る。
【0139】
また、前記無線充電装置において、図3Bおよび図3Dのように、前記第1磁性部が立体構造を有して第2磁性部がシールド部と接触する場合が、図3Aおよび図3Cのように前記第1磁性部が平面構造であるかまたは第2磁性部がシールド部と接触しない場合に比べて、放熱効果および充電効率がより向上し得る。具体的に、図3Bおよび図3Dのように、前記第1磁性部が立体構造を有して第2磁性部がシールド部と接触する場合、前記T160と前記T110との差、および/または前記T260と前記T210との差が50℃~80℃であり得る。一方、図3Aおよび図3Cのように、前記第1磁性部が平面構造であるか、または第2磁性部がシールド部と接触しない場合、前記T160と前記T110との差、および/または前記T260と前記T210との差が、それぞれ80℃超~100℃以下であり得る。
【0140】
前記第2磁性部は、前記第1磁性部に対して0.1W/m・K~6W/m・Kさらに高い熱伝導率を有し得る。例えば、前記第2磁性部の熱伝導率は、前記第1磁性部の熱伝導率に対して、0.1W/m・K~6W/m・K、0.5W/m・K~5W/m・K、または1W/m・K~4W/m・Kさらに高い。この場合、前記第1磁性部に対して熱伝導率がより高い第2磁性部をシールド部に隣接配置することにより、磁束の配分によって無線充電中に発生する熱を効率よく分散させながら、外部の衝撃や歪みなどに対する耐久性を向上させ得る。
【0141】
<第2磁性部の配置>
前記第2磁性部は、前記第1磁性部に対して無線充電時にさらに大きい発熱量を有するので、シールド部の近くに配置されることが有利である。例えば、前記第2磁性部としてフェライト系磁性体を含む場合、フェライト系磁性体は熱が多く発生するが熱をよく放出し得る。したがって、このような発熱量を有する前記第2磁性部を前記シールド部の近くに配置することにより、発熱低減特性をさらに向上させ得る。もし、前記高分子型磁性体を含む発熱量の少ない第1磁性部をシールド部の近くに配置する場合、前記高分子型磁性体に含まれている高分子成分が熱を蓄積するため、時間の経過とともに温度が持続的に上昇することとなり、発熱低減特性に悪影響を与え得る。
【0142】
具体的に、図3A図3Dを参照すると、前記第2磁性部500は前記第1磁性部300上に、すなわち前記第1磁性部300と前記シールド部400との間に配置され得る。このように、前記第1磁性部に対して発熱量の大きい前記第2磁性部を前記シールド部に近いところに配置することにより、コイル部周囲の高い磁束密度を効率よく分散させ得るので、前記第1磁性部単独で使用する場合に比べて充電効率を高めるだけでなく、第1磁性部のコイル部近接部に集中する熱を効率よく分散させ得る。
【0143】
この際、図3Bおよび図3Dに示すように、前記第2磁性部500の少なくとも一部が前記シールド部400に接触し得る。これにより、前記第2磁性部で発生する熱が前記シールド部を介して効率よく排出され得る。例えば、前記第2磁性部がシート状である場合、その一面全部が前記シールド部に接触し得る。具体的に、前記第2磁性部は、前記シールド部の前記第1磁性部に向かう一面上に付着され得る。より具体的に、前記第2磁性部は、前記シールド部の一面に熱伝導性接着剤で付着されることにより、放熱効果をさらに高め得る。前記熱伝導性接着剤は、金属系、カーボン系、セラミック系などの熱伝導性材料を含むことができ、例えば、熱伝導性粒子が分散された接着剤樹脂であり得る。
【0144】
図3Aに示すように、前記第2磁性部500は、前記第1磁性部の外郭部310および中心部320上のいずれにも配置され得る。または、図3B図3Dに示すように、前記第2磁性部500は、前記第1磁性部の外郭部310上にのみ配置され得る。これにより、コイル部周囲の高い磁束密度を効率よく分散させ得るので、前記第1磁性部単独で使用する場合に比べて充電効率を高め得る。または、前記第2磁性部は、前記第1磁性部の外郭部および中心部の少なくとも一部上にわたって配置され得る。
【0145】
前記第2磁性部は、前記第1磁性部と結合または分離して配置され得る。
一例として、前記第2磁性部は前記第1磁性部と接触し得る。図3B図3Dを参照すると、前記第2磁性部500は、前記第1磁性部300の外郭部上に付着され得る。
【0146】
または、前記第1磁性部と前記第2磁性部とは互いに離隔され得る。具体的に、前記第2磁性部は、前記シールド部と前記第1磁性部との間において、前記第1磁性部と離隔して配置され得る。その結果、無線充電時に前記第1磁性部と前記第2磁性部との間の磁束配分と、それによる発熱とが適切に調整され得る。また、電気自動車の走行中に加えられ得る外部の衝撃や歪みのような外力に対する適切な耐久性が付与され得る。
【0147】
例えば、前記第1磁性部と前記第2磁性部との離隔距離は、1mm以上、2mm以上、1mm~10mm、2mm~7mm、3mm~5mm、または5mm~10mmであり得る。具体的に、前記第1磁性部と前記第2磁性部との間の最短距離は1mm~20mmであり得る。より具体的に、前記第1磁性部の外郭部と前記第2磁性部との間の最短距離は3mm~10mmであり得る。前記範囲内であると、無線充電時に集束される磁束の配分とそれによる発熱の調節が有利であり、車両走行中に発生する外力に対する適切な耐久性が付与され得る。
【0148】
または、図3Dを参照すると、前記第1磁性部300が前記シールド部400に向かう表面に溝を備え、前記第2磁性部500が前記溝に挿入され配置され得る。
【0149】
この場合、前記第1磁性部は前記第2磁性部のハウジングとして役割をし得るので、前記第2磁性部を固定するための別途の接着剤や構造物が不要であり得る。特に、前記第1磁性部は、磁性粉末とバインダー樹脂を用いた高分子型磁性体を用いてモールドにより立体構造に成形可能なので、第2磁性部を入れるための溝を容易に形成し得る。
【0150】
この際、前記第1磁性部および前記第2磁性部のうち少なくとも一部が前記シールド部に接触し得る。これにより、前記第1磁性部および/または前記第2磁性部で発生する熱が前記シールド部を介して効率よく排出され得る。
【0151】
前記第1磁性部に形成された溝の深さは、前記第2磁性部の厚さ(高さ)と同一かまたは異なり得る。前記溝の深さと前記第2磁性部の厚さが同一であると、前記第1磁性部および前記第2磁性部は、前記シールド部に同時に接触し得る。または、前記溝の深さが前記第2磁性部の厚さよりも小さい場合、前記第2磁性部のみが前記シールド部に接触し得る。逆に、前記溝の深さが前記第2磁性部の厚さよりも大きい場合、前記第1磁性部のみが前記シールド部に接触し得る。
【0152】
また、図3Aおよび図3Cを参照すると、前記第2磁性部500は前記シールド部400と一定距離で離隔して配置され得る。また、前記第2磁性部500と前記シールド部400との間に空きスペースまたはスペーサをさらに含み得る。前記スペーサの材質および構造は、無線充電装置に使用される通常のハウジングの材質および構造を採用し得る。
【0153】
<放熱部の組成および特性>
前記実現例による無線充電装置は、効果的な熱伝達のために放熱部をさらに含み得る。無線充電時に磁性部には集束された磁束の量と透磁損失に比例して多くの熱が発生するが、前記放熱部は前記磁性部で発生した熱を効率よく外部に伝達し得る。
【0154】
前記放熱部はシート状であってよく、すなわち前記放熱部は放熱シートであり得る。
【0155】
前記放熱部は、バインダー樹脂と、前記バインダー樹脂内に分散された放熱フィラーとを含み得る。このように、前記放熱部は、高分子成分を含んで前記シールド部と前記磁性シートとの間の接着力を発揮することができ、また外部の衝撃から前記磁性部が破壊されることを防止し得る。
【0156】
前記バインダー樹脂として、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリフェニルスルフィド(PSS)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂、エポキシ樹脂などを例示し得るが、これらに限定されるものではない。
【0157】
例えば、前記バインダー樹脂は硬化性樹脂であり得る。具体的に、前記バインダー樹脂は光硬化性樹脂および/または熱硬化性樹脂であってよく、特に硬化して接着性を示し得る樹脂であり得る。より具体的に、前記バインダー樹脂は、グリシジル基、イソシアネート基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、またはアミド基などのような、熱による硬化が可能な官能基または部位を1つ以上含むか、または、エポキシド基、環状エーテル基、スルフィド基、アセタール基、またはラクトン基などのような、活性エネルギーによって硬化可能な官能基または部位を1つ以上含む樹脂を使用し得る。このような官能基または部位は、例えば、イソシアネート基(-NCO)、ヒドロキシ基(-OH)、またはカルボキシル基(-COOH)であり得る。
【0158】
具体的な一例として、前記バインダー樹脂は、シリコーン系樹脂およびアクリル系樹脂のうちの1種以上であり得る。
【0159】
また、前記放熱フィラーは、セラミック粒子、カーボン粒子および金属粒子のうちの1種以上であり得る。前記セラミック粒子は金属の酸化物または窒化物を含んで良く、具体的にシリカ、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化マグネシウムなどを含み得る。前記カーボン粒子は、グラファイト、カーボンブラック、カーボンナノチューブなどを含み得る。前記金属粒子は、銅、銀、鉄、ニッケルなどを含み得る。
【0160】
前記放熱部内の前記放熱フィラーの含有量は、70重量%~90重量%、70重量%~85重量%、または75重量%~90重量%であり得る。
【0161】
前記放熱部の熱伝導率は、0.5W/m・K~30W/m・Kであり、具体的に2W/m・K~5W/m・Kであり得る。
【0162】
前記放熱部の厚さは0.1mm~5mmであり、具体的に0.1mm~3mm、または0.2mm~1mmであり得る。
【0163】
前記放熱部は、前記第1磁性部または前記第2磁性部と同一面積を有するか、これとは異なる面積を有し得る。例えば、前記放熱部が前記第1磁性部の外郭部上に配置される場合、前記放熱部は前記外郭部の面積に対応する面積を有し得る。また、前記放熱部が前記第2磁性部と前記シールド部との間に配置される場合、前記放熱部は前記第2磁性部の面積に対応する面積を有し得る。これにより、前記放熱部は、小さな面積でも優れた放熱特性と接着性および耐衝撃性を発揮し得る。
【0164】
<放熱部の配置>
前記放熱部は、前記磁性部と前記シールド部との間に配置される。前記放熱部は前記磁性部と前記シールド部とに同時に接触することができ、具体的に前記放熱部は前記磁性部と前記シールド部とを接着し得る。より具体的に、前記放熱部は、前記第2磁性部と前記シールド部とに同時に接触することができ、また、前記第2磁性部と前記シールド部とを接着し得る。これにより、前記第2磁性部で発生する熱が前記放熱部を介して前記シールド部に伝達され、外部に放出されるのに容易となり得る。
【0165】
図5Aに示すように、前記第2磁性部500は前記第1磁性部300上に配置され、前記放熱部700が前記第2磁性部500と前記シールド部400とに同時に接触し得る。このように、前記第1磁性部に対して高い透磁率を有する前記第2磁性部を、前記シールド部に近いところに配置することにより、コイル周りの高い磁束密度を効率よく分散させ得るので、前記第1磁性部単独で使用する場合に比べ、充電効率を高めるだけでなく、コイル部に近接する第1磁性部に集中する発熱を効率よく分散させ得る。また、この際、前記第2磁性部で発生する熱が前記放熱部を介して前記シールド部に効率よく伝達され得る。
【0166】
例えば、前記第2磁性部がシート状である場合、その一面全部が前記放熱部を介して前記シールド部に付着され得る。具体的に、前記第2磁性部は、前記シールド部の前記第1磁性部に向かう一面上に前記放熱部を介して付着され得る。
【0167】
また、前記第2磁性部500および前記放熱部700が前記第1磁性部の外郭部310上に配置され、それによりコイル部近傍に集束する磁束密度を分配しながら、コイル部近傍で発生する熱を外部に効率よく排出し得る。
【0168】
図5Bに示すように、前記第1磁性部300が前記シールド部400に向かう表面に溝を備え、前記第2磁性部500が前記溝に挿入配置され、前記放熱部700が前記第1磁性部300および前記第2磁性部500のうちの少なくとも一方と前記シールド部400とに同時に接触し得る。
【0169】
この場合、前記第1磁性部は前記第2磁性部のハウジングとして役割を果たし得るので、前記第2磁性部を固定するための別途の接着剤や構造物が不要となり得る。特に、前記第1磁性部は、磁性粉末とバインダー樹脂とを含む高分子型磁性体を用いてモールドによって立体構造に成形可能なので、第2磁性部を入れるための溝を容易に形成し得る。また、この際、前記第1磁性部および/または前記第2磁性部で発生する熱が、前記放熱部を介して前記シールド部に効率よく伝達され得る。
【0170】
前記第1磁性部に形成された溝の深さは、前記第2磁性部の厚さ(高さ)と同一または異なり得る。前記溝の深さと前記第2磁性部の厚さとが同一の場合、前記放熱部は前記第1磁性部、前記第2磁性部、および前記シールド部に同時に接触し得る。または、前記溝の深さが前記第2磁性部の厚さよりも小さい場合、前記放熱部は前記第2磁性部および前記シールド部にのみ接触し得る。逆に、前記溝の深さが前記第2磁性部の厚さよりも大きい場合、前記放熱部は前記第1磁性部および前記シールド部にのみ接触し得る。
【0171】
図5Cに示すように、前記第2磁性部500が前記第1磁性部300の内部に埋め込まれて配置され、前記放熱部700が前記第1磁性部と前記シールド部とに同時に接触し得る。
【0172】
この場合にも、前記第1磁性部は前記第2磁性部のハウジングとして役割を果たし得るので、前記第2磁性部を固定するための別途の接着剤や構造物が不要となり得る。特に、前記第1磁性部は、磁性粉末とバインダー樹脂とを用いた高分子型磁性体を用いてモールドによって立体構造に成形可能なので、第2磁性部を埋め込むための構造を容易に形成し得る。また、この際、前記第1磁性部で発生する熱が、前記放熱部を介して前記シールド部に効率よく伝達され得る。
【0173】
<トレイ>
図6図9Bに示すように、前記無線充電装置10は、前記第1磁性部300とシールド部400との間に配置されるトレイ800をさらに含み得る。具体的に、前記実現例による無線充電装置10は、前記第1磁性部300と前記第2磁性部500との間に配置されるトレイ800をさらに含み得る。
【0174】
前記トレイは、前記第2磁性部を固定するハウジングとしての役割だけでなく、前記第2磁性部を前記第1磁性部と離隔させるためのスペーサとしての役割もし得る。すなわち、前記トレイによって前記第2磁性部は前記第1磁性部と離隔して配置され得る。
【0175】
前記トレイは、前記第2磁性部を収容する安着溝を備え得る。これにより、前記第2磁性部が前記安着溝に収容され配置され得る。この場合、前記トレイは前記第2磁性部のハウジングとして役割を果たし得るので、前記第2磁性部を固定するための別途の接着剤や構造物が不要となり得る。例えば、前記トレイに形成された安着溝の深さは、前記第2磁性部の厚さ(高さ)と同一または異なり得る。また、前記第2磁性部上に放熱部をさらに配置される場合、前記トレイに形成された安着溝の深さは、前記第2磁性部と前記放熱部との厚さの和と同一であり得る。
【0176】
また、前記トレイは前記シールド部と接触することができ、具体的に前記トレイは前記シールド部の下部に固定され得る。また、前記第1磁性部(例えば、第1磁性部の外郭部)とも接触して配置され得る。
【0177】
または、前記トレイは、前記シールド部または前記第1磁性部と一定間隔離隔して配置され得る。例えば、前記トレイと前記シールド部との間の離隔距離、または前記トレイと前記第1磁性部(例えば、前記第1磁性部の外郭部)との間の離隔距離は、0.5mm以上または1mm以上であり、具体的に、0.5mm~5mm、または1mm~3mmであり得る。
【0178】
前記トレイはプラスチック素材からなり、具体的に耐熱プラスチック素材からなり得る。具体的に、前記プラスチック素材は熱可塑性ポリイミドであり得る。また、前記プラスチック素材のガラス転移温度(Tg)は、230℃~360℃、具体的に約250℃~310℃であり得る。
【0179】
また、前記トレイは放熱フィラーをさらに含むことができ、この際、前記放熱フィラーの材料は、セラミック系物質、酸化物系物質およびカーボン系物質からなる群より選択された1種以上であり、より具体的に、Al、AlN、SiO、およびSiからなる群より選択される1種以上であり得る。これにより、前記第1磁性部または前記第2磁性部で発生する熱が、前記トレイを介しても前記シールド部に伝達され得る。
【0180】
<支持部>
図1Aおよび図1Bに示すように、前記無線充電装置10は、前記コイル部200を支持する支持部100をさらに含み得る。前記支持部の材質および構造は、無線充電装置に使用される通常の支持部の材質および構造を採用し得る。前記支持部は、平板構造またはコイルを固定できるように、コイル部形状に沿って溝が掘られた構造を有し得る。
【0181】
<ハウジング>
図1Aおよび図1Bに示すように、前記実現例による無線充電装置10は、前述の構成要素を収容するハウジング600をさらに含み得る。
【0182】
前記ハウジングは、前記コイル部、シールド部、磁性部などの構成要素が適切に配置され組み立てられ得るようにする。前記ハウジングの材質および構造は、無線充電装置に使用される通常のハウジングの材質および構造を採用することができ、その内部に含まれる構成要素に応じて適切に設計され得る。
【0183】
<充電効率>
一方、本発明の無線充電装置は、3kW~22kW、4kW~20kW、または5kW~18kWの高電力無線充電を行う場合、発熱を効率良く減少させ、充電効率を向上させ得るので、高電力無線充電用として有用に使用し得る。
【0184】
特に、前記無線充電装置は、磁性部に立体構造を適用することにより、充電効率および発熱低減特性をさらに向上させ得る。
【0185】
例えば、前記実現例による無線充電装置の充電効率は、85%以上、88%以上、89%以上、90%以上、または91%以上であり得る。
【0186】
したがって、前記実現例による無線充電装置は、送信機と受信機との間の大容量の電力伝送を必要とする電気自動車のような移動手段などに有用に使用され得る。
【0187】
[移動手段]
図11は、無線充電装置が適用された移動手段、具体的に電気自動車を示すものであり、下部に無線充電装置を備え、電気自動車用無線充電システムが設けられた駐車区域において無線で充電され得る。
【0188】
図11を参照すると、一実現例による移動手段1は、前記実現例による無線充電装置を受信機21として含む。前記無線充電装置は、移動手段1の無線充電の受信機21として機能し、無線充電システムの送信機22から電力供給を受け得る。
【0189】
このように、前記移動手段は無線充電装置を含み、前記無線充電装置は前述のような構成を有する。
【0190】
具体的に、前記移動手段に含まれる無線充電装置は、コイル部と、前記コイル部上に配置されるシールド部と、前記コイル部と前記シールド部との間に配置される第1磁性部および第2磁性部を含む磁性部とを含み、前記第2磁性部は、前記第1磁性部に対して85kHzにおいて高い透磁率を有する。
【0191】
前記移動手段に含まれる無線充電装置の各構成要素の構成および特徴は、前述の通りである。
【0192】
前記移動手段は、前記無線充電装置から電力伝送を受けるバッテリーをさらに含み得る。前記無線充電装置は、無線で電力伝送を受けて前記バッテリーに伝達し、前記バッテリーは前記電気自動車の駆動系に電力を供給し得る。前記バッテリーは、前記無線充電装置またはその他追加の有線充電装置から伝達される電力によって充電され得る。
【0193】
また、前記移動手段は、充電に関する情報を無線充電システムの送信機に伝達する信号伝送機をさらに含み得る。このような充電に関する情報は、充電速度のような充電効率、充電状態などであり得る。
(実施例)
以下、実施例を説明するが、実現可能な範囲はこれらに限定されない。
【0194】
(実施例1:無線充電装置の製造)
[段階1:第1磁性部の製造-立体構造]
42.8重量部の磁性粉末、15.4重量部のポリウレタン系樹脂分散液(ポリウレタン系樹脂25重量%、2-ブタノン75重量%)、1.0重量部のイソシアネート系硬化剤分散液(イソシアネート系硬化剤62重量%、n-ブチルアセテート25重量%、2-ブタノン13重量%)、0.4重量部のエポキシ系樹脂分散液(エポキシ系樹脂70重量%、n-ブチルアセテート3重量%、2-ブタノン15重量%、トルエン12重量%)、および40.5重量部のトルエンをプラネタリーミキサー(planetary mixer)において約40rpm~50rpmの速度で約2時間混合して、磁性粉末スラリーを製造した。
【0195】
前記磁性粉末スラリーを図10に示すように、射出成形機2によりモールド3に注入して立体構造(コイル部に対応する外郭部:9mm、前記外郭部によって囲まれる中心部:1mm)に成形し、これを約160℃の温度で乾燥して立体構造を有する第1磁性部(高分子型磁性体)を得た。
【0196】
[段階2:ハイブリッド型磁性体の製造]
前記段階1で製造した第1磁性部のコイル部に対応する外郭部上に、第2磁性部として厚さ1mmのフェライト系磁性体(TDK社のPC-95フェライト磁性シート)を配置した後、熱圧着して、ハイブリッド型磁性体を得た。
【0197】
[段階3:無線充電装置の製造]
前記段階2で製造したハイブリッド型磁性体を、図3Bのように支持部、コイル部、スペーサ、シールド部、およびハウジングと結合して無線充電装置を得た。この際、前記ハイブリッド型磁性体の両面のうち、第2磁性部(フェライト系磁性体)の面が前記シールド部を向くようにした。
【0198】
(実施例2:無線充電装置の製造)
[段階1:第1磁性部の製造-平面構造]
前記実施例1の段階1で製造された磁性粉末スラリーを、キャリアフィルム上にコンマコーターによってコーティングし、約110℃の温度で乾燥して高分子型磁性体を形成した。これを約170℃の温度にて約9Mpaの圧力で約60分間ホットプレス工程により圧縮硬化させ、高分子型磁性体シートを得た。前記シート内の磁性粉末含有量は約90%であり、シート1枚の厚さは約100μmであった。前記シートを40枚~50枚積層して、約4mm厚の第1磁性部を得た。
【0199】
[段階2:ハイブリッド型磁性体の製造]
前記段階1で製造された第1磁性部上に、第2磁性部として厚さ1mmのフェライト系磁性体(TDK社のPC-95フェライト磁性シート)を配置した後、熱圧着して、ハイブリッド型磁性体(厚さ5mm)を得た。
【0200】
[段階3:無線充電装置の製造]
前記段階2で製造したハイブリッド型磁性体を、図3Aのように支持部、コイル部、スペーサ、シールド部、およびハウジングと結合して無線充電装置を得た。この際、前記ハイブリッド型磁性体の両面のうち、第2磁性部(フェライト系磁性体)の面が前記シールド部を向くようにした。
【0201】
(比較例1:無線充電装置の製造)
実施例2における段階1の方法により、厚さ5mmの平面高分子型磁性体(第1磁性部)を製造し、これを支持部、コイル部、スペーサ、シールド部、およびハウジングと結合して無線充電装置を得た。
【0202】
(比較例2:無線充電装置の製造)
厚さ5mmのフェライト系磁性体(TDK社のPC-95フェライト磁性シート)を、支持部、コイル部、スペーサ、シールド部、およびハウジングと結合して無線充電装置を得た。
【0203】
(試験例1:磁性部の表面温度測定)
前記実施例および比較例で得た無線充電装置を、SAE J2954 WPT2 Z2 class Standard TEST充電効率測定条件において、前記コイル部に85kHzの周波数および6.6kWの出力を有する無線電力が10分または60分間受信されるとき、第1磁性部および第2磁性部の表面温度を測定した。
【0204】
前記磁性部の表面温度は、クアリトロール(Qualitrol)社のT/GUARD 405-SYSTEMを用いて磁性部の下面および上面でそれぞれ測定された。具体的に、実施例1および2の場合、図3Aおよび図3Bのように、ハイブリッド型磁性体の上面および下面、すなわち第1磁性部300の下面(P1)および第2磁性部500の上面(P2)にてそれぞれ温度を測定した。また、比較例1の場合、第1磁性部の下面および上面でそれぞれ温度を測定し、比較例2の場合、第2磁性部の下面および上面でそれぞれ温度を測定した。
【0205】
前記磁性部の表面温度測定結果を以下のようにまとめ、表1に示す。
T110(℃):コイル部に無線電力が10分間受信されるとき、第1磁性部の下面(P1)の温度(ただし、比較例2の場合は第2磁性部の下面の温度)
T210(℃):コイル部に無線電力が10分間受信されるとき、第2磁性部の上面(P2)の温度(ただし、比較例1の場合は第1磁性部の上面の温度)
T160(℃):コイル部に無線電力が60分間受信されるとき、第1磁性部の下面(P1)の温度(ただし、比較例2の場合は第2磁性部の下面の温度)
T260(℃):コイル部に無線電力が60分間受信されるとき、第2磁性部の上面(P2)の温度(ただし、比較例1の場合は第1磁性部の上面の温度)
【0206】
また、前記磁性部の下面および上面においてより具体的な温度測定位置は、コイル部200において導電性ワイヤが存在する領域の中間ポイント(すなわち、第1磁性部の外郭部310の中間ポイント)を基準に設定された。
【0207】
(試験例2:充電効率測定)
充電効率は、SAE J2954 WPT2 Z2 Class standard TESTの方法により測定された。具体的に、SAE J2954 WPT2 Z2 Class standard TEST規格のコイル部およびフレームを適用し、磁性部、スペーサ、およびアルミニウムプレートを積層して製造された装置を送信機(75cm×60cm)とし、前記実施例および比較例の無線充電装置を受信機(35cm×35cm)として、85kHz周波数および出力電力6.6kWの条件で充電効率を測定した。
前記測定結果を下記表1にまとめた。
【0208】

【0209】
前記表1に示すように、互いに発熱量の異なる第1磁性部および第2磁性部が結合されたハイブリッド型磁性体を使用し、第2磁性部をシールド部の近くに配置した実施例1および2の無線充電装置は、第1磁性部または第2磁性部のみを使用した比較例1および2に比べて磁束密度と発熱を効率よく配分して無線充電効率を向上させ得ることを確認した。
【0210】
具体的に、コイル部に無線電力が10分間受信されるとき、実施例1および2の無線充電装置は、磁性部の下面の温度(T110)が上面の温度(T210)よりも1℃~3℃ほど低かったが、比較例1および2の無線充電装置は、磁性部の下面の温度(T110)および上面の温度(T210)が同一に測定された。
【0211】
一方、実施例1および2の無線充電装置は、コイル部に無線電力が60分間受信されるとき、磁性部の下面の温度(T160)および上面の温度(T260)がともに180℃を超えておらず、両者間の温度差(すなわち、T160とT260との差)が15℃を超えなかった。また、実施例1および2の無線充電装置は、コイル部に無線電力が10分および60分間受信されるときの温度変化(すなわち、T110からT160への変化、およびT210からT260への変化)が100℃を超えなかった。
【0212】
さらに、実施例1の無線充電装置は、コイル部に無線電力が60分間受信されるとき、実施例2の無線充電装置に比べて温度が著しく減少することを確認できた。特に、実施例1の無線充電装置は、第1磁性部に立体構造を適用することにより、シールド部と接触した第2磁性部の上面温度(T260)が第1磁性部の下面温度(T160)に比べて6℃ほどさらに減少して、発熱低減効果が最も優れた。一方、比較例1の無線充電装置は、磁性部の測定温度(すなわちT110、T210、T160およびT260)がいずれも実施例1および2に比べて著しく高く、発熱が増加することが確認できた。また、比較例2の無線充電装置は、磁性部の測定温度が全体的に低いが、フェライトシートのみを使用したため耐衝撃性が低下するおそれがあり、重量増加の問題およびコスト増加の問題が発生するおそれがあり、磁性部の付着組立のために別途のフレームが必要なため望ましくない。
【符号の説明】
【0213】
1:移動手段(電気自動車)
2:射出成形機
3:モールド
10:無線充電装置
21:受信機
22:送信機
100:支持部
200:コイル部
300:第1磁性部
301:原料組成物
310:外郭部
320:中心部
400:シールド部
500:第2磁性部
600:ハウジング
700:放熱部
800:トレイ
P1:第1磁性部の下面
P2:第2磁性部の上面
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11